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1995-11-08 第134回国会 衆議院 宗教法人に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十一月八日(水曜日)     午前九時開議 出席委員   委員長 越智 伊平君    理事 小里 貞利君 理事 片岡 武司君    理事 鈴木 宗男君 理事 草川 昭三君    理事 月原 茂皓君 理事 吹田  愰君    理事 佐々木秀典君 理事 井出 正一君       石橋 一弥君    衛藤 晟一君       小川  元君    川崎 二郎君       熊代 昭彦君    栗原 裕康君       七条  明君    白川 勝彦君       萩山 教嚴君    蓮実  進君       穂積 良行君    御法川英文君       山本 公一君    与謝野 馨君       愛知 和男君    石田 勝之君       江田 五月君    北側 一雄君       北橋 健治君    中井  洽君       西岡 武夫君    鳩山 邦夫君       船田  元君    冬柴 鐵三君       山口那津男君    輿石  東君       細谷 治通君    山口 鶴男君       山下八洲夫君  五十嵐ふみひこ君       中島 章夫君    正森 成二君       松本 善明君    土肥 隆一君  出席国務大臣         法 務 大 臣 宮澤  弘君         大 蔵 大 臣 武村 正義君         文 部 大 臣 島村 宜伸君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     深谷 隆司君         国 務 大 臣         (内閣官房長官         )       野坂 浩賢君  出席政府委員         内閣法制局長官 大出 峻郎君         内閣法制局第二         部長      秋山  收君         警察庁長官官房         総務審議官   山本 博一君         警察庁刑事局長 野田  健君         警察庁警備局長 杉田 和博君         総務庁長官官房         審議官     土屋  勲君         総務庁人事局長 池ノ内祐司君         法務大臣官房長 原田 明夫君         法務省民事局長 濱崎 恭生君         法務省刑事局長 則定  衛君         法務省人権擁護         局長      大藤  敏君         公安調査庁長官 杉原 弘泰君         公安調査庁次長 河内 悠紀君         大蔵省主税局長 薄井 信明君         大蔵省銀行局長 西村 吉正君         国税庁次長   若林 勝三君         文部大臣官房長 佐藤 禎一君         文部大臣官房総         務審議官    辻村 哲夫君         文部省初等中等         教育局長    井上 孝美君         文部省高等教育         局長      吉田  茂君         文化庁次長   小野 元之君         自治省行政局選         挙部長     谷合 靖夫君         自治省税務局長 佐野 徹治君  委員外出席者         宗教法人に関す         る特別委員会調         査室長     岡村  豊君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月八日  辞任         補欠選任   加藤 紘一君     蓮実  進君   亀井 静香君     山本 公一君   白川 勝彦君     川崎 二郎君   村岡 兼造君     御法川英文君   与謝野 馨君     萩山 教嚴君   北橋 健治君     中井  洽君   中島 章夫君   五十嵐ふみひこ君   正森 成二君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   川崎 二郎君     白川 勝彦君   萩山 教嚴君     与謝野 馨君   蓮実  進君     加藤 紘一君   御法川英文君     村岡 兼造君   山本 公一君     亀井 静香君   中井  洽君     北橋 健治君 五十嵐ふみひこ君     中島 章夫君   松本 善明君     正森 成二君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  宗教法人法の一部を改正する法律案内閣提出  第一七号)      ――――◇―――――
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより会議を開きます。  内閣提出宗教法人法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北橋健治君。
  3. 北橋健治

    北橋委員 おはようございます。新進党北橋でございます。  この法案の審議に入りまして、私も、ずっと政府と私ども質疑を聞いてまいりましたけれども、果たして国民皆様方がどのように受けとめていらっしゃるだろうか。確かに政府与党と野党の意見の対立はありますし、議論の激しい応酬があってしかるべきだとはいえ、しかし、国民立場から見て、そもそも今回の議論というのは、あのオウム事件という史上まれに見る極めて凶悪なテロ事件に端を発した国会での質疑だと思います。  そういった意味では、そこで被害に遭われた皆さん方が、例えば宗教法人解散命令が地裁で出た、その前から資産隠しをどうやら始めているようだ、こういった問題に対して、被害者救済対策をどうして国会はまず速やかに取り上げないのだろうか。  あるいは、今回のオウム事件捜査を振り返りまして、世界で最も優秀な日本警察があれだけの大変な日夜を分かたぬ御苦労をされながら、五年有余にわたりまして、結果としてオウム教団を野放しにしてしまった。そして、四千人の死傷者を出してしまった。  このオウム事件をめぐる捜査過程を振り返りまして、実りある教訓というものは得られないのだろうか。それについては、与野党知恵を出し合って速やかに対処できる問題ではないか、私はそのように思っております。  朝一番から激しくぶつかり合う問題をやるのも何かと思いまして、そういった意味で、きょうは国家公安委員長、重要な国際会議がおありだと聞いておりますので、最初に捜査体制あり方について、大臣国家公安委員長の御所見を承れればと思っております。  既に、私ども新進党同僚委員からも御指摘があったことでございますが、新進党といたしまして、愛知和男先生座長にしまして政治宗教に関する委員会をつくりました。私もそのメンバーでございますが、その中に、江田五月座長のもとでオウム事件再発防止プロジェクトというものを設置いたしました。  そして、我が党は、真っ先にこの再発防止を実効あらしめるために何をすればいいかという作業を鋭意行ってまいりまして、その中で、やはり広域的な捜査体制をいま一度オウム事件を振り返って確立する必要があるのではないかと考えている次第であります。  この点につきましては、既に国家公安委員長から前向きの答弁が行われております。すなわち、広域犯罪をめぐり、警視庁大阪府警といった規模が大きく経験があるところが他府県に出動しやすくする必要があるのかどうかを含め、検討を進めている。  委員長、これは速やかに作業に入っていただきまして、私ども会期延長に反対しておりますので閉会中審査という言い方をするわけでございますが、とにかく、これだけの優秀な警察があれだけ頑張っても、各県にまたがる捜査という障害もありました、相手相手だったと思います。いろいろな理由はあると思いますけれどもオウム事件教訓から捜査当局として学ぶ第一は、やはり警察法改正という問題ではないかと思うのです。  これについて、さらに踏み込んで、この法改正をぜひやりたい、そういう答弁を期待するものでありますが、いかがでしょうか。
  4. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今、北橋委員指摘のように、実は、きょうこれから銃器対策国際会議を私どもが主催して開催するものでありますから、早めに質問していただきまして感謝を申し上げたいと思います。  オウム真理教事件捜査をめぐりましては、時間がかかり過ぎたとか、さまざまな御批判があることは承知をいたしております。  しかし、我が国警察は、あくまでも法と証拠に基づいて捜査を行うということが原則でございまして、乏しい証拠の中から、本当に涙ぐましいというと感傷的でありますけれども、本当に必死の努力を重ねて今日のような状況にまで至ったわけでございます。  その間、広域捜査の問題につきまして、もっと積極的に中央がかかわるような仕組みがないものかといったような、そういう御不満や御意見も伺いました。  しかし、我が国は、都道府県警察ということで、いわば地方警察ということを中心に置いているわけでございます。中央警察ということが数々の弊害をもたらした過去の経験に照らして、都道府県警察ということで、そこにウエートを置いた捜査体制というものをしいてきたわけでございます。  しかし、他府県にまたがるような広域犯罪というものが多発しておりますから、例えば警察法改正いたしまして、地域が広がった場合の指揮権をどうするかといったような問題については国会で結論を出していただき、これは今有効に活用されようといたしているわけであります。  そういう状態の中で、では、一体どこまで中央が踏み込んでいいのかという問題については、かなりの配慮が必要ではないだろうか。東京であるとか大阪であるとかつまり警視庁とか大阪府警本部といったようなところは、規模は大きいし、さまざまな経験も積んでおりますし、確かに、個々の捜査員の能力に変わりはありませんけれども、全体的な捜査の力ということについてはやはり一歩進んだところがあります。かといって、どこへでも出ていくというわけにはまいりません。  そこらの調整を考えながら、一体今日の犯罪にどう対応していくかということを十分に検討していく必要があるのではないだろうか、そのように思いまして、そのような背景を持ちながら、一体どこまで広域捜査協力体制ができるか、中央指導体制ができるかをただいま検討しているという状況にございます。
  5. 北橋健治

    北橋委員 ただいま検討しているという御答弁でございますけれども、私どもは、現地の調査も踏まえまして、各方面から多くの方々の率直なお話を聞いてまいりました。そして、やはり広域的な捜査体制の確立というのは、オウム事件再発防止を考える点で真っ先にやらねばならない問題ではないかという気持ちを強く持っております。  そういった意味で、今後、警察法の一部を改正いたしまして、警察庁長官が機動的、弾力的に都道府県警察を指揮監督することが可能になりますように、その趣旨に沿ってぜひとも法改正に踏み切っていただきますように、御尽力を期待したいと思っております。  さて、この捜査あり方を振り返りまして、今後の教訓として、私は今警察法改正をぜひ考えてほしいということを申し上げてございますが、一般国民方々は、それにしてもなぜ強制捜査に踏み込めなかったのだろうかという疑問は強いと思っております。とりわけ去年の動きでございます。  昨年の六月には、松本サリン事件という特異な事件が発生しました。そして翌月、七月には、上九一色村で異臭事件が発生しております。そこで、付近の草木が枯れたということで、土壌を採取して警察庁が鑑識した結果、サリンの副生成物がそこで発見されました。ただし、これは二カ月もかかっております。  さらに、九月になりますと、オウム施設にどうやら薬品を搬入しているらしいという情報をキャッチしたと伝え聞いております。もし、これが地元の富士五湖消防本部に知らされまして、そして消防法に基づいて立入検査等の適切な対応がとられたら、事態はまた変わっていたのではないかという気がしてなりません。  そして、去年の夏ぐらいに、元信者の、女性信者でございますけれども、もうこの教団にはいられないということで脱出されてきた。そして、監禁罪が立件できるかどうかについても鋭意検討しておった。そうこうするうちに、警視庁による強制捜査という事態を迎えたわけでございます。  去年一年間を振り返りましてもこれだけあり、五年有余の期間があって、さまざまなところでトラブルを起こし、そして、例えば雑誌でハルマゲドンを予言するだとか、サリンという言葉が出てくるだとか、こういった事案を前にしまして、国民は、なぜ捜査当局がもっと適切に対応できなかったのだろうか、その疑問はやはり大きいと思うのですが、捜査当局の基本的な見解を聞かせていただきたいと思います。     〔委員長退席鈴木(宗)委員長代理着席
  6. 野田健

    野田(健)政府委員 今回の坂本弁護士事件あるいは松本サリン事件等一連オウム真理教による事件については、それぞれの発生県警察において大変重大なものと受けとめ、事件発生直後から捜査本部を設置するなど、所要の捜査体制のもとで必要な捜査を推進してきたところであります。  今、北橋委員指摘のように、それぞれいろいろな情報はございましたのですが、強制捜査に踏み込めるだけの確実な証拠というものが発見できなかったということでありまして、いろいろ物証を集め、乏しい物証の中から証拠化していった。そういう作業が進みまして、どうもオウム真理教施設の中でサリンを生成しているようだということがだんだんわかってきた。ちょうどそのころにいわゆる仮谷さんの事件が発生したということで、急遽強制捜査に入ったということでございます。
  7. 北橋健治

    北橋委員 被害者弁護団の方からもお話を聞いておりますけれども、とにかくまあ、見たことのないような大変しぶとい人たちだったようでございまして、そういったオウム教団相手捜査をしていくのは大変だったと思います。  これについては、捜査過程段階といいますか、裁判も行われている段階でございますので、突っ込んで聞くというのはためらいを感ずるわけでございます。もうしばらくして落ちついた時点で、徹底的にこの捜査過程を振り返りまして検証してみる必要があると思います。  ただ、指摘しておきたいことは、やはりここで警察動きと例えば地元の消防署の動き、こういうものが連結すると立入検査ということができる消防法があるわけでございまして、何らかの対応はきっとできたはずだ、そういうように思います。そういった幾つかの行政法というもので適切に対応し得た余地はあるはずだ、そのことを御指摘にとどめておきたいと思います。  ただ、これは彼ほど文部大臣にいろいろとお伺いするわけでございますが、宗教法人法改正していれば、オウム教団という特異な集団でございますが、果たしてこのような動きを察知できたであろうか。延べ数万人あるいはそれ以上かもしれませんけれども、大変な方々マンパワーと、そして日夜を分かたぬ努力によって、その証拠をつかむためにどれだけの苦労があったかを推察しますと、宗教法人法改正したからオウム教団行政として責任を持って把握するということには到底ならないだろうと思っておりますので、この点につきましては改めて質問させていただきます。  きょう、法務大臣がまた参議院の委員会がおありだということで、こちらのストーリーも崩れるわけでございますけれども理事会でその辺協議になりましたので、法務大臣がいらっしゃるときに、重要な案件でございます破防法団体規制適用という問題について改めて触れさせていただきたいと思っております。  この点につきましては、連日のようにそれぞれの立場から議論が交わされているところでございますが、その中で一つ気になることがございます。  村山総理答弁の中で、公安調査庁長官弁明手続開始を公示するまでは、一切物を言ってはいけないものではないということをおっしゃっておられます。そして、公示以降は準司法的手続となり、政治が口を挟むものではない、このようにもおっしゃっておるわけでございます。  ということは、今はまだ公示する前でございますから、当然行政の長として、答弁にあったように、何らかの形で首相意見というものが公安調査庁当局の方に伝えられているのではないか、こう思うわけでございます。  この首相破防法適用に対する答弁は、私どもから見るといろいろと紆余曲折があった、ぶれたというように思うわけでございますが、国会答弁では首尾一貫しているというお話でございます。  そこで、首相からどのような指示がこの問題についてあったのかそれはいつごろ、どのような形で、どういう内容であったのかをお聞かせ願いたいと思います。
  8. 河内悠紀

    河内政府委員 お答えいたします。  破防法適用につきましては、あくまでも法と証拠に基づいて判断すべきものであり、また、この問題は国民基本的人権に重大なかかわりを有することから、その法的判断を誤ることのないように、厳正かつ慎重に対処するよう指示されております。
  9. 北橋健治

    北橋委員 厳正かつ慎重に、何となくわかるようでよくわからないのですが、公安調査庁は、そのお話を聞いて、それをどのように解釈されたでしょうか。
  10. 河内悠紀

    河内政府委員 破防法適用につきましては、国民基本的人権に関することでございますので、当然の御指示だと思いました。
  11. 北橋健治

    北橋委員 私もテレビ報道でしかちょっとつかんでいないので正確さを欠くかもしれませんが、過日の社会党中央執行委員会においてこの問題が随分議論されたように伝えられました。私もその中にいたわけではありませんし、正確なコメントを聞く立場にないものですから、そのテレビ報道を聞く限りにおいて、NHKだったと思いますけれども、随分とまず議論が闘わされた、これは事実だろうと思います。二番目に、そのテレビはたしか反対という言葉を使っていたような気がしますが、これはやはり正確さを期すために、破防法適用については慎重な議論が続出した、こういうふうな報道がされたと記憶をいたしております。  実は、私のブレーンの中にも、この問題については基本的人権にかかわるということで、新進党首脳破防法適用について踏み込んだ発言をしたときには随分問い合わせがあったものでございます。私も、学生時代以来、この問題については慎重の上にも慎重を期すべき重要な問題があることは承知をいたしております。  しかしながら、事ここに及びますと、法務大臣答弁によりますと、最終的な詰め段階に入ってきたかのような答弁をされておられます。ですから、あえてお聞きするわけでございますが、確かに総理のおひざ元の御意見だけに振り回される方ではない、そういう方ではないと思いますけれども、やはり社会党の中で随分と慎重な意見があった。  そういうものを踏まえて考えていきますと、総理から慎重にという表現があれば、私どもは普通慎重にという表現を使うときには、ブレーキを踏むかあるいはエンジンブレーキをかけるか、余り前向きな形での作業指示したとは少し聞き取れないわけでございますが、法務大臣、どのように受けとめればよろしいのでしょうか。
  12. 宮澤弘

    宮澤国務大臣 破防法は、申し上げるまでもなく、公共の安全を確保することを目的にしておりますが、ただいまもお話がございましたように、事基本的人権に関する問題でもございますので、法と証拠に基づいて、厳正かつ慎重に判断をすべきものだというのが私どもの基本的な態度でございます。  総理が慎重にと言っておられますのも、文字どおり、私ども考えておりますように、基本的人権にも関係のある問題でございますので、法の適用を誤らないようにやっていけよ、こういう御指示だというふうに考えております。
  13. 北橋健治

    北橋委員 それでは、内部作業中の問題についてお答えになるのは難しいかもしれませんが、果たしてこのオウム真理教教団について団体規制適用は是か非かという問題にちょっと踏み込んで議論させていただきたいと思います。  これには少なくとも二つ要件がある。一つ政治目的というものに相当するか、次に再犯のおそれがあるかという二つ要件が重要であります。  私もこの案件をずっと追ってまいりまして、まず政治目的でありますけれども松本サリン事件、これは裁判官をねらったと言われている事件ですが、あるいは警察庁長官を襲撃する事件が起こりました。これを見ますと、明らかに司法警察への破壊テロ活動だとみなされるのではないか。次に、サリンや武器を製造していた、独自の政府組織など、国家秩序破壊、否定につながる動きが顕著ではなかったか。この二つからいたしまして、政治目的という要件は満たすのではないかと私は思います。  続いて再犯のおそれがあるかという要件、これについても、法務省内部におきまして随分と議論がされたと思いますけれども教祖麻原は改悛をしたとは聞いておりません。麻原を絶対的信仰の対象にしている盲目的信者は多数いると言われておるわけでありまして、今後、裁判の展開によっては、教祖を取り返すために何らかの犯罪的な行為を行う可能性というのはやはり否定できないと思うのであります。  それから、指名手配犯が逃亡中であります。その中には、爆弾娘ガス男と言われる男もいます。そして、数百人の信者がいまだ集団を形成したままであります。これについては、若干最近動きがありまして、信者の方の家に新しい建物を建てて、そこに移ろうという動きも出てきました。資産隠し動きと相まって、いろいろな見えない動きが始まっております。しかしながら、やはり、カルトといいますか集団を形成したまま行動していることは間違いないと思うのであります。  以上、二つ要件は満たすのではないか。  しかし、問題はここからであります。基本的人権という問題に照らして、果たしてこの問題をクリアできるかどうかであります。実は、私どもも、アメリカのRICO法だとかヨーロッパの制度を調査をしてみました。しかし、新しい法律をもって適用するとなると、被告に不利益になることでございますから、遡及はできない。そしてまた、いろいろと難しい問題はあるにせよ、これだけの日本列島を震憾させた凶悪なテロ集団であります、今後とも何をするかわからないという不安もあるわけです。そういったものに対して、結局は、現時点で国家は沈黙するか、あるいは、いろいろと難しい問題はあるけれども破防法適用に踏み切るしかないと思うのであります。  私は、やはり破防法適用は避けられないのではないか、そのように思うのですが、法務大臣見解を求めたいと思います。
  14. 宮澤弘

    宮澤国務大臣 特定の案件につきまして破防法適用することができるかできないか、すべきであるかないかということにつきましては、かねて申し上げておりますように、四つの要件がある。一つ団体の存在であり、二番目には団体としての活動があり、そして三番目には暴力主義的な破壊活動を行ったということであり、四番目には、先ほどもお話がございましたように、今後、反復継続して行われる危険性があるかないかということでございます。  そして、それに当たるのではないかという御質問でございましたけれども、ただいま公安調査庁中心に、法と証拠に基づいて、その適用可否適否について検討をいたしておる段階でございます。調査をいたしました事項について、破防法適用妥当性可否適否というものを検討いたしておる段階でございますので、当たるか当たらないかということを御答弁を申し上げることは御遠慮を申し上げたいと思います。  なお、先ほど漏れましたけれども、現在、公安調査庁においては、なお幾つかの検討すべき問題を残しておりますが、詰め段階に入っているところでございます。
  15. 北橋健治

    北橋委員 この問題については、自民党の政調会長がこのように言っておられます。この破防法適用問題では、解散命令が出た後、再発危険性があるのか十分点検し、適用することもあるのではないか、このように報道で伝えられております。  これは、与党首脳言葉でございますから、これに伴ってどうのこうのという気持ちはございません。ただ、総理答弁でも、きのうの時点におきまして、やはり宗教法人法による解散を先行させる、その後で、任意団体として残った団体がどのような活動をするのかを見きわめる、こういうことをおっしゃっておられるわけであります。  そこで、それでは宗教法人法による解散になった後、そのときまで待たなければならないということになるわけでありますが、今現に、新たな動きがこの教団には続いているのではないか。  十一月七日のあるテレビ報道によりますと、よく調べたものだと思いますけれども、高崎の話でございますが、中学校三年生の少女に十五時間も建物の中で入信を勧誘していたというのですね。そして、出てきたところを職務質問した警官に対して暴行を加えた、こんな事件がつい最近起こったわけであります。それからもう一つ信者の所有している土地に新しい建物を新築する動きがある。これはオウム教の信者の方であります。テレビは、その設計事務所を調べまして、都内の設計事務所へ行ったところ、幽霊会社なのですね。  私は、このテレビ報道を見て思ったのですけれども、最近、裁判を通じまして、自分は改悛した、麻原は死刑にしてやってくれと言う元信者もいらっしゃる。ということで、世の中は、事態は収束に向かっているという動きが、結構裁判報道を通じて出てくるわけであります。しかしながら、このテレビ会社がこれを放映したというのは、相当状況判断してプロデューサーが決断していると思うのですけれども、やはり何をするかわからない、形を変えて生き残ろうとしているのではないかという不安もあるわけです。  こういった事実関係について、当局はどのように把握されているでしょうか。
  16. 河内悠紀

    河内政府委員 今の御質問に関しましては、具体的な調査の内容に関することでございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  17. 北橋健治

    北橋委員 つい最近の報道でございますから、それを調べるというのは大変だということはわかります。だから、職務怠慢だとかそういう気持ちはないのですけれども、世論は、やはり何をするかわからないという漠然とした不安というのがまた一方高まってきているのではないでしょうか。  この後、私はオウム教団の財産の保全の問題を取り上げるのですが、そこでお伺いしようとしているのですけれども報道によりますと、もう既に全国三十カ所ぐらいの不動産を、評価額で二十億円という数字も報道されておりますけれども、関連会社の所有に名義を変更する、あるいは個人の信者に名義を変更するなんという例がある、そういうふうに報道されていることもあるのですね。あるいは、推定百億円の現金を資産として持っているのではないか、そのうち何と四十億円がアメリカ、台湾等に移転しているのではないかこのように報道する向きもある。この真偽の関係は私どもは調べられないわけでありますが、いずれにしましても、何か資産隠しをやって、また教祖の帰ってくるのを待つといいますか、場合によってはそんなことの不安というのも出てくるのではないか。  そういった意味においては、宗教法人法による解散が確定した後に作業に入るというふうに首相はきのうまで答弁で言っているわけなのですが、そのときに団体がどのように活動するかというのは、今から見ておかなければだめなのではないでしょうか。そういった意味におきまして、きちんと、この団体が今どうなっているのかということをしっかりと追いかけていく、注視をしておく努力というものがやはり求められていると思うのですが、いかがでしょうか。     〔鈴木(宗)委員長代理退席、委員長着席〕
  18. 宮澤弘

    宮澤国務大臣 私どもは、法と証拠に基づいて判断をするということを再三申し上げております。その証拠の中には、行われたことと同時に、現に行われていることということも頭の中に入れなければならないと思っております。
  19. 北橋健治

    北橋委員 宗教法人法による解散が確定してからのお話というふうに、いつの間にか政府の方はそういう答弁になってきたわけでありますけれども、我々としては、当委員会が開かれていろいろ議論をするという端緒は、あの凶悪なテロリスト集団事件が発端になっているわけであります。それからいたしまして、やはり国民の大いなる不安というもの、これを根絶する、二度と再発がないように万全の措置を講ずるということが一番大事ではないか。  残念ながら、政府与党は、それを宗教法人法改正という形でお出しになったわけでありますけれども、私どもは、先ほど警察法改正を申し上げました。行政関係の法令の適切な処理で随分と効果はあるのではないか。そしてまた、破防法につきましても、基本的人権にかかわる重要な問題があるにせよ、やはりオウムに対して国民の世論にこたえて、国民の世論というのは総理が好んでお使いになる言葉であります。まさに国民世論はその根絶を求めているわけでありますから、私は、いろいろと難しい問題があるにせよ、残念ながら伝家の宝刀を抜かざるを得ない、それを抜かないまま国家が沈黙することは、決して国民は容認しないだろうと思うのです。  その点についての所見を求めましても、お答えはいたしかねるということだと思いますが、一点だけ確認させてください。  私は、社会党の中執の中で慎重意見が相次いだという議論を批判するつもりは毛頭ございません。それも有力な意見であります。そしてそのときに、それにかわる新しい立法を検討するといったときに、新進党員負けちゃおれない、勉強しようと思ったものであります。しかし、新しい立法では、さかのぼることはできないのであります。そういった意味で、社会党さんの議論総理の考え方を左右するとは私は断定はしませんけれども、公示するまでの間に首相意見を述べるということをはっきりとおっしゃっているわけでありますから、そのお考えはお考えとして、やはり国民世論というものを、それをしっかりと踏まえて対応していただきたいと思うのであります。  大臣の最後の御答弁をいただいておきたいと思います。
  20. 宮澤弘

    宮澤国務大臣 総理は、破防法所定の団体規制の請求が一つ行政処分であるという以上は、その適用に当たって、総理にも行政の長としてのそれなりの責任がある、こういうお考えであろうと私ども受け取っております。その際に、私どもは無論、法と証拠に基づいて判断をいたしますが、また総理のそれなりの責任があるというようなお考えでもございますので、総理の御理解も得まして結論を出さなければならないと思っております。
  21. 北橋健治

    北橋委員 適切な措置を講ぜられるように強く求めておきたいと思います。  大臣、法務委員会があるということですから、御退出いただいて結構でございます。  さて、先ほど私は一番最初に申し上げました。当委員会における政府与党と私ども新進の立場は大きく隔たりがあります。しかしながら、その中にあって国民世論は、確かにオウム事件を端緒にいたしましてまず緊急にやるべきことがあるだろう、それに対してなぜ国会は真剣に取り組んでくれないのかという不満は結構広がっているように思うのです。  といいますのは、新進党オウム事件再発防止プロジェクトで山梨県に参りました。上九一色村に行きました。そのときいろんな陳情があったんですけれども、いろんな法改正議論をするのも結構だけれども、とにかく土地を仮差し押さえするために随分と苦労したんだと。亡くなった方とか負傷された方々被害者弁護団人たちも、とにかくお会いいたしますと、中には政府法改正に理解できるという人もいるんですよ、その方ですら、私は政府法改正に理解はするけれども、それよりもやることが先にあるはずだと。それはやはり、この宗教法人に対して解散命令が出ていこうとしているわけですが、オウム教団の財産について緊急に保全をする、そして被害者を救済するための立法が必要ではないかということでありました。  そこで、まず政府にお伺いしたいのでございますけれども、先ほど私が触れましたように、いろんな報道で、オウム教団は今資産隠し動きが顕在化してきたのではないかと言われているわけでありますけれども、一体どの程度この教団は資産を持っているんでしょうか。不動産、金融資産、わかりましたらお教えをいただきたい。そしてまた、資産隠し動きに対して、政府としてはこれをどのような基本姿勢で見守っているんでしょうか、状況を把握されているんでしょうか、お伺いいたします。
  22. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 オウム真理教は東京都の所管でございまして、私どもとしては、それについて詳しい資料は持っていないわけでございます。  それから、所轄庁は現行法で認証後の活動状況を把握できる仕組みになっていないという点もございまして、東京都の方も余り把握ができていないわけでございますけれども、御指摘のような財産の移転といいますか、解散命令が効力を発する以前に何とか財産を隠そうという動きが一部あるということは、私ども、ある程度承知をいたしております。  この点につきましては、東京地裁で先般解散命令の決定が出されたわけでございますけれども教団側は即時抗告を行っておるということで、これから東京高裁で審理が進むわけでございますけれども、私どもといたしましては、できるだけ早く東京高裁で解散命令を出していただいて、そして裁判所の選任した清算人によりきちんとした清算手続が速やかに進められるということを期待しておるわけでございます。  なお、私どもといたしましても、各都道府県知事、所轄庁等に対しまして、休眠法人を売買するような動きでございますとか少しおかしな動きがあればぜひにらんでいて、何かあればぜひ報告をしてほしい、それから不当な形で財産移転が行われないようにそれぞれの立場で見張っていこうということは、今やっておるわけでございます。  なお、オウム真理教につきましては、責任役員が設立時のままでございますとすれば、多くの人が身柄を拘束されております。したがって、財産移転等が正規の宗教法人の手続で行われているかどうかということについても問題があるわけでございます。これらにつきましては、いずれ解散命令が確定した時点で清算人等にもそのようなことを申し上げて、きちっとした形で、財産がおかしな方にならないように私どもとしてはできるだけの努力をしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  23. 杉田和博

    ○杉田政府委員 お答えをいたします。  オウム真理教が所有をいたしております不動産等の資産については、そのほとんどを把握をいたしております。  ちなみに不動産で申し上げれば、実勢価格等で大体三十億程度、それからこれまでの捜査等の結果からしまして、オウム真理教に対してお布施等でささげられたもの、こういうものが百数十億であるというふうに把握をいたしております。  また、オウム真理教の財産隠しでありますけれども、御指摘のとおり最近、富士山総本部の建物、土地、さらにまたその他の教団所有の不動産、こういうものを信者の個人名義、さらにまた別の会社の名義に変更しておるという、一見資産隠しと思われるような動きが見られます。こういうことについても私どもの方で承知をいたしております。したがいまして、名義変更の過程で違法行為があれば、これに対しては厳正に対処してまいる、かように考えております。
  24. 北橋健治

    北橋委員 ある報道によりますと、九月の末ごろの話なんですが、在家信者に戻るように教団の幹部が指示をしたという話が載っておりました。それは、そのときには着のみ着のままではなくて、教団の資産を持って在家信者に戻るように指示をしたという報道があるわけです。私どもはその報道の真偽を確かめるすべは持っておりませんが、いろんな形でこの資産隠しが行われている可能性があります。  そこで、これは社会党の佐々木委員の方からも適切な御質問があったわけでございまして、これについては真っ先にやってはどうかと思うわけであります。この点について文部大臣のお答えは、私のメモによりますと、今回の改正は、つまりこの宗教法人法改正ですが、今回の改正はとりあえずすぐやらねばならない点に絞った、そして、委員の御指摘は当然だと思う、審議会その他の意見を聞いていきたい、こういう趣旨の答弁をされたと私のメモには残っております。そのとおり理解してよろしいのでしょうか。
  25. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 財産保全処分の問題についてということでよろしゅうございますか。  この問題は、宗教法人法解散命令制度と密接にかかわる問題でございます。したがいまして、宗教法人審議会において、解散命令制度のあり方検討すべき項目の一つとして挙げられてはおります。しかしながら、問題が複雑であり、検討にかなりの時間が必要なことから、とりあえず優先的に審議すべき項目としては挙げられておらず、今回の審議会の報告では触れられておらない、こういうことでございます。したがいまして、この問題は、今後開催される宗教法人審議会におきまして慎重に検討されることになろうかと思います。  なお、財産保全処分の問題は、解散や取り消しについての制度は異なるものの、他の公益法人においても特別の規定がなく、他の公益法人との均衡の観点からも慎重な検討が必要であると考えておるところであります。  なお、オウム真理教事件に関しては、財産隠匿などの不正が行われないよう情報把握に努め、違法行為の疑いのある場合には関係機関と連携し、厳正かつ適切に対処するよう各都道府県知事あてに通達しているところであります。
  26. 北橋健治

