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1995-12-08 第134回国会 衆議院 文教委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十二月八日(金曜日)     午前十一時開議 出席委員   委員長 柳沢 伯夫君    理事 小川  元君 理事 片岡 武司君    理事 河村 建夫君 理事 石田 勝之君    理事 船田  元君 理事 山口那津男君    理事 輿石  東君 理事 中島 章夫君       伊吹 文明君    稲葉 大和君       小野 晋也君    栗原 博久君       栗原 裕康君    栗本慎一郎君       斉藤斗志二君    蓮実  進君       渡瀬 憲明君    西  博義君       西岡 武夫君    福留 泰蔵君       藤村  修君    小林  守君       濱田 健一君    山原健二郎君       嶋崎  譲君    牧野 聖修君  出席国務大臣         文 部 大 臣 島村 宜伸君  出席政府委員         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部大臣官房総         務審議官    辻村 哲夫君         文部省初等中等         教育局長    井上 孝美君         文部省教育助成         局長      遠山 耕平君         文部省体育局長 小林 敬治君  委員外出席者         外務省総合外交         政策局国際社会         協力部人権難民         課長      川田  司君         大蔵省主計局主         計官      杉本 和行君         食糧庁計画流通         部長      爲季  繁君         労働省職業安定         局業務調整課長 井原 勝介君         文教委員会調査         室長      岡村  豊君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月八日  辞任         補欠選任   小野 晋也君     蓮実  進君 同日  辞任         補欠選任   蓮実  進君     小野 晋也君     ――――――――――――― 十二月五日  豊かな私学教育実現を求める私学助成に関す  る請願海江田万里紹介)(第九九九号)  同(牧野聖修紹介)(第一〇二七号)  同(稲葉大和紹介)(第一〇五〇号)  同(五十嵐広三紹介)(第一一〇七号)  同(今津寛紹介)(第一一〇八号)  同(岩田順介紹介)(第一一〇九号)  同(大原一三紹介)(第一一一〇号)  同(小森龍邦紹介)(第一一一一号)  同(輿石東紹介)(第一一一二号)  同(鈴木宗男紹介)(第一一一三号)  同(松本龍紹介)(第一一一四号)  すべての子供たちに対する行き届いた教育に関  する請願海江田万里紹介)(第一〇〇〇号  )  同(不破哲三紹介)(第一〇〇一号)  同(中山利生紹介)(第一一〇三号)  同(鮫島宗明紹介)(第一一一五号)  教育環境整備充実に関する請願原田憲君紹  介)(第一〇二四号)  同(近江巳記夫紹介)(第一〇六〇号)  行き届いた教育充実に関する請願原田憲君  紹介)(第一〇二五号)  同(井上一成紹介)(第一〇五四号)  同(近江巳記夫紹介)(第一〇六一号)  すべての定時制通信制高校生に対する教科書  無償夜食費国庫補助堅持に関する請願  (牧野聖修紹介)(第一〇二六号)  同(稲葉大和紹介)(第一〇四九号)  義務教育費国庫負担制度から削減・除外された  費用復元に関する請願沢藤礼次郎紹介)  (第一〇五一号)  同(網岡雄紹介)(第一〇八二号)  義務教育費国庫負担制度堅持に関する請願  (青木宏之紹介)(第一〇五二号)  同(沢藤礼次郎紹介)(第一〇五三号)  同(網岡雄紹介)(第一〇八三号)  人材確保法に基づく教職員待遇改善に関する  請願片岡武司紹介)(第一一〇六号) 同月六日  豊かな私学教育実現を求める私学助成に関す  る請願五十嵐広三紹介)(第一一三一号)  同(岩田順介紹介)(第一一三二号)  同(鳩山由紀夫紹介)(第一一三三号)  同(松本龍紹介)(第一一三四号)  同(秋葉忠利紹介)(第一一六八号)  同(粟屋敏信紹介)(第一一六九号)  同(上原康助紹介)(第一一七〇号)  同(近江巳記夫紹介)(第一一七一号)  同(左近正男紹介)(第一一七二号)  同(佐藤守良紹介)(第一一七三号)  同(中川秀直紹介)(第一一七四号)  同(中西績介紹介)(第一一七五号)  同(松本龍紹介)(第一一七六号)  同(横光克彦紹介)(第一一七七号)  同(池田行彦紹介)(第一一九八号)  同(中馬弘毅紹介)(第一一九九号)  同(中西績介紹介)(第一二〇〇号)  同(中山太郎紹介)(第一二〇一号)  同(中山正暉紹介)(第一二〇二号)  同(松本龍紹介)(第一二〇三号)  同(山本孝史紹介)(第一二〇四号)  同(塩川正十郎紹介)(第一二一〇号)  同(中西績介紹介)(第一二一一号)  同(松本龍紹介)(第一二一二号)  同(久保哲司紹介)(第一二一九号)  同(中西績介紹介)(第一二二〇号)  同(中村正男紹介)(第一二二一号)  同(柳田稔紹介)(第一二二二号) 同月七日  豊かな私学教育実現を求める私学助成に関す  る請願小杉隆紹介)(第一二三五号)  同(田端正広紹介)(第一二三六号)  同(中西績介紹介)(第一二三七号)  同(鉢呂吉雄紹介)(第一二三八号)  同(中野寛成紹介)(第一二五二号)  同(山花貞夫紹介)(第一二五三号)  同(佐藤静雄紹介)(第一三〇二号)  同(宮澤喜一紹介)(第一三〇三号)  すべての子供たちに対する行き届いた教育に関  する請願小杉隆紹介)(第一二三九号)  同(菅直人紹介)(第一二五四号)  同(山花貞夫紹介)(第一二五五号)  学校事務職員栄養職員給与費半額国庫負  担堅持に関する請願山原健二郎紹介)(第  一二五六号)  教育環境整備充実に関する請願中野寛成君  紹介)(第一二五七号)  行き届いた教育充実に関する請願中野寛成  君紹介)(第一二五八号)  義務教育学校学校事務栄養職員に対する  義務教育費国庫負担制度の維持に関する請願  (小林守紹介)(第一二九九号)  行き届いた教育を進めるための私学助成抜本  的な拡充に関する請願石井智紹介)(第一  三〇〇号)  同(中井洽紹介)(第一三〇一号)  義務教育費国庫負担制度から削減・除外された  費用復元に関する請願山原健二郎紹介)  (第一三〇四号)  義務教育費国庫負担制度堅持に関する請願  (山原健二郎紹介)(第一三〇五号) 同月八日  私学に対する公費助成大幅増額に関する請願  (田口健二紹介)(第一三八六号)  同(虎島和夫紹介)(第一三八七号)  同(西岡武夫紹介)(第一三八八号)  同(山原健二郎紹介)(第一三八九号)  学費値上げ私学助成削減計画の撤回に関する  請願藤村修紹介)(第一三九〇号)  豊かな私学教育実現を求める私学助成に関す  る請願栗原博久紹介)(第一三九一号)  同(樽床伸二紹介)(第一三九二号)  同(藤村修紹介)(第一三九三号)  同(西博義紹介)(第一四七八号)  すべての子供たちに対する行き届いた教育に関  する請願伊藤公介紹介)(第一三九四号)  学校事務職員栄養職員給与費半額国庫負  担堅持に関する請願岩佐恵美紹介)(第一  三九五号)  同(中島武敏紹介)(第一三九六号)  同(不破哲三紹介)(第一三九七号)  同(松本善明紹介)(第一三九八号)  同(山原健二郎紹介)(第一三九九号)  教育環境整備充実に関する請願藤村修君紹  介)(第一四〇〇号)  行き届いた教育充実に関する請願藤村修君  紹介)(第一四〇一号)  行き届いた教育を進めるための私学助成抜本  的な拡充に関する請願川崎二郎紹介)(第  一四〇二号)  同(田村元紹介)(第一四〇三号)  同(野呂昭彦紹介)(第一四七九号)  大学院生の研究生活条件改善と大学の充実  に関する請願藤村修紹介)(第一四七七号  ) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月五日  新たな学習指導要領作成完全学校五日制早期  実現に関する陳情書  (第二八〇号)  学校事務職員学校栄養職員義務教育費国庫  負担制度堅持教育予算増額に関する陳情書  (第二八一号)  過大規模校解消のための学校用地取得費補助制  度の継続に関する陳情書外一件  (第二  八二号)  二〇〇二年ワールドカップサッカー日本招致に  関する陳情書  (第二八三号) 同月八日  完全学校週五日制に対応する学習指導要領の改  訂に関する陳情書  (第三四〇号)  義務教育費国庫負担並びに教科書無償配布制度  の堅持に関する陳情書  (第三四一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件についで調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。濱田健一君。
  3. 濱田健一

    濱田(健)委員 久しぶりの文教委員会、本日は、わずかな時間でございますが、いじめの問題を含めて幾つか質問をさせていただきたいと思います。  大臣には、宗教法人法質疑が終わりまして本当に御苦労さまでございました。一日よろしくお願いいたします。  まず最初に、いじめの問題に関して少しお話を伺わせていただきたいのですが、十一月二十七日が大河内清輝君の一周忌でございました。残念ながら、その日にまた伊藤準君という、これから日本を背負っで立つ子供さんが亡くなられたことを、ここにいらっしゃる委員皆さん方を含めて国民の皆さん方、非常に残念な思いがしていらっしゃるというふうに思うのでございます。  昨年の十二月からことしの五月まで、いじめ原因とされる中学生の自殺が九件あるようでございます。その原因が潜在化し、ふくそう化していく中で、先生方にも、お父さんお母さんたちにも、そして仲間の子供たちにも、いじめ状況というのがなかなかつかみにくいということがよく言われております。  ただ、今回のケースでも、もちろんそういうふうに原因というものはふくそうしているというふうに思うのでございますが、聞くところによりますと、本人のいじめの叫びの声というものが十一月の二十二、二十三、二十四日の、いわゆる連絡帳という中に記されていた。二十三日がお休みでございますので先生学校に行かれません。ただ、二十二、二十四、この日には、この連絡帳を見ることができれば、伊藤君の声というものはしっかりと把握できたというふうに思うのでございます。  私も学校教員をしておりましたので現場の忙しさというのは十分わかっているつもりでございますが、見てやれなかったのはどうしてだったのだろうかな、やはり学校体制というか忙しさというか、そういうものが原因になっているのだろうかなというふうに自問自答したところでございます。その辺の調査といいますか報告等が入っておりましたら、お知らせを願いたいと思います。
  4. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  またも中学校生徒のとうとい命が失われましたことは、まことに痛ましく、極めで私ども重く受けとめているところでございます。昨年十一月以来、いじめの問題の解決のために取り組みを強化してきておりますだけに、極めて憂慮すべき事態であると受けとめております。  ただいま先生から御指摘がございました日記についてでございますが、これは学級担任との連絡帳でございまして、具体的には毎日の学習の予定や生活記録等を記人するためのものということでございますが、この連絡帳自殺について書かれでいたものでございます。この連絡帳伊藤君宅から発見されたと聞いております。  そこで、現在までの県教育委員会からの調査報告によりますと、伊藤君の学級では、これまで定期的にではなく、必要に応じて、随時学級担任連絡帳点検することとしておりまして、最後の点検は十一月二十一日であったと問いでいるところでございます。したがいまして、先生からただいまお話がございました二十二、二十三日の記述等については、まことに残念ながら、担任がこれを見ていなかったという報告を受けているわけでございます。  この連絡帳点検をどのような間隔で、例えば毎日行うべきかどうかは、学級実情等を踏まえまして、個々学級担任の判断に任されていたということでございまして、一概に点検方法の適否については判断できないというのが現在の調査による状況でございます。
  5. 濱田健一

    濱田(健)委員 法的な、何といいますか、書類ではございませんので、今お話しになったとおりに、担任の裁量でやられることというのはよくわかっているわけですが、今の子供たち生活状況行動記録等、しっかりと担任先生把握をするという必要性からいいまして、やはり、こういうことを毎日見ることのできるような状況というものを、個々学校、そして地教委等努力をしていかなければならないということは当然理解をしなければならないというふうに思いますので、御指導をお願いいたしたいと思います。  どの学校も、できるだけ子供たちと身近に接する、日常の生活の中から子供たちの心の動き行動状況等把握されるよう努力をされていると思うのですが、文部省としては、各県教育委員会を通してどのような形で子供と向き合う時間をつくれというふうに御指導されているのか、お尋ね申し上げます。
  6. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  教師児童生徒悩みを受けとめるためには、まず何よりも全人格的な接し方を心がけ、日ごろから児童生徒との温かな触れ合いをできる限り持つとともに、一人一人の児童生徒との心のチャンネルを形成するなど、深い信頼関係をはぐくむことが必要であると考えております。  このため、日ごろから学校全体で児童生徒生活実態のきめ細かな把握に努め、教職員相互において緊密な情報交換を行うとともに、職員会議の積極的な活用を図ることや、いじめ問題に関する全校的な組織を設けて対応に当たることなど、校長のリーダーシップのもとに一致協力して取り組むよう指導を行ってきているところでございます。
  7. 濱田健一

    濱田(健)委員 若い先生方には、子供たちの取り扱い方がなかなかうまくできないということで、悩みを持っていらっしゃる方が多いようでございます。私の鹿児島県でも、いわゆる精神的に参ってしまって、初任者当時休むということもよく話を聞くわけですが、初任研でのこの問題への取り組み方は、どのように若い先生方にされているのか。
  8. 遠山耕平

    遠山政府委員 お答え申し上げます。  いじめの問題に対応するためには、すべての教員児童生徒心理あるいは行動につきまして基礎的な知識を持つとともに、深い児童生徒理解に立って学校全体で取り組む必要があるわけでございます。このため、教員研修におきまして、生徒指導あるいは教育相談知識、技術を重視することが必要であると考えておりまして、文部省としましても、関係施策を積極的に講じているところでございます。  先生お尋ね初任者研修でございますが、文部省としましては、生徒指導につきまして、児童生徒理解それから教育相談進め方等研修項目例都道府県指定都市に対し具体的に示しております。それを受けまして、すべての県、市におきまして、専門家による講義あるいは事例演習などの形で研修が実際に行われているところでございます。  なお、初任者研修以外のことでございますが、教職経験五年あるいは十年などの全教員対象にして実施します教職経験者研修におきましても、児童生徒理解生徒指導に関する事項が中心的な内容として盛り込まれております。文部省としましては、さらに来年度の概算要求におきまして、これらの教職経験者研修拡充しまして、いじめ問題に関する基礎研修を行うこととして、所要の経費を要求しているところでございます。
  9. 濱田健一

    濱田(健)委員 文部省としても本当に御努力いただいていることを評価をしたいというふうに思います。  ただ、このことは、やはり、国でどう論議しようと、現場先生方お父さんお母さん、そして子供たちの、本当に心の通った交わりといいますか、つながりがなければ、一人一人の子供たちの心の中、動きというのは見えないわけでございますので、その辺のゆとりを持った生活のやり方というものを、学校教育の中でも社会教育の中でも、より一層進めていただく手だてというものを御工夫いただき、私たちもまた、そのことについては提言をさせていただきたいというふうに思っております。  時間がございませんのでまとめて質問させていただきますが、いわゆるいじめや不登校登校拒否問題等に関しまして、国の方でも、平成七年度予算スクールカウンセラー活用調査研究委託費用として三億七百万円、新規につけていただきました。また、地方財源措置として、市町村教育委員会教育相談員配置手だて費用として約十四億円措置をしていただき、国立教育会館の中にはいじめ問題の対策センターも設置するということで、幅広い取り組みをしていただいておりますが、これらの活動状況と、どのように利用され、どのような効果を上げておられるのか、中間的な報告で結構でございますが、お尋ねを申し上げたいと思います。
  10. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から三点ほど御質問がございましたので、それらの点についてお答えを申し上げます。  まず第一点は、スクールカウンセラー活用調査研究委託事業活用状況と、その効果についてのお尋ねでございますが、文部省では今年度より、学校におけるカウンセリング等の機能の充実を図るため、スクールカウンセラー活用調査研究委託事業を行っているところでございます。  この事業は、臨床心理士など、心の問題について高度な知識経験を有する専門家スクールカウンセラーとして委嘱いたしまして、学校派遣し、児童生徒へのカウンセリング教職員保護者に対する助言、援助等を行いまして、いじめなどの生徒指導上の諸問題の解決に役立てようとするものでございます。  本事業は、本年度より調査研究を行っているものであり、まだその研究結果は出ていないところでございますが、教育委員会を通じて聞いておりますところでは、現在までのところ、児童生徒保護者教師からの相談への対応校内研修における指導などに関しまして、スクールカウンセラー評価はおおむね良好との情報を得ているところでございます。平成七年度においては、各都道府県三校に調査研究を委託しているところでございますが、来年度の概算要求におきましては、さらにその拡充を盛り込んでいるところでございます。  第二点目は、市町村教育委員会教育相談員配置に対する地方財政措置状況、また、その活用及び効果状況についてでございますが、都道府県市町村におきましては、児童生徒保護者教師がいつでも相談できるよう、教育センター教育相談所等相談窓口を設けまして、その体制整備を図りますとともに、その利用について広く周知徹底を図るよう努めているところでございます。国といたしましては、これらの機関相談員配置について財政的な支援を行っておりまして、ただいま先生からもお話がございましたように、平成七年度の地方財政措置は十四億円を講じているところでございます。  平成五年度の文部省調査によりますと、市町村教育委員会の所管する教育相談機関は千百五十六機関教育相談員数は三千八百二十九人、教育相談件数は三十万三千五百九十五件となっているところでございます。平成六年度の相談員数は現在集計中でありますが、相当数増加する見込みでございます。また、相談内容といたしましては、登校拒否、進路問題、いじめ問題、学業不振、非行などの問題行動などを中心に扱っているところでございます。  これらの窓口児童生徒に十分周知されて、いつでも安心して利用されるように指導徹底を図ってまいりたいと考えております。  第三番目は、国立教育会館内に設置されました、いじめ問題対策情報センター活動状況あるいは利用状況についてのお尋ねでございますが、文部省では、平成七年五月に国立教育会館いじめ問題対策情報センターを設置いたしまして、児童生徒保護者教員等からの電話相談パソコン通信による、全国の相談機関いじめ問題に関する行政資料いじめに対する対処事例についての情報提供、また三番目に、教育心理生徒指導などを専門とする学識経験者アドバイザリースタッフと呼んでおりますが、そういう学識経験者派遣を行っているところでございます。十一月までの時点で、電話相談は合計で九百二十六件、アドバイザリースタッフ派遣は十二件行われているところでございます。  来年度概算要求におきましては、本センター電話相談へのフリーダイヤルの導入と相談員の増員を盛り込んでいるところでありまして、今後とも、このセンターが積極的に活用されまして、いじめ問題の解消に資するよう、その充実に努めてまいりたいと考えております。
  11. 濱田健一

    濱田(健)委員 来年度予算でも大幅にスクールカウンセラー委託事業等をふやすという方向で今進んでいるところでございます。ぜひ、国も積極的にされているこの事業、有効に活用できますように、現場の方にも、私たち地元に帰って大いに宣伝をしながら、子供たち状況というものをしっかり把握し、いじめの問題、登校登校の問題、非常に私たちにとって悲しい出来事の起きないよう、こういう国の予算というものがしっかり使えるように励ましてまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。  養護教諭主任制を変えての保健主事化現状というものをお聞きするつもりでございましたが、時間がございませんので、これは省きます。養護先生たちが大きくこの問題について力を蓄えて発揮していただいているという現状を、より進めていただきたいというふうに思っております。  大臣決意をお聞かせいただきたいのでございます。  義務教育費国庫負担制度事務職員栄養職員適用除外の問題が既に十一年来続いてきております。義務教育の全国的な遅滞のない推進、日本全体が同じように、平等に教育を受けるという精神にのっとって、この事務栄養職先生方も、できるだけ各県各校一人ずつ、または二人、三人と複数配置も進められてきておりますが、今のこの事情の中では、毎年この時期に心配をし、自分たちの身分がどうなるか、落ちついて仕事もできないという状況が続いております。ぜひ堅持に向けてのかたい御決意をよろしくお願いいたします。
  12. 島村宜伸

    島村国務大臣 お答え申し上げます。  義務教育費国庫負担制度は、義務教育の妥当な規模内容とを保障するための重要な制度であり、その対象となっております事務職員学校栄養職員は、学校基幹的職員であると認識しております。その意味で、今後とも適切に対処してまいる所存であります。
  13. 濱田健一

    濱田(健)委員 力強い御決意、ありがとうございました。  予算編成の大事な時期に入りまして、いろいろマスコミでは取りざたされているようですが、お互いに頑張ってまいりたいというふうに思っております。  同じような予算にかかわる問題ですが、昭和五十一年から始まりました学校米飯給食。食事の多様化に伴いまして、子供たちが朝、パンを食べてくるという状況がふえております。もちろん子供たち学校でパンの給食を食べるのも楽しみにしているのですが、お米を使ったさまざまな給食のパターンというものが本当に定着をし、子供たちが御飯を使ったいろんなメニューに給食の楽しみというものを見つけ出してきているという現状は、いろいろな子供さんから話を聞く中で実感をしているところでございます。  食管法が改正をされる中で、この二百億というお米の助成の補助がなくなるのではないかという心配がちまたではされております。日本の伝統的なというか、主たる食生活をしっかりと子供たちにも伝えていくということと、お米が余る、余らないというのはその年その年のいろいろな条件によって違うのですが、米の消費の部分についても大きく役立っているこの助成制度文部省それから食糧庁、大蔵の皆さんもぜひ堅持していただくように、その思いをお一人ずつお話しを願いたいと思います。
  14. 小林敬治

