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1995-12-06 第134回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十二月六日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 日野 市朗君    理事 二田 孝治君 理事 谷津 義男君    理事 石破  茂君 理事 倉田 栄喜君    理事 仲村 正治君 理事 鉢呂 吉雄君    理事 小平 忠正君       赤城 徳彦君    荒井 広幸君       金子原二郎君    岸本 光造君       七条  明君    田中眞紀子君       東家 嘉幸君    浜田 靖一君       松下 忠洋君    御法川英文君       山本 公一君    上田  勇君       大石 正光君    鮫島 宗明君       実川 幸夫君    白沢 三郎君       千葉 国男君    初村謙一郎君       増田 敏男君    山岡 賢次君       山田 正彦君    遠藤  登君       田中 恒利君    中西 績介君       玄葉光一郎君    錦織  淳君       藤田 スミ君  出席国務大臣         農林水産大臣  野呂田芳成君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      津野  修君         農林水産政務次         官       松岡 利勝君         農林水産大臣官         房長      高木 勇樹君         農林水産省構造         改善局長    野中 和雄君         農林水産省農産         園芸局長    日出 英輔君         農林水産技術会         議事務局長   山本  徹君         食糧庁次長   阿部  修君  委員外出席者         外務大臣官房外         務参事官    中島  明君         農林水産委員会         調査室長    黒木 敏郎君     ――――――――――――― 委員の異動 十二月六日  辞任        補欠選任   栗原 博久君    田中眞紀子君   木幡 弘道君    鮫島 宗明君   千葉 国男君    白沢 三郎君 同日  辞任        補欠選任   田中眞紀子君    栗原 博久君   鮫島 宗明君    木幡 弘道君   白沢 三郎君    上田  勇君 同日  辞任        補欠選任   上田  勇君    千葉 国男君     ――――――――――――― 十二月五日  かんきつ振興対策予算に関する陳情書  (第二九四号)  水田農業確立及び新食糧法に関する陳情書外一  件  (第二九五号)  農林漁業対策推進に関する陳情書  (第二九六号  )  森林の保全と国産材使用拡大に関する陳情書  (第二九七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(平成年産米穀  の政府買価格等)      ――――◇―――――
  2. 日野市朗

    日野委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中眞紀子君。
  3. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 では、お尋ねをしたいと思いますけれども、きょうは大臣米審がおありになって遅刻をなさるというふうに聞いておりますけれども、これは新食糧法が施行されましてから初めての米価決定される時期でございまして、三百八十万と言われている全国の農家が非常に息を殺して注目をしておりますし、消費者も、それから外国も、どういうふうなことになるかと非常に関心を持っているわけでございますので、理事会ももちろん通告済みでわかっていらっしゃることと思いますけれども、この委員会というものについて、もう少し事務方の御配慮というものがあった方が真剣味が問われずに済むのではないかというふうに思いますので、事前に一言申し上げたいと思います。  まず、減反についてでございますけれども、新食糧法は、売る自由、それから買う自由、つくる自由ということで、市場原理を導入して、そして生産者自主性というものを尊重しようというのが理念でございます。理念ですけれども、いろいろ今まで議論があったことを十二分に承知した上で伺うわけでございますけれども、減反をすることによって、いろいろ議論のあった中ですけれども、生産調整をして、そして作況指数がすごくよくなってでき過ぎてしまえば、緒筒また値崩れが起こるということなわけですよね。そういう現実があるから、皆さん非常にこの米価の問題には神経質になってきているということだと思うのですけれども、そこで当然知恵を出されて共補償ということも言われているわけですけれども、アメリカの不足払い制度というふうなものとは若干違っているというふうに思いますが、これが本当に価格暴落の完全なる万全の歯どめ対策ではないというふうに私は思っております。  このことについて、つくる自由というものの理念は形骸化してしまっている、もう既にそのスタートの段階でそうなっているというふうに思うのですけれども、その点についてどのようにお考えになりますか。ぜひ、政務次官閣下でも事務方でも、お答えいただければと思います。
  4. 松岡利勝

    松岡政府委員 田中眞紀子先生、日ごろから農業に対する情熱、また、本質をついたいろいろな御指摘大変敬意を表しておるところでありますが、ただいま御指摘ございましたように、端的に申しまして、米が、これは全部作付がされれば相当の米がとれて需要を上回る供給となるのはもう目に見えておるわけでありましで、そうすれば値崩れが起きる、それをどう防ぐか。そして、生産者にとっても消費者にとっても安定的な形で需要供給が行われていくようにするにはどうしていくか、これが基本の問題であります。  したがって、そういう基本的認識を踏まえて、暴落をしないように、また過不足がないように運営をしてまいる、これを基本に取り組んでおるところでございますが、今先生おっしゃいましたように、今後の事態、例えば暴落が起きたときに歯どめがきくのかきかぬのか、こういう問題でございますけれども、百五十万トンを基本とする備蓄をして、五十万トンの幅で一応二百万トン程度まで枠を持って備蓄をする、そういう運営を図りながら、そういう暴落等の起こらないような機動的な対処をしてまいりたい、それが政府基本方針でございます。
  5. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 基本方針というのはよくわかっておりますが、これでしょっちゅう国民はだまされていまして、食糧庁不信というのは非常に強くて、つい最近は、おととしてございましたか、あの不作のときに緊急輸入米を入れて、そしてセット販売をするとかをだれかが思いつきまして、そうしたら次は混米はどうかとかいって、結局外国から輸出をしてくださった方々に大変迷惑をかけたわけですよね。  そういうことからしましても、本当に食糧庁のやっていることは、これは大変難しいことですから無理もないということは言えるかもしれないし、自民党等の今までの責任というものを私はしっかりと自覚しなければならないと思っていますが、であるからこそ、小手先の猫の目行政にまたつながるような新食糧法であってはならないと思うわけです。  私が大臣に来ていただきたいと申し上げておりましたのも、最後はこの問題は閣議決定するわけでございますから、大蔵省予算措置をできるかできないか、できるようにしようと私は思っているわけですよ。そうでなかったら、いつもいつも生産者が特にだまされてしまう、だれを信じていいのかということになります。  日本人はやはり白米を食べたいのです。いろいろと考えてみまして、食生活の変化があるとか、何とか園芸課がいろいろな新しい研究をしているとか、いろいろなレクチャーも聞きましたけれども、そうではなくて、本当に良質の、いいお米というものはおいしいのですよね、白米として、御飯として。これはおいしいものなんだということが日本の原点だとしたら、私は随分薄くなってきているのではないかというふうに思います。  そして、この新食糧法は大規模営農というものを目指しているわけですけれども、減反をしていけば、結局、暴落が起こったときに大規模農家が非常に大きな打撃を受けますし、大規模化を目指しているところの中規模も大きな打撃を受けるという、逆のことが起こりますね。そして、減反に参加する人は価格維持に努めようと思って協力をして減反をするわけですけれども、結果的には減反をしなかった人が得をするということになりませんか。その辺、どういうふうに見ておられますか。  数字は聞かなくて結構です、数字は役所がやればいいことですから。結論的に言いますと、政治家がそれを踏まえて、どうやって大蔵省予算をつけるかということをお聞きしたいのですけれども。
  6. 松岡利勝

    松岡政府委員 今田中先生指摘の、とにかく正直者がばかを見ない、そういうことにしで、勝手なことをした人の方が得をするということのないふうにしていくことが私はこの新食糧法を成功させるかさせないかの基本だろうと思っております。  そういった点から、要は生産調整をどう成功させるか、そして需給バランスをきちっととっていくか、こういうことでございまして、先般、政府与党一体の中でお決めをいただきました生産調整に対する助成、これは団体要望等もあったわけでございますが、そういったことを十二分に踏まえて、万全の形で、共補償等も含めまして対応を決めていただいたのではないか、そのように思っております。したがいまして、それに必要な財源というものは、当然これは政府としても万難を排してその確保努力をしていく、こういうことで思っておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  7. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 次に、良質米のことについて伺いたいと思いますけれども、ついこの間、入札が四十一銘柄についてございました。その中で魚沼米とか岩船米とか、そういうふうな良質米産地適地適作といいますか、結局四千四百トンでしたかが売れ残った中で、そういう良質米につきましては、三回連続で値幅の制限いっぱいの高値で落札をされたという実情があります。  そして、そういう農家皆さんがどういうことを期待するかといいますと、自分たちのつくっているお米は自信があるし市場性もあるので一〇〇%自主流通米でやってもらって構わない、そして、できることだったらばその流通経路というものを簡略化してもらいたい、要するに産直にしてほしいということをおっしゃっているわけでございますけれども、こういうふうな希望を通すためには、もちろんイコーリティーということ、平準化とか平等ということが基本になるのはわかりますけれども、こういうものを守るというか、そのためにどういうふうにしてこういう人たち意欲をそがずに再生産に励ませるか、それについてどういうことを考えているか、事務方からぜひ伺いたいと思います。
  8. 阿部修

    阿部政府委員 良質米の件でございますが、大変良質米への消費者の志向が強いというようなことでございまして、先生ただいま御指摘になりましたように、前回の入札におきましては魚沼岩船でございますが、上限いっぱいに張りついておるというような状況でございます。  この自主流通米価格形成センター上下限価格につきましては、自主流通米価格形成センターにあります運営委員会の方におきまして、その幅をどうするかというような議論があるわけでございます。現在、上下限七%というようなことになっておるわけでございますが、これを今後どうしようかというような議論が行われるというふうに聞いておる次第でございます。
  9. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 とりあえずあと一分しかありません。時間厳守でいきますので、あと細かいことは会館にでもお願いしたいと思います。  私が考えておりますのは、減反割合というのを受け入れるとしても、良質米生産者方たちというものは、結局減反されると収入減になるわけですから、その減反助成金にスライドをさせるとか、そういうふうなことも具体策として考えていただきたいと思います。  残余の質問は、また七条先生の後にさせていただくことにいたします。ありがとうございました。
  10. 日野市朗