    北橋委員 私は、財産保全措置を至急講ずるべきだという与党の御質問の趣旨には全く賛成です。そしてそればかりではなくて、新進党はそのために具体的に立法措置を講ぜよということで最終的な詰め段階に入っております。  そこで、大臣の御答弁を聞いておりまして、私どもと基本的に大きく隔たる点があるということを感じました。それはどちらが優先すべき課題かということであります。  今回の法改正によると、一体この宗教法人法改正、いっ成立するのかわかりませんけれども法律が通ってから公布されて施行するのは一年以内ということであります。今すぐという話ではないと思うのであります。ところが、この財産保全の問題というのはオウム被害者弁護団方々も強く言われております。何で宗教法人法改正を先に議論するのか、今現に資産隠しが行われていて、これから被害者のその権利を守るためにどれだけ闘わねばならないか、国会真っ先にやるべきことはこの財産保全にかかわる立法措置ではないのかそのことをぜひやってほしいという強い要請がありました。  私ども、それは当然だと思うのであります。どちらが緊急なのか。当委員会が開かれたのは、オウム事件に端を発して開かれた委員会であります。そして私どもは大いに応酬してきたわけでありますけれども、とにかくその被害者になられた方々のために手を差し伸べるのは当院における最優先の議題だと思うのであります。  その意味で、私は、文部大臣答弁を聞いておりまして、とりあえずすぐやらねばならない点に絞ったということでこの法案を出されたわけだけれども国民は果たしてそれをそのとおりと思うでしょうか。新進党が言っているように、やはり今一番緊急に手を差し伸べねばならない方々のために国会が、新進党の言うような新規立法であるかどうかはどうなるかわかりませんけれども、それに対して正面から真剣に取り組むという姿勢が国民世論にこたえる道ではないのでしょうか。基本的な姿勢について再度お伺いいたします。
  27. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 先生いみじくも先ほど御指摘があったように、まさに法律には不遡及の原則がございます。したがいまして、今から緊急に立法事してこれに間に合わせることが可能であれば私たちはそれに対応しなきゃいけないわけでありますけれども、今回の問題に関して早急にこれに対応しようとしても、現実に起きている事件そのものがあるわけでありますから、その点では今回は審議の後になった、こういうことでございます。
  28. 北橋健治

    北橋委員 総理は、この宗教法人法改正をめぐる議論の中でしばしば、国民世論にこたえていきたいということを言われております。私ども、基本的な姿勢は同じであります。今の大臣答弁に私は納得できないのですけれども、実際この問題のために被害を受けられている方々がどれだけの苦労をしているかということを政府はどの程度認識されているのでしょうか。  例えば上九一色村の住民約五百人、オウム真理教に対して一人当たり三十万円の損害賠償請求権、つまり慰謝料を被保全債権としてオウム真理教並びに関連会社名義の上九一色村の土地すべてを仮差し押さえした、その際の保証金は一千万円、村の人々には過重な負担であります。  あるいは、松本サリン事件被害者、熊本県波野村がオウム真理教名義の口座に振り込まれた七千万円の和解金を仮差し押さえしました。この申請手続の際に困った問題がありました。それは、松本サリン事件オウム真理教の犯行であることを疎明する資料に関して東京地裁の納得がなかなか得られなかったということであります。つまり、刑事事件を確定するまでは無罪推定の原則があるために、マスコミ報道だけでは疎明資料にならないわけであります。このように、一般的な保全処分手続では保証金、疎明資料の点で非常に困難な面があります。  私どもは、今本当に緊急に困っている人たち、この人たちのためにやはり新規立法を講ずる、新進党はそのことを強く求めていきたいと思うのでありますが、再度、御答弁を修正される気持ちはないでしょうか。
  29. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 先ほど大臣からも御答弁申し上げたところでございますが、若干補足させていただきますと、オウム真理教につきましては、十月三十日に東京地裁が解散命令の決定を出していただいております。これに対しては即時抗告がなされているわけでございますけれども、私どもとしては、速やかに高裁の判決を下していただきまして、可及的速やかに清算人の手続のもとできちんとした清算手続が行われることを期待しておるわけでございます。  保全の問題については、先生の御指摘をいただいているわけでございますけれども解散命令請求の進捗状況といったものを勘案いたしますと、時間的にも非常に難しいものがございました。とにかく早く清算手続に入って、そして財産をきちんとする、そして地元方々の不安を一日も早く取り除くということを急ぐことが今緊急に求められているというふうに考えているところでございます。
  30. 北橋健治

    北橋委員 山梨県やあるいは各地で被害に遭われた方々の御意見というものをもう一度政府は聞いてほしいと思います。そうすれば、新進党の主張しておりますように、この財産保全にかかわる新規の立法措置、特別措置というものがまず第一優先で考えねばならないという事の重大性に気づかれるはずであります。  この点につきましては、私どもの期待する回答は今得られないようであります。せっかく与党の中から、良識ある見地からこの問題についての議論がありました。そしてまた、ある通信社によりますと、きのうの閣僚懇におきましても、この問題について厚生大臣が強く何とかならないのかという議論があった、そのように聞いております。これは非公式の話し合いでしょうから、それをもってどうのという気持ちはありませんが、ぜひとも政府として、新進党が言っておりますように、やはり困った人たちに手を差し伸べる、それも大きな国民世論だという認識に立って議論を続けていただきたいと思っております。  きょう私が一番議論をしたかった点は、時間が少なくなってまいりましたけれども、次に移らせていただきます。今回の宗教法人法改正の進め方、これは拙速ではないかという議論であります。  その前に、どうしても大臣の御所見を承っておきたいことがあります。それは、果たして今回の宗教法人法改正オウム再発防止対策としてどれだけ有効かという議論をさせていただきたい、こう思っているわけであります。  これについては、政府与党のいろいろな方々お話を聞いておりますと実に微妙に違うわけであります。例えば、自民党の加藤幹事長、十月三十日の記者会見、オウム事件のような「類似のケースが起きないように改正しなければならないという気持ちがますます強くなっている」、つまり、この法改正をやればオウム事件のような再発は防止できるのだという趣旨のことを恐らく言っておられると思います。自民党の山崎政調会長、これは読売新聞で十月十日、座談会の中で各党の懇談の中で言われていることなんですが、「法改正は、オウム問題が起こって、現行法で適正な対応ができなかったという反省に立ったもの」だ、「再発防止が重点で、それだけといっても過言でない。」これなんか、山崎先生のお言葉というのは基本的にもうほとんどイコールみたいな感じであります。  これに対しまして、文化庁のきのうの答弁は、従前よりも適切に対処し得るのではないかというお話もございました。そして、一貫して村山首相が言っているのは、現行法では所轄庁が責任を持って宗教法人の実態をなかなか把握できない、それでは行政が法の適正な運用に責任を持てないのだ、これが総理の一貫した御答弁でございます。政府与党の中にはこの問題について相当の落差があると私は思います。  そこでお伺いをしたいのであります。  具体的に文部大臣は、今回の法改正によって、これは鳩山委員も質問したことでございますが、十年前にこの法改正が実現していたらオウムは未然に防止できたかという質問でありました。これに対して、改正では二度と事件を起こさないとは言えないが、活動内容や実態がある程度把握でき、異臭事件などがあれば今までと違った対応ができるというのが十一月六日の文部大臣答弁でございます。具体的に異臭事件という名前を出しておられますけれども、どんな問題でも結構でございます、オウムを未然に防止できたという説得力のあるお話を聞かせてください。
  31. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 今回の改正は、再三申し上げるように、オウム真理教事件一つのきっかけになったことは事実でございますが、これはまさに、宗教法人法制定以来の社会の変化やあるいは宗教法人の実態が大きく変化した、こういうことに対応して、現行法では必ずしも適合しないということから改正をしよう、そういう意味のいわば最小限の改正を行おうとするものであります。  しかしながら、宗教法人法宗教法人の規制あるいは取り締まりのための法律ではございません。したがいまして、オウム真理教事件再発宗教法人法改正のみで防ぐということは現実に困難と言えます。  ただし、現行は認証すればもうそれまで、後は備えつけ書類等の閲覧権も持たないという現実があるわけでありますから、そういう意味で、今回提出した改正がなされれば、宗教法人の管理運営の民主性や透明性が高まりますし、また所轄庁も宗教法人の実態をある程度把握できるようになるわけでありますから、宗教法人の不適切な運営の防止に資することは期待できる、こう考えます。  また、所轄庁としては、所要の手続を経た上で、宗教法人から報告を求め、質問することも可能となるので、このときに私はたしか異臭事件と言った覚えがあるのですけれども、万が一そういうような御批判があるような場合には、今度は宗教法人審議会にお諮りして、報告徴収をしたりあるいは質問をすることができる、こういうことで従前とは違った対応ができる、こう申し上げたわけであります。
  32. 北橋健治

    北橋委員 どういう絡みでこの異臭事件を例に挙げて再発防止のために有効だとおっしゃったのか、ちょっと私も考えておったのですけれども、要するに質問権を行使するということですね。  では具体的に、宗教法人審議会の意見を聞いて、これは、異臭事件というのは東京・江東区でもありましたし、あるいは上九一色村でも、サリンの副生成物でここでも異臭事件が起こっているのですが、これはどちらの方でしょうか、両方ですか。
  33. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 今お話があった亀戸は私の住んでいる隣の町でございますから、亀戸ももちろんですが、私がたまたま頭に浮かびましたのは、まさに上九一色村でございます。
  34. 北橋健治

    北橋委員 いずれにしましても、何とも言えない異臭がする騒ぎがあった、住民も非常に心配をしているということで、何を聞くのですか。これは審議会の意見を聞いて質問項目を決めることになっているのですけれども、異臭が発生したけれども、それはおたくと何か関係があるのですかとか、それは何の原因ですかと聞くのでしょうか。  オウム団体というのは、これまで建築基準法の違反あるいは消防法の違反、これには立入検査という規定があるわけです。ところが、ここは行政法令の限界がございまして、相手がうんと言わなければ、同意しなければ踏み込めない。そのためにどれだけ関係者は悔しい思いをしたか。そしてまた、ある程度もっと前に、事前に察知できなかったのかと、みんながじだんだ踏んで悔しがっているところなのです。  オウムという団体は同意をすると思いますか。質問権を行使するときには相手の同意が要る。今までのオウム教団があれだけ、異臭事件ところかいろんな難しい問題があって、関係当局が行こうと思っても同意をしなかった。それがためにどうしても入れなかった。この経験にかんがみると、私は、この質問権を行使してもオウム教団に迫るということは難しいのじゃないかと思うのですけれども、どうでしょう。
  35. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 例えば、上九一色村のあの施設そのものも建築基準法に違反しているとかいろいろなものが指摘されておりますが、そういう事々についても、これからは一応活動の報告等が得られるわけでありますから、その点でも我々は検討ができますし、また、異臭事件が起きた、今になって地域の方々からその御批判が出ますけれども、そういう場合にも、これからは私たちはそのことについて報告を求めたり質問をすることができるということですから、従前とはかなり変わった対応ができるようになると思います。
  36. 北橋健治

    北橋委員 宗教法人法の体系というのは、所轄庁が質問をできるというのは要件を絞っておるわけです。相手の同意もありますけれどもね。これは七十九条のところに書いてあるわけでありますけれども、収益事業により得た収入を当該宗教法人等のために使用していないこととか、あるいは「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。」こういう要件があるのです。これに照らして、臭いにおいがした、異臭がした、どうやってこれを、質問権を行使するのでしょうか。
  37. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 オウム事件は、いろいろな法律の制約がある中で、警察がよくああいうふうに突きとめていただいたということを私は感謝している人間の一人でありますけれども、それはそれとして、やはり地域の方々から、今申されるように、どうも通常の宗教法人とは異なる活動があるということはいろいろ御指摘があったようでございます。こういう事々についても、これからは我々はこれに対して質問をしてその内容を把握することができるようになるだろう、こう思います。
  38. 北橋健治

    北橋委員 私は、別に大臣答弁の揚げ足をとろうと思って言っているのじゃないのです。これは、私どもオウム事件再発を防止するために法改正を出したと自民党の幹部は言っているじゃないですか。そして、それに反対する新進党には何か後ろめたい意図があるのじゃないかという誹講中傷のビラまでいっぱい書かれている。ところが、その中で具体的に大臣がおっしゃったのは、異臭事件という言葉一言だったのです。  だから、ほかでもいいですよ。ほかのこういう事案のときに、この法律ができればきちんと宗務課が調査をしてこれだけの実績があるはずだと、それを示していただけるならば結構です。少なくとも異臭事件については、この法律体系によっては何ら踏み込んで調査をすることは難しい。いや、不可能だ。だとするならば、あなたはほかに、異臭事件のほかに。オウム事件を未然に防止すると説得力のある議論のできる項目はあるでしょうか。出していただきたい。
  39. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 今回提出した改正の法案がお認めいただければ、管理運営の民主性、透明性が確保できるようになってまいりますし、また、宗教法人活動から外れたものであるかどうか、こういうこともこれからは検討ができるわけでありますから、それに該当しないという場合には、先ほど先生御指摘になったように、例えば一年後であれば解散命令請求の対象になってくるだろうと思います。
  40. 北橋健治

    北橋委員 あと一時間ぐらい時間があればもっとこの問題は議論したいのですが、結構です、時間がございません。  それで、文部大臣、やはりこれは重要な問題だと思うのです。ですから、きちっと反論していかなければ、自民党さんたちがいろいろなところでおっしゃっておられること、この法律というのはオウム事件再発防止のために必要なんだ、これに反対するのは何かオウムに対して云々という、こんなばかげた誹講中傷は絶対できないはずだ。だからこそ私は反論してほしいと言っているのです。これは同僚委員の質問のときにもう一遍答えてほしい。  最後に、私は、どうしてもこれだけはあなたに申し上げておきたいことがあるのです。
  41. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 党側の方のいろいろ御発言をとらえての御質問ですけれども、これはやっぱり政治家それぞれ考え方があるところでございますので、私は今まで同じことをずっと御答弁申し上げてきたつもりであります。  なお、細かい点につきましては、政府委員から御説明させます。
  42. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 この解散命令請求の第八十一条につきましても、報告徴収と質問権が認められているわけでございまして、例えば宗教活動に全く関係ない薬品を大量に購入している場合でございますと、この薬品は何のために購入したのか、この財源はどうなっているのか、あるいは脱退した信者を拉致しているというようなことがある程度わかれば、八十一条一項一号の「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」ということでございますから、こういったことについて報告を求めたり、あるいは質問をしたりということはできるわけでございます。
  43. 北橋健治

    北橋委員 私の持ち時間は残念ながらあともう二、三分しかないのですが、実はこの問題は、やはり公党に対する各地ではらまかれている誹謗中傷、あるいはテレビという公器を通じたところで全く根拠のないことを、根も葉もないことを言っている。まさに宗教団体の代理戦争をあおるかのごとき、宗教を政争の具にするかのごとくいろんなことに使われているものですから、私どもとしては今の御答弁では納得ができません。恐らく同僚委員の方からさらに突っ込んでいただけると思います。  私は、最後に、自分もキリスト教社会主義の片山哲先生や河上丈太郎先生を尊敬する一人といたしまして、今回の宗教法人審議会が終わった後に七人の委員が撤回要求をした、やり直しをしろと言った。そして、その法改正が出された後に多くの団体人たちがどう思っているか。いろんなビラを見ると、新進党が特定の宗教団体として反対しているかのような宣伝をされていますけれども、冗談じゃない。  いろいろと読んでみると、日本基督教団「義務ではなく、」つまり法律による義務化ではなく、「法人の主体的な意思により透明度を高めるべきだ」。日本バプテスト連盟「質問権や報告義務が信教の自由に悪影響を及ぼすことが予想される」。日本ホーリネス教団「所轄庁の移管は、国の一括統制を容易にする危険をはらむ」。天理教「質問権は将来的に国家権力の介入につながるおそれがある」。善隣教「現行法であってこそ、法人の独自性、布教活動が自由に行われ得る」。ほかにもたくさんあるのですが、仏教関係でも、高野山真言宗、浄土真宗本願寺派、臨済宗妙心寺派、その代表の方々は真善美にかけて一生懸命敬けんな信仰生活を送っている人たちであります。そのほとんど多くの方々、我々の調査では九割の宗教法人方々が、これは質問権、いずれは調査権になり、そしてひいてはそれが信教の自由を侵すのではないか、戦前たどった道にまず第一歩を開くのではないかということで強く反対しているわけであります。  この点につきまして、ぜひとももう一度多くの方の意見を聞いていただきまして1総理は何度も言われました。文部大臣も、国民世論が大事だ、国民世論にこたえる、そのとおりであります。しかしこの方々の中には、この背後には一千万があるいはそれ以上の方々の敬けんな信者の方もいらっしゃるのです。それも重要な世論ではないでしょうか。その意味で私は、強行でこの問題を採決するということは国会史上例のない汚点を残すことになるんではないか。あなたも本会議答弁の中で最初に言っています。この問題については、個人の信教、政教分離にかかわることだけに、大事に扱いたい趣旨のことを連綿と述べられたではありませんか。その意味で、もう一度、こういった宗教法人、あるいは審議のやり直しを求めていると人の委員について謙虚にもう一度お耳を傾けていただきまして、国民の納得するような形で、静かに、冷静に、そして私どもとの間に与野党協議機関で結論を出していただきますように最後にお願い申し上げまして、時間が参りましたので、私質問を終わります。
  44. 越智伊平

    越智委員長 次に、七条明君。
  45. 七条明

    ○七条委員 私からも質問をさせていただきたいと思いますけれども、連日、大臣御苦労さまでございます。  今回の宗教法人法改正問題、この法律ができましたのが昭和二十六年からですから、もうかれこれ四十二、四年たっております。しかしながら、その中でそろそろ改正をしておかなければならないぞと、時期的にやっておかなきゃならないぞということで改正をされるのでありますけれどもオウム事件をきっかけにして、またその法律をますます改正をしなければならないということが出てきたことだけは間違いがないと思います。  今回の法律改正に当たっては、現行法の理念や考え方についてはいささかも変更することがあってはならないわけでありますし、その線に沿っておるということだけは私も理解をいたしております。しかし一部には、その改正案に反対をする意見の中で、反対の理由は、今回の改正案が宗教活動に対する国家権力の介入を強める、信教の自由を侵害するのではないかというようなことであります。しかしながら、この改正法案を詳しく読めば読むほど決してそうではない、その意味での反対の意見がよくわからないというふうな感じがいたしてなりません。  その観点に立ちまして、宗教法人法の解散の問題についてある程度的を絞ってお伺いをしてみたいわけであります。  まず、私が一番疑問に思いますのは、宗教法人が宗教団体として実体を欠いている場合あるいはその運営に著しく問題がある場合に、認証した所轄庁としてそれを放置しておくわけにはいかないということがもし出てきた場合、そう仮定させていただいてお聞きをいたしますけれども、そういう場合には放置しておくわけにはいきませんから、いわゆる法の中での七十九条、八十条、八十一条の収益事業等の停止命令や認証の取り消しや解散命令の請求など、現行法のもとで所轄庁はどのような手続で今まで責任や責務を遂行してきたんでしょうか。
  46. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 法七十九条から八十一条までの処分についての手続でございますけれども、これまで宗教法人に対しまして所轄庁が法七十九条に基づきまして収益事業の停止を命じた事例、それから八十条で一年以内の認証の取り消し、これにつきましては具体的な事例としてはないわけでございます。  なお、解散命令請求につきましては、都道府県知事所管の法人でございますけれども、いわゆる休眠法人等に対して、特に近年、休眠法人を積極的になくしていこうということで、これにつきましては、平成五年度で知事所管で十七法人、それから平成六年度で知事所管法人ですが、二十八法人に対して解散命令請求等を行っているわけでございます。  これは、現行法におきましては、所轄庁はこういった処分を行うに当たりまして具体的な実情を把握する手段がないわけでございます。オウムの事例につきましては、この委員会でもいろいろ御審議があったわけでございますけれども、これも、基本的には検察官等の資料をもとにして東京都知事が請求したということがあるわけでございます。  そういった意味で、現行法におきましては、これらの具体的な命令等を出す場合におきまして事実を確認する手段が余りないということが現状として挙げられるわけでございます。
  47. 七条明

    ○七条委員 今、現状としては確認する方法が今までない、休眠法人とかいうものについては解散命令を出したことがあっても、現状としてはなかなか出せないというようなお話でありました。確かに、現行法を読んでおりまして、そうかもしれないなと思う、ざる法だ生言わざるを得ないような部分もあるわけであります。  オウム真理教事件の発生後、解散命令の請求が出されるまでの間の時間が非常にかかり過ぎだよ、そういう意味の要求や要望が私たちにあったりすることもありましたし、非常に遅いという論議の中で、解散命令の請求まではいかないまでも、せめてもう少し早い時点で所轄庁あるいは東京都が何らかの対応をしておれば、悲惨な事件を少しでも食いとめることができたんでないだろうかと、こういうふうな論議もあります。  ですから、この際お聞きをしておきたいのは、所轄庁たる東京都の対応も含めて、いわゆるオウム真理教に対しての解散命令を出すまでの経過や概要が例えれば一番いいんですけれども、どうですか。
  48. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 オウム真理教でございますけれども、これは、東京都知事が平成元年八月に宗教法人として認証を行ったものでございます。この法人につきましては、その前後において信者の家族等からも苦情等が寄せられておったわけでございます。東京都としては同教団に対して、適正な運用を行ってほしい、あるいは教団情報を提供してほしいといったことを要請をしてきたことはあるわけでございます。しかしながら、現行宗教法人法上の限界等もございまして、それ以上の調査等はできなかったというふうに聞いております。本年三月二十二日に警視庁等の強制捜査が入って以降、国民や地方議会等からも、そういった同教団の解散を求める意見というのは数多く出されておるわけでございます。  これに対して東京都は、文部省等とも十分協議をいたしまして、事実関係が明らかになりました六月三十日に、東京地裁に対して検察官とともにオウム真理教解散命令の申し立てを行ったところでございます。
  49. 七条明

    ○七条委員 事件が発生をしてみなければオウム真理教事件もわからなかったと。そのために随分とこれは所轄庁である東京都も苦労をされたのではないかということはよくわかります。  今までの答弁を聞いておりましても、先ほど来からのいろいろの論議の中にもありましたけれども、現行法のもとでは、収益事業の停止や解散命令の請求に該当すると思われる行為があっても、いわゆる所轄庁は実質的には何もできない状況と言わざるを得ません。改正案ではそういうことを改正されたのでないかと思うんです。  改正案では、このような場合に報告を求めたり質問をすることができるようになっておりますが、このことと一般の公益法人に対する検査とはどういうところが違うのか。帳簿類や施設の点検、いわゆる検査までできるのか。この点についても伺っておいた方が誤解がないですから、聞いておきたいと思います。
  50. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 民法法人に対しましては、主務大臣はこれに対して一般的な監督権があるわけでございます。したがいまして、文部大臣所管の法人につきましても、文部大臣はいつにても職権で法人に対して報告を求めることができる、また、資料を提出させることができる、そして、法人の業務及び財産の状況について職員に実地検査をさせることができるというふうになってございます。  これと今回の宗教法人法改正によります報告徴収・質問権とでは幾つかの点が違うわけでございますが、宗教法人法の方では検査ということはできないことになっております。それから、実地の立ち入りにつきましても、相手方の同意が必要でございまして、同意が得られない場合はもちろん施設の中に入って質問をするということはできないわけでございます。  そういった意味で、民法法人については、一般的監督権があるということもございまして、かなり突っ込んだ実地検査等ができるわけでございます。
  51. 七条明

    ○七条委員 どうも御答弁の雰囲気を聞いておりますと、法人側の同意がなければ立入検査はできないんじゃないだろうか、あるいは、同意が得られなければ疑いを決定づける証拠を得ることができないような気がいたしてなりません。  このことは行政処分の発動もできないことにつながりますし、したがって、この点では、法改正後も現行法と同じような雰囲気がなというところも少し感じるわけでありますけれども解散命令の請求が、改正されたことによって、そこが一つ疑問になるんですね。  ですから、法人側の同意がなければ立入検査はできないのか。このような場合には行政処分を発動する確かなる証拠も得られないので、処分については現行法下におけるのと同じ状態じゃないだろうか。これはひとつ誤解があってはいけませんので聞いておきたい。どうなんでしょうか。
  52. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 現行法では、そういった、質問をしたり報告を徴収することすらできないわけでございますから、法改正をお認めいただきますと、宗教法人審議会にもちろんお諮りした上で、報告徴収をしたり質問をすることはできるわけでございますので、それについて、現行法よりはかなり、資料がある程度手に入る、情報が取得できるというふうに考えているところでございます。
  53. 七条明

    ○七条委員 ちょっとよくわからなかったんですけれども、法人側の同意がなければ立入検査はできない、こういうことでいいですね。
  54. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 この改正法におきましても、いわゆる検査というのはできないわけでございまして、質問権と報告徴収権、この二つでございます。  質問する場合においても、施設の中に入って質問するということについては、相手方が同意していただかなければそれはできない。その場合には、施設の中ではなくて、例えば所轄庁の方においでいただいて質問するというようなことはもちろんできるわけでございまして、そういったものを最大限活用いたしまして、できる限りの情報把握に努めていくというふうに考えておるところでございます。
  55. 七条明

    ○七条委員 なぜそんなことを聞いておるかといいますと、宗教弾圧をするわけでないよということがはっきりしておればいいわけでありますし、立入調査もしない、ただ質問をするだけなんだということであろうという意味でのお伺いをしたわけでありますけれども、御答弁を聞いておりまして感じることは、先ほどから言っておりますように、解散命令の請求に必要な調査は、疑いを決定づける証拠が得られなければできないわけで、十分な情報に基づく、はっきりと事実関係を確認する調査など非常に難しいとしか私には思えません。  その意味で、今度の出された法案での、第七十八条の二第一項における「報告」や「質問」がどういう内容になっていって展開をしていくんだろうか、このことも具体的にお聞かせをいただければと思います。
  56. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 例えば解散命令請求に該当するような事由があると疑わしい場合でございますけれども、そういったことがございますと、例えば今回のオウムのような事例を一つ念頭に置いて考えた場合、サリンを製造するための薬品等を大量に購入しておるということがあれば、それに対して、財産目録上そういうものが出ているのかどうか、あるいは収支計算書等でそういったことがあらわになるかどうか。それから、宗教法人としての目的を逸脱している行為をやっているわけでございますから、なぜそういうことをしているのかなぜそのように大量の薬品を買う必要があるのか、そういったことについては質問ができるわけでございまして、それが極めて疑わしいということであれば、捜査当局等と連携を図りまして、その後の対応検討していくということはできるわけでございます。
  57. 七条明

    ○七条委員 今回の法案の中で最も重要なのが、今お話がありました、いわゆる活動報告を求めたり、質問権限を所轄庁に与えたことであります。  しかしながら、これを行使するに当たっては、宗教法人審議会の意見を聞いた上でなければならない。当然のことながら、信教の自由を妨げることがあってはならない。行き過ぎないような慎重な配慮がなされていると思うわけでありますけれども新進党方々が言われるような宗教弾圧や信教の自由を妨げるようなことは、私はないとしか思えません。  むしろ、手ぬるいんじゃないだろうかとしか思えないところも私はあるわけであります。国の権力が宗教活動に介入する度合いが強まるとは思えないわけでありますから、もちろんこれらの二つの点について、情報開示の問題だとか、それから所轄移管についても、私は同様なことが言えるのではないだろうかと思うのですね。  その意味では、大臣、ちょっとお聞かせをいただきたいのですけれども法律改正によって宗教活動に対する国の権力の介入が強まるとか信教の自由を妨げるようなことはないと思うのでありますが、私は、この点もう一遍、法案をつくられた側として、文部大臣の所感をはっきりと聞いておきたい。
  58. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 先生御存じのとおり、この宗教法人法は昭和二十六年制定、まさに先生の生まれた年であるわけですけれども、それ以来、社会の状況宗教法人の実態が大きく変わったことも改めて御説明を要しない、こう思うところであります。  そして同時に、この問題について、オウム真理教事件等もあり、国民の皆さんから、この法改正を求める声が大きく高まりまして、そこで、四月の時点から宗教法人審議会にお願いして、五回の総会と八回の特別委員会で慎重に御審議願ってきた。しかもこの構成は、御存じのとおり、十一名は宗教法人の代表者、四名が学識経験者でございます。そしてなお、審議の効率化を図るためといいましょうか、審議会の御意向で特別委員会が設けられて、その特別委員会の構成も、五名は宗教法人の代表の方、三名が学識経験者です。そういう方々が、最小限度これだけのものは必要だと絞り込んで御審議願った結果に基づいての今回の法改正であります。この点をまず私は申し上げたいと思います。  当然、この改正に際しましては、信教の自由と政教分離の原則にのっとり、宗教団体の自由と自主性、責任と公共性の要請から組み立てられている現行宗教法人制度の基本は維持するということで、この法改正を今お願いしているところでございます。  なお、主な改正点であります所轄庁の変更、そして備えつけ書類の提出、閲覧請求権、報告徴収・質問権は、所轄庁が現行法上の責任を適正に果たすことを可能とするとともに、宗教法人の民主的な運営やあるいは透明性を高めるためのものでありまして、このように今回の法改正は、信教の自由の侵害になるものではなく、宗教法人に対する国の介入にはならないと確信いたします。
  59. 七条明

    ○七条委員 御答弁いただいたことは当然のことだと私は思うわけでありますし、そうでなければなりません。  実は私、ここに九一年五月八日付の毎日新聞のコピーを少し持ってまいりましたけれども、これは創価学会が二十三億円の申告漏れというふうに書かれております。これはよくよく読んでみますと、墓石販売収益を非課税の公益事業に計上したために、国税局より墓石販売を収益事業と認定をされて、追徴金を七億円払っておるわけでありますが、一つ間違えば、これは脱税騒ぎになってしまいます。  先ほどちょっと話が出ておりましたけれども、最近、暴力団などが休眠の宗教法人を買収をして、それを隠れみのにして脱税をしているという例があったりするわけでありますけれども、現在の宗教法人制度が巨額の脱税事件の隠れみのになったりしやすいのではないかと思えてなりません。その意味で、脱税という違法な行為をした宗教法人解散命令請求の事由となるのかどうか、これをお聞かせをいただきたい。
  60. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 脱税に対する対応というのは国税庁さんの方で直接的にはおやりいただくことだと思いますけれども、私ども宗教法人法解散命令請求の事由となっておりますのは、宗教法人が法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした場合、これが一つでございます。それからもう一つは、宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をした場合、この二つが大きいわけでございます。それから三つ目に、一年以上にわたってその目的のための行為をしない場合等々が挙げられているわけでございます。  解散命令請求というのは宗教法人の法人格を剥奪するということでございますので、当然この規定を発動することにつきましては、所轄庁としては慎重な対応が求められるわけでございます。  一方、御指摘ございましたように、税金をきちんと払っていくということは宗教法人にとっても重要なことでございます。脱税行為自体も、法に触れるということもあるわけでございますけれども、個別の事例で具体的にどうこうというのはなかなか難しいわけでございます。脱税が行われているということであれば、もちろん税務当局の方で厳しい対応をまずおやりいただくということはあると思いますけれども、所轄庁としても、そういったことがたびたび重なるということであれば、所轄庁としてどういった対応ができるか考えていかなければいけないと思うのでございます。  その場合に、解散命令請求にまで至るかどうかということでございますが、それは個別の事案について、それが本当に著しく公共の福祉を害すると明らかに認められるというふうに言えるか、あるいは宗教団体の目的を著しく逸脱したというふうに言えるかこういった判断をしなければならないというふうに考えているところでございます。
  61. 七条明

    ○七条委員 できれば大臣にもこれと同じようなことをお聞かせいただきたいのですけれども、その前に、さっきの読み上げました九一年の五月に書かれた毎日新聞によりますと、その事件、創価学会の二十二億円の申告漏れ事件でありますけれども、この記事を読んでおりますと、創価学会に対する税務調査は十八年ぶりで、本格的な調査は今回が初めて、こういうふうに書かれておったのですね。  まず、この事件がこういうことであって、十八年ぶりなのか、あるいは本格的な調査が初めてかどうか。税務調査をやったのは初めてだ、こういうことですけれども、これが事実かどうかお聞かせいただけますか。
  62. 若林勝三

    ○若林政府委員 国税当局といたしましては、常日ごろからあらゆる機会を通じまして課税上いろいろな資料を収集するとか、またいろいろ問題があれば実地調査をするということで課税の適正化を期してきておるところでございます。ただ、御指摘のそういう個々の事案について、調査をやったとかやらないとか、いつやったというような個々のことについては、従来から答弁を差し控えさせていただいておりますので、御了解をいただきたいと思います。
  63. 七条明

    ○七条委員 どうも私はこれは事実のような気がするのですね。そうしますと、こういうようなことはひとつ間違えれば脱税事件になってしまっても当たり前であります。調査が入ってわかったことでありますから、追徴金を七億円払っているということはそれを認めた、こういうことでもあろうと思いますので、当然脱税行為がひとつ間違ったら起こってしまった可能性が非常に高い。いわゆる収益事業なのか公益事業なのかわかりにくい、こういうところがあるわけであります。  ですから、さっきもお聞かせいただいたのですが、大臣、脱税あるいはそういう脱税行為をした場合、特に脱税があったとはっきりした場合に、度合いにもよるとさっき言われましたけれども、脱税が解散命令請求の事由になるのだと私は思うのですけれども、先ほどの答弁と同じかどうか大臣の所見もお聞かせをいただければ……。
  64. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 所轄庁が宗教法人に対して解散命令の請求ができるかどうかは、個々の事案につきこれらの要件に照らして検討すべき事柄でありますから、宗教法人が脱税をたびたび行っている事実がある場合に、当然に解散命令の請求の事由に該当するかどうかといえば、今時点では当然というふうには考えておりません。
  65. 七条明

    ○七条委員 これは脱税事件が大きければ大きいほど、巨額であれば巨額であるほど、たび重なれば重なるほど当然社会に与える影響も大きいわけですから、これは解散請求の対象にしていかなければならないと私も思うわけであります。  だとすると、先ほどから出てきておりますように、創価学会に対する税務調査が実に十八年ぶりであったり、本格的に調査をやるのが初めてだったということになれば、オウム真理教の場合、これは設立がされてまだ八年余り、七年余りでありますから、十八年もやっていないのだったらオウムの方は税務調査をやっていないのでないだろうかという素朴な疑問になるのですけれども、こっちの方は実際に税務調査をやっていたのですか。
  66. 若林勝三

    ○若林政府委員 お答え申し上げます。  個別にかかわることということで、先ほど御説明させていただきましたように、宗教法人に対する課税につきましてもその適正化に努めておりますけれども、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  67. 七条明

    ○七条委員 これは重大なことであって、もしそこでちゃんと税務調査がなされていたならばオウム事件が起こらなかったかもしれないし、個別のことで言えないということでは承服をしかねる部分もあります。  やはり税務調査というのは、これは普通の企業であったら三年に一回とか五年に一回とか。人員の関係でなかなかできないことがありますけれども、十八年に一回だ、本格的にやったのは初めてだというのなら、ちょっとこれは国民が納得しませんから、その答弁では私は納得できませんよ。
  68. 若林勝三

    ○若林政府委員 お答えいたします。  宗教法人の場合でございますけれども宗教法人本体、またあるいは関連会社により種々の活動を行っておるわけでございます。宗教法人本体につきましては、税法上特掲された事業、いわゆる収益事業でございますが、こういう収益による場合には、収益事業がございましたら課税所得となるということでございますし、また関連会社で事業をやるということでございますと、一般法人としてそうした所得に対して課税が行われることになるわけでございます。  一般論で恐縮でございますけれども、国税当局といたしましては、こうした課税関係が生ずるものにつきましてはいろいろな資料、情報の収集に努めておりますし、資料、情報等個々の法人がまた申告をいたしますので、そういった申告内容を照合いたしまして、果たして課税上問題があるのかどうかということをまず十分検討してみる必要があろうかと思います。それを踏まえた上で、必要があれば調査をするということで適正な課税に努めておるところでございます。  ただ、個々にやったかどうかということにつきましては、従来から答弁を差し控えさせていただいておりますことを御理解いただきたいと思います。
  69. 七条明

    ○七条委員 答弁がちょっとおかしいのですね。私が聞いているのは、オウム真理教に対してこういう税務調査はやっているかどうか。一方の創価学会の方は十八年ぶりだというわけですから、これだったらやっていないのでないだろうかという疑問があるから聞いているのですけれどもね。オウム真理教に関して聞いているのですよ。
  70. 若林勝三

    ○若林政府委員 たびたび同じ答弁で恐縮でございますけれども、従来から国税、税務職員に付された守秘義務というのはやはり納税者との信頼関係を保つということで、円滑な税務行政を可能にするということで守秘義務を守っておるところでございます。そういう意味で、個別問題については従来から答弁を差し控えさせていただいておりますことをひとつ御了解賜りたいと思います。
  71. 七条明

    ○七条委員 今のでは納得できませんけれども時間がもう来ておりますから、納得はできませんから、後日理事会の中で、こういう話があって報告していただきたいという要請をしていただいて、後で決定していただきたい、これを委員長に要請しておきます。
  72. 越智伊平

    越智委員長 理事会で相談をいたします。
  73. 七条明

    ○七条委員 じゃ、それで納得をしておきますけれども、いずれにいたしましても、時間が来ましたから私は結論めいたことを言っておかなければなりません。  私がこのようなことの質問をいたしますのは、宗教法人がいわゆる公益法人と同等の税の優遇措置を受けながら、ごく一部かもしれませんが、いわゆる脱税や脱税まがいの行為をしようとすることが一般国民宗教界に対する疑惑や不信感につながっているんだ、こういうことが今言えると思うのですね。宗教法人のような公的な法人の財務会計など管理運営については、民主性と透明性が必要であることはもう言うまでもありません。オウム真理教のような団体がある以上、あるいは宗教法人が、先ほど申し上げましたように、暴力団の隠れみのになったり、悪用されるようなことがある以上、一部の宗教団体が宗教活動とは全く関係のない行動のために、収益事業とも違う行動のために資金を使う、これも民主性と透明性が求められるわけであります。  新進党方々はノーサポートあるいはノーコントロールと言われておりますけれども、今の宗教団体に法人格を与えてこれを公益法人並みに扱う、租税の軽減措置など社会的権利を与えられている宗教法人が私はノーサポートだとは言えません、そう思えません。その権利に対する責任においては、当然のことながら、財務目録の作成やら事業収益の使途の制限などを規定をして、あるいは社会的な責任を果たすこと、これは当然だと私は思うわけでありますし、認証されたがだけで宗教法人は何をやっても自由だというわけではないと思うのです。  所轄の移管についても、情報開示についても、先ほどから私が話しております活動報告や質問権についても、最低限の社会的な責任を負っていくことが必要だ。所轄庁の権限としても、改正案のような改正をしていくことが必要だとしか私は思えないわけでありますし、今この宗教法人法改正が、大多数の国民が願っておることも間違いがありません。反対される新進党の姿勢は、国民宗教界に対する疑惑と不信感を一層増幅させるものである、私はそう思うわけであります。  この点について、改正案についてもそれらの不審なものはないよ、あるいは透明性や公平性を確保していくよ、ガラス張りにやっていくんだ、民主性を確保するということの意味での大臣の決意のほどだけをお聞かせいただいて、私の質問を終わらせていただきます。
  74. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 御承知のように、宗教法人の存在というのは、人心を安んじ、社会の安泰を確保するために非常に価値あるものだ、高い公共性を有している、公益性を有している、そう私は認識いたしております。また宗教法人法も、それらの背景の中に性善説を前提にしていわば制定されているものでございます。そういう意味におきましては、今回の改正におきましても、信教の自由と政教分離の原則にのっとり、宗教団体の自由と自主性、責任と公共性の要請から組み立てられている現行宗教法人制度の基本は維持し、その上での検討を進めたところでございます。  また、今委員指摘のノーサポート・ノーコントロールということにつきましては、その趣旨が必ずしも明確ではございませんが、もしこれが国として宗教法人に対して全く関与しないという趣旨であるとすれば、宗教法人法はそのようなものではない、このことをお答えしておきます。
  75. 七条明

    ○七条委員 終わります。
  76. 越智伊平

    越智委員長 次に、栗原裕康君。
  77. 栗原裕康

    ○栗原(裕)委員 自民党の栗原でございます。同僚の七条議員に引き続きまして御質問させていただきたいと思うわけでございます。  今回の宗教法人法改正委員会質疑をずっと聞いておったわけでございますけれども、初日の与謝野議員の質問に尽きているのではないかなというふうに思うわけでございます。  例えば宗教法人審議会の審議経過、これが拙速であったとか、あるいは一部の審議委員の意向を無視したとかという議論がございますけれども、これは別にこの法律の必要条件でも十分条件でもないわけでございますから、ここで十分な議論がされれば私はいいと思っております。  それから、例えば信教の自由の侵害等のお話がございましたけれども与謝野質問ではそういうこともないということでございました。  あとオウム対策としての効果ということもございましたけれども、これはもともとオウム対策を目的としたものではなくて、オウム事件を契機としてやるということだと思うのでございまして、そういう面でも大分議論は出尽くしているのかなという気がするわけでございます。  ただ私は、例えば世間で言われておりますことは、オウムみたいな事件を二度と起こしてほしくないという、これはもちろん世論でございますけれども、その背景には、今七条先生からもお話がございましたように、宗教法人というのが余りにも甘やかされているのではないか。  例えば、戦後我々は経済発展を遂げてきたわけでございますけれども、役所とか農協とか、いろいろな建物が立派になった。そのうちに、宗教団体の建物も物すごく立派なものがあちこちに出てきている。どうなっているんだ、一体。そして、いろいろな意味で、宗教法人というのがちょっと、一部ですよ、ごく一部ではございますけれども、何かうさん臭い、あるいはごまかしているのじゃないかというような世論があって、それがたまたまオウム真理教で火がついたというふうに私は解釈しておるわけでございます。したがいまして、宗教法人全体が命まで余りにも甘やかされていたのではないか、これを議論するべきだというふうに思うわけでございます。  たまたま、もう四、五年前だと思いますが、「マルサの女」という映画がございました。これは二つあったのですけれども、最初は、とにかく東京国税局の査察部がいろいろな脱税の手口を摘発いたしまして、最初の第一編はたしかモーテル経営者をやるのですね。査察で脱税を摘発するのです。  それで二番目は、その続編は、いわゆる地上げ屋さん。地上げ屋が実は宗教法人を隠れみのにしておりまして、税務署がその宗教法人に、これはもちろん架空の宗教法人ですよ、宗教法人調査に行くのです。そうすると、信教の自由を侵害するのかと言って追い返されるのですね。そしてその後、今度はもうしょうがないので、税務署の人間は信者に化けてその宗教団体に潜り込んで、それでたまたま御本尊の裏に隠し扉があって、その上にえらい財産が隠してあるのを摘発する、そういうストーリーなんです。  こんなことも非常に、いわゆる世論といいますか、宗教法人に対する、大変残念なことでございますけれども、世間一般の疑惑をうまく映画として撮っているなというふうに思ったわけです。  ですから、何もオウムだけじゃなくて、宗教界全体、宗教法人法というもののあり方が今問われているのだというふうに私は思って、以下御質問させていただきたいと思うわけでございますが、宗教法人の税務調査、課税調査、これは現状はどのようになっているのでしょうか。ちょっと御説明いただけますでしょうか。
  78. 若林勝三

    ○若林政府委員 お答えさせていただきます。  宗教法人に対しましても、一般法人と同じく各資料、情報の収集等に努めておりまして、法人税、消費税の納税義務とか源泉徴収義務のある宗教法人を的確に把握いたしまして、課税上問題があると認められる場合には実地調査を行うということで課税の適正化に努めているところでございます。  平成六事務年度における宗教法人の実地調査件数は、三百八十一件実施いたしております。いわゆる申告漏れをあらわす更正等の割合は八四・三%ということで、一般法人の七四・一%よりは高くなっておるわけでございますが、もう一つ別の観点でございます不正発見割合ということで申し上げますと、宗教法人の場合は一一・五%、一般法人の場合は二六・二%ということで、一般法人の方がむしろ高くなっておるわけでございます。  宗教法人に係るこういった計数について、一般法人と比べましてどう見るかということについては一概に言えないものがございますけれども、いずれにいたしましても、宗教法人については執行面での適切かつ厳正な対処が要請されている、そういうことも踏まえまして、なお一層課税の適正化に努めてまいりたいと思っております。
  79. 栗原裕康

    ○栗原(裕)委員 今の御答弁ですと、宗教法人も一般法人も特別に区別してやっているわけじゃないのだ、こういうことだと思うのですね。  先ほど同僚議員が質問をさせていただきました、これは九一年の五月八日付の毎日新聞「創価学会二十三億円申告漏れ」という記事の中の末尾に、創価学会に対する税務調査は七三年以来十八年ぶりだがなどということが書いてあるのですね。  これは、真偽はともかくとしまして、普通の企業ですと大体三年から五年で税務調査が入るのですね。今三百八十件というお話でございますけれども宗教法人の数を考えますと、これは本当にこの新聞報道が事実かどうかちょっとわかりませんが、一般企業は三年から五年で入っているのですね。特に悪質なところは毎年入るのでしょう、きっと。  宗教法人は大体何年に一回入っているのですか、お答えをいただきたいと思います。
  80. 若林勝三

    ○若林政府委員 お答えいたします。  宗教法人につきましては、平成六事務年度の法人税の調査事績では、宗教法人で収益事業を行っているものは一万七百七十八件でございます。このうち三百八十一件を調査いたしておりまして、その調査割合といいますか、そういうものは三・五%となっておるわけでございます。これに対しまして一般法人の場合は、二百七十四万七千件の一般法人のうち十七万九千件を調査いたしておりまして、そういう意味での調査割合といいますか、そういうものは六・五%ということになっております。  これをあえて単純に計算いたしますと、宗教法人については二十九年に一回、一般法人の場合は十五年に一回となるわけでございますけれども、税務調査は課税上問題があるものに絞って、重点を置いてこれを調査いたしておりまして、これを接触の頻度で単純に平均して見るということについては必ずしも正確ではないのではないかというふうに考えております。  なお、宗教法人につきましては、収益事業を営んでいる場合もその事業規模が小さいものが多いことなど、一般の法人に比べて調査必要度が必ずしも高くない法人が多いということもございます。結果として実地調査割合が一般法人よりも低くなっておるということではございますけれども、必要なところに対してはやるという対応でやらせていただいております。御理解を賜りたいと思います。
  81. 栗原裕康

    ○栗原(裕)委員 今の御答弁ですと、一般法人の約半分の頻度しかやっていないということですね。それで国民皆様方に今こういう時期に納得していただけるのかなというのが私大変心配でございますが、何も最初から悪だと決めつけて調査に入るわけじゃないと思いますので、少なくとも一般国民皆さん方が、宗教法人だけ特別優遇されているのじゃないかというような誤解を生まないような調査をぜひ励行していただきたいというふうに思うわけでございます。  続きまして、先ほど申しました「マルサの女」の話で大変恐縮でございますが、そこで、先ほど言いましたように宗教法人を隠れみのにして、要するに地上げ屋さんが、これは物語ですけれども、地上げ屋さんあるいは暴力団が隠れみのにしているという点があるのですね。こういった実例、多分あると思うのですけれども、隠れみのにもししているということを暴くために実際どんなことをしているのですか。
  82. 若林勝三

    ○若林政府委員 お答えいたします。  宗教法人は、法人税法に特掲されました三十二の事業からの収入以外は課税所得とならないわけでございます。そのため、宗教法人を買収いたしましたり、本来一般法人や個人に帰属すべき所得を宗教法人に帰属させるといったことで税負担の回避、軽減を図る事例が見受けられることは事実でございます。  こうした行為に対しましては、宗教法人がその活動の実体を果たして本当に有しているのかどうか、これはいろいろな観点から、人的側面、物的側面等からいろいろ調査をいたします。また、宗教法人と一般法人とを異なった主体として見ることができるのかどうか、要するに、単に名を借りているだけじゃないのだろうかという、その取引の実態というものもよく念査する必要があろうかと思います。  こういった点につきまして十分検討いたしまして、当該取引からの所得が現実には一般法人や個人に帰属するということで、宗教法人の行為ではないということが認められます場合には、その実態に即して課税をさせていただいているところでございます。
  83. 栗原裕康

    ○栗原(裕)委員 いずれにしましても、国税庁等は立入調査が認められているのですね。そうですね。ですから、ぜひ国民の信頼にこたえる意味でも、公正、厳正な調査をしていただきたいというふうに重ねてお願いをしておきたいと思います。  それで、一般的なお話で大変恐縮でございますが、今申しましたように、宗教法人に対する国の姿勢というか、要するに一言で言うと世間一般が甘いのだという認識を国民が持っていらっしゃるのですが、それを今度の改正法案で少しは払拭したいというふうに私は思っています。  そういう意味で、この宗教法人法改正によると、例えば収支報告書の提出が義務づけられているのですね。こういったことは、一般的なお話で結構でございますから、税務調査にとってやりやすくなるのですか。やりやすくないなんて言われますとちょっと何かがっかりしちゃうのですけれども、まあ誘導じゃございませんから、実際どうなのでしょうか。
  84. 若林勝三

    ○若林政府委員 お答えいたします。  宗教法人法につきましては直接の所管ではないことではございますけれども、税の執行という立場であえて申し上げさせていただきますと、同法の改正によりまして、宗教法人の財務内容の透明性が高まるといったことを通じまして管理運営の適正化につながる、また、休眠法人等の整理が促進されるということになりますれば、結果として課税の適正化に資するものと考えております。
  85. 栗原裕康

    ○栗原(裕)委員 課税の適正化に資するということでございますので、ぜひ野党の皆様方の御協力も賜って国民世論にこたえてまいりたいというふうに思います。  実は、新聞報道で大変恐縮なのでございますが、新進党の海部党首がこういうことをおっしゃっているのですね。お布施に課税したらどうや、こうおっしゃっているのですね。さすがに改革を標榜する政党だけあって、党首が随分思い切ったことをおっしゃるのだなと。お布施に課税を検討したらどうだということをおっしゃるのですね。私どももそこまで言っていませんし、国民も多分、そこまで言っている方も随分いらっしゃるのですけれども、さすがに改革を標榜するだけあって、なかなか思い切ったことをおっしゃっていますね。  大変蛇足ながら、この暮れの党首選、大丈夫かなとちょっと他大事ながら御心配をするわけでございますが、大蔵大臣宗教活動の結果としての金融資産の収益については課税の検討になるだろうというようなことをおっしゃっていらっしゃるのです。だけれども、お布施そのものに課税をするということはおっしゃっていないのですね。  ここで質問させていただきますけれども、そもそもお布施というのは把握できるのですか。税務署どうですか。
  86. 若林勝三

    ○若林政府委員 お答えいたします。  宗教法人につきましては、税法上の収益事業を営む場合には法人税の納税義務がございますし、また、国内において課税資産の譲渡等を行う場合には消費税の納税義務がございます。また、給与等の支払いを行っておるという場合には、所得税の源泉徴収義務があるわけでございます。  したがいまして、宗教法人に対しまして税務調査を行うに際しましては、収益事業の収入が非収益事業として計上されていないのかどうか、あるいは収益事業と非収益事業との間で収入とか経費が適正に区分されているのだろうかということ、また、収益事業、非収益事業を通じまして源泉所得税が適正に徴収されているのか、こういったことについて検討を行う必要があるわけでございます。その過程で、必要に応じてお布施収入等の非収益事業部分についての調査等も行わせていただいておるところでございます。
  87. 栗原裕康

    ○栗原(裕)委員 そうすると、いろいろ今おっしゃいましたけれども、お布施は把握できるということでいいですね。調査をすれば把握できるということでよろしいわけですね。ちょっともう一度済みません。
  88. 若林勝三

    ○若林政府委員 御答弁申し上げましたように、収益事業との関連で、非収益事業であるお布施についても場合によっては見させていただくことはあるということでございます。
  89. 栗原裕康

    ○栗原(裕)委員 お布施は、まあ把握できるとしましょう。  私どもは、お布施に課税をするというのはいかがかな、こういうふうに思っていますし、それで果たして信教の自由というのが守れるかというのも若干疑問があるわけでございます。  例えば神社等で、初もうでのお客様はことしは何百万人見えました、おさい銭の額はこれだけになりましたよなんということを発表する場合があるのですね。それはどういう意図がよくわかりません。それから、例えば高額所得者ですね。高額所得者というのも法律によってこれは発表されていますね。高額法人も発表されていますし、それからまた、我々国会議員は資産も全部発表しているわけですね。  ですから私は、宗教団体にとって、これはもちろん宗教団体によって違うんでしょうけれども、例えば神社の例等も見ますと、うちの神社にはこれだけのいわゆる霊験あらたかな効能があって、これだけ大勢の人が来てくれるんだ、これだけおさい銭もあるんだということは、ある意味では、ちょっと私個人は疑問ですけれども、宗教団体にとっては、信者の数が何百万人ある、お布施の額はこのぐらいあるんだというのが一つの勲章になるかもしれませんね。  そういう意味で、これはちょっと法律的にどうかわかりませんが、宗教法人のお布施の額、これも高額は公表したらいかがですか、どうですか。
  90. 薄井信明

    ○薄井政府委員 ただいまの御質問は、宗教法人がみずからした方がいいかどうかという面と、それから、税制上そういう制度をつくってはどうかという面と二つに分かれるかと思います。  私、税の立場から申し上げますと、お布施はまさに宗教行為といいますかそのものであって、これを課税対象とすることは適当でないと考えておりますので、そうしたものについて税制上公示制度を設けることは適当ではないと思います。
  91. 栗原裕康

    ○栗原(裕)委員 ごくまともな答弁ですが、新進党の党首にぜひ聞かせていただきたいというふうに思うわけでございます。  続きまして、警察庁、きょう来ていらっしゃると思うのでございますけれども、いろいろこの法律議論の中に、実際これをやってもオウム真理教対策にならないじゃないか、こういうような議論もあるわけでございます。先ほど、税務上では、この宗教法人法改正をすると課税のいわゆる適正化に資するという、こういう御答弁でございましたけれども警察庁捜査のためにも、例えばいろいろな違法行為があると思うのです。  残念ながら、一部の宗教法人はいろいろな違法行為をしています。この宗教法人法改正されますと、そういう違法行為をいろいろな情報から摘発しやすくなるのですかそれとも今までと変わらないのですか、どうなんでしょうか。
  92. 野田健

    野田(健)政府委員 今回の宗教法人法改正は、宗教法人制度の適正な運用を図るため、所轄庁が責任を果たし、宗教法人が自治能力を向上できることを目的としたものであるというふうに承知しておりますが、本改正により捜査がやりやすくなるかというお尋ねであります。  現在置かれている状況よりも宗教法人の透明性が高まる、あるいは宗教法人が関係書類等をきちんと調製されるということになるのであれば、宗教法人活動が刑事的に問題となった場合に、当該宗教団体に関する実態を把握する上で資する場合があるものと考えております。
  93. 栗原裕康

    ○栗原(裕)委員 大変いい御答弁をいただきましたけれども、やはり今回の宗教法人法改正というのは、オウムみたいな事件を二度と起こしてはいけないという国民世論がバックでございますけれども、その裏にあります、先ほどから私が申し上げましたような、宗教団体一般がもっと透明になってほしい、要するに、もっと世間の常識と一緒になってほしい、こういうことには非常に資するのではないか。税務署の答弁それから警察庁答弁、そういうことを証明していると思います。そういう意味で、ぜひこの法律を一刻も早く改正をしていただきたい、これが国民の声にこたえる道だというふうに私は思っております。  最後に、政教分離のことについてちょっと触れてみたいと思うわけでございますが、政府側の答弁は、特定の宗教団体が特定の政党を支援すること、これについては政教分離の原則には違反をしない、こういうような御答弁があったわけでございます。もっと露骨に言いますと、大変恐縮でございますが、例えば創価学会さんが新進党さんを応援をしてもそれは別に政教分離には違反をしないんだ、こういうことのようでございます。  そういうことでございますが、例えば政教分離とよく言いますけれども、その反対を言えば政教一致ですね。これはやはり、ずっと歴史を見ておりますと、常に宗教というのは政治に関与したがるのですね。そもそも一番最初、例えば日蓮上人とかあるいはキリストとか、そういう教祖はいわゆる反権力を貫くという大変立派な生涯を送っているわけでございますが、その教団等がだんだんだんだん発展していきますと、どうしても時の政権あるいは政治に近づきたがる、こういう傾向があるのです。  私は、民主主義の歴史というのはまだまだ浅いと思いますけれども、きのうたしか新進党の船田先生がこういうことをおっしゃったのですね。宗教と民主主義とは矛盾をしないんだ、こういう言い方、ちょっと言葉は違うかもしれませんけれども、要はそういうことをおっしゃった。  考えてみますと、私ども昔から選挙をやらせていただいておりまして、昔はボスですね、各部落部落あるいは町内町内にボスがいて、そのボスに話をつけると大体そこの票はまとまるのですよ。そういうことがあったのですね。民主主義ではそれは決してよくないです。やはり個人個人が考え、個人個人が政策判断をして、自分たちの代表としてはだれが正しいのだということを、個人個人がいろいろな意見を聞いて、いろいろな資料を集めて自分で判断していただくというのが民主主義の原点なんですね。それが選挙だと思うのですね。  ところが、残念なことに最近、我々の責任もあるのでございますけれども、いわゆる政党離れといいますか政治離れで投票率がどんどん落ちてしまっている。ですから、個人個人の判断で投票所に行かなくなってしまったのですね。個人個人の判断で投票所に行ってくれればいいのですけれども、個人個人の判断で投票所に行かなくなってしまった。  しかし、宗教団体、ある宗教団体等は、上が右へ行けば右なんです、左と言えば左なんです、それは信心と関係していますから。ですから、特定の宗教団体、特に組織がしっかりしておっていわゆる上意下達がしっかりしているところが、トップが右と言えば、だあっと何百万人の会員が右になってしまうのです。こういうことは果たして健全な日本の民主主義の発展にとっていいことなのかどうか、私は大変疑問だと思います。そのことについて文部大臣見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  94. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 お答えいたします。  宗教団体の政治活動の自由は、憲法第二十一条第一項が集会、結社及び言論その他一切の表現の自由を保障している趣旨にかんがみ、尊重されるべきものと考えます。したがって、御指摘のとおり、特定の宗教団体が政党を支持し政治活動を行っても、そのことが政教分離の原則に反するとは考えられないというのが政府の統一見解であります。  したがって、個人がみずからの意思に基づきある宗教団体に加入し、みずからの意思に基づき特定政党を支持することになったとしても、そのことは民主主義に反するものではないと考えます。  問題は、いわば組織が投票その他個人の自由意思を制約して何らかの強制を行う、こういうようなことがあればこれはこの範囲にとどまらないと、こう考えます。
  95. 栗原裕康

    ○栗原(裕)委員 信心というのは、信仰というのは、やはりある意味では絶対帰依なんですね。ですから、例えば、自分は本当はちょっとおかしいと思っておっても、特に組織のしっかりしている宗教団体は、上がそうじゃないんだ、右だと言えば右なんです。それが宗教活動の本質なんですね。それと政治活動が結びついてしまうということが問題なんじゃないでしょうか。  済みません、大変恐縮ですけれども、もう一回再答弁をできればお願いしたいと思います。
  96. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 今申し上げたとおりでございます。
  97. 栗原裕康

    ○栗原(裕)委員 終わります。ありがとうございました。
  98. 越智伊平

    越智委員長 次に、細谷治通君。
  99. 細谷治通

    ○細谷委員 総括質疑の第二日目で若干の質疑をいたしましたけれども、引き続き一般質疑という形で質疑を続行させていただきたいというふうに思います。  まず、先般もお尋ねをいたしましたが、宗教法人の金融資産収益に対する課税の特例ということでお尋ねをいたしました。宗教法人の金融資産運用益、すなわち利子配当所得に対しては全く課税されていないということでございまして、私のこの質疑に対しまして、多くの方々から実は驚きの意見や苦情が寄せられた、こういうことでございます。反響の大きさに実は驚いておるところでございます。全然知らなかったとか、年金生活者はこの超低金利で苦しんでいるのに宗教法人は利子非課税とは何事だ、こういうお話もございました。個人の蓄えと一体どこが違うんだ、老後のために汗水垂らして蓄えたものと余りにも違いがあり過ぎるんじゃないか、こういう御指摘でございました。  ところで、まずお尋ねをいたしたいと思いますが、公益法人の金融資産収益に対する課税の特例の法的根拠というものはどうなっているのか、はっきり具体的にお示しをいただきたいと思います。
  100. 薄井信明

    ○薄井政府委員 お答え申し上げます。  公益法人等が収益事業等を行いますとこれに課税するというのが法人税法上の規定でございまして、金融収益、例えば公益法人等が金融資産を持っている、そこから出てくるものにつきましては、これは公益事業に使われていくであろうということから、私ども収益事業の範囲内にこれを入れておりません。したがいまして、法的根拠といたしましては、収益事業の範囲内にその金融資産の収益部分が入っていないということが課税をしていない根拠でございます。
  101. 細谷治通

    ○細谷委員 これは根拠は後ほどまた触れたいと思いますけれども、法人税法の施行令第五条というところの「収益事業の範囲」から除外されているという形になっているようであります。これについてはまだ後ほど質疑をいたしたいと思います。  ところで、法人税法第二条の別表に「公益法人等」というのがございまして、これを見てみますと、ここに持ってきておりますけれども、この別表には数多くの公益法人がございます。この公益法人を見ますと、種々雑多でありまして、その設立目的や役割、機能というものは千差万別と言わなければなりません。  これを私なりに多少分類をいたしてみました。もちろん社団法人、財団法人の区別があるということは承知の上で区別をいたしてみますと、まず基金の運用益の活用自体で活動している、それを目的としたそういう法人、例えば学術研究、開発のための各種の基金、財団等があると思います。  次に、拠出金とその運用益で、それを積み立てて活動していく、例えば各種の年金の基金なんかがあると思います。  第三のグループとして、国や地方の業務に類似する、あるいはこれを補完する役割が期待されているもの、こういうものがあると思う。例えば社会福祉法人でありますとか学校法人とか。  それから四番目のグループとしては、組合員ないし会員と言ってもいいと思いますが、法人の構成員の共益の増進を目的とするようなもの、こういうものがある。例えば宗教法人、それから労働組合なんかもこうじゃないかと思いますね。それから商工会。  それから、ほかにその他という形で、こういうふうに私なりにまとめてみました。  こうまとめてみますと、私は、この幾つかのグループで、全く同一の税制上の優遇を与えなければならないという必要性はどうもないんじゃないかという気がいたします。それは公益性の例えは高低でありますとか、公益性の強弱でありますとか、それから法人の目的、役割で、当然課税上の優遇措置の差があっていいのではないかというふうに思っております。  特に本問題であります金融資産そのものについての非課税、これは結構です。これは本体について、金融資産そのものに対する非課税というのは当然でありますけれども、少なくとも運用益についての課税は、取り扱いの差異を認められて当然だというふうに思っております。  逆に、こうして一律、同一にすべてを律するというのはかえって不公平税制と言われるのではないかというふうに思っておりますけれども、大蔵大臣、私のこの説明に対しまして、御感想がございましたらお願いいたしたいと思います。
  102. 武村正義

    ○武村国務大臣 私も、今改めてこの別表を見ながら、随分多種多様だと、数が多いということも含めて改めて認識をしているところでございます。  公益という点でくくっている、共通性があるということでありまして、このことが法人税法の取り扱いでは共通の扱いをせざるを得ないという状況でありますが、そもそも公益法人なのか、本当に公益の法人なのかという議論とか、これを御指摘のように一つの物差しでくくっていいのかという議論は、これは税法を超える議論として当然あるというふうにも思います。  私ども、今ここではそれ以上立ち入りませんけれども委員の御指摘は御指摘として傾聴させていただきました。
  103. 細谷治通

    ○細谷委員 次に、これはお答えは要りません。別の機会でまたただしたいと思いますが、この法的根拠は先ほど言いましたけれども、法人税法の施行令第五条に公益法人の「収益事業の範囲」ということが定めてありまして、そしてそれから除外するという形になっているわけであります。これは、しかもその収益事業に付随して行われる行為、こういうふうに定められておりまして、要するに運用益というのはまさに付随行為とみなされて、これで収益事業から除外されている、こういうことであります。  これは実は政令で定められているんですね。この金融資産の運用益というのは、かなり莫大なものになっているんじゃないかと思うのですね。これを課税にするか非課税にするかというのは、単に収益事業の範囲をどう決めるかという問題じゃなくて、私は大変大きな問題だと思います。税制上の特例を定めるのを政令で定めるということは、大変疑義があるのではないかというふうに思います。租税法定主義というところに逸脱をしているのじゃないかというふうに思いますけれども、本問題については指摘するにとどめておきたいと思います。  次に、文部省にお尋ねいたしますが、今回の法案で備えつけが義務づけられております財務会計書類のうち、特に収支計算書の作成に当たっての会計処理基準はどうなるのかということでお尋ねをいたしたいと思います。  これまではもちろん収支計算書の備えつけは義務づけられておりませんので、どうしていたかというと、お伺いするところによると、文化庁の宗務課が、言ってみればガイドラインみたいなものを示している。それは宗教法人の便宜に供するということでございましょう。宗教法人備えつけ書類及び帳簿様式例、予算書・収支計算書の収支科目一覧表、会計帳簿のひな形等を参考として示していた、こういうことでございます。  今度の法改正によりまして、これは収支計算書の備えつけが義務づけられるということになりました。そうすれば、おのずからどういう会計処理をするのかということが問われてくると思いますが、一体その会計処理基準はどうするのか。そして、この会計処理基準に従って収支計算書をつくれば、最低限当該宗教法人の財務内容を把握することができるようになるのかどうか。その辺についてお答えいただきたいと思います。
  104. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 お答えいたします。  今回の法改正では、宗教法人に収支計算書等一定の書類の作成、備えつけ、提出義務を課すことといたしております。これら書類の作成を円滑にするため、所轄庁としては所要の対応が必要であると考えております。  具体的には、法案が成立した暁には、かねてから都道府県等に示しております備えつけ書類の様式例等を参考にしつつ、通知や研修会などにより法二十五条の趣旨を徹底するとともに、宗教法人審議会報告において指摘のあった宗教法人のよるべき会計基準の作成についても鋭意検討してまいりたいと考えております。これらの措置により、宗教法人がその目的に沿って活動しているかどうか等の実態を把握することが可能となるものと考えております。
  105. 細谷治通

    ○細谷委員 きちっとした会計基準といいましょうか、ルールみたいなのをつくっていただいて、そして少なくとも最低限のものは財務内容の把握ができるようにきちっと整備をしていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。  次に、細かくなりますけれども、収益事業の中のみなし寄附金の問題について、この間もお尋ねをいたしましたが、もう少し突っ込んでお話を伺いたいと思います。  宗教法人の収益事業に対しましては、一般企業よりも、三七・五%より軽減された税率、すなわち二七%の軽減税率が適用されているということでございます。また、みなし寄附金という制度によりましてさらに二七%分が損金算入として認められるわけでありますから、計算いたしますと、実質的には税率は一九・七一%になるのではないかというふうに私は私なりに計算をいたしておりますけれども、こういう計算も成り立ち得るのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  106. 薄井信明

    ○薄井政府委員 お答えいたします。  枠をすべて使い切ったということになりますと、委員指摘のように一九・七一%になります。
  107. 細谷治通

    ○細谷委員 軽減の制度があって、税金はだれだってたくさん納めようなんて思わないわけでありますから、制度があればそれは当然使うわけでありますから、実質的には、宗教法人は収益事業については一九・七一%の軽減税率である。二七%ではないのだ、一九・七一%であるということを指摘しておきたいと思います。  次に、みなし寄附金につきまして、国税、もうずっと昔、古い昭和二十年代にさかのぼると思いますけれども、制定の経過とそれから根拠規定はどうなっているのか。さらに、同じ公益法人であっても、学校法人、社会福祉法人等についてはさらに優遇された措置がなされているその合理的根拠は何なのか、御説明いただきたいと思います。
  108. 薄井信明

    ○薄井政府委員 みなし寄附金制度は、昭和二十五年に創設されておりまして、法人税法三十七条四項に基づいております。また、このときには一律三〇%ということで昭和二十五年に創設されておりますが、昭和二十六年に至りまして、社会福祉法人につきまして三〇%を五〇%に引き上げる改正が行われております。その経過、経緯について詳しくは存じておりませんけれども、社会福祉に対する配慮、政策的な配慮ということからそのように措置されたと受けとめております。  また、学校法人につきましては、ちょっとおくれまして、私学の振興措置の一環として昭和四十二年に社会福祉法人と同じように三〇%を五〇%にするということで、一般の三〇%に対する特例として両方設けられているということでございます。
  109. 細谷治通

    ○細谷委員 今度は自治省にお尋ねしますが、国税と同じように地方税でもみなし寄附金という制度があります。そしてここにおいては、社会福祉法人や学校法人については国税のレベルを上回る優遇措置が行われているところでございます。この制定の経過と根拠規定並びにその合理的な根拠は何なのか、お答えをいただきたい。
  110. 佐野徹治

    ○佐野政府委員 地方税の関係につきまして、先ほど御指摘のような特例がございます。これは昭和三十六年度の改正におきまして、法人税が課税されております法人について地方税の住民税が課税されていない、こういうものがございまして、それの一部につきまして課税すべきである、こういう考え方から、具体的に申し上げますと、社会福祉法人なり学校法人なり、それから専修学校等、宗教法人、共済組合など、こういうものにつきましてこれは従来住民税が非課税でございましたけれども、昭和三十六年度の改正で、これらの法人が収益事業を行います場合には法人住民税を課するということにいたしたわけでございます。  この際に、社会福祉法人なり学校法人等、これらにつきましては、これらの法人の事業が、社会福祉だとか、それから国民の教育等の向上に資する面が非常に大きいということ、それからまた地方公共団体が行っております事業を補完する役割も果たしている、こういうようなことを税制上におきましても考慮すべきである、こういうことから特例措置を設けたものでございます。  なお、この特例措置の根拠規定でございますけれども、これは地方税法施行令の第七条の四のただし書きに規定されているものでございます。
  111. 細谷治通

    ○細谷委員 わかりました。  私は何でこういうことをお尋ねしているかといいいますと、要するに、同じ公益法人の中でも、法人によって課税上のそれなりの合理的な根拠を持ってちゃんと格差が設けられて差異があるということを実は国民皆さん方にもぜひ知っていただきたい、こういう趣旨でこの問題を取り上げたわけでございます。  次に、収益事業に関連いたしまして大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思います。  まず、平成五年度における宗教法人の所得申告件数は、先ほども御紹介ございましたが、一万五百九十件ということで、その申告所得額は四百三十六億円ということになっております。これを一般企業並みに課税されたとして比較いたしますと、私の推計では約百七億ぐらいの節税といいましょうか、減税になっているということだと思います。内訳は、みなし寄附金制度で約四十四億、税率の軽減で六十三億、合計百七億になるのじゃないかと思いますけれども、これは私の計算でありまして、こういう計算も成り立ち得るのかどうかということについてお尋ねをいたしたいと思います。
  112. 薄井信明

    ○薄井政府委員 ただいまの御質問について、どのような前提でどう計算するかですが、いろいろなやり方はあろうと思いますが、先生のような方式も一つの考え方かどば思います。
  113. 細谷治通

    ○細谷委員 要するに私の計算では、平成五年度において民間企業に比べまして宗教法人については百億を上回る税の減免がなされていたというふうに理解をするところであります。  ところで、「収益事業の範囲」ということでありますけれども、この範囲の基本的な考え方は民間との競合関係にあるものということで三十二事業が特掲されている、施行令に定められている、こういうことでございます。これについて、これは昭和二十五年に定められて以降、必要に応じてきめ細かに追加拡大をされてきたわけであります。しかしながら、昭和五十九年以降十年以上にわたって追加拡充がなされていない、こういうことでございます。その後の社会状況、経済状況の変化で追加すべき事業が出てきているのじゃないかというふうに思いますけれども、その辺の認識と具体的な検討課題があればお知らせをいただきたいと思います。
  114. 薄井信明

    ○薄井政府委員 お答えいたします。  公益法人等に対する課税の問題ですが、収益事業等についてなぜ取り出して課税をしているかということは、委員指摘のように、中小あるいは大きな企業も含めて一般企業との競合関係ということから、同じことをやっているならば課税してもいいではないか、また課税しなければ一般の企業にとって不利であるということから課税しているという背景がございます。  そうなりますと、その種のものが今現在あるかどうかということですが、御指摘のように、ずっと追加を続けてきておりまして、三十二の項目が今挙がっております。新しいものがあるのではないかということになれば、私どもそこをカバーしていくという立場にございますので、常に気をつけて見ておりますが、現在、具体的に三十四項目めに当たるようなものを私ども見当たってはいないという状況にあります。
  115. 細谷治通

    ○細谷委員 その収益事業の、三十三事業でいいのかどうか、時代の変遷に合わせて変更すべきではないかということについては今後の税制論議の中で詰めていかなければならないというふうに考えております。  そこで、今度は自治省。宗教法人と固定資産税の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  宗教法人は、御承知のように、その必要性から広大な土地などの不動産を保有しております。しかしながら、固定資産税は、収益事業の用に供しているのはもちろんでありますけれども、その他公益事業に供しているものについては全く課税されない、こういうことになっております。  固定資産税というのは、御承知のように応益的な性格の税制でございます。ある意味では、ある意味ではなくて、まさに所得の有無に無関係に課税されている税制でございます。宗教法人といえども、地方公共団体から多くの公共サービスの恩恵を受けていると私は思います。  だとすれば、一般個人や会社並みにこれを全部払え、満額払えとは言いませんけれども、全く無税というのは、課税されないというのは私はいかがなものかと思います。固定資産税の軽減措置というのもいっぱいあるわけですから、軽減の仕方というのを考えれば、この固定資産税の課税の問題も当然考慮していいのではないかというふうに私は思っております。まあそういう見解を持っております。  じゃ、収益事業でどうか。一方、収益事業で考えてみますと、収益事業の用に供している土地、建物には固定資産税が課税されるのは当然ですが、例えばの話でございますが、専ら神社仏閣の建物の一部で飲食や宿泊を行っているような場合は、これはその建物や土地については固定資産税は課せられているのですかどうですか。
  116. 佐野徹治

    ○佐野政府委員 今お話ございましたように、地方税法では、専らその本来の用に供します境内建物なり境内地につきましては、地方税法では非課税ということになっております。  今お話のございました神社仏閣の一部で宿泊させたり飲食物を提供している場合、これは恐らくさまざまな形態があるのではないかと思います。例えばレストランだとかホテルだとか、こういうほかの一般の施設、通常の施設に類似した利用をされているものですとか、全く他人の宿泊の用に供しておるもの、こういうように明らかに宗教の用以外の用に供していると認められるものにつきましては、これは課税対象になるのではないかと考えておる次第でございますけれども、これはいずれにいたしましても、その施設が地方税法に規定をいたします宗教本来の用に供しているかどうかということにつきましては、宗教法人の各施設の利用の実態を見まして、各市町村、課税団体におきまして判断されているところでございます。
  117. 細谷治通

    ○細谷委員 非常に何かわかりにくい説明でありますが、要するに専ら収益事業に供されている場合でも多分私は固定資産税は課税していないのじゃないかというふうに思いますね。ですから、この辺は、何といいましょうか、私は課税上の問題として非常に問題があるのじゃないかというふうに思っているところであります。  ところで、もう一つ具体的な例を聞きたいと思いますが、仮にある宗教法人が周辺の土地を、例えば駐車場用地としてこれを買い取る、取得する。この場合において不動産取得税それから登録免許税、国税と地方税とありますけれども、これはどう課税されているのか、されないのか。要するに、これはあくまで収益事業、駐車場を経営するための用地として取得する場合にでもこの不動産取得税と登録免許税はどういうふうになっているのでしょうか、そこをお答えいただきたいと思います。
  118. 佐野徹治

    ○佐野政府委員 不動産取得税におきましても、先ほど固定資産税につきまして御説明申し上げましたけれども宗教法人が専らその本来の用に供する境内地につきましては非課税とされているところでございます。  今お尋ねございました神社仏閣の近くにある駐車場用地のような場合には、若干手続なり判断の手順を御説明させていただきますと、その宗教法人から、これは不動産取得税は都道府県の税でございますので、都道府県に非課税申告書等を提出していただきまして、その申告書をもとに、必要がございますれば現地調査も行い、その神社仏閣の実態だとかその用地の取得目的、それからその用地と既存の神社仏閣との距離だとかいろいろなことを総合的に判断をいたしまして、その宗教法人が専らその本来の用に供する境内地と認定される場合には、こういった場合には非課税とされるものでございます。
  119. 薄井信明

    ○薄井政府委員 登録免許税についての御質問でございます。  御指摘のようなケースであれば登録免許税はかかると考えていいのではないかと思います。
  120. 細谷治通

    ○細谷委員 大変判定に難しい問題があると思うのですね。本来目的のための信者用の駐車場なのか、それとも有料駐車場、要するに業として駐車場を営もうとしているのか、非常に判定は難しいと思うのですね。しかしながら、やはりこういうこともきちっと都道府県を指導していただいて、やはり取るものはきちっと取る、適正な課税というものにぜひ心がけていただきたいというふうに思う次第であります。  時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  121. 越智伊平

    越智委員長 次に、山口鶴男君。
  122. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 幾つかの質問をいたしたいと思います。  まず、宗教法人法ですが、宗教法人には本山のような包括法人、それから各地域にあります末寺といいますか被包括法人、それからそれ以外の単立法人とありますが、宗教法人法を制定いたしました昭和二十六年ごろは単立法人が、今問題になっておりますオウムのような、全国各地で活動をするあるいは外国まで行って活動をする、そのような巨大な単立法人ができるということは想定していなかったのではないかと思いますが、文部大臣、いかがですか。
  123. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 まさに、ただいま先生御指摘なさったとおりであります。
  124. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 したがって、その巨大な単立法人に問題がある、そこを何とかしていかなきゃならぬというふうに私は思います。そこで、今まで我が党の細谷さんとかあるいは自民党の七条さんとか、専門的立場から、税務の問題についてさまざまな角度から質問がございました。  そこで、私、お尋ねしたいと思うのですが、オウムの場合は、公益事業と収益事業と両方やっているだろうと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  125. 若林勝三

    ○若林政府委員 お答え申し上げます。  課税という面では、収益事業があるのかどうかという点について、税務当局としては非常に関心のあるところでございます。ただ、従来から個別問題については答弁を差し控えさせていただいておりますことを御理解いただきたいと思います。
  126. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 決まって国税庁次長のような御答弁をされるわけですよね。  そこで、法制局長官に聞きましょう。昭和四十九年、国会で国政調査権に基づいて資料の提出を求める、この国政調査権と、ただいま次長がお答えになったように、税務上、個々の問題についてはお答えしかねるといういわゆる守秘義務との関係について、政府として統一見解を出しておられますね、昭和四十九年十二月二十二日。それをお答えをいただきたいと思います。また、その後、これが変わっているのかどうか、あわせてお答えをいただきます。
  127. 大出峻郎

    ○大出政府委員 ただいま御指摘政府見解と申しますのは、昭和四十九年の十二月二十三日、三木内閣総理大臣答弁という形でもって示されたものだと思います。  この中身を申し上げますというと、一つとして、   いわゆる国政調査権は、憲法第六二条に由来  するものであり、国政の全般にわたってその適  正な行使が保障されなければならないことはい  うまでもないところである。   一方、憲法第六五条によって内閣に属するこ  ととされている行政権に属する公務の民主的か  つ能率的な運営を確保するために、国家公務員  には守秘義務が課されている。二つといたしまして、   そこで、国政調査権と国家公務員の守秘義務  との間において調整を必要とする場合が生ず  る。国政調査権に基づいて政府に対して要請が  あつた場合、その要請にこたえて職務上の秘密  を開披するかどうかは、守秘義務によってまも  られるべき公益と国政調査権の行使によって得  られるべき公益とを個々の事案ごとに比較衡量  することにより決定されるべきものと考える。三つといたしまして、   個々の事案について右の判断をする場合にお  いて、国会政府との見解が異なる場合が時に  生ずることは避け得ないところであろうが、政  府としては、国会の国政調査活動が十分その目  的を達成できるよう、政府立場から許される  最大限の協力をすべきものと考える。ということでございます。  この考え方につきましては、現在も同じ考え方であります。
  128. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ただいま法制局長官から政府統一見解についてお述べになりました。  オウムがあのような大変国民皆さん方を震駭させる重大な事件を数々起こしたわけであります。これだけ国民皆さん方オウムに対する関心、またオウムのやった行為に対する憤りというものが高まっておりますときは、私は、守秘義務によって守られるべき公益と、それから国政調査権によって--オウムが一千億と言われる膨大なお金をお集めになった。公益事業は非課税だ、したがって税務調査は難しいとおっしゃるかもしれぬが、しかし麻原彰晃初め役員は当然給料はもらっているわけでしょうから、そういう意味からは、私は、当然公益事業に関しても税務調査をやることはできるだろうと思います。また、収益事業をやっているとすれば、これは軽減税率ではあっても、収益事業に対して税務調査をやることは可能なわけです。  私は、国税庁はオウムに対して当然税務調査をやっていると思います。とすれば、守秘義務によって守られるべき公益と、それからオウムのような大それたことをしてかした、これに対して内容を明らかにせよという国民の要求、これを比較考量した場合は、私は、国政調査権にこたえるというのが当然ではないかと思うのです。  しかも、法制局長官が最後に言われたように、個々の事案について判断する場合において、国会政府見解が「異なる場合が時に生ずることは避け得ないところであろうが、政府としては、国会の国政調査活動が十分その目的を達成できるよう、政府立場から許される最大限の協力をすべきもの」だ、こう言っているのですから、まさにこれは、このオウムのような場合においては、この三項の「最大限の協力」という事項に当たるのではないか。法制局長官、どうですか。
  129. 大出峻郎

    ○大出政府委員 一般論として申し上げさせていただきたいと思いますが、個々の事案について、特定の事項が職務上の秘密に当たるかどうかということ、これに当たる場合において守秘義務によって守られるべき公益、先ほどの政府見解の中にあるわけでありますが、守秘義務によって守られるべき公益と国政調査権の行使によって得られるべき公益とを比較考量して国政調査権に基づく要請にこたえるべきかどうかという判断は、それぞれの行政を担当している部局、当該事項に係る事務を所掌する、そういう部局において判断されるべきことであるというふうに考えております。
  130. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 個々の事案は当該事務を処理している主管官庁で判断すべきものだ、それはそうでしょう。しかし一般論として、私が尋ねたようなオウムの問題に関しては三項の事項に当たるのではないかということは、これは法制局長官として私はお答えになってしかるべきだと思いますが、いかがですか。  出すか出さないかは別ですよ。とにかく三項のような事態オウムの場合は当たるのではないかという問題は、これは、個々のオウムの結果を出すか出さぬかは後、大蔵大臣に聞きますけれども、少なくとも三項が言っているようなものに類する案件ではないかということは、私はお答えになれるのじゃないかと思いますが、いかがです。
  131. 大出峻郎

    ○大出政府委員 ただいまの御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、それぞれの行政部局において判断されるべきことである。  ただ、先ほどの政府見解にもございますように、その場合の判断の態度といたしましても、政府としては国会の国政調査活動というものを十分目的達成できるように政府立場から許される最大限の協力をするべき、これは当然のことであるということであります。
  132. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 わかりました。そういうことで、三項に当たるものであるという趣旨のことはお答えになりました。  そこで、大蔵大臣にお尋ねするんですが、私は、大蔵大臣国民の期待にこたえて一つの大きな決断をされたと敬意を払っております。それは二つの信用組合、協和信用組合、安全信用組合ですか、あのことが予算委員会で問題になりました。そうして、大口の預金者、大口の貸付先、これについては少なくとも国会に報告すべきであるということが大きな問題になったと思います。従来は、いや、それは預金者保護のためにだめですというようなお答えだったんだろうと思いますが、しかし、やはり国政調査権に協力をするという意味で、具体的な名前は伏せましたけれども、大口預金者リストについては一応お出しになった。そういった、今までの政府統一見解の範囲ではありましょうけれども、個々の判断する場合におきまして、一歩進んだ、この国政調査権に対する協力をするということを事実をもってお示しになった大蔵省、村山内閣は、私はそういう意味では評価できると考えておる次第であります。  そういう立場から、オウムのようなまさに国民的な憤りが盛り上がっている事案に関して、税務調査の結果について、個々の事案であろうとも国会の国政調査権に協力する、そういう立場をおとりになるのではないか、大蔵大臣はそれだけの決断をされるのではないか、私はかように思っておりますが、いかがですか。
  133. 若林勝三

    ○若林政府委員 オウム真理教に対して税務調査を行ったかどうかというお尋ねでございます。  先ほど申し上げましたように個々の事案に当たるわけでございますけれども、一般的に申しますと、国税が調査をするかどうかという場合につきましては、まず、その対象となる法人が宗教法人の場合、収益事業をやっているかどうかさらには源泉徴収義務者としての義務を履行しているかどうかというようなことにつきまして、まず収益事業をやっておれば申告書が出てまいるわけでございますし、それとか、そのほかの情報によってその実態をそれなりに課税当局として把握するわけでございます。そうしてその中において、本当に課税当局として調査するだけの実態はあるのか、あくまで課税問題としてそういう実態はあるのかということについてよく念査をした上で、調査をするかどうかということを決めるわけでございます。  そういう意味におきまして、オウムについて、直接それに対してどうだったかということのお答えは差し控えさせていただくことをお許しいただきたいんでございますけれども、そういう実情の中で今まで推移してきた。そしてこれからも、我々としては、警察当局の情報とかそういうものを十分参考にしながら、今後必要とあれば調査も含めた対応をさせていただきたい、そういうふうに考えております。
  134. 武村正義

    ○武村国務大臣 国政調査権の行使に対する政府の協力につきましては、先ほど来山口議員が政府の統一見解第三項を基本にして御指摘のとおりであります。したがって、精いっぱい、最大限政府は協力をしなければならないという認識でおります。  問題は、二つの信用組合については、議院証言法等の要請等もいただきまして、これは形の上では東京都知事が決断するということでございましたが、私どもも真剣に東京都と話し合いをさせていただいて、一定の条件を付しておりましたけれども、精いっぱいの努力をさせていただいてああした決断に踏み切った次第でございます。  今回のオウムに対するお尋ねでございますが、今政府委員がお答えをしたとおりでございますが、国税の関係は、御承知のように他の一般的な公務員と違って、一段と厳しい罰則づきで守秘義務が課されているところでございます。そういうこともあって、今日まで個別の事例については答弁を差し控えてきたわけでございます。きょう私は、今御質問でこういう問題提起をいただいておりまして、今ここで直ちにお答えをする用意がございませんが、山口委員の御意見の御趣旨も踏まえながら、この問題についての大蔵省の考え方をきちっと整理をしなければならないと思っております。  ただ、今政府委員がお答えをしておりますように、収益事業をやっている実態があればほとんど調査に入っているんだと思うんです。これは一般論ですが、収益事業をやっていそうもないときには調査に入らない。何せ十八万件ある法人の中で一定の比率しか毎年調査に当たれない状況の中では、そういう実態で今日まで来ているということも御報告を申し上げておきます。
  135. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今の大蔵大臣の御答弁、国政調査権にはできる限り前向きに対応したい、大蔵省としての考えを改めて検討の上明らかにしたいというお答えは、これは一歩前進だと思って、結構だと思います。  ただ問題は、その後お述べになりました、収益事業をやっているかどうかその場合は税務調査の対象になるかと。そうしますと、公益事業だけでは対象にならないようなふうにもとり得るお話もあったんですが、しかし、先ほど申したように、仮に公益事業だけであったといたしましても、麻原彰晃を初め幹部職員は全く給与なしでやっておったということはあり得ないわけでありまして、当然給与を支払われておったことは間違いない、大勢の役員もおったわけでしょうから。そうなりますと、公益事業であっても、私は税務当局として税務調査をやる気になれば当然やれたはずだと思うんです。その点、明確にひとつお答えをいただきたいと思います。
  136. 若林勝三

    ○若林政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣がお答えになったことについてちょっと一言補足をさせていただきますと、収益事業をやっていたかやっていなかったかという問題ではなくて、税務調査としてわざわざ実地調査をやるような規模での収益事業が行われていたかどうかというような点で大臣がお答えいただいたというふうに理解いたしております。  そこで、じゃ仮に収益事業がないという場合については税務調査は行われないのかという点でございますけれども、その点につきましては、我々は、収益事業がなくても、今委員御質問にございましたように、給与等の支払いをやっておれば源泉徴収義務があるわけでございます。事実、我々、六事務年度で見てみますと、法人税の調査をやった件数は三百八十一件でございますけれども、源泉徴収税の調査をやったものが実は二千三百七十七件あるわけでございまして、この中に三百八十一件内訳として入ろうかと思います。いずれにいたしましても、必ずしも収益事業がなければ調査をやらないというものではないということでございます。(発言する者あり)  収益事業をやっておれば、調査をする場合の母数といいますか、それは、実は今我々が捕捉しておりますのは、平成六年では一万件余りが収益事業をやっておるわけでございます。そのうちの三百八十一件を調査させていただいて、その実説率が低い、高いの御議論はございますけれども、我々としては、そういう中で特に問題があるところを重点的に調査をしてきたということでございます。
  137. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも語尾がはっきりしないので困るのですけれども、要するに、源泉徴収等の問題もあるわけですから、収益事業をやらない宗教法人であっても、公益事業だけの宗教法人であっても税務調査をやる、やっているんだというふうに理解をいたしたいと思うのです。そうして、少なくとも、あれだけ世間を騒がせた巨大な宗教法人ですから、国税庁がほっておくということは私はあり得ないと思うのです。必ず調査はしてあるはずだと思います。  とすれば、国政調査権に基づく守秘義務との関係でも、これだけ大きな騒ぎになった問題なんですから、国民の憤激を買った問題なんですから国政調査権の要請にこたえるべきだ。オウムの税務調査の結果はどうであったか、これはひとつ、先ほど大蔵大臣が前向きに検討したいということでありましたから、ぜひ検討した上でこの国会にお示しをいただきたい、私はこのことを強くお願いをしておきます。大蔵大臣、いいでしょうな。
  138. 若林勝三

    ○若林政府委員 一言、これまでの経過ということで先ほども答弁をさせていただきましたけれども、我々が調査をやるかどうかにつきましては、収益事業をまずやっているかどうか収益事業をやっておったとしても規模として調査に値するのかどうか、さらには源泉徴収義務としての義務の履行の状況はどんな状態であろうかというようなことについて、まず、調査をやる前に我々としては資料、情報の収集をやるわけでございます。収益事業をやっておれば申告書も出ておりますし、その他のマスコミ情報等いろいろあるわけでございます。そういう中で検討いたしまして一要するに一万件のうち三百数十件の調査をやってきた中でございます。  すべての調査をやればそれにこしたことはないのかもしれませんけれども、やはりそれは現実問題として不可能であるわけでございます。そういった中で調査対象を選定いたしてやってきたということでございまして、そういう実態を持っているかどうか、そういう調査に値するかどうかということを十分念査をした上で、実地調査にするかどうかという点、判断をいたしておるわけでございます。  そういう中で実は推移してきたわけでございますけれども、今いろいろ問題になっております。そこで、我々としては、公安当局等いろいろな方面からの情報収集をいたしまして、調査をする必要があるのかどうか、そういうことについてもこれから検討して、適切に対応させていただきたいと思います。
  139. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 とにかく一千億からのお金を集めたと称しているわけですよね。記者会見等でもはっきり言っている。しかも、サリンを合成するのは大変化学的にも難しい装置を必要とするわけですから、膨大なお金もかかるでしょう。それからまた銃器もつくる、とにかくそういった形でさまざまな物騒な武器等をつくっているわけですから、そういった行動に対して国民の皆さんが大きな関心を持っている。そういうときに、これから検討して調査するかどうかなんてことは、私は国民の皆さんは許さぬと思いますよ。  私は、少なくとも国税当局は、今は守秘義務との関係があってあいまいな御答弁をされたのかどうか知りませんけれども、現実には調査をやっているはずだ、そうでなければ国民の期待にこたえるわけにはいかないというふうに思います。したがって、調査をしているでしょう、その結果を、それでは国会の求めに応じて国政調査権を尊重して明らかにするかどうかは、先ほど大蔵大臣がお答えになったわけですから、十分検討をいただいて、この国会の要請にこたえていただくよう、これはもう強く私は要請をいたしておきたいと思います。  文部大臣、私の要請を聞いて、いかがでしょうか。所管外でも一応感想はあるでしょう。
  140. 越智伊平

