○小島慶三君 私は、きのうに引き続きまして、
景気の問題について二、三
考えていることも申し上げ、御
質問もしたいというふうに思っております。時間が十分しかございませんから、二問に限定をいたします。
初めのその
一つは、こういうことなんです。きのう、
景気の先行きについて
経済企画庁長官のお
考えを承りました。大分目標に照らして厳しい状態だという
お答えがありました。私も全くそのとおりだと思っております。
ただ、
考えてみますと、やはり
日本がいろいろ
景気対策以外の
経済対策としてやっていることのその裏の面というか、そういったことともこの
景気というのは
関係がある。持って回った言い方で、もっと端的に申しますと、例えば
一つは
規制緩和という問題であります。
これは、確かに
規制緩和につきまして、
経済構造の転換でありますとか新産業の育成でありますとか、そういう大変期待に満ちた側面があると思うんですけれども、同時に裏面は、やはり従来の枠を変えるということでございますからかなり痛みを伴うと。失業というか、あるいは離職といいますか、そういうことがこの成り行きいかんによってはかなり大幅に出てくるということが
一つあると思っております。
それからもう
一つ、内外
価格差の是正とかいろいろそういうことも言われております。確かに消費者利益の増進だとか
日本の産業競争力の再構築であるとか、いろんないい側面も期待されるわけでありますが、同時にこれは
価格の
下落、
価格破壊という形で端的にあらわれてまいります。こういう形で
価格が破壊されてまいりますと、企業は仕事のメルクマールというものがはっきりしなくなりますからなかなか設備投資がしにくい、こういう面も起こってまいります。
それから三つ目には、金利の引き下げということで公定歩合も未曾有のレベルにまで下がったわけであります。これは、確かにこれからの
金融の活性化とかいろいろ
考えれば、もうなくてはならぬ政策であります。しかし反面、これによって得られるマイナスも小さくはない。
例えば一%の金利引き下げということを
考えてみましても、
日本の個人
金融資産は今一千兆であります。そうしますと一%は十兆に当たります。十兆というのは
国民総支出の二%であります。したがいまして、きのうの企画庁
長官の
お話のように、これから先一年間で二%の
経済成長が可能であるというふうにきのう
お話をいただきましたが、そうするとこれだけでいわばチャラになってしまうということで、これはそういった政策も必要でありますからどんどんやっていかなきゃなりませんが、そういったことと
景気の浮揚策、両方
考えてみますと、やはりこれはどうしても財政というものの出番であるということで大変大きな予算が組まれた。これは私どもは敬意を表します。
しかし、ただ大きければいいというものでもないと私は思っております。したがって、この大きさというものが、例えば来年度にまた参りますと、切れ目ない仕事というふうに企画庁
長官もおっしゃいましたけれども、切れ目ないということは、この財源も切れ目なく公債依存にシフトしていくということではあるまいかと。そうしますと、
日本の今の仕事の財源というものに対して行き方が二つぐらいあると思うのです。
一つは、やはり何といっても徹底したリストラでニーズに対応するということがありましょう。しかし、恐らく行財政
改革とかいろいろ
考えてみてもこれはなかなか難しいというふうに私は思います。そうしますと、どうしても国債という問題が出てくるわけでありますが、この国債というものが今度の補正で二五・七とかなりな高い水準になってまいります。
これで来年度予算が参りました場合に、来年度予算もことしの補正で大分前倒しをしておりますから、そうしますとかなり来年もまた国債依存度というものが出てまいりましょう。恐らく消費税とかいろいろ絡みがありますから、単純にそういうふうになるとも思えませんけれども、しかしやはりいろいろ
考えてみると、この国債依存というものに何か歯どめが必要なんではないかというふうに私は思っております。
平成八年度あるいは
平成八年度の補正、さらに
平成九年度というふうになってまいりますと、この国債がさらにさらに増発されるということは、
日本の財政運営を大変窮屈にいたします。
そういう点で、大蔵省、今大変にいろんな問題が集中しておりましてお気の毒でありますが、大蔵省のこれはひとつ頑張りどころではあるまいかというふうに私は思っております。今すぐ財政の健全化はできませんけれども、せっかく七年もかかってここまで来た、それを一朝にして国債依存というものがまたもとに戻ってしまうというふうなのは私は大変残念だと思います。
大蔵大臣からこの辺についてひとつ。