    日野委員長 七条明君
  11. 七条明

    ○七条委員 では、早速させていただきたいわけでありますけれども、きょう大臣お越しになっておりません。本来なら大臣お越しをいただきたいということで、遺憾の意を表明しておきたいと思いますが、やむを得ませんから、やらせていただきます。  まず、私は、米価の算定の基本的な考えについてお伺いをしたいのでありますけれども、今度の新食糧法の五十九条二項の末尾に政府買い入れ価格についてこういうふうに書いてあります。「再生産確保することを旨として定める」、こう書いてあるのですね。このことは、政府買い入れ米価について少なくとも生産費を割るようなことがあってはならないと私は理解するわけであります。それは、ましてや新しい制度におきましては、政府買い入れ価格を決める上での政府買い入れのお米、これは生産調整実施者、いわゆる減反をしてもいいですよと、していただける方、先ほど田中眞紀子先生も言っておられたし、政務次官も言っておられた、まじめな方から買い入れるわけであります。  そういうことからいきますと、当面の八年産米について、私は価格は当然据え置いていかなきゃならないものだと思う前提で聞いているわけでありますけれども、そういたしますと、これからさらに六兆百億円のウルグアイ・ラウンド関係予算がついていったりしますと、農家努力も含めまして、米の生産性というのはどんどん上がってくる可能性が非常に高くなってきます。そうしますと、コストがそれにはね返ってしまって、また低下をしてしまうというのは困るわけでありますから、私が一番言いたいのは、生産性向上とともに、農家生産意欲を阻害しないような形で、米の政府買い入れ価格は少なくとも生産費を割り込むことになってはならないし、また生産性向上のメリットは生産者に対しても還元していくのだ、こういう考え方にならなきゃならないと思っておりますけれども、どうでしょうか。
  12. 松岡利勝

    松岡政府委員 今七条先生の御指摘でありますが、先ほど田中員紀子先生基本はそうだったと思うのですが、要は日本農業の柱であります米づくり、これをやはり新食糧法のもとでちゃんと成り立たせて、成功させて、そしてまた日本農業全体を守っていく、私どももちろんその認識に立って、またそういう基本の方向で進めておるわけでありますが、その中で、いよいよ大事な米価はどうなのか、こういうことでございます。  これは法律がございまして、当然、この第五十九条、今先生も御指摘でございますが、そこには、買い入れ価格は「農林水産大臣が、自主流通米価格動向その他の米穀需要及び供給動向を反映させるほか、生産条件及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産確保する」、そういうことを旨として決める、こうなっております。今日までの米価審議会議論も、自主流通米価格動向をどう反映させるか、そしてまた生産費というものをどう反映させるか、そういうことの上に立ってさらに再生産確保、こういうことでありますから、そこには生産農家意欲、こういったものが十分醸成されるような、そういう観点で価格を決めていかなければいけない、こういうことだろうと思います。  したがいまして、今日までの議論を踏まえまして、今先生の御指摘も含め、各方面の御意見等も踏まえましで、きょう、あした、あさってという中で米審に諮問をいたしまして最終的な決定をいたすわけでありますが、十分そのようなことを万般にわたって踏まえながら、適正な価格決定に向けて最善の努力をしてまいりたい、このように思っております。
  13. 七条明

    ○七条委員 今松岡次官、前向きな答弁をいただきましたことには歓迎申し上げますが、要は、農家が最低ぎりぎりの価格でつくられたものを割り込むことがないように、むしろ農家にも還元する意味では、これから次の、また来年のもみを買って生産をしていかなければいかぬ、再生産ができるような形に意欲を持たせてあげるためには、利潤を少しそこへ乗せてあげるくらいの感覚でやらなければならない、私はそう思う一人でありますから、当然価格割り込みをすることのないようにしていただきたい、これは要望をしておきたいと思うわけであります。  それから、二番目にお願いしたいと思っで聞きますのは、米価の安定というのは生産消費の両面にわたっていわゆる需給バランスがとれていなければならないということはもう言うまでもありません。そのためには米の需給を安定させるということでありますけれども、そのために一番大切なのが生産調整だと私は思うんです。  先ほど田中眞紀子先生もおっしゃっておられましたけれども、この生産調整推進対策について、この間、いわゆる共補償制度というものもある程度充実をされてきたと思うわけであります。しかしながら、この積極的に対応していただいた共補償制度とあわせて並行して行っていただきたいのは、計画流通助成についても、計画流通参加者すべてを対象とするものではなくして、先ほどから話が出ております、生産調整実施者対象を絞って交付することが生産調整の円滑な実施に極めて有効だ、私はこう思うんですけれども、これについてはどうでしょうか。
  14. 松岡利勝

    松岡政府委員 その点も、先生指摘の趣旨よく理解ができるわけであります。といいますのは、これは生産調整段階、また流通段階消費段階、それも含めて、トータルで今回のこの新食糧法下における需給全体をいかに安定させるか、こういうことでありますから、当然、生産調整計画流通との関連、そういったことは十分心しなければいかぬことだろうと思っております。  今後、具体的には予算編成の過程、その時期でこの点は決定をしていくわけでありますが、そういうスケジュールでございますけれども、十分そういった先生の御指摘も踏まえながら、今後その関連、そういったことをよく認識をしながら対応してまいりたいと思っております。
  15. 七条明

    ○七条委員 今度の新食糧法の中で一番問題になって、今までの制度と違うということは、いわゆる政府が百五十万トン何がしのものを、減反協力をしてやろう、生産調整協力をしてやろうという人の中から買い上げるという制度であります。ですから、まじめに政府方針に対して従ってやろうという方が、その中で政府買い入れ価格として守っていただくわけでありますから、その価格の中に、当然まじめな方あるいはこれから意欲のある方、そして日本農業の将来を考えておられる方々が不幸な目に遣わないように、いわゆる生産意欲が減退することのないようにしていただくことが前提でありますから、今申し上げたことも同じようなことになってきますので、これは必ず生産調整実施者対象を絞って交付をする、こういう感覚の中でやることで生産調整の円滑な実施をしていただきたい、こういうことを私は望んでおきたいと思うわけであります。  次に、さっきの百五十万トンを超える買い入れ希望される場合、いわゆる生産調整になりました、そして皆さん方生産調整をしていただきたい、そのときに、価格暴落があることもあるかもしれませんし、自主流通米が高くなったり安くなったりすることが出てくるかもしれません。時によっては、いわゆる生産調整をした方が政府政府米として渡そう、こうなりましても、実際に百五十万トンに満たない場合と超えてしまう場合とが出てくるんじゃないか、こう思いますけれども、じゃ、超えた場合はどうするんだろうか。もう買いませんよ、そこではまた困った現象が起こってきますから、まじめな方々が困るぞ、こういうことが出てまいりますね。これもやはりよく聞いておかなければなりませんが、どうですか。
  16. 阿部修

    阿部政府委員 百五十万トンを超える買い入れ希望数量があった場合にどういうふうに対応するかという御質問でございますけれども、一応新制度におきましては百五十万トンぐらいのお米を備蓄として保有するというようなことになっておりまして、したがいまして、政府買い入れるお米の量につきましては、備蓄運営に必要な数量というようなことになるわけでございます。  具体的な実施でございますけれども、その政府買い入れ数量につきましては、毎年十一月末まででございますが、生産及び出荷の指針というのをつくりまして、その中におきまして米穀備蓄のために必要な政府買い入れ米穀数量を決めるわけでございます。それをもとにいたしまして、生産者からの希望を踏まえましで、その次の年の三月までに基本計画というようなことをつくりまして、それでコンクリートにするというようなことでございます。したがいまして、政府買い入れます数量には一定の限度があるというようなことでございます。  ただ、ちょっと先ほど申しましたように、生産者ごと政府買い入れ数量の具体的な設定に当たりましては、十分生産者申し出を踏まえて行うとしておるというようなこと、さらには、作柄が決まりましで、来年の秋になって、出来秋でございますが、そのときにおきましても、政府買い入れ数量の過不足を生産者間、市町村の間、それから都道府県の間で相互に調整するというようなことによりまして、極力生産者の意向が反映されるというような政府買い入れが行われるようにしてまいりたいと考えております。
  17. 七条明

    ○七条委員 これも、今御答弁いただいたのは、前向きな答弁だったか、あるいは後ろ向きだったか、よくわからないというのが実態なんでありますけれども……。  要は、言いたいのは、百五十万トンというものを買い入れた、ただし、生産調整していただいたのにもかかわらず、まだ、もっと百五十万トン以上に希望があった場合も、これは関係皆さん方協力をして、まじめにこつこつやられた方についてはやはり前向きに検討していかなきゃならない、これも一つの要望としてとどめさせていただきます。  なぜこんなことを言うかといいましたら、これは民間備蓄の問題が次に生産団体と起こってきますし、調整保管助成という問題も出てきますから、ここらの問題のときにうまくやっておかなければならない。民間に対する備蓄あるいは調整保管助成確保、あるいはまじめにこつこつやった方々に対して、ここでもきちっとした形の行政助成をつけておかなければならない。だから、備蓄の問題が関係しできますからこういうことをお聞かせいただいておりますので、よろしくお願いをしておきたいと思います。  それから、もう時間が余りないですからどんどん進ませていただきますけれども、ミニマムアクセスで輸入した米が四十三万トンぐらいある、こう聞きましたけれども、このミニマムアクセスのものをできれば全量いわゆる加工用米にするべきではないか、あるいは海外援助のようなものだとか、それから主食需要を圧迫しないような形でやっていくべきではないかと私は思うのですね。  農家方々は、当然、ミニマムアクセスが入ってくれば、主食世界の中でそれらが流通をすれば価格安定を破壊するのではないだろうか、そういう心配が非常にあるわけであります。ですから、ミニマムアクセスで入ったものは全部いわゆる加工用に回すとか、あるいは主食世界を圧迫をしないように何かの考え方をするとか、海外援助にやるとかいう方法でやるべきだと私は思うのですが、どうですか。
  18. 松岡利勝

    松岡政府委員 このミニマムアクセスの分の扱いにつきましては、内外無差別の原則というのが基本としてあるわけであります。ありますが、それはそれで踏まえながら、今先生指摘のように、国内の主食需給に極力影響を及ぼさないような取り扱いをしていく、これはもう基本でございまして、そういたしますと、当然、加工向けの新規の需要の開拓とか、これは時々私も田中眞紀子先生からの御高説を承っているのですが、国際援助、こういったことに向けてどうするか。  私も、先般、FAOの五十周年の記念の会合に行ってまいりました。そのときに、WFPの、これは多国間の食糧援助を扱う国際機関なんでありますが、そこの事務局長さんからも話がございまして、とにかく日本も現物で出してくれ、こういう話もあったのですね。ただ、この問題は、いろいろ国際的なお互いのルールとか何とかあるものですから、そういったことはそういったことで踏まえなきゃいけませんが、私ども、可能な限りそういったことができないかどうか、関係省庁とも連携をとりながら、詰めながら、今先生指摘のような方向に沿って最大限の対応ができるようにいろいろとやってまいりたい、こう思っております。
  19. 七条明

