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武田邦太郎君
インマルサット条約の
改正につきましては格別に
意見はございません。賛成いたします。
そこで、きょうは、日中米三国の問題と
APECにおける農業問題について年来の願望を申し上げて、御
検討をいただきたい、こう思います。時間が少ないので、ひょっとすると御返事をいただく時間がなくなるかもしれません。その節はお許しいただいて、次の
委員会ででも御返事いただければありがたい、こう思います。
前回のこの
委員会で
大臣は、日中米の平和的な共存共栄について毅然たる態度を持って努力すると、こういう
お話がありまして、大変感銘いたしました。
そこで、その具体的な方策の
一つとして、これは非常に難しいと思いますけれども、三国の三十年くらいの未来を展望した相互不可侵
条約を
考えてみたらどうか。もちろんこれは非常に難しい問題でありますし、場合によっては一笑に付されるかもしれません。しかし、人類史的な問題でもありますので、雨垂れが石に穴をうがつという例えのように不撓不屈の誠意を持った努力を継続すべきだ、こういうふうに思います。
一番難しいのは、兵器産業は非常に有利な産業でございまして、これが重大なウエートを持っているわけですから、これをどうして平和産業に転換させ得るのか。それから、膨大な軍人の大半は平和産業の方に転業してもらわなきゃなりません。そういうことで、一番大きな対象としては、発展途上国の新しい建設あるいは産業開発、基本的な問題としては教育、衛生あるいは研究等を進めることに、現在では戦争のために使われている科学技術力あるいは生産力、あるいは人間の努力をそういう方向に主として向けることで人類の平和に大きな希望を打開できないかどうか。
これは、単純な贈り物としてでは到底不可能でありますので、非常に巨大な未来展望に立った
経済性、受ける方は余り好まないかもしれませんが、一定の採算性を持って、この事業をやれば途上国にいつごろになればどれくらいの
経済のマーケットを開発できるのか、それが長期の投資として合理性を持ち得るのか、こういうようなことは恐らく今まで歴史になかったことであろうと思いますけれども、そういうことを先進国の間で
検討する、あるいは先進国と言っていいかどうかわかりませんけれども、中国とかインドのようなところも参加してもらおうと。そういう努力の中でこの三国の三十年くらいを展望する相互不可侵
条約の実現の
可能性はないのか。もちろん、これは東南
アジアも入ってくれれば現在の東
アジアにおける重大なけんのんな話は基本的に解消するわけであります。
核実験がよくない、これはもちろんよくないわけたから反対するのは大賛成でありますけれども、
核実験が必要でなくなる条件をつくる努力をしないで、ただやめろやめろと言うのではなかなか効果が上がりにくいのではないかと思うんです。だから、その
一つの方策としては、三十年くらいの相互不可侵
条約の提携ができるかできないかということは、それだけではもちろん
核実験をやめさせることは無理だろうと思いますけれども、重要な
一つの方策にはなり得るのではないか。
それから、先ほど
笠原議員もおっしゃったように、
日米安保について
米国に今までとは違う
世論の動きがある。これはもちろんマジョリティーではないでしょうけれども軽視することのできない兆候だと思いますし、そういうことも含みに入れて、
政府間でいきなり軌道に乗せるということは難しいでしょうが、
政府間でもやっていただくし、また各国の国民の良識に訴える努力もやっていくようなことができると大変ありがたいと思うんです。
それから、時間がありませんから
APECの方に移りますが、
APECの農業を担当なさっている方は私が年来おつき合いのある非常にすぐれた政治家の方々で、非常な御努力をして、この間、オーストラリアとか
アメリカを回って、農業問題は例外にするというようなことで大変な御苦労をなさっておるわけであります。
これにつきましても、
日本の農業が国際競争力を持ち得る農業になるのかならないのか、その
可能性はどうなのか、そういうようなことをまず
考えに入れて、そして例外にするとはいっても永久にとは言わないとか我々の努力に十分な期間が約束されれば全面的な自由化に前進する用意があるというぐらいのことが言えるならば、これは話はやや好転するのではないかと思うんです。
私、参議院に入れていただいてから、
最初の総理は宮澤総理、それから細川総理、羽田総理で、この三人の方は農業をよく勉強しておられる方で、私が予算
委員会で話すとむしろ激賞に近い御批評があって賛成なんですね。だけれども、それを実行なさらない。それはこういう転換が農村側に、特に農協側に重大な抵抗があるものですから、政治家としては非常にタッチしにくい面もあります。
しかし、各地を歩いてみますと、都会の産業に負けない生産性、所得を得る農業をつくらなければ若者はもう農業をやらぬと。現に、昨年一月の統計によりますと、全国的には百八軒の農家に一人しか後継者がおりません。三万数千人しかいないわけです。一市町村当たり十数名しかいない。後継者がいなくてだれかに借りてもらおうと思っても借りてくれる人がいない、こういうことで、現在では五十万ヘクタールを超える耕地が荒廃に帰しております。いよいよふえている。
それで、穀物の自給率は二七、八%。そのほかに二百万トン近い肉類を輸入しておりますから、これを穀物計算しますと二〇%になりません。
平成五年のような不作の年には一五%くらいです。こういう国は、農民が戦争に巻き込まれて流亡している途上国以外に
一つもありません。二十一世紀は飢える世紀である、人口は激増するのに農業生産性は伸びないと、こういうことでありますのに、この程度の食糧の自給率ではだめなんですね。
しかし、都会の産業にバランスし、したがって外国と競争できる農業になりますと、これは結論だけでありますけれども、少なくとも八〇%の自給率は可能であります。いざとなったら牧草畑あるいはゴルフ場にバレイショ、麦類をつくれば一〇〇%の自給も
可能性があります。そういうことは三木内閣のころ私が会合で発表して、三木先生はぜひやりたいと、こう言われたものでありまして、単なる研究ではございません。
そういうことをやはり頭に入れて
APECに臨まれるならば、ただ拒否するということではない、非常に未来性のある
APECの農業問題の
検討ができるのではないか。
もう時間が参りましたので、終わります。