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1995-12-14 第134回国会 衆議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十二月十四日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 上原 康助君    理事 池田 行彦君 理事 桜井  新君    理事 近岡理一郎君 理事 保利 耕輔君    理事 伊藤 英成君 理事 草川 昭三君    理事 鳩山 邦夫君 理事 三野 優美君  理事 五十嵐ふみひこ君       赤城 徳彦君    伊藤 公介君       江藤 隆美君    越智 伊平君       越智 通雄君    奥田 幹生君       菊池福治郎君    後藤田正晴君       近藤 鉄雄君    志賀  節君       関谷 勝嗣君    高鳥  修君       中尾 栄一君    原田  憲君       村岡 兼造君    若林 正俊君       安倍 基雄君    伊藤 達也君       石井 啓一君    石田 勝之君       川島  實君    工藤堅太郎君       左藤  恵君    笹木 竜三君       谷口 隆義君    月原 茂皓君       野田  毅君    冬柴 鐵三君       松田 岩夫君    山口那津男君       山田  宏君    今村  修君       佐々木秀典君    佐藤 観樹君       坂上 富男君    細川 律夫君       前原 誠司君    松本 善明君       矢島 恒夫君    海江田万里君  出席国務大臣         内閣総理大臣  村山 富市君         法 務 大 臣 宮澤  弘君         大 蔵 大 臣 武村 正義君         農林水産大臣  野呂田芳成君  出席政府委員         警察庁刑事局長 野田  健君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 則定  衛君         大蔵省主計局長 小村  武君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         大倉省国際金融         局長      榊原 英資君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省経済         局長      堤  英隆君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      堀口 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月十四日  辞任         補欠選任   村岡 兼造君     赤城 徳彦君   石井 啓一君     谷口 隆義君   不破 哲三君     矢島 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   赤城 徳彦君     村岡 兼造君   谷口 隆義君     石井 啓一君   矢島 恒夫君     不破 哲三君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  予算実施状況に関する件(金融問題等)      ――――◇―――――
  2. 上原康助

    上原委員長 これより会議を開きます。  予算実施状況に関する件について調査を進めます。  昨日に引き続き、金融問題等について集中審議を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。
  3. 赤城徳彦

    赤城委員 おはようございます。昨日に引き続きまして、特に住専問題を中心に質問させていただきます。  この住専問題、これまでの経緯を簡単に整理してみますと、昭和四十六年ごろに、金融機関個人住宅向け融資を担う分野として金融子会社設立した。これは母体行が中心となって出資をし、役員も送り込んで設立をした。金融制度調査会では、これは住宅政策上育成すべきものだ、そういうふうに位置づけられて、これはまさに鳴り物入りでできたわけです。大蔵省からもOBが送り込まれました。  ところが、母体行と住専とまさに一体となって運営してきたわけですけれども、あるときから母体行がみずから個人住宅向けローン進出をして、そして住専業務分野を侵していった。そのあおりを食った住専不動産等分野に乗り出していって、たまたまバブルに当たったものですから大変な利益を上げた。その中ではかなり不良物件に対する融資もあったと言われますし、また、母体行が融資のつけかえをした、悪い物件住専の方へ、いい物件母体行の方が、そういう実態も明らかになってきたわけです。  ところが、突然バブルの崩壊とともに危機に陥って、さあどうしようか、再建しよう、二度の再建計画を立てたけれども結果として今日に至っている、そういう実態が明らかになってきたわけです。その再建に当たっても、母体行が責任を持ってやるとか、大蔵省農林省との間の覚書がある、そういった実態も明らかになってきました。  ここでちょっと疑問に感じるのは、最初住宅政策上推進すべきということで位置づけられて始まったものが、結果もうだめだ、破綻しました、さあそれで終わりなのか。個人住宅向けローン分野金融政策上どういう位置づけがされるか。もうこれは終わりだ、あるいは母体行がやればそれでいいのだ、そういうことでいいのかどうか。これは大蔵省政策上どういうふうにこれから位置づけていくのか、お答えください。
  4. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘のように、昭和四十年代の後半から五十年代にかけまして、個人住宅ローンというものがむしろ銀行の中では冷遇されていたという時代に、住宅建設のためにこういうものの存在が望ましいということは、金融制度調査会などでの議論でも御指摘があったことは事実でございます。  しかしながら、あくまでも住専はいわゆるノンバンクの一種でございまして、いわゆる銀行とか信用金庫のような預金を受け入れている金融機関とはまた違った行政対象となっておる、緩やかな行政対象となっておるものでございます。  そういう意味で、行政としてこれをどのように育成していくべきかとか、あるいはどのように収拾していくべきかという問題について、預金受け入れ金融機関のような密接な行政との関連を持ってその対象としていくべきものとは私どもは受け取っておらないわけでございまして、この問題、非常に日本金融経済にとって大切な問題ではありますけれども住専そのものをどう経営していくか、運営していくかということは、あくまでも経営者判断、当事者の判断にゆだねられるべきものだと考えております。
  5. 赤城徳彦

    赤城委員 もう大蔵省としては一歩引くのだ、後は金融機関それぞれが考えてくれればいいのだというのは、ちょっと無責任な気がいたします。  これは母体行ではなくて子会社として行わなければいけないということが最初にあったのですね。それは住宅ローンが専門的なノウハウを要するとか大量に処理しなければいけないとか、そういう必然性があって子会社をつくらなきゃいけない。  しかもそれは、答申でも育成すべきものだ、そう位置づけられて、最初大蔵省も大いにこれを育てよう、バックアップしようということでやってきたわけですし、再建計画を立てたのも、これはくあいが悪くなったから何とか立て直そうというだけじゃなくて、やはり金融子会社としての住専というものが必要だということで再建しようと思ったはずなんですから、ぐあいが悪くなりました、後は住宅ローン分野はそれぞれ勝手に考えてください、これは全く無責任な話であります。この議論がちょっとすっぽり抜け落ちていたような気がしますので、最初指摘いたしました。  さてそこで、そうはいいながらも、いよいよ難しい状況になってきた。与党の方はガイドラインをつくり、これを受けて大蔵農林当局で今詰めをしているということだと聞いておりますけれども、このガイドライン、当然これを尊重してやっているのだと思います。  その中には、こういうことが書いてありますね。「種々責任明確化が必要である。」と。「種々責任」、私は、この「種々責任」というのは三つあると思います。  一つは、本来個人向け住宅融資をやらなければいけないのをおろそかにして、不動産向けとか、バブルに乗ってそういうところへ貸し込んでいった。しかも相当危ないことをやって、これは場合によっては背任にも当たるような案件もあるときのう指摘されましたが、そういうことをやっていた住専みずからの責任。  それから第二に、みずからの子会社として設立しておきながら、その住宅ローン分野進出をしてそれを奪ってしまった、結果として不動産分野進出せざるを得なくなったという母体行側責任。その中には、つけかえの事例があるとか高配当をずっと受け取っていた、甘い汁を吸っていた、そういう実態も明らかになってきた。母体行の責任です。  第三に、そういう実態、本来育成すべきものだと位置づけられてスタートしながら、きちっと再建もできずに、結果今日に至ってしまった大蔵当局責任。この三つが問われなければいけないと思います。  まず第一の住専自身責任、これはどういうふうに考えておられますか、大臣
  6. 武村正義

    武村国務大臣 当然住専責任がこの問題の基本であります。子会社であろうとなかろうと、日本法律に基づいて営業を始めた法人でありますから、それにさまざまなかかわりがあることは御指摘のとおり事実でありますが、住専が主体的に責任を負うというのがまず事の基本だというふうに認識をいたします。
  7. 赤城徳彦

    赤城委員 この解決に当たって、まず住専のみずからの責任、それを明らかにしていただきたいと思います。  それから、母体行の話はちょっと後に回しまして、大蔵省行政担当としてこれは大いに責任を感じてもらわなければいけないのです。先ほどの局長答弁で、これはノンバンクであります、ちょっと行政上の位置づけは軽いんです、そういう話がありましたし、預金者がいないんです、だからその保護の必要性も薄いんですみたいな話がありました。  しかし、全体としてこれは大蔵省直轄金融機関ですから、しかも、直接の預金者はいないとしても、住専に対して貸し付けている金融機関がたくさんある、それに対して預金している者がたくさんあるわけです。その預金者のお金を受け入れて、それをそれぞれの案件に対して貸し込んでいるわけですから、しかも母体行と住専、これはもう一体的な運営をしてきた、いわば母体行の一業務分野個人住宅ローン部門と考えてもおかしくない実態であります。  そういう点からして、大臣大蔵省として、住専問題は積極的にかかわり責任を感じているんだということを大蔵省みずから言っていただかないとこれは解決にならないと思います。大臣、どうですか。
  8. 武村正義

    武村国務大臣 御承知のように、日本資本主義の国であり、市場原理基本にした経済運営を行っている国でありますが、大方ほとんどの産業法人というのは、それぞれ法律や各省のかかわりのもとにあるわけです。直轄という言葉をどういう意味でおっしゃるのか知りませんが、あらゆる産業はそういう意味行政がかかわっている。  しかし、直轄というと、政府特殊法人のように経営の全責任を負っているという意味では、そういうものとは違う。独立した市場原理の中で存在する法人一つであるというふうに認識をしなきゃならない。だから、責任基本的にはその法人みずからが負うべきものである。  大蔵省は、決して責任逃れで言うつもりはありません、この法人、旧出資法ではありますが、届け出制という形で届け出を受け付けておりますし、立入調査あるいは報告という、銀行よりははるかにかかわりは弱いわけですけれども法律的にそういうかかわりが許されている、またそういう意味での責任を持っている、そういう関係であることは紛れもない事実であります。  それよりもっと大きいのは、きのうも答弁いたしましたが、本当を言えば、なぜバブルが起こったのか、バブル責任というところまで責任論を展開するならば行くわけで、そうなるともう政府、政治の責任から経済界全体の責任から世界の経済かかわりから全部絡まってまいりますから、非常に複雑になってまいりますけれども、ああいう形でバブルが起こって、数年続いて、それが急速に終わって今日の問題を迎えている。  住専は確かに、貸付額で九兆二千億、不良債権で七兆数千億という大変大きな問題であります。しかし、母体行が全部住専責任を押しつけたというのは、母体行みずからも独自の不動産を担保にした融資を進めてきて、実に三十八兆円近い不良債権を抱えてしまっていることも事実でありまして、まさにそういうとらえ方をすると、バブル経済の終わった後、地価が急速に下落をして今回の事態を招いているということでありまして、そういう全体の認識の中でこの住専問題をとらえなければならないと思うのであります。  きのうも申し上げましたが、大蔵省が反省をしなきゃならないのは、通達を出して総量規制をやってきたわけです。それはそれで正しい判断であったと思いますが、住専に対する融資農林省と両方の通達の中で報告義務を課していないという議論がありましたように、年二回報告をとっていながら、ローン融資から急速に事業融資業務が展開されている、そのことに対する心配といいますか、これでいいのか、住専として大丈夫かと、ここらに対する認識が、今結果として振り返りますと十分でなかったのではないか、あるいはもっと率直に言えば甘かったのではないか、そういう点は率直に大蔵省としても責任を感じなければならないというふうに思っている次第であります。
  9. 赤城徳彦

