○星野朋市君 ここに連合とそれから経団連が共同で研究をしてつくった「新産業・
雇用創出共同研究会報告」というのがあります。これは要約版なんですが、これは恐らく
労働省にも届けられて御研究なされたと思うんですね。
今まで新産業の
創出ということで産構研なんかで幾つかの提案がなされておりますけれども、この日経連と連合の研究会報告というのは非常に私はよくできている報告だと思うんです。というのは問題をこれ四つに絞ってあるんです。
一つは住宅問題、住宅産業である。それから二つ目は
情報産業。それから三つ目が環境という問題を取り上げでいるところがちょっと新しい形ですね。最後に福祉・医療の問題という形で四つの問題を提起いたしまして、こういう問題を解決し、こういう規制を取り払っていけば、それぞれが相当な
雇用を
創出できるという報告になっているわけです。
ただ、問題は、これをこのとおり信じていいのかどうかというのは問題がありまして、例えば住宅の問題について言うと、確かに流通経路の問題とかそれから規制の撤廃によって建築資材、そういうものは安くすることはできますけれども、基本的に
日本の住宅戸数は全
日本的にいうと、
日本の世帯数を三百万戸ぐらい上回っちゃっているんですね。これは隠された事実なんですが、
日本全体で見ると既にもう住宅の戸数の方が世帯より大きい。ただ問題はその住宅の質の問題でありまして、要するにもっと広い快適な住宅が欲しいという、この欲望は幾らでもあるわけです。ところが、それはじゃ住宅資材だけ安くなればいいかというとそういう問題じゃないわけです。土地の問題が解決されないとそれはできない。
ここに大蔵省のデータがございまして、
日本の土地はどうなっているかというと、昭和三十年というところを、これは
日本の高度成長期のはしりでありますけれども、昭和三十年代を一〇〇としてみた場合に、
日本の消費者物価指数は昨年までで五七七、五・七倍、名目賃金指数は二一七四、二十一倍、名目GDPは五六〇六、だから五十六倍、ところが市街地の地価はバブルの
状態から下がってもまだ七三三六、こういうような高さにあるわけです。
それからもう
一つ、おもしろいデータがございまして、
日本の土地資産が対GDPに対してどのくらいかというと、アメリカは実に○・七倍、イギリスは一・三倍なのに対して、
日本は四倍である。こういうような非常に不均衡な
状態が続いているわけです。それじゃ一般勤労者のためにもう少し土地を安くすべきだというと、これはまた金融上の信用の問題があってなかなかそうはいかない、こういう問題が残されているわけです。
そうすると、住宅産業というのはこれからどうなるか。実は今はかなり質はよくなりましたけれども、
日本の住宅というのは、住宅産業、住宅産業と騒ぎながら平均して二十五年で木造住宅はぶっ壊しているんですね。木が生育するためには五十年から六十年かかる。その半分で
日本の住宅というのはぷっ壊しでいるということは、いかに世界の木を収奪しているかということ。そういう問題にもぷち当たる。非常にそういう形で、なかなか難しい
状態に入っていることは
指摘しておかなくちゃならない問題だと思います。
それから、
情報産業。これは郵政省が発表した数字でしょうか、百二十三兆円、二百四十三万人の
雇用という数字のひとり歩きがありますけれども、果たしでそういうような
状態で
雇用が
創出されるのか。この中には綿密に調べてみると、かなりダブりの部分があるんですね。
それから、環境の問題というのはかなり新しい視点であって、一番
最初は
教育の問題から出発しなくちゃならないんだけれども、要するにリサイクルの問題であるとかそういうものを含めて
資源、
先ほど申し上げたことも含めてリサイクルの問題、それから再利用の問題、こういう形。それから、公害を出さない、
日本はそういう面での先進国であると、こういう形での産業の育成、これは
考えなくちゃいけない問題である。
最後に、確かに医療保健の問題というのは大きな問題であります。これはもう再三いろんなところで論じられでいるんだけれども、スーパーゴールドプランというので、ホームヘルパー三十万人、それからショートステイ十万人、デイサービス三万カ所、訪問看護ステーション一万カ所、
高齢者介護ホーム百万人、寮母・介護職員三十万人、こういうようなスーパーゴールドプランというものが描かれでいるんだけれども、じゃ、これは果たしてこれだけの費用をだれが負担するんだという問題にぶち当たると思うんですね。そうすると、この問題が解決されない限り、これは絵にかいたもちというふうになりかねない。ところが、この数字が出たためにこの数字がもうひとり歩きしてしまっている、そういう弊害があると思うんです。それぞれこの四つの問題というのはいい面はあるんだけれども、問題を
指摘するとそういう形になると思う。
これは、
新規雇用の
創出という意味でかなり重要な問題であると思いますので、
労働大臣はこの問題についてどういうふうにお
考えになっておられるのか、最後にお聞きしたいと思います。