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1995-11-07 第134回国会 衆議院 消費者問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十一月七日(火曜日)     午後一時二十一分開議 出席委員   委員長 大石 正光君    理事 小野 晋也君 理事 岸田 文雄君    理事 佐藤 剛男君 理事 青山 二三君    理事 鮫島 宗明君 理事 実川 幸夫君    理事 伊藤  茂君 理事 田中 秀征君       赤城 徳彦君    小川  元君       小此木八郎君    赤松 正雄君       伊藤 達也君    大口 善徳君       中村 時広君    岡崎トミ子君       竹内  猛君    矢島 恒夫君 出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮崎  勇君 出席政府委員         公正取引委員会         委員長     小粥 正巳君         公正取引委員会         事務局経済部長 塩田 薫範君         経済企画政務次         官       村田 吉隆君         経済企画庁調整         局長      糠谷 真平君         経済企画庁国民         生活局長    坂本 導聰君         経済企画庁物価         局長      大来 洋一君         経済企画庁総合         計画局長    土志田征一君         経済企画庁調査         局長      澤田五十六委員外出席者         外務大臣官房外         務参事官    北島 信一君         厚生省生活衛生         局食品保健課長 堺  宣道君         農林水産省経済         局国際部国際企         画課長     松本 有幸君         通商産業省通商         政策局総務課長 奥村 裕一君         通商産業省産業         政策局調査課長 迎  陽一君         通商産業省産業         政策局産業構造         課長      中嶋  誠君         通商産業省産業         政策局消費経済         課長      伊藤 隆一君         労働省職業安定         局雇用政策課長 青木  功君         特別委員会第二         調査室長    田中 宗孝君     ――――――――――――― 委員の異動 十月六日  辞任         補欠選任   嶋崎  譲君     岡崎トミ子君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等国民消費生活に関する件      ――――◇―――――
  2. 大石正光

    大石委員長 これより会議を開きます。  物価問題等国民消費生活に関する件について調査を進めます。  この際、宮崎経済企画庁長官並びに村田経済企画政務次官から、それぞれ発言を求められておりますので、これを許します。宮崎経済企画庁長官
  3. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 経済企画庁長官宮崎勇でございます。どうかよろしくお願いいたします。  当委員会が開催されるに当たりまして、今後の経済運営の基本的な考え方について簡単に御報告申し上げます。  現下の経済運営の喫緊の課題は、景気の先行きに対する不透明感を払拭し、一日も早く景気回復を確実なものとすることであります。  最近の我が国景気は、足踏み状況が長引く中で弱含みに推移し、特に雇用面中小企業分野では厳しい状況が続いております。国民生活も大きな影響を受けています。政府は、四月の緊急経済対策以降各般の対策を講じてきましたが、為替や株式市場に明るい兆候が見られるようになってきた機会をとらえ、新たに効果的な景気対策を打つべきと考え、去る九月二十日に、史上最大の総額十四兆円を超える経済対策を決定いたしました。  政府といたしましては、今後、本対策の着実な実施と機動的な経済運営を行っていくことにより、景気回復を確実にするとともに、中長期的にも我が国経済持続的発展を確保してまいる所存であります。  特に、中長期的な展望を開くためには、我が国経済社会が直面している構造的な諸課題を克服することが必要であり、そのため、第一に規制緩和の推進や社会資本整備等による高コスト構造是正と新産業の創出、第二に福祉、雇用政策等による生活面での不安解消、第三に経常収支黒字縮小と制度、仕組みの国際的調和等構造調整を進めることにより、経済社会システムの変革を進めていかなければいけません。現在、経済審議会に二十一世紀に向けた新たな経済計画の策定をお願いしているところであり、自由で活力があり、国民が豊かに安心して暮らせるとともに、国内外に開かれた経済社会の創造に努めてまいります。  我が国経済の高コスト構造のあらわれであり、豊かな国民生活実現の妨げとなっている内外価格差問題につきましては、個別分野ごと内外価格差実態調査を毎年一斉に行い、その要因を明らかにするとともに、競争環境整備輸入拡大に向け、実態に即した具体的な対応を進めてまいります。また、公共料金につきましては、今後とも公共料金の取り扱いに関する基本方針に基づき、個別案件ごとに厳正に対処してまいります。  ボランティア活動の促進につきましては、関係省庁連絡会議を設置し、法的整備などの必要性を含め、ボランティア活動環境整備のあり方について鋭意検討しており、その結果を早急に取りまとめたいと考えております。  今後とも消費者の保護、支援に積極的に取り組んでまいります。特に、皆様方の御尽力を得まして昨年成立いたしました製造物責任法が本年七月に施行となったところであり、原因究明体制充実強化裁判外紛争処理体制整備事故情報の収集、提供の充実強化など、関連する諸施策を一体的に講じてまいります。  最後に、対外経済面課題について申し上げます。  我が国経常収支黒字縮小傾向にありますが、諸外国の市場アクセスの一層の改善を求める声には依然として根強いものがあります。経済企画庁は、OTOや対日投資会議活動を通じて、市場アクセスの一層の改善外資参入環境整備などの施策を推進してまいります。また、これらの対外政策を通じて、国民生活を豊かにすることに努めてまいりたいと存じます。  以上、経済運営基本的考え方についてお話し申し上げました。景気回復を確実なものとし、二十一世紀に向けて我が国経済社会展望を切り開くため、微力ながら全力を尽くしてまいります。今後とも本委員会皆様の御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げたいと思います。  ありがとうございました。(拍手
  4. 大石正光

  5. 村田吉隆

    村田政府委員 ごあいさつ申し上げます。  このたび経済企画政務次官に就任いたしました村田吉隆でございます。宮崎長官を補佐いたしまして、景気回復を確実なものとし、二十一世紀に向けて日本経済社会展望を切り開くため、誠心誠意努力する覚悟でございます。本委員会皆様方の御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。  ありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  6. 大石正光

    大石委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也君
  7. 小野晋也

    小野委員 まず、質問に先立ちまして、このたび経済企画庁長官に御就任になられました宮崎勇長官の御活躍を心から御期待を申し上げたいと思います。  長官は、経済安定本部、さらにそれから発展的になりました経済企画庁で、長期にわたる経済行政に携わってこられました。そしてまた、民間シンクタンク日本経済を見守ってこられながら現実の感覚を身につけてこられた方でもございます。今、この時代大変混迷をきわめ、特に経済面におきます方向性を見失っているように思われる時代でありますだけに、宮崎長官脚力量に心から敬意を表し、今後の御活躍期待する次第でございます。  私は質問に先立ちまして、一つ、今の世相に対しましてこんな逸話を思い出したのでございます。それは北欧の逸話だというのでございますけれども、「三匹のカエル」というお話で、御存じの方もおられるかもしれません。  あるとき、三匹のカエルミルクのつぽの中に一緒に落ちてしまったのでございます。その三匹のカエルというのは、それぞれが考え方の違うカエルでございまして、一匹は大変悲観的に物事を考えるカエルでございます。そのカエルは、ミルクつぼの中に落ちて、そこから跳び上がろうと何度か挑戦をしてみるのでありますが、その縁が自分の届くところよりもずっと上にあるものですから、これはもうだめだ、何をやってももう自分には助かる見込みはないと言いながら、何もせずにぶくぶくとミルクの中に沈んでいって、そのまま死んでしまったというお話であります。  もう一匹のカエルは、非常に楽観的に物事を考える傾向のあるカエルでございまして、まあこういう苦しい事態になったけれども何とかなるさ、こんなふうに言いながら、このカエルも実は何もしないままにそのミルクの中にぶくぶくと沈み込んでしまって、これも死んでしまった。  もう一匹残されましたカエルはどんなカエルかといえば、非常に現実を厳しく見詰めながらも努力を怠らないカエルでございまして、このミルクつぼの中に落ちた状況というのは非常に厳しい状況である、これを認識しながらも、今自分にとってなせることは何かといえば、沈まないように一生懸命自分の身を支えることだ、こう考えて、手足を一生懸命動かしながらそのミルクつぼの中で泳ぎ続けていたというのであります。  この最後の一匹のカエルは、翌日、足元にかたいものを感じた。それで、何がそのかたいものであったかというと、そのカエルミルクを一生懸命かき回し続けた、その努力の成果でミルクがいっしかチーズに変わってしまった、こういうことでございます。そのチーズを足場にカエルがびょんと跳び上がったら、そのミルクつぽから無事外へ跳び出すことができた、こういう話でございまして、厳しいときに悲観的になり過ぎることもよくなければ、楽観的に過ぎて何の努力もしないという姿勢も正しい答えではない、正しい答えは、厳しさを率直に認めながら、その厳しさに対してみずからのなせることをベストを尽くして対応することである、こういう教えであろうと私は考えております。  この例え話に関連してくるわけでありますけれども長官の場合は、先ほど御紹介申し上げましたとおり、長い間霞が関官庁街政府立場から経済の問題を取り上げてこられました。そしてまた、退職の後は、民間の有力なエコノミストの一人としてこの日本経済を見守ってこられたわけでございますけれども、私ども、ずっとエコノミスト皆さん方活動ぶり、また経済企画庁のここしばらくの経済に対する姿勢等を見ております中に、先ほど申し上げた悲観的なカエルと楽観的なカエルに象徴されるような姿勢をとる向きはなかっただろうか、こんな思いがしてならなかったのでございます。  例えば、資料をちょうだいいたしておりますけれども、一九九三年の経済見通しの数値でございますけれども民間シンクタンクが、三・〇、二・九、二・三、二・一、二・三%の伸びである、こういうふうな予想をしているときに、政府の、経企庁の見通しは三・三%、それに対して実績経済成長率は何と〇・〇%という結果であります。そしてまた昨年、一九九四年の経済見通しを見てみますと、民間シンクタンクは、〇・三、○・六、〇・〇、マイナス〇・四、〇・三、こういうふうに言っておりますときに、政府が二・四%の見通しをとって、結果的にその実績は〇・六%。もちろん、経済というものは生き物でございますから、きのうまでの環境ときょうの環境が変われば当然その反応も変わってくるものでございましょうけれども、私ども日本経済状況を見ております中に、何かしら戦略的な対応というものを欠いた予測がひとり歩きしているのではなかろうか、こんなふうに思えてならないところがございます。  例えばアメリカ等ですと、経済予測というものを行うときに、単に経済界だけの問題ではなくて、政治面社会面等を含めた国際的な動きというものを、全体を織り込んで対応を進めてまいりますし、場合によれば、そのシンクタンク自身政府に献策をしながら世界戦略をつくり上げていくというようなことも行っているわけでございます。  この点に関しまして、経済企画庁という、長官が長年過ごしてこられた官庁立案力というのは、果たしてどの程度のものなのでしょう。特に、これだけ国際化時代が進行しておりますから、経済問題一つを語るにしても、国際的な大きな流れというものを把握しながら対応していかなくてはならないわけでございますが、この点に関して、長官の御所見をお伺いさせていただきたいと思います。
  8. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 今の御質問にお答えする前に、最初先生が、私並びに経済企画庁に対しまして、大変厳しく、かつ温かい励ましの言葉をいただきまして、恐縮に存じます。ありがとうございます。  経済企画庁、いろいろ仕事をやっておりますけれども、その一つ仕事は、翌年の経済見通しということもございますし、さらに長期的な展望に基づいて計画をつくるということがございます。今御質問の、長期的なビジョンというようなことに関連してでございますけれども、過去、経済企画庁では十二の経済計画をつくっております。そのときどきの国際環境あるいは国内の情勢を踏まえて、長期的な観点から問題をとらえ、そして解決の処方せんを打ち出しておりまして、それにはいろいろ失敗もございましたけれども、大筋において、いろいろの点で役に立ったのではないかと思っております。  それと関連いたしまして、毎年毎年の経済見通しをつくるわけでございます。今先生からは、民間見通しとの違い、特にこの数年におきましては政府見通しが楽観的に過ぎたという結果になっておりまして、御批判をいただきました。民間予測政府予測とは多少性格が違いまして、政府予測の場合には、手元にあります経済政策運営の可能な範囲内において、日本経済が望ましい姿になるためにはどうしたらいいかということで、政策の意欲を反映させる、あるいはできるだけ可能な範囲日本経済をそちらの方に持っていくという意味を持っているわけでございます。単純な、単純なというとちょっと言葉が適当ではないかもわかりませんが、民間予測とはおのずから性格が違いまして、一概に結果が大きく外れたとか外れないとかという比較はできないと思っております。  それにしましても、過去数年間の実績予測を比べてみますと、非常に大きな乖離があったということは事実でございまして、その点は率直に認めなければいけないと思います。  そういう結果になりましたのは、最初お話がありましたけれども、別にあらかじめ悲観論立場をとったとか、あるいは楽観論立場をとったということではなくて、現実に与えられている情報のもとで、可能な限り、達成可能な姿を描いているわけですが、内外経済環境ともに非常に大きな変化をいたしますので、その変化を十分に読み切れなかったという点はあると思います。いずれにしましても、そういう点は率直に反省をしながらこれからの年次見通しをつくらなければいけないと思っております。  その上に立って、長期的なビジョンをつくるわけですが、これからの日本経済を考えますと、従来のように、ただ所得をふやす、あるいは物をふやすということだけではなくて、経済問題の領域が大変広がっておりまして、内外価格差の問題ですとか、あるいは具体的に国民生活を豊かにするにはどうしたらいいかというような問題ですとか、あるいは国際的な調和の問題、これもただ単に経常収支の問題だけではなくて、例えば自然環境との調和を国際的な協力をしながらどういうふうに図っていくかというようなことで、非常に経済的な領域が広がっております。そういう経済領域を取り上げながら長期計画をつくっていかなければいけないわけでして、大変難しい問題ですが、従来の日本縦割り行政、それはそれなりの一つの効果をおさめたわけですけれども縦割り行政では必ずしも律し切れない問題を抱えているわけです。したがって、こういう問題に取り組むに当たっては、総合調整的な機能を持った行政機関があってもいいということで、私たちはそういう立場にあるというふうに考えております。  したがって、年度の見通しもそうですが、中期的な計画も、広い問題を総合的に取り上げるという観点で対処していきたいと思っておりますし、過去の経済企画庁、いろいろ過ちも犯しましたけれども、その点を反省しながら十分にこういう期待にこたえていきたいと思っておりますし、こたえられると信じております。
  9. 小野晋也

    小野委員 いろいろと御答弁をいただいたわけでございますけれども経済企画庁に期するところ、日本経済界として非常に大きなものがございますから、ぜひともその期待におこたえをいただける仕事を行っていただきますようにお願い申し上げたいと思います。  それに関連をいたしまして、日本の国におけるシンクタンク機能といたしますと、経済的な側面を取り上げてみましても、民間シンクタンクも、先ほど具体的な名前は挙げませんでしたけれども、随分たくさんのシンクタンクがございます。このあたりの御評価をということは非常に難しいものがあろうかと思いますけれども長官の目から見ていただきまして、日本の国のシンクタンクの力量は世界レベルから見てどのようなレベルに達しているというふうなお考えをお持ちでございましょうか。  また、経済シンクタンクとして経済企画庁総合開発機構等の大きなシンクタンクも外部にお持ちになったりもいたしているわけでございますが、この日本経済シンクタンク機能について、改善すべき点についてお気づきの点があれば率直な御意見をお聞かせをいただきたいと思います。
  10. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 ただいま日本シンクタンクはどれぐらいあるかという数字は、はっきりしたものはございませんが、今お述べになりました総合研究開発機構調査によりますと四百三機関がございます。これは非常に規模の小さいものも入っておりますが、それとは別にシンクタンク協議会というのがございまして、約六十ぐらいの機関から成っております。大部分は株式会社組織でございますけれども、そのほかに公共的な法人も幾つかございますし、いろいろの種類がございます。それから、機構といいますか規模も随分違いまして、十五人ぐらいのところからあるいは何百人の人員を抱えているシンクタンクもございまして、一様にその評価をするというのは大変難しいと思います。  お尋ねの、国際的な観点から見て日本シンクタンクレベルはどうかということですが、率直に申しまして、非常に数は限られているかもわかりませんが、日本のトップのシンクタンクというのは国際的にも高く評価されていると思っております。イギリスの戦略研究所ですとかあるいはアメリカのいろいろの研究所がございますが、そういうところと比べて余り遜色がないと思っております。ただ、残念ながら、日本研究機関報告書日本語で書かれ、あるいは発表するのも日本文で発表しておりますので、国際的に読まれる機会が少ないということはあると思います。  それからもう一つ日本シンクタンク政策提言というのがあるいは国際的な有力なシンクタンクに比べると少ないかなという感じがいたしますが、この点は最近は随分研究が進んでいるというふうに思います。  もう一つは、シンクタンクが個別に自由な報告をつくるということは大変大切でありますけれども、やはりシンクタンク同士でお互いに補い合うということで、シンクタンク総合力を発揮することも日本全体から見れば必要だというふうに思っておりますし、総合研究開発機構もそういう役割を果たしているものと私たちは思っておりますし、そういうことを進めなければいけないと思っております。
  11. 小野晋也

    小野委員 社会がこれからますます国際化が進展すれば、一つ一つ事件に対して複雑な関係を持ちながら事態が推移するようなことが多くなってくるでありましょうから、シンクタンクへの期待というものがますます強まってくるものと思います。ぜひとも、直接的な指導ということにはさまざまな問題があるかもしれませんが、両方を経験されながら大きく見ることのできる長官でございますから、そのお立場を離れたお立場の中からでもこのシンクタンクの育成ということについての御示唆をこれからもいただければと思う次第でございます。  引き続きまして、金融問題の方に少し移らせていただきたいと思うわけでございますけれども、最近、日本の国の銀行に対する国際的評価が非常に低くなってまいりました。バブル最盛期にはAAAと言われるような超優良銀行というのが随分たくさんあったわけでありますが、このごろはAランクというものはなくなってB,C,Dというようなところで日本金融機関がひしめき合っているというのはもう皆さん御承知のとおりでございます。それに伴いまして、最近よく聞くようになってまいりましたのはジャパンプレミアムという言葉でございます。日本金融機関経営悪化の問題、そしてさらに、今回アメリカにおける銀行活動に見られたような秘密体質というような、公開性が求められるはずの公的な仕事日本流のやり方というものがまだ残っているということに対する不信感が非常に色濃く反映しているように我々は感じております。  しかしながら、それだけではなくて、アメリカ国家戦略というのは、具体的に私どももわからないわけではございますけれども、これだけの貿易黒字を積み上げてきている日本の国から取れるところならばもうどこからでもいいからお金を取っていこうじゃないかというような意思が国家戦略上働いているのではなかろうかというような気持ちがしてならないのでございます。だから、アメリカ国内銀行に貸し出すお金よりも日本銀行に貸し出す方の利率を少しでも高くとりながら日本経常黒字を多少でも減少させていこうではないか、ちょっとうがった見方になるかもしれないのですけれども、そんな戦略があるということはないのだろうかどうだろうか。  そしてさらに、この一連の金融問題を通して日本金融界の力を弱めて、そして日本金融業界に、合併等手法等も使って、アメリカ資本系列金融機関がこの国に入ってくるためにさまざまな戦略が展開されているのではないだろうか、こういうふうに見えるところも私どものところにあるわけでありますけれども長官は幅広くそういう金融界を見てこられておる中で、このような考え方に立つことはできるものかできないものか、このあたりの御見解をお尋ねしたいと思います。
  12. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 最初お話しになりましたジャパンプレミアムについて一言申し上げたいと思いますが、これは最近ユーロ市場日本銀行お金を調達する場合に金利を上乗せするという現象でございまして、これは季節的な要因ももちろんありますけれども、その背景には今お話しになりました日本金融システムに対する不安というものがあると思います。特に、この夏以降いろいろ不良債権の問題が日本で問題になり、そしてごく最近では大和銀行不祥事件があったということから、国際金融界で一種の不安感が生じてジャパンプレミアムみたいなものが生じている。  これは、別にどこの政府が決めた金利ではなくて市場で決まる金利ですから、これはこれでいたし方ない、市場が決めることですから私どもの力の及ぶところではありませんけれども、その背景になっている問題は十分に考えなければいけないと思います。したがって、不良債権処理の問題あるいは大和銀行の不祥事の処理の問題は、速やかに、だれにでもわかるような形で行わなければいけないと思います。  それに対して、アメリカ政府あるいはその周辺が日本に対して厳しい態度をとっているということが何か日本経済力を弱めるアメリカ長期戦略ではないかというお尋ねだったと思いますが、日本経済を弱めるという意図は私はないと思っております。むしろ、こういうふうに国際間の依存関係が非常に高まり、特に資金の面においては日本の資金に依存するところがアメリカはもとより各国非常に大きくなっているわけでして、その資金の出し手である日本金融機関が不安定になれば世界経済に大変大きな影響を及ぼす、したがってこれはだれの目にもわかるような形で迅速に処理してもらいたいというのが私はアメリカ考え方であろうというふうに思います。  もちろんアメリカの中にもいろいろな考え方がありますから、強弱いろいろあると思いますが、少なくともアメリカ政府アメリカ金融機関考え方は、この共存の国際社会日本だけが変なことになるとお互いに困るということから発想が出てきているというふうに私は考えております。
  13. 小野晋也