    赤城委員 何か腰の引けた話でありますけれども。  住専母体行あるいは一般金融機関と違って一歩、届け出制だからとか預金者がないからとか、ちょっと大蔵省責任としては軽いんだ、そういう議論をするというのは、これはおかしいのです。  なぜかといえば、住専母体行が出資をし、役員も送り込み、そして融資の取り次ぎや窓口業務もやり、一体的に運営しているのです。だから、さっき住専というのは母体行の一業務分野だ、一体なんだ、そういうふうに言っているのであって、決して住専という別会社になったから急に大蔵省監督責任が緩くなる、関係ないんだということではないんだということです。  さらに、この住専に対しては、大蔵省からOBが随分行っていますね。これはちょっと前の新聞ですけれども、この一覧表に出ている、これは会長と社長だけですけれども、黒く塗られているところはみんな大蔵省OBです。大蔵省OBがこれだけ入って、先ほど言ったように、最初住宅政策上優遇すべきだ、育成すべきだということで始まったのでしょう。  だけれども、これにちょっと書いてありますけれども、「本来、個人住宅向け融資をやるのだったら、二兆円ぐらいしか残高はないんだから一、二社あれば十分なのに、こんなにたくさん天下り先として住専をつくったんだ」というふうに評している方がありますし、「大蔵OB銀行に天下って苦労するよりも住専の方が魅力があったのではないか」、こんなふうに言われているのですよ。そういう大蔵OB天下り先だ。  これはもう現実にそうなんですから、しっかりとここら辺の責任を感じていただいて、特に今大臣が言われたように、母体行が個人住宅ローン分野進出をした、その結果、本来この分野を任務としていた住専が道を外れてしまって不動産融資に向かっていった、この実態大蔵省はきちっと把握していたはずです。把握していたにもかかわらず、指導できたにもかかわらず、それを放置していた。これは大変な大蔵省責任でありますから、これはしっかり大蔵省責任を感じて対応していただきたいと思います。  次に、母体行の責任であります。  これは一般的に、世の中、親会社子会社の問題について責任を負う。これは一般的にそういうふうな扱いをされてきているので、特に親会社銀行である場合、メーンバンクである場合には、その出資融資先の企業に対して全責任を持って対応してきた、それによって経済秩序が保たれたのです。  これはある新聞の評論ですけれども、こう書いてあります。今回、仮に母体行がその責任を逃れ、貸し手責任を負わせることになれば、そのような主力行くの信頼が揺らぎ、これまで主力行経済的に全責任を負うものとして安心して取引や融資をしていた他の金融機関が、今後主力行を信用せず、多少でも業績に不安のある融資先から次々に融資を引き揚げてしまう。そのことがかえって、それこそ金融経済に対して大きな不安をもたらすのではないか、秩序を崩壊させてしまうのではないか。そういうふうに心配しているコラムがありました。  過去いろいろな事例があります。  例えば事業会社系ファイナンス会社をどういうふうに整理したのか。積水ファイナンス伊藤忠総合ファイナンス丸紅リース東ソーファイテンス、川鉄リース、東京シティファイナンス摂津興産菱天商事。  銀行系ノンバンク整理事例。芙蓉総合リース、セントラルファイナンス、セントラルリース、セントラル抵当証券イトマンイトマンファイナンス東銀リースダイヤモンド抵当証券ダイヤモンドファイナンス東京リース、第一ファクタリング興銀リース大和ファイナンス、スミセイリース、スミセイ抵当証券。  これはすべて母体行が、出資行が責任を持って、そして他の債権者には迷惑をかけない、負担をかけないということで今まで処理してきたのです。その慣行を破ることこそが金融秩序を崩壊させるのではないか。そう思いませんか、大臣
  10. 武村正義

    武村国務大臣 この住専設立に大きくかかわってきたのが母体行であります、出資をしたという意味基本にして。そういう意味で、この会社に対する母体行の責任は当然あります。それを否定するつもりはありません。今回の問題に当たっても、そういう意味でも母体行の責任は貫かれなければならないという考えております。  そういたしますと、貸し手の方は全く責任がないのかということはおっしゃっておりませんが、貸し手も、不特定多数の預金者から貴重な預金を預かって、みずから主体的に判断をして融資先を決めているわけですね。その貸し手のこの問題に対する責任が全くないというふうなことは、母体行の責任を幾ら強調しても出てこない話でありまして、そういう意味では、そこは筋はきちっと通さなければならないと思っております。
  11. 赤城徳彦

    赤城委員 貸し手の話はまた後で言いますけれども一般貸付者債務者がいて、債務者が倒れたときにどっちが責任を持っているかといったら、まず債務者ですね。債権者はその危険を負担する、リスクを負う。貸付者リスクを負うのであって、貸し付けた者が責任を持っているのではないのだ、これがまず前提です。  それから、今回の事例は、今までの整理事例を今たくさん挙げましたけれども、それと全く違うのは、母体行と住専一体だ。何度も言いますけれども母体行の一業務分野だと言っても過言ではない。しかも、これまでのさまざまな経緯が、きのうも指摘されたような経緯があって、母体行が不良案件住専につけかえていたとか、ずっと高配当を受けて甘い汁を吸っていたとか、そういう放漫経営というか、そういう実態が明らかになっていた。しかも、再建計画の中で、これ以上のロスはかけない、迷惑はかけない、その一札がある。  そういう前提があっての母体行の責任がどうなのか、こう言っているわけですから、母体行が債権を放棄したからそれて終わりですということではない。それ以上の負担を負う、これは当然のことだと思います。  ところで、優良物件母体行、リスク案件住専に、一番抵当母体行、二番抵当住専に、そうやって融資のつけかえをし、今日の不良債権につながってきたと言われております。  例えばこんな事例があります。母体行が不動産業界に対する融資案件住専につけかえたのではないかという事例として、三井信託銀行桃源社に五十億と三十億の根抵当権を設定しておりましたけれども、これは六本木の土地です、平成二年の五月二十八日にこの根抵当権日本住宅金融株式会社に移転している。これは登記簿からはっきり出ているのですけれども、それは融資をこの日本住宅金融会社につけかえたということであります。  同じく住友信託銀行千代田プロジェクトに対して十億二千万円の根抵当権を設定していたが、これを昭和六十三年二月二十六日に抹消した上、住宅総合センター千代田プロジェクトに対する同額の抵当権につけかえております。  それから、母体行が上位抵当住専下位抵当、そういうふうに割り振った例として、これは平成三年の八月二日に、中央信託銀行千代田プロジェクトに対して百十二億五千万円の根抵当権、一番抵当ですね、それと十億円の抵当権、二番抵当を設定していた。それからわずか二カ月後の平成三年の十月一日に、住総千代田プロジェクトに対して百億円の第三位の根抵当権を設定した、こんな事例が、これは本当に一部ですけれども、あります。  そういうことを大蔵省は把握していますか。
  12. 西村吉正

    西村政府委員 住専とその母体との関係につきまして、ただいま御指摘のようないわゆるつけかえというような問題あるいは紹介というような問題、いろいろと御指摘があるのは承知をしております。  しかしながら、個々のケースはいろいろな事例がございましょうし、私どももそういうものの中に問題のあるものがあろうかということは承知をしておりますけれども、しかしながら、それを一般化して、そのことのゆえにこの問題全体の解決の方式をどうするかということに直結させるということではないのではないか、そのように思っております。
  13. 赤城徳彦

    赤城委員 そういう事例があると承知をして、問題がある場合もあるということを承知しているのだったら、どういう具体的な案件がどのくらいあるのか、しっかり調査をして、個別的に一々挙げるとは言いませんけれども、こんなにあるんだということをまず明らかにしてからこの議論に入りたい。どういうふうな解決をするかというのは、そういうことを明らかにしてからでなければ解決できないと思います。  次に、再建計画の中での一連の覚書とか、それから母体行からの念書とか、そこら辺の話に移りますけれども覚書の中で、母体行が責任を持って対応していくことを確認させるとか、大蔵省系統に「今回の措置を超える負担をかけないよう責任を持って指導していく」とか、母体行はそれに対して責任を持って対応しますと銀行局長に対して文書で提出していますね。  そういうことを受けて、系統に対して大蔵省から、これは責任を持ってやります、これ以上の元本ロス系統負担させません、そういう説明があったからこそ、系統組合員に対してそれを説明して再建に協力したんです。そうでなければ、もうこの時点で融資は引き揚げていたんです。  そこで、これはもう整理になったから関係ないんだというふうな答弁を今までしてきましたけれども、その前に、母体行から大蔵省へ、再建計画に沿って責任を持って対応してまいるというその責任、きちっと再建しますというその責任はどこへ行ったのか。大蔵省覚書にある責任を持って指導していきますというのは、どういう指導をされたんですか。そういう再建に向けて、母体行、大蔵省、それぞれ責任を持って対応する、指導するといった内容を教えてください。何をされましたか。
  14. 西村吉正

    西村政府委員 今御指摘覚書と言われるものは、平成五年に再建計画を策定するに際しまして、関係者が策定する以前の段階で、その再建計画策定を促進するために農水省及び大蔵省が努力をする、そういう中で論点を整理したものでございます。  その責任を持って対応をしていくということでございますが、再建計画が実行されていく、そういうことをみんなでサポートしていこうということでございまして、具体的に事業そのものをどう行っていくかということは、これは経営者の御判断でございますから、一つ一つ経営の内答について行政が関与すべきものだとは思っておりません。  しかしながら、せっかくこのような再建計画をつくる以上は、それが計画どおりに実行されていくように行政としても側面からサポートをしていこう、こういう姿勢を明らかにしたものだと考えております。
  15. 赤城徳彦

    赤城委員 母体行はどういう対応をしたのか、再建計画に向けて具体的に何をやったのか、それに対して大蔵省は具体的に何を指導したのか、それを伺っているのです。
  16. 西村吉正

    西村政府委員 これは母体行と住専会社関係でございますから、そこはそれぞれの経営判断で行われたところでありまして、その一つ一つ経営判断について行政が関与すべきものとは思いません。しかしながら、全般的な再建計画住専全体の再建計画が順調に促進するようにということを側面から行政としても見守っていったところでございます。  ただ、残念ながら、その後の金利低下による運用収益の減だとかあるいは不動産価格の低下によりまして再建計画の達成が困難になり、現在抜本的な見直しの議論が行われているということはまことに残念に思っております。
  17. 赤城徳彦

