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1995-11-02 第134回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十一月二日(木曜日)     午前九時二十一分開議 出席委員   委員長 日笠 勝之君    理事 栗原 博久君 理事 栗原 裕康君    理事 林  幹雄君 理事 工藤堅太郎君    理事 須藤  浩君 理事 土田 龍司君    理事 遠藤  登君 理事 宇佐美 登君       河村 建夫君    久野統一郎君       中村正三郎君    伊藤 英成君       江﨑 鐵磨君    近江巳記夫君       山本 孝史君    田中 恒利君       山下洲夫君    藤田 スミ君  出席政府委員         警察庁交通局長 田中 節夫君         総務庁長官官房         審議官     土屋  勲君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       井野 忠彦君         総務庁行政監察         局長      大橋 豊彦君         運輸省自動車交         通局長     山下 邦勝君         建設省道路局長 橋本鋼太郎君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    阪本 和道君         法務省民事局参         事官      升田  純君         大蔵省主税局税         制第一課長   木村 幸俊君         通商産業省機械         情報産業局車両         課長      林 由起夫君         運輸大臣官房技         術参事官    澤田  諄君         運輸省自動車交         通局技術安全部         長       南戸 義博君         消防庁救急救助         課長      小濱 本一君         参  考  人         (社団法人日本         自動車連盟顧          問)      片山  豊君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     渡辺 孝雄君         特別委員会第一         調査室長    田村 勝美君     ――――――――――――― 十月二十七日  第六次交通安全施設等整備事業五箇年計画の策  定に関する陳情書外四件  (第一八八号) 十一月二日  第六次特定交通安全施設等整備事業五箇年計画  における事業費確保に関する陳情書外二件  (第二五七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  交通安全対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 日笠勝之

    日笠委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日一参考人として社団法人日本自動車連盟顧問片山登君及び日本道路公団理事渡辺孝雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 日笠勝之

    日笠委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 日笠勝之

    日笠委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村正三郎君。
  5. 中村正三郎

    中村正三郎委員 まず、委員長並びに理事皆さん、そして委員会皆さんに、きょうこうして質問の機会をお与えいただきましたことに心から御礼申し上げる次第でございます。大変ありがとうございました。また、きょう、片山参考人渡辺参考人、御出席いただきましてありがとうございます。また、今までの質問するに至った経緯につきまして、各役所の方に大変御協力をいただきましたことに感謝を申し上げます。  時間が大変短いものですから、簡潔に簡潔に質問をしてまいりたいと思います。  まず私は、きょうは、自動車交通関係安全関係関係のある公益法人のことについてただしてまいりたいと思うわけでございますが、これは、規制緩和行政改革、そういったこととも密接にかかわる問題でありますので、まずそういったところからお尋ねしてまいりたいと思います。  今、私ども政治家、そして政府も、行政改革規制緩和地方分権、そして民間の活力を活用する、自己責任社会をつくって小さな政府を目指す、そして国民負担政府負担、すなわち、国民負担軽減を図って財政構造の変革を目指す、そして国際的にも整合性のとれた国家をつくっていく、そして高齢化社会へ向かって財政的にもきちっとやっていける構造をつくっていくという方向に動いているわけであります。  今まで多くの行政改革規制緩和等が行われてきたわけでありますけれども、よくテレビ、ラジオでお聞きになりますように、国民に聞きますと、どうも余り進んでいない、だれが政治をやっても同じよ、だれが政府をやっても同じよというような返事が戻ってくるということがございます。なぜだろうかと思うんでございますが、はしょって申し上げますが、やはり国民のコモンセンスに合わないところで行政が行われているんじゃないかという懸念を持つものでございます。  例えばの話でありますけれども交通関係安全確保とかいろいろなことにも携わる公益法人特殊法人がございますけれども、いわく、検査協会または検査機構検定協会等ですね。こういうところは、所によっては、政府規制緩和をやろうとしても、こうした民間法人であるということで政府の言うことは聞かなくていいんだと。ですから、かえって規制を強めたり必要のないことをやったりしているところが見えないことではない。こういうことが、やはり国民から見ると、政府は何もやっていないと見える部分が多いんじゃないか。こうした法人が二万五千も公益法人であるわけですね。  それからもう一つは、もはや民間企業でやれるようになった仕事をやっている法人というのが多く見られる。民間のやるべきことを、法人ということで課税を免れたり軽減税率を受けたり、いろいろな国家庇護を受けながら民業を圧迫していく。こういったものが民営化されない。そうすると、同じような事業民間で、純粋株式会社でやっている人たちが、何だあそこだけ税金取られないで、私ども税金を取られて一生懸命働いているのにということになる。こういうことも行政不信政治不信が起こる原因じゃないかと思うのですね。  こういうことをやっていますと、この公益法人というのは税金を免除されますから、そういう意味で国家負担をかける、また、公益法人であるということで、それを管理監督するための官庁が要るからお役人のマンパワーも要求することで二重に国家負担をかけることになっております。こういうところを改革をしていくことが私は極めて重要なことじゃないかと思います。  きょうは総務庁長官が来られないので大変残念なんでありますが、総務庁長官は、こういった改革にさおを立てる者がいたら、そういう者の存在を許さないという強い態度で本会議でも答弁をしておられました。きょうは総務庁長官いらっしゃいませんが、こういったことを今検討したりいろいろやっておられると思いますが、積極的に洗い直していく、それが総務庁の、行政監察局なりの仕事だと思いますが、そこらについて、きょうは行政監察局長見えになっていると思いますが、総務庁長官になったつもりでひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  6. 大橋豊彦