    ○七条委員 随分前向きな答弁をいただいたことを感謝申し上げます。  私は何でこんなことを聞いたかといいますと、実は、この間、参議院選挙が終わった後だと思いますけれども、SBS方式でいわゆる新しい一回目の入札をやりました。このときには、当初計画したよりも希望が随分殺到して、たしか玄米で二千八百トンのものを入札にかけた。そうすると、希望者が随分集まって九・何倍だ。非常に多くて、マークアップいっぱいの二百九十二円で全部引き受けた、こういうような形がありました。しかしながら、それらは、マークアップいっぱいいっぱいであれば全部主食世界へ流れてしまうわけですね、加工の世界には流れてこないということになってしまいますから。  私がここで言いたいのは、SBS方式というのは元来どういうことで設けられたかと思って調べてみましたらば、外国産の米の需要動向を探ることがねらいである、こういうことだったのですね。よくよく加工の世界方々に聞いてみたら、SBSに参加をしたかったのにできなかったのですよという話なんですね。これでは大変なことになりますから、需要動向からいうならば、いわゆるSBSの方は主食世界と加工の世界と分けて入札をするという制度もやってもらわないと困るわけですね、今の趣旨からいきますと。これをお聞かせいただきたい。
  20. 阿部修

    阿部政府委員 ただいま先生指摘ございましたように、第一回のSBSでございますが、十倍近い申し込みがあったというような結果になったわけでございます。  それで、この原因でございますけれども、非常に応札者の関心が高かったというようなことは、もちろん初回であるからあったかとも思いますが、契約の予定数量先生指摘のように二千八百トンというように少なかったというようなことがあるのではないかと思います。また、加工用米としての特定の枠の設定というのはしておりません。  したがいまして、今後予定しております第二回目のSBSでございますけれども、この初回の結果を踏まえまして契約予定数量をもっとふやすべきではないかというような意見もございます。それから、御指摘にございましたような加工用の枠を設けるべきであるというような意見もあるわけでございまして、今後のSBSの実施に際しましては、加工業者の方々の応札条件の改善が図られる手法がないかというようなことを今検討しているところでございます。
  21. 七条明

    ○七条委員 これも、SBSの方式を加工用主食世界とに分けておいて需要動向を調べるという目的の中で、当然やっておかなければならないことでありますし、加工用にできるだけミニマムアクセスの米が流れる、あるいは主食世界にない方へ加工用ミニマムアクセスが流れていくSBSの動向があるわけでありますから、その価格に応じてやってやれば日本農家は助かる、あるいは生産団体も非常に意欲を持って取り組むことができる、こういうことでございますから、これも前向きに検討していただきたい。  大臣お越しになられたことを歓迎申し上げます。大臣、大丈夫ですか。次、答弁いただきますよ。  それでは、最後に、時間の関係で一つだけ言っておきたいことは、学校給食の問題であります。  約十一万トン余り学校給食があります。今、農林省としては需要拡大のためにその補助をいたしておりますけれども、この補助制度を続けていただきたいと思うと同時に、本来政府米というのは三類から五類までだったのですけれども、おいしい米を食べさせなければいけない。私は、一類か二類のおいしい米を食べさせてやっていただきたいな、こう思うわけであります。それがまたさらに消費拡大につながりますから。大臣、どうですか。
  22. 阿部修

    阿部政府委員 学校給食の件でございますので、ちょっと私の方からお答えさせていただきます。一、二類のようなおいしいものを提供してくれというようなことでございます。  私ども、この学校給食は将来の日本を担っていく方々のために非常に重要なことだと思っておりまして、特に米を中心とした日本型食生活の定着という面では非常に重要な役割を果たしておるというふうに思っでおるところでございます。  現在、学校給食用の米穀につきましては、おいしいお米を供給していくというようなことを基本といたしまして、これまで原則といたしまして一−三類のお米を提供しておるというようなことでございまして、一、二類が四割ぐらいの比率になっておるというような状況でございます。  そういったことも踏まえまして、今後とも、こういったおいしいお米が児童の手に渡るように、お口に渡るように努力してまいりたいというふうに思っております。
  23. 七条明

    ○七条委員 これは答弁漏れがあったから言うのですけれども、この制度を維持してほしい、いわゆる学校給食制度を維持しで今までのように助成をしてほしい、そしてさらにおいしい米を提供してほしい。大蔵省がどう言おうとこう言おうと、農林省の方は絶対頑張るぞ、今までどおり助成をやっていくのだ、これを聞きたいのでありますから、私は大臣答弁をしていただきたいのです。
  24. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 学校給食は米の消費拡大にとりまして大変大事な役割を担っております。私も御質問のとおり維持していくべきだと考えておりますが、学校当局者の意向等もあることでありますから、なるべくその意見も尊重しながら、維持する方向で、しかも委員指摘のとおり、一、二類を中心にして運営されていくようなことを我々としても真剣に検討してみたい、こう思っております。
  25. 七条明

    ○七条委員 これは特に要望をして、大蔵省に屈しないように要望して終わります。
  26. 日野市朗

    日野委員長 次に、田中眞紀子君。
  27. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 大臣に伺いたいと思いますけれども、私、先ほど冒頭申し上げましたが、最初二日ほど前に事務方に伺いましたときには、大臣米審があるから十分おくれると。次は十五分、次は二十分ということでございましたけれども、理事に御無理をお願いしまして、今サンドイッチ式で大臣の御到着をお待ちしておりました。  これは自覚の問題でございまして、米審が重要なことはわかりますし、火曜日が閣議があることもわかっておりますけれども、新食糧法になりまして初めて米価決定するこの大変重要な、国民が息を詰めて見ていますし、外国もどういうふうな状況にこの政策がなっていくかということは本当に注目していますね。そういう痛みや関心というものをびりびり感じていたら、これは事務方に大変責任があって、先ほども私はあえて答弁を求めませんでしたけれども、高木官房長にしましてもわかっていることですから、そうであれば、会合を片っ方早めるとか遅めるとか、最後の三十分間は政務次官にいていただくとか、先ほど政務次官はいい御答弁をくださいましたけれども、なぜ大臣を求めるか。その理由は、国務大臣は二十人で、最後はこれは閣議決定されます。その場で、又聞きではなくて、国務大臣が御自分の言葉で、御自分の痛みを感じて、それを閣議で大蔵省や総理大臣に言えるかどうかという大事な時期なのです。そういうことを全然自覚なさっでいないということを、私は真剣味がないと先ほども言いましたけれども、食糧庁自体もそうです、事務方も。それから大臣もそういうことを、ぜひベテランですから御指導なさっていただきたいということを思います。非常に残念だと思います、こういうふうなことは。  それから、先ほど来申し上げたことの繰り返しはいたしませんけれども、その閣議のところで、最後は結局大蔵省との話ですから、これは大臣からぜひお答えいただきたいと思いますけれども、減反のことについて先ほど私伺いましたけれども、価格暴落の歯どめということがこの制度はきかないということは、もうとにかくみんなが一番わかっているわけです。減反に参加する人が価格維持に一生懸命努力をしても、結果的には、努めれば努めるほど参加しない人が恩恵を受ける可能性もあるということでみんなが不安になっているわけです。  そこで、大蔵省が十アール当たりにつきまして最高額五万円の助成金ということを言っていますけれども、これは獲得なさるだけの自信がおありになるかどうか、手短に大臣お答えください。  私は口は悪いですけれども、一生懸命農林のために頑張って応援しようと思っているのですから、ぜひ大臣の覚悟のほどを披瀝していただきたいと思います。
  28. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 最初に委員皆さんに申し上げておきたいと思いますが、私ども決して国会を軽視したわけじゃございません。いろいろ国会筋と御相談をしたところ、多分委員会の方は七日にセットされるだろうという目標でありましたから、あらかじめ実は私どもも相談した上にきょう設定したのでございます。国会の方が急遽開かれることになりまして、不幸にも重なってしまったということでございます。今、息も継がず駆けつけてまいったところでございまして、決して国会を軽視したわけではないということを心から申し上げておきたいと思います。  今、ちょっとお言葉が速くて私よく聞こえなかったのでありますが、生産調整についての話であったように思いますが、私どもは、生産調整につきましては、実はこの十アール当たり五万円の助成制度を維持した中で、さらに共補償につきまして二万円まで拡大するということで、条件が整えば七万円程度農家が受けることも可能となる、さらに調整水田についても制度として維持しながら、これにも共補償制度を運用するということでございまして、金額にして恐らく数百億の助成制度になるだろう、こういうことであります。  生産団体の代表の皆さん方もこの生産調整助成については相当満足しているという意味のことをおっしゃっていただいております。これによりまして、私どもは、これから三年間にわたって計画的にやっていきたい、こう思っている次第です。
  29. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 極力ゆっくり話をします、時間が限られておりますので残念ですが。  外務省からきょう来ていただいておりますでしょうか。無償援助について簡略に伺いたいと思います。  今までフィリピンやラオス、ネパール等に無償援助という形で食糧援助をなさっていたというふうに聞いております。この間、国交のない北朝鮮に対して人道上の援助という形でもって支援をなさいましたけれども、現在四人から五人に一人が飢餓で亡くなっているというアフリカなんかに対しまして、日本生産過剰ということも心配される状態なわけです、もちろんおととしのような不足も生じるわけですけれども。  もう少し外務省が農林省とタイアップをいたしまして、人道上の援助でお米を、余剰米を出すということを具体的に相談をしていただいているかどうか、している場合にはどのくらいの量が出せるものか、お答えいただけますでしょうか。
  30. 中島明