    赤城委員 再建計画がうまくいくかどうか見守っていました。見守っていたらうまくいかなくなっちゃった。見ていただけですね。何も指導をしなかったということだと思います。  次の質問に移ります。  先ほども貸し手としての責任はゼロとは言えない、ないとは言えないということが大蔵大臣からありましたけれども、農林系統の貸し付け責任というのは一体あるのかないのか、これはちょっと農林大臣に伺います。  アメリカでも、借り手の経営や財務に深く関与している場合には、貸し手はその借り手のビジネスに責任を負う立場にあるという、そういうのが貸し手責任という理論だと言われております。  楠本くに代さん、この方は「金融機関貸し手責任と消費者保護-レンダーライアビリティ」の著者でありますけれども、「金融機関が利用者や消費者に被害をもたらしたときに問われる責任貸し手責任であって、たとえば、貸し手が借り手の経営や財務に深く関与している場合に、貸し手は借り手のビジネスの責任を負う立場にある、という理論だ。」  これを今回の事例に当てはめれば、母体行が住専経営や財務に深く関与している場合に、母体行は住専のビジネスに責任を負う立場にあるというのがまさに貸し手責任の理論であります。そういうことではないかと思いますね。農林大臣、いかがでしょうか。
  18. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 私は一貫して申し上げてきているのですが、この問題は一般貸し手、借り手論では処理できないものであるというふうに思っております。  先ほど来委員も御指摘のとおり、住専をつくるときの経緯あるいは住専の性格あるいは破綻の原因、それを見ても特別な関係であります。特に、再建計画をつくるに当たりまして、母体行から責任を持って対応するのでということで誓約書が大蔵省に出ており、それに基づいて両省が同じ文書で覚書を結んだという経緯があります。そういうことを考えれば、これは一般貸し手責任論とは全く異質の問題であって、異質の処理をしなければいけないものだ。  私はこの際あえて申し上げますけれども母体行は、借りるときは責任を持って対応すると言いながら、整理、清算になったら、今度は責任もないし対応もしないというような話では、これは信用を大事にする銀行としてまことにいかがなものかと私は思っております。
  19. 赤城徳彦

    赤城委員 一般貸し手、借り手の場合であっても、先ほどたくさん事例を挙げたように、母体行、メーンバンク、あるいは親企業がある場合には親会社子会社の全責任を負う、特に金融機関はまさにそういう責任を負うというのがこれまでの慣行であり、先ほどたくさん挙げた事例もそのようにやってきたわけです。  それ以上に、今回は母体行という、まさに母親です。自分が出資をし、役員を送り込み、一体として経営をしていた、そういう関係であり、しかも、その再建の過程に、今大臣が言われたようなさまざまな約束をする。きちっとやっていきますということを受けて、本来だったらもうそこで融資は引き揚げているべきところを協力をしてきたという、まさに善意の貸し手、それが農林系統ですね。  その農林系統にあろうことか責任をおっかぶせる、これはとんでもない話でありまして、まず元本、これはきちっと返済してもらう。これは系続からの建議というのが、大蔵大臣、農林大臣、それから総理のところにも行っておりますけれども、その中で言っている最大のポイントは、系統の元本全額を直ちに返済してくれ、この裏にあるのは、それによって、系統責任はないんだ、一たんそこで遮断してもらいたいということです、責任論を。  いつまでも大蔵大臣が、いや、系統にも責任があります、だから何か負担をしてくださいということを言われていては、これは解決しないのです。責任論と、その後の、何か協力をしてください、何かやってください、これはお願いベースの話です。そのこととは分けて考えていただきたい。貸し手、農林系統には責任はない、そのことをはっきり大蔵大臣、答えてください。
  20. 西村吉正

    西村政府委員 責任という言葉が、貸し手責任だとか母体責任だとか借り手責任だとか、いろいろな言葉に結びつけられて論じられておるわけでございますが、この責任という言葉は、使う方によっていろいろな意味を持って使われているように思います。  私たちがこの問題を考えます場合に、最近の金融情勢を拝察いたしますと、最近では、例えば、ある意味では預金者というのも貸し手でございます。預金者銀行に対しては貸し手であるわけでございます。住専に対して系統金融機関がお金を貸したというのも、金融活動を行う原資を貸したということでありますが、同じような関係は、預金者銀行関係にもあるわけでございます。残念ながら、最近の事例におきまして、この預金者をどの程度保護すべきであるかというような議論もしなければいけないような状況になっております。  そのような議論の中で、大口の預金者の方の取り扱いをどうするかというような問題も議論対象に残念ながらなっておるわけでございますが、こういう情勢の中で、あえて責任という言葉を使うか使わないかは別として、お金を預けた人、貸した人、いろいろなお金の貸し借りの関係にある方々との間で、残念ながら当初の意図どおりにいかなかった場合にどういう処理をするのか、そういう問題を考えさせられている一つ事例だろうと思っておるわけでございます。
  21. 赤城徳彦

    赤城委員 私は何度も言いますように、この住専問題は特殊な問題で、経緯のある問題です。この住専の問題に関しての責任は三点、住専自身母体行と大蔵省行政責任であります。そういう経緯がある話で、いや、貸し手たる農林系統にも責任があるんです、だから負担してくださいというのは、まさに責任転嫁です。そういうことを言っておっては、これはもう早急に解決しなければならないのですから、その問題をすりかえて転嫁しては解決できない。これは大蔵大臣にはっきり申し上げておきます。  さて、法的整理という議論がちらほら出されます。全銀協の橋本会長、きょうの新聞には全国地方銀行協会の玉置会長、ここら辺から「法的整理辞さず」なんということをこの段階に、しかも、今まではそういうことをせずに、メーンバンク、親会社がきちんと責任を持ってやってきた、その慣行を破って法的整理も辞さずというのは、これはいかがなものかなと、非常に憤りを感じます。  大蔵大臣は、与党のガイドラインを受けて今農林省と詰めておられる、そういう立場として、法的整理ということはおよそ考えていない、あり得ないとはっきりお答えください。
  22. 武村正義

    武村国務大臣 法的責任という議論は、恐らく金融機関すべてにある問題だろうと思いますね。それで、恐らく責任者は、法にもとることはしてはならない、したくてもできないという気持ちが、この大きな問題を目前にしてそんな気持ちがあってこんな発言が飛び出しているのではないかというふうに思っております。  御承知のように、株式会社の場合は株主の代表訴訟という制度が最近認められて、少なくとも、したくてもできない、法的な限界がある。系統系統で、それぞれ無限責任の問題もありますし、それなりのまた重い責任を感じながらこの問題を見詰めていただいている、こういうふうに思っております。  しかし、こういう問題の解決の姿勢としては、そういう道があることを私どもも知ってはいますけれども、それは、そういう道があるからその道で迷わず真っすぐやっていこうということでは早期の解決にはならない。私どもは、この時期にずるずると問題を先延ばしをして、日本経済や、ひいては世界経済にまで、この問題の解決ができないために不安を引きずるようなことになってはいけないという思いが今非常に強くございますが、早く解決のめどをつけたいという一念から、やはりこの時期、話し合いでこの問題を解決していくことが正しい、そう思っております。
  23. 赤城徳彦

    赤城委員 まだまだ伺いたいことがあるのですけれども、時間がありませんので最後にしますが、この問題についてはまだまだわからないことが多いのです。明らかにされていないことが多過ぎます。  ガイドラインの中には「透明性の確保」ということもうたっております。第二次再建計画平成五年に立ててからわずか二年目にして、なぜ再建を断念して整理せざるを得ないのか。不良債権がどのように発生をしてどういう取引案件があったのか、再建計画以降、住専母体行がどんな努力をしたのか、また、大蔵省はどういう指導をしたのかしなかったのか、紹介案件など母体行と住専、その関係母体行の関与の実態銀行不良債権住専へのつけかえ、そういう実態、これらを明らかにする、絶対にこれは必要なことだと思います。ガイドラインに書いてある「透明性の確保」、一体どういうことで透明性の確保をしていただけるか、お答えください。
  24. 西村吉正

    西村政府委員 ガイドラインの中で「透明性の確保」について述べられているところは、いわゆる公的関与のあり方についての部分の中ででございまして、そういう意味では少し特定の位置づけを持った問題の中で述べられていることだと思います。しかしながら、この問題全体を考えるに際しましても、あるいはもっと広く金融問題全体を考えるに際しましても、透明性の確保ということは大変に重要なことであろうかと思います。  住専問題の重要性、緊急性にかんがみまして、この問題を年内に解決のめどをつけるという基本的な処理をいたしながらも、それを具体的にどのように進めていくかということについては、債権の回収とかいろいろな側面をも含めまして透明性の確保を図っていかなければ国民の御理解は得られないものと思っております。
  25. 赤城徳彦

    赤城委員 以上で終わります。
  26. 上原康助

    上原委員長 これにて赤城君の質疑は終了いたしました。  次に、谷口隆義君。
  27. 谷口隆義

    谷口委員 新進党の谷口でございます。  本日は、大和銀行の問題と、また現下の日本金融システム、また金融行政の問題についてお聞きいたしたい、このように思っております。  実は、新進党の我々、同僚議員を入れまして三名で、先日、米国調査団で行ってまいりまして、米国監督当局、また議会関係者、マスコミ等にお会いして、その結果も踏まえて本日お聞きいたしたい、このように思っております。  大和銀行の問題を初めにお聞きしたいわけでありますが、この問題は非常に深刻な問題であります。  御存じのとおり、大和銀行のニューヨーク支店で、現地採用のディーラー、井口という男が十一年にわたって債券の不正取引をやっておった。この金額が十一億ドル、一千百億円に上る、このような状況でございます。  今回のこの大和銀行のニューヨーク支店の巨額損失事件、これは単に一金融機関の問題を超えた日本金融システムにかかわる重要な問題である、このように認識いたしておるわけであります。国際金融の世界で、日本金融システム、さらに日本金融行政に対する不信感、また不安感を決定的にした事件である、このように言われておるわけであります。  御存じのとおり、九五年の七月末にコスモ信用組合の経営破綻がございました。このあたりからいわゆるジャパン・プレミアムというような付加的な金利がついてまいりまして、大和銀行の事件でより一層このジャパン・プレミアムが激しく動いたわけであります。  九五年十月九日のウォールストリート・ジャーナルの社説に、大和銀行ニューヨーク支店の井口被告の犯した巨額損失の発生及び隠ぺいは、日本金融システムや金融行政が行っているのと同じではないか、つまり、四十兆円の不良債権を発生させただけではなくて、それを隠しているのではないかということを書いておるわけでありまして、実に、我が国の信用失墜を招いた重要な事件であると思うわけでございます。  まず初めに、総理並びに大蔵大臣に今回のこの事件についての御所見をお伺いいたしたいと思います。
  28. 武村正義

