○岡部三郎君 私は、
さきの
内閣総理大臣の
所信表明演説に関して、自由民主党・自由
国民会議を代表し、
村山総理並びに
関係大臣に
質問をいたします。
今回の
参議院議員
通常選挙は戦後十七回目に当たり、当選された新議員の
方々はいわば二十一
世紀へかかる任期を有するわけでありまして、私ども一同、その御活躍を大いに期待しているところであります。
まず冒頭、今回の
参議院選挙を振り返りますと、最大の問題は、何といっても
投票率が四四・五%と史上最低の水準に落ち込んだことであります。この結果は、まさに議会制
民主主義の危機と言われるほどに衝撃的であり、我々はこれを厳しく受けとめ、その
原因を真剣に究明していかなければなりません。
投票率低下の
原因は、まず
政治や
政党に対する不信感が高まったことであります。その理由として、
政党の離合集散がいとも簡単に行われ、その理念、哲学や
政策の違いが明確でないことが第一に挙げられますが、これについては
質問の最後で触れたいと思います。
さらに、連立
政権が続いたため、
政党の公約と
内閣の
政策が必ずしも一致しないことがもう
一つの理由として挙げられますが、私は、これについては必ずしも納得できないのであります。
昨年六月末、自由民主党、
社会党、
さきがけ三党による
村山連立
政権が誕生して以来、
責任と安定の
政治により
国民のためになるならば、我が党の首班でなくとも真剣にこれを支え、難局に対処しよう、我々はそう決心し、この一年余り
村山総理を
中心に
与党三党の民主的な
政策協調により
内外の難しい問題を次々に
処理してまいりました。
選挙制度の
改正、年金
改正、
税制改革、WTO加入のための
国内農業
対策等、どれ
一つとっても長年の懸案であった大問題であります。
さらに、本年に入り、国難とも言うべき
阪神・
淡路大震災、
オウム真理教による歴史上例を見ない凶悪なサリン
事件等への対応、さらに特殊法人の統廃合、地方分権を初め、約千項目にわたる
規制緩和計画の策定、前倒し実施等、
政府・
与党一体となって取り組んでまいりました。
さきの通常
国会においては、
内閣提出百二法案を一〇〇%成立させるとともに、
平成七年度
予算を戦後最も
早期に上げ、さらに細川
政権のとき決裂した日米包括協議も粘り強い交渉の結果、六月末、最大の自動車部品分野で妥結し、
世界の自由貿易と国益を守り通したのであります。
水俣病問題についても、公式発見から四十年目にようやく
解決しようとしております。
これら多くの成果は、過去のイデオロギーの対立を越え、何が
国民の役に立つのかを真剣に
考え、全力を挙げて取り組んだ結果、初めて達成されたものであります。国益のため、
国民の
生活を守るため、
政党間の信義を尊重しつつ現実的に着実に
課題を
処理していくことこそ戦後五十年にして初めてなし得た大改革であることを、
国民にもっともっと深く理解していただくのが信頼回復の
基本であると思います。
総理大臣は、こうした点に関し、
政権を担われた一年余りを振り返り、どのようにお
考えか。さらに、六月三十日の新三党
合意を踏まえ、最近の厳しい情勢に対応するため、これから失いかにリーダーシップを発揮して新しい
政策を打ち出していかれるか、その方針と御
決意をお
伺いいたします。
投票率低下のもう
一つの
原因は、衆議院に対する抑制、補完、均衡という二院制のもとにおける
参議院の役割が
国民に十分理解されなかったことではないでしょうか。
参議院は衆議院のカーボンコピーだと言われて久しいわけでありますが、いまだにそうした論調が後を絶たないということはまことに残念であります。
参議院こそ、
政治は
国民のものという議会制
民主主義の原点に立って、重要な国策や
国民の多様なニーズに的確な展望を示し、また、議員はその六年間の安定した任期を生かし、
政策的研さんを積み、議員立法等の手段を活用して立法府としての使命を果たさなければならないと思います。そのためには、今までの慣行にとらわれず、