    越智委員長 島村文部大臣。  簡単に願います。
  141. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 先生の御意見、いつも伺っておりまして、私はいろいろ同感だと思うことが非常に多いわけでございます。今回のことは大蔵省当局にお任せをしたい、こう思います。・
  142. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 時間ですから、やはりこれだけの事件を起こした、また、冒頭文部大臣がお答えになったように、こういう巨大な単立法人ができることを当時の宗教法人法は予定していなかった。それがこのような事態が起きたということでありますから、宗教法人法、これで十分かどうかという議論はありますが、改正することは私は必要であると思います。  同時に、今私が提起いたしたような税務上の問題についても、これはやはり政府として国政調査権にこたえる意味で、私は前向きに国民の期待にこたえて検討いただくことを要請して、質問を終わっておきたいと存じます。
  143. 越智伊平

    越智委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  144. 越智伊平

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。五十嵐ふみひこ君。
  145. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 さきがけの五十嵐でございます。  宗教法人法改正案について御質問をさせていただきますけれども、私は、信教の自由ということについて、そもそも論から少し論を起こしたいと思うのです。  信教の自由は、もちろん、日本人である個人が何らかの信仰を持つ、あるいは信仰しない自由を持つということを保障するということであって、宗教団体が何をしてもいいということを保障するものではないということだろうとまず思います。  それからまた、信教の自由が奪われるケース、宗教弾圧という言葉がよく飛び交っていますけれども、これはどういうケースだろうかということを考えたとき、私どものこの日本国のような選挙制度に支えられた民主主義国にあっては、ただ単に政治権力が、あるいは政府が宗教団体を弾圧するということは到底考えられない。もちろん、選挙を通じて我々は権力を付与されるわけですから、むしろ権力を付与する側に上位の力が働くというのは当然のことだろうと思います。  そうすると、なぜ今の世の中で信教の自由を危惧しなければならないかということになると、これは特定の宗教国家権力と結びついたときに、その特定の宗教が排他的な宗教だった場合に、他の宗教を弾圧するのですね。これが信教の自由が危機に瀕する最大の原因になると私は思っております。すなわち、政教分離こそが実は信教の自由を守る一番大もとではないかということを考えているわけですね。  そうすると、政教分離というのはもっと厳密に考えられなければいけない。先ごろ、閣僚の懇談会の中でも、一九七〇年に内閣法制局が出されました憲法二十条の解釈の問題について、どうも現状と合わないのではないかという議論が成立をしていたとかいないとかいう話を伺っていますが、私も、政治活動に対してフリーハンドを得ているということはおかしいと。要するに、信教の自由を守るためには、これは政教分離がその基盤になっていなければいけないというふうに考えるものですから、このところをきちんとしないとならないだろうと私は思うのです。  そういう意味でも、現行の憲法の解釈あるいは宗教法人法の解釈についても私は多少疑念を持たざるを得ないし、その疑念の部分は宗教法人法改正して正していかなければならないと思っているわけでございます。  そして、特に宗教団体が政治団体と金銭関係を持って結びつくというところに、私は一番危惧を感じます。政治資金規正法の抜け道になるのではないか。一生懸命政党や政治家を規制をして、総量規制だ、あるいは個別規制だというのをやっているときに、無税のお金でほとんど管理監督をされない宗教団体の膨大なお金が政治団体に回されるというようなことがあれば、政治資金規正法や関連法令の抜け道になってしまって法体系を崩すもとになるのではないか、私はそのように考えております。  ですから、宗教法人政治活動に対する献金という問題についてきちんと整理をしていく必要がある、そのように思っておりますが、所管の大臣でいらっしゃいます自治大臣の御意見を伺いたいと思います。
  146. 深谷隆司

    深谷国務大臣 ただいまの五十嵐委員の御質問にお答え申し上げますが、宗教法人政治活動に関する寄附をする場合も、一般の団体が寄附をする行為とは全く同じでございます。したがいまして、寄附の総枠の制限であるとか、あるいは個別制限の適用を受けているということは当然のことでございます。  その制限や適用外のことがもしあったとすれば、これは問題だと思いますけれども、法の上では全く同じ取り扱いになっているということを申し上げます。
  147. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 しかし、例えば宗教団体の海外法人を通じて、そこから政治資金がこっそりと、これは非合法であるかもしれませんけれども、還流をしてくるというような危惧もないわけではない。  特に、都道府県が監督をしている宗教団体が海外に別の法人をつくる、これは目が届くはずがないわけでありますから、そこから政治団体にお金が回ってくるということはやはり厳に戒めなればいけないし、これを担保できるのはディスクロージャーだろう、私はそう思っております。そういう意味では、ディスクロージャーが盛り込まれた今回の宗教法人法というのはまことに適切なものだと思います。  また一方、例えば選挙の際に宗教団体の信者さんが大量動員をされる、選挙活動や組織活動に大量動員されるというようなことがあれば、通常は選挙法ではこれは寄附とみなされて、その活動分は金銭に置きかえられて規制を受けるものだと私は思っておりますけれども、かなり活発な活動を行われているにもかかわらず、そのような例を聞いたことがございません。  そのような問題についてもどうお考えになるか、もう一度自治大臣からお伺いしたいと思います。
  148. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 お答え申し上げます。  確かに、金銭以外にも労務の無償提供という場合も寄附に該当するというケースがあるわけでございますが、それぞれ選挙に関しては、その選挙運動収支報告でそうした内容があればきちんと報告していただく、また、政治活動に関しては各政治団体ごとに収支報告書を出していただくことになっておりますから、法はそうした事実に即して報告をしていただくということになっておりますので、現実がそういうことならばそのような処理をしていただく、それがそういう処理になっていなければそれぞれ罰則が適用される、こういう仕組みになっているわけでございます。
  149. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 建前はそうなわけですね。建前はそうですけれども、実際には、この間の夏の参議院選挙を見ましても、とにかく豊富な運動員が何回も戸別訪問をしてきて、泣いて特定の候補者への投票を依頼をしていく。これは立派な選挙運動でありまして、私は、それがきちんと選挙法にのっとって報告をされたという例は聞いておりません。恐らく、我々の実感と実際の、法律上といいますか、形式上の処理とが随分がけ離れているということを感じざるを得ないわけであります。  また、それが宗教施設をよりどころとしてそうした運動が行われているということも、私はある意味では確信を持って言えるわけですね、そういうところを目撃しておりますから。そうすると、これはやはり、選挙法は何なんだろうかということになりかねない。  それで、どうしてそういう事態が起きるかというと、やはりそれが宗教法人であるからなかなか微妙な問題があると思って手をつけられない、調査ができない、あるいは真剣に調べることができないということはあるのだろうと思うのです。  したがって、ここにおいても宗教法人は、そのまま宗教法人活動は何でも善であるという形で野放しにするわけにはいかないという理屈が出てくると思うのですね。形式上は整っているけれども実際はそうじゃないかということが余りにも多過ぎて、また、それが宗教法人であるがゆえに、詳しい綿密な調査に結びついていない。したがって、質問権といったものの、今度つくるわけですけれども、私は、適切な、もっと実は踏み込んで調査権が必要だったのではないかなと思っているわけですけれども、こういうことについても考えていかなければならないと思います。  それからもう一つは、宗教法人の収益活動についても、これは御存じのように三十三事業、ほとんど何でもできるということになっておりますけれども、今まで余り論じられていない観点から少し申し上げたいと思うのですが、やはり経済秩序を乱すことになりかねないというふうに私は思います。  大法人は同じ営利事業をやって三七・五%、中小法人は二八%、そして公益法人は二七%の税率でありますけれども、さらに宗教法人については二七%の損金算入が認められている。本体事業にこれを繰り入れる際には頭から二七%を控除するということでありますから、実質的な税率は一九・七%です。オウム真理教でもわかりますように、ラーメン屋でも何でもできるわけですね。隣のラーメン屋さんはもうけから二八%の税金を納めます。その隣の大企業のチェーン店のラーメン屋さんは三七・五%納めますというところで、そこで一九・七%の実質的な税率で商売ができる宗教法人が出てくれば、かなうわけがないわけであります。これが経済秩序に私は大変大きな影響を与えていくと思う。  かつてはそんなに大々的に収益事業をやる宗教法人というのは余りありませんでしたから余り問題になってこなかったけれども、大コングロマリットが出てきそうな状況になっているわけでありますから、このこと自体はやはり相当大きな経済秩序に対する問題としてとらえ直さなければいけないのではないか、そのように思っております。  この問題についても同僚議員から質問があったようですけれども、大蔵大臣に改めて、こうした観点からの宗教法人税制、特に収益事業についての税率等々について見直しのお考えがあるかどうか私ども与党の税調としても真剣に取り組んでいきたいと思っておりますが、そういう与党側の姿勢に対してどうお考えか、一言お伺いをしたいと思います。
  150. 武村正義

    ○武村国務大臣 既にお答えをしてきたところでございますが、この収益事業をめぐって幾つかの課題がございます。  そもそも、御指摘のように収益事業に対する軽減税率の問題、率の問題がありますし、対象事業の論議もあろうかと思います。そして、今の御指摘のみなし寄附金制度についても論議がございますし、また、金融資産収益についても午前中も議論がございました。こうした点について、かねてからも議論があるようでございますが、政府税調におきましても、また与党税調におきましても真剣な論議が行われていくというふうに私どもは思っておりまして、そういった真剣な論議を見ながら政府の方針を判断をさせていただきたいというふうに思っております。
  151. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 政府側においても真剣な論議をなさるということでございますので、期待を申し上げたいと思います。  私どもも、実は旧連立のときからこの問題に取り組んでおりまして、旧連立ての、自民党さんが入っていない連立てのこの問題での税制論議でも、実はその当時三〇%だった損金算入率を二七%に引き下げさせていただいた。これは旧連立、今野党席にいらっしゃる先生方の代表も入られた席で決められたのがこの税率の引き下げでございますので、そういう意味では、私は大きな……(発言する者あり)控除率です。事実上の税率の引き下げですね。それは一%相当分ということだったわけですけれども、税率にしました。損金算入率と最初から言っていますから。そういうことをさせていただきましたので、その点については私は幅広く土俵にのり得る問題だろうと思っております。  それから、そもそも宗教法人を含む公益法人の税については、私はいろいろな時代の変化に対応した問題点が浮かび上がってきていると思います。特に宗教法人につきましては、先ほども申しましたけれども、これほど収益事業を盛んにおやりになるようになるとは想定されていなかったということだろうと思います。  一例を申し上げます。私の地元に狭山市あるいは所沢市というところがありますが、この狭山市、所沢市にまたがって、オオタカの森と言われる武蔵野の平地林、これが自然のままに残されております。ここには、レッドデータブックに載っている絶滅危惧種のオオタカが生息をしていることが確認をされております。この貴重な武蔵野の平地林が、雑木林でありますけれども、今大幅な伐採の危機に瀕していまして、秋田県のある仏教のお寺が、宗教法人ですが、ここに大規模霊園を開発をするという申請を行っているところであります。  私は、環境庁長官にも陳情を申し上げたところですけれども宗教活動であるからいいのか、書類がそろっていれば許可せざるを得ないのかという問題なわけですけれども、これは確かに地方税法の本則で、墓地については例えば固定資産税を非課税とするという規定がございます。ありますけれども、これは父祖の地を敬うという、そういう日本人の気持ちに配慮したものであり、また、これは宗教上の紛れもない施設だということでそういう規定になっているんだと思います。  しかし、こんなに霊園ビジネスというようなものが盛んになることはその当時想定をされていなかったと思う。しかも、私は、人を埋葬し、信仰し、敬うということが行動として伴っていなければならないと思うのですね、宗教活動と言うからには。それは、今生きている人間の心に平安をもたらすという公益性、こういったものに着目をしているわけですから、いわゆる檀家回りというような活動が付随していなければ本来おかしいのではないかなと思うところがございます。  秋田県のお寺さんが私の選挙区に檀家が一軒もいるはずがないわけであります。全く秋田の遠く離れたところでふだん宗教法人としての活動をされているところが、なぜ私のところで霊園を開発しなければならないか。恐らくは、事実上の経営者は別にいて、名義を貸したということなんだろうと思うのです。許可をとるために名義を貸した。そこには金銭上のやりとりがあったかと思われますが。これは事実上不動産業者による霊園ビジネスであって、私は宗教活動ではないと思っているわけです。こういうところにも税法上の優遇措置がいかざるを得ないというところにも大きな問題があると思いますね。  こうした点を考えても、単に宗教と名がつけば、あるいは宗教法人と名がつけば何でもできる、何でも優遇だというわけにはいかないという端的な例がここにはあると私は思います。  もう一つ申し上げます。これも既に報道されていることですけれども、コスモ信用組合の前理事長さんの御自宅がお寺の格好をしているわけですね。宗教法人にちゃんと認証を得ている。しかし、事実上はそこには信者さんの一人も訪れてこない。自宅として使っているということですね。別の大きな製薬会社をお持ちですから、社員さんを信者さんということにしたのかどうかわかりませんけれども、認証当時には確かに信者さんがいて、そういう形式を整えたのでしょうけれども、しかし、事実上は自宅として使っているというようなことが、これはもう事実として報道をされている。  姿形がお寺の格好をしているからといって宗教施設とは限らないということですから、事実上その宗教活動について、何らかの第三者機関によるチェックとか自己によるチェックによる開示で、ディスクロージャーでもいいと思うのですが、何らかのコントロールがなければやはりおかしいだろう。社会的な存在なわけですから、宗教法人も。  しかも、これは税法上の優遇措置を受けている存在でありますから、それに見合うだけの自己規制なり、法律的な規制というものはやはり伴わなければならないだろうと思っておりますが、こうした点について、今固定資産税のことも申し上げましたが、法律を見直すというのは、古い法律でございますし、また本則でありますからなかなか難しいかと思いますけれども、こういった問題についても問題意識がおわかりになっていただけたかどうか、自治大臣からお伺いをしたいと思います。
  152. 深谷隆司

    深谷国務大臣 五十嵐委員の御指摘の内容はよくわかっております。そして、墓地の問題についてもさまざまな意見があることも承知しております。  しかし、墓地に関しましては、現在の法律の規定の中で、なかなか五十嵐委員指摘するような方向の指示ができない。しかし、実際問題として、提出された書類が例えば疑義があるとか問題があった場合には、現在の法律でも変更するということは可能であることは確かであります。しかし、実際問題としてはだめということになっていないというのが現実であります。  これらの問題については、五十嵐委員の発言のような御意見も多うございますから、これから十分に議会でも検討すべき内容ではないかと思います。
  153. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 それから、こういった問題が起きるときにすぐ護送船団方式が出てくるのですね。どういうことかと申しますと、いわゆる村の鎮守、村人たちがお金を出し合って維持をしているような小さな社、ほこら、神社といったものに税の過重な負担がかかれば、これはもう全然成立しなくなってしまうということなのですね。ですから、村の鎮守を守るためにはそんなに過酷な税は課せられないんだというのが大体そういうときに出てくる理屈なのです。  そのとおりなのですけれども、そういういわば協同組合的な宗教法人とか宗教施設と、もうばんばん収益事業をやって、あるいは本体の巨大な収入を、寄附、寄附金も含めて持っている大法人とでは、私は扱いは違って当然だと思うのですね。ちょうど生活協同組合でも灘生協のような大きいものについては税率を分けて考えようという考え方が起きて、実際今そうなっております。  ですから、宗教法人についても大法人と小さな村人の間の互助組織的な組織とでは、僕は同列に扱う方がむしろおかしいと思っておりますが、その点について文部大臣と大蔵大臣からお伺いをしたいと思います。
  154. 薄井信明

    ○薄井政府委員 お答え申し上げます。  先ほど大臣からお答えしましたように、そもそも今の軽減税率につきましては、通常の法人との関係で低過ぎる、これを通常の法人並みに縮小する方向で見直すべきであるということが政府税調でもたびたび言われているところでございます。その際に、近づけ方として、先生の御指摘のようなやり方があるのかどうか、観念的にはあると思いますが、宗教法人を大小で差をつけることの適、不適、そういった問題も含めて議論は重ねていかなければならないと思っております。
  155. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 宗教法人をただ単に大小で区別するのではなくて、収益事業の大小で税務上の観点からこれをやることは十分可能だろうと思います。  それからもう一つは、よくこれも指摘されることなのですが、お布施というのは、信者さんの方からの心からの好意だから無税にするということなのですね。これを宗教法人側が財務と称してノルマを課したり、あるいは水準を決めて料金設定的にやる行為については、これは明らかにお布施じゃないのですね。私は贈与税が課せられるべき性質のものではないかなと思っております。したがって、何でも宗教に絡んで取ったお金は無税だというのは、これはおかしいと思う。  実例を申し上げます。私の知り合いが先日亡くなりました。実は私の秘書だったわけですけれども、あるお寺さんから最初八十二万ぐらいが相場ですよと言われました、お葬式一式ですね、初七日まで。ところが、社葬でかなり人が来るということがわかったら、三百万と言い直してきたわけですね。それは余りにひどいじゃないですかと言うと、じゃ百五十万にまけときますと、バナナのたたき売りじゃあるまいし。しかし、葬儀を挙げていただく方から半分にしておきますと言われたら、それ以上は信者さんは抗弁できないですよ。これは一種の押しつけであり、料金ですね。これは私はお布施ではないと思います。  こうしたことがまかり通っているのは、要するに宗教法人であれば何でもフリーだと思っているところにつけ込んでいるわけですから、私はこういうのはもっと厳密に考えるべきだ。財務と称してあなたのところは一千万が普通だとか五百万が普通だとかいう巨額のお金を要求するような行為は、私は自律的にも戒められなければならないし、あるいは、どこかでこういう問題点についてはきちっとしなければいけないという面があると思います。  こういう点についても、私は、ぜひ宗教法人審議会の議を経て質問権をきちんと得て、ちゃんと問題点があるところは国民の前に明らかになるようなことでなければならないと思います。そうでないと、これから高齢化社会でみんなで社会の経費を、重い負担を負っていきましょうという時代に、そんな自分だけ勝手なことをしている、税が助かっているという存在が社会的にあるということ自体が、日本の社会全体の秩序を壊す、あるいは公共の福祉を壊す大もとになりかねない。そういう観点からも、この超高齢化社会を迎えた日本については、税に関する不公正、不公平というものがあってはならないと私は考える次第であります。  それからもう一つ間違えられていることに、宗教活動なら何でも許される。これは霊視商法にもつながっていくわけですけれども、いわゆる基本的人権一つです、信教の自由も。しかし、そのほかの基本的な人権も我々はみんな持っているわけです。それを侵してまで認められるような宗教法人に対する信教の自由は与えられていないと私は思っています。  つまり、入信しないとおたくに悪いこと、家族に悪いことが起きますよ、お父さんが死んじゃいますよ、あるいは宝塔を買わないとけが人が出ますよというようなことは、基本的な人権に対する侵害なんです。自分はそう思っているからといって相手にここまで押しつける、これは宗教活動、いわゆる布教活動の一環として許されるかというと、私は、厳密に言えばこれは国民の権利の乱用であり、憲法十二条にむしろ反する行為だと思うわけですけれども、実際にはそれがまかり通っている。  こういうことについても、やはり基本的な人権の一つに信教の自由はあるわけですけれども、これをもって他人の信教の自由を妨げてはならない。要するに、威迫という行為によって布教活動をすることは私は許されないというふうに思いますけれども、その点について、どうも今まで日本においては余りにもルーズだった。他人のうちに土足で上がり込んで、あなた、邪教を信じたら悪いことになりますよ、あなたのうちは滅亡しますよなんということを平気で言って歩く布教活動が許されてきたという面が私はあると思います。  この点について文部大臣の御所見を伺いたいと思います。
  156. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 先生御存じのとおり、現行宗教法人約十八万四千ございます。なるほど今先生御指摘の面について、指摘を受ける宗教法人もあり、また、例えば全く活動していない休眠法人もある、あるいはその法人格を売買するといった不当な活動をしている宗教法人、いろいろ問題のあるところでございますが、先ほどお話にありました質問権その他の行使、これにつきましては、御承知のように法七十九、八十、八十一条、すなわち収益事業の停止命令あるいは認証の取り消し、解散命令の請求、この三点に限り疑問がある場合に宗教法人審議会に諮ってこれを行使する、こういうことでございます。
  157. 五十嵐ふみひこ

    ○五十嵐(ふ)委員 そのような制度の活用をこれからしていただきたいと思います。  とにかく、私どもの社会は、非常にめり張りがきいていない部分、お互いになあなあで許し合っている部分がありますけれども、きちんとした責任の取り方というのは必要だろうと思います。また、実際にはやっているわけですね。宗教法人も、いい宗教法人が実際にはたくさんあります。固定資産税が免除されている部分をちゃんと自治体に寄附をしている宗教法人もたくさんあります。あるいは、私も実は子供のころから宗教法人といいますか、出入りをしている宗教がございまして、そこでは毎年度、会計報告がきちんとなされております。まともな宗教は僕はちゃんとやっていると思っています。  そして、税金の面に関していいますと、税金というのは公共の福祉のために使われるものですから、本来宗教活動と合致をしている。公共の福祉のために宗教もあるわけですから、公共の福祉のために使われる税金を払いたがらない宗教があるということは、本来私は自己矛盾だと思っているわけですね。ですから、そういう意味からも、こういう面については、特に経済活動の面については、これは現世にある存在としてきちんとするというのがむしろ宗教本来のあり方だということを指摘をさせていただいて、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  158. 越智伊平

    越智委員長 次に、松本善明君。
  159. 松本善明

    松本(善)委員 本委員会で一昨日、正森委員が、宗教法人法上予定をされていないと総理の言われました、選挙活動を行うことを主たる目的とする、こうとられても仕方がない活動をする宗教団体について質問をいたしました。  これに関連して質問をするわけでありますが、私はここに、ことしの参議院選挙の直前、「旧公明党・創価学会の選挙支援要請の対応について(依頼)」そういう表題の文書を持っております。これは、ことしの六月八日付で安田火災本社営業開発第一部長が各地の総務管理部長あてに出したものであります。  表題に続いて次のように書かれております。「掲題につきまして下記のとおりご連絡いたします。学会管財契約」、これは建物、施設、自動車など創価学会が管理をしている財産の保険契約であります。「学会管財契約に参入している他社に対しても同様の要請があり、協力度合がシェアに反映されますので対応方よろしくお願い申し上げます。」ということであります。「他社」の後に括弧つきで、「東京海上(推定シェア五〇%)、住友(同一五%)、日火(同一〇%)、富士(数%)、cf」参考ですね、「当社(二〇%)」とあります。協力度合いがシェア、市場占有率に反映されるというのですから、典型的な利害誘導であると思います。しかも、選挙区内の名簿を作成して、それを「学会から支社への訪問があれば、その時に渡して下さい。」こういうふうに書いてございます。  これを受けて、私はもう一つ持っているのですが、近畿の総務管理部長が部店長、管理職にあてて出した社外秘の文書があります。それは白浜一良氏の経歴書と個人の支持カード、こういう写真入りの経歴書が添付をされております。そして、個人支持カードの作成、その提出期限が指示をされておりまして、実際にその期限までにこれが実行されたということでありますし、日動火災でも同じようなことが行われているということを確認をしております。  これは買収及び利害誘導罪を規定しました公選法二百二十一条一項二号、「当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもって選挙人又は選挙運動者に対しその者又はその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して誘導をしたとき。」に当たるのではないか。この「特殊の直接利害関係を利用して誘導をした」ということに当たるのではないかと思います。この違反は、三年以下の懲役もしくは禁錮または五十万円以下の罰金となります。自治省、どうでしょう。
  160. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 お答えいたします。  公職選挙法第二百二十一条一項に規定されております利害誘導罪については、先生今御指摘になったとおりの条文でございますし、罰則もそのようだと理解しております。  ただ、具体の事案がこうした公選法の二百二十一条に違反をするかどうかについては、あくまでも行為の実態に即して個々に判断をされるべき問題であるというふうに考えておりまして、私ども自治省といたしましては、そうした事実関係を承知しておりませんし、また具体の事案につき断定的な判断をする立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  161. 松本善明

    松本(善)委員 それでは、具体的事案についてではなくて、この「特殊の直接利害関係」という中に保険が入るかどうか、それをお聞きしたい。保険契約。
  162. 谷合靖夫

    ○谷合政府委員 お答えを申し上げます。  公選法の第二百二十一条の一項二号の「特殊の直接利害関係」に挙げられております「用水、小作、債権、寄附その他」、こういうふうになっておりますが、これは例示であるというふうに私ども理解をしております。だから、具体の態様にもよりますけれども、そうした契約関係というようなものが否定をされないケースも具体の態様によってはあり得るのではないだろうかというふうには考えております。
  163. 松本善明

    松本(善)委員 今、例示であるという答えがありました。まあ国会でありますのでそれ以上の答弁は望めないのかもしれませんけれども、この公選法二百二十一条一項二号に該当することを否定しなかったということを私は重視をしたいと思います。私は、この条項に該当する疑いが極めて強いと考えますが、ここで犯罪捜査について質問する考えはありません。  大蔵大臣、よく聞いておいてください。大蔵大臣に対する質問になります。  ただ、日本の大保険会社に企業ぐるみの極めて違法性の強い選挙支援をさせるほどの膨大な財産であります。非課税でこういう膨大な財産をつくり上げてこういう活動をするということを野放しにするわけにはいかないのではないだろうか。憲法の政教分離の解釈については、閣内でもいろいろ議論があったようでありますし、ただいまもここで議論がありました。しかし、少なくともその精神には真っ向から反しているのではないかというふうに思います。また、宗教法人に予定をされている公益性にも全く反するものだ。これは普通の神社だとかお寺の敷地、建物、お布施などを非課税にするのとわけが違う。  こういう活動をする宗教団体に非課税措置がとられることについて、一昨日総理は、検討しなければならない課題と答えた。大蔵大臣は、非課税の中で宗教活動でない使い方がされているならば、この矛盾をどうするかは奥の深いテーマだが、真剣に見詰めなければならないと思っているというふうに答弁をされました。  大蔵大臣、私の挙げました例をお聞きになって、こういうことをそのまま放置しておいていいと思われるか、私は一歩進んだ答弁を期待するものであります。
  164. 薄井信明

    ○薄井政府委員 現在の公益法人等に対する課税の仕組みからいたしますと、宗教団体がどの程度の政治活動ができるのか、あるいは宗教団体の公益活動というものをどう位置づけるのかということと税法とは直接に結びつかないところでございまして、私どもといたしましては、収益事業が何であるか、そちらからアプローチしているという法体系にございます。国によってはいろいろな対応をしておりますが、我が国のように各省庁がその法人の設立を認可し、そこにお任せした上で税法が対応している体系のもとでは、御指摘のような点についてはなかなか踏み込めないと考えております。
  165. 松本善明

    松本(善)委員 私の聞いておりますのは、現状がどうかということではないんですよ。これに対して政策的な対応をどうすべきであるかということを聞いているわけです。大蔵大臣答弁を求めます。
  166. 武村正義

    ○武村国務大臣 既にお答えをしてきたわけでありますが、我が国の公益法人に対する課税の姿勢としましては、今の政府委員の説明もそうでございますように、収益事業には課税をさせていただく、収益事業でないものは公益事業である、こういう認識に立っております。  問題は、収益事業でない公益事業の中に公益にかかわらないものがあるではないか、選挙応援は一体公益なのかどうかとかですね。明々白々なのは、オウム真理教のようなケースであります。こういう法律に違反する犯罪行為にまで、いわゆる宗教活動という名目で集められた非課税の金が使われている、こういう矛盾をどう見詰めるかということではないかと思います。  片方、私ども税を預かる立場からいきますと、民法三十四条を基本に置きながら、公益法人等という概念でその他の法人と同じに宗教法人も今日までは対応をしてきているわけでございます。そして、個々の公益法人の活動については、それぞれの所管官庁がまず指導監督をしていくということが基本になっておりまして、税はその後を追っかけるというふうな形できておりますために、税が前に出て、公益活動の中身に入って、これは非公益活動であるとかあるいは犯罪活動であるとかないとかということを国税当局が決めてかかるというのは大変難しい。そういう意味では、総括的に言えば、民法を含めた立法全体の中でこの問題は見詰めなければならないというふうに思っているわけであります。  問題意識を持ちながら、しかし大変幅の広い、根の深いテーマでございますだけに、国会も含めて真剣な論議が必要であるというふうに思っております。
  167. 松本善明

    松本(善)委員 文部大臣に伺います。  オウムのような凶悪な事件を再び起こさせないようにするということは、圧倒的な国民の要求であると思います。そのためには、オウムをここまで大きくした原因を検証して教訓をくみ取る、それを今後の施策に生かすということが国民に対する政治の責任でありますし、政治のまじめな対応というものはそういうものであろうかというふうに私は考えます。そのためには、法の不備、行政の立ちおくれ、それから初動捜査の問題など、すべての問題を俎上にのせて検討する必要があると思います。議題となっております宗教法人法改正も、その中の一つであると思います。  本委員会でもたびたび言われる、東京都にオウムの認証の取り消しを求めてオウム被害者の会とか上九一色村、富沢町、熊本県波野村の代表などが東京都に要請したときの対応が、都内ではトラブルは起きていないということだった。これはもうたびたび言われております。それに対する対応が、法の不備の問題も含めて被害者の期待にこたえられなかったことは極めて明らかであります。これが宗教法人の所轄を国にするということを含めた宗教法人法改正一つの根拠にもなっているというふうに思うのであります。  文部大臣に法の不備も含めて政治がこれに対応できなかった理由それから所感を伺いたいと思いますし、また、先ほど大蔵大臣に質問した問題について、大蔵大臣は、まず主管官庁だ、こういうふうにお答えになりました。これについてもあわせてお答えをいただきたいと思います。
  168. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 私、文部大臣に就任いたしまして、きょうはちょうど三月目でございます。私は文部大臣になる前の段階から、宗教法人法の内容その他につきまして、現在の社会情勢やあるいは宗教団体の実態に照らしてこれが適当だとは思いませんでした。しかしながら、世論の背景その他もなく、またオウム真理教事件のようなああいう衝撃的な事件がない段階におきましては、やはり信教の自由あるいは政教分離の原則という憲法の規定がむしろ前面に出ていたように私は受けとめておりました。  そういう意味で、今回、今御指摘のとおり、オウム真理教事件が起き、大変な被害者を生じ、国民を驚愕の底に落とし込んだわけでありますから、これに果断に対応するのは当然政治の務めである、こう心得ております。
  169. 松本善明