    武村国務大臣 大和銀行の一行員の不正事件、それにプラスして、大和銀行がみずからかかわっていた海外の子会社業務運営に対する極めて不適切な事例が表に出まして、このことが長い間発覚しなかった。銀行みずからも、大蔵省日本銀行やアメリカのさまざまな金融検査を重ねながらも発見できなかったという大きな問題もございますが、いずれにしましても、こういう事態が起こったということには、率直にやはり遺憾の意を表明しなければならないと思っております。  また、御指摘のように、このことがアメリカを中心にして世界に対して非常に大きな影響を与えた。我が国の金融システムや金融界全体の信用にもかかわるような影響を与えていることも、これも率直に認めざるを得ません。このことから、しっかり学ぶべきは学んで、反省すべきは反省して、日本金融政策金融行政も再出発をしなければならないと強く感じている次第であります。
  29. 村山富市

    ○村山内閣総理大臣 今大蔵大臣から答弁があったことに尽きると思いますけれども、井口というお話のございました元大和銀行の職員が十一年間にわたって十一億ドルの不正を行ってきた。これは、大和銀行の内部管理体制に問題があったんではないかとか、あるいは業務運営に不適切な点があったというようなことが指摘をされて厳しい処分がなされたことについては、日本金融機関全体のあり方に対して不信を高めた。あるいは、不良資産問題等に対するものも含めて、日本金融機関に対する評価というものが非常に下がった。それがまたジャパン・プレミアムといったようなものを惹起しておる。こういう事態を考えた場合に、私どもはやはりこの教訓を厳しく受けとめなければならない。  同時に、これだけ金融が国際化しておる状況の中で、それぞれの国が持っておるようなしきたりというものが国際化されたそういう状況に対応できるのかどうかといったような問題も含めて、私は、あり方について十分検討して、直すべきところは直すという決断が必要ではないかというふうに思います。
  30. 谷口隆義

    谷口委員 先ほども申し上げましたように、米国に行ってまいりまして、いろいろ監督当局また議会関係者にお聞きしたわけでありますが、そこで共通しておっしゃるのは、一金融機関の問題ではない、我が国の金融行政との大きなかかわり合いがある、このようにおっしゃるわけであります。  御存じのとおり、米国の下院で十月十六日、上院で十一月二十七日、また、下院の小委員会で十二月五日、この三回にわたって大和銀行に関する公聴会が行われております。その際に、十一月二十七日の上院の公聴会でありますが、これはダマトさんという委員長でございますが、この方は、大和銀行によって生じた問題点の一つとして、日本大蔵省が大和銀行の幹部と共謀して米国の規制当局に重要な情報を与えなかったことが、政府間の信頼に大きく傷をつけた、このようにおっしゃっておるわけであります。このことは、今から申し上げますが、この四十日間の連絡のおくれが大きな原因になっておるわけであります。  御存じのとおり、七月の二十四日に井口からの告白状が参りましてこの事件が発覚した。その後、八月の八日に大和銀行の首脳と大蔵省銀行局長銀行課長がお会いになっておる。その後、九月の十八日ですか、十八日に初めて米国の方に連絡が行った。このようになっておりまして、四十日間のこの連絡のおくれをめぐって非常に日米相互間の信頼性の失墜があった、このように言われておるわけであります。  それで、今回のこの問題、大和銀行の当局も非常に厳しい状況にございます。この米国司法当局の起訴状を見ておりますと、銀行幹部が不正隠ぺいの工作をやった、このような状況が詳しく書かれてあるわけでございます。  後で、八月八日の時点が非常に重要であると私は思うわけでありますが、まず、これまでの状況について、米国司法当局の起訴状から簡単に、知っていらっしゃると思いますが御報告いたしたいと思います。  七月二十一日に一番初めの手紙、井口から五通の手紙があるのですね。五通の手紙をつくっておりまして、十二日付で十九日の投函で二十一日に届いておる第一レターというのがございまして、この第一レターは、今回、米国債券取引で十一億ドルの損失が発生しておる、損失を三億七千七百万ドル、顧客の米国債券売却で穴埋めをした、このような内答を書いた第一レターが来ておるわけであります。  その後、七月二十四日に第二レターがあるわけでありまして、これは頭取あてに来ております。この内容は、九三年の連銀検査から得た経験から、不足した米国債を買い戻せば米国内においてこの事件が発覚する可能性はゼロである、このような内容の第二レターが来ております。  これを踏まえまして大和銀行の首脳は、このとき行かれたのは当時の副頭取の安井さんと山路常務、元ニューヨーク支店長であります。この方と国際資金証券部長の三人が井口に日本から電話をして、この第二レターについて議論をいたしておるわけであります。その内容は、ニューヨーク支店を本件から除外することが重要である、そのように言っておりまして、その点において井口の助力が必要である、隠ぺいの方法について示唆してもらいたい、このような内容の手紙を出しております。  それで、今度七月二十五日に第三レターというのがございまして、この内容は、損失の隠ぺいをする方法の概略を示唆いたしておりまして、ニューヨーク支店の会計記録をいじらない方がよい、このように助言いたしておるわけであります。  それで、二十八日に、先ほど申し上げた大和銀行の山路常務、津田ニューヨーク支店長がニューヨークのパークレーン・ホテルで井口に会っておるわけであります。そこにおいて山路常務は、十一月まで十一億ドルの損失を秘密にすることを命令いたしておるわけであります。この損失については十一月下旬に発表する予定だ、このように言っております。井口に、日本の関連会社に移る意向はないか、このように言っておるわけであります。あといろいろあるわけでありますが、そういう状況の中で、この八月八日を迎えるわけであります。  この八月八日から九月の十八日にかけて四十日間が非常に重要なことになっておるわけでありまして、初めに、この八月八日の状況についてお聞きいたしたいと思います。  これは、場所は大和銀行の白金会議所で、当時出席された方は、大蔵省西村銀行局長、また村木銀行課長。大和銀行の方は藤田頭取、安井副頭取、国際担当ですね、源氏田専務、この方は元印刷局長ですね、山路常務、勝田常務、このような方がお会いになったわけであります。  当日のこの八月八日、一つお聞きいたしたいことは、大和銀行白金会議所で行われたわけでありますが、これは一体だれがセットをして、なぜ大蔵省で行われなくて大和銀行の白金会議所で行われたのか、また何時から何時まで行われたのか、ちょっとお聞きいたしたいと思います。
  31. 西村吉正

    西村政府委員 記憶をたどってみますと、八月の七日に、すなわち前日でございますが、大和銀行の専務取締役源氏田さんから私に対しまして、意見の交換を行うとともに、頭取から報告をしたい案件があるので時間をとってほしいというようなお申し出がございました。  当初銀行局長室へ来たいと来訪のお申し出でありましたけれども、当時はコスモ信用組合の破綻処理が発表された直後でございまして、さらに世間では、木津信用組合あるいは兵庫銀行の処理についてもあと時間の問題であるというような報道関係者の関心が高まっていた時期でもございまして、私どもの事務所の周辺にはそういう取材の方々がたくさんおられるというような状況にございました。  そこで、必ずしも、そのような状況の中で都銀の頭取とお目にかかることは適切ではないのではないか、場合によっては、大型合併問題の焦点となっておったような状況もございまして、そういう問題との結びつけなどもされるおそれがあるのではないかということで、私といたしましては、大蔵省も共用しております官庁の会議所でお目にかかることを考えたのでございますが、当日多数の予算関係者の会合がそこで行われるというような状況で、大勢の出入りをされる中で、別の場所でまたお目にかかるというのも大げさに受け取られる可能性がある、こういうことで大和銀行の白金会議所でお話をお伺いすることにした、こういう経緯でございます。
  32. 谷口隆義

    谷口委員 これは、さっきも申し上げたように何時から何時まで行われたんですか。  それと、これは接待ではなかったんですね。
  33. 西村吉正

    西村政府委員 当日、金融制度調査会がございまして、私はそれの終了後お目にかかりましょうということでございまして、始まったのが六時前後だったと思います。終わったのは七時ぐらいだと思います。それは洋間の会議室における会議の形式における会談でございまして、例えば食事が出るというような意味での場ではございません。一般会議の場でございます。
  34. 谷口隆義

    谷口委員 その席で、これは外人記者クラブの場でお話しになっておるわけでありますが、これは榊原国金局長ですか、ほのめかしがあったというのですね。大和銀行の首脳から大蔵省当局にほのめかしがあったと。ちょっと大蔵省からいただいた資料を見ますと、「ニューヨーク支店の行員から米国債取引で大きな損失を生じさせた旨の手紙を受け取ったが、まだ、真偽のほどが明らかでないので、内容の確認を始めたところであり、事実の把握に努め状況がわかり次第報告したい。」このようなことがあったということでありますが、これはそうなんですか。
  35. 西村吉正

    西村政府委員 当日の大和銀行藤田頭取からのお話の概要を申し上げますと、七月の下旬にニューヨーク支店の現地の採用職員から、すなわち井口氏でありますが、頭取あての私信を受け取った。この職員は、かねてから非常に有能であるとの評価を受けてきておりまして、以前頭取がニューヨークヘ出張したときにも業務の説明等に当たった者である。この私信には、十年以上にわたるアメリカの国債の取引により十億ドル以上の損失を生じたとの告白が含まれておる。非常に異例のことであるので、真偽のほどが明らかではなく、余りにも長期間かつ多額のことなので、ともかく事態の解明に当たることが先決であると考える。事態の解明を担当者に着手させておるところであるけれども、ある程度の時間がかかると思うが、事態の解明に努め、状況がわかり次第報告したい。仮にこの損失が事実であったとしても、大和銀行の資産や収益の状況から見て、経営の根幹を揺るがすというような影響を与えるものではなく、損失処理は迅速にできると思うというような趣旨の御説明がございました。  そこで、私の方からは、そういうことであるならば、早急に事態の把握に努めて、状況がより詳細にわかり次第報告をしてほしい、このような趣旨をお伝えした次第でございます。
  36. 谷口隆義

    谷口委員 先ほど来国司法当局の起訴状を一部御紹介したわけでありますが、そこに書いてありますように、大和銀行の首脳山路常務は、二十八日に本人に会って話をいたしておるわけであります。発覚が七月二十四日でありますから、八月八日までの間に二週間たっておるわけでありますね。当然、二週間もあればこの状況の中で全容が把握されておると考えてもおかしくないわけでありまして、そのような状況の中で、報告を受けて、詳しくわかるまでまた待っておるというような今の姿勢。  また、これは今からお聞きしたいのですが、榊原さんがおっしゃったこのほのめかしというのはどういうことなのかはっきりわかりませんが、事実の内容はこの時点でわかっておるわけでしょう、二週間もあるわけですから。それで、先ほど申し上げたように、ニューヨークのパークレーン・ホテルで会っておるわけであります。こういう状況の中で、ほのめかし程度の連絡があったということは、これは許されますか。おかしいじゃないですか。  当然、二週間もあれば、もう事実の全容を完璧に把握して、この段階でわかっておると考えるのが普通じゃないですか。それが、まだ八月八日の段階で、現状がはっきりわからない、ほのめかし程度の状況しかわからないというようなことはおかしいじゃないですか。このあたりが、米国の監督当局が日本の監督当局に対して言っておるところでしょう。榊原さん、ちょっと一遍、先ほどのことについてお聞きいたしたいと思います。
  37. 榊原英資

