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1995-11-09 第134回国会 衆議院 宗教法人に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十一月九日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 越智 伊平君    理事 小里 貞利君 理事 片岡 武司君    理事 鈴木 宗男君 理事 草川 昭三君    理事 月原 茂皓君 理事 吹田  愰君    理事 佐々木秀典君 理事 井出 正一君       石橋 一弥君    小野 晋也君       川崎 二郎君    岸田 文雄君       熊代 昭彦君    栗原 裕康君       七条  明君    萩山 教嚴君       福永 信彦君    穂積 良行君       松下 忠洋君    松永  光君       御法川英文君    与謝野 馨君       愛知 和男君    青山 二三君       石田 勝之君    江田 五月君       大口 善徳君    加藤 六月君       北側 一雄君    北橋 健治君       富田 茂之君    西岡 武夫君       鳩山 邦夫君    船田  元君       冬柴 鐵三君    山口那津男君       輿石  東君    細谷 治通君       山口 鶴男君    山下八洲夫君       中島 章夫君    正森 成二君       土肥 隆一君  出席国務大臣         法 務 大 臣 宮澤  弘君         外 務 大 臣 河野 洋平君         大 蔵 大 臣 武村 正義君         文 部 大 臣 島村 宜伸君         厚 生 大 臣 森井 忠良君         通商産業大臣  橋本龍太郎君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     深谷 隆司君         国 務 大 臣         (内閣官房長官         )       野坂 浩賢君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 江藤 隆美君  出席政府委員         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第二         部長      秋山  收君         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         警察庁刑事局長 野田  健君         警察庁警備局長 杉田 和博君         総務庁長官官房         長       河野  昭君         総務庁行政管理         局長      陶山  晧君         法務大臣官房長 原田 明夫君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         公安調査庁長官 杉原 弘泰君         外務省総合外交         政策局軍備管  河村 武和君         理・科学審議官         外務省アジア局         長       加藤 良三君         外務省条約局長 林   暘君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         国税庁次長   若林 勝三君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部大臣官房総         務審議官    辻村 哲夫君         文部省初等中等         教育局長    井上 孝美君         文部省高等教育         局長      吉田  茂君         文化庁次長   小野 元之君         厚生省健康政策         局長      谷  修一君         厚生省薬務局長 荒賀 泰太君         自治省行政局公         務員部長    鈴木 正明君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君         自治省財政局長 遠藤 安彦君         消防庁長官   秋本 敏文君  委員外出席者         宗教法人に関す         る特別委員会調         査室長     岡村  豊君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月九日  辞任         補欠選任   衛藤 晟一君     松下 忠洋君   小川  元君     岸田 文雄君   加藤 紘一君     福永 信彦君   亀井 静香君     小野 晋也君   白川 勝彦君     川崎 二郎君   村岡 兼造君     御法川英文君   与謝野 馨君     萩山 教嚴君   愛知 和男君     大口 善徳君   船田  元君     青山 二三君   冬柴 鐵三君     富田 茂之君 同日  辞任         補欠選任   小野 晋也君     亀井 静香君   川崎 二郎君     白川 勝彦君   岸田 文雄君     小川  元君   萩山 教嚴君     与謝野 馨君   福永 信彦君     加藤 紘一君   松下 忠洋君     衛藤 晟一君   御法川英文君     村岡 兼造君   青山 二三君     船田  元君   大口 善徳君     愛知 和男君   富田 茂之君     冬柴 鐵三君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  宗教法人法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七号)      ――――◇―――――
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより会議を開きます。  内閣提出宗教法人法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口那津男君。
  3. 山口那津男

    山口(那)委員 先日の総括質疑に続きまして、私の方からきょうまた質問を続けさせていただきます。  先ごろ、江藤総務長官記者懇談会における発言韓国東亜日報紙報道されまして、植民地時代日本韓国に対しよいこともした、こういう趣旨発言報道をされ、韓国側は大変な強い反発を示しております。日本の民団は、この発言を撤回し謝罪をしろ、こういうことを求め、また韓国政府も、発言が事実ならば衝撃と怒りを禁じ得ない、日本政府が適切な措置をとることを期待する、こういう声明まで出しているわけであります。  そこで外務大臣に伺いますけれども韓国政府は、日本との国交正常化三十年の節目に当たることし、この年にこのような発言が繰り返されたことに対して、日本が自覚を新たにするように求める、こうまで言っております。これは発言が繰り返されたという指摘でありますけれども、この年に繰り返されたということでありますから、例えばこの夏の島村大臣就任時、記者会見における発言とか、あるいは総理大臣参議院における本会議答弁で、日韓併合条約締結過程に対する発言とか、そういうものがるる重なった結果だろうと思います。  これはわずか改造内閣発足して三カ月の間に三たび繰り返されているわけであります。これだけやられれば、やはり韓国としても反発するのは当たり前でありますし、この結果によりまして日韓信頼関係というのは大きく傷つけられ、そしてまた著しく国益を損ねていることも事実であります。この外交関係に厳しい影響が及んでいることに対してどう対応するか、また、外務大臣としてこの点についてどう認識をされるか、お伺いしたいと思います。
  4. 河野洋平

    河野国務大臣 日韓関係は極めて重要な二国間関係と考えております。今もお話がございましたように、日韓条約を結びまして新たな日韓関係というものを我々はつくり、今育てているわけでありますが、ことしそれが三十周年を迎える。韓国側未来志向両国は行かなければならぬというようなことも言っておられますし、我々ももちろん、過去を直視しながらも未来に向かって両国関係がますますよりよくなることを心から願っているわけでございます。  そういう状況の中で、今お話しのように、日本側からなされた発言というものが一部はマスコミによって報道され、それが時に真意を伝えていないということもあって、あるいは全容を正確に伝えていないということもあって、韓国側から厳しい指摘、反応があったこともございますが、それについて、その真意を正確に伝えるべくそれぞれ努力をされて、これまで御理解をいただいてきたというふうに考えております。  私は、こうしたことは、我々心して両国関係未来に向けてよりよく発展するために考えていかなければならないということは一人一人が考えておられるというふうに思っておりまして、私も自分自身を、きちんとそうしたことに心した発言行動をしよう、こう考えているところでございます。
  5. 山口那津男

    山口(那)委員 未来志向両国関係を良好なものにしていこう、こういう努力が積み重ねられてきたにもかかわらず、こちらの方から、日本側から冷や水を浴びせるようなことを三度も重ねているわけです、短期間に。そしてまた、近くAPEC首脳会談も行われる予定と伺っておりますが、この時期に際しでこれだけの問題がまた発生してしまった。しかも、韓国側認識としては、東亜日報報道にもありますように、総理のこの日韓併合問題に対する発言に対してまだ問題が残っている、未解決である、こういう指摘もなされているわけであります。  このような差し迫った状況について、事態を打開するために外務大臣としては韓国側を訪韓するなりして、この日本側考え方というものをきちんと説明する必要があるのではありませんか。いかがですか。
  6. 河野洋平

    河野国務大臣 ただいま申し上げましたように、日韓関係は極めて重要であると心得ておりますので、お話がございましたように、今日の日韓関係の中にある好ましからぬ雰囲気をいうものを一日も早く払拭する努力を私どももしなければならないというふうに考えておりまして、私も外務大臣としてその任に当たっておりますからそうした努力をいたしたい、こう考えております。  ただいまお話しのように、APECが大阪でもう来週には開かれるわけでございまして、ここには大統領を初め、首脳の方々御列席の予定になっております。そうしたときに気持ちよく十分な議論ができる、そういう状況を私どもとしては準備しなければならぬというふうに考えて、目下、何が最もいい方法であるかということを真剣に検討しているところでございます。
  7. 山口那津男

    山口(那)委員 このまま来週の日韓会談を迎えたのでは、到底気持ちのいい対話などできるはずがありません。ぜひとも断固たる措置をとっていただきたいと思います。  外務大臣におかれては、参議院での質疑もあるようですから、どうぞ御退席ください。  さて、次に江藤長官韓国東亜日報紙報道された発言、これは新聞紙上日本側にも紹介をされ、そしてまた、きょうの朝刊等によりますと、本来の記者懇談オフレコで行われたにもかかわらず、これは事態が公開されたもの、オフレコが解けたもの、こういうことで各紙発言内容報道されております。この発言内容は事実ですか。
  8. 江藤隆美

    江藤国務大臣 昨日朝、公式に記者会見をして見解を申し述べたことが事実であります。
  9. 山口那津男

    山口(那)委員 きのうの見解では総務庁長官は、発言はなかったことにする、取り消す、こういう旨を述べているようでありますが、そのとおり間違いないですか。
  10. 江藤隆美

    江藤国務大臣 けさ、新聞の解説を読んでおりましたら、産経新聞はこう書いてあります。「完全オフレコというのは、政治家記者団の間で、「これからの発言政治行動としての発言ではない」と約束したものだ。つまり、国民外国に向けて何かを主張しようという意図」をするものではないと。読売は、「オフレコを条件に取材した記者メモ韓国紙に流出」したということが問題だと。(山口(那)委員「そんなこと聞いてませんよ」と呼ぶ)いや、オフレコという話でありますから、なぜオフレコで話をしたかというその前提お話しするわけです。  だから、私はちょうどオフレコ発言をして、そしてそのときにはメモもとらない、記録もとらないということを前提に話をしましたから、いろいろととり方によって、あるいはまた考え方によって違うものがあってはいけないので、一回正式に、それではその考え方を公式に述べましょうと。したがって、この前のいわゆるオフレコ発言というものとは別に、公式な私の考え方を述べますと言って、あれは述べたものであります。それが私の真意であります。
  11. 山口那津男

    山口(那)委員 私の質問に全然お答えになっていないんですよ。取り消した事実があるかどうか、こう聞いているんです。  この間の記者懇談会発言ときのうの発言は別物だ、こう言っているんです。だから、前言はどうなったんですか。取り消したんですか。それだけで結構です。
  12. 江藤隆美

    江藤国務大臣 私が言ったのは、先般のいわゆる記者懇というのは、記録も何もとってないから、あれはなかったことにして、本日改めて私の見解を申し述べますと言ったのが、そのとおりであります。
  13. 山口那津男

    山口(那)委員 あれはなかったことにしてと言うんですね。なかったことにする対象というのは何なんですか。何をなかったことにするんですか。
  14. 江藤隆美

    江藤国務大臣 何ということなしに、それは全体を指しているわけです、全体を。(山口(那)委員「何を言っているんだ」と呼ぶ)何をと言われたって、私がそう言うんだからしょうがないじゃないですか。
  15. 山口那津男

    山口(那)委員 今の大臣発言は、開き直りも甚だしいですよ。何が全体ですか。あなたがきちんと、発言したことをなかったことにする、こうおっしゃったんでしょう。何をなかったことにするんですか。あなたの発言したことが問題になっているんですよ。きちんと答えなさい。
  16. 江藤隆美

    江藤国務大臣 オフレコ発言というものは、政治家記者団の間の関係はいかなるものかということを私はお話ししました。(発言する者あり)
  17. 越智伊平

    越智委員長 静かに願います。
  18. 江藤隆美

    江藤国務大臣 そして記者団、これはオフレコであるから一切書かないようにしようと言ったものが外国に流れたということに対して私は不信感を持っておるんです。
  19. 山口那津男

    山口(那)委員 あなたとマスコミ信頼関係なんということを聞いてないんですよ。韓国報道され、日本新聞報道しているんですよ。そしてあなたは、それはなかったことにしてほしいと言っているんですよ。だから、この報道されたことが、あなたがなかったことにしてほしいということと一致しているのかどうか。なかったことにしてくれというのはどういう内容なのか、それを聞いているんですよ。はっきりさせてくださいよ。
  20. 江藤隆美

    江藤国務大臣 大筋においては私は変わっていないと思っています。  ただ、問題の各部署において誤解を招く面があるとするならば、それは過ちでありますから、そういう点は正していきますから取り消しましょうということです。
  21. 山口那津男

    山口(那)委員 今おおむね変わってないなんて言って、それは、きのうおっしゃったことと前に記者懇でおっしゃったことが大筋変わっていない、そういう意味ですか。(江藤国務大臣「そうです」と呼ぶ)今、そうです、こういうお答えでしたね。発言した内容は変わっていないということですか。  では、新聞報道を読み上げましょう。本日の東京新聞によれば、植民地支配時代の話、これは植民地時代に、  (日本は)よいこともした。全市町村に学校を  つくった。高等農林学校をつくった。ソウルに  京城帝国大学をつくり、一挙に教育水準を上げ  た。全く教育がなかったわけだから。鉄道を五  千キロ、道路一万キロ(をつくり)、港湾の整  備、開田・水利をし、山には木を植えた。創氏改名について。   (日本植民地支配は)誇り高き民族に対す  る配慮を欠いた。それが今、尾を引いている。  その一番のものが創氏改名だ。全部の国民に創  氏改名をやらせたとは思えない。そのままの名  前で陸軍中将にまでなった人がいる。日本では  経済界でも芸能界でもあらゆる面で韓国人が活  躍している。パチンコ店の七割は朝鮮半島だ。  (芸能人などが)韓国から日本に来て縦横に、  あらゆる階層で活動するようになったのは、日  韓併合条約の効果だったかもしれない。侵略行為について。   日本人全体としては、あそこというのは朝鮮半島。  は植民地とは思っていなかった。だから内地、  外地と呼び(外地を)内地水準に高めようと  した。李王朝の金・銀・財宝を日本に持ってき  て飾っているところはない。フランスのルーブ  ル美術館、イギリスの大英博物館は世界中から  かっぱらってきた。日本は中国からも韓国から  も、そういうことはしていない。同趣旨のことが毎日新聞にも報道されております。  官房長官、よく聞いておいてくださいよ。これと認識は変わらないとおっしゃっているんですね。
  22. 江藤隆美

    江藤国務大臣 オフレコ発言について、この国会の場所で答弁する気持ちはありません。私は、公式に記者会見をしたことが私の真実であると御理解を願いたい。
  23. 山口那津男

    山口(那)委員 先ほど、きのうの記者会見発言とそれから記者懇談会発言したことはおおむね一致している、こうおっしゃったんです。それで大臣席からも、はい、そのとおりです、こうおっしゃったんですよ。  官房長官江藤長官記者懇談会における発言、それは東亜日報とそれから毎日新聞東京新聞と、その他全面的ではありませんが各紙報道されている。その内容はほぼ一致しているんですよ。大臣も、きのう発言したことと発言した内容、それ自体はほぼ同じだ、こうおっしゃっているんです。あとは向こう誤解した、こういう趣旨発言です。  こういうことをほっておいていいんですか、官房長官。しかも--あなたに聞いていない。委員長、指名しないでください。私が問うた人だけを指名してくださいね。官房長官村山政権下で、ことしになって島村大臣、八月、そして総理大臣外務大臣向こうの神経を逆なですることを発言したようであります。そしてまた、APECを直前にして、この江藤長官の今のような発言ですよ。さらにさかのぼれば、去年の八月に桜井環境庁長官就任早々、この種の発言をして辞任されているんです。あのときは、取り消し発言をしたけれども、その後に辞任されているんです。  それで今回は、江藤長官がきのう記者会見をした後でも、韓国反発をして、日本にしかるべき措置をとることを期待するようなことを政府声明として述べているんですよ。これをこのまま放置しておくつもりですか。どう対処されるんですか、きちんと述べていただきたい。国民韓国皆さんにわかるように、ここで述べていただきたいと思います。
  24. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 今総務庁長官からもお話がありましたが、私は、昨日朝の新聞を読みまして、直ちに総務庁長官を官邸にお呼びいたしました。私たちは、山口先生も御案内のように、八月十五日に総理大臣の談話を発表しております。すべてが集約をされておると思っております。ある一定の期間に多くの損害を与え悲しみを与えたと深く謝罪をし反省をし、これからの協力関係をつくっていきたいという趣旨のことが書かれております。この点については御了承いただいておりますねと確認をしました。もし誤解のあるようなことがあるとするならば、取り消しをしてきちんと謝罪をしてもらわなければならぬということも言いました。  したがって、私たちは、今お話あったように、韓国動向なりあるいは各党の動向なりを十分に分析をし検討して、誤りのない方向で対処していかなければならぬ。こういう意味で、即断は……(発言する者あり)だから私たちは、きのうも記者会見で言いましたように、日本総理が、政府が決めることでありますから、韓国からそういういろいろな意見があろうとも我々は主体性を持って決めます、参考にはいたします、だからすべて誤りのないように慎重に分析をして検討しておる最中ですと。したがいまして、その上に立って物事を処してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  25. 山口那津男

    山口(那)委員 官房長官、ちょっと前にいてください。  念のため伺いますが、官房長官も、韓国のあるいは朝鮮半島植民地支配に対して、日本はよいこともしたんだ、こういう御認識をお持ちですか。
  26. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 今、私が申し上げましたのは、八月十五日の総理大臣発言ですべて集約されておるし、閣内には一人もこれに対する反対はない、この方法でいくことが韓国日本関係をよくすることだ、こういうふうに理解をしておるところでございます。
  27. 山口那津男

    山口(那)委員 それはわかりました。今は官房長官認識を問うたのです。江藤長官発言したように、朝鮮半島植民地支配のもとで日本はよいこともしたんだ、るるいろいろやったんだ、こういう御認識を持っているのですか。
  28. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 私は、部分的にはいろいろなことがあったではあろうと思いますよ。  例えば、我々は戦場に出て、相手の国の皆さんが随分御苦労なすっておるというときに、戦時中でも随分と友好関係もできた、その人は随分我々を慕ってきた、こういう関係はあるだろうと思います。しかし、ここで論議しておることは、大局の上に立って政治家としてどういうふうな判断をするかということが一番大きな課題であろうと思っております。  したがいまして、韓国皆さん方に全体的にとった行為植民地政策であり侵略行為であった、こういう事実を認めておるわけですから、全く謝罪をし反省をしておるというのが現状であります。したがいまして、総務庁長官がおっしゃったのは、個々別々の、自分の環境の周りのことだけをおっしゃっておるということについては、認識不足があろう、こういうふうに思っております。
  29. 山口那津男

    山口(那)委員 今伺ったのは、侵略だとか謝罪だとかということじゃないのですよ。よいこともした、こういう認識官房長官もお持ちなんですか、江藤長官発言のように同じような認識をお持ちなんですかと。  確かに、植民地支配をして、謝罪すべき内容がある、こういう認識をお持ちなのはよくわかりました。しかし、植民地支配のもとでよいこともしたという御認識があるのですか。ないならない、あるならある、はっきりしてください。
  30. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 私は、申し上げておりますのは、総務庁長官の話を聞きますと、橋をかけたり道路をかけたり大学をつくったことはいいことをしたじゃないかというふうにおっしゃっておりますね。しかし、相手がそのことについても迷惑だったとおっしゃっておるのですから、その点については、その人の立場に立って人の痛さというものを知るという必要があろうというふうに思いますので、私は総括的に、部分部分の問題ではなしに全体的に、植民地政策を進めたり侵略をした行為は許せないものである、こういうふうに認識しております。
  31. 山口那津男

    山口(那)委員 官房長官の明確な認識がよくわからないのですが、今、総務庁長官発言内容について、これは認識不足だ、こういう御発言をされたわけですね。認識不足のまま放置しておくのですか。また、総理のその見解、これは政府として統一した方針を持っておるわけですね。それはもうとっくの昔の発言ですよ。にもかかわらず、こういう認識不足発言をする大臣が出るのですよ。それをほうっておくということですか。私は、そうは思いません。これは日韓外交関係を正常に保つため、信頼関係を再建するためにも、総務庁長官はやめてもらわなければいけないと思います。  もっと言えば、たびたび繰り返されておるわけですから、これは総理としてもっと厳しい決断をしなければいかぬと思いますよ。総辞職をして出直すぐらいの厳しい決意を持って臨んでいただきたいですよ。そうでなければ、いつまでたったってこれは繰り返されるのですよ。村山内閣で四回ですよ、同種の発言で。ほうっておくのですか。
  32. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 あなたの意見意見として承っておきます。  私たちは、いろいろな角度から検討して、間違いのない分析をしながら、外交関係も含めて対処をしたいと申し上げておるわけですから、誤解があれば解いていかなければならぬ、こういうふうにも思っております。
  33. 山口那津男

    山口(那)委員 官房長官、この発言を繰り返したのは、村山総理を除いては全部自民党出身の閣僚なんです。連立政権というのは運営がなかなか難しい。そういう中で、たびたび自民党出身の閣僚がこういう発言を繰り返している。それを、村山内閣として主体性を持ってこれを決断しなければいけない、こういうこともおっしゃっているのですよ。  当委員会において、政府としてこれからこういう発言に対してどう対処をしていくか、村山内閣の基本的な認識を踏まえてどう対応していくか。これがこれからも繰り返されないという保証は全くないのですよ、三たびやられたのですから。きちんと書面でその方針を示していただきたい。これを委員長に強く、内閣として当委員会に提出するように求めたいと思います。
  34. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 一番初めに申し上げましたように、八月十五日の総理大臣談話を見ていただければすべてが理解できて、外国の諸君たちもこれについては歓迎をするということを申し上げておるわけですから、そのことをすべての内閣の考え方であるということに皆さん方はお考えをいただきまして今後行動をとる。だから、綱紀の粛正というか、そういう点については、厳守してもらうようにお願いを申し上げたいと思っております。
  35. 山口那津男