    小野委員 それにまた関連いたしまして、今度は円レートの問題でございます。  国際金融上の円レート問題は、もうこれも皆さん御存じのとおり、対ドルベースでかなり今円安に振れる現状になってまいりました。その背景で語られるものは、今まで思っていた日本経済と現状の日本経済は違う、日本経済はかつて思っていたほど強くないという意味の国際社会の見方が色濃く反映しているというようなことを聞いているのでございます。とりわけ、各種指標によりましても、日本経済全体で生産性の上昇率を追いかけてみますとこの数年間著しく低くなっておりまして、アメリカですとかヨーロッパ諸国、とりわけアジア諸国等と比べてみると、日本の労働生産性等の指標がかなり低位安定であるというような形になってきているわけでございます。  そういうところから、円高基調、かつて七十円台に一度行ったことがあったわけでありますが、このような動きはもう既に終わったのではないだろうかというような観測も出てきているようでありますけれども経済企画庁としてのこの円の動きに対する判断はいかがなものでありましょう。  そしてさらに、海外から見る目というのは、今もう日本はマネーサプライをふやす、言ってみればインフレ政策に近いような対策をとっていくということを通してしか現状経済は打開できないのではないだろうかというような指摘が出始めているようでありますが、この点についてもどのようなお考えをお持ちでございましょうか。
  14. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 最初の、為替レートがどの水準が適正だということは、それこそ市場に聞かなければいけませんけれども、為替の水準の決定について二つのことを留意しなければいけないと私は思っております。  一つは、ファンダメンタルズを非常に離れてはいけないということでありますし、もう一つは、非常に大きな変動といいますか、スピードが余りにも速過ぎるというのは、上へ行くときも下に行くときも余り適切ではないというふうに考えております。つまり、できるだけファンダメンタルズの近傍で長期的に、安定的に動くということが為替相場としては望ましいのではないかと思っております。  それで、生産性との関係で申しますと、生産性が国際的な面であらわれますのは、国際競争力として貿易収支がどうなるかということでございます。最近の円高によりまして、輸出の競争力がそれなりに低下をして、最近では横ばい、まあ若干下降ぎみになっております。一方輸入の方は、市場開放政策もありましたけれども、円高によって非常に大きくふえているということで、全体として貿易収支あるいは経常収支の黒字は縮小に向かっているというふうに判断されます。もちろん、まだ絶対額としては大きな額でありますけれども、少しずつ減少の方向にありまして、これは国際的に調和のとれる状況になっていっているのではないかというふうに考えております。  これからますます生産性が上がっていくということになりますと、もちろん、日本の生産性の上昇のテンポは、今お話がありましたように少し鈍っておりまして、むしろアメリカの競争力が強化されているという状況ですけれども、非常に長期的に見れば、冒頭の楽観論悲観論の話ではございませんが、日本国民が持っている転換能力あるいは潜在力を活用いたしますと、日本の競争力というのは長期的に見でずっと弱くなっていくということではないと思います。  そういう意味で、これからは極端に円が安くなることも、それから急ピッチでまた円高に戻るということもないのではないかと思っております。これからは経済力を反映した為替で変動してほしいというふうに希望しております。
  15. 小野晋也

    小野委員 もう時間がないようですから、質問するつもりだったものを意見として表明だけさせていただきたいと思います。  今回の経済対策、先ほど長官からお話がありましたとおり、十四兆円を超える大規模対策を打ち出してまいりました。しかしながら、この十四兆円の対策のうち、国債、地方債を合わせると八兆円余りがこの財源として出されるというような観測もあるようでございまして、結果的に、この対策を通して日本財政が非常に厳しいところに遣い込まれていくことになるという現実を厳しく見詰めなくてはならないと考えております。  少し前を振り返ってみれば、日本社会は、土地や株券と言われるようなものに対して信用を与えて、そしてそれを必要以上に膨らました結果バブルとなって、それが破裂をしてしまい、その後遺症が今続いているわけでございます。今回のこの対策も、間違えば政府だとか地方自治体と言われるところの信用、これは信用があるといってもその担保は国民から取る税金でありますから、この税金がこれから増加する可能性がない状態で信用だけをどんどん与えていくということは、これはやはり過剰に膨らみ過ぎていずれ破綻するときを迎える可能性を持つということにつながってくるわけで、バブル体質を次々と切りかえながら新しいバブルを追いかけているというような今の現状に対して、大変な危機意識を私どもは持っております。  長官は、経済対策というのは量とともに質が重要というような御指摘をされながら、新産業育成のために、新しい分野を切り開くためにこういう事業を展開すべきだという所論をお持ちだということでございますけれども、今回の対策、並びにこれからも何度か打たねばならないような状況が生まれるかもしれませんが、経済運営の主管庁としては、実際に存在しない信用を空想的につくり出して、それに依存しながら形だけ膨らむというような経済対策に対してはぜひとも注意を払いながら展開をしていただきたい、この点だけ御要望させていただきまして、質問を終えさせていただきたいと思います。どうか、これからの御活躍をお祈り申し上げます。
  16. 大石正光

    大石委員長 岸田文雄君。
  17. 岸田文雄

    ○岸田委員 自由民主党の岸田文雄でございます。  宮崎長官におかれましては、この厳しい経済状況の中で長官という御大役に御就任になられましたことを考えますときに、ぜひ力いっぱい御活躍されますことを心からお祈り申し上げる次第であります。御活躍をお祈り申し上げまして、質問をさせていただきたいと思います。  まず、今日本が置かれております厳しい経済状況につきましては、今小野委員からの質問の中にも、長官とのやりとりの中で再三触れられた部分でありますが、この厳しい経済状況の中にあって、円高が修正されておる状況ですとか、あるいは九月二十日に発表されました政府経済対策、こういったものが効果をあらわすことにぜひ期待をしたいと思うわけなんです。  しかし現実は、経済企画庁も発表されておられます、例えば景気動向指数一つとりましても、一致指数あるいは先行指数ともに四カ月連続五〇%を割るというようなことが新聞等でも大きく取り上げられておるというような状況でありまして、先ほど長官のごあいさつの中でも弱含みという御表現をしておられたわけでありますけれども、見方によりましては、四カ月も連続して一致指数も先行指数も五〇%を割るというようなことであれば、これは下手したらもう下降局面ではないかというような厳しい見方もあるわけであります。決して楽観は許されないというのが現状だと思うわけです。  そういった状況にあるということを踏まえた上で、私がお聞きしたところによりますと、長官は、九六年度後半には経済協力開発機構、OECDの各国並みの成長軌道に乗せるというような御持論を持っておられるというお話をお伺いいたしました。ぜひ長官の御見識、手腕に大いに期待したいとは思うのですが、今のこの厳しい状況長官の持っておられるこの御持論との兼ね合い、そして長官の真意等、ちょっとそのあたりのことをお聞かせいただければと思うのですが、よろしくお願いいたします。
  18. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 お答えいたします。  現状をどういうふうに考えているかということでございますけれども、率直に申しまして、大変厳しい状況にあると思います。  これは、表現について予算委員会あるいは本会議で御批判をいただきました。政府の月例報告言葉はわかりにくいということで、今お述べになりました、私どもが使っている足踏み状況というのは一進一退と一体どう違うのかとか、弱含みというのはどういうことなのだというお話がありました。それぞれ刻々の情勢においてきめ細かく表現したいと思った結果そういう表現の変化になっているわけですが、いずれにしましても、一言で申しますと大変厳しい状況であります。  需要の面で見ますと、設備投資も民間消費も、回復はしておりますけれども本格的な回復というものからはほど遠いわけですし、住宅投資はこのところ低下を続けております。その上、輸出も横ばい、若干下降ぎみということでして、せいぜいふえている需要項目は公共投資で、全体としては非常に弱いわけです。したがって、生産も落ちておりますし、在庫がふえる、雇用情勢が厳しいということで、一言で言えば大変厳しい状況で、その点はいろいろな数字であらわれておりますけれども、今御指摘の景気動向指数でもう既に四カ月五〇を切るという状況が続いているわけです。  これを、もう既に春ごろから下降局面に入ったという見方をしている人がエコノミストの中でも随分おられるということは私どもも承知しております。ただ、この景気動向指数というのは、先生も御承知だと思うのですが、そこからの上昇局面とか下降局面を判断いたしますのは、大体半年ぐらい先に、客観的な立場におられる学校の先生方が中心にお決めになるわけであります。私どもは、今出てきております先行きを示します投資の動向予測調査ですとか消費者の消費態度というような資料から見ますと、経済は必ずしもこれからずっと下降局面を続けるというふうには判断しておりません。  たまたま株ですとか円で若干明るい兆しが出たところで、九月二十日に総合対策を打ちました。従来と違って今度の総合対策は、ただ単に内需の拡大だけではなくて構造的な面にも手を打っておりますので、今回はこれから確実に効果が出てくるというふうに判断しております。  ただ、本年度、九五年度について申しますと、足元の経済が非常に弱いということと、経済対策の効果はすべて年度内にあらわれるわけではございませんので、成長率としては残念ながら政府の当初見通しの二・八%は大変厳しいと思っております。しかし、年が明けると、これまでの公定歩合の引き下げというような効果も加わってまいりますので、景気回復の軌道に乗り始めると思っております。  それで、私が、できればほかの先進国並みの水準に戻ってほしいと申しておりますのは、例えば、IMFの予測によりますと一九九六年のG7の成長率の見通しは二・三%でございますが、それはきっちりとは申しませんけれども、その前後のところには戻していきたいなという気持ちがあったのでそういうことを申し上げているわけです。  ついせんだって、イギリスのイングランド銀行の総裁がやってまいりまして、来年の成長率はどうなるかという話が出た際に、できれば先進国並み、イギリス並みにはいきたいですねというような話をいたしましたら、総裁は、自分はイギリスの成長率を来年は二・五から三%ぐらいだと考えているということがありましたので、その数字きっかりではございませんけれども、少なくとも今の不景気状況は脱出して、ノーマルな成長にだんだん近づくということを期待しているということを申し上げた次第です。
  19. 岸田文雄

    ○岸田委員 ぜひ長官の御見識、見通し現実のものになって、明るい兆しが少しでも見えてくることを期待申し上げます。  それで、もう少し具体的な消費者問題について触れさせていただきたいと思います。  まず、PL法の問題であります。  製造物責任法、スタートいたしましてから四カ月がたっわけであります。この四カ月、振り返ってみますと、例えばPL保険の加入率が急速に高まっているというようなことが伝えられてみたり、あるいは企業の方も責任を問われかねない製品の製造をあえて中止に踏み切るというようなことが伝えられてみたり、あるいはさまざまな企業が、消費者に危険を警告するために、パッケージですとか説明書きですとかいろいろな工夫をしているというようなことが伝えられておる状況でありまして、総じて製品の安全性に対する意識というのは日本国内で随分高まっているのではないかということを感じるわけであります。この法律がスタートしたことによる効果というものを感じるわけです。  しかし、その一方で、この法律が施行される前から言われてきたことでありますが、この法律がスタートした後、紛争処理がいかにスムーズに行われるか、これが大切だということが再三言われてきたわけであります。そして、スタートしてから四カ月、この紛争処理という部分を考えてみた場合に、これは私は新聞等で見たことなのですが、例えば紛争に関して調停とか提訴はほとんどまだ行われていないというようなことが伝えられておりました。  まずは、PL法施行後の四カ月、この紛争に関して相談ですとか処理、現状はどういう状況になっておるのか、その現状について教えていただけますでしょうか。
  20. 坂本導聰

    ○坂本(導)政府委員 お答えいたします。  委員御指摘のように、製造物責任法、昨年成立させていただきまして、本年七月から施行させていただきました。この間、委員が御指摘のように、企業の態度が著しく変わりまして、いろいろな面でチェック体制の整備とか、あるいは製品の改善とか警告表示の修正とかやっております。  端的に申しますと、例えば岡山の備前焼はざらざらしている焼き物ですが、こうやると手が傷つく、これが欠陥じゃないかとか、机の上に置くと傷がつくから欠陥じゃないか。しかし、それをつるつるにしてしまうと備前焼の味が損なわれる。そこで彼らは工夫いたしまして、表示で、直接さわらないようにしてくださいとか、あるいは机の上に置くときには敷物の上に置いてください、そういう備前焼、伝統工芸品ですらそういったPLを考えて対応をしていただいているということでございまして、一般メーカーはもっとそれ以上の体制を整えていただいております。  それからさらに、保険加入がふえている。これも加入がふえることによって保険料率が下がってきている、半減しているという効果も逆にございます。  そして、この間、御指摘の件数がどう出てきているかということでございますが、これは、本年七月一日以降に国民生活センター及び各地の消費生活センターで受け付けました商品、サービスによる事故に関する苦情は、十一月六日時点で、人身に危害が及んだもの九百三十六件、それから人身に危害が及ぶおそれのあったものが七百二十六件、計一千六百六十二件でございます。ただ、これは七月一日に流通に置かれたものではなくて、むしろそれ以前のものであろうと考えております。  もう一言申し上げますと、この件数でございますが、毎年この危害、危険に関するセンターに寄せられる件数はふえております。しかし、昨年PL法が成立して以降その件数の増加が著しい、つまりPL法の施行に伴いまして消費者の関心度合いが高まってきているということでございまして、施行以後というよりも成立以降ふえてきているという傾向にございます。
  21. 岸田文雄

    ○岸田委員 各地のセンターに今おっしゃったような件数、いろいろな案件が持ち込まれておるというお話であったわけでありますが、要は紛争の処理機関処理の仕組み、これがうまく機能しているかということを考えた場合に、調停とか提訴にまで至ったような件というのはあるのでしょうか。
  22. 坂本導聰

    ○坂本(導)政府委員 七月一日以降に流通に置かれた製品が対象でございますので、まだ裁判等に至っている事例はないようでございます。
  23. 岸田文雄

    ○岸田委員 調停や提訴の案件がないということは、これはある意味では評価しなければいけないのかもしれません。問題が本当に発生していないのであれば、それは法律の浸透によって意識が高まって、効果が出ているというような評価もしなければいけないのかもしれません。  ただ、聞くところによりますと、先ほどおっしゃったように、千六百を超えるような件数が持ち込まれておる。そして、その問題の解決、現実にどう解決されているかということをよくよく聞いてみますと、結局当事者が相対で、水面下で物事処理してしまうというようなケースが随分多いというようなことがあったり、また消費者自体が法律の趣旨を十分理解していないがために、どうも何か的外れの相談事をしてくるとかいうようなケースもあるということも聞くわけであります。  しかし、さらにやはり気になるのは、この紛争処理の部分において、紛争処理機関に対する信頼性、あるいはこのシステムが本当に利用しやすいものになっているかどうか、消費者にとって十分理解されて利用されやすいものになっているかどうか、この部分が気になるところであるわけです。  例えば、各業界が、PLセンターというようなものをつくって苦情の処理に当たっておられるわけですけれども、この各業界がつくったPLセンター、資金も人材も各メーカーに頼っておるような状況でありますから、このPLセンターの中立性に対する疑問というのは前々からあったわけでありまして、私も、ことしの二月に当消費者問題特別委員会質問に立たせていただきましたときに、業界がつくるPLセンターの中立性、公平性あるいは透明性、こういったものをいかに確保するかということが大切だということで、その辺について対応質問させていただいたわけです。  その質問をさせていただきましたときに、二月の時点では、通産省の方から、通達を発することによりまして、紛争処理体制の整備を要請する中で、人的、資金的に中立、公平な組織のあり方、紛争処理の手続、紛争処理結果についての透明性の確保について基本的な考え方を示して指導を行っておる、通達を発することによって指導を行っておるというようなお答えをいただいたわけであります。  指導を行っておられること、大変結構なことでありますけれども、実際に効力を発して実を上げているかということ、これが気になるところであります。何よりも、消費者からこういったPLセンター等の紛争処理機関が信頼を得ているかどうか、これがやはり気になるところであります。それで、こういった紛争処理機関消費者から信頼を得るためには、私は何よりも情報の公開というものが大切ではないかというふうに思うわけであります。  そこで、お伺いしたいのですが、こういった紛争処理機関処理の内容あるいは手続、それから結果についての報告、公開については、現状どういう状況になっておるか、お聞かせいただけますでしょうか。
  24. 伊藤隆一

    伊藤説明員 御説明させていただきます。通産省の消費経済課長でございます。  御指摘のございました製品分野別の裁判外紛争処理機関につきましては、まず現状として、この四カ月間で一般消費者、事業者の方から三千件ほど、通産省の関係ですと六つそういうPLセンターがございますが、その六つ合計で約三千件の相談や問い合わせが寄せられております。  内容的には、PL法の内容あるいはセンターの業務内容、そういったものについての問い合わせがまだ中心でございまして、具体的な製品事故に関する相談というのは、その三千件のうちの約三%という程度の件数でございます。  処理状況ということに関しましては、問い合わせがそういうことで極めて多いということから、説明で終わっているものというのが九割方でございます。次に、メーカー等へその案件を取り次いだものというのが、先ほど申しました三%の製品事故の案件に加えて、品質、性能等に問題があるという、これは苦情に当たるものですけれども、そういうものも含めて六%ほどメーカー等に取り次いでおりまして、あと現在、処理について内部で検討しているものが四%程度ということでございます。  あっせん、調停についての状況でございますが、まずあっせんについて、あっせんで和解が成立したというものが一件この十月に起こっております。調停に至ったものはまだないというふうに承知しております。  次に、もう一つの御指摘いただきました、昨年十月に当省としては通達を出しまして、製品分野ごとの知見を生かしつつ中立、公平にやってほしいということで、組織とか人員の問題について指導を行ったところでございまして、その中では、処理状況等についても適宜、当事者のプライバシーという問題はあるわけでございますが、そこに留意した上で、その公開に努めるよう指導しているということでございます。  これらのセンターでは当然、今後ともずっと製品事故に係る紛争処理機関として活動を続けていくためには、何より消費者から信頼を得るということが不可欠でございます。それがなければ、ある意味でお客さんという言い方は変かもしれませ んが、だれも来てくれなくなるということで、消費者からの信頼がまず第一の前提だということで、その点、各機関とも十分自覚して対応していただいているというふうに考えております。  具体的には、この四月から六月にかけてみんな発足したわけですが、中には毎月あるいは隔月とかそういったぐあいでニュースレターのようなものをつくりまして、その中に相談の状況等を書いて広報したり、あるいはもちろん、パンフレット等で手続の流れ、そういったものを広報したりというようなことで、できるだけ消費者の方々に理解していただけるように活動しているというふうに考えております。
  25. 岸田文雄

    ○岸田委員 指導されて公開に努めるよう促しているというお話であったわけでありますけれども、これは自主性に任せて公開に努めてもらうという程度ではなくして、本当に消費者の信頼を得ようと思えば、紛争を処理した場合の内容、結果を公開すること、報告すること、これを義務づけるぐらいのことまでやる必要はないのだろうかという気がしております。  そのように考えますが、通産省として、この情報公開のあり方、その内容、結果の報告のあり方、これは今のままでいいと思っておられるのでしょうか。それとも、将来義務づけることまで考える必要がないかどうか、それについてお考えをお聞かせいただきたいのですが。
  26. 伊藤隆一