    ○榊原政府委員 十月十二日に外人記者会見を行いまして、西村銀行局長と私が出席いたしました。  その際に、銀行局長から、今御説明されたようなことを外人記者に説明して、正式な報告ではなかったという説明があったわけでございます。正式な報告ではなく、さらに調査をして正式な報告を求める、そういうことを大和側に伝えたという説明が銀行局長の方からございました。  そのときに、正式な報告ではなくて、たしかあれは外人記者会見で英語でしゃべっておりましたので、サジェスチョンとかインジニュエーションという言葉を使ったと思いますけれども、まあ日本語でほのめかしというふうに訳すのはちょっと軽過ぎるかなという気がいたします。示唆をされたということ、正確に言うとそういうことではないかと思いますけれども、そういう示唆がありました、インジニュエーション、サジェスチョンがありました、そういうことでございます、こういうふうに外人記者に説明したわけでございます。
  38. 谷口隆義

    谷口委員 先ほど申し上げましたように、八月八日ですよ、大和の白金会議所において、大蔵省の方は銀行局長銀行課長ですよ。大和銀行出席者は頭取初め安井副頭取、源氏田専務、山路常務、勝田常務と、首脳が全部そろっておるわけであります。このような状況の中で、先ほど私が申し上げたように、もう既にニューヨークにおいて山路常務が井口に会って、これは隠ぺい工作を依頼しておるわけであります。  そういう状況の中で、このときにほのめかし程度の話しかなかったというようなことは、これはおかしいじゃないですか。これは極めて重要な問題だと思いますよ。ほのめかし程度のところで終わって、後日また、それは九月の十八日ですか、九月の十八日まで報告が一切ないというのでしょう。考えられないじゃないですか。  それと、大蔵大臣、この大和の問題についていつお聞きになりましたですか。
  39. 武村正義

    武村国務大臣 たしか九月十四日だと思います。
  40. 谷口隆義

    谷口委員 これも八月八日に、今おっしゃったように十一億ドルというような話が出ておるわけであります。この十一億ドルというのは大変な金額ですよ。我が国の金融システムの根幹を揺るがすほどの大きな問題じゃないですか。これを我が国の大蔵大臣に九月の十四日まで報告しなかった。  総理はいつ報告を受けたのですか。
  41. 村山富市

    ○村山内閣総理大臣 今大蔵大臣から答弁があったその日に報告を受けました。
  42. 谷口隆義

    谷口委員 総理、大蔵大臣は九月の十四日だと言っているのです。これはどういう理由で、八月八日に大体の状況をお聞きになって、報告しなかったのですか。
  43. 西村吉正

    西村政府委員 八月八日に私がお話をお伺いした内容は先ほど申し上げたとおりでございまして、それをほのめかしと言うかどうかは別といたしまして、実態はそのとおりでございます。  なお、大和銀行が事態の解明をある程度行った上大蔵省銀行局に対しまして不祥事件として概要報告を行ったのが、九月の十二日のことでございます。次官及び大臣に御報告いたしましたのはその二日後になるわけでございます。
  44. 谷口隆義

    谷口委員 私、先ほども申し上げたように、米国に行きまして監督当局の方と、また議会関係者の方とお話をさせていただきました。何回もこれは繰り返すことでありますが、四十日間報告しなかった、日本大蔵省は非常に不透明だと言っているんですね。どうして報告をしなかったのだと言っている。また、FRBのグリーンスパンさん、またニューヨーク州銀行局長のレビンさんあたりは、FRBまた州の銀行局の威信を大きく傷つけた、このようにおっしゃっているのです。  そのような大変大きな重要な事件、もう事件と言っていいのだと思いますが、この八月八日の件をなぜこのようにすぐに報告できないのか。これが今の日本金融システム、今問題になっております護送船団方式、密室行政と言われるような、まあ保護行政ですよ、規制でがんじがらめにした保護行政。このような状況の中で、事実を覆い隠して、カバーアップ、不正を隠匿いたしておる、このように米国の当局は考えておられるわけでありまして、公聴会の状況を見ても、ずっとそのような意見が出ているじゃないですか。この事件で日本金融システム、また日本金融行政が大変な信用失墜をしたのではないか、私はこのように思うわけであります。  この八月八日の件は、たとえほのめかし程度の問題であっても、これはすぐにやはり大臣報告し、総理に報告し、すぐにやらなきゃいかぬわけです。現に米国当局は、本来十二月ごろに処分があるのだろうと思っていたものが十一月の二日に、ニューヨーク支店の閉鎖、またダイワ・バンク・トラストの業務停止くらいだろうと思っていたものが大和銀行の米国からの完全撤退でしょう。もう即時に反応して米国監督当局はやったわけであります。  これに対して我が国は、その後まだ何もやっていない。銀行局長、あなたの責任は大きいですよ。その上の大臣は、当然この部下への責任は大きいですよ。どのように考えられます。
  45. 武村正義

    武村国務大臣 既にたびたび御答弁申し上げてまいりましたが、この事態の対処において、事はアメリカで起こっている、アメリカで許可をもらって、日本の支店ではありますけれども金融活動をしている、その現場で起こっているということと、アメリカのこういう問題に対する取り扱い方、監督当局も司法当局も含めて、あるいはアメリカの国民世論も含めて、そのことに対する十分な認識を持っててきぱき処理したかというと、ややそういう点では十分な認識を持ち得なかったということは、今率直に振り返って反省をいたしているところであります。  ただ、詳しく局長等からお話を申し上げましたように、広い意味では日本の企業ですが、あるいは日本社会と言ってもいいかもしれません、あるいはこれまでの金融機関においては、こういう不正事件が起こりますと、まず内部できちっと調査をして、どうするかはっきりさせて、その上で監督当局としての大蔵省がそのことに対してどういう措置を講ずるかという、二段構えで今日まで来たわけであります。  そのことがある意味では問われているとも言われますが、そういうことから考えますと、特に今回の場合は告白状が私信として頭取に届いたというところから始まっておりますが、頭取がそもそも最初の、まだ事態の真偽が十分把握できていないにしても、最初報告が八月八日でよかったのかどうかという問題が一つあります。  そしてまた、八月八日の対応としては、私は、頭取自身がまだ真偽のほどが明らかでないということを言いながら、もう調査に入っていますが、きちっと事態を確認して、そして報告に上がりますということですから、その形は、何というか、我々日本人の常識から見るとそうおかしいことではない。  したがって、その八月八日の話から一定の距離があって正式の報告が上がってきて、直ちにアメリカ当局にも伝えるということでなければなりません。  この期間が四十日というのが長かったかどうか。少なくともアメリカ当局は長過ぎる、もっと早くということであろうかと思いますが、そうかといって、まだ真偽のほどをきちっと銀行みずからも確認できていない状況で、すぐに各方面に報告をしたり発表するということは、普通の場合はなかなか、少なくともこれまで日本の企業はやってこなかった対応の形であります。そういう意味で、やや全体として時間がかかったな、かかり過ぎたなという反省はしなきゃならぬと思います。  これは大和の関係者中心でありますけれども大蔵省も、もっとその間催促をするとか、そういう努力をどこまでしたのかと言われると、そういう点で反省点があるかもしれませんが、だれかがおっしゃったというお話でございますが、大和みずからもこれを、少なくとも一千百億円という巨大な金額を隠ぺいする、隠して表へ出さないで済まそうなどということを考えたとは決して私は思いません。  当然、私ども行政当局としましても、この話を聞いて、今お話の間、これを大和と一緒に隠し通そう、共謀とか隠ぺいとか、そんなことは全く考えないことであります。
  46. 谷口隆義

    谷口委員 今まではそういう問題があったら直ちに報告があったとFRBが言っているのですよ、何で今回だけ報告がなかったのだと。今回大和に、米国当局に報告するように大蔵省から言いましたか。  先日我々がアメリカに行った折に、SECのある方でありますが、これは日本大蔵省と自宅の電話番号さえ交換してやっておるのだ、このように密接にやっておる、このように言っておりますよ。これはもう公式であるか非公式であるかということと関係なく連絡をとり合っているのだ、このように言っているのですよ。  なぜこのような大きなことをすぐに報告しないのですか。このような不正の蓋然性が非常に高い話を聞かれたわけでしょう。それも巨額の不正ですよ。おかしいじゃないですか、これ。  四十日程度というのは、それは国際社会で許されないことなのです。日本は十年前に、プラザ合意以降どんどん自由化し、国際化していったわけでしょう。にもかかわらず、行政は全然まだ変わっていない。保護行政、過保護行政。国際化に対応した措置なんてやっていないじゃないですか。今そのような問題が、ここに一つの典型的な事件として起こったわけでしょう。これは極めて重要な事件だと思いますよ。  私は、今回この事件において、きちっとした責任をとるような処分をしないと、これはジャパン・プレミアムですよ。本来、個別金融機関の問題じゃないですか。今回は銀行トータルでジャパン・プレミアムがかかっておるわけであります。これは日本金融システム、金融行政に対する不信任を突きつけられたわけであります。  このような重要な事件であるということを、今私お聞きしますと、どうもそのような認識が感じられないわけであります。きちっとこのあたりの責任明確化して、早急に処分するものは処分し、大蔵大臣、あなたも僕は責任があると思いますよ。重大な責任がありますよ。十分そこを認識してやってもらいたいのです。これは極めて大きな事件であります。  先日、「大和銀行問題・その背景と政策課題」という米国議会調査局の報告があって、大蔵行政について述べられておるわけであります。これは、開示とか監督よりも個人の人間関係に重点を置くために法的一貫性や透明性が欠けるんだ、預金者や株主よりも銀行当局やその監督者の利益保護を優先しておる、銀行間の競争を制限し市場原理による脱落を許さない、このような行政大蔵省行政なんだ、このように言っておるわけであります。米国の議会調査局の報告でございます。このような状況の中で我が国大蔵省はどういう対応をするんですか。大蔵大臣
  47. 西村吉正

    西村政府委員 米国のみならず他の国々の金融当局との間でも、従来から金融情勢についてあるいは金融機関の問題点についてお互いに情報交換を行ってきておるところでございまして、従来は行っていたのに今回は行っていないということではございません。今回も実態を解明した上で九月の十八日に大和銀行に通報をさせるとともに、私どもからも並行して当局に通報をいたしました。要するに、実態を解明した後、当局及び当事者から通報をしたということでございます。  ただ、先ほど大臣からお答えをいたしましたように、大蔵省として今回四十日間という期間が実態解明に費やされたことについて反省点があるかという点につきましては、私どもとしても反省すべき点があるのではないかということで、今後このような事態にどのように対処するかということは、現在大蔵省内に局長クラスから成る委員会を発足させまして、このような問題の対応策を検討して年内に結論を御報告する、このような予定をしております。
  48. 谷口隆義