    山口(那)委員 八月にそういうことを決めてから三たびそういう発言を繰り返しているのですよ。(発言する者あり)ですから、今そうやって厳守するようになんということだけを口頭で言っただけじゃ、また改めませんよ。我々はそれが信頼できないから、もっときちんとした対応をしてください、こうお願いしているのです。きちんと答弁してください。
  36. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 誤りのない対応をいたします。
  37. 山口那津男

    山口(那)委員 委員長、ひとつ今後の運営について、この議場であのような暴言を吐くことを許さないでください。きちんと整序してください。そうでなければ、質問できませんよ。それを委員長に申し上げておきます。  さて……(発言する者あり)
  38. 越智伊平

    越智委員長 そちらも言っておるよ。どちらも言っておる。同じだ。  静かに質問をし、静かに答弁をする、そういう環境をつくってくださいよ。(発言する者あり)  質問を願います。質問を続けてください。
  39. 山口那津男

    山口(那)委員 では、委員長にもう一度申し上げますよ。質問者が質問中に、表へ出るなどという大声を張り上げるようなそういう委員発言は厳に慎んでもらいたい。委員長からそのことについて厳しい注意を促してもらいたい。(発言する者あり)
  40. 越智伊平

    越智委員長 後ほど理事会において協議をいたします。
  41. 山口那津男

    山口(那)委員 この委員会の運営について厳しく議論していただきたいと思います。  さて、そこで島村大臣にお伺いしますが、大臣就任時において記者会見で、一々謝罪していくというやり方がいいのかどうかとかあるいは戦争について、これを侵略とか侵略でないとかいうのは考え方の問題だからね、戦争の執行、やり合いと解説ついていますが、侵略の執行が戦争ではないかまさに優勝劣敗で勝った方が相手侵略するということになるのではないですかね、こういう発言報道され、これについて批判も浴びられたと思います。  この点について大臣としては、これは誤解を受けた、こういうこともおっしゃったようでありますが、この発言について大臣の現在の考え方をまずお伺いしたいと思います。
  42. 島村宜伸

    島村国務大臣 私は、この点について、この国会の答弁の席上、文部大臣就任時の会見における発言誤解を生じたので改めて真意を申し上げたところであると言って、撤回の意思をあらわしたところであります。
  43. 山口那津男

    山口(那)委員 これは撤回をした、こういうことで間違いないのですね。
  44. 島村宜伸

    島村国務大臣 そのとおりであります。
  45. 山口那津男

    山口(那)委員 しかし、撤回した発言というのは、大臣の日ごろの考え方を率直にお述べになったものではないのですか。それとも、自分の考えとは違ったことをそのとき述べてしまったのですか。いかがですか。
  46. 島村宜伸

    島村国務大臣 公式の場で申し上げたとおり。
  47. 山口那津男

    山口(那)委員 公式の場で述べたとおりというのは、記者会見で述べたことが自分の考えを述べたことだ、日ごろの考えを述べたことだ、そういうことですか。
  48. 島村宜伸

    島村国務大臣 私は、そのことについて公式の場で撤回をして、そのことを申し上げたとおりです。
  49. 山口那津男

    山口(那)委員 はっきりと聞き取れなかったのですが、大臣は文部大臣という立場ですから、歴史の教育あるいは人格の教育等に最高の責任のある立場なのです。そういう方が就任直後の記者会見でこういう誤解を招くような発言をするということは、これは内外に大きな影響を与えたわけですよ。だから、これは撤回すれば済むというだけの話ではないのです。大臣が日ごろそういう考えを持っているということだとすると、大臣がこれから教育の最高責任者として任に当たるべきかどうかということすら問題になるわけですよ。その点について、大臣考え方をもう一度伺いたいと思います。
  50. 島村宜伸

    島村国務大臣 就任時の私の発言誤解を生じたので、これを撤回し、改めて真意を申し上げたところであります。  なお、このことは、さきの国会でも公式の場で申し上げております。
  51. 山口那津男

    山口(那)委員 官房長官、今島村大臣もこうやって撤回をするということをはっきり申されたようですよ。総務長官も先ほどの発言のとおりですよ。ですから、今後二度とこういうことを繰り返してはいけない。そして、来週にも行われる日韓会談で信頼を回復するためにそれまでどういう対処をするのか、具体的に今問われているのです、短期間で。このまま迎えたら大変なことになりますよ。韓国としては、島村大臣の今の発言や総務長官の発言があった後に、日本政府としてしかるべき措置をとることを求める、こういうことを言っているのですよ。具体的にどういう措置をとられるつもりですか。
  52. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 何回も答弁をしておりますが、基本方針は総理大臣発言。  それから島村文部大臣の問題については、当初私も同じように聞きました。誤解のある点、真意とは違った意味、そういう誤解がある点については速やかに撤回してほしい。したがって、十分考えた上撤回されたものと考えております。したがって、総務庁長官にも同じように誤解のある点については撤回をして、きちんとしてもらいたいということだけは申し上げておきました。あとの取り扱いの問題については、先ほど申し上げましたように、誤りのないように十分検討して対応して対処したい、こういうふうに申し上げた次第です。  以上です。
  53. 山口那津男

    山口(那)委員 短期間で具体的な対応をとらなければ信頼を回復できない、こう私は思います。今の発言では具体的な内容は何ら示されていません。
  54. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 お答えしますが、具体的な内容を現在検討中である。だから、検討したら具体的な行動になって移るであろうということですから、慎重に検討する、それまでにやらなければならぬと思っております。
  55. 山口那津男

    山口(那)委員 厳正に対処して、ぜひともいち早い信頼回復を期待したいと思います。  さて、宗教法人法内容に移りますけれども、書類の提出義務について、この財務関係の書類は備えつけることが従来から義務づけられておりました。しかし、これが提出されるということは根本的に意味の違うことであります。  どうぞ官房長官江藤大臣は後ほどございます。  備えつけと提出というのは根本的に意味が違うことなんですよ。宗教法人側が持っていた自分の情報というものが、本来政教分離をされる相手である国の側にこの情報が全部移転されて支配を受ける、こういう関係にあるわけであります。ですから、この提出が、つまり、その情報の移転、支配が必要なのかどうかそしてまた、それがどう管理されていくのかについては厳正な吟味をしなければいけないわけであります。特に、先日も質問しましたけれども、この提出を強制する書類の中には、信仰の対象を記載したりあるいは宗教活動の内容を記載したりする、そういう情報が不可避的に盛り込まれる場合があるわけであります。ですから、信教の自由を侵すおそれがここで出てくるわけであります。  それに対して、まず法制局長官に伺いますが、長官は先日の答弁で、提出の目的が宝物など信仰の対象がどのようなものであるかということを知るためではないのだ、信仰の対象となる宝物を提出させることはこの制度としては予定していないのだ、こういう御答弁だったように記憶しております。ということは、この提出の目的が信仰の対象や宗教活動の内容を知るためではない、ほかにあるからいいのだということなんですね。であれば、この信仰の対象や宗教活動の内容、これを知るためにつくる制度は憲法違反になる、こういうお考えを前提としているように受け取れるわけですね。そう理解してよろしいですか。
  56. 大出峻郎

    ○大出政府委員 ただいまの問題でございますけれども、この改正の法案で予定しております提出義務の問題というのは、そういう信仰の内容だとかあるいは宗教活動の内容だとかということを提出をさせるということが目的ではなくて、この前も申し上げたかと思いますけれども、この目的といいますのは、宗教法人法七十九条なりあるいは八十条なり八十一条なりの規定による所轄庁の権限の適正な運用のため、所轄庁が、宗教法人の設立後においても宗教団体としての要件を備えているかどうかそれ以外にもありますが、等について把握するための資料にしようとするにとどまるものであるということであります。これが制度の目的であります。  そして、財産目録につきまして、宝物の名称や数量や金額が含まれることが場合によったらあるようであるというお話であったわけでありますが、それは宗教法人の所有する財産の種類として記載されているものであります。この財産目録を提出していただく目的というのは先ほど申し上げたとおりであり、その内容宗教法人の財産の状況を把握したいということにあるわけであります。そういう意味において、たまたま宝物というような形で分類表示されたものがあったとしても、その宝物が何であるかということを知るためにこの財産目録を提出していただくということではないということをこの前申し上げたわけであります。
  57. 山口那津男

    山口(那)委員 私はそういうことを聞いたんじゃないのですよ、長官。提出目的が今長官のおっしゃったような目的であれば、信仰の対象や宗教活動の内容に関する情報を国側がつかんでしまうことも憲法上許されるのかということですよ。それは許されないんじゃないかと私は思うわけですね。  今信仰の対象のことだけを長官おっしゃいましたけれども、それだけじゃないのですよ。宗教活動の内容、これはいわば生きて活動している、そういう宗教法人であれば必然的にその宗教活動に関する費用というものは出てくるわけです。それは、収支計算書その他の書類に間接的にあるいはほぼ数字を通して直接的にあらわれてくる場合があるわけです。ですから、こういう情報が国側に渡るということそのものは、どんな目的で提出を受けようと、そういう情報を国が強制的に知ることになるということは、この制度が当然予想しているところなんです。そういうことを信教の自由の趣旨からして許していいのかということなんです。  逆に言えば、そういう情報が必然的に入ってくるもの、これを強制的にとる、ほかの目的をくっつければ、それ自体を知ることが目的じゃなくても、ほかの目的でとればこういう情報はとれるんだ、憲法上許されるんだ、強制してもいいんだ、こういうことになっちゃうじゃないですか。(発言する者あり)処罰規定を置いてやっているのですよ。それを強制というのですよ。(発言する者あり)処罰なんだよ。行政罰なんですよ、これは。罰則なんですよ。別に、自由に出してください、出さなくてもいいですよというんじゃないのですよ。出さなければ制裁を受けるのですよ。だから強制だ、こう言っているのです。  長官、今言ったようなことについて、私は信教の自由の趣旨に反するんじゃないかと思うのですよ。いかがですか。
  58. 大出峻郎

    ○大出政府委員 一般抽象的に、どういう場合というふうになかなか議論しにくい問題だろうと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、この提出義務をかけている目的というのは、これはあくまでも、宗教法人法の七十九条等の所轄庁の権限の適正な運用を図るために、所轄庁が宗教法人の設立後においても宗教団体としての要件を備えているかどうかなどについて把握するための資料にしよう、そういう目的でとるわけであります。  したがいまして、財産目録をとるということは、その宗教法人の総財産の状況といいますか、どのような財産がどの程度あるかということが表示されているものだと思いますけれども、そういうものをとりたい、つまり宗教法人の財産の状況を把握したいということがこの場合の目的であるわけであります。そういうものは、それをとりましても信教の自由を侵害するというような事態にはならないという考え方をとっておる、こういうことであります。
  59. 山口那津男

    山口(那)委員 今長官がおっしゃったのは、財産目録のことを盛んにおっしゃっているんですね。財産の状況、これは貸借対照表でも同様ですがね、財産の状況を示す財産目録だけの話じゃないんですよ。収支計算書の支出の項目あるいは収入の項目に、宗教上の収入とかあるいは宗教活動に関する支出とか、これを詳細に書けば、どういう活動にどういう費用を使ったか、どこでどうということまで知り得る可能性があるんですよ、これは書き方の問題ですけれども。そうなれば、これは信仰の対象という、財産的な関係だけじゃなくて宗教活動の内容まで把握できるということなんです。  先ほどから何度も申し上げているように、そういう信仰の対象や宗教活動にかかわる情報というものがこの制度によって、目的は宗教団体としての要件を備えているかどうかを知るためだ、こう別なことをおっしゃいますが、しかしこの制度によってそういう情報を国がとるんですよ、強制的に。罰則つきでとるんですよ。その情報は管理下に入るんですよ、国の。これは、信仰の対象を教えなさい、宗教活動の内容を教えなさいと、そういう制度をつくった場合と情報が移転するということについては同じなんですよ。その情報をどう使うか、どう管理されるかということについては明確な規定はないんですよ。そういうあいまいな制度をつくったら、これは信教の自由を侵すおそれが出てくると私は指摘しているんです。  納得できる答弁がないんですよ、さっきから。前回もありませんでした。ですから、私はこの点について、明確な答弁をすべく、きちんと見解を出してくださいと申し上げました。もう一度だけお答えください。
  60. 大出峻郎

    ○大出政府委員 先ほどは財産目録を中心にして申し上げましたが、収支計算書の場合でございますけれども、この収支計算書は一会計年度におけるところの収支の状況というものをあらわす、こういうことであろうかと思います。そういう意味では、宗教法人の宗教活動に関する収入額だとか支出額だとか、そういうものもこの収支計算書の中には含まれているというふうに思います。ただ、この書類の性格というのは、今申し上げましたように、一会計年度におけるところの総体としての宗教法人の収支の状況というものが計数で記載をされているにすぎないものであるということだと思います。  したがいまして、この収支計算書というものを提出していただいた場合においても、個々具体の宗教活動の内容というようなものがこの収支計算書によってわかるという形のものではない。総体としての、いわば概況的な意味での収支の状況というものが記載されておりますけれども、個々具体の宗教活動の内容というものが記載されているものではないというふうに思います。  ということになりますというと、これは宗教団体の宗教上の行為だとかあるいは宗教活動というものに介入をしたり、あるいはこれに干渉をするということにはならないのであって、そういう意味で信教の自由を侵害するものではないというふうに理解をいたしておるところであります。
  61. 山口那津男

    山口(那)委員 今、収支計算書の支出の項目について、個々具体なものではない、概括的なものだ、こういう趣旨のことをお述べになりましたが、大きな株式会社でこういう収支計算書をつくればそういう概括的なっくり方をするかもしれません。それは、会計原則によってもそういうものが確立しておると思います。  しかし、宗教法人について収支計算書をどういうふうに作成するかというのは、これはさまざまなんですよ。宗教団体、宗教法人のいろいろな会計書類のつくり方というのは、確立されたものは何もないんですよ。そして、大小さまざまな法人があります。収益事業を営んでいれば、収支計算書は必ず出さなければなりません。そうした中で、個々具体のこと、より小さいところであればなおさらそうだろうと思いますけれども、この個々具体的な宗教活動についての支出ということを書く場合も出てくるわけですよ。そういうものを記載した場合には、これは信教の自由に違反することになるわけですね、今のお答えですと。
  62. 大出峻郎

    ○大出政府委員 この制度の目的というものは、たびたび先ほど申し上げたとおりでございます。そういう目的のもとにおきまして、収支計算書の場合、宗教活動に伴うところの収入や支出というものが概括的に記載されているということで、それを提出していただいた場合に、そうすることが宗教活動に対する介入だとか干渉だとかということにはならないということを申し上げているつもりでございます。
  63. 山口那津男

    山口(那)委員 長官の今の発言は、それは言っている意味はわかりますよ。だけれども、今私が聞いているのは、宗教法人の実態というのはさまざま、千差万別なんです。しかも、この宗教法人の収支計算書や貸借対照表のつくり方というのは、これは一様ではないんです。基準や慣行は全く確立してないし、法定もされてないんです、もちろん。  ですから、こういうことを、つまり宗教活動の内容についてかなり細かく具体的に記載する場合もあるわけですよ。つまり、それを見れば個々具体の行動が容易にわかる、こういうこともあるわけですよ。もっと言えば、この収支計算書その他の財務関係の書類というのは、数字を使ってその具体的な行為行動がわかるように記載するのがこの趣旨なんです。わからないように記載するというんじゃないんですよ。わかるように記載するというのが、これが会計書類の大原則なんですよ。わからないものをつくってもしょうがないのです。ですから、個々具体のものまでわかるような、そういう書類をつくっている宗教法人はあり得るんです。  そういう書類の提出を求めることが信教の自由に何ら反しないんですか。おかしいじゃありませんか。余りにも長官のおっしゃっていることは抽象論なんです。私は、そういう場合には違反する、憲法違反の疑いがある、こう思うんです。明快にお答えください。
  64. 大出峻郎

    ○大出政府委員 繰り返し申し上げて恐縮でございますけれども、先ほど来申し上げておりますような目的のもとにおいて収支計算書というものを提出していただく、こういうことであります。  そして、その収支計算書には宗教活動に伴うところの収入や支出というものが記載されることになると思いますけれども、その内容というのは、これは一会計年度におけるところのいわば収支の状況というものを概括的に表示をする、大きい、小さいという問題はあるかもしれませんけれども、概括的に表示をする、そういう形のものであります。そういうものを提出していただいた場合に、それは具体的なその宗教法人のあるいは宗教団体の宗教活動というものに介入をするとか、あるいは干渉をするということにはつながらないであろうというふうに理解をいたしておるところであります。
  65. 山口那津男

    山口(那)委員 先ほどから同じ答弁を繰り返されていまして、概括的に書くんだということを前提におっしゃっているんです。私が聞いているのは、個々具体のこと、あるいはかなり細かい、それに近いような詳細な活動内容の支出等を記載する、そういう場合は憲法違反の疑いがあるんじゃないんですかと。現実にこういう詳細な記載をするところもあるわけです。だから、概括的な記載を前提にしたお答えというのは、私の質問に何ら答えてないんですよ。  さっきから何度も同じ質問をしていますけれどもお答えがないようですから、私は、今の点について書面でしっかりと回答していただくように求めたいと思います。委員長、きちんと協議してください。
  66. 越智伊平

    越智委員長 理事会で協議いたします。  理事会で協議しますが、御本人がおりますから、納得のいくまで質問してくださいよ。そして、答弁もしてください。  私が、どう答弁せいとかこう答弁せいとか、委員長の権限では言えませんので、あなたが質問して、答弁をする、こういうことです。
  67. 山口那津男

    山口(那)委員 さっきから同じ質問をして、同じ答えしかないんですよ。答えがないんです。  もう一度答弁されますか。答えますか。概括的な記載なんということを前提に答えないでくださいよ。
  68. 大出峻郎

    ○大出政府委員 繰り返して申しわけございませんけれども、これは、収支計算書の場合、そこに宗教活動に関する収支があるということではありますけれども、それは数字によって記載されている、しかも、一会計年度の総体の収支の状況というものがそこに示されておる、そういう性質のものであって、これは宗教活動の内容について具体的に記載をしなさいというような性質の書類ではないわけであります。そういうものを提出いただくということでありますから、それが宗教上の行為だとか宗教活動に対して介入をしたり干渉をしたりということにはつながらない、こういうことを申し上げているところであります。
  69. 山口那津男

    山口(那)委員 この改正案、法文には、そんな概括的に書けたとか個々具体のことは書かなくていいだとかそんなことは全然決まってないんですよ。決まってないんです。だから、長官は、概括的に書いてあれば私はそういうものと理解しますということを前提お答えになっているんです。だから、私からすれば、じゃ個々具体的なことを書いて提出を求めるのは憲法違反だ、ぞうお考えになっているということにしか受け取れませんけれども。そういうふうに理解しますよ。  いずれにしても、長官の答弁は極めて不明確なんですよ。もう一度お答えになりますか。明確に答えてください。
  70. 大出峻郎

    ○大出政府委員 収支の状況というものを数字であらわす、こういうものが収支計算書というものだと思います。その収支計算書の様式や何かが法的に決まっていないというお話でございますが、細かい意味での様式というものは決まっておらないようでありますけれども、問題は、この収支計算書の書類の性格というものは、収支の状況というものを数字によって表示するという、そういう性格の書類であるということを申し上げておるわけであります。  それを提出していただいて、そして、その中には宗教活動に関する収支の状況というものが表示されておりましても、それを所轄庁が受け取ることによって、宗教団体の宗教上の行為だとか宗教的な活動というものに介入をしていくとかあるいは干渉をしていくということにはつながらない、したがって、この場合には憲法との関係においても問題がないというふうなことを申し上げているわけであります。
  71. 山口那津男

    山口(那)委員 いずれにしても、この点についていまだに明確な答弁を得られません。全くわかりません、その限界的なことについて、私は。  委員長、これは大事な問題なんですよ。信仰の対象や活動内容について、今長官もお認めになったように、記載の基準というのは何ら法定されていないんです。ですから、その内容について、その宗教的な事項にわたることの記載を必然的に国が得てしまう、これは信教の自由に反するおそれが出てくるわけであります。ですから、この点についての明確な答弁を書面で、もう一度お考え直していただいて、わかるように協議していただきたいと思います。
  72. 越智伊平

    越智委員長 山口委員に申し上げますけれども、書面で出せと言っても、我々は、誠意を持って答弁しておると。それ以上のことを、どういう答弁をしろということは言えない。でございますから、徹底して質問してくださいよ。それで答弁を求めてください。
  73. 山口那津男