    大橋政府委員 お答えさしていただきます。  委員お話しになりましたように、最近における行政範囲というのが非常に拡大してきていまして、したがいまして、それを担う主体も、これまでの直接の行政機関から特殊法人とか民法法人といった範囲に広がっておりまして、そういう特殊法人なり民法法人あり方というのが行政改革課題として非常に重要な課題になってきているわけでございます。  私ども総務庁あるいは行政監察局におきましても、行政改革という観点から、これまで何回にもわたりましてこの見直しあるいは適正化合理化という観点から調査なりあるいはしかるべき閣議決定などの措置をとってきております。特殊法人については、先生御存じのように、この二月に全特殊法人見直しをいたしておりますし、また、民法法人については、私ども監察局におきましては三回にわたります調査をいたしまして、延べで言いますと、民法法人の数で言うと、もう二千近くの法人を見ているのではないかと思います。  そういう実態を踏まえていろいろの勧告をいたしまして、それを受けて、総理府を中心として改善措置をとってきているところでございます。
  7. 中村正三郎

    中村正三郎委員 今お話をお聞きしましたけれども、それだけの調査をやっているなら、きょう私が問題にする法人がどうしてこのままであったかということを、あなた、僕の話を聞いたら後でお感じになると思います。  与党の私がこういう質問をするのは全く異例なことだと思いますけれども、私は一年間この問題に取り組んでまいりました。私がやってきたのは、日本自動車連盟と、公益法人がやっている筑波サーキットというサーキットがあります。この問題についてでありますけれども、まあその問いろいろな役所とやりましたけれども、検討するという項目は出てくるけれども、結論は何も出てこないんです。そこで、役所とも御相談の上、国会で正式に取り上げた方がいいだろうということできょう御質問をさせていただいているわけであります。  具体的に申しますと、日本自動車連盟という法人がございます。これはいわゆる民法法人であります。しかし、民法では御存じのとおり法人規定というのは極めて大ざっぱな規定しかない。三十四条と五十九条しかないと言ってもいいぐらいです。公益法人のやるべき仕事だとか公益というのは何だとかそういう定義は全くこの民法にはされていない。だから、こうした法の不備がいろいろな問題を起こしてきているのかもしれません。明治二十九年の法律ですから、今直そうということを、きょう民事局にも来ていただいていますが、お考えと思います。  そこで、民法だけではしょうがないというので、政府の中で申し合わせがあって、「公益法人設立許可審査基準に関する申し合わせ」、そして指導監督要綱がつくられております。その要綱の中には、公益法人というのは積極的に不特定多数の利益を実現する目的のものでなきゃいけないということになっております。「受益者特定の者に限定されてはいけないことを意味する。」ということを解説しております。  また、この民法法人がやる事業が、社会経済情勢の変化により、営利企業による経営が著しく普及してきて営利企業事業と競合する結果になった場合には、これは公益法人がやってはいけないということが規定されております。そして、営利企業による経営が著しく普及したことに伴い営利企業事業と競合するに至っている場合、目的公益的であるが事業の種類、内容実施方法等営利企業と競合する状態になった場合、財団、社団を言っていますので間を飛ばしますが、やはり法人運営実態等からいろいろな改善が不可能な場合には、民法第六十八条第一項第二号「法人目的タル事業ノ成功又ハ其成功ノ不能」により解散するほかないということを書いております。  