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1995-11-08 第134回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十一月八日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 中川 昭一君    理事 赤城 徳彦君 理事 斉藤斗志二君    理事 虎島 和夫君 理事 遠藤 乙彦君    理事 河村たかし君 理事 山崎  泉君    理事 小沢 鋭仁君       岸本 光造君    佐藤 剛男君       自見庄三郎君    住  博司君       野中 広務君    宮崎 茂一君       石井  一君    小坂 憲次君       佐藤 守良君    高橋 一郎君       日笠 勝之君    大出  俊君       田中 昭一君    矢島 恒夫君       佐藤謙一郎君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井上 一成君  出席政府委員         郵政大臣官房長 谷  公士君         郵政大臣官房審         議官      品川 萬里君         郵政省郵務局長 加藤豊太郎君         郵政省貯金局長 木村  強君         郵政省簡易保険         局長      天野 定功君         郵政省通信政策         局長      山口 憲美君         郵政省電気通信         局長     五十嵐三津雄君         郵政省放送行政         局長      楠田 修司君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部調         整課経済法令調         査室長     相関  透君         郵政大臣官房人         事部長     金澤  薫君         自治省行政局選         挙部選挙課長  大竹 邦実君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       鈴木 良一君         参  考  人         (日本電信電話         株式会社電報事         業本部長)   山森 隆俊君         逓信委員会調査         室長      丸山 一敏君     ――――――――――――― 委員の異動 十月三十一日  辞任          補欠選任   川崎 二郎君      田中眞紀子君   岸本 光造君      林  義郎君   矢島 恒夫君      穀田 恵二君 同日  辞任          補欠選任   田中眞紀子君      川崎 二郎君   林  義郎君      岸本 光造君   穀田 恵二君      矢島 恒夫君     ――――――――――――― 十月三十一日  NTT銚子無線局廃局反対に関する請願(岩  佐恵美紹介)(第七七号)  同(穀田恵二紹介)(第七八号)  同(佐々木陸海紹介)(第七九号)  同(志位和夫紹介)(第八〇号)  同(寺前巖紹介)(第八一号)  同(中島武敏紹介)(第八二号)  同(東中光雄紹介)(第八三号)  同(不破哲三紹介)(第八四号)  同(藤田スミ紹介)(第八五号)  同(古堅実吉紹介)(第八六号)  同(正森成二君紹介)(第八七号)  同(松本善明紹介)(第八八号)  同(矢島恒夫紹介)(第八九号)  同(山原健二郎紹介)(第九〇号)  同(吉井英勝紹介)(第九一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二十七日  情報通信基盤等整備促進に関する陳情書外一  件  (第一三三号)  郵政事業民営化反対に関する陳情書  (第  一三四号) 十一月二日  簡易保険資金口座振替に関する陳情書  (第二四  三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 中川昭一

    中川委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本電信電話株式会社電報事業本部長山森隆俊君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川昭一

    中川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 中川昭一

    中川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤剛男君。
  5. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ありがとうございます。  まず最初に、井上郵政大臣のすばらしい御実績のもとで、大いなる郵政行政の推進をよろしくお願い申し上げます。  私、きょうは当委員会におきまして、NTT問題についての公正取引委員会報告関係につきましてちょっとアプローチしていきたいと思います。  御承知のように、NTT問題につきましては百花繚乱みたいな感じでございます。私のところにも「全国電気通信労働組合」、こういうふうなパンフレットも参っております。いろいろな新聞雑誌も出ております。  そして、私がこれから申し上げますのは、いろいろな切り口があるのだろうと思うのですけれども、今後の一つ流れを決めていくものに、公正取引委員会政策研究会というのを委員長の下に現在持っておりまして、それで座長が実方謙二、北大の教授でございますが、ずっとこう審議をやってきている。何の審議をやっているかというと、NTT問題をやっている。その動機等について、本日、公正取引委員会方々がいらっしゃっておりますので、そこら辺から入ってお話を聞きたいと思うわけであります。つまり、私がこれから伺いたい問題は、法律的な側面からちょっとアプローチさせていただきたいと思うわけでございます。  それで、十月二十四日の朝日新聞、私の持っておりますのは、これは朝日新聞のコピーでございます。これによりますと、「NTT問題」ということで、「分割より規制緩和」、公正取引委員会研究会報告案、これが出ているわけですね。まだ私は内容を見ていません。しかし、この新聞情報によれば、先ほど申し上げました実方謙二北海道大学教授中心とする報告書案が取りまとめられまして、そして近々に、恐らく公正取引委員会そのものだと思いますが、「委員会にかける見通し」である、こういう内容になっているわけであります。  そして報告書案は、重要なところだけ申し上げますと、もともと、NTTというのは十年前まで独占状態だったわけでありますが、この独占状態にあるとしながらも、十年前と今と時代が違ってきているわけだから、そして、「郵政省規制でコントロールされているため、独占に伴う弊害は起きていないと分析」した。公正取引委員会という中立の機関が、独占に伴う弊害は起きていないと分析し、「分割するだけの違反は起きてないと認定した。」そして、この研究会がこれから委員会にかけようとする案だろうと思いますが、「無線の普及やCATV電話、インターネットの登場などから、NTTを長距離と地域に分離したり各地ごと会社分割するより、一体のまま残し、地域回線をオープンにしてどんな事業者接続して使えるようにした方がよい、」こういうふうな形になっておるようでございます。そしてさらに、「同時に接続をめぐってトラブルが生じることに備え」「接続ルール明確化」「交渉の監視や裁定をする公的機関の設置」何かそこまで独禁法が、公正取引委員会諮問委員会がやれる話なのかなと私は思うのですが、そこら辺の話もこれからお聞きするつもりですけれども、そういうふうなものが出ておる。  つまり、私が言いたいことは、今見ていると百花繚乱のごとくNTT分割論、それに対する分割しない方がいい、これが、新聞だあるいは雑誌だ、いろいろな評論家だ、さらには民間の何とか研究会だ、こうなっていますよね。そして、郵政省にある電気通信審議会でずっとやってきた、公正取引委員会もやってきた。それで、公正取引委員会の、今まで申し上げましたような形がいよいよかかるということになると、一つ法律問題で、分割という問題についてこういう質問をします、どこが答えられるのかあれなんですが。  アメリカにおけるAT&T分割根拠法令は何であったのか。私は反トラスト法シャーマン法条項だと思いますけれども、それに間違いないかどうか。まずそこからお答えいただきたい。
  6. 相関透

    相関説明員 お答えいたします。  いわゆるAT&T社分割訴訟は、米国司法省が、AT&T社行為シャーマン法第二条の独占行為に該当するとして、一九七四年に同社の分割を求めて提訴したものでございます。(佐藤(剛)委員「間違いないですね。シャーマン法ですね」と呼ぶ)シャーマン法第二条ということでございます。
  7. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 そうしますと、公正取引委員会にお伺いしますけれども、今、NTT問題についてわざわざ政策研究会を置いてずっとやってきたと。これはどういう動機で始めたのですか。  公正取引委員会というのは独禁法運用だから、独占禁止法分割条項というのがありますね。この研究会、どういう動機で始めて、企業分割するということを前提にして考えたのか、独占状態というNTT問題のいろいろな側面を研究して出そうとしたのか。企業分割というのは、法律ができてから公正取引委員会は発動したことはないと私は思いますけれども、そこら辺の状況。  つまり、どういう意思でこの研究会を始めて、そして、これがもう新聞に出ているのだから、これは私が言っているのではないのだから、出ているものについて、これをどういうふうに扱うのか。それから、出てきたらこれをどうするのか。出てきたら、これを郵政省に出すのか、国民全体に対して知らせるのか。何のためにこれをやったのか。法律運用するための一つの——僕はそもそもそんな研究会なんてつくらなくたって、公正取引委員会というのは、立派な委員人たち国会で承認を受けてやっている方々ですから、そういう場でもいいのではないかと思うけれども、そういうものをあらかじめ勉強されてきておるというふうなことは、こういう百花繚乱の時期において一つ権威のある方向が出ると私は思うから、それについて、今申し上げた動機、それから経緯、今後どう使うのか、そして何のための、どういう条項のためにこういう形でやっているのか、それを教えていただきたい。
  8. 相関透

    相関説明員 御説明いたします。  公正取引委員会は、情報通信分野における公正かつ自由な競争促進が重要であると考えており、昭和六十一年から情報通信分野競争政策研究会、これは先ほど先生が言われた研究会でございますけれども、これを開催し、同分野における競争政策上の問題点について、経済及び法律等学識経験者方々に理論的、実証的かつ政策的見地から検討していただき、随時報告書を取りまとめ、公表してきているということでございます。  同研究会は、本年一月から再開され、電気通信分野における現時点での競争政策上の問題点について検討していただいているところであり、遅くとも年内に提言を取りまとめていただければというふうに考えております。  先生お話しのとおり、NTT分離分割、そういったことを含めましたNTT経営形態あり方、そういったことにつきましても御議論いただいているところでございますけれども、それだけにとどまらず、いかにして電気通信分野において競争促進していくかといった、例えば規制緩和の問題でありますとか、NTTと他の事業者の間の競争条件整備の問題、それとNTT経営形態あり方関係の問題、そういったことを含めまして、幅広く検討をしているということでございます。  その結果につきましてどう扱うかということでございますけれども、現在は検討がなされております最中で、研究会としての結論を得るには至っておりませんで、公正取引委員会といたしましては、同研究会から報告書をいただいた場合には、その内容を十分しんしゃくして今後の政策運営に反映するように努めてまいる所存でございます。  具体的には、その結果が出ましたら公表するということのほかに、郵政省等関係方面に対しましてお示しいたしまして、そちらの方面での検討、そういったものにも役立てていただければというふうに思っております。
  9. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 今、何かよく聞こえないで、いろいろお話しになったけれども、ポイントだけちょっと教えてください。  要するに、NTT問題に触れて僕が今言っている内容新聞情報だけれども、間違いないですか。間違いじゃないんですか。それは何も公正取引委員会じゃなくていいですよ。委員会の中の議事録を出せと言っているわけじゃないんで、重要なことが問題だから、そういう議論が、NTTについて分割より規制緩和だというふうな形での最終案がまとまっている、あとは公正取引委員会に出すだけである、こういうふうなことになっておるから、それが少なくともそういうふうな案で来ましたかというのは、あなたもそういうところに当然立ち会っているんだから、これは役人一つの、審議会なり委員会ルールですね。先生方ばかりに任せているわけじゃないんだから、事務局が出しているわけだから。そこの点は間違いないんですかということをまずちょっと。答えられなかったら答えないでいいし、佐藤代議士が言っているのはそのとおりですというなら、そのとおりだけで、そう言っていただければいいです。
  10. 相関透

    相関説明員 どのような経緯でそのような新聞記事が出たか、公正取引委員会として新聞発表しておりませんのでその経緯はわかりませんけれども、現在、結論につきましては出ていないという状況でございますので、中身についてはちょっとお答えできないということでございます。
  11. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 内容は、僕が言っているこの新聞報道というのは、あなたの方でしゃべらなくても、ずっとずっと今まで何回も何回もやってきた審議でこういうふうな話で収れんしていると書いてあるわけだけれども、これは朝日新聞だ。大綱は細かいかどうか知らないけれども、そういう方向なんですかということを聞いているんです。
  12. 相関透

    相関説明員 結論が出ておりませんので、方向性自体もまだ具体的な結論にはちょっと至っておりません。ですから、ちょっと途中の段階でございますので、結論が出ました段階でまた御説明できればというふうに思っております、
  13. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 よくわからないお役人さんの答弁なんだけれども。私も役人をやったけれども、もう少しはっきり言っていた。それはそれとして、要するにこのNTT関係の問題というのは、ハード化というのをようかんに例えれば、ようかんを縦に切ったり横に切ったりするというふうにいろいろやり方があるんですよ、ハードは。しかし、ソフトをどういうふうな形で考えていくかというのをいろいろな観点から見なければいけない。規制緩和という観点からも見なければいけないし、世界の中における国際競争力の中において、これが僕は一番重要だと思うけれども、どういう体系がいいのかということを考えなければいけない。  それで、郵政省に聞きますけれども、よく分割分割と言うんだけれども、仮に分割する場合だったら第何条に基づいて分割できるんですか。
  14. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 先生お話しのございましたNTTあり方については、私ども郵政省電気通信審議会において今議論されております。そういった意味合いにおきましては、先生ただいまお話しのありましたように、国際競争力観点とかあるいは消費者の利益の向上というような観点、さらには産業活性化あるいは雇用というような観点について幅広く議論をしていただくということをお願いしておりまして、この結論は、私どもといたしましては来年の二月にその審議結論をいただきたい、こういうことで申し上げているところでございます。したがいまして、具体的な結論を仮のものとして踏まえて申し上げるということはコメントを差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますが、一つ申し上げさせていただきたいというふうに思っておりますのは、NTTあり方検討する今の状況といいますものは、そもそも六十年に競争政策を入れましてNTTを民営化いたしました。そのときに、NTT法律附則に、NTTあり方について諸般の事情を踏まえた検討を五年以内に行うということがついておりました。そういう意味で、五年前に、先生御存じのこととは思いますが、政府措置ということで、そのNTT法附則二条を踏まえまして、平成七年度において検討を加え結論を得るというふうにされまして現在検討しているということで、直接独禁法そのものにかかわって検討しているものとは異なるものであるということを申し上げさせていただきたいと思います。
  15. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 そうしますと、確認いたします。日本電信電話株式会社法附則第二条というのがありますよね。これは、いわゆる「政府は、会社の成立の日から五年以内に、この法律施行状況及びこの法律施行後の諸事情変化等を勘案して会社の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」ということだけで、もともとそれなんでしょう、検討しているというのは。分割をするという法的根拠はこれ以外にないですね。確認いたします。
  16. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 先生お話しのありましたとおり、NTT法附則二条に基づいて政府措置が出た、その措置の中に、平成七年度においてNTTあり方検討を加え結論を得るというようなことで、構造問題も含めて幅広く御議論をいただくということになろうかと思います。そういう意味では、よって来る根拠というのはNTT法附則二条、そして五年前に出されました政府措置、その中に基づくものでございます。
  17. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 それじゃ公取委。  そうすると、法律的に会社分割できる法律的根拠既存立法現行立法ですよ。この附則二条というのはこれから何か考える話なんだ、「必要な措置を講ずるもの」なんというのは。どういう必要な措置をつくるんだ。新しい法律をつくらなければできないわけだし、みんなのコンセンサスを得て国会を通らなければできない話なんだけれども既存立法分割をできるというのは独禁法しかないですね。確認。
  18. 相関透

    相関説明員 お答えいたします。  私が承知しております限りは、独占禁止法の中に第八条の四、独占的状態という規定がございまして、その規定企業分割規定とも言われることがございますけれども、法が定める一定市場構造要件に該当する高度寡占市場において、独禁法違反ではないものの法が定める一定弊害が生じている場合に、当該市場における競争を回復することを目的として、昭和五十二年の独禁法改正の際に独占的状態規定が導入されてございます。
  19. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 いつできた条項ですか。
  20. 相関透

    相関説明員 昭和五十二年でございます。
  21. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 それを確認しようと思ったわけです。  昭和五十二年に独禁法の中にこの法律条項、八条の四が入った。そして、独占状態弊害がある場合には、公正取引委員会企業分割命令を出すんでしょう、排除の命令だからね。そういう規定ができた。ですから、現存する法律の中で、企業分割しようという場合には独禁法しかない。ないんですよ、今。これは今の答弁のとおりなんです。  それで、公正取引委員会がこの法律運用をするために八条の四を入れた。先ほど僕が朝日新聞の問題を言ったけれどもNTTの問題について、簡単に言えば八条の四の運用の問題だ。どういう場合に独占弊害が出るか、こういうふうな問題について学者の先生、識者の意見を聞いて今日に至って、それがいよいよ運用の新しい条項だから、日本においてやってないから、ATTみたいなケースがないから、ですからそういうふうなものを受けてわざわざ政策研究会をつくったんじゃないか、こういうのが私の理解なんでございますが、大臣、私はそういうふうに今このNTT問題を考えておるのです。  法律問題、それから一番今郵政省の中において、将来の問題としてでも、NTT形態をいかにするか、この附則答申問題と、それから先ほどの附則第二条に絡む問題ですね。これでいろいろ議論があるわけですよね。最初に法の体系の問題で、つまりアプローチの仕方、どこまでできるのか。  つまり、国鉄が赤字のときに国鉄分割をやったようなときというのは、びしっと決めてしまったからできるのですよ。ところが、十年前には、これは民営化して、そして民営化するという形の中でいろいろな約束があるけれども、そういうふうな流れの中で附則二条みたいなものが入ってきて、そして今ここにいよいよのときを迎えてきた。  そうすると現行法私的独占禁止に関する法律のところの当局が、これについて仮に、独占弊害がありません、朝日新聞はそう言っているわけです。これは公正取引委員会が認めるか認めていないかは別として、十月二十四日の朝日新聞は「分割より規制緩和」だ。ということになると、一番権威のある現存の法律を持っているものからそういう判断が出れば、これは極めて大きな流れをつくると私は思うし、法律運用として我々として非常に重要視しなければいけないと思いますけれども郵政省、どのようにお考えですか。
  22. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 先ほども申し上げさせていただきましたが、郵政省電気通信審議会検討しているというのは、先ほど先生からもお話のありましたようにNTT法附則二条、そして五年後に検討された政府措置、それに基づきまして平成七年度において検討を加え、結論を得るということで検討されている。そういう意味では、背景的に申し上げますと、NTT法附則二条というものがそもそも設置されたことに当たりましては、昭和五十七年の臨調答申というのもございました。  その答申の中で、いわゆる電気通信分野におきましては競争政策を入れる、独占から競争政策を入れるというような大きな政策転換一つ。それとあわせまして、電電公社につきましても自由度を持っていただくというようなことで、いわゆる株式会社たる特殊会社にしていくということがございました。その中におきまして、五年以内に幹線を中心とする中央会社というふうに表現していたと思いますが、地方数社に再編成する、こういうふうに臨調答申の中でなっておりました。  そういう背景も受けまして、NTT法附則二条で、それについて検討を加え、結論を得るというような観点で、いろいろな状況を踏まえてNTTあり方を五年以内に見直す、こう決まったところでございます。  そういう意味合いにおきましては、独禁法が求めるように、独占状態であるから違反であるというような観点で対応するということよりはもっともっと前向きに、独占状態であったものに競争政策を入れたわけですから、これを競争を充実させて、競争政策促進して、国民利用者の利便の向上とか、産業雇用あるいは国際競争力というような観点でよりよいものになっていくためにはどういう政策を考えるべきかというのが、今NTT問題について検討を加え、結論を得るということで求められているあり方ではないかというふうに存じております。
  23. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 ちょっと局長さん、私が言っている問題は、この前後が重要なことなんですよ。いいですか、附則二条というのがありますね。それから、独禁法というのは既存として動けるわけです。  仮に公正取引委員会が、独禁法弊害がありませんよ、最終報告案はそうなっているわけです。それを諮問機関ではなくて公正取引委員会が決めたとすると、片一方で仮に将来電気通信審議会の方で分割しろというものが出ても、何で分割するのですか、弊害があるのですか、競争の方はありませんよ。しかもさらに競争原理まで公正取引委員会が置いている情報通信分野競争政策研究会報告書で言っておると書いてあるわけです。  それで、しかも競争ルールまで考えるべきである、接続についての交渉ルール明確化したり交渉の監視や裁定をする公的機関の設置の方が望ましいというならば、私は公正取引委員会よりも郵政省側に入って、附則二条の方まで入った内容答申が出ようとしているということについて、当然郵政省はこの公正取引委員会のものについての動きというのを注目しているわけでしょう。仮に出たら、分割論というのは方向が大分違ってしまいますよ。何々の電気通信審議会で諮問をやっていましたと言っても、片一方は公正取引委員会の諮問なんだから、学者なんだから。どっちが重いかという話になる。国と国との機関なんです。  そういうふうなことで、しかもユーザーとしての関係の立場というのがどことなく抜けているじゃないかというのはいろいろな評論家が書いている。そうすると、公正取引委員会というのは、どちらかというとユーザーの立場、競争原理の立場、独占弊害があるかないかという問題を提起しているから、私は、この問題は非常に重要な問題であるということを、それが出てしまうと、そこら辺を郵政省はよく注意して見守っていないととんだことになりますよということを言っているのです。それに対する意見は。
  24. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 繰り返しになって恐縮でございますが、今NTTあり方審議会で御検討いただいているということは、独禁法違反とかそういう観点とは違う観点であるということは申し上げさせていただきたいと思っております。  ただ、公正取引委員会研究会をおつくりになってそこで報告書を出すというようなことになりますと、審議会も幅広に検討をしておりますので、いろいろなことを踏まえて結論を出していくものというふうに存じております。
  25. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 それでは、このあたりでこの問題についてはあれですが、注意だけ喚起いたしておきます。本件問題というのは、そういう既存立法との問題、それから電気通信審議会で今やってきて、どういうような結論が出るかという段階かもしれないけれども公正取引委員会の中におけるそういう委員長諮問機関のものが動き出してきて、最終答申なるものも出してきている。しかも、内答が新聞に出ているのですよ。私が言っているんじゃないんだから。それは、出たらちゃんとこの委員会でも報告してもらおうと思いますし、また私も質問したいと思っていますけれども、そういう問題について、郵政省は少ししっかりとそういう動向に取り組み、それから公正取引委員会とも、委員会は別にアメリカの政府機関とは違うのですから、公正取引委員会は日本にあるんだから、よくいろいろお互いにやっていく。  これは制度は違いますよ。公正取引委員会という機関は、行政機関の中の特殊な権限は持っているけれども、事NTTの問題についての問題、これは広く国際競争力、飯の種をどうするのか、では我々は自動車産業の後に何で食っていくのか、こういうようなことでいろいろ今郵政省も真剣に考えている話であるし、そういう形態の問題というのは非常に大きな絡みを持っている。だから財界も百花繚乱意見を言うし、あるいは新電電系のグループあるいはその他NTTグループ、それはみんな意見があるし、民間でもまた何とか研究会というのをつくっていろいろ言っている。  そういうふうな問題の時期がいよいよ来ているから、ひとつそういう面について、新聞に出ているから、公正取引委員会、よく相互の中において、なあなあでやれと言っているんじゃないですよ、私は。公正取引委員会、ここまで出た最終答申案、出してもらえるなら私はいただきたいけれども、そこまでは言わないけれども、そこだけをまず申し上げさせていただきたいと思います。次に、別の面で郵政省にお聞きします。公正取引委員会は結構です。  次にお聞きいたしたいと思っておりますのは、御承知のように自由民主党の総裁選挙におきまして、いわゆる郵政事業問題について、小泉先生とそれから橋本龍太郎先生国民の前でこの問題が提起されたということは、この問題について、きょうはもう私時間がありませんから、総論で入らせていただきたいと思います。  まず、こういう側面をひとつ大臣に教えていただきたいと思います。一つは、まず郵便事業の問題でいろいろ、小泉先生一つの争点としまして、意見をお互いに、橋本先生とやられて、皆国民の前でテレビあるいは街頭でやられた問題でございます。  それで、郵便といいますのは、これは郵便法というのは信書の秘密というのも書いてあるし、憲法の中の信書の秘密という、憲法を引っ張ってきたような条文が入っているのが郵便法なのです。これはすばらしい法律なのです。  それで、もとをたどればそれは前島先人まで行くわけのあれであるし、郵便というのは江戸時代の飛脚から始まっていったと私は聞いております。日本の明治の近代化の中において、近代化する場合にどうするかということで、時の立派な政治家前島大指導者が、地方におきましての名主さんとか、そういうようなところの土地をうまい形で活用して、そしてそれを国が借りたり、あるいは準公務員というような形にして、特定郵便局という形態にして今二万四千のものがある。小学校の数ぐらいですかね、そういう二万四千のものがある。そして、そこに従事している人たち、従業員、夜までやっておりますよね、いろいろなことをやっておられる。しかし、そういうことについて、郵便事業についての民営化を図ったらどうかという意見があったことも皆さん御存じであります。  それで、私たちの立場からいいますと、郵便の料金、例えば仮にはがき一枚が五十円としますね。そうしますと、年賀状を出します。年賀状というのは、国政報告なりの年賀状ですよ。年賀状を出してはいかぬというふうになっておるわけだ から、我々出しませんけれども、その五十円のものを十万人というのに出しますと、十万人の後援会、そうしますと五百万になる。私のところは、選挙区は四十一万人いるのですよ、有権者が。そうすると、郵便料だけ、郵便ぽんと一回だけで二千万すっ飛んでしまう、それが実情なのです。  それから、封書にいきますと八十円の話。そうすると、八十円のもので四十万人の人にやると三千二百万一回でかかる。ですから、この郵便料金の問題は、政治家にとりましてもそうだし、またあるいは会社の中においてもそうです。会社の中にあっては、会社の経営が悪くなってくるとまず引き締めするのは、研究開発費だとかあるいはそういう郵便関係の節約をしなさい、こういう話になるというのはよくわかるのです。これは非常に金額的になるわけです。  そこでお伺いいたしたいのは、実はつい最近まで、その料金値上げをするまで約一千億円の赤字があったですよね。局長、ありましたよね。これはずっと積もり積もってなったわけですが、何せ人件費を例えば一人——こういう質問をします。郵便局の郵便事務をやっている人が、一カ月の給与が一万円上がるとする。一万円上がるとしますと、一年間でその郵便業務に従事している人たちの人件費の負担のあれは幾らになるということ、そこら辺からちょっと教えていただきたいと思うのです。
  26. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 お答えいたします。  一人一万円、年間十二万円、それから郵便職員が十四万人おりますから掛け算しますと、ボーナスを外しますと百六十八億円、百七十億円くらいのコストアップになる勘定になります。
  27. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 つまり、私が申し上げたいのは、一万円のベースアップをすると約二百億円近いものがぽんと必要になる。ですから、今料金を上げて黒字になっていますでしょう。すると、本年度どのくらいの黒字になる見込みですか。
  28. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 昨年度の決算で、百四十五億円の累積黒字が平成六年度末の決算で出ました。今年度も単年度黒字を予定していますので、これから年度末までどういう推移をするかまだ推測できませんが、一千億までいかないと思いますけれども、累積黒字がさらに追加されるだろうというふうに想定しております。
  29. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 それは、先ほど申し上げたように、例えば仮に十円上がると、先ほど申し上げましたね、私が後援会に年賀のはがきでも出しますといった場合に、十円上げますと四百万余計にかかるわけですね。だからみんな、今回料金値上げしたわけだから、政治家の方というのは一番お得意さんだろうと思っていますけれども、それは大きく黒字になるんですよ、値上げしたわけだから。それで、値上げしたのは昨年で、値上げした結果、一千億円赤字だったものが百五十億円のプラスに転じたわけでしょう。だから、少なくとも値上げでやはり一千億円ぐらいの効果があるのですよ、この郵便事業というのは。  ところが、先ほど言いましたように、今一万円上げますと、ベースアップすると、百五十億円ずつ飛んでしまうんだね、一万円なら。二万円だと三百億円ずつ飛んでしまうんだ。ですから、これは賃金を凍結するというわけにいかぬわけだから、どんどん上げていかなければいけない。そうすると、何年間ぐらい続く感じで今の状況を思っていますか。
  30. 井上一成