    山口(那)委員 不明確であるということを申し上げた上で、次の質問に移ります。  この提出された情報に基づいて宗教法人の運営を是正するというような権限は、これはないわけですね。そうすると、何のために提出させるのかという趣旨が明確じゃありません。適正な運営に資するとかという、こういう答弁もあるようでありますけれども、適正な運営に資するというのは、これは、提出をさせて、この情報を使って何かするということじゃないのですよ。これを作成して提出義務を課すことによって宗教法人側が摘正な運営に努めるだろう、こういう提出させることのいわばはね返りの効果、反射的な効果にすぎないわけですよ。そのことのために提出義務を課するというのは私は行き過ぎだと思うのですよ。  何のために提出するのかそれを使ってどうするのか、この点について法律上の何らかの権限が定められているのですか、文部省。
  74. 小野元之

    小野(元)政府委員 提出書類の関係のお尋ねでございますけれども、今回の法改正におきましては、備えつけ書類、原則として備えつけ書類でございますが、その提出を義務づけるということによりまして、宗教法人がその目的に沿って活動しておられるということを所轄庁が継続的に把握し、所轄庁として宗教法人法を適正に運用できるようにするというのが目的でございます。所轄庁への提出義務を課すということが、所轄庁がその責任、権限を適正に果たすためのものだということは明白でございまして、こういった規定を設けているところでございます。
  75. 山口那津男

    山口(那)委員 今抽象的な言葉を使いましたけれども、要するにこの情報を、絶えずいわば管理する、見張る、目を届かせて、そしてこの七十九条から八十一条に定められた諸権限、取り消しですとかあるいは解散命令の請求ですとか事業の停止命令ですとかこういう権限を発揮するためにこの情報を使うんだ、こういうことなんですね。そうだとすると、この提出義務を課するということは、いわば宗教法人を継続的に監視して、そして取り消しや解散命令を請求するために使うんだ、こういうことにほかならないのですよ。これこそ、これこそまさに、提出義務と相まって監視のための制度、管理を強化するための制度だ、こう言わざるを得ないのですよ。そんなことまでする必要があるとは私は思えません。  この宗教法人法の基本的な性格からいえば、そんな年じゅう監視するなんということは予定していないのですよ。これは毎会計年度提出義務を課しているわけですよ。ですから、継続的にこの要件の有無を見るということは、これは監視するということと同じじゃないですか。  それで、この是正をする権限、是正を命令するだとか勧告するだとかこういう権限はないはずであります。だとしたら、この提出された書類に、その信仰の対象や宗教活動の内容にわたることは、これは宗教上の事項にわたることだからここは記載しない、こういうことで他のもののみ記載して書類を提出した場合、これは過料の制裁を受けるのですか。
  76. 小野元之

    小野(元)政府委員 先ほど法制局長官からも御答弁ございましたように、今回提出を求めております書類というものは、いずれも宗教法人の個々具体の活動内容を表したものではございませんで、総体としての財務会計等の状況を客観的に記載したものでございます。これを毎年度いただくということにつきましては、宗教法人がその目的に沿って活動しているということを所轄庁として継続的に把握し、宗教法人法の適正な運用を図るためでございます。  なお、この二十五条におきましては、二十五条五項の規定がございまして、所轄庁は、提出された書類を取り扱う場合には、宗教法人の信教の自由を妨げることがないように留意しなければいけないというような規定もあるわけでございまして、その趣旨に沿って私どもとしてはそれを御提出いただくし、書類については所轄庁としていただくということになるわけでございます。
  77. 山口那津男

    山口(那)委員 私が聞いたことについての明確なお答えはなかったようですけれども宗教法人側が、その信仰の対象や宗教活動の内容にわたること、これを提出するのは信教の自由に反する、こう理解してその部分の記載をしなかった、そして他の書類を提出した、そういう場合には、この提出義務違反として過料の制裁を科されることになるんですかこういう問いなんですよ。それに対するお答えがないんです。どうなんですか、もう一度明確に答えてください。
  78. 小野元之

    小野(元)政府委員 二十五条で定めております財産目録、それから収支計算書等につきましては、私どもといたしましては、この様式といいますか、これは現在研修会その他で様式の一つの例をお示ししているところでございます。これは例でございますから、きちっとした会計基準のように、これに必ず従わなければいけないというものではないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、この書類といいますのは、基本的には現在おつくりいただいて事務所に備えつけていらっしゃるそのものをお出しいただくということでございます。  したがいまして、私どもとしては、ここの法律に定めた要件を記載していただくものをきちんと出していただかなければいけないというふうに考えておるところでございます。
  79. 山口那津男

    山口(那)委員 この様式を文部省が定めて、そのとおりのものを出していただかなければならない、こういうことになると、これはぎりぎりの問題が生じてくるように思います。  それで次に、行政情報公開条例というのが多くの自治体で既に締結されております用地方自治体も所轄庁になることは明白でありますから、この提出された書類によって得られた情報、これを条例に基づいて公開請求された場合に、どこまで公開されるのがその限界がどこなのか、これについての考え方を伺いたいと思います。
  80. 小野元之

    小野(元)政府委員 近年、情報公開条例の制定等によりまして、行政機関の保有する行政情報を住民等に公開する制度を設けている地方公共団体がふえているということは、私どももそのように考えているところでございます。  通常、都道府県の公開条例等におきましては、宗教法人等を含むいわゆる法人等の情報の取り扱いにつきましては、公開することが正当な利益を害すると認められる場合、そういったような場合にはこれを公開しないことができるというような規定が置かれているのが通例だというふうに承知しているわけでございます。  それで、この所轄庁としていただいた書類について具体的にどうなるかということは、最終的には都道府県において適切に判断なさるということになるわけでございますけれども、今、都道府県の情報公開条例等で不開示の事項がいろいろ定められております。幾つかの県の例もあるわけでございますけれども、不開示にすべきものの項目といたしまして、例えば、明らかに不利益を与えると認められる情報、それから正当な利益を害すると認められる情報等につきましては、法人等の情報で不開示とすることができるというような規定が一般に定められているようでございます。  そういうこともございますし、この宗教法人に関する事務というのは国の機関委任事務でございます。宗教法人にとりましては、こういった財務会計等の情報というのは一般に知られていない情報でございまして、宗教法人自体としては、プライバシーといいますか、公開をしてほしくないというお気持ちもあると思われますので、その辺については、慎重な取り扱いがなされるように都道府県に対して指導してまいりたいというふうに考えております。
  81. 山口那津男

    山口(那)委員 今のその御答弁でしたけれども、所轄庁が得た情報について、これは信教の自由との関係で公開が制限される、こういう憲法上の限界というものも存在するのですか。法制局長官、いかがですか。
  82. 大出峻郎

    ○大出政府委員 ただいまの御質問でございますけれども、抽象的にそういうふうにおっしゃられましても、私が明確にお答えするのはなかなか難しいと思います。  ただ、先ほどにも申し上げましたように、財産目録だとか収支計算書だとか貸借対照表だとかあるいは役員名簿だとか、そういうそれぞれの内容なり性質の書類であります。それが信教の自由を侵すというようなものにつながるかどうかということは、いろいろなケースを想定しなければいけないことでございまして、なかなか一口には言えないというふうに思います。  今、都道府県の情報公開条例の問題でありますけれども、これにつきましては、公開することが正当な利益を害すると認められる、そういうような場合などにおきましては、それぞれの都道府県の条例の中で適用除外をするような趣旨の規定もいろいろ設けられているというふうに聞いておるところであります。具体的な運用につきましては、これは各都道府県の条例でございますから、各都道府県において適切に判断されるものと思いますが、一般に秘密に該当するような、そういう情報については、これは当然のことながら慎重に取り扱われることになるというふうに思います。
  83. 山口那津男

    山口(那)委員 先ほど、提出書類に信仰の対象や宗教活動の内容が必然的に盛り込まれる、こういうことを随分私聞いたわけでありますけれども、そういう情報が所轄庁側に入ってくれば、この情報公開条例との関係で、これが秘密に当たるかどうかとかそういう判断とは別にして、信教の自由との関係からこの公開が制限される、こういう判断もこれはあり得るだろうと私は思うわけですね。これは個々具体的なケースによる、こういう御答弁でしたけれども、事信仰の対象や宗教活動の内容については公開されるべきでない、これをいたずらに公開すれば信教の自由を国が侵す、こういうことになるだろうと私は思います。  そこで、国もこの行政情報の公開制度をつくるべく、今、委員会等で議論をされているところだろうと思います。総務庁長官、この書類の提出義務によって国が得た情報について、これから情報公開制度を国がつくるに当たってこれが限界があるのかどうか、その限界についてどのように考えるのか、お答えいただきたいと思います。
  84. 江藤隆美

    江藤国務大臣 昨年の十二月に行政改革委員会の中で情報公開部会が設置されまして、今その調査研究をやっておるところであります。  したがって、情報にもいろいろありますし、国家の防衛戦略、その他個人のプライバシー、名誉にかかわるものもありますし、しかしながら、全体としては情報公開していこうという方針でありますが、その中にはさまざまに公開をしてはならないものもありますから、どういうものを公開し、どういうものを非公開にするかという作業の仕分けを今やっておるところであります。  したがいまして、来年の十二月ぐらいには一応の答申が出られて取りまとめになる、こういうふうに考えております。
  85. 山口那津男

    山口(那)委員 これは国政調査権と守秘義務との関係でこの委員会でも議論になったところですけれども、この立法権の国政調査権と守秘義務によって守る両方の公益を比較する、こういう議論がありましたけれども、この情報公開制度は、行政がみずから民主主義諸制度との関係の中でどこまで情報を公開していいのかどうか、こういう行政のみずからの判断が求められる話であります。  そして、それについては、情報自体のプライバシーとか秘密とかという判断もありますし、それから、先ほど申し上げましたように、宗教事項にわたる情報を国がつかむ、所轄庁がつかむ、この情報を公開することが信教の自由を侵すおそれがあるだろう、こう思うのですが、そういう点からの限界もあるだろう、こう思うわけであります。この点について、文部大臣の明快な答弁をもう一度いただきたいと思います。
  86. 島村宜伸

    島村国務大臣 私たちは、今回の法改正の結果で信教の自由が侵されるようなことはないということで受けとめておりますし、それからもう一つは、先ほど来委員が御指摘になっているように、宗教法人個々のいろいろな事情ややり方があるようなお話がありますが、それらは、それぞれの代表の方がお出になって十分御検討いただいた結果でありますから、私はそういう点は問題がないと思いますよ。
  87. 山口那津男

    山口(那)委員 全然質問お答えになっていませんね。では、大臣としてはお答えにならない、答えられない、こういうことですか。小野次長、どうですか。
  88. 小野元之

    小野(元)政府委員 いずれにいたしましても、宗教法人から提出された書類について、所轄庁には、前々から御答弁申し上げておりますように、守秘義務があるわけでございます。宗教法人から御提出いただいた書類が非公知である、実質的にも秘密ということで保護に値すると認められるような秘密が含まれる場合に、こういった職務上知り得た秘密を外部に漏らす、あるいは外に出すということになりますと、宗教法人法上、こういった書類の提出を義務づける制度の趣旨や目的に反するということもあるわけでございます。そして、ひいては宗教法人の所轄庁に対する信頼を損なうといったような観点もございますので、この点については十分慎重に対応してまいりたいというふうに考えております。
  89. 山口那津男

    山口(那)委員 この書類提出義務によって宗教法人側は、今までは備えつけて済んだものが、必ず作成、提出をしなければならないわけですから、その負担というものは当然生じてくるわけであります。もちろん、これを受ける行政側も事務量の増大ということが考えられるわけでありまして、文部省としてはこの所轄の移転が数百団体見込まれる、こういう御答弁で、それに対して五名ほどの増員を要求している、こういうお話でありました。  都道府県についても、所轄庁としては大部分の宗教法人を扱うわけでありますから、この収支計算書の作成、提出が免除される場合が若干あるということもあるでしょうけれども、その他の書類については、これはどの宗教法人も提出義務を課されるわけであります。そうすると、これは膨大な事務量の増大が予測されるわけですね。それに対して、地方として増員や予算の手当て等をどれだけ考えていらっしゃるのか。この点について自治大臣考え方を伺いたいと思います。
  90. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 余計なことを申し上げて恐縮ですが、きょう私は、ITSという世界会議を横浜で催す予定で、随分準備を進めてまいりました。この時間ならば十分間に合ったのが、ここまで質問がなかったので、まことに惜しいことをしたなと思っていることを一言申し上げます。  ただいまの御質問でございますが、宗教法人法が改正をされますと所轄がかわるということで、逆に仕事量が減るところも出てまいります。しかし、新しい財務関係等の書類について受理をする、そういう地域においては、おっしゃるとおり、かなり事務量がふえてまいると思います。実際問題としてどれだけ事務量がふえるか、まだ不確定なものでありますから具体的な計画は立てておりませんが、私どもといたしましては、必要な事務量を勘案の上、適正な職員の配置を当然考えていく、地方の方々に御迷惑をかけないような、そういう対応をしなければならぬと思っています。
  91. 山口那津男

    山口(那)委員 今大臣から、余計なことですがという発言がありましたけれども、これ、法案の審議を求めているのは政府・与党側なんですよ。国会で審議してくれと要求しているのはあなた方なんですよ。しかし、今大臣がおっしゃった国際会議とかというのは、任意団体が主催する、そういう行事に大臣が行政の立場で出席するということでしょう。立法府との、この大事な議論とどっちが大事だと思っているのですか。そういう発言を軽々しくしないでください。この点についてもきちんとこの委員会で、そういう大臣のお考え方について対処していただきたい。委員長、どうなんですか。
  92. 越智伊平

    越智委員長 理事会で協議をいたします。
  93. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 この時間ならもう十分帰れる時間だったので残念であったという愚痴をこぼしたわけでございます。もしお気にさわるようでしたら取り消します。
  94. 山口那津男

    山口(那)委員 気にさわるとかなんとか主観的なことを言っているのじゃないのですよ。これは大事な質疑、それは答弁によってもその時間というのはいろいろ移動するわけです。ですから、そういうことについて軽々しく発言してほしくない、これをきちんと申し上げておきたいと思います。  さて、次に、事務量もふえるし人件費も増大する、こういうことは当然に予想されるし考えておるということですが、そうだとしても今の自治体の職員とそれから法人の数というのは著しくアンバランスなんですよ。文部省は、これは数百、今の扱っている法人とそれから今度所轄が移る法人合わせてもそう大きな数字にはならないと予測されます。  しかし、各都道府県の所轄するものは、職員数が兼務で二人、三人というわずかな人数でやっているところもたくさんある。それで扱う法人は、もう千の位がほとんどであります。例えば新潟県をとってみれば、現在八千百九の法人があって、それに対して職員はたったの一名、そのほかに兼職が三名いる、こういう状況であります。愛知県や兵庫県はもっと法人数が多い、こういう状況なんですね。  そうすると、これだけの事務量が増大してどれだけ人員をふやすかわかりませんけれども、しかしとてもこの提出した書類を、先ほどおっしゃったように継続的な要件があるかどうかなんということを把握するなんというのはどだい無理な話なんじゃありませんか。こういうことができることを前提に制度を考えられたのですか。  それからもう一つ伺いますが、帳簿の備えつけ義務はこれまでありました。しかし、伺ったところによると、この備えつけ義務を怠ったことによって過料の処罰を科した例、つまり所轄庁が過料の制裁を科すべきだと裁判所に通知をした例はない、こういうお話でした。まあ実際そういうことまではできなかっただろう、事実上できなかっただろうと私も思うのですね。しかし、これからは提出させるわけですから、出したか出さないかというのは容易にわかることで、こういう過料の事務ということも伴って出てくるわけですね。  こういう事務のほかにも、内容が虚偽であったかどうかとか、これは継続的に要件を備えているかどうかこの書類によって見るんだ、こういうお話ですから、これも内容虚偽かどうかについて調べることが当然予想されているわけです。それに対して過料の事務も当然予想されるわけでありますね。それから、七十八条の二によって報告徴収や質問権というのが規定されているわけですから、それを行使すれば備えつけ義務を怠っていたかどうかということも、これも容易に調べられることなのですね。  しかし、そんな膨大な事務を多少の人員を増大させたからといって到底できるとは思われません。もし手に負えないのであれば、これは恣意的にどこかを選んでやるなどということにもなってしまいかねない、そこまできちんと予想してこの制度をつくられたのですか。これは実務的にどう運営されるおつもりなんですか。
  95. 小野元之

    小野(元)政府委員 まず、今回の法改正でいろいろな書類の提出をいただくということでございますが、これはそれぞれの宗教法人がその目的に沿って活動しておられるということを継続的に把握し、法の適正な運用を図るためというものでございます。  具体的に、じゃ、たくさん法人を持っている県では全部見るのは大変ではないかという御指摘でございますけれども、財務会計書類をいただきまして、その目的に沿っていらっしゃるということがわかればいいわけでございますから、個別の部分についてそれぞれ厳しくチェックをするという必要はもちろんないわけでございます。  そういう意味で、若干事務量が増大することは事実だと思いますけれども、それぞれの県で御工夫いただけるものと思っております。文部省におきましても、若干の人員増をお願いしておりますけれども、それで対応していこうというふうに思っているわけでございます。
  96. 山口那津男

    山口(那)委員 文部省は、数百ふえる見込みで五人も増員をやっているわけですよ。ですから、現に数千もあるそういう法人を管理する、そして事務量がその前提のもとで増大する、これは大量の人が必要になると言わざるを得なくなりますよ。かといって、それほど積極的にチェックするわけじゃないなんて言うのであれば、これは継続的に要件を確認するために制度をつくったんだ、これと一致しないじゃないですか。そんな必要はないということになっちゃうじゃないですか。ただ積んでおくだけの書類を提出させて何になるのですか。そういう点からいっても、こんな制度の必要性は私はない、こういうふうに思わざるを得ないわけであります。  さて、閲覧請求権について前回の質問で警察庁から御答弁いただきました。会社の総会屋等について、これは三%の株を保有している株主に閲覧請求権が認められているわけですが、それでもなお、この閲覧請求権をネタにして検挙事例が起きている。その他、会社の株主権等をめぐって何十件も事件が起きている、こういうことでした。ですから、警察庁としてもこの取り締まりには多大な労力を使って努力されている、こういうことですね。  宗教法人に今度のような閲覧請求権を認めれば、これは信者のみならず利害関係人も請求権を持ちますから、そして不当な目的については閲覧を拒否できる、こういう規定もあるわけでありますから、これについてのトラブルというのは当然予想されると思うのです。そうすると、会社におけるような事件というものが宗教法人の場面において起きる可能性はあるのかないのか、私は大変大きな懸念を持っているわけでありますが、この点について国家公安委員長は懸念をお持ちですか。
  97. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 改正宗教法のみにかかわらず、あらゆる法律が新しくできたときに、その施行の状況内容を踏まえながら、さまざまな事態を想定してそれに適切な対応をしていくというのが私たちの務めでございます。  ですから、いわゆる商法における閲覧権にかかわる総会屋の暗躍についても我々は厳しく取り締まっておりますが、今後こういう問題が起こる場合、それが法律に触れるものであれば厳然として対応していくつもりであります。
  98. 山口那津男

    山口(那)委員 法務省に伺いますけれども参議院の十月十九日の法務委員会において原田政府委員は、委員が、こういう宗教法人の閲覧請求権の制度の設定によってトラブルが起きる可能性がある、これに対する対応が必要ではないか、こういう間いに対して、その趣旨意味は大変よくわかりました、このことを痛感した上で今後とも対処していきたいとかあるいは、指摘のあった点について必要があればそのような措置も含めて検討していく、こういう御答弁をされているわけですね。  法務省として、このようなトラブルが発生する、そして場合によってはこのトラブルを防止するような具体的な制度、刑罰等も含めて、こういうことも検討しなきゃならない、あるいはその必要は全くない、どちらでお考えですか。
  99. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  先ほど御紹介いただきましたのは私の答弁でございますが、そのような質問がございまして、確かに、このような制度が設けられます場合に、これを悪用と申しますか、して、さまざまな影響が出てくるという御指摘がございました。そういう問題につきまして、もし違法なことが行われるということであるならば、法務当局といたしましても他の行政関係省庁と協力いたしまして適正な措置をとっていかなきゃならない、そういうふうに考えておりますので、そのような観点からお答え申し上げたところでございます。
  100. 山口那津男

    山口(那)委員 法務省としてこの宗教法人法の改正について事前に法令協議を受けた、これはきのうでしたか十月初旬に受けたという趣旨の答弁をされていたと思うのですね。この協議の中で、この件についてどのような協議というか、検討をされましたですか。
  101. 濱崎恭生