    伊藤説明員 その点に関しましては、先ほども申しましたが、各機関、これから活動をする上での最大の前提が、消費者から信頼されるということであるわけでございます。そのためには当然何をすべきかは自分たちでわかっているというふうに我々も考えておりまして、そういう意味で、当事者のプライバシーの問題もございますので、義務づけるといったようなことについては、今のところ考えておりません。
  27. 岸田文雄

    ○岸田委員 ぜひ、信頼性の確保という面から、どこまで踏み込むかという具体的な問題はあるのでしょうけれども、前向きに御検討いただきたいというふうに思います。  そして、この紛争処理に関しましては、さまざまな機関があるわけですけれども、紛争処理機関によって対応が違うというような不公平が生じるということになると、これまた信頼を損なうことになると思うわけです。ここへ行った場合と別の機関に行った場合と対応が違うということになりますと、これは当然信頼を損なうことになるわけです。そういったことから、紛争処理機関同士の情報交換というもの、この必要性も言われることになるわけであります。そして一方、手続を整理、システム化することによって消費者にわかりやすくし、そして利用しやすくすること、これもまた紛争処理機関のあり方として大切なことではないかというふうに思うわけです。  そこで、今の現状をかんがみて、今度は経済企画庁の方ですけれども経済企画庁の方で、消費者問題という見地から、紛争処理に当たって各紛争処理機関を網羅するような情報交換システムを設けるようなことを考える必要があるのではないかというような気もいたします。その点について何か御検討をしておられるかどうか、必要を感じられないだろうか、その辺についてお伺いします。  それとともに、先ほど言いましたように、紛争処理機関、いろいろな機関があるわけです。例えば、先ほどの業界のPLセンターもあれば自治体の消費生活センターもありますし、そして国民生活センターもあればあるいは自治体の苦情処理委員会というのもあります。いろいろな処理機関があるわけでして、国民からしてみると、そういう対応をしてくれるいろいろな機関があるのは何となくわかっていても、どこへどう苦情を持っていったらいいのか、どうもいま一つわかりにくい現状にあるわけであります。  ですから、全体のこの処理システムをもう少し整備して、消費者に対してわかりやすく、利用しやすくすみ必要があるのではないか、その音頭をやはり経済企画庁あたりがとる必要があるのではないか、そういうことも思うわけであります。そのあたりにつきまして、経済企画庁、ちょっとお聞かせいただけますでしょうか。
  28. 坂本導聰

    ○坂本(導)政府委員 委員御指摘のように、裁判外紛争処理機関はどこにどういう機関があるか、あるいは原因究明体制についてどういった機関がどこにあるか、これを知ることが非常に必要でございますので、まず各都道府県の消費生活センターにリストを配付いたしまして、そこへ行けば、どの製品はどこの分野の処理機関があるとか、あるいは消費生活センターでもやってもらえますし、そういうリストを配付いたしました。  それからさらに、御指摘のように、高額なものは裁判所へ行きますが、少額なものはどうしても裁判所へ行かないで解決をということでございますので、委員御指摘の、裁判外紛争処理機関として都道府県の苦情処理委員会を使うということを考えました。その場合も、消費生活センターと切り離したものではなくて、消費生活センターを通って苦情処理委員会にスムーズに流れていく。  現在まで苦情処理委員会というのが動いておりませんでしたのは、それは公益性のあるもののみ扱うということでございましたので、一般の私的な紛争は扱っていなかった。この点につきまして、この苦情処理委員会を活性化するという見地から、私的紛争であってもこれを扱う、低廉なコスト、低廉な料金を払ってもらいますが、そこで調停、あっせんをするということにしてございます。  そしてさらに、その結果どういう情報が得られたかということは、全国都道府県の苦情処理委員会の結果を全国のバイオネットに乗せまして、消費生活センターあるいは国民生活センターで結果がわかるようにいたしました。  それからさらに、御指摘のように、関係各省とも情報の交換をして取りまとめを行っていく必要があると考えておりまして、今後とも関係各省と相談していきたいと考えております。
  29. 岸田文雄

    ○岸田委員 もう少しお伺いしたいこともあるのですが、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、ぜひそういった問題意識を持って、しっかりとした対応をお願いしたいと思います。  それで、時間がなくなってまいりましたので、もう一つだけお伺いさせていただきます。  PL法の施行に伴いまして製品に対する安全意識が高まっていること、これは本当に歓迎すべきであるということは先ほど申し上げたとおりでありますが、そのように国内に製品の安全に対する意識が高まっている中で、大変気がかりな出来事が最近ございました。  それは何かといいますと、最近多発しておりますミネラルウォーターに混入物が発見される事件、随分たくさん報道されておりました。新聞等でも何件も報道されておったものですから、私自身厚生省から調査資料をもらってみましたら、思った以上に数が多いことにびっくりいたしました。  資料を拝見いたしますと、今資料の中に挙げられている件数だけで四十件もあるわけであります。輸入品に限らず、国内の製品も何か十二件含まれておるというようなことでありまして、そして内容も、細菌やカビが含まれておるというようなことが多いわけですけれども、中にはプラスチック片が含まれているというような事例も報告されておるわけであります。今、PL法の施行に伴って安全意識が高まっていると言われておる中で、どうしてミネラルウォーターという製品に集中的にこれだけたくさんの事故が発生したのか、首をかしげたくなるわけであります。  まず、この辺についての調査それから原因の分析、これについてどこまで進んでおられるか、お聞かせいただけますでしょうか。
  30. 堺宣道

    ○堺説明員 厚生省でございます。  委員御指摘のとおり、ミネラルウォーターの異物混入問題、十一月六日までに国産品が十二銘柄、輸入品が二十八銘柄、合計四十銘柄ということで、カビ、プラスチック片などの異物が認められまして、これらは食品衛生法に基づく食品の規格基準に適合しないということから、関係の都道府県等において、関係の営業者に対しまして販売の中止あるいは回収などの指示が行われております。  異物混入等の原因につきましては、現在のところ、プラスチック片の混入事例、これは国内の一例でございますが、容器などのばり、これは合成樹脂のはみ出し部分というものが製造工程中に混入したものと報告されております。その他につきましては、引き続き関係の都道府県あるいは輸出国政府を通じまして調査を行っているところでございます。  以上でございます。
  31. 岸田文雄

    ○岸田委員 ぜひ引き続きしっかりとした調査、原因分析に努めていただきたいと思うのですが、こういったミネラルウオーターでの事件の多発に加えまして、それ以外の製品、例えばビール等にも微生物の混入事故が発生したというようなことも伝えられております。  こういった一連の事件を聞いて感じますのは、当委員会におきましても、前の国会で内外価格差問題を集中的に取り扱ったことがありました。そのときに、この内外価格差問題ももちろんでありますし、円高の問題あるいは産業の空洞化の問題、産業構造の変革の問題、どの問題をとりましても、規制緩和というものの必要性が再三強調されたわけであります。  そして、規制緩和のハードルとして、消費者の理解というものが大切だというようなことが言われ、そして規制緩和に抵抗する際に常套文句のように使われる言葉が、安全、安心、安定供給、こういった言葉だったわけであります。こういった安全の部分は大丈夫かというようなことが盛んに言われるわけであります。この安全に対する不安というものが規制緩和の動きに水を差しかねないというような気がいたしております。そうならないように、ぜひこの事件のしっかりとした調査、原因分析をしていただいて、対策を講じていただきたいと思います。  一方で、この対策自身、対応を間違えてしまうと逆に規制を強化するようなことになりかねない、この辺の難しさがあると思うわけです。ですから、時代の要請であります規制緩和を進めなければいけないという見地から、この対策の方もまた、しっかりとした考えを持って、その辺の大切さを踏まえた上で対応対策を考えていだだきたいということを思う次第であります。  時間がなくなりましたので、以上をもって質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  32. 大石正光

    大石委員長 佐藤剛男君。
  33. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員 まず、宮崎長官、御就任おめでとうございます。長官のすばらしい蓄積を大いに発揮していただきたいと思います。  私は、きょうは、公正取引委員会を中心に質問させていただきますので、前もってお許しいただきたいと思います。  まず、小粥委員長に私は二つの大きな問題を質問いたしたいと思います。  一つは、公正取引委員会がNTTの独占問題につきまして、その分離分割問題について、公正取引委員会情報通信分野競争政策研究会、座長が実方謙二北大教授のようでございますが、ずっと諮問をして、そしていよいよ報告になるという新聞記事がございます。新聞記事は十月二十四日朝日新聞のもので、私が持っておりますのはこれなんですが、これについてまず一つ質問申し上げます。  それから次は、議論の整理のために申し上げておきますが、持ち株会社の問題について、私はかねてから、持ち株会社禁止となっている現在の独禁法体系はおかしいというのが私の持論でございまして、それに絡む問題を申し上げさせていただきたいと思います。  それでは、最初のNTT問題についての、通信分野競争研究会というものが報告する手順になっているという、この内容まで新聞には出ておるのでありますが、まず最初に伺いますが、そもそも公正取引委員会としては、どういう動機でこの諮問をその研究会にされたのか、これをまず第一点、お伺いしたい。
  34. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまの御質問は、私ども公正取引委員会の事務局が検討をお願いしております情報通信分野競争政策研究会、この研究会におきまして、研究会の表題にもなっております情報通信分野における競争政策上の問題点につきまして、経済及び法律分野等の学識経験者の方々にお願いをいたしまして、理論的、実証的かつ政策的見地からこの分野の競争政策上の問題点を検討していただきまして、これまでにも何回か報告書を取りまとめていただきました。公表も既に行われております。  この研究会は、ことしの一月から再開をされました。そして、今申し上げました電気通信分野における現時点での競争政策上の問題点でございますが、今回は特に、競争政策上の観点から、NTTを中心といたします現在の電気通信分野におけるまず規制緩和の問題、それからNTTと他の事業者との間の競争条件の整備の問題、そしてそれとの関連でNTTの経営形態のあり方、これらの問題点について検討していただいているわけでございます。  ただいまお尋ねの点でございますけれども、実は、この一月から研究会で御検討をもう既に十回以上行っていだだいておりまして、私どもとしては、遅くとも年内に研究会としての報告と申しますか、提言を取りまとめていただければ、こういうふうに考えているわけでございます。  ただ、申し上げましたように、現在まだ御議論をいただいている段階、かなりもう最終段階に近くなっているとは存じますけれども、現在検討中ということでございますのでまだその結論をいただくまでには至っておりませんが、現下、特に関心の集まっている問題の一つでもございます。私どもといたしましても、大変関心を持ってこの研究会のお取りまとめをお待ちをしている、現在そういう状況でございます。
  35. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員 この朝日新聞によりますと、「報告書案はNTTが「独占的状態」にあるとしながらも、もともと一〇〇%独占の公社から始まり、今は郵政省の規制でコントロールされているため、独占に伴う弊害は起きていないと分析。」「分割するだけの違反は起きてない」、こう認定しておるわけです。  私がこの問題を取り上げますのは、御承知のように、NTTは十年前、土光臨調からの発端はあるわけでありますが、民営化いたして、そしてその見直しという段階で、このNTTについて百家争鳴みたいな感じになっておるわけですね、NTT分割すべしというのとNTT分割反対という形があって。それで、そういう中でユーザーの立場あるいは独占状態、独禁の立場公正取引委員会がどういう案を出すかということは、私は、方向づけのオピニオンリーダーとしまして非常に重要な意味を持つということで、新聞にも出ておりますので、こういう問題提起をしているわけであります。  委員長、恐らくまだ公正取引委員会にかけていないからということでおっしゃるのでしょうが、新聞にはかような形が出て、さらに、なるほどと思うことでありますが、こういうようなことも言っているのですね。  電気通信事業における急速な変化と将来の見通しをこの報告書の中には書いて、それで、「無線の普及やCATV電話、インターネットの登場などから、NTTを長距離と地域に分離したり各地ごとの会社に分割するより、一体のまま残し、」つまり分離分割は反対のような立場に立ちそうでございますが、「地域回線をオープンにしてどんな事業者も接続して使えるようにした方がよい、」こういうふうな案でまとまっていく。  そして同時に、接続をめぐりまして料金問題とかいろいろなトラブルが起きるわけでありますが、そういうことに備えまして、接続ルールの明確化、ルールを明確にしなさい、恐らく交渉のルールの場だろうと思います。あるいは交渉を監視するサーベイランスのシステムといいますか、あるいは裁定をするとか料金問題でこじれたときの問題をするとか、かなり深みに入ったものが既にこの十月二十四日の朝日新聞に出ていて、見出しが「分割より規制緩和」ということで、これは委員長の目におとまりのことだと思いますが、そういう形になっているわけであります。  それで、私伺いたいのは、これは公正取引委員会という一つの中立機関が、一つの諮問機関のあれとしましても、あるいは委員会にかけて仮に発表するにしても、すごい意味を持ってくると思っております。その意味において、重大な関心を持っておることを申し上げるとともに、報告ができたとき、それをどのようにお使いになるのかを、この機会に、おわかりになっておりますればお伝えいただきたい。郵政省に向けてやるのか、国民に向けてお話しするのか、どういう形でお使いになるつもりなのか、それをちょっとお教えいただきたい。
  36. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 私どもの事務局が検討をお願いしております、先ほど申し上げました研究会の報告書の内容なるものが先般新聞に報道されたということは、ただいま御指摘のとおりでありまして、私も承知をしております。  ただ、念のために申し上げたいと存じますが、先ほども御説明申し上げましたように、現在当研究会でまだ結論にまで至っていない、検討中の段階でございます。そして、この件につきましては、当然のことながら、そういう段階でございますから、私どもといたしましては、これについて何か物を言うというようなことは全く行っておりませんから、報道が行われたという経緯については何ら承知をしていないわけでございます。  しかし、それはそれといたしまして、ただいま先生からお尋ねのように、仮にこの研究会の報告、提言がまとまった場合に、それを公正取引委員会としてどんなふうに取り扱っていくのか、対応していくのか、こういうお尋ねでございますが、先ほど来御説明申し上げましたような経緯でこの研究会に検討をお願いしているわけでございますから、私ども、その御報告、提言をいただければ、これを十分にしんしゃくをいたしまして、今後の私どもの業務の運営に的確に反映をしてまいりたい、こんなふうに考えているわけでございます。  それから、この分野における競争政策上の見地から、公正、自由な競争を促進するために一体どういう問題があるのかという問題意識を持って検討をお願いしているわけでございますから、その結果が出ました場合には、私どもの業務運営にそれを十分しんしゃくの上反映させていくということにとどまらず、例えば電気通信分野について、法律上の所管官庁でございます郵政省を初めといたしまして、関係方面には当然その報告、提言の内容をお伝えし、そこに提言をされております競争政策上の問題意識あるいは問題提起、そういうものにつきまして、これが競争促進という見地から十分生かされますように私どもとしても強く期待をしてまいりたい、こういう考え方でございます。
  37. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員 私がこの問題で重要だという点を指摘してみますと、一つは、NTTというのは十年前と違うんですね。これは民間なんですわ、一応民営の形になっている。これは郵政省のコントロール。それで株は上場している。持っているのは国民だ、株主は。当時、十年前は株主は国民じゃなかった。独占だった。普通の場合、会社の分割とか会社が何するかというのは、これは株主が決めたり、あるいは会社がやる話ですね。あと、独禁がどこで手を出すかというのは、独占禁止法の中で、一つの非常に独占状態が出てきたとき独禁法の枠内で行う話なんですね。寡占状態があったらこれは分割する。  例えばアメリカの中にATTというのがありますね。ATTを分割したというのは、何の法律が根拠になっておるのでございますか。私は反トラスト法だと思っておりますけれども、それは間違いないでしょうか。
  38. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまお尋ねがございましたアメリカの事例でございます。アメリカにおきましては、ただいま御指摘がありましたように、ATT社の分割が行われました。この分割につきましては、私どもこういう経緯があったと承知をしております。  これは、アメリカの独禁当局である司法省が、ATT社の行為が、シャーマン法第二条、これはアメリカにおきます独占禁止法でございますが、その独占を企図した行為に当たるといたしまして、一九七四年に同社の分割を求めて司法省が提訴をした、こういうことでございます。その後、一九八二年になりましていわゆる同意審決が下され、その結果、一九八四年に地域電話会社の分離等が実施をされた、こういうふうに承知をしております。  その根拠は、アメリカにおける独禁法に当たりますシャーマン法に根拠を持って提訴、同意審決、こういう形でこの分離が行われたと承知をしております。
  39. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員 そうすると、今度は逆の質問を申し上げますと、もし今NTTというのが、アメリカにおけるような反トラスト法、同意審決になったとはいえそういう法律根拠に基づく。そうすると、独禁法の体系で、公正取引委員会が関与する権限、それから根拠条文、それはどういうところから来るのですか。
  40. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまお尋ねの点は、NTTの経営形態と申しますか、市場における非常に大きな存在でございますNTTにつきまして独占禁止法上の取り扱いはどういうことになるか、こういうお尋ねであろうと存じます。  実は、御案内のように、独占禁止法におきましては、五十二年の改正で新たに導入をされた規定でございますけれども、独禁法第八条の四にいわゆる独占的状態に対する措置、こういう規定がございます。これは、法律で定めております一定の市場構造要件に該当をいたします高度寡占市場におきまして、独占禁止法に直接違反するということではない場合でありましても、法律に規定があります一定の弊害要件が生じている場合には、当該市場における競争を回復することを目的として、一定の条件のもとに営業の一部譲渡その他競争を回復させるために必要な措置を命ずることができる。したがって、この中で企業分割という措置を公正取引委員会が命ずることがあり得る、法律上はそのような仕組みになっているわけでございます。  ただいま申し上げました一定の市場構造要件あるいは弊害要件、これにつきましては、もしお尋ねがあればまた御説明申し上げたいと存じますが、仕組みの大筋の枠組みはそのようなことでございます。
  41. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員 ありがとうございました。  つまり、公正取引委員会が本件を、座長の実方謙二先生ですか、それを中心に公正取引委員会情報通信分野競争研究会の中で置いておる背景、これはいわば法律的な運用でいうと八条の四のところの運用の問題、あるいは将来出てくる場合の問題について、あらかじめこういう問題に焦点を置いて諮問してきたんだ、そういうふうに理解させていただきます。よろしゅうございますね。  それで、また別の案件を聞きたいもので、もしそうでありますれば、そのときに、また本件が出てきましたときに問題を提起いたしたいと思っております。今の私の解釈は間違いないでしょうか。
  42. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 申し上げます。  ただいま私が説明いたしましたのは、独禁法が企業分割という措置をとることができる法律上の根拠を一般論として申し上げたわけでございます。  そこで、ただいま私どもがこの研究会で検討をお願いしておりますのは、今お尋ねの独占的状態に対する措置についての規定の発動ないし運用いかんという問題、これも含み得るものではございますけれども、より広く競争政策全般の見地から、このNTTを含みます電気通信分野あるいは情報通信分野における市場の競争条件の整備規制緩和を含みます競争をより促進させるためにどのような政策が必要かという問題を幅広く検討していただいている、そういうふうに御理解をいただければと思います。
  43. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員 わかりました。  また、NTTの児島社長が、いわゆる事実上独占しておりました市内通信網、これを電気通信事業者に全面開放することを決断した。これは新しい要素だと思うのですね。それから、長距離系の新電電、第二電電なりなんなりの交換機の接統の料金というのは難航していたのですが、その問題も一応引き下げで決着を図った、これも新聞報道で出ておるわけであります。  そういうことで、今このNTT問題をめぐりましていろいろな切り口で議論をやっているのでしょうが、私の切り口は、中立な一つ機関としてなっておる公正取引委員会が、法律の運用なりなんなりの問題として、独占である、あるいは弊害が起きるかどうかという一つのあれは非常に重要なものであるということで、報告書が出てきましたら、またそのときにきちんと御質問いたしたい、そういうことで留保させていただきます。  それから次に、ちょっと時間がないのですが、私非常に関心を持っておりますのが、持ち株会社の禁止というのが、日本のポツダム勅令で入ってきて、それから私的独占禁止法ができて、その結果、独禁体系で持ち株会社が禁止になってしまった。  それで、これは私商工部会でも、この問題というのはそろそろ規制緩和観点からでも見直すべきじゃないかというようなことでお話し申し上げてまいったわけでございます。その根拠は、持ち株会社を禁止しているという先進国はないのですね。韓国を除きますと、アメリカにもない、ヨーロッパにもない。  例えば具体的に言いますと、三菱油化と三菱化成というのは合併問題があったわけです。三菱化成と三菱油化がこういうふうに合併するのは認めるわけですね。独禁法では構わない。独禁法の届け出をすればいいわけです。ところが、この三菱油化と三菱化成の上に一種のホールディングカンパニーを設立いたそうとなると、いかぬわけですよ。これは独禁法第九条の持ち株会社の禁止の条項に違反してしまう。この持ち株会社というのは昔の財閥の話から来たわけです。  今日本には公正取引委員会という立派な委員長を中心に置かれた機能もあります。それから、そういう機能をますます強化すべきだということを私は前回質問をしたときにも申し上げておる。人員、組織の点、あるいは予算の面でもそういう形でやっていく。あるいはできるだけアメリカに近いような観点で、規制緩和と同時にやっていかないと、これはいろいろ、ダンピングの問題も出るしということで、私はダンピング問題を取り上げたこともある。  ですから、ある程度アメリカの運用みたいな形で、粗利を例えば六%なら六%と決めておいて、そして、それより下がるものだったらこれはダンピングだという運用の方向で持っていくような形が、日米関係あるいは日ヨーロッパを含めまして、これからの運用として、競争政策として重要なことじゃないかというのが根底に一つあります。  それからもう一つは、これから新しい企業をつくっていかなければいかぬ。殖産興業ですが、ベンチャービジネスを。それで、ベンチャービジネスをどんどんつくっていこうというときに、ベンチャーのビジネスについて投資をする。子供をつくって投資をしていくわけです、大きくしようと。そうしますと、純粋の持ち株、今の部分でいきますと、これは持ち旅するわけですけれども、これが抵触してしまう。こういう形はいかんともしがたい。  片一方で通産省の方の中小企業の法律をつくる、改正を商工委員会でやる。ところが、重要なるところが手抜きになっておるというところが、私は持ち株会社問題について真剣に考えていただきたいということでございます。  いい例で言いますと、例えばソニーなんというのは、私が聞いたあれですけれども、幾つもの事業部に分かれているのですね、A事業部、B事業部、C事業部と。それで、A事業部の方は、例えば海外投資なら海外投資だけを専門にするわけです。それで、あなたのところの今年度の予算は大体このぐらいでいいですよ、百億円なら百億円使ってやりなさい。B事業部というのは国内関係のいろいろな業種の部門をやる。C部門はこれをやる。それは事業部制の部門みたいな形になっておるわけであります。そこには、そういう事業部制の担当はあれで、社長がここにいる。  ところが、その事業部というものをそれぞれ会社に分化してしまって、A会社、B会社、C会社、D会社としてやっていって、今のソニーの会長さんか何かがホールディングカンパニーとしてやっていく、それの方が新しい企業はよっぽどやりやすい。それぞれ、責任もつけやすい。ところが、それは独禁法の九条違反というか、九条で持ち株会社が禁止されておるからできない、こういう問題があるわけですね。  ですから、この機会に、規制緩和もさることながら、こういう制度というものを欧米並みにきちんとやっていただくということが必要だと私は思っているわけでございます。  それで、公正取引委員長、この問題を非常に前向きに取り上げていただいて、あらゆる問題ということのようですが、改正問題研究会を設置されるというお話のようなのでございますが、その点について、今後どのようにこの持ち株会社の問題を取り扱い、それからどんなような形の手順でお進めになるかをお聞きいたしたいと思います。
  44. 小粥正巳