    ○中島説明員 お答え申し上げます。  国内にある米の援助利用というお尋ねでございますけれども、この問題については、まず国際貿易上のルールを定めておりますWTO協定、この協定との整合性ということを図る必要がございます。そして、この協定上、我が国につきましては、WTO協定の農業協定の特例措置というものが適用されております。したがいまして、この特例措置との関係で整合性のある対応というものが必要である。したがって、今後の余剰米の食糧援助への利用ということを考えるに当たりましては、今のような点を十分検討する必要があろうと思っております。  それからさらに、この問題につきましては、被援助国の需要動向はどうか、どの程度のお米が必要なのかというようなこと、それから諸外国による通常の米輸出に及ぼし得る影響、どういう影響があるのか、そういったことも含めて検討する必要があろうかと思います。  それから、あと一点だけ申しますと、どの程度のものが出し得るのかという御指摘がございました。過去数年間の平均をとってみますと、食糧援助として、これは今まで全部外国のお米でございますけれども、多くて大体十万トンぐらいを毎年出しております。
  31. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 ありがとうございました。  新食糧法では大規模農家の育成ということを最終目標にしているわけでございますけれども、日本地図の中で専業農家が生き残るということは、時間の経過とともにだんだんとわかってくるようになると思います。今現在は宮城県の分ぐらいが減反されていて、この次にまた七十九万ヘクタールですか、そうなりますと、今度は岩手県分がまたプラスされる。そうすると、大規模農家を育成するという目的があるからには、今の全体の日本じゅうの青写真といいますか、見通しというものを大臣は御存じと思いますけれども、その辺、どの地域がどうなるかということを大体見通していらっしゃるかについて伺いたいと思います。それが一点。  もう一つは、これは要望にとどめますけれども、要するに、新法に移行期ですから、今いろいろな問題が起こってくるわけで、この法律が完璧でないということは十二分に承知しております。  それで、これはぜひ要望しておきたいことですけれども、離農せざるを得ない高齢者、それから兼業農家、そういう方たちのために税制上の特例を認めてもらうように、そういう発言をぜひ閣内でも強力にやっていただきたいと思います。  そして次は、各種の農業基盤の整備ということはもういろいろと言われておりまして、たくさんございますけれども、その法手続の簡素化、それから農家方たちの定住環境の整備、こういうふうなことにぜひ最大限力を注いていただきたいと思います。  結局、結論は再生産確保ということをどうやってやっていくか、生産者の信頼を確立てきるかどうかというのは、この時期にどれだけの予算が獲得てきて政治対応するかということにかかっております。社会党党首の総理大臣でございますので、生産者皆さんの期待を裏切ることがないようにぜひ頑張っていただきたいと申し上げて、私の質問を終わります。  一言だけ御答弁をお願いいたします。
  32. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 私どもは、農業基本方向というものを、やはり経営感覚にすぐれた、効率的で安定的な農家農業構造の大宗を占めるようにしたいということで頑張っているわけでございます。  その場合に、例えば一律的に生産調整を、面積を与えるというようなことは大規模経営農家を育てる方針と矛盾しないか、こういうような御意見があったと思いますが、私どもはそのために共補償という制度を設けまして、生産者間あるいは地域間で話し合いまして、大規模農家になるべく共補償によって農地の利用権を集約していくという指導をしておりますので、そういうことで大規模農家の育成と減反との矛盾を調整していきたい、こういうことで今回も共補償制度を二万円に上げた、こういうような政策をとっているわけであります。  さらに、地域の配分についても考慮しろという御意見のように思われましたが、この点につきましても私も同じような感覚に立っているわけでありますけれども、やはり米作に適した地域というものはもう少し配慮していいんじゃないかという意見が非常に私どもにも強く出ております。しかし、これもやはりなかなか言うはやすく行うはかたしでありまして、これまた生産者等の意見も調整しなければいけないし、いろいろ調整して乗り越えなければいけない大変難しい問題でございますから、御説は御説として、有益な御指摘として今後検討の材料にしていきたい、こう思っております。  私どもは、これから生産者皆さんが長期的な目標に立って希望に満ちた農業が経営できますように、もうほどなく十カ年間の農産物の需要生産の長期見通しを発表して、これからどういうものをどの程度、どういう地域でつくっていけばいいかという目標を与えたいということと、もう一つは、新しい農業基本法を制定して、やはりこれからの農業、農村あるいは食糧の問題についての基本方向づけをしたい、こう思っておる次第でございます。
  33. 田中眞紀子

    田中(眞)委員 質問と答えがかみ合っていなかったと思いますが、質問を終わります。ありがとうございました。
  34. 日野市朗

    日野委員長 次に、倉田栄喜君。
  35. 倉田栄喜

    ○倉田委員 新進党の倉田でございます。  今までお話ありましたように、本日の委員会は本年度の米価政府買い入れ価格、そして今後の米価のあり方等について審議をする大変重要な委員会でございますので、特にその点を中心にしてお伺いをさせていただきたいと思っておりますが、大臣、その前に、簡潔に事実関係だけ御確認をさせていただきたいと思います。  時間がありませんので、私の方も短く、大臣の方も短くお答えいただければと思いますが、十一月二十四日、北海道根室市で開かれた政経セミナーでの大臣の発言でございます。いわゆる国務大臣としての御発言だろうと思いますので、私ども新進党としてもなかなか看過することができないわけでございますので、その事実関係を確認させていただきたいと思いますが、十一月二十五日付の報道内容、これが事実なのかどうか、要点について簡潔にお答えを願いたいと思います。
  36. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 最初にお断りしておきますが、これはあくまでも自由民主党の内部のセミナーでございまして、私は、したがって一政治家としての立場で発言したものであります。毎日新聞に出ていたようなことを言ったかというと、それは毎日新聞の記事が私は当たらないと思います。  私がまず申し上げた第一点は、我が国の宗教団体で政党を結成したのはオウム教と創価学会の二つの宗教団体でありますが、オウム教はサリンで政権をとり日本を牛耳ろうとしたし、学会は選挙で政権をとろうとしている、手法は違っているが、政権をとろうとした目的、点では同じだと申し上げたことが一点。  もう一つは、この点については毎日新聞が創価学会とオウムは同じだというふうに見出しをつけましたが、これは百八十度趣旨が違うのでありまして、私はさようなことは一切申しておりません。  もう一つは、一つの宗教団体日本の選挙を牛耳ったらどういうことになるか、こういう団体が政権をとると、特定の宗教に貢献する人が、あるいは政党が生まれるわけでありますから、これは特定宗教が大事だという政権ができるわけであります、こう言いましたのでありましで、これはあくまでも一般論として私は特定の宗教団体、特定の政党と申し上げたのでありまして、一般論を申し上げたつもりでございます。
  37. 倉田栄喜

    ○倉田委員 内部のセミナー、一政治家としての立場というお話でございますけれども、大臣は国務大臣でございますので、やはり発言は慎重にしていただかなければ、あらぬ誤解を受けることになるのではないのかという気がいたします。  また、今の御答弁も、私に言わせればかなり乱暴な、短絡的なお話だなという印象をぬぐえないわけでございますけれども、これはしかるべき委員会に譲りたいと思います。  あと一点だけ、今大臣が三点目の点で一般論として述べた部分でございますが、この十一月二十五日付の毎日新聞の報道についてはこういうふうにございます。「新進党についても」ということで、以下が大臣の御発言ということでコメントをされているのだろうと思いますが、「「特定の宗教にだけ貢献する政党。学会の道具となって政教合致を目標にしている」と非難した。」これは受けとめ方も、それから大臣のお話し方も、いろいろ受けとめ方でさまざまあるかもしれません。  今大臣の御答弁の中、これはまたほかの委員会で詰めていただきたいと思いますが、私は、一般論としてこの点だけ確認をさせていただきたいと思いますが、政教合致という言葉を使われたとしたら、大臣が御認識になっておられる政教合致というのは、大臣はどういうふうにお考えになっておられるわけでしょうか。
  38. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 私がここで政教合致と言ったのは、新進党と創価学会が合体した形で一体となって選挙しているものと思われましたので、そういう一体となって選挙を戦っている状況を表現したものであります。
  39. 倉田栄喜

    ○倉田委員 大臣、その政教合致は、憲法で禁止するものかどうか、言葉が混同されてしまうのだと思うのですね。  きょう、内閣法制局、お見えいただいておると思うのですけれども、憲法で禁止するような政教合致、あるいは今までの御答弁、政教分離という形で御答弁になっておられると思いますので、どうお答えいただくかわかりませんけれども、憲法で禁止されている政教一致というのはどういうふうに考えればよろしゅうございますか。
  40. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 大変大事なことでありますから、誤解のないように重ねて御答弁をさせていただきたいと思いますが、憲法で定める政教分離の原則につきましては、政府の統一見解は、国及びその機関が国権の行使の場面において宗教に介入、関与することを排除する趣旨であって、これを越えて宗教団体が政治的活動をすることまで排除している趣旨じゃないと思います。むしろ憲法二十一条の表現の自由の一環として宗教団体が政治的な活動を行うことは認めらるべきであると承知しでおりまして、私は、閣僚としてこの内閣の統一見解は遵守しなければならないものだ、こう思っております。
  41. 津野修

    ○津野政府委員 憲法の定める政教分離の規定についてのお尋ねと存じますが、憲法は、第二十条第一項前段におきまして「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。」と定めまして、信教の自由を保障するとともに、さらにその保障を一層確実なものにするため、政教分離の規定といたしまして「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」とする同条第一項後段、及び「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」とする同条第三項を置いているわけでございます。また、憲法第八十九条は、「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」と定めておりまして、政教分離を財政面から補足しているところでございます。  政府といたしましては、従来から、憲法の定めるこのような政教分離の規定は、信教の自由の保障を実質的なものにするため、国及びその機関が国権行使の場面において宗教に介入しまたは関与することを排除する趣旨のものであると解しているところでございます。
  42. 倉田栄喜

    ○倉田委員 毎日新聞十一月二十五日付の報道を見る限り、私どもは愕然とするわけでございますけれども、この問題はまたしかるべき委員会に譲りたい、こういうふうに思います。  そこで、本論に返りたいと思うわけでございますけれども、今回の米価、私は大変重要な決定であろうかと思います。  それで、本委員会米価審議会の答申が取りまとめられる以前にこうしで開かれておる。これは、我が党の石破委員がさきの国会でその必要性をるる主張させていただいたとおりであるわけでございますが、まず大臣、ちょっとこの点について、いわゆる米価審議会の答申が取りまとめられる前に本委員会が開かれてこうして私どもが議論をさせていただいておる、このことの意味をどういうふうにお考えになっておられるのか、大臣の率直な御所見をまずお聞かせください。
  43. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 私、つぶさに調査したわけじゃありませんが、今までは衆参両院の農水委員会米価が決まる当日昼審議が行われたように承知しておりますが、今回、急遽、順調にいけば米価が八日に決まる予定でありますから、その前にあらかじめこういう委員会が開かれまして真剣な御討議をしていただけるということは、これからの米価決定にも大きな意味があると思っております。
  44. 倉田栄喜

