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中島(章)
委員 私は、こういうふうにあえてこれにこだわりますのは、今度の
教育課程改訂というのは従来型の
教育課程審議会方式ではやれない、そういうことを主張したいからでございます。
あえて答弁を求めることをやめますが、
教育課程審議会は、通常、
大臣が諮問をなさいまして二年間の
教育課程の審議がなされます。ここには小
学校二十人、中
学校段階二十人、それから高校段階二十人と、六十人の
委員が置かれます。前々回の
教育課程審議のときには特に高村象平
先生が会長でありまして、総論部分、つまり
内容を三割、それから時間数で二割、例えばそういう思い切った構造の変革をなさいました。それは、総会がかなり構造全体を問題にしたからであります。
従来、通常でいきますと、総会がかなりそういう大きな方針をやりましても、今度は
学校段階別の最初の審議に入ります、それから各教科別の
専門家をそろえての
内容の審議に入ります、こういう段階になりますと、それぞれ時間数を減らそうなどという話はまず出てこないのであります。したがいましで、みんなで一緒に血を流しましょう、そういう平板なパッチワークしか行われない。私が申し上げたいのはそういうことであります。
それからもう一点は、さっきも申しましたように、明治の三十年代から大正時代までは、我が国の小
学校も国語と算数中心だったのです。二十六時間の週の時間の中で、国語が十三時間、算術というのが八時間あって、実に二十一時間。あとは修身と体育というような構造になっていたのです。また、アメリカその他でも、特に国語の重要性ということから週の授業時数の半分以上が国語に使われている例があります。これは、私が自分の
子供を通じて体験いたしました。
戦後の
教育課程は、御承知のとおり、国語、算数、理科、社会、さらに中
学校になれば英語だとか美術、図工、音楽、体育、家庭というふうに非常にバランスよく行われておりますから、これを前提にいたしますと、今回、私が主張します構造的な
教育課程の改訂というのはまず行われないということを申し上げたい。
実は、
教育課程の改訂に大体一周十年かかるのです。二年ほどして答申をいただきまして、一年間かけて
指導要領の改訂を行います。そして伝達講習というのを大体三年ぐらいかけて行いますし、その後また高校などは学年段階別に入ってまいります。過去の例で言いますと、十年間の過程の中に、最初に目指したものと、最後に、もう十年たったところで
現場で実施しているものとのずれが起こってくるということも何度も起こったわけでございます。
今回、そういう意味では、私は
指導要領の改訂に関連をして申し上げたいのは、
教育課程審議会というのはどうしても、日ごろ
教育課程のことについて
専門的に頭に入れている人なんというのはほとんどないんです。そこに入れられるのは大学の
先生であり、あるいはマスコミの人であり、まあ
現場の人も入りますけれども、結果的には各教科の時間数の分捕り合戦になってしまうというようなことであります。
構造的な改革をするためには、また
教育の質の時代になってきでおりますから、特定の人ではなくて広い、まあ日教組もあのように体質も変わってきております、これがどこまでいくかは別にいたしましても、そういう幅広い人の意見を聞きながらということになりますと、どうしても、実証的、科学的、分析的なあらかじめの
調査研究、その結果を
教育関係者がみんな均てんして知っている、そういうやり方をしなければ、いきなり
教育課程審議会を開いてサロン討議に
教育課程の構造改訂を提案してみても、それはうまくいかないのではないか。
私が中教審で期待したいのは、そういう大きな構造をこれから変えていきたい。あるいは今、
教育課程の基礎
研究協力者
会議でも期待をいたしたいのは、先ほどは
内容の話だという
局長の答弁もありましたけれども、むしろ
内容よりも、諸外国のことも聞いているのでありますし、
子供の心身発達という縦の
教育課題についても検討しているわけでありますし、戦後の
教育課程の編成もやっています。それから
教育課程の基準を外した
教育課程の
研究開発
学校の結果も見ているわけであります。つまり、これは
教育課程の構造を見直そうという
研究をやっているはずでありますから、この結果が次の
教育課程改訂のシステムに反映されていかなければ、あらかじめ従来どおりの
教育課程審議会の方式を今から準備をしていくというのでは、今度の新しい
教育課程改訂、あるいは二十一世紀の、国民が期待をしております
教育の大きな変換ということは期待できないのではないか、私はこういう問題意識を持っているわけでございます。
そこで、
完全学校五日制というものを前提としますと、まず、今まで申し上げてまいりましたように、
教育課程の構造の根本的な見直しが可能だし必要だと私は思っているのです。
例えば、英語を小
学校に入れるというだけでも、今、小
学校の
教育課程は満杯なんです、何が外へ出ていくか。おまけに土曜日の時間数は減っでくるわけです。どこに焦点を当てるのか、これはまさに構造変革であります。
それから、社会科をとってみましても、今、小
学校から中
学校、高校まで社会科がありますが、アジアあるいは世界も文化構造が非常に大きく変わってきておりますから、社会科そのものも今までのような各学年への配当と教科構造でよろしいのか、これは科学的に検討分析をしてみる必要があるのです。そんなことは
教育課程審議会ではできないのです。
そのことを私は特に申し上げて、この
教育課程の審議方式についてもぜひ検討を願いたい、こういうことを申し上げたいと思うのでありますが、文部
大臣の御意向を伺いたい。