    ○小粥政府委員 ただいまのお尋ねは、独禁法第九条の持ち株会社禁止規定、これを見直すべきではないか、こういう御指摘でございます。  まず、持ち株会社問題につきましては、実は本年三月、御案内のように政府規制緩和推進計画を策定いたしましたが、その中で、持ち株会社問題について幾つかの観点を踏まえながら議論を深めていく、こういう表現で、規制緩和計画の一環としてこの問題の検討を取り上げていくということが既に決められたわけでございます。  私ども、早速この四月から、この問題について検討を行いますために、実はこれまでに民間企業約三十社からヒアリングを行ってまいりました。また、この問題について研究会を設けて、いろいろ御提言をされておられます通商産業省事務当局からもいろいろとお話を伺ってきたところでございます。  そこで、現在そのような調査も既に行っておりますし、それからまた規制緩和推進計画の中にも、この問題の議論を深める場合にどういう見地から取り上げるかという点につきましては、御存じのところでございますけれども、事業支配力の過度の集中を防止するとの趣旨を踏まえながら、系列あるいは企業集団等の問題に留意しつつ、我が国市場をより開放的なものとし、また、事業者の活動をより活発にするとの観点から検討する必要がある、そういう見地でございますけれども、これまでのヒアリングの結果にも十分留意しながら、さらにいろいろな多くの方面、そして専門的な見地からこの問題の議論を深める必要があるということで、今般、各界の有識者から成ります独占禁止法第四章改正問題研究会、これを開催することにいたしまして、実は明日、その第一回の会合をお願いする予定でございます。  申し上げましたように、第四章改正とうたっておりますので、この第四章は、御案内のとおり、第九条の持ち株会社禁止規定のほかに、例えば合併、営業の譲り受け等に関する規定その他、いわゆる企業結合規制と言われるものがこの第四革に含まれておりまして、持ち株会社禁止規定以外にもいろいろな企業結合、現行の規制について、例えば企業、事業者の負担軽減の見地等から見直すべきという御議論も広く行われていることも承知をしております。そのような状況を視野に入れながら、この研究会をこのたび発足させることにいたしました。  そこで、この研究会における検討を踏まえた上で、もちろんこれは、手順のお尋ねもございましたけれども、どのような順序で取り上げていくかということは、すべて私ども研究会にお願いをしているわけでございますから、この段階で私がまだ何も申し上げるべきではないと思っておりますけれども、私どもの問題意識といたしましては、既に先ほど申し上げましたように、持ち株会社問題についてのかなりの検討も行っているところでございますので、できれば早急にその結論を得たい、そういうふうに御検討をお願いしたい、こういうふうに考えております。
  45. 佐藤剛男

    ○佐藤(剛)委員 委員長の非常に明快なる、そして非常に改正問題について研究をすると。  第四章は広いですけれども、それは役員の兼任問題があったり営業譲渡の問題があったりいろいろあるのですが、それは高く評価させていただくとともに、持ち株会社の問題というのは、他の役員の問題とか営業譲渡の問題を一緒にやっていきますと随分時間がかかってしまうと思いますのできれば切り離しの形を、切り離しといいますか、先に本件の持ち株会社の条項、具体的に見ますと九条関係といいますか、そこを中心に方向を出していただきたいということを私は希望申し上げまして、時間がないので、時間がありますればいろいろお聞きいたしたいのでございますが、ここで終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。ひとつよろしくお願い申し上げます。
  46. 大石正光

    大石委員長 伊藤達也君。
  47. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 新進党の伊藤達也でございます。  経済構造の改革、そして経済運営について質疑をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。  そこで、まず宮崎長官にお尋ねを申し上げたいのですが、さきの予算委員会の集中審議で長官にお尋ねさせていただいたことを、もう一度、恐縮でございますがお伺いをさせていただきたいと思います。  それは、長官は、今まで相当規模経済対策景気対策を打ってきた、実施をしてきた、にもかかわらず景気回復のスピードが上がらないのは、公共投資から消費、そして設備投資とつながる民間の需要へのバトンタッチがうまくいかないところに大きな問題があるんだ、こういうような御指摘を国会の答弁の中でもされておられるわけであります。今回の経済対策はこのバトンタッチがうまくいくように十分配慮された対策になっているのかどうか、その点についてまずお伺いをさせていただきたいと思います。     〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
  48. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 お答えいたします。  これまで累次にわたる経済対策が行われたにもかかわらず景気回復がはかばかしくないというのは御指摘のとおりでございます。過去、経済対策をやった金額がどれぐらいかということにつきましては、やれ四十兆円だとか六十兆円といういろいろな数字がございますが、数字はともかくとしまして、何遍もやってきた、にもかかわらず景気が思うように回復していないということでございますけれども、それは、今回の不景気の原因が従来と違って構造的な問題をかなり含んでいたということだと思うのです。従来ですと、例えば内需を拡大すれば公共投資がその呼び水になってやがて民間の設備投資が回復する、民間の設備投資が回復すれば消費も上がってくる、こういうことだったのですけれども、今回はなかなかそういかない。それには二つ、循環的な要因以外に理由があると考えております。  一つは、バブル経済が崩壊いたしまして資産価額が急落をしたということの関係でございます。資産価額が急落をいたしましたので、消費者あるいは企業家の負債比率が非常に高くなって、そのために消費行動とか投資行動が非常に慎重になったということがございます。  それと裏腹の問題ですけれども、資産価額が急落をしていわば担保価値が低落をしたということがありまして、そのことが景気が悪いということと重なって金融機関不良債権を大きくした。その不良債権処理が十分なめどがつかないということがやはり企業家に先行き不安感を与えて、そして実際にも金の出回りが円滑化を欠くようになってまいりましたので、景気が思うように回復しないということがあったと思います。  それからもう一つは、急速な円高によって、これは日本経済構造が変わるといういいきっかけではあるのですけれども構造調整をやっていったら一体どういうふうに日本経済が変わっていくのか、あるいは自分たち産業なり企業がどういうふうに変わるんだろうか、そこの対応がなかなか見きわめられないという不安感がありまして、やはり積極的に投資をしたり消費をするということにはならなかったということがあるのではないかと思います。  そういう中で、円高によって、例えば設備投資などは、国内の設備投資は非常に不振でしたけれども、海外投資は非常に積極的に行われるということがあって、いわば空洞化現象を起こしている。それも不安の一つになってはね返ってきているというようなことで、そういう不良資産の処理の問題ですとかあるいは構造調整をどうするかというめどがつかなければ、ただ単に内需を拡大してもうまく公共投資から民間需要に結びつかないというふうに判断したわけです。  したがって、今回の対策では大きな柱として三つございまして、第一番目が公共投資を中心にして内需を拡大するということですが、それだけでは今までの経験からいきましてぐあいが悪いということで、不良資産の処理景気回復の障害になっている問題を除去しょうという点を挙げておりますし、第三番目には、構造調整を積極的に進めながら、それに対して展望を与えなければいけないという政策で取り組んでいるわけであります。  したがって、今回はただ単に内需拡大のための公共投資の規模が大きいというだけではなくて、そういう構造調整あるいは資産価額の低落に伴ういろいろな処理の問題を含めて総合的に取り上げたわけです。したがって、今回は必ずや内需拡大の効果がまず公共投資からだんだん民間需要に移行していくだろうというふうに考えております。
  49. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今長官の御答弁の中で、教科書どおりの効果があらわれないのはなぜかということについてはもう適切な御説明があったと思うのです。  私がお伺いしているのは、民間が主導して景気回復していくにはどうしたらいいのか、公共投資から民需を起こしていくためのバトンタッチというものをどうやってうまくやっていくのかという点でありまして、その中で、今お答えがあったのは、不良債権処理というものをどうやっていくのか、あるいは、構造調整というものをしっかりやっていくために今回の景気対策の中でそういう分野を入れてきたんだというお話があるわけでありますけれども、ただ、私どもから見ていると、その分については、総論のお話があった、問題の指摘はあったというふうに思いますが、具体的にこういうふうにやっていくから景気回復していくんだ、そういう道筋までは示せていないように思うのですが、この点についてはどう思われるでしょうか、お願いします。     〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
  50. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 公共投資と申しますのは、あくまで民間需要が喚起されるまでの呼び水的な役割を果たすというふうに考えております。市場経済ですから、あくまで民間経済が主導力にならなければいけない。しかし、今のところ需給ギャップが非常に大きいし、全体の需要が停滞していますから、民間の設備投資をやる余裕もないし必要もないというのが民間企業の立場だろうというふうに思います。  したがって、公共投資をふやして、その波及効果として民間需要を喚起する。それによってやがて、一方では企業収益も改善しているということでありますから、設備投資の必要性が出てくる。また、そういう力が出てくるということで設備投資が喚起されることを期待している。設備投資が出てくるような状況というのは、例えば賃金の支払い能力もふえてくるという形で、やがてそれが民間消費を刺激するのではないか、そういう筋道を考えているわけでございます。
  51. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 公共投資についてのお話もございましたが、ただ、公共投資の効果、例えば乗数効果を見ても、それはもう間違いなく落ちてきておりますよね。そういう意味では、公共投資の質、あり方の問題、それから効率性、そういったことについてもメスを入れていかないと、これはやはり思った以上の効果が上がらないのではないかというふうに思います。  そこで、通産省の方がお見えだと思うのですが、通産省ではこの六月に景気の刺激効果の高い公共事業とは何ぞやということで、従来型の公共投資と比較をして研究開発・情報関連投資の経済効果について調査をおまとめになられたということをお伺いをしているわけでありますが、それを簡潔にお伺いをさせていただきたいので、お願いいたします。
  52. 迎陽一

    ○迎説明員 研究開発・情報化関連の投資というのは、我が国の新たな経済フロンティアを開拓していく、あるいは潜在成長率を引き上げていくというふうな面で、中長期的な効果の面でも非常に重要な政策分野だと思っております。  また、短期的な効果といたしましても、例えばこれは一つの試算でございますが、産業連関表を用いて計算をしてみますと、一兆円の従来型の公共投資によって誘発される生産というのは一兆五千八百億くらいになる。それに対して、研究開発・情報化関連の設備等へ投資をした場合には二兆一千七百億くらいの生産の誘発があるというふうな一つの試算もございます。  そのほか、研究開発・情報化関連に国が施策を講じることは、追加的な民間の投資を誘発する効果が高いのではないか、あるいは設計ですとか用地の取得等を要しないというふうなことで即効性も高いと考えられるのではないか、こういうふうに私ども考えてきた次第でございます。  このような観点もありまして、今般の経済対策においては、科学技術、情報通信の振興などについて、従来にも増して思い切った施策が講じられることになったというふうに理解をしております。
  53. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今、通産省の担当の課長から思い切ったということがありましたが、私たちから見ているとまだまだでありまして、もっともっと比率を上げてもらわなければいけない、つまり、公共投資の質の問題について十分に議論していかなければいけないというふうに思うわけであります。  私の記憶が正しければ、たしか長官経済企画庁長官に御就任になられたときの記者会見の中で、公共投資の効果というものがやはり落ちてきている、その理由についても検討していかなければいけない、そういう趣旨のことをおっしゃられたのではないかなというふうに私は思うのですが、そういうことも踏まえて、公共投資のあり方についてどう思っておられるのか、お伺いをさせていただければというふうに思います。
  54. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 先生御指摘のように、公共投資というのは、ただ単に量が大きければ大きいほどこの際いいというわけではないと思います。中身の問題、質の問題だと思います。  それで、どういうところに配分するかということについて、今回の対策では、今通産省から答えがありましたように、新しい分野、もちろん震災復興の関係は別でございますが、それを最優先にして、あとは福祉、医療関係あるいは研究開発関係あるいは情報通信基盤整備といった点に重点を置いておりまして、全体として、国民生活を豊かにする、あるいは日本産業構造の変化を先取りするような未来型の投資というところに重点を置いております。  したがって、効率もこれからはよくなってくると思いますが、先生御指摘のように、一定の公共投資が経済全体に与える波及効果というのは長期的に見ると下がってきている、そんなにトラスチックに下がっているわけではありませんが、私どものモデルによりますと下がってきているのは事実で、これは国内産業構造とかあるいは全体の設備の需給状況ということが一つ背景にありますが、もう一つは、国際化が進んでいるために安い商品が入ってきたりするというようなことで、乗数効果が随分変わってきているという点があります。したがって、これから私どもが公共投資の効果を測定する場合には、新しい変化を織り込んで考えなければいけないと思っております。先生御指摘のとおりだと思っております。
  55. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今長官から御答弁があったわけでありますが、そういう意味からしますと、今までの公共投資の観念と違った新しい公共投資のあり方というものを十分研究して、その中で、先ほど小野委員からも御指摘がありましたが、財源も限られているわけでありますから、いかに効率の高い、質が十分伴っているものをやっていくか、その点についてやはり明確なものを打ち出していかないと、この平成不況からの脱出ということはなかなかできないのではないか、そういう問題意識を私は持っております。  さらに、続けて長官にお伺いをさせていただきたいのは、構造改革、規制緩和の問題であります。  長官は、民間で大変活躍されているときに、規制緩和をてこにして経済改革をどのように実行していくかが今まさに問われているんだ、そのための時間は余りないんだ、こういうお話を繰り返しされておられたというふうに思います。そういうような御意見を持っておられる長官として、現在の村山政権が取り組んでいる経済構造の改革のあり方であるとか、あるいは規制緩和の取り組みについてどのように御評価をされているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  56. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 お答えいたします。  日本経済は、今いろいろな意味で構造改革を進めなければいけない時期になっております。その構造調整を進めるのは、ただ単に経済の成長率をもとへ戻せばいいというようなことではなくて、日本経済社会のシステムを変えなければいけない、そのてこになりますのが規制緩和だというふうに考えております。規制緩和にもいろいろございまして、基本的に経済的な規制は例外なく自由原則ということでありますし、社会的な規制については、そのときの状況によって絶えず見直していく必要があるというふうに思っております。  その規制緩和に対する考え方は、これまでの政府、例えば細川内閣のときに平岩リポートが出されまして、規制緩和はこういうふうに進めなければいけないという報告がございました。その後、羽田内閣のときにもやはり規制緩和をやらなければいけないということでおやりになりまして、その基本的な精神は村山内閣になっても変わっておらないと私は思います。  村山改造内閣では景気回復ということを一つの大きな看板にしておりますが、同時に、規制緩和内閣だというふうにもう一つの看板を掲げております。ただ、実際に進めるのは、例の規制緩和五カ年計画がございまして、それを前倒しにするというようなことをやっておりますし、今回の九月二十日の経済対策の中ではそれをさらに前進させるということで、年度末までにもっと充実させた計画を打ち出そうということになっております。  ただ現実の問題として、今までは比較的、比較的と言うとこれまたちょっと言い過ぎかもわかりませんが、ある程度予想されたような規制緩和をやってきているという点がありまして、だんだんその規制緩和が厳しい部門に限られるようになってまいりました。これも言葉は適当かどうかわかりませんけれども、やはり従来の規制緩和、これは導入されたときにはそれなりの意義があって効果もあったわけですけれども、その際のいろいろの利益といいますか、既得権益を守ろうとする声も大変大きいわけであります。特に今のように景気が悪いときには、雇用問題が大変厳しくなっておりまして、規制緩和をやった段階では雇用問題を一層厳しくするという点がございますので、なかなか積極的になれないという一面もあるかと思います。  ただ、規制緩和というのはただ単に無差別に自由にするということではなくて、特にそのことによって新しい産業が成長できるような環境をつくるということですから、そういうことを通じて新しいビジネスチャンス、雇用チャンスをつくれば、そういう心配はなくなってくるのではないかというふうに思っております。  いずれにしましても、規制緩和というのはただ単に経済問題だけではなくて、社会的にも政治的にも大変難しい段階になっておりますので、皆さんの御協力を得ながら一生懸命やりたいと思っております。
  57. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今の御答弁の中で、現政権は規制緩和を実行していく内閣なんだ、ただ、規制緩和というものは、今まで予想された規制緩和から、ある意味では血を流さなければいけない、つまり既得権に踏み込んでいく規制緩和をやっていかなければいけない、そういう意味では非常に難しさがあるんだ、こういうお話であったというふうに思います。  そういう意味からしますと、たしか長官はこの夏ニュージーランドにお伺いになられて、そして向こうの極めてトラスチックな規制緩和経済構造の改革についての姿を調査されてこられたのではないかというふうに思いますが、その調査の結果を踏まえて、今の日本規制緩和の取り組みと比較をしてもう一度お話をお伺いしたいと思うのですが、よろしくお願いします。
  58. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 私は、就任いたしましてすぐにオーストラリアの閣僚会議に出席いたしまして、その際、同時にニュージーランドを訪問いたしました。ニュージーランドを訪問いたしました目的は、ニュージーランドがこの十年間大変積極的に経済改革を進めているということで、そのことをこの目で見、あるいは実行者から話を聞きたいということで参ったわけです。  ニュージーランドは一九八〇年代の半ばまでは規制が大変多い国でして、経済的な業績と申しますか、成長率が低い、あるいは失業率が高い、国際競争力は弱い、こういう国であったわけです。一九八五年、当時は労働党ですが、労働党が積極的に経済改革に手をつけ、そしてその後、国民党にそれが受け継がれておりまして、全分野にわたって積極的な経済改革が行われて、その結果、今日ニュージーランドはOECDの中では経済的なパフォーマンスが一番いい国になっているわけです。  その原因は、私はやはり積極的な経済改革にあったと思いますし、この経済改革は難しいところは後回しとか、これをまずやろうとかというようなことじゃなくて、全体的に一挙に総合的に、例外なくやろうということで行政改革もやっておりますし、金融改革もやっておりますし、そのほかいろいろの改革を同時に進めているわけです。  私は、もちろん日本にこのニュージーランドの行政改革のやり方をそのまま導入するわけにはいかないとは思っております。人口も違いますし、領土面積ももちろん違いますし、いろいろ社会的な構造も違いますから、日本がニュージーランドのやり方をそのまままねするというわけにはいかないと思いますけれども、この大胆さ、それから総合性ということは十分見習ってよろしいかと思います。帰りましてから、関係の方面にこのニュージーランドの経験を語りまして、日本でも積極的に規制緩和をやるべきだということを言っているわけであります。
  59. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 当委員会でも、前回の国会で、内外価格差の是正について参考人の先生方においでをいただきまして、いろいろお話を伺いました。その中で、規制緩和政府の取り組みについていかがですか、こういう質問があったわけであります。やはり多くの委員の人から、今やっている政府規制緩和は、何のために規制緩和をやるのか、理念はどこにあるのか、この点については極めて不明確だ、こういう御指摘が多々あったわけであります。  そういう意味からしますと、ニュージーランドの規制緩和あるいは経済構造の改革の問題、もうパッケージでこれはいろいろな改革をやってきたわけであります。それを御視察をされた長官の目から見て、もっと具体的に規制緩和の理念を明らかにして、そしてこのために、例えば新しい産業を興していくんだ、それに伴う雇用を創出をするんだ、あるいは内外価格差の是正に寄与していくんだ、そういった具体的な目標を設定をして、それを実現していくための行動計画をつくっていく、そういうことが今問われているのではないかというふうに思うわけでありますが、この点についてはいかがでございますか。
  60. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 ただいま経済審議会にお願いをいたしまして、中期計画をつくっているわけでございます。今月末には答申を得ることになっておりますが、この経済審議会の答申では、構造調整ということをその計画の柱に据えております。  この構造調整を進めるために今御指摘の規制緩和というのが大変重要で、その規制緩和によって、一つには御指摘のように新しいビジネスチャンス、新しい雇用機会をつくるということ、そして国民生活を豊かにする、それは内外価格差縮小するという形をとりますし、あるいは消費者にとって商品選択の幅を広げるというようなこともありますが、それを受けて経済界の方は、自由で透明な競争を通じて活力がある経済社会をつくろうという答申を得られるものと期待しておりますし、そういう方向で規制緩和を考えなければいけないと思っております。
  61. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 ここで通産省の方にお尋ねを申し上げたいと思います。  政府がまとめた一千九十一のこの規制緩和、通産省はたしか、産構審の小委員会の答申を通じて、将来の有望な産業として十二分野を特定してその分野を育てていきたい、それによってこれだけ新しい事業が創出をするんだ、あるいは雇用が創出をするんだ、そのプログラムをまとめられて提示をされておられるわけであります。今回の一千九十一が、そういう新しい分野を育てていくに当たって障害となっている規制を幾つ取り除いたのか、その点について御答弁をいただきたいと思います。
  62. 中嶋誠