    小林(敬)政府委員 お答えいたします。  米飯給食は、ただいま先生お話がございましたように、児童生徒に対しまして栄養のバランスのとれた食事を提供するということのほかに、日本人の伝統的食生活の根幹である米飯の正しい食習慣を身につけさせること、食事内容多様化を図ること、日本の食文化を取り入れ、我が国の文化に対する理解を深めさせること等の見地から、教育上大変大きな意味を持っているものであると考えておりまして、文部省としても昭和五十一年度からその推進を図ってきたところでございます。  このような意義にかんがみまして、当該助成の打ち切りは、保護者負担の増加を招くとともに、学校給食の円滑な実施を図る上で大きな支障となるため、関係省庁と連携をとりながら、そうした助成措置の打ち切りという事態にならないように引き続き努力してまいりたいと考えております。
  15. 爲季繁

    ○爲季説明員 お答えいたします。  先生も御案内のとおりでございますけれども、今文部省局長さんからもお話ありましたように、学校給食において米飯給食の定着、促進を図ることは、米の消費拡大にも寄与するとともに、長期的な視点から米を中心とした日本型食生活の普及、定着を図るためにも大変重要なものであるというふうに考えておりまして、五十一年以来それを推進しできているところでございます。  八年度以降の学校給食用米穀に対する助成措置につきましては、このような米飯学校給食の意義、さらには新食糧法下での自主流通米、政府米の役割をも踏まえ、財政当局等と十分協議をし、効果的な措置の確保について検討してまいりたいと考えております。
  16. 杉本和行

    ○杉本説明員 学校給食用の米穀の値引きについての御質問でございますが、財政当局といたしましては、従来から、平成六年におきます米飯給食実施率は九八・九%でございますが、大半の学校において学校給食が既に実施されておりまして、定着していると言えるような状況、それから、臨調答申等におきまして、給食の費用については基本的には受益者の負担とすることが適当との指摘がなされていること、さらには、全体として財政負担二百億円でございますが、これを児童一人当たりの負担に直しますと月額百五十円程度ということ、こういうことを踏まえまして、財政資金の効率的な利用という観点からは、その見直しについて検討する必要があるのではないかと考えておるところでございます。  さらに、先般、この十一月一日から旧食糧管理法が廃止されまして新食糧法に移行したわけでございますが、この新食糧法下におきましては、従来とは制度が大きく変わりまして、民間流通による自主流通米が主体という制度に変わったところでございます。政府米の役割は備蓄の運営という目的に限定されたものとなりました。  こうした新しい制度への移行という事情も踏まえまして、学校給食用の米穀の値引きのあり方ということにつきましては、来年度予算編成過程を通じまして、担当省庁でございます農林省等といろいろ協議を行ってまいりたいと考えております。
  17. 濱田健一

    濱田(健)委員 三庁のお答えは大体予測されたものでございますが、やはり、子供たちの負担、親の負担は小さいといっても、先ほど申し上げました学校給食に取り入れられた経過というものを大事にしたときには、国の全体の予算としての二百億、そう大きな額ではございません、しっかりとこれは堅持していく必要があるというふうに思います。時間がありませんので本日はもうこれ以上話をしませんが、今後の予算編成の過程で協議をさしていただきたいというふうに思います。  子どもの権利条約が昨年の五月二十二日に発効されました。その第四十二条に「締約国は、」「この条約の原則及び規定を成人及び児童のいずれにも広く知らせることを約束する。」という項目が入っております。文部省も外務省もそれぞれの所轄の機関を通じてさまざまな広報活動、そして、よりその中身が成人だけではなくて子供たち自身の生活の中に定着するように努力をされているというふうに思いますが、私たちの目にはなかなかそれが見えてこない。学校現場の中にどこに子どもの権利条約についてのパンフレットがあるのかというのを捜すのに非常に苦労しているという現状等もございます。  それらの取り組み状況、どれくらいの予算をかけてやっているのか、文部省、外務省、お尋ねを申し上げます。
  18. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  文部省といたしましては、この条約の精神を学校現場に周知するため、昨年五月二十日付で文部事務次官通知を発出いたしますとともに、各種の広報誌や刊行物、教育委員会の担当者や校長、教員対象といたします各種会議研修会等を活用いたしまして、この条約の趣旨、内容等の周知に努めてきたところでございます。  また、児童向けの資料につきましては、昨年、わかりやすい子供向けのリーフレットを文部省も協力いたしまして外務省において作成しでいただき、各幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特殊教育学校の各学級に行き渡るよう約八十万部を配布したところでございます。  このような広報、周知は、ただいま先生からお話がありましたように条約にも規定されているところでございまして、大変大切であると考えておりまして、新たな予算措置は講じておりませんが、既存の予算の範囲内で対応しているところでございます。  なお、学校における教科指導におきましては、中学校「社会」科、高等学校の「現代社会」「政治・経済」「家庭一般」などにおきまして、基本的人権の尊重や人権に関する国際法の意義と役割、子供の成長や人間形成について取り扱うこととしておりまして、これらの教科書におきましては児童の権利に関する条約についで具体的に取り上げでいるところでございます。
  19. 川田司

    ○川田説明員 お答え申し上げます。  児童の権利に関する条約の広報に関しましては、外務省といたしましては、これまで、政府の広報誌、定期刊行物、ラジオ・テレビ番組、講演会などを通じましてこの条約の意義、内容等について紹介、普及に努めてきているところでございます。  特に子供に関する広報につきましては、先ほどの文部省の方からも御紹介がありましたけれども、子供にわかりやすいように工夫した子供向けのポスターを文部省など関係省庁と相談しながら百万部ほど作成しまして、全国の小学校、中学校、高等学校、児童福祉施設、図書館などに配布しているところでございます。  また、この条約に関する小冊子を、ユニセフ、国連児童基金と協力しまして十一万部ほど作成いたしまして、広く配布しているところでございます。  今後とも、これまで行ってきました広報活動の反響やこの条約の周知の程度を勘案しながら、関係省庁とも協力して積極的に広報に努めてまいりたいと考えております。
  20. 濱田健一

    濱田(健)委員 最後に一点だけ、時間が来ましたけれども。  ことしの予算で免許外教科担任解消事業補助という中で、内訳として、中学校非常勤講師配置調査研究補助というものを二億九千万計上していただきました。  私の鹿児島県は、離島、僻地が約五〇%以上という非常に教育困難県でございます。この制度を取り入れていただいたおかげで、今まで特に離島等で一つ一つの教科の先生がいなかったという部分が大分改善されたことはお礼を申し上げたいというふうに思うのでございますが、実は、Aの学校に在籍しながらBの、またはCの中学校にもという形で兼務をしていらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。これは財政的な面で仕方がないのかもわかりませんけれども、特に芸能教科あたりでは持ち数が少ないものですからそういう形になっておりまして、先ほどお話し申し上げましたいじめや不登校、さまざまな子供たちの問題に対して、こういう非常勤の先生方も、学校にいる間は一人の同じ学校教職員として対応しなければならないのですが、なかなかそういうことができない状況もございます。  私は、やはり、定数法上の子供の数による中学校先生方配置というふうな制度が続いていけば、この補助制度があったとしても、僻地、離島の教育環境といいますか、指導体制指導スタッフはなかなかそろっていかないのが続くのではないかというふうに思っておりますので、これらについて、将来に向けては、児童数、生徒数による先生方の定数配置じゃなくて、中学校の各教科、必要な、正式な免許を持った職員の配置というものを目指すべきではないかというふうに思っております。そのことの御見解をお聞きし、質問を終わらせていただきます。
  21. 遠山耕平

    遠山政府委員 中学校における教職員配置につきましては、これまで数次にわたる改善計画によりましてその改善を図ってきているところでございまして、現在の状況でも、例えば三学級の中学校では、校長も含めまして、一応九教科、九人の教員配置できるようにするなど、免許外教科担任解消につながる定数改善計画を進めてきたところでございます。  しかしながら、実際の問題としまして、小規模学校において、一教科の正式免許状だけを有する教員だけですべての教科を教えることができるように人事配置をすることはなかなか困難でございます。したがいましで、現在のところでは、各都道府県教育委員会では、複数の免許状を持っている教員をこういう僻地学校配置するなど、いろいろ人事上の工夫をしていただいているところでございます。  したがいまして、文部省としましては、お話のように、できるだけ正規の免許状を持った常勤の教員をどの中学校にも配置するという方向で検討を続けますけれども、やはり複数の免許状の採用を各都道府県にも勧め、さらに現在、先生お話しになりました非常勤講師制度活用指導してまいり保たいと思います。
  22. 濱田健一

    濱田(健)委員 ありがとうございました。
  23. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 次に、中島章夫君。
  24. 中島章夫

    中島(章)委員 新党さきがけの中島章夫でございます。  限られた時間でありますので、きょうは、やがてやってまいります完全学校五日制時代の教育課程、また、どのように基準をつくってそれを考えていくのかということに焦点を当てて質問を申し上げたいと思います。  御承知のとおり、この四月から月に二回土曜日が休みになりました。それで、この二回土曜日が休みであるという間は、土曜日に行われていた時間数をほかの週に割り振りをするということで、まだ現行の教育課程の基準とその内容でほぼやっていけるということに相なりますけれども、学校が完全五日制、私は恐らく二十一世紀になりますとそういう時代がもう到来をすると考えておりますけれども、そうなりますと、今の教育課程の構造そのものを見直さざるを得ない。時間数にして、単純な掛け算をしましても、もし土曜日に四時間置かれているとすると、これが四週で四、四、十六時間、五週で勘定しますと二十時間減ってまいるわけでございますから、いろいろな関連の問題が起こってくるというふうに思います。  今我が国では教育の問題が非常に、今お話のありましたいじめの問題、その他詰め込み教育、そして塾通い、子供たちが独自の思考形態を持たない、あのオウム真理教に走るいわゆるエリートというのが話題に、課題になっております。  宗教法人法でも戦後五十年で問題になりましたように、また、行政改革の諸面であらゆることが問題になってきますように、世紀の変わり目というのは極めて大事なターニングポイントであります。そういう意味で、教育課程の構造そのものも、この学校五日制の到来ということとの関連で、根本的な見直しをする千載一遇のチャンスであろう、私はそう考えているわけでございます。  私の問題意識だけ最初に申し上げておきますと、こういう教育課程の構造そのものをまた教育の目標から始めて検討し直しますと、従来型の教育課程審議会方式では間に合わないと私は考えております。  後ほど簡単にお答えをいただこうと思っておりますが、教育課程審議会というのは、大体戦後今まで十年に一度開かれてきております。そして、そこで行われますのは、戦後に決まりました国語、社会、数学、理科、あるいは英語、音楽、美術、体育といったような教科構造はそのままにした上で、その継ぎはぎをしていく、内容を少しずつ改めていくという程度の改革しかしてきておりません。また、その中には、科学的な、実証的なデータをどう組み込んでいくかという、そういうダイナミックな方式が正直とられていないと考えております。  私自身は、この委員会で何度か申し上げておりますように、そういう科学的、実証的なカリキュラムの研究というものを進めていくために、カリキュラムセンター、そしてまた、これには地域や父母や教職員、それから附属学校、こういったものを巻き込んでいかないといけないのではないかという問題意識を持っているわけでございますので、そのことをまず申し上げておいて、質問に入らせていただきます。  今私が申し上げましたような問題点に関連して、非常に重要な検討が今中教審で行われております。第十五期の中教審が既にスタートしているわけでありますけれども、この中教審の現在の審議状況についてまずお伺いをしたいのであります。  特に、第一小委員会というのが私が今申し上げましたような課題について検討していると聞いているわけでありますが、それぞれについて、どのような審議状況であるかをまずお答えいただきたいと思います。
  25. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 中教審の審議状況でございますけれども、ことし四月、十八名の委員で発足をいたしまして、「二十一世紀を展望した我が国の教育の在り方」という、大変大きなテーマで審議を行っているところでございます。  具体的な審議事項といたしましては三つございまして、「今後における教育の在り方及び学校・家庭・地域社会の役割と連携の在り方」、それから二つ目といたしまして、「一人一人の能力・適性に応じた教育学校間の接続の改善」、三つ目といたしまして、「国際化、情報化、科学技術の発展等社会の変化に対応する教育の在り方」という、三つの具体的な検討事項を審議することになっております。  そこで、お尋ねの第一小委員会でございますが、総会での議論を経まして、この八月に二つの小委員会をつくりましで、この第一小委員会は三つのうちの二つ、「今後における教育の在り方及び学校・家庭・地域社会の役割と連携の在り方」、それから「一人一人の能力・適性に応じた教育学校間の接続の改善」というのを分担することになっております。  現在は、このうち特に社会的関心の高い学校週五日制の今後のあり方を含みます「今後における教育の在り方及び学校・家庭・地域社会の役割と連携の在り方」ということにつきまして、九月以降、関係団体あるいは学識者などのヒアリングを行いながら、七回にわたりまして審議が進められている、こういう状況でございます。
  26. 中島章夫

    中島(章)委員 ついでに、この中教審の任期はたしか二年と心得ておりますが、この二年の任期の間に第一、第二の小委員会がどういう審議の予定をしていて、特に第一小委員会の審議内容というのが、その中間報告あるいは最終報告というのがどういうスケジュールで行われることになっているのかをお聞かせいただきたいと思います。
  27. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 今後のスケジュールでございますけれども、まず、ただいま御説明いたしました学校週五日制の今後のあり方を含みます「今後における教育の在り方及び学校・家庭・地域社会の役割と連携の在り方」につきましては、現時点では来年春を目途に審議のまとめを行っていただき、その後関係方面の御意見も徴しながら、総会での議論を経まして御答申をいただくべく予定をいたしているところでございます。その後、この第一小委員会におきましては、「一人一人の能力・適性に応じた教育学校間の接続の改善」につきまして審議を行っていただくというふうにいたしております。  また「国際化、情報化、科学技術の発展等社会の変化に対応する教育の在り方」について分担いただいております第二小委員会につきましては、ただいま申し上げました第一小委員会関係の答申をいただくころを目途に審議経過の御報告をいただければ、こういうような状況で考えでおるところでございます。
  28. 中島章夫

    中島(章)委員 先ほどのお答えの中に、学校の役割と学校五日制の今後のあり方ということについて各教育関係団体等からのヒアリングが行われているということでありますが、もしよろしければ、主にどんな意見があったかについて、学校五日制と子供生活ということについてもたしかヒアリングが行われているはずでありますので、かいつまんで教えでいただきたいのでありますが、私の問題意識は、学校五日制になりますと、一つは、教科は学校でしかできない、しかも小学校、中学校、高等学校というふうにその学校段階ごとに学校でしかできないものに焦点を絞ってくる必要があると思っております。  その意味で、今学校にほとんどのものが全部、特別活動とか学校行事とかということで、小学校でいえば年四十二週から四十五週展開をしているというのが、三十五週といいながらそういう状況になっているわけですが、そういうことは少なくとも許されなくなってくる。何に絞るか、それをどう構造化するか。同時に、今まで学校に捨て干していたような家庭あるいは地域というものがそのうちのどの部分を積極的に分担をしていくか、そのためにどういう条件を整えていかなきゃいかぬかという、教育にとっては非常に構造的な大事な問題が起こってまいります。  かいつまんで、もし先ほどのヒアリングの中身でこういう提案がありました等がございましたら、教えていただければと思います。
  29. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 お尋ね学校の役割と学校週五日制の今後のあり方についてのヒアリングの状況でございますが、これは第一小委員会の第四回の会議、十月二十三日に行われておりますが、そこでやりとりされたものでございます。  教育関係の団体あるいは専門家等からのヒアリングを終えた後、いろいろな議論が行われたわけでございますが、そこでのやりとりの幾つかを御紹介いたしますと、まず一つは、これからの学校はみずから考え、判断し、行動できるような力の育成というものを重視する必要がある。あるいは、学校で身につけた学力が日常生活の中で生かされ、また家庭、地域社会での経験学校での学習を通してさらに豊かになるというような学校、家庭、地域社会の連携のあり方を考えていく必要がある。あるいは、学校週五日制を推進していくためには家庭の教育力あるいは地域の教育力を掘り起こしていく必要がある。さらには、学校週五日制の円滑な実施のためには、休みとなる土曜日に子供たちが地域で自然体験や社会体験を積極的に行っていける、そういう環境を整えていく必要がある。それから、完全実施のためには学習指導要領の改訂あるいは教育内容の精選が必要である。  このようなさまざまな意見が出ましたが、結論といたしましては、方向としては、さまざまな課題があるものの、それらを克服して学校週五日制の完全実施というものを目指すべきではないかというような意見が主な意見であったかというふうに承知をいたしております。
  30. 中島章夫

    中島(章)委員 関連をいたしまして、あわせて文部省の初中局に教育課程基礎研究協力者会議というのが置かれて審議を続けているはずでございます。その審議の内容、検討内容の中に、教育課程の構造のあり方、あるいは諸外国との教育課程の検討の比較研究等々、私は、これからカリキュラムセンターの中の重要な機能としてやらなければいけない問題、これを既に始めておられると問いでいるわけでありますが、この協力者会議と、先ほど言われた中教審の第一小委員会の、特に学校五日制に関連した部分の審議の中間報告との関連はどのようになっているのでありましょうか。
  31. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございました教育課程基礎研究協力者会議におきましては、本年四月二十八日に第一回の会議を開催して以来、これまで九回にわたりまして学識経験者等協力者などから教育課程等に関する学説や研究状況などの紹介や意見発表をしていただきまして、それに基づきまして自由討議を重ねできているところでございます。  具体的に申しますと、一つは子供の心身の発達状況生活の変化と教育内容とのあり方、二つ目に学校教育課程のあり方、三つ目に諸外国の教育課程、四つ目に戦後の教育課程の変遷、五つ目に研究開発校の研究状況、六つ目が基礎、基本と学力水準、七つ目に教育内容の精選と構成、八つ目に共通性と多様性といったテーマを取り上げて審議をしていただいてきたところでございます。  中教審におきましては、今後の学校教育の役割などにつきまして基本的な検討が行われているわけでございますから、その審議の状況に十分留意をいたしまして教育課程基礎研究を進めているところでございます。
  32. 中島章夫

    中島(章)委員 実はこの教育課程の基礎研究協力者会議、恐らく任期は二年だと思うのであります。中教審も二年の任期でこの四月から議論が始まっているわけであります。これと、これが私のきょう申し上げたい本題でありますが、教育課程審議会の審議との連携ぶりというのはどのように考えておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  33. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  中央教育審議会におきましては、「今後における教育の在り方及び学校・家庭・地域社会の役割と連携の在り方」を初め、先ほど総務審議官からお話ししましたように、学校教育内容に深くかかわる事柄について幅広く御審議いただいているところでございます。  将来開催されます教育課程審議会におきましては、中央教育審議会の答申に示されるこれからの教育の基本的な方向を踏まえまして、教育課程の改善について具体的な御審議をいただくことになるものと考えております。  また、教育課程基礎研究は、教育課程の改善に資するために必要な資料を得ますとともに、課題を整理することなどを趣旨とするものでございます。したがいまして、その成果は主として教育課程審議会における審議のための資料作成などに生かされることとなると考えているところでございます。  なお、教育課程審議会の開始時期につきましては、中央教育審議会の審議の状況を見ながら検討することになると考えております。
  34. 中島章夫

    中島(章)委員 一点確認をしておきたいと思いますが、二年間の協力者会議あるいは中教審、この審議が終わった後、教育課程審議会をスタートさせるというような予定なのでしょうか。あるいは既に来年にそういうことを予定しているのか、この点だけ確認をさせてください。
  35. 井上孝美

    井上政府委員 お答えを申し上げます。  教育課程審議会におきましては、ただいまも御答弁申し上げましたとおり、中央教育審議会における今後の教育の基本的なあり方の答申をちょうだいした後、教育課程審議会の開催を考えているところでございます。  なお、教育課程基礎研究協力者会議につきましては、先ほど先生から二年という任期についてお話がございましたが、この協力者会議は必ずしも期限を付しておりませんので、場合によっては、教育課程審議会の審議と並行して、教育課程の改善に必要な基礎的な研究をなお続けることも考えているところでございます。
  36. 中島章夫

