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伊藤基隆君 午前中の自由民主党の景山
委員と先ほどの
国井委員の
質疑がありましたので、私は事前予告した内容を変えてしまって少し申しわけなかったと思いますが、よくわかりました。
さて、皆さんのところに「英国
予算編成機構図」というものを資料としてお配りいたしました。これはなぜ配ったかといいますと、先般
大蔵省からお話をお伺いしたんですが、財政制度
審議会基本問題小
委員会の海外調査報告というのが出されまして、その資料をいただいて読ませていただきました。
特に、私はイギリスの
予算編成問題について興味を持って調べてきたわけでありますけれ
ども、イギリスが「与野党とも財政健全化を指向 概算要求後早い段階で
予算総額に新たな上限を設定し、伸率を抑制」していると報告書にございます。これらは、EUの為替レートを固定化し、単一通貨を実現する段階での累積債務残高、グロスをGDP比六〇%以下にする、毎年の財政赤字をGDP比三%以下に抑えるという条件があるがゆえということかもしれませんけれ
ども。
イギリスが「一九九三
年度以来、
各省から概算要求の後に公的支出の総枠の上限について
閣議決定を行い、
予算をこの枠内に抑制するべく主要閣僚からなる会合を通じ折衝を行うという制度を導入し、歳出の削減に努めている。」、さらには「
内閣の決めた
予算案が、議会において修正されることはほとんどない」と報告書にございます。
私が聞く限りでは、
大蔵大臣は
予算書を読み上げるとき、一日八時間ぶっ通しで一人で演説ぶつそうでありますし、だれそれの
予算案と言われるほど、非常に
大蔵大臣の個性が出てくる
予算案だそうでございます。
私がこの機構図を
説明するには、そういう
状況下でイギリスがこの機構図を完成させたのが、まだ完成段階ではないと思いますけれ
ども、サッチャー時代にまずシステムを改変して
予算編成を
国会議員主体で行ってきた。すなわち、財政が政策の優先順位においてきちんと方向性を持って取り組まれている、それほど理想化できるかどうかわかりませんけれ
ども、というふうにイギリスの
状況で感じます。
そこで、この図を見ますと、左下に、首相官邸、首相、アドバイザー、秘書、その下にポリシー・ユニットというのがございまして、私はこれが非常に有効なものではないかと。昨今、日本においても首相補佐官制度の導入ということを行いましたが、キャップは女性のサラ・ホッグという方で、この人は就任したとき四十四歳だそうでありますが、今四十六歳ぐらいじゃないでしょうか。デーリー・テレグラフの経済担当編集長だそうでございます。この七人が全部民間人。総理大臣はここを通して
各省庁の全政策をチェックすることができる。
この一番下の右の方に、官僚に対して
予算要請を行う、ポリシー・ユニットに政策案を提示する。これは
各省庁でございますが、
各省庁は政策案をポリシー・ユニットに提示して、ポリシー・ユニットがチェックして返すと。
その上に、官僚とあります。これは
大蔵省の官僚群でありますが、ポリシー・ユニットと
予算案の事前協議を行い、ポリシー・ユニットはチェックすると。すなわち、総理大臣の補佐官とも言われる者からの政策の影響が出ているということでございます。
左上にある
内閣官房でございますが、ここの
官房長官は官僚のトップに位置するんだそうですが、
法案審議、人事院の総裁を担当し、強大な力を持っていて、実質的に閣議を主宰すると。この人は官僚です、
国会議員ではございません。
その右にあるのが
予算編成の中枢でございまして、これはナンバーワンは首相で、恐らく首相は君臨する立場にあるのかと思いますが、
大蔵大臣がナンバーツーの力を持って実力者でございます。その下に財務大臣とか、副大臣と日本で言っていますが、とにかく閣僚がいて、その下に閣外の大臣も三人います。今一人欠員、何かの政策的判断で今二人のようでございますけれ
ども。
特色的なのは、ファイブ・ジュニア・ロードという五人の若い
国会議員メンバーがこの中枢に参画しております。与党の選任だと思います。メージャー首相も八四年から八五年、このファイブ・ジュニア・ロードという、俗称でございますが、そのメンバーとして
予算編成の中枢にかかわった。そのように訓練をされていって、
大蔵大臣になって首相になっていくということのようです。これはもちろん閣議の非常に大きな影響を受けますし、
内閣官房と協議、了解をとるわけであります。
この右の上の
予算中枢に
大蔵省事務次官が官僚としては一人参画しています。その下にある官僚、これが
大蔵省の官僚群でありますが、先ほどのポリシーユニットとの協議に基づいて、原案を提供し、それらをこの中枢が相談し指示してくる。完成させるのは恐らく一般にいう大蔵官僚だと思います。
私は、こういう制度、
予算編成にかかわって財政の健全化をなすときに、政策の優先順位によって
予算を決めていくというシステムを、大蔵官僚の意識、
大蔵大臣の意識のみでなくてシステムとしてつくらなければならないんだろうというふうに思います。このことについて、今それがいい悪いは言えないでしょうけれ
ども、
大蔵大臣としての感想でもお聞かせいただければと思います。