    ○中嶋説明員 今委員御指摘ございましたように、昨年の六月の産業構造審議会の基本問題小委員会報告書におきまして、今後の新規の成長分野ということで十二の分野が提示されております。  具体的には、例えば情報・通信でございますとか、あるいは医療・福祉、住宅関連分野等々でございます。もちろん、こういった分野の発展のためには、まずはマクロ経済政策面で内需主導の経済運営が大前提でございますし、それから、関連いたします所要の社会資本の整備も必要でございます。と同時に、こうした分野におきますいろいろな技術の開発も当然必要になります。さらに、委員が御指摘ございましたような、規制緩和を抜本的に行っていくというような形で経済構造改革全体を積極的に進めていくということが必要でございます。  産構審の報告書におきましては、こういった分野の発展に必要な規制緩和方向性を示すと同時に、その具体的な代表的な例を挙げております。必ずしもその必要な規制緩和を網羅的に列挙しておるわけではございません。したがいまして、厳密な意味では、この産業構造審議会の報告書で例示としております規制緩和の項目と、それからことしの三月の規制緩和の推進計画との対応関係というのは必ずしも一対一に対応しているというものではございません。  そうではございますが、今委員が御指摘ございましたように、具体的に産構審で例示に挙がっております規制緩和の項目を取り上げてみますと、その中で規制緩和推進計画にも記載されているというものが約五十ほどございます。例示を幾つか申し上げますと、例えば情報・通信関連分野におきますネットワークの相互接統規制の緩和でございますとか、医療・福祉関連分野におきます医療用具の製造業等の許可の期間の延長、あるいは住宅関連分野におきます容積率の割り増し制度の運用の緩和、これらは現在、規制の緩和が七年度から進行中のものでございます。  さらに、産構審に具体的に記載されているものに限らず、広く十二分野の発展に関連すると考えられる規制緩和の措置というのがこの規制緩和推進計画の中にどのぐらいあるかという点につきましては、広く数えますと数百、とり方にもよりますけれども、十二分野に何らかの形で関連するという項目が、私どもが計算しましたところでは八百項目以上あるというふうに考えております。
  63. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今御答弁がありましたけれども、やはり具体的にニュービジネスを起こしていくのだ、ベンチャービジネスを起こしていくのだということになった場合に、障害になる規制はたくさんあるわけですね。規制緩和することだけではなくて、ほかにいろいろな環境整備も進めていかなければいけないわけであります。しかし、規制緩和を進めていくことも重要な柱の一つであることは間違いないと思うのです。  しかし、政府が発表しているいろいろな計画の中で、ニュービジネスを起こしていきます、新規事業を起こしていきます、こういうことは言われていますが、具体的にどうしていくのだということについてはやはり触れられていないのですね。今の御答弁でも、これから十二の分野を育てていくには課題として数百残っているんだ、恐らく細かいことは通産省の方は御存じだと思います。  それがなぜ言えないかといえば、この十二の分野を見れば、ほかの省庁にまたがる分野がたくさんあるわけです。例えばこれを見ても、情報・通信関連については、規制緩和の例示の部分については極めて抽象的に書いてある。それは、やはり他の省庁を刺激したくないというお気持ちもあらわれているのだと思うのです。ただ、本当に規制緩和を通じて構造改革をやっていくのだということになれば、具体的にどういうプログラムを立てて実行していくのかということが大変重要なことではないかというふうに私は考えるのですが、もう一度長官、この点についての御意見を賜りたいと思います。  さらに、今回の構造改革の問題、規制緩和の問題を国民的な議論の中で進めていくとすれば、やはり経済企画庁が音頭をとって、これは私、前回の予算委員会で総務庁長官にもお尋ねをしたのですが、規制緩和経済的効果がどの程度あるのか、この点についてお伺いをして、やはり難しいからそれはできません、こういう長官からのお答えがございました。しかし、本当に規制緩和を通じて、経済構造の改革を通じて私たちの生活を豊かにしていくのだ、新しい産業を育てていくんだということであれば、こういう緩和をすることによってどれぐらいのことが効果としてあらわれるのか、そういうデータを国民の前に開示をしていく、あるいは提案をしていくということがやはり大変重要ではないかと思いますが、この点もあわせてお答えをいただければというふうに思います。
  64. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 規制緩和経済にどういう影響を与えるかということについては、いろいろの計測が政府の部内でも行われておりますし、民間シンクタンクでも行っております。ただ、前提条件がたくさんありますので、責任を持ってこれこれという数字がなかなか出せないというのが現状だと思います。  例えば今、新規産業のことをお話しになりましたが、先ほどの佐藤先生の御質疑と関連するのですが、NTTのあり方について議論した審議会のその前の段階で、将来のマルチメディア産業はどれくらいの規模になるかという議論がありまして、これは規制緩和をやった場合、やらない場合でいろいろのケースを想定いたしました。その場合に、規制緩和をある程度十分にやっていけば、例えば、将来ニュービジネスの市場規模は百二十三兆円で二百四十万人ぐらいの新規雇用を創出することができるというような計算がありましたけれども、それについてもまたいろいろ技術的な問題で議論がありました。  それから、政府の部内でも、規制緩和をこういうふうにやるとマクロ的にこういうふうになっていくのではないかといろいろ計算がありまして、例えば、先ほどお話がありました産業構造審議会の資料では、今のままで規制緩和を余りやらないという状況であれば中期的な日本の成長率は一%台にとどまるけれども規制緩和をやって構造調整をきちっと進めれば三%台の成長が可能だというような分析もやったというふうに聞いております。  いずれにしても、そういう問題にある程度具体的な目標を提示して、規制緩和についての国民の協力を得る必要があると思います。そういう点で、先ほど述べました十一月に答申をいただくことになっている中期計画でも、この点をもう少し具体的にした目標を出そうと思っておりますが、その点については計画局長から補足させていただきます。
  65. 土志田征一

    ○土志田政府委員 お答えをいたします。  現在、経済審議会で御議論をいただいている最中でございますけれども、できるだけ具体的なものにしたいということが審議会の委員先生方のお考えでございます。  その中の一つといたしましては、社会資本の整備目標というのを、前回の「生活大国五か年計画」にありますものをさらに発展させるという御努力をいただいております。もう一つは、今お話し規制緩和をして活力を生み出して新しい分野をつくり出していく。この問題は非常に重要であるということで、今御議論をいただいておりますのは、十の分野につきまして、高コスト構造を是、正して活性化していくための行動計画をつくったらどうか、それにはできれば具体的な目標も入れたらどうか、後で点検をしていくためにもそういうものが必要ではないか、こういうことで御議論をいただいているところでございます。  事務局を務めます経済企画庁としても、そういった方向で努力をしたいというふうに思っております。
  66. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 今御答弁がありましたが、その行動計画をつくるに当たっても、その前提になる議論にどういうものがあったかということも、ぜひ私どもも知りたいですし、漏れ聞くところによると、ある省庁は内外価格差そのものを認めないんだ、そんなものはないんだということを言っている省庁もあるんだということで、大変議論が白熱をしているということでありますので、それだけやはり難しい問題であることは事実であろうというふうに思います。  効果をあらわしていくことの難しさはよくわかります。しかし、私はアメリカの議会にいたときに、当時アメリカの競争力をどうやって回復していくのかということについて、上院も下院も激しい議論をしていました。そのときに、必ずいろいろなモデルをつくって、こういう形のものをすればこれだけの効果があるんだということを、データをもとにして議論をしてきたわけであります。  ですから、政府が今行っている規制緩和についても、これを進めると大体これだけ内外価格差の是正に寄与していくのだ、これだけの雇用が生まれていく、あるいは失業が起きるかもしれない、やはりそういうものを国民に知らしめていくということが必要ではないか。国民の方々にも知っていただいた上で、難しい既得権にかかわる規制緩和の問題についても、これから議論を進めていくに当たってそういう情報を開示する、情報を公開して環境を整えていくということが重要ではないかと思いますので、もう一度この点について長官にお願いをしておきたいと思います。  そこで、時間がありませんので次の問題に移らさせていただきたいのですが、平成不況を脱出していくに当たって、その大きな問題になっているのは、やはり土地の流動化の問題であります。長官も、私の質問の御答弁の中で、土地の流動化の問題について税制との関係の中でこれから考えていかなければいけないのだ、こういう御答弁をいただいたわけでありますが、その点についてどのようにお考えになられているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。  私が質問をさせていただいた翌日の新聞では、さきがけの議員の方が、土地の税制、これを緩和していっても土地の流動化にはつながらないのだ、こういうことを再三御主張されておられたわけですね。長官の答弁も、そういう意味では、土地の税制をいらうということについては非常に慎重なのだ、そういうカテゴリーの中に入れておられたのではないかというふうに思いますが、それが真意がどうかわかりません。その点も含んで御答弁をいただければというふうに思います。
  67. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 景気回復にとって、土地の流動性を回復するということが大変大きな意味を持っているというのは御指摘のとおりでありますし、私どももそういうふうに考えております。そして、その一環として税制がいろいろ関連があるということも事実でございます。  ただ、土地に関連する税制をどういうふうに考えるかということについては、個々の土地税制を取り上げるのではなくて、税体系全体として見なければいけないという意味で、九月二十日の経済対策の中ではその問題を具体的に触れておりません。年末に行われる税制調査会の場でそれを決めていただきたいと思っております。しかし、税制調査会の方には、私の方からも景気対策という点で十分に考えてほしいということを申し上げてあります。  ただ、土地に関する税制は、委員会のときにも申し上げましたけれども、取得、保有、譲渡の段階にそれぞれ税金がかかっておりまして、しかも国税あり、地方税ありということで大変複雑になって、税を動かすことの影響というのは一概にはかれない、そういう点は十分に気をつけなければいけないと思っていますが、いずれにしても大変かかわりのある問題で、これは税体系の中で考えていかなければいけないと思っております。  それから新聞の記事について、私の意見が一部だけ非常に大きく取り上げられておりまして、私がお答えした真意は、要するにどういうことであれ、その改正、土地の税制であれそのほかの税制であれ、政策によってもう一度バブルを発生させるようなことは絶対慎まなければいけないということで、ミニバブルであろうがメガバブルであろうが、これは避けなければいけないということを申し上げたわけで、そのことは税制を検討しなければいけないということとは別に考えております。
  68. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 そこで、ひとつ確認をさせていただきたいのですが、税体系全体の中で土地税制の問題を考えなければいけない、これはよくわかるわけでありますけれども長官最後に御答弁になられた、もし土地税制をいらった場合に、今の環境の中で、本当にミニバブルやメガバブルみたいなことが起きるのかどうか。  それと、さきがけの方が何回も御主張されているのは、この税制をいらえば土地そのものが一気に値段が落ちていってしまうのだ、だから流動化対策には役立たないのだ、こういう主張を繰り返されていたと思うのです。もう一度お伺いしたいのですけれども、この点についてはどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  69. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 税制をどういうふうに修正するかということによってその程度が違うと思います。それに、税制をいじったからといって今のような土地の流動性の欠如が回復するかどうかというのは、また別の問題だろうというふうに思っております。基本的には、やはり景気回復して土地の需要が出てくるということが土地の流動性を高める一番基本的なことだというふうに考えております。
  70. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 そこで、土地の流動化を促進していくに当たって、市場のメカニズムを動かしていくにはどうしたらいいか。その議論の中で、税制の問題もあるのだと思うのですが、その税制以外の問題で不良債権処理、これは大きな問題を抱えておりますけれども、あとどのような点を考えていかなければいけないと長官自身はお考えになられているか、その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  71. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 お答えいたします。  土地の流動性を高めるにはいろいろな対策があると思いますが、今回の私ども対策の中では、税制に関することは税調の議論の段階にゆだねまして、主として取り上げておりますのは土地の有効利用ということで、土地の先行取得というものに重点を置いております。
  72. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 土地の先行取得、今回の経済対策の中でもそれがあったわけでありますけれども、ただ、それがあったからといって土地の流動化が起きるかといえば、それはそういうふうに思っている方は非常に少ない。ある経済誌にも書かれていたように、今まだ土地の値段が下がるかもしれないときにそれを取得すれば、地方自治体も国もある意味では資産の価値が落ちるかもしれないものを抱えるという意味で、果たしてどれだけ効果があるのかなということが指摘をされているわけでありますが、それ以外には、この流動化を進めていくに当たっての長官自身のお考えというのはございますか。
  73. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 基本的には土地の需要というものを景気回復を通じて実現するということだと私は思いますし、もう一つは、長期的なプロジェクト、例えば首都移転ですとか、そういう構想を打ち出すことによって土地に対する流動性を高めるきっかけをつくればいいと思っております。
  74. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 次の質問に移らせていただきたいのですが、先ほどの御答弁の中で、今月末ですか、総理に答申をされる新経済計画の問題について。  これは、今までの前川レポート、そして「生活大国五か年計画」、その二つの日本経済構造を変えていく大きな計画があったわけですが、それとはまた違う新しい発想で計画をつくられているのではないかと私自身は思います。その中で、長官自身がこの計画に対してどういう、思い入れと言うとあれでございますが、思いを持っておられるのか、お伺いをさせていただきたいのであります。  この計画の中では、特に幾つかの柱がある中で、日本の高コスト体質というものを改善していくんだ、こういうことでございました。たしか二日前の読売新聞でしたか、その問題についで具体的にこうだというようなことが、これはすっぱ抜きなのかどうかわかりませんが、例示として書かれていたわけであります。しかし、それを見ていると、今までに政府が決めたことを何か焼き直しで書いているような感じがして、何か新しい大きな目玉があるなという感じは余りしなかったのですが、長官がどうこうと言える問題ではないことは重々承知をしているのですが、長官自身のお考えがあればお伺いをさせていただきたいと思います。
  75. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 お答えいたします。  中期計画の素案と申しますか、それはこの十一月未に経済審議会からいただくことになっておりますので、私がとやかく注文をつける立場にはございません。しかし、できることならば次のような点を盛り込んでもらいたいと思っております。  一つは、今景気が非常に悪いわけですが、この景気回復を確実にした上で、構造調整の問題がたくさんありますが、その中で日本産業がいかにしたら生き生きして自由で闊達な活動ができるか、そういうことについての処方せんをまず書いてもらいたいと思っております。自由で活力に満ちた経済社会の形成ということが第一点。  それから第二点は、震災の経験もございますけれども、また、将来的に見ますと日本の人口の高齢化が進んでまいります。そういうことで、今国民経済成長にもかかわらずいろいろの不安を感じておられると思いますが、そういう不安がなく、安全な経済社会をつくることが少なくとも国内的には必要だということで、そのためには、先ほど計画局長からお話し申し上げたような生活に関連する社会資本整備の具体的な目標を設定して、これを国民に明示してほしいというふうに考えております。  それから第三番目には、構造調整と関連することですが、日本経済は世界との共存なしには生きていけないわけですから、国際経済との調和をどういうふうに考えるかということを的確に示していただきたいと思っております。それは、ただ単に経常収支のバランスが国際的に調和がとれるというだけではなくて、環境問題、その他人口問題、食糧問題について、世界の中の日本、あるいは日本が世界に対してどういう役割を果たせるか、そういうことを明示した計画の案を答申していただきたいなと思っております。
  76. 伊藤達也

    伊藤(達)委員 時間が参りましたので、長官には、今お話しになられた点、そして長官自身が民間におられるときに、やはり規制緩和というものをてこにして透明で自由な経済社会をつくっていかなければいけないのだということを再三お述べになっておられました。そういうものを実現していくためには、やはり新しい発想で新しいリーダーシップを発揮していかなければなかなか実現できないと思います。  経済運営の重責を担われている長官、大変だと思いますが、ぜひ頑張っていただいて、その目的を達成していただきたいと心からお願い申し上げまして、私の質問にかえさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  77. 大石正光

