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米沢委員 今の農水
大臣の御
見解に私もほぼ同感でございます。
ただ、特に
大蔵省も
農水省も、ここに至るまでの間全然関係なくやってこられたわけではないわけでございまして、それなりにそのたびごとに
意見を言い、そして通達
行政を通じでそれぞれを
指導されてきたという立場にあるわけでございます。したがって、私は、農協系
金融機関による
住専の
融資がなぜこんなに膨張し、それに
行政はどう関与してきたのかというところがやはり徹底的に究明されない限り、だからこそ護送船団だ、けしからぬという
議論に及ぶ話だ、そう思っておりますので、これからその点について触れてみたいと思います。
住専の
融資で農協
系統の
金融機関がどんどんどんどん急膨脹してきたその最初の決定打になったのが、私は、九〇年三月二十七日に出された二通の通達であった、そう思っています。その二通の通達とは何かというと、一つは、いずれも表向きは
不動産融資の総量
規制、自粛を求めるものでありましたが、一通は
大蔵省の
銀行局長名で
銀行などに出され、もう一通は
大蔵省銀行局長と
農水省経済局長の連名で農協系
金融機関に出されたものであります。
しかし、二通は中身がちょっと違う。前段の、不動産向け貸し出しについては、公的な宅地開発機関等に対する貸し出しを除き、その増勢を総貸し出しの増勢以下に抑制することを目途としてその調整を図るよう周知徹底願いたいとあるのですね。ただ一点、
銀行に出された通達の後段部分、また、上記の趣旨にかんがみ、当面、不動産及び建設業者、
ノンバンクの三業種に対する
融資の実行
状況を報告するよう貴傘下
金融機関に周知しなさいというのが農協系
金融機関の通達には書かれていなかったのですね。
そのことがすなわち、総量
規制については一般
金融機関、農協系
金融機関を
対象に
規制をされ、そのとき
住専自体は
対象外とされたというのが一つですね。そして、三業種
規制については、
規制対象は都銀等の一般
金融機関であって、農協
系統は除外されていた。ここから大きな問題が始まると我々は見ているわけでございます。
そして、いわゆる農協系にはなかったこの後段の部分があったがゆえに、
大蔵省から報告義務がつけられた
銀行は不動産業界への
融資を絞り込まざるを得なくなったわけでありますが、一方、農協系にはその報告義務がないために、事実上制限のない
融資が可能になっていたわけでございます。当然のことながら、巨額の
融資の肩がわりが発生をし、農協
金融は
住専融資を急膨張させた、こういう形になっていくわけですね。
その結果、これは数字ですから異論はないとは存じますが、八二年から
バブル期を含む九二年末までの間、農協系の貸付金増加額は六兆二千億に上ると推計されます。そして、
住専八社の貸付金増加額、約八兆六千億でございますから約七七%が農協系から注ぎ込まれることになっていったわけで、これは数字が示すとおりでございます。このような現象が起こった背景には、先ほどからるる言いますような二つの通達
行政、ここに深く
原因があると言ってもいいと思うのですね。
そこで
お尋ねをしたいのは、なぜ
銀行向けには書いてあったものが農協系向けには書かれなかったのか、どのような意図がそこにあったのかはっきりしてもらいたい。この通達は、役所でございますから、
大蔵省と
農水省が一言一句すり合わせてできたはず。それで、これは農協向けには書かないよ、これは
銀行向けに書こうじゃないかという判断がなされたその理由はどういうところにあったのか、これが一点ですね。思うに、農協系の
資金運用に便宜を図ろうとされた親心だったのかなという気もいたします。しかし、それがあだになった結果をつくったというふうにも思います。
第二番目には、もう先ほどから
議論がありますように、八三年に変動金利制の
住宅ローンが導入され、特に都銀の猛烈な勢いでこの分野への進出が始まっていたわけです。
住専は、あっという間に
住宅ローン市場を奪われて苦境に立った。ちょうど九〇年春には、
住専各社の第一次
再建計画をどうしようかという話があったころですね。そういう意味では、
住専そのものは相当
経営的には厳しい
状況になったという現実は、あなた方は知らないはずはない。だからこそ、農協から
資金が
住専に行って、
住専が不動産に
融資することを、逆に流れをつくろうとされたのではないか、そう推測されるわけでございます。
その当時、ちょうど八九年末で
住専各社の貸付先は、
個人向け
住宅ローンが三〇%を切っておりましたから、そういう意味では、
住宅ローンよりも不動産向けの
融資の方が七割を占めていた。だから、
住専に金が流れれば、
住専はそのパーセントで貸すとするならばほとんどが不動産の方に向いて走ったであろう。こんなことは
行政でわからぬはずはない。
にもかかわらず、
住専の総量
規制は外され、そして農協の
系統は金が
住専に行ってもいいような仕組みを通達
行政でしながら、今さらながら
指導ができなかったなんというのはナンセンスな話だと僕は思う。そのあたりをどう考えられるか、
大蔵大臣と農水
大臣に聞きたい。