○前川忠夫君 まだ成立をして間もない内容をお聞きしまして、御無理を申し上げて大変申しわけなかったです。といいますのは、直近の新しい
数字がまだ私の手元になかったものですから。
せんだって
経済企画庁が発表しました
経済の
市場の
調査の中で、例えば大
企業の場合は経常利益のレベルで既にプラスに転じている。ところが、
中小企業においてはまだマイナスで水面下というような
数字が依然として出ているんですね。さまざまな手を打っていただいていますけれ
ども、なかなか
中小企業にまでこれが波及をしてこない。いや、そのうち時間が来れば何とかなるよというような向きもあるのかもしれませんけれ
ども、先ほ
どもちょっと
お話がありましたように、私は
日本の
中小企業の占めるウエートというのが高いだけに、やはり真剣に考えていかなければならない課題だろうというふうに実は考えております。
これは私見ということになるのかもしれませんが、景気を回復させるさまざまな手だてというのは私はあると思うんです。私が見た限りにおいては、先ほ
どもちょっと
お話がありましたけれ
ども、国民の間、あるいは働いている人たちの間に何とはなしにまだ景気がよくなっていない、
企業の経営者からしてみるとまだまだ先が不安だと。したがって、まだまださらに合理化をしなければならない、いわゆるリストラをさらに強化しなければならない。そうしますと、
自分の首がだんだんだんだん涼しくなって一向に解決をしない。さらには、親
企業あるいは下請という
関係の中ではさらにコストが引き下げられるんじゃないか、単価切り下げが求められるんじゃないかと。そうしますと、何とか働いている人たちの賃金も少し勘弁をしてもらおうと。既に来年の賃金交渉の前哨戦が
労働界、経営団体で始まっていますけれ
ども、どうも来年はベースアップはゼロだとか、とてもそんなものは考えられないよという話になってきますと、金を使おうにも、あるいは金を使うもとになる仕事も下手をするとなくなりかねないという雰囲気の中で、個人消費を含めて果たして景気が浮揚するんだろうかという不安が実はあるんです。
ですから、もちろんそれは個々の
企業者、あるいは経営者、あるいは経営者団体、
労働組合、
労働団体も真剣に考えなければならないテーマなんですけれ
ども、そういう意味ではこれまでも御議論がありましたように、私は今度の
経済対策、あるいはその後の第二次
補正予算、さらには今最終局面に近づきつつあります
平成八年度の
予算、これらを通じてまさに切れ目のない手をやっぱり打っていっていただかないと再び失速をするということになりかねないんじゃないかという心配をいたしております。これは私の意見でありますから、もし後ほど考え方や、私はこう思うよというあれがありましたら、これは後ほどお答えをいただければというふうに思います。
それともう
一つ、これはお答えをいただかなくても結構なんですが、先ほどの通産
大臣と
委員とのやりとりの中で今の金融の問題について
質疑があったわけですけれ
ども、私が
関係をしています
兵庫県にあります小さな家庭用のなべかまをつくっている会社なんですが、ここの会社が実はせんだって破産をいたしました。原因をさまざま追及してみたんですけれ
ども、結局は銀行から役員が送り込まれて、これはかなり前からなんですが、そこの
企業の経営者はこういう仕事だからもうそんな設備投資をしたり
資金をつぎ込んでもなかなかそれは回収する見込みがないからもうやめたいと。やめたいというのは仕事をふやすことをやめたい、設備をふやすことをやめたいということだったんですが、銀行から派遣をされてきた役員は、いやまだまだということでつぎ込みにつき込んで、まさに
バブルが崩壊をしてがくっときてしまったわけですね。その銀行は、しっかりと債権に相当する部分は工場の資産や何かを売り払ってある程度回収をした。なおかつ、破産をしましたからまだかなりの大きな債権をその銀行はしっかり握ったまま、今、宙ぶらりんの状態になっているんですね。
この会社は
兵庫県の尼崎にありまして、御存じのように
阪神大震災の非常に大きな
被害を受けたところです。もちろん、破産ですから解雇予告手当が払われるわけでもなし、退職金が払われるわけでもなしという状態になっていまして、最終段階の今、破産管財人を含めて債権の処理についての山場に差しかかっているんです。
きょうのこの場の雰囲気にふさわしくないかもしれませんけれ
ども、やはり
中小企業というのは非常に弱いものなんです、特に
金融機関との
関係においては。金融システムの問題、先ほど通産
大臣がおっしゃったように、国内的な問題も確かにあります。私
どもにしてみれば、税金をつぎ込むことのよしあしについての意見はあります。しかし、国際的に見ていつまでもこの
日本の
状況を放置しておくわけにはいかないというのもよくわかります。しかし、もし仮に、私は具体的な名前をあえてきょうは申し上げませんけれ
ども、破産をして今、路頭に迷っている従業員の立場に立ってみますと、そんな銀行のためになぜおれの税金を使わなきゃならないんだという感情に陥るんですね。ですから、金融システムという議論をする場合に、やはり
金融機関というのは、もちろんこれは