    井上国務大臣 佐藤先生に、先ほどからいろいろと郵政事業全般にわたって深い御理解をいただいていることにまずお礼を申し上げたいと思います。私どもも、全職員力を合わせて国民の期待にこたえてまいりたいという強い決意を持っていることをまず申し上げておきたい。  さらに私は、郵政の果たしている現実として、先ほど先生も御指摘になりましたけれども、暮らしの中にかかわりを深めているこの現実、まさに百二十四年という長い歴史の中で暮らしを支えているという、生活、文化の一翼を担っているというような自負と責任を感じているわけであります。  今御指摘がございました料金の問題につきましても、十三年ぶりに昨年の一月引き上げをさせていただいたわけであります。御承知のように、事業は、国民の税金から御負担をいただくというわけにもまいりません。独立事業上しての経営を進めておるわけでございまして、少なくとも今郵便、郵政の現実の事業に対しては、効率的な対応を図っていきたいと、あらゆる面でそういうことに努力をしているわけであります。  ただ、これは電気通信事業分野とは少し産業の性格が、人的な産業だ、私はそういうふうに認識をしているわけでございまして、賃金の問題も御指摘がありましたけれども結論としては、より効率よく、そしてすべての国民の皆さんにぬくもりのある郵政として親しまれるように、負担もできるだけ少なく、その負担はより長くという意味合いから考えまして、いろいろな経済的な、社会的な状況に対応のできるように、今日は単年度黒字を想定いたしておりますけれども、料金の引き上げというか、国民の皆さんにこれ以上の負担をお願いをしないようにできるだけ長く、少なくとも昨年まで頑張ってきた。そういう期間は、内部努力をして郵政の効率よい運営を図ってまいりたい。大変御理解をいただいていますので、国民の皆さんにできるだけ長い期間、御負担をさらに相かけるというようなことはしないように努力をいたしたい、こういうふうに思っています。
  31. 佐藤剛男

    佐藤(剛)委員 私は、郵便の事業の重要性、これは非常に重要なことだと思うし、それから日本の郵便というのは、奥地、何々まで、よくやっておりますよ。それは、江戸時代からの、飛脚からの歴史がこう綿々と伝えられてそれで今日に至ったのだと思うのですけれども、先ほど大臣がおっしゃられたように、この郵便問題について、民営化するかしないかという問題というのはすぐ人的問題の話になる。それから、給与の話になってくる。あるいは例えば宅急便との関係になってくる。  宅急便で、例えばコンビニエンスストアと宅急便というのが今やもう連結していますよね。コンビニエンスストアというのは夜中やっているのだ。それと宅急便とが一緒にくっついてしまっている。ですから、郵政省のこの二万四千あるところの郵便局をいかにこれから入っていこうとしたって、もう宅急便の方が先にそれに入っている。恐らく、郵政省のシェアというのは、私調べた限りでは四分の一もないですよ。みんな宅急便とコンビニエンスストアが連結しています。  ですから、そういうふうなところで見ますと、サービスにもおのずから何か限界があるのじゃないか。そうすると、賃金のところの問題をよっぽどこれから考えていかないと、賃金凍結なんというわけにはいかぬのですから。一つの物の合理化としては、できるだけ機械化を図って人手は少なくしていくやり方で持っていくというのはこれは不可欠であるし、けた数を七けたですか、八けたですか、そういうような形に持っていくというのは一つ方向ですけれども、それと同時に、サービスというものをたくさんつくればいいというものじゃないですよ。サービスするためにはまた人も要るのです。ですから、そこのところの限界をおのずからしないと、先ほど私質問しましたように、一人の人が一万円の給与が上がると、ボーナス抜きにして、年間百五十億円のものが要ってしまうのですよ。  こういうふうな形態になってくるわけだから、それは、この構造的な問題をいかにするかということの大きな課題であるし、その問題を克服しない限り、私は小泉先生が指摘した問題というのは、小泉先生は別に郵便局をなくせと言っているのじゃないのですから、郵便局の物の設置はそのままで、これを民営化する形を考えたらどうかということを一つの郵便事業については言っておられる。その他貯金の問題もあるし、それから簡保の問題もあるけれども、その一つの問題を言っておられる。  私は、もう時間がないですからここでピリオドしますけれども、その大きな問題を、郵政事業問題というのを抱えておる。そしてさらに、それに加えて大臣、今あるのは、情報産業の当面の問題のNTTをどうするかという、私が最初に御質問申し上げましたような問題。大きな問題ですよね、これからの。我々、とにかく自動車ばかりで食っていけない話ですから。そういうふうなことの問題で、非常に大役でございますが、ひとつよろしくお間違いのなき方向政策を推進していただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  32. 中川昭一

    中川委員長 赤城徳彦君。
  33. 赤城徳彦

    ○赤城委員 先ほどの佐藤委員NTTについていろいろ質問されましたけれども、引き続いて私もまずNTTのことについて伺いたいと思います。  NTTの問題については、攻める郵政省、何とか分割を推進したいという郵政省と、それを阻止したいという守るNTTとの対決だ、こんなふうに世間一般では受けとめられておりますし、その周りが、分割すべきかすべきでないか、こういうふうにいろいろと言っている、そんな構図のように見えますけれども経営形態をどうするかということ、直接そのことではなくて、むしろ今NTTがいろいろなことを打ち出している、そのことについて伺いたいと思います。  九月にはNTTが市内網の全面開放を表明いたしましたし、十月にはNTTと新電電三社の接続料金交渉が異例の、スムーズに決着をした。また、十一月、ついきのうでありますけれどもNTTが新経営計画を発表した。これは日経新聞に出ておりましたけれども、十五万人への人員削減とかあるいは市外電話の最高料金を三分百円まで引き下げる、相次いでそういう施策を打ち出しております。これは、今の経営形態問題と全く無関係ではないと思います。  NTT自身が出している報告書では、競争促進に向けた規制緩和NTT網の全面開放が実現すれば、NTT分離分割は無意味で不要だ、こう言っております。競争促進に向けた規制緩和というのは、特に郵政省に対してもっと規制緩和をしてくれ、そういうことだと思いますし、一方の全面開放の話はNTT自身がやります、こう言って相次いだ施策を打ち出しているということですから、全く無関係ではないと思いますけれども、今のこのNTTの動きに対して、大臣はどのように評価されますか。
  34. 井上一成

    井上国務大臣 先ほども佐藤委員からも御指摘がありましたし、今赤城先生の方からもNTTについて、私は、NTTが今回一連の対応をされてこられたことには一定の評価をしたいと思っていますし、局長からも先ほど佐藤委員の質問に、答弁の中で、産業活性化だとかあるいは情報通信産業国際競争力向上だとか、何よりもやはり受け手の論理というか、受ける側、国民の側、利用者の利益向上をやはり優先して考えていくべきである。今、そういう意味では、郵政省、私の諮問機関として、電気通信審議会で幅広く多くの方々から御意見をちょうだいして御審議をいただいているわけなのです。それは、二月にその答申をいただき、その答申を踏まえて判断をしてまいりたい。  いずれにいたしましても、冒頭申し上げましたように、企業がみずからの努力で、とりわけNTTに対しましては多くの皆さんが注目をしているところでもあります。私は、そういう意味合いからも、NTTの企業としても行政監察の勧告の趣旨を十分踏まえられている、そういうふうに理解をしているわけでありますので、より経営の合理化を図りつつ、効率化を図りつつ、先ほど申し上げましたように利用者の利益につながるということが一番優先して必要なことではなかろうか、このように私は考えております。
  35. 赤城徳彦

    ○赤城委員 この問題は議論も大分長い期間されていますし、その間に情報通信をめぐる状況というのは大きく変わってきております。これから先も、マルチメディア時代が来ると言われておりますけれども状況がどんどん大きく変わっていくんじゃないか。そういう新しい時代を先取りする形で、もっと幅広に、そして大臣が言われるように、利用者の利便に資するような国民的な視点から議論していかなければいけないと思います。  このマルチメディア時代、何かバラ色のすばらしい時代が来るのではないか、百二十三兆円の需要創出効果があるとか、雇用も大きくふえるのではないか、いい面がとかく取りざたされますけれども、いいことばかりではなくて、これだけ情報通信というのが発達してきますと、例えば影の部分も出てくる。  例えば、CIAの盗聴疑惑、あれは日米の自動車交渉のときにCIAが盗聴しておったんじゃないかという疑惑ですけれども、これなどはまさに氷山の一角であって、今は電話、これは加入電話であれ携帯電話であれ、もう盗聴天国だ、そういうふうに言われています。盗聴器を発見するための専門の会社までできておりますし、こういう側面について、ちょっとこれまで対応がおくれていたのではないか。それは、技術的な問題もそうですけれども、法的に、盗聴器を仕掛けることに対しては住居侵入とか、あるいは器物損壊とか、そういうふうな措置で対応するしかなくて、ただ聞いているだけ、受信機を持って聞いているだけということでは何も取り締まれない。それがさらに盗聴をもう当たり前だというような風潮にしている一因ではないか、そこら辺、厳しく行政当局として対応しなければいけないのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  36. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 ただいま先生からお話がありました、新聞等で報ぜられておりますいわゆるCIAの盗聴疑惑の報道、これにつきまして、盗聴の事実の有無とかどういう事実関係になっているかということ、私ども不明でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいというふうに思いますが、まず我が国の制度という観点で申し上げますと、電気通信事業法の四条一項におきまして「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。」という規定を設けておりまして、盗聴行為禁止し、あわせましてこれを処罰するという規定が設けられているところでございます。あわせまして、有線電気通信法、ケーブルの方でございますが、それから電波法、無線関係でございますが、これにつきましても同様の趣旨の規定が設けられているところでございます。  制度としましてはこのような形になっておりますが、さらに具体的に、いろいろな意味での技術革新と申しましょうか、先生おっしゃるとおり影の部分というような意味で、盗聴行為を防止する、あるいは通信の秘密を確保するというようなことで、私ども幾つか取り組んでまいりました。  平成二年から、関連する産業界、団体、メーカーに対しまして、特にコードレス電話等の盗聴防止につきまして、秘話機能のつきましたアナログ式のコードレス電話の提供をしていただくとか、あるいは電気通信事業用の周波数帯域が受信できない、技術的なことを省略させていただきますが、そういう仕様の無線受信機の販売をしてもらうというようなこと。さらには、携帯・自動車電話におきましてディジタル化を促進しまして、技術的な条件を策定して、盗聴の防止を行うような技術関係の開発普及にも取り組んでまいったところであります。  いずれにいたしましても、先生おっしゃるとおり、通信の秘密というのは重要なことでございますので、引き続きディジタル化の促進等、そういった盗聴されにくいシステムの普及やその促進に努力してまいりたいと存じます。
  37. 赤城徳彦

    ○赤城委員 マルチメディア時代、これは情報通信の分野と放送の分野と大きく二つ、これが融合されてくるということだと思いますけれども、通信の分野では、いかに通信の秘密を確保していくのか、安全を確保していくのかということが大きな問題になろうと思いますし、一方の放送の分野では、これから多チャンネルだ、いろいろな放送事業者が出てくる、そうした中でどうやって放送の不偏不党とか報道の公平、これを確保していくのかというのがまた一方の大きな問題、テーマであろうと思います。  そこで思い出されますのは、九三年にテレビ朝日の椿報道局長が放送番組調査会で発言した、そのことが問題になりました。非自民政権が誕生するように報道せよと指示したとか、公正であることをタブーとして挑戦していくとかいう、そういう発言だったのです。それが大きな社会問題になりまして、郵政省の方でも調査をされて、その結果、証人喚問もあったわけですけれども、その発言は荒唐無稽のものだということになったわけです。郵政省としてのその対処した措置、どういうことをしたのか、簡単に報告をしてください。
  38. 楠田修司

    ○楠田政府委員 テレビ朝日の椿元報道局長平成五年九月に、先ほど先生がおっしゃいましたような発言を民放連の放送番組調査会におきましてやったわけであります。郵政省としましては、その内容が事実であるかどうか、特にその中で、テレビ朝日が政治的に公平を欠く意思を持っていたかどうか、それから、その結果実際にそのような放送が行われたかどうかという二点につきまして、そういうことがあるとすれば、これは放送法第三条の二第一項に定めます「政治的に公平であること。」ということに反するおそれがあったわけであります。  そういうことでありまして、その結果、郵政省としましては、郵政省自身として事実関係調査をするということがあります。それから、放送番組は基本的に番組編集の自主性をたっとぶという立場がございますので、テレビ朝日に自主的な調査を行うようにお願いいたしました。ただし、テレビ朝日の調査がみずから行う調査でありますので、それが客観的かつ多角的なものとなるように要請を行いました。  その後、郵政省調査結果とテレビ朝日からの報告書検討した結果、椿発言にあるような放送法第三条の二に違反するような事実は認められなかった。ちょっと具体的に申し上げますと、例えば本人自身が荒唐無稽な発言とか錯覚による発言ということを言っておりまして、本人のそういう証言もございました。それから関係者からもいろいろ調査しました。それから、番組を四十一本徹底的にテレビ朝日の方で調査しまして、実際にそういう放送がされたかどうかということも調べたようでございます。その結果、違反するような事実は認められなかったというふうになったわけであります。  しかしながら、こういうふうな発言をしてこのような問題を引き起こしたということは、テレビ朝日の役職員等に対する教育を含む経営管理の面に問題があったのではないかというふうに思いまして、再度このような問題を引き起こされることのないよう大臣名の文書による厳重注意を行ったというところでございます。
  39. 赤城徳彦

    ○赤城委員 以上のような経過をたどったわけなんですけれども、放送の公平に対しての問題が起こったときに、直接その報道番組を郵政省の方で調査できない、これは報道の自由との兼ね合いがありますので、そこで今のような経過になった。どういうふうに対処するか、非常に難しい問題を残しているのではないかと思いました。  ところで、私は、こういう「放送レポート」という冊子がございますけれども、これの九月号を見ておりましたら、こんな記事が出ておりました。「社長の衆院選出馬で問われる西日本放送の「ぐるみ選挙」と「放送の公正」」、そんな記事なんです。ちょっとかいつまんで内容を御紹介させていただきますと、放送局の中で局名入りの紙バッグが積んであった。その中身は選挙の事前運動用の携帯品がセットになっていた。また、営業の職員が営業活動そっちのけで選挙事務所へ詰めっ放しであったとか、ある政党の会議をこの放送局の会議室で開いた、そのことが問題となって、労働組合が社長あてに申し入れをした。こんな申し入れですね。  「一政党の業務の場として、不偏不党であるべき放送局が使われたことで、多くの人から驚きと批難の声が上がっている。」また、「一般視聴者にも公正な放送について不信と局イメージの低下をもたらした。」そんな申し入れをしています。それから、申し入れとして、組合がこういうふうに言っています。「報道の公正を守ること。」「視聴者が報道の公正を疑った時、その意見を聞く専門部署を設置し、その部署名と電話を公表して、対外的な信用を確立すること。」記者にも、報道の公正を確保して、スパイ行為などを強要しないこと。  そんなことがるる書いてあるのですけれども、放送の公正あるいは報道、放送事業者としての不偏不党性に関して問題を投げかけているのではないかと思います。  ここに出てくる幾つかの問題点、論点があると思いますけれども、ちょっとお尋ねしたいと思いますが、まず、この中でこういうことを言っています。大体、現職の放送局の社長が特定政党から立候補することが許されているのかどうか疑問である。放送局の、こういう経営者の地位にあるとか番組編集の地位にある者が特定の政党から立候補するということになりますと、一方で、放送法では「不偏不党」ということがうたわれております、この関係でどうなるのだろうかということなのですけれども郵政省としての考えをお尋ねします。
  40. 楠田修司

    ○楠田政府委員 放送法におきましては、第一条第二号に「放送の不偏不党」「を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」という条文がございます。これは、基本的には、国が、放送する者が不偏不党の報道をすることを保障するという目的規定であります。  一方、放送事業者は、放送番組の編集に当たっては、第三条の二第一項により、「政治的に公平であること。」とされているほか、学識経験を有する者によります放送番組審議機関を設置し、放送番組の適正を図る仕組みとなっているところでございます。  お尋ねの、放送局の番組編集者あるいは経営者等の地位にある者が特定政党から立候補することは、放送法上から申しますと、放送番組の編集に当たってのものではないということでありますので、放送法上の問題はないというふうに認識しております。
  41. 赤城徳彦

    ○赤城委員 この「レポート」の中では、今放送法上問題はないということでしたけれども、放送局ぐるみでその職員が選挙に携わっている、あるいはその局内に大量の選挙用品が置かれている、またはその会議室が利用されている。そういうことから見ますと、まさに会社の社長ですから、指示する、優越的な地位にある。そのもとで職員が、社員がこういうふうに動いている。当然、放送準則、第三条の二第一項二号、放送番組編集に当たっての政治的公平との関係で問題があるのじゃないか、だからこそ組合の方で、報道の公正を守ることと、こういうふうに申し入れもしているわけです。  あの椿報道局長の発言問題では、本人は荒唐無稽だと後で否定していましたけれども、こういう発言をしたということで、報道の公正に対しての疑念が呈せられ、大きな社会問題になった。そして、郵政省は、今報告ありましたように、調査もし、その結果の報告は今伺ったとおりですけれども、そういうことをしたわけです。  それと照らし合わせて、今の政治的公平との関係で、どうなんでしょうか、これはもう全く何も必要ないということでしょうか。
  42. 楠田修司

    ○楠田政府委員 御指摘の「放送レポート」の事実につきましては承知しておりませんので、お答えは控えさせていただきますが、一般論と申しますか、一般的に言いまして、放送法三条の二第一項二号の「政治的に公平であること。」とは、放送番組の編集に当たって求められている準則であります。本件のようにといいますか、放送番組の編集と直接かかわらない事項につきまして規律を行う趣旨ではないというふうに認識しております。  なお、一般論として申し上げれば、放送事業者は、世の中から、社会的影響力が大きい、あるいは公共的なものであるというふうに見られておりますので、その立場を心得て行動していただけるものと承知しております。
  43. 赤城徳彦

    ○赤城委員 自治省も来られていると思いますが、ちょっとお伺いします。  こういう今お聞きのような事案なんですけれども、政治資金規正法とか公職選挙法上の関連で問題はないかということをお尋ねしたいと思いますが、この「レポート」の中で、公職選挙法百四十八条三項では、新聞の経営者が地位を利用して特定の議員候補者の当選を図ることを禁止していて、放送局にも準用されている、これに違反しているのではないか、こういうことを指摘しています。  ちょっとその条文を調べてみたのですが、百四十八条の三項ではなくて、百四十八条の二の三項でこういうように書いてあります。「何人も、当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて新聞紙又は雑誌に対する編集その他経営上の特殊の地位を利用して、これに選挙に関する報道及び評論を掲載し又は掲載させることができない。」その前の条には、「新聞紙(これに類する通信類を含む。)」そんなふうに書かれていまして、特殊な地位を利用してこれこれをしてはならない、そんな条項がありましたけれども、これと、それから政治資金規正法との関連で見解を伺います。
  44. 大竹邦実

    ○大竹説明員 お答え申し上げます。  まず、お尋ねの件に関しまして、自治省といたしましては、具体的事実関係を承知し得る立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じますけれども、放送事業者が行いますところの選挙に関する放送につきまして、一般論として申し上げさせていただきますと、公選法の第百五十一条の五におきまして、政見放送など公職選挙法で定めるものを除きまして、「放送設備を使用して、選挙運動のために放送をし又は放送をさせることができない。」と規定しているところでございます。  それからまた、百五十一条の三におきまして、日本放送協会または一般放送事業者が行いますところの選挙に関する報道または評論についてでございますけれども、これにつきましては、放送法の規定に従い、放送番組を編集する自由を認めているところでございます。  しかしながら、これにつきましても、「虚偽の事項を放送し又は事実をゆがめて放送する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。」としているところでございます。  今御指摘ございました百四十八条の二第三項の関係でございますけれども、これにつきましては、新聞紙、雑誌の不法利用等の制限規定でございまして、これは、放送事業者が行いますところの選挙に関する報道、評論については準用されていないところでございます。  ここで、新聞紙でございますけれども、これにつきましては、法律の第百四十八条で、「新聞紙(これに類する通信類を含む。)」としているところでございますけれども、これにつきましては、新聞等の名称を使いませんでも、いずれにいたしましても、新聞紙に類するものにつきましてはこれはすべて含むということでございまして、これに放送を含むというものではございません。
  45. 鈴木良一

    ○鈴木説明員 ただいまの先生のお尋ねは、政治資金規正法の関係につきましては、恐らく、規正法の二十一条で「会社等の寄附の制限」という規定がございますけれども、それとの関係についてのお尋ねかというふうに承知いたしておるところでございます。  この規正法二十一条では、御案内のように、会社等の政治活動に関する寄附につきまして一定規制を加えているわけでございます。ただ、今先生御指摘のございました具体的な事実関係というのは、私ども自治省として具体的な個々の関係というのは承知しておりませんので、直接お答え申し上げるということは差し控えさせていただきたいと存じます。  ただ、一般論として申し上げますと、政治資金規正法上「寄附」というのは、「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。」というふうにされております。さらに、この財産上の利益につきましては、金銭、物品に限らず、債務の免除でございますとかあるいは金銭、物品の貸与、あるいは労務の無償提供、こういったものも「寄附」には該当する、こういうふうに解されているわけでございます。  いずれにいたしましても、この政治資金規正法上の「寄附」に該当するかどうかという問題につきましては、個別具体の事実関係に即してそれぞれ判断されるべきものであるというふうに考えております。
  46. 赤城徳彦

    ○赤城委員 これは一つの事例として御紹介いたしましたけれども、いずれにしても、これからいろいろな多チャンネル時代だ、いろいろな放送事業者が出てくる、その中での放送の公正をどうやって確保していくのか。そのための道具立てとして、今の体制では一般の視聴者が、あるいはこの例のように組合の方が疑問を持っている。しかしどこへ持っていっていいのかわからない。番組審査会では、これは内部の話ですし、諮問がなければ答申ができない。そのほかいろいろな機関調査会ありますけれども、どうやってこれを確保していったらいいのかという問題があると思いますけれども郵政省の方ではどういうふうに考えていますか。
  47. 楠田修司