    谷口委員 今おっしゃるようなことは本当に国際社会で通用しないんですよ。四十日程度の問題じゃないんです。これは動けばすぐわかることなんですから。すぐにこのような全容なんて、これは把握できますよ。そのようなことをアメリカの監督当局がおっしゃっておるわけであります。これは、グリーンスパンさんも公聴会でこのようにおっしゃっています。日本大蔵省の何人かは八月上旬に大和の損失について知らされていた、彼らは大和に対し、米国当局に情報提供するように指示しなかった、また彼ら自身もしなかったんだ、このようにおっしゃっているんですよ。  この問題は、先ほどから申し上げておりますように一事件じゃないんです。日本金融行政の根底に流れているところから出ておる一つの典型的な事件なんですよ。四十日間で事件を把握するといっても、そんなものすぐできるじゃないですか。もう八月八日の段階で、大和銀行は井口本人に会って全容はわかっているわけですよ。七月二十四日に井口の手紙があったということはわかっているわけでしょう。わかっておって、八月八日に何がほのめかし程度なんですか。常識から考えておかしいじゃないですか。
  49. 武村正義

    武村国務大臣 先ほどお答え申し上げたように、この事件に対する対応の仕方について、厳しい御指摘は率直に受けとめなければならないと思っておりますが、ただ、日本とアメリカ、特に財務省を中心とした当局との関係について申し上げますと、少なくともこの春以来の急激な為替の変動の中で従来以上に緊密な連携をとってきたわけでありますが、四月のG7以降はむしろ、日米間、この当局間、呼吸を合わせながらともに協調介入等も含めて努力をしてまいりました。そのことが結果として為替相場の円高をとめて反転させることにもつながってきていると思っていますし、背景に、私が言いたいのは、日米通貨当局の信頼関係があったと思っています。  先般グリーンスパン議長も今御紹介のように議会で証言をされましたが、大蔵省の通報のおくれは、これはもう大変残念だと、リグレッダブルだと率直に語っておられますが、結びの言葉で、御承知のように、「大和問題発覚後、日本の当局が事件解決のために米国監督当局と全面的に協力してきたことに満足をしている」、こういう証言もされているわけであります。  問題は、おくれたことに対する反省も含めて私どもは今率直に申し上げておりますが、その後直ちにこの事態の中でどう我々が努力をしていくかということについては、アメリカ当局も一定の認識を持ってくれているということをあえて申し上げているわけですし、大蔵省としましても、今局長が申し上げたように、この事件からどう学ぶか、どう反省するかということで、三局長いろいろと四点に絞って議論をしてきておりまして、年内にはこれをまとめて内外に発表させていただきたいし、その方針をまた国際会議等の場でも、今回の反省を踏まえて日本から必要なものは提案をして、努力をしていきたいというふうにも思っているところでございます。  反省に立って、二度とこういうことが起こらないようにしっかり頑張っていくというのが私どもの姿勢であります。
  50. 谷口隆義

    谷口委員 八月八日の会合は、当初大蔵省は否定していたようですよ。それが今回やったということになったようです。初めはどうも否定しておったというような報告がございます。  また、先ほど私が申し上げましたこの議会報告の中で、「大蔵省は円高対策としての通貨市場への介入のために米国に緊密な協力関係の樹立を請い求めていたまさにその同じ時期に、大和銀行事件の重要な情報を米国側に隠していた」、このように言っておるのです。まさにこれは、本当に最後に、大蔵省の改革は外圧しかないのか、このように言われておるわけであります。大蔵省の中で、またこの我が国の中でみずから改革はできないのか、このように言っているわけであります。  今ずっと払お聞きしておりましたが、一金融機関の一事件じゃないのですよ。そのような重要な感覚を持っていただかないと、これは大蔵大臣、困りますよ。  大蔵大臣は、この八月三十日ですか、木津と兵庫の処理発表をしたときに、これで一つの山を越えた、このように記者発表されているのです。全然山を越えていないじゃないですか。このすぐ後ですよ。それで、九月の一日にあなたは海外に行かれておるわけですよ、反核のために。そこではこのような重要事件がもう既に発生しておったわけであります。  あの阪神大震災の折に、村山内閣、五千数百名の犠牲者が出ました。これはやはり初動のおくれなのですよ。今回のこの金融事件も、この金融事件を一つの教訓としてやるのじゃなくて、すぐに動かなければいかぬわけです。早急にこれは動かないと、ジャパン・プレミアムはなかなかなくなりませんよ、これは日本金融システム、金融行政に対する不信なのですから。きちっとした処分を責任を明確にしてやってもらいたい、私はこのように思います。早急にやらないと、これは大きなまた国際問題が――おさまっていないわけですから。  総理、御見解をお願いいたしたいと思います。
  51. 村山富市

    ○村山内閣総理大臣 先ほど来お話がございますように、これはやはり銀行金融機関内部の管理体制をしっかりして、そして長い期間にわたって不正行為が発覚しなかったというような管理運営のあり方というものはやはりよろしくないというふうに思いますから、その内部のそういう体制というものをしっかり確立をしていく。それから、金融機関行政のあり方についても、これは単に情報の連絡をし合うとか、あるいは透明性を高めるといったような問題だけではなくて、やはり一定の距離を置いた緊張関係というものをしっかり考えておく必要がある。  同時に、私は、アメリカにおけるそういうあり方と日本のあり方との場合に、若干の考え方の違いがあるのではないかというところにやはり起こってきた問題があると思いますから、先ほども申し上げましたように、国際化がされている状況の中で、そういう日本の特別な体質というものがもしあるとするならば、そういう体質を徹底的に解明して、そして国際的なルールに従うというようなことをやっていく必要があるのではないかというようなこともあります。  私は、先ほど来御指摘がありますように、これは大和銀行だけの問題ではなくて、やはり日本金融機関全体のあり方に対する国際的な評価に関する問題だというふうに受けとめていますから、今回の事件、いろいろな経緯について厳しく受けとめて、その教訓に学んで、改めるべきは改めるという決断を持って対応する必要があるというふうに考えております。
  52. 上原康助

    上原委員長 時間が経過しておりますので。
  53. 谷口隆義

    谷口委員 では、私最後に、要するに、先ほども申し上げたように、きちっとしたけじめをつける、責任を明確にし、処分するものは処分する、それから始まるわけですよ、この改革は。そういうことで私の質問を終わりたいと思います。  以上でございます。
  54. 上原康助

    上原委員長 これにて谷口君の質疑は終了いたしました。  次に、松本善明君。
  55. 松本善明

    ○松本(善)委員 昨日来の審議でも今までの審議でもそうですが、大和銀行のアメリカでの不祥事、住宅金融専門会社不良債権など、金融破綻の深刻さというのは想像を絶するものがあると思います。  東京協和、安全二信組の不良債権の問題、これも大きな問題になりましたが、これはせいぜい合わせて千五百億なのです。ところが、この日本金融界最大のガンと言われておる住専不良債権は、大蔵省の立入検査の結果、八兆四千億ということが明らかになりました。東京協和、安全信組の五十倍をはるかに超える、単純計算五十六倍です。そのうち、回収不能に近い債権額、まあロス懸念額とも言われていますが、全体の七五%、六兆三千億円に上るということであります。  二億組の場合は、御存じのように背任罪で刑事事件となり、我々も逮捕の許諾もする、政治家の関与との関係で。となったわけですが、これだけ回収不能に近い債権があるということになると、内容的に同様のものがざらにあると言っても決して過言ではない。回収不能がわかっていて貸し付けたとすれば、当然背任罪に当たります。これだけ多額の回収不能債権があるとすれば、当然そういう問題に目を向けなければならないと思います。  そこで、法務大臣に伺いたいのでありますが、法務大臣は同時に国家公安委員長の臨時代理もやっておられると思います。その立場で答えていただいてもいいし、警察庁が答えてもいいですが、これらを捜査の対象として視野に置いてやっているのかどうか、このことを法務省と、それから警察庁に聞きたいと思います。
  56. 宮澤弘

    ○宮澤国務大臣 どのような事案につきまして捜査を行うかは検察当局が個別に判断をすべき事柄でございますので、法務大臣としての答弁は差し控えたいと思いますが、金融機関不良債権問題につきましては、多くの報道がなされ、また国会におきましても議論されているところでございますので、検察当局はそうした報道や議論の内容も念頭に置きながら、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適正に対処するものと思っております。  また、警察、公安委員会の関係につきましても、刑罰法規に触れるというようなものでありますれば、警察当局はこれに適切に対処するものと考えております。
  57. 松本善明

    ○松本(善)委員 法務大臣答弁は差し控えると言って後も言ったんだけれども、本当は一般的な指揮はできるんですよ、大臣は。やはりこういう問題、重要だからやるべきだということをやはり言うべきだと思うんですよ。そこがやはり非常に内閣が腰が引けている一つの原因だと思います。そのことだけを指摘をしておきます。  警察庁、特にありますか、今の答弁以上のことが。あれば答えてください。
  58. 野田健