    大石委員長 青山二三君。
  78. 青山二三

    ○青山(二)委員 新進党の青山二三でございます。どうかよろしくお願いをいたします。  第二次村山内閣は発足以来景気回復内閣と呼んでいらっしゃるようでございますが、その景気回復対策を優先させるという内閣のかなめとして、民間より起用されました期待の星、宮崎大臣が登場したわけでございます。長官のその軽やかなフットワークと柔軟な頭脳で、いつまでたっても足踏み状態の日本景気、この景気回復の重い足取りを何とかスムーズにして経済の立て直しを図っていただきたく、心より願いを込めまして、質疑時間の許す限り、いろいろな角度からお伺いをしたいと思います。  さて、長官の経歴を拝見いたしますと、東大卒、経企庁事務次官を経て大和総研理事長、老人保健福祉審議会会長、厚生省の二十一世紀福祉ビジョン懇談会座長と、ざっと見ただけでも華麗な経歴、経済通という言葉がこれほどぴったりくる方はいらっしゃらないのではないかと思うほどでございます。  民間にいらっしゃるときなどは、長官の出版物も少しは読ませていただきましたが、その中では日本経済についてのさまざまな提言をされており、国民生活国民消費という生活者の視点に立った提言に共感できるところが数多くございました。こうして外から経済について考えられるのと、実際に内閣の一員として経済対策に当たられるのとは大きなギャップがあるかと思うわけでございます。  そこで、そのような視点を通して、大臣就任の御感想を一言お伺いしたいと存じます。
  79. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 大変に過分な御激励の言葉をいただきまして、恐縮に存じます。  私が大臣を引き受けましたときの感想ということでございますが、民間におりましても、今度は政府から見ましても、私が仕事の対象にするのは日本経済でありますし、日本経済をいかにしたらよくなるかということで努力をするわけですから、その点については、別に民間にいようが政府の中に入ろうが気持ちは変わりません。  ただ、具体的に大臣ということになりますといろいろの思いがあるのは事実でございますが、率直に言って、一番最初に話がありましたときに感じましたことは、やはり日本は議会主義の国でありますから、大臣は政党の方がおなりになるべきだというふうに感じました。ただ、いろいろの事情がありまして声がかかりましたので、それは民間からの声ということも含めて、努力をしたいというふうに考えたわけです。  特に、村山内閣が景気回復内閣ということを看板に掲げておりますので、そしてまた、先ほどから話があっております規制緩和内閣という看板を上げておりますので、そのことについては今までも重大な関心を持ってまいりましたし、ぜひ早く景気を確実に回復しなければいけないという気持ちがありましたので、大変微力ではありますけれども、一生懸命仕事をさせていただきたいというふうに感じたのが最初の感想でございます。
  80. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変ありがとうございました。  我が国経済の現状を見ますと、十月の月例経済報告においても、「景気は足踏み状態が長引くなかで、弱含みで推移している。なお、雇用情勢は厳しい状況が続いている。」とあります。さきにも申し上げましたが、村山内閣は景気回復内閣とみずから呼んでおりますが、それにしては、今日の長く厳しい経済不況に対し政府は的確な処方せんを施していないと言わざるを得ないわけでございます。  ことしに入って、一月から五月までの月例経済報告では、「我が国経済は緩やかながら回復基調をたどっている。」六月にはこれに加えて、「円高の悪影響が一部にみられる。」とされ、七月からは、「これまでの緩やかな回復基調に足踏みがみられる。なお、雇用情勢は厳しい状況が続いている。」そして九月には、「景気は足踏み状態が長引くなかで、弱含みで推移している。なお、雇用情勢は厳しい状況が続いている。」となり、現在に至っております。  このような表現の推移は、ことしに入って景気がどのような状態になっていったのか、果たして景気は上向いているのか、あるいは不況の底にあるのか、その点をわかりやすく、簡潔に御説明いただきたいと思います。  また、景気回復のため必要な政策の特効薬はないのか。日本経済が本当に立ち直るためには、戦後五十年を経て制度疲労を起こした経済構造をつくり直す長期的な対策を早急に進める必要があります。今後の日本経済の中長期的な見通しに対しても御所見を伺いたいと思います。
  81. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 まず、経済の現状でございますが、これは先ほど小野委員あるいは岸田委員の御質問にもお答えしたところでありますが、経済企画庁と申しますか、政府の月例経済報告でその月々若干表現が変わって、一部にわかりにくいという批判がございますけれども、できるだけその時点時点での経済を的確に表現しようということで、弱含みだとかあるいは緩やかな回復だとか、いろいろ言葉が違っておりますが、そういうつもりで書いております。  経済が月々変わっているということではございますが、全般的に申しますと、景気が非常に不振の状況がなお続いているということであります。見方によっては、これは岸田先生が御指摘になりましたように、既に新たな下降局面に入っているのじゃないかという見方もありますが、その問題は別にいたしまして、大変厳しい状況にあるということは事実であります。  具体的に申しますと、個人消費ですとか設備投資は、非常に緩やかでありますけれども回復はしております。しかし、これは本格的な回復ではございません。住宅投資はむしろ減っているような状況でございますし、それから輸出も、横ばいというよりか、この一、二カ月の動きは若干減少ということではないかと思います。  したがって、国全体の需要で見ますと、公共投資だけが増加しておりますけれども民間需要を中心にして非常に停滞をしているという状況ではないかと思います。そういうことを保反映しまして、生産が落ち込んでいる、あるいは雇用状況が大変厳しくなっている、中でも中小企業の方々が困っているという状況がありまして、経済は一言で言いますと非常に厳しい状況であります。  そういうことでありますから、政府はこの春以来一連の経済対策をやってまいりました。その一環と申しますか、その延長線上で日本銀行が公定歩合を引き下げ、それを迫っかけるようにいたしまして九月二十日に経済対策を発表したわけであります。  この経済対策は、従来の経済対策と違いまして、内需拡大のほかに、バブル経済の崩壊に伴って景気回復の障害になっている要因が幾つか出ておりますので、それを除去する対策を含み、かつ急速な円高に対応する構造調整を進めなければいけないということに関連しての一連の政策も加えて、この三本柱で景気回復を確実にしようというふうに考えているわけです。  この対策によって、公定歩合引き下げの効果もありますが、足元の情勢が厳しいということもありますし、また、経済対策の効果というのは丸々年内に出てくるわけではありませんので、年内は依然として厳しい状況が続くと思いますが、来年になりますと景気回復軌道に経済は乗ってくるのではないかというふうに期待をしております。もちろんこれには、経済対策で終わりだということではなくて、税制改革も規制緩和も、あるいは不良債権処理もきちっとやらなければいけないと思っております。
  82. 青山二三

    ○青山(二)委員 長官は、就任直前の七月ごろでございますか、「公共投資の情報公開を」と題して、次のような主張を雑誌に寄稿しておられます。  政府は公共投資は堅調と言ってきたが、国民所得統計で見ると全体の成長率への寄与度は低下しており、堅調どころか、景気への浮揚力を弱めていたとの主張をされておりまして、「公共投資は景気を支えていなかったのではないか。」と述べておられます。  公共投資がきちんと役割を果たしていないのであれば、景気回復がうまく運ばないのは当然であります。この点について、長官の御認識をお伺いしたいと思います。
  83. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 政府はこれまで累次にわたって景気回復させようという対策をとってきたわけです。そして、その柱が公共投資であったわけです。その公共投資が果たして経済に影響を及ぼしたかどうかという点について若干問題があるということを私は民間にいるときに指摘したわけであります。  それは幾つかの理由がありまして、確かに公共投資の成長に対する寄与度というのは成長率の平均に対して大きな数字が出ておりますので、それなりの効果はあったと思います。にもかかわらず、先ほども議論が出ておりましたけれども、この公共投資が引き金になって民間の需要が出てくるということにはならなかったという点があります。その背景には、先ほど申しましたような構造的な問題もありますし、それから、去年に限って言えば、公共投資のフォローが十分でなかったと申しますか、バトンタッチを十分に見きわめないということがあったのではないかと思いますが、そういう疑問を抱きましたのは、一つには公共投資の情報が不十分だというふうに考えたからであります。  ただ、いろいろ調べてみますと、公共投資の実績と申しますか、公共投資の予算が決まり、支出が決まり、実施に移ってから実効を上げるまでに一体どういうふうになってくるかという過程を追跡するというのは技術的に大変難しいわけでありまして、例えば公共投資に関連しております中央、地方の団体というのはもう三千以上あるわけでございますし、そういう機関が、もちろん国のお金ですからきちっと決算書をつくっておりますけれども、その決算書が出てまいりますのは非常におくれて出てくるわけであります。  そういうことで十分にフォローできないということのほかに、現実の問題として、天候の条件によったり、あるいは政治的な条件によったりして、公共投資の支出の進み方が年によって非常に違うわけでありまして、その年による違いを十分に見きわめられなかったということがあって十分な効果をおさめていないというふうに考えるわけですが、その背景には、そういう情報不足があったというふうに考えております。  ただ、情報公開をできるだけしていくということは当然のことで、必要だと思っておりますし、そういう努力を進めなければいけないと思いますが、技術的に申しまして大変複雑な機構、複雑な過程、そして長期にわたる問題を抱えておりますので、努力はいたしますが、すぐに全部公開というわけにはなかなかまいらないと思います。
  84. 青山二三

    ○青山(二)委員 先ほど来、この公共投資についてはいろいろな意見が出ておりますけれども経済構造が大きく変化する中で、公共投資の中身にも変化が求められてきております。  けれども現実を見ますと、政府は思い切った施策を講ずるとはいうものの、公共事業の配分比率はほとんど変わっておりません。建設国債の対象範囲も、情報社会を促進させる分野には広がっていない状況でございます。これでは我が国経済の構造転換が進まないのは当然ではないでしょうか。  公共投資等の事業規模も過去最大のものにはなっております。長官も先ほど、未来志向の分野には重点を置いたと答弁をされておりましたけれども、その割には総事業規模に占める情報通信分野の割合は十五分の一程度となっておりまして、これでは幾ら何でも少な過ぎるのではないか、こんな思いがいたします。二十一世紀に向けた経済産業構造改革への展望がないと言わざるを得ない、こんなふうに思うわけでございます。  そこでお尋ねいたしますが、このたびの経済対策の公共投資部分十二兆八千億円については、総額として純粋にふえると理解してもよろしいのでしょうか。つまり、今回特に打ち出された経済対策であるわけですから、今年度末の集計で、この分、絶対額がふえる、このように考えたいわけでございます。そして、今回こそ公共投資が景気回復の役割をきちんと果たすことができるかどうか、その辺をもう一度お伺いいたします。
  85. 糠谷真平

    ○糠谷政府委員 お答えを申し上げます。  今、経済対策関係の数字で、十二兆という数字を御指摘になりました。今回の対策十四兆余のうち、公共投資等ということで十二兆を挙げているわけでございますが、この十二兆の中には、用地の先行取得でございますとか住宅金融公庫の住宅建設に対する融資とか、そういうものも入ってございます。  こういうものは、いわゆる国民経済計算上の政府固定資本形成の数字には入ってまいりませんので、政府固定資本形成、公共投資につながるものといたしましては、国それから地方公共団体が実施をいたしますいわゆる公共事業でございますが、それが十二兆の金額のうち約九兆円ございます。その九兆円が最終的に数字として出てくる。ただ、この九兆円にも、細かく申し上げますと若干の用地費が含まれておりますので、土地代はまた国民経済計算上の数字に入ってまいりませんので、九兆円から若干の用地費を引きました八兆円何がしというものになろうかと思っております。
  86. 青山二三

    ○青山(二)委員 それではもう一点、大臣にお伺いいたしますが、我が国経済は成熟化社会に入ったとよく言われます。しかし長官は、日本経済はまだまだ成長していく力があり、ここ数年が低過ぎたのだ、こういう考えを以前述べられております。この点については大変力強い御意見だと思いますので、御所見をお伺いしたいと思います。
  87. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 お答えいたします。  今、日本経済というのは大変長期的な不景気の中にありまして、活力を失っているわけでございます。ただ、私は、これはやはり景気が異常事態だというふうに考えております。しかしこれは、景気回復いたしますと昔のような姿になるというふうには、成長率の点でも、経済構造の点でも考えておりません。  日本経済は、先ほどからいろいろ議論になっておりますように、構造的な問題をたくさん抱えております。この構造的な問題をどういうふうに処理するかということによって、日本経済の活力の返り方が違うというふうに思っております。そして、活力が十分に回復すれば、適正な、持続的な安定成長も期待できるのではないかというふうに思っております。  先ほど、この委員会悲観論とか楽観論とかという話がございましたけれども、私は頭から日本経済の先行きを楽観しているわけではありません。もちろん悲観的に考えているわけではありませんが、それは、日本経済の転換能力を十分に生かして、新しい事態対応できるように産業構造あるいは経済構造全般を変えることができれば楽観的になってもよろしい、こういう意味の慎重な楽観主義と申しますか、そういう立場をとっております。
  88. 青山二三

    ○青山(二)委員 今、大臣の御答弁ございましたが、一般的には悲観的な見方が一向に減らないわけでございまして、景気回復の芳しくない状況が新聞に載らない日はございません。  私の地元の栃木県の九月の企業倒産・整理状況を見ますと、件数は前年同月より二件ふえて十三件、これは八カ月連続の二けた台で、ことしの累計は百三十件にも達しております。これはすべて二十人未満の企業の倒産で、零細・小企業規模の倒産が圧倒的に多くなっているという事実があります。また、八月以降の円高是正の動きも、中小企業を好転させるにはほど遠いものがございます。これら中小企業は地域産業の担い手でございまして、雇用創出の基盤など、多くの面で我が国経済に重要な役割を果たしているわけでございます。  そこで、この重要な中小企業支援対策として、政府はどのような具体的な施策を考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  89. 糠谷真平

    ○糠谷政府委員 お答えを申し上げます。  今回の経済対策におきましても、中小企業対策あるいは雇用対策、当面する大変大きな問題ということでいろいろな対策を打ったところでございますけれども、幾つか挙げさせていただきますと、一つは中小企業関係。  従来、高金利時代政府関係金融機関から融資を受けたというのがあるわけでございますけれども、それが最近の低金利時代になりまして、借りかえといいますか、何とかならないかというようなことがございます。政府関係機関、財政投融資でございますので借りかえということはできませんので、金利について若干面倒を見るといいますか、少し考えようというようなことで、中小企業関係のそういった金融関係について対策を打ったということがございます。  それからもう一つは、特に雇用問題を考えました場合に、雇用の受け皿として、大企業ももちろんではございますけれども、これから中小企業が大変重要になってくるということで、中小企業でいろいろ雇用を確保するための事業をやろうといたします場合に政府として助成することがあるのではないだろうかということで、雇用確保のための中小企業の事業に対して助成をするというような対策も打ったところでございます。
  90. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは労働省の方にお伺いしたいと思います。  来年の栃木県内の中小企業従業員の新規採用の予定状況調査によりますと、約四割の企業が採用予定がありません。ことし四月より採用を減らすと答えた企業は、ふやすと答えた企業を四・七ポイント上回っております。このように、中小企業でも採用をさらに手控えており、状況は一段と厳しくなっております。こうした不況のときは特に女性にしわ寄せが生じております。とりわけ女子学生の超氷河期と言われる就職戦線の厳しさは改めて申すまでもございません。九月の調査では、失業者が二百十九万人となり、ことしの三月に並び史上最多を記録いたしました。そして、失業率に至っては三・二%と四カ月連続で史上最悪の状況であります。  そこで、政府に対して早急に雇用に対する改善策をお願いしたいと思いますが、何らかの具体策を持っておられるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  91. 青木功

    ○青木説明員 お答えを申し上げます。  ただいま青山先生からお話がございましたように、最近の雇用失業情勢、非常に厳しいものであるというふうに私どもも認識をいたしております。そして、この状況背景でございますが、これもいろいろなところで言われておりますように、いわゆる景気循環的なことが理由になることに加えて、構造的な問題、こういったものが入ってさらに厳しい状況、解決しにくい状況というものが雇用の方にも生まれているというふうに考えております。  そこで、私どもといたしましては、当然失業者の生活保障とか職業紹介に努力をさせていただいておりますけれども、特にこれからの課題といたしまして、これはさきの通常国会で成立をさせていただいたわけでございますが、不況業種の雇用安定法というものがございます。これは、長期的、趨勢的に雇用者数が減るような業種を特定雇用調整業種というふうに指定をさせていただきまして、そこからいわば出ざるを得ない労働者の方々を失業しないでほかの職場に結びつけていくということを政府の助成をしながら進めていくという対策でございます。これが一つでございます。  それからもう一つは、先ほど企画庁の方からもお話がございましたが、この臨時国会におきまして中小企業労働力確保法の改正をいただきました。これは、中小企業が新しい分野に出やすくするように、それに必要な基盤的な人材をよそから持ってくる、あるいは自分のところの人たちを能力開発によって向上させて、そして今までの厳しい分野から新しい分野への経営者の努力を応援していくという仕組みでございます。  こういった仕組み等を活用しながら、非常に厳しい情勢ではございますけれども、雇用の拡大のために最大の努力をしてまいりたいというふうに存じます。
  92. 青山二三

    ○青山(二)委員 次に、規制緩和について通告をしておりましたけれども、先ほどもるるお話が出ましたので割愛をいたしまして、今度はボランティア活動の促進についてお伺いをしたいと思います。  我が国はよくボランティアが根づかないと言われておりましたけれども、あの阪神・淡路大震災の折のボランティアの活動は目をみはるものがございました。その数、延べ百二十七万六千人の一般のボランティアの方々が活動され、特に当初は一日に二万人ものボランティアが活動したということでございます。先ほど、大臣のごあいさつの中にもボランティア活動の促進についてお話がございましたけれども、ぜひともこの機会にボランティアの育成と活動の促進に取り組んでいただきたいと思っております。  過日、この委員会で阪神地方の復興の状況とか消費活動調査をいたしましたけれども、その兵庫県の貝原知事や執行部の方々との懇談会の席上でこういう話がございました。一定の要件を備えたボランティア団体に法人格を与えることを考えている、こういう発言がありましたので、この模様が早速その地域の新聞に載りまして、現地のボランティアの方から大きな期待の声があり、問い合わせを受けております。  先ほども大臣のごあいさつにございましたが、このボランティアの件について今後の見通しをお伺いしたいと思います。
  93. 坂本導聰

    ○坂本(導)政府委員 国民生活審議会におきまして、かねてから個人の生きがい対策として社会参加活動が必要であるという報告をいただいております。さらに、国際化やあるいは老齢化という社会環境経済環境変化に伴いまして、ボランティア活動あるいは市民公益活動というものがこれからますます重要になってくると考えております。そして、委員御指摘のように、大石委員長、青山委員初め本委員会委員皆様方に随行させていただきまして、兵庫県知事さんたちとのお話し合いの中でそういう発言をさせていただきました。  今、政府といたしましては、十八省庁で成るボランティア関係省庁会議をやっております。これが最終段階に入っておりまして、その中で、法的整備あるいはボランティア団体の活動環境整備というものについて早急に結論を出したいと考えております。成案が得られれば、委員皆様方にぜひ御支援をいただきたいというふうに考えております。
  94. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変期待をいたしておりますので、早い取りまとめをお願いいたしたいと思います。  それでは次に、電話の勧誘商法についてちょっとお伺いしてみたいと思います。  近年、この不況に伴いまして、資格講座の受講などを口頭、電話で売り込むという電話による契約を前提として電話で勧誘する商法、いわゆる電話勧誘商法が横行しております。この場合、消費者が泣き寝入りをしているというケースが大変多く、国民生活センターに寄せられる苦情相談も激増している状況でございます。  販売方法に問題があった無店舗販売について年度別の推移を見ますと、電話勧誘の場合は年々増加をしており、一九九五年には約三割にも達しております。こうした状況について政府の御認識を伺いたいと思います。  また、この電話勧誘に関する苦情について、どのような特徴があるのかもあわせてお伺いをしたいと思います。
  95. 坂本導聰