    ○倉田委員 私は、もちろんその審議会の御答申ということがベースにならなければならないのだろう、こう当然に理解はできるわけですけれども、今回の米価決定の持つところの意味、これが今後我が国農政に占める、その方向性を指し示すという意味で非常に重要な意味を持っている。これはひとしく農業関係者の方々生産者方々もまさにかたずをのんで見守っておられるわけでございます。そういう意味で、答申が取りまとめられる前に十分に議論をしなければならない。ここでの議論というものが大いに参考にされ、また反映をしていただかなければならないという意味で、私は本委員会が審議会の答申が取りまとめられる前に開かれているのだというふうに理解をいたしておるわけでございます。  そこで、従来、米価決定についてはいろいろな議論がありました。しかし、今回の米価決定というのは、従来の米価決定ということとその持つ意味が大きく違っている、そういう意味では、米価現行維持だとか、あるいは下げるべきであるとか、あるいは上げるべきであるとか、そういうことは一回白紙に戻してでも、なおかつ今回の米価がどうなければならないのかということを議論しなければならない。  私は、今回の米価決定については、まず新食糧法を円滑に実行しなければならない、そして一方で、先ほど次官からもお話ありましたけれども、生産調整そしてつくる自由、これとの関係をどううまく整合性を持たせていくか、生産者方々には、つくる自由ということも我々は考えなければいけないけれども、一方生産調整にも積極的に参加をしてもらわなければならない、その実効性を担保していかなければならない。そしてまた一方で、農家経済事情というのを参酌し、これは各団体方々もまた今までの議論もここのところは同じですけれども、再生産確保しなければならない。そういう視点から考えれば、私は、今までの立場は、米価を上げろということには、なかなかそれは世界の情勢の中から考えてもそんなに簡単なものではないなというふうには思っておりますけれども、今回の米価決定に関して言えば、私は米価は個人で言えば現行価格以上に引き上げるべきだ、こういうふうに思っているわけでございます。  そこで、我が党も、新進党もこの点について議論をいたしまして、この委員会でそういうことを決議に盛り込むべきではないか、こういう議論も実は出たわけでございます。そのときに、その我が農政関係の会合の中で、例えばこういうふうに盛り込んだらどうだろう、今回米価審議会の答申が出る前に我が農水委員会の決議として採択したらどうだろうかという意見がこういうふうに出たということでありますので、私の方からもこれを御紹介させていただきたいと思うわけでございます。  その決議に盛り込むべき内容として我が党が考えていたということでございますが、平成年産米政府買い入れ価格については、新食糧法の円滑な実施のために、需給動向等を反映させつつ、備蓄に必要な政府米確保生産調整の実効確保にも配慮し、少なくとも現行価格とすべき、こういうふうな決議をすべきである、すべきであった、こういう議論が出たわけでございます。我が党は少なくともそう考えたわけでありますが、大臣、この点とういうふうにお考えになりますか。
  45. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 多分、先ほど来新しい法律のもとにおける政府買い入れ米価の算定方式につきましては御論議がなされたことと思いますが、重ねて言うのもどうかと思いますが、新しい法律では、自主流通米価格動向を反映させるとか、あるいは生産コスト等の生産条件を勘案するとか、あるいは再生産確保というものを考えなければいかぬ、こういう趣旨になっております。  私は、ことしの米価を決めるに当たりましては、生産者皆さんは、食管法から新しい食糧法に変わって、やはり何らか希望を持って臨んでおられると思いますから、そういうことにこたえるためにも、旧法と新法の間に格差があってはならない、ソフトランディングをさせる、そういう配慮が十分なされなければならない、そして生産者生産意欲を減退させるようなことであってはならない、こういう観点から私自身は考えておりまして、きょうの両院のこの農水委員会の貴重な御意見とか各党の御意見、あるいは米価審議会での十分な論議のもとで、これを適切な価格で決めてまいりたい、こう思っております。  今委員がお話しされた決議に関する問題につきましては、これは農水委員会決定する問題であろうかと思われますので、私からの発言は差し控えさせていただきたいと思っております。
  46. 倉田栄喜

    ○倉田委員 我が党としてそういう決議をすべきであったと考えていた、その点について、今大臣、各方面の意見も聞きながらというふうにお答えになりましたが、本委員会米価審議会の答申が取りまとめられる前に開かれている、そういうことの意味合いも考えながら、その点についてどう思うのか、こうお尋ねをしているわけでございます。
  47. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 重ねての御指摘でありますので、平成年産米政府買い入れ価格につきましては、現在その決定に向けて、与野党における議論もいただきながら関係方面と調整を進めているところであります。委員指摘のような御意見があることも十分承知しております。  いずれにしましても、具体的な算定方式及び米価水準につきましては、本日委員から御発言あったことも念頭に置きながら、今後各方面の御意見、御議論を踏まえながら八日の米価審議会に諮り、新食糧法の規定に従って適正に決定していきたいと考えております。
  48. 倉田栄喜

    ○倉田委員 今大臣に御答弁いただきましたけれども、この農林水産委員会に出席をしておられる委員の皆様方はひとしく同じ思いなのではないか、こういうふうに私は思うわけでございますね。  ぜひ、今大臣御発言いただいたように、私は個人的に言えば、まさに現行価格以上にやるべきである、我が党で議論あったように、少なくとも現行価格は維持すべきであるという決議をすべきであった、十分に御配慮をしていただきたい、こういうふうに思っで、少し具体的に、今生産者方々が御心配になっている点を詰めたいと思うわけでございます。  まず第一点に、ミニマムアクセス外国産米が入ってまいります。いわゆる国内に流れる米の流通量というのは、少なくともミニマムアクセスの分はふえてくる。そして、従来政府の見解は、このふえた分は生産調整には関係しない、こういうふうに御答弁をいただいているわけでありますけれども、その話の中身を具体的に詰めていかないと、それではミニマムアクセス分として入ってきた分は一体どうなるのだ、生産調整に果たして影響しないのかどうか、この点、先ほども少し議論ありましたけれども、もう少し具体的に、わかる形でお答えをいただきたいと思います。
  49. 阿部修

    阿部政府委員 ミニマムアクセス米の処理についでお尋ねでございますが、このミニマムアクセス米の輸入につきましては、その導入に伴いましで生産調整を強化するということのないようとの閣議了解を前提にいたしまして、加工用とか一部主食用とか、それから一部を備蓄用に充てるというようなことを考えておるところでございます。  具体的に申し上げますと、この八米穀年度におきまして、ミニマムアクセス輸入に伴う供給の増加分でございますが、それは国産米の需給に極力影響を与えないような観点に立ちまして、国産米では対応がなかなか難しいというような加工用向け、それからレストランとかそういったいわゆる外食用、業務用でございますけれども、そういった用で使われております低価格需要に対して供給するというようなこととあわせまして、その一部、十万トンぐらいを予定しておるわけでございますが、それを備蓄に充当するというふうに考えております。  また、これらのほか、必要に応じまして加工用途の新しい需要の拡大というようなことにも力を注いでまいりたいと思っておりますし、また、一定期間備蓄を行われた後のお米につきましても、援助用等に活用できないかというようなことで検討してまいりたいというふうに考えております。
  50. 倉田栄喜

    ○倉田委員 援助米等々のお話も先ほどの御議論にもあったとおりでございますけれども、やはり実際問題として、ミニマムアクセスが入ってくる、この分とうなるのだと心配をされておられるわけですから、今御答弁にあったような話の内容をしっかり詰めて、きちっとやっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、これもやはりミニマムアクセス関係をいたしますけれども、新食糧法のもとで、売る自由と同時につくる自由というのも言われました。しかし、一方で生産調整の必要性も確かにある。このミニマムアクセスという状況がある中で、生産調整の方法、そしてつくる自由、これを当局は一体どんなふうに調整、整理しようとされておられるのか、まずこの点について基本的なお考えをお伺いしておきたいと思います。
  51. 日出英輔

    ○日出政府委員 先生御案内のとおり、新食糧法のもとでは、生産調整需給調整の手段ということを明定しているわけでございますが、一方で、先生もお話しのように、新食糧法をつくる過程で極力関係者の自主性尊重ということもうたわれましたので、そういう意味でいいますれば、きちんとした需給調整をやるということと、もう一つは、生産者自主性尊重あるいは地域の自主性尊重、両方を成立させていくということでございます。  そういう意味で私どもが考えましたのが今回の新しい生産調整対策でございますが、例えば市町村段階で個別の生産者ごとの面積を決めますときに、事前に市町村が方針を示しながら生産者希望を聞いて、そういう上で個々の生産者ごと数字を決めていく、特にその過程で、さらに共補償とか地域間調整をきちんと行っていくということを先般の対策大綱骨子に述べでおります。  こういったことを明確にしましたのは、実は生産調整を二十五年やっておりますが、初めででございます。さらに、生産調整が未達成の場合に翌年度への上乗せ措置、これは五十三年からやっております。あるいは補助事業の不採択措置、これは六十二年からやっておりますが、この二つの措置は、非常にいわば強制的なニュアンスがあるということでございますので廃止をする、こういった形で、極力生産者なり地域の自主性を尊重していくということを貫きたいと思っている次第でございます。
  52. 倉田栄喜

    ○倉田委員 お答えは理解できなくもないわけですが、やはり聞いて、すっと頭の中にはなかなか入りづらいな、こういうふうに思うわけですね。  生産者自主性を尊重する、つくる自由というのは一体どうなったのか。基本的には生産者自主性をどう担保するのかということなんだろうと思うのです。積極的に生産調整に参加してもらえばそれでいいのかもしれない。そこに先ほど私が冒頭申し上げました今回の米価決定の意味合いというのも大きく関係をしてくるのではないのか。少なくとも現行水準は維持しなければいけない、個人的に言えば現行価格以上でなければならないというところは、私はそういうところにも意味を持っているんだろう、こういうふうに思うわけです。  次に、米価決定に絡んで申し上げさせていただきますと、外国産米、ミニマムアクセス、この米の量というのは米価決定に本当に関与しない形で考えられるのかどうか、そこも私は、いろいろ御説明は聞きましたけれども、本当にそうかな、こう思うわけでございますが、この点についてはどうお考えですか。
  53. 阿部修

    阿部政府委員 外国産米の輸入と政府買い入れ米価関係でございますが、ミニマムアクセスのお米の処理の仕方につきましては先ほど申しましたようなことを考えておりまして、極力国内の需給に影響を与えないように処理していこうというような方針でございます。  一方、政府買い入れ価格買い入れ米価でございますが、これは新食糧法五十九条というようなところでうたわれておりますように、自主流通米価格動向を反映させるほか、生産コストを参酌いたしまして米穀の再生産確保するというようなことを旨として決定していくというふうにしておりまして、外国産米の輸入とストレートに影響があるということではないというふうに考えておる次第でございます。
  54. 倉田栄喜