参議院のあり方を根本から
見直し、まさに
政治を変える
参議院改革を実現させなければなりません。新議長は、既に議長の諮問機関として
参議院改革を検討する会を
提案され、設置されつつあります。
総理は、こうした二院制のもとにおける
参議院の使命、役割をどう理解され、また
参議院はどうあるべきだとお
考えになりますか、お聞かせください。
このたび、自由民主党においては、
内外の厳しい
状況に対処するため、
景気回復、信頼回復、安心回復の三つの
自信回復を公約に、「元気を出せ
日本」と訴えて、橋本総裁が誕生しました。我々は、新総裁のもと、一致協力して連立
政権を支え、公約の実現に懸命に取り組んでまいらなければなりません。新総裁となられた橋本副
総理の力強い御
決意を承ります。
次に、外交問題についてお尋ねします。
総理は八月十五日、戦後五十年に当たっての談話を発表され、過去の一時期
日本が行った
行為に対して痛切な反省の意を表し、心からのおわびの気持ちを表明されました。これはいわばけじめに当たり、各国からもおおむね評価されているようであります。私には、例えば侵略の断定など三党
合意の枠を越えると思われるものもあり、いささか気がかりですが、
総理の御認識を承ります。
次は
核実験についてであります。
世界じゅうからほうふつとして起こった非難と抗議の声を無視して、二日朝、
フランスは再び
核実験を強行しました。まことに遺憾であり、これは本年になり二回実施した
中国の
核実験とともに、我々はかかる暴挙を断じて許すわけにはまいりません。
政府は、
中国に対しては
無償資金協力の削減を打ち出しておりますが、
フランスに対しては、これまでのところ松永特使の派遣による中止要請以上の行動はとられておりません。今後、このように
核実験を繰り返す両国に対してどのような措置をとられるのか。
包括的核実験禁止条約発効まで
核保有国は最大限
実験を自制することが
合意されたはずなのに、それも守られないようでは核不
拡散条約の信頼性を損なうことになりかねないことを、唯一の被爆国として
政府は声を大にして訴えるべきです。
先般の国連総会やIAEA総会においても行われましたが、個人の資格ではなく、
閣僚として、
政府の代表として国際
会議等のあらゆる機会をとらえて堂々と主張すべきだと思いますが、
総理、外務大臣の
答弁を求めます。
次は日米関係についてであります。
冷戦構造は崩壊したとはいえ、アジア・太平洋
地域は朝鮮半島を初め依然として不安定、不透明な
状況にあります。米軍の
存在は、
日本にとってのみならずこの
地域全体にとって必要不可欠であり、
日米安保条約の
重要性は増しこそすれ減ることはありません。また、日米の
経済関係は今や
世界経済を左右するほどまでに大きなものとなっており、二国間はもとより、
世界的な利益の見地からも大局を見誤ることのないよう冷静なかじ取りが望まれます。
総理は、十一月に開かれるAPEC
大阪会議の際、クリントン大統領と首脳会談を持たれるようでありますが、これらの問題についてどのようなスタンスで臨まれるのか、その方針をお
伺いします。
九月四日に発生した沖縄米軍基地の兵士三人による少女暴行
事件は極めて遺憾であります。これを契機に日米地位協定の
見直し問題について沖縄県民を初め各方面から強い要請がなされておりますが、このことについてどう対処されるのか、外務大臣の方針をお
伺いします。
さらに、APEC
大阪会議は、
日本にとって単に議長国としての役割だけにとどまらず、アジアを支える
日本としての能力が試される重要な
会議であります。台湾代表の出席問題を含め、APECへの対応について外務大臣にお
伺いします。
次は、
我が国の国連安保理常任理事国入りについてであります。
河野外務大臣は、先日の国連総会において、新たにグローバルな
責任を果たすべき立場にある国を常任理事国として加えることを提言し、