    ○坂本(導)政府委員 電話によるいわゆる勧誘でございますが、これは、まず消費者側に契約の勧誘についての心の準備がないという時点で電話がかけられる、あるいは消費者の側で勧誘を断っても執拗に、強引に勧誘を続ける、こういう点、あるいは消費者と事業者とのやりとりが電話でございますので残らないという点、この点を利用して契約を成立したと主張してくる、相手方が強引な手法で主張する、そういうことで被害が急増しております。  今委員御指摘の特色でございますが、これは国民生活センターあるいは都道府県の消費生活センターのネットワーク下で情報を収集分析いたしますと、まず、苦情件数に占める割合が御指摘のように増加しております。平成元年では、総苦情件数に対する電話勧誘に関する苦情件数は一・九%でございましたが、これが九・六%に増加している。それから、さらにその中でも資格講座に関する苦情件数が、電話勧誘に関する苦情の約八割を占めるに至っている。資格講座の勧誘が一番多い。  それから男性若年層、給与生活者からの苦情が多い。まず、通常は女性の被害者が多いわけでございますが、電話勧誘につきましては約七四%が男性である。それから二十代の方が約三割である。それから、全体の被害者の苦情相談の件数では二十代の人が三割でございますが、この電話勧誘に関しましては六一%と、二十代が圧倒的に多い。さらに給与生活者が、全体の苦情では四割でございますが、電話勧誘では八二%と極めて高いということがございます。  それから、苦情の内容といたしましては、勧誘方法が強引であるとか、説明が虚偽であったとか、あるいは一度被害に適った人が再度勧誘されるという二次被害というのが出ている。この講座をとれば、資格を取れば、次の資格をまた取るともっといいという式に何度もひっかかるケースが多いというような特色を持ってございます。
  96. 青山二三

    ○青山(二)委員 今いろいろお話がございましたが、その中でも資格講座についてお伺いをしたいと思います。  この資格講座に関するものが特に多いということで、一九八九年には二千百五十件、これが九四年には一万四千八百八十二件、数がこんなにふえているということでございまして、今御答弁がありましたように、長引く不況の中で資格講座は消費者の関心を呼びやすくて、その多くは国家資格、こういう最も消費者が信頼しやすい国の機関であるように装っているわけでございますから、つい誘惑に駆られる。  このように資格講座に関する苦情が目立って伸びているのは、今いろいろとございましたけれども、また特に資格講座がいろいろと多いということは何か特別な原因があるのか、どんなふうに分析しているのか、お伺いをしたいと思います。
  97. 伊藤隆一

    伊藤説明員 御説明させていただきます。  今まさに御指摘のございましたように、景気が大変厳しい状況にあるということ、そのために一段と雇用情勢が悪化しているということは既に御議論いただいているところでございます。  それに加えて、もう既に企業で働いておられる方にあっても終身雇用というものに対する先行きの不透明感、そういったこともございまして、資格というものに対する関心が非常に世の中で高まってきております。各種資格の受験者数等も毎年増加している状況でございまして、そうした資格を取るための通信教育あるいは講座、そういったものへの需要も大変ふえているという状況でございます。  こうした需要を求める人の多くがまだ社会的に未熟な青年層ということもございまして、悪質な業者が、契約に係る知識、経験が非常に不足している状況に乗じまして強引な電話勧誘によって契約を迫る、その結果トラブルになるというケースが大変多くなっているということだろうと思います。  また、あともう一つ指摘できる点は、従来、いろいろな資格講座であっても、その他いろいろな製品であっても、物を売るときには基本的に広告等を通じて広く大衆を相手として行うというマスマーケティングという手法が多くとられていたわけですが、個々の消費者に対して直接アプローチをした方が効率的であるというマーケティング手法の変化というのがございまして、その結果、電話による勧誘で販売するという形態は、今後資格講座にとどまらずいろいろな分野に広がっていくことが懸念されているという状況でございます。
  98. 青山二三

    ○青山(二)委員 いろいろな被害が出ておりますので、私たちは何としても消費者を守っていかなければならない、このように思うわけでございます。  欧米各国では電話勧誘に関するさまざまな対策を既に講じておりまして、フランスとかデンマーク、ギリシャ、ルクセンブルク、ポルトガル、アメリカなどでは電話勧誘規制の法律がありまして、消費者の保護が図られているという状況でございます。  それに引きかえて我が国では、消費者保護に向けた電話勧誘の法規制はどこを探してもございません。何年も前から電話勧誘に関する苦情が激増している現状をごらんになって、いまだに何の対応もされていないというのは、消費者のことを考えていないと言われても仕方がございません。  経済企画庁国民の生活を第一に考えるところでありますので、消費者保護の観点からも、苦情がふえ始めた数年前の段階で各省庁に積極的に働きかけるべきであったと思うのでございますが、これまでにどのような対策をおとりになってこられたのかを参考までにお伺いさせていただきます。
  99. 坂本導聰

    ○坂本(導)政府委員 これまでに、電話勧誘による販売の中で最も苦情の多い資格講座に関しましては、平成五年に財団法人消費者教育支援センターに委託しまして調査を行いまして、その結果をビデオあるいはパンフレット等を作成して都道府県の消費者行政担当課あるいは消費者センター等に配付して啓発を行っております。  さらに、先ほど委員御指摘のように、電話勧誘による消費者苦情の概要を取りまとめまして、本年九月二十二日に発表を行いまして広報を図っている。さらに本年は、特に九月二十六日から二十八日にかけまして、悪質電話勧誘一一〇番を国民生活センターで設けまして、これはことし特に取り上げたわけでございますが、こういったことで消費者からの相談を集中的に受けております。  なお、通産省でこの点については特にまたやっていただいておりますので、通産省から御答弁いただければと思います。
  100. 青山二三

    ○青山(二)委員 それでは、時間も終わりに近づきましたので、最後にお伺いをしたいと思います。  現在、訪問販売、通信販売等の無店舗販売が訪問販売法の規制を受けておりますけれども、同じ無店舗販売でありながら、電話による勧誘とか電話による契約は何らの法規制も受けておりません。被害者が後を絶たない状況であるにもかかわらず有効な手を打てない現状を打破するために、この電話勧誘販売を訪問販売法の適用対象としてクーリングオフを認めるとかそういうことで消費者保護に向けた電話勧誘の法規制を早急に行うべきと考えますが、この点につきまして通産省並びに長官の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  101. 伊藤隆一

    伊藤説明員 御説明させていただきます。  ただいま御指摘いただきましたとおり、訪問販売あるいは通信販売等の特殊取引については、従来から、訪問販売等に関する法律によりまして、取引の公正と消費者の利益の保護を図るための措置を講じてきたところでございます。  電話による勧誘あるいは契約というものに関しては、現在二つの規制を既にこの訪問販売等に関する法律の中で行っておりまして、一つは、アポイントメントセールスに関する規制というものでございまして、これは電話で目的を告げずに呼び出すとか、あるいは電話で著しく有利な条件で契約できるということを言って営業所等に呼び出して行う契約、これは訪問販売の一形態として位置づけられておりまして、書面交付あるいはクーリングオフ等の規定が適用されております。  もう一つ、通信販売についての規制というのがございまして、これは、電話による申し込みを受ける契約については通信販売に該当するわけですが、通信販売の場合には従来、カタログ等を見た消費者がみずからのイニシアチブで電話あるいは郵便等で申し込むという形を念頭に置いて法律をつくっておりました関係で、規制の内容としては広告規制等に限られておりまして、クーリングオフ等が設けられていないということでございます。  先ほどから御議論いただいておりますように、近時トラブルが拡大してきた電話勧誘販売、これは事業者からの積極的な働きかけが行われて、かつ非対面のままで契約が行われる、こういうものについては、これまで想定していなかった取引形態ということで、訪問販売法による対応が十分でなく、消費者の利益の保護が十分図られているとは言えない状態にあるというふうに考えております。  こういう状況を踏まえまして、新しい特殊取引としての電話勧誘販売について、取引の公正を図るとともに、消費者の利益を保護するという観点から、現在、産業構造審議会において対策のあり方について御審議いただいているところでございます。審議の結果、必要があれば、訪問販売法の一部改正を含め所要の措置を講ずることといたしたいと考えております。
  102. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 お答えいたします。  電話による契約ですとか販売とかというのは最近大変増加をしておりまして、私も、個人的な話ですけれども、ある意味においては利便を受けておりますし、ある面においては大変迷惑を受けております。したがって、国民の多くが利益を受けるとともに、いろいろ不都合なことがあっていると思います。  経済企画庁としては、やはり消費者を保護するあるいは消費者を啓発するという立場からこの問題に取り組みたいと思いますし、具体的な法的な問題につきましては、ただいま通産省から御説明のあったとおりだと思います。
  103. 青山二三

    ○青山(二)委員 大変ありがとうございました。  以上で終わらせていただきます。
  104. 大石正光

    大石委員長 竹内猛君。
  105. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、大阪でこれから開かれるAPECの問題についていろいろとお伺いをしたい、こういうふうに思います。  ガット・ウルグアイ・ラウンドの受け入れは、七年間もかかってガット・ウルグアイ・ラウンドで交渉を続けてまいりましたが、平成五年の十二月に、細川内閣のときに、涙をのんで絶壁から落ちるような断腸の思いで決断をしたという経過があります。  私は、そのときに衆議院の農林水産委員長という立場にあって、この経過についてはいろいろと承知をしておりますけれども、受け入れ後に国内の農業及び関係者団体は、将来に遺憾のないように対応をしなければならないということから、各団体や行政皆さんと一緒になって、国内的にも海外的にも努力をしてまいりました。  宮崎長官は、村山内閣の中においても異色な存在であります。特に注目されている閣僚の一人でありまして、経済人として、各委員会においても、答弁をされるときにはがやがやするのがおさまる、こういう注目される閣僚であるだけに、大変期待をしているわけであります。  そういうことで、現在の情勢は日々に進んでおりまして、我が国は世界の経済大国として、現在進めている国際化の問題の中で、先ほど来いろいろと御質問もありましたが、規制緩和あるいは内外価格差の問題あるいは市場開放、それから情報公開、市場原理の導入というような方向に向かって努力をしているわけであります。  そういうときに、今私が質問しようとするのは、いろいろ農業の問題に関係をするわけでありますけれども、今、美しい緑、きれいな水、そして安全な食糧を守るための議員連盟というのができています。これは二百人以上、衆参で与党で構成していますけれども、私はそれの座長という形で、けさもその会議をしてまいりまして、このガットについての各党の意見を整理をするという形でまいりました。  ぜひこの問題については重要に考えていただきたいし、議員だけでなしに、六月の十二日には、みどり運動連絡会という四十四団体の皆さんが参加をした一つの運動体ができております。これは農協やあるいは消費者連盟から、各地のいろいろな団体が参加をしておりまして、これもこれから運動に入るわけでありますから、そういう点についても注目をしていただきたいと思います。  問題は、今WTOの再交渉、二〇〇〇年に向かって農林水産省を中心として内外の皆さん努力をしている段階において、私どもが昨年来、農業基本法の見直しをしたり、あるいは食管法の改正をして米の問題にも手をつけた。後継者の問題、中山間地帯の問題、あるいは負債整理の問題等々に努力をしている最中のときに、十六日から開かれるこの大阪での会議には、APECでは、ひとつボゴールの宣言もあるけれども前倒しをしよう、こういうようなお話だ。  APECというような協議機関というものが、法律、条約、こういうものに決められてそれに努力をしているときに、このAPECの性格ですね、どういう性格なのか、これは協議機関ではないのか。だから、そこでは各地域の、各国々の歴史や問題点を話し合いをして、そしてやはりそれを落ちつけるところに話を整理をしていく。  そのボゴール宣言でも第六の項目には、先進国は二〇一〇年、発展途上国は二〇二〇年までに包括的にやろうではないか、こういうふうにちゃんとしているにもかかわらず、そしてまた、WTOは二〇〇〇年までに努力をしよう、再交渉しようというときに、その前にそれを乗り越えるようなことをやるということは間違いだ、こう思いますけれども長官、いかがですか。
  106. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 APECが生まれました背景ですが、最近アジア・太平洋地域の経済成長というのは、大変、ほかの地域に比べて相対的に高い。それだけではなくて、貿易あるいは人的交流、資金の交流という点で非常に相互依存が高まっております。  こういうことを背景にしまして、この地域、国々の話し合いの場をつくり、そしてコンセンサスを得られるようにということがAPECを生んだ、最初にオーストラリアが発案した背景だと思っております。  その後いろいろ、シアトルの会議あるいは昨年のインドネシアの会議等で少しずつ、基本的な性格は変わっておりませんけれども、取り上げる問題の重要性が変わってきているという感じはいたしますが、いずれにしても、お話しのように、これは多角的貿易体制と整合性のとれた協議の場でありまして、地域協力をいかに進めるかという場でございます。  しかしこれは、こういう場を通じてこの地域の開かれた地域主義を確立するという意味で大変重要な場だと考えております。したがって、今度の大阪のAPECの会議というのは、議長国でもありますし、この点を踏まえてぜひ成功させなければいけないというふうに個人的には考えております。  それから、お話しの農業の問題でございますが、ウルグアイ・ラウンドの決定に当たりまして大変苦渋に満ちた決断をされたという経緯は私も十分承知しておりますし、国会で食糧自給を強化する決議が行われたということも承知をしております。そういうような個別の国における特殊の事情を包括的な自由化の中でどういうふうに考えるかというところが会議一つのポイントになっているのは御承知のとおりですが、その点については、各国の特殊事情に対応した柔軟な話し合いが行われると期待しております。  なお、具体的には、この交渉といいますか話し合いの準備を進めております外務省あるいは通産省にお答え願いたいと思っております。
  107. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 外務省にもお伺いしますけれども、NAFTAとかあるいはケアンズ・グループとか、いろいろなグループが地域的にありますね。それは、ガットができる歴史というものは、ブロック経済が中心になっていくと非常にまずいから、なるべく関税と貿易によって自由にしていった方が滑らかでよろしいということからガットができた歴史がある。日本はかなり後でこれに入った。そのときには、既にヨーロッパでもアメリカでも自分の農業についてはがっちり四方を固めて、そして日本が入ったときには既にかなり条件のいい中で、日本が後から入ってきて今日のようにいじめられている、いじめられていると言う生言葉は悪いけれども、食糧の輸入大国になってしまった、こういう経過があるわけです。  ぜひこの点については、行動指針をつくるわけですから、それに対して何もかも注文をつけて反対をするわけじゃないけれども、少なくとも食糧問題は、環境やなんかとも大いに関係があるし、安全性とも関係があるものですから、その国々の事情というものを十分に配慮をして考えていくべきであるということについては、今の協議機関という、決議じゃなくてこれは協議なんだということで、何か新聞の論調なんかも非常に厳しい論調がありますよ。きょうの朝日新聞なんかひどいですね。ああいうようなことでは非常に困るわけであって、長官としてこの際、もう一遍、そういうことについてお答えをいただきたいと思います。
  108. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 先生御指摘のように、最近の世界経済では、NAFTAですとかEUですとか、いろいろ地域的なグルーピングがございまして、その一つ、あるいはそれと並んでAPECの問題が取り上げられているということはございます。  それぞれの地域的なグルーピングについては性格が違いますし、特にAPECの場合には、国の政治的な制度も違いますし、経済発展段階も違います、社会的な風土もいろいろ違いまして、多様な国であるというのがほかの地域グループに比べて際立った点だと思っております。そういう中で、できるだけ開かれた地域主義ということで、排他的でなくて、お互いにいいところをお互いに補うという形で相互依存の利益を最大限にしよう、それを話し合う協議の場というのがAPECだというふうに考えております。  したがって、それぞれの特有の問題については柔軟に対応できるということも十分に考えられると思いますが、やはり原則というのは、この地域における相互依存のためにできるだけ開かれた自由な地域をつくるということが目的でありますので、そういうことを踏まえて大阪の会議には臨まなければいけないと思っております。
  109. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 これは最終的には閣僚会議で決めることになると思いますから、そのためにも次のようなことはどうしても申し上げておかなければいけない問題があります。  APEC加盟十八カ国、インドが入っていませんけれども、人口においては、世界の人口は今五十七億ほどありますけれども、その中で四〇%がこのAPEC関係にある。それで、中国の人口が十二億、日本が一億二千五百万、もっとありますか、一億四千万ほどありますか、それから韓国が四千四百、チャイナ、これは台湾になりますか、これが二千、それからフィリピンの大統領もこのごろは少し注文をつけてきた、これが六千六百万。  こういうふうに、合計をすると人口において十四億というような人口がこの今の大阪会議については注文をつけていて、そして、アメリカと豪州が後ろの方から非常に輸出をしたいということで、特にアメリカのごときは国内の農業保護法を改正して予算を削って、海外に出すから我慢しろ、国策として大阪会議を背後の方で政策的に操っているような向きもある。これはガットの交渉の経過としてはどうもけしからぬことをしている、こういうふうに私は思います。  そういうようなわけで、香港とかシンガポールとかというように、農業に関係なしに貿易ばかりやっている自由貿易国もあるし、かなり人口の少ない国で貿易だけやっている国はもう自由化は賛成であって、それに何も異議を唱えてはいけませんが、少なくとも、インドを加え中国のようなああいう大きな国、あるいはインドネシアも自由化に賛成しているけれども、あの島を見たときに一つも発展をしていませんね、フィリピンでも同じです。  そういうことを考えると、もっと開発というものに対する努力もしなければならぬという形で、私は、やはりアジアにおける特殊性というものをもう少し考えて、自由化自由化と言う前に、その地域をどのようにして一緒になって開発し、前進し、所得を上げていくかということを中心にやるべきだと思いますけれども、この点についても長官としての御意見を伺いたい。
  110. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 APECのそもそもの発生の背景には、先ほど申しましたように、アジア・太平洋地域における経済発展があって、そして自由な取引を通じて相互依存のベネフィットを最大にしようということがございます。  しかし、先ほども申しましたけれども、この地域の国というのは経済的に大変多様性があります。したがって、一つのルールで律するというわけにはなかなかいかないということがありますし、それから今御発言の食糧問題につきましては、アジア、確かにインドはAPECに入っておりませんけれども、インドですとか中国あるいはインドネシア、大変大きな人口を持っておりまして、将来は、特に中国を中心にして食糧不足になるのではないかというような予測があるわけでして、この地域の食糧をいかに安定的に確保するかというのは大変重要な問題であります。そういう点も踏まえて、APECの議論をやらなければいけないと思っております。
  111. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今度は、通商産業省にお伺いします。  APECの問題の中では十五の項目がありますね。討議すべき問題、課題が十五あるはずです。その中には、エネルギーの問題や中小企業の振興の問題、あるいはサービスの問題、技術の問題、基盤整備の問題、たくさんありますけれども、そういう中で、行動指針として進めることについてこれは当然だと思うのです。それは、長官が先ほど言われたように、排他的ではなくて一緒になってよくするために頑張らなければならない、特に議長国だからこれは頑張らなければいけない。  だから、一緒になれることについては、堂々とこれは一緒になって議論をして前向きに進めることは必要であるけれども、特に発展途上国のGNPは非常に低いですね。所得が低いです。アメリカ日本が抜群に高くて、その中間にまた一つのグループがあって、低い国が八つもありますね。 この所得格差というものを埋めていかなければいけない、このことが一番大事なことだと思うのですけれども、通産省、これはどうですか。
  112. 奥村裕一