    ○倉田委員 ストレートに影響するわけではないというふうなお話ですと、やはり影響するんだな、こういうふうに皆さん思われるわけですね。そういう懸念みたいなことは農家方々に、生産者方々に、こうなんだから大丈夫なんですよということをきちっと政府は示さなければならない、そう思うのです。私が申し上げていることは御理解いただけると思うわけでございますが、しっかりやっていただきたい。  そこで、いわゆる生産者方々の汗を流した努力、汗を流して規模を拡大をする、経営の合理化を図りながら、そして経営メリットを図りながら生産性、収入を上げる、こういう生産者努力というのが、ここは従来の議論と同じなのかなと私は思うわけですけれども、頑張れば値段が下がる、こんなのはおかしいのではないのかという議論があったわけです。  私は、従来は、いわゆる物価というものがどんどん上がっていく状況の中で、現行価格水準を例えば昭和五十年代から維持維持という形で来たとしても、実際は物価が上がっていく中ではそれは下がっていくという要素を果たしでいたのだろうと思うわけでありますけれども、これからいわゆる価格破壊と言われるような状況の中で物価は上がらない、それでも米価というものをそのままにしておくということになるとすれば、私は、いわゆる生産者方々が汗をかかれた努力、規模の拡大のメリット、経営メリット、そういうものが結局実感として生かされないのではないのか、農家方々は決して納得しないのではないのか、こういうふうに思うわけでございますが、いわゆる生産者努力、この点は今回の米価決定に関して当局はどのように反映をされるおつもりでしょうか。
  55. 阿部修

    阿部政府委員 いわゆる生産性向上の還元の話でございますが、この問題につきましてはいろいろな御意見がございまして、委員指摘のような御意見も十分我々は存じておる次第でございます。また一方では、そういった生産性向上というようなことにつきましては、それをまた消費者の方に還元していくというような議論も、考え方もあるところでございます。  いずれにいたしましても、具体的な算定なりそれによります米価水準につきましては、今後各方面の御意見なり御論議を十分踏まえながら、あさっての米審に諮りまして、新食糧法の規定に従って適正に決定してまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
  56. 倉田栄喜

    ○倉田委員 農業が、後継者難等々いわゆる離農というものが進む中で、それは一方でプラスに考える御意見もあるかもしれませんが、実際生産者方々がもう農業いいやみたいな形になっては困るということはみんなひとしく同じ意見なんだろうと思うのですね。そうだとすれば、やはりこの生産者努力というのはきちんと反映をされなければならない。そうでなければなかなか農業後継者は育たない。経営メリットがあって初めて、おれもやってみるか、頑張ろうというふうになるんだと思いますので、その辺は、今お答えになったようないわば政府答弁に尽くされるような形ではなくて、私が申し上げているその意味というものを十分に御理解いただいて、そして米価決定に当たっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、もう時間がなくなりましたけれども、いわゆる従来の政府買い入れ価格決定は、従来の言葉で言えば価格下支え機能というのか、こういう機能を有していた、こういうふうに言われているわけでございますけれども、この新食糧法における政府買い入れ価格、これは今後の米価あるいは市場価格との関与をする中で、生産者にとって一体どういう意味を持つのか、あるいはどういう意味を持たせていくべきなのか、この点についてはどうお考えでしょうか。
  57. 阿部修

    阿部政府委員 政府買い入れ米価の下支え機能の考え方でございますが、従来の食管制度のもとにおきましては、この政府買い入れ米価というのは政府の全量買い入れも可能というような意味があったわけでございまして、そういった意味におきましていわゆる下支え機能というのを有しておったというふうに考えるわけでございます。  新制度におきましては、この政府米備蓄運営というような特定の政策目的のために買い入れるというようなことになりますし、無制限買い入れということではございませんで、量的にも限定されるというようなことになっておるわけでございます。  そういった中で米価の安定をどういうふうに図っていくかというようなことでございますけれども、これにつきましては、政府米自主流通米を通じましたいわば総合的観点と申しましょうか、そういった観点から米価の安定を図っていく必要があるのではないかというふうに思っておりまして、そういった自主流通米政府米を通じまして全体として米価の安定を図っていくために生産調整なり備蓄調整保管をきちんと適切にやっていくというようなことで、需要供給の調整をきちんと図っていくというようなことが価格の安定の基本ではないかというふうに考えて、それが一番重要ではないかというふうに思っておる次第でございます。
  58. 倉田栄喜

    ○倉田委員 お答えは、米価の安定という意味で大切なのであるというふうなお答えですけれども、私がお聞きしたのは、生産者方々にとって政府買い入れ価格というのはどういう意味を持つんだろうか、こういう視点からお聞きをしたわけです。その意味で必ずしも十分にお答えをいただけたと私は思いませんけれども、これは私も質問をさせていただきながら、非常に難しい問題であるということは承知をいたしております。  そこで大臣、もう時間が参りましたので、最後に大臣にぜひお伺いをしておきたいと思いますが、これは個人的な意見でございます。要するに、生産者方々が地域、集落の中できちっと農業をやっていただく、それは今農外所得が八割とか九割とかなる中で、全体の農家経営を含めても農業所得というのは一割とか二割とか、そういうことを考えれば、農業の問題も含めながらいわゆる農家所得というものをどうきちっと担保をしていくのかということが、米価価格決定に関してその奥を行けばそういうところまで行ってしまうのだろう、こういうふうに思うわけであります。そうだとすれば、これから先ずっと今みたいな米価決定のあり方でいいのかどうか、農家の所得をどう考えていくのかという視点からもう一度十分検討し直さなければいけないのではないのか、こういうふうに考えております。そういうことも含めていわゆる新食糧法という、「新」という字もついているのだろうと思いますし、巷間、いわゆる農業過保護論と言われる無理解にもきちっと反論しなければならない。  個人的な意見でありますけれども、私は、従来言われている農家あるいは農業というものに対する助成金、何か保護をしてあげる、そういうことではなくて、一方で農家が果たしている治山治水、環境保全、そういう役割はみんながひとしく議論をしているわけでございますから、その部分をきちっと予算化したらどうなのだろう。中身で言えば、農家方々、林業の方々も含めて、それはいわば環境管理者であるという位置づけができるわけなのだろうと思うのです。そうだとすれば、いわゆる助成金、補助金ではなくて、環境管理者に対してそれなりの対価をコストとして支払う、そういうことで将来的には農家の所得というものを考えていかなければならない時代にもう来ているのではないのかな、こういうふうに思っているわけでございますけれども、大臣はこれからのいわゆる新食糧法のもとにおける新農政、「新」という意味について何が最も大切なのか、どういうふうに進めていこうとされておられるのか、その所信を、私の意見も踏まえながら、大臣が思われるところがあったらぜひ最後にお聞きをしておきたいと思います。
  59. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 委員が今前段で御指摘ありました問題につきましては、私どもの方にもいろんな御意見が出てまいっております。  例えば、農地に限らず、私の県にも白神山地という世界遺産がありますが、あそこには四割の民有林がありまして、これは立入禁止になっているわけですから全く利用できません。しかし、地球的な規模でああいうものを保存しようということでありますから、それならばそういう民有林の所有者に対して何らかの補償が必要じゃないか、こういう御意見もあります。  農業についても、EU型の所得補償もありますし、農政審議会でも実は日本型の所得補償制度についても論議された経緯があります。これにつきましては当時は否定的な結論になったわけでありますが、私どもはこういう問題はこれからも重ねてひとつ持続的に検討していきたいな、こう思っております。  また、補償がだめならば、例えば白神山地のような問題につきましても、あるいは農地の多目的な機能に着目して、環境保全に寄与するような面に着目しながら、地方交付税で面倒を見たらどうかという御提言もあります。そういういろいろな御提言をいただいておりますから、今の委員の御指摘とあわせてひとつ十分検討してまいりたい、こう思っております。
  60. 倉田栄喜

    ○倉田委員 時間が参りましたので終わりますけれども、大臣、今回の米価決定は特に重要である、このことを特に申し上げまして、私の質問は終わりたいと思います。
  61. 日野市朗

    日野委員長 次に、遠藤登君。
  62. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 いよいよ米価決定の時期を迎えたわけであります。まず前提に、現行政府米価というのは、御案内のとおり、これは昭和五十二年、十七年前の米価である。したがいまして、十七年前を一〇〇として、消費者物価指数は、ちなみに計算してみますと、一四九・八%に消費者物価が上昇している、それから実質的な労働賃金でありますが、これが一二・六%に上昇している、それから農業生産資材の指数関係ですが、一一四・四%に上昇している、それから、今までの米価決定において最も引き下げ要因とされてきた農業の労働生産性向上の指数が一四三・一%に上昇してきている、こういう状況であります。したがって、これは米価の内外価格差ということがもちろんあるわけでありますけれども、米価がなぜ十七年前の米価でなければならないのかということについて大きな疑問を持っているものであります。  それで、一つは自主流通米価格低落傾向にあるわけでありますが、これに歯どめをかけるという措置が必要なのではないだろうか。これは米が過剰基調にあるということがあって、過般の入札でも非常に低落傾向を示している、あるいは銘柄によってはもう落札されないという状況も生み出しているということがあるわけでありますけれども、これについて端的に言えば、余り時間もないようでありますから、アメリカの不足払い制度なども検討に値するのではないだろうか。もう一つは、新法による農業生産条件ということがあるわけでありますが、最低の生産費を保障するというような仕組みも考える必要があるのではないだろうかというふうに思うのでありますけれども、当局の考え方をお聞かせいただきたい。
  63. 阿部修

