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久世公堯君 ありがとうございました。大変御理解のあるお話でございますので、私はやはり
地方分権あるいは
役割分担にとって一番大事なことは
地域の
総合行政を確保すること、特に町づくりとか暮らしに近いところの問題、今の交通問題もそうでございましょう。
都市計画もそうでございます。そういうのはやはり
地域の長である
知事なり
市町村長ができるような
システムに変えるということが
地方分権にとって大事なことだろうと思うわけでございます。
地方事務官につきましても、私が育ちました
自治省の
考えと私の個人的な
考えはちょっと違うのでございますが、私は
地方事務官でも、例えば雇用
行政、これは職業安定、労働基準というのは貫くことは大事だから
機関委任の
必要性はあります。しかし、一方において
地域雇用の問題は、今や高齢化社会を迎えてシルバー労働だ何だと本当に
国民と密着しております。
そういう例もありますし、ほかの問題もありますが、これも「その他」でくくられておりますけれ
ども、私は全部を取り入れて国との
関係で
監督や
関与をしなきゃいかぬという新しい
システムは
考える必要があると思うけれ
ども、しかし全部を俎上にのせてもう一回再
検討していただきたい。これは特に
自治省にお願いしたい点でございます。
さて、もう
一つの大きな柱が
補助金でございます。私は今回承っておりますと、法律で
補助金の整理合理化を書いたのは初めてだ、こういうふうに承りました。かつて、
補助金の合理化といいますか、整理合理化法がありましたけれ
ども、これはいわばもうけちなものばかり、トカゲのしっぽを切ってしっぽばかりを集めたような法律でございまして本質にかからないので、今度の法律はそういう
意味においては高く評価しなければいけないのかなと思います。
問題は、先ほどから
出先機関あるいは
機関委任事務について申しておりますように、
補助金につきましてはよく一般財源化なり整理合理化が言われておりますが、これも大事なことですが、これはおかげさまでその方向になっていると思います。しかし、片や新しい
補助金もどんどんできておりますから、ここにも問題がございますが、私はやはり補助基準とか補助要綱とか設計変更だとか
関与、
監督とか、さらに終わった後の
監査、検査、そしてそれはすべて
地方出先機関を経由して
関与している、こういうところに問題があると思います。これはぜひとも抜本的な改正が必要だと思いますけれ
ども、この手続等も含めてよろしくお願いをしたいと思っております。
私は、昨年の夏からふるさとづくり
事業というものを各県にわたって少し見ております。十県ぐらい回りました。これは簡単に言えば例の一村一億円
事業から始まって、要するに単独
事業で行って国は
関与をしないと。
市町村長なり
知事なりがやりたいものをやって、起債でやるかわりに一定のものにつきましては元利償還というものを交付税で措置する。率的に見れば大体十分の四ぐらいの
補助金と同じ効果があるのに
関与はほとんどない。非常に
市町村長から歓迎をされ、
知事からもこういうことになって初めて本当の
事業ができるんだということで私もいろいろ見せていただいております。しかも、いよいよそういう
制度ができると
市町村長は知恵を出す。
箱物も見ましたけれ
ども、単なる箱物ではありません。例えば、長野市で見ました。今度オリンピックがある、外国人も来れば婦人の力が大きい、婦人会館をつくる。これも普通の今までの
補助金の箱物なら
土地を買って何か建てる。しかし、やっぱり一番わかっている長野市だから、奥さんたちが買い物かごを提げてでも入れるようなということで一番の市街地の中につくっているわけでございます。本当に知恵を出すといろんなものができる。
それから、感心いたしましたのは鹿児島市の中央公園。この中央公園に単独
事業で地下に五百台の駐車場をつくった。今、例のフランスのルーブル博物館の地下に千六百台の駐車場をつくりました。あれも偉大だと思いましたけれ
ども、鹿児島市で五百台を町のど真ん中の市立公園の地下につくった。これをこのふるさと
事業でやった。
例は山ほどありますけれ
ども、やっぱりもう
監督や
関与をやめて
地域の自主性それからアイデア、そういうものを育てるのが私はこのふるさと
事業というものの成果であると。見れば見るほど楽しくなるし、またこれこそ
分権の象徴だと私は思っておりますが、
自治省はいかにお
考えでございましょうか。