    ○奥村説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、この地域は単に先進国だけでございませんで、発展途上国も大変多くございます。人口も大変多いということでございまして、私どもとしては、先ほど来議論が出ております貿易の自由化の問題に並びまして、先生御指摘のような経済技術協力の分野、エネルギーとか環境でございますとか、あるいは人材養成、そういった格差の違うところの底上げをするための協力というのも非常に大事だと考えておりまして、いわば車の両輪でAPECを回していこうというのが私どもの基本的な考えでございます。
  113. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今度は、農林水産省に伺います。  私は、去年もそうでしたが、ガットを受ける前から日本の農林水産業上いうものをもっと大事にしなければならないという一つの哲学を持ってきたのです。そして、去年はフランス、カナダ、アメリカへ行ってきたし、ことしはドイツ、イギリス、スペインなどへ行ってきたし、中国ももう十数回、ソ連も北朝鮮もほとんどあの地域は歩いてまいりました。そして、農業というものがその国々によって非常に、生産形態も違うし、食生活も違う、こういうことをよく見てまいりました。  その中で、農林水産業というのは、これは工業と同じような論理で律すべきものではないのじゃないか。すなわち、天候と自然、それから人間の労働力、これは工業も労働力は一緒ですけれども、そういうようなものを中心として取り上げていく。機械のように、施設と資源それから技術、それがあればそれはもうよくできる。どこでもそれはできる。それと同じようなことで扱うということについては、これは間違いではないのかということを予算委員会で宮澤総理に言ったら、それはそのとおりだ、自民党の今の加藤幹事長もこの間の選挙のときにはそういうことを公租している。だれも同じようなことを言っているのですね。長官、その点についてはどうですか。農林省に聞く前に長官の話を先に聞いた方がいいな。
  114. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 工業製品と農産物とは性格が違うというのは御指摘のとおりだと思うのです。資本を投入したり、労働力を投入するという点は全く同じなのですけれども、農業の基本であります土地というのは移動性がございません。  それから、農業の労働力も現実には自由に移動できるということではありますが、実際的な問題としまして、例えば日本の農業ですと、高齢者というのはなかなか経済原則だけで移動するような状況にありません。したがって、工業製品と一律に考えることはできないと思っております。
  115. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 農林省の方はまあいいです、長官が閣僚として発言されたことは大事ですからね。  その次に、現在も毎日毎日、一日に二十五万人ずつ世界の人口はふえている。だから、三百六十五倍すると年に大体一億。そうしますと、現在五十七億ですから、二〇〇〇年のときには大体六十億になる。二十年たてばさらにふえる。これは福田総理が亡くなる前に、一月七日の朝日新聞の「論壇」に投書をして、大量生産、大量消費、それからポイ捨てはやめろ、世界の人口が八十億人になったら、これはもうつくる者はいないじゃないか、こういうことをおっしゃっている。これは正しい話だと思いますね。  そういうときに、今農耕地が毎年六百万ヘクタール、それから山林原野が千七百万ヘクタール、合計二千三百万ヘクタールがつぶされていく。人口はふえる、つくるところは減る、環境は破壊される、こういうことを考えますと、農業というものを、先ほどから言っているように、工業の論理だけで処するということについてはこれは誤りじゃないのか。中国も最近は食糧が不足になって輸入国になる。北朝鮮も気象の条件からして、あるいはロシアも食糧が足りなくなる。それから、現に五億から八億くらいが飢えているということを考えると、食糧問題に対する見方というものについては、やはりもっと厳しくそれぞれの国の実情に沿ったものにしていかなければならないと思いますけれども、これは農林省から聞く。
  116. 松本有幸

    ○松本説明員 農林水産省でございます。  私ども、ウルグアイ・ラウンド交渉におきましても、基本的な理念といたしまして、食糧安全保障あるいは国土環境保全等、農業の果たしている多面的な役割が適切に反映されることの必要性につきまして積極的に主張してきたところであります。  今後とも、FAOとかWTO等種々の国際機関におきまして、農業の持つ多面的な役割の重要性につきまして私どもの主張が理解されるように努力してまいりたいというふうに考えております。
  117. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 かつてこの日本では、農業におけるところの適地適産あるいは地域分担、地域分業論、こういうことが財界から言われてきた。これは大変問題が多いのですね。  先般もこの委員会で、財界あるいは学者や消費者、たくさんの団体の話を聞きますと、食糧というのが一番先にきて農村、農業、こういうふうにきますね。食糧というのは物なのだから、どこででもつくれるものが食糧です。農村と農業というのはその国でなければできないものですね。農村と農業があって初めて食糧はできるわけだから。そこのところをどうも取り違えている。これは労働組合でもそういう誤りをしている。  私は、やはり農業というなりわいがあって、農村があり、そこに働く人たちがいて、それから適切な天候に恵まれていて、そこに生産が行われて安全な食糧ができるのだ、こういうふうに思うのです。これは長官、どうですか。その考え方は間違いですか。
  118. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 農業に関する限りはお説のとおりだと思います。
  119. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 同感です。非常に結構です。  そういうところからして、私はやはりこの際、ドイツヘ行ってきたときに、ドイツは日本と同じように敗戦国で工業国家だった。ドイツの最高指揮官はそう言っています。それで、景観といい土地と後継者を守るためには、減反、減収。そして農家の所得が不足しますから、そうすると工業の輸出のある部分を農業に還元するというデカップリングをやっている。だから、農業団体も政府も一体となって景観を守り、国土を守り、それから農地を守り、後継者を大事にする。こういう政策日本ではとれないものかということを私は期待をしたいのですけれども長官、この考え方は間違いですか。
  120. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 将来の農業政策において、今お話しになりました自然の問題あるいは農村と申しますか、そこに生活をしている人たちのことを考えなければいけない。つまり、日本の文化との関連で農業問題を考えなければいけないという点は御指摘のとおりだと思います。
  121. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 日本農業新聞が十一月一日に五つの政党にアンケートをとりまして、APECについて二つの注文をした。やはり二〇〇〇年までの間で、交渉していく間に前倒しなどということはやらないでくれ、こういうアンケートについて、各政党はそのとおりだ、こう言っていますね。与党も野党も一緒だ。こうなってくると、もう閣僚である長官もひとつこの際村山総理を激励をして、鞭撻をして、それで一致するものは一致してもいいが、やはり一致しないところは十分に議論をして、その取り扱いについては慎重にやるということについて、ひとつ長官にこのことについてはぜひ御努力を願いたい。いかがですか。
  122. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 先生方のお話、よくわかります。  ただ、私、経済企画庁におりまして、経済審議会の事務局をやっているわけでございます。経済審議会では今、十一月末に中期計画の答申をするということで作業を進めております。その過程の中で、地球社会という問題を取り上げて、この地球社会との調和をどういうふうに図っていくかということが議論されております。  その中で、APECの問題も取り上げられました。その点で強調されましたのは、先ほどから私が申し上げている、この地域内の相互協力を高めていこう、そしてお互いに協力をすることによってベネフィットを得られるように最大限の努力をしようということでございますので、この問題についてはいろいろの見解があろうかと思いますが、日本の農業、日本の農村を大事にしたいという気持ちは皆さん一緒だと思っております。
  123. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 最後に、私は、これは従来から持っている私の提言ということになりますが、みどり運動連絡会というのは四十四団体を中心として、これは議員は入っておりませんが、その長は所秀雄さんという人で、ケネディが大統領のときに農林省を代表してアメリカに行った立派な方が座長になっている。  ここで、二〇〇〇年の段階までに、消費者も生産者も一緒になって、これから農水省も農業基本法を考えるような、あるいは新政策を考えるようなときに、やはり農業と食糧と環境というものはガットの線ではなしに、別なグリーンラウンドというような、緑のラウンドというようなものをひとつ国際的に議論をして、そういうところで取り上げていった方が非常になじむものではないのか、こういうような提案をしている。  私たち緑の議員連盟は、これを支えてこれから頑張る。農業協同組合も農業会議消費者団体も学者の中にも、いやそんなことは必要ないと言う人もいますけれども、多くの人たちはそういう考え方に賛成をしております。これは長官、感想をひとつお聞かせをいただきたい。
  124. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 前のガットもそうですし、これからのWTOもそうですが、これは一般的な貿易・投資に関する原理を大事にするところでございますが、今先生が御指摘のような環境の問題を含めて、広くこの問題を取り上げるという場は別にあってしかるべきだと思っております。
  125. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 終わります。
  126. 大石正光

    大石委員長 矢島恒夫君。
  127. 矢島恒夫

    ○矢島委員 きょうこの委員会では、いろいろな委員からそれぞれ経済問題、景気問題などさまざまな角度から取り上げられてきました。私も今回の経済対策とそれから個人消費の問題に絞ってお尋ねしたいと思うわけです。  今回のこの経済対策が総事業費にしまして十四兆二千二百億円、その中のいわゆる公共投資等の部分が十二兆八千百億円と過去最大の規模になっている。こういう中で、長官が予算委員会の中で、公共投資を中心にして内需の拡大を図るということで、民間の需要を刺激して、それを通じて国民の購買力をふやすというような御答弁をされたと思います。これは従来型と変わらないのかなという感じを私は一つ持ったということと、果たしてこういうことで個人消費が拡大していくだろうか。やはりGNPの六割を占める国民の個人消費というものの拡大策、購買力を向上させること、このことが景気対策には非常に重要だということは論をまたないと思うのです。  そこで、今まで各委員に御答弁されたことにつきましては、私逐一聞いておりましたので、私の持ち時間は非常に短いものですから重複する部分は割愛されても結構ですが、まず、今回の経済対策によって個人消費というのは間違いなく回復するのかどうか、その確信がおありかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  128. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 ただいま先生がおっしゃいましたように、今度の経済対策は個人消費を直接刺激するという対策は含まれておりません。内需の拡大策と申しましても、主として公共投資を中心にして需要を喚起する、それも公共投資が引き金になってやがて設備投資がふえ、そして個人消費がふえる、つまり設備投資がふえて個人所得がふえて消費がふえる、こういう経路を考えているわけです。  もっとも政府対策の中に税金のことが全然念頭にないかと申しますと、そうではございませんで、既に春の段階で制度的な減税というのが行われておりますし、それから景気が悪いという状況の中で二兆円それにオンするという政策はことしも続けられておりますから、減税というのを全然考えてないわけではありません。今度の対策に限って言えば、公共投資から設備投資を喚起し、個人所得を喚起して消費にいい影響を与えようということでございまして、それは必ず実現するだろうと考えております。
  129. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そういう公共投資の上積みがめぐりめぐって個人消費の回復というものにつながる、これが前々から景気対策あるいは経済対策をやってきたときの政府の言い分であったわけです。  ところが、実際にはそうなっていないということは、きょうの委員会の中でいろいろな委員からの質問の中にも出てまいりましたし、実際に経済企画庁が出しております年次経済報告、いわゆる経済白書の中を年度を追って調べてみましても、過去九二年から総合経済対策というのは今日まで六回やっているかと思いますが、今回の経済対策を除きますと、公共投資の額は三十三兆七千億円、こういう額になっていると思います。しかし、個人消費はなかなか効果が上がっていない。  バトンタッチの問題もお話しになられましたけれども、この白書の中でも、例えば平成五年度のを見ますと、「個人消費は、景気が調整局面に入った九一年以降伸びが鈍化していたが、九二年度には更に低い伸びとなった。」こういうふうに述べていますし、平成六年度の経済白書を見ますと、「低迷した個人消費」こういうタイトルまでつけて、「個人消費は総じて低迷を続けてきたが、九三年度もその低迷から抜け出すことはできなかった。」これは今年度の経済白書ですけれども、「予想に反して消費の回復テンポが相当に緩慢であったことが確かめられる。」「今後の個人消費の動向を展望すると、今回も消費性向の上昇は期待できないことから、緩やかな実質所得の伸びに沿った推移が見込まれる。」こう述べられているんですね。  これら一連の経済白書の表現というものをずっと見ますときに、公共投資の上積みがめぐりめぐって個人の消費の回復につながるんだと今長官確信を持って言われたようですけれども、私は非常にこれは疑問を持つわけなんですよ。だから、こういう論にしがみついている今の経済対策というのを、根本を転換させる必要があるのじゃないか。依然としてやはりこういう方向でこれから行くのでしょうか。
  130. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 今回の対策と従来の対策と違う点は、先ほどもほかの先生方にお答えしたところで申し上げたのですけれども、単に需要拡大だけではなくて、その需要拡大についても中身を考えるということが一つと、それとバブル経済の崩壊に伴って生じたいろいろのマイナスの問題、これを取りのかなければ景気回復しないということで、その点の対策を追加しているというのが特徴でございます。  従来、公共投資を中心に三十何兆やったけれども消費がふえないじゃないかというお話ですが、確かにそんなに個人消費がふえているわけではありません。設備投資の方はもっと減っているわけでして、過去三年間、最近やっとプラスになりましたけれども、三年間マイナスが続いているわけです。要するに、これは繰り返しお話し申しましたように、公共投資が民間需要にうまくバトンタッチができなかったというところに問題があります。したがって、今回はバトンタッチをうまく考えればいいのじゃないかというふうに考えたわけです。
  131. 矢島恒夫

    ○矢島委員 そのバトンタッチの問題は、先ほども同僚委員から質問がありまして、本当にうまくいくのか、こういう質問がございました。消費が伸び悩んでいる中で、どうやって個人消費の拡大を図るか、これは非常に重要な問題であると同時に、総合的に考えていかなければならない問題であるということは私もわかります。  ただ、どう見ましても、設備投資も引っ込んでいるけれども、実質消費支出を見てみますと、九二年度から連続三年低迷している、こういう結果が出ております。九二年度などは名目が〇・九でしたが実質はマイナス〇・五。九三年度を見ますと、名目は〇・五ですが実質はマイナスの〇・六。九四年度が名目がマイナス一・一なのに実質はマイナス一・三。こういうような状況で、さらには今年度を見ましても、これは総務庁の統計局が十月二十日に出しました八月分の家計調査報告ですけれども、この中にも、全世帯の消費支出というものが物価変動の影響を除いた実質で前年同月比で〇・三%の減、三カ月連続マイナス。サラリーマン世帯だけを見ますと、やはり前年の同月比で○・五%減、やはり消費は依然として弱い動きと、総務庁はこのように見ているわけです。  そこで、その要因は何かと質問しますと、もう今までずっといろいろ質問がありましたし、また資産価値の下落とかあるいは金融機関の抱えている不良債権の問題とかいろいろ答えられるのだろうと思うのですけれども、やはり私は、いわゆる所得の伸びの鈍化、勤労所得の伸びの鈍化、あるいは実質的に所得が伸びていない、こういうところにあるんだ、国民の懐が暖かくならない、ここに要因があるんだと思うのです。  私は今、消費拡大とのかかわり合いだけに絞って質問しておりますが、ここの点をどうお考えでしょうか。
  132. 糠谷真平

    ○糠谷政府委員 御質問の御趣旨は、実質所得がどうやったら伸びるかということの御質問ではないかと思いますので、その観点からお答えをさせていただきたいと思いますが、やはり基本は、経済活動が活発になる、生産がふえるという中で名目の所得がふえていくということが実質所得の増加につながる基本ではないかと思っております。  それから、今現在、物価は非常に安定をしているわけでございますけれども、物価の安定を維持する、あるいは内外価格差の是正をするという中で、実質所得の増加、同じ名目所得であっても実質所得がふえていくということにつながるようにするというのがもう一つだろうと思っております。  それから第三番目といたしましては、同じ所得でありましても、可処分所得がふえるという意味では減税ということも一つあるというのはそのとおりだろうと思っています。  その三つにつきましては、それぞれもう既に大臣からお答えをしておりますように、経済対策、内需拡大によりまして経済活動を活発にするということで所得の増加につながっていくようにする。構造調整内外価格差の是正によって物価の安定を維持して実質所得がふえていく。それから減税につきましても、既に制度減税をやっているわけでございます。二兆円の特別減税も現在実施をしておりますし、先般の六月の緊急円高・経済対策の具体化・補強策におきましても、八年度においても景気が特に好転しない限り特別減税を継続をするということを言っているわけでございます。  こういうことによりまして、早期に消費がふえていくということを期待をしているところでございます、
  133. 矢島恒夫

    ○矢島委員 減税の問題といえば、特別減税の二兆円、来年度という発言もありますが、実際に制度的な減税をきちんとやることがやはり国民が所得が上がったときの消費にそれを使っていこうという意欲につながっていくんじゃないかと思うのです。  いろいろ仰せられましたけれども、確かに今、一つには就職難の問題がある。これがいろいろな影を、消費の拡大をいろいろと阻害している。それから低金利時代のという話が先ほど出ておる。高齢者の皆さん方が、こういう低金利時代で利息がどんどん減ってくるという中で、これがまた消費の拡大には悪い影響を及ぼしている。その他住宅ローンの場合などは、確かに金利は下がったわけなんですけれども、実際にいわゆる住宅着工戸数の伸びというのを見ますと、残念ながら減っているんですね。一一・二%、去年の同じ七月と比べてみたのですが減っている。こういう状況もあります。  そういう状況の中で消費の拡大をいかに図るか、ここが苦慮するところだろうと思うのですが、どうも公共投資で、先ほど来私は何回も言いますように、ここへぼうっと置いておけばあと大体めぐりめぐって下の方にもいくんだ、そうすれば消費も拡大するんだよというのは、もう長年、五回も六回もそういう形で経済対策をやってきた。  今回は違うんだよと経済企画庁長官も言われました。今回は違うんだよと言うけれども、本当にこれがどうなるかとなると、例えば先ほどおっしゃられましたような施策がもっともっと現実的に大きく拡大した状況で行われれば、例えば減税なら減税というものについてもですが、それなりに消費の方へ向かうんじゃないかなという期待もこれは持てるわけなんですが、なかなかそういうことになっていないというところについて、ひとつ頑張っていただかなきゃならない問題が多いな、私はこんなふうに考えております。  私、時間が非常に短いわけですが、実はこれはエコノミストに載った記事でございますけれども、「フランスに学ぶ日本経済立て直しの処方箋」というのがあるのですね。フランスのチェリー・リポーさんと日本の真下俊樹さんですか、この二人の方が書かれているのですが、その中にこういう文章もあるのですね。「真の内需形成には労働分配率を高める必要がある。」そのとおりなんです。「内需型経済では、買わせるためには、買えるだけの金をまず客に与える必要があるのだ。」それ以降、時間がないので申し上げませんが、フランスの例をここでいろいろと挙げていらっしゃるのですね。  そういう状況から考えてみても、今日消費に対して、国民の何か買おうという意欲を減退させている大きな一つ要因に消費税の増税問題があるわけです。再来年の四月ですけれども、これは五%と決まっている。しかし、来年の九月には見直し条項があるからこれを見直すんだと。見直すという話の中で下降をして見直すならば、そういう話が出てくればそれは幾らか安くなるのかな、こういう気もするけれども、発言の中を見ますと、出てきているものはすべて五%では足らない、こういうことなんですね。  加藤政府税調会長も、御案内かと思いますが、九月十日付の新聞に発表されておりましたけれども、六%という数字を出されました。ひどいのは財政制度審議会、この中での論議が新聞にも載っておりましたが、ある委員からは一五%という数字まで出た、こういうのもあります。こういうことはいわゆる消費の拡大ということには全く逆行するものではないだろうかと思うのですよ。消費税の税率アップというのはやはり個人消費というものを一層冷え込ませていく。  ですから、私は、先ほど来お話ししていますように、経済白書の中でも「実質所得が足を引っ張った個人消費」という指摘もしておりますが、まず消費税などは引き上げない、それから所得減税、これも臨時的なものではなくて制度的な減税を行っていく、公共料金についてもこれを引き上げない、こういうことが消費の拡大の重要なポイントになっているのじゃないかと思うのですが、この点について。
  134. 宮崎勇

    宮崎国務大臣 個人消費の動向は、景気全体に大変大きな影響を与えているだけではなくて、私たち国民生活にも直結している問題でございます。したがって、先生の御関心というのはもっともだと思いますし、御発言に大変参考になるところがございます。  ただ、税制についていいますと、消費税だけを取り上げて、それだけを取り上げて増税になるということであれば、機械的に計算しますと当然消費がそれは抑えられるということもありますし、それだけをとりますと物価が上がるということはございます。しかし、消費税というのはほかの税金との関係で上げ下げが決められるというふうに今度の年末の税制調査会でも扱われると思います。したがって、その影響がどう出るかというのはほかの税制全体がどうなるかという上で判断しなければいけないというふうに考えております。  したがって、今度の税制改革によって、当面は景気回復が確実になり、そして中期的にも構造調整がうまくやれるような税制になれば、消費税率を仮に多少上げても余り大きな影響はないかもわかりません、あるかもわかりません、そんな点のところは全体像を見ないと何とも申し上げられないということです。  ただ、先ほどからお述べになっております今回の対策の中で、制度的な減税とか特別な減税二兆円、そのほかに減税をやるべきだったというお話は私の記憶の中にもとどめておきたいと思いますし、補正予算の議決の際に、共産党からは、私名指しで、減税、非常に消極的であったというふうに批判をされました。私は、ぜひ私ども政策によって景気回復し、消費が回復するというふうに願っておりますが、事態の推移を注意深く見ていきたいと思います。
  135. 矢島恒夫

    ○矢島委員 国民の懐を暖めて、そして購買力の向上を図る、そういう積極的な施策をぜひひとつ続けてさらに前進させていただきたい、このことを申し上げまして、時間が来ましたので終わります。
  136. 大石正光

    大石委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十一分散会