それから、この民法法人理事構成については、理事が特別の関係のある者が占める割合理事同士が特別な関係にある者がその法人を実体的に支配するだけの数になってはいけないということが書いてございます。  私がこれから問題にする法人はすべてこれらに違反していると思うわけであります。  どういうことが起こっているかと申しますと、日本自動車連盟は、特定会員から、しかもそれは自動車会社自動車を売るときに入会を勧誘して入れた人がほとんどでありますけれども、四千円の会費を取って、道路上で故障したりした車の修理だとかトーイングだとかサービスを提供するわけです。年間四千円ずつもらってサービスを提供する、これはまさに商売であります。特定の人を対象とし、自動車メーカーの紹介による会員サービスを受けるわけであります。そして、この仕事というものは、この法人をつくった当時はこれでなければやりようがなかったかもしれませんが、今は町の修理屋さんでも自動車ディーラーでもできる仕事であります。ところが、高速道路等においては、JAFの車は入れるけれども日本自動車連盟JAFと省略して言わせていただきますが、一般修理屋さんは入れてもらえないというようなことがある。これは完全に民業を圧迫している結果になっているという苦情が多く寄せられているわけであります。  そしてしかも、後でまた詳しく申しますが、この公益法人常任専務理事の十六名中十四名が自動車メーカーまたは販売会社社長さんだとか役員です。こんなことをやっていて国民が納得すると思われる方が私はおかしいと思います。  私は、この指導監督基準に照らしても、こういった法人純粋民営のものにするべきではないか、世界各国そういう方法でやっております、と思いますが、これはどこにお聞きしたらいいかな、監督官庁にお聞きしたらいいかな。では、警察庁並び運輸省、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  8. 田中節夫

    田中(節)政府委員 お答えいたします。  委員指摘日本自動車連盟JAFでございますが、JAF事業あり方につきましての御質問でございます。  御指摘のように、JAFは、全体としては、従来健全な車社会の熟成に大きな役割を果たしてきたというふうに考えております。  ただ、JAF設立趣旨、その後の時代の流れ等を踏まえまして、個々の事業内容あるいは業務形態等をつぶさに見てみますと、必ずしもそれが真に公益法人事業としてふさわしい運営となっているかどうかについては、御指摘の点もあろうかと思っております。是正すべき点については是正するよう適切に指導してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  9. 南戸義博

    南戸説明員 お答えさせていただきます。  理事状況等について御指摘がございました。特にその点についてお答えさせていただきます。  JAF設立及び発展の経緯を見ますと、自動車メーカーとかディーラー関係者が果たしてきた役割というものはやはり大きなものがございます。そういった関係で、JAF理事自動車ディーラー等関係者が多いというのは、こういった経緯があるというようなことで理解しております。  しかしながら、先生指摘のように、これからもこういう状況でいいのかという点については、いろいろ検討しなければならないと思っております。  今後は、JAF一般ユーザーの声を十分反映した適正な運営を行うために、理事構成等について十分配慮を図るよう、必要な指導を行っていきたいというふうに思っております。
  10. 中村正三郎