    ○濱崎政府委員 内閣提出法案につきましては、委員も御案内のとおり、事前に事務的な形での御相談というのがあるのが一般でございますが、そういう形で私どもも事前に御相談を受けております。  ただいまの御指摘の株式会社の帳簿閲覧権との関係について、私、商法を所管する立場としてその問題についてお答え申し上げますけれども、株式会社と申しますのは……(山口(那)委員「法令協議の内容について、協議事項について」と呼ぶ)それは、協議の対象ということのお尋ねでございますけれども、個別にこの問題、この問題という形で取り上げて協議を受けたわけではございません。  ただ、これは政府内部の問題でございますので、具体的にどういう協議があってどういうやりとりがあったかということの詳細については御答弁を差し控えさせていただきたいと思いますが、具体的にその問題点を取り出して、私ども民事局でございますけれども、民事局として御相談を受けたということではございません。
  102. 山口那津男

    山口(那)委員 語尾がよく聞き取れなかったのですが、警察庁として、これらのトラブル、予想されるトラブルについて法令協議を受けたんだろうと思いますが、いつ受けたかよく私も答弁を伺っておりません。いつごろ受けて、このような懸念に対して、さっき国家公安委員長も重大な懸念を持っている趣旨発言がありましたので、警察庁として、その懸念を踏まえて、どういう協議をいつごろ行ったか、御答弁いただきたいと思います。
  103. 山本博一

    ○山本(博)政府委員 お答えいたします。  警察庁といたしましても、昨日御答弁を申し上げたところでございますが、十月の五日に当法令案につきまして協議を受けたところでございます。  ただ、現在御審議いただいております改正宗教法案につきましては、種々な協議の上、政府案として閣議決定をされたものでありまして、同法案を閣議決定するまでの間の政府部内の協議経過につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思うところでございます。
  104. 山口那津男

    山口(那)委員 協議の具体的な内容については答弁できないということですが、この点についての対処の方法について、文部省として、こういうトラブルの発生について前回大臣質問したときは、審議会で慎重に審議願った結果ですから云々という全く答弁になってない内容だったわけですね。この点について、所轄である文部省としてはどういう考えを持っているんですか。懸念があるんですかないんですか。
  105. 小野元之

    小野(元)政府委員 この点につきましては、御指摘のような御懸念が宗教法人の側にも一部あるということも承っておりまして、そういったこともございまして、法の条文の中に明確に条件といいますか、信者その他の利害関係人であって、閲覧について正当な利益を有しており、かつ、その閲覧の請求が不当な目的でないというふうに認められる方に限って閲覧請求を認めるという条文にさせていただいているところでございます。  いわゆる総会屋的な方が入り込んでいろいろあるではないかという御指摘でございますけれども、この閲覧が認められる信者等の具体的な範囲につきましては、この委員会でも何度か御答弁させていただいておりますけれども、一義的には宗教法人が判断するということでございます。宗教法人の側で、正当な利益がない、それからさらには不当な目的があるということであれば、それに対しては閲覧請求を拒むということになるわけでございます。したがって、もし、ほとんど関係ないにもかかわらず宗教法人を害する目的でそういった申し出があれば、それは拒むことができるというものでございます。
  106. 山口那津男

    山口(那)委員 そんな観念的、形式的なことを聞いているんじゃないんですよ。それはもう答弁で出ていることであります。しかし、そういう判断があるからこそ、不当な目的を持っている者はいろいろ近づいてくる可能性があるわけですよ。しかし、その不当な目的というのは宗教法人の側からは見えないことです。見えないこと。しかも、利害関係人や債権者も含まれるわけです。債権の回収のために閲覧を求めることができるとあなたも答弁されたでしょう。そういうことであれば、これは債権は譲り受けもできるわけでありますから、どんな当事者がこの利害関係人に登場するか宗教法人の側としては全くわからない。そして、そういう不当な目的をひそかに持つ者が来たって、それは宗教法人は判断もできないし、裁判になった場合に証明もできない。しかし、結果として不当なことを達してしまう、こういうおそれは多分にあるわけです。  また、正当な権利がなくたって、会社等においてはこの点のトラブルが発生しているわけですよ。その点について極めて認識が浅いというか甘いというかこう言わざるを得ないのですよ。  もう一度、その点についてどう考えているか答弁してください。
  107. 小野元之

    小野(元)政府委員 備えつけ書類の閲覧につきまして、正当な利益があると認められる方等につきましては、例えば信者の例ということでこの委員会でも御答弁申し上げたことがあるわけでございます。  それから、信者以外の利害関係人についても、例えば債権者や保証人など、宗教法人と取引等の一定の契約関係にある方であるとかあるいは宗教法人行為により損害をこうむった方であるとか包括、被包括の関係にある宗教法人といったものが一般的には考えられるということを申し上げたところでございます。  また、不当な目的であるというふうに認められる例といたしましても、例えば、そういった情報を得ることで、第三者にその情報を流して何らかの利益を得るとか、あるいは特定の宗教法人を誹謗中傷するための資料を得るためといったようなことがあれば、そういった者については閲覧を拒否をするということになるわけでございます。  いずれにいたしましても、悪質な閲覧請求については、宗教法人として当該閲覧を拒むことができるということでございますし、拒まれた場合で、さらにどうしても争いがあるということであれば、それは閲覧請求を求める側が裁判所に出訴するということになるわけでございます。  いずれにいたしましても、第一義的に宗教法人として、そういった不当な目的あるいは正当な利益がないという者については断ることができるものでございます。
  108. 山口那津男

    山口(那)委員 より閲覧請求を認める必要性の高い会社においてすら、そういう者を排除するためにいろいろな規定を設けているんですよ。しかし、この宗教法人法においては、そういう必要性が低いにもかかわらず、何らのそういう手当てがなされていない。しかも、今のように抽象的なお話ばかりで、その不当な目的を立証できない、したがって排除することができない、そういう懸念、そしてまたトラブルの起こる懸念について何ら対応すべきお考えを持っていない、こう受け取らざるを得ません。  そのほかについてもう一点だけ伺います。  閲覧請求権には信者が含まれるわけであります。この信者というのは、正当な利益とか、あるいは不当な目的を持っているとかという判断とは別に判断しなければならないことだとこの間の与謝野委員質疑でもやりとりされているようであります。  そうだとすると、この信者というのを判断するのに、これは宗教法人によっては宗教的な事項を加味しなければ信者が判断できないという場合も私はあるだろうと思います。これは最終的に、閲覧請求権をめぐって裁判になれば、司法が判断をしなきゃならない、つまり国が判断をしなければならないという立場に置かれるわけです。この信者の判断は宗教法人側に任せてある、こういう御答弁ですけれども、もしこの宗教的な事項の判断をめぐって裁判になった場合には、司法判断にたじまないんじゃないですか。もしそうだとすれば、この司法判断になじまないような概念を盛り込んで法律をつくること自体が私は誤りだと思います。  その点について法制局長官、どうお考えになられますか。
  109. 小野元之

    小野(元)政府委員 信者につきましては、第一義的にもちろん宗教法人が判断するものでございますけれども、例えば最高裁の判例におきましても、宗教法人における檀徒の地位の確認を求める訴えが適法だというような判例も出ておるわけでございまして、第一義的に宗教法人が判断することでございましょうけれども、争いが、法律的な利益がある、訴えの利益があるということになりますれば、当然司法審査になじむものというふうに考えております。
  110. 山口那津男

    山口(那)委員 あなたの答弁は、裁判のシステムを全然理解してないですよ。その訴える適格があるかどうかという判断と、そうじゃなくて、その内容が宗教事項にわたる判断を経なければ法的判断は下せないという、そういう判断とは別のことなんですよ。それについて今のお答えでは到底納得できません。これについて法制局長官、どう考えますか。
  111. 大出峻郎

    ○大出政府委員 この関係条文は、「信者その他の利害関係人」という形でもって、信者と、それからその他の利害関係人というのを法的には区別をしていないわけであります。そういう問題はありますが、ただいまの信者かどうかという問題につきましては、これは裁判所で判断されるべきことでございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  112. 山口那津男

    山口(那)委員 私は、裁判所で判断したことについて答弁を求めているとかということじゃないのですよ。司法審査になじまない場合があるだろう、そういう場合には立法をすること自体もう控えるべきだ、こういうことを言いたいわけです。それに対するお答えが得られないようであります。  しかし、同僚議員の質問時間も参っておりますので、私は、その点について多々問題指摘したいことは残っておりますけれども、これで終わります。
  113. 越智伊平

    越智委員長 次に、大口善徳君。
  114. 大口善徳

    大口委員 ただいまの山口議員のお話の中で、総会屋あるいは暴力団が入り込んでくる余地が閲覧請求権の中である、また、事務処理簿とか議事録だとかこういうものも利害関係人が見られるということで、私は、今回の法案というのは、むしろ暴力団とかテロ集団が入りやすいようなそういう法律をつくったのじゃないか、そういうことでこれは非常に問題である、そういうふうに今の山口議員の質問を聞いておりまして感じた次第でございます。  私の方からは、まず今回の所轄庁の問題について少し議論をしたいと思うのですが、今回、二つ以上の都道府県で活動を行う宗教法人については、これは所轄以外の都道府県で問題が生じた場合の対応など一都道府県知事が所轄するのは無理があり、所轄庁が宗教法人法上期待されている責任を適切に果たすことができるようにするという観点及び国と都道府県との適切な役割分担という観点から、文部省が所轄庁となることが適当である、こういうことなわけであります。  そして、その基準としまして、境内建物、これを基準としているわけでございますが、境内建物が二つ以上の都道府県にあるという場合には文部省にするということになりますと、例えば、天台宗総本山の比叡山延暦寺は京都府と滋賀県にまたがっておりまして、機能としては一つの機能なわけですが、これは大臣の所管になる。あるいは、寺院には別院とか支院などというものがありまして、その別院とか支院というのが県境を越えてしまった場合もこれは文部省の所管である。あるいは、包括法人の下に被包括法人があるわけですけれども、被包括法人の中に文部省所管のものとそれから知事所管のものがある。  あるいは、これはキリスト教のある大きな団体でございますが、教会が別の都道府県に支部をつくると、支部をつくった段階で文部省の所轄になる。ところが、支部がひとり立ちして独立したならば、今度はまた県知事の所轄になる。こういうことで、文部省の所轄になったりあるいは知事の所轄になったりというような、こういうおかしか事態が生ずるわけでございます。そういう問題がございます。  じゃ、境内建物が都道府県に一つしかないという場合であっても、全国的に活動する場合があるのですね。ところが、全国的に活動する場合において、所轄庁は、例えば東京都に一つしかない場合は、たとえいろいろな、マルチメディアを使って全国的なそういう活動をする場合でも、これは東京都だったら東京都であって、文部省は所轄でない。そういうことで、境内建物とそれから全国に活動する場合のずれというものがあるのですね。これが明らかになった、おかしいな、こういうふうに指摘をしておきたいと思うわけでございます。  それで、私、今回の問題について文部大臣発言、あるいは十二月号の文芸春秋、ここでの文部大臣発言というのをちょっとこれはお伺いをしておかなければならぬな、こう思うわけでございます。  文部大臣は、この十二月号の文芸春秋でこういうふうに言っているわけです。「今回のオウム真理教の事件でした。宗教に名を借りたオウムの犯罪が放置され、彼らの恐ろしい行動を未然に防ぐことができなかった一因は、やはりこの教団の所轄が東京都という一自治体にあったこと」でありますと、こういうことで、所轄が東京都にあったから今回のオウム事件を未然に防げなかった、こういうふうに述べられておるわけです。  また、こういう箇所もあるのですね。「オウム事件についても、もし宗教法人法が今回の改正宗教法人法であれば、ある程度事前に彼らの活動の実態を把握できたと思われます。たとえばヘリコプターを買った、大量の薬品や機械設備を購入している、といったことが改正法人法であればある程度掴める。もしそうであったなら、彼らの意図や目論見も少しは察することができたかもしれません。ところが現実には東京都は何も知りませんでした」ということで、「今回の改正はこというくだりがあるわけでございますけれども、一つは、所轄庁が文部省であったらオウムは未然に防止できた。二つ目には、今回の改正法が既にあったならば、ヘリコプターを買ったことだとか大量の薬品を購入したこと、あるいは機械設備を購入したこと、これがわかるのだ、こういうことをおっしゃっているわけですが、これはどうでしょうか。
  115. 島村宜伸

    島村国務大臣 これは、オウムの例をとりますと、東京都が所轄庁ですけれども、活動の主体が山梨県にあり、あるいは静岡にあり、またあるいは熊本へ広がる、こういう感じになった場合に、果たして東京都なら東京都がこれに対応し得るかどうか。これは、だれでも常識的に考えて御理解がいただけると思います。  また、今までは、一たん認証いたしますと、書類その他について備えつけの義務こそあるものの、これ自身の提出義務はない、閲覧権すらない、何も実態が把握できないということであります。それが今回は、そういう意味では、必要書類の提出をお願いするわけでありますし、活動報告の把握のあり方その他につきましても、もし万が一、例えば収益事業の停止命令とかあるいは認証の取り消しとかあるいは解散命令の請求とか、こういうことについて何か重大な疑義がある場合には、宗教法人審議会にお諮りしてその報告を求め、あるいは質問をすることができるということでありますから、従前のように認証したらそれっきりというものとは全然違うわけで、そういう点で、オウムの事件についてもある程度その活動が把握できたはず、こういうことであります。
  116. 大口善徳

    大口委員 警察がこのオウムの恐ろしい行為を未然に防ぐことができなかった。一生懸命されました。警察は一生懸命されましたが、未然に防ぐことができなかったんです。強制捜査、あるいは公安警察あるいは刑事警察総動員してこのことをやったわけですが、しかし未然に防ぐことができなかったわけでございます。ですから、これを文部省になったら未然に防ぐことができるというのは誤りですよ。  それからもう一つ。具体的に、ヘリの購入とかあるいは薬品の購入とかあるいは機械の購入がつかめる、こういうふうに言っておるわけですが、どうなんですか。
  117. 島村宜伸

    島村国務大臣 御承知のように、法律は不遡及の原則がありますから、オウム事件をこれは対象にしたことではありません。ただ、その反省に立って、これをきっかけとして改正をしなきゃいけないということになったことはまた事実であります。  ただ、もともと宗教法人法は、いわば宗教法人の規制とかあるいは取り締まりのための法律ではありませんので、オウムのような事件の再発を宗教法人法の改正のみで防止することは、これはもとより困難であります。今回の改正もそのような目的とするものではないわけではありますが、しかし、今回の改正がなされれば、宗教法人の管理運営の側面にある透明性が高まるとともに、毎年度所轄庁に財務関係等の書類が提出されることになりますから、そういう意味宗教法人の事情がある程度把握できる。そういう意味で、宗教法人の不適切な運営の防止に資するということは、これは事実であります。  そして、もし、先ほど申したように、何か疑問があったり、あるいはそういうことに対するかなり信憑性の高い御指摘等がある場合には、これに対して質問をしたりあるいは報告を徴収することができる。そういう意味では、私は、今回の法改正が現実のものとなればかなり前進が期待できる、こう思っております。
  118. 大口善徳

    大口委員 答えになっていませんね。そして、法律不遡及なんて言いながら、「オウムの事件についても、もし宗教法人法が今回の改正宗教法人法であれば、ある程度事前に彼らの活動の実態を把握」することができると思います、こういうことを言っておるわけですね。ところが、警察であっても、これは実態をつかむのに、やはりことしの一月ぐらいになってからかなりつかめるようになった、昨年暮れから、そういう状況なわけですね。であるわけだから、文部省でそういうことがつかめるわけがないんで、これは誤りだと思います。  それから、収支計算書を見たって、ヘリコプターも、あるいは薬品も、あるいは機械設備も出てきません。わかりっこない。また、大体こういうテロ集団が正直にこれを書くわけがない。書いたって、過料なんだから。ですから、文部大臣の言っていることというのはこれは誤りである、そういうふうに思うわけでございます。  次に、今回の二十五条の一項の収支計算書作成義務というもの、この免除の規定があるわけですけれども、免除をする場合の「寡少である額」というもの、これは「文部大臣が定める額」、こうなっておるわけでございます。しかし、この収支計算書作成義務というのは、それだけではなくて、備えつけの義務もあり、閲覧請求権の対象にもなり、過料にもなるわけでございますから、これは明確にしなきゃいけない。そして、事務処理能力でこれは判断する、こういうことを言っておるわけですから、ある程度金額は出るわけでございます。それを文部大臣に委任するというのはこれはおかしい、こう思うわけであります。  内閣法制局長官のかつての答弁の中で、要するに、委任をする場合には、技術的な事項あるいは専門的な事項、手続にわたる事項あるいは機宜に応じていろいろと迅速に改正を要する事項、国民の権利義務に関することについてはこういうものについてだけ政令に委任できる、こうなっておるわけですが、これにつきまして、委任をする合理性があるのか、そこをお伺いしたいと思います。
  119. 小野元之

    小野(元)政府委員 収支計算書についての免除の基準を法律でなぜ定めないのかということでございます。  今回の法改正によりましては、御承知のように、収入の額が寡少である宗教法人については当分の間その作成を免除ということで、原則として収支計算書の作成は義務づけているわけでございますけれども、収入の額が寡少な宗教法人については当分の間免除という建前をとっているわけでございます。この免除についての寡少な額の範囲につきましては、文部大臣宗教法人審議会の意見を聞いて定めるというものでございます。  御指摘の、なぜその法律で委任したのかという部分でございますけれども、この収入額の範囲につきましては、社会経済状況の変化あるいは宗教法人の実態、そういったものを踏まえまして、宗教関係者の御意見も聞きながら適時適切に定めるということが、法律に明文の額を書き込むよりもより妥当だということがあるわけでございます。  それからもう一つの、委任の内容でございますけれども、この委任は、収入額が寡少であるということが法律上明確になっておるわけでございます。そういったこともございまして、額の範囲を定めるに際しましては、宗教法人の収入の実態、それから規模の小さい宗教法人の運営の実態、宗教法人の事務処理能力の実態、こういったものを総合的に勘案いたしまして、あらかじめ宗教法人審議会の意見を聞いて決定するということにしておるところでございます。
  120. 大口善徳

    大口委員 機宜に応じて迅速にやるというのは、例えば物価統制令とかそういう場合なんですよ。大体事務処理能力がどの程度あるのかというようなことについては、これは定めることができるのです。  時間もありませんので、最後に七十八条の二の一項に、「この場合において、当該職員が質問するために当該宗教法人の施設に立ち入るときは、当該宗教法人の代表役員、責任役員その他の関係者の同意を得なければならない。」こういうふうに、立ち入り権についてすべて同意を得なきゃいけない、こういう規定になっておる。これは検索しましたけれども、こういう条文は全然ない。これは文部省でも確認しましたが、ないのですよ、これとそっくりなものは。ですから、全くこれは異例の規定なんですね。  それから、その中で、「代表役員、責任役員その他の関係者」の「その他の関係者」というのは、これはどういうことを指すのか。そして、その他の関係者の同意を得れば代表役員あるいは責任役員の同意を得なくても勝手に立ち入りができる、こういう可能性があるわけです。  この七十八条の二の中に、四項に「信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。」ということは、逆に言えば、信教の自由を妨げる場合があるのです。あるのです。そして、それがどこかというと、「関係者」のこのあいまいさです。代表役員の同意を得なくたって立ち入りできるんだから。
  121. 小野元之

    小野(元)政府委員 この法七十八条の二におきます「関係者」でございますけれども、「代表役員、責任役員その他の関係者の同意を得なければならない。」というふうに規定しているわけでございますが、同意を得るべき者というのは、もちろん代表役員とか責任役員でもいいわけでございますけれども、その方が例えばいらっしゃらなくて、法人の事務、管理運営について一定の権限がある者が代表役員、責任役員以外にいらっしゃれば、その方が法人を代表して結構だということをおっしゃるのであれば、それは施設に立ち入って質問することができるわけでございまして、まさに宗教法人の運営は宗教法人が自主的にやられるわけでございますから、そういった施設に入っていいかどうかの、特定の方にそういう権限を委任することも当然あるわけでございまして、「その他の関係者の同意」を、法人を代表する関係者の同意が得られれば、立ち入って質問ができるというふうに考えております。
  122. 大口善徳

    大口委員 一定の権限ということで、結局、「関係者」というのを一定の権限とすりかえているだけで、はっきりしてないのです。  それから、一定の権限を委任できると言うけれども、確認しないでしょう、これ。代表役員とかあるいは責任役員に確認しますか。それで同意を得ますか。どうですか。
  123. 小野元之

    小野(元)政府委員 この件につきましては、宗教法人に対して、こちらから立ち入って御質問させていただきたいのですがよろしゅうございますかとお尋ねするわけですから、宗教法人は御自分の組織の中で意思決定を当然なさると思います。その場合に、一定の権限のある方が「その他の関係者」ということでいらっしゃることもあると思いますので、そのことを規定に書いておるだけのことでございます。
  124. 大口善徳