    中島(章)委員 私は、こういうふうにあえてこれにこだわりますのは、今度の教育課程改訂というのは従来型の教育課程審議会方式ではやれない、そういうことを主張したいからでございます。  あえて答弁を求めることをやめますが、教育課程審議会は、通常、大臣が諮問をなさいまして二年間の教育課程の審議がなされます。ここには小学校二十人、中学校段階二十人、それから高校段階二十人と、六十人の委員が置かれます。前々回の教育課程審議のときには特に高村象平先生が会長でありまして、総論部分、つまり内容を三割、それから時間数で二割、例えばそういう思い切った構造の変革をなさいました。それは、総会がかなり構造全体を問題にしたからであります。  従来、通常でいきますと、総会がかなりそういう大きな方針をやりましても、今度は学校段階別の最初の審議に入ります、それから各教科別の専門家をそろえての内容の審議に入ります、こういう段階になりますと、それぞれ時間数を減らそうなどという話はまず出てこないのであります。したがいましで、みんなで一緒に血を流しましょう、そういう平板なパッチワークしか行われない。私が申し上げたいのはそういうことであります。  それからもう一点は、さっきも申しましたように、明治の三十年代から大正時代までは、我が国の小学校も国語と算数中心だったのです。二十六時間の週の時間の中で、国語が十三時間、算術というのが八時間あって、実に二十一時間。あとは修身と体育というような構造になっていたのです。また、アメリカその他でも、特に国語の重要性ということから週の授業時数の半分以上が国語に使われている例があります。これは、私が自分の子供を通じて体験いたしました。  戦後の教育課程は、御承知のとおり、国語、算数、理科、社会、さらに中学校になれば英語だとか美術、図工、音楽、体育、家庭というふうに非常にバランスよく行われておりますから、これを前提にいたしますと、今回、私が主張します構造的な教育課程の改訂というのはまず行われないということを申し上げたい。  実は、教育課程の改訂に大体一周十年かかるのです。二年ほどして答申をいただきまして、一年間かけて指導要領の改訂を行います。そして伝達講習というのを大体三年ぐらいかけて行いますし、その後また高校などは学年段階別に入ってまいります。過去の例で言いますと、十年間の過程の中に、最初に目指したものと、最後に、もう十年たったところで現場で実施しているものとのずれが起こってくるということも何度も起こったわけでございます。  今回、そういう意味では、私は指導要領の改訂に関連をして申し上げたいのは、教育課程審議会というのはどうしても、日ごろ教育課程のことについて専門的に頭に入れている人なんというのはほとんどないんです。そこに入れられるのは大学の先生であり、あるいはマスコミの人であり、まあ現場の人も入りますけれども、結果的には各教科の時間数の分捕り合戦になってしまうというようなことであります。  構造的な改革をするためには、また教育の質の時代になってきでおりますから、特定の人ではなくて広い、まあ日教組もあのように体質も変わってきております、これがどこまでいくかは別にいたしましても、そういう幅広い人の意見を聞きながらということになりますと、どうしても、実証的、科学的、分析的なあらかじめの調査研究、その結果を教育関係者がみんな均てんして知っている、そういうやり方をしなければ、いきなり教育課程審議会を開いてサロン討議に教育課程の構造改訂を提案してみても、それはうまくいかないのではないか。  私が中教審で期待したいのは、そういう大きな構造をこれから変えていきたい。あるいは今、教育課程の基礎研究協力者会議でも期待をいたしたいのは、先ほどは内容の話だという局長の答弁もありましたけれども、むしろ内容よりも、諸外国のことも聞いているのでありますし、子供の心身発達という縦の教育課題についても検討しているわけでありますし、戦後の教育課程の編成もやっています。それから教育課程の基準を外した教育課程の研究開発学校の結果も見ているわけであります。つまり、これは教育課程の構造を見直そうという研究をやっているはずでありますから、この結果が次の教育課程改訂のシステムに反映されていかなければ、あらかじめ従来どおりの教育課程審議会の方式を今から準備をしていくというのでは、今度の新しい教育課程改訂、あるいは二十一世紀の、国民が期待をしております教育の大きな変換ということは期待できないのではないか、私はこういう問題意識を持っているわけでございます。  そこで、完全学校五日制というものを前提としますと、まず、今まで申し上げてまいりましたように、教育課程の構造の根本的な見直しが可能だし必要だと私は思っているのです。  例えば、英語を小学校に入れるというだけでも、今、小学校教育課程は満杯なんです、何が外へ出ていくか。おまけに土曜日の時間数は減っでくるわけです。どこに焦点を当てるのか、これはまさに構造変革であります。  それから、社会科をとってみましても、今、小学校から中学校、高校まで社会科がありますが、アジアあるいは世界も文化構造が非常に大きく変わってきておりますから、社会科そのものも今までのような各学年への配当と教科構造でよろしいのか、これは科学的に検討分析をしてみる必要があるのです。そんなことは教育課程審議会ではできないのです。  そのことを私は特に申し上げて、この教育課程の審議方式についてもぜひ検討を願いたい、こういうことを申し上げたいと思うのでありますが、文部大臣の御意向を伺いたい。
  37. 島村宜伸

    島村国務大臣 先ほど来伺っておりますと、さすがに専門家らしい大変貴重な御意見でありますので、十分その趣旨を踏まえてこれから対応いたしたいと思います。
  38. 中島章夫

    中島(章)委員 ありがとうございます。  私は、この問題は実は、さっきも申しましたように、行政改革と同じように痛みを伴うことだと思っています。これからの教育課程というのは、何をどれだけ教えるかというより、何を教えないで済まそうかと。そして今、実は教育課程を各学校で実施しておりますが、どういう目標で、子供をどういうふうに変えていこうかということを頭に置いて指導している先生は、残念ながら非常に少ないのです。それは、教育課程の基準ができて、そして教科書ができますと、それを一年間のそれぞれに割り振ってどのように子供に一方的に伝えていくか、そういう発想しかできない先生が大半になってしまっているのです。  もう時間が参っておりますので、繰り返しになりますが、カリキュラムセンタiということについて、少なくともインスティチュートとしての国立カリキュラムセンターというのは、私はぜひ主張したいのです。それは、地方の教育センターあるいは附属学校等と連携しながら次の教育課程改訂を幅広いシステムで変えていく必要があると私は思っておるわけでありますけれども、少なくとも、インスティチュートとしてのそういうカリキュラムセンターができなくても、私がこれから申し上げるようなことは、教育課程を変えでいくときには絶対前提にならなければいけないと思っておりますので、ぜひお聞きをいただきたいと思うのです。  まず第一は、現行の教育課程の定着状況です。これは実は、視学官とか教科調査官がフォローしているというのですが、システマチックになっていません。これについては、今、四年間の教育課程の検討をやっておりますけれども、その結果が教育課程審議会に上手に結びついていないという過去の経験があります。一つは現行のカリキュラムの定着度の研究。  それから、新しいカリキュラム上の課題の実験研究。これは今言いましたように、英語を低学年にするとか、あるいは社会科の問題とか、理科も日進月歩でありますから、どういうふうに変えていくのかという構造を見てみる必要がある。  それから、教育課程というのは、実は基準だけつくっておけばいいのじゃなくて、それに関連して教材があり、あるいはいろいろな指導方法があり、そしてそれをやった結果どのように評価するかというのが教育課程と一対になっていなければいけない。指導要録を文部省が基準を決めているのはそういう意味であります。そういう意味で、基準とその評価の問題。教科書と副教材の開発の問題。それから、教育課程は今でもやっておりますが、基準ができればそれをどういうふうに研修をするかということの教員研修指導方法の問題。  それから、もっと大事なカリキュラムの原理的な問題。医学や社会学や近隣の問題が特に社会科や理科には大きな影響が参りますから、今までのインターバルのようなことではなくて、また、全教科一斉に基準改訂をするのではなくて、ある教科を特定学年についてあるいは中高についてやるという方式だって考えるべきではないか。  それから、既に今やっておられます諸外国のカリキュラムとの比較、こういったことを実証的、分析的にやって、しかもそこへ教育関係者が皆力をそろえていくという形を、ティーチャーズインボルブメントというんでしょうか、そういう形式を何としても考えないと、今までの形式の教育課程審議会を——実はこれ要求したら、大蔵省もおられるかもしれませんが、今までのやり方で、要求さえすればある程度の予算はついてくるように三十年、四十年の経緯でなっているのですから、それだけのお金があるなら、今言ったようなカリキュラムセンターというものをつくりながら——今実は、教育課程は各学校に創意工夫を求めておりますので、その創意工夫をした結果をどのようにフィードバックしているかということで、かなりの部分は現場に任されてきている。それをどのようにそういうこれからの科学的、実証的なカリキュラム改革につなげていくかというそのシステムをぜひお考えをいただきたい。そのことを申し上げましで、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  39. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  40. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石田勝之君。
  41. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 新進党の石田勝之でございます。当初、本会議終了後と思っておりましたので、若干慌てて、今飛んできたわけでございますが、まず初めに、島村文部大臣と、教育についてちょっと議論をさせていただきたいと思っております。  私は、教育というのは、一人の人間を独立させるように指導することであり、一人で生きる力をつけさせること、例えば、その中には肉体的独立あるいは精神的独立あるいは経済的独立等々あろうと思いますが、心身を鍛え、親離れをさせ、その子供に技術や知識を習得させ、社会人として、また自分の力で生きていけるようサポートすることが教育ではないか、こういうふうに思っておりますが、カントは、人間は教育によって初めて人間になると言っておりますし、またルソーは、教育によって動物的な人間を社会的な人間にするとも言っておるわけであります。つまり、教育を受けなければ人間にはならない。  このことからも、教育は我々人間にとって最も重要なものであろうと思いますが、まず島村文部大臣に、教育とは何かについて御所見をお伺いしたいと思います。
  42. 島村宜伸

    島村国務大臣 学校教育におきましては、人間としての調和のとれた発達を目指し、心身ともに健全な国民の育成を期しで行われるべきもの、こう心得ております。  このため、人間としてのあり方を自覚し、人生をよりよく生きるために、その基盤となる道徳性の育成や、生涯を通じで健康で安全な生活を送るための基礎を培う、これを目的として行われるもの、こう心得ております。
  43. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 島村大臣、これは随分昔、七十年ぐらい前の話でありますが、一九二〇年、オオカミに育てられたインドの子供の実話、アマラとカマラ、この話は教育界では大変有名な話でありますが、その話を御存じでしょうか。
  44. 島村宜伸

    島村国務大臣 昔それを覚えた記憶はありますが、余り記憶は定かではありません。
  45. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 概略を申し上げますと、インドの山奥でアマラとカマラという二人の少女がオオカミに育てられた。そして、牧師の方に発見をされるまでオオカミに育てられたその二人の少女は、四つ足で歩き、また遠ぼえをしたり、また食べ物を直接口で食べたり、要するに野性化をしておった、こういうことであります。  その後、アマラというのは、当時、発見されたときは二歳であったと聞いておりますが、そのアマラは間もなく死亡して、そして、カマラはその後約九年間生きた。発見されたときは八歳でありますから、十七歳近くまで生きたということでありましょう。しかし、人間の言葉を二十ぐらいしか覚えられなかったという。つまり、幼児の際の教育がその子供の人生を決めてしまうという、いかに幼児教育やあるいは基礎的、基本的な教育が大切か、人間は環境によって変わるということを如実に物語っているわけであります。  このアマラとカマラから学ぶことは、人間には人間たる遺伝要素が変えがたく強く深く持たれているにもかかわらず、幼年時代の人間的、社会的、自然環境によって大きな影響が与えられること。また、それを正常な普通の軌道に戻し乗せようということが、大変努力が要って、それも不可能である。完全に不可能ではありませんけれども、可能性が少ないということになろうかと思います。子供が心身の内側に潜めている可能性が豊かであればあるほど、一たん誤った方向に外れた子供を修正する、こういうことは非常に困難であるとこの物語は教えでいるわけであります。  裏を返せば、幼児そのもの自身の発達とともに、これは、はぐくんでいく両親あるいはその環境、特に母親の身構え方と、母親を中心としてつくり出す環境によってどうにでもなるということでありましょう。どんな方向に傾けさせていくという教訓がこれに含まれているのだろうと思っております。  今オオカミの話をしましたけれども、インド周辺にいるオオカミというのは、比較的食べ物を確保するのがしやすい。そういうことで、北方地方に住む、北の方に住むオオカミと違って凶暴性は少ないということで、私は聞いておるわけであります。オオカミというと凶暴性があって人間に襲いかかってくる、そういうふうに思われがちでありますが、その周辺にいるオオカミというのは食糧供給が比較的しやすいわけでありまして、特に人間の母乳とオオカミの母乳というのはよく似ていると言われる。そして、オオカミが人間に近づいてそれをさらっていく。そして、アマラとカマラの二人の少女だけではなくて、インド地方には当時このようなことがほかにもあったそうであります。  要するに、私は、「狼に育てられた子カマラ」を読んでいるうちに、なかなかこのオオカミも大した母だったのかなと思ったわけであります。立派に人間のカマラを育て上げ、そして、その雌オオカミはオオカミとしてはすばらしい母親であって、特に、人間、時たま新聞あるいはテレビで、自分の子供をせっかんで死なす、殺す、あるいは自分の子供でありながら産み落としてそれをコインロッカーにしまっておくとか、いろいろ悲惨なニュースが時折出てまいりますけれども、そういったことを考えると、このオオカミはオオカミとしては立派だったのかな、そういうふうに思うわけであります。  私、今アマラとカマラの話に若干触れさせていただきましたけれども、文部大臣の率直な御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  46. 島村宜伸

    島村国務大臣 幼児教育の重要性を御指摘になりたいのだろうと受けとめるわけでありますが、まあ人間、見よう見まねという言葉がありますけれども、生まれた際には、結局、目で見、耳で聞いたものは自分の知恵となり、あるいは肌で感じていろいろな行動を起こすようになりますが、やがては言葉を覚え、その言葉も文法で系統づけられたりいたしますし、また、いろいろな言葉やいろいろな所作あるいはいろいろな自分の生きるための参考の事々を知っていくわけであります。  私自身、自分のわずかな経験に照らしても、よちよち歩きの幼稚園、私、数え年四つから、今で言う満三歳なんでしょうか、のときから幼稚園に通ったのですが、幼稚園に入ったばかりのときに先生に教わった例えば気をつけの仕方、おじぎの仕方、ごあいさつの仕方、こんなことが今でも、先生の声音や背広のほころびや、そして言われた言葉などは結構覚えているものですね。やはり、それは、同じように母親や父親の印象というのも小さいころから覚えているわけなんで、今御指摘のこととある意味では一致するのではないかと私は思いますが、そういう小さい段階から人間のあるべき道あるいは学ぶべき方向等を教えるというのは非常に大事なことだろうと思います。  文部省は、何も急に始めたわけではございませんが、戦後教育の反省の一環として、ともすれば知育に偏った教育を今度は徳育と体育と、人間らしく生きるという意味で教育の中身についで思い切った改革をしようと今努力をしておりますし、また一方で、教育の環境としては、やはり学校だけの教育で人間がまともに育つはずがない、家庭教育学校教育、そして地域社会の教育、こういうやはりいろいろな角度からの教育というのもまた大事だろう、こう思うわけです。これらがもし確かな形になったときには教育は本物になる、私はそうかたく信じまして、今いろいろな諸君と一緒に教育の改革に努めている、こういうことでございます。
  47. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 そこで、例のオウム事件でございますが、あのオウム事件でサティアンから発見された、児童相談所に保護されたオウム関係の、要するにオウムの子たち、これ十二月六日現在で百十二名いると伺っておりますけれども、サティアンには水道設備が完備されていなかったためにおふろに入ることも知らなかったとか、あるいは歯を磨く習慣がないので歯の磨き方も知らなかったとか、あるいはもちろん手や顔を洗ったこともなかったとか、当然字も書けない、読めない、このような劣悪な環境の中で育てられたいわゆるオウムの子たちの現況について、お伺いしたいと思います。  まず、ふろの入り方を知らなかったとか、あるいは歯の磨き方とか顔の洗い方を知らなかったとかという人間通常の習慣を知らなかった子供たちはこの中で大体何人だったのか。また、字の読めなかった、書けなかった、書けないということは当然読めないわけでありますけれども、読めない子は何人であったのか。そういったことも含めて、現在どのような状況になっているか、近況についてお聞かせいただきたいと思います。
  48. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  十二月七日までに保護されましたオウム真理教関係の子供たちは百十二人でございますが、年齢も家庭の事情も置かれていた状況も違うため、児童相談所においてケースワーカー等が詳しい事情を聞きまして、その結果を踏まえ、子供たちにとってどこで生活し、学校に通うのがよいかという問題も含めまして、子供状況に応じた対応を行ってきたところでございます。  これらの子供たちのうち、義務教育年齢相当の者は八十七名でございまして、既に保護者や親族、養護施設等に引き渡されて、八十四人が就学しているところでございます。しかし、子供によりましては、長期間にわたって学校教育を受けていない者もおりますし、また年齢相当の学力がなかったり、先ほど先生お話がございましたように、おふろの入り方とか歯の磨き方とか、そういうものも含めた基本的な生活習慣が身についていないなどの問題も抱えた者もいると聞いているところでございます。ただ、それらを具体的には私ども現在掌握しておりません。いずれにいたしましても、既に八十七名のうち八十四人が就学をしているということで、その間の関係者の努力というものが大変なものであったというように私どもは考えているところでございます。  このため、文部省といたしましては、それぞれの子供生活する場所の教育委員会学校、児童相談所等が連携をとっていただきまして、一人一人の状況に応じた細やかな配慮を行い、円滑に社会復帰できるよう、関係省庁とも連携しながら指導を行っているところでございまして、引き続き、なお就学をしてない三名については、地域の児童相談所、教育委員会等十分な連携をとりながら現在取り組んでいるところというように報告を受けているところでございます。
  49. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今、局長から御答弁いただきましたが、八十四名が就学されている、こういう話でありましたが、それはその年齢時に応じた学年に就学しているということなんですか。
  50. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  八十七名のうち八十四人が就学していると申し上げましたが、そのうち小学生が六十四人で、中学生が二十人ということになっております。なお、現在就学していないのは、小学生が一人、中学生相当年齢の者が二人、こういう状況でございます。
  51. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 いや、小学生といっても一年生から六年生まで、六歳から十二歳までありますね。そういう子供たちは年齢相当の学年で就学をされているのかどうなのかということをお尋ねしています。
  52. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  それぞれ、児童生徒の年齢相当の学力が必ずしもございませんので、その子供たち状況に応じで、相当年齢に入れられる者については入れておりますが、入れられない者については相当学年より下の学年に入学をさせて通学をさせているという状況でございます。
  53. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 じゃ、その内訳は文部省としては把握なさっていないのでしょうか。
  54. 井上孝美

    井上政府委員 恐縮でございますが、個々のすべての状況については把握しておりません。
  55. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 そうなりますと、例えば小学校六年生、十一、十二歳の年齢、本来であれば小学校六年生就学が適当であるその子たちが小学校一年生に入っているというケース、要するに例えば五年生が一年生に入っている、こういうケースがかなりの数いるということですか。
  56. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  小学生相当年齢の者については、ほぼ学力もそれほど差がないということから、それぞれの相当学年に入学をさしている子供が多いというように聞いておりますし、中学生についても同じように、できるだけ相当年齢に入れ、補習等によってその学年相当の学力がつくように学校では取り組んでおるという報告を受けております。
  57. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 それで、あのサティアン、不幸にしてああいうところで、劣悪な環境の中で育ってしまった子供たち、今小学校六十四人、中学二十人、八十四人が学年は別にしても学校へ就学することができている、こういうことでありますが、その学校の中においではほかの児童生徒と同じように就学ができているのか。例えばあれはオウムの子だとかサティアンの子だとか、そういう特別視された形の中で、要するに、これから後でいじめの問題にも入ってまいりますけれども、そういうふうな特別な目で見られたような形でなっているのかどうなのか、その点をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  58. 井上孝美

    井上政府委員 お答えを申し上げます。  個々児童生徒の該当学校への入学をさせる場合には、当該児童生徒につきまして十分、どういう子供が入学するかということについてはプライバシーにもかかわることでございますので、周囲の者にわからないように、学校側でもまた児童相談所でも適切に対応していただいておりまして、学校の受け入れに当たりましては、県教委あるいは県の児童福祉部局、地教委、児童相談所等が非常にその点を緊密に連携して協議し、特別な配慮を持って、児童生徒の受け入れにつきましてそれぞれ慎重な対応をしていただいているところでございます。  そして、学校における対応例としては、受け入れ前に教員が児童相談所等を訪問しまして当該児童生徒保護者と面談をして、そして全教職員の共通理解を得るために当該児童生徒の転入に関する事情を説明して、全員一致して協力することを確認するということも事前にいたしておりまして、その上で、校長、教頭、学年主任、学級担任で対策委員会を設置して情報交換を行い、そして学級担任にはベテラン教師を充てたり、養護教諭がバックアップする体制をし、PTAの幹部にも協力を要請するなどして、スムーズに学校において、先ほど先生が御指摘がございましたが、いじめ等がないように学校としては最大の配慮をするように取り組んでいるところでございます。
  59. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 そうしますと、その子が、現住所のところの小学校あるいは中学校に本来は就学するわけですね、そういう場合は特別な配慮で、全くわからないように就学をされている、こういうことでございますか。
  60. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  その子供が新たにある学級に入学する場合にその子供について紹介をするのが通例でございますが、そういう場合、担任先生は十分その辺については配慮してその紹介を行う。そして、オウム真理教関係の子弟であることがわからないように、そういうプライバシーについては、個々具体的なものはほかの子供たちについても一般的にそのような配慮を現在はいたしておりますが、特にその点については十分細心の注意をしながら受け入れをし、また、その後の学校生活においても、他の子供たちと同じように学校生活が送れるような特段の配慮を行っているというのが現状でございます。
  61. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 それで、そういうベテラン教師が当たったり、いろいろそういうオウムの子だということがわからないように特別、特定な配慮をされているということの答弁でありましたが、一般の子供たちとまじって就学をされている、こういうことでありますが、そこで心配になるのがやはり学力のレベル差というのですか、オウムという特殊社会に一時期隔離されちゃった、そういうことで、先ほども言ったように読めない、書けないという子も中にはいたり、あるいは当然足し算、掛け算、そういったこともほかの子供と比較をするとかなりおくれている、そういった子もいるんだろうと思うんですね。  そういう学力のレベルの差というものが、これは時間をかければ解消されてくるというのもあるんでしょうけれども、そういった点でちょっと不安に思うわけでありますが、その点の配慮それから対応、そういったものについてきちっとされておられるんだろうと思いますけれども、それらのレベル差等々について文部省としてはどう把握されているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  62. 井上孝美