    中村正三郎委員 それでは、具体的に、JAFがやっていることで問題点をもう少し指摘したいと思います。  総理府行政指導にかかわることの元締めをやっておりますので、これは総理府の方に聞きたいのですが、JAFは、常任理事専務理事、十六名中十四名が自動車業界製造業あるいは販売業、そして、全体でも五十四名の理事中の二十七名がその業界で占められております。あとは役所の方が多いです。こういう状態がこの指導要綱に反しないか。私は明らかに反していると思います。  それから、私が厳密に調べたら、JAF公益事業でやってはちょっとまずいなと思うような事業のために三つ、四つどうも法人を持っているようです。一つJAF出版JAFメイトJAFサービス。これは、例えばJAFメイトとかいうのは通信販売をやってかなりもうけているという話を聞いております。しかも、その通信販売番号は、サービスを受けられると思って入会した人の会員番号をそのまま株式会社に流して、JAF出版JAFメイトJAFサービスも使っている。許しがたいことだと思うのですね。その会社構成がどうだということを調べましたら、株主はただ一人、日本自動車連盟社長役員は一、二の例外を除いて全部理事であります、日本自動車連盟のこんなばかなことが許されるということは考えられないことであります。しかも、一千万人の的確な自動車ユーザーをとらえておりますから、極めて広告料も高ければ、ここの取る金は高い。地図も売っております用地図は、地図出版社と競合して、競争して、普通なら、ユーザーサービスするものだったら、ただで地図をくれてもいいようなものだけれども株式会社でこうやって稼いでいる。しかも、それは理事がやっておる。  それからもう一つは、JROといいましたか、自動車興行をやる団体を持っております。これはJAF常任理事社長であります。そして、ここがJAFが決めたルールに従ってやる自動車興行を取り仕切っていると聞きます。ただ、ちょっと聞きますと、これは人格なき社団のようにも見えます。こういうものを持っております。これはまさに指導要綱違反ではないか。ダミーだと言われてもしょうがない。  また、公益法人の会計は限りなくプラス・マイナス・ゼロでノンプロフィットでなければいけない。だから免税もされ、いろいろな特典もあるのだと思いますけれども、このJAF内容を見ますと、資産合計は七百六十億です。流動資産が四百六十億あります。その中で、純粋な預金だけで三百五十六億あります。それを貸方でどう処理しているかというと、退職給与引当金だとか電算化引当金、それから施設拡充引当金二百二十三億、会館建設引当金七十五億、そしてなおかつ繰越利益を持っておりますから、これが民間法人であったら課税されるべきベースというのは約四百億あります。これが一切課税をされておりません。このような形態はまさに指導要綱違反ではないか。  しかも、これだけ金をためこんで建設資金だとかなんとか言っているけれども公益法人がそんな立派な会館だとか何かを建てられるべきものではないのです。サービスをし、税金を免れ、国家庇護を受けて、そして献身的にサービスするのが公益企業でしょう。それがこれだけの金をためこんだ。国民が理解するわけがない。本当に怒りを感じるわけでありますけれども、この状態について、指導要綱違反だと思いますが、総理府の見解を伺いたい。
  11. 阪本和道

    阪本説明員 お答えいたします。  まず第一に、公益法人役員構成のことでございますが、一般論としてお答えさせていただきますが、「理事のうち同一の親族、特定企業関係者その他特別の関係にある者が理事会を実質的に支配し得る程度の大きな割合を占めている場合には、法人運営がこれらの者の利益またはこれらの者と関係を有する特定企業等利益のために行われるおそれがある」ということで、そのような場合は基準改善するように定められているところでございます。それぞれの法人につきましては、それぞれの法人目的事業内容等から総合的に判断して、それぞれの主務官庁において必要に応じて適切な指導が行われるべきではないかというふうに考えているところでございます。  次に、公益法人が出資して営利企業設立する場合の問題でございますけれども公益法人運営に関する指導監督基準の中におきまして、「公益法人が形式的に法人格を別にする営利企業設立して当該企業一体と認められるような状態営利の追求を行ってはならない」というふうに定めているところでございます。一体と認められるかどうかの判断材料としましては、「当該公益法人から当該営利企業を実質的に支配し得る程度役員の兼務及び出資が行われている場合」等が具体的に掲げられているところでございます。そこで、役員が過半数を占め、なおかつ半分以上、半額以上を出資されているような場合には、実質的支配ということが言えるのではないかというふうに考えております。  それから、公益法人収益事業を行う場合でございますけれども、必ずしも収益事業を行ってはいけないということではないわけでございますけれども、その収益事業から生ずる利益は、当該法人の健全な運営に必要な額を除き公益事業のために使用されるというのが本来の趣旨でございます。したがいまして、公益事業に使用するという特段の目的なく多額の内部留保を持っておるということは、好ましくないことではないかというふうに考えているところでございます。
  12. 中村正三郎