    ○楠田政府委員 現在、放送法の中では放送番組審議機関がございまして、これは、それぞれの放送事業者が、学識経験を有する者によります、構成によります機関を設置しまして、放送番組の適正化を図るということをやっております。かなり活発にやっておりまして、原則として毎月一回、あらかじめ委員にある番組を視聴していただいて、それについて審議していただくとかあるいはその時々の関心の高い問題をやっていただくということで放送事業者にやることを義務づけておりまして、これはかなり活発にやっております。  それから一方、全般的な放送番組の向上あるいは視聴者の意見に対応するということで、いわゆるやらせの問題が起きたときから始まったわけでありますが、放送番組調査会というのがございまして、これは、民放連の中で放送基準審議会というのがございまして、その中の常設諮問機関をつくりましてやっております。原則として二カ月に一回開催し、阪神・淡路大震災の報道とかあるいは世論調査あり方等いろいろなかなりホットなテーマにつきまして審議していただいて、それを月報にして周知する、あるいは視聴者専用ファクスを設置してまた意見を聞くということで、現在こういう番組問題についてかなりいろいろやっているところであります。  郵政省としましては、一方、将来多チャンネル化時代になるということがございます。それから、昨今、先ほど申し上げました問題あるいはオウム報道等、報道番組のあり方に対しまして非常に社会的関心が高まってきております。放送もいろいろ変化していく時代でありまして、そういう中で、多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会というものを、この九月から有馬理化学研究所理事長を座長にしまして開始したところであります。懇談会では、多チャンネル化と放送規律、それから放送番組と視聴者、あるいは番組審議機関の役割というような問題について幅広く検討していただくことにしておりまして、これまで二回既に会合を行いました。  ちょっと御紹介申し上げますと、まだ二回目でありますけれども、主な話題としまして、放送番組が……(赤城委員「中身の紹介はいいです」と呼ぶ)そういうことをやっております。失礼いたしました。  いろいろ御意見をいただきながら本懇談会で将来に向けて多角的に検討していきたいというふうに思っております。
  48. 赤城徳彦

    ○赤城委員 最後に大臣に伺います。  私は、多チャンネル時代、ますます放送の不偏不党とか報道の公平、これは大事なテーマだ、課題だと思いますけれども、最後に大臣のお考えを伺って、終わります。
  49. 井上一成

    井上国務大臣 マルチメディアというのはもろ刃の剣だとそういうことをおっしゃられる方もいらっしゃるわけですね。使い方を誤れば大変危険であるという、そういうことをおっしゃられる方もあります。時間が余りありませんけれども、私は、だれもが、いつでも、どこでも、だれとでも情報が交換できるそういう時代に入ってきたというメリットと、取り残される人たち、いわゆる情報格差、そういうことが生まれてはいけないと思いますし、やはり、さっき影の部分という表現が赤城先生の方からあったので、情報弱者をつくるようなことではマルチメディアというものは一体何なのかということになります。そういう意味では、心の問題として十分留意をしていかなきゃいげないということですね、番組をつくっていく上で。人間性の問題。  御指摘の点については局長の方から一定答弁があったので私は繰り返しませんが、放送法という一つ法律の中でちゃんとそれぞれが常識的にかつその範囲の中で行動をとっていくべきであると。これは一般論としてですよ。そういう意味で、先ほど私はあえて心の問題ということを、強いて一例として挙げました。そういうことを今後の世の中に基本的な、中心的な部分としてやはり残していかなきゃいけないのではないだろうかとこういうふうに思います。
  50. 赤城徳彦

    ○赤城委員 終わります。ありがとうございました。
  51. 中川昭一

    中川委員長 山崎泉君。
  52. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 私は、郵政事業のみについて御質問をしたいというふうに考えております。  きのう朝日新聞を見ていたら、アメリカのニューヨーク支店、いわゆるあの大和銀行ですね、不公正取引事件を起こした同銀行に対して「信託部門に対する簡易保険と郵便貯金の資金運用委託取引を当分の間停止する」というふうに郵政省が発表した、こういう新聞記事を見てまいりました。私は当然だろうというふうに考えております。この不公正な取引の内容がどういうものであったかということは、私は素人でございますからわかりませんが、アメリカの政府でさえああいう毅然たる態度をとっておる中で、郵政省は、いわゆる非営利事業として全国津々浦々に郵便局を設けて、そしてそれなりに三事業が日々努力をした。そういう中で、信用をから取りながら事業を生々発展をさせておる。そこで集まったお金を国民の皆さんが納得できるような状況の中で活用していく、使用していく。そういう立場で私はその新聞記事を見て、当然であるというふうに考えたところでございます。私どもは、台風が来ようが、地震が来ようが、どういう大嵐が来ようが、全国の郵便局が一斉に営業を休業をするということはないわけでありまして、隣の郵便局が休んでおっても、一方の郵便局は、その天気の模様を見ながら、事故の状況を見ながら活動するわけで、そういう意味では、職員の皆さんは本当に努力をしておるというふうに私自身は思っておりますし、現場にいた私も、そういうことでは自信を持ってこの場で言えるというふうに思います。  そこで、大臣にお伺いをいたしますが、さきの阪神・淡路大震災の際に、民間の宅配業者は、あの震災の期間、ある一定時期、営業をストップしました。しかし、私どもの郵便局は、自分の家の事故も顧みず職場に出勤をし、一生懸命頑張ったわけです。私が聞くところによると、六十一万個の無料の小包も配達をし、届けたということも聞いております。  以前も申しましたけれども、雲仙・普賢岳があの時期のときに、当時はがきは四十円だったと思いますが、そのはがきが二カ月後に、島原を離れて多分愛知県あたりに引っ越した方に二カ月後に転送された、そういうふうに郵政事業としては、郵便事業としては頑張っておるわけでございますが、頑張った、頑張ったということは言いつつも、あの成果と反省点というのを郵政省は恐らく持ち合わせているのではないかというふうに私は思っております。  したがいまして、今後のこういう事態に対応するためにも、成果と反省点、そして同時に、全国の職員の皆さんに対する激励の言葉を大臣からお伺いしたい、こういうふうに考えます。
  53. 井上一成

    井上国務大臣 今、山崎委員から大変、今回の阪神・淡路大震災における取り組みについて評価をいただき、私からも感謝をしたいと思います。  私は、先ほども少し申し上げましたけれども郵政の現実を支えている事業というのは、暮らしの中にまさに定着した生活文化の土性骨、いわゆる土台を私たち郵政事業として支えさせていただいている。小泉信三先生の言葉に「真珠の価値はむなし。されど水にくぐる人の労苦はとうとし」、こういう言葉があります。まさに郵政の職員は一致協力、さきの阪神・淡路大震災の被災を皆さんみずから受けながらも、今御指摘がありましたように、六十一万個の救助用物資を届ける。瓦れきの間を走る赤い郵便バイクを見て、一般の被災者の方々が勇気づけられた、こういう声もあるわけなのです。  私は、「あらゆることが混乱しきっていた中で郵便だけは奇跡の銀色の線のようだった」、これは郵便職員の、郵便を配達している人の思いをある作家が書かれた一節ですが、そういう意味では、この銀色の道をしっかりと力を合わせて歩み続けていきたい、こういうふうな強い思いを持っているわけです。  戦前も、戦中も、戦後も変わることなく暮らしの中で深く支えてきたと申し上げますか、一緒に歩んできたこの銀色の道を、国民の皆さんの温かい御協力があったおかげだと今まさに喜んでいる次第でありますし、だからといって十分だと、これからも大いに反省をしなげればいけないところ、あるいは改善をしていかなければいけないところ、例えば、今申し上げたこの間の阪神・淡路大震災で、救助用の飲料水のペットボトルというのですか、あれを、二リットルの瓶を六本入れたら十二キロになるわけです。しかし、パッキングがありますから、今の郵便小包の重量制限をオーバーしてしまった。そういうことになると、これはせっかくのハートが届かないということになるといけない。そういうこともこれあり、十一月一日からでございましたけれども、重量制限等も小包の重量を十二キロから十六キロにする。あるいは、情報通信がいかに災害時に重要な役割を果たしていくか。そういうことも、今回の災害の反省の上に立って、より堅固なもの、より整備をしていかなければいけない、より強いものをつくり上げていこう、こういうことで、今日私どもは取り組みを進めているところでございます。十分御理解をいただいていると思いますが、どうぞこれからもよろしく御協力をいただきたい、かように思います。
  54. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 私は、郵政事業の基本は郵便事業だというふうに理解をしておりますが、平成六年度の総引受郵便物数は二百四十億通で、五年度の実績に対して一・八%の減少。業務収入は、二兆七百五十一億円の予算に対して二兆六百六十億円の収入、達成率は約九九・六%、おおむね予定のものを確保しております。そしてまた、平成七年度九月期までの引受物数は、前年度同月比で三・八%増。また、業務収入は前年度同月比で三・〇%の増というふうに、順調に推移をしておるわけでございますが、郵便のいわゆる大口利用者でなくて、個人の利用者に重点を置いたサービスの改善を今後どのように考えておられるのか。私もそれなりにわかっておるつもりですが、さらにどういうことを考えておるのか、お聞かせを願いたいというふうに思います。
  55. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 私ども郵便事業にとりましては、前から、大口のお客様ばかりでなくて、小口だとか、それから個人のお客様の、料金も含めまして利便性の向上ということにも十分配意をして、サービスの改善を実施してきているところでございます。例えば、この十一月期から、個人、小口のお客様に重点を置いたところの料金面だとか集配サービス面、これらにつきましてサービスの改善を実施したところでございます。  具体的にちょっと申し上げますと、例えば料金面では、小包郵便物の中距離部分の一部の料金を引き下げる、第二地帯の一部分の料金を引き下げるというふうなことだとか、個人のお客様が一年間に小包を十一個出していただきますと、十一個目を無料にするサービスを実施する。それからもう一つ、集配サービスの面におきましては、時間外窓口で今まで速達等の引き受けをやっていたわけですけれども、小包だとか大型の郵便物につきましても引き受けのサービスをする。それから、先ほど大臣からもお話がありましたけれども、小包郵便物の取扱重量を十二キロから十六キロに上限を引き上げる。それから、書留郵便物の休日配達、夜間再配達を実施する。その中で、再配達の場合に、受取時間帯を指定することができるサービスを始める。  こういうふうなことで、料金の面、それから利便性の面、さまざまな面で、小口の皆様方、個人の利用者の皆様方、こういうふうなもののサービスの改善をやっていこうということで、お客様本位のサービスの改善に今後とも努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  56. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 点字図書物の集荷はやらないのですか。
  57. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 それは今のところ計画しておりません。また検討を要する点かもしれないというふうに思います。
  58. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 私が現場にいるころに、視覚障害者協会から依頼がありまして、長崎市で、いわゆる点字図書物を差し出すときには、郵便局が集荷に行って一括して出す。しかし、読まれた方が返すときには個人でばらばらに、最寄りの、簡易局があれば簡易局、取扱所があったら取扱所にそれぞれが持っていって投函をする、こういう形になっておって、家族がおられる方はいいが、全盲の方なんかは非常に困るというようなことがありまして、視覚障害者協会から要請がありまして、長崎中央郵便局を中心に、最寄りの普通局三局、そしてまた市内の特定局あたりと相談をしまして、名簿もありますから、こういう形で、大体数はこういう数でございますと。したがって、返送するわけですから、急いで集荷に来てもらわなくても、ありますよということがわかっておきさえすれば、二、三日後でも一週間後でもとりに来てもらえれば非常にありがたいというようなことで、現場対応で長崎市内はやってあるというふうに私は思うのです。  これは当然九州郵政局も了解の上だというふうに思うのですが、ぜひこういうサービスも、郵政省としては今後の福祉社会という立場で取り組んでいただきたいなと思うのでございますが、いかがなものでしょうか。
  59. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 昨年の夏から、私ども、集荷サービスを定時集荷というふうな形で始めました。その中で、個人の皆様方から御要望があればそこもあわせて集荷するというふうな仕組みになっているわけであります。先ほど、私のお答えがちょっと不十分だったのですけれども、その中で、目の不自由な方から御要望があったときに集荷に行くというふうなことも、必ずしも十分ではないと思いますけれどもやっているわけでございまして、今御指摘ありましたものをさらに強化していかなければならないかなと今お伺いしていて感じたところでございまして、さらに検討してまいりたいと思います。
  60. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 わかりました。  先ほど申しましたように、厳しい中でも、郵便事業は、業務収入なりまたは引き受けの物数なりは伸びておるわけでございますが、じゃ、その物の伸びぐあいに対しての定員の配置という部分では総務庁なり大蔵省の関係で非常に難しい面があります。  特に、行政改革が叫ばれる今日、人を、いわゆる職員をふやすという立場は非常に難しい状況でありますが、いずれにしても、人の効率的な配置に努力をしていかなければ、この郵便増の業務量に対応できない。  そこで、私は、二年前から郵政短時間職員というものが大都市部において試行されたというふうに記憶しておりますが、これは、今後女性が社会に参加をする、そしてまた仕事に出る、子育てが終わった人がちょっとの合間に仕事に行く、非常にいい施策であったというふうに考えます。今後ともどしどしとこれを大きくふやしていく、各省庁もふやしていくべきであろうというふうに考えますが、まず、郵政省の今日までの試行状況と今後の考え方についてお聞かせを願いたいというふうに思います。
  61. 金澤薫

    ○金澤説明員 お尋ねの郵政短時間職員でございますけれども平成六年度予算において二年程度の試行として認められたものでございます。平成六年七月以降、募集、採用試験等を実施いたしまして、同年十月一日から関東郵政局及び東京郵政局管内の一部の郵便局において採用いたしました。平成七年の七月末現在でございますけれども、四十三の郵便局におきまして合計三百六十三人が配置されているところでございます。  この郵政短時間職員というのは、まず非常に定着率が高いということでございます。退職者率で見ますと三・七%、これは一般の非常勤職員が一五・七%ということでございますので、相当低くなっております。また、無届け欠勤がほとんどない。一般の非常勤職員の場合は六・五九%の無届け欠勤がございますけれども、この郵政短時間職員については○・〇七%という、ほとんどゼロに近い数字ということでございます。また、常勤職員と同様の業務に従事しているほか、作業能率も常勤職員とほぼ同等というふうなことでございます。  このようなことから、労働力の効率的配置と安定的確保に非常に効果があるというふうに判断しております。  また、応募者も非常に多うございます。九倍という応募者がございました。それから定着率が高いというふうなことから見ましても、働く側のニーズに合致したというふうに考えております。また、女性の占める比率が八四%ということでございまして、主婦層にも非常に好評でございます。  以上のように、郵政短時間職員、試行状況が非常に良好でございますので、試行期間が終了いたします平成八年度から本格実施をしたいということで、現在、予算要求しているところでございます。  具体的に申し上げますと、現在の配置エリアが東京、関東管内だけでございますが、これを全国へ拡大したいというのがまずございます。それから採用人数を相当大幅に拡大したいということでございます。それから退職手当の支給と共済組合への加入、そういうものの制度改正を行いましてこれを可能にしたいということで、現在要求しているところでございまして、関係省庁とその実現を目指してさらに折衝してまいりたいというふうに考えております。御支援のほど、よろしくお願いしたいと思います。
  62. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 私の時間は余りないようでございますから、急いでやります。  この話は、今皆さん方一生懸命取り組んでおられるということで、この場でいろいろと議論をする必要はないのでありますが、恐らく、退職手当なり共済加入なり、そういうのができるとなると正職員と全く変わりがない、ただ時間が半分だということになると、さらに応募者がふえるだろうというふうに思います。  そこで、これにはそういうことはないと思うのですが、九二年、平成四年度、宮澤内閣のときに、省庁の上級職の中で東大出身をおおむね五年後に五割以下にしようという提案があった、こういうふうに聞いております。郵政省は、九二年は東大出が八〇%であったのが九五年には五二・二%と、いわゆる宮澤内閣のそのときの内容をそのままとらまえて進んでおるわけですが、通産省は八四%が七八・三%、大蔵省は九二年は八二・六%であったのが、九四年には九〇%に上がっているのですね、ことしは七七・三%、こういうことに下がっているのですが。  現場の四時間の短時間職員でありますが、学歴とかどこの学校を出ているとかというような形で採用は絶対に差別をしないように、今、こういう状況だからという大きな立場に立って採用には踏み込んでいただきたい、こういうふうに要望しておきます。  次に移りたいと思います。  これも新聞ですが、敬老の日の九月十五日現在で六十五歳以上の高齢者が昨年より六十万人増の千八百二十一万、総人口に占める割合が一四・五%、こういう形になっておりまして、いわゆる日本は、皆さん方御承知のとおり高齢化社会に突入をしておるのは事実であります。したがいまして、私は独居老人や核家族化、こういうのが進む中で、いわゆる病気、寝たきりのお年寄りの要介護者が増大するだろう。そしてまた、増大すると同時に、それを抱えた世帯は大きな経済負担がかかってくる。そういう意味では、これは国全体がやるべきものではありますが、政府機関としていわゆる郵便貯金が要介護者を抱えた世帯への支援策、そしてまた要介護者の生活安定のための自助努力を支援するための選択肢を提供するため、介護問題について郵便貯金は積極的に取り組んでいくべきだというふうに考えております。この部分、郵政省も全力を挙げて取り組んでおるやに聞きますから、さらに御努力をしていただきたいという要望を申し上げておきたいというふうに思います。  私が当選して以来二年半取り組んできた郵便貯金関係があります。これについて簡単に質問をいたします。  いわゆる郵便貯金は、大蔵省の資金運用部資金として地方公共団体に融資がされております。これをさらに、郵便貯金が地域からお金を集めるわけでありますから、地域に直接還元ができるシステムができないかということで、郵便貯金の資金による地方公共団体への融資の実現に向けて私はこの二年半取り組んでまいりましたが、いまだそれが日の目を見てないわけですが、この昭和六十二年に郵便貯金の利子非課税、いわゆるマル優が改正された際に附帯決議がなされております。「金融自由化時代における為替貯金事業の健全な経営を確保するとともに、社会資本の充実等を図るため、地方公共団体への直接貸付など、資金運用制度をさらに改善充実すること。」こういうことで、いわゆる国会からもその早期実現を求められておるわけでありますが、この取り組み、実現についてどのように取り組んでおるのか、最後に質問をしたいというふうに思います。
  63. 木村強

    ○木村政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、国会での附帯決議を受けまして昭和六十三年度以降、地域の住民にわかりやすい形でと、郵便貯金は地域の一人一人から集まった少額のお金でございます。これが、現在の仕組みでは大蔵省資金運用部に一括して全額預託義務ということでございまして、その後は財政投融資の大きな原資になっておるわけですけれども、財政投融資として使われる際には、他の年金あるいは簡易保険等のお金と一緒に使われますために郵便貯金の色がなくなってしまうということで、本来は財政投融資として社会資本整備地域の学校、道路、橋、非常に役に立っておるわけですけれども、郵便貯金をした人は、それがおれたちのやったお金なんだということがわからぬ。これについては、これからの時代ぜひ必要ではないかということで、本院の附帯決議等を受けまして昭和六十三年以降営々とやってまいりました。  頑張ってまいりましたけれども、いかんせん大蔵省理財局、今、田波局長でありますけれども、折衝いたしております。田波局長は当時税制一課長で、マル優を取り上げた担当課長でありますが、その辺の経緯も踏まえて大いに議論をしておるところでありますけれども、彼らは国家資金の一元的運用ということで、資金分配は大蔵省がやらないとだめなんだということが基本の論理であります。  私どもは、その資金運用部から自由化対策資金ということで、マル優が改定されましたときに同じ利率で借り入れてこれを市場運用するんだ、これからは非課税というやり方よりも、自由化にふさわしい、運用して、それで稼いたお金で預金者に還元するんだ、新しい自由化の手法に切りかえたんだということでありまして、自由化対策資金の中で地方公共団体にお金を渡していくというようなことができないものかということで頑張っておるわけです。先生にもこの二年間大変御支援も賜ってきましたけれども、いかんせん哲学の相違でございまして、大蔵省の壁は厚いということで、いまだ実現を見ておりません。  本年も同じような要求を井上大臣にもお願いをして、大蔵省に概算要求としてぶつけました。この要求につきましての現状でありますけれども、昨年は地方公共団体から二百四十九団体、要望書が大蔵省等に出ておりますけれども、現時点で五百四十六ということで、地方公共団体の動きは相当盛り上がってまいりました。  また、各地で郵便局を利用されております地域住民の方々の任意団体であります郵便貯金預金者の会、これが地元の本当のニーズなんです。これらの方々の施策の実現への期待も強いということで、改めてこういった方々からも要望書が多数出始めたという現況にございます。郵政大臣には既に四十四通、大蔵大臣には五十六通ということで、昨年度はこのような動きがなかったのですけれども、まさに一人一人のそういった住民の方々の動き、郵貯の金がこういうふうに使われているんだ、知りたいという、やはり地方分権といいますか地方の住民といいますか、そういう意識が高まってきたという背景を受けて、こういったものを使って大蔵理財局と折衝を続けておりますけれども、国家資金の一元的運用に反すると、我々は、自由化対策資金でもらったものですからもう一元的運用から離れているんだ、自由化対策資金としてやりたいんだ、こういうことを申しております。それは政策的に、地方公共団体に大蔵省から、郵政省から二通りから行くなんてそれはけしからぬ、こういう論理で対立を見たままでございますが、なお今後二カ月弱でございますけれども、九年がかりの要求で非常に要望も強いものでございます。地元のニーズも非常に高まっておりますので、誠意を持って、これから年末の予算折衝に向けて重要項目の一つとして頑張ってまいりたいと思います。御支援のほどをお願いいたします。
  64. 山崎泉

    ○山崎(泉)委員 大蔵省にも非常に強い逓信委員会の諸先生ですから、ぜひ郵政省は諸先生にお願いをして、これが実現するように努力をしていただきたい、こういうことを申し上げまして終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  65. 中川昭一

  66. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしでございます。  先ほど先輩委員の方から放送の政治的公平性についてちょっと御指摘がございましたけれども、私ども新進党といたしましても一言ちょっと申し上げたいことがございますものですから、大臣のお考えをまず冒頭聞きたいと思うのです。  実は先日東京で、ある大メディアの大社長さんがある候補者を、放送法及び新聞の常識の不文律の枠内であるが全面的に応援していきたい、こういうふうに全面的応援というような御発言をされまして、私が聞いたわけじゃありませんが、新聞にはちゃんと載っております。事実だと思いますが、まず、こういうことはいいんですか、どうですか、大臣
  67. 井上一成

    井上国務大臣 放送事業者は放送番組の編成に当たって、放送法第三条の二第一項に定められている「政治的に公平であること。」によらなければならない。これは河村さんももう十分御承知だし、そういうことは私から答弁、わかっているよと言われるかもわかりませんけれども、やはり原則はそこにあろう。そういう意味から御指摘の点について、放送番組の編集に当たってのものではないというふうに私は受けとめているというか理解をしていますので、放送法上の問題はないものという理解をいたしています。
  68. 河村たかし

    ○河村(た)委員 何かえらいつれないような感じがするのですけれども。こういう非常に社会的影響力のある方でございまして、多分また公職を兼ねておられると思うのですけれども、兼ねておられませんかね。そこら辺を踏まえて、やはりそういう影響力を考えれば今の大臣のようなつれない返事じゃなくて、一言御注意をするとか、そういうふうに一応されるのが一つの正常なバランス感覚ではないかと思うのですが、大臣どうですか。
  69. 井上一成

    井上国務大臣 いや河村さん、つれないことないですよ。私が言ったのは、番組編成に当たってこうあるのですよと正直に申し上げているのだから、私の理解はむしろ河村さんわかっていただけると思うのです。私はあえて、今、じゃもう一度と言われるから、この問題とは切り離して一般論として、やはり世間からこれは誤解を招かないよう発言については十分配慮していくべきである。それは、私どもを含めて私はそういうふうにあるべきではなかろうか。  さっきもちょっと申し上げたように、今後マルチメディアの社会が築き上げられていくわけでありますから、これはそういう意味では私は決してつれないのでなく、むしろ認識を正しくお伝えした方がよかろう、こう思ってお答えをしたので、今一般論としては、世間から誤解を招かないよう発言については十分な配慮をする必要があるのではなかろうかという考えは持っています。
  70. 河村たかし

    ○河村(た)委員 一般論と職業というか、お仕事としての意見とミックスして出てきますのでよくわかりませんけれども、僕もこれはよく考えたのです。大臣もちょっと考えてほしいのですけれども、この厳しい小選挙区で、相手方の応援をどえらい大きなマスメディアの社長がやるといった場合、大臣どういう雰囲気になりますか、これは自分として、政治家としてはどうですか、政治家としては。どうですか。
  71. 井上一成

    井上国務大臣 繰り返して本当に恐縮ですけれども、さっき申し上げたように、一般論としては十分その発言には配慮していかなきゃいけない、こういうふうに思っています。
  72. 河村たかし