    大口委員 今のは不明確です。これは書面でちゃんと、きちっと「関係者」というのを定義を出してください。
  125. 越智伊平

    越智委員長 大口君、時間です。時間です。
  126. 小野元之

    小野(元)政府委員 法人が自主的に運営なさっているわけでございますから、所轄庁から立ち入って質問をさせてくださいと、それは法人の中でお決めいただいて、その方がお決めになれば結構だと思うわけでございますから、問題はないというふうに考えております。
  127. 越智伊平

    越智委員長 午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ――――◇―――――     午後二時開議
  128. 越智伊平

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、委員長から一言申し上げます。  午前の委員会中不規則発言がありました。委員及び議員各位におかれましては、不規則発言に御注意をいただき、議院の品位を損なわないよう御協力をお願いいたします。  なお、個々の場合につきましては、御本人に御注意申し上げました。  質疑を続行いたします。富田茂之君。
  129. 富田茂之

    富田委員 新進党の富田茂之でございます。  私の方からは、今回の宗教法人法の改正に至った原因といいますか、なぜ今宗教法人法を改正しなければならないのかといった点から、まず文部大臣にお伺いしたいと思います。  この委員会の質疑をずっと聞いておりまして、オウム対策であるとか、いやそうじゃないのだとか透明性が高まればオウムのような集団は二度と出てこなくなるのではないか、いろいろな御発言がありました。ただ、ずっと聞いておりまして、なぜ今回この改正が話題になったのか、一番よくわかったのが、初日の与謝野委員の御質問でした。法に不備があったと三点ほど挙げられておりました。  与謝野委員大臣であった当時、地下鉄サリン事件等が起きて、文部省でもやることはないのか、宗教法人法に何か不備がないのか、そういうことでいろいろ中で検討した結果、三つほど問題があったのだという御指摘でございました。  一つは、上九一色村の住民の皆さんが山梨県庁に相談に行ったら、うちは所轄ではないから東京都に行け、東京都に行ったら、いや山梨で起きているようなことはうちでは面倒見れないよ、そういうふうにたらい回しになった、そういう実情があると第一点として挙げられておりました。  二点目は、オウム真理教に対して宗教法人法上の解散請求をするに当たって、その資料すら集められない。所轄庁は東京都ですから、東京都の方がそういう状況にあったという御趣旨だと思いますけれども、そういう点もやはり宗教法人法の不備ではないか、これが二点目でした。  そして三点目として、例えばロシア政府の方から、オウム真理教というのは一体どういう教団なのだ、そういう尋ねがあったときに、文部省としては何も答えられない、これはなかったからよかったのだけれどもという質問でございました。  この三点について、本当にそういう実情があったのか、ちょっと確かめてまいりたいと思います。  まず第一点目ですが、上九一色村の住民の皆さんが、あるいは上九の村長さん、私もお会いしてまいりましたが、上九の皆様が山梨県庁に行って、ここは所轄ではないから東京都の方に行きなさい、そういうふうに本当に言われたのかどうか。そういうことについて、文部省あるいは文化庁の方で何か把握されている事実があるのでしょうか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  130. 小野元之

    小野(元)政府委員 オウム真理教に関しまして、上九一色村に進出したということで、上九一色村の住民の方々が、撤退してほしいということで山梨県庁に行かれたり、あるいは保健所に行かれたり、あるいは警察に行かれたとか何回も足を運ばれた、あるいは東京都庁に対して宗教法人の認証の取り消し等を求めて陳情に行かれたということは、私ども新聞報道等から承知しているところでございます。
  131. 富田茂之

    富田委員 与謝野委員がこの委員会で質問されたのは、たらい回しになったのだ、山梨県庁に行って、オウム真理教をどうにかしてくれ、いや、うちは所轄庁ではないから東京都に行けと言われた、東京都に相談に行ったら、いや、山梨のことなんか遠くてわからないよ、そういうふうにたらい回しにされたから、そういう実情があるから今のような所轄ではいけないのだという質問だったと思うのですね。  新聞等で、山梨県のそれぞれのセクションにいろいろ上九の皆さんが相談に行った、それはありますよ、確かに。ただそれは、山梨県の宗務行政を担当する所轄、山梨は私学文書課と言われるそうですが、私学文書課に実際上九の皆さんが、オウムを何とかしてくれと行ったのですか。そういう実情を文化庁の方は把握されていますか。
  132. 小野元之

    小野(元)政府委員 私どもも、どの時点でどのようにいろいろな行政庁あるいは知事部局等に陳情に行かれたかとか、すべて把握しているわけではございませんけれども、例えばオウム真理教被害者の会の方から東京都知事あてにいろいろな調査や認証の取り消しを求める陳情等があったということは、東京都からもお聞きをしているわけでございます。  いずれにいたしましても、所轄庁としての対応ということになりますと東京都知事がやるわけでございます。もちろん山梨県内の事柄につきまして、例えば建築基準法でございますとか、ほかの知事所管の法令の対応については、当然山梨県の知事さんの方で所管になる部分があると思いますけれども、いずれにいたしましても、所轄庁が東京都知事だということで、山梨県の住民の方々が東京都に行かれたり、あるいは県庁に行かれたりと、いろいろな形で陳情等にも御苦労があったということは聞いているところでございます。
  133. 富田茂之

    富田委員 全然答弁になっていないじゃないですか。陳情に苦労があったというのはわかりますよ。たらい回しになった事実が全然出てこないじゃないですか、今の答弁では。  たらい回しになったという実情があるから、今回、法に不備が見つかったので改正しなければならない、そこから始まったのでしょう。全然違うじゃないですか。与謝野委員は前文部大臣ですよ。文部省でそういう検討をいろいろした結果、そういう実情があったからと言われたんです。文化庁の方でそれを全然把握していないのでは、そんな実情はなかったのでしょう。-どうなんですか。
  134. 小野元之

    小野(元)政府委員 私どもといたしましては、上九の方々がいろいろ東京都に行かれたり、それからもちろん県庁に行かれたということもお聞きしているわけでございますけれども、対応が、所轄庁として対応できること、それから当該施設等を所管しておられる都道府県知事として対応できること等々あるわけでございまして、それぞれについて地元の方はいろいろ陳情をなさったということを私どもも都や山梨県から聞いておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、一つのセクションといいますか、一つの役所ですべてに対応するというのは非常に難しいわけでございます。  そういった意味で、東京都知事所管であるということで、山梨県庁にいろいろな点でお願いに行っただけでは事柄が済まないということは事実でございまして、住民の方々も大変不便に思われたということは、私、事実だと思っているところでございます。
  135. 富田茂之

    富田委員 事実があったかどうかを尋ねているのですよ。あなたが思っているかどうかなんて全然関係ない。上九一色村の皆さんは山梨県のそれぞれの担当部局にいろいろ陳情されましたよ。そんなの当たり前の話だ。皆さん本当に悩まれて、オウム真理教にいろいろな迷惑をこうむって、建築指導課へ行ったり、本当に具体的にいろいろな陳情、要望等をされています。  私ども、上九に江田委員を初めとしてオウムプロジェクトで行ってまいりました。現場の皆さんの声、上九一色村の皆さんの声、村長さんの声、県庁のそれぞれのセクションの皆さんに、実際どうだったのか聞いてきました。みんな一生懸命やっている。  けさ文化庁の方から、こういうふうなことがあったんだということで新聞を二ついただきました。オウム真理教の方がいろいろサティアンというのを建てていますけれども、建築基準法に違反して大きな穴を中に掘っていた。それについて、一生懸命上九の村民の皆さんが、こういう違反事実があるよと県庁に言ったら、県庁は対応してくれなかった、そういうことが書いてある、ある政党の機関紙でございます。  私たち、現場で聞いてきました。ちゃんと山梨県の建築課の皆さんは一生懸命現場を見に行っている。埋め戻しをさせている。ちゃんと埋め戻しをさせた後、またきちんと完成検査も済んで、その後にオウムがまた掘っちゃっている。そういうときに何かできるか。今の法のままではできないのですよ。所轄がどうだこうだでできないんじゃないんだ。全然問題は関係ないんだ。  与謝野委員質問は、たらい回しになるような実情があったからそういうことでは困る、文部省が所轄になればそんなことはしなくて全部できるんだというふうに聞こえましたけれども、それは全然事実に基づいていないんだ。(発言する者あり)そんなこと言っていませんよ。  いいですか与謝野委員質問をちょっと読ませていただきたいと思います。山梨県庁に繰り返しお願いに行ったのですが、山梨県庁の御返事は、これは我々の所轄している宗教法人ではないので、その所轄をしている東京都に行って苦情があれば苦情を言ってください、こういうふうに質問されているのですよ。そんなことは上九の皆さんは山梨県庁で言われていませんよ。山梨県の私学文書課の課長さんにじかに聞きましたよ。村民からそういう苦情がありましたか、悩み事の相談がありましたか。そんなの一切ありませんと言っていました。  山梨県庁の宗務行政担当の方で、じゃ東京都庁、都庁の方の宗務行政担当と何か連携をとりましたか文化庁と連携をとりましたか。何にもとっていない。関係ないんです、所轄がどこであるかなんというのは。それぞれのセクションが一生懸命やって、やれるところまではやったんですよ。できない部分については、法の不備がある、建築基準法上の不備がある、消防法上の不備がある、そういう法律をきちんと検証して、それを変えていけばいいんですよ。こういったらい回しがあったなんて実情なんか全然ないのに、それを山梨県から東京都に行けなんて、言ってないんですよ。大臣、どう思いますか。
  136. 島村宜伸

    島村国務大臣 与謝野委員の御発言は、与謝野委員のいわば御質問の中で言われたことでありまして、私が文部大臣として発言したことであればまた私は私なりに対応しますが、私は、その点については、与謝野さんのような勉強家ですから、きちんとそれなりにいろいろな資料を調べて、それを御本人の判断でそういう表現を使われた、こう思います。  それから第二点ですが、今建築基準法その他が不備であったからこれを改正すればいいとおっしゃいますけれども宗教法人法はまさしくそれでありまして、これは委員も御承知のように、今は認証したら後は全く実態把握ができないというのが現実なんです。だから、今回最小限に絞って改正をお願いしているところであります。
  137. 富田茂之

    富田委員 すりかえた答弁しないでくださいよ。  現行法上不備が三つ見つかった。その第一点として、そういったらい回しの実情があったから、そうならないように文部省を所轄にと考えたわけでしょう。与謝野委員は、今は委員ですけれども宗教法人審議会に検討してくださいとお願いしたときは文部大臣だったんですよ。文部省挙げてオウムに対して何か対策はないかといろいろ検討された結果、こういう実情が出てきたというんでしょう。全然そんな実情はなかったんじゃないですか。前提事実を欠いているんじゃないですか今回の法改正は。どうですか、大臣
  138. 島村宜伸

    島村国務大臣 あなたの御発言を例えば伺うほど、法改正は必要だ、そんな確信が深まります。
  139. 富田茂之

    富田委員 きちんと答弁してくださいよ。  大臣は、与謝野委員質問に対して、全くおっしゃるとおりでございますと回答されているんですよ。委員が勝手にしゃべったことでしょうじゃないんですよ。前大臣が、今この特別委員会の委員になられて、自分大臣だったときにこういう実情を把握したから改正に持っていったんだと質問されて、あなたは現大臣として、全くおっしゃるとおりでありますと答えているんですよ。そういったらい回しの事実があったということはあなたも掌握したから、全くおっしゃるとおりでございますと話したんじゃないんですか、どうですか。
  140. 島村宜伸

    島村国務大臣 あなたもお認めいただけると思いますが、このオウム真理教事件がだんだん解明されるに当たって、一体所管の官庁、文部省は何をやっておったんだ、こういう御批判を大分いただいたことは新聞等でも私よく承知しております。  ただ問題は、再三申し上げますように、一たび認証したらまるっきり相手の実態がわからない。そして同時に、なるほど所管官庁といえば文部省になりますけれども、機関委任をして、例えば東京都なら東京都というのが所轄庁になっておっても、現実には山梨県であり静岡県であり、また熊本に巨大施設と、こういうふうにいろいろ展開されましたら、とてもとても所轄庁は対応し切れない。そういう意味を総括して言われたと私は思いますし、私は、それ自身がそんなに的を外れた表現だとは思いません。
  141. 富田茂之

    富田委員 今の答弁には納得しかねます。  確かに、東京都の所轄で、山梨県、静岡県、熊本県、いろいろなところで活動して問題を起こしました。文化庁の方に尋ねたら、熊本県のことについて、熊本県から東京都の方に請願が出たというようなことも教えていただきました。与謝野委員質問の中に、熊本県民も県庁に行ってなかなからちが明かないというふうに言われていたのを今大臣はとらえたのだと思うんですけれども、熊本の方は、波野村ですか、きちんと熊本県の方で告発、告訴手続をとって刑事事件になったわけですよね、国土法違反、森林法違反ということで。裁判も始まっているわけですよ。それぞれの担当セクションがきちんと対応して、そういう裁判まで行っていることもあるんだ。  文部省が何も知らなかったから、今回の事件でいろいろ文部省に御批判があったから所轄を文部省にするんだというのは全然理由にならないですよ。この点はもうこれでやめます。  あと、第二点として、解散請求に当たって証拠を集められない、実際の解散請求の事務ができない、こういうことがあったから今回の法改正を考えたんだというのを挙げられておりました。これは東京都の方が解散請求をされたんでしょうが、東京都はどのような形で解散請求をしたか文化庁の方は掌握されておりますか。
  142. 小野元之

    小野(元)政府委員 解散命令請求でございますけれども、東京都といたしましては、所轄庁でございますから、法律の八十一条に定めます解散請求事由に該当している事柄について、実は所轄庁として特別の調査権がございませんのでなかなか実情を把握できなかったわけでございます。そのために、検察庁と共同といいますか、検察庁とそれぞれの立場でやったわけでございますけれども、その具体的な資料の中身等については検察官の資料を見せていただいて、それをもとに解散請求を行ったということでございます。
  143. 富田茂之

    富田委員 具体的には、検察庁の方がきちんと解散請求を証拠をそろえてやられて、東京都の方は検察庁が用意した起訴状のコピーか何かを証拠として添えて解散命令請求をしたというふうに聞いているのですが、それで間違いないですか。
  144. 小野元之

    小野(元)政府委員 東京都といたしましては、独自に調査をするということはなかなかできなかったわけでございまして、警察、検察庁でお集めいただいた資料をもとに解散命令請求をしたということでございます。
  145. 富田茂之

    富田委員 じゃ、こういうふうにお尋ねします。  今回、この委員会で審査しております法改正ができた場合、仮にまたオウムと同じような事件が起きたときに、解散命令請求をしなきゃならない、そういうときに、文部省の方で、今回検察庁が証拠を添えて解散命令請求したわけですけれども、同じような証拠を今回の法改正によって集められるのですか。
  146. 小野元之

    小野(元)政府委員 今回の法改正をお認めいただきますと、七十九条、八十条、八十一条に関しまして、質問権それから報告徴収権が与えられるわけでございます。所轄庁といたしましては、それらをできるだけ活用いたしまして、所轄庁としても努力をするわけでございますけれども、所轄庁には強制的な権限がございませんので、検察なり警察等の御協力をいただいて最終的な対応をするということになろうかと思うわけでございます。
  147. 富田茂之

    富田委員 今の答弁だったら現行法とどう違ってくるのですか 一体。最終的に警察庁、検察庁の助けをかりる、そうじゃなきゃできない。できないですよ、実際に。(発言する者あり)変えてもできないのですよ。なぜできないか。  十月三十日に東京地方裁判所の方がオウムの解散命令決定を出しました。この解散命令決定の理由の要旨を見てみますと、実に詳細な認定をしています。検察庁の方からどういう証拠を出されたがは、捜査上の秘密があるからここに提示できないというふうにお話しでしたので、解散命令決定の方からどういう証拠が出されたかを探るしかないのですけれども、本当に詳細な認定をしていますよ。こんなことを文部省の方で、今回法を改正して、同じような証拠を集めるなどということは絶対できないですよ。本当にできない。何のために与えるのだか全然わからない。  例えば、このオウム解散命令決定理由、文部大臣、読まれましたか。東京地方裁判所のオウム解散命令決定理由を読まれましたか。
  148. 小野元之

    小野(元)政府委員 事務的な問題でございますのでお答えさせていただきます。  東京地裁は、御指摘のようにかなり詳細な、本当にサリン等について詳細な資料に基づいて決定をしておるわけでございます。  御指摘ございましたように、所轄庁は強制的な、何といいますか調査権というのはもちろんないわけでございますから、今回の法改正がお認めいただいたとしても、それは、検察や警察が集められるような資料をこの報告徴収、質問で集められるわけではございません。しかしながら、今回東京都がいろいろ苦労なさったような、全く情報が入ってこない、あもいは全く所轄庁としての対応ができなかったというようなことよりは、かなりの前進ができるのではないか所轄庁としての最小限度の責任を果たすことができるというふうに考えているところでございます。
  149. 富田茂之

    富田委員 大臣、どうですか。解散命令の決定理由を読まれましたか。あるいは要旨でも見ましたか。
  150. 島村宜伸

    島村国務大臣 その中身について説明を受けました。
  151. 富田茂之

    富田委員 検察庁の方は、殺人予備ということで、それを理由にして解散命令請求をしたわけですよね。その殺人予備を立証するために、第七サティアンで本当にサリンがつくられたんだということを詳細に立証する。こういう設計図でプラントをつくった、そのプラントにこれだけの電源が引かれていた、また、サリンを生成するための原材料もこれだけ残っていた、それでプラントの中からそういう副生成物も出た、全部そういう立証をして解散命令請求をしたわけですよね。  これはもう警察や検察に任せるしかできない、こんなことは。文部省が所轄になったからといって、こういう情報をどうやって得るのですか。解散命令請求なんて文部省からできませんよ。その点を何か誤解させるような発言があった。こじつけじゃないかなというふうに本当に思いますよ。解散命令決定、よく読んでくださいよ、大臣。  次に、第三点の、ロシアからの問い合わせということを与謝野委員質問されておりましたけれども、これはまあ実際、ロシアの方から何の問い合わせもなかった。所轄である文部省の方が、最終的な所轄ですかね、本来宗務行政をつかさどる文部省の方が全く外国政府からの問い合わせに答えられないのはまずいじゃないか、そういうふうにお思いになる気持ちはわかりますけれどもね。  これは、ロシアの方から問い合わせがあるということが仮定としてあったとすれば、これは地下鉄サリン事件とかとんでもない事件が起きたときに、一体この教団どうなっているんだというような問い合わせになったんだと思うのですよ。そういうときに、仮に問い合わせがあったとすれば、警察庁や検察庁がいろんな資料を持っているわけですから、その中で外交上開示した方がいいものがあれば政府の方で判断されてやればいいのであって、何も、文部省がそういう場合に何でもかんでも自分が知っていなきゃだめだ、そんな要請はだれもしていませんよ。現にロシア政府は、地下鉄サリン事件が起きた以降、ロシアの裁判所でオウム真理教に対して活動停止命令を出しているわけですよ。それぞれできちんとやっているのです。  こういうことを理由に法の不備があったと言うのは全然納得できないのですが、大臣、どうですか。
  152. 島村宜伸

    島村国務大臣 先ほど来の御質問を伺っておりますと、宗教法人法は一切合財手をつけるべきでないというふうに聞こえるのですが、いかがなものでしょうか。  少なくも、法人格を与えることの認証をするということになれば、所轄庁として当然責任があるわけです。したがって、最低限度のものは把握しておかないと、今回起きたオウム真理教事件というのは、私たちは全く予測できない大変な、もうまさに想像もできないような事件ではありましたけれども、今後またこういうことが二度、三度起きるようなことが万が一起きたときには、我々はもうまさに責任を問われます。そういう意味では、認証を与える以上は、最小限度のものを把握しなければ法人行政上問題があるという認識に立って今回の法改正と、こういうことでございます。
  153. 富田茂之

    富田委員 質問にストレートに答えていただきたいと思うのですけれどもね。  先ほど提示しました与謝野委員質問というのは、最後にこういうふうに言われているのですよ。もしそういう場合、ロシアの方から仮に問い合わせがあったとしたら、実は日本政府はロシア政府に何のお答えもできなかったというのが実情なんですと。そんなことないですよ。地下鉄サリン事件が起きた以降、これはオウム真理教と関係あるのじゃないかということで警察庁は全力を挙げて捜査したわけでしょう。国家公安委員長、そうですよね。
  154. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 先ほどからめ文部省に対する御質問の中で、私ども関係ありますからちょっとつけ加えさせていただきますが、刑事事件、つまり刑法違反が起こった時点で警察庁は直ちに捜査に入るわけであります。そこで得られた資料等が解散命令に役立つような条件がそろっていて、それを提出しろということであれば、捜査に支障のないように協力をする。今までもそうしてまいりましたが、これからもその点は変わりはないことであります。  ただ、文部省の方の所管する解散命令については、全部が刑法の関係だけとは限りませんから、そういう点では分けてお考えいただくのが正しいのではないでしょうか。
  155. 富田茂之