    中村正三郎委員 今お答えいただきましたように、すべてこれに違反しているという御指摘をやんわり言われたというふうに思います。  こういうことがなぜ起こってくるかということでありますけれども民法規定が非常にあいまいだということであります。公益内容もなければ、今いろいろほかの法律がちょうどほかの委員会で論議されておりますけれども公益法人というのは一遍つくってしまったら、監事というものを置くことができる。置くことができるけれども、この監事というものは、置くことができるで、置かなければならないじゃないのです。  しかも、その監事が何をするかというと、内部監査をするわけですけれども内部監査不整が見つかった場合、不整は正しくないじゃないですよ、整いがなかった場合、すなわち形式が整わなかった場合にこれを総会もしくは主務官庁に報告するということになっている。だから、主務官庁に報告する義務がない。JAFにおいては、会員が求めても何も知らされない。利害関係者が何かを求めても何も知らされない。主務官庁は私が資料要求するまでこういう状態をだれも知らなかった。こういう法的な非常な不備があると私は思うわけであります。  そしてこれは、結果的にこれだけのお金が課税されないで、内部留保課税も取られないでたまっているという状態、これはやはり今のお答えのように、一にかかって今の法体系だと主務官庁責任ということになるのです。大蔵省がいわゆる収益事業と決めた三十三業種というのがある。三十三業種に入っていなければ、公益法人だったら逆に課税を免れるのです。三十三業種に入っていれば二七%取られるのです。ロードサービスなんてやるというのは公益法人がやることじゃないと大蔵省は思っていたのでしょう。だから入っていないのでしょう。  それで、JAFがやっている旅行あっせん業、これも民間と競合するからよくないと思いますが、これは公益法人に入っているから二七%の課税を受ける。しかしこれは、赤字にしてあって課税を免れているんですよ。そして、ばかばかもうけている方は大蔵省が指定した三十三業種に入ってないから課税をされないのです。こんなばかなことがあっていいでしょうか。  きょうは大臣がおられませんからこれ以上申しませんけれども大蔵省の方も見えていると思いますが、この状態をお聞きいただいておけばいいと思います。これは大蔵省責任じゃないですからお聞きをいただいておけばいいと思いますので、どうか御検討を賜りたいと思います。  こうしたことになっているわけでありますけれども、これを改革していかなきゃいけない。そこで大臣にお聞きをしたかったのですが、きょうは、実際にこのJAFが創立されたときからかかわり合いを持たれて、今もJAF顧問をやっておられる、その前は理事をやられた、日産自動車アメリカ日産の社長も長いことやられました片山豊先輩がお見えになっておられます。  片山先輩はこのJAFの中にいて、これからこういった事業をどういうふうにしていけばいいとお思いになっているか、御意見があったらお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
  13. 片山豊

    片山参考人 ただいま御紹介いただきました片山でございます。  戦前戦後を通じまして、私は自動車に非常に興味を持っておりましたので、殊に自動車クラブというものをどうしたらいいかというようなことを考えておりました。戦後、進駐車将校によって一九五一年に組織された、スポーツ・カー・クラブ・オブ・ジャパン(SCCJ)を、我々日本人モータースポーツ愛好家が一九五五年に継承して日本スポーツカークラブ(SCCJ)と改め、私はその会長をやっておりましたが、一九六〇年に私は海外へ出なきