○坂口
委員 大臣の真摯な気持ちでというその表現の中に
大臣のお気持ちを酌み取らせていただいて、子としたいと思います。
もう一つ、午前中にございました問題で、少し具体的にお聞きをしたいと思っております。
それは、業務
局長さんから、一九八三年前半、特に前半、まあ一九八三年ごろと申しますか、このころは原因がはっきりしていなかった、だからやむを得なかったのだというお話がございました。一九八三年、
昭和で申しますと五十八年でございます。
それで私、この
エイズに関する知見を、大体年代、月を追って、主に起こりましたことを一覧表にずらっと挙げてみたわけでございます。
大臣のお手元にも一枚、先ほど差し上げたものでございますが、これをごらんいただきますと、一九八一年六月に、
エイズ患者の第一号がアメリカで男性の同性愛者から見つかっておりまして、一九八二年七月に、血友病の
エイズ患者第一号がアメリカで
報告をされているわけでございます。そのころ、アメリカにおきましては、非加熱濃縮製剤が原因ではないかという疑いの声が既に出ていたわけでございます。
そして一九八三年、すなわち
昭和五十八年三月に、加熱第Ⅷ因子製剤、これは肝炎対策ということでございますけれども、その中の一つがアメリカで承認になっております。一九八三年五月に、
血液製剤加熱効果ということが期待できるということがアメリカで発表になっております。そして、この同じ五月に
エイズウィルスが分離をされておりまして、これはフランスで、そして続いてアメリカで分離になっているわけでございます。当然のことながら、このニュースは世界じゅうを駆けめぐったわけでございますから、
厚生省もこのことは十分に御存じのはずでございます。
そして六月に、
厚生省エイズ研究班が設置をされております。この同じ六月に、アメリカのトラベノール社から、きょう午前中にも
議論がございましたけれども、原料血液の供血者の中に
エイズを発症した人がいるので製剤の回収を要請したい旨の文書が届いているわけでございます。
そしてこの七月に、一九八三年七月に、
厚生省の言によりますと、輸入
血液製剤に
エイズ感染のおそれのない供血者からの採血である証明書添付を義務づける、こういうことが出ておるわけであります。これが一九八三年七月。
したがいまして、
エイズ感染のおそれのない供血者からの採血である証明書添付を義務づける、これはこの時点ではまことに難しいことでございまして、実際問題としてこれはできたかどうかわからないと私は思うのですが、しかし、この時点で少なくとも
厚生省の方は、
エイズがウイルスかあるいは細菌が、そこのところの定かな判別はつかなかったかもしれませんけれども、もう五月にフランスやアメリカでウイルスが分離されているわけでございますから、多分これはウイルスだろうということがわかっていたわけでありまして、ウイルスだということが大体わかった上でそうしたウイルスを持った人からの採血でないことを証明するものを義務づけている、こういうことではないかと思うわけであります。これは大変難しいことでございますけれども、しかし、
厚生省の中にそういう意思がなければこういうことは出てこないわけでございますから、
厚生省はそういう意思を持たれたというふうに私は読めると思います。
そしてこの七月に、第二回の
エイズ研究班
会議がございまして、ここで主任の安部教授が、自分のところで診察をしておみえになります血友病B
患者の中の一人に
エイズと思われる人がいるというので、そこに症例を出しておみえになりますが、しかし、この
研究会におきましては、それは
エイズではないと、どういうわけか否定されているわけでございます。しかし、否定されましたけれども、その人は、その翌月の一九八三年八月に来日いたしましたアメリカの国立防疫センターの
研究員でありますトマス・スピラ博士は、安部教授が示されました症例を見て、これは明らかに
エイズであると認定をいたしているわけでございます。しかし、これらのことは、それから二年後の一九八五年五月まで発表されなかったわけでございます。
このように見てまいりますと、一九八三年七月から八月というのは大変重要な時期であったというふうに思います。
そして、衆議院におきます、今は厚生
委員会でございますが、そのころ社労
委員会でございましたが、一九八八年五月十九日の社労
委員会におきまして、あるいはまたもう少し前の一九八八年三月十六日の参議院の
予算委員会におきまして、当時の
坂本業務
局長さんから、日本においても加熱処理製剤の
早期開発を製造業者に指示したということが述べられているわけでございます。また、そのことは医学雑誌でございます「医学のあゆみ 百四九-No2」に業務局生物製剤課の小野昭雄さんが書いておみえになりまして、一九八三年五月にアメリカ
厚生省が加熱による効果が期待しうる旨発言したこと、
研究班においてより安全な濃縮因子製剤の
開発が
指摘されたこと、などを踏まえて製造業者に対して加熱製剤を
早期に
開発するよう指示した。」こういうふうに述べておみえになります。
一九八三年八月には、
厚生省の言によりますと、
開発を製造業者に指示した。加熱処理製剤の
早期開発を製造業者に指示したということは、これはもうそうしないと、加熱製剤でなければだめだというふうに
厚生省がお思いになったからこういう指示をされた、こう思うわけでございますが、間違いございませんか。