○星野
委員 企業が国を選ぶ時代、まさに
企業立地も国際競争にさらされている、こういうことになろうかと思います。
そこで、今お話もございましたような製造業の海外移転が進んでいるということは、国内での
土地あるいは人件費あるいは物価、さらに言えば税金等のコスト高が主たる
原因であると言われております。東南アジアあるいは中国、台湾等と比べてみますと、
土地は
日本の百分の一、人件費は二十分の一から五十分の一、あるいは税金も二分の一から三分の一、こんなふうに言われますと、
企業は国内ではとてもやっていられないということになりかねません。
だがしかし、今お話がございましたようなこの国際競争の中で、やはり
日本の立地をもっと魅力のあるものにしていかなければ、先ほど来申し上げているような
産業の空洞化がさらにまた
雇用の空洞化ということで、あらゆる面に、例えば社会保険の財政にしても年金財政にしても、さらに国、
地方の財政にしても、大変大きな悪い影響が出てくることは避けられないわけであります。したがいまして、私は、今本格的な
産業立地政策をやはり組み立て直す必要があるのではないか、そう思うわけであります。
そういう中で、やはり
企業の初期投資の一番大きいものは
土地の購入、つまり用地費になるのではないか、そんなふうに思うわけでありますが、そういう初期投資について
企業の負担を軽減する方法な
ども、これは知恵を絞ればいろいろなことができるわけであります。
例えば、
地方自治体が
土地をまけて、三分の二なり、あるいは場合によっては二分の一で
企業に提供する、そういうことについて交付税で面倒を見るとか、あるいはまた、
企業のそういう初期投資については、まあ無利子ということができるかどうかわかりませんが、長期の
融資を導入するというような、いろいろな方法がさらにさらに考えられると思うわけでありますが、やはりいろいろな工夫を凝らす。もちろん、情報
インフラの
整備も必要でございましょう、あるいはそのほかの
研究開発施設の
整備も今お話しのとおり必要だとは思いますが、そういう魅力のある立地政策をぜひとも打ち出して
日本の
産業空洞化を食いとめていただきたい、そんなふうに心からお願いを申し上げる次第であります。
また、
産業再配置を進めることは、申し上げるまでもなく多極分散の国土形成に寄与するわけでありますし、また
大都市圏における大
規模な地震等の危険の分散にもなるわけであります。また、新しい投資が生まれ、あるいは
雇用が生まれることによって、景気対策、
雇用対策にも資することになるわけであります。そういう
意味で、重ねで、時代の変化に対応した
産業立地政策を、
通産省の皆様方、今まで
努力してこられた、言うなればお得意の
分野でありますが、ぜひその今までの経験を生かして、それこそ
国際化の中で負けない
産業立地政策をぜひ確立をしていただきたい、このことを切にお願いを申し上げる次第であります。
今までいろいろと申し上げてまいりました。もう残された時間はわずかであります。私の
質問はこれで終えたいのでありますが、ただ、あと三分ほどございます。これは御答弁は難しいと思いますので、どちらでも、
大臣の御判断で結構でございます。
APECの
大阪会議が十一月に開催をされることになるわけであります。報道されるところによりますと、高級事務レベル
会議で農業部門の問題が話し合いがついていない、こういうことだそうであります。このことにつきまして、御
案内のところでございますが、きょうの読売新聞によりますと、「穀物国際相場に黄信号」ということが出ておりまして、「世界の穀物
在庫が二十余年ぶりの低水準に落ち込む見通しとなっている」「需給ひっ迫の背景には、耕地や
生産性の伸びが頭打ちになるなど
構造的な要因もあり、相場上昇が一過性で終わらない可能性もある。」というようなことが書いてございます。また、東大農学部教授の花開津さんのお話が出ておりますが、「供給面ではここ十年、世界の耕地面積は増えていないし、単収の伸びも鈍化している。一方で、
環境保全の
動きが強まり、肥料や農業使用を増やしたり、森林を伐採して耕地を増やすのが難しくなっている。」こういうことが言われているわけであります。
申し上げるまでもなく、世界の人口は年々一億近くふえていくという
状況で、人口と食糧を考ええてみますと、レスター・ブラウン氏は、世界の人口は年率二%で伸びていく、ところが食糧の
生産は一%ぐらいしか伸びていかない、そのギャップが広がっていく。あるいは中国、インドの事情等もある。そういう中で十年、十五年たてば、間違いなく食糧危機的な
状況が生まれてくる、こういう警告をしているわけであります。翻って
我が国の食糧自給率は、御
案内のように、カロリーベースで三七%、穀物の自給率は二二%、こういう
状況であります。
そういうことを考えてみると、
我が国の食糧はもちろんのこと、世界の食糧を考えてみた場合に、むしろ基本的には、少なくともカロリーベースで五〇%くらい、自給をある
程度責任を持って各国にやってもらう。その上の五〇%は自由
貿易の原理で
流通をするということは結構だと私は思いますが、やはり食糧は一般の工業
生産品その他の
貿易とは異なる性格を持ち、それがまた即人間の生命にかかわりを持つ。世界的に、いわゆる恒常的な栄養不足
地域の人口が約八億、飢餓
地域の人口が約四億、一
年間に千三百万人の人が食えなくて死んでいる、こういう厳しい
状況の中でありますので、食糧、農産物
貿易については、やはり
我が国の立場、世界の今後の推移等を見ながら慎重な判断が必要ではないかと私は思う次第であります。
もし不都合であれば答弁は結構でございますけれ
ども、APECの
会議にもぜひ
日本の立場を貫いていただきたい、そのことをお願い申し上げておきたいと思います。