    阿部政府委員 自主流通米価格の低落防止というような件でございますが、新しい食糧法におきましては自主流通米がお米の流通基本となるわけでございます。しかも、この価格の水準というのは需給事情とかそういった面で変動するということになるわけでございますが、この変動が大きいというようなことになりますと、稲作農家はもちろんのこと、消費者家計にも影響を及ぼすというようなことが大変懸念されるわけでございま女。したがって、この自主流通米価格の安定というのが非常に大切な課題になるわけでございます。  私ども、大ざっぱに言って三つの手法をこの新しい制度の中には考えておるわけでございまして、全体の需給バランス確保するための生産調整をきちんとやっていく、それから、それでも豊凶変動が生じた場合もありますもので、そういった場合に備えまして備蓄なり調整保管をきちんと運用していく、それから三点目は、計画流通制と申しまして、お米の需要供給の計画をつくりまして、関係者がその計画のもとで、それに沿っで安定流通を図っていくというようなことをこの新しい制度の上では位置づけておりまして、こういった制度をきちんと運営することによりまして米全体の価格の安定を図ってまいりたいというふうに考えておりますので、不足払いを導入する必要はないというふうに考えておる次第でございます。
  64. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 新法がスタートするに当たりまして、運用上においていろいろな課題が新たに見出されるという状況もありますので、先ほど申し上げたような課題について十分御検討いただきたいというふうに思います。  次に、この新たな政府米価の算定方式のありようについて、一つは、何といっても政府米が特定目的を達成するために集荷が確実に確保される米価でなければならないのではないだろうかというふうに思います。したがって、基準値のとり方についてこれは非常に重大な意味を持つということになるわけでありますが、それらに対する考え方。  それから、生産調整の実効を確保できるような米価でなければならないということもあるわけであります。もちろん需給事情、自主流通米価格を反映させる、あるいは生産コストの変動等も反映をさせる、それは基本的に安定的な数値でなければならない、こういうふうに思っているわけであります。また、そのそれぞれの算定要素のウエートのとり方についても、十分な、安定的な水準を確保するために配慮されるべきであるというふうに思います。これらに対する考え方。  それから、来年の米価決定するということでありますから、来年の天候あるいは豊凶の事情というのはなかなかはかり知れないという状況があるわけであります。したがって、場合によって大変な凶作に見舞われるという状況もあり得るわけであります。したがって、特定目的である政府米の集荷が大変な厳しい状況になるということもあり得るわけであります。その場合に、集荷可能な米価水準とするために見直すという制度も私は必要なのではないかというふうに思いますが、これらに対する当局のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  65. 阿部修

    阿部政府委員 今先生の方から広範な点につきまして御指摘をいただいたわけでございますけれども、具体的な米価の算定要素と申しましょうか、そこのとり方、そういったものにつきましては、あさっての米価審議会が控えておるわけでございまして、今後各方面の御意見なり御論議を踏まえながら米価審議会に諮りまして、新食糧法の規定に沿って適正に算定方式を採用し、米価決定してまいりたいというふうに思っております。  それから、最後に先生指摘になりました、大変な不作になった場合そういった見直しをするのかというような御質問がございました。新しい法律におきましても、これまでの制度と同様に、第五十九条でございますが、物価その他の経済事情に著しい変動が生じるというような場合など、特に必要があると認めるときには、制度上、政府買い入れ価格を改定することができるというふうな条文が入っておりまして、大変な事態になったというようなことになりましたら、必要に応じましてその改定について検討を行うことになるというふうに存じ上げております。
  66. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 これらのことについても、異常気象の激しい変動時期にあるわけでありますから、十分な再検討の余地を残す必要があるのではないか。  次に、時間がありませんので、生産性の還元問題でありますが、これは長い間要求と議論対象になってきたわけであります。先ほどもちょっと申し上げたのですが、十七年前との比較で、特に労働生産性向上部分については、四三・一%これは上昇している。これが全部米価の引き下げ要因とされてきた。それはいかがなものか。  それから、近年、収量部分においても、単収においても年々増加してきている。これは約一キロぐらいずつ増収を来している。これも農家あるいは技術者を含めて大変な努力の成果だと思いますが、これは基本的に生産者に還元をするということが、明確にその努力に報いる必要があるのではないかというふうにも思います。  時間がありませんから、あわせて、今回の新法による米価決定に当たって、これは新法にスムーズに、円滑に移行するということもあるし、新法下における需給調整、生産調整も今推進過程にあるわけでありますが、意欲ある農業の展望を切り開くために、この米価決定に当たっての大臣のお考えなどもあわせてお聞かせをいただきながら質問を終わりたいと思います。
  67. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 新しい米価をどう決めるかにつきましては、再々ここで論議されたことでありますから説明を省略させていただきますが、私は、先ほども申し上げておりますように、生産者生産意欲を失わないような価格にしたい。これは委員の御質問によれば、生産者が安心して営農に取り組めるような価格にしろということでありますが、同じ意味であろうかと思っで、そういう方向で今関係方面と慎重に相談しながら調整をしているところでございます。  また、生産性向上の成果をもっと生産者に還元すべきだという御意見でございますが、これはストレートに生産者に還元するということは大変問題がありまして、一方では有力な意見として、むしろ消費者に還元すべきだという御意見もあるわけでありますから、そういうことも考えながら、農林省としては、生産性向上をストレートに価格に反映するのじゃなくて、生産コストの変動率について一定のウエートを乗じる方式で価格に配慮するということをやっておりまして、これは間接的には生産者に還元することになると思いますので、そういう方式でやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  68. 遠藤登

    ○遠藤(登)委員 終わります。
  69. 日野市朗

    日野委員長 次に、小平忠正君。
  70. 小平忠正

    ○小平委員 時間が余りありませんので、大臣、限られた時間で私から幾つか質問させていただきます。  御承知のように、ウルグアイ・ラウンド、長い間かけまして交渉があり、部分自由化という形で決着を見ました。そのときに時の政府は、農業に支障ないように万全の対策を講じる、こういうことを国民の皆さんにお約束をして、それで御理解をしていただいたという、あのことを私今思い起こしておりますが、それは同じ思いであると思います。  その後、これを受けましてWTO、これを我が国として承認するかどうか、昨年秋、特別委員会をもってこの審議をいたしました。これも我が国が国際社会で生き延びていくためにはやむを得ないことだろう、そういう観点から苦渋の選択でそれを承認した。そのとき、あわせて、今いろいろと議論のあります新食糧法、これについても同時に審議がありました。それを同時進行の形で、WTOはことしの春、また新食糧法は十一月一日、時間差はありましたけれども、昨年秋の特別委員会でこのことの審議をした。  そういう中で、これは生産者、農民に向かっても、ではどういうことを具体的に措置をするんだ、こういう中で六兆百億円という予算措置がとられたわけですね。確かにういう予算措置をしたことについては評価はしなければならぬと思います。しかし、これについては御承知のように構造改善等々基盤整備を初めとすることでございまして、ですから、生産者にとっては直接懐に感じるものではないわけですよね。農業を取り巻く環境、その状況を前進させることについては確かに効果はありますけれども、直接生産者の懐に響くものではない、そういうことであると思います。  そういう中で、今回この新食糧法の施行を踏まえて、まず生産調整、このことを先月やりました。これは昨年のああいう豊作を前にして、それを理由にして減反強化がなされ、これについては十万七千ヘクタールの減反強化。はっきり申し上げて、生産者にはひとしく不満があるところであります。しかし、この生産をきちんと調整するという観点からこれも受け入れざるを得ない、そういうことで決着をいたしましたね。同時に、この生産調整に伴う助成金、いろいろと今も議論のありました共補償を含めてこれも決着を見た。それでいよいよ今回、政府買い入れ価格決定を前にいたしております。これがきちんとできて初めで今回のこの新しい、言うならば農業元年に当たって、これからの農業経営に向かって、最後の大きな一つの節目を待っているわけであります。  そういうところで、六月以降ですか、米審においていろいろと検討がされてまいりました。そこで今、新算定方式とやらいうものが意見が出ております。これについても今、米審会場でいろいろとやっているところであると思います。あさってにはこれが決定されますけれども、そこでいろいろな議論があります。  しかし、私は、今るる申し上げましたが、大事なことは、今回のこの政府買い入れ価格を、言うならば大きく今変わる中において政府価格を少なくとも現行維持をする、このことがあっで初めて生産者は、政府は約束どおりそれを守っていく、そういうふうに受け取ると思います。したがって、ここは新算定方式で自主流通米価格動向であるとかあるいは生産コスト、生産条件、このしんしゃくのあり方等々言われますが、そういうことを今数値どおりに入れていきますと、この新算定方式の結果を私なりに考えても、この形では米価が下がるというおそれを非常に抱いております。  そういうことがあるがゆえに、私が今るる申し上げた意味から、今回の政府買い入れ価格決定というのは非常に大きな意味を持っている、したがって現行ラインは必ず維持する、こんなことを強く願いながら、大臣にそのお考えを私からもお聞きしたい。そういうことで、まずお答えをお願いいたします。
  71. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 もう委員十分御承知のとおりでありますから、算定方式のあり方について申し上げることは差し控えたいと思いますが、委員を初め、先ほど各委員から同趣旨の発言がございました。我々としては、その発言の趣旨を十分生かせるようにこれから最大限の努力をしていきたい、こう思っております。
  72. 小平忠正

    ○小平委員 時間が余りないので、今の御答弁では私は不満ですけれども、この後参議院に行かれる予定があるようなので次に移りますが、もう一点だけ。  昨年の新食糧法のときに、第八十二条の二項という条項がございますね。言うならば、この法律の中で、米の不足時には政府生産者に対して強制出荷を命令できるわけですよね。こういう条項ができました。これは一昨年のああいう大凶作を大きな教訓として、消費者にパニックの起きないように国民にお米を安定供給する、そういう観点からこの条項が急速盛り込まれたのではないかと思います。しかし、私は、新食糧法が言うならば国内の流通自由化に向かっていく、そういう精神ならばこれはまさしく政府管理の最たるものであって、いかがなものかなという気がいたしますが、一昨年のあれだけの大凶作を思い起こして、そのことが再来した場合に大変なことだということでこういう条項になったことは、これは一つの考えではないかと思います。  しかし、そこで大事なことは、一方でそういうことをしておきながら、それでは生産者に向かって、米の余剰時にはどうするんだ、どういう手当てをするんだ、そのことがこの新食糧法には一切設けられておりません。これはまさしく不公平であって、風通しが悪いと思います。そういうことをいろいろと政府に向かってお聞きしますと、それは備蓄なり調整保管の方でケアするから、処置をするから何とかなるんだ、そういう答えが返っできます。  ならば、私が今申し上げたいことは、これから新食糧法関連予算要求において農水省としても、この調整保管、これらに向かって国が十分なる助成をしていく、そういう予算要求をこれまた強く財政当局に向かってもやっていってもらいたい、そんなことを強く要求しながら、何か時間なものですから答弁は簡潔で結構です、そういう決意のほどをお聞きして質問を終わりたいと思います。
  73. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 先ほど来話が出ておりますように、生産者に血のにじむような苦労をかけて生産調整をやるわけですから、これを適切に運営すること、それから御指摘のように備蓄調整保管、そしてまた計画流通制度に対する助成は二十五日までにこれをきちっと決めるようにいたしたい、最大限の努力をしたいということを申し上げておきたいと思います。
  74. 小平忠正