    ○河村(た)委員 一般論としてという意味が余りわかりませんけれども、どうもこれは、先ほどからちょっと出ておりますけれども、政治的公平さという放送法の規定ですね。これが、その多メディア・多チャンネル時代というのはもっと自由にしてもいいでないかというのが一つの考え方であることは事実だと思います。現にアメリカにおいてもフェアネスドクトリンというのが割と柔らかく運用されてきた。ところが、最近はどうも、やはり放送というものの持つ、マスメディア第四権力なんて言いますけれども、どうもこれは多チャンネルだからいろいろなことをいろいろな人が言っている、これはそうなんだろうと思いますけれども、やはりどうもそうでもない部分があるのではないかというふうに多分最近はなってきておるのだろうと思います。  そこで、放送の中でもいわゆるCATVの分野だとかそういうところと、本当に巨大なキー局とかそういうところでは、やはり公平の原則というのはもっと分けて機能的に議論をすべきではないか、そんな時代に来ておるのではないかと思うのですね。そういう意味合いにおいて、私どももこの発言をされました社長のところは一遍見学に伺いまして、なかなか積極的にいい御発言をされる社長なのですけれども、僕もよく考えたのです。よく考えましたけれども、やはりもし相手方にこういう巨大な方が応援されるということは、これはどうも多メディア・多チャンネル化時代もっといろいろなことを言っていいじゃないか、これとはどうも違うような気がするのですよ。  ですから、これはマスメディアの方全般におかれましても、ぜひそういったマスコミの持っているすごい力、これを再度認識していただいて、この辺は郵政大臣もぜひもう一回心得ていただいて、これはたまたま出るのが私の大親友ということもございますけれども、この持つ威力というものをもうちょっと考えながら、その中で政治的公平さというのを分解して機能的に考える、ノーブレスオブリージュなんという言葉がありますけれども、名誉ある者は拘束されるということでございますので、それだけでかいものはやはり気を配ろうじゃないかということははっきりここでおっしゃっていただきたいと思うのですが、どうでございますか。
  73. 井上一成

    井上国務大臣 今の御意見、十分私は私なりに受けとめさせていただきます。  さっきも申し上げたように、一般論としてということですが、マルチの時代に入っていろいろないい面とデメリットと。だから、さっき私は心のひずみとかあるいは人間性の問題だとか、情報の受け入れられるいわゆる情報格差ですね、受け入れられる人と受け入れられない人と、そういうことをつくっていってはいけない。それほど情報というのは公共性というか社会への、放送は時代を変えるとおっしゃられた方もいらっしゃるわけですから、そういう意味では及ぼす影響の大なることは共通して認識としては持てるのじゃないでしょうか。
  74. 河村たかし

    ○河村(た)委員 このくらいでやめますけれども、先ほどちょっと一方的に、御指摘我が党に対してもあるかと思いますけれども、やはりそうでない部分も非常にありまして、山陰地方である方のインタビューが連続で流されたとかそういう方もございますので、ぜひそこら辺、もう少し機能的に、政治的公平さというのをそのメディアの大きさ等によって、そういうふうに考えていく、多分そんな審議会でやってみえると思いますけれども、そういう時代に入っていってほしいな、そんなふうに思っております。  それでは次の質問になりますけれども、いよいよ今一番大きい問題は、やはりNTTさんがどうなるんだろうかということが圧倒的な問題だと思います。まず第一問は、郵政省分割論を言っていないということに、そういうことを言うことになっておると思いますけれども、純粋学問的で結構でございますけれども分割をした場合本当にできるのかという問題ですね。  先ほどちょっと話がありましたけれども、株価、独禁法、それから憲法問題もあります。それと、実は一番大きい問題は、多分これで二、三年かかるのではないか、分割でぎゃあぎゃあやっておりますと。そのうちに新しい時代に入ってきまして地域網にも新しい競争が起こっていく、そういうふうになれば実際その論議というのはほとんど無意味になってしまうわけで、その辺のところ、本当にその分割論というのは実際できるか、またその機能的な意味は本当にあるのだろうか、その辺ひとつお伺いしたいのですが、五十嵐さんどうですか。
  75. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 NTT分割するということが本当にできるのかという先生の御質問ですが、今NTTあり方をどうするかということにつきましては、先ほど来申し上げておりますけれども国民利用者の利益が向上する、あるいは日本の経済活性化雇用がふえる、あるいは国際競争力も高まるというような観点で幅広に御議論いただいているというところでございまして、その分割のあるなしという意味の結果についてコメントするというのは、現在のところ私ども差し控えさせていただきたいというふうに思っております。  若干法的な側面で申し上げさせていただきますと、一つは憲法上の問題としても、憲法二十九条の財産権でも、一般論として申し上げさせていただきますと、これは憲法が保障していることではありますけれども、公共の福祉に適合するよう一定の制約を受けるということがあり得るということになっているというふうに承知しております。したがいまして、NTTの再編成というようなことにつきましても、もしあるとするならば、公共の福祉の適合というような観点から実施されることが重要であるというふうに考えております。  それからもう一つは、重要なこととして株主というのもございます。株主につきましては、これも仮のことでございますが、NTTの再編成が実施されるという場合には、株主の権利の確保というようなことに十分な措置を講じなければならないのは当然だというふうに考えておりまして、審議会としてもこのような観点から、審議会の中にNTTの権利確保の方策に関する専門委員会というのを設置して、株主の権利を確保するという方策について検討をいただいているところでございます。  そういった意味合いにおきまして、現在幅広に御議論いただいているということをまずもって御報告をさせていただきたいと思います。
  76. 河村たかし

    ○河村(た)委員 今のお話は結構よく出てくる話ですけれども、私が言いました最後のものですね。どのくらい時間がかかっているか。二、三年かかっておるんだったら多分これは本当に意味がないと思いますよ、機能的に。やはりすぐばっとやれるならいいですけれども分割論で二年もやっておる間に本当に地域網にもいろいろな競争がばっと入ってしまいますよ、ということになるとどうもつまらぬ議論になると思いますけれども、その辺スケジューリング的にはどうですか。
  77. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 具体的な審議会結論をいただいておりません現段階において、スケジュールに触れて申し上げることは差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますが、電気通信競争政策ということをこの十年間の中で考えてみますと、六十年に国家独占であった電電公社競争政策を入れる、そこで自由化してきた、こういうことでございます。そういった中にありまして、競争が進みつつあります。  そういった中で具体的な問題としては、地域網のネットワーク、地域網のいわゆるボトルネック独占というのは現実として存在しているわけでありまして、これはあらゆる観点から議論がなされるものではないかというふうに想像いたしております。地域に対する競争がどういう形で入ってくるのかというのは、例えば先般NTTが公表いたしましたいわゆる加入者網への接続というようなことが、現実にどういう条件で、例えば料金がどうなるか、技術的条件がどうなるか、それから新規事業者のそれへのインセンティブがうまく働くのか等々が加わってこなければ、直ちに現段階で予想するということは大変難しいことではなかろうかというふうに思っております。
  78. 河村たかし

    ○河村(た)委員 実はそういうことが非常にわかりませんものですから、ここでわからないときに新たな仕組みを無理やりつくるのがどうかという問題に実はなってくると思います。  それで、一般的に分離分割論VS規制緩和なんということになってくるわけで、今の五十嵐さんの話を聞いておりますと、わからないことだったら、長距離分離、地域分割にしないでどっちかというと規制緩和でやった方が、わからないんだったらその方がいいんじゃないか、これはどういう事情が起きてくるかわからないということですからね。  ですから、そういう立場から見ますと、郵政省さんは一応毎年といいますか、規制緩和を出されておりますけれども、特に参入規制、それから事業区分ですね。参入規制の問題は、すぐこの話をしますと公用利用特権の話が出てきて、町じゅうが穴ぼこだらけになってしまってもいいのかという話が出てきます。少なくとも移動体通信とか衛星などについては、公用利用特権という話は初めはちょっとないと思います。だから、そこなどは少なくとも郵政省の論理をとっても、別に参入規制を外してもいいんじゃないか。だから、一般的に言えば、例えば電話と専用線とか、こういう部分だけは仮に認めるとしても、その分だけ参入規制するとかで。そこら辺の参入規制あり方はどうですか。
  79. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 電気通信競争政策を入れまして、いわゆる第一種電気通信事業者の参入につきましては、この十年間円滑に推移をしているというふうに考えております。この日本の国の制度あるいは競争の進み方ということにつきましては、OECD等国際的な場でも一定の評価を得ているところでございます。  ところで、先生から具体的にお話のございました移動体通信については、そういう公益特権といいますか、私有地あるいは公有地等につきまして、参入許可を受けたということで特権を持って公益的に使うことができるという公益特権を見直すことができるのではないかという御指摘でございます。  例えば、移動体通信あるいは御指摘いただきました衛星通信事業ということにつきましては、基地局を設置いたしましたり、あるいは管制センターを設置するというようなことにつきましては、公有地への地上権の設定だとかあるいは土地収用法に基づく私有権の収用というのが現実に行われておりまして、公益事業特権を活用したネットワークの円滑な整備が図られているというのが実態でございます。  少し具体例を御報告させていただきますと、現実に例えば、ドコモグループというような会社が、自動車携帯電話につきまして電柱を立てたり、管路を使うというようなことがあります。これは公用の道路の利用というような観点で公益特権が働いてくる。さらに、公有地への地上権を設定するというようなことにつきましては、あるポケベル会社が公有の放牧地にそれを設定するとか、あるいは衛星会社でありますけれども管制センター、こういうことにつきまして土地収用法に基づく私有地の収用ということについての公益特権が生かされるということで、移動体通信あるいは衛星通信におきましても、ネットワークを円滑に整備していくという観点からはほかの一種事業者と特段異なる事情はないところでございます。
  80. 河村たかし

    ○河村(た)委員 鉄塔を建てるとか、それは要るのだろうと思いますけれども、何かいつもこの話が出てきましてどうも重苦しい雰囲気になるのですけれども、もっといろいろな人が参入していろいろなサービスをした方が、もうからぬことはやりませんから、鉄塔を建てるといいましても。ですから、道路に関係ないのに穴ぼこを掘りますとこれは刑法の問題になりますし、どうもその問題を強調し過ぎではないか。どちらにしろ利用者会議か何かやって、道路の占用について話し合うわけでしょう、勝手にやれるわけではございませんので。僕はどうもこの点は郵政省の論理はちょっと弱いのではないかなという感じがしております。  それからもう一つ事業区分の問題ですが、事業区分なんというのはありませんよというふうに盛んに郵政省さん言われますが、事業区分というのは長距離とか地域とか移動体とかそういう意味ですね。これはどうも法律上はないようですけれども、第一種電気通信事業の許可申請書というのがありまして、そこの2の(1)のイ、ロに役務を書くということになっております。これはそういうことを書くのではないという話もありますけれども、僕が聞いたところでは、ここでやはり事実上書かされるということなんです。どうもそういう規制というのを余りしていないよと、規制緩和の勉強をすると盛んに言われますけれども、実際はかなり郵政省はわけのわからぬところで、あんたはこれだけしかやっちゃいかぬよということを決めて、その枠内で需給調整をしながら情報通信産業を育てていく、ベースとしてこういう考え方に立っておるのではないかというふうに思えてならぬのです。これは実際、事業区分については書かせておるのか書かせてないのか、どちらですか。
  81. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 先生の方からもお話ありましたとおり、現行法制で、NTT、KDDにつきましては、NTTは国内電気通信事業、KDDは国際電気通信事業という区分があるのみでございます。  そういう意味で、サービスあるいはビジネスを展開したいという事業者が、それぞれ自分はどういうサービスを提供するかということで許可申請をされてくるということであります。私の手元にあるこの申請書のフォーマットを見てみますと、例えば役務の種類ということで、国内電気通信役務または国外電気通信役務という別を書いてくる。あるいは固定電気通信役務または移動体通信役務の別を書いてくるというようなことでありまして、衛星会社といたしまして、国内通信をやっていた衛星会社が国際通信をやるということは、現実に出てまいっております。そういう意味では、事業区分を設けて許可をするというようなことではありません。やる事業者本人がどういう選択をするかということでございます。  繰り返しになりますが、NTT、KDDは、それぞれ法律に基づく区分があるということでございます。
  82. 河村たかし

    ○河村(た)委員 NTTとKDDは会社法の中に出ておりますのでわかりますけれども、ここでは、この申請書では、いわゆる地域とか移動体とか、これは書かぬでもいいということですか。
  83. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 移動体通信の役務を提供する場合にありましては、自動車とか列車とか船舶、航空機、そういったものの対象別を記載するということになっております。  こういうものが記載して出されるということと規制があってできないということは、これは違います。それぞれ事業者がどういうサービスをやりたいか、どういうビジネスを申請したいかというのは、言ってみますと、申請者の自由意思で書いて出せるものであります。  繰り返しになりますが、NTT、KDDは、それは法律でできないということですから、そういう意味では、規制あるいは制約しているということには相ならないというふうに考えております。
  84. 河村たかし

    ○河村(た)委員 どうもそこが、僕も余りごちゃごちゃ言うというわけには、これは大事なところだと思うのですけれども。  自主的にという話なのですが、結局、自主的にでも書かせておることは事実ということですね。そこで、あなたのところはこれはだめよと。実際は窓口で、あなたのところは移動体なのよ、この地域でやってくださいよというようなことは、これはあるのですか。間々そういうことがあるのではないかという話も聞くのですが、どんなものですか。
  85. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 許可の申請に当たりまして、一般の事業者、新規の事業者でございますね、NTT、KDDでないという意味におきましては。そういう方々が初めから、こういう制限があるということで対応したことはないものというふうに承知をいたしております。
  86. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ここはちょっと、実際に私が申し込んでおらぬものでようわかりませんけれども。私も、郵政省が必ずしもこれでかたくなにいかぬというわけではなくて、やはり過去の行政の中で、一応事業一つずつ、その区分を見ながら、そこの中にはめて産業を育てていく、こういう政策はそれなりに僕は理があったのではないかという感じはしております。理があった。ないと言う人もおりますけれども、どうも最近、ここ五年、十年で非常に競争状況が変わってきたということだから、もっと自由にやらせればいろいろな産業が起きてきて、NTTに対峙する勢力がもっと出てくるんだ、そのための大きな障害がこの事業区分なんだという話がようあるわけですね。  事業区分の話をしますと、郵政省からそんなものあらせんよということなのですが、よう見てみますと、ここがありまして、今わかったのは、自主的には一応書いていただくということがわかりましたけれども、その辺のところ、何か今のところ郵政省規制緩和ではなくて分離分割でいっておるのかどうかわかりませんけれども、自分のところからもうちょっと郵政省も——NTTも僕はやるべきことがあると思います。最近、新聞見るとえらいぼこぼこ出てきますけれども、あんなことだったら、五年前に何でわからなかったのか。どうなっておったんや。NTTは、いつも分離分割言っておらんと、こういうものが出てこぬのか。極端なことを言いますと、二月まで辛抱、辛抱、こういうことなのか。  反対に郵政省も、何かもうちょっと自分の方から競争政策について、こういうのはやはり自分で無理なのかどうかわかりませんけれども、参入規制の話も含めて、事業区分の話も含めてもうちょっと、確かに十年前はこうだったけれども、今度はこういうところは本当にいいじゃないか。新しい参入者、どういうのが出てくるかわからぬからと今五十嵐局長言われましたから、そうならば自分のところから開いて、どうですかと言うぐらいのスタンスが、それは議員がやらなければいかぬのか、どうなのですかね、これは。役所から出てこぬものなのですか。これは議員の仕事なのですか、どうですか。
  87. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 役所という立場でお答えをさせていただきたいと思います。  まず、私ども昭和六十年以降、競争政策を入れ、参入政策にかかわってきた者として、先生にぜひ御理解を賜りたいというふうに思いますのは、それまでは日本の国は百年以上にわたりまして国家独占でやってまいりました。そういう意味では、一〇〇%独占なわけでございます。そこに競争政策を入れることによって、少しでも安い料金で、より高度なサービスが出てきて、情報通信産業全体として強くなっていくということを期待しておりますので、私どもとしては、参入については基本的に大いにウエルカムといいますか、入っていただきたいという姿勢でやっているわけであります。  ただ、現実問題としては、特に第一種電気通信事業者の場合は、設備を持って参入するということで、それなりの設備投資も必要といたします。そういう意味では、事業者本人がビジネスとして入れるかどうかという判断が非常に大きなウエートを持ってくるということでございます。  念のために、今私が思い出す一つの例を申し上げますと、衛星の三社目というのが参入をするということで許可をとりました。許可をとったのですが、結局衛星打ち上げができないまま、ビジネス見込みについて明るい展望が開けないということで合併してしまったという例がございます。そういったことで、私どもとしては、新しい事業がどんどん入っていただきたいということが基本的な立場であるということをまずもって申し上げさせていただきたいというふうに思っております。  それから、私ども、いわゆる規制緩和ということにつきましては、例えば国会の附帯決議になっておりました公—専—公の問題につきましても、公—専をお認めいただくということでこれを緩和するとか、あるいは端末の売り切り制というようなことで、いわゆるレンタル方式とあわせまして売り切りを認めるとか、あるいは料金につきましても、基本的な国民生活にかかわるもの、あるいは経済活動にかかわるもの、こういったものを除きましていわゆる届け出制にするとかということで、平素からそういうことに努めてまいりました。参入の問題につきましても、参入基準を明確にするということでこれを策定し、あるいは処理期間につきましても公表してまいったということでございます。  そういった意味で、繰り返しになりますが、今ここに新たに起こりつつある産業、具体的に一番成功しているのは移動体通信の世界だというふうに思いますけれども、それでもなおかつまだ料金は国際的に見て必ずしも安いとは言えないという側面もございます。そういった意味で、一地域四社体制だったのに、PHSもさらに入って七社体制まで行きました。そういう競争を私どもは基本的に促進するという立場で今後ともやってまいりたいというふうに存じております。
  88. 河村たかし

    ○河村(た)委員 これで最後にしますけれども、今言われましたように、やはり通信というのはちょっと特殊な分野でございますので、あるいはそういう中でいろいろな分野にはめてというのか、区分をしながら競争を導入していったというのは、ある意味では成功した部分があると思います。  この間も最後で言いましたけれども、今後ぜひお願いしたいのは、例えば分離分割したら、一年、二年後にどういうような業者がどういうふうに出てくるのだろうかということですね。郵政省さん、私のところ分離分割関係ないと言われればそうかもわかりませんけれども、学術的でも結構でございますが、きょうNTTさん見えておらぬでいけませんが、それでは自由競争にした場合、全く全部の完璧な自由競争にした場合、これはジャイアントが支配するかどうか。このところはちょっと悩みのあるところで、ここら辺も、やはりこれはNTTの話になると思いますが、ぜひそこら辺も含めて、きちっと書けぬにしろ一、二年後にはどういうキャリアが出てきてどういう競争が起こるのだということをある程度、もうここまで議論しておるなら、公取は出てくるわ、何は出てくるわということですが、大体十ぐらいの論議で終始しておりまして、もうちょっとイメージのわかるような競争状況の図、絵、それをそろそろお示しいただく時期に来ておるのではないかなということで、この間、五十嵐さんにそう言ったら、やると言われたというような気がするのですが、言われませんでしたかね。その辺ちょっと期待して終わりたいと思いますが、局長にお願いします。
  89. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 いわゆるNTTの再編成と絡んでどういう事業者が出てくるのかというお尋ねであるとするならば、今は審議会でそのことは御検討いただいていることですので、今の段階で私がとやかくコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  90. 河村たかし

    ○河村(た)委員 結構でございまして、次の機会にまた譲りたいと思います。どうもありがとうございました。
  91. 中川昭一

    中川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  92. 中川昭一

    中川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。遠藤乙彦君。
  93. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは、郵政事業全般にわたりまして御質問をさせていただきます。  かなり論点が多岐にわたりますので、最初にお願いをしておきたいのですが、答弁者の方はできるだけ簡にして要を得た答弁をお願いしたいと思っております。  まず、郵便事業からまいりたいわけなのですが、私も平生、郵便職員の皆さんには、ふだんの御苦労を高く評価をしておる一人でございますけれども、その上で何点か御質問したいのです。  まず、郵便料金の改定、平成六年一月に大幅改定をされたわけです。そのときの説明では収支が非常に厳しいということで、我々も賛成をした経緯がありますけれども、その後の決算の状況を見てみますと、平成六年度だけで一千百四十七億円の利益を計上しておりまして、平成五年度末の累積損益、累積の欠損金ですね、一千二億円を大幅にカバーしまして、平成六年度の末には百四十五億円の累積利益金が出たという状況でございます。単年度で一気に回復をしたわけで、郵政当局から見れば御同慶の至りというところなのでしょうけれども国民的視点から見るとどうもそうではないのかもしれないという感じがいたします。  といいますのは、非常に大幅な料金値上げをいたしたわけでございますけれども、この収支見通しについて、不当に低く見積もっていたのではないか、そういった疑問も生ずるわけでございます。あるいは善意に解釈して、意識的にやったのではないとしても、結果的にこういうふうに見通しが違ったということになるわけでございまして、国民的な視点からすれば、それならばやっぱり現実に合わせてもう少し料金を引き下げるべきではないか、そういった議論もあるわけでございまして、この点につきまして、まず、お答えをいただきたいと思います。
  94. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 収支見通しと、それから料金引き下げの観点お話がございましたけれども、まず、収支見通しが甘かったのではないかという御指摘ですが、料金改定時の郵政審議会で、平成六年度、単年度黒字というのは五百九十九億というふうに予測していたわけですけれども、決算では千百四十七億になったという御指摘のとおりであるわけですが、これは一口で言えば、専ら予想以上の、予測以上の費用の節減というふうなところが結果として出たということでございます。  ちょっと分けて申し上げますと、収益はおおむね予想どおりであった。しかし、費用につきましては、一つは、ベースアップが審議会見通しよりも低かったこと、実は審議会では二・五%と見通していたのですけれども、仲裁裁定では一・〇五%になっている、それから年度当初から経費の全般にわたって懸命な節減努力をしたこと、そういうふうなことで、費用につきましては、審議会に比べて四百八十五億円の節減になったというところは聞いておるわけでございます。  いずれにしましても、あくまでも経費節減努力ということで、この辺につきましては、料金改定時には想定できなかった部分もございまして、こういうような結果になったということでございます。  料金引き下げの御指摘がありましたけれども平成六年度、御指摘のように、百四十五億の累積黒字に転化したということでございますが、財政改善は緒についたばかりだというふうなところでありまして、現状では、料金を引き下げることはとてもできる状態にはないということでございます。  先ほど、もし職員の給料が一万円上がったらどれだげのコストアップになるのかという御指摘がありましたけれども、逆に、もし一通当たりの料金を一円下げるということになりますと、二百四十億円ほどの減収になるわけですね。そういうふうなことで、とても現状では料金を引き下げることのできる状況にはないということですが、今後とも一層サービスの改善や営業努力によって増収を図り、それから経費節減に努力をし、現行の料金をできるだけ長く据え置いていきたいというふうに考えている次第でございます。
  95. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今のこの収支見通し、収支が改善した理由として、コストダウンの努力ということを言われたわけでございますけれども、この費用について、経費全般にわたって節減努力を行ったと郵政当局はされておりますけれども、実際の数字では、経費全体では三・七%増ということになったわけですね。  具体的にはどういった節減を行ったのか、もう少し詳細に御説明をお願いしたいと思います。
  96. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 経費の節減についてでありますけれども、先ほど申し上げましたように、審議会の見込みに比べ四百八十五億円改善されたということでありますが、この中の要素としましては、一つは、人件費のベア率が低かったこと。一・〇五と申し上げました。それから、期末手当が○・一カ月分節減されたというふうなこと。こういうふうなことは審議会の見込みでは想定できなかったわけでありますけれども、一方、私ども、作業の機械化、合理化というふうなことで二千七十人の定員の減員を行いました。それから、効率的な運送便の設定を行いました。それから、機械だとか用具類の配備の見直しなどの経費の節減を行ったところであります。さらにまた、賃金だとか委託料の単価アップを抑制したという、さまざまな節減努力を行ったもので、これに基づきまして、経費全体が三・七%の増にとどまったわけでありますが、ちなみに平成五年度、前年度の場合は、経費の対前年増加率はプラス四・一%というふうな状況であり、三・七%に抑えたというふうに評価をしていただきたいというふうに思うわけであります。
  97. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 民間企業であれば、経費節減があればそれを価格の引き下げにすることもあり得るわけです。現下の非常に厳しい不況の中で、民間企業は死に物狂いの血のにじむような努力をしておるわけでございまして、リストラ努力もしておるわけでございます。郵政当局におかれても、今すぐ引き下げとは言いませんけれども、できる限りコストダウンに努めて、サービスの向上あるいは効率化に努めて、国民の、公共料金引き下げ、あるいは郵便料金が高いという声にぜひこたえていただきたい、そういった要望を表明をしておきたいと思っております。  次の質問として、クレジットカードの郵送の問題なんですが、現在、いわゆる宅配業者とトラブルが起こっている、クロネコとトラブルが起こっているようでございますが、この問題、民営化の問題とも絡んでおりまして、非常にいろいろな問題を含んでおるわけでございます。その現状と今後の対応、郵政省の見解をお聞きしたいと思います。
  98. 加藤豊太郎

