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国務大臣(森喜朗君) 通産大臣が先ほど御
答弁の中で、今一番
自分の頭にあるのはこれ以上製造業が外国に行かないことだ、どうして逃げないようにするかということをおっしゃっておられます。
これと同時に、もう
一つ、今の通産大臣の
お話の中にありますように、どうしたらもっと民間に新しいビジネスに対して創業意欲を持って、投資意欲を持って、わかりやすく言えば会社をどんどんつくろうという意欲を持ってくれるかということが今通産省にとって最も大事なことだと思うんです。
先ほど
委員から御
質問の中に触れていただきましたが、二年前、私が通産大臣をやっておりましたときも、やはり社会資本というのは今までの考え方、今の私の立場から言いにくいけれども、つまり道路や河川や下水ということだけじゃなくて、社会資本というのは新しい分野にもっと手を広げていくべきではないかというように、当時私は通産の立場で申し上げたわけでございます。これが今、先生からも
お話がございましたように、
総理や武村大蔵大臣の大きな英断もございまして、余り縄張り争いで議論をするということはなくなりました。
お互いに理解を深めるようになったと、私はそう思っております。
したがって、研究部門に投資をするということは、やはり将来のそういうビジネスチャンスができ得るために、あるいは企業をつくろう、会社をつくろうというそういう意欲を持つために、そのために国が思い切って援助をしてさしあげる、思い切って研究してください、そのお金はどんどん国が出しましょうという考え方、これが私どもが当時言っていた新しい社会資本というふうなことで申し上げてきたことでございますが、大体ここ二、三年でそうしたことについては、国会でもあるいはそれぞれの行政の中でも、
国民の中にもかなり深い理解を
お互いに持てるようになったと、このように私は大変喜んでおります。
そこで、景気対策として公共事業に対する大変大きな
期待を寄せてくださる、これは大事なことですから我々しっかりやらなきゃならぬと思っております。しかし、多少ちょっと私的な意見が入って恐縮なんですが、公共事業だけで
日本の経済があるいは景気が全部立ち直るというふうに私はどうも思えないんです。だから、これまで四十兆も五十兆も入れてきたじゃないか、全然はかばかしくないじゃないかということを衆議院段階でも野党の皆さんからよくそういう指摘を受けましたけれども、しかし、じゃ公共事業をやらなかったらどうなっていたんだろうかというふうにむしろ逆に考えてみる必要があると思うんです。
公共事業を施すことによって健康体を維持していく、そしてできるだけ早く、先ほどから通産大臣がおっしゃっておられますようなビジネスチャンスを、どうやって起業を、将来の
日本の産業構造が大きく変わって、次第次第に右肩上がりの
期待感を持てるようになっていくかということが一番大事なのでありまして、それまでの間は公共事業でしっかり
日本の経済の安定、健康体を維持していくということに、私はそのことに一番意を用いることだと思うんです。
大変御無礼でございますけれども、先生お持ちかもしれませんが、これは後ほど差し上げますが、公共事業というのはいかに即効性があるかということと、先ほどの御
答弁でも私は申し上げたと思いますが、例えば情報サービスでやりますと、生産高でいきますと、東京と名古屋、大阪を中心にしまして大体この生産高は八〇%ぐらいになってしまうんです。したがって、地方には全然及んでいかない。ところが、これが建設になりますと、東京が二六で、近畿が一四で、東海が一〇で、北陸が五・四、北関東が九・二、九州は一〇というふうに、
日本じゅう満遍なく建設が施されることによってそれだけ雇用の創出もできますし、いろんな資材の需要というものもできるということでは、この公共事業というのは幅広く
日本国内全体を潤していくということになるし非常に即効性がある、こういうことかなと思っております。
委員は御専門家でありますから、わざとこういう
答弁の
機会を与えていただいて、建設省の立場を理解してもらえるような発言をさせていただきまして大変ありがたいことだと思っております。そういう
意味で、公共事業はまさに
日本の経済の健康体をきちっと維持するために積極的にやっていかなきゃならぬ、そう思って、今回の
補正予算につきましても思い切った公共投資をさせていただいたということでございます。