    野田(健)政府委員 いわゆる不良債権問題に絡んで各種報道がなされていることは承知しております。回収が不能、もしくは著しく困難な債権を生じさせたということだけで犯罪になることではないことはもちろんのことでありますが、警察としては、この不良債権問題をめぐって刑罰法規に触れる事実があれば厳正に対処してまいりたいと考えております。
  59. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理、あなたは、不良債権発生の原因の究明とか責任の所在を明らかにすることの重要性というのは再々述べられました。昨日もきょうも、ディスクロージャーの必要性というのは各委員から強調されたわけでありますが、現在の段階では国会には何も明らかになっていない。原因も責任の所在も全く明らかになっていないという状態。全体の不良債権幾らあるか、それだけですよ。あとは抽象的な答弁だけです。これで原因を究明しなければ正確な対策はできないですよ。こういう状態で公的資金の導入を前提とする処理なんてとんでもないと思います。世論調査でも、七三%の人が公的資金の導入には反対です。こういう状況では、世論は絶対納得しない。  そこで、昨日も問題になりました住総と、それから住専各社が不良債権を大量に持っておる末野興産の問題について具体的に聞こうと思います。これは、きのう来の答弁を聞いていますと、個別問題は答弁しないという可能性があります。農水大臣まで個別問題だということで報告を受けていないと言う。こんなばかなことはないと思うんです。  それで、私は具体的に聞きます。恐らく銀行局長が随分答弁に立つことが多いことと思いますが、総理大臣にも、それから関係大臣にも、これでいいのかどうかということを聞きたいと思いますので、よく聞いておってください。これで一体日本金融のガンは治せるのかという問題。大蔵省銀行局長にも聞きますけれども、あなたも、そういう視点で私は聞くんだということを心して答えてもらいたいということを申し上げておきたいと思いますし、委員各位にも、一体これでディスクロージャーはいいのか、あるいはこれで金融界のガンは治せるのかという観点を提起をしたいと思いますので、そういう観点でお聞きをいただきたいと思います。  具体的に申しますが、信託銀行七社が母体行となっております住専一つ住総の例で質問しますが、住総はいっぱい問題があります。奈良県の生駒市のかけ地で担保価値ゼロと言われているところに六億円の担保をつけたとか、やはり生駒市に購入した四万坪の原野に二百二十四億の融資をしたが、現在の価格は全部で四十億が限度だと言われているとか、名古屋のある不動産業者が十二億で買った土地に十五億の融資をしたが、競売に際してつけられた最低入札価格は三億三千万余りというような、乱脈経営の例はもういっぱいあります。  この住専各社が融資をして、ほとんど不良債権化しているという末野興産の問題を質問をいたします。昨日もこの問題が質問がありましたが、私のやりますのはその具体例であります。  それで、住総は、本年八月二十八日、JR博多駅前の一等地七百四十平米を、大阪府吹田市の不動産業末野興産から三十六億円余りで購入をいたしました。それで、資料を見ていただきたいんです。ちょっとわかりやすく表にいたしました。真ん中の部分、九〇年十二月二十日に融資が九十二億住総から末野興産になされて、抵当権が設定されている。九五年八月二十八日にこれを三十六億で購入したことにして、債権を放棄をしている。この三十六億以外は登記簿に出ております。これは登記簿も持っておりますが、この土地は福岡市博多区博多駅中央街四十八番と四十九番の土地であります。このようなことを確認できるかどうか、法務省に聞きたいと思います。
  60. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 委員から、今御指摘の二筆の土地について、特定してその登記の記載についてお尋ねがございましたので調査をいたしましたところ、今御指摘の二筆の土地について、平成二年十二月二十日付で債権額九十三億円ということで、九十三億円の金銭消費貸借を原因とする抵当権設定登記がされておる。それから、平成七年八月二十八日受け付けをもちまして、抵当権の放棄を原因とする抵当権の抹消の登記がされているということを確認しております。あわせて、平成七年八月二十八日受け付けをもって、売買を原因として株式会社住総に対する所有権移転登記がされているということも確認いたしております。
  61. 松本善明

    ○松本(善)委員 この三十六億というのはどういうことかといいますと、これは周辺の基準地価から見ても相当高値になっていると地元の不動産鑑定士は言っておりますが、実は、この購入のときには、二十二億二千万という価値だということが社内の土地評価書に出ているんですよ。それは住総の内部資料で私は確認をしております。ところが、ここに住総のやはり内部文書で、大阪業務第一部の文書がありますけれども、管理台帳です、それによりますと、それが十四億余りを上乗せをして三十六億二千六百十九万六千円ということで買っています。  住総は一兆三千億円もの焦げつき債権を抱えて、母体行が年内にも清算手続をとるということを決めている、事実上倒産状態の会社です。昨日も、非常に悪い状態だということは銀行局長答弁をいたしました。新たに大規模の土地購入をするというようなことは、まことに不可思議なこと、そんなことはあってはならぬことなんですよ。  一体これは、大蔵省はその事実を把握をしているのか、またそれが事実とすれば、正常なことだと考えるのかどうか、答弁をいただきたい。
  62. 西村吉正

    西村政府委員 私ども住専八社につきまして八月に調査を行ったところでございますが、会社の全般的な経営状況について全体像を把握するということでいたしたものでございます。今御紹介のありましたような個々の取引の具体的な経緯あるいはその評価等につきましては、私どもとして個別取引の内容にまで立ち入るということは通常はいたしておりません。(松本(善)委員「事実とすれば正常かどうか、ちょっと、それに答えてない」と呼ぶ)事実とすれば正常かどうかということは、この事実自体を私どもが直接把握したものでございませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  63. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理、これを、写真を見てください、真ん中のね。これはその場所なんです。何にも建っていない。何にもしなかった、末野興産は。何にもしないで九十三億借りて、三十六億で住総に買ってもらったわけですよ。幾らで買ったかによって利益はわかるわけですけれども融資が行われた九〇年当時、この土地周辺は、基準価格表によりますと一平米当たり八百万円程度であります、ここにその写しがありますけれども。問題の土地は相場で大体六十億を切る価格だった。しかもこの地域は、当時国土法の監視地域に指定されておりまして、売買価格を自治体に届け出なければならない、相場を大きく超える価格で売買することができない土地だったのです。実勢価格六十億と最大限に見ても、そうすると、最低でも三十三億ぬれ手にアワで末野興産は利益を得たことになるのですよ。  こういうことは、大蔵省調査対象にしないのですね。今の話では調査対象にしないようですが、一言答えてください。
  64. 西村吉正

    西村政府委員 私ども銀行の検査あるいは住専調査等において経営実態を全般として把握することに努力をしておりますが、個々の事実の具体的な事例について解明するということにはおのずから限度があろうと思います。
  65. 松本善明

    ○松本(善)委員 何にもやっていないのですよ。住総は、このときの土地購入と同時に末野興産に融資をしていた九十三億の債権を放棄した。先ほど登記簿に基づいて民事局長答弁したとおりです。大口の不良債権を帳消しにしてしまったのです。少なくとも五十七億、三十六億と比較すれば五十七億、二十二億と比較すれば七十一億の損失を与えているわけです、この取引によって。住総はその損失をしょっているわけです。  大蔵省は、八月十六日から住専各社の立入調査に入って、住総に対しても調査官を送っております。数人送っている。住総の大阪支店の調査は、博多駅前土地の購入の前日、八月二十七日に行っているということがわかっています。前日ですよ。恐らく、推測すれば、調査に入ってきているから不良債権隠しをやったのではないかということも考えられます。これはもう今までの答弁で、大蔵省はこんなことは何も把握していないに違いないんだ。やっていない。もともとやらないんだから。これはもう聞きませんけれども。  それから大蔵省は、調査の一週間前の八月十日前後に住専各社の不動産担当部門を都内に集めて、担保不動産の評価書を準備するよう指示しています。これは認めますか。これは一言で言ってください。
  66. 西村吉正

    西村政府委員 御指摘の日にそのようなことをしたかどうか、ちょっと私今つまびらかにできませんが、調査を効率的に進めるために準備をするようにというようなことは言っておると思います。
  67. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、原因の究明をしようという委員会に、銀行局長の姿勢としてはもう全くなっておらぬと思いますよ。  それで、これはなぜそうなのか。この評価を知っていて黙認をしたのか、それとも大蔵省に隠れて住総がやったのかという問題なのですよ。これは隠れてやったとしたらとんでもないですよ。もし、大蔵省が黙認していたとしたら、大蔵省責任は極めて重大ですよ。こういうようなことをはっきりさせなければ対策は出てこないじゃないですか。  これはもう聞いても始まらぬから聞きませんけれども、この取引は、住総不動産権限規定という内部文書がございます。これによりますと、販売用不動産の取得権限は常務会にある。常務会というのは母体行の信託銀行七社出身の社長、専務、常務ら七人で構成されている。その名前は資料で配付しているとおりであります、読みませんけれども。これは全部代表取締役であります。これはもう間違いなく母体行の責任でこういうことをやっているわけですよ。  それで、住総の社員は、未野との取引開始のきっかけは母体行の紹介だったことから住友信託案件などと呼ばれていたと、ここまではっきりしているのです。これは、こんなことはもちろん調べてもいないでしょう、銀行局長。もちろん調べていないでしょう。ちょっと、一言でいいよ、調べていないなら調べていないと言いなさい、時間もうないから。
  68. 西村吉正

    西村政府委員 そこまで具体的なことは承知をしておりません。
  69. 松本善明

    ○松本(善)委員 これはもう明白な不良債権隠しなんですよ。何にもやっていない。この取引によって住総は何の利益もありません。不良債権隠してさらに住総の損失をふやしているのです。これは明らかに商法上の特別背任罪を構成していると思います。さきに述べた融資が行われた九〇年当時、この土地周辺の基準地価、先ほど述べたとおり六十億切っている、それに九十三億の融資、これも特別背任罪に当たるのではないかという疑惑がありますが、後の方の不良債権隠しはもうさらに悪質です。部内の評価書に十四億乗せて三十六億で買ったことにして、九十二億の債権を放棄する、こういうことを大蔵省に隠れてやっていたとすれば、ますます重大なんです。  法務省の刑事局長に聞きますけれども不良債権を隠すために会社に損失を与えるというのは、これは商法上の特別背任罪に該当しませんか。一般論として聞きたい。
  70. 則定衛

    ○則定政府委員 一般論といたしまして、不良債権隠しのために債権を放棄するということが、場合によっては図利加害目的、任務違背行為という場合に当たるということもあり得ようかと思います。
  71. 松本善明

    ○松本(善)委員 農水大臣、あなた聞いていて、農協系金融機関との関係で昨日以来答弁していますけれども一体こういうことで、あなたはもう何にも知らないで一体原因の究明、責任の所在、明らかになっていると思いますか。時間もありませんから簡明に答えてください、あなたの答弁は全部知っていますから。
  72. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 何も知らないわけじゃありません。今まで系統母体行あるいは住専と延べ十回にわたって協議していまして、その中身につきましては報告を受けております。ただし、八月に大蔵省立入調査したものにつきましては、昨日来の議論のとおりまだ報告を受けていない、こういうことであります。  やはり国民の理解を得るためにはこういうものは明らかにしていかなければいけないことだ、こう思います。
  73. 松本善明

    ○松本(善)委員 この末野興産というのは、関西中心に百以上のビルを経営している不動産賃貸業者でありまして、住専各社は末野興産に巨額の融資をしている。住総も昨年九月の時点で、関連会社ワールドエステート社と合わせて五百十億円の融資をしています。未野グループはバブル崩壊後、金利の支払いを停止しており、住総にとって大口の不良債権一つになっております。  九一年七月、福岡市内の建築基準法違反事件に関して福岡県警は、末野興産は暴力団山口組の企業舎弟と見られると発表した。用地の地上げに山口組組員がかかわったこと、ビルのテナント料が暴力団の資金源になっていた可能性があるとして捜査をいたしました。末野興産側は否定をしましたが、ある住総社員は、末野興産が暴力団とのかかわり指摘されるような会社だということは社内でも周知の事実だったということを言っております。  この住専問題については借り手責任の問題が焦点の一つになって、武村大蔵大臣も再々この借り手責任の問題を言われたと思います。借りた側にも相当の責任があるとたびたび答弁している。  不良債権のかなりの部分が暴力団絡みになっていると見た方がいい、公的資金を導入するなら取り立てをきちっとすべきだ、そうしないと暴力団に甘い汁を吸わせることになる、国民の犠牲の上に暴力団がもうかることになる、こういうふうに言っている元警察高級幹部もおります。これはもう徹底的に調査して明らかにすべきではありませんか。  法務大臣にお聞きしたい。それから警察庁にも聞きたい。それから大蔵省も、こういう視点から調査をするかどうか聞きたいと思います。
  74. 野田健