憲法の枠内で国際貢献をするという
考え方のもと、安保理常任理事国として
責任を果たす用意があると言明されました。安保理改組の見通し、
我が国の参加の
可能性について外務大臣はどのように見ておられますか。
日本の常任理事国入りに関しては、このような
考え方に沿って、今後も憶することなく参加の意思を表明していくことが必要と思いますが、
総理の御方針をお
伺いします。
次に、防衛問題についてお尋ねします。
冷戦構造の崩壊により、
世界的
規模での戦争勃発の
可能性は確かに遠のいておりますが、
我が国の周辺では依然として軍縮の流れに逆らう現象が見られます。
朝鮮半島の緊張は続き、
中国による軍事力の充実強化は周辺諸国の脅威となっています。特に
中国と台湾との関係、南沙諸島をめぐる情勢は大きな懸念材料です。東南アジア諸国も急速な
経済成長を
背景に国防力の増強に努めております。こうした時期に、果たして
我が国の防衛力
整備はただ縮小の方向を目指すばかりでよいのでしょうか。
総理の御
所見を承ります。
本年は、
阪神・
淡路大震災、地下鉄サリン
事件など、自衛隊は本来業務以外で大いに注目を浴び、評価されました。こうした経験を踏まえ、今後は例えば武装難民、ハイジャック、テロ
活動なども含めた多様な危機に対応する法制や組織、装備の
見直しを検討すべきと
考えますが、
総理、いかがでしょうか。
次に、
景気対策、
経済構造の改革について
質問をいたします。
一時一ドル八十円を切り、
日本経済のファンダメンタルズから著しくかけ離れ、
国内経済に大きな不安をもたらしていた円相場は、数次にわたる
円高対策、日米独の協調介入、
日銀の公定歩合再引き下げ等が功を奏して、最近は百円前後まで戻し、やっと一息ついているというのが実感であります。
しかしながら、円レートがこのまま推移したとしても、これだけで
景気が足踏み状態から自律的に上昇に転ずるほど生易しいものではありません。
経済の実態はデフレ
不況の様相を呈し、
不良債権の大きな重荷により金融不安が顕在化しつつあります。
経済は生き物であるとの
観点から、
日本経済の症状をどのように見ておられるのか、手おくれにならないような処方を、
不況問題の名医として期待される
経済企画庁長官にお
伺いいたします。
政府は、九月二十日、
景気回復を確実にするため十四兆二千億円余に上る過去
最大級の
経済対策を発表したことは大いに評価いたしたいと思います。このための
補正予算並びに関連法案の
早期成立を期してまいりたいと存じております。
具体的な内容に及ぶ事項は後日の財政
演説に対する質疑に譲りたいと存じますが、この際、総論的に若干お聞かせください。
第一に、
景気対策の目玉として、産業の再建、新規分野の開拓のためのインフラ
整備、
生活環境
整備、
震災復興等について、
公共投資を初めとする思い切った内需
拡大策を打ち出していますが、問題はこれを切れ目なく
早期に実施する体制をいかに
整備するかであります。この点について
総理の御方針をお
伺いいたします。
直面する
課題を克服するため、
公共用地の取得による土地の有効利用の促進策が手当てされておりますが、
景気回復の足かせとなっている四十兆円以上に上る
不良債権の
処理方針や、土地
流動化のための
税制の
改正が先送りとなっております。これらは
景気回復のネック
解消のため極めて重要であり、早急に具体的方針を打ち出すべきですが、
総理の御
所見を承ります。
急激な
円高の
影響や長引く
景気停滞のため、産業の空洞化が進行するとともに、中小
企業の経営や
雇用において、もはや限界と思えるほど厳しい
状況が続いております。経営再建、
雇用の安定
確保にあらゆる手だてを尽くすべきであり、
経済対策の一刻も早い具体化が望まれます。
また、
経済の構造改革についても、研究、教育、
福祉、新規産業の
育成を初め、
規制緩和の一層の推進等、盛りだくさんに挙げられていますが、