    ○小平委員 終わります。
  75. 日野市朗

    日野委員長 次に、藤田スミ君。
  76. 藤田スミ

    ○藤田委員 昨日も大臣に対して我が党議員団として申し入れを行ったところですが、農業の現場では、新食糧法施行わずか一カ月で不安と幻滅の空気があふれているわけであります。自主流通米は、価格形成センター入札結果が一部の銘柄を除いて値幅制限いっぱいの全面安となり、スーパーなどは米を客集めのための戦略商品として扱って、原価を大きく割って安売りを行い、それがまた自主流通米価格の値下がりの要因になるといった悪循環も生まれてきているところであります。次回の入札では値幅制限の緩和を行うという話も出され、現行価格からもう一〇%の値下げも必至と言われています。  前回の質問でも取り上げましたが、下支え機能がない新食糧法の欠陥を正さないことには、日本の稲作農業が深刻な打撃を受け続けることは必至であります。そして、今回の米価決定では、何といっても政府米価格を最低でも二万円以上に引き上げ、買い上げ数量を三百万トンまでふやすことが求められていると思います。  これらの点につきまして、私は、まず大臣の真剣な御所見をお伺いしたいと思います。
  77. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 私は、どの委員に対しても真剣に考え方を述べでいるつもりでありますので、藤田委員にだけ真剣に答えでいるわけではありませんので、その点は誤解のないようにお願いしたいと思いますが、御指摘のとおり真剣にお答えしたいと思います。  まず、下支えとか二万円とかということにつきましては、私は今ここで申し上げるわけにはいきません。法律にきちっと、買い入れ米価につきましては、自主流通米価格を反映させなさいと書いてあるし、生産コスト等の生産条件考えなさいと書いてあるし、再生産ができるようにしなさいと書いてあるわけですから、そういう趣旨に基づいて、米価審議会その他関係方面と意見調整しながら決めるわけでありまして、先ほど申したとおり、二万円にするとかということはきょうは申し上げるわけにはいきませんが、私は先ほどからここにおいて、生産者生産意欲を失わないように、あるいは安心して営農できるような価格を実現するように最大限の努力をしたい、こういうふうに申し上げてきたつもりでございます。
  78. 藤田スミ

    ○藤田委員 私たちが二万円と言っているのは、生産費を割らないようにしたいとか、あるいは今大臣がおっしゃったように農民の意欲を失わないようにしていこうとか言うならば、最低限この価格でなければならないという点で具体的な数字を申し上げているわけであります。くどく申しませんが、それは政府自身が計算をした生産費でも示されているところでありますし、また認定農家の算定の基準の中にも出ている数字であります。  私は、下支え機能の問題は、日本の稲作農業を守り、発展させる点で極めて重要な問題だというふうに考えています。これがなければ、価格を保つためだと絶え間ない減反が進められ、生産基盤がどんどん縮小していくではないですか。  大臣、一九八〇年から九三年の十三年間で日本の耕地面積は三士二万七千ヘクタール、実に秋田県と新潟県、両県の耕地面積に相当するものが減少しているわけであります。減少しているのです。食糧自給率を引き上げるためには、それに歯どめをかけていかなければなりません。耕地面積を拡大する方向に転じていかなければなりません。ところが逆に、米価を保つために減反を拡大し、耕地を減少させていく、こんな政策をとって、それで一体食糧自給率を引き上げられると考えていらっしゃいますか、日本の米を守れると考えていらっしゃるのですか。大臣、はっきりお答えください。
  79. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 先ほどちょっと言い落としましたが、三百万トンの備蓄の話がありましたが、これは、これまで真剣な検討を行った結果、関係者の合意を得て百五十万トン備蓄する、米のできぐあいによってはさらに五十万トン上乗せする措置を講ずる、こういうようなことにしてありますので、それでやっていきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。  食糧の議論をする場合に、平成五年のような異常なときは例外といたしまして、米が不足する事態はないと思います。食糧と言う場合、飼料穀物を含めての穀物不足だろうと思うのでありますが、それは二二%という大変異例の、先進国では最低の低さでありますから、これに歯どめをかけていかなければいかぬ。しかし、日本が全部の輸入している食糧を自給しようと思えば、千二百万ヘクタールの農地が必要です。今の五百二万ヘクタールで千二百万ヘクタールの農地ということを考えますと、これはとても不可能でありますから、減っていく穀物に歯どめをかけるということのほかに、やはり計画的な輸入と備蓄が必要である、こういうふうに考えております。
  80. 藤田スミ

    ○藤田委員 大臣の今の御答弁は、今の時点ではそういう言い方で通用するかもしれません。しかし、食糧危機が着々と目の前で進行しているときに、日本農業基盤が破壊されてしまってからではもう手おくれになってしまう。そういう点では、本当に考えなければならない問題だというふうに私は思うわけです。  次の問題に移りますが、新食糧法施行一カ月で農業者にもう一つの怨嗟の声が出ているのが、減反面積を十万七千ヘクタールも拡大して農民に押しつけようとしていることであります。  まず、その十万ヘクタールについてですが、来年は約五十万トンのミニマムアクセス米を輸入する一方、その面積に相当する減反を押しつけるという点では、ミニマムアクセス米の取り扱いは国内需給に影響を与えないという附帯決議にまさしく反するものであります。もちろん、あなた方はそれを言い抜けるために、来年は二百二十五万トンになる繰り越し在庫を百五十万トンの適正規模にするために十万ヘクタールの減反が必要だ、そういうふうにおっしゃっておられるわけです。しかし、大臣がいみじくも、平成五年のあの凶作はまさに異常なんだ、米不足はそんなに起こるものではない、こういうふうにおっしゃいましたけれども、私はそうじゃないと思う。そして、一昨年の冷害は作況指数七四で、実に二百六十五万トンの米を緊急輸入したわけであります。果たしてこれからそうした米の確保ができるかということを考えても、決して二百二十五万トンの繰り越し在庫が減反を拡大しなければならない数量でないことは明らかであります。いかがでしょうか。
  81. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 十万ヘクタール強の減反をしたのは、結局生産者を保護するためだ、私はこう思っております。幾ら新しい食糧法生産者自主性によって運営されるといっても、みんなが腹いっぱい米をつくると、これは米が余ります。  この間農林省は、原宿でふるさとプラザというのをつくりました。大変お客が来て繁盛しておりますが、ここでは、ある県の米は五万円近くで売っております。ある県の米は二万円をずっと割っております。こうして見ますと、これは相当な格差があるということは事実であります。そしてまた、生産者生産調整をやらないで全部が自由に米をつくったら米があふれでしまうわけで、新しい法律の趣旨によって自主流通米市場原理入札で決まるわけですから、その価格動向を反映させるということになれば、困るのは結局は生産者である、そこに返っできますから、私どもは、今在庫が既に百六十万トンある、将来は、来年の今ごろになりますとこれが二百十五万トンぐらいになるということを考えますと、これは適切な生産調整をやらなければ結局生産者が困るということに返っできますから、よくよく考えてああいう生産調整面積を決めさせてもらった、こういうことであります。  また、ミニマムアクセスによって来る米については、閣議でも転作等に悪影響を及ぼさないようにするということを了解していただいておりますから、これはきちっと守って、少なくともミニマムアクセス米を考慮に入れて生産調整、転作面積を決めるということは絶対にやらない、こういうことで、できるだけ新しい加工用途等も考えながらそういうものに計画的に振り向けていきたい、こう考えておるわけです。
  82. 藤田スミ

    ○藤田委員 そのミニマムアクセスの取り扱いの問題は、先ほどの答弁を問いでいても実に詭弁であるということだけ一言申し上げます。  それから、米は腹いっぱいつくればあふれるんだ、そういう議論が今果たして通用するのかどうかということも私はこの委員会では何度も討議、討論されてきたというふうに思うのです。現実は、そんな迷惑千万と言わんばかりの、そんなことじゃありません。そして、需給バランス価格の安定を図る、そんなことを言いますが、実際には価格保証なき減反、こういうことにつながっていくわけであります。要は、自主流通米価格に下支え機能を持ち込めば減反を拡大しなくても済むわけなんです。  さらに問題なのは、自主性を尊重すると国会で公約しておきながら、減反達成市町村についで補助金の優先採択をするというペナルティーに基づく強制減反手法をとったことであります。こんなに簡単に国会答弁をほごにするということは、農政不信をさらに増幅させるだけではありませんか。そして、ますます農民の営農意欲を低下させることになるわけであります。大臣、どうお考えですか。私は、このような強制減反措置は撤回すべきだと考えます。いかがでしょうか。
  83. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 今彼に百五十万トンの米を備蓄するとすれば、トン当たり二万円の管理費がかかって、それだけで三百億であります。一年たって古米で処理しますと、合わせで七百億の負担を生じます。これが二百万トンを超えるということになれば、国民負担がいかがなものかということも我々は考えなければいけません。米価審議会にも学識経験者や消費者の代表もたくさん入っておるわけでありまして、そういう方を説得してこの米価審議会を乗り越えて、委員皆さんがけさほどから熱心に御提案いただいているような価格に我々も努力しで持っていかなければいかぬという苦衷も、ひとつお察しいただきたいと思っております。  今、私は、藤田委員の適切な指摘であるとは思っておりません。私どもは、未達成の場合に減反面積を上積みするという措置は完全にやめましたし、公共事業を不採択にするという措置も完全にやめました。優先させるかどうかという余地は残しておりますが、これは転作作物の栽培を含む効率的な水田営農に積極的に取り組んでいる市町村に優先的に配慮するということは、従前同様、事業の性格から当然のことと考えておりまして、これをペナルティーとはいささかも考えでおりません。
  84. 藤田スミ

    ○藤田委員 結果としてペナルティーになるのです。補助金をとるために官官接待の問題まで出ているときです。どれほど市町村が補助金をとるということに力を入れなければならないかということは、はっきりしているではありませんか。私は、これは絶対にやめるべきだ。まして、アメリカの方は来年から減反政策を中止する、こう言っているのです。農家皆さんが、米もアメリカから押しつけられ、そして減反も押しつけられるのか、こういうふうに怒るのは当然のことであります。  私は、こういうやり方は断固撤回するべきだと申し上げ、同時に、大蔵省が学校給食の補助金を切ると言っておりますが、これはもう大臣、それこそ命をかけても守っていただきたい、子供たちに日本食の伝統を継承するためにぜひ守っていただきたい。一言だけ守るとおっしゃっていただいて、私の質問を終わります。
  85. 野呂田芳成

    ○野呂田国務大臣 まことに貴重な御意見として承っておきます。
  86. 藤田スミ

    ○藤田委員 終わります。
  87. 日野市朗

    日野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五分散会