    松本(善)委員 坂本事件について国家公安委員長にお聞きしたい。  坂本事件オウムの原点だと各方面から言われております。これがオウムにとって成功したから次々と犯罪を拡大していったものであります。オウムをここまで大きくして、凶悪な犯罪を犯させるようになった結果から真剣に教訓をくみ出さなければならないと私は思います。  政治は結果責任であります。今の内閣の責任がすべてだというふうには言いませんけれども、この教訓を引き出すというのは今の内閣の責任であります。  それで、お聞きしたいのでありますが、坂本弁護士の夫人の都子さんのお父さん、父君の大山友之さんが坂本弁護士と家族を救う会のニュースに書いている文章を紹介いたします。こういうものであります。  「何故「失踪」なのか。何故六年もの歳月を必要としたのか、これらの疑問が解明されることを強く期待」するということを述べながら、「真実を知ることが娘たちの回向になり、」供養というような意味でしょうね、仏教上の言葉です。「回向になり、六年間も花も線香も手向けることの出来なかった心の傷を少しでも癒せると思います。また、再びこの種の犯罪を起こさせないことにつながると、固く信じています。」  失踪ということでありますが、大山さんの話では、救出署名の運動をしていたときに、そばを通る人が、何で夜逃げしたんだと。失踪というと、庶民の言うのは夜逃げなんですよ。というふうに言われた。ある議会に請願に行ったときも同じことを言われたという。夜逃げだとしてずっと扱われてきたのは親として絶対納得できないと、私はその気持ちはよくわかります。遺族にとっては耐えがたい心の痛みだったと思います。非業の死を遂げた坂本さん一家の遺族の方々の気持ちをどんなにお慰めしても済まないということではないかと思います。  大山さん初め遺族が、六年間花も線香も上げられなかった無念さ、夜逃げと言われ続けてきた悔しさに、警察の責任者として言わびるべきではないかと私は思うのです。  官房長官に私は内閣委員会で同じ質問をいたしました。官房長官は素直に申しわけないと思っているというふうに答弁をされました。国家公安委員長は直接の責任者であります。どう思われますか。
  170. 深谷隆司

    深谷国務大臣 坂本弁護士事件については、神奈川県警察で、事件発生直後から、同弁護士一家が何らかの被害に遭っている可能性が極めて高いというので捜査本部を設置いたして、それから懸命な努力をいたしたわけでございます。証拠が数少なく、この捜査は非常に難航をきわめました。結果において長い年月かかったわけでございまして、その間一日千秋の思いでお待ちになっておられた御家族にとっては、そのお気持ちははかり知れない苦しみであったと思います。  私どもは、そういう意味から、長い年月御苦労なさったその心情は察するに余りあると存じまして、心からお悔やみを申し上げたい、そのように思っております。
  171. 松本善明

    松本(善)委員 わびるというような気持ちはありませんか。
  172. 深谷隆司

    深谷国務大臣 私は、捜査過程において、警察当局が重大なミスを犯したという認識を持っておりません。したがいまして、その警察の所轄の責任者である大臣として、おわびをするという思いでなくて、お気の毒であったということを認め、心から哀悼の意を表したい。  そして、その御家族の皆さんにお報いする唯一の道は、この問題を完全に解決をし、オウム真理教のような事件が再び起こらないようにする、全力を挙げて警察がこれらの問題の再発を防ぐ、そのことだと考えております。
  173. 松本善明

    松本(善)委員 今の警察の態度については、これは坂本さんの葬儀にも警察の幹部がたくさん参加をされました。私は、それなりに一生懸命やっていると思います。  警察がけしからぬということで今質問をしているのではなくて、六年間もかかったこと、失踪としてやってきたことについて、これは警察はそれぞれいろいろ事情があったんだということを言うかもしれないけれども政治家というか、大臣国民立場に立って、これでよかったのかどうかということを究明し、国民の前に明らかにする責任がある、一段高い立場に立ってこれを見なければならないんじゃないかというふうに思うのです。  それで、一つ一つ申し上げますが、第一に失踪かどうかということであります。これは現場が何よりも物語っていると思うのです。履物がそろっているのです。おむつも全部たたんでしまってあるのです。かぎ、財布、手帳、預金通帳、印鑑、キャッシュカード、クレジットカード、みんなそろっています。何らかの形で、みずからの意思で家を出るということならば、あり得ないものが、持っていかなければならぬものが全部そろっているのですよ。友人、家族も、だれも家出しなければならない理由は全く考えられない。何で失踪ということにしたのですか。失踪としたことが正しかったと思っていますか。  あなたは国家公安委員長として、いろいろ質問されたと思います。しかし、常識的に考えて、これを失踪事件として扱ってきたことが正しかったのか。何と考えておられますか。
  174. 深谷隆司

    深谷国務大臣 具体的な捜査の経過については担当者から答弁させたいと思います。  ただ、私もいろいろな当時の様子を聞いておるのでありますが、おられなくなりましてから三日後にお母さんから届け出があったのであります。その間の状況を聞いてみますと、いつ帰ってくるかという思いでお待ちになっておられたという背景もあったようであります。ですから、当時の状況としてはいろいろな判断があつだろうと思います。  しかし、いずれにしましても、これは重大な何らかの被害に遭ったという可能性があるものでありますから、直ちに捜査本部を組みまして、百二十名の捜査本部を設置して捜査を開始しておるわけでありますから、そういう意味では、具体的な内容は答えさせますけれども、当初の状況としてはさまざまな判断があったことはやむを得なかったのかなという思いを私は持っております。
  175. 松本善明

    松本(善)委員 国家公安委員長として、私伺いたいのは、三日たってから--それは殺されているとは思わないです、その場ですぐ、だれも。それはやはり拉致されて、公開しないで捜査をした方がいいんじゃないか、あるいはどういうふうにするかということ、いろいろそれは家族としては考えるから、当然そういうことはあり得ると思いますよ。あり得ると思うけれども、いつまでたっても、例えば預金を引き出したという形跡もなければ何にもないわけですよ。いつまでたっても捜査は失踪ということでやってきた。  私は、きょう細かいことを警察から聞こうと思わないです。しかし、私が注目したいのは、国家公安委員長、私が申しましたようなことについては公刊物でいっぱい出ていることなんですよ。それを警察に頼らないで、大臣として直接これは一体どうだったんだろうかということを考えなくちゃいけないんじゃないかというふうに私は思うのですよ。そういう点がまだなされていないとすればなさるべきだということを申し上げて、警察答弁は結構ですが、いつ失踪ということが別の件名になったのでしょうか。今では殺人というのは明白でありますけれども、いつ失踪というのが変わったんですか。
  176. 深谷隆司

    深谷国務大臣 具体的な経過、その日時については担当者から答えます。
  177. 松本善明

    松本(善)委員 これは答えてもいいけれども、時間があと三十分もあれば幾らでも答えてほしいんですけれども、私は、そういうことを大臣が疑問に思わず、自分で把握しておられないというのは非常に残念であります。極めて残念であります。  あと時間があれば答えてもらいますが、もう一つ幾つかの問題点を余り時間がありませんので先に言っておきます。  プルシャは現場に残されました極めて重要な物的証拠であります。十一月三日に坂本さん一家が殺害されるのですが、青山吉伸は、十一月七日、坂本弁護士の所属する横浜法律事務所で教団本部に問い合わせをしながら次のように語りました。このバッジはプルシャというもので市販はしていません、オウム真理教のセミナーに出席して修了した者みんなに与えられます、セミナーの受講者は名簿があるのでだれがプルシャを持っているかは確認できます、プルシャを持っている信者は全体の二分の一もいませんと。これは極めて重要な手がかりであります、現場に残された。  ところが、警察は直ちに事情聴取に着手をしませんでした。十一月十八日、オウムは記者会見をして、警察からの要請があれば捜査に協力をする。それまでは何もしていないのです。そして、その翌十九日、犯行の日から十六日後になって初めて神奈川県警はオウム真理教捜査協力を求めた。ところが、オウムに修行を理由に拒否をされる。二十一日には、麻原初め幹部クラスはほとんど全員ドイツに向けて出国したのです。  それで初動捜査はよいのか、手落ちはないのか、こういう問題を大臣検討しなければ、だれが検討するんですか。警察は、私たち、一生懸命やりましたと言うんでしょう。私が最初にこれは結果責任だということを申し上げましたのは、それなんですよ。結果は、六年かかっているじゃないか。この問題について大臣として真剣に取り組むべきじゃないか。  私は、細かい説明を聞こうと思いません。大体わかるんですよ、何を言うか。そういうことじゃないんですよ。国会議員でもある大臣が、この問題についてどう取り組んでおられるかということを聞きたいんですよ。あなた、これを聞かれてどう思われますか。
  178. 深谷隆司

    深谷国務大臣 私は国家公安委員長として、事態の重大さを十分承知し、捜査の経過についても報告を受けております。しかし、国家公安委員長というのは、捜査を指揮したりあるいは命令を下す立場ではございません。いわゆるシビリアンコントロールといって、地方警察が適正な行動をとり、国民の治安を守っているかどうかを報告を受けながら指導する立場であります。  あなたのお気持ちはよくわかりますけれども、私の立場ではないということを御理解いただきたい。
  179. 松本善明

    松本(善)委員 国家公安委員長、私は公安委員長立場はよく知っております。今、捜査を指揮しろと言っているんではないんですよ。この捜査あり方について検討する必要があるんじゃないか、政治立場から。これは宗教法人法の見直しも同じですよ。それから、行政の立ちおくれで一体これはどうだったのかというのも同じですよ。これだけ凶悪なんですから、これは、やはり警察対応というのは非常に重要です。そういう意味で聞いているんですよ。  私は、何もこれであなたとのつき合いが終わりになるわけじゃないから、それはもう幾らでも時間がありますから、きょうはなくても、さらに聞こうと思いますけれども、問題提起だけはしておきましょう。  坂本弁護士がどういうふうにこの問題に取り組んでいたかということを調べますと、坂本さんが殺されたというのがよくわかるんですよ。彼は非常に緻密な弁護士で、私は彼のこの問題に関するメモをずっと見ましたけれども、殺される十一月三日までオウムの認証を阻止するために活動しているのですね。その形跡がありありと残っています。  六月二十一日に東京都の「都」と書いてある。六月二十八日に「都にTEL」、電話した、「都の慣行で受理の段階で審査する 受理すれば認証なかなか受理しなかった いろいろ苦情があったので 二〇数件親の苦情が寄せられている。」八月三日、「都庁 相談あれば都庁にきて」、八月二十四日、「都の山本氏よりTEL許可せざるを得ないかも知れない さまざまな情報を収集している」。オウムが認証されないための活動をやっていたのですね。  しかし、八月二十九日にオウム宗教法人と認証されて、十月二十一日には坂本さんの指導でオウム真理教被害者の会の設立がされます。その三日前のメモを見ますと、十八日のメモ、被害者の会の打ち合わせ会議の模様が出ていますが、その結論のところに都庁申し入れというのがあります。やはり認証された後なので、認証取り消しの運動を始めたものと思われます。  それで、十月三十一日に上祐、青山、早川なんかと有名な激論がありまして、そして十一月三日に殺害されるわけでありますけれども、そのちょっと前、九月二十日に、京都大学から血のイニシエーションなるものが全くでたらめだという回答を彼は得ています。  それは、株式会社オウムが発行した「神通力麻原彰晃は魅せた」という本に、「血のイニシエーションを科学的に分析してみたらどうなるでしょうか。京大の医学部で尊師の血を研究して見たところ、血液中のDNAに秘密があることがわかったのです。そこでは、尊師のDNAを体内に取り入れるとクンダリニーが上昇し潜在意識が現れるということが明らかになりました」とあるので、京大医学部に麻原の血液について研究したかと問い合わせた。全くないという回答。  私はその照会書と回答を持っておりますけれども、これはオウムの詐欺的な手法を完膚なきまで暴くことになりました。これがオウムにとっては存立の基礎を奪われる、坂本弁護士はそういう仕事をしていた、それが殺害の対象になった理由だと私は思いますが、私は、こういう点をもし本当に警察が把握していたら--坂本弁護士の活動についての認識不足があったんじゃないか。換言すれば、オウムが坂本弁護士に危害を加える可能性についての認識不足があったんじゃないかというふうに思わざるを得ないのですよ。初動捜査が適切なら六年もかからなかったと思います。  私はきょう、時間がもう過ぎましたのでこれ以上言うことはできませんけれども、しかし、この私の出した問題点はごく一部です、坂本問題についての初動捜査国家公安委員長が、私が申しましたような観点で果たしてこれでよかったのかどうかということについて検討をされるということを特に要求して、その答弁を求めて終わりにしたいと思います。
  180. 深谷隆司

    深谷国務大臣 先ほどから申しましたように、坂本弁護士がこのような状態になりましたことに対しては、警察も本当に心を痛めて、全力を挙げて捜査をしてまいったわけであります。結果において、今日のオウム真理教をあそこまで追い詰めることに成功したのは、そういう背景があったからだと思います。  しかし、結果において時間がかかったということについては、それは振り返って反省すべき点もあるし、こういうことを大事に、多くの教訓として受けとめていくということは私は当然なことだというふうに思っています。  しかし、国家公安委員長として、重大な捜査のミスがあった、誤りがあったということについて、少なくとも今までの報告の範囲の中で容認するわけにはまいらないと思っています。事件事件として徹底して捜査した、その結果において反省し、参考とすべきものは存分に参考として、二度とこういうことが起こらないようにするということが私たちの使命だと心得ています。
  181. 松本善明

    松本(善)委員 これで終わりますが、私は、一生懸命やった警察官もいるが、とんでもない警察官もいるということだけ指摘をしておきましょう。
  182. 越智伊平

    越智委員長 次に、土肥隆一君。
  183. 土肥隆一

    ○土肥委員 今回の宗教法人法改正に当たりまして一番大事な問題は、これまで他の公益法人、社団法人、財団法人、学校法人等、その公益法人との違いの唯一のメルクマールであった宗教法人との違い、つまり主務官庁あるいは所轄庁による調査権を今回の法改正で認めようということであります。したがって、それは同時に、国家行政宗教に対する……(発言する者あり)質問といい調査といい、同じことです。それを法文上明らかにした国会であります。  文部大臣、ある意味でこれは非常に宗教にかかわる、国家宗教の問題の重大な分かれ目の法案だと私は理解しているのです。文部大臣は確信を持って、今回の法改正宗教国家の問題に触れるものではないというふうに考えられるのか、その辺の最終的な御見解をお聞きしておきたいと思います。
  184. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 国家というのはいろいろな要素、いろいろな活動から成り立っているわけでありまして、やはり宗教なら宗教のいわば団体あるいはその法人格を得た法人等の御活動についても、それ相応の社会的要請というのは私はあると思います。そういう意味で、例えば認証を得たら、それはもうそのままでいいんだ、何をなさっても、何をなさるのかわからないのだ、これではやはり問題が出てくるのだろうと思います。  私は、そういう意味で、先般来何遍も申し上げておりますように、昭和二十六年制定のものでございますから、もう実情に沿わない面がたくさん出てきております。特に今度のオウム真理教事件に対する国民のいろいろな批判の高まり、あるいはこの改正を求める声等々もやはりそれなりの必然性を持っていた、そう受けとめているわけでありまして、したがって、何も必要的付議事項ではございませんが、あえて前文部大臣宗教法人審議会にその御検討を求めてその報告をいただいた、それをもとに今回法改正をしよう、これはまさに必要最小限である、そう受けとめております。
  185. 土肥隆一

    ○土肥委員 私はそうは思いません。やはりこれは宗教国家の分離、宗教政治の分離をうたった憲法の根本原則を侵すきっかけになる、少なくともそういう法案、法律改正だというふうに思っております。  では、内容に少し入らせていただきます。  二十五条の第三項でありますけれども信者その他の利害関係人で、正当な理由があれば、宗教法人内部文書を閲覧をさせなければならない、こううたいました。もしこれを当該宗教法人が、それは必要ありません、そういうものをあなたに示す必要はありません、こう言ったときに、一体その拒否の理由に対してこの法律はどういうふうに働いてくるのですか。
  186. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 この閲覧請求権につきましては、当該書類を見せてほしいということについて正当な利益があり、かつ不当な目的でないという者からそういう申請があれば見せなければいけないということでございますので、しかもその判断宗教法人がするわけでございます。したがいまして、その見せるという理由につきまして、宗教法人の側として、本当に正当な利益があるかどうか、不当な目的がないかどうか、宗教法人の方で御判断されるというものでございます。
  187. 土肥隆一

    ○土肥委員 そうしたら、もうこれは断ったらいいわけですね。その必要ありませんと断れば、それで済む話ですね。それでいいですか。ちょっと答えてください。
  188. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 正当な利益があり、かつ不当な目的でないということが条件でございますから、正当な利益がない、あるいは不当な目的であるということでございますと、第一義的には宗教法人判断することでございますので、それで断れるわけでございます。ただ、それに対して、信者その他の利害関係人が訴訟によってなお見せるという手段は残されておるということでございます。
  189. 土肥隆一

    ○土肥委員 そういうことです。訴訟に持ち込まなければ、この法文は貫徹しないというふうになっているわけでありますね。だから、初めからもうこれは訴訟を前提としなければ、この条文で利害関係者との話し合いは宗教法人とはできない、こういうふうに理解いたします。  もう一つ、七十八条ですけれども、今度は行政が入る場合でありますけれども、何らかの疑いを持った、そして何らかの疑いを持って、そして質問を行い、施設に立ち入る。そして、それを今度は疑義あると認めれば、宗教法人審議会にかける。こういう形で入るときにも、最後の規定で、いわゆる信教の自由を侵すものでもないし、あるいは第六項の犯罪捜査のために認められたものとも解釈してはならないということになりますと、これはもう断っていいわけですね。
  190. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 報告徴収、それから質問権のお尋ねでございますけれども、これにつきましては、いわゆる立入検査ではございませんので、所轄庁の側が宗教法人に対して施設に入って質問させてほしいということを考える場合があると思いますけれども、それに対して断られた場合は、立ち入って質問することはできないわけです。  しかし、それは場所を変えて、所轄庁の場所であるとか、あるいは第三者の場所において質問したり、あるいは報告を求めるということはできるわけでございます。
  191. 土肥隆一

    ○土肥委員 ですから、この法律によりますと利害関係者も法廷に訴えざるを得ない。それから行政マンも、いざ行ってみたら門前払いを食らうような法文なのです。  ですから、この法律でもし文部省の役人さんなり都道府県庁の宗務担当者が出かけていって何かできるかというと、何にもできないのじゃないか。そういう法文になっているのですが、それでいてこの法律は、今回のこの調査権とか、行政が少しでも情報をとりたいとかいうふうな意図が最初からあるわけでありますが、これで貫徹すると思われますか。
  192. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 今回の法改正でございますけれども、信教の自由、政教分離の原則をきちっと守った上で、しかし認証後、所轄庁が何らの情報も得られないということでは困るということでございまして、毎年度財務会計等の書類をお出しいただいて、それについて所轄庁としても情報を得ることができるわけでございますし、それから信者その他の利害関係人の閲覧ということで、これにおきましては、宗教法人自身の自主性を高め、透明性を高めるということもできるわけでございます。  さらに、御指摘の質問権、報告徴収権等があるわけでございますので、これらをあわせて、現在よりは適切な対応ができるというふうに考えているところでございます。
  193. 土肥隆一

    ○土肥委員 それじゃ、一切の調査に応じない、一切の対応をしない、そういう場合に、最終的にどうするのですか。これを解散させるのですか。何の、どこの法文に基づいて解散させるのですか、するとすれば。
  194. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 所轄庁としてきちっとした理由で書類の提出あるいは報告を求めたときに、これに対して宗教法人の側が故意に悪意を持って応じていただけないということであれば、罰則として過料の対象になるわけでございます。  それから、もちろん公共の福祉に著しく反するというようなことが明らかになる場合であれば、解散命令請求ということを行うこともできるわけでございます。
  195. 土肥隆一

    ○土肥委員 重ねてお尋ねしますけれども、法文のどこを適用して解散の請求までできるのですか。
  196. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 解散命令請求につきましては、第八十一条の一号、二号、三号、四号等で、所轄庁はこれらについてその解散を命ずることができるということが法文上明定されているところでございます。
  197. 土肥隆一

    ○土肥委員 質問を終わります。
  198. 越智伊平

    越智委員長 次に、中井洽君。
  199. 中井洽

    中井委員 島村文部大臣にお尋ねをいたします。  過日、イスラエルのラビン首相が暗殺をされました。まことに痛ましく残念なことであります。あの事件によって中近東の和平が後退をしない、このことを祈り、政府も真剣に、さらに中近東の和平前進にお力添えをいただきたいと思うのでありますが、残念なことに、総理大臣が葬儀に出席なさいませんでした。閣議の度等で、どうして出なかったかというような話、あるいは総理自身がどうして出ないという決断をされたのか、御存じでしたらお答えをいただきたい。
  200. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 詳しく存じておるわけではございませんが、たまたま特別委員会まで設けて、現にこの宗教法人に関する特別委員会もちょうど論議のいわば集中している段階、やはり総理とすれば国会審議を優先された、こう考えます。
  201. 中井洽

    中井委員 かつて社会党さんが野党第一党だった時代、あるいは自民党さんがおととし、去年と野党を経験なすった時代、なかなか国会の都合で大臣が海外の大事な会議に出られない、こういう残念なことがございました。また、今回総理大臣がイスラエルのラビン首相の葬儀に出られないということは、ひょっとしたら私ども新進党がだめだと言ったのじゃないかと心配をしまして確かめたところ、総理が行くとは言わずに外務大臣だ、こう言ってこられたから、どうぞと申し上げた。  私どもの党も含め、党幹部も含めて、総理がお行きになる、こういうことでしたら、宗教法の改正審議の途中であろうと、審議をそれでとめるというようなけちなことを言わずに行っていただいたのだと思うのです。大変残念だった、こういうふうに思います。  それほどこの宗教法の審議が大事なら、実はきょうも出てきてほしかったのでありますが、きょうは理事会で、一般質疑総理はお呼びにならないということであります。そのことを申し上げて質問に入りたい、このように思います。  昨日の閣議の後の閣僚懇談会で、武村大蔵大臣が口火を切られて、そして、江藤隆美長官が、あるいはまた野呂田芳成農水相や島村文部大臣も同じような意見を言われたということが各新聞に報じられております。それは、宗教団体が政治に関与するということが、政教分離を定めた憲法に触れるのではないか、こういう問題であります。  こういう議論がなされたのかどうか。ちょうど大蔵大臣が見えましたから、大蔵大臣が、宗教団体が個々の政治家を支持するのはいいが、政権を取ろうとする政治団体活動を野放しにすることはおかしいのではないかと口火を切られたというけれども、これは事実ですか。
  202. 武村正義

    ○武村国務大臣 閣僚懇というのは、閣議の終わった後、閣僚間で自由な意見交換をいたしておる場でございます。個別の中身についてはコメントを差し控えさせていただきます。  私個人としては、この国会の論議を聞いておりまして、憲法二十条後段の解釈でありますが、いわゆるいかなる宗教団体も、政治上の権力を行使してはならない。政教分離というときに、国家宗教に関与、介入してはならない。これは我々もよく認識をいたしておりますが、宗教団体が政治上の権力を行使してはならない、こう規定をいたしているところについて、これをどう解釈すべきなのか。法制局長官のこの委員会における答弁を私も聞いておりますが、何か三つぐらい解釈がある。  その中で第一の解釈、いわゆる統治権行為というのか、統治的権力というのか課税権とか立法権とか裁判権とか、こういった国家権力を宗教団体が行使することは許されない、こういうのが法制局のとっている解釈だというふうに私は理解をしているわけでございますが、そういうことについて、もう少し勉強を私個人としてはしたいなというふうに思っております。
  203. 中井洽

    中井委員 ただいまのお答えを聞いていますと、私は言ったのか言わないのかだけ聞いたのでありますが、法制局は三つぐらいの解釈があると言っておると、そのうちのどれか、一遍勉強するんだというふうにお答えになったと思うのでありますが、これは昭和四十五年以来きちっと統一見解を出されて、政府として変えずに来た問題であろう、このように思います。法制局長官、一度その見解を読んでください。
  204. 大出峻郎

    ○大出政府委員 ただいま昭和四十五年の統一見解というふうにおっしゃられましたが、このお尋ねのものは昭和四十五年三月三十一日付の質問主意書に対する内閣の答弁書を指すものと思います。この答弁書におきましては、いわゆる政教分離の原則につきまして、  政府としては、憲法の定める政教分離の原則は、  憲法第二十条第一項前段に規定する信教の自由  の保障を実質的なものにするため、国その他の  公の機関が、国権行使の場面において、宗教に  介入し、または関与することを排除する趣旨で  あると解しており、それをこえて、宗教団体又  は宗教団体が事実上支配する団体が、政治的活  動をすることをも排除している趣旨であるとは  考えていない。というふうにこの答弁書の中で述べているところでございます。
  205. 中井洽

    中井委員 その答弁書に述べられた見解は、現在も変えられておりませんね。確認だけいたします。
  206. 大出峻郎

    ○大出政府委員 現在も変わっておりません。
  207. 中井洽

    中井委員 この武村大蔵大臣の閣僚懇での発言に対して大出さんがそれをお述べになり、それに対して江藤総務庁長官が、政府見解が出されたころは創価学会など宗教団体が政治目的を持っていなかった、今は時代が変わったじゃないか、こういうことを言われて、それに対して島村文部大臣、あなたが賛成をなすって同じ意見を言われた、こう書かれておりますけれども、事実ですか。
  208. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 閣僚懇は、御承知のように閣僚間の自由な意見交換の……(中井委員「いや、そんなことを聞いていない、事実ですかと聞いている」と呼ぶ)個別の中身についてはコメントを差し控えたいと思います。
  209. 中井洽

    中井委員 武村大蔵大臣に聞きますが、この質問主意書はだれがつくったか御存じですか。これは質問主意書に対する政府答弁なんです、昭和四十五年のは。だれが質問したのか御存じですか。
  210. 武村正義

    ○武村国務大臣 知りません。
  211. 中井洽

    中井委員 文部大臣、知っていますか。
  212. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 存じません。
  213. 中井洽

    中井委員 これは、私どものかつての民社党の委員長をしておりました春日一幸先生がお書きになった質問主意書であります。そしてなお、政府の統一見解に対してさらにお尋ねになって、さらに議論を深めた中で統一見解が出されています。  御存じない方が多いかもしれませんが、春日一幸先生というのは本当に勉強した人であります。憲法のありとあらゆることを読んで、そして当時、大変失礼でありますが、江藤さんなんか全然、こういうことを言われたのだったら間違いだ。これを問題にしたのは創価学会の問題なのです。当時の民社党の委員長としてやったのです。これは勉強に勉強を重ねて命がけでやったのですよ。そして、それに対して政府見解がきちっと出されて、憲法上はこのとおりだ、こういうことになって、私どもも、その後から当選しましたけれども、公明党さんとはいろいろな積み重ねの中で政党としてきちっとおつき合いをして今日を迎えておる。  それに対して、どういう経過で質問主意書が出たか、どういう経過で統一見解が出たか、そういったことも御存じなくて、軽々しく調子に乗ってこういう大事なことを、閣僚懇談会ということであろうとも、皆さんは閣僚じゃないですか。そんなことを言われるのは僕は不見識だと思うのです。文部大臣、どうですか。
  214. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 春日先生は私よく記憶いたしておりますし、大蔵委員で御活躍で、大変な勉強家でございました。当時の春日先生の御活躍、いろいろな実績等にも尊敬を覚えております。  ただ、今中井先生おっしゃいますけれども、やはり社会環境、世界の情勢もいろいろ変わっていくことですから、それはそのときそのときに、閣僚といえども自由に議論をし、あるべき姿を求めるということ自体は私は間違いてない、こう思います。
  215. 中井洽

    中井委員 私は、閣僚が何を言うたらだめだとか、そんな生意気なことを申しません。自由におやりいただければ結構だ。しかし、その前には、やはりどうして統一見解が出たかとか、どういうことが中に書いてあるのかとか、おやりになるべきだと私は思います。少なくとも、私どもも今読み返してみても、春日さんの質問そのものは、やはり今の憲法論議あるいは宗教に対する論議、これらを十分クリアできる質問をされておる。そして、答えも立派なものだ。私はそれで結構だ、このように思います。どうぞひとつ、また次回の機会にでも議論するところがあろうと思いますが、大変生意気でありますが、御一読を賜りたい。大蔵大臣にもお願いをしておきます。  それでは、法案の中に入ってまいりたいと思います。かなりのことが論議されておりますので、重なる点はお許しをいただきたい。同時に、できる限り違う観点から論議をしていきたいと思います。  オウムの問題に端を発した今回の法案の改正であることは間違いないわけでありますが、やはり国民だれが考えても、オウム捜査あり方、あるいはオウムをこのまま存続させていくのかこの問題、そして、オウム的な事件が二度と起こらない対策、こういったものが順番としてきちっと行われなければならない、このように考えていると思うのであります。  そこで、先ほどから国家公安委員長としてたびたびお答えでありますけれども、坂本弁護士一家の失踪の捜査松本サリン捜査、御努力はいただいたことはよく承知をいたしておりますけれども、なぜあの捜査されておる時点でオウムということで強制捜査なりもっと違った捜査ができなかったのか、具体的にどうしてできなかったのか、お教えをいただきたいと思います。
  216. 深谷隆司

    深谷国務大臣 さまざまな捜査過程の中で時間がかかったことは本当に残念であると思っております。そして、その経過について詳細私は報告を受けておりますので、私の知る範囲で申し上げて、足らざるところは担当者から答弁させたいと思います。  まず、坂本弁護士は、オウム真理教被害者の会の救援活動に従事して、同教団との間に激しい対立があったのでございます。そして、例のプルシャというバッジが残されていたということから、オウム真理教の関与についても初期的段階から視野に入れて捜査は進められてきたということは間違いがありません。ただ、極めて現場における物証が少なかったということ、あるいは、宗教団体でございますので閉鎖性が非常に強かったとか内部情報がほとんど得られなかった、それにまた、組織的な証拠隠滅等々もございまして、非常に多岐にわたる捜査を丹念に行う必要がございまして、被疑者を検挙するまでに五年余の年月をかけたというのが今日までの経過でございます。  次に、サリン事件につきましては、事件発生後速やかにこれも捜査本部を設置して、サリン生成の方法や必要な薬品類についての知識の正直乏しかった当時、そういう中で徹底した鑑識、鑑定活動を実施して、生成方法の解明、地道な薬品の販路捜査等を行ってまいったわけであります。そして、オウム真理教がダミー会社を使って各種のサリンの原料、薬品などを大量に購入した事実を解明いたし、さらに上九一色村の土砂の中からサリンの残ったものが一部検出されて、それがオウム真理教サリンを製造しているのではないかという疑いを持つに至り、その後具体的な実行行為者の特定等の証拠一つ一つ積み重ねることによって本事件の解決に至ったと私どもは報告を受けております。  先ほど申したように、両事件とも類例のない事件でございました。第一に、宗教団体がそのようなテロ行為を準備し、行う集団であるとは、恐らく私たちも含めて多くの方は想像しなかった。サリンなどという薬品を使って大量に人を殺すということも、残念ながらこの事件が起こるまではどなたも考えなかった。そういう意味では、数々の反省はございますけれども、真剣に頑張ってよくここまで来られたなというのが私の実感であります。
  217. 中井洽