日本経済の新しい姿をどのように
考え、それを目指してこうした
施策をどういう手順で推進していくのか、中小
企業をどう元気づけ、
雇用を安定させていくのか、いま
一つはっきりしません。わかりやすい説明を
総理並びに通産大臣にお願いいたします。
次に、国土
政策について
伺います。
政府は、本年より、四全総にかわる次期全国総合開発計画の策定作業に着手しました。新しい計画は、
我が国が二十一
世紀において
国民一人一人が豊かでゆとりある
生活ができるよう、安全で活力ある国土づくりを目指すものでなくてはなりません。
今、
我が国は、人、物、情報の流れが年々増加し、かつ複雑になりつつありますが、にもかかわらず、情報ネットワークやハブ機能を持つ空港、港湾等の施設
整備は国際的に見ても大変おくれております。また、高速道路も青森から鹿児島まで幹線はつながりましたが、
地域間の交通網はまだ未
整備のところが多く、
整備新幹線に至っては言うに及びません。確かに
東京圏の人口移動は出超に転じましたが、過疎過密問題も依然として
国民経済社会上大問題であることは言うまでもありません。
さらに、今次計画の最大の
課題は、
大震災を初めとする各種災害に対して万全の
対策を講じ、
防災国家の確立を目指すことであります。例えば、活断層に起因する直下型地震を含めた地震現象の観測を強化し、広域的な
調査研究体制の
整備等も喫緊の
課題であります。また、新たな国土軸の形成を
中心とした総合的な
地域振興策を早急に打ち出す必要があります。
この秋にも計画の
基本的
考え方の
取りまとめに入られるようですが、
総理は、地方の意見を十分取り入れながらこれらの問題に対してどうこたえられるか、御披瀝をお願いしたいと思います。
次に、首都機能の移転について
伺います。
平成二年の
国会決議に応じ、
平成四年には
国会等移転
調査会が設置され、既に二回の中間報告が出され、今年末には最終答申がなされると聞いております。連立
与党もこの秋にはシンポジウムを開催し、
合意形成に努めてまいりますが、最近では、
国民の各界各層において移転の機運が大変盛り上がってきたことは力強い限りであります。
移転には
景気回復や行革等の効果も期待されますので、今こそ新首都
建設に向けエネルギーを結集し、活力ある国家を再構築する格好の機会であると思います。移転先の選定等困難な問題も数多くありますが、新しい
日本をつくるため、
総理の勇断を期待し、御
所見を
伺います。
次に、食糧、農林漁業問題について
伺います。
近年、
世界の食糧事情点、生産が人口の増加に追いつかず悪化の一途をたどっております。食糧の外国依存の危険性を説いたマルサスの主張は、二百年近くたった今ようやく見直されようとしております。今後、各国は自国の食糧の
確保に
責任を持ち、他国に迷惑をかけないようにしなければなりません。
しかるに、
我が国の農林漁業は、担い手の減少、遊休農地の増大、農山漁村の活力低下により、自給率は著しく下がって、その
責任を果たし得ないのみならず、本年からはWTO加入による輸入の増大に直面し、農林漁家はその将来に大きな不安を抱いております。
農林漁業が持つ本来の魅力を引き出し、若者がこれに夢を託せるよう、二十一
世紀を展望した農政の枠組みを新
基本法でしっかり示すべきだと思いますが、
総理の御
見解を承ります。
農業は、言うまでもなく豊凶を繰り返す自然を相手とする息の長い仕事であります。これを改善するには、絶え間なき研究開発とともに徹底した基盤
整備を少ない農家
負担で行い、その上に立って創意と工夫が生かせる農業経営を
育成することが大切であります。
また、農山漁村
地域は、生産の場であるとともに自然環境や国土保全にも大きな役割を果たしており、
国民全体にとっても健全な余暇
活動や憩いの場でもあります。その特徴を生かした環境
整備を進めることにより、
住民の利便を図るとともに、都市と農村との交流を促進し、お互いの理解を深める必要があります。