    井上政府委員 お答えを申し上げます。  一般的に、先ほど先生がおっしゃるとおり、学力の面で当然、学校教育を受けていなかったということから相当年齢の者と比べておくれていることは事実でございますが、そういう点を踏まえて、教科指導の点におきましては、ベテランの教員担任に充てるとともに、夏季休業中に数学や英語の個別指導を実施したり、一週間に二日程度そういう個別指導をして補習を行ったり、学習がおくれている場合には、低学年の教科書も使いながらその相当学年の学力に追いつくような補習等も行っているわけでございまして、具体的な状況を見てみましても、児童生徒はそれぞれ学校生活にもなれでまいりますと学習面においても成績の伸びが顕著であるという報告を私ども受けているところでございますので、学校取り組みというものに私どもも期待をしているところでございます。
  63. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 そうしますと、そういう個別指導によって成果が確実に得られている、こういうことで理解しでよろしいんでしょうか。
  64. 井上孝美

    井上政府委員 お答えを申し上げます。  私どもが各教育委員会から報告を受けているところでは、おおむねそのように私どもも理解しているところでございます。
  65. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 それでは次に、ことしの一月十七日でありますが、阪神・淡路大震災がありましで、その後の教育関係の対応についてお尋ねをしたいと思いますが、私もあの震災後、現地へ赴きましたし予算委員会等々でも御質問さしていただきましたけれども、いわゆる、当時、私が視察に行ったときには、笑わない、食べない、食べれない、眠れない、こういう恐震症というか、恐ろしい震える症と書きますが、恐震症を訴える子供たちが非常に多かった、そのように聞いておるわけでありますが、その後の子供たちのアフターケアを含めて、それらについて文部省としてどう把握されているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  66. 小林敬治

    小林(敬)政府委員 お答えいたします。  先生ただいま御指摘のように、ことしの一月に阪神・淡路大震災が起こりました際に、私どもといたしましても、その直後の被災児童生徒の心のケアの問題、この問題は非常に大事であるというふうに考えまして、学校における心の健康相談活動が十分実施されるように指導してきたところであります。その際には、学校養護教諭を初めとした教員が行うことはもとよりでございますが、学校医や臨床心理士などのカウンセリング専門家の協力も得で適切に対応する必要があるために、それらの団体などにも協力を求めてきたところでございます。  それからまた、兵庫県や神戸市などにおきましては、これまで精神科医や臨床心理士派遣するなどして心の健康相談活動を行ってきておりまして、本年度もこのような事業を引き続き実施いたしております。  文部省といたしましては、兵庫県、神戸市等が行うこのような心の健康相談活動に対する支援を行いますとともに、特に平成七年度補正予算におきましては、心の健康状態の実態調査でありますとか、健康相談体制についての調査研究等を行うための事業予算を計上いたしまして、現在、被災地における子供たちの心の健康に関する実態調査を行っているところでございます。今後は、実態調査の結果等を踏まえまして、被災児童生徒の心のケアにつきまして適切な対応を行ってまいりたいと思っておる次第でございます。  もう少し兵庫県、神戸市の具体的な対応を申し上げますと、兵庫県では、健康相談活動として、相談窓口を設けるほか、研修会の開催あるいは心のケア指導資料の作成等を準備いたしておりますし、神戸市におきましては、健康相談活動として、精神科医による来所相談それから巡回相談、それからカウンセラーによる電話相談、来所相談研修会の開催というふうなことを実施しているところでございます。
  67. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 わかりました。  それと、校舎あるいは学校施設等かなりの被害が出たわけでありますが、それらの復旧、復興等についてどうなっているのか、そして、現在もう約十一カ月ほどたっわけでありますが、それらの施設において授業に支障が出でいないのかどうなのか、そういったことも含めて担当局長からお答えいただきたいと思います。
  68. 遠山耕平

    遠山政府委員 お答え申し上げます。  公立学校施設につきましては、阪神・淡路大震災によりまして約三千校、正確に言いますと全体で三千十二校になると思うのですが、それが被害を受けたところでございます。  これらの学校のうち、非常に軽微な被害の学校につきましては、既に設置者の方で復旧を行っております。  また、比較的軽微な被害、いわゆる国庫補助対象になるような被害の学校につきましては、平成六年度の第二次補正予算あるいは平成七年度の予算によりまして復旧を行って、既に正常な状態に復旧されているところでございます。  それから、被害の甚大な学校の施設の復旧につきましては、これまで応急仮設校舎の建設などに対しまして国庫補助を行う一方、平成七年度の第一次の補正予算、それから平成七年度の第二次の補正予算等によりまして国庫補助を行うこととしまして、市町村から提出された復旧計画に基づき現地査定も既に終了しているところでございまして、これらの被害の甚大な学校の復旧につきましては、この復旧計画に基づいて復旧事業が鋭意進められているところでございます。  それで、三千十二校のうち非常に軽微な被害は千八百八十六校でございます。それから比較的軽微な被実と甚大な被害を合わせて千百二十六校ございます。その千百二十六校のうち、もう既に国庫補助を受けまして施設が復旧完了した学校が一千三十八校ございます。それから八十八校はまだ未完成でございます。これらの学校は、応急仮設校舎等で授業を行っているところでございます。したがって、それらを除いては授業が正常に実施されているというところでございます。
  69. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 そうすると、八十八校がまだ復旧されていないと。  それで、そういう中で授業に支障等々は出ていないのかということを払お尋ねしたわけでありますが、要するに、文部省の定められている学習指導要領にのっとっての授業というものは、その点は支障がなく行われているのですか。
  70. 遠山耕平

    遠山政府委員 応急仮設校舎で授業を実施している学校、あるいはグラウンドに避難の住民の住宅が建てられているような学校につきましては、通常と比べで不自由な授業がされていると思いますが、授業の実施自体は円滑にされているというぐあいに聞いております。
  71. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 そうすると、ほかの学校と全く変わらず授業を受けられる、こういうことでございますね。
  72. 遠山耕平

    遠山政府委員 先ほど申し上げましたように、グラウンドに避難している方々の住宅等が建っていると体育等については不自由な状態にあるということはあると思います。
  73. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 要するに、文部省で定められたカリキュラムについては消化できている、こういうことですね。  次に、文部大臣お尋ねをいたします。  文部大臣の歴史観についてでありますが、去る八月十日付の新聞を私は持っております。去る八月九日の就任直後の記者会見で島村文部大臣は、さきの戦争を侵略戦争と考えるかと質問されて、侵略戦争じゃないかということは考え方の問題で、日本だけがそういうことを行ったならばこの問題を突き詰める必要があるけれども、世界じゅうにはいろんな事例がある、現に戦後っ子だけで三分の一と、戦争を全く知らないような時代になってきているのに、相も変わらず昔を蒸し返して、それを一々謝罪していくというやり方は果たしていかがなものかと述べて、アジア各国から猛反発を受けたわけであります。  その後、文部大臣は、戦争自体やってはならないことで、ということで、釈明会見なのかどうか、そこのところが私どもはっきりわからないのですが、一般国民にはうやむやな状態であいまいもこの状況になっているので、ちょっとその点を確認いたしたいと思っております。
  74. 島村宜伸

    島村国務大臣 このことは前に予算委員会で、委員も御出席の場で一回申し上げたことがあるわけでございますが、御質問ですから繰り返します。  文部大臣就任時の会見における発言は誤解を生じたので、改めて真意を申し述べたところであります。  その真意の第一は、戦争は悲惨なものであって、二度と繰り返してはならない。第二は、将来の国際貢献に向かって努力していくことが大切である。第三は、さきの大戦に関し、我が国の侵略行為や植民地支配などが多くの人々に耐えがたい苦しみと悲しみをもたらしたことに対し、深い反省の気持ちに立つことが大切であり、今後とも世界平和の創造に向かって力を尽くしていくとの我が国の決意を新たにすべきものと考えているというものであります。現在においても、このとおり考えております。
  75. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 そうしますと、文部大臣のとられた記者会見の前言を撤回された、こういうことで理解してよろしいのですね。
  76. 島村宜伸

    島村国務大臣 結構でございます。
  77. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 さらにお尋ねをいたしますが、来春、朝鮮の植民地支配が今までよりも詳しく記載された小学校教科書が出ることになっておりますが、この教科書の記述どおりのお考えなのか。と申しますのは、記者会見の、今撤回をされましたからそれ以上は申し上げませんが、文部大臣の就任当時の御発言と、文部省の来春出される小学校の社会科の教科書記述内容を見ますと、かなりそごを来している、そういうふうに思えるものですから、確認をさせていただきたい。  それと、なおかつ文部大臣は、今まで国会議員をずっと続けられておる中で、当初私は、就任時に御発言されたようなお考え、主義主張をされていたものだと理解をしておったわけですが、大臣になってそのお考えが変わった、こういうことで理解をしてよろしいのでしょうか。
  78. 島村宜伸

    島村国務大臣 やはり政治家一個人として活動している場合と、閣僚の一員として、あるいは行政の長として活動する場合というのは、おのずから立場が違います。しかし、今最初に申された教科書内容と私の考えとに、考え方のずれがあるのではないかという御指摘でございますが、まず、教科書の検定は学界における学説状況等に照らして行われているところでありますし、特に歴史教科書における近隣のアジア諸国との間の近現代史の取り扱いについては、国際理解と国際協調の見地から検定を実施しているところであります。御指摘の教科書についても、このような観点から検定が行われるものと承知いたしております。  また同時に、私自身の考え方が変わったかどうかにつきましては、先ほど申し上げたとおりであります。
  79. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 冒頭大臣は、政治家一個人としての発言と行政の長としての発言、立場というのは違うのだ、このようにおっしゃったわけでありますが、そうなりますと、大変失礼ながら、これはいつになるかわかりませんが、近い将来、文部大臣を退任された後またお考えが変わる、こういうことでありますか。発言が変わる、こういうことでございますか。
  80. 島村宜伸

    島村国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、私の真意としてお答えいたしております。
  81. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 では、その真意というか、大臣は今、一個人としての政治家の発言と行政の長としての立場は、これは明らかに違うのだ、そういうふうに冒頭おっしゃったわけですね。だから、大臣をおやめになればまた発言は前に戻るのですか、変わるのですか、こういうことを聞いているわけであります。
  82. 島村宜伸

    島村国務大臣 私自身の言葉が足りなかったということから改めて真意を申し直したところであります。
  83. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 私自身の言葉が足りなかったから真意を申し上げたというのは、では前からずっと、今文部大臣として前言を撤回された、そのように思っていた、こういうことですか。
  84. 島村宜伸

    島村国務大臣 ただいま申し上げたとおりです。
  85. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 そうすると、前から思っていたということになると、前から思っていたのに、では何で記者会見でああいう発言になったのか、そこのところがそごを来しできますね。前から島村文部大臣は、植民地についての考えについては、ずっと文部省教科書の言われているとおり、あるいは大臣として今現在発言されていることを、そういうふうに思っでいたということになれば、それは文部大臣の記者会見のときの発言が違っているわけですね。そこのところ、どうなんですか。
  86. 島村宜伸

    島村国務大臣 ここにそのときのコメントの記録がありますが、これは夜中の時点での会見についてでありますけれども、けさの会見で、就任時の記者会見におけるさきの大戦の認識に関する発言について、私の真意を正しくお伝えできなかったと認識したので、再度記者会見を行い、改めて真意を御説明した旨申し上げたが、その意味は、就任時の説明は誤解を生じたのでこれを撤回し、改めて真意を申し述べたものであります、こう答えております。
  87. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 就任時の説明は誤解をされたということは、おっしゃっていたことが全く違っていた形で報道された、こういうことでございますか。
  88. 島村宜伸

    島村国務大臣 今申し上げたとおりであります。
  89. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 一個人としての政治家の発言と行政の長の立場が違うのだということは、これはまだ御答弁いただいてないわけでありますが、一個人としての発言と、大臣になると発言が変わるのですか。考え方は変わってしまうのですか。
  90. 島村宜伸

    島村国務大臣 私は、原稿、それなりのものは用意をされているわけでありますが、それでは逆に私自身が、誠意が通じないのか、自分の言葉で何か表現したいと思う中に、やはり人間の言葉ですし、真夜中で疲れ切っているわけでありますから、言葉にいろいろ後で調べてみると不備な点があった、誤解を招くことは当然と思ったので、これを訂正した次第であります。
  91. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 もう一度確認をいたしますが、この件につきましては、この植民地発言、戦争観発言については、今前言を説明し直されてこういうふうに答弁されておられる、それが、大臣が退任された後でもこれと全く同じ考え、そして同じ発言でいくのですか、再度お尋ねします。
  92. 島村宜伸

    島村国務大臣 私の考えは今申し上げました。
  93. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 では、変わりがないということですね。では、お変わりにならないということですね。
  94. 島村宜伸

    島村国務大臣 私の真意は先ほど読んだとおりであります。
  95. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 それでは次に、近々大臣は日教組の委員長とお会いになる予定はあるのですか。
  96. 島村宜伸

    島村国務大臣 日教組とも会いますが、教員関係の幾つかの団体がございます、その団体とお会いします。
  97. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 日教組の委員長と近々会う予定はないのですか。
  98. 島村宜伸

    島村国務大臣 今申し上げたとおり、教員関係の組織のいろいろな方とお会いします。
  99. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 日教組は、九五年大会宣言で、四十年以上対立していた文部省と日教組が和解をして、学習指導要領初任者研修制度等々を日教組が認めで和解をされた、こういうことが報じられでいたわけでありますが、このことはまた後で御質問をさせていただきますが、日の丸・君が代については棚上げにした、こういうことであります。  私も前、この文教委員会で、日の丸の実施状況それから君が代の斉唱状況等々の質問をさしていただきましたが、日の丸の実施状況は小中高で九六から九八、それから国歌斉唱は七四から八七%、こういう御答弁が、たしか当時、井上局長からされたんだと思っています。  本当に、局長、日の丸は九六から九八、掲げられているところが多くなった、こういうことでありますが、この君が代の斉唱についてですけれども、本当に斉唱と言えるような、七四から八七%の児童生徒が本当に歌えると思っておられるのかどうか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  100. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  君が代・日の丸につきましては、既に先生御案内のとおり、学校教育におきましては現行学習指導要領におきまして、社会科において国旗・国歌の意義を理解させますとともに、入学式や卒業式などにおいて国旗を掲揚し、国歌を斉唱するよう指導をしているところでございまして、その調査結果については、先生が先ほど申されましたが、例えば平成六年度の入学式における国旗掲揚、国歌斉唱の実施状況では、小学校では国旗掲揚率が九八・四%、国歌斉唱率は八五・六%、中学校では国旗掲揚率が九八・〇%、国歌斉唱率は八三・六%、そして高等学校では国旗掲揚率が九七・五%、国歌斉唱率は七七・三%というように都道府県教育委員会から報告を受けているところでございまして、私どもとしては、各学校において、このような調査結果にあらわれているように、国歌斉唱についても適正に行われているものというように理解をしております。
  101. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今、局長の御答弁で、適正に行われ歌われている、こういうことでありますが、島村文部大臣、文部大臣も政治家としてさまざまな行事に御出席され、例えば柔道大会だとか剣道大会だとか武道の大会を含めていろいろ出られるケースも多いと思いますね。そこに児童だ生徒だたくさん来ておられて国歌斉唱となったときに、実際にその子供たちが歌っているのか。私この目で確認をしておるわけでありますが、ほとんどの子が歌ってない。そしてまた、卒業式、入学式に国歌斉唱といって、確かに井上局長おっしゃるように七四から八七%の実施率はあるのかもしれない。しかし、それはただただテープを流しているだけで、子供たちは歌ってないですね。歌ってないですよ。つまり、日本の国歌というのを知らない子供が大変多いということなんですよ。それを、テープを流しただけも含めて私は八七%ということでカウントされているんだろうと思うのですが、その点、局長、実際に、本当に歌っているのを含めて八七%ということですか。
  102. 井上孝美

    井上政府委員 お答えを申し上げます。  私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、入学式、卒業式における国旗掲揚、国歌斉唱の状況について、都道府県教育委員会を通じて報告をいただいているところでございますので、先ほど申し上げましたように、各学校においで適正に国旗を掲揚し、国歌を斉唱しでいただいているものというふうに理解しているわけでございまして、したがって、その国歌斉唱の状況等について先生から今いろいろお話がございましたが、私どもとしては、学校における指導としては、やはり国歌を斉唱という以上は、その国歌を歌うような指導が行われているものというように理解をしているところでございます。
  103. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 では、その八七%の、これはまあ小学校が八七ということでありますね、八七%の子供たちが、局長はいわゆる国歌が歌える、こういうように理解しているわけですね。
  104. 井上孝美

    井上政府委員 先ほども申し上げましたように、実際に学校におきま。して、社会科あるいは入学式、卒業式あるいは音楽においても実際に指導しているわけでございますので、小学校において国歌について、指導計画の中で、各学年を通じ、児童の発達段階に即して指導を行うことになっておりますので、そういう意味で、小学校第一学年からの共通教材として君が代を取り扱うこととされているところでございますから、一年から六年まで歌えるように指導しているというように理解しております。
  105. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 日教組が文部省と歴史的な和解をした。今まで日の丸・君が代、きのうまで反対していて、さてきょうから、はい方向転換しましたからやると言って、現場では、はいそうですか、ではやりましょう、人間の気持ちなんというのはそんな簡単に変わるものではないんですよ。  現実に今されているものだと思いますなんて局長は答弁しでいますけれども、あなた、実際のことわかってないですよ。ほとんどの子供は歌えないですよ。八七%の子供たちが知らないんじゃないか、そう言っても過言でないぐらい歌えない子供がたくさんいるんですよ。それは地域によってバランスはあるでしょう。少なくとも私どものこの首都圏、この辺の地域では八割方の子供は、国歌を歌ってみなさいと言っても歌えませんよ。それであなたは、八七%やっているから歌えるものだと認識していますと、そんなことで、この国の文教の行政の局長として、現実を把握しでないで、それで、そういうことだろうと理解しています、そういう答弁で本当の教育というのはできるんですか。
  106. 井上孝美

    井上政府委員 お答えいたします。  先ほどから申し上げておりますように、私どもとしては、現行の学習指導要領に基づいて各学校において適正に教育が行われることを指導しているわけでございますので、国歌につきましては、先ほど申し上げましたように、具体的には音楽の教科におきまして第一学年から第六学年まで、全学年を通じて指導をしている以上は、やはり歌えるように先生方指導していただき、児童は国歌を歌えるように習得をしているものというように考えているわけでございますので、先ほど申し上げましたような状況で、学校においては国歌は斉唱されているというように私どもは考えているわけです。
  107. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 私どもは考えていても、実際は先生指導してないんですよ。やってない。それはやっているところも中にはあるでしょうけれども、やってないんです。  だから私は、局長、ではもう一回聞きますよ。今まで君が代・日の丸反対だと言ってきたのが、では方向転換しました、あしたから、では方向転換してやりますと言ったら、はいやりますと人間としてなりますか。
  108. 井上孝美

    井上政府委員 お答えを申し上げます。  学校教育につきましては、全国的な教育水準の維持向上を図るという観点から、学習指導要領を定めて、それに基づいて各学校において教育活動が展開されているところでございますから、そういう意味でも、今御指摘の国歌の斉唱についても、私どもは必ずそのとおり行われているというふうに当然考えでいるところでございます。
  109. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 当然考えているといっても、もっと現実をよく見てもらいたい。これ以上はもう局長には質問しません。  そこで、昨年の十月十三日に、これは衆議院の予算委員会で「学校における国旗・国歌の指導について」の政府統一見解、つまり社会党、自民党、さきがけ政権ができたことによって統一見解を示されたわけであります。この統一見解の第三項目、国旗・国歌ということの義務、強制から大きく後退したものになったわけでありますが、その点についての島村文部大臣の御見解を伺いたいと思います。
  110. 島村宜伸

    島村国務大臣 御指摘の見解は、昨年十月十二日の衆議院予算委員会における山田委員質疑に関する村山総理と当時の与謝野文部大臣の国旗・国歌に関する答弁内容を整理したものが理事会に提出されたものと承知しております。学校教育における国旗・国歌に関する指導は、子供たちがこれからの国際社会に生きていく国民として必要な基礎的、基本的な資質を身につけるために必要なことであると考えておるわけであります。  今後とも文部省としては、各学校において学習指導要領に基づき、国旗・国歌に関する指導が適切に行われるよう従来どおり指導してまいりたい、こう考えます。
  111. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 いや、私が聞いているのは、この第三項目で、児童生徒の内心にまで立ち入って強制するのではなくて、あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくことが必要となっているということがつけ加えられたのですよ。それまでは、この国旗・国歌については、自民党政権下では義務、強制が伴うのだという見解をずっと示しでいたわけであります。それを昨年の十月十三日に、教育指導上の課題として指導を進めでいくことということで強制するものではない、内心まで立ち入って強制するものではないということになったわけであります。つまり、それまで言ってきた、文部省あるいは当時の政府の言っていた、いわゆる教育には義務、強制が伴うものだという見解から、心の内心まで立ち入るものではないということで、これはこれまで義務化を目指してきた指導から大きく後退をした結果になったわけです。その点についてどうなのかということを大臣お尋ねをしているわけであります。
  112. 島村宜伸

