○高野
博師君 この冊子の中で
検討委員会の山中貞則
委員長は、この
委員長を引き受けた
理由として、細川総理になってからさきの大戦は侵略戦争であったと公言したことが引き金となった、それで
委員長を引き受けた、戦死者を冒涜する声に我慢ができなくなったと、こういうことを述べております。また、原田憲顧問は、侵略戦争だなんて言われると、果たして何のために死んだんだ、痛恨あたわざることを細川総理が言ったりしていますから、これを正さなきゃならぬと思うと発言しております。また、江藤
委員、現在の総務庁長官ですが、この論争にきちんとけじめをつけなければ戦争は終わっていない。ドイツでも、あれはナチス・ドイツがやったことで、ドイツ国民、国家がやったことではないとしたたかに切り抜けている。エリツィンだって、あれは旧ソ連がやったことだ、こう言うわけです。そういう点で、細川なんというのはばか正直だなと私は思うと、こういう自民党の
政府要人の発言が載っております。
これは、まさに非常に重大な問題だろうと思います。このような歴史
認識について、シンガポールのリー・クアンユー元首相は、何人もの右派の著名な
日本要人による公言が、多くの
日本人は本当にみずからを
被害者であって侵略者ではないと信じているのではないかという疑念に根拠を与えている、こうした耳ざわりな声がやめば、
日本は近隣
諸国と信頼
関係を構築することも容易になるであろうと、こう述べております。要するに、こういう発言があるから
日本はアジアの近隣
諸国と信頼
関係を築けないんだ、こういう発言であります。
この「大東亜戦争の総括」に出ている中身については、まさに自民党を中心にした歴史観、政治家の歴史観、そして戦争に対する考え方、体質までもあらわしていると私は思います。加えて、
河野大臣の発言については、先ほど言いましたように朝鮮半島の分断、こういう問題について、あるいは島村文部
大臣の侵略戦争かどうかは考え方の問題と、こういう発言は根本的に同じ歴史観に立っているのではないかと言わざるを得ないと思います。
この冊子については、朝鮮日報が経済大国の精神的矮小だ、こう非難しておりまして、ハンギョレ日報は
日本の反歴史性と反発しております。
私は、
日本の政治指導者が正しい歴史観を持って、本当に過去の過ちを反省して未来に向けて行動しない限り、
日本は
アジア諸国の信頼を得ることは難しい、そう思います。アジアの国々は絶えず
日本の政治動向に注目し、敏感に反応しております。それは、
日本が再び軍事大国になってアジアの民を苦しめることはないだろうか、そういう不信感と不安感を有しているからだろうと思います。
そして、今まさに問題になっております宗教法人法の改正問題についても懸念しております。例えば、九月二十日の香港の
情報紙は、戦前戦中の宗教統制、弾圧が
日本の侵略戦争の伏線になったとして改正に反対しております。当時の治安維持法、不敬罪、宗教団体法等によって宗教、思想統制をして軍部と国家神道が結びついて、国を挙げて戦争に突入していったという歴史的な事実を忘れるわけにはいかないと思います。再びこのような過ちを繰り返さないということにおいても、信教の自由、そして思想、表現、結社の自由等基本的な人権を守り抜くことが必要であろうと思います。
この際、ぜひとも
河野大臣の宗教観について、そして政教分離についてのお考えを伺いたいと思います。簡潔に自分の言葉で語っていただきたいと思います。