当面の問題として、新食糧法の施行が間近に迫っております。生産調整の実効を上げ再生産が
確保される米価水準を維持するために、新しい体制のもと、どのような方針で臨まれるか。
以上三点について、
総理の明快な御
答弁をお聞かせください。
砂漠化の進展等によりこの地球から緑が急速に消えようとしているとき、
日本においても緑を守り育ててきた国有林野
事業の経営が急速に悪化しており、このまま放置するわけにはいかず、思い切った改善の方向を示すべきだと思いますが、
総理、いかがでしょう。
我が国水産業は、公海漁業に対する規制強化、周辺水域の資源悪化、魚価の低迷等により厳しい
状況にあり、今後、
国民に安定的に水産物を
供給するためには、つくり育てる漁業などへの思い切った措置を講ずる必要があると思いますが、あわせて御
答弁願います。
次に、
村山内閣最大の
課題であります行財政改革に移りたいと存じます。
村山行革第一弾として、
政府・
与党一体となり、本年二月、九十二ある特殊法人のうち統廃合等により十の法人を削減し、さらに七月には、輸出入銀行と
海外協力基金を統合することを
決定いたしました。また、
規制緩和につきましても、
国民各界各層の意見を反映しつつ、千九十一項目にも及ぶ
規制緩和推進五カ年計画を策定し、これを二年前倒しして推進することとしております。さらに、長年の懸案でありました地方分権推進法の成立を図り、地方分権元年ともいうべき画期的なスタートを切りました。
わずか半年の間に
行政改革についてはこのように大きな仕事を着実になし遂げたにもかかわらず、その割には
世論の反応、評価が余り高くないのは残念であります。その
原因としては、
行政改革を達成するための理念が必ずしも明確でなく、
規制緩和等によって
国民がどのような具体的メリットを受けるのかがわかりにくかったのではないでしょうか。
総理はこれからの行革をどのように進めようとお
考えか、御
見解を承りたいと存じます。
規制緩和は
経済構造改革の
中心であり、車検制度を初めとして国際的にも注目されている問題も多く、明らかに弊害が生じるおそれのあるものを除き、総論賛成各論反対とならないよう、ここで改めて
総理の
決意をお示し願いたいのであります。
地方分権問題の成否のかぎを握る地方分権推進
委員会は、七月初めに発足しました。中央集権型の
行政組織を根本的に改め、地方から
日本の新しい活力を生み出していくために、自立的な地方
行政システムが
地域の声を反映しつつ形成されていくことを強く期待しております用地方分権を成功させるためには、
地域住民に対する身近なよりよいサービスが可能となるようその財政的な裏づけが不可欠であります。他方、国が小さな
政府になっても、地方
政府が肥大化し、非効率になっては何にもなりません。
このため、
与党としては、昨年十月、全国の都道府県、市町村においてそれぞれ独自の
行政改革推進本部を設置するよう要望しており、その中で、地方
公共団体の行革大綱を決め、三ないし五年の計画で定員の適正化、組織機構、外郭団体の
見直し等を実行するようにお願いしていますが、これについて現在どのように進んでいるのか、
総理にお
伺いします。
去る第百二十二回通常
国会において、
参議院の
国民生活に関する
調査会は、三年にわたる
論議の結果、議員立法として高齢
社会対策基本法案を発議し、
参議院では全会一致をもって衆議院に送付したのですが、残念ながら衆議院では継続審査となってしまいました。この法案は、今後の高齢
社会対策を総合的に進めていくべき方策をうたったものであります。同
調査会のこうした
活動は
参議院における
政策論議の
一つのあり方を示したものとして高く評価されており、一日も早い成立を切に望むものであります。
次に、
オウム真理教事件及び
宗教法人法改正問題についてお
伺いします。
オウム真理教の集団が引き起こした凶悪きわまりない数多くの
事件は、