    島村国務大臣 学校における国旗・国歌の指導は、これからの国際社会に生きていく国民として必要な基礎的、基本的な資質を身につけ、将来、広い視野に立って物事を考えられるようにとの観点から児童生徒の発達段階に応じて行われるものであり、個々児童生徒の内心の自由とは別個の問題であると考えます。教育は個人の内心にもかかわってくるものではありますが、もとより国旗・国歌の指導はその内心に立ち入って強制しようとするものではなく、あくまで教育指導上の課題として指導を深めていくものであります。  文部省としては、このような考え方に立って従来どおり指導してまいりたい、こう考えでいるところであります。
  113. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 いや、教育ということを考えますと、私は義務、強制が当然伴ってくる、こういうふうに理解をしているわけであります。  例えば、それは子供理解しようがしまいが勝手なんだ、内心まで立ち入らないんだ、わかってようがわかってまいがそんなことは勝手なんだ、こういうことでは教育というのは成り立たない、私はこういうふうに思っています。  例えば、具体的に言うならば、基礎的な、基本的な教育をしなければいけない。例えば足し算、掛け算、九九ができようができまいが、それは子供の内面まで入るわけにいかない、そんなことはできなくても構わないんだ、つまり強制を伴うことは必要ないんだということになれば、それは九九ができようができまいが内心まで立ち入ることでない、こういうことになるんじゃないですか。その点、どうお考えでしょうか。
  114. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  学校におきましては、教科書を主たる教材として、先ほど申し上げました学習指導要領に基づいて教育課程が編成され、そして個々具体的な各教科ごとの教育が展開されるわけでございますが、そういう意味で、国旗・国歌の指導につきましても、先ほど申し上げましたような社会科や音楽、あるいは入学式、卒業式において国旗・国歌の指導が行われているわけでございまして、そういう意味で、先生方はそういう教育を行わなければならないことは先生お話しのとおりでございまして、それに従って、児童生徒につきましでも発達段階に応じてその教育が適正に行われるような配慮が行われ、教育活動が行われているわけでございます。  ただ、その場合、先ほどから御指摘の点につきましては、児童生徒の内心の自由とは別個の問題であるという観点からの御説明を申し上げているところでございまして、そういう点で、あくまでも教育指導上の課題としてこの国旗・国歌というものは指導を進めていくもの、こういう観点から、教育指導効果につきましては、どういう成果を発揮したかと、その長い期間、国旗・国歌を指導することが実は別の問題であるということは従来から申し上げているところでございまして、最終的にどういう教育効果があったということは、一人一人の児童生徒の内心において別々の問題が生ずる可能性があるということをここでは申し上げているところでございます。
  115. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 そうしますと、井上局長、先ほどから言ったように、例えば足し算ができる、できない、九九ができようができまいがそういうのは内心に立ち入ることではないというのと、ではもっとわかりやすく言うならば、九九だとか足し算、掛け算、そういう教育としての、人間として学ばなければいけない基本的な、基礎的な知識、これらの習得と国旗・国歌というのは違う、別物なんだ、こういうことですか。
  116. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  教育内容については、その先生方児童生徒にその発達段階に応じて理解をさせるためにあらゆる努力をするということは、これは当然のことでございますから、そういう意味で、できるだけその学級なら学級子供すべてがそういう理解をするような最大の努力をしていただくというようになっているわけでございます。したがって、教科を問わず、また内容を問わず、絶えず児童生徒がそれを理解し、それを実際に身につけていただくような指導をするという点では変わらないというように私どもは思っているところでございます。
  117. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 そうなりますと、局長、例えば教育上の指導というのはいろいろあるわけでありますが、教育というのは、例えばはしは右で持て、茶わんは左で持て、人と会ったときはおじぎをしてあいさつしろ、そうやって指導する、それに従わなければしかるわけですよね。これは当然義務、強制が伴ってくると思わないですか。教育というのは義務、強制が伴うのですよ。義務、強制のない教育というのはないんですよ。その点、どう思いますか。
  118. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  従来は、教育については、先生がその知識なり技術を子供たちに教えるというのが基本的な考え方として指導方法においてはとられていたわけでございますが、現行の学習指導要領におきましては、新しい学力観に基づきまして、児童生徒がみずから考え、主体的に判断し行動できる資質、能力を育成するという観点から、子供たち学習意欲を十分先生方がとらえ、それに基づいて子供たちの自発的なそういう学習に対する意欲を喚起していくという考え方から、現行の教職員配置改善計画におきましても、チームティーチング等を導入いたしまして、グループ分けしてそれぞれの子供の習熟度に応じて教育効果を上げるような指導方法も講じているところでございます。そういう点で、必ずしも義務、強制だけではなくて、基礎、基本は確かに徹底して教える必要があるわけでございますから、その中では子供たちの自発的な意欲というものも引き出すような指導がやはり必要ではないか、このように考えております。
  119. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 去年の十月十三日以前は、文部省は国旗・国歌については義務化を目指してやってきたわけですよ、当然。それで強制を伴ってきたわけですよ。それによって、例えばそれに従わない教師は処罰されたわけでしょう。今の局長の答弁を聞いていると、では、そういう処罰された人はどうなってしまうのですか。これは今まで強制を伴って義務規定で来たわけでしょう。それが、内心まで立ち入れられるものじゃない、強制は伴わないとなったわけでしょう。そうやって政策の方向転換、いわゆる義務、強制について大きく後退をした。以前文部省は義務化を目指して、そして強制を伴うということで指導してきたわけです。それに従わない教師はそれなりのペナルティーを科したわけですよ。そうすると、そこのところは私は大きく違ってくると思いますよ。  それからもう一点、第二点目。子供の自発的意欲に任せるのだと言ったって、知らないものを教えるのが教育というのですよ。そうじゃないですか。自発的意欲というのはどういうことなのですか。子供の自発的意欲に任せるというのはどういうことなのですか。その点、はっきりお答えいただきたいと思います。
  120. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  ちょっと先生に御理解をまずいただきたいのは、先ほどの内心に立ち至って強制するものではないというのは、児童生徒の内心に立ち至ってということでございますので、先生方につきましては、もちろん学習指導要領に基づいて国旗・国歌を指導しなければならないということは、先ほどから申し上げているとおりで、これは全く変わらないわけでございますから、大臣から先ほど御答弁申し上げたとおり、各学校において学習指導要領に基づき国旗・国歌に関する指導が適切に行われるよう従来どおり指導してまいりたいという御答弁が大臣からございましたが、そのとおりでございます。  したがって、要は、教える先生の問題とそれから実際に教育を受ける児童生徒の両面があるわけでございまして、先ほどの問題は児童生徒について申し上げたわけでございますが、その自発的な学習意欲にゆだねるということではなくて、みずからも自発的に、主体的に学習をしていく意欲を喚起していくということを言っているわけでございまして、当然、義務教育におきましては、学習指導要領内容でございます教育内容等については、基礎、基本を十分徹底して教えていくというのは申すまでもないところでございますので、そういう点で御理解を賜りたいと思います。
  121. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 御理解なんかできませんよ、そんな。今まで文部省が言ってきたことと去年の政府統一見解というのは大きく後退したのですから。それをあなた方は立場があって認められないのだろうけれども、島村文部大臣だって腹の中ではこの政府統一見解はおかしいと思っていると私は思いますよ。これはおかしいのですよ、この第三項目を加えるということは。今までどおりやっていけばいいのだから。  これは、だから社会党と連立政権を結んだ自民党との妥協の産物なのです。その妥協の産物を教育現場まで持ってこられているわけですよ。今までどおりいけばいいのですよ。それを、義務、強制は伴わないとか児童の内心まで立ち入らないとか、そういう話になって大きく後退したのです。これはもう大人の立場で、こういうふうな政策転換をしたり、ましてや大事な基礎、基本を学ばせなければいけない子供にまで間違った形でこういう指導をやっていくということは、昨年の政府統一見解というのは、本当に私はおかしいと思っております。  島村文部大臣、率直なところいかがでしょうか。
  122. 島村宜伸

    島村国務大臣 教科の学習をするということと内心の強制をするということはやはり異質だと思います。したがって、学校教育の課程で、いろいろな行事その他について国旗を掲げ国歌を歌うということを指導することはいたしましても、例えばそれを児童生徒の中に全く受け入れない人がおっても、これを強制することはやはりできないことだと思います。
  123. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今までの島村文部大臣の発言ともちょっと思えないわけでありますが、私も、選挙区が隣でありますから、島村文部大臣の今までの発言、行動については非常に尊敬の念を持って大先輩として思っていたわけであります。何となしに、先ほど大臣がおっしゃった、やはり大臣大臣なりの立場で御発言されているのかな、苦しいところがかいま見られるわけでありますが、まあこの件はそこまでといたしまして、時間がありませんから、いじめについてお伺いをいたします。  「生きているのがこわい」という遺書を残して若い命をみずから絶った新潟県上越市春日中学校の一年生伊藤準君に、心から謹んで哀悼の意を表したいと思います。  くしくもこの事故が起こった十一月の二十七日は、午前中も議論されたわけでありますが、愛知県西尾市東部中学校大河内清輝君の命日に当たったわけであります。まことに痛ましい事故でありました。  それで私は、今週の十二月四日に新進党のいじめ問題調査団の団長として上越市に赴きまして、教育委員会、そして春日中学校校長、教頭、PTAの会長とその関係者、それから警察署長さん等々にお目にかかって、じかに今回のいじめ事件について調査してきたところであります。  上越市は、戦国の世のかの有名な武将の上杉謙信の春日山城のふもとに位置しておりまして、その春日山の名前をとって春日中学校、こういうふうになっているのだろうと理解をいたしておりますが、約十三万の人口で、中学校周辺の状況は古い町並みと新しい新興住宅地とが混在している町でありました。  その伊藤準君は、特に、校長先生お話によりますと理科と体育にすぐれていて、一学年百八十八人中十番から十五番目と優秀な生徒であったと伺っております。級長を務めたりしておった優秀な生徒であったそうであります。  いじめのきっかけになったのは、十一月の五日に、いじめた友人が準君の家に遊びに来でいて、ファミコンで遊んでいたその友人たちの態度が悪かったので、そしてまた準君の妹を泣かせたということで、父親が注意したことからその五人のいじめが拡大をしていった、こういうふうに聞いております。その後みんなで、シカトというのですか、準君を無視したり、トイレで衣服をはがしたり水をかけたり、いたずら電話したり、そういったことがあったようであります。  ここで問題なのは、春日中学校では昨年の大河内君のいじめ事件を契機に、いじめに関するアンケートを実施するなどして、いじめに対しての予防策と申しますか、そういったものをいろいろやっていたようであります。しかし、そういうかいもなくこのような痛ましい事件が起こったということは、全く効果が上がっていなかった、こういうことであります。  そういう中で、中学校の校長先生が切々と我々に訴えたのは、学校五日制の導入によって授業時間が月八時間少なくなった、そのしわ寄せで、文化祭とか遠足とか生徒との触れ合い、対話、団体活動によって人間性を養う行事がぜひとも必要であったにもかかわらず、そういった諸行事を削らざるを得なかった、人は触れ合いによって成長するものであり、これらをカットしてしまうと学校の勉強ばかり中心になって偏向教育になってしまう、今の学習指導要領のままでは、教育現場ではとてもこれは対応できないのだということを校長が切々と訴えていた。  それが大変印象的でありましたが、このことについて文部大臣、まず初めに、いじめに対するいろいろな予防策をやっておいた、この春日中学校もその中の一つであったけれども大変痛ましい事件が起こってしまった、なぜこのようないじめというものが起きるのかということを、大臣に御所見をいただきたいと思います。  その次に、今の学習指導要領について、校長先生の切々と訴えた、この学習指導要領では生徒同士の対話だとか学校先生との対話なんかはとてもできない、こういうふうに訴えていたわけでありますが、その点についで文部省当局から御見解を伺いたいと思います。
  124. 井上孝美

    井上政府委員 では、最初に私の方から、ただいま先生から月二回の学校週五日制についてのお話がございましたから、その点についでお答えを申し上げます  月二回の学校週五日制は、調査研究協力校の研究の成果などを踏まえまして検討した結果、現行の教育課程の基準のもとで実施できると判断したものでございます。調査研究協力校においては、学校行事の精選や短縮授業の見直しなど、授業時数の運用の工夫改善を行うことによりまして各教科や道徳等の授業時数を確保するとともに、個に応じた指導や体験的な学習を重視するなど、指導内容指導方法の工夫改善が行われたところでございます。文部省としては、このような取り組みが各学校教育委員会において行われるように、実施通知や事例集を作成するなどして指導に努めてきたところでございます。  そういう意味で、私どもとしては、現在のところ各都道府県教育委員会からの報告では、月二回の学校週五日制は、本年四月からの実施を見てみますと円滑に実施されているという報告を受けているわけでございまして、今後とも学校週五日制の趣旨を踏まえて各学校において適切な取り組みが行われるように努めてまいりたいというように考えているところでございます。
  125. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 いや、学校五日制が円滑に実施されている云々ということでなくて、先ほど私が、校長先生教育委員会あるいはPTAそして我々との対話の席で切々と訴えたのは、今の学習指導要領では文化祭だとか遠足だとか、要するにそういう行事の時間をカットせざるを得ないし、それから生徒との対話とか団体活動だとか、そういう人間性を養う行事が必要なんだ、人間というのは触れ合いの中で成長する部分があるし学校の勉強だけというわけにはいかない、しかし今の学習指導要領でいけばそういうものをカットせざるを得ない、月に八時間なくなって、それをほかの時間に、これはほかの曜日にやらないわけにいかない、そうすると学校五日制を導入するためには何をカットするかということになると、そういうさまざまな行事だとかということをカットしていかなければいけないのだ、こういうことを言っているわけですね。それで、とても今の学習指導要領では、学校先生も忙しいし、それから文部省がゆとりと個性重視とかと言っているけれども、そういう教育はできないのだと言っているわけですよ、校長は。それは円滑に実施しているとおっしゃっているけれども。そういうことも含めていじめ問題が発生してくる一つの原因になってくるのではないか。だから私は、今の学習指導要領ではとても無理だということはもう前の文教委員会から言っているわけであります。  それで、これはこれからいずれ完全五日制に進んでいくわけでありますが、この学習指導要領をやはりさらに改訂をしていかなければいけない、学校五日制に合わせて改訂をしていかなければいけない、そういう考えがあるのかどうかということを、今回の発言を契機にどう思っているのかということをお尋ねしているわけであります。
  126. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  月二回の学校週五日制の実施への取り組みについては先ほど御説明したとおりでございますが、学校週五日制の今後のあり方につきましては、先ほども中島委員の御質問に御説明しでいるところでございますが、現在、中央教育審議会におきまして今後における教育のあり方の御審議をお願いしておりまして、その関連で学校週五日制の今後のあり方についても御審議をいただいているところでございますので、そういう中央教育審議会の御審議の結果を踏まえて、その後教育課程審議会における教育課程の改訂が必要であれば、それについても御審議いただくことを考えているところでございますが、現行の月二回の学校週五日制については、先ほど来申し上げておりますように、現行の学習指導要領の中で十分実施が可能であるという観点に立っておりますので、現行の月二回の学校週五日制のもとにおける教育課程の改訂ということについては現在考えていないところでございます。
  127. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 いずれにしても、それは局長はそうおっしゃっているけれども、現場ではとてもこれは対応は無理だということを、これはその校長先生だけじゃなくて、私どもがほかの先生方ともいろいろ話す機会があって、とてもこれは無理だということを強く申し上げておきたいと思います。  次に、登校拒否についてお尋ねをいたします。  いじめについては私の後、同僚の藤村議員からるる別な観点から詳しく御質問があろうと思いますので、私のいじめに対する質問はそこまでといたしまして、登校拒否についてお尋ねをさせていただきますが、今からちょうど二十年前、昭和四十九年と現在、昨年までの統計になろうと思いますが、五十日以上の登校拒否児童数どうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  128. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  昭和五十年でよろしゅうございますか。(石田(勝)委員「五十年で結構です」と呼ぶ)昭和五十年におきます学校基本調査による調査結果でございますが、小学校では五十日以上欠席した者は二千八百二十人、中学校が七千七百四人、合計で一万五亘二十四人という結果になっております。  それで、最新の調査は、平成六年度におきましては、五十日以上欠席した者は、小学校で一万二千二百二十二人、中学校で五万一千三百十六人でございまして、合計六万三千五百三十八人でございますが、平成三年度からは三十日以上欠席した者も調査を行っておりますので、平成六年度は三十日以上欠席した者、これはもちろん五十日以上欠席した者も含むわけでございますが、その数は小学校が一万五千七百七十三人、中学校が六万一千六百二十七人でございますので、合わせまして七万七千四百人というような状況になっております。
  129. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 つまり、二十年前と現在とでは五十日以上学校へ行かないという子供が約六倍、そして三十日以上学校へ行かない生徒児童がことしは七万七千人に達した。昨年よりは二千七百人ほどふえている。こういう大変痛ましい数字が出ているわけであります。全国平均でも、上越地方を含めた新潟県というのは生徒千人当たりの登校拒否割合というのが全国一になるわけですね。余り名誉なことではありませんが、二番目が私どもの地元の埼玉県、三番目が岡山県、こういう順番になるわけであります。  そこで、やはりさまざまな原因があろうと思います。実は、私は今小学校三年生の娘を頭に幼稚園、来年幼稚園と三人の子供がおりますが、上の子がちょうど小学校三年生でありまして、たまたま仲よくしていた子供とクラス編制になって変わった。クラス編制になってかわった担任先生が、彼女の担任教師がいろいろヒステリックなところがあったり、いろいろなことがあって、学校へ行かなくなった。そのほかにもそのクラスは二人ほど登校拒否の生徒がいる。こういうふうに聞いているわけであります。  それは、不登校の場合には、学校先生だけではなくて、いろいろな事情があるのだろうと私は思います。しかし、そのお話をお母さん方から聞いていると、特に低学年の生徒を指導する先生、どういう先生に当たるかということで、場合によってはその子供の人生が変わってしまうというケースもあるのではないか。それは大いにあるのだろうと私は思っております。  そういうことで、今文部省教師の採用をした後、九十日の初任者研修、そういうことを実施したり、いろいろやっておられるわけでありますが、最近聞いていますと、今大変就職難でありますから、最近そういう先生が就職をされる。そして初任者研修を受ける。優秀な先生もかなり来るようになった。しかし、ベテランと言われる先生の中にいろいろ性格が不適格、教師として不適格、そういう先生も結構いる。  確かに全国で百万人もの教師がいるわけでありますから、それはいろいろな人がいるのでありましょうけれども、そういう先生方日本の場合は一回教師のライセンスを取れば永久ライセンス、これは特別な問題を起こさない限り六十才までずっと免許を持ち続けられるわけであります。諸外国の場合は、ドイツの場合だとかアメリカの場合、アメリカの場合は五年ごとの契約制とか、そういうふうになっているわけであって、不適格な教師がいた場合には解雇する、こういうふうな形になっている。日本の場合は、入ってしまったらよっぽどのことがない限りそのままいってしまう。その間、初任者研修を何ぼやっても、一回入ってしまったら、その後の五年研修とか十年研修とか十五年研修、二十年研修というのは、研修のあれはありますけれども、その問題の先生を再点検するような制度というのは日本の場合はないわけですね。  私は、やはりそういう先生制度、その一回入ってしまった先生を、五年研修、十年研修、それはそれで結構です、しかし、その再点検をするような、そういう制度を創設する必要があるのではないか。そして、安心して親が子供を預けられるような、そういう学校をつくっていく。信用されるような学校をつくっていくというためには、やはり教師への信頼というのは私は必要不可欠だと思います。  時間がありませんから、最後に、その教師を再点検するような制度を創設するお考えがあるかどうかということをちょっとお尋ねをさせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  130. 遠山耕平

    遠山政府委員 お答え申し上げます。  文部省におきましては、教員の資質、能力の向上を図るために、教員の養成それから採用、研修の各段階を通じて総合的にいろいろな施策を講じているところでございます。  具体的に申し上げますと、実践的な指導力それから使命感を養い、幅広い知見を得させるために、採用後一年間にわたる初任者研修制度を実施しております。そして、これにつきましては、教員の条件つき採用期間を六カ月から一年間に延長したところでございます。  それからまた、教員の任命権者でございます各都道府県あるいは指定都市教育委員会に対しましては、指導力が劣ったり、あるいは教員としての適格性に問題のある教員につきましては、児童生徒教育に携わるという教職の重要性にかんがみまして、休職処分あるいは免職処分を初めとする適切な人事上の対応を行うよう指導しているところでございます。  ただ、先生御指摘のように、数年ごとに試験を行うなどして教員としての資質、能力を再点検する制度をつくることにつきましては、公務員の身分保障との関係など公務員制度の基本にかかわる問題を含んでおります。また、教職希望者の身分が相当不安定になるものですから、かえって教職にすぐれた人材が得にくくなるおそれがある。こういうことから、慎重に対応すべき問題であるというぐあいに考えております。
  131. 石田勝之

    ○石田(勝)委員 今、遠山局長から御答弁をいただきましたが、一般公務員と学校教職員とは同じ公務員でも違うのだ、そういうふうに私は思っております。時間になりましたから、この件についてはまだ今度の機会に質問したいと思います。  以上をもって、質問を終わります。
  132. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 次に、藤村修君。
  133. 藤村修

