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政府委員(
山口憲美君) 技術開発の関係についてのお尋ねでございますが、まず第一に
我が国の
研究開発というものがどういうふうな
状況にあるかということでございますが、欧米との比較ということで御説明するといいのかなと思いまして、端的にちょっと申し上げますと、
我が国の技術の国際取引の
状況を示す技術貿易というふうな形で
我が国の技術力というものをちょっと
考えてみますと、全
産業では黒字になっておりまして、
我が国の技術力は輸出型でございますが、
情報通信産業分野につきましては赤字というふうなことで、技術
導入の方が勝っているというふうな
状況でございます。入超というふうなことでございまして、いわゆる重要な技術は外国に大きく依存しているというのがその姿でございます。
特に、私
どもがいろいろ
考えなければいけないと思いますのは、民間企業のこういう
研究開発投資というものが非常に減少傾向になってきているということに注視をする必要があるというふうに思っております。
そこで、欧米におきましては
政府がかなり力を入れて取り組みを行っておりまして、アメリカにおきましてはHPCC
計画というふうなものを例えば御説明いたしますと、
政府が五年間で五千億円の投資をするとか、あるいはヨーロッパにおきましても汎欧州ネットワーク構想というものを
実現するための各種の研究をしておりますが、そういったものにも五年間で四千億円の投資をするというふうなことを聞いておりまして、かなり積極的に取り組もうとしているということでございます。
こういうふうな背景がございます中で、本年六月、実は
電気通信技術
審議会からこれに関連した答申をいただいたところでございまして、その中では、これから二十一
世紀に向けて
我が国は
情報通信分野の先端的な
分野での研究
課題として二百九十三
課題あるということが言われておりまして、そういった中で約一兆円規模の
研究開発費というものが必要なんじゃないかというふうなことが提言されております。
特にその中で、
我が国の将来を左右する重要な
課題というものをさらに抽出されまして、五十三
課題というものを提言されております。この五十三
課題については
政府が先導して
計画性を持って
推進していく必要があるというふうな提言がございまして、これに要する経費というふうなことでは三千三百億円程度のものになるということを言っておられます。
私
どもといたしましては、今るる御説明しましたような
状況でございますので、
一つはやはりこういった
研究開発に力点を置いた
施策の
展開をこれからしていくということは非常に大事なことだというふうに
考えているということでございます。
そこで、今回の
施策で十分かというふうな
お話でございますが、私
どももこれは非常に大きな環境
整備が促進されるものだというふうに
考えておりますが、ただいま御説明申し上げましたように、
政府の果たすべき
役割というふうなことを
考えますと、
研究開発の
予算でありますとか要員というふうなものにつきましてさらにいろいろと努力をしていかなきゃならない問題があるというふうに思いますし、それからさらに民間の
研究開発力とか大学の力というものも十分に活用させていただくということも今後必要になってくるんではないかというふうに
考えております。
民間の
研究開発能力を活用するような委託制度、あるいは独創的な
研究開発を
推進するというふうな形で大学との連携を深めるような
一つの公募研究制度というふうなもの、さらには研究者の交流制度というふうな体制
整備というものも今後の
課題としてやっていく必要があるのではないかというふうに
考えておりまして、今申しましたような点につきましては
平成八年度の概算要求の中でも
実現を図りたいということで私
どもは要求をしているということでございます。
そこで最後に、これからの
研究開発についてどういうふうな方向に持っていくのかというふうな
お話がございました。これはなかなか大きな問題でございます。ただいま申しましたように、
予算の問題とか体制
整備の問題というふうなものは非常に大きな
課題だと思っておりますが、
先ほど申しましたように、さらに民間の
皆さんも含めてこの
情報通信分野の
研究開発を促進していくというふうなことを
考えますと、
先ほどの五十二
課題というふうなことの御提言もあるわけですが、今後国として
推進していくという
研究開発項目というものを明確に
皆様方におわかりになるようにお示しをするということがひとつ必要ではないかというふうに
考えております。
私
ども、こういう
研究開発項目、今後私たちが果たしていかなきゃならない、国の研究機関で果たしていかなきゃならない研究項目というふうなものを絞り込みまして、そして中長期的な
研究開発計画というものをつくって明らかにしていきたいというふうに
考えているということでございます。
そういった際には、いわゆる国際的な標準化ということがこの
分野では非常に大切でございますので、標準化、特に公的標準ということだけでなくて、今は非常にデファクトスタンダードというふうな形で標準化というものは進んでおりますので、そういったことも十分視野に入れた、あるいはそういうものと国とのかかわりというふうなことを
考えながら、こういったものの検討を進めていかなきゃいけないのかなというふうなことを
考えているということでございます。
ちょっと長くなりましたが、以上でございます。