我が国社会を根底から揺さぶり、治安の大切さを我々に痛感させたのであります。さらに大きな衝撃は、
人々を救済すべき
宗教法人により、猛毒サリンの使用を初め、想像を絶する殺人や武装化が行われたことであります。
オウム真理教の反
社会的な数多くの凶悪犯罪に対し、六月三十日、
東京地検と
東京都はその
解散請求を
東京地裁に行いました。しかし、
解散に至るまでには手続上かなりの日にちを要すると言われております。
国民の不安を一日も早く
解消させるためにも、
早期の
解散が行われるとともに、教団財産の隠匿防止、一般信者の
社会復帰等の
対策を強く望む次第であります。
また、破防法の
適用について、証拠固めの最終段階にあると伝えられていますが、
総理としてはこれに対してどのようなスタンスをとられるのか、お
伺いいたします。
また、
オウム真理教による一連の
事件の反省を踏まえ、捜査体制に万全を期するため、科学的捜査や広域捜査体制を強化し、要すれば警察法の
改正も検討すべきだと
考えますが、
総理、いかがでしょうか。
さらに、このような
事件の
背景となった
宗教法人法も見直す時期に来ていると思います。
確かに
信教の自由は
憲法で保障されている
基本的人権の
一つであり、守られなければなりません。しかし、
信教の自由と
宗教法人の自由とは異なるのであります。
宗教法人制度が聖域化し、他の
基本的人権をも侵害する
行為の温床となるというようなことは、決して許されることではありません。今こそ
政治がリーダーシップをとって、
信教の自由と
政教分離の
原則を遵守しながら、
社会状況や
宗教法人の実態の変化を踏まえ、
宗教法人法の
改正に取り組むべきではないでしょうか。
現在、
政府は
改正案を今
国会に提出すべく検討に入っていると聞いておりますが、その検討の方向並びに提出時期を
総理並びに文部大臣にお
伺いします。
豊かで平和な
社会の中でオウムのような狂信的集団がなぜ生まれたのか、また高学歴の若者たちが入信し凶悪な犯罪に加担してしまった
原因は何か、そして教団の
拡大を見逃してきた
社会のあり方に問題はなかったのか等、我々は真剣に
考えていかなければなりません。
古来、さじの教えということがあります。幾ら高学歴であっても他人に対する思いやりや痛みがわからない者は、幾らおいしいスープをすくってもその味のわからないさじと同じだと言えましょう。現在、多発しているいじめの問題にしても、相手の立場に立って物のよしあしが判断できないということは、今の教育に何か欠けているものがあるのではないでしょうか。
戦後五十年を迎え、文部省と日教組が和解しつつある今こそ、原点に立ち返って教育のあり方について真剣に取り組むべき好機ではないかと思いますが、
総理大臣並びに文部大臣の御
決意をお
伺いいたします。
次に、文化・科学技術の問題に言及いたしたいと存じます。
我が国は欧米に追いつけ追い越せをモットーに
経済大国としての地位を築いてきましたが、成長優先の
経済社会システムは今や
内外において大きな壁にぶつかり、閉塞
状況に陥っております。かようなとき、
世界の歴史をひもとき、国家、文明の興亡の変遷を巨視的にたどり、歴史に学ぶことがいかに大切であるかを痛感いたします。
ギリシャ、ローマの
時代からペルシャ、唐の
時代へ、そして近代西洋の
時代へと文明は東洋と西洋の間を交互に移動してきました。これに伴い、東西文化が交錯し、新たな発展のエネルギーがその都度生まれてきたのであります。八百年周期によりこのような
世界史的な
転換が行われるという説も見られます。この長期的サイクルの間に
幾つかの覇権国の盛衰が見られ、新しい秩序ができるまでに、混沌、いわゆるカオスの
状況が出現しております。
ルネサンスが始まってからおよそ七百年になろうとしている今、東西冷戦の終えんにより
米国の
世界支配力にも陰りが見え始め、アジアが
世界の成長センターとも言われるようになってきました。しかし、アジア諸国の国情も多様で、依然として不安定な