    ○加藤(豊)政府委員 クレジットカードをめぐるところの民間宅配事業との論争につきましてお尋ねでございますが、私ども、クレジットカードには、一般的に、個々の利用者のその氏名、それから有効期間、それから取り扱い上の注意事項が記載されておるということで、これを過去に確立されたところの判例、つまり、「信書とは特定の人に対し自己の意思を表示し、あるいは事実を通知する文書を総称するもの」、こういうような判例に照らしてみますと信書であるということで、郵便局のみが送達できるものであるというふうな見解を持っているわけであります。  現在、民間宅配事業者から、クレジットカードが信書に該当するというこの当省の見解に対しまして疑問が投げかけられているところでございますけれども、私どもといたしましては、クレジットカードが、今申し上げました観点から信書であるというふうな説明を行っているところでありますが、民間宅配事業との争点というのは、純粋に法解釈上の問題でありますので、引き続き相手方に誠意を持って説明、説得を継続して、理解を求めてまいりたいというふうに考えておるところであります。  なお、当然のことでありますけれども、私どもは、郵便事業国民生活に密着しているわけでありますので、より使いやすいものになるようにサービスの改善に努めていくことが重要であると認識しておりまして、今後とも一層のサービスの改善に取り組んでいきたいというふうなことで、この十一月期にもさまざまなサービスの改善を行ったところでございます。
  99. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは、大臣にお聞きしたいわけなのですが、最近、郵便事業民営化論に対しまして非常に声が強くなってきておりますけれども郵政大臣として御見解をお伺いしたいと思います。
  100. 井上一成

    井上国務大臣 先ほども申し上げましたが、郵政事業は現実の暮らしに深くかかわっている、とりわけ郵便、貯金、保険は非常に身近な暮らしの中に根差した、むしろ国民の生活文化の土台を我々は担わせていただいている、私はこういうふうに思っているのです。  具体的に申し上げますと、余り時間がなんでしょうけれども、例えば、全国に二万四千五百二十一の郵便局がある。これは、小学校、一・一キロぐらいの、おじいちゃん、おばあちゃんでも歩いて行けるというこのネットワークを暮らしの中でどれだけ生かしているか、生かさせていただいて、郵政国民生活を支えているか、このことでもおわかりをいただけるし、料金は均一である。  そして、午前中申し上げましたが、本当に営々と百二十年間、銀色の道だと評価をしていただいた作家がいらっしゃるという話もしました。休むことなく、あの阪神・淡路大震災のとき、みずから被災を受けながらもなおかつ使命を持って、使命感に燃えて郵政の働きを続けてきた。私は、これは国営であり、国の事業としてこそ成り立つものである。  さらに、これから、今後高齢化の中に入って、一体私たちはその役割をどう果たしていくべきか。午前中にもお答えを申し上げ、局長からお答えがありましたように、特別な低金利時代にあっても、高齢者に対するあるいは介護を要する方々に対しては、来年度強くそういう施策を打ち出していけるというのも、これまた郵政事業が国営であるということだからです。  さらに、国だから、その原資は国民の——午前中貯金局長も申し上げましたけれども、もっともっと身近なところでわかってもらえるように、御理解をいただけるように、御協力がいただけるように、私たちはお預かりをしたその原資を暮らしの中に役立てて使わせていただいている。  こんなことを考えれば、もう当然私は、いろいろな御議論あるいは御意見があって、それはそれなりの御意見として拝聴はいたしますけれども、非営利そして国営の今の体系、体制、今の事業には国民の皆さんから十分御理解をいただいているし、また御支持を、信頼もいただいている。必ずぬくもりのある事業、仕事というものには信頼がいただける、こういうことを私自身は、郵政の今の事業が果たしている役割、あるいはそういう使命感を持って頑張っているということを強く申し上げて、お答えにさせていただきたいと思います。
  101. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて、郵便貯金の関係についてお伺いします。  今や郵貯は最大の金融資産の塊になっているわけでして、日本国民の今の金融資産は一千兆円を超える。その中で二百兆円を超す額を郵貯が占めているわけでございます。この動向が我が国の金融情勢を決すると言っても過言ではないわけですけれども、そういった中で非常に良好なパフォーマンスをしてきたわけであって、累積利益で三兆円を超す段階に今達しております。  この累積利益三兆円の性格についてどう認識をしておられるのか。また、これにつきましては、介護を必要とする方々への優遇策とか一般利用者への還元策等に有効活用すべきではないかという意見も非常に強いわけでございますけれども郵政省としての考え方、具体策につきましてお聞きしたいと思います。
  102. 木村強

    ○木村政府委員 お答えをいたします。  今、先生、貯金の累積利益三兆円というお話がございましたが、これはいつぞや新聞に「郵貯累積利益三兆円突破へ」ということで、恐らく平成八年度の概算要求の計数でそのように取り上げられたのではないかというふうに考えております。  この数字自体につきましては、概算要求の計数でございまして、今後の金利変動等によりまして変わり得るものであるということでございます。したがって、積立金というものにつきましては、年度末、平成六年度決算におきまして一兆七千八百六十八億円というのが私どもが現在積立金ということでお話しのできる数字でございます。  この積立金につきましては、郵貯が、御案内のように独立採算の経営を行ってきたということで、職員一同、額に汗して働いてまいったというわけでありまして、黒字が生じた場合積立金として積み立てられる、これが六年度決算におきまして一兆七千八百六十八億円である、そういう性格を持った数字であります。  これは、郵貯法の目的に沿いまして、預金者の利益還元に充てるというのがその基本的な性格でございます。当然、郵便局あるいは職員の人件費その他いざというときに積立金を使うということがございますが、それは経常経費の中に入っておりまして、積立金が出れば、これは預金者の利益還元ということに使っていくということであります。  一番わかりやすい形では、預金者の利子を上げて還元をするというのが私どもの気持ちでございますけれども、郵貯は国営でございますし、民間の預貯金金利あるいは市場金利、自由化が始まりました。郵便貯金のみひとり独立して、お金ができたからすぐ利子をぐんと上げるということになっても、本来我々はそのためにやっているのですが、やはり経済全体の調和ということで、国営郵貯のあり方を考えますときに、なかなかそう思い切って全部を使い切るというわけにはいかぬという制約がございます。  その場合にどうしたらいいか。せっかく汗水垂らして積み立てたお金でございます。そういうことで知恵を出して工夫したのがこの要介護者ということで、ここに身近にニーズが強い部分があるということで、事業ではございますけれども、そういった行政的視点を持って、福祉、自助努力の手段ということで、こういうところに使える道を探していこう。そうでなければ、民間金利が上がらないと、郵貯だけ金利を上げるということは各方面からの批判が非常に出ます。郵貯シフトが起こるのではないか、自由主義経済をつぶすのではないか、こういった議論が出ますので、そこは慎重に議論をして、かじ取りをしながら、やはり預金者への利益還元ということを第一にやりたい。  この要介護はこれからの仕事でありますけれども、現時点では、福祉定期貯金など、四・一五という高金利で、こういった超低金利下に困っておられる弱い方々に対して手を打っていこう、国営ならではという気持ちで、こういった部分にもこの積立金を活用させていただいておるというのが現状でございます。
  103. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 当然、市場経済ルールがあるわけですから、それを崩すようなことはできないわけですけれども、そのルールの中で、できる限り預金者への利益還元、何といいますか、一般国民から見て納得し得る、そういう公共目的に役立つような対策をぜひ今後も検討していって、具体化を図っていただきたいということを要望しておきます。  今お話が出た福祉定期貯金のことにつきまして一点お伺いします。  本来福祉定期貯金の対象者になる数が五百四十万人と言われております。現状では、この利用者数が八十四万人と非常に少ない数にとどまっておりますが、なぜそうなのか。もっと積極的な利用拡大のPRをしてもいいのではないか。どうしたら郵政省として、そういう利用拡大を図ることができるのかといった対策につきまして、お伺いをしたいと思います。
  104. 木村強

    ○木村政府委員 福祉定期貯金の利用者数が八十四万であるとの先生お話でございます。  これは、平成七年一月に私どもが算定をいたしました実際の数字が八十四万件であったということでございます。平成七年十月末には百三十九万三千件ということで、飛躍的に伸びております。これは、この超低金利下で私どもが手を打ちました福祉定期貯金の意味がますます光ってきたということでございまして、これは逓信委員会でも何度か先生方から御指摘もございました。PRをもっとすべきではないかということをこの春の国会でもるる指摘があったわけであります。  私どもとしましては、郵便局窓口におきまして、老齢福祉年金や障害年金などの受給者の方々に具体的に窓口でお話をして、こういう福祉定期貯金というものがあるのですよということを話しながら勧奨をする。それからまた、窓口へのポスターの掲出あるいはリーフレットの常備、あるいは地方自治体や老人クラブ等関係団体に対しまして出向きまして、本省も出向きました。本省も、郵政局、郵便局、各方面、各機関挙げて出向きまして、そういった老人クラブ等の関係団体が発行いたします機関紙などにもこういった福祉定期貯金があるのだよということを載せていただく、あるいは新聞等マスメディアによりますPR等も行ったということと相まって、超低金利下の状況の中で、困っている人々が目覚めてきたな、これを使えばいいのだな、こういうことがあるのだなということが生きてきたということで、現時点では先ほど申し上げました百三十九万三千件ということで、相当飛躍的な伸びを示しておるということでございます。  福祉定期貯金、さらに一年間延長の方向も決めたところでございますので、なおこのような状況が続く中では、特に四・一五ということで十倍以上の金利ではございます。民間金融機関はコストが大変だと言っておりますけれども、私どもとしては、先ほどございましたように、積立金もあることでもございまして、こういうときに本当に報いていこうということで、さらに制度の一層の普及に努めていきたいと考えております。
  105. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 もう一点、この高齢化対策の関連なんですが、いわゆるマル老につきましてお聞きしたいのですけれども、高齢者等の利子非課税制度の非課税枠の拡大という要望がございます。こういった超低金利時代における、特に高齢者の利子収入の安定的確保のためにぜひやってほしいという声も強いわけですけれども、これに対する郵政省のお考えをお聞きします。
  106. 木村強

    ○木村政府委員 今御質問のございました高齢者等の利子非課税制度の非課税限度額につきましては、平成六年の一月に三百万円から三百五十万円に引き上げられたところでございます。利用状況は、二年弱たちますけれども、まだ普及の余地も残されているという状況でございまして、今後本制度のPRに一層努めてまいりたいということで、せっかくある制度でございますからできるだけ多くの方に利用していただけるよう、さらに普及拡大に力を入れてまいりたいと考えております。  なお、先生御指摘ございました、超低金利時代における利子収入の安定的確保のため、高齢者等に対する施策は非課税枠の拡大かということでありますが、今申しましたように、普及の余地も残されているという部分もございますが、これ以外にも先ほど申し上げました福祉定期貯金であるとか要介護者等生活応援サービスなども実現をいたしまして、トータルとして高齢者等の利益確保のための総合的な施策をこの超低金利時代に郵便貯金として実現できるように手を打ってまいりたい、トータルとしてそういった超低金利下の高齢者対策というものを考えてまいりたい、非課税枠以外にもそういった種々の施策を考えてまいりたい、このように考えております。
  107. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは、国内ボランティア貯金の提案のフォローアップ状況なんですけれども、既に郵政省には国際ボランティア貯金があって非常にこれは好評を得ておる、特にNGO等も非常に評価をしておると聞いております。実は通常国会の二月の委員会で、私自身も提案をしたわけなんですが、特に神戸のような状況を念頭に置いて、災害救助を対象にした国内ボランティア貯金の創設を提案をしたわけでありまして、そのときは前大出郵政大臣から比較的前向きなトーンでお答えをいただいたかと私は受けとめておるわけなんですが、その後の検討状況、具体化の状況をお聞きしたいと思います。
  108. 木村強

    ○木村政府委員 さきの阪神・淡路大震災を経験いたしまして、国内ボランティア活動に対する支援策の充実について国民の皆様から強いニーズがあったというふうに私ども承知しております。こういったことで、政府部内でもボランティア活動に対する支援方策等種々検討がなされておるわけでありますけれども、特に二月十五日の当委員会におきまして、遠藤先生から、非常災害時における国内のボランティア団体を支援する新たな制度創設についてどうかというような御提案もございました。  こういったもろもろの状況を踏まえまして、郵便貯金としても前向きに対処していこうということで検討しておりましたところ、今回、国内におきますボランティア活動に対する支援策としまして、国際ボランティア貯金の寄附金に対する海外からの期待度が高いということで、国際ボランティア貯金を流用するというやり方よりはむしろ新しい制度として緊急時にお金ががっと集まる、通常、貯金の利子、国際ボランティア貯金の場合ですと三月末に利子がおりてそれを使う、だから継続的、安定的な施策としては非常にいいわけですけれども、非常災害時といったような突発的な対応というような場合には口座を開いてきゅっと集める方がいいだろうということで、非常災害時のボランティア活動を資金面から支援する国内ボランティア口座、口座と言っておりますけれども、振替口座のことでございます。郵便貯金の窓口で振替口座にこれを適用したいということで、国内ボランティア口座というものを概算要求として出しております。  関係方面、特に厚生省ともよく連絡をとりながら今大蔵当局と折衝いたしております。大蔵省は、何もこんなことを国でやる必要はないのじゃないかというようなことを銀行局申しておりますけれども、やはりニーズが強い、ニーズを踏まえてやるんだということで現在折衝の最中でございます。各方面とも好意的に受けとめられていると認識しておりますが、問題は大蔵省でございます。実現に向けて年末さらに努力してまいりたいと考えております。
  109. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 郵政当局の御尽力は多とするわけでございまして、ぜひともこの方向でさらに知恵を出して具体化を進めていただきたいと思っております。  特にボランティアの問題は、先ほど質問された河村先生中心になってNPO法案というのを今提出をしておるところでございまして、今後の日本社会を考えますと、ボランティア活動が国民生活の中で大変重要な役割を果たし得るだろう。その中でも特にこういった災害救助とか公益性の高いボランティアについては、いろいろな視点から国の支援も考えていいのではないかと思っておりまして、今後ともこの問題は非常に大きな課題になってくると思いますので、ひとつこの問題を皮切りに、さらなるこういったボランティア支援の方策を郵政省としてもお考えをいただきたい、そういうことをここで要望しておきたいと思っております。  続いて、郵貯の民営化の問題に関してなんですけれども、民営化の議論についてはいわゆる民業補完論ということが言われておりまして、民間ができないところを官がやって、民間が育ては官は手を引くべきという議論が特に民間の方から強く言われておるわけなんですけれども、これに対しまして郵政省のお考えを伺いたいと思います。これは大臣にお願いします。
  110. 井上一成

    井上国務大臣 先ほど私は、現実の暮らしを支えているという、すべて安心という、短い言葉でまとめてしまえば。だから、そういう意味では、国民の皆さんのよりどころとしての郵政の果たしてきた役割を私はるる申し上げたのです。私はあえて別に横文字を好むわけじゃありませんが、郵政事業すべてがハートフルビジネスだ、こういうふうに言っているのです。  さっきも郵便で話しましたけれども、どんなときにでも生活者を中心に、高齢化社会に入れば高齢者を、例えば困っていらっしゃる、ハンディキャップを持っていらっしゃる方々に対しても常に現実をしっかりと見据えた中で、将来に向かって進むべき道を誤らずに取り組んできた、また取り組める。バブルの中でも、民間はどうなんですか、今私はそういう批判あるいはそういう評価についてはこの答弁の中では避けたい。しかし、常に責任を持ち、そして責任のある行動と責任のある仕事が果たせるというのは、私は、やはり国としてそれだけの使命と役割を担っているからむしろ胸を張って国民の皆さんに御協力をいただける。  そういう意味で、いろいろな考えをお持ちの方があって当然でございますけれども、遠藤先生は、今申し上げた私の答弁に、そうだ、そのとおりだとおっしゃっていただいていると私は思いますよ。思いますが、ここで重ねて、国民の信頼、安心、すべてを充足できる事業として郵政は精いっぱいこれからも頑張りますし、ぜひ強い御協力をいただきたい、このように思います。
  111. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今、私の個人の見解につきましても大臣の方から逆質問のような形であったと思うのですが、私自身は、この郵便事業、ほかも含めましてアプリオリにこれは官だ、これは民だという線は必ずしも引けないだろう。やはり国によっていろいろな経緯があり、歴史があり、状況があって、最も適した官と民の分担があり得ると考えておりまして、それの判断の基準は、やはり国民的な視点からそれは常に見るべきであって、それは郵政省の視点からでもないし、民間企業の視点からでもなくて、あくまで国民的な視点から官民の分担を考えるべきであると考えております。  その際の具体的な基準といいますか、一つは、今大臣もおっしゃった、安心、信頼性ということですね。ユニバーサルサービスの場合、やはりどこがやるのが信頼性が確保できるのかが一番大事な要件であると思います。それから二つ目には、効率性ですね。できるだけコストを低くするということが大事です。それから三つ目には、サービスの向上、多様化。こういった大きな点がバランスをとれて実現されたときに最も官民の分担がいいわけでありまして、こういったことを考えながら、バランス感覚を持って官民の分担を協議していくということではないかと思っております。  実は、新進党としても、この郵政事業あり方につきまして近く調査会をつくりまして、幅広く議論を、集約をしていきたいと思っておりますので、ぜひまたその結論を見守っていただければと思っております。  もう一点、郵貯の問題をお聞きしますが、財投につきまして非常に批判が高まっております。行政改革との関連もありますし、財投の肥大化につきましていろいろな問題点が出ておりますけれども一つ議論として、財投の肥大化は郵貯資金の増大にあるという意見があるわけなのでございます。こういった考えに対して、郵政省としてはどのようにお考えになっておられますか。
  112. 井上一成

    井上国務大臣 少し前段で私から、理解をいただいていると思うのですが、より御理解をいただくために、郵政の果たしている役割を少し申し上げておきたいと思うのです。  るる申し上げませんが、今ここに一通の、小学校六年生の女の子が、阪神・淡路大震災の被災に遭って、自分の先生からお見舞いの言葉をもらって、それに対する手紙を書くのですよ。そしてそのときに、郵便の果たしてきた役割、あるいは被災に遭われた方が、通帳も印鑑もなくした、そういう中で郵政がその人たちにどういう手だてをしてきたかということは、もう一々申し上げなくても遠藤先生よく御存じだと思うのですね。  名古屋から救援物資を民間の宅配業者にお願いをした。届かないといって断られた。郵便局へ持っていけば、それが二日かかった、三日かかった、でも確実に相手に、被災を受けられた方に届いた。そのときの喜び、そのときの安心、これがやはり、新進党で郵政事業について御議論があるということですから、あえて私、指名はなかったのですけれども、よく御理解をいただいて、国民の中に根づいた、暮らしの中に根づいた郵政事業に深く御理解をいただきたい、こういうことを前段申し上げて、あとは貯金局長から答弁をさせます。
  113. 木村強

    ○木村政府委員 財投の肥大化が郵便貯金資金の増大にあるとの考え方についてどうかという御指摘でございました。  財政投融資につきましては、おのおのの政策課題に対応する具体的な財投要求に基づきまして、大蔵省理財局が資金需要の審査を行い、資金運用審議会審議を経て、大蔵省が政府として計画を決定した上、予算として国会の議決を経て実施されるという仕組みになっております。したがって、大蔵省が財政投融資の事情というものを需要側から聞かれて、査定をしてこの額というふうに決められて、国会に提出をされて予算として実施されておるということでございまして、郵便貯金という原資の側の事情によって財政投融資の額が決定されているものではないというふうに認識しております。  具体的に見ましても、毎年度の財投実績の増減が郵貯の預託純増の増減によって左右されているという事実はございません。平成四年度の例によりますと、郵貯の預託純増が前年度に比べて減少しておりましても、財投計画実績は前年度に比べて増加をしておるというような事情等がございまして、必ずしも郵貯の原資が財投の需要を決めるということにはなっていないというふうに認識しております。
  114. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて簡保の問題をお聞きしたいのですが、簡保資金の最近の外国債の運用で、相当含み損が生じているという事態であろうかと思います。  簡保は、経営状態が急遽悪くなっているのではないかという認識を持っておりますが、特に、九四年末の段階で外国債の運用に関して九千億円の含み損が出ている。これは、大和銀行が一千百億円で大問題になったわけですから、それで米国追放という厳しい処分を受けたわけですから、大和銀行問題どころじゃないという見方もあるわけなのですけれども、こういった問題を非常に深刻に受けとめるべきではないかと私は考えております。  また、特に日本の銀行は、いろいろあちこち問題を起こしておりますが、その背景には、従来のいわゆる護送船団方式によって守られてきたために、リスク管理に対する非常に甘さがある、体質的に甘い。あるいは責任体制がはっきりしていないということに根本的な原因があって、そういう体質がこういった非常にグローバライゼーションの中で、自由化が進んだ中で急激に弱点を露呈しているという見方が一般的にあるわけですけれども、簡保資金の場合はどうなのかということ。  こういった九千億円という含み損に対してだれが責任をとるのか、リスク管理体制はどうなっているのかという点につきましてお答えをいただきたいと思います。
  115. 天野定功

    ○天野政府委員 外国債についてでございますけれども、国内債に比べまして高い利子収入が期待できるとともに、国際的にリスク分散ができるということから、私どもといたしましては簡保資金の資産構成面で有効な運用対象の一つと考えております。  昭和五十六年度から運用しておりまして、本年九月末現在では運用残高は約四兆円となっておりまして、現在の運用資産全体が八十六兆三千億ぐらいございますが、そのうちの四・六%を占めているところでございます。しかしながら、今先生御指摘のように、近年の急激な円高の状況の中で為替評価損によるデメリットも大きくなっているということで、目下のところ、為替変動リスクのない円貨建て債を中心にいたしまして、為替動向を見つつ慎重に運用しているところでございます。  ちなみに為替評価損は、先生御指摘のように、六年度末現在では九千億をちょっと超える状況でありましたけれども、現在は、最近の円安や償還等によりまして大幅に減少しております。これは、いずれにいたしましてもまだ実現していない、実損ではございません。  次に、外国債を含めました簡保の資金運用におけるリスク管理を含む運用管理体制についてでございます。  売買を担当する部門と資金決済部門とを分離いたしまして、さらに監査部門で運用リスク、資産の異動状況を把握するなど、責任分担と相互のチェック体制をしいているところでございます。また、外国債の為替変動リスクを軽減するため、先物外国為替を本年度の制度改善で導入したところでありまして、今後運用体制をさらに整備しまして、運用資産のリスク管理にも鋭意努力してまいりたいと考えております。
  116. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 市場は日々変動するわけですから、一喜一憂はするべきではないとは思いますけれども、ただ、やはり、余りにもこういった大きな含み損が生ずるようなケースはぜひ避けるべきでありまして、加入者の大事なお金を預かっておるわけですから、ぜひとも郵政当局としても、こういったリスク管理、責任体制の意識を強く持っていただいて、そういった、何といいますか、護送船団方式みたいな甘い体質はないということをぜひとも認識をしてこれから運用に当たっていただきたいということを強く要望をしておきたいと思っております。  続いて、簡保資金の運用なのでございますが、簡保資金、いろいろ運用には制限がついておりますけれども、これは不動産等に運用対象を拡大するという考え方もあるようでございますけれども、この点につきまして検討状況をお聞きしたいと思います。
  117. 天野定功

    ○天野政府委員 簡易保険では、加入者利益の増進を図るために、金融・経済環境の変化などに適切に対応し、簡保資金の運用の改善充実を図ることが極めて重要と考えておりまして、これまでも運用範囲の拡充に努めてきたところでございます。  来年度、平成八年度予算要求では、ただいま御指摘のとおり、不動産の長期運用及びコール取引の実施を重要施策に掲げ、現在要求をしておるところでございます。  不動産の運用につきましては、土地転売のような投機的な運用を行うものではなく、長期運用によりまして賃料などの安定的な収入の確保を図るものでございます。  また、コール取引につきましては、短期運用として、既に行っておりますCD、譲渡性預金でありますけれども、あるいは現先などのオープン市場での運用にあわせまして、コール市場、これは金融機関などが短期資金の過不足を調整する場でございますが、ここにおきまして、資金の出し手として参加することにより効率的な短期運用を図るものでございます。  来年度予算要求では、こういった不動産の長期運用、コール取引の実施というものを重点事項に掲げて、現在大蔵当局と折衝を行っている状況でございます。
  118. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 あと一点、簡保の関係なのですが、今簡保加入限度額の見直しについて検討しておられると思いますけれども、他方で民間生保からはいろいろ懸念が表明されていると私は理解をしております。そういった民間生保の動向をどう把握しておられるのか、また郵政省としてどう考えておられるか、その点につきましてお伺いをしたいと思います。
  119. 天野定功