    富田委員 今、国家公安委員長の御発言で、刑法と関係ないものがあるというふうな御発言でしたけれども、八十一条を見る限り、例えばこうなっているわけですよね。八十一条の一号は、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」。犯罪行為ですよ、これ。公共の福祉に反して、法令違反がある。警察なり検察あるいは各行政機関の方で少なくとも告発手続をとり得るような行為をした場合じゃなきゃ解散命令請求の事由にそもそも当たらないのですよ。どうですか、その点。
  156. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 私が答えるのはどうかと思うのですが、例えば休眠法人などというのは解散命令の対象になるのです。
  157. 富田茂之

    富田委員 今そういうことを聞いているのじゃない。大臣はもうわかって答えられていると思うのですけれどもね。休眠法人は別の規定ですよ、別の規定。ごまかしちゃだめですよ。  今までお聞きしてきたように、前大臣である与謝野委員質問された三点というのは、どうもちょっと法の不備があるという理由としては弱いのじゃないかな、本当に根拠薄弱だなというふうに思います。  こればっかりやっていても中身に入れませんのでこの程度にしますが、次に、所轄の問題について何点かお伺いしたいと思います。  現行宗教法人法の五条一項と二項は、まず一項で「宗教法人の所轄庁は、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事とする。」というふうになっています。二項で「他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人にあっては、その所轄庁は、前項の規定にかかわらず、文部大臣とする。」これ、二つの都道府県以上にまたがる包括法人は文部大臣ですよという規定ですね。  普通、法律でこういうのを規定する場合、これは機関委任事務だというふうにずっとこの委員会で御答弁されておりましたけれども、機関委任事務だということであれば、本来国の事務ですよね、文部大臣が所轄する。法の体裁として、まず五条一項で文部大臣がこういう法人については所轄するんだ、ただしこういう法人については都道府県知事、機関委任しますよというのが通常のありようだと思うのです。そのように私は思うのですけれども、この五条一項と二項が逆になっているのですよね。ということは、何か特別な理由があってこういう所轄の規定にこの立法時になったんじゃないかというふうに思うんですが、このあたり、この五条の制定経過についてどのように把握されておりますか。これは事務方で結構です。
  158. 小野元之

    小野(元)政府委員 現行法では、御指摘ございましたように、宗教法人の所轄庁は原則として都道府県知事になっているわけでございます。そして、他の都道府県内にある宗教法人を包括する宗教法人の所轄庁だけが文部大臣ということになっておるわけでございます。  これは、そもそも宗教法人に関する事務は国の事務であるわけでございますけれども、昭和二十六年当時、法制定当時は宗教法人の活動範囲が一般的に狭く、地域性が強かったというようなことなどから、機関委任事務ということで都道府県知事の所轄というふうにしたものでございます。  なお、この時点で、教派、宗派、教団などのいわゆる包括的な宗教法人、これは一般に広域性を持っておりますので、その多くは文部大臣の所轄になっておるというところでございます。
  159. 富田茂之

    富田委員 今の政府委員の答弁ですけれども、本当にこの二十六年に現行宗教法人法が制定されたときに今のような考えてこの五条一項、二項が決まっていったんですか。当時の議事録を見ても、なぜこのような規定になったのかが余り明快になっていないんですね。そういうことに関する質疑、答弁が全くされていない。事務量がふえるんじゃないんですか、そういうような質疑に終始しております。なぜこの五条一項、二項がこういうような規定になったのか。その制定経過というのは、今の政府委員のあれだと、まあ宗教法人の活動地域が狭かったから都道府県に任じたらいいじゃないかそういう趣旨ですよね、そうじゃない包括法人については文部大臣がやりますよと。そういうふうに聞こえるんですが、実際のその制定経過というのはちょっと違った経過があるんじゃないですか。どうですか。
  160. 小野元之

    小野(元)政府委員 この宗教法人法ができますときの政府委員の答弁でございますが、「宗教法人に関する事務と申しますのは、いわば国家的性格を持っておるというような一面がございますので、お説の通り我々も考える次第でございます。併しながら何せ二十万の施設を持ち、北は北海道、南は鹿児島の個々の社寺につきまして、これが中央の審査に付するということは甚だ事実上の困難性がありますものですから、事柄の性質と反しまして、事実上の要請から、而もこれらが各都道府県の社会的、経済的諸般の生活面とも関係がございますので、且つは旧来もそういう前例がございましたので、以て社寺」、これは単立宗教法人でございますが、これにつきましては「地方を所轄庁にいたし、各都道府県知事がこれを責任者として、」対応する、そして教派、宗派等については、「教宗派は相談のみを中央にしたわけでございます」というふうに答弁を篠原政府委員がいたしております。
  161. 富田茂之

    富田委員 実はこの宗教法人法は、GHQがまだ日本におりましたころにそもそも始まりがあって、GHQの指導のもと、当時は文部省の宗務課ですかね、あとそれぞれの宗教団体の代表者等が出てきて、新しい宗教法人法はどうあるべきかというのを二年近くにわたっていろいろな検討をして、そして国会に法案として出ていった。それで今のような多分答弁があったんでしょうけれども、今の政府委員の答弁というのも、なぜその一項と二項がこういう立て分け方になったのかというのは明確じゃないですね。  実は国会図書館の方にお伺いしましたら、こういう本がございました。「宗教法研究第十一輯」、ちょっと何か難しい字で読めなかったんですが、龍谷大学宗教法研究会というところから、この宗教法人法の制定にかかわったGHQの宗教調査官、ウィリアム・ウッダードさんという方が、どういう経過で今回の宗教法人法を制定していったのか、また、文部省の宗務課とどういう交渉経過があったのかそういうことについて実に詳しく書かれております。それを龍谷大学の方でこの本に多分まとめられたんだと思うんです。  このウッダードさんという方は、戦前、日本や中国、韓国で宣教師として活動されて、日本の戦前の宗教活動の実態もよくわかっていらっしゃる。戦後GHQの調査官ということで来日されて、この宗務行政にかかわりを持たれてきたわけですね。宣教師ということで宗教活動家であると同時にGHQの行政官でもあります。そしてこの立法過程に物すごくかかわってきた方です。その方が、どうしてこの所轄が五条一項、二項のような形になったのかということについてこの本の中で実に詳しく言われております。  文化庁の方の答弁にこの経過が全く出ておりませんでしたのでちょっと御紹介をさせていただきたいと思うんです。この本の百四ページ、GHQのもとに宗教文化資源課、これはGHQの組織の方です、そこにこのウィリアム・ウッダードさんは所属されて文部省の宗務課の方と交渉されていたようなんですが、こういうように書いております。「包括団体が文部省において法人を設立することに反対であった。」この方は反対だったんですね、ウッダードさんは。「包括法人と単位法人の両方の所轄庁を都道府県知事とすることを奨めた。」と。私は勧めたというわけです。  その理由として三点ほど挙げられております。一点が、「都道府県庁が道理にかなう場所と考えられた」。近くにある方が宗教団体、宗教法人の利便にかなう、宗教法人法一条でそういう目的が書いてあるわけですから、それにそのとおり沿うだろうということでまずそういう理由を挙げられた。そして第二点として、「もし同様の所轄庁となれば、宗教法人の法的権限とか地位に差異はないということが明らかになったであろう。」と。包括法人も単立法人も宗教法人としての機能、資格は全部一緒なわけですよね。包括法人だから何か特別な能力があるとか地位があるとかそういうことではない、全部同じ宗教法人ということにこの法ではなっているわけですから、それがより明確になる、所轄が一緒であればより明確になるというふうにこのウッダードさんは考えたみたいです。  そして一番大きな理由、ちょっと長くなりますが、  都道府県庁で法人を設立することになれば、一  九三九年の宗教団体法で結実し文部省が包括団  体の権威を介して宗教界への権威を行使しえた  あの家族主義的、ピラミッド的な統制パターン  を壊すことができたであろう。もし宗務課が包  括団体の法人設立を扱い続けるならば、その権  限保持は、法人の設立が国の政府による一種の  公認を与え、宗務課が宗教団体に対し少なくと  も助言と示唆とを与える地位にいまもなおある  と考え続け、これに反する憲法の規定があるに  もかかわらず、戦前の統制パターンの回帰をめ  ざす動きに道が開かれたままであることを主張  しているのだと宗教文化資源課は論断した。こういうふうに書かれているんです。  ウッダードさん、この宗教文化資源課、GHQのその部局は、全部都道府県知事にしようと、そういうふうにまず考えたわけです、戦前の反省にかんがみて。旧憲法で信教の自由は保障されていました。ただ、国家の「安寧秩序ヲ妨ケス」「臣民タルノ義務二背カサル」範囲、そういう非常に限定的な形で信教の自由が保障されていた。それを新しい憲法は、全くそういう限定なしに本当に信教の自由を保障するんだ、政教分離の原則も規定して本当に信教の自由を保障するんだ、そういうことで生まれ変わったわけです。その生まれ変わった現憲法のもとでの信教の自由を保障するために宗教法人法を生むんだと、そういう思いが今の文章から物すごく聞こえてくる。  五条一項、二項というのは、なぜ単立法人の所轄が都道府県だというのが最初に出てくるのか。本来の法のあり方から見たらちょっと不自然なのは、包括法人も単立法人も全部都道府県知事を所轄としようというふうに戦前の反省に立って考えたわけですよ、ウッダードさんは。それがやはりその当時自然な考え方だった。こういうふうにしないとまた統制にかかってくる、そういう思いでできたのが宗教法人法であり、現行法のその五条一項、二項なんですよ。先ほど政府委員の方が言われたような、あんな単純な理由でこの規定が生まれてきたわけじゃないんですよ。  大臣、今のお話聞いてどう思われますか。
  162. 島村宜伸

    島村国務大臣 いろいろお調べいただいたことについては敬意を表しますけれども、再三申し上げておりますように、その法制定当時と今とはもう明らかに社会の環境も違いますし、宗教法人の実態も違いますね。そうじゃありませんか。だとすれば、やはりその実態に合うように法律を改めることは、むしろ国民の要請にこたえることだ、そう思います。
  163. 富田茂之

    富田委員 実態が本当に現行法と合わない、本当に法の不備がある、法を制定した当時の制度趣旨が今の時代状況に合わなくなる、そういうことはあると思います。  ただ、本当にそういう実態になったのかどうかそういう調査は、少なくともこの委員会における審議を聞いている限り、文部省の方でやられたということは耳にしない。これから予算つけて、来年度から実態調査しますと言われているわけですよね、宗教法人の。これは逆ですよ。今のウッダードさんの、こういう懸念があるから全部都道府県知事にするのだと、こういう制度趣旨、成立経過、こういう経過で五条一項、二項の所轄が決まっていったわけですよ。本当にこのとき全部都道府県知事にしておけばよかったなと思います。  なぜ包括法人を二項で文部省の所轄としたか、この本の中に、その後こう書いてあるのですよ。当時の包括法人側が戦前の文部省宗務課とのいろいろ温かい関係があったのでしょう。自分たちは国の認証を受けているということで、それが名誉だというふうにどうも当時の包括法人は考えられていたようです。それが都道府県知事の認証になってしまうと、ずっと小さくなってしまう。そんなのは嫌だ。包括法人のもとには被包括法人がいっぱいあるわけですよ。当時、被包括法人がどんどん包括法人から離脱していった。それぞれ自分たちで独立して法人になろうというふうな動きがあったようです。それを何とかとめたい、包括法人は何とかそういう動きをとめたい、そういうことで、何とか文部省が自分たちの所轄になってくれ、そういう交渉を大分したみたいです。その結果、第二項で、都道府県にまたがる包括法人は文部省の所轄というふうに折り合ったわけですよ、ここで。  なぜ折り合ったかということをウッダードさん言っていますよ、本当はそんなことしたくなかったと。ただ、それをやらないぞと言った場合のまた宗教界のごたごた、どんどん離脱していって、包括法人の方でごたごたが続いている。アメリカの方ですから、最終的に裁判で決着つければいいと思ったようです。そういうふうに書かれています。ただ、日本はそういう裁判を利用するというのがなかなかなじみがない。ここできちんと宗教法人法という形で決着をつけなければいけないということで、包括法人は文部省の所轄でいいということで五条の二項という形で出てきたのだ。  政府委員、今の経過は間違いないですかどうですか。
  164. 小野元之

    小野(元)政府委員 実は、GHQとの交渉経過については、私どもの方にそういった資料が残っておりませんので、確たることは言えないわけでございます。  ただ、私の聞いた話といたしましては、包括宗教法人の方々はぜひ国の法人になりたいということで、そういった御要望があったということはお聞きしたことがございます。
  165. 富田茂之

    富田委員 ちょっと今の発言は信じられないですよ。国会図書館にちゃんとこうやって本がある。今この中に書いてあることを私は読み上げたのですよ。なぜ専門家であるあなたがこんなの知らないと言うのですか。法律を制定したときの経過も知らないで、その法律が実態に合わないから変えようとあなたがやっているわけでしはう、実際、実務を。それは幾ら何でも不勉強過ぎるじゃないですか。(発言する者あり)
  166. 越智伊平

    越智委員長 お静かに願います。
  167. 小野元之

    小野(元)政府委員 私どもの公式的な資料といいますか、宗務課にそういった公式的な資料が残っていないので、その旨を申し上げたことでございます。
  168. 富田茂之

    富田委員 では、こういう本もあるわけですから、しっかり勉強していただきたいと思います。(発言する者あり)  このウッダードさんが、所轄の件について最後にこういうことを言っているのですよ。大臣、よく聞いておいてくださいね。「長期的にみてこの振り分けが賢明であったかどうか、なお見続けるべきである。文部省は、法律を改正して、その地位を強化したがっており、いくらかはその努力が果たされるのは疑いない。」今まさにその状況じゃないですか。どうですか、大臣
  169. 島村宜伸

    島村国務大臣 私はウィリアム・ウッダードさんという方を存じ上げませんし、どういう物の考え方をなさる方かわかりませんが、少なくもこれだけは言えるのではないかと思うのは、当時、今日の日本を予測した人はまずいなかったと思うのですね。宗教法人の実態にしても、社会の変化にしても、今日の発展の結果というもの、あるいはいろいろな意味の活動の複雑化その他について見通せた人は私はいないと思うのですよ。  ですから、ウィリアム・ウッダードさんという方はそれなりにすぐれた見識を持った専門の方かもしれませんが、少なくも、その当時の状況に照らして、いわばウッダードさんがお考えになったということをまとめられているのではないか、そう受けとめて、私は今そのお話を伺っておりました。
  170. 富田茂之

    富田委員 法律をつくる、法律を改正する、すごく重要なことですよ。制定過程の経過も知らないで--やじが飛んでおりました、外人が言うことをそんなに重視するのかと。もうふざけたやじだと思いますよ。そういう経過の中でできてきた法律なわけですよ。制定経過、その当時の状況と確かに今の日本状況、全然違います。ただ、制定当時のそういう制度趣旨をしっかり理解した上で本当に現行法が現実に合っていないというのであれば、改正論議、実態をきちんと調査した上で改正を考えればいいのではないかなというふうに思うのですけれども、今の状況はとてもそう思えない。  最初の、現行法の不備、三点、この点についても実情があったとは思えないし、五条一項、二項の制定経過について、その制度趣旨をきちんと理解もしないで、なぜか文部省の方に所轄を持っていこうというふうになってくる。なぜそんなに急ぐのかそういうふうにすごく感じます。これはもう意見として述べておきますので。大臣もこれぜひ読んでいただきたいと思うのですね。勉強してくださいよ。  では、次の質問に移ります。  新進党は、この宗教法人法の改正、本当に必要ならば時間をかけてやろう、本当はオウム対策、今国民が一番望んでいるのは、オウムの再犯防止、類似事件の再発防止だ、こういうふうに考えて、まず破防法をきちんと厳正に適用していくべきだというふうに主張をしております。  破防法について何点か質問したいと思うのですが、総理発言がいろいろぶれがあったとか、この委員会でも質問ありました。もうそういう点を言ってもしようがありませんので……。  昨日の法務委員会でこういう質問と回答がありました。破防法に関して法務委員会で質疑があったのですが、公安調査庁長官が法と証拠を厳正かつ慎重に判断してこれはもう弁明手続開始決定に行くべきだというふうになったときに、法務大臣がその報告を受けてまた同じように判断する、公安調査庁長官の判断と法務大臣の判断に差異が生ずる可能性があるのか、法務大臣は、一般論としてあり得ることだというふうに述べたようであります。そういうふうにきょうの一般紙に報道されておりました。  法務大臣は、きょう参議院の法務委員会の方で質疑があるということで、先ほどちょっと顔を見せていただきましたけれどもお帰りになられたので、公安調査庁長官、その質疑のやりとりで間違いないですか。
  171. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 議員御指摘のとおり、間違いございません。
  172. 富田茂之

    富田委員 実は長官は十月十九日、法務委員会で私の質問に対して、弁明手続開始決定はだれが最終的に判断するんだと私が尋ねたのですが、それは公安調査庁長官の専権事項だというふうにお答えになりました。全く限定つきじゃなくて、専権事項ですとだけ答えられた。そうなると当然だれにも相談しなくていい、専権事項というんですからね。公安調査庁長官が判断されて手続に入っていかれるのかなと私は思っておる。  ところが、この委員会で、我が党の愛知委員が同じ質問をされましたら、いや、法務大臣にも報告しますし、総理にも当然、行政の長ですから報告しますと。この答弁のずれはどこから生じたんですか。
  173. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 法務委員会における私の答弁が若干説明不足でありましたために誤解を生じたかと思っております。私の答弁の趣旨は、法律の規定上は団体規制の請求手続の権限が公安調査庁長官のみにあるという趣旨で、そのように申し上げたわけでございます。
  174. 富田茂之

    富田委員 九月の末ぐらいからかなり調査が進んで、五月十六日に調査対象団体に指定したわけですから、それからずっと調査されてきた、この委員会における総理の答弁を聞きますと、九月末に、公安調査庁並びに法務省の方から報告を受けたというような御答弁でした。ずっと調査してきて、答弁の中で、そろそろ詰めの段階に来ているというような答弁も何度かありました。九月末に詰めの段階に来て、十月四日には手続開始するんだというような報道もされています。それからまた一カ月たってきた。一体、公安調査庁は今何をされているんですか。
  175. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 法律所定の要件が極めて厳格であることは委員御案内のとおりでございますが、そういったもろもろの要件について、最終的に詰めるべき問題が多岐にわたっておりますので、それらの問題点について解決するために時間を要しているということでございます。  ただ、この団体規制の処分というものにつきましては、暴力主義的な破壊活動の再発を防止するための防犯的の措置として行われるものでございますので、できる限り迅速に対応しなければならないということも私ども十分考えておりますので、そういう観点からも対応しております。
  176. 富田茂之

    富田委員 ぜひ迅速な対応をしていただきたいと思います、国民はそれを望んでいるんですから。それをお願いして、この点に関しては終えます。  次に、国家公安委員長官房長官にちょっとお尋ねしたいんですが、報道によりますと、国家公安委員長は、十二月の十二日ですか、オタワの方の会議に行かれて、オウム真理教の起こした地下鉄サリン事件等について報告されるというふうになっておりました。これはどのような報告を予定されているんですか。
  177. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 十二月十二日にオタワで、テロ対策の関係閣僚会議、G7にロシアを加えた人たちが集まります。そこで私も発言予定がございまして、オウム真理教の問題についての問題点をぜひ話してほしいという要請がありますので、ただいまその草稿を練っているところでございます。
  178. 富田茂之

    富田委員 オタワでもぜひ積極的に発言してきていただきたいと思うんですが、それは国会には報告いただけないんですか。どうなんですか。
  179. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 機会がございますればいつでも御報告いたしますし、ぜひまた聞いていただきたいことも起こるのではないかと思っています。
  180. 富田茂之

    富田委員 積極的な大臣ですからね、本当にいろいろな場でこれは国民にどんどん知らせるべきですよ。国民は、オウムがどうなっているんだか、新聞やテレビを勝手に見てくれというんじゃなくて、それはもう政府としての義務だと思うのですね。  官房長官、どうですか、そこは。国民に対して、オウム事件について政府としてこう対処しますとか、そういう何か積極的な発言をされる予定はありますか。
  181. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 お答えしますが、今までの論議の中で、審議会の開示の問題等についてもいろいろ論議されました。私は、九月二十九日に閣議にかけたときに、一般の諸問題については公開が原則だろう、しかし、紛争とか行政処分とかというものについては非公開ということも言えると。したがって、できるだけ情報というものは国民皆さんに正確に御報告を申し上げた方がよりよいことであろうというふうに考えております。
  182. 富田茂之