    野田(健)政府委員 県警が末野興産について暴力団とのかかわり合いを認めている旨の広報はしていないと承知しておりますが、一般論といたしまして、警察としては、いわゆる不良債権問題も含め、いかなる事案においても、それが暴力団とかかわりがあろうとなかろうと、個々の事案に応じ、刑罰法規に触れる行為があれば厳正に対処してまいりたいと思います。
  75. 則定衛

    ○則定政府委員 お答えします。  今この不良債権問題に関しまして、この委員会におきましても、いわゆる貸し手責任、借り手責任の問題について、総理大臣も厳しく対処する必要がある、こういうことを答弁されているわけでございまして、検察当局におきましても、この一連の不良債権問題というものにつきまして、そのような最近の国会あるいは新聞報道等々も十分念頭に置きながら、刑事事件として取り上げるべきものがあれば適正に対応するということだと承知しております。
  76. 武村正義

    武村国務大臣 この国は、少なくとも、一つは法治国家であります。一つは私的な営利活動の自由が認められている国であります。そういう中で私どもも、銀行融資住専も含めてでありますが、一件一件を事前に相談を受けたり、チェックしたり、許可、認可を与えている、そういう関係ではありません。当然、法にもとる行為があれば、これは厳しく、私どもも含めて、その責任を追及しなければならないと思っておりますし、二億組につきましても、発表と同時に経営者の民事上、刑事上の責任は厳しく追及する。むしろ新しい経営者にそのことを大蔵省としてはお勧めをしてまいりましたし、今後ともこの不良債権問題、個々の案件について法にもとるような事例が出てくれば、私どもの立場におきましても厳しく責任を追及していくという姿勢を強めていかなければならないと思っております。
  77. 松本善明

    ○松本(善)委員 総理、今ずっとお聞きになったような、解明すべき問題は物すごくある。あるけれども、何も出ていないのですよ。あなたは先ほど、最初にも申しましたように、予算委員会で、不良債権が発生した原因の究明、責任の所在を明らかにすることなしに公的資金の導入はあり得ない、こういうふうに再々答弁をしておられます。今紹介いたしました実態住総に限りません。住専各社、大なり小なり共通しているのですよ。  今報道されております政府の処理案といいますのは、私どもは手の込んだ公的資金の導入案だというふうに見ています。といいますのは、住専処理のために公的資金を導入することを前提に、国民にそれがわからないように、直接財政資金を投入するのではなくて、受け皿機関をつくって、とりあえず日銀の資金などの出資で時間を稼いで、実際の損失が発生した段階で財政資金を投入するというやり方だと思うのですよ。  これは不良債権が発生した原因の究明とか責任の所在が明らかになっていないのだから、そういうことは絶対決定すべきではないと思うのです。あなたの答弁とも違います。そういうようなことを原因の究明なしにやらないということを約束できるか答弁をいただきたい。
  78. 村山富市

    ○村山内閣総理大臣 この公の席で個別の会社経営の内容あるいはその取引の状況等を具体的に議論をすることは、私はやはり差し控えるべきだと思うのです。  ただ、全体として、これからこれだけこの不良資産を抱えて、しかも金融不安が可能な限り少なくなっていくような努力をしなければならぬ。そして、日本の今の景気の動向というものを考えた場合に、景気の浮揚も図らなければならぬ。そのためにこれは何としても早急に解決する必要がある。こういう課題を背負っている時でありますから、何としてもこれは早期に解決をしなければならぬという真剣な取り組みを今しているわけです。  その際に、これは最終的に処理をする場合に、何としてもこれは、やはり預金者の方やら、あるいは金融秩序を維持するために公的資金まで導入して解決せざるを得ない、こういう状況にもまたなりかねないかもしれない。そういう場合に、原因もわからない、実態もわからない、だれに責任があるのか、どこに問題があったのかというようなこともわからないままに公的資金が導入されるなんてことはあり得ない、私はそう思っています。  したがって、その過程において、個々の事案について刑事事件に触れるような問題があれば、これはもうだれかれ構わずに厳正に対応していくというのは当然でありますし、その内容は国民の前に可能な限り明らかにされて、国民の皆さんにも納得し理解をしてもらうという手だてを講じなければならぬというのは行政として当然のことである、私はそのように思っております。
  79. 松本善明

    ○松本(善)委員 我が国の金融制度の問題点は不透明性だと言われている。アメリカでは、もう何年もかけて議会で原因を究明して、千名を超える有罪者が出るなど、徹底的な責任追及も行われた。それをやらないで、ただ個別の問題は明らかにすべきでないということで、それで公的資金の導入というようなことになったら、もうとんでもないと思っている。今の形では、私は政府の努力で事態が明らかにならないんじゃないかと思います。  それで、私は、委員長にお願いしたいのですが、やはり国会としてはこのままに済ますわけにはいかないと思うのです。不良債権の生じた原因も対策も検討できない、それではだめだというふうに思いますので、証人喚問と資料の提出を議院証言法によって求めます。  きょうの質問の経過からいたしまして、証人として、住総の社長山本弘氏及び問題になっていた当時の社長の原秀三氏の喚問を要求をいたします。  また、住総不良債権額、破綻先とその債権額、その紹介をしたのは母体行その他ですね、紹介先別の債権額、暴力団の関係の疑いのある不良債権の資料の提出を議院証言法により住総に求めます。  またあわせて、昨日も要求がありました、またきょうも農水大臣が触れられました、八月の大蔵省調査結果を国会に提出するよう求めます。
  80. 上原康助

    上原委員長 後刻理事会において協議をさせていただきます。
  81. 松本善明

    ○松本(善)委員 質問を終わります。
  82. 上原康助

    上原委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  83. 海江田万里

    ○海江田委員 私は、最後の質問になりますので、総理にもいていただきたい。質問はしませんので、どうぞ御安心をいただきたいのですが。  一年間やってきまして、何が明らかになったかということで言うと、実はこれは余り明らかになったことはないんですね。全部中途半端なままなんですが、にもかかわらず、二億組の問題から始まりまして、そして住専の問題について、実はもうこの処理のスキームは、ほぼでき上がっているんじゃないかなという認識を私は持っておるんです。  それを念のためにもう一度わかりやすくおさらいをしますと、まず、この二億組の問題に始まった信用組合などの中小の金融機関の破綻問題、これはまだ将来的にも破綻をする可能性があるということ。一兆円規模以下の中小の金融機関の破綻については、これはもう大蔵大臣もはっきり言っておるように、破綻する可能性があるということ、このことはやはり押さえておく必要があると思うんですね。  その破綻するときのスキームですけれども、今までは受け皿機関として東京共同銀行をつくっていたわけですけれども、もう東京共同銀行では手に負えないということになって、それでもって日本版のRTCという、これはアメリカにもともとあった整理信託公社というもの、これをつくって、ここでもって受け皿機関にするよと。  では、ここのお金をどこから持ってくるんだというところで、これで今検討されているのは、預金保険機構を大幅に改組をして、この預金保険機構のところに恐らく財政の資金も持ってくることになるだろう、こういう流れなわけですね。  一方、今度住専の問題がもっと大きな問題として起きてきたということで、この住専の問題についても、同じようにやはり受け皿の機関をつくらなきゃいけない。  ただ、その受け皿の機関を、さっきお話をした日本版のRTCにするのかあるいは別のものにするのかということについては、まだこれははっきりしたものになっていないということ、これはきのうの答弁でも銀行局長からお話があった。ただ、同じような受け皿の機関はつくらなければいけないということ、そしてその受け皿の機関に対して、やはりこれも同じように預金保険機構を充実をさせて、そこに恐らく公的な資金を導入をしなければいけないだろうということ、これも一つの流れであるわけですね。  ただ、住専の問題は、信組の問題と違う点というのは、これはやっぱり今度は大手の都市銀行でありますとか信託銀行でありますとか長期信用銀行でありますとか、日本金融システムの一番根幹にかかわる問題と関連が出てくるということです。ですから、大幅にこれは、例えばその債権の放棄をするということになると、これはやっぱり金融システムにひびが入る可能性があるわけですね。  ですから、このひびが入る金融システムをどうやって立て直しをするかというところで、私が前にもちょっと質問をしましたけれども金融機関の体力をつけなければいけない。金融機関の体力をつけるということは、一番根本的にはやはり自己資本の比率を高めなければいけないということ。  その自己資本の比率を高めるやり方としては、これまで劣後ローンとか、ちょっと専門的になりますけれども、いろいろな方法をとってきたんだけれども、劣後ローンなんかというのはこの間兵庫銀行の問題でもうだめになっちゃっているから、最後に残っているのは恐らくこれは優先株だろうということで、問題はその優先株を市場でもって売るのか、それともこれは一つの公的な資金でもって優先株を引き受けをするのかどうなのかということ。これはRTCじゃなくてRFCというのがアメリカの一九三〇年代の金融破綻のときに出てきたわけですよ。だから、そういうものをつくらなければいけないんじゃないだろうかというような段階に来ている、私はこういう理解をしておるんです、大きな流れで。  これについては、大蔵大臣銀行局長、どちらでもいいんですけれども、こういう大きな流れはあるんだよということはお認めいただけるんですか、いただけないんですか。
  84. 西村吉正

    西村政府委員 今海江田先生から、最近の流れについて非常に的確な集約をしていただいたわけでございますが、私どもも同じような認識をしているところでございます。  そこで、今回の中間決算におきましても、いろいろと思い切った施策は銀行としてとっておるところでございますけれども、しかし、恐らくこの年末に政府あるいは金融システム全体として思い切った決断がなされ、それが恐らく三月期の決算において、各銀行においてそれを処理しなければいけない、そういう段階になりますならば、今御指摘の自己資本の問題も含めまして、相当今までと違ったような対応をとらなければいけないようなことが幾つも起こってこようと思います。私ども、この年末におけるいろいろな決定を踏まえまして、そのような点をよく金融界とも相談をしてまいりたいと考えております。
  85. 海江田万里

    ○海江田委員 最後になります。  今お話をした流れは恐らく総理も理解をしていただけたと思うんです。ただ、ここで一つやっぱり問題なのは、責任のとり方というのは非常にあいまいなわけですね。この解決策というのは、確かに一つ解決策であるのですけれども、すぐれて日本的な、あるいはアメリカなんかから見れば余りにも日本的な解決策であるということです。私は、本来でしたら、金融問題のこの処理については、従来の日本的なやり方を抜け出す一つの機会だったと思ったわけです。  ところが、残念ながら今示されておりますこの問題の解決方策については、これは相変わらず日本的な解決の方策であるということ、このことを指摘をしまして、時間も過ぎておりますので、私の質問というよりまとめを終わらせていただきたいと思います。  以上でございます。
  86. 上原康助

    上原委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして金融問題等についての集中審議は終了いたしました。      ――――◇―――――
  87. 上原康助

    上原委員長 閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。  予算実施状況に関する件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 上原康助

    上原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、閉会中審査案件が付託になり、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、その手続等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 上原康助

    上原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十分散会