    ○天野政府委員 簡易保険の加入限度額につきましては、基本額の一千万円が既に十八年以上にわたり据え置かれておりまして、その間の経済諸指標の伸びから見まして著しく低い水準になっておりますことから、今日の社会経済情勢にふさわしい妥当な水準にするため、来年度予算重要施策といたしまして、加入限度額の見直しを要求したところでございます。  これに対しまして、民間生保の方では、生命保険大会などにおきまして、加入限度額の引き上げは簡保の一層の肥大化につながり、民間生保を圧迫するなどの意見が表明されているところでございます。  私どもは、簡易保険が肥大化しているという御指摘に対しましては、保険本来の機能であります生活の保障を提供するという観点からは、保有保険金額で簡保と民保を比較するのが適当であると考えておりまして、これで見ますと、個人保険分野における簡保のシェアは、この十年間に一〇%程度で安定的に推移いたしておりまして、肥大化あるいは民業を圧迫しているという指摘は当たらないと思っております。  今回の見直し要求は、先ほど申し上げましたとおりに、国営の簡易保険といたしまして必要最小限の保障を提供するための要求でございまして、過去の限度額の引き上げ時の前後の状況を見ましても、限度額の見直しが簡易保険の肥大化につながるものとは見ておりません。  いずれにいたしましても、郵政省といたしましては、引き続き民間生保を初め関係の向きの一層の御理解が得られるよう努力してまいりたいと考えております。
  120. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて、高度情報化の問題につきましてお伺いをしたいと思います。  これはまず大臣にお伺いをしたいのですが、既に若干大臣の御意見も伺っておりますけれども、改めて、高度情報化の到来という大変重大な二十一世紀へ向けての課題につきまして、大臣としての個人的な哲学あるいはビジョンといったものをぜひお聞きをしたいと思います。  大出前大臣のときにも伺ったわけでございますが、大出大臣は、ある意味では非常に楽観的な見方をされていたのが非常に印象的でございまして、特に、日本が、確かにソフトではおくれているけれどもハードは非常に強いので大丈夫だ、ソフトもすぐ追いつくといったような、かなり楽観的な見方をされていたのが印象的だったわけでございますけれども井上大臣としてはどのような考え方をお持ちか、ぜひこの機会にお伺いをしたいと思います。     〔委員長退席、山崎(泉)委員長代理着席〕
  121. 井上一成

    井上国務大臣 まず私は、少し時間をちょうだいして、全般的な私の考え方を申し上げたいと思います。  今世紀、政治的な東西対立は別にいたしましても、技術開発が大きく進んだということは、これは間違いないわけであります。  しかし、二十一世紀はどうなっていくのであろうか。私は、いわゆる技術開発だけが進み、そこに取り残されるものがあったとするならば、本当に人間の暮らしが幸せなのであろうか、こういう疑問も抱くわけです。技術と精神文化とでも申し上げるのがいいのでしょうか、バランス、調和ですね、そういうことが大事ではないか。だから私は、技術、マルチ、あるいは大きくは二十一世紀は未知の世界だ、未知の時代だ。しかし、その時代をどういうふうにつくり上げていくかということになろうかと思います。  マルチメディアを、いわゆる高度な情報化社会を推進していくという一つの上に立ってどうしてもやはり考えていかなければいけないのは、情報格差ですね。情報の格差をつくってはいけない。それは社会の中にひずみをつくることになるのではないか、こういうことが一つあります。さらに、大量の情報が、本来人間が持つべき心を間違ったというか、ゆがませてはいけない。そういうことも私は考えなければいけない。  そういうことを起こさないためにはどうしていくかといったら、やはり文化的ソフトの充実を図っていかなければいけない。精神文化という言葉を先ほど申し上げました。ややもすると経済面だとかあるいはハード面だけに偏るということ、これはむしろ私は、本当に幸せというもの、生きる喜びというものを持つことができるのであろうか、こういうふうに思うわけです。  基本的には私は、そういう意味では、お互いに国を超えて、あるいは二十一世紀はもう国境というものはなくなる、個人の、世界じゅうがネットワークで結ばれていく、そういう時代でもあろうかと思います。そういう意味では、私自身は、マルチメディアの高度情報化社会というものは、今三点基本的なことを申し上げましたけれども、調和というもの、やはり十分バランスというものに気配りをしていかなければいけない。それだけ未知の分野に私たちはこれから向かっていくわけでありますから、そういう意味で、持てる叡智、知識でのみ世の中をつくるのではなく、知恵をどのように暮らしの中に、情報化社会の中に生かしていくか、こういうことが大事ではないでしょうか。  私はよく言うのですが、知識の知、知るという下に日を書くだけで叡智の智、いろいろ言葉の持つもの、そこには血液の血が流れることによって人間の体と同じようにぬくもりがあるわけなのですよ。動くことも可能なのですよ、動かせることも。ぬくもりがあるそういう世の中というのは、今申し上げたように、技術、ハードとソフトがバランスよく調和する、知との調和社会をつくる、そういうことが高度情報化社会を実現することになると。精神文化を横に置いて二十一世紀の未来は私は明るい世代だとは言い切れないと言って過言ではないんではないだろうか、こういうふうに思います。それぞれの持つ文化のよさをお互いが理解をする、情報というのは、相互理解、お互いが理解をし合いながらお互いが協力をする、そういうことが究極的には世界平和を築いていくということになるのではないでしょうか。  遠藤先生は非常に国際的にも御見識の高い方ですから、私は、そういう認識を持って、それこそ我が国のODAも含めて、例えば情報の基盤整備等も含めてどんどんと、政治的にもっともっと協力をしなきゃいけない分野も出てくるでしょう。それは政策の問題。しかし今は、哲学はどうだというか、考え方はどうだと言われてお答えをしているわけですから、あえてくどいようでございますが、バランスの、調和のとれた時代、そういうものが求められる二十一世紀、その未来をつくるその役割を郵政は担っていると私は認識しているんです。  先ほどまでは現実の役割をるる申し上げました。郵政事業、だから、国民の暮らしに深く根づいた郵政事業の現実と、二十一世紀をつくり出そうとする、喜びの持てる、生きがいのある暮らしをどうしてつくっていくかということについては非常に限りない可能性があるんですよ、二十一世紀には。新しい産業も生まれてくるでしょう、情報化時代に高度な通信情報基盤も整備していきますから。だからまあそういう意味では、経済活性化だとかあるいは雇用の充実だとかそういうことも申し上げたいわけですけれども、要は、バランスのとれたそういう明るい未来をつくる、そしてそれは郵政が、私は現実の未来を担った大きな使命を持った省だと、役割を担っていると思っているわけであります。  しかし、今申し上げたように、教育の面も大事でしょう。外交とか、国際的には外務省の果たしてもらわなきゃいけない役割も大事でしょう。そしてさっきお話があった大蔵省の仕事も大変でしょう。御苦労をいただかなきゃいけない。我々が理解をする、我々が認識することを十分御理解をいただいて、一緒にみんなで私が今申し上げたようなバランスのとれた明るい二十一世紀をつくっていきたいと、情報分野において、私たち郵政省は全力を挙げて頑張りますということを申し上げてお答えにしたいと思います。
  122. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 大臣の御見解大変明快でございまして、特に、バランスの問題、それから生活者の視点、それから情報弱者の重視といった点は私も非常に同感でございまして、共感を覚えるわけでございます。  ところで私も、今のこのマルチメディア、高度情報化問題が、技術先行、ハードが先行していることに非常に懸念を持っておりまして、このままの状態だと必ずどこかで破綻を来すのではないかと思っておりまして、そういったヒューマンニーズから出発する高度情報化、人間のためにどう役立つのかあるいは弱者にもどう役立つのか、そういうことを念頭に入れていかないと破綻を来すのではないかと思っておりまして、ぜひとも今のようなバランスのとれた視点で進めていただきたい、各論においてもぜひそういった御努力をしていただきたいということを要望しておきたいと思っております。  もう一点、このマルチメディア社会の到来の中で、特にグローバルな展開ですね、これは非常に私は大事であると思っております。世界全体は今、もうグローバリゼーションが進んでおりますし、ボーダーレスになっております。そういった中で、日本の国内の枠組みだけでこういった高度情報化を議論することは全くナンセンスであると考えておりまして、特にアメリカなどもGIIといった構想で大変グローバルな展開を考え、もうどんどん手を打っているわけでございまして、ある意味では生き馬の目を抜くような競争が進められている。そういった中で、日本が非常に狭い視野でとどまっていれば置いてきぼりを食ってしまうという危機感を持っておりまして、そういった意味で、グローバルな視点に立った高度情報化の推進ということが大変重要であると考えておりますが、こういった点につきましても大臣の考え方をお伺いしていきたいと思っております。     〔山崎(泉)委員長代理退席、委員長着席〕
  123. 井上一成

    井上国務大臣 先ほど私の物の考え方というものを申し上げました。ここで一つ私は具体的な事例を申し上げます。  九月の十二日に大阪で世界放送通信機構という総会が、これは国際会議ですが、持たれたわけなんですね。そこでやはりいろいろお話があって、二十世紀は科学技術万能の時代であったけれども、今はその物質文明の行き詰まった地点に遭遇しているんだ、こういう認識の中、平和的共存という目標のもとに情報通信のあるべき姿を追求しなければならないということで、先ほども申し上げましたけれども、また遠藤委員からもお話があったように、新たな情報化社会をつくっていくというヒューマニズムヘの深い洞察が必要であるということも言われて、そこでは議論になっているわけです。そして、ボーダーレス世界において安定した豊かな仕事と休息の空間は、技術よりも人の知恵と心によって築かれるであろうと、こういう発言もあるわけなんです。総じて、国の文化を守りながらソフトウエアを尊重していくと。個人と共同体のバランス、さっき私は技術と精神文化とのバランスを申し上げましたけれども、個人と国とのバランスですね、共同体、そういうことも今後必要になってくるという、まあこれはその国際会議の中の議論なんです。私は、もっともな御議論であるというふうに思っていますし、今後、やはりこういう意見を十分尊重しながら国際的に対応した役割を果たしてまいりたい、かように思っています。
  124. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは、今度は地域情報化という視点からお聞きしたいんです。  今グローバルな展開のお話大臣からありましたけれども、とともに、高度情報化社会の促進には、やはり地に足の着いた情報化というのは大変重要なポイントだと私は思っておりますので、この地域情報化に対する郵政省の基本的な考え方、特に、従来から推進してきましたテレトピア等ですね、地域情報化施策の評価、今認識している問題点等につきましてお伺いをしたいと思います。
  125. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 地域情報化ということは大変大切なことだというふうに考えている点はもう第一でございます。と申しますのは、御案内のように、高度情報通信社会推進本部がこの二月に基本方針を出されておりますが、その中で政府のとるべき行動原則が七つ示されております。その第一の柱になっておりますのは、「誰もが情報通信の高度化の便益を安心して享受できる社会」をつくるんだというこれが第一の柱でございます。「誰もが」ということでございます。そして、これを私どもは具体的な中身ということで理解しておりますが、第三の柱に、「活力ある地域社会の形成」に寄与するのだというのがこの行動原則の第三にあります。「誰もが」ということを実現していくためには、どうしても活力ある地域社会形成ができなきゃならぬ、こういうことであろうと私どもは考えているところでございます。  それから、それに先立ちまして昨年の五月でございますが、御案内のように、電気通信審議会から答申をちょうだいいたしておりますが、その中でも、一極集中の是正でありますとか経済構造改革という、こういった諸課題を解決していくためには、情報通信基盤の全国的に均衡のとれた整備を進めていくということが大変大切だというふうな提言をいただいております。  そういった意味合いにおきまして、私どもは各種の情報関係の施策を展開しておりますが、特にこれらの行動原則にのっとって、地域情報化施策というものが国土の均衡ある発展にとって非常に大事な役割を果たせるものというふうに考えまして、これを大事な柱にして進めていきたいというふうに考えている次第でございます。  それから、これまで進めてまいりました各種の施策、特に五十八年からテレトピアということで進めさせていただいております。これはもう既に十年強が過ぎているというふうなことでございますが、現在、百四十地域を指定いたしまして、各地域の実情に即したいろいろな形の内容の施策が展開されているということでございます。  これについての評価ということでございますが、確かにいろいろ問題は御指摘ございまして、例えば、ややハード先行型になっているのではないかとか、計画的な取り組みというふうなものが欠けているのではないかということ、あるいは、提供者側に立ったやり方になっていて利用者という視点に欠けているのではないか、あるいは人材というふうなことでももうひとついろいろ問題があるのではないか。それからもう一つは、第三セクターでやっているケースが非常に多いのですが、こういう形態で果たしていいのかどうかというふうな運営の形態の問題等々、私たちも検討し、あるいはいろいろな手当てをしていかなければならない問題があるというふうに考えております。  ただ、今実施をしておられます皆様方に、実はアンケートをとらせていただきました。その結果、これらの施策につきまして八割の方が、十分地域に対して貢献ができているというふうに自己評価をされておられるということでございます。  いろいろ問題はございますが、十年のところでございますので、私どももいろいろな評価をいたしまして、新しい施策というものを展開していかなげればいけないというふうに思っております。  なお、先ほど申しましたように、情報化の施策はテレトピア以外にもいろいろあるわけでございます。そこで、私どもがこれから施策を展開していく際に考えていかなければならないなという視点をちょっと御紹介させていただきたいと思います。  その一つは、これは一番プリミティブな話ですが、情報格差の是正ということでありまして、これは今、都市部と地方の間に情報格差がございます。例えば、移動体通信のための鉄塔の整備とか、あるいはテレビの見えない地域にいろいろな手当てをするというようなことで、いろいろ施策を展開させていただいておりますが、そういった現実にある情報格差というものをどう是正していくかという施策、これは非常に重要な第一歩の問題だと思っております。  それからもう一つは、いろいろなメディアを通じまして、地域が持っておられる特性、課題、こういったものをどういうふうに解決していくお手伝いができるかというふうな形での、こういった情報通信手段を使った地域活性化ということをやっていかなければいけないだろうというのが第二番目でございます。  それから第三番目は、来るべき高度情報通信社会におきましては、いわゆる広帯域あるいはディジタル、双方向、こういう機能をフル活用していろいろな施策が提言されておりますので、そういったものを、地域の皆さん方と、特に地方自治体の皆さん方と共同で、先導的な技術開発というふうなものを進めていくということが必要であろうと思っております。  それから、第四番目の視点としては、るる言われておりますが、地域情報発信ができるような、そういう地域にしていかなければいけないのではないかというのが第四点。  第五番目は、やはり仕事が来るようにということで、起業というふうな形の視点ということが大事なことかなと思っておりまして、いろいろ検討を、皆さん方にもサゼスチョン等いただきながら具体的な施策も展開してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  126. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今もるる御説明がありましたように、地域情報化の問題、まだ問題が多々あるということでございます。やはり地域情報化が成功しないとなかなか高度情報化はテークオフしないわけですから、先ほど大臣の御発言にもありましたが、そういった生活者中心の視点からもう一度よく見直しをして、方向づけをして、ぜひ地域情報化に成功すべく努力をしていただきたいということを要望をしておきたいと思っております。  続いて、ちょっと時間がなくなってきましたので、移動体通信の問題につきまして御質問したいと思います。  マルチメディア、いろいろ言われておりますが、移動体通信の分野が特に目立ってここのところ伸びているという客観的な状況にあるわけでございます。移動体通信分野の市場という点から見ますと、昨年の場合ですか、前年度比ほぼ三割近い伸びが記録されているということでございますが、恐らく携帯電話、自動車電話等、こういった移動体通信分野がまず先駆けてこれからマルチメディアの分野の中で地についた発展をしていくのではないかと私は見ております。  この分野は非常に重要でございます。といいますのは、やはりマルチメディアというのは、今後の日本の雇用を新たに吸収していく大きな一つの受け皿になるわけでございますし、新産業の創出、雇用の創出等で重要な役割を果たすものと考えているわけでございます。単に技術論的な話ではなくて、新産業の育成とかあるいは雇用の吸収、そういった面からもぜひ取り組んでいただきたいということを私は期待をしているわけでございます。  日本の経済の将来を考えますと、非常に今危機的な状況にあると私は思っております。特に、今の深刻な不況、循環的な要因では若干回復したとしても、構造的に非常に厳しい状況にあって、相当長期的に構造不況が続くのではないかと思っておりまして、特に雇用の面では非常に深甚な打撃がこれからも出てくるのではないかと考えております。  昨今の新聞を見ても、そういったしわ寄せが新規卒業者に非常に行っておりまして、特に、来年度の就職内定を見ますと、三人に一人は就職できないという状況にあるようでございますし、この状況はさらに悪化するかもしれないという見通しがあるかもしれません。  そういったことを踏まえて、移動体通信分野の発展につきまして、郵政省としてもどのようにこれを育成あるいは促進していくのか、そういった点につきまして、郵政省のお考えをお聞きしたいと思っております。
  127. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 今るる先生からお話のありましたように、移動体通信、具体的には携帯電話あるいは自動車電話というのは急速な伸びを見せております。  若干数字を拾って申し上げさせていただきますと、平成五年度末に二百十三万加入でございましたものが、平成六年度末には四百三十三万、そしてさらに現在、九月末では六百六十七万ということですので、平成七年度末には八百万程度になっていくのではないかというぐらい、大変急ピッチな飛躍を見せております。さらに、ことしの七月から始まりましたPHSも順調に展開されておりまして、九月末には十三万の加入を超えたという現状でございます。  こういうことに伴いまして、産業的にも、移動体通信の設備投資というのは大変急速な伸びを見せておりまして、本年度十月現在の予測でございますが、移動体通信だけで一兆一千百五十九億円を計画されるというようなことで、鉄鋼業の設備投資の予定が九千六百四十九億円でございますので、それを上回るような状況になってきたということでございます。こういった意味では、景気のエンジンにもなり得るような要素になっているのではないかというふうに考えております。  あわせまして、地域での移動体通信の普及に伴いまして、地域経済をも潤しているというふうに考えているところでございます。  そういったような観点で、昨年からことしの春にかけまして、移動体通信の調査研究会が行われました。その中におきまして、市場規模が昨年度末で一兆七千億円程度でありまして、雇用数が四万二千人くらいでありましたものが、二〇一〇年には、市場規模として十五兆七千億円、雇用数五十二万ぐらいに成長するのではないかと予想される一大産業群になってきているというふうに考えております。  私ども先生御指摘のように、新たな産業を創造する、そして雇用を創造していくというような観点で、二〇〇〇年ころの実用化を目標にしました世界規模で行われております次世代携帯電話、専門的な言葉でFPLMTS、こう言っておりますが、これの国際標準化活動に向けましても積極的な貢献をしてまいりたいと思っておりますし、さらに、イメージでいいますと携帯のテレビ電話というようなものにつきましても、その技術開発を積極的に進めていきたいというふうに考えております。  これまでも、セルラーの電話が普及する、そしてPHSが出てくる、こうなりましたが、そういう形で携帯テレビ電話のようなものに持っていけないか。一定の時期に一定産業、サービスが出てくるようにしてまいりたい。  さらに、新しい分野という意味では、道路交通情報というのが、マルチメディア産業としては大変世の中の要請があるというふうに言われているものでございます。新たな道路交通情報システム、VICSと言っておりますが、これの導入、そういったことにつきましても積極的に支援をしてまいりたい。そういうことで大きく景気あるいは雇用にも貢献できるのではないかというふうに考えているところでございます。
  128. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 ぜひ今の局長の御説明のとおりの方針で強力に取り組んでいただきたいと思っております。私は特に雇用問題を重視しておりまして、雇用問題の解決にとって重要な一つの部門でございますので、もう郵政省として当然そのように取り組んでおられると思いますけれども、さらに労働省とか通産省とか、あるいは文部省等と連携をとりながら、そういった新規雇用促進につきましてもぜひ強力に取り組んでいただきたいと要望しておきたいと思っております。  あと具体的な問題で、移動体通信について一つ質問したいのですが、携帯電話、自動車電話は非常に便利ではありますけれども一つ弱点があって、特に地下道とかトンネルですぐ切れてしまう。これは非常に使い勝手が悪いわけでございまして、非常に不便な点の一つであるわけでございます。  今後のこういった移動体通信の順調な育成を考える上からも、地下の弱点の克服ですね、トンネルそれから地下道等々。それをぜひ克服することが非常に大事なポイントではないかと思っております。利用者の一人として早急に対策を進めてほしいと考えておりますけれども、この点につきましての郵政省のお考え、対応を伺いたいと思います。
  129. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 先生からお話のありましたように、携帯電話、自動車電話が普及をいたしておりますが、地下街につきましてはなかなか整備が進んでいない現状にございます。そういった意味では、利用者の皆さん方の利便あるいは災害の際、非常時の手段というようなことを考えましても、地下の利用を容易にするという施策は進めなければならないというふうに考えております。  私どもとしましては、携帯・自動車電話が届かないところがないようにということで、平成三年度から移動体通信用の鉄塔の設備の整備に関する補助事業電気通信格差是正事業の一環でございますが、そういうものを創設して取り組んでまいりました。そして、その後平成五年度には、この補助事業の一環といたしまして、地下街におきましても携帯電話が使えるようにするという補助整備を追加いたしました。これを用いまして、例えば大阪の西梅田地下街とか、あるいはダイヤモンド地下街といったところで携帯電話、自動車電話が使えるようになったという現状はございます。  そこで、私どもさらに平成八年度予算というような観点で移動通信用鉄塔設備の整備事業を、平成七年度の予算に比べますと倍増いたしまして、今政府内部で要求をしているところでございます。そういった意味で、今後ともそういった地下街におきましても利用ができるよう、積極的な取り組みを進めてまいりたいというふうに存じております。
  130. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 それでは続いて、今度はNTTの問題を若干お聞きしたいのです。  経営形態の問題は既にいろいろな方から質問がありましたし、現時点ではなかなか答えにくい点も多々あると思いますので、より具体的な点をお聞きしたいのです。  最近NTTが市内網の開放につきまして決断しました。これは非常に重要な前進として評価をしたいと思っております。ただ、これをNCC側から言わせますと、NTTの回線接続料金の設定につきましてはなかなかやりにくいという苦情があるやに聞いております。特にNTTの場合は、料金の設定に当たって非常にコスト意識が薄くて、どんぶり勘定で透明性に欠けるということで、なかなか交渉がうまくいかなかったという意見がありまして、こういった点も、今後ぜひ透明性を高めていくということも必要ではないかと考えております。  従来三分十二・五七円だったのを最近十・四六円というふうになったそうでありますけれども、これもなかなか積算根拠が明確でないといった問題があるようでございまして、こういった点につきまして具体的な改善措置を考えているかどうか、郵政省にお伺いをしたいと思います。
  131. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 いわゆるNTTの市内網の開放につきましては、今年NTTが態度表明していたものをさらに明確にしたということで、あらゆるところで接続ができるというふうな取り組みになったということにつきましては評価ができるといいますか、競争政策上好ましいことだというふうに思っておりますが、この市内網の開放につきましては、技術的な条件がどうなるか、あるいは具体的に接続したときの料金がどうなるかという今後の展開ということがございます。  そういった意味では、接続する事業者、こういった方々との交渉が円滑にいって、競争がどんどん進むということを期待いたしたいというふうに考えております。一方、今先生からお話のありました長距離事業者との接続経済交渉につきましては、ひとまずことしの整理ができたということでございます。  私どもとしましても、かねがね事業者間の接続料金ということにつきましては、接続費用の算定方法やその根拠、会計資料というものをオープンにしていただくようにということで、NTTへの行政指導という格好でしてまいりました。もう一点は、接続費用を地域通信網を構成する設備要素ごとに公開する、よくアンバンドリングというようなことを言われますが、そういうことについても指導をしてまいったところであります。それから、費用の範囲を見直す、これは今先生お話のあったところでございます。  こんなことを踏まえまして、NTT等もそれについての方針を打ち出し、さらにパブリックヒアリング等を重ねてきたということがございます。そういった中におきまして、今回の交渉の中で従来より一定の金額は安くなりましたので、その分長距離の事業者の方もある意味の利益が出てくる。多分料金の値下げというふうに還元されていくものと期待いたしております。  今回の交渉の中で、例えばNTT自身の使う広告宣伝費あるいは試験研究費、そういったことについて話し合われまして、広告宣伝費等については一定の整理がなされたというふうに聞いておりますが、試験研究費あるいは減価償却の取り扱いについては継続的な課題になっているという状況でございます。これら残された検討課題については、さらに事業者間の協議を見守ってまいりたい、まず一次的には経済交渉でございますので、当事者間のお話ということになります。  そういった意味で、さらにまた市内網の開放というような観点からは、特に設備要素ごとの費用を算定するということにつきましても今回の見直しの協議に含まれていないということで、今後NTTにおける検討が進み、あるいは具体的に接続を希望する事業者との協議が行われていくというふうに考えておりますが、その協議が円滑に行われますことを私どもとしては期待をいたしているところでございます。
  132. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 この市内網の開放という問題、これは私はもっと早くやるべきだったと思っております。特に市内網の性格につきましては、今まで国民によって構築された公共財という性格であるわけでして、公道か私道かといえば公道であるわけでして、ぜひとも公道としての活用を進めるべきだと思っております。  特に今の市内網は、平均すると一回線一日に二十分間しか使われていない、非常に利用度がまだ低いわけであります。もっとこれを幅広く活用し、しかも安い料金で活用できればさらに国民生活は豊かになると思うわけでございまして、より安い料金で有効活用する、そういった公共財であるという認識をぜひ定着させるべきであると思っておりますが、これにつきまして郵政省の見解がお伺いしたいと思います。
  133. 五十嵐三津雄