    富田委員 どうもちょっと論点がずれた答弁だと思うのですが、オウムに関する情報はできるだけ国民に開示するんだという御趣旨であれば、ぜひそういうふうにしてもらいたいと思うのです。  オウム事件に関して、国家公安委員長は、この委員会でも、本当に積極的に捜査しているんだ、警察は全力を挙げてやっているとずっと答弁されておりまして、ぜひこれからも続けてもらいたいと思うのですがね。  一点、長官の答弁の中で、各行政機関との間でいろいろな調整もすると。先ほど来、私がいろいろな質問をしましたけれども、それぞれのセクションの問題じゃないかというふうな質問もしたのですが、警察が持っている情報というのは基本的には行政には流せないですよね、警察が知り得た情報というのは。  それで、上九一色村に行ったときの話なんですが、松本サリンが起きて、その後に上九で異臭騒ぎがあった。山梨県警と長野県警が非常に密接な協力をして、その中でどうもオウムに薬物が運び込まれているという情報がそれぞれの県警に入ったようであります。これはどうも異臭はサリンじゃないかなということで、科警研にお願いして土壌を採取したわけですね。それで十一月にサリンの副生成物が出てきた。  そのときに、私たちはその話を聞いて思ったのは、そういう情報が消防本部の方、富士五湖消防本部というらしいのですが、そういうところにもし行っていれば、いろいろな薬物がオウムのあのサティアンの中にあった、サリンの原材料なんかあれだけ大量にあったわけですから、そういうことを、この前の答弁でいろいろ協議していますよと言われましたけれども、警察情報が担当のセクションに流せない。何かそういうところをきちんと考えていかないと、こういうテロ対策という場合にどこかで不備が出てきてしまうのじゃないか。  せっかく警察が持った情報、消防が、危険物を過度に持っているんだということになれば立入調査できるわけですよね。そういう情報がなかったから富士五湖消防本部は行けなかったと言っています。そういう点について、警察庁の方では今何か検討はされていますか。
  183. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 私のところにはさまざまな報告がございます。ただ、捜査の中身等でございますから、どこまでお話しできるかという点については大変ちゅうちょしています。  せっかくの御質問でありますから、担当局長もおりますので答弁させます。
  184. 野田健

    ○野田(健)政府委員 捜査活動で得られました情報あるいは資料につきまして、それが、他の行政機関に提供することによってそれぞれの行政機関の活動を期待できるというものがある場合に、捜査活動に支障がない範囲であれば提供できるものと思っていますが、事柄によっては非常に秘密に属するものもありますので、それはそれぞれ個別の判断をしていきたいと思っております。
  185. 富田茂之

    富田委員 もう時間もなくなりましたので、最後、一点だけ確認したいのです。  政府の方はオウム対策、一生懸命やっているといろいろな大臣、言われます。官房長官、オウムが細菌兵器、生物兵器についていろいろ研究していた、あるいは製造までいったんじゃないかというような疑いもあります。米議会の報告書では製造していたというような記載もありました。まだそこまで確認されてないかもしれませんが、研究していたのはもう間違いないようであります。  それで、細菌兵器及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約の実施に関する法律というのがあるのですよ。これは私も勉強してこんなのがあるんだと思ったのですがね。細菌兵器、その法律が五十七年にもうこの国会を通っている。  ところが、その七条で「この法律における主務大臣は、政令で定める。」となったまま、どこも主務官庁が、いまだに決まっていない。細菌兵器や生物兵器がこのオウムの捜査の中でいろいろ出てきたわけですから、そういうことについて、主務大臣も決まってないというような状況を、官房長官どう考えられますか。
  186. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 お話がありましたように、生物兵器禁止条約の省、そういうものですね、これについてはまだ、五十七年に決まったけれども主務大臣が決まっていないじゃないか、こういう御質問ですね。  これについては、確かに言われたとおりまだ決まっておりませんが、言うなれば通産とかあるいは農林とか、そういう点は当然入ると思いますね。それぞれの各省にわたっての見解が分かれて、どこにしたらいいかということを今日もまだ決めかねているというのが現状であるんですね。  したがって……(発言する者あり)まあ聞いてください、決まっていないのは事実ですから。だから、早急にこの問題は決めたいと思っておりますが、生物兵器の製造とか所持とか譲り渡しとか譲り受けとか、禁止や違反の罰則といった条約中心の実施については、これはきちんと現在外務省でやられておりますので別段の支障はないということでございますけれども、主務官庁に報告をする、受けるということについては、そういう今申し上げたような関連の省庁がございますので、どこにするかということを早急に決めて御期待に沿いたい、こういうふうに思っております。
  187. 富田茂之

    富田委員 時間になりましたので、これで最後の質問にしますが、ぜひ急いでやってもらいたい、オウムが事件起こしてずっとたっているんですからね。  それで、国家公安委員長、一点ちょっとお願いなんですが、今の生物・細菌兵器に絡んで、サリン特別立法が通常国会でできました。あれは、毒ガス兵器に関してはありましたけれども、公共危険罪としてないからということで、警察庁の方で一生懸命努力されて、全党挙げてつくったわけですね。こういう生物兵器、細菌兵器、これは兵器しゃなくても、生物や細菌ということでオウムはまた何か騒ぎを起こそうとしていた、そういうような話もあります。そういう公共危険罪ということについてもぜひ警察庁の方で積極的に検討していただいて、もうどんどん提案していただきたいと思います。  それをお願いして、質問を終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
  188. 越智伊平

    越智委員長 次に、穂積良行君。
  189. 穂積良行

    ○穂積委員 私は、一昨日、当委員会で質問に立たせていただきましたが、時間の制約もありまして十分掘り下げた議論もできなかった諸点について、再度お尋ねをしたいと思っております。  まず、前回御指摘をしましたが、憲法二十条第一項後段の政教分離に関する規定につきまして、お尋ねをさらにいたしたいと思います。  政治上の権力はいかなる宗教団体もこれを行使してはならないという規定がございますが、これにつきまして、政府は従来、学説上の多数説と呼応して、国または地方公共団体に独占されている統治的権力とする見解を法制局長官は述べられております。ところが私は、この条項については、政府見解とイコールの多数説に対して、中間的な説から、少数説と言われる説があるということでこの前お聞きしましたが、積極的な政治活動によって政治に強い影響を与えることをも、この政治上の権力という、行使してはならない二十条一項後段の規定に触れるという少数説があることは事実であります。  それで、今回議論されております宗教法人法が昭和二十六年に制定以来四十四年の歳月を経て、この間に我が国の社会情勢あるいは政治情勢も大きく変わりました。そして、現時点で、この前も簡単に指摘をいたしましたが、特に大きな数の会員を擁する特定の宗教団体が我が国の政治権力を奪取するのではないかというようなことを感じさせるようなものがあって、こうしたことが国民の多くが心配している状況になっている。状況は変わってきている。そうした状況の変化を踏まえて、憲法の解釈についても、柔軟な思考によって論議を進めるべきではないのかと私は思う次第であります。  ところが、昨日質問に立たれた元法務大臣の中井委員は、この多数説を政府が回答した春日一幸先生の質問主意書のいきさつにも触れて、これを変更すべきではないという立場での議論を展開されました。私は、これについては政府内部において、あるいは私ども政治家も十二分に検討を進めるべき課題であると思っておるわけであります。  そこで、官房長官お越しいただきましたが、我が国憲法の戦後の最大の解釈上の問題であった憲法第九条の問題につきまして、これは制定の当時は、戦後再び戦争の惨禍を避けるという精神のもとに、我が国は戦争放棄、戦力を保持しないという規定を設けた。ところが、朝鮮戦争後の状況変化によって警察予備隊が設けられ、そして現在の自衛隊の保有ということになってきておるわけでありますが、我々自民党は、これについて、憲法九条の許すところである、自衛のための手段は当然、国民の生命を守るということなども含めまして、持たなければならないという政治的な立場から、そうした解釈を導入して今日に至っておるわけであります。  そして、まことに重大なる解釈の変更が社会党でも行われたわけであります。村山政権が成立後、御承知のとおり、自衛隊は憲法第九条に違反しない、合憲である、村山総理は英断を下されました。私どもは、東西対立終結後の世界の情勢を踏まえ、こうした大きな変化を踏まえて社会党党首としてのリーダーシップを発揮されたということについて、敬意を払っております。  実は、憲法というものは、法制局長官、それを制定する国民が、できるだけ、不磨の大典という言葉がありますが、国民のための基本法典として永続性を願っている。これはそうした願いを込めてつくられているということは当然だと思うんですが、その後の、今若干触れましたように、大きな政治情勢の変化の中でいろいろと制度上の不都合も出てくるというようなときに、根本的な憲法の規範というものに反しない範囲で憲法の改正を行う。その改正が行われれば憲法の規定と現実とが合致するわけでありますが、その改正がなかなか行われないという状況の中で、筋としての改正が行われなくとも、解釈上、文理士許される範囲で、公権解釈の変更あるいは実務上の慣行の積み上げなどを通じて、国民多数が認める憲法の実質上の変更を行うことがあってもやむを得ないと考える一人であります。これは、今憲法九条についての経緯を申しました。  この第二十条の政治権力にかかわる宗教団体との関係についても、私は、柔軟な姿勢でこの憲法と実定法と、それから社会の状況というものを踏まえながらの検討をしてもいいのではないか、また、それが必要ではないかと思うわけであります。したがいまして、閣僚懇談会ですか、何人かの閣僚がそうした問題意識を持った。まあ武村大蔵大臣は中井委員に大分追及されましたけれども、私は自然な話だと思っております。  このようなことについて、まず一つは、憲法九条についての村山総理を初めとする社会党の判断というものについて、自信を持った説明を官房長官に簡単に御説明いただきたいし、また、憲法の解釈の変遷ということにつきまして、これは憲法の変遷という理論がありますが、法制局長官はこのような憲法の変遷という問題についてどのような意見を持っているか、ここでまず御説明をいただきたいと思います。
  190. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 今まで社会党に対して、憲法のあり方と自衛隊の位置づけについては何回となく質問をされまして、その都度村山総理が詳しくお話しになっておりますので、多くを申し上げません。先生が言われたように、ごく簡単にお答えをいたしますので、御了承いただきたいと思っております。  自衛隊に対する憲法上の位置づけについての問題でございますが、私どもは、専守防衛に徹して、自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は憲法の認めるものであると認識するものであります。同時に、日本国憲法の精神と理念の実現できる世界を目指して、国際情勢の変化を踏まえながら、国際協調体制の確立と軍縮の推進を図りつつ、国際社会においても名誉ある地位を占めることができるように全力を傾けてまいる、こういうことを総理大臣が本会議で三回ばかり述べております。簡単に言うとそういうことでありますが、憲法は、我々は理念として十分対応をしていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  191. 大出峻郎

    ○大出政府委員 憲法の解釈の変更とそれから憲法の変遷ということにお触れになった御質問でございますが、まず、学説上、成文憲法の定める改正手続を経ることなく、法律とか判決、議院や内閣等の行為、慣習、その他客観的な事情の変化によって憲法の条項の持つ意味が変化すること、こういうことが要約をいたしますといわゆる憲法の変遷という考え方であろうかと思いますが、こういう見解を学説の上で認める見解もあるわけでありますが、この概念を認めることについては、学説上も、一定の要件のもとにこれを肯定する立場と、全く否定をするという立場に分かれているものと理解をいたしております。  なお、憲法を初め法令の解釈について一般論として申し上げますと、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図なども考慮し、また議論の積み重ねのあるものにつきましては全体の整合性を保つことにも留意して、論理的に確定されるべきものであると考えております。政府による憲法解釈についての見解は、このような考え方に基づいてそれぞれ論理的な追求の結果として示されたものと承知をいたしておりまして、最高法規である憲法の解釈は、政府がこうした考え方を離れて自由に変更することができるという性質のものではないというふうに考えているところであります。特に、国会等における論議の積み重ねを経て確立され、定着しているような解釈については、政府がこれを基本的に変更するということは困難であるというふうに考えられるわけであります。
  192. 穂積良行

    ○穂積委員 実は、先ほど富田委員質疑の中で、宗教法人法の制定の経過についてもっと勉強しろというおしかりを文部省当局などは受けておりましたが、私は、宗教法人法の制定の経緯というのは、みんなこれは勉強した上で今日の議論に臨んでいると思います。戦前の国家神道と国家とのかかわり、そして終戦後、自由民主主義を基本とする民主憲法のもとで、宗教と国家あるいはその機関とのかかわりをどうするかということなどの検討を踏まえた上での歴史的な法律でありまして、その法律には、これは憲法二十条のまず第一項の、先ほどから申しております、いかなる宗教団体も政治権力を行使してはならないという、宗教団体に対する政治問題についての自制といいますかそうしたことをまず規定しているわけです。  戦前からの問題での、国家が宗教団体に対していろいろ関与することは排除しろというのは、もちろん歴史的な経過の中で宗教法人法の精神にも映されたわけでありますが、そうした中で、今や問題は、繰り返しますが、政治権力の行使というものについて宗教団体はどういう関係であるべきかということが大変な問題になっている、私はそう思っているわけであります。  そのようなことで、ちょっと話が飛びますが、このたびイスラエルのラビン首相が暗殺されました。この事件ももとはといえば、これはもう長い歴史のある話であります。イスラム教とユダヤ教との宗教対立に起因する、これは千年以上もの民族間の抗争の結果の一つだ、こう受けとめざるを得ません。  現在も、宗教は世界的な規模で、お互いの存在を認め合うかどうか、認めないで相手を圧殺しようと努力するかということなど、それぞれの国家間であるいは民族間で、地域でそうした問題がまだ続いております。そうしてまた、国内に目を向ければ、国内の各宗教あるいは宗派の間で、いろいろ自分の方の宗教こそ正しいということで、他の信教といいますか、信者というものに対してかなり激しい宗教的な闘争を行うという宗派も現にあるわけであります。  これからの世界は、私は、世界的、国際的な規模でも、あるいは国内の問題でも、古い言葉でありますが、平和共存、お互いに相手の存在を認め合って、共生の思想というものによって世界のあるいは国内の平和も達成される、精神生活の面でも。そういうふうな問題じゃないかと思うわけであります。  ところが、冒頭から申しておりますように、ある宗教団体は、排他的に他の宗派を否定して、そしてこれは大変気になる言葉でありますが、国立戒壇の設立、あるいは王仏冥合というのですか、そのような言葉などが言われておりまして、宗政一致、そして国家権力を宗教団体が奪取するのではないかというようなことを国民に不安を抱かせる、そうした状況があるということは、これは否定できないと思うわけであります。  こうしたことについて国民の多くの人は大変心配している。そういう中で、実は憲法二十条そして宗教法人法では、もしこのような動きがとまらないでさらに重大な問題を引き起こすとすれば、これは、戦前の国家が宗教団体に対する統制あるいは規制を強めるというようなことが国民の世論の中に出てくるかもしれないし、またその必要性が出てくるかもしれない。  そうならないようにするには、それこそ、繰り返しますが、宗教団体の方が政治活動におのずから自制を持って、一宗教団体が国家権力を奪取するようなことを掲げて多数の人を動員するというようなことはやめていくということでなければならないと思うわけであります。  この辺について、これは文部大臣あるいは官房長官、いかがお考えですか、お伺いいたします。     〔委員長退席、片岡委員長代理着席〕
  193. 野坂浩賢

    野坂国務大臣 穂積委員が、ラビン首相の暗殺問題について、イスラム教とユダヤ教との対立、こういうものから発生をしたんじゃないかという話がありましたが、私どももそういうふうに理解しております。  私たちは、一般的に宗教の発展というものは個人の信仰の選択、これが不可分なものだと思っております。信仰の自由な選択を妨害して、宗教活動の自由を侵害するということは許されない、これが基本だと思っております。信仰の自由な選択の妨害は、宗教団体も含めて、あなたがおっしゃるとおり、いかなる場合も許されないものである。どの宗教団体も、法令や世の中の常識を基礎とした中で良識を持って共存できる環境を大切にしたいものである、こういうふうに考えております。  いわゆる相対論といいますか、お互いに相手を認め合えるよう、それがいわゆるあなたが言う平和共存ということであろうと思いますので、そういう姿が本当の意味の信教というものではなかろうかというふうに推量しております。
  194. 島村宜伸

    島村国務大臣 お答えいたします。  憲法に定める政教分離の原則は、信教の自由を実質的なものにするため、国その他の公の機関が国権行使の場面において宗教に介入しまたは関与することを排除する趣旨であって、それを超えて、宗教団体が政治的活動をすることを排除している趣旨であるとは考えません。  なお、宗教法人については、宗教活動を行うことを主たる目的とすることを要件として法人格を取得しているわけでありますから、宗教法人が選挙活動を行うことを主たる目的とするようなことは、宗教法人法予定されていないところであります。
  195. 穂積良行

    ○穂積委員 この問題に関連しまして、これまでオウム真理教事件について破防法を適用すべきではないかという意見が再々新進党側から出されました。  それでは、現在の我が国の国家機構の根幹をなす民主主義政治体制、我が国の平和民主主義憲法の根幹を揺るがしかねないような、特定宗教が権力を奪取して国家の頂点に立って政治権力を行使するというようなことであれば、これは破防法の適用をそれこそ考えなければならぬような話じゃないかと思いますが、こうしたことについて公安調査庁、どうですかこれは。もしそのような問題だとすれば、勉強したらどうですか、勉強しろ、勉強しろと先ほどお話も出ておりましたから。いかがですか。
  196. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 お答えいたします。  破防法の規定に関する一般的な御質問であろうと考えておりますが、破防法によります団体規制の要件は、ある団体が政治目的を持って暴力主義的な破壊活動を行い、そして将来も同種の犯行を継続、反復する明らかなおそれがあるということでございます。  したがいまして、一般的に申しまして、この要件に該当する限りにおいては、いかなる団体も規制の対象になるわけでありますから、それがたとえ宗教団体であってもその対象になることはあり得る、そういうことでございます。
  197. 穂積良行

    ○穂積委員 宗教団体であっても破防法の対象となり得るという答弁があったので、この問題は次に移らせていただきます。  さて、この前、たしか愛知委員だったと思いますが、閣僚個人個人のどのような宗教、宗派に属しておられますかという趣旨の御質問がありました。  私は、公職にある者、特に国務大臣など、財産はもちろんいろいろ情報公開の対象になって、そういう質問もまあやむを得ないのかなと思いますが、しかし、思想、良心の自由の中で、その思想に係る、良心に係る宗派の問題、これを大胆に愛知委員質問されたことには驚きました。  それでは、それほど世間一般に国民の世論なり情報公開の流れというものが強まっている中で、宗教団体、特に法人格を与えられた宗教法人について、今回の法改正はまことに、私の表現で言えばささやかな、必要最小限の情報開示を、しかも利害関係人、信者等について認めようとするようなことについて、これは繰り返し心配だ、心配だというような質問が行われております。  私は、この宗教法人の備えつけ書類の閲覧請求権を認めるなんていうことは信教の自由を侵すことにならないかという心配をする方が、まあ言うなら心配し過ぎ。悪いことをやっていなければ、堂々と情報開示の流れに従って、信者なり利害関係人に悪びれずに情報公開するということこそ宗教団体のとるべき姿勢ではないかと私は思うのです。  そのようなことで、今回何か新進党の質問をお聞きしていますと、一般に宗教法人が何か悪いことをやっている、国民にいろいろと批判されるようなことをやっているんじゃないか、それを暴かれるのが困るみたいなことに受け取られるような質問を繰り返すというのは、宗教団体に対して大変失礼な話じゃないかと私は思うのであります。  このようなことについて、文部大臣、いかがお考えでしょうか。
  198. 島村宜伸

    島村国務大臣 先生もお認めいただけると思いますが、まさに今御指摘のとおり、今回の法改正は最小限のものです。しかもその背景には、国民のもう圧倒的多数が早期にこの法改正をすべきである、こういうことを求めておられる。  そういう意味では、なるほど私のところに、がっかりした、何て腰の引けた改正をするんだ、こんな御批判も実は届くわけであります。しかし、その一方では、もう何もかにも一切改正すべきでない、現行法でいくべきだという御意見もある。  そこで、我々は、やはりこの国は法治国家でありますから、最小限度の法改正だけはさせていただこうというのが今回皆さんにお諮りしておる法改正であります。
  199. 穂積良行

    ○穂積委員 実は、憲法二十条の話に戻りますが、信教の自由、これは何よりも大切な一つの基本的人権だと思いますが、それよりもなお大切なのは、国民の生存権といいますか幸福を追求する権利、そのような憲法の十三条などに規定されていることとの関係であります。  具体的に、モデル的に申します。ある新興宗教で、輸血を受けることは我々の信教に反するというような親がいて、そのお子さんがある事故か病気で、輸血をすれば現代医学では助かるのに、輸血を拒否して死亡に至らしめるというようなことになった場合に、まだ幼いお子さんなどの生存権といいますか、その後どのような人生か、人生を生きていくことについての幸福を追求する権利や何や、そうしたこととの関係ではどういうことになるか。こんなことが現実に宗教団体との関係で起こっているわけですから。  そのようなことなども含めまして、宗教団体というのは、信教の自由をさらに大きな基本的人権として制約する、生存権や何やのもとでおのずからなる制約があってしかるべきである、公序良俗あるいはそうした法理で、そうした考え方に立つべきだと思いますが、今のケースについて、厚生大臣及び法務省当局のこれについての見解をお示しいただきたい。
  200. 森井忠良

