○栗原君子君
日本社会党の粟原君子でございます。
実は私は、先般、中国遺棄化学兵器国
会議員調査団の一員として参加をいたしました。その調査団の中には、神奈川大学の常石教授あるいはまた中央大学の吉見教授、臨床の
立場から広島大学の山木戸教授、環境問題の
立場から綿貫礼子さん、さらには社会新報の林記者、そういったメンバーで調査をしてまいりました。
一問一答いたしておりますと大変時間がかかりますので、一気に私の方から申し上げますので、それに対してまた時間の限り御答弁をいただければと思います。
まず、広島県竹原市忠海町の沖に、さきの大戦中地図から消されていた小さな島がございます。その名は大久野島といいます。これは、一九二九年五月十九日、旧
日本陸軍の手によって完成し、終戦まで猛毒の窒息剤のホスゲン及びびらん性のイペリットガスや青酸ガスを軍の監視のもと常時五千名が働きながら約千二百トンを年間製造いたしておりました。当時の従事者約六千数百名のうち今日までに被害に遭って亡くなった人は既に二千四十三名に上っております。製造された毒ガス兵器の大半は中国大陸に送られ、使用したという中国帰還者の証言もあるわけでございます。
そしてまた、中国大陸におきましては、終戦時、旧
日本軍はそれらを地中やあるいはまた河川に捨てて帰ってまいりました。そして、その数というのは今日二百万発とも、あるいはまた液体にして百万トンとも言われているわけでございます。この間、中国においては国民の人たちが被害に遭っておりまして、その
被害者は二千名を超えているとの報告も受けているわけでございます。
私たち代表団は、吉林省のハルバレイでは、中国側が百八十万発埋蔵したという第一号坑、第二号坑の現地の確認もいたしましたし、さらに今年五月、
外務省が旧
日本軍のものと相違ないとしました三百六十発は既に埋め戻されていたわけでございます。地区
周辺は大変な湿地帯でありまして、下流にはダムもございました。埋められている土質は砂地であるために、特に環境汚染について強く訴えられたわけでございます。
黒龍江省ハルビンにおきましては、
被害者二人の人から実態を聞かせていただきました。その中で、広島大学で長年原爆
被害者やあるいはまた大久野島の毒ガス患者の治療を続けてこられました山木戸教授から、二人の患者は毒ガスによる被害であることにほぼ間違いないという報告を聞くことができました。同じくハルビンでは、日中
政府によって密封されまして倉庫に保管されている化学兵器五十八発の確認もして帰ったわけでございます。
また、チチハルに参りまして、一カ月前に鉄工所のくず鉄の中から出たという二百四十六発をすべて確認することができました。これらはかなり腐食をいたしておりまして、それでも赤や黄色の色の確認もすることができました。そしてまた、中国人民解放軍が手にとって振ってみせてくれました。そういたしますと、ぴちゃぴちゃと音のするものもありました。それから信管がついたものもありました。
これらの様子をビデオカメラで撮りまして、それを在中国の
日本大使館に派遣されております防衛庁の宮嵜武官にその映像を見ていただきました。それらは大変な危険な状態であると、そしてまたほぼ
日本軍のものであろうといったことを宮嵜武官が言ってくださいました。
いずれにせよ、大変危険な状態にあるわけでございまして、早く処理をしなければますます被害が続出し処理も大変難しくなってくる、こういったことを感じて帰ったわけでございます。
そこで、何点かにわたりまして質問をさせていただきたいと存じます。
九三年一月十四日から二日間、百三十カ国が化学兵器の使用禁止と十年以内の廃絶を目指す化学兵器禁止条約がパリで調印されました。遺棄化学兵器について、条約の批准をしている
日本は締約国内のものを処理することになっておりますが、その際は、日中友好の精神に基づき、
日本国民に
見える形で、そして早期にこれらの処理を進めていただきたいと思います。この処理計画についてお伺いします。
さらに二点目は、これらは特別な
委員会の設置をしなければ処理ができないものと思うわけでございます。今では
外務省が窓口になっておりますけれ
ども、これでは不十分でございまして、さらに防衛庁とか厚生省とか環境庁とか大蔵省など、総合的な
委員会とかあるいはまた連絡会の設置が必要ではなかろうかと思います。このことについてお尋ねいたします。
三点目は、また情報の収集も大変重要な問題であろうと思います。
中国の人々にとりまして、旧
日本軍がどこに捨てたのか全くわからないわけであります。毎日、危険と不安の中で生活をしているわけでございます。当時の軍
関係者の中にはどこに捨てたのか覚えている人もあろうと思うので、ぜひそういった人たちは申し出ていただきたいという旨の呼びかけをしていただくとか、あるいはまた防衛庁などに手がかりとなりますような資料を提出していただくとか、そしてまた中国も協力をしていただく。さらには、専門家の言葉をかりるならば
アメリカや
ロシアにもこの
関係の資料があるんではなかろうかと、こういったお話もあるわけでございます。そうした情報の提供についての呼びかけについてどうお考えであるのか、お伺いをいたします。
さらにまた、四点目は、環境調査をぜひしていただきたいと思いました。砲弾もかなりもうさびて、朽ちておりました。中身の出ているものもありました。さらにまた、その危険性のあるものを私たちは確認をしてまいりました。現に
被害者も続出しているわけでございます。土壌汚染や水質汚染についても大変心配をされるわけでございますが、ぜひそういった環境調査をしていただきたいと思います。
五点目に、今回も専門家に同行していただきまして、大変成果を得ることができたわけでございます。問題
解決のためには、日中
両国研究者の交流とかあるいは活動の支援をしなければ、これは大変話を進めるのにまた難しい問題ではなかろうかと思いますので、そういった専門家のグループに対しての支援をぜひお願いしたいということでございます。
六点目には、いずれにせよ現在確認されているものからでも、もう急がなければいけない問題であろうと思います。例えば、処理方法について確たるノウハウは全くないわけでございますけれ
ども、そういった中でも高温で燃やすとか、あるいは中和をするなど化学処理をするとか、そういったことを試験的にでもやってみる必要があるのではなかろうかと思います。
以上、六点にわたりまして質問いたしますので、
外務大臣を初め
関係者の皆さんの答弁をお願いします。時間があればまた再質問をさせていただきます。よろしくお願いします。