○本岡昭次君
総理のその
お話もそれなりに筋は通っているんです。しかし、私はあくまで自主的に
宗教団体が正すべきところは正していくというのがこの法の基本にあるんじゃないか、こう思うんです。
大出法制
局長官も衆議院の
議論の中で、現行法が二十五条で財産目録、
書類や帳簿の備えつけを義務づけながら提出義務を定めず、また解散を裁判所に求めることができると定めながら、そのときに
質問権とか報告権とかいったものを決めなかったのはなぜかという
質問に対して、次のように答えておられるんです。
それは、信教の自由と政教分離の原則を念頭に置いてそのような法制度になっていると思うというふうに答弁されているんです。この法自身の持っている性格なんです。
総理は、最低この程度のことはやってほしいということがある、やってくれない
宗教法人がある、だから行政としてそれは責任を持てるようにしたいんだ、こうおっしゃっているんですね。
そこなんですが、私は行政権力によって強制するんでなくて、自由の中で、自主自助努力を続けて問題を解決し、改善していくことを
宗教法人法は理念として求めているんだから、その方向性を大切にしていくということが行政庁の考え方として大事ではないか、こう思うんです。そして、おっしゃるように国が行政の責任だとして幾ら管理監督を強めても、宗教界の理解と合意というものが得られなければ実効性というものは出てこないんじゃないかというふうに思うんです。
やっぱり大切なのは、
総理も言われた自主的ということと、もう
一つは責任ですね。悪いことしたらだめよ、法に違反したら徹底的に罰せられますよという、そのもう一方のところもきちっと押さえさせた上での運営をどうさせるか、どうしてもらうかということじゃないかと私は思うんです。
そこで、
宗教法人法の中に提出義務のないいろいろな
書類があります。私は今まで知らなかったんですが、いろいろ本を読んでおりますと、
宗教団体の中には自発的に
活動報告とか会計報告とか、また一般会計の収支報告を所轄庁に提出している法人があるんですね。提出義務がないのに自発的に提出している。そして、信者に対して公示して公開している。それができる団体とできない団体がある。できない団体に対して行政として責任を持てないからといって法をかぶせるわけにいかないわけだ。自発的にやっているところにも法の網はかぶさっていくわけなんです。
その場合に、私は、自発的に自主的にやれるところがあるんだから、そういうところをどうふやしていくかという、そういう努力というものをもう少しかき立てていくものがこの法
改正の前にあってもよかったんではないかということを
一つ思うんです。
それからもう
一つ、これは
総理も文部大臣もしばしばおっしゃるんですが、法人として認証した後、認証した行政庁側は認証した法人の実態がわからぬ、何をしとるのかわからへんと、こういうことをおっしゃるわけで、そんなことを聞くと
国民はえっと思いますよね。一体どうなっておるんだと思い、物すごく不安に駆られます。私もそう思いました。
ところが、いろいろ調べてみますと、都道府県の中でも三人とか四人とか、大臣もおっしゃった少ない人数の担当課の人たちが、
宗教法人として認証を届け出たところに対して許可をおろすについて調べなければいかぬ、認証の許可をしたところが一体どういう
活動をしているのかということを、やはりそれはそれなりに
法律を読んでもかなりな仕事量が私はあると思うんですよ。認証しっ放しということではいけない
法律の中身があると僕は見たんですよ。
そして、いわゆる休眠状態にある、
活動していない
宗教法人に対しては強制力を発揮できませんから粘り強く
調査をして、そしてこれを休眠法人として、法人として存在させることが不適当であるということでもって裁判所に対して解散請求をやっているという府県もあるわけなんですね。認証した後、何もわからぬというんじゃなくて、そういう努力を続けているところも現に都道府県の中にはある。私の兵庫県なんて休眠法人を裁判所に訴えるということをかなりやっているようですね。かなり努力が要るらしいです。
だから、四十七都道府県の担当者を集めて、一体何もわからぬのか、わかろうとするための手だてがないのか、あるいはここまでわかっているんだけれ
どもその先はできないんだという、そういうこともきちっと
調査をした上で所轄庁の問題についても
結論を出した方が、マイクの前に出られると、いやそんなことおっしゃるけれ
ども認証した後はわからぬのですと、こういうのは私はいかがなものかと思うんです。そこはやっぱりまずいんじゃないかと思うんです。
だから、
宗教団体に自主と責任というものをどう持たせてやっていくのか、また所轄と言われているところも、信教の自由というものを前提にしたところでの
関係を維持していくためには国が介入してはならぬ、管理監督してはならぬという前提を踏まえた上でどうやればいいのかということを、この
法律を
改正する前にもう少しやるべきことがあったんじゃないか、私は正直言って。
私は今はどの
立場にも属しておりません。全く白紙の状態で、久しぶりにそういう
立場で出させていただいておる。ふだんならば大体もう賛成か反対かわかってやっておるんですが、今は自分の気持ちを率直にぶつけて
議論に入って最終的に決めたい、こういう気持ちなんです。だからこういうことも言えるわけなんです。どうでしょう、もうちょっと時間を置いてという、もうここまで来たら無理かもしれませんけれ
ども、私が持っているこの感じ、感覚というものをどう受けとめていただけますか、
総理と文部大臣に。