    ○森井国務大臣 厚生省は、現代医学に基づいて国民の健康を守っていくというのが基本的なスタンスでございまして、あくまでも現代医学を中心に仕事をしているわけでございます。  今御指摘のような問題につきましては、患者の自己決定権さらに信仰の自由、医師の治療行為に係る非常に難しい問題を提起していると認識をいたしております。  基本的には、患者の自己決定権及び個人の生命の尊厳が尊重されるべきものと考えますが、患者が子供で十分な判断能力がないという場合に、その親の意思を無視して輸血を強行することができるかどうかにつきましては、個々の事例に即して判断すべきものと一般的に考えております。  私は、医療の現場において、病院側でまず最大限の説得を尽くす、かつ、輸血をしなければ患者の生命が助からないというふうな場合には、輸血を病院側が仮に強行したとしてもやむを得ないものであるというふうに認識をいたしております。
  201. 穂積良行

    ○穂積委員 まあ、今の例は極端なケースだと思いますけれども。  実は宗教団体と言われるものにはさまざまなものがあって、疑似宗教ではないかと言われるようなものもあります。そして、疑似医療という言葉もあります。こうした宗教の中には、加持祈祷といいますか、それによって殺人事件まで起こしたようなことはこの前御紹介いたしました。  それらのいろいろな問題がある中で、信教の自由というのは、繰り返しますが、その他の基本的人権との関係を十分踏まえて考えてもらわなければならぬ、こう思う次第であります。これは指摘にとどめます。  それから、先ほどの宗教の問題あるいは思想の問題での平和共存といいますか、共生の問題に絡むわけでありますが、例えば、一つの例を言います。  父親が仏教徒、母親が神道、長男がクリスチャンになったというような家庭があった場合に、その次男があるいは娘さんかがある新興宗教に入ってしまった、あるいは新興宗教についてどこかへ行ってしまった、場合によっては自分で判断せずに教祖様の決めた人と結婚するなんというようなケース、いろいろありますね。  このようないろいろな、妙なといいますか、新興宗教がある中で、我が日本国民はこれまでは、私の家もそうですけれども、仏壇があり神棚がある、神仏それぞれを大切にしてきている、これが大方の日本の家庭であります。  例えばクリスチャンになった息子さんがいても、心の内にいますなんじらの神に折れというような内面の信仰ということを大切にする宗教ならば、争いは避けて折り合っていくというようなことが普通ですね。ところが、ある宗教団体は、神棚とか仏壇はもうみんな始末しろ、取り払えというようなことで、家族の中でもトラブルになるというケースがあるのではないですか。     〔片岡委員長代理退席、委員長着席〕  これは、私が前回の参議院選挙でお聞きした話なんですが、ある特定の候補者の選挙事務所から、神棚、あれは目ざわりだということで指摘されて、取り払いをしたというケースなども聞くわけです。  こうした我が国の従来の一般国民の慣習と異なって他の宗教なり宗派の祭祀などを排除するようなことなどは、これは憲法第十二条の権利の乱用ということを前回触れましたけれども、そうした権利乱用の法理あるいは公序良俗違反というようなことにも該当しかねないケースがあるのではないかと思います。  私は、今後に向けては、本当に国際的にもあるいは国内的にも、外交あるいは国内法制の面で平和共存というような共生の思想を導入して宗教問題に対処していくということが必要だと思うのであります。  そこで、とにかく宗教団体が政治活動とのかかわりはよほど慎重であるべきだということはもう何回も申しましたが、これは今後もし取り上げることがあったら取り上げることといたしまして、実は時間が迫ってまいりましたので、一つ、どうしても税法の関係について再度触れたいと思います。  もうこの委員会で何回か質疑されておりますように、我が国では、宗教法人として認証されると税法上の大変な恩典を受ける、公益法人以上に恩典を受ける面もある。収益事業から宗教活動の方へ繰り入れた場合には損金算入を認めるというようなことは、これはそうした一例だと思うのです。  ところが、これはアメリカの法制では逆に、こうしたことは非課税じゃなしに、免税のためには極めて厳しい制約を課しているということはもう御案内のとおりであります。実質面でその宗教団体が私物化されているかどうか、それから政治団体としてもそれに血道を上げているではないかというようなことだと、これは免税にならない。営利団体になっているのはもちろんだ。こういうようなことで、非常に制約的な法制がとられております。西ドイツでも同様の、詳しく申し上げてもいいのですが時間がありません。  そうしたことの関係において、宗教団体に対する税法の問題については、これはもう繰り返しになりますけれども、今後しっかりと検討を進めるべきであると思います。これについて、大蔵大臣並びに事務当局の考え方を再度確認をさしていただきます。
  202. 薄井信明

    ○薄井政府委員 答弁いたします。  御指摘のように、アメリカではそのような法制をとっております。またドイツでもそのような法制をとっておりますが、例えばドイツでは、政党法によりまして、公益法人等、宗教団体も含めてですが、政党に対して寄附をすることをまずとめております。それとの関係もあって税制上の措置がとられていると我々は見ております。また、日本におきましては、各省庁がまず公益法人の適格性をチェックしましてそれを税制上受けとめるという形をとっておりますが、アメリカの場合は各州でそれをやっております。したがって、連邦としては税制上これを受けとめているのではないかなと思います。  そのように各国いろいろな成り立ちがある中で、日本の公益法人課税についてさらに適正化するべきであるという御指摘については、私ども十分勉強していきたいと思います。
  203. 穂積良行

    ○穂積委員 この問題については、新進党の海部党首が三日の午後に都内の大学で講演された際に、オウムの資金源はお布施だったということに触れられまして、改正すべきはお布施などの税制の問題だということもお話しになったそうです。そうしたことがあるとすれば、与野党これは呼吸を合わせてきちっとした結論を出すべきじゃないでしょうか。私はそんな気がいたしました。  時間がなくなりましたので質問を終わらなければなりませんが、とにかく今回の宗教法人法は、もう必要最小限の、国民の何とかしろというその世論を踏まえて、早く改正をしろということに対して我々政治のレベルでは結論を出すべきではないかと思いますので、それを申し上げて、私の質問を終わります。
  204. 越智伊平

    越智委員長 次に、正森成二君。
  205. 正森成二

    ○正森委員 それでは、十一月六日だったと思いますが、当委員会で質問さしていただきましたが、その議論を前提にして、本日も、短い時間でございますが質問をさしていただきたいと思います。  十一月六日に私は、憲法二十条、信教の自由はこれを保障する、いかなる宗教団体も政治上の権力を行使してはならないという点については我が国の学説上三説あるということを指摘して、時間の関係でそれ以上は申しませんでした。きょうも私は、憲法上の問題として論議しようとは思っておりませんが、議論の前提として、日本には三つの学説といいますが、どういう説になっているのかについて、あらかじめ申し上げておきましたので、法制局長官に、簡潔で結構ですが御説明を願いたいと思います。
  206. 大出峻郎

    ○大出政府委員 御指摘のように、憲法第二十条第一項後段に規定する政治上の権力の行使の禁止についての学説は、およそ次の三つに分類できるというふうにされておると思います。  第一番目の説は、政治上の権力とは国または地方公共団体に独占されている統治的権力をいうものと解する説であり、学界の通説であり、政府のとっている見解であります。第二説は、宗教団体が積極的な政治活動によって政治に強い影響を与えることを禁止したものと解する説であります。第三説は、宗教団体が政治的権威の機能を営んではなもないという趣旨を示したものと解する説であります。  以上でございます。
  207. 正森成二

    ○正森委員 今御説明がございましたが、時間の関係で詳しくは申しませんが、第二説というのが田上穣治教授の説であり、第三説というのは佐藤功教授などが主に唱えておられる説であるというように私は理解しております。  そこで、第一説が現在のところ通説になっておりますが、この点については、今我が国であるいは文明国で宗教団体が統治権を直接行使するなんというようなことは考えられないので、この説は多分に沿革的な意義を有するにすぎないという批判もあることは事実であります。そこから第二説、第三説が出てきたわけであります。  そこで、それを前提にして議論を進めたいと思いますが、九月の十九日に朝日新聞の社説が出ました。また、昨年の十二月二十三日付の社説では、「教団にとって選挙とは何か」という社説が出ました。これが言ってみれば創価学会の選挙活動について触れたものであるというように思われておりますために、ここに持ってまいりましたが、九月二十日付の公明新聞に、これらは制限的宗教観であるという見出しのもとに、非常に激しい反論が載りました。この反論は、当然のことながら最も狭く解する第一説ですね、それを採用した上で、こう言っております。  「宗教が選挙という一般的方法を通じて政治に意見を反映することには寛容であり、」我が国の憲法はという主語がありますね、「ただ二点、一つは国や地方公共団体が統治的・行政的権限を宗教団体に移譲して宗教団体が戸籍編製や徴税、裁判、立法、公務員任免などの「政治上の権力」を行使することを信教の自由を侵害するとして禁じ、もう一つは権力を使って布教することを禁じた。」こう言っております。  つまり、公明新聞によって表明された恐らく創価学会の見解と思われるものでも、徴税や裁判や立法や公務員任免などの政治的権力を行使すること、これはよろしくない、こう言っているわけであります。  そこで、私は、閣僚に来ていただきましたので事実を聞いていただきたいのですが、ここにありますのは毎日新聞の昭和四十二年、一九六七年二月一日の夕刊であります。これはなぜ二月一日かといいますと、その少し前に衆議院選挙が行われました。ここで初めて公明党は、これまでは衆議院に進出しないと言っていたんですが、その言明とは異なって衆議院に進出し、三十二人立候補して二十五議席を獲得いたしました。それについての記事であります。  この記事でどういうことを言っておるかといいますと、竹入義勝氏にインタビューをしたとみえて、「代議士に初当選したとたん、委員長とは責任重大ですな。」こういう質問マスコミはしているんですね。それに対して竹入氏は、「池田会長から申し渡されたばかりで、正直いって面くらってます」と堂々と言っております。つまり、公明党という政党は、宗教団体である創価学会の池田会長から、おまえが委員長になれと言って申し渡された、だからそのとおりやっているということを臆面もなくマスコミに言っているわけであります。  これはまだ二十五名で野党だからよろしゅうございますが、我が国は言うまでもなく議院内閣制であります。ですから、多数党の場合には、おまえが委員長になれと言われてなったということは、おまえが総理大臣になれと言ってなったのと同じことになるわけであります。  そこで、その後出版妨害事件を起こしまして、それが非常に問題になったときに、池田大作氏は、政教分離、今後は大事にも介入しない、組織も別だということを言われたということもこの間申しました。それが守られたかというと、これは必ずしも守られていないのですね。  ここに持ってまいりましたが、九三年ですから二年前です。何か年月をはっきりせいとかいう声がありますから申し上げておきますが、九三年の十一月号の文芸春秋に、公明党の矢野絢也前委員長、これは書記長も長らく務められた実力者であります、その矢野前委員長が手記をお書きになりました。その手記を見ますとこう言っておるのです。  二階堂擁立劇というのがありました。これは二階堂さんを総理大臣にしようというので画策したがうまくいかなかったという事件であります。それには公明党も深く関与しました。そこで、竹入委員長がその責任をとって辞任しようということが非常に話題になったわけであります。それで、竹入氏が辞意を漏らしたのは二階堂擁立工作が失敗した直後の一九八四年十月のこと。ですから、もちろん、政教分離だ、大事に介入しない、組織は全く別だ、こう言っていた時代であります。そして、翌十一月十七日に、竹入、矢野両氏や現在の石田委員長らが池田氏の招待を受けた際、池田氏は、「竹入君、声を聞いたら党も学会もな、やっぱり君だよ。皆の声だ、もうしばらくやったらどうだ。」こう言って続投を要求した。さらに、党の事務連絡のパイプは、今後は矢野と山崎尚見学会副会長でやれ、こう指示した。これが矢野前委員長が文芸春秋で明らかにした事実であります。この池田発言から十二日後の十一月二十九日に行われた公明党本部の企画会議で、竹入氏は、「諸般の事情で続投いたします」と辞意を翻しました。そして、十二月の党大会でも了承されたという経緯になっているわけであります。  つまり、政教分離だ、大事には介入しないと言ったって、ちゃんと大事に介入してきたのです。しかもそのとおり決まったんだということを公明党の委員長が言っているわけであります。  そしたら、これは野党の時代だから問題ないではないか公務員の任免権とはいまだ関係がない、こう言うなら、最近ではどうだろうか。  九三年に細川内閣ができました。そのときに公明党が大臣を、枠をとりまして四名出したことは皆さん御承知のとおりであります。組閣が行われたのは同年の八月九日であります。ところが、その一日前の八月の八日に、長野県の軽井沢町にある長野研修道場での創価学会第六十九回本部幹部会で、これは衛星通信システムで全国の学会施設で会員が聞いている、こういう状況の中で行われました。その中で池田大作名誉会長は、組閣の発表前でしたが、学会の女性幹部の夫を褒めるという形でこう言ったことは皆様まだ記憶に新しいところであろうと思います。  念のためにそれを読みますと、「すばらしいご主人。これは、労働大臣ね、または総務長官、または郵政大臣になってもいいくらいのご主人です。すばらしいご主人とよく、ご結婚あそばされた。」こう言って、中略した後、「すごい時代に入りました。ね、そのうち、」デイジンと言うのですね、大臣とは言わないのです、「デイジンも何人か出るでしょう、ね、もうじきです。まあ、明日あたりです、出るから。」こう言って、「あの、みんな、みなさんがたの部下だから、そのつもりで。」こう言っているのです。  これについては、秋谷会長が、部下だと言ったのは、公務員というのは大臣も含めて国民の公僕だからそういう意味で言ったんだ、当然のことだという反論をその後いたしました。しかし、その翌日に、このとおり、石田総務長官ができ、神崎郵政大臣ができ、坂口労働大臣ができたわけであります。そしてもう一人の広中和歌子環境庁長官は、なるほど大臣ですが、学会員ではないとされているのですね。非学会員だとされているのです。だからこれは除いているというように思われても仕方がないのですね。  これは、非常に秘密である大臣を、つまり特別公務員を任免するという行為を、総理大臣もまだ発表していないという段階で、ある宗教団体の最高責任者と思われる人が事前に連絡を受けて、そして、おれは了承しているんだぞということを国民全体に、あるいは創価学会員全体に誇示した。自己権威欲か顕示欲か何か知りませんが、慎み深い宗教者なら知っておっても言わないと思うのですが、わざわざおれは知っているぞと。それで、皆さんの弟子ですからね、皆さんの弟子ならもちろん自分の家来、弟子であります、そういう意味のことを言っているのですね。もし本当に公務員は公僕だということが言いたいなら、皆さんの公僕ですからなと一言えば済むことを、「みんな、みなさんがたの部下だから、そのつもりで。」と、わざわざ「部下」という言葉を使っているのです。「みなさん」、こういう言い方をしているのですね。  私はこれは、いいですか、連立内閣のときには特別公務員の任免権を事実上ある宗教団体の最高幹部が握ったか、あるいは握らないまでもその了承を事前にとっておるということを示していると思うのですね。そう思われても仕方がない。宗教者には慎みというものが必要なのです。  そこで、私は憲法論議として今二つ学説を挙げましたが、そのうちの、政治上の強い影響力を行使するといいますか、そういう説をとれば非常に問題がありますが、私はここでこれが憲法違反であるとかなんとかいうことを論議しようとは思いません、多くの説があるわけですから。しかし、三、四名の閣僚の方に集まっていただきましたが、私が申したいのは、この間の十一月六日の質問で言いましたように、ここまで政治に深く介入するような宗教団体に特別に課税上の優遇措置を与えて、そして政治活動をするのを放置するということが果たしてよいことであるかどうかというのは非常に問題であるというように思わざるを得ません。  きょうは、文部大臣の所管のこととはちょっと離れるかもしれませんが、国務大臣として、十一月六日の私が述べたことを前提にして、今のような事実に立って、課税上の問題について国務大臣としてはどういう識見をお持ちになりますか、まず最初に伺いたいと思います。
  208. 島村宜伸

    島村国務大臣 宗教法人法が例えば性善説に立って制定されておりますように、宗教というのは、いわば人心を安んじ、社会の安泰に貢献するという高い公益性を初めから期待されて、それなりのまた保障を得ている、こういうふうに考えます。したがいまして、特定の権力、宗教のいわば情を得た権力その他が別の意味に何か利用されるというようなことは、私は、法の予定するものでない、こう考えます。
  209. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣に伺いたいと思います。  大蔵大臣には先日の六日にも私から質問をいたしまして、その中で武村大蔵大臣が、ここに速記を持ってまいりましたが、全部は引用いたしませんが、途中から読みますとこう言っておられます。  収益事業は何なのがこの範囲をどうするのかという議論だけでは、サリン、武器製造などの矛盾を超えることができない。反社会的あるいは犯罪行為だからということもあるが、これはある意味では刑法の適用によって対応が可能だが、宗教活動でない活動に使われるケースがあるのかどうかということも一つの論議になる。お金や物がという意味でしょうね、これは。宗教活動そのものが非課税になっていることには疑問は感じないが、非課税の中で宗教活動でない使い方がされているならば、この矛盾をどうするかは奥の深いテーマだが、真剣に見詰めなければならないと思っている。こういう含蓄のある答弁をされております。つまり、この点についてはやはり真剣に見詰めなければならない。つまり、公益法人一般の課税制度で営利事業の税率がどうとかこうとかいうことだけでは対応し切れない、より奥深いものを含んでいるということを明確に認められた上での見識ある答弁であるというように思います。  そこで、あえて伺いますが、こういう点について、私は、国民の多くの声はさらに深めてほしいということだと思いますが、再度御答弁をお願いいたします。
  210. 武村正義

    ○武村国務大臣 お尋ねの点につきましては、先般お答えした考え方、今も変わりはありません。多少表現が変わるかもしれませんが、もう一度申し上げますと、例えば宗教法人の政治活動のような、公益的、宗教的活動とは言えないような活動を行っている宗教法人に対する課税のあり方について正森委員からも御指摘がございました。御論議があるのは私どもも承知をいたしております。  宗教法人の活動内容に応じて税法上の取り扱いを変えることにつきましては、そもそも何をもって公益活動あるいは宗教活動でない行為と見るのかあるいは公益活動、宗教活動でない行為を行っているかどうかの判断を私ども課税当局が行うのが適当かどうかこういう視点がございますし、また、憲法や宗教法人等の現行法制上、政治活動や政治献金が認められていることとの関係をどう整理するのかこういう課題があるわけで、こういう課題をどう克服するかという問題がございます。結論を見出すためには慎重でありますが、しかし、問題の本質は、先般も申し上げましたように、真剣に見詰めていかなければならないと考えております。
  211. 正森成二

    ○正森委員 時間が参りましたので、最後に、橋本通産大臣にお見えいただいています、一言だけ伺います。通産大臣としてではなしに、国務大臣、しかも自由民主党の総裁で、恐らく将来には政治の中枢に位置されることが自民党からは期待されているという方であります。  そこで、一言だけ伺いますが、最近の御答弁を見ますと、公益法人課税全体の中で宗教法人課税も検討すべきだという答弁をされたように伺っておりますが、私は、公益法人全体の課税一般としてでなしに、政党支持活動や選挙活動を行うような宗教団体について課税が今のままでいいのかということを、アメリカやドイツの法制を引きながら質問したつもりであります。その点についての国務大臣橋本さんの簡潔な答弁を伺いまして、私の質問を終わらしていただきます。
  212. 橋本龍太郎

    ○橋本国務大臣 先日私は、確かに委員が御指摘になりましたように、宗教法人というものが現行の法制上、数多くの財団法人と同じく公益に関する団体として位置づけられている、そうした中で宗教法人だけを取り出すというやり方が果たして税制の議論として正しいかどうかむしろ公益法人課税のあり方として検討するのが適切だと思うということを申し上げました。  今、前提をつけてお尋ねをいただきましたけれども、そうしたさまざまな角度から御議論があることは私も承知をいたしております。そして、税制上の論議ということを離れまして、今委員の御質問趣旨お答えを申し上げるなら、私は、今回のオウム真理教のような事件というものを契機として、やはり何ができるかということを幅広く検討していく必要があみと思います。そして税制についても、今大蔵大臣自身がお述べになりましたように、このままでよいのかどうか、さまざまな問題点があることを承知した上で、検討の必要はあると思います。
  213. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  214. 越智伊平

    越智委員長 次回は、明十日金曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五分散会