    五十嵐(三)政府委員 先生お話のありましたとおり、NTTのネットワーク自体、特殊会社たる株式会社になっておりますが、そもそも百年以上かけまして日本の国が国民の財産として構築してきたという側面がございます。そういった意味合いにおきましては、特に市内の加入者網の部分は事実上独占という形になっておりますので、これを有効に活用していくということは国民利用者の利便にも欠かせないものではないかというふうに考えております。  そういった意味では、地域網をより安い料金で利用できるようになるということは、結局トータルでの料金の低廉化に結びついていくのではないかというふうに考えておりまして、できる限り透明性のあるもの、さらにアンバンドリングのような格好での要素ごとのコスト、これを明確にしていくというようなことにつきましてNTTを指導してまいりたいというふうに考えております。  そうした結果としまして、NTTと新規事業者交渉が円滑に行われまして、多様な接続というのが実現することを私どもとしては期待しているところでございます。
  134. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 大臣にお聞きをしたいのですが、今の答弁も踏まえまして、今後のマルチメディア時代に向けた電気通信料金のあり方についてどう考えられるか、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  135. 井上一成

    井上国務大臣 マルチメディア時代に向けての電気通信料金のあり方についてという御質問でございますが、今、マルチメディア時代の料金に関する研究会で御検討をいただいているわけであります。来年五月をめどに取りまとめをいただきたいとお願いをしているわけでありますが、中間的な報告を少し申し上げさせていただきたいと思います。  「望ましい料金体系」という形の中で、定額制料金のように「「量」の要素ができる限り少ない料金体系を基本に考えることが望ましい。」という中間報告はいただいております。今のは料金体系ですね。さらに、料金水準としては、「利用者が自主的に支払おうと考える料金水準」が限度、そういう中間報告でございます。さらにほかにも、ユニバーサルサービス等についても中間報告をいただいております。  いずれにいたしましても、郵政省としては、今御検討をいただいていますマルチメディア時代のユニバーサルサービス・料金に関する研究会から答申をいただき、マルチメディア時代の料金のあり方について積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  136. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 続いて、放送の問題に触れたいと思います。  いろいろ問題点はあるのですが、絞って一つ、ディジタル化の問題をまずお聞きしたいのです。  ディジタル化ということは、マルチメディア時代の到来に向かって最も重要な技術的なポイントであると理解をしておりますけれども、放送分野でもディジタル化は世界的な趨勢になっていると理解をしております。  そこで、郵政省として、放送のディジタル化のメリットをどのように認識をしておられるのか、また放送のディジタル化に関する諸外国の取り組み状況並びに我が国における推進方策についてどう考えておるか、この点につきましてお聞きをしたいと思います。
  137. 楠田修司

    ○楠田政府委員 来るべき二十一世紀には、技術革新を背景といたしまして、映像、音声、データ等の情報を自由に創造、加工、発信できるマルチメディア時代が来るわけでありますが、これを基本的に支えるものがディジタル技術であるというふうに承知しております。  このような技術のもとに放送のディジタル化を進めることは視聴者にとってどういうメリットがあるかと考えますと、一つは、多チャンネル化によりまして番組選択範囲が拡大する。二つ目は、画質、音質の高品質化による豊かな文化生活ができるだろう。三番目は、通信とコンピューター、こういうようなものと放送が融合いたしまして、より高度なサービスが出てくるというふうに考えております。  そういう意味で、放送事業者にとりましても、新たな多チャンネル化による新規需要が出てくるということがございます。それから、通信とコンピューターの融合分野におきまして、新たな市場への進出ができるということがあります。それから、これまでありました既存の放送ソフトを、ディジタル化によりまして多角的な利用をする機会が生まれてくる、このようなことがあります。  それから最後にまた、周波数事情というものが逼迫する中で、ディジタル化によりまして、周波数が非常に有効に利用できる、今までの何倍もの利用ができるというメリットもあるというふうに考えております。  なお、先生から外国の状況はどうかということでございますが、各国におきましても、放送のディジタル化ということを非常に推進しておりまして、アメリカにおきましては、もう既に衛星によるディジタル放送というものが開始されておりまして、百数十チャンネルの放送が既にやられておる。あるいは地上テレビのディジタル化計画をATV計画と言っておりますが、こういうものが進められております。また欧州では、英国におきまして地上テレビ、ラジオのディジタル化の計画がございます。そのほか、アジアにおきましても、香港や韓国におきまして衛星を用いたディジタル放送の計画が今進められておるところでございます。  そういう意味で、我が国としては放送のディジタル化の推進をどのようにやっていくかということでありますが、まず一つは、すべてのメディアに共通したディジタルの放送方式、技術基準のようなものでありますが、このようなものを策定するということが一つございます。それから、衛星ディジタル多チャンネル放送の円滑な導入、もう既に計画がありますが、この間JSATの星が上がりまして、これで数十チャンネルの放送をやろうという動きがございます。こういうものを円滑に導入したい。それからCATVもディジタル化する、光ファイバー化とともにディジタル化して、こういう連結がよくできるようなものにしていく。最終的には、また将来の、現在行われています地上放送、こういうもののディジタル化をにらんで放送技術の研究開発を進めているというようなことに取り組んでいるところでございます。
  138. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今、衛星ディジタル多チャンネル放送の導入に向けてヒアリングが行われていると理解をしておりますけれども、その実施状況内容につきまして、どうなっておりますか、お聞きしたいと思います。
  139. 楠田修司

    ○楠田政府委員 衛星ディジタル多チャンネル放送の導入の日本での現状でありますが、早ければ来年の春ごろから衛星ディジタル多チャンネル放送を導入したいという動きがございます。  そういう意味で、本年の九月十八日から十月六日までの間、各方面に、衛星ディジタル多チャンネル放送を導入した場合の問題点、例えば放送普及計画、どのくらいのチャンネルを置くかとか、あるいはマスメディア集中排除原則、今一社が一チャンネルとか二チャンネルとか決まっておりますが、多チャンネルになった場合どうするかとか、あるいは視聴者の保護をどうするかとか、ペイ・パー・ビューといって番組ごとに料金を徴収する場合の料金をどうするかというようなことをいろいろ聞きました。  既に全体として九十四件の御意見を聞きまして、そのうち委託放送事業、このディジタル多チャンネル放送の放送事業者でありますが、この参入希望者が五十一社ほど出ております。内訳としましては、希望でありますからそのとおり実施するかどうかわかりませんが、テレビジョン放送は七十七チャンネル、音声放送では百十チャンネルというふうな数字が出てきております。  また、制度関係については、できるだけたくさんの事業者が参入できるようにしてくれ、こういうふうな意見が出ております。そういうふうに放送の普及基本計画を変えてほしいと。あるいは、マスメディア集中排除原則も、一社ができるだけたくさんのチャンネルを持てるようにしてほしいというような御意見をいただいております。  省といたしましては、このヒアリング結果等を踏まえつつ、施策の案をまとめまして、必要なものは年内の電波監理審議会にかけて、できる限り来春の導入に間に合うようにしたいというふうに思っております。
  140. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 今のお話をお聞きしても、非常に今後急激に、技術的革新によりまして放送チャンネルが多様化するということが予想されるわけです。CATV、それから地上波、BS放送、CS放送あるいは衛星ディジタル放送等々いろいろな放送メディアが近い将来混在すると考えられるわけです。  多様化することはいいことなんですけれども、どう整理していくか、秩序正しくこれを運用するかということも大事な視点でございますので、郵政省としては、こういった放送の将来像をどう考えて、どのようなかじ取りをしようとしているのか、その点につきましてもお聞きをしたいと思います。
  141. 楠田修司

    ○楠田政府委員 先生御指摘のように、国民情報に対するニーズの多様化と技術革新の進展に伴いまして、地上放送に加えまして、CATV、衛星放送といったさまざまなメディアが登場しております。今日では、いわゆる多メディア時代と今なりつつあるわけであります。  しかし、これらのさまざまなメディアは、それぞれのメディアの特質というものを異にしておりまして、またその普及状況も、国民生活への浸透状況も現在異なっております。例えば、地上放送、これは一般の民間放送とかNHKの放送、ほとんどの放送でありますが、全国的な放送メディアとして、あるいは地域に密着した放送として、既に国民生活に深く浸透しております。一方、多くのチャンネル数を確保するということが難しゅうございます。  一方、CATVですが、これは地域に密着したメディアとして多チャンネルの放送を可能にするものであります。また、双方向機能を持たせることができるということで、将来の基盤ネットワークとして非常に重要な役割を果たすものだと思っております。  さらに、先ほどお話ししました衛星放送、これは、一つの波で全国、場合によっては海外をもカバーできる、それと同時に多チャンネルを可能にいたします。しかしながら、受信するためには各戸ごとに衛星アンテナが要るということで、まだ普及はそれほどいっていないという面がございます。  そういうような状況でございますので、郵政省としましては、このようなさまざまな特色を有するこれらのメディアを、それぞれの特質を最大限に生かしながら、場合によっては競争、競合し、またあるときは連携するというふうな形で、できる限り国民のニーズに合うような形で対応してまいりたいというふうに思っております。
  142. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 持ち時間が切れましたので終わりますが、最後に一点だけ大臣にお伺いしたいのですが、映像国際放送、これは我が国の国際化に大変重要な役割を果たすと思うわけでございますけれども、その推進に向けて、大臣の所見をお伺いをして、最後の質問にしたいと思います。
  143. 井上一成

    井上国務大臣 全く御指摘のとおりです。  私は、国際交流を促進していく意味で、さらに相互理解というか、お互いの理解を深めていく、そういう意味でも、映像国際放送は推進していかなきゃならない、とりわけアジア地域における交流を進めてまいりたい、私はこういうふうに思っています。  今郵政省として、そういう観点に立って、アジアの国々と一体として行う番組共同制作事業等を通じて国際交流をさらに一層促進してまいりたい、このように考えておるので、十分御理解をいただいて、御協力をいただきたいと思います。
  144. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 以上で終わります。
  145. 中川昭一

    中川委員長 小沢鋭仁君。
  146. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 さきがけの小沢鋭仁です。  きょうは、幅広く郵政行政について御質問をさせていただきます。  まず第一番目でありますけれども、先ほど来諸先生方からも意見が述べられてきたところでありますが、郵政事業あり方に関しまして御質問をさせていただきたいと思います。  以前、この逓信委員会の場で私もこの問題を取り上げさせていただいて申し上げたことがあります。昨今は、さきの自民党の総裁選の中で、小泉議員の方から、いわゆる郵政事業の民営化が訴えられ、国民的な関心を集めたところでありますので、改めて大臣の所見をお伺いしたいと思っております。  私は、前の逓信委員会でも申し上げたのでありますけれども、民営化と一言で言われておりますけれども、この郵政事業は、形は国営・非営利でありますけれども、特定郵便局を含めて、既に実質、相当のいわゆる民営化が行われている。ですから、私流の解釈で言うと、国営・非営利・民活型ということを前の質問の中でも申し上げたところであります。(「難しい話だ」と呼ぶ者あり)難しい話ではありません。いわゆる非営利でありますが、かなり民間的な発想を取り入れているという意味で民活型というふうに申し上げているわけでありますが、既にこの制度を明治のころから我が国は採用しているわけであります。これは本当に、ある意味では先輩たちの英知だなと思っているところであります。ですから、今から民営化をしていくというような話ではなくて、まさに明治のころから積み上げてきていただいているこうした形態を、しかしそこに安住することなく、さらに工夫を深めていただきながらやっていくことが我が国にとって重要なのではないか。  国民にとって大事な話は、これはもう諸先輩、大臣にも言わずもがなでありますが、その内容でありまして、だれがその任を担っているかということよりも、国民の一般的な意識は、どれだけ利便性があるか、そこの一点に尽きるのだろうと私は思います。ですから、そういった意味において、私は先ほど来、この制度は大事な制度だというふうに申し上げてきているわけですが、改めて大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  147. 井上一成

    井上国務大臣 先ほどから委員の皆さんからの御質問にもお答えをさせていただきました。今小沢さんの方からも郵政事業について十分な御理解をいただいていることに、私は、本当にありがとうと申し上げたいと思います。  もう重複を避けたいと思いますが、私は、国民の暮らしの中に定着した、いわば生活文化であるということを強く申し上げているわけです。また、国民の皆さんも、郵便局の果たしている役割を十分御認識いただき、理解を賜っていると私は受けとめているわけであります。  現行の三事業一体の非営利・国営というこの経営のあり方についても、国民の皆さんからもとより理解がいただけている、そして御協力を願っている、こういうふうに認識をしているわけでありますが、私は、それで甘んじることなく、さらに社会の変化に応じて国民の皆さんのニーズにいかにこたえていくか、そして先ほどから申し上げておりますように、ぬくもりのある、親しまれる、愛される郵政、郵便局としてどうあるべきか、職員一同、私も含めて研さんを積み上げてまいりたい。今も地域の拠点として、コミュニティーの拠点としての役割を大きく果たしている、そういう要素も多分に御理解いただけると思いますが、さらにこれからも精進をしてまいりたい、このように思っている次第です。
  148. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 続きまして、いわゆる三事業一つになりますけれども、官民の役割分担、そういった観点というのは同時にまた持っていかなければいけない話だと思っておるわけですが、その中で、来年度に向けて、要介護者等生活応援サービス、これを概算要求の時点から私どもも賛成をし、要求をしていこうということで今やっているわけでありますが、この問題を取り上げさせていただきたいと思います。  私は、結論から申し上げますと、こうしたテーマにまさに郵政が取り組むのは極めて大事だというふうに思っております。先ほど申し上げたように、官と民の役割分担、そういうものが一つある。その中で、民間は当然のことながら利潤追求というのが基本原理であって、そういった中では、効率化という話が重要なコンセプトになってくるわけでありますが、いわゆる非営利な金融機関ということで郵貯の問題を考えていきますと、そういった市場原理を超えた部分で、きめ細かな、今大臣のお言葉にあった、ぬくもりのあるサービスをしっかりやっていくというのは、まさに官民の役割分担を考えた上での重要な施策だというふうに私はこの案を評価をさしていただいておるわけであります。  そういったことで考えると、今いわゆる郵貯の貯金量、量の問題が話題になるところでありますが、量の拡大ではなくて質の向上に努めていく、そして本当に国民の皆さんたちが、特にこうやって立場の弱い方々に向かっての施策をきめ細かにやっていく、これこそが私は官の役割であるというふうに高く評価をしているわけでありますが、郵政省の御見解を改めてお聞かせいただきたいと思います。
  149. 木村強

    ○木村政府委員 昨今の情勢の中では、ややもすると郵貯肥大化論ということでいろいろな批判を耳にいたします。私どもは、今先生も御指摘のように、国営・非営利、個人に対する貯蓄の専門機関として汗水流して働いておるわけでありまして、そういった批判については、これまでも何度かございました、謙虚に耳を傾けて、臨調、行革審、先生方方面に御理解を得て、やはり国民のニーズを全うする国営郵貯として精進をしておるところであります。  そういう意味で、私どもは、これからも国民のニーズにマッチした、しかも先生今御案内ございましたように、金利自由化が進展をいたしますと、どうしても民間金融機関というのは営利追求でございます、株主への配当といったようなものが行動原理になるわけでありまして、個人に対するきめ細かなあるいは小口利用者に対するサービスというものはややもすればおろそかになりがちであるということでありまして、そこをきちっと国営郵貯が補完をしていくということは極めて大切だという認識でいっぱいでございます。  そういう中から、大臣の示唆等もございまして、今回八年度概算要求ということで、今先生御案内のような要介護者等生活応援サービスというものをぜひつくりたいのだということで、大蔵省に概算要求として八月末出したわけであります。この年末の中で八年度予算編成、政府原案ができる過程の中で精いっぱい努力をいたしまして、何とか実現にこぎつけたいということでございます。  いずれにいたしましても、豊かで安心して生活できる社会の実現は高齢化社会が急速に進展する中で極めて重要な政策課題でありますので、私どもは郵貯として、事業として、厚生省のように税金で福祉政策を展開するという立場にはございませんけれども、自助の精神で、国民の皆さんが郵便局にそういうものを利用したいというときに、そういう商品があって利用できるなという品ぞろえはやはりしておく必要があろうということで、経営努力、企業努力の範囲内で、極めてささやかではございますけれどもこういった介護サービスというものをぜひしたいという熱意でございますので、よろしく御支援のほどをお願いをいたします。
  150. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 私も応援をさしていただきたいと思いますので、量の拡大ということではなくて、今まさに木村局長の御趣旨のような観点で大いにやってまいりたいというふうに思っているところであります。  続きまして、同じく郵政事業でありますが、ゆうメイトに関しまして御質問をさしていただきたいと思います。質問の御連絡のところで二つに分けておりますが、時間の関係一つに絞って質問をさせていただきます。  もう諸先輩の皆さん方を初め御案内のとおりでありますが、ゆうメイト、非常勤職員の俗称ということで、平成元年からでありましたでしょうか、全国で働いていただいているわけであります。私もこういう逓信委員会に属している身でありますから、よく郵便局の方に参らしていただきます。で、一緒に職員の皆さんとお昼を食べたりしている中で、実は以前から女性の皆さんがいらっしゃる、以前にあの方たちはどういう人ですかということを聞いたときに、初めてゆうメイト、この制度を知ったわけでありますけれども、決して仕事場でありますからきらびやかな服装をしているということではないのでありますが、本当に職場の雰囲気が和やかで物すごく温かみがあるわけですね。また一方では、女性の社会進出の機会というのが大変今のこの雇用情勢の中で厳しくなってきております。そういった場合に、職場の雰囲気も和らぐし、女性の社会進出にも役立てるということの観点の中でゆうメイトといったような制度を、ぜひとも充実していただきたいというふうにお願い申し上げるわけであります。  同時にまた、昨年からだったと思いますが、短時間職員制度を導入していただいたわけであります。例えば、非常勤のゆうメイトの皆さんたちがなれてくれば、いわゆる短時間職員の方に移行していただくとか、あるいはまた今後の高齢化時代を考えますと、いわゆるシルバーの方で働く意欲がある、そういう皆さんたちもいらっしゃるわけであります。要は、退職をしていただいて、その後に今度は長年培っていただいた経験を短時間職員という形で生かしていただく。そういった意味で、こういうところをぜひ目配りをしていただいて進めていただきたいと思っているわけでありますが、ゆうメイト全体に対する取り組みあるいはまたそういった者の短時間職員への採用の道、お考えいただけるかどうか御質問をしたいと思います。
  151. 金澤薫

    ○金澤説明員 お尋ねのゆうメイトでございますけれども、このゆうメイトは、個々の郵便局におきまして業務上の必要性に応じて募集しているところでございます。応募がありますと、国家公務員法第二十七条に「平等取扱の原則」というのがございまして、性別にかかわらず公平に採用しているところでございます。しかし、このゆうメイトにつきましては、女性の応募者が非常に多うございまして、ゆうメイトの総雇用者のうち女性の占める割合が六五%ということでございまして、郵便局にいらっしゃると、女性のゆうメイトが非常に多いということにお気づきになるかというふうに思います。私ども、この制度をさらに充実してまいりたいというふうに思っております。  それから、もう一点のお尋ねでございますけれども、ゆうメイトについて短時間職員への採用の道を考えてはどうかということでございますが、この郵政短時間職員でございますけれども、これは、郵便業務の波動性から生じます一日四時間の恒常的な業務に常勤職員とほぼ同様の能率で長期継続的に従事するという、そういう制度でございます。一方、ゆうメイトでございますけれども、これは、一時的、臨時的な単純業務に日々雇用により短期的に従事する者というふうな整理となっております。  したがいまして、両者につきましてその求められる職務遂行能力が異なりまして、郵政短時間職員につきましては、選考採用を行うこととして採用試験というものを実施しております。いろいろな方が受験されますので、受験者全体の中での公平性の確保という視点もございますので、ゆうメイトの中で郵政短時間職員を希望するというのみで採用するということは現時点では非常に難しいかというふうに思っております。採用試験を受けていただくということが必要かと思料しているところでございます。  ただ、現状を申し上げますと、ゆうメイト経験者で郵政短時間職員の試験を受ける方も非常に多うございまして、試行段階で見ますと、採用者のうち約三割がゆうメイト経験者ということでございます。試験をお受けになることについては、これは奨励してまいりたいというふうに思っております。
  152. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 もちろん試験を受けて短時間職員になっていただくわけでありますが、どうぞ推奨をしていただいて、その道も開いていただきたいとお願い申し上げます。  最後に、もう時間がなくなってきているわけでありますが、マルチメディアについての御質問をさしていただきます。御連絡の二つの問題を一緒に、というわけにはいかぬですかね。御答弁は分けていただいても結構でありますが、一括してやらしていただきたいと思います。  もうこれは、諸先輩も皆さんおっしゃっていた話でありますが、産業政策としてこのマルチメディアということを考えますと、かつて二度の産業革命があったというふうに言われているわけであります。一つは御案内のように農業革命、それからもう一つは、蒸気機関、エネルギー革命であります、いわゆる通常言われておる産業革命。私は、このマルチメディア社会というのはまさに第三の産業革命だというふうに思っておるわけであります。以前も申し上げましたが、生活が一変します。産業構造で考えても、百二十三兆円、二百四十万人、郵政省の試算がありますけれども産業構造の中でも極めて大きなインパクトを持っていくわけであります。そういった意味において、大臣の所管されているこの事業をどこまでやれるかというのが、まさに今物すごく重要になる。かつて、先輩のお一人でありますが、網の文明ということをおっしゃった人がいます。ネットワークの文明ですね。私は、前の逓信委員会で光の国をつくるという話を申し上げたわけでありますが、まさにそういった国家的な大事業だというふうに思っているものですから、ぜひとも大臣の所見をお伺いしたい。  同時にまた、そういった話を本当にきちっと詰めていく作業というのが必要になると思うのです。ふろしきばかり広げていてはいけないわけでありまして、そういった意味では、各省庁はいろいろな中期計画を持っております。まさにそういった事業計画をしっかりした中期計画にまとめ上げてやっていくようなお取り組みをいただきたいと思うのですが、大臣の所見と、そういった中期計画をおつくりになられる意思があるかどうか、その二点をあわせてお願いしたいと思います。
  153. 井上一成

    井上国務大臣 私の考え方については、先ほど遠藤委員にも詳しく申し上げたわけで、できるだけ重複は避けたいと思います。  文化とは一体何だろうかという基本的な考え方の中で、やはり文化は常に文明のあるじでなければならないのではないだろうか。そういう意味から、先ほど、情報格差をつくってはいけない、それは世の中のひずみをつくることになる、そういうことであってはいけない、あるいは、人間本来持つべき心がゆがめられるというような状況をつくってはいけない、そういう意味でもソフト文化というか文化的なソフトをつくっていかなければいけないというようなことを私は三点申し上げたわけです。  今、産業革命の話が出たわけで、小沢さんがおっしゃるように、マルチメディアというのは今後の生活、暮らしを左右すると言っても過言でないと思うのですね。先ほども、未知の世界、それは、より豊かな暮らしがそこに生まれてくるというためにすべての英知を結集していかなければいけない。そういう意味では、限りない可能性を持った一つの展望もこれは持てるわけであります。  しかし、先ほども申し上げましたけれども、科学技術と精神文化とのバランスを保っていくという、さっき少し三点申し上げましたけれども、そういうところから二十一世紀の豊かな、平和な社会というものがつくり出されるのではないか。そしてそれは、高度な情報通信社会をすべての人が享受できる、すべての人が受けることもできる、利用することもできる、そういう社会でなければならない、そういうふうにも私は認識をしているわけです。そういうことが全部一つになって、社会全体が、暮らし全体が豊かに、生活がより向上していくということでなければならないのではなかろうか。  そのことにおいて、経済活動、雇用の問題もあるでしょうし、いわゆる景気回復、そういうような経済への活性化にもそういうことが役立っていく。ということになるならば、そういうことを求めるならば、今までの古い枠の中でとらわれた概念というものにいつまでも私たちは固定していいのであろうか。むしろ、既成概念にとらわれないで、新しい発想で、そして新しい方向を目指して、新しい取り組みを実践していくことが必要ではないだろうか、こういうふうに私は思うわけです。  これは、過去における産業革命、農業革命のお話が今ありましたけれども、私は、情報革命、新たな革命という表現はあえてみずからは使わない。むしろそこには、我々の歴史的な印象として、何と言うのでしょうか、革命という言葉よりも、新しい時代の新しい豊かな暮らしをつくっていくための大きな改革ではないか。それは、あくまでも平和的な手段で、さっき申し上げた暮らしの中に根づく平和的な手段で産業を興し、新しい産業をつくり、あるいは既存産業も含めて活性化が可能である。  これは言葉の問題ですから、過去における時代を大きく変えたというそういう意味では、農業革命だって産業革命だって過去に大きく変えたわけです。だけれども、二十一世紀、大きく変わるであろう、変えていかなければいけない。しかし、忘れてはならないもの、取り残してはいけないものというのを再三私は申し上げて、バランス、調和、これは精神文化というものをほっておいてそこに人間の幸せというものはやはり生まれない、そういうものをつくるのではないということを特に強調をさせていただきたい、こういうことでございます。  言葉が足りませんけれども、十分意を御理解いただければありがたいと思います。
  154. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 中期計画というお話でございますが、この新しいマルチメディア社会といいますか、国としてそういう社会を構築していく際に果たしていく役割というふうなことを広く多くの皆様方に御理解いただくという意味で、私どもは、実は昨年五月に「情報通信基盤整備プログラム」というものを出して、光ファイバー網の整備というものを中心にして計画を明らかにしております。  さらにもう少し幅広く、各種の具体的な課題について、目標でありますとか、その施策の方向性というふうなものを、大体五年間ぐらいのビジョンというものをつくっていきたいというふうにして、今準備に取りかかっているということでございます。
  155. 小沢鋭仁