    藤村委員 新進党の藤村修でございます。  私の方は、いじめ問題を中心として、教育の改革ということを御提案なりもしながら、議論を進めたいと存じます。  先ほど石田委員の方からも御紹介申しましたが、新進党の方では今週の月曜日、十二月四日にいじめ問題調査団を新潟県と、それから一年前の大河内君のあの愛知県西尾市東部中学校でございますが、この二班で派遣をしたところでございます。私の方は愛知の西尾市の方へ団長として参りました。  まず、去年の十一月二十七日に大河内清輝君のいわゆるいじめによる自殺という大変痛ましい事件が起きて、その後、これは文部省の方でも非常に迅速に対処され、十二月十六日ですか、「いじめの問題について当面緊急に対応すべき点について」という文部省の初市局長の通知を各都道府県教育委員会やら府県知事やら附属学校、国立大学長等々、いわば緊急に対応すべき点について御通知をされた。そして、それから現場の東部中学校はもちろんですが、全国的にマスコミでの報道もやはり大きく取り上げられたということからもいじめ問題に大変関心は高まっていたと思います。その矢先、ちょうど、これは偶然にも一年たったときの新潟県の事故となったわけであります。  まず、この一年間で、昨年大河内君の事件が起こる以前と、この一年それなりに対処し、文部省としてもそうして努力をされてきたわけですが、何らかのいじめ問題に関する変化、兆候その他はあるのかどうか、ちょっと総括してお聞きしたいと思います。     〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕
  134. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  いじめの問題への対策につきましては、ただいま先生からお話がありましたように、昨年十一月の愛知県の中学生の自殺事件の後、十二月九日にいじめ対策緊急会議を開催いたしまして、緊急アピールを取りまとめ、いじめがあるのではないかとの問題意識を持って、すべての学校において直ちに学校を挙げて総点検を行うとともに、実情を把握し、適切な対応をとることが提言されたところでございます。  文部省では、これを受けまして、各教育委員会学校に対してこの趣旨の徹底を図り、昨年十二月にすべての学校においていじめの総点検を行ったところでございます。その結果、新たに約一万八千件のいじめが発見され、それらの解決のため、学校、家庭、地域社会が一体となった取り組みをしていただいたところでございます。  平成六年度のいじめの発生件数及びその態様等については現在集計中でございますが、いじめであるか否かの判断はあくまでもいじめられている子供の認識の問題であるとの考え方のもと、各学校におきまして、積極的ないじめの実態把握が行われ、その解決が図られるよう指導徹底しでまいっているところでございます。
  135. 藤村修

    藤村委員 この一年、いわばいじめに対して相当関心が高まり、文部省としても迅速に通知を出されたりした。そして、学校の段階でも非常に意識は高まったと思います。  私は、この前東部中学校で、校長先生、教頭先生生徒指導の主事さん、あるいはPTAの皆さん、いろいろ長時間にわたってお話を伺いました。まあ当の現場でもありますから非常にこれは努力をされてきておりまして、ぜひ島村文部大臣にも御報告をしたいのです。  例えば、生徒、教師の関係を深めるために、これは毎日ですが、三十分間教科外で、触れ合いタイムという生徒と先生の時間をずっととってきておる。  あるいは、生徒同士で互いの長所を褒め合う肯定メッセージというのをクラス単位で、これは新しい試みだと思うのですね、つまり、あのいじめ問題をひとつみんなで真剣に話そう、そしてお互いにむしろ長所を褒め合うような、そういうクラス指導をした。  それから、例えば生徒一人一人の様子を、先生の方はお医者さんではありませんが、カルテというふうなもので記入をして、それは担任先生だけでなしに、いろいろな、学校先生だれでも目を通し、かつそこへまた書き込むこともできる、そんな個人カルテを発案した。  それから、道徳の時間が当然あるわけですが、ここでもやはり心を育てるという、一年の経験を経で、聞いてきた話として、心を耕すとか心を育てるという言葉を使われましたけれども、やはり心の教育というか、ではそれは具体的にどんなことですかと私が聞きましたら、もちろん道徳の中で、今指導要領にのっとった方法で、より心の分野に力を入れると同時に、さらに、生徒みんなで非常に感動的な映画を一緒に見るとか、非常に感動的なお話をしていただく講演者を招いて全校生徒で聞く、あるいは本についても、読書指導ということで、感動を与えるようなプログラムというものを非常に重視しでやってきた、そういうふうにおっしゃっておりました。  それから、これは現場の中学ということで非常に生徒の間でも意識の高まりがあって、ハートコンタクト委員会といいまして、これは生徒間の、いわゆる生徒会とか児童会とかとは関係なしに、本当にハートコンタクト、心と心の触れ合いを持とう、そういう生徒発案の委員会ができて、これは全校でも百六人ほどメンバーとして参加されておる。こんな学校側の努力を非常に熱心にやっておられる。  さらに、PTAがまた非常に強力に動いておりました。  一つは、亡くなられた大河内さん、当初はやはり、新潟の問題も今そうですが、起こったばかりというのは、学校と家庭との対立とか、いろいろな問題がある。その中で、PTAの側としては、大河内さんが孤立しないように、あるいは大河内さんの心の支えとなるように、PTAの皆さん、チームをつくって毎週のように訪問をした。  あるいはまた、大河内さんのところに全国から手紙がやってきて、今一千通を超えているそうでありますが、その手紙を読む会というのをPTAの中で自主的につくってこられた。  それから地域懇談会、これはPTAが中学校区を五つに分けて、ブロック単位で、このいじめ問題の懇談会をきょうまで何回か開催されてきております。  それから、つい先日には、いじめ公開討論会というのもPTAが主催してやられたところ、全国各地から駆けつけてこられたというぐらいの関心の高さ。  それからさらに、PTAの役員の間で、心の問題を考える会というものを発足させて今スタートしているということで、現場の中学でもありますから非常に一生懸命、熱心に問題をとらえて対処され、取り組んでこられた。むしろ私はほかの教科は大丈夫かなと思うくらいに、非常に熱心でありました。  そこで、しかし聞いたところ、では一年たって結果はどうでしょうと言いますと、これはほとんどの関係者が、本当に学校としては一生懸命こうしてやっていますが、それが、では本当にどう評価されるのかというのはまだよくわからない、かつ、我々の現場学校や父兄、生徒の努力以外のところでの対策が何か必要であろうということで、幾つかの陳情もお伺いしてきたわけでございます。  その中で一つ、この四月から実施されましたスクールカウンセラー、これは全国三人ずつ、愛知県でも三人配置されて、この東部中学へ配置いただいた。今、このスクールカウンセラーがやはり非常に有効に動いでおる。意外なことでありましたが、スクールカウンセラー相談するのはむしろ先生が一番多いのです。二番目に生徒、そして父兄。つまり、先生がそれだけ心を病んでいるというか、悩んでいる。これはわずかの例ですが、こういう実態も見えてきました。  そのスクールカウンセラー配置状況と、それから、その評価といってもまだ途中ではございますが、文部省として今どういう目的でやられているのか、お伺いしたいと思います。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕
  136. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  文部省では、ただいま先生からお話がございましたように、今年度より、学校におけるカウンセリング等の機能の充実を図るため、スクールカウンセラー活用調査研究委託事業を開始しているところでございます。  この事業は、臨床心理士など、心の問題について高度な知識経験を有する専門家スクールカウンセラーとして委嘱いたしまして学校派遣し、児童生徒へのカウンセリング教職員保護者に対する助言、援助等を行いまして、いじめなどの生徒指導上の諸問題の解決に役立てようとするものでございます。  この事業は、今年度より調査研究を行っているものでありまして、その研究結果はまだ出ていないわけでございますが、教育委員会を通じで聞いているところによりますと、現在までのところ、先ほど先生からも、実際の、愛知県西尾市立東部中学校のカウンセラーの活動状況についてお話がありましたように、児童生徒保護者教師からの相談への対応校内研修における指導などに関しまして、スクールカウンセラー評価はおおむね良好であるという情報を得ているところでございます。
  137. 藤村修

    藤村委員 それからもう一点、チームティーチング、先ほど来も話が出ておりました。これも、今まで一人の先生が教科を進めるにしても、やはりどうしてもその先生の特色というか、個性というか、問題に対する答え方も、こういう答えが一つある。それがチームティーチングになると、もう一人の先生が、いや、こんな答えもあるよということで、今まで発言しなかった生徒が結構発言が活発になったという東部中学校の例がございます。  チームティーチングについての配置状況、その評価、あるいは今後の目標というのをお聞かせ願いたいと思います。
  138. 遠山耕平

    遠山政府委員 お答え申し上げます。  平成五年度から十年度までの六年計画で現在進行しております第六次の公立義務教育学校教職員配置改善計画でございますが、この中におきまして、従来の一斉指導に加えまして、複数の教員の協力によるチームティーチング等の指導方法の工夫改善を行うための教職員配置改善を進めているところでございます。  このチームティーチング等の指導方法の工夫改善を行うための教員数でございますが、平成五年度から平成七年度までに八千五百六十六人改善をしております。来年度、平成八年度におきましては、さらに二千五百七十三人の改善を図るように概算要求をしているところでございます。  チームティーチングの指導方法の工夫改善を行っている学校におきましては、これまでの一斉指導のみの授業に比べまして、よりきめ細やかな指導が可能となるために、児童生徒あるいは教職員あるいは学校運営について、次のようなよくなったという評価を得ております。  御紹介申し上げますと、児童生徒の関係では、まず児童生徒質問の機会がふえてよりよく理解できるようになった、あるいは一人一人の児童生徒がこれまで以上に授業の中で生き生きと活動して主体的に学習に取り組むようになった、あるいは学習のつまずきを早い段階で解消できるというような効果が上がっているという評価を得ております。それから教職員につきましては、教職員にとっても、児童生徒一人一人に目が行き届くために学習指導あるいは生徒指導の面においてより適切な対応が可能となった、それから協力しで授業を行うことによりまして、お互いが切磋琢磨をするために、指導力の向上、あるいは教材研究の進化が図られだというような効果が言われております。それから学校運営につきましては、学校全体としても、教員の共同作業を通じて学校内の一致協力体制が確立されますので、活気が出てきた、こういうような効果報告をされているところでございます。  文部省としましては、今後チームティーチング等を通じましで、各学校において指導方法の工夫改善あるいは学校運営の改善が一層効果的に進められるよう努めてまいりたいと考えております。
  139. 藤村修

    藤村委員 学校現場あるいは父兄だけで努力できないそれ以外の部分ということでは、スクールカウンセラーとチームティーチング、非常にこれはうまく活用されることを私も望むものでございます。  それにしても、いじめの問題で特に重要なのがやはり父兄と先生、これは常に言われているんですが、学校と地域とか学校と家庭それから地域と家庭の連携と言われますが、その具体例としては父兄と先生の連携ということで、これはもう一般的に過去ずっと学校先生が家庭訪問をして、特に入学時の一年生の一学期には大体全家庭を担任先生は回るんだということで、これは私も制度の中でやっているのかと思ったんですが、どうも、いわゆる学習指導要領の道徳は道徳でちゃんとあるけれども、家庭訪問というのは全然何もないような、基準も何もないというふうに伺いましたが、これはどうなっているんでしょうか。
  140. 井上孝美

    井上政府委員 家庭訪問につきましては、従来から、先生お話しのとおり、各学校において実施されているところでございましで、具体的には「生徒指導の手引」におきまして、「生徒指導のための父母の啓発や家庭との連絡」という中で家庭訪問についてもございまして、「学級担任・ホームルーム担任教師は、一応のことについては家庭環境調査その他によって、生徒の家庭や家族の概況を理解することができているが、更に生徒理解やそれに基づく指導を一層効果的に進めるために、家庭訪問によって、生徒の家庭環境を一層よく理解したり、父母などの家族と直接面接したりすることも必要になってくる。その上、学校に来ない、あるいは来られない父母と面接するために、家庭訪問をしなければならないこともあるであろう。」そういう点から「新たに学級担任・ホームルーム担任になった教師が、なるべく早く生徒の父母との間に親近感や信頼感を高め、また生徒の家庭環境を理解するために、比較的短時間(十五分〜二十分程度でもよい。)の家庭訪問を行うことも望ましいであろう。この場合は、年度の始めに計画して実施するのが普通である。」というように「生徒指導の手引」に規定しているところでございます。  そういう点で、いじめの問題の解決につきましては、学校のみで解決することに固執することなく、家庭と共同じで解決を図る姿勢が重要でございます。したがいまして、学校におきましては、日ごろから学校指導内容指導方法について家庭に対して理解を求めるとともに、保護者からいじめやこれに関連する情報が寄せられた場合は、誠意を持って対応することが必要でございます。そういう意味で、一般的には、学校と家庭との連携、協力を図るために、懇談会や個別指導などを通じて保護者との意見交換等の機会を設けますとともに、各学校の判断によりまして、必要に応じて家庭訪問を行いまして、保護者理解、協力を求めたり、家庭からの情報を集めたりすることも有意義であると考えているところでございます。  したがいまして、家庭訪問に関する文部省指導は、先ほど申し上げましたように、生徒指導上家庭訪問が必要な場合もあるが、その際には、知り得た秘密を守ることや家庭生活に対する軽率な批判を慎むことなどに配慮すべきことを教師用の指導資料で示しているところでございます。
  141. 藤村修

    藤村委員 手引で書かれでおって、余りきっちりとしたというか、こうしなさいということではない。ある程度学校の自主性に任されているというふうに理解をしておりますが、ただ、私ども調査団で行きまして、やはり、同僚議員の女性議員でございましたが、自分の子供のケースで、いじめのケースであったそうです。本当に学校担任先生がしょっちゅう来で、一時間あるいは一時間半話し込んでいかれた。そのことが非常に母親の側として救いになったというか、そのおかげで自分の子供いじめの問題から救われたというか、そういう事例も発表されまして、学校先生の側としても、これは本当にこういう学校と家庭の連携の中で一番具体的な方法というのが先生が訪問していくことということは非常に重要だとおっしゃっていたわけですが、ところが、最近はいわゆる共稼ぎ、共働きというのですか、なかなかまず昼間お母さんもいない。となればもうすぐこれは夜になってくる。そういう意味では、大変時間外の教師の負担ということもある。  それからもう一つ。今一つの学級が一応四十人学級ということであれば、一人の担任先生がマキシマム四十人の家庭を訪問する。それも共働きが多くてなかなかつかまらないから、探しながら行く。というと、一学期の間にとても回り切れないということが実情だそうでございます。  私は、学校先生のいろいろな要望、要請というのはあちこちあるし、かつてから四十人学級を三十五人学級にという声は非常に高まっておるんですが、私ども新進党では、三十五人を一つ飛び越しで今三十人学級の提唱をして、この委員会でも、先般自由討議のときに少しその提案をさせていただいて、これは与野党ともに非常に関心と興味を持っていただいた点でございますので、ぜひこの委員会でも三十人学級のことについてちょっと文部大臣に、文部大臣かわっておりますので、御説明をして、御所見を伺いたいと思うんです。  骨子は、今の社会の多様化、複雑化の現状の中で、学校においてもいじめ、不登校の問題が長年の懸案であり、幾つもの解決策を早急に実施することが必要です。その中の大きな課題として、学校においで教師一人一人の生徒の個性に応じたきめ細かな教育を確保することは政治と行政の責任であると考えます。  現在の小学校、中学校においては、四十人学級編制を目指し、それを実現させてきましたが、今や三十五人学級が関係者の切なる要望となり、さらに教師一人の担任する生徒数を減らすべきとの声は大きな高まりになっています。私たちは、検討の結果、この三十五人学級の段階を一つ飛ばして、いじめ、不登校問題解決に王手を打つためにも、この際三十人学級編制を提案したいと考えます。  今の四十人学級編制において、一クラスの児童生徒平均は、全国で言えば小学校二八・五人、中学校三三・二人となっていますが、これは単純平均でありまして、実態は、三十人を超える学級が小学校では五六%、中学校では八五%に達しております。私は、この実態の部分が一クラス三十人以下となるように学級編制基準に立ち入った、三十人学級編制ができる教職員配置改善計画の修正を行うことを考えております。ただし、三十人学級といっても、機械的にしゃ三十一人なら二分して十五と十六になるということではなしに、実態として二十人から三十人程度のクラスで担任、副担任などを設ける教員数の確保を行い、特にチームティーチングなどを全国で行える体制やグループ学習など、それぞれの学校が自主性を生かしで対応できる体制づくりを想定しております。  三十人学級提案は膨大な財政負担になるのではとの懸念がありますが、近年の少子化傾向の中では、児童生徒数は大幅な減少傾向でもあります。かつて四十五人から四十人へと移行したときに比べれば、それよりは財政負担は軽くなる見通しでもあり、十分に実現可能な範囲だと考えられます。  いじめ問題にこれだという特効薬はないわけでありまして、基本的な問題としては一つ三十人学級というのも大きなテーマとして取り上げたらどうか、これはやはり政治が決断しないといけないということがこの前自由討議の中で主張させていただいた論点でございますが、これをお聞きになって、島村文部大臣の御所見を伺いたいと思います。
  142. 島村宜伸

    島村国務大臣 公立学校学級編制基準につきましては、これまで数次にわたる教職員配置改善計画においてその改善を図ってきているところであります。  具体的には、昭和三十四年に五十人学級、三十九年に四十五人、五十五年に四十人と、こんなふうに私は間違いかなければ承知をいたしているところです。現在は、平成五年度から十年度までの六年計画で、個に応じた多様で柔軟な新しい指導方法が工夫できるような教職員配置を行うための改善計画を推進しているところであります。  文部省としては、この改善計画の着実な推進を図っているところであり、学級規模の問題につきましては、現行の改善計画終了後の児童生徒数の状況等を踏まえて今後研究していきたい、こう考えております。
  143. 藤村修

    藤村委員 文部省としてのお答えはそうなると思うのですが、例えばちょっと別な観点から申しますと、これは東京都の教員の採用でございます。小学校だけで見ますと、ことし、平成七年の四月、大臣も選挙区であります東京都の教員は、内定者が百二十人で、内定外、欠員が出たときに入れるというのが二百四十四人、合わせて三百六十四人が平成七年度東京都の小学校教員で決まったわけです。それで、では東京都の小学校は幾つあるかというと、千四百六校あります。だから、内定者百二十人ですから、十一校か十二校に新卒が一人入る、こんな現状であります。それが、さらに今度、東京都の平成八年、つまり来年の四月の採用内定がこれまた三十人です、内定は。内定外も四十人。計七十人であります。  つまり極端な新卒採用の低下というか、これは考えるとどうなるかといいますと、先生の平均年齢は上がっていく。これは企業、会社なんかでもそうですが、やはり若い人が入ってこないと活力が生まれない、企業経営においても。学校経営においてもそうだと思いますのでは、これはなぜかと教育委員会に聞きましたら、すなわち教員の定員の問題で、計算するとこうなりますという話であります。そうなれば、現行で、四十人でいかに改善をします、あるいは学級編制を見ながらと言いつつも、現実的にこうして本当にもう十数校に一人しか新人は入ってこないような現状がある中で、やはり定員というところをどうにか考えないといけない。その際に三十人学級とうまく合致する部分が出てくるわけですね。  だから、私は、三十人学級というのは、必ずしも定員の問題だけを言っているのではないですが、この面からも三十人学級というものが今非常に注目される課題だと考えておりますが、もし何かございましたら……。
  144. 島村宜伸

    島村国務大臣 やはり都市部と農村部はおのずからこれは全然環境が違うと思うのですね。都市部でも、例えばまさに都心部なんかは急速に人口減少を来しておりますから、やむを得ず学校を幾つかを併合するというような実態が生まれています。当然のことに、先生方もまだ定年まで十分期間をお持ちの方々がたくさんおられるわけでありますから、そういう意味では、新規の人が入る余地がないという現象が出てくるのはこれはある意味で環境的にはやむを得ない、こんなふうに思います。  ただ、私は、これは全く私見でありますけれども、自分の体験では、中学時代なんかは例えば五十六人のクラスでありました。クラスの生徒が多かったから質が落ちたかというふうには実は思わないわけですし、また同時に、たくさんの友達を得るというプラスの面も実はあったわけで、これがどんどん少なくなっていくことが果たして生徒にとって幸せなのかどうかという面もやはり考えてみる必要はあると思います。  ただ、それはそれとして、教育充実あるいは多面的な教育、そしてまたまさに内心にまでかかわって生徒を見守るという意味においては、それは数が少ない方が行き届くことは当然でありますから、そういういろいろな角度からやはり教師配置というものを考えることもまた必要だろう、こんなふうに思います。
  145. 藤村修

    藤村委員 ありがとうございました。  今のお話でも、では学級は何人が適当かなどという問いが出ますと、どうもそういう科学的にあるいは実証的に研究されたものはないようでありまして、それと同時に、私は今ちょっと時間の都合で、このいじめ問題の中で特に心を育てるとかいうことが東部中学校の実践の中でも非常に浮き彫りになってきたのですが、今の世代の子供、年齢に応じた学習指導要領がなされて、いつもその学年に応じた何とかと言われますが、その応じたというところが時代とともにやはり変わってきている。  つまり、体と心の発達、そしてそのときにどういう教育が適当かという、こういう研究も必要であろうと思うのですが、私は、そういうのが多分、国立教育研究所というのがあるからにはそこでされているのではないかというふうに考えましてお伺いしたところ、どうもそういうことではないのですが、国立教育研究所というのはどういうことをやっているのでしょうか。
  146. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 国立研究所は、庶務部のほかにもつの研究部等が置かれております。具体的には、教育政策、生涯学習それから教育指導、教科と並びましで、生徒の指導の関係それから教育情報の関係、比較教育というような部等が置かれているわけでございます。  この中の教育指導研究部というところには生徒指導研究室というような室も置かれておりまして、こういうところでは、今先生お尋ねになりましたようなテーマも研究テーマとなっているところでございます。最近の具体的な例で申しますと、生徒指導に関する研究がここでは主として行われているわけでございますけれども、それと並びましで、各教科ごとの中身の研究と並びましで、教科を束ねたと申しましょうか、全体としてのカリキュラムの研究、そうしたものを生徒の発達段階等に応じでどのように積み上げていくことが有効、適切なのかというような視点に立った研究も行われているというふうに承知をいたしております。
  147. 藤村修