中小企業だけ特別扱いにしろというふうに私は言っているんじゃないんです。やはり、
金融機関としての社会的な責任というものをしっかりと踏まえた上でやるべきだというふうに考えております。
きょうは債権者とそれから破産管財人との話し合いが持たれますので、この結果を待っています。場合によっては来週、衆議院あるいは参議院の別の
委員会でこの問題を改めて追及することも考えていますけれ
ども、きょうはそういう
中小企業を含めた
実態があるということだけひとつお聞きをいただきたいと思うんです。
そこで、これも先ほど来ちょっと議論になりましたので私の方からも別な角度から
要望をし、お考えをお聞きしたいんですが、実は
中小企業の
労働時間問題なんです。
実は、先ほど
お話がありました現在施行されている法律ですね、これの審議にずっと私も中央
労働基準審議会のメンバーとしてかかわってまいりました。したがって、審議会のメンバーですから、もちろん使用者団体の皆さん方あるいは公益
委員の皆さん方とさまざまな議論を闘わせてまいりました。その中では、特に
中小企業の
実態等もいろんな方からお聞きをしましたし、参考人という形で御意見を聞かせていただいたり、かなり
実態をさまざまに把握をした上で審議会としての合意をして、実は今、九七年三月末までの猶予期間が設けられて進んでいるわけですね。
お聞きをするところ、
中小企業関係の使用者団体四団体からこの九七年四月以降の四十時間制移行について再々延長をしてほしいという要請が来ているという
お話がございました。私も社会党の部会に参加をしておりますので事情を承知しております。私は、この
労働時間問題を考える場合に、確かに先ほ
ども平田委員の方から御
指摘がありましたように、さまざまな
実態をしっかり把握をして結論を出さなければならないということを十分承知をした上であえて二つの点を申し上げておきたいんです。
一つは、憲法第十四条に規定をしている法のもとの平等という問題をやはり考えていただかないといけない。例えて申し上げますと、既に四十時間制を実施しているレベルの
企業なりあるいは業種では、例えば五十時間働いたとしますと十時間分の時間外手当がつくという計算になります。ところが、まだ四十四時間のところは五十時間働いても六時間しか残業手当がつかないということになるんです。同じ五十時間働きながらなぜこんな差をつけられなければならないのか、憲法の精神に反しないんですかという問いかけを地方に行きますと聞きます。こういう意味で、今ここで私は憲法論を言うつもりはないんですけれ
ども、やはり法律というのはどのような職場で働いていようとも同じような法の恩恵を受けるというのが法の建前でなければならないんじゃないか。しかも、いきなりやるというのじゃなくて、一九八七年に原則四十時間というものが決められて既に八年経過をしています。その間、経営者あるいは使用者団体の皆さんが座して何もしなかったと言うつもりはありません。さまざまな手だてを講じられてきたと思うんです。現にやっているところもあるわけです。
私が反対してきた二つ目の理由に、きつかったけれ
ども何とか四十時間、あるいは四十時間を達成できる見通しがついた、死に物狂いてやったという経営者はたくさんいるんです。そういう人たちから見ると、仮に再延長だという話になったら、何だ、まじめにやってはかを見たということにしてはいけないと思うんです。法の信頼性といいますか、そういう立場から考えてもやはり決めたことは実現をする、実施をすると。ただ、法律ですから、機械的にやってあとは皆さん方責任を持ってくださいというわけにはいきません。
ですから、私はこれまでも実は審議会の中でも言いましたし、これまで私の持論として言っているんですが、もし具体的に例えば特例あるいは猶予、あるいは今の従業員数ですとか、あるいは業種ごとのくくりですとか、そういう問題にもし問題があるならば、そういう問題についての議論は大いにやりましょうと。これは
実態に応じて議論をすればお互いに納得をして一致できる点があるんじゃないでしょうかというふうに申し上げてきました。
ですから、本体の部分についてはしっかりやるべきだというふうに私は考えておりますので、もちろんまだ具体的にどうこうという議論が始まったわけではありませんけれ
ども、
労働省の時間
課長がきょうお見えですから時間
課長と、それから前回私がこの問題でお願いに、当時は審議会のメンバーとしてお願いに行ったんですが、
中小企業庁さんにお邪魔をしたときには、
中小企業庁としてはやっぱりどちらかというと経営者の皆さん方の声もしっかり聞いておかなきゃならぬという
お話がありました。
確かに経営者の皆さん方の声をしっかり聞かなきゃならぬという立場はわかるんですが、先ほ
どもちょっと議論がありましたように、やはり
労働時間だけではなしに、
労働、福祉面を含めてさまざまな格差があるわけですから、そういう
実態を少しでも改善する。あるいは、できればこのことにょって起きてくるさまざまな問題について別な施策でカバーをするというようなことを
中小企業庁として考えておられるか。これは
中小企業庁というよりも
通産省としてということになるのかもしれませんが、その辺がもしありましたら、お考えをお聞かせいただきたいと思います。