    中井委員 オウム強制捜査が入りました本年の三月、それ以前に警察へ家出人あるいは財産的な損害、こういうことでオウム教団を名指しで届け出た件数というのはどのぐらいありますか。
  218. 野田健

    野田(健)政府委員 オウム真理教に対する強制捜査に入るまでに、オウム真理教に対して、平成二年八月十六日、熊本県より国土利用計画法違反事実等で告発を受理しております。また、平成六年九月二十六日には、被害者である宮崎県内の旅館経営者本人から営利誘拐事実で告訴を受理しております。また、同日同じく旅館経営者本人より有印私文書偽造同行使、詐欺未遂事実で告発を受理しております。さらに、平成六年十二月九日、被害者である元信者で元看護婦本人から逮捕監禁の被害届を受理しております。  また、上九一色村のオウム施設周辺の住民からの苦情等でありますけれども、平成五年に十件、平成六年に二十三件でありますが、この内容は騒音とか駐車の苦情がほとんどであります。なお、平成六年には異臭ということで二件受理しております。  また、オウム真理教に入信して家を出たまま帰宅しないなどの理由によりまして家族等から捜索願が出されるなど、オウム真理教との関連の可能性のある家出事案の受理数は、平成六年までで約六十件であります。
  219. 中井洽

    中井委員 法務省もおると思いますが、人権擁護の面で法務局へこのオウムに関連して訴えたり届けがあったりした件数というのはわかりますか。
  220. 大藤敏

    ○大藤政府委員 本年の四月に調査したところによりますと、四月十二日の時点におきまして人権擁護機関がオウムに関連する事件として信者の家族等の関係者から相談を受けた件数は、十数件というふうに報告を受けております。
  221. 中井洽

    中井委員 私は、この事件でどうして警察がやれなかったのか、座談会なんかやりましても、どこでもこの質問を受けるのでございます。そのときに、かつてイエスの方舟という宗教団体問題がございました。これもたくさんの家出人の届けがあり、法務局へも届けがあり、そして国会でも予算委員会の席上、私の同僚議員でありました神田原君が、強制捜査をすべきだ、こういう質疑をしたけれども、なかなか難しかったことも思い出しました。  しかし、その後、これは強制捜査に入ったんだと私どもは記憶をいたしております。宗教団体としてイエスの方舟というのはそう暴力的なことや凶悪なことをやったわけではありません。ただ家出人、それも願いを出されておる人は三十歳を超えた成人の方、それに対して親御さんが会えない、行方不明だ、こういうことで熱心に運ばれて、そして警察がやった。  オウムの場合には、坂本さんの事件を含めて命にかかわる問題であったわけであります。にもかかわらず、どうして入れなかったか。証拠がなかったというお話もあります。しかし、証拠としては素人が考えるとあったんじゃないか、こういうことも言えると思うのであります。そこら辺の捜査が、本当にどこかで狂ったのか、方向が初めから違っておったのか、こういったことがきちっとされないと、やはり国民の納得というものは得られない、また、警察に対する信頼というのは戻ってこない、私はこのように思います。そういったことを踏まえて御答弁をいただきます。
  222. 野田健

    野田(健)政府委員 イエスの方舟に関する事件でありますけれども、これは、警視庁において同団体に関係する女性等に係る家出人捜索願を受けまして所要の捜査を行い、昭和五十五年に名誉毀損あるいは暴力行為等処罰二関スル法律違反等の容疑で団体の代表者ら数名に関し逮捕状その他も受けましたけれども、実際には執行いたしませんでした。そして、外国人登録法違反がありましたのでその件については執行しておりますけれども、それ以外は任意で捜査をいたしました。中には、名誉毀損等については取り下げもありましたので、告訴の取り下げで不起訴等になっております。  このイエスの方舟の事件と今回のオウム事件とは、性質的にも相当違うものがあったというふうに考えております。
  223. 中井洽

    中井委員 性質的には違うというお話がありましたけれども、同じ宗教団体、そしてオウムの方がはるかに巨大な宗教団体であり、また届け出件数もはるかに多くて、凶悪な可能性もあったわけであります。にもかかわらず、任意捜査もできなかった。そして、イエスの方舟のときには任意捜査をやっておる、こういうことを考えると、やはりこれは、午前中の北橋君の質問じゃありませんが、警視庁だからやれたのか、神奈川県警だからやれなかったのか、長野県警だからやれなかったのか、こういう問題も出てくるんだろう。ひとつここらをきちっとしていただきたい、このように思うのであります。  話が変わりますが、現在、このオウム捜査、これは全体としてもうほとんどヤマが上がったんですか、大体どこらぐらいまで捜査というものは進んできたんだ、こういったことをお聞かせください。
  224. 野田健

    野田(健)政府委員 オウム真理教に対しましては、本年三月二十二日の一斉捜索に着手以来、所要の捜査を推進しております。これまでにいわゆる地下鉄サリン事件松本サリン事件、坂本弁護士一家殺人事件、目黒公証役場事務長に対する逮捕監禁致死事件、元信者に対するリンチ殺人事件、東京都庁爆破事件、宮崎県の旅館経営者等に対する営利略取等の事件のほか、武器等製造法違反事件、覚せい剤等薬物密造事件など約三十件の主要事件を検挙し、これらの事件に対する逮捕者数は延べ二百人余りとなっているところであります。  今後も引き続き同教団をめぐる種々の犯罪容疑について所要の捜査を推進し、全容解明を図ってまいる所存でありますけれども、現在までの捜査状況について、強いて申し上げれば、全体として六合目程度に達したのかなというふうに考えております。
  225. 中井洽

    中井委員 捜査が六合目ということでありますから、一生懸命おやりになっているところを過去はどうだったと言うべきではないかなという思いも私はおります。したがって、国家公安委員長にお願いは、捜査を完了した時点で本当に謙虚に、どうして坂本さんのものを初めにやれなかったんだ、どこに法的不備があるんだ。先ほど北橋君からは広域捜査という提案がありました。それに伴っての法改正ということもありました。しかし、地方分権を進めようというときにどうだろう、こういう論議もあります。それらを含めて、きちっとした謙虚な報告を出してほしいと思いますが、いかがですか。
  226. 深谷隆司

    深谷国務大臣 中井委員の御指摘のように、捜査を重ねてきて、振り返ってみて、問題点がなかったのか、それは素直に、常に謙虚にしませんと次への前進もございません。そういう意味では、オウム真理教事件が解決した後と言わず、私は今日の時点でも反省すべきものは反省するように指示をいたしているところであります。  あわせて、これからの事件等を考えてまいりますと、広域的な犯罪が多発する可能性がございます。そういうときにどのような協力体制がとれるのか、これは十分に対応の準備を進める必要があります。  現在の段階でも、各都道府県の警察から報告を受け、警察庁が全体的な状況を把握して協力体制の指揮をとるような形も行っておりますし、さきの法律改正において、警察法改正において、例えば雨域にまたがるときにはどちらに指揮権が及ぶのかということなども規定していただきました。いろいろな現在ある法律も含めて全力を挙げますし、足らざるところがございますれば、皆さんの御意見も伺いながら、十分な対応を考えていかなければならないと思っています。  いずれにしても、謙虚に振り返りながら、国民の皆さんの治安を守るためにすべてをかけていきたいと思っております。
  227. 中井洽

    中井委員 文化庁、済みませんが、宗教法の八十六条には何が書いてあるんですか、説明してください。
  228. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 宗教法人法八十六条でございますが、「この法律のいかなる規定も、宗教団体が公共の福祉に反した行為をした場合において他の法令の規定が適用されることを妨げるものと解釈してはならない。」という規定がございます。
  229. 中井洽

    中井委員 ということは、宗教団体といえども普通どおり裁かれるということだ。宗教団体だから罪を犯してあるいは違法なことをやって見逃されるということではないということであろう。ここのところをきちっと御認識を賜りたい。  同時に、今回のこの改正法案で、オウム的な事件が今後また起こったとして、警察当局はこの法案改正で何かやりやすくなること、捜査がしやすくなることがあるんですかついでにお尋ねいたします。
  230. 野田健

    野田(健)政府委員 今回の宗教法人法改正は、宗教法人制度の適正な運用を図るため、所轄庁が責任を果たし、宗教法人が自治能力を向上できることとすることを目的としたものであると承知しております。  本改正により捜査がやりやすくなるかとのお尋ねでありますけれども、現在の状況よりも宗教法人の透明性が高まる、あるいは宗教法人の関係書類等が的確に調製されるということになるのであれば、宗教法人活動が刑事的に問題となった場合に、当該宗教法人に関する実態を把握する上で資するものがあると考えております。
  231. 中井洽

    中井委員 前段はよくわかりますが、後段がわかりません。どうして警察へ届けるんですか、書類。
  232. 野田健

    野田(健)政府委員 今のお答えは、刑事的に問題となった場合に、警察としては、そういった書類等が法人にあるということでその書類を見ることができるということが当然に予想されるからであります。
  233. 中井洽

    中井委員 お答えの問題になったときというのは、今回のオウムのようにいけば、強制捜査に入ったときということですかそれとも事前の坂本さんのときに五年もかかって調べたような捜査段階のときという意味ですか。
  234. 野田健

    野田(健)政府委員 いわゆる任意捜査段階で協力をいただければそれを見ることはできると思いますが、任意捜査で見られない場合には、強制捜査段階に入らないと強制的には見られないものと承知しております。
  235. 中井洽

    中井委員 要は、いろいろおっしゃっておるけれども、何も変わらないということであろうか、このように思います。  次に、オウム真理教宗教法人法上解散請求をされて、過日東京地裁が解散の決定をされました。オウムが即時抗告をいたしましたから、また裁判上の争いになるわけであります。しかし、常識的に言えば、やがて宗教法人としては解散をされる。このことはもう当然のことで、結構なことだと考えております。  しかし、国民全体として、また私どもも一国会議員として素直に考えて、あれは宗教団体ではない、暴力集団だ、あの集団を存続させておくことは国家として許すべきことではない、このように考えております。法的には捜査の手で、まだ六合目ということでありますから、まだまだこれから捜査が行われるのであろうか、このように思いますが、しかし、この宗教法人オウム真理教というのは、宗教法人としてはつぶれますが、宗教団体としては存続する、これが現在の憲法下の当然のことであります。  この団体が本当に宗教団体としてまじめにやっていくのかというと、私どもはそうではないんだろうと漏れ聞いております。これに対していろいろな法の関係をかけようとしてもなかなか難しいんだろうと思います。  何人かの評論家の方は、早く社会復帰ができるように、マインドコントロールを解くように、それをすべきは政治の役割だ、こう言われますが、固まってオウム真理教でこれからもやっていくという人たちにどうやってマインドコントロールを解くことができるのか、どうやって社会復帰をさせることができるのか。私は、もう個人個人ばらばらにしてしまう以外にない。そのためには、やはり戦後初めてでありますけれども破防法適用というものを当然考えるべきだ、このように思っております。  そこで、法務省として破防法適用について今どういう検討状況にあるのか、お聞かせをいただきます。
  236. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 私ども破防法に関する所管庁といたしまして、このオウム真理教による破壊活動につきましては、目下調査を進めているところでございますが、現在は詰め段階に至っております。  私どもといたしましては、この破防法所定の団体規制というものが、公共の安全を確保するために、再度団体による破壊活動が行われることを防止するための、再発の防止のための措置として考えられていることでございますので、やはり事柄の性質上、できるだけ迅速に対応しなければならないということは十分認識いたしております。  しかしながら、その反面、やはりこの適用の問題につきましては、関係者に対する人権に重大なかかわりを有することでもありますので、その調査並びに調査の結果に基づく判断につきましては、誤ることのないように厳正かつ慎重に対処しなければならないというふうに考えております。そういう観点で目下対処いたしております。
  237. 中井洽

    中井委員 破防法というのは昭和二十七年につくられた法律であります。団体規制適用というのは、御承知のように今まで一度もありません。また、つくられるときにはかなり論議のあった法律であります。逆に、それだけに極めて難しい手続、極めて難しいハードルを持っております。  その中でも、規制の対象となる団体は、団体活動として暴力主義的破壊活動を行い、「継続又は反覆して将来さらに団体活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがある」、この三つを証明していかなければならない、このように聞いております。  まあ、過去何回かごの適用をお考えになったことはあるのだろう。しかし、この暴力主義的破壊活動はたくさんあったけれども、「団体活動として」あるいはまた「継続又は反覆して将来さらに団体活動として」というところがなかなか証明しにくかった、このようにこれまた聞いております。  今回のオウムの現在の実態から見て、十分この三つをクリアできる証拠が集まっておる、このようにお考えでしょうか。
  238. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 委員指摘団体規制要件の存否、要件に合致する状況があるかどうかという点について、ただいま厳正、慎重に検討を進めているところでございまして、その結論につきましては、せっかくの御質問でございますが、この時点での答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  239. 中井洽

    中井委員 それでは、先ほど過去何回か適用をお考えになったことがあるやに聞いておると私は言いましたが、法務省が適用を考えたときに、その当時の総理大臣がこれに対して、総理大臣立場として法務省に物を言われた、こういう事実はありますか。
  240. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 委員指摘のように、過去の事例においてそのようなケースがあったやに聞いておりますが、ただ、その点に関する正確な公式記録は残っておりませんので、まことに申しわけありませんが、具体的なコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
  241. 中井洽

    中井委員 私は何人かの前・元総理大臣にお尋ねをして、自分のときに何とか適用ができないのかと法務省に尋ねたことがある、こういう総理大臣がおられることは事実でございます。総理が何とか適用できないのかと言われたけれども、法務省は、法と証拠に基づいて到底この三つの難しいハードルをクリアできない、こう言って適用手続をされなかった、このように聞いております。  ところが、私どもから素直に見て当然破防法適用すべき出来事、公安調査庁も、これは漏れ聞くところによりますと十分証拠に自信があって、裁判所の宗教法人解散命令が出る時期と相前後してこの破防法適用手続を始めて、そして両方の面からこういう暴力集団をつぶす、こういう強い意欲をお持ちであったにもかかわらず、今回はどうしたことか、総理大臣が慎重にと言われた。このことによって、私は、先ほどからの答弁は過去の公安庁のお考えになったことと少しニュアンスが違ってきた、このように感じております。  法務省にお尋ねいたしますが、村山総理からこの破防法適用の問題について直接間接、どういうお話があったのでしょうか。
  242. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 このオウム真理教に係る破防法請求の可否の問題につきまして、総理からこれまでの間にどのような指示があったかとのお尋ねでございますが、これまでの間に調査の概要を、ある時点で概要を御報告したことがございます。その時点とそれからその後の国会審議、この委員会を通じまして、あるいは予算委員会審議等を通じまして、事柄の重大性にかんがみまして、調査並びに調査の遂行については慎重にかつ厳正に対処するようにというふうな総理大臣の一般的な助言ないし指導がなされたというふうに私どもは理解いたしております。  先ほども答弁いたしましたように、この問題は事柄の性質上慎重に対処すべきであるという点につきましては、私どもも当初からそのように考えておりますので、まさに総理大臣の御意見どおりの方針でこれまでも対処いたしてきましたし、今後もそういう方針で対応していきたい、こういうふうに考えております。
  243. 中井洽

    中井委員 公安調査庁は、このオウム真理教なる集団をいつの時点から調査対象として始められたのか。そして先ほど、総理に概要を報告した、このように言われましたが、その概要の中身、オウム真理教信者というのはどのぐらいおって、あるいは出家信者がどのぐらいおって、そして麻原彰晃逮捕以降どういう言動をしておる、こういう調査結果があるのか、これはお答えできたら答えてください。
  244. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 本年の九月の後半であったと思いますが、私どもの法務省の官房長が官邸において総理大臣調査の概況を、その時点における概況を報告をさせていただきました。その内容は、あくまでも調査のあらましてございまして、委員指摘のような詳細な点については及んでおりません。調査の概況と、それから破防法団体規制に関する手続の御説明をさせていただきました。
  245. 中井洽

    中井委員 九月といいますと、まだこの法案がまとめられていない時期、オウム対策に全力を挙げられておる時期だ。そういう時期にこの破防法の仕組みだけを説明して、中身の報告を受けずに慎重、厳正にと言われて、破防法適用可能ということで意欲的に取り組んだ法務省、公安庁を牽制されるというふうに見える言動というのは私は余り納得がいきません。法務省も公安庁も今お調べになっている最中ですから余りお答えできないのかもしれませんが、私のつかんでおる数字がそう間違いがない、これぐらいは答えられると思いますので、答えてください。  麻原彰晃逮捕後もオウム真理教信者という人たちが六千人以上日本じゅうにいる。それから、出家信者というのが千五百人以上おる。そして、この人たちの大半が、あれだけマスコミで凶悪な、残虐な犯行を暴かれているにもかかわらず、麻原彰晃を永遠の尊師である、ハルマゲドンは必ず来る、こう言ってオウム真理教の信仰を捨てない。また場合によっては、麻原彰晃を助け出すためならどんなこともいとわない、こういったことを言われておると私は聞いておりますし、調べておりますが、これらのことはほぼ間違いない事実だと思いますが、公安庁はおつかみですか。
  246. 杉原弘泰

    ○杉原政府委員 いろいろな点についてお尋ねがありましたが、まことに申しわけございませんが、調査の具体的内容につきましては詳細ここではお答えできませんけれども、議員が御指摘になられましたいろいろな点につきましては、幅広く調査を進めているということだけで御理解をちょうだいしたいと思います。
  247. 中井洽

    中井委員 総理大臣の一言というのはすごいもので、慎重、厳正と言っただけで法務省も随分つらいお立場だなと思っておりますが、問題は、大臣、世間一般の方は、あれだけ捜査してあれだけ逮捕したらもうオウムというのは終わりだ、そんな破防法みたいな、何となく怖いイメージで、こんなのかけなくていいじゃないかと言う人もいらっしゃる。また、意識的にこの法律を変なふうに受けとめられて、やらなくてもいいんだ、もうオウムは終わりになった、こう言う方もおられる。  しかし、それは違うんだ。宗教活動団体としてやれるんだ、法人が解散になっただけだ。こういう中で、私の申し上げたように、またいつ暴発するかわからない団体である。同時にまた、裁判でみんなが極刑になるわけではありません。一年ぐらいで出てくる人もいれば執行猶予の人もいらっしゃる。みんな何か裁判所で、私はオウムをやめて反省しますと書いているらしいですが、出てきたら、そんなのは違うんだ、これもわからない。そういったことを考えますと、なかなか危ないんだ。  総理大臣にきょうは本当はお越しいただいて議論したかったのです。しかし、そのことをひとつ十分御認識をいただき、総理にも担当の大臣の一人としてお伝えをいただきたいと思います。
  248. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 お約束いたします。
  249. 中井洽

    中井委員 もう一つ、このオウムの暴力集団的な団体を徹底的につぶしていくためには、私は、税務の、税金の問題があるのだろう、このように思っております。  先ほど他の議員の質問に対して武村大蔵大臣は、宗教団体と称してノータックスの金を集められて、そしてそれを宗教外の目的に使った、しかも宗教団体としてはもう認められていない団体だ、こういうふうにお答えになっておられました。  当然、こういうことを言われた宗教団体に対して、あるいは宗教法人を取り消されようとしておる団体に対して国税は調査をなさっているのだろうと私は思いますが、お尋ねをしてもお答えにならないのだと思いますので、一般事項として、大臣があそこまで認定をされて、違うことにお金を使っておる、こう認識をされている団体。しかも、先ほど警察庁がお布施のお金百三十億、こういうお話もありました。現金の金額までわかっておる団体、こういうのがあったとしたときに、国税当局としては十分関心を持って、そして資料を集められておるのだろう、このように一般事項として思いますが、いかがですか。
  250. 若林勝三

    ○若林政府委員 お答えいたします。  国税当局といたしましては、あくまで課税上問題があると思料されるような件につきまして幅広く資料、情報の収集に努めておるわけでございまして、その際、宗教法人につきましては、収益事業をやっておるかどうか、やっているとしたらどんな収益事業でどの程度の規模であろうかというようなこと等、それからまた、源泉徴収義務があるのかないのか、どういう活動をしておるのか、そういう、あくまで税務、課税上の問題という点からの資料、情報の収集に努めておるわけでございます。  そしてその上で、課税上問題がある、収益事業をやっているにもかかわらず例えば申告がないとか、あっても過少であるとかいうような問題等々出てまいりますと、やはりこれは調査しなければならないというようなことになろうかと思うわけでございます。そしてまた、その場合にも、場合によってはでございますけれども司法当局が何らかの対応をしておられるような場合もこれまたあろうかと思います。そんなこと等を含めて総合的に勘案して、その調査をやるというようなことを検討していくということになろうかと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、国会等の議論、マスコミ等の議論、幅広い資料、情報の収集に努めて、宗教法人の課税の適正化には十分尽くしてまいりたいと思っております。
  251. 中井洽

    中井委員 ついでにお尋ねしますが、先ほど警察庁が資産のことで北橋議員の質問に対して、土地三十億、現金百三十億とお答えになったと記憶しているのですが、それがおわかりでしたら、強制捜査にお入りになって、持っておった現金やら預金通帳合わせて百三十億ということですか、そのお布施のお金が。それとも、過去ずっと積み重なったお金が百三十億という格好ですか。そういう資料はおありですか。
  252. 山本博一

    山本(博)政府委員 お答えいたします。  オウム真理教名義で所有しております不動産、これの実勢価格または評価額が大体合計三十億というぐあいに申し上げたと承知いたしております。。  また、これまでの間にオウム真理教が布施等の形で得ました収入は約百数十億、三十億ではございません、数十億でございます。そのように申し上げたと承知いたしております。
  253. 中井洽

    中井委員 それでは、次に移ります。  今回、この法案提出あるいは審議後も盛んに審議会のことが議論されているわけでございます。飽き飽きしたという人もいらっしゃるのでしょうから、できるだけ違う観点からお尋ねを申し上げたい、このように思います。  最初に、私、今文部省と科学技術庁を担当いたしておりますので、御説明を骨子の段階でいただきましたときに、この審議会の資料、出せるものなら出してくれと申し上げたことがございます。それをずっと国会答弁等では、非公開が原則だった、こういうふうに言われてお断りになられております。この宗教法人審議会の非公開だというのはどこで決めてあるのですか。
  254. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 宗教法人審議会につきましては、従来から非公開の取り扱いをしてまいっておりまして、この四月二十五日から今回の制度改善についての検討が始まったわけでございますけれども、もうその時点から非公開の扱い、既に非公開の扱いをいたしております。
  255. 中井洽

    中井委員 僕は、時々関西弁がまじるものですからわかりにくいかもしれませんが、このどこに、法律であるいは細則で非公開と決めてあるんですかと聞いているんです。
  256. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 審議会の取り扱いとして、非公開ということで取り扱っているところでございます。
  257. 中井洽

    中井委員 ここにいただいております資料で、昭和二十七年二月二十二日宗教法人審議会制定、宗教法人審議会規則というのがあります。一から十六条にわたって細かく決められております。非公開か公開かというような重要な問題がここには一つも出てきておりません。従来から原則だとおっしゃるが、一体どこの、いつの審議会で非公開と決めて、ずっと原則にされてきたのか。
  258. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 御指摘のように、規則で決めているわけではございませんけれども、これは発足当時以来、非公開で取り扱ってきているというふうに私は承っております。
  259. 中井洽

    中井委員 それでは、発足当時のは、昭和二十七年ですから四十三年前、その非公開と決めた会議録くらいあるでしょう。それを出してくれますか。そこから行きましょうよ。お残しになっているのだと思うんだな。
  260. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 ちょっときちっとしたものが残っているかどうかわかりません。ただ、非公開の扱いでずっと来ておるということでございます。
  261. 中井洽

    中井委員 それの十四条に「会議の議事録の作成その他審議に関する事務は、文化庁文化部宗務課において処理する。」こう書いてありますから、おたくの担当の課の中に残っておるのではないですか。もう四十年前なら公開できるでしょう。非公開でやることを原則とするということを決めた文書を出してください。
  262. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 当時の資料が明確に残っているかどうかちょっとわかりませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  263. 中井洽

    中井委員 答弁し直してください、調べて出してくださいと言っているのですから。
  264. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 この委員会で何度もやりとりが、御質問があっているわけでございますけれども審議会の議事録といったものについては従来から公開しないということでございます。  なお、私どもとしては、資料が残っているかどうか今は判断できませんので、その点は調べてみたいと思っております。
  265. 中井洽

    中井委員 それでは、従来から原則として非公開、これは細則にもなければ、だれかが発言をしてそれを了解して以後ずっとお続けになっているのだろう、こう思いますから、当然それらの面に関しての資料を出していただきたい。そして、私どもに、なるほど従来から非公開でやってきた、こういったことを納得させておやりをいただきたい、このことを委員長にもお願いを申し上げておきます。
  266. 越智伊平

    越智委員長 理事会で協議いたします。
  267. 中井洽

    中井委員 では、昭和三十一年、清瀬文部大臣の当時、宗教法人法改正をすべし、こういうことで、文書で宗教法人審議会に諮問がなされました。その背景というものを文部大臣、御存じですか。
  268. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 よくば存じません。ただし、御承知のように、当時、私自身の記憶をたどっても、ちょうど戦後も終わったと佐藤総理がおっしゃった直後ぐらいの段階で、国がいよいよ発展に向かって歩み出すような時期でもございましたから、そういう意味では宗教法人活動もかなり活発になった時期ではなかったかと、その程度しか記憶いたしておりません。
  269. 中井洽

    中井委員 清瀬文部大臣の諮問は、今回、与謝野文部大臣宗教法人審議会に口頭で御依頼をなすった時代背景と、オウムを除けばほぼ一緒であります。文化庁、宗教法人審議会はどのくらいの年数をかけてこの諮問に対して審議をし答申を出していますか。
  270. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 この時点では、昭和三十一年の十月六日に清瀬一郎文部大臣から諮問をいたしました。これに対して答申が出ましたのが昭和三十三年四月二十二日でございます。この間、特別委員会を十七回開催し、審議会の総会を五回開催したというふうに記憶をしております。
  271. 中井洽

    中井委員 清瀬文部大臣のときに諮問をして、荒木文部大臣のときに答申を受けた。一年六カ月の期間をかけて、そして十七回の特別委員会をおやりになって答申をお出しになりました。この答申の中身、御存じですか。
  272. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 中身はよく存じておりません。
  273. 中井洽

    中井委員 現行宗教法人法が幾たびか改正されたことがあります。しかしそれは、他の法案が改正された、行政法やら何やらいろいろなものが改正されて、それに伴う変更であります。今日まで宗教法人法改正について真剣に御議論なすったのはたった一回、この昭和三十一年なんです。しかも今回は五項目の報告、その五項目のうち二項目は、審議会の人数ふやせという報告でしょう。しかし、この清瀬さんのときには十一項目にわたって法改正について答申をしているんです。それもごらんになっていないというのはどういうことですか。ちょっと今から読みますか。読まれますか、休憩して。ちょっとそれは不勉強じゃないですか。
  274. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 この法律における宗教活動の定義を明確にすること、宗教法人となることができる宗教団体の基準を設けること、合併に関する規定を簡素化すること、公告制度を改善すること、役員制度を改善すること、財産処分等の手続を改善すること、公益事業その他の事業を明確にすること、宗教法人審議会の機構を改めること、宗教法人に対する調査及び報告の取り扱いを明確にすること、包括宗教法人の所轄を改めること、被包括関係の廃止に関する取り扱いを適正にすること、以上であります。
  275. 中井洽

    中井委員 これは私もちょっとびっくりをいたしました。大変大事な法案であり、国民の関心も高く、当然担当大臣として、また先ほどから御答弁を聞いておりますと、大臣以前から宗教法人法改正については関心があったとお言いになった文部大臣が、同じ自民党さんの文部大臣がこうやっておやりになったことを御存じないというのは少し、これ以上はやめておきますが、勉強不足であろうか、このように思います。  これは、どうせ読んでもいないのだからわからないでしょうが、これを一年半かけて答申をなすったものを荒木文部大臣は法制化しなかったのであります。どうして法制化をやらなかったのですか。御存じですか。--いや、大臣に聞いているんだ。
  276. 越智伊平

    越智委員長 先に答弁して、指名したのだから。それから大臣
  277. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 この答申につきましては、諮問自体が幅広い諮問でございました。そして、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、多くの項目について答申が触れておるわけでございますけれども、この答申自体は、現在から見ましてもさまざまな示唆に富むものだというふうに思っております。そして、法改正がなされておればそれなりの効果といったものはあったと思うわけでございますけれども、当時は宗教界の反応を含む社会状況に対するいろいろな認識等もございまして、法改正には至らなかったというふうに考えております。
  278. 中井洽

    中井委員 それは、小野さん、あなたがお答えになるのだったらついでに答えてください。  今回の審議会、この中で、昭和三十一年諮問、三十三年答申、これの経過が説明されて、その中身について十分な議論をされた経過がありますか。
  279. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 当初の段階におきまして、この三十三年の諮問それから答申につきまして、こういったことがあったということを審議会に御報告した経緯はございます。
  280. 中井洽

    中井委員 それは報告だけで、中身について十分な審議会の皆さん方の論議があったということではないでしょう。
  281. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 今回、審議会で御検討いただくに当たりまして、一つの参考といたしまして、昭和三十三年の諮問、答申について事務局から御説明をいたしました。それに関して若干の御質問等がございましたけれども、この三十三年答申を深くといいますか、これについて非常に詳しく議論をしたということではございません。
  282. 中井洽

    中井委員 この答申につきましては、書かれております社会的背景等、あるいは使われております文言も、現在、与謝野さんが口頭でお尋ねになりましたことによく似ているのです。そういったことが社会背景として、オウムを除いては本当に認識として一致している。そして、あなたのおっしゃったように幅広く御研究なすって答申をされておる。ここらを研究も勉強もなさらずに随分急いで、昭和三十一年には一年半かけたものを今度は半年でおやりになった。  前のものを見て、どことどこがだめで今度はこうだということで短く済んだというのならわかるけれども、前のものはちょっと読んでやっただけだということでは、今回の審議会の審議というのはちょっとずさんだと言わざるを得ない、こう思います。  それで、もう一つついでにお尋ねをいたしますが、昭和三十一年のときには、清瀬文部大臣は文書で諮問なすっている。それから三十三年には、審議会は文書できちっと答申をなさっておる。ところが、今回は口頭で申し込まれて、そして報告を受けた、こういう形になっています。大臣、文書の諮問と口頭での審議会へのお願いとはどう違うのですか。--大臣に聞いているんだけれども
  283. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 若干事務的な説明でございますので、お聞き取りいただきたいと思います。  三十一年は、「宗教法人法における認証、認証の取消等の制度の改善方策について」ということで諮問したものでございまして、このときには諮問事項を明確にして諮問したという経緯がございます。  今回の検討要請でございますが、これは、今回の与謝野大臣審議会に審議検討をお願いするに当たりましては、宗教法人法改正を必ずしも前提とするものではない、しかしできる限り幅広く御審議いただきたいというお願いをしてスタートをしているわけでございます。したがって、今回の審議会への検討要請というのは諮問という形はとっていないところでございます。
  284. 中井洽