    藤村委員 それで、教科はそうだとして、特に先ほど来言っております心の問題というか、つまりどういう学年のときにどんな映画を見るのがいいかとか、心の教育、心を耕すような教育の手法はどれが適切かというのをひとつ研究課題にしていただくようにここで要望したいのですが、それともう一つは、今文部大臣もおっしゃった一体一クラス何人が適当かということ、これもひとつ、長年の教育課題であるはずなのがまだはっきりしていないというので、ぜひ課題にしていただきたいと思いますが、何かお答えできますか。
  148. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 御指摘のような点は大変重要な点だと思います。教育研究所は、それぞれこれまでの経緯等もございまして、ある程度研究所内での自主的なテーマ設定というような形で研究が行われる面もあるわけでございますけれども、大変重要な課題でございますし、御提言も含めましで国立教育研究所の方とも相談をしてみたいというふうに思います。
  149. 藤村修

    藤村委員 四十分予鈴ということで、ちょっと中断をさせていただいてよろしゅうございますか。
  150. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後三時三十九分休憩      ————◇—————     午後五時三分開議
  151. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。藤村修君。
  152. 藤村修

    藤村委員 先ほどに続きまして、いじめ問題を中心とした質問でございますが、先ほど来も一つ話題になっておりました週五日制、今、月二回、学校が実施をしております。その週五日制月二回実施というものに対しては、先ほど来のお話でも、教育課程は現状確保のままやる。ということは、土曜日四時間、月に二回八時間、抜けた分を何らかの形で工夫をしないといけない、こういうことだろうと思います。それで、今の学校現場において、現状教育課程のままでの工夫、いかなる工夫をして対処しているのかということをひとつ御説明願いたいと思います。
  153. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  月二回の学校週五日制は、先ほども申し上げましたが、調査研究協力校の研究の成果などを踏まえまして検討した結果、現行の教育課程の基準のもとで実施できると判断して実施をいたしでいるものでございます。調査研究協力校におきましては、学校行事の精選や短縮授業の見直しなど、授業時数の運用の工夫改善を行うことによりまして各教科や道徳等の授業時数を確保するとともに、個に応じた指導や体験的な学習を重視するなど、指導内容指導方法の工夫改善が行われたところでございます。  文部省といたしましては、このような取り組みが各学校教育委員会において行われるよう、実施通知や事例集を作成するなどして指導に努めてきたところでございます。今後とも、学校週五日制の趣旨を踏まえまして、各学校において適切な取り組みが行われるように努めてまいりたいと考えております。
  154. 藤村修

    藤村委員 そういうことで、まずは月一回、それから月二回を実験校でやって、それで全国的に実施をした。だから、大局、大きな目で見たときに、それはそれでうまくいくとしても、ただ、いじめ問題に関しては実は逆行している、あるいは弊害になっていると言えないかどうかをひとつ検証した方がいいと思います。  例えば、私この前実地調査をしてまいりました愛知県の西尾市東部中学校の方では、学校五日制が導入されて現場でどういうふうに対処しているのかということを質問いたしましたところ、一つは、授業の指導方法や指導内容を工夫改善し、生徒が主体的に学習できるよう配慮している。例えば体験的学習や課題解決学習などを取り入れている。御指導に沿ってやっているが、ただ、従来よりこれは時間がかからておるという実態であります。  二番目に、裁量時間というのがあるのですね、ゆとりの時間。これを月二回の土曜日にまとめた。各教科の時間を確保し学力を保障するためにゆとりの時間を土曜日にまとめ、各教科の指導時間を土曜日以外になるようにカリキュラムを編成」した。  それから三番目に、学校行事の精選と割愛に努めた。従来行ってきた行事にはそれぞれのよさがあることと、授業時間数を確保することの両面を配慮し、学校行事の精選に努力した。また、行事のための準備や練習時間も短縮するように努めている。非常に苦しい工夫といいますか、をしながら何とか対処をしておった。  ただ、今考えてみたら、つまりここは大河内清輝君の自殺問題でありますが、一方で心の問題を非常に、あるいは心を育てる、心を耕すという部分で、こういう工夫と逆行しているというか、その部分がやはり少しずつ削られていたという反省もされているところでございます。そういう意味では、今の五日制月二回実施はやはり相当無理があるということを、むしろこの際に文部省現場の声としてひとつ認識をいただきたいと思います。  加えて、そうしたら、ではいよいよ、今度は今の二年後ですか、再来年からスタートするんだと午前中の話でもございましたが、その教育課程審議会方式でやるとした場合、この週五日制、今の月二回でもなかなか苦しいわけでありますが、実際、完全五日制にもし移行するとした場合、教育課程はどう変えたらいいか、どう考えたらいいか、その基本をお話し願いたいと思います。
  155. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  学校週五日制は、これからの時代に生きる子供の望ましい人間形成を図ることを基本的なねらいといたしまして、学校、家庭及び地域社会が一体となってそれぞれの教育機能を発揮する中で、子供がみずから考え、主体的に判断し、行動できる力を身につけるようにしようとするものでございます。このような考え方のもと、学校週五日制は、平成四年九月から月一回、本年四月からは月二回で実施しているところでございます。  学校週五日制の今後のあり方につきましては、現在、中央教育審議会で検討していただいているところでございますので、その中央教育審議会における、今後における教育の基本的なあり方についての御提言等を踏まえて教育課程審議会を将来開催いたしまして、そこにおきまして、教育課程の改訂の必要があればそこで御審議をいただく、こういう考え方をしているところでございます。
  156. 藤村修

    藤村委員 午前中の中島委員の方からもございました、戦後五十年といいますか、あるいは明治からの学制で、最初に学制が制定された時期、そして昭和二十年の敗戦によって、非常にこれは外圧による、今の新しい教育制度ができた。いよいよこれ、ちょっとした第三の改革の時期ではないかという時代に私は差しかかっている認識をしております。  その際、きょうまでずっとやってきた教育課程審議会、それはそれなりに有効に活用され、働いてきたとは思いますが、ここで五日制というものは、やはりこれも大きな外圧といいますか、非常にパイが減るというか、教育の分野で確実に年間の時間が減るわけでありますから、そういう外圧に対しては、いよいよ、課程審議会のきょうまでのやり方でいいのかどうかということ、今の教育の問題。  一方で、いじめはやはり心のケア、あるいは心を育てるということが必要だ、人権教育が必要だ。それから、今の時代、新しいやはりコンピューター教育も導入しないといけない。つまり、社会的要請がふえている一方で、一方で時間は減ってきた。こういう今端境期にあるわけでございますから、私は、今後教育課程審議会をやるにしても、あるいは午前中の中島委員の国立カリキュラムセンターのような発想、つまり、ちょっときょうまでの発想とは違うものをはっきりこの時期に打ち出さないと、大変現場で混乱をするし、大変なことになるというか、教科だけに学校はなってしまうのではないか、そういう心配をしております。  今こそ、むしろ中島委員もおっしゃった、何を教えるかよりは、何を教えないか、つまり何を減らすかという、そういう発想がここで新たに必要だと思いますが、もし文部大臣、御見解ございましたら、お答え願います。
  157. 島村宜伸

    島村国務大臣 教育制度そのものは、長い期間をかけて、いろいろな経験に立って御検討いただき、そして将来を見据えた改革案が出されて、それに基づいてのまた改革、こういうことでございますから、軽々に、いかに大臣といえどもいろいろ申し上げることは遠慮があるわけでございます。  例えばいじめの問題一つとりましでも、問題が起きるとすぐ、学校は何やっている、文部省は何やっている、こういう意見もありますが、いじめの問題を根本から解決するとなれば、やはり家庭の教育がどうだったのか、あるいはどうであるのか。そして、学校教育はどう改善しなきゃいけないのか。また、地域社会にあってはどのような、これに対応すべきなのか。私は、もう一度そういう面から考え直してみる必要があるのじゃないか、いわばそういうことを省内では申しているところです。  私は、公にもこういうことを言って、非難を覚悟で申したところですが、意外にこれは違いましで、全国的に、それは賛成だ、よくぞ言ってくれたというような意見が結構多いので、むしろまごついているような状況なのですが、なぜ私がそんなことを言ったかと申しますと、我々の子供のときもいじめは正直言ってありました。  しかし、我々のときの方がはるかに貧しかったにもかかわらず、今のような陰湿ないじめが少なかったように思うのですね。そして同時に、友人から何か金をせびり取るというようなことはおよそなかったように思うのです。この辺は、こんなに豊かになって、どうして起きているのか。やはり一度考えてみる必要がある。  特に、我々のときに、いじめはあったけれども、それほど陰湿でなかったというその背景を考えてみると、私たちのときには、子供教育を家庭でしっかり、しつけといいますか、もっと厳しくしていたように思います。  厳しいというのは、殴るけるではなくで、要は、人様に迷惑をかけるなということを、口を酸っぱくして、私に限らず、いろいろそういうことを家庭で教育され、かつては、弱い者をいじめるというのは立派な人のすることでない、こういうことを親がきちんと教えていたように思います。  そういう意識を持った子供学校に集まっでいわば集団をなしている中では、いじめが起きても周りがそれを抑えるというような面も現実にはありましたし、何かしら友人を死に追い込むまでの現実というのは一体どういうことなのだろう。私は、そういう面では、いじめというものを、もう少し別のいろいろな角度から考えてみる必要があるのじゃないか、こう思っています。  長くなって恐縮ですが、いま一つ、最近感じるのは、いろいろな御父兄の方のお話を伺ってみると、私たち子供のときよりいろいろな、パソコンその他遊びの道具が豊富にあるせいですか、三人、五人集まった友達が何して遊んでいるかというと、みんな別々に遊んでいる、自分たち子供のときと全然違う。この間たまたま同期会がありまして、そんな話を聞きました。  やはり、そういうことにも何となく、核家族と同じように、個人的にも何かみんな、個々に自分一人がそれぞれ独立し過ぎているような感じもしないわけではないので、いろいろな角度からそういう点を大胆に考えてみる必要があるのかな、こんなふうに考えているところであります。
  158. 藤村修

    藤村委員 おっしゃるように、つまり、いじめ問題、本当に一つの現象からというか、原因からではないこと、これはもう明らかであります。しかしその中で、この文教行政の中でできることは何かということをやはりここで、はっきりつかんでいかないといけないと思っております。  もう一度繰り返しになりますが、文部大臣もお感じのように、やはりこれちょっと根本的に変えていくという中で、相変わらず次の教育課程はまた教育課程審議会でというのではなしに、やはりここに新しい発想を持ってきていただきたい。  要請はまたいっぱいあるわけです。人権教育、エイズ教育、思いやりの教育あるいはコンピューター教育、小学校でも英語をと、要請はいっぱいある。一方で時間は減る。これはやはり大きな、ひょっとして発想の転換をしないといけない。何を削るのかという、こっちも考えないといけない。きょうまでにない発想をしないと、これは今後の教育課程、大変なことになってくるというのを、一つ指摘をさせていただきたいと思います。  それから、ちょっと具体的に東部中学校の方で調査をしておりまして、生徒指導主事という先生がいろいろやはりお話をいただいたのですが、この生徒指導主事というのは、基本的にどういうものなのでしょうか
  159. 井上孝美

    井上政府委員 生徒指導主事は、昭和五十年の十二月に省令を改正いたしまして、その中で、校内における主任制の一環として、専ら生徒の指導に関する連絡調整等を担当するというような職務を規定したところでございましで、そういう意味では、生徒指導及びその組織の中核的な役割を担っているのが生徒指導主事でございます。  省令改正に伴いまして、他の主任とともに法令上位置づけられたわけでございますが、生徒指導主事の職務は、校長の監督のもと、生徒指導に関する事項をつかさどり、これに関して連絡調整及び指導助言に当たることでありますが、具体的に申しますと、生徒指導計画の立案、実施、生徒指導資料の整備、生徒指導に関する連絡、助言など、生徒指導全般について責任を持ちまして、関係教職員の連絡調整に当たりますとともに、必要がある場合には、関係教職員に対しまして指導助言を行うことでございます。
  160. 藤村修

    藤村委員 このたびも、いじめ問題というのは、学校において生徒指導主事がある意味で一番働かないといけないし、一番やはり中心的に活動されております。  これは各学校ともやはり、今いじめ問題を一年ぐらい東部中学校経験して、改善をするその中心的役割なのですが、そして今局長おっしゃったように規定されているわけなのですが、ただ、実態としては、数学の先生であって、それで生徒指導主事を任じられ、実はそのいじめ問題で学校から出張して、あっちこっちへ行かないといけない。校長よりも実は出張回数が多いという実態がございまして、むしろ生徒指導主事は教科から外すなどの措置がとれるのかどうか、その辺を教えていただけませんでしょうか。
  161. 井上孝美

    井上政府委員 教職員配置の中で、生徒指導主事は教諭をもって充てることになっておりますので、そういう意味では、教員の一応授業時間の持ち時間等については、全体の児童生徒数を算定の基礎に教職員配置が決まっているということから申しますと、生徒指導主事について校務分掌の中で、それぞれの学校において配慮をして、若干担当授業時数を減らすということは学校によって行われていると思いますが、生徒指導主事だから必然的に授業時数が少ないということには、現在の教職員配置の考え方の中ではとられていないところでございます。  ただ、今先生がおっしゃるように、生徒指導主事は校内におけるいじめ問題等対応に非常に精力的に取り組み、校務分掌の上で全教職員の負担を平等にするという考え方の上からいえば、当然そこには持ち時間等について配慮がなされるものというように考えております。
  162. 藤村修

    藤村委員 もう一点、いじめに関連しては、ちょっと総括的に、東部中学校が一年取り組んでこられた結果として、決して特効薬があるわけではないし、本当にいろいろな面で一生懸命やったけれども、本当に、じゃこれでよくなるのかどうかというのはまだわからない、そういう思いの中でいらっしゃるわけです。その中で、しかし、ある程度自信を持ってずっと言ってこられたことは、やはり心を育てる、心を耕すという部分の学校教育の時間あるいは努力が必要である、これは確かだ。先ほど紹介いたしましたように、みんなで感動できる映画を見るとか、もちろん道徳の時間を利用してそういうものに重点を置いてやってこられたということでございますが、教育課程の中で、心を育てるとか心を大切にする、あるいは思いやりの心、命を大切にする心などはどこで取り組むべきなんでしょうか。
  163. 井上孝美

    井上政府委員 お答えを申し上げます。  道徳教育は、児童生徒が人間としてのあり方を自覚しで、人生をよりよく生きるためにその基盤となる道徳性を育成するためのものでございます。そういう意味で、先生が今申されたような思いやりあるいは命を大切にする心等につきましては、道徳教育において、現在の教育課程の中では重要に位置づけられているわけでございまして、そういう意味で、道徳教育学校教育活動全体を通じて行うことを基本としておりますが、小中学校では特に週一回の道徳の時間を設けて指導をしているところであります。  いじめの問題には、他人の心の痛みがわからないことや自制心に欠けるなど、児童生徒の心の問題がかかわっているわけでございまして、この問題の解決のためには道徳教育と心の教育充実が必要というように私どもも考えております。このため、現行の学習指導要領におきましては、道徳教育につきまして、児童生徒の発達段階に応じて思いやりの心、友情、生命尊重、正義感を養うなど、心豊かな人間の育成が一層図られるよう内容改善を図っているところであります。  今後とも、私ども文部省としては、道徳教育と心の教育充実に努めるよう努力していきたい、このように考えております。
  164. 藤村修

    藤村委員 今後の御姿勢はいいとして、じゃ時間はどうするか。今の道徳の時間だけで足りるのかということにもなりかねない。  それで、実態として、東部中学校は、道徳の時間以外に毎旦二十分間、これは、つまり教科から外れてですからクラブ活動なんかは減らしてやっていると言っておりましたが、触れ合いタイムであるとか、あるいは映画会、講演会、読書指導、これも、いずれも道徳の時間を重点に置いてやるけれどもそれ以外にはみ出しておるというのが実態でございます。つまり、教育課程を審議いただく中で、とにかく全体がまず減るんだということ、しかし心の教育もまた一つ新しい要請で、今非常に重要だとおっしゃるのですから、そこは当然教育課程審議会にきっちりと諮問をしていただきたいと存じます。  それで、ちょっと二つ三つ飛ばしまして、もう一点、大きな問題といたしまして中高一貫の学制改革、これは私どもが今提唱もし、相当あちこちから賛否問われている問題でございますが、昭和四十六年の中教審答申、四六答申では、学校教育制度の改革ということが言われたわけであります。ただ、昭和六十二年の臨教審の方で、これが学制改革については一たん凍結されたような印象で、現状に至っているのではないかと思いますが、この学制改革についての現在の時点での文部省の公式見解というものをお聞かせ願いたいと思います。
  165. 辻村哲夫

    ○辻村政府委員 御指摘のとおり、四十六年の中央教育審議会におきましては、学校の区切り方を全体的に見直す、いわゆる先導的思考の御答申がございました。そして、今、六十二年の答申というふうにお話しになりましたが、これは内閣総理大臣のもとに設けられました臨時教育審議会の第四次答申の御指摘かと思いますが、そこでは、学校体系全体についての御答申ではなく、中高を一貫するいわゆる六年制中等学校についての御提言がございまして、それ以外の全体的な学制改革についての御指摘はないというような経緯になっております。  私ども、現在文部省として考えております基本的な考え方は、現行のいわゆる六・三・三・四を基本といたします学校体系というものは我が国社会の中に定着をしておりまして、その改革については国民あるいは社会に大変大きな影響を及ぼすということで、社会の変化や生徒の実態等を十分見きわめながら、国民の合意を得つつ慎重に検討すべき問題であろうというふうに考えているわけでございます。  そこで、では今のままでいいのかということであるわけでございますけれども、文部省といたしましても教育改善、改革ということについては積極的に取り組んでいかなければならないと考えているわけでございますが、学校制度の問題といたしましては、基本的には現行の体系の枠組みの中でどのような改善、改革を図っていけるか、こういう観点に立っての改善、改革を図ろうとしているわけでございます。  ただいま開催されております中央教育審議会におきましても、基本的には現行学校制度のもとにおいてどのような改善、改革ができるか、その中には学校間の接続の改善も含めまして検討をお願いをしているということでございます。中高一貫の教育につきましても、このこととの関連におきまして、中央教育審議会においで御審議いただけるものというふうに考えているところでございます。
  166. 藤村修

    藤村委員 教育関係の雑誌で、島村文部大臣が中高一貫教育に並々ならぬ関心を持っているらしいという記事のものを見せていただきまして、我が意を得たりと感じたわけでございます。もちろん、文部大臣としてではなく一政治家としての意見というふうにお断りになってお話しになったようでございますが。今、文部大臣少し離れていただいても結構です。先ほどの認識の問題はいろいろありましたが、離れていただいても結構ですが、中高一貫というものについでどういうふうに御見解をお持ちなのか、教えていただきたいと思います。
  167. 島村宜伸

    島村国務大臣 教育制度という問題については、先ほど背景等申し上げましたけれども、私は、個人的にはかなり確信犯に近い中高一貫教育論者です。  実は、私は中高一貫教育の最終学年、私が最後でありました。自分自身を顧みたり、私の親しい友人たちを見回しても、当時、中学時代は大変でこぼこでどうしようもなかったような人が、やはり六年かかる間にかなり自分の道を見定めて、今日大変成功している現実を私はたくさん見ているわけであります。  私は、中高一貫教育というのは、子供から大人に変わる大事な人間としての揺籃期といいますか、あるいは急成長の段階ですから、精神的にも極めて不安定ですし肉体的にも同じことが言えるわけですから、そういう意味では、受験という恐れから解放しで、そしていわば中高一貫教育をしながら、例えば文化部であれ運動部であれ部活動もやる、あるいは自分の趣味の世界に没頭する、こんなような心の余裕を与えてやることが非常にいいことなんじゃないか。そういう意味で、私は、中教審のあいさつに出向いてお願いをした際にも、ここに立派なあいさつ文が用意されておりますが、あえて私見を申し述べさせていただくというので、私のつたない経験を申し上げたところであります。  また、何も学力を競うということだけで判断すべきことではないのですけれども、我々の時代には、例えば東京では公立高校は私学に負けませんでした。むしろまさるとも劣らない結果をあらわしていたのですけれども、今日では明らかに私立校の有名校にはおくれをとっているという結果が出ているように思います。すべてにこれが当てはまるかどうかはわかりませんけれども。  私は、そういう事々を含めて、まきに子供から大人へ移行する中学、高校の時代は一貫教育にして、存分に、いわば人格の陶冶といいましょうか、情操を培うといいましょうか、そういう環境を与えることがかえっでいいのではないか。先ほど来お話のあるいじめの問題を見ましても、中学一年、二年が圧倒的に多いわけですね。やはりこれもある意味で六年間の学校であれば、たまたまこの間も同期の会がありましたら、先生がおっしゃっていたように、おまえたちのときには六年あるからどんなにでもまとめてみせるという気概があったけれども、今は三年になるともう受験生で他人行儀な顔をしておるんだ、非常に寂しいということを言っておられましたけれども、そういう事々も含めて時代の変化は否めませんし、六・三・三・四制が定着していることも十分考慮に入れる必要はありますけれども、大胆にこの教育制度というものを改革するような気持ちが必要なんじゃないか、こんなふうに私は考えております。
  168. 藤村修