    ○小沢(鋭)委員 質問を終わります。  ありがとうございました。
  156. 中川昭一

  157. 矢島恒夫

    矢島委員 本委員会でもこれまで何回も、またきょうも高度情報化社会の問題や、あるいはマルチメディアの問題についていろいろ論議されてまいりました。日本経済が大変な状況にある中で、雇用の問題というのは極めて深刻な事態になってきていると思います。この情報通信産業というものが不況に苦しむ日本経済にとっては特効薬になるような論議だとか、救世主だという論議も一方にはあります。また、それを危ぶむ声もあることも事実だと思います。  十月二十日だと思いますが、大臣が参議院の逓信委員会で、情報通信産業が「経済構造を改革するリーディング産業」という言葉を使われて、二百四十三万人の雇用が生まれる、数字を挙げながら、景気対策の先導役、起爆剤としていくのだという趣旨の答弁をされたと思います。  ところで、郵政省が最近出しました、十月二十三日ですけれども、「通信産業実態調査の結果について」、こういう報告書がございます。この報告書の中を見ますと、通信産業雇用実態、平成四年度から六年度にかけて、二万三千人、七・二%の雇用減になっているわけですね。同じ時期に全産業で調べた結果が出ておりますが、大変な不況の中でも二・三%の雇用増になっているわけです。どうもこの数字を見ますと、リーディングどころか、雇用の足を引っ張っているのではないか。  大臣、この現実の問題をどうお考えになっていらっしゃるか、お願いいたします。
  158. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 調査関係でございますので、ちょっと前にお話しさせていただきます。  情報通信産業は、今お話しのように、二十一世紀のリーディング産業というふうに期待をされているという意味で見ますと、今お話し調査でも、いわゆる新しい移動通信でありますとかケーブルテレビの分野というようなところで新規参入が活発に見られるということでございまして、こういう分野雇用の面で見ますと、平成四年度を一〇〇といたしますと、新規参入通信事業というのは一八七、八七・三%の増、あるいはケーブルテレビが五二・九%の増というふうな、大変大きな増になっているということでございます。  今申しましたこのような新規事業というものは、私どもが想定している将来の本格的なマルチメディア産業というふうな面から見ますと、言葉が適切かどうかわかりませんが、まだその初期段階のものということだろうと思いますが、それでもこういうふうに大きな雇用の場を提供してきているということでございます。  今先生お話しの、七・二%の減ということでございますが、これはNTTさんが企業としていろいろ努力をされなければいけないというふうなことだと思いますが、そういった意味での要員減をされているということが一つございます。それからもう一つは、NTTさんが電力でありますとか建築部門というものを分社化されておりまして、これが通信産業分野から不動産の方に業務が移っている、統計の分類上そういうふうに変わっているということがございまして、いわゆる統計上の扱いの変更ということもこの数字に大きく影響しているということでございます。  いずれにいたしましても、NTTさんがいろいろ努力をされているという現実と、それから一方では、これからの雇用の場を提供するであろうマルチメディア産業というものが、今非常に交錯をしているといいますか、そういうふうなものが見られるということでございまして、私どもとしましては、長期的に見れば、光ファイバー網の整備等によりまして、これを利用してその上に花開く新しい市場というものは大変な雇用を生み出すものだろうというふうに期待をしているということでございます。
  159. 井上一成

    井上国務大臣 今局長から詳しく答弁をさせていただきました。今日的な労働力の実態というものは私も十分承知をしています。今後、情報通信分野における新たな雇用の創出ということは、もう重ねて申し上げることはないと思いますが、大いなる可能性がある、あるいは目標値に私たちは近づけるように最善を図ってまいりたい、こう思います。
  160. 矢島恒夫

    矢島委員 そういうお答えですけれども、先ほど五十嵐局長の方からも、移動電話の問題等で詳しく数字を挙げてお答えがございました。  平成七年版の通信白書というもの、この八十四ページのところに「情報通信産業雇用動向」というのが出ているのですね。それを見ますと、狭い通信産業ではなくて非常に幅広い部分の統計をとっているのです。例えば、情報ソフトの部分も入っておりますし、情報関連サービス部門などもかなり幅広い対象になっています。  ここで見ますと、平成二年から四年にかけて、全産業雇用の伸びは五・三%であり、以下、情報通信産業雇用の伸びは一・一%にとどまっているわけですね。その中で、電気通信という部門を見ますと、これはマイナス七・七%。  つまり、伸びている、伸びているというお話はあるのですが、全体としてどうかという点を考えてみると、その部門では百五十何%とかいう数字は出てくるとは思います、それは、もともとが小さければぼんと上がりますから。ただ、こういう数値を見ますと、いわゆる通信産業全体で、ほかの全産業に比べて雇用が落ち込んでいるのではないかということがこの実態の中からあらわれていると思うのですよ。  二〇一〇年には二百四十三万人の雇用創出と電気通信審議会答申にあるわけですけれども、この答申を見てみますと、産業別に雇用創出数というのも出ていますね。それを見ますと、二百四十三万人のうち、六十七万人がいわゆる通信・放送分野、ここで新たに雇用創出される、このようにしているわけです。その下の方に注意書きがあります。この注意書きの中で「「通信・放送」とは、現在の電気通信事業や放送を指す。」こう書いてあります。これは私が先ほど挙げました郵政省の通信産業実態調査で対象にした分野と同じ範疇にあるわけであります。今は雇用をいろいろ減らし続けるこの部門が二〇一〇年になったらいきなり六十七万人もどんと雇用がふえる、こういうことがあり得るのだろうか、極めて疑わしい数字じゃないだろうかということ。  だから、狭い範囲での通信産業という部分でも、また広い意味での情報通信産業という部分でも、売り上げとか生産額は大きく伸びております。しかし、雇用では全体の足を引っ張る状態になっている。こういう状況になっているということに対してどう認識し、またどのような対策が必要と考えておられるか、お答えいただきたい。
  161. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 突然数字を出してのお話でございまして、今私ども、数字そのものに即して御説明はちょっとできかねるのですが、先ほども御説明いたしましたように、既存事業というのは、企業として軽量化、減量化の努力をされるのだろうと私は思います。同時に、情報通信産業という新しい分野、それは既存の放送という枠の中でもいろいろな競争というふうな形で企業は出てくると思いますし、それから枠を広げた形での産業というのも出てくると思いますが、そういったものが成長して、そちらの方で新しい事業というものが起こり、そして雇用を確保する場が出てくるというふうに考えられるのではないか。  ですから、すべてがふえる要素ばかりだというふうな形で私たちも御説明申し上げるということはできないと思います。ただ私たちも、二百四十三万という数字をお話をしたときに、これは雇用を創出する部分の数字でございますというふうにお話をしておりまして、マルチメディアの社会が進展していくことに伴いまして雇用の市場にどういうふうな影響があるのかということを今計数的にお話しするというのはなかなか難しゅうございます。というのは、企業自体、事業自体がどういうふうな影響を受けるかということについても御議論が今非常にたくさんあるというふうな状況でございます。ただ、非常に大きな新規の雇用の創出の場になっていることは確かだろうということでお話をさせていただいているということでございます。御理解いただけると思います。
  162. 矢島恒夫

    矢島委員 将来の見通しはともかくも、まあそれも確たる根拠はどうなのかということもあるのですが、現実の問題として、大変な不況の中で、雇用については不安が広がっているし、新卒者の状況なんというのは本当に大変な状況です。そういう中で、実際に今日の状況はどうかというのを見てみたいと思うのですね。  これは「エコノミスト」の九月二十六日、「フランスに学ぶ日本経済立て直しの処方箋」というので、真下俊樹さんという方とチェリー・リボーという、これはフランスの方ですが、一緒に書かれた文章です。  この中に、これは多分チェリー・リボーさんが書かれた部分だろうと思いますが、「日本政府はマルチメディアの分野で二〇〇〇年までに二〇〇万人の雇用を創出するとしている。だが、この分野では急速な省力化が進んでいる。技術集約的な製品やサービスへの需要増大が新たな雇用を生むためには、技術進歩がもたらす需要の伸びが、同じく技術進歩のもたらす生産性の伸びを上回る必要がある。これはかつての日本のような成長経済の下では可能だったが、低成長下では難しいだろう。ちなみにフランスでは、情報技術の進歩が一九七四〜八五年に一〇〇万人の失業者を生み出している。」こういう文章があるのですね。  私、通信産業分野での雇用の落ち込みの最大の原因がNTTにあるということは論をまたないと思うのですね。民営化した後、この十年間で十二万人の人減らし、特に平成不況と言われている時代に入ってから七万人を削減しているわけです。先ほど来お話があったNCCやCATV、これは雇用が少々ふえたからといって、この削減の数と比べてみたらどうにもならない状況じゃないだろうか。  こういう問題について私は二つの特徴があるのじゃないかと思うのですね。  一つは、確かに通信産業全体では売り上げがどんどん大きく伸びています。それにもかかわらず雇用が減っている、こういう点なんですね。郵政省の私が先ほど取り上げました実態調査、これではこんなふうな文章もあるのですね。「通信産業平成六年度売上高の実績額は、十一・六兆円で対前年度比六・一%の増で、全産業の伸び率が〇・〇%と低迷するなか堅調。」という文章を書いております。つまり、これから恐らく多くの産業の中で情報化が進展していきます。そうしますと、通信産業の売り上げがどんどん伸びるだろう。しかし、本当にそれが雇用にはね返るだろうかという、こういう危機感を持つわけですね。通信産業が六十七万人、本当にこういう新たな雇用が創出されるのか、非常に疑わざるを得ない事態も今日進んでいるということ。  それから第二の特徴は、いわゆる産業空洞化の中での問題であります。電通審の答申でも、また最近出された二十一世紀に向けた新しい情報通信産業の将来像研究会、この報告書を見ましても、製造業を中心にした空洞化というものの危機を挙げながら、やはり情報通信産業がリーディング産業になる、こういう方向が出されているわけですね。戦後の日本経済を引っ張ってきたのはいわゆる自動車を初めとする製造業、これにかわっていよいよ情報通信産業がリーディング産業になるのだ、こういうこの研究会の報告になっているわけであります。  ところが、実際に雇用の実態を調べてみますとそういうふうに言っていいのかどうか、産業の空洞化、こういう状況の中で果たしてリーディング産業が取ってかわるのかという懸念を持つわけです。  といいますのは、一九九一年の三月の雇用者数、これを一〇〇としていろいろな産業について九五年三月の実態を比べてみました。そうしますと、トヨタが九六という数字が出てまいります。日産が八六です。三菱重工が九七、石川島播磨が一〇四、東芝が一〇二、日立が九六。九〇台から一〇〇ちょっと、一〇〇以上というのは雇用がふえているわけですけれども。  こういう状況の中で、NTTが七六という数字が出ているのですね。実数で調べてみますと、トヨタ、日産、三菱の三社が減らした人数の約五倍減っているわけです、この間空洞化によって雇用者が減っている自動車産業、こういうものよりもはるかに大きく雇用を減少させている。これが通信産業の大企業であり、通信産業の中でリーディングカンパニーと言われているNTTだ。  こういう状況を見ますと、やはり長引く不況を打開するにはどうしてもGNPの六割を占める個人消費というものを拡大することが非常に重要だ。これはだれでも認めることですが、雇用問題がこういう事態ではますます日本経済の低迷という方向へ拍車をかけちゃうようなやり方じゃないか。将来構造を描くのもまことにいいのです、それは。将来こういうところがこうなりますよ、これもいいですよ。しかし、現実に起きている今日の問題について、情報通信産業が日本経済のリーディング産業になる、こう言っているけれども、逆に雇用不安を創出する産業になっているのじゃないか。こういう問題についても的確に今日の時点で対応しないと、将来はそうらしいけれどもというのでこれは夢物語になってしまうのじゃないか。大臣、この辺どういうふうにお考えですか。
  163. 山口憲美

    ○山口(憲)政府委員 再三同じようなことで恐縮でございますが、今回の調査の中で、減っている部分とそれからふえている部分というのは、その理由が違うというふうに私たちは思っているのです。  減っている部分というのは、企業として努力をされて、統計上の問題もございますが、そういうことだろうと思います。片方は、これからまだ初期的段階と先ほど申し上げたのですが、まだまだこれからということでございまして、これは雇用を生み出す場だというふうに思っておりまして、したがいまして、今の数字が、あるいはNTTさんのいろいろな努力の結果出てきたこの数字がすべての私どものこれからの新しい産業政策といいますか、そういったものの否定をするような理由には私どもならないというふうに思っているということでございます。
  164. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、将来どうなっていくかということについてはいろいろな見方があるし、また大きく広がっていくだろうという、これは希望が大きく広がると同時に、現実問題としてそうなることは望ましいと思いますよ。  しかし、現実の問題なんですよ。それはNTTのやっていることとこっちの産業では質が違うんだ、要するに省力化によってやっていくのがこちらだし、こちらは新しい産業としてこれからどんどん伸びつつある方なんだ。だから、現実の問題としてこっちは減っているわけでしょう。つまり、現実の問題として雇用がどんどん大変な状況になっている。しかも不況は、その雇用問題を含めて重大な状況だ。雇用を創出させるといいながら実際にこの部分は、それは分類上違うかもしれないけれども、現実の問題として数は減っているのですよ。そこが問題だということなんですよ。  それで、一緒に答えていただいても結構なんで続けますけれども、もう一つ、これは先ほども委員の質問の中に出たのですが、例の、各新聞いずれも取り上げましたが、NTTがさらに五万人の雇用を削減するという報道が昨日からきょうにかけて各新聞ありました。しかも、希望退職を五千人から六千人の規模で行う、こういう意向であるわけですが、今回のこの報道の前に児島社長がもうそのことを明らかにしているのですね。  これは、雑誌の「プレジデント」という七月号です。評論家の田原総一朗さんと対談しているのですね。その中で田原さんが「児島さんの頭の中にある「二一世紀のNTTの人員」は何人ですか。」、こういうことに対して社長は「いや、僕の立場としては理想的には一五万人体制を狙いたいと思います」、こういうことを話しているのですね。  問題はもう現実に起きているわけなんですよ。つまり、NTTが前回希望退職を募集した際に、労働省から再就職先の面倒を見ることを要請されたわけですね。ところが、NTTはこれを拒否しました。ですから、NTTが人減らしをしても、情報通信産業の他の分野でこれを吸収していくという保証はどこにもないのですよ、今。現実にそれが起きているのですね。  実態を申し上げますと、例えば希望退職に応じた管理職が再就職先を探すのには大変な思いをしているとか、あるいは収入が半減してしまったなんというのは雑誌やテレビで何回も取り上げられたり、いろいろな例が挙げられているわけですね。あるいは、NTTを退職したオペレーターが今度はパートとして働いた場合に、収入は大きくダウンするわけですね。そういうような状況で、本当にこれが景気回復になるのかと真剣に考える必要があるのじゃないか。  その上、今度はもっと大規模に減らすというわけですよ。これが新たな雇用不安を巻き起こしていくだろう、前回と同じように。こういうことが考えられますし、五万人といえばNTTの職員の四人に一人に当たるわけですから。あるいは規模でいえば、日産自動車が一つ全部なくなってしまうのと同じですから、これは。年間の経常利益は数億円も上げていながらしかもマルチメディア時代の成長産業であるNTTが、五万人もの雇用削減と発表すると、まさに中高年のリストラの問題やあるいは新卒者の超氷河期、こういう言葉に象徴されておりますように、雇用不安が一気に拡大していくのではないか。  NTTが一昨年三万人の削減、一万人の希望退職を発表したわけですが、これは大臣にお聞きしたいのです。当時の労働大臣でさえも、雇用不安を起こす懸念がある、こう表明されました。郵政省は、これは不況対策ではなく電気通信政策の問題だとして、不況と雇用不安をなくすという観点からの対応を全くしなかった。むしろ雇用削減を促進する立場に立った。  今度ももし同じようなことをすれば、情報通信産業というのは、大臣が言われるように雇用創出のリーディング産業ではなくて、雇用不安を創出するリーディング産業に本当になりかねないですよ。我が国の経済にも深刻な打撃を与えるだろうと思うのです。ぜひひとつこの点についてのお考えを。
  165. 井上一成

    井上国務大臣 私は報道では承知いたしましたが、正式にはNTTから郵政省の方にそういう報告はまだ参っておりません。  矢島委員御指摘のように、雇用に不安を持つということは、今の社会情勢としては就職それ自身が大変な時期ですから、それは社会的に注目されるということは認識をします。
  166. 矢島恒夫

    矢島委員 時間がないので、局長、申しわけありません。後で個人的にお伺いします。  残り時間が少ないのですが、こうしたNTTの人減らしの実際、これはいろいろな問題を今起こしているわけです。そこで、いらしておりますので、今度はNTTの方にお聞きいたします。  今年度末で銚子無線電報センターを廃止して船舶向けの電報は全部長崎に集中する、こうしているわけですが、船舶と陸上を結ぶ電報というのは特殊な分野ですね。船の航行の安全だとか人命にかかわる重要な問題だと思います。  この廃局に関しましてはいろいろな問題がありますけれども、まず一つは、長崎一局体制にすると通信のバックアップ体制がなくなるという大きな問題があるのではないか。あの阪神大震災の重要な教訓の中に、通信には必ずバックアップ体制が必要だということは、郵政省もまたNTTもお認めになっていらっしゃる。このバックアップ体制をどうお考えになっていらっしゃるか、これをお聞きしたい。
  167. 山森隆俊

    山森参考人 お答えさせていただきます。  長崎と銚子、今二つあるわけでございますけれども、長崎につきましては、先生御案内かと思いますが、通信所というのは諌早にあります。通信所と送信所と受信所という三つの設備があるわけですけれども、この建物とか通信の設備につきましては、いわゆる地震とか台風、その辺の問題、御当地ですから雪などは降りませんけれども雪の問題、それから水の問題、あるいは高台にあります、そういう自然条件の問題とか、その辺は十分に考慮された設計になっているわけです。  さらに、これは専門的になるのですが、通信ルートの二重化というのがありまして、これも現在さらに加えているものもありますし、そういう二重ルート化の問題もあります。それから、設備の予備を持たせている、こういう問題もあります。そういうところから、私どもとしましては、体制としては非常に十分なので一局で十分やれるだろう、こういう認識をしております。  なお、長崎では昭和五十七年に今のような設備ができたのですけれども、今日までサービスに影響を与えるような事故は招来していないのです。その辺もひとつ御理解をいただきたい、こういうふうに思っています。
  168. 矢島恒夫

    矢島委員 私はバックアップ体制の問題を聞いたのですよ。長崎は、非常にいい場所にあって設備もきちんとしていて、これは大丈夫だよと言っているときに、銚子がなくなってしまえば、何か起きたときにはなくなってしまうわけですよ。ですから、阪神・淡路大震災の教訓から、建物は大丈夫だったけれどもNTTさんの方は実際には発電機が使えなくなったという事態も起きているわけですよ。ですから、大丈夫だと言っても、どういう災害が起こるかわからない。そのときにバックアップとしてやっておく必要があるのではないかということをお聞きをしたのです。  そこで、もう一つお聞きしたいのですが、今まで私がこの問題を取り上げたときにも、通信衛星が発達してモールスによる通信がなくなる、こういう御答弁をいただいたことがあるのです。しかし、NTTは昨年一年間でここで四十九万通の電報を扱っていますね。しかも、海上を航行している船に衛星通信の設備を備えていない船もまだたくさん存在している、こういう状況です。ですから、いざSOSが受信できなくなるようなことがあったら大変だと私は思うのです。  海上における救難システムというのは確かに大きな転換期にあることはわかります。通信衛星を使ったGMDSSというシステムが導入されて、一九九九年にモールスは全部なくなっていく、全部移行する。しかし、海上保安庁に聞きましたら、このGMDSSを装備している船は、日本船籍の二万隻のうちたったの九十八隻なんです。あとはまだそういう装置を持っていないんです。  それから、異常に誤発信が多いということを海上保安庁は言っている。関東統制通信事務所に聞きましたら、昨年八月の時点で海上保安庁がGMDSSによって受信したSOSのうち、九二%が誤発信だったというのです。ここにイギリスの「テレグラフ」という新聞がございます。ここにも大きく出ているのです。これはことしの九月号ですけれども、この中に、GMDSSの誤報に関する新たな警告という文書が載っています。これは九六%が誤報だったというのです。  それから、通信がどんどん少なくなると言うけれども、昨年四十九万。あなた方の方は、今年度は二十八万で来年は十三万で、平成十一年になるとゼロになりますよという一つの計画を立てている。しかし、既にことしは上半期だけで二十万通の利用があったんです。そうすると、もう明らかにこの予想は狂ってしまったんです。これらの問題について、どういう状況になっているかお聞きしたい。
  169. 山森隆俊

    山森参考人 お答えさせていただきます。  これは口幅ったい言い方なんですが、GMDSSの関係につきましては、私ども見解を述べるのはちょっとあれなんでございますけれども、私たちの聞いています範囲で申し上げますと、従来のモールス通信による遭難通信のシステムですね、この辺の問題点がいろいろあって、そういうものを全部カバーリングした、そういうものを踏まえた最新の技術というものを用いて、非常に信頼性の高い自動化された通信を可能にしたものだというふうな評価を私はお聞きしております。それが一つです。  それから、運用面とか機能面でいろいろおっしゃった関係なんですけれども、導入のネックになるような問題があるとは私ども聞いておりませんで、仮にそういうものがあるとすれば、これはもう改善すべき点はどんどん改善をしていただくことになると思いますし、現在そういう状況にあるというふうにお聞きしております。  それから、この問題につきましては、日本を含めて世界の主要国が国際条約でやるというふうに、導入するということになっておりまして、先生おっしゃったように平成十一年に向けて今後急激に増加していくであろう、移行していくであろう、こういうふうに認識しておるのです。  そういうふうに私どもGMDSSについてはお伺いしておりますので、だんだんこれがテンポが進むにつれまして確実にモールスによる電報というのは減少していくでしょう。  それから、先生ちょっとおっしゃいました、ゼロになるとか、予想の問題でございますけれども、確かに我々は先生のおっしゃるような予想を立てておりました。ただ、はっきり申し上げますのは、着実に無線電報の減があるということだけ、これは事実でございます。それから、先ほど申しましたように、平成十一年に完全に移行するというのも事実でございます。しかも現在の、落ち幅は非常に当初よりも狂っておりましたけれども、この業務通数によりましても我々は長崎の一局で十分スムーズにサービスができるというふうに認識しておりますので、その辺もひとつ御了知願いたい、こういうふうに思っております。
  170. 矢島恒夫

    矢島委員 時間が来たので、大臣にもお聞きしようと思いましたが、やめます。  いずれにしましても、この銚子の無線局の廃止の問題というのは、NTT一社の問題じゃなくて、銚子、その周辺の自治体、それからそこに住んでいらっしゃる皆さん、それからそこで働いている人、それから船に乗っている船員の皆さん方が何とか存続できないかと。  バックアップの問題にしましても、SMARTというコンピューターシステムが故障したこともあるのですよ、ことし。そういうときに、船との通信ができなくなったんです。そういう事態が、つまりバックアップ体制の問題も非常にあいまいだし、もう少しこの問題は真剣に考えてもらう必要があるのではないか。  このことを大臣に要望いたしまして、終わります。
  171. 中川昭一

    中川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十一分散会