○佐藤(剛)
委員 わかりました。
また、NTTの児島社長が、いわゆる事実上独占しておりました市内通信網、これを電気通信事業者に全面開放することを決断した。これは新しい要素だと思うのですね。それから、長距離系の新電電、第二電電なりなんなりの交換機の接統の料金というのは難航していたのですが、その問題も一応引き下げで決着を図った、これも新聞報道で出ておるわけであります。
そういうことで、今このNTT問題をめぐりましていろいろな切り口で議論をやっているのでしょうが、私の切り口は、中立な
一つの
機関としてなっておる
公正取引委員会が、法律の運用なりなんなりの問題として、独占である、あるいは弊害が起きるかどうかという
一つのあれは非常に重要なものであるということで、
報告書が出てきましたら、またそのときにきちんと御
質問いたしたい、そういうことで留保させていただきます。
それから次に、ちょっと時間がないのですが、私非常に関心を持っておりますのが、持ち株会社の禁止というのが、
日本のポツダム勅令で入ってきて、それから私的独占禁止法ができて、その結果、独禁体系で持ち株会社が禁止になってしまった。
それで、これは私商工部会でも、この問題というのはそろそろ
規制緩和の
観点からでも見直すべきじゃないかというようなことで
お話し申し上げてまいったわけでございます。その根拠は、持ち株会社を禁止しているという先進国はないのですね。韓国を除きますと、
アメリカにもない、ヨーロッパにもない。
例えば具体的に言いますと、三菱油化と三菱化成というのは合併問題があったわけです。三菱化成と三菱油化がこういうふうに合併するのは認めるわけですね。独禁法では構わない。独禁法の届け出をすればいいわけです。ところが、この三菱油化と三菱化成の上に一種のホールディングカンパニーを設立いたそうとなると、いかぬわけですよ。これは独禁法第九条の持ち株会社の禁止の条項に違反してしまう。この持ち株会社というのは昔の財閥の話から来たわけです。
今
日本には
公正取引委員会という立派な
委員長を中心に置かれた
機能もあります。それから、そういう
機能をますます強化すべきだということを私は前回
質問をしたときにも申し上げておる。人員、組織の点、あるいは予算の面でもそういう形でやっていく。あるいはできるだけ
アメリカに近いような
観点で、
規制緩和と同時にやっていかないと、これはいろいろ、ダンピングの問題も出るしということで、私はダンピング問題を取り上げたこともある。
ですから、ある程度
アメリカの運用みたいな形で、粗利を例えば六%なら六%と決めておいて、そして、それより下がるものだったらこれはダンピングだという運用の方向で持っていくような形が、日米
関係あるいは日ヨーロッパを含めまして、これからの運用として、競争
政策として重要なことじゃないかというのが根底に
一つあります。
それからもう
一つは、これから新しい企業をつくっていかなければいかぬ。殖産興業ですが、ベンチャービジネスを。それで、ベンチャービジネスをどんどんつくっていこうというときに、ベンチャーのビジネスについて投資をする。子供をつくって投資をしていくわけです、大きくしようと。そうしますと、純粋の持ち株、今の部分でいきますと、これは持ち旅するわけですけれ
ども、これが抵触してしまう。こういう形はいかんともしがたい。
片一方で通産省の方の中小企業の法律をつくる、改正を商工
委員会でやる。ところが、重要なるところが手抜きになっておるというところが、私は持ち株会社問題について真剣に考えていただきたいということでございます。
いい例で言いますと、例えばソニーなんというのは、私が聞いたあれですけれ
ども、幾つもの事業部に分かれているのですね、A事業部、B事業部、C事業部と。それで、A事業部の方は、例えば海外投資なら海外投資だけを専門にするわけです。それで、あなたのところの今年度の予算は大体このぐらいでいいですよ、百億円なら百億円使ってやりなさい。B事業部というのは
国内の
関係のいろいろな業種の部門をやる。C部門はこれをやる。それは事業部制の部門みたいな形になっておるわけであります。そこには、そういう事業部制の担当はあれで、社長がここにいる。
ところが、その事業部というものをそれぞれ会社に分化してしまって、A会社、B会社、C会社、D会社としてやっていって、今のソニーの会長さんか何かがホールディングカンパニーとしてやっていく、それの方が新しい企業はよっぽどやりやすい。それぞれ、責任もつけやすい。ところが、それは独禁法の九条違反というか、九条で持ち株会社が禁止されておるからできない、こういう問題があるわけですね。
ですから、この
機会に、
規制緩和もさることながら、こういう制度というものを欧米並みにきちんとやっていただくということが必要だと私は思っているわけでございます。
それで、公正取引
委員長、この問題を非常に前向きに取り上げていただいて、あらゆる問題ということのようですが、改正問題
研究会を設置されるという
お話のようなのでございますが、その点について、今後どのようにこの持ち株会社の問題を取り扱い、それからどんなような形の手順でお進めになるかをお聞きいたしたいと思います。