    藤村委員 つまり、政治家の中でそういう方がやはりふえていると思いますし、私ども新進党でも今、中高一貫をひとつ初めの一歩としまして、やはりこの際学制改革に取り組まねばならないということをちょっと意思表明さしていただきたいと思いますが、一つは、教育を取り巻く環境が、昭和四十年代以降教育の荒廃とまで言われる状況を生み出し、さらに近年は偏差値教育の弊害や受験戦争の問題に加え、いじめ、不登校など、問題が一層深刻になっている。当然、おのおのの問題に個別に対応して問題解決の方法を探ることは急務であるが、さらにこれらの問題全体にかかわる学制の見直しというものが必要と考えます。  二番目に、東西の冷戦構造の終結という世界史的な変動が、我が国の成長を支えてきた政治、経済、行政など社会システム全体のあり方を問う結果となり、その背景となる教育の問題を積み残したままでは改革は達成されない。また、六・三制の発足当時と比べて、社会経済の構造や学校体系内の条件が大きく変化しています。今こそこの変化に対応した新しい学制を構築するべきときではないでしょうか。  三番目に、中高一貫を学制改革の初めの一歩とする。それは、今の中等教育の段階が三二二と細切れになっており、これによって、ほぼ全員が進学する高校への入学試験に伴う弊害、高校入試が今の教育の抱える問題のやはり大きな部分を占めているのではないかと認識します。高校進学率が九五%を超える今日、もはや中学校と高校の区切りは不必要ではないだろうか。今教育の志向する方向は、画一化、硬直化した教育から、多様な選択が可能な、個性や自立性をはぐくむゆとりある教育へと大きな転換が期待されている。  これらの国民的ニーズにこたえるためにも、学制改革をきっかけに抜本的な改革が必要ではないだろうか、こういう基本の考えのもとに、条件としてはまず、中学への入試は行わないという今の中学校の入り方で、それが中高とつながるということはやはり一つ必要だと思います。それから、義務教育という範囲をどこまでするかというと、これは今の九年の義務教育をやはり維持したらどうか。そういう意味では中高一貫の前期、後期というふうな分け方になると思います。設置主体については都道府県という、今案を持っております。それから、何年制がというときに、三・三で六年ですが、これを例えば五年ないし七年というふうな弾力性を持たせるというのも一つの考え方ではないだろうか。  そういうふうな、今、中高一貫の政策を我々の方も編み出しておりますので、これは本当に超党派で、日本の二十一世紀の子供たちのために教育の改革というものを中心に今後検討していただきたいと思います。  ちょっと時間ぎりぎりでございますが、次の委員もいらっしゃいますのでこれで終わります。どうもありがとうございました。
  169. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 次に、山原健二郎君。
  170. 山原健二郎

    ○山原委員 私も、最後になりましたが、いじめの問題について少し伺いたいと思います。  大河内君の自殺からちょうど一年たちまして、今度また上越市の伊藤準君の問題が起こっておりますが、その記録の中に、生きているのがつらいのですという言葉がございまして、私も大変胸を打たれたわけでありますが、こういう実態、いじめが背景となった子供自殺と見られる事件が、毎日新聞によりますと九件というふうに出ていますが、この報道以外のいじめ自殺事件も何件か伝えられております。  文部省では、いじめが背景となった小中高校生の自殺事件がこの一年間でどれくらい起こっていたかをつかんでいるでしょうか。最初にこの点を伺っておきます。
  171. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  平成六年度間におきます、いじめが主たる原因と思われる自殺件数につきましては現在集計中でありまして、年内には発表したいと考えております。  ちなみに、この一年間、昨年の十一月から現在までの間にいじめがかかわった自殺事件としてマスコミで報道されたものは、昨年十一月の愛知県西尾市の中学生自殺事件を含めまして十件程度あったというように承知をしているところでございます。
  172. 山原健二郎

    ○山原委員 先ほど、大河内君の自殺の後でいじめ点検をされたというお話で、そこで一万八千件が出てきたというお話がありましたが、こういう事態から見まして、実際にありのままをつかむという点で教育委員会の姿勢に多少問題があるのではないか。いじめがあっても表ざたにしたくない、あるいはしようとしない、あるいはいじめに関するサインがあっても相談があっても過小評価する、そういう実態が事態を深刻にしているのではないかという思いがするわけであります。実態把握に当たって、隠したりあるいは隠ぺいしたり過小評価は厳に慎んで、ありのままを把握するということを教育委員会に対して徹底するということがまず必要ではないかと思いますが、この点ちょっと伺っておきます。
  173. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  学校内で発生する各種の事件等につきまして、校長初め学校関係者が外部からの評価、非難などを過度に恐れる余り、教育委員会等への報告がおくれたり滞ったりする実態があると指摘されているところであります。  このように指摘されていることにつきましては、これを真摯に受けとめて、校長等が学校で発生した事実を的確に把握し適正な報告を行うよう、今後とも関係機関に対して強く指導してまいりたいと考えております。  なお、いじめの問題への対応につきましては、みずからの学校にもいじめがあるのではないかとの問題意識を持ち、子供が発する危険信号をあらゆる機会を通じて鋭敏にとらえるよう、各教育委員会学校指導徹底を図っているところでございます。
  174. 山原健二郎

    ○山原委員 伊藤準君の場合、連絡帳自殺をしたいということを書きつづっていたわけですが、このことを記述した連絡帳担任には提出されないまま目にとまらずに経過したということが出ております。少なくともこういうシグナルといいますかサインがあるわけですが、学校が実施したアンケートでも、いじめを受けたことがあるかとの問いに対する回答があったというふうに伝えられております。  子供たちのこういうサインを見逃さず、そうした兆候について軽視せずに対処するということがまず大事であって、特に、担任任せにしないで教職員全体で対応して、家族やPTAなどの連携も速やかにとることが大切になるわけでございます。職員会議が今どうも上意下達で行われている傾向が強まっでいるわけでして、そういう意味で、率直な意見・情報交換ができる場に職員会議がなるという民主的な雰囲気というものが非常に必要になってきたんじゃないかということを特に私は感じておりますが、この点について見解を伺っておきます。
  175. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  いじめの早期発見のためには児童生徒と接する機会を確保することが大切でありますが、校務の多忙により、こうした機会を十分に持つことが困難であるとの声があることは承知をいたしております。  しかしながら、学校子供教育の場であり、特にいじめ学校教育の根幹にかかわる問題である以上、このような考え方は主客転倒と考えております。学校の運営はあくまでも児童生徒を中心に考えるべきでありまして、校務運営の効率化を図りつつ、児童生徒保護者と接する機会の確保等、充実に努めることが大切であります。
  176. 山原健二郎

    ○山原委員 春日中学校の西條校長さんはこう言っているんですよ。いじめに気がつかなかったことについて、教職員が多忙でゆとりがない。これは私も、前の山形のマット事件のときにも校長さんから直接聞いたわけですが、そういう声が出てくるわけですね。  私どもは、ことしの五月に「いじめ克服の提言」というのを出しておりますが、そこで」ういうことを指摘したのです。「いじめ問題が発生すると「知らなかった」という学校教師の態度はもはや許されません。子ども達の人権や命に関わる問題が起きた場合は、いくら学校教師が多忙であっても、その子どもたちの人権・生命を守ることが、すべてに優先されなければなりません」こういう立場で、多忙のために気がつかなかったとかいうような言い方では済まされない深刻な事態に今なっているのではないかというふうに思います。  この点は、やはり教師、父母が一体となって素早い対策を、対応をするためには、忙しいからだめだ、できなかったのだ、こういうことを何遍も繰り返すことのないような措置をとるべきではなかろうかと思うのですが、これは文部大臣に対してお伺いしますが、どのようにお考えですか。
  177. 島村宜伸

    島村国務大臣 おっしゃっているとおりだと、私もそう感じております。
  178. 山原健二郎

    ○山原委員 この多忙の問題ですけれども、私は、先ほどもお話がありましたが、カウンセラーを配置するということも一つの手だろうと思いますが、先ほどお話もありましたね、やはり教職員をふやし、三十人学級とかいうことに踏み出していく思い切った対応をする必要が今あるのではなかろうか。  確かに、人数が多い。私も五十何名の子供たちを戦前に教えたことがありますけれども、しかし、実際よその国へ行ってみましても、子供の数というのは非常に少ないのですね。子供の性格もつかめるし、あらゆるものをつかめるだけの準備がなされる必要があるわけでございます。  それから、去年でしたか、ことしでしたか、この委員会がフリートーキングをやったのです。そのときに私、各党の意見を聞いておりまして、全部教職員の定数問題が出てくるわけですね。三十人学級、三十五人学級というふうな、ほとんどの党から出まして、そういう意味では、本当に教育の問題を考えるならば、ここのところをどう改善するかということが非常に大きな問題になっておるというふうに思います。ヒの点について、今ちょっと私見を大臣も述べられましたけれども、どういうふうにお考えになるか、ぜひ伺っておきたいのです。
  179. 島村宜伸

    島村国務大臣 人それぞれいろいろな考え方がございますが、いわば教職員の数をふやす、あるいは生徒数を減らすというようなことが必ずしも教育の前進につながるのかどうかは、私にはちょっと判断に余るところであります、それは、文部大臣として判断に余るというのはちょっと話としておかしいのですけれども。  私たちのときには、正直言ってたくさんの生徒がいたのですけれども、今考えてみると、たくさんの生徒の中でもまれてよかったな、私なんかはそんな印象を持っているのですね。最近はそうでなくて、数が少ない方がいいと言いますけれども、余り少ない生徒に追い込まれていくと、生徒で、少しく勉強が嫌なような段階のときには、逆に何か追い詰められたような気持ちがあるのではないか、実は私はそんなことも考えます。  しかし、こういう問題は、やはり専門的にいろいろ現場の声等も十分聞いた上でなければ責任あるお話ができませんので、私は今感じたままを申したわけでありますけれども、これから十分にそういう現場の声なども勉強したい、こんなふうに考えております。
  180. 山原健二郎

    ○山原委員 最近のいじめが、特定の人間を結局侮辱し、暴力などで屈服させるという、人間性を踏みにじるという行為が背景にあるように思うのですが、いわゆる人間を大切にする教育というのが今比較的論議されなくなりつつあるというふうな感じを特に持っておるわけです。  それからもう一つは、教師児童生徒との関係では、往々にして、子供を一個の人格を持った人間として尊重するということが忘れられたような指導が行われることが少なくないというふうに私は思っております。  その中で、体罰の問題ですが、体罰というのはその典型であって、ことしの夏も教師の体罰で高校生が命を落とすという事件も繰り返されておりますから、体罰は学校教育からは、学校現場からは一掃すべきだ。この点でも大臣の見解を聞きたいのです。  また、この体罰についても、教育委員会が過小に評価したりあいまいな態度をとったりする報告の仕方、ありのままにこの体罰について真正面から取り組む、体罰はもともと教育の場には不必要なのだというこの思想がやはり我々の中でも確立されなければならないと思いますが、この体罰問題について文部大臣の見解を伺っておきます。
  181. 島村宜伸

    島村国務大臣 体罰につきましては、学校教育法第十一条により厳に禁止されているにもかかわらず、後を絶たないことはまことに遺憾であります。体罰による懲戒は、教師と生徒とのいわば信頼関係を損なう原因ともなりますし、教育的な効果も期待できないものである、そう考えております。  文部省としては、従来より、指導通知を改めて出し直すなど体罰禁止の趣旨の徹底に努めできたところでありますが、今後ともあらゆる機会を通じて体罰の根絶のために指導徹底していきたい、こう考えております。
  182. 山原健二郎

    ○山原委員 人間を大事にするということが基本に据えられなければなりませんが、その意味で、文部省が発行しております「生徒指導の手引」で、「生徒指導の原理」として、「権力−支配−盲従の関係」を挙げ、強制的な力で子供を服従させる、「このような関係も効果的である」とこの「生徒指導の手引」には記されております。  この問題は私もこの委員会で取り上げまして、削除を求めたわけでありますが、答弁に立った初市局長は、そういう指導方針をとっていない、こういうふうに答弁をされたのであります。それならば、これはもう削除した方がいいのではないかというふうに思いますが、この点、明らかにしていただきたい。
  183. 井上孝美

    井上政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の点につきましては、昭和五十六年改訂の「生徒指導の手引」において、人間関係として考えられる類型の一つとして挙げられているものと承知しております。  文部省といたしましては、本年三月のいじめ対策緊急会議報告を踏まえまして、弱い者をいじめることは人間として絶対に許されないとの強い認識に立ちましで、いじめられる子供の立場に立って親身の指導を行うよう、各教育委員会学校に対して徹底を図り、学校、家庭、地域社会が一体となった取り組みをしていただいているところでございます。  したがいまして、生徒指導に関し、御指摘のような類型に基づいた考え方は現在とっていないところでございますので、その部分につきましては、誤解を与えるおそれがあるため、今後改訂することとしております。
  184. 山原健二郎

    ○山原委員 その点よくわかりました。これは、人間を人間が制圧するなどということは厳に戒むべきことだと思いますので、ぜひよろしくお願いします。  次に、学校プールの排水口で事故が起こっておりまして、ことしの八月四日に静岡県西伊豆町立仁科小学校学校プールで五年生の男子生徒が排水口に足を吸い込まれで死亡するという事件が起こっております。  このお父さんが、林田さんという方ですが、息子さんの死をむだにしてはならないということで、仕事を長期間休んでプール排水口の事故についてみずから調査しているのです。私は、その方に先日お会いしまして、持参された資料を見て驚いたのですが、ことしの九月十二日付の朝日新聞では、学校プールの排水口に吸い込まれた事故が一九六六年からことしの夏までに全国で少なくとも三十三件発生し、助かった者は二人のみという調査結果を報道しています。このお父さんが独自の調査もしまして、そのほかに少なくとも三件以上の同様の死亡事故を地方紙の報道などから確認していますが、最近で見ると、昨年で三件発生し二人死亡、ことしも二件発生し、林田さんの息子さんが亡くなって二人亡くなっています。  こういうことですから、この各都道府県から集まる体育活動中の事故報告が九〇年二月の行政改革の一環で廃止をされ、全国的な実態を直ちに把握しにくくなったと新聞報道にありますが、この報告制度が廃止されたのは事実でしょうか。
  185. 小林敬治

    小林(敬)政府委員 お答えいたします。  政府は、平成元年十二月二十九日、国と地方を通じた行政改革の推進のために、国と地方の関係等に関する改革推進要綱を閣議決定いたしました。その中におきまして、国の地方に対する関与の廃止、緩和等を進める具体的施策の一つとして、児童生徒の体育活動中の事故に関する報告書を廃止することが挙げられたわけでございます。文部省では、この閣議決定を受けまして、平成二年二月一日付でこの報告を廃止することを内容とする通知を出したわけでございます。  なお、この通知の中では、あわせて体育活動中の事故防止についで引き続き適切な指導を行うよう要請をいたしておるところでございます。
  186. 山原健二郎

    ○山原委員 これは、こういう制度子供の安全確保の上で重要な教訓となるデータですから、それを把握するのをやめるというのは、行政改革として本当に適切なのかどうかという疑問も持っていますが、きょうは時間がありませんから、そのことだけ指摘をしておきます。  文部省としては、水泳プールの安全管理についで注意を喚起した通知をたびたび出しています。最近では、昨年の五月に出され、ことしは五月と九月の二度出されております。そこで、プールの排水口における事故防止のために、排水口には堅固な格子鉄ぶたや金網を設けてボルトで固定するなどの措置をし、いたずらなどで簡単に取り外しができない構造とすることというふうに具体的な指示をしているのですね。教育委員会がその指示をもらっているのです。  ところが、これは一片のペーパーとして受け取っているものですから、結局具体的な安全措置が今日に至っても施されていない市町村がかなり多いという事態があります。林田さんが自分で静岡県の調査をしますと、約三割一安全措置をとっていないというふうに言われております。これは個人の調査ですから、どの程度まで信憑性といいますか確実性があるかわかりませんが、これではどうにもならぬわけでございまして、文部省も通知を出しただけで済まないということがはっきりしていると思います。  しかも、来年の夏、水泳時期がまた五月、六月と迫ってくるわけですが、これはやはり対策を講じて徹底すべきだと思うのです。ボルトで格子鉄ぶたをしっかりととめることなどは一カ所で大体五、六万の金があればできるというふうに報告されておりますが、この点はきちんとできるかどうか、ちょっと文部省に伺っておきたいのです。
  187. 小林敬治

    小林(敬)政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、私どもとしては、毎年のようにこの問題については通知等を出しまして御指導申し上げているところでございます。  ただ、昭和六十一年に水泳プールの安全管理につきまして全国調査を行いまして、その結果を踏まえて指導徹底をいたしましたところ、その後、昭和六十二年からは平成五年まで、排水口が原因となる死亡事故の発生が見られなかったという過去の事実がございます。にもかかわらず、昨年どことし、まだしばらくなかったのであるいは管理者側の気の緩み等があったのかとも思いますけれども、事故が続いておりますので、私どもといたしましては、前回と同様に、今後プールの安全管理につきまして全国的な調査を実施をいたしまして、その結果を踏まえましてプールの安全管理の徹底を図ってまいりたい。これは、先生ただいま御指摘ありましたように、十分こうしたたぐいの事故は根絶できるのではないかなと私ども考えておりますので、今後そのための努力をしてまいりたいと思っております。
  188. 山原健二郎

    ○山原委員 そのように決意を表明されましたのでこれておきますが、ぜひ子供たちの命を守るという意味でよろしくお願いしたいと思います。  最後に、高校生の就職問題について伺いたいのですが、いろいろ、就職の内定率も出ておりますし、また教職員組合などの内定実態調査の結果が出ておりますが、もう時間の関係でこれは省略いたします。現在、ほぼ三人に一人が就職未決定者となっておりまして、これは大変、前年度よりもさらに深刻な事態を迎えておるわけです。  労働省がきょうお見えになっていると思いますが、昨年の十月二十一日の本委員会で、私の質問に対しまして、「一人の就職未決定者も出さない決意で高校新卒者の早期かつ円滑な就職を支援してまいりたい」、また「最大限の努力をしていきたい」と答弁をされたのでございます。これは非常に力強い決意を表明していただいたわけですが、このことはことしも変わらずに努力をされておるかどうか、このことを伺っておきます。
  189. 井原勝介

    ○井原説明員 来年三月の高校新卒者の就職決定状況を申し上げますと、十月末現在におきまして七丁三%、求人倍率も一・四七倍となっておりまして、厳しいと言われました昨年に比べましてさらに厳しい状況になっております。  こうした中で、高校新卒者の就職支援を積極的に図りますために、引き続きまして、地域の公共職業安定所を通じましてあらゆる機会を活用して求人の確保に努めでおりますほか、高等学校等とも密接な連携をとって、個別の求人開拓、職業相談等の積極的な実施に努めることとしております。また、就職が未決定の生徒の就職機会の増大を図りますために、未充足求人の一覧表を作成をして配付をする、あるいは学校との連携のもとに求人事業主と生徒が一堂に会します合同選考会等の開催など、各県において必要に応じで開催をしていただいておりまして、今後とも就職援助を積極的に実施をしていきたいというふうに思っています。これから三月末、さらには、我々職業安定機関におきましては卒業後の来年の六月まで同様に援助をしていく、サービスをしていくというふうに考えておりまして、決意は昨年と変わらないつもりでございます。
  190. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に、内定率ですが、大体男子七一二一%、女子六三・七%という数字も出ていまして、男女全体で六七・九%という結果が、これはある調査です。昨年の十月末の時点での就職内定状況は七四・三%でありましたから、前年度に比べましても一層深刻な事態を迎えておると思うんです。  とりわけ女子の就職難が一層厳しさを増しておると言われておりまして、男子に比べましてマイナス七・五ポイントも低く、この先女子は全く目途が立たないという悲鳴が聞こえておるというのが今の実情ですし、また、北海道などでは地域格差も顕著にあらわれているという報告が出ているわけでございます。  最後に、文部大臣にお伺いしたいんですが、初めで社会に出る高校生の就職問題というのは、大変これは人生にとっても重大な中身を持っておると思います。そういう意味で、政府全体で全力を挙げて取り組むべきだと思いますが、文部大臣の今後の対応決意を表明していただきたいと思います。
  191. 島村宜伸

    島村国務大臣 来年三月高等学校卒業予定者の就職内定状況は、御指摘のとおり、昨年にも増して一層厳しい状況となっております。  このため先月、私自身、日経連、経団連、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会の各経済団体を訪れ、それぞれの代表者の方に、学生生徒、特に女子の採用の拡大について要請したところであります。  ただいま御指摘のとおり、まさに人生の新しい出発点、その場で挫折感に何か襲われるというようなことは極めて不幸なことですし、世の中暗くもいたします。私は、こういう人たちのために最善を尽くしてその道を開かなければならない、こう考えております。  今後とも就職状況把握に努めまして、労働省とも十分連絡をとり、雇用機会の確保と学校における進路指導充実に努めでまいりたい、こう考えております。
  192. 山原健二郎

    ○山原委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  193. 柳沢伯夫

    柳沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二分散会