    中井委員 ちょっとわからないお答えでありました。  要するに、幅広くやってくれ、具体的に言わない、こう言われるけれども、あの与謝野さんのものには幾つか問題点を投げかけておる、それから清瀬文部大臣のものもきちっと文書で問題点を書かれている。問題点については実は清瀬さんの方が少ない投げかけをされておる。しかしそれにかかわらず、一年半、十一項目にわたってきちっとお答えになっていらっしゃる。こっちは、いっぱいざらざらっと投げかけてあるけれども、五つしか答えていない。  法制化するかどうかわからない。確かに与謝野さんの文章の中には、必ずしも法制化を意味しませんがというお言葉があります。しかし、現実に法律を出していったじゃないですか。それは少し準備不足、勉強不足と言わざるを得ないと思うのですが、どうでしょうか、大臣
  285. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 私はそれほど専門的な人間ではございませんが、少なくも常識的に考えまして、諮問をした時点というのは昭和三十一年です。法制定後まだ五年でございます。社会状況が変化したといっても、経済の規模もまだそれほど高度成長の軌道に乗ったわけでもありませんし、交通手段やあるいは都市化の進展その他もそう大きな変化はなかった。同時に、宗教法人関係の動きの中にも、現在ほど広域化した、あるいは非常に積極果敢なような動きもなかったということが一つ指摘できるのではないか、私はこう思います。  それから、なるほど一年半かけて御検討いただき、なかなか立派な示唆に富んだ御答申が出ておりますけれども、その中をさっと拝見いたしましても、宗教活動の定義であるとか宗教団体の基準であるとか財産処分等の手続であるとかそういう極めでいろいろな論議を呼びそうな問題も含めてこれをおまとめいただいているわけでありますが、今回は、先生御存じのとおり、所轄の問題と情報開示と活動状況の把握のあり方を基本に、三点に絞って御検討いただいたことでありますから、私は、これはこれで極めて十分な御審議を得た、こう心得ております。
  286. 中井洽

    中井委員 それでは、与謝野さんの口頭によるお尋ねの中に、審議会に対して、必ずしも法制化を意味しないけれども、早急におまとめをいただきたい、こういう文章がありました。にもかかわらず法制化をなすった。これはどうしてですか。
  287. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 私は、再三申し上げてきたのですけれども、今回法改正でお訴えしている内容をごらんいただければ御理解がいただけるのではないか、こう思います。
  288. 中井洽

    中井委員 この報告が、やはり法制化をすべし、こういう報告を受けて法律をおつくりになった、こういうことでありますか。
  289. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 一応御検討をお願いし、御検討いただいた御判断を報告の形でお示しいただいた、そう受けとめます。
  290. 中井洽

    中井委員 お示しをいただいたのは尊重も何もせずに、文化庁は文化庁、文部大臣文部大臣として法制化をなすったということですか。
  291. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 私ども立場で純粋に考えまして、今回いただいた御報告の中身というのは極めて当を得たものだ、そう受けとめております。また同時に、世論の強く求める法改正の範囲を逸脱するものでない、こうも受けとめております。少なくも、最小限度これだけの改正は必要である、こう考えているところであります。
  292. 中井洽

    中井委員 この現在の国会で、各役所が内閣として法律を準備する、このときには関係省庁と協議をする、あるいはまた、場合によっては次官会議にかけて、そして閣議了解をとる、こういう手続があるわけであります。  今回も当然そういう手続をとられたと思いますが、文化庁はこの法案を作成されるに当たって、審議会の口頭での報告を受けてこの法案をおつくりになる、それでどんな省庁と協議を始められたのですか。
  293. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 政府提案の法案を国会に提出する場合に、国の各省庁間におきましては、法律案を作成する段階で、通例、所管する事項といいますか、法案の中身に関連する省庁に対しまして、当該法律案について、内容について事前に協議し調整するということを行っております。今回の法案につきましても、そういったことで関連する省庁に対して協議を行っていたところでございます。
  294. 中井洽

    中井委員 どこかと聞いておるんですよ。小野さん、どこの省庁だと聞いている。
  295. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 事前協議を行いました省庁でございますが、大蔵省、総務庁、法務省、自治省、警察庁、この五省庁に対して事前に協議を行ったところでございます。
  296. 中井洽

    中井委員 それじゃ、今名前の挙がった大蔵、自治、総務、法務、警察庁、文化庁からいつ協議要請があったのか、いつから協議をスタートされたのか日にちをお答えください。
  297. 土屋勲

    ○土屋政府委員 総務庁に対しましては、行政組織の管理を担当するという立場から協議が行われておりまして、十月の九日でございます。
  298. 山本博一

    山本(博)政府委員 警察庁といたしまして、本法律案につきましての事前協議を受理いたしましたのは、十月五日でございます。
  299. 原田明夫

    ○原田政府委員 お答え申し上げます。  法務省といたしましても、文化庁から、本法案につきまして、慣例に基づきまして協議がなされております。日にちの具体的なところまで私自身承知しておりませんが、十月の初旬に、法務省の場合は大臣官房秘書課において受けまして、関係の部局で御検討させていただいたということでございます。
  300. 薄井信明

    ○薄井政府委員 恐れ入りますが、私、主税局長でございまして、このことについて事実関係を承知しておりません。今問い合わせてみたいと思います。(中井委員「質問通告しておいたんだけれどもな」と呼ぶ)そうですか。私、承知しませんでした。
  301. 佐野徹治

    ○佐野政府委員 自治省の税務局長でございますけれども、今担当の政府委員が来ておりませんので、至急照会をいたしましてお答えを申し上げたいと思います。
  302. 深谷隆司

    深谷国務大臣 自治省関係、私の聞いておる範囲では、十月初旬と聞いております。
  303. 中井洽

    中井委員 十月五日あるいは初旬ということであります。しかし、私がある省に問い合わせましたところ、その省のある局とは九月の十日過ぎから協議を始めておる。だから、法案を十月の初旬、骨子としておまとめになったのはそういうことで、それから担当と御協議を正式になすったのだろうと思いますが、各省の専門家とは九月の半ば過ぎからやっているんじゃないですか。
  304. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 正式の法案ということではなくて、考え方等について事前に関連の深い省庁と協議を、まあ正式協議ではございませんけれども、事実上の打ち合わせ等を行うということはあるわけでございまして、そういったことも特定の省庁に関してはあったということはあるかもしれません。
  305. 中井洽

    中井委員 そうしますと、文化庁は、審議会に大臣からかけられて、そして法案化するかどうかわからないけれども、こういう問題について早急にお考えをお聞かせください、そして、この考えをもとに法案を出された、こういうことをるる言われた。必ずしも宗教法人法改正が、それは審議会が必要かどうかということはまた別でありましょう。しかし、審議会を尊重してこられた。昭和三十一年には正式な諮問をされて、答申も受けた。ここに関して、審議会のやり方についてもうここ一カ月、予算委員会を通じ、あるいはこの特別委員会を通じて、おかしいじゃないか、中身が違うじゃないかといろんな議論があったわけです。  その中で、審議会の皆さん方がまだ審議をして、一任も取りつけていないときに、担当の文化庁は各省庁と法案の中身、これでどうでしょうか、これはどうでしょうかと詰めておるというのは、審議会に対する侮辱じゃないですか。それはそうです。当然のことです。それは私は、おかしい。こういうデリケートな問題ですから、謙虚に専門家の御意見を聞く、そしてその上で政治的御判断をなさるべきである。どうですか。
  306. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 もちろん法案ができているわけではございませんけれども、しかし、仮に報告をいただきました場合に、それを具体的にどのように実現をしていくのかということでは、予算の問題もございますし、さまざまな問題があるわけでございます。したがって、もちろん報告なり法案ということではございませんけれども、基本的な考え方について、関係する各省庁と事前に相談をするということはあり得ることでございまして、これは必要に応じやっているところでございます。
  307. 中井洽

    中井委員 法案をつくる場合にいろんなことがあると思うのです。だから、それは何もつくると決めてから相談するわけでもなければ、役所間の研究もあるでしょう。私は、そんなことをがたがた言っていません。  しかし、こういう憲法にもかかわるような大事な問題、国民の関心も深い問題、この半年間の審議会、そして審議会をやっている最中にもう法案作成で走り回る。そして、結論は異論があっても一任を取りつけて押し切る。こういうやり方でやって、そして極めて短期間のこの国会で上げてしまうのだと言ってお急ぎになる。一体どうしてそんなに急がれるのだろう。  急ぐのは、オウム対策、オウムを徹底的に捜査すること、あるいは国税もやること、あるいは破防法適用をどうするんだということを真剣に御議論いただくこと、そして、オウム的なものが二度と出ないようにするためにどういう法律があるか幅広い議論をしていくべきことだと私は思うのです。  それなのに、何かオウムにかこつけて、宗教法人がどうもおかしいからということだけでわわっとおやりになる。このやり方は、私は違う。そういう意味では、法案の中身以前に、私自身は強い反対の念を、不信の念を持つものであります。どうしてこんなに急がれるのですか。
  308. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 中井委員も長くこの委員会、あるいは予算委員会等でもお聞きになってこられたと思うので、私もくどくど申し上げておらないわけでありますが、今御指摘になりましたように、オウム対策、特にいわば刑法上のいろいろな追及とかあるいは破防法の問題とかいうのは我々の所管ではありませんし、税務の問題は大蔵省でございます。  私たちにとっては、今宗教法人法あるいはまた宗務行政の責任官庁といたしましては、昭和二十六年制定の宗教法人法が実態に合わなくなってきている。このことをいろいろ御検討賜ってきたところでありますし、今いろいろ異論が多かった云々とおっしゃいますけれども、この話をそのまま聞き逃しますと一般の方にちょっと誤解を与えますので、あえて申し上げますが、先ほど過去の経過その他についてはもっと踏み込むべきでなかったかのような御指摘がありましたが、再三申し上げてきましたように、例えば宗教法人審議会に一応御検討をお願いする。お願いしたものに対して私の個人の考えが万が一にも恣意的に入ったりすると、事実を、いろいろな御審議をゆがめた印象のものにしてしまうので、一切私はメンバーの名前を知ろうとしなかったという経緯がございます。  そして、その御検討をいろいろ伺う中で、記者ブリーフの後に、きょうはこんな感じでありましたという報告を受けてきたところです。従前のものにつきましては、過去にさかのぼって聞きましたけれども、私から恣意的にこうしろああしろの指示は一切いたしておりませんし、また当然、審議会の方にお電話一本しているわけじゃありません。  そして、その特別委員会その他でいろいろ御審議詰められてくる過程で、極めて整々粛々と順調にこの御審議を終えられたと承っているところでございまして、私はいわばそのまとめを受けた報告に基づいて、国民の高い要請もこれあり、法制化に踏み切ろう、こういうところでございます。
  309. 中井洽

    中井委員 島村大臣の美辞麗句を踏まえた御答弁はわからないわけではありませんが、審議会のメンバーから見て、一任じゃないと、この一任のやり方はおかしいと言われる方がおられるような現実の中で、さらに審議をしている最中にもう既に法案づくりで文化庁が走っておった。こういうことを聞かせていただいて、本当に審議会の皆さん方は素直なお気持ちで……(発言する者あり)それは当たり前だと、ここでがあがあ言われている人と同じように言われるでしょうか。私は違う。審議会の方も真剣に御議論いただいたのだと思うのです。それに対して、やはり結果として傷をつけたのじゃないか、こういうやり方は。  何もこんなにお急ぎになることはない。私どもも含めて国民全体、審議会も含めて幅広い論議をすればいいのだ、こんなふうに思いますが、どうですか。
  310. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 いわば改正案をお諮りする過程で再三申し上げてきたことですが、ぜひ先生にお考えいただきたいことは、この十五名の宗教法人審議会のまずメンバーをよくお考えいただきたい。十一名利害関係者がいるというのは、ある意味では極めて異例じゃないでしょうか。そして同時に、この十五人のいわば構成員の中で、審議をまとめてやろうということで皆さんの御意思で特別委員会が設けられて、八名が選ばれた。その八名中五名もまた宗教法人関係者であります。いわばそちらの方が数が多いわけです。そして、そういう方たちが整々粛々と審議を進めて得た結論、これ自身が後で云々ということは、私はちょっと解せないと思うのです。  そして同時に、なるほど七名の方から私は後で審議云々ということの文書をいただきました。しかし、その方たちの中の、七名中三名の方は何と特別委員会のメンバーでもあったわけなのです。だから、もし審議の内容が問題があるとか、あるいはこれはおかしいということであれば、その間、十分御議論がいただけたことなのであります。  そして、会長は会務を総理するというのは、これは御承知のように法七十四条に定めてありまして、この会長は委員十五名の互選で選ばれた経緯に照らして、その方に御一任願ったからこそこの報告がまとまったということでありまして、これを力ずくや、あるいは恣意的に強引にやり得ることかどうか、環境からよくおはかりいただけば、私は中井先生なら御理解いただけるのではないか、こう思います。
  311. 中井洽

    中井委員 お話がございまして、あなたは理解できるだろうと言われましたが、私は違うふうに考えています。  これはやはり文部省や文化庁あるいは文部大臣、場合によっては自民党のいろいろな意味で強硬な御意見をお持ちになった方が、無理やりにやれということでこういう法律を用意されて、審議会は実質の、論議だけだ、格好だけだ。したがって、まとまらなかったのを無理やり一任という形で、皆さんのお考えになった法律に無理やりかなうような報告を会長がおつくりになったと思わざるを得ない。そういうやり方だな。このことを私は大変寂しく思います。  本当にこういう事件を背景に、おっしゃるような問題がいろいろありますから、真剣におやりになるというのなら、例えば、これもまた議論に出ました東京都の担当者がどうしてオウムをお認めになった、どこに欠陥があった、そういったところもきちっとお聞きになるべきである。あるいは外国のいろいろな宗教に対する法的問題、税制の制度、いろいろとあります。それらについても十分見識を深められて、外国へ行く暇がなくてもお呼びになってお聞きになるべきだ。あるいはまた昭和三十三年当時のこの答申の中身についても十分御研究なさるべきだ。そういったことを何もやらずに、しかも報告が出される二十日も前に、もう既に協議をお始めになっている。こういうことで本当にいいのか、このことを思わざるを得ません。もう一度お考えを聞きます。
  312. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 今お話しありました東京都庁と全く話をしなかったとすれば、私もこれは問題があると思います。しかし、これは当然のことに、所轄庁である東京都庁と宗務行政のいわば所管官庁である文部省とはいろいろな連絡の機会を持っておった。これは前にこの委員会でも政府委員から御報告をしたところであります。  また、税務の問題その他について、私も個人的にはいろいろな意見を持っております。しかし、これは私どもの所管でございませんので、これは対応のしょうがない。
  313. 中井洽

    中井委員 東京都の担当官をこの審議会へ呼ばずによその府県を呼ばれたということなんかは、日にちをセットしたら、東京都の御担当が海外出張しておったから呼べなくて、急にほかを呼んだのでしょう。それは何か宗教法人の数の多いところを順番に呼んだなんというお答えをしているが、実際は東京都の方が海外へ行ったか出張していなかった、これで呼ばなかった。肝心の東京都を呼ぶのですから、日延べして、また次の機会でも呼べばいいのですね。それもやらずに、もうやっちゃった。そういうことを見ると、本当に審議会というのは急がされて、無理やり結論のわかったところへ報告を持っていかされた、こう思わざるを得ません。  そういった意味で、大変残念なやり方で法案をお進めになっておる。このことを申し上げて、次の項目に移りたい、このように思います。  東京都がなぜオウム宗教法人として認証したか、こういう問題であります。先ほどの清瀬さんの諮問、そして三十三年の答申におきましては、この認証のあり方についてかなり突っ込んだ論議が行われております。しかし今回、このオウム的なものをこれから宗教法人として出さない、こういうことであればこの認証問題というのが一番議論になると思うんですね。それが議論されなかった。  中央の所轄官庁をかえるというようなところは少しございますけれども、認証問題が一番、委任されております都道府県においてつらいといいますか難しい立場に立たされているわけであります。現在、地方自治体では認証というものを統一した形で受け付けておるのか、それらについて文化庁が統一した指導みたいなことをおやりになっているのか。それはいつの指導だ。お答えいただきます。
  314. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 宗教法人の認証の事務と申しますのは機関委任事務でございまして、国といたしましては、ある程度、それぞれの県によって極端な違いがあってはいけないということもございまして この認証事務の耶り扱いについては、従来から通達あるいは各県との協議等によりまして指導しているところでございます。  設立の認証につきまして、例えば六十三年に文化庁次長通達というのを発しておりますけれども、この簡単なことを申し上げますと、設立の認証に当たって、当該団体宗教法人法第二条に定める宗教団体に該当するかどうかといったことについて特に次の点に留意してほしいということで、礼拝施設については、例えば現地において確認を行う、信者についても適切な方法によって確認を行う、宗教活動の実績といったものを相当年にわたるなど実体を有しているかどうか、及び永続する見込みがあるかどうか、こういったことについても十分確認を行うということで指導を行っているところでございます。
  315. 中井洽

    中井委員 今文化庁の方から六十三年の文化庁次長通達というのが読み上げられました。そうですね。そうしますと、平成六年ですか、これに出されておる規則等の認証に関する審査基準例、これはどういう扱いですか。
  316. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 先ほど申し上げましたのは六十二年の次長通達でございますが、その後に実は行政手続法の施行というのがございまして、これに関連いたしまして法改正等が行われておりますので、平成六年の八月にも文化庁次長通達ということで、手続法の施行に伴う宗教法人事務等について通達を行っているところでございます。
  317. 中井洽

    中井委員 行政法の施行及びこれに伴う宗教法人法の一部改正についてというのは、平成六年に行われたわけです、大臣。しかし、それは行政手続法の施行に伴って宗教法人法の事務の中で変えるわけです。変えなければならぬことを変えていくわけです。いいですか。  ところが次長通達で、勝手にさっさと認証のところをぼんと、例えば過去三年程度の実績の一覧の添付を求める、これを客観的に証明する写真等によって確認する、こう出しているんですね。  すると、法律では、届けたら、宗教法人として形式的、客観的に整っておったら宗教法人の認証がされるのに、現地の県庁あちこちでは平成六年にはもう既に三年の実績とか写真で見せるとか、これはやられておるわけです。そして今回の法改正でこういうものを盛り込むのかといったら盛り込まずに、わけのわからぬ法改正をして、肝心のところは次長通達で変えでいっている。これは少しゃり方としてどうなんでしょう。
  318. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 この平成六年の行政手続法でございますが、これは御承知のように行政手続法が施行されまして、いろいろな法律がこれに関連して一部改正が行われたわけでございます。手続等をきちんとしようというのがこの行政手続法の趣旨でございますから、この手続法に伴う改正の趣旨を踏まえまして、その法律改正の中身を踏まえて、そして認証等の手続について次長通達でお示しをしておるということでございます。
  319. 中井洽

    中井委員 これは違う。一部改正について通達がある。これについてはきちっと行政手続法の改正に伴うことが言われておる。しかし、その裏に別紙をつけてあるじゃないですか。この別紙で、文化庁通達で宗教法の中身、法律改正よりかすごいことをつくってあるじゃないですか。こんなことをやれるんですか。  例えばあなたがさっき御説明になって、僕は都道府県の手続等はどうなっているんだと。あなたがお読みなったのは六十三年のじゃないですか。六十三年のものにはそんなこと書いてないんだよ。どういう理由で次長通達で、例えば三年実績がなかったらだめだ、こういうことをやれるんですか。これはどこの法律でそんなことが書いてあるんですか。  大臣、それは初めてですか。ちょっとあなた、大臣に聞きます。大臣初めてですか、今のことは。
  320. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 いろいろな経過があったことは承知しておりますが、細かい点についてはわかりません。ただ、今先生御指摘の問題につきましては、これは、次長通達というのは法律の運用を決めるものであって、普通のことだと私は承知しておりました。
  321. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 これは行政手続法が平成五年にできたわけでございます。この行政手続法の第五条で、行政庁は、申請により求められた許認可等をするかどうかについて、「その法令の定めに従って判断するために必要とされる基準一以下「審査基準」という。)を定めるものとする。」ということで、行政手続法によりまして審査基準を定めることが義務づけられたわけでございます。したがって、この規定を受けまして、文化庁も法律の一部を改正いたしますとともに、認証についての基準を定めたというものでございます。法律の委任の範囲の中で行ったものでございます。
  322. 中井洽

    中井委員 それはあなたらも役所ですから、法律に基づかないことを勝手にやるとは言いません。しかし、この宗教法人法による宗教法人の認証というものは、ずっと一貫して形式と客観的な判断、こういうことで来た。ところが、それにもかかわらず三年間の実績だ。これは今宗教団体が宗教法人の認証をとろうと思うと、あなたか前の人か知りませんが、この通達によって三年前から手続をやらなければならないんですよ。そして、その三年間の宗教活動をずっと写真に撮ったり証明するものを持っていき、しかも信者数まで確認しておるんですよ。こんなことが、宗教法人法の本法にこの精神が載っているんですか。載っていないでしょう。
  323. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 行政手続法によりまして、各省庁それぞれの許認可等につきまして審査基準を決めなければいけないということがございました。その中身を受けまして、まさに認証もその一つに入るわけでございますから、申請者の便宜に配慮するということも必要でございます。認証の基準が明確でないということであってはいけないわけでございますから、行政手続法の趣旨を受けまして、具体的な認証の基準につきまして次長通達で示したところでございます。
  324. 中井洽

    中井委員 わかりますが、宗教団体、宗教法人を監督する役所じゃないんですよ。これは大臣、おわかりいただけますね。ちょっとお答えいただきます。
  325. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 おっしゃるとおりです。
  326. 中井洽

    中井委員 そしてこの宗教法人法は、宗教団体のお持ちになる崇高な精神に基づいて、活動がさらに範囲広くできるようにできる限り法人格を与えてやりましょう、こういう法律でしょう。違いますか。
  327. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 おおむねそう思います。
  328. 中井洽

    中井委員 今回のこういうオウムのような事件を契機に、認証を安易にやり過ぎたんじゃないかと、オウムやらは。別に宗教法人だからやったわけではありません。しかし、まだまだそういう議論もあります。この認証の制度についてはどうなんだろうという議論は、与謝野文部大臣審議会にも実はお尋ねしていない大変難しい問題であります。  行政手続法で許認可の基準をと言われたけれども、これは許認可じゃないんです、認証ですから。それはある程度一定のものは要ると思いますが、三年間の活動実績を出しなさい、信者の数を報告しなさい、その信者の数について確認をとりなさい、こんなことをやって、そして法改正ではわけのわからない改正を出してくる。通達でこれをやるんですか。私は、本末転倒じゃないか。本末転倒だよ。おやりになりたかったら、堂々と法律でお出しになって、そして幅広く議論をすべきじゃないか。このやり方はおかしい。
  329. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 先ほど申し上げましたように、次長通達というのは、まさに法の運用を決めるものでございまして、これは普通のことであります。  問題は、今回の行政手続法は、一般の方々にも手続の基準等がわかりやすいものにしろということで、それを受けて今回そういうような対応をしたものと、そう思います。
  330. 中井洽

    中井委員 よくわかります。それは役人が懇意的に許可したり承認したりしたらだめなんですから、これは役人を縛ると同時に、国民に対してもきちっと理解するようにする。しかし、宗教法人法の認証というのはルールがあるでしょう。そのルールを私どもから見て踏み越えたものを、法律でせずに、次長通達でもう既に出しておるじゃないか。  現実に、僕はどうしてこのことを言うかといいますと、私の事務所の者が去年、あるまじめにやっていらっしゃる団体から御依頼を受けて手続に行った。そうしたら、三年たたないとだめです、三年間実績を出してください、こう言われたわけですね。これは、そういうふうに本当にやってきたんなら、オウムの認証が本当にあったかどうかわかりません。  それを、去年、だれも知らない間に次長通達で勝手にやっちゃっている。そして、この法改正で、国民はあんな認証の仕方があるかと言ったら、いやそれはデリケートで法改正でいけませんから、とりあえず緊急の三つだけお出しになる。実際にはもうやっておるじゃないか。そんなことを次長通達でできるんですか。こういうことをやっておって、質問権だ、調査権だと言うたら、宗教団体は全部不審に思います。当然それは思います。大臣、これは考えてください。この通達問題、大変だろうと僕は思います。
  331. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 先ほどから御答弁申し上げておりますように、行政手続法は行政手続に関する一般法でございますけれども、申請に対する処分については審査基準、標準処理期間等をきちんと定めろということが行政手続法で定められたわけでございます。  これを受けまして、私どもとしては、宗教法人法も一部改正をいたしますし、それから宗教法人法にございます規則の認証で最も重要なポイントでございます「当該団体が宗教団体であること。」ということを審査しなければいけないわけでございますけれども、この内容につきまして、次長通達で、申請者の便宜にも供するということも含めましてこの中身を明らかにしたものでございます。
  332. 中井洽

    中井委員 そういう通達で変更があったということは大臣は御存じない。もうこれは大臣は、さっきから聞きましたが、何にも御存じない大臣ですから仕方がありませんが、少なくともこういう重要なことは、あなたは宗教法人審議会にはかけたんですか。
  333. 小野元之

    ○小野(元)政府委員 平成六年の時点でこの通達を出すということについては、審議会に事後報告を行っております。
  334. 中井洽

    中井委員 これは、先ほどの法案作成もあなたはもう途中発車している、これも事後報告だ、役所が何でもできるということじゃないですか、申しわけないが。その上で、今回の法改正で質問権や閲覧権を持たして、やはり宗教団体に対する、宗教法人に対する国家権力の介入だと疑われるのは当たり前じゃないですか。大臣どうですか。
  335. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 先ほど来申し上げているように、今の文化庁の次長通達等いろいろ考えますと、先生御理解いただけると思うんですが、現行の宗教法人法は、当該団体が宗教団体であることと、当該規則が宗教法人法その他の法令の規定に適合していることと、そして当該設立の手続が宗教法人法第十二条の規定に従ってなされていること、この三つの要件を備えている場合には、いろいろな問題があっても、いわば割と認証というのはすらすら行われてきたという過去の反省が正直言ってあると思います。十八万四千の中にも、私たち今時点で宗務行政の責任官庁としてすべてに責任を持てるかといったら、とてもとてもそれは責任を持てないというのが現実であります。今いろいろこういう問題をこれからきちっと洗い出して、まさに責任ある体制にしなきゃいけないと考えているくらいでございますから、当然所轄庁、しかも所管の課とすれば、こういうことで法の運用の万全を期するというのは当然ではないかと、こう思います。
  336. 中井洽

    中井委員 今回の法改正でこういうことが出てきたというのなら、今のお答えで私は理屈があると思います。しかし、従来の中で、行政手続法改正に伴うものだと言いながら、実際には、信者については適切な方法により確認を行うこと、宗教活動の実績が相当年にわたるなど宗教団体としての実体を有しているか、及び永続する見込みがあるかどうかにつき十分確認すること、主たる事務所の移転が諸般の状況から判断して実質的に云々とか、それから三年とか、ずっとあるんですね。これは僕は、この宗教法人法というものから見て少しおかしいだろうと申し上げておるわけです。  これを当たり前のこととして、さらにこの上に改正を出される。そうしますと、宗教団体はこのことを御承知でありましょうか。やはり文部省が監督をするのか、特に質問権なんかは、先ほどから漏れ聞いておりますと、解散命令がある、それに伴う質問権だと、こうなりますと、それはやはり役所による脅迫、ああ怖いなというイメージを持たれる。そういうことも当然入ってくるんだと僕は思うんですね。それはやはり私は、この次長通達というのを、行政手続の方の変更だということだけでこれをお出しになるという発想の文化庁が、こういう法改正をやるということはおかしい。  それで、例えば、去年この通達を出す前にオウム事件があった。そしてその根幹に、東京都のああいう認証せざるを得ない事情があった。これはやはり十八万に及ぶ認証を都道府県がやるのは大変だ、それじゃひとつ基準をつくろう、国会論議を経て、法制化が難しいが、こういう通達はどうだろうということであるならば、私はそれはそれでいいと思います。しかし、それが何の議論もなしに一片の通達で出された。それはやはり違うんだろうと私は思います。大臣、もう一度御答弁を。
  337. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 先ほど御説明いたしましたように、認証については、いわばある三つの条件を満たしておれば認証せざるを得ない。これは現実であります。そして同時に、一たび認証いたしますと、今度はいわば法人格を持って、現実には、一年以内は認証の取り消し、あるいはその後は解散命令の請求等があります。しかし、現実にはその実態の把握のできる手段がなかった。そうなれば、認証というのは非常に重要であります。  宗教法人の実態にいろいろ問題がありという指摘がもう方々でなされて、私も就任以来いろいろなことを伺っておりますが、こういうものを入り口の段階できちっと責任ある対応をするとなれば、これはやはりある意味でやむを得ないのではなかったのか。むしろそれが責任ある態度ではなかったのか。実体が備わっているかどうかあるいは最低限度のいわば確認をする意味で、過去の活動実績等を把握しようとするのは、やはり所轄庁として当然じゃないのでしょうか。
  338. 中井洽

    中井委員 それは議論だと言っているのです。だからその前に、今度それをやったのじゃないでしょう。去年、大臣も御存じないときに、さっと次長通達でこれをやっちゃったんだ。それは行政手続法だ、基準を出しただけだ、こう言うけれども、せめて宗教審議会にかける、あるいは国会にかけて議論をする、こういう手続の中でやられるというのなら、私どもはそれも納得もあったと思うのです。  だけど、全然だれもわからぬうちにどんと出されて、文化庁と都道府県の担当者だけが御存じだ。そして、申請に行ったら、いや今度こうだ。どこの法律で変わったんだと言ったら、通達。これは違うだろう。そういうことをやる役所が今度この法改正幾つかの権限をお持ちになる。それはもちろん、今時点で皆さん方がおっしゃるのは、オウムのこともあり、いろいろなことを言われるけれども、五年、十年たったときにどうなんだろうと思わざるを得ないと私は思います。  そういった意味で、昨年、平成六年に出された通達問題について、大臣としてもう少しきちっとお調べをいただきたい。そして、本当にこういう内容変更を伴うものは宗教審議会に事前にお諮りをする、あるいは国会にも報告をしていただく、こういうことはやはり要るのだろうと私は思います。いかがですか。
  339. 島村宜伸

    ○島村国務大臣 御提言、まともに受けとめて、検討させていただきたいと、こう思います。
  340. 中井洽

    中井委員 時間が参りましたので、幾つかまだ中身に入ったかったのでありますが、外回りだけで終わらせていただきまして、大変問題の多い法律だと考えておりますので、まあ当局、国家公安委員長を含めて、オウム事件、全力を挙げて処理をなさる、そして、本当に法務省の法と証拠に基づいて破防法適用をおやりいただいて、ああいう暴力集団の根を完全に絶って、国民の安心感、こういったものをつくり出していただきたい。そして、安心感ができて初めて過去の反省をして、どういう対応をするかという議論をじっくりしてもらいたい、こんなことを申し上げて、質問を終わります。
  341. 越智伊平

    越智委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十四分散会