状況にあります。まさにアジア・太平洋
地域を「実りの海」とするための産みの苦しみであり、夜明け前の暗さとも言えましょう。
東洋にありながら、近代西洋の科学技術をマスターし、唯一の先進国となった
我が国としては、この渦中から逃れることはできません。むしろ今までの経験を生かし、積極的に新しい文明の先導役を務めるべきではないでしょうか。
戦後五十年を迎え、いまだアジアにおける
日本の地位が確固としたものとは言いがたいことを十分に反省しつつ、
経済最優先主義を改め、豊かな東洋文化の恩恵によりはぐくまれたアジアの一員としての自覚と謙虚さをしっかり持ち、人間と自然は一体のものという奥深い東洋の哲学、文化と先進科学技術とをうまく調和させながら
社会に包み込んで生かしていくことが肝要です。
異質な文化の交流するところ、試行錯誤の結果、必ずや独創性が芽生えできます。こうした独創性を組織的にはぐくみながら、
世界に開かれた科学技術創造立国を目指すことこそ国としての新しい展望を切り開く道筋になるのではないでしょうか。
総理はこうした長期的視点に立った
日本の進路をどのように見ておられるか、お
伺いをいたします。
我が国が科学技術創造立国を目指すには、まず
国民的なコンセンサスを得ることが必要であり、このため科学技術振興の
基本的枠組みとなる科学技術
基本法を超党派の議員立法として早急に制定することが緊要であります。この
基本法により、自由で競争的な研究環境をつくり出し、基礎研究の抜本的強化、産官学の研究交流、国際交流を活発に行えるようにすべきであります。
次に、研究開発は知的資産を確実に子孫に残す先行投資ですから、
公共事業と同様の効果をもたらすものととらえ、国の研究開発投資をできるだけ
早期に、例えば二〇〇〇年までに倍増すべきです。また、研究開発の先行投資の
拡大に伴い、研究体制の
整備も必要です。
基礎的研究の推進に重要な役割を果たしていると十一の国立研究機関に勤務する研究公務員約一万一千名の研究
活動は、国の機関であるがゆえに、
予算、会計、身分、財産管理等において研究一開発を行う上での制約が多く
存在します。この際、国立研究機関をできるだけ統合して、理化学研究所ないしはその原形となったドイツのマックス・プランク学術振興協会型の特殊法人とし、国を初め民間からの出資により運営することにしたらいかがでしょうか。こうすることにより研究者は公務員として研究するよりもはるかに自由な研究ができるし、大学や民間、
海外との交流も今よりしやすくなる。さらに、国はこれに投資することにより公債対象経費の扱いができる等の利点があると思います。
研究体制
整備の一環としてのこの
提案を含め、
総理は今後の科学技術振興策をどのように
考えておられるか、お
伺いをいたします。
質問をまとめるに当たり、最後に一言申し上げます。
日本の行く末を思い、いろいろな問題に言及してまいりましたが、要するに効率的で活力ある国家、
政府をいかに形成し、個性を伸ばし創造性を生かすオープンな
経済社会システムをどのようにして築いていくか、そのためにいかにして
国民のコンセンサスを醸成し、エネルギーを結集していくかに尽きると思います。
改革、革新には破壊の痛みが伴うことは歴史の必然であり、これをめぐっていろいろな論争、対立が起こることは当然であります。我々は、
経済社会の再生・発展について
国会で大いに生産的な
論議を展開することが大切であり、それにより
政治不信の
原因となった各
政党の理念、
政策の違いが明確になっていくものと思います。
政局動向、政界再編については予断を許さないのが昨今の
状況でありますが、このような
政党の理念、
政策について
国民の判断を得るという
観点から
考えると、条件が整えばなるべく
早期に
解散する必要があろうかと思いますが、
総理は総
選挙の時期をどのようにお
考えであるかお聞かせいただきまして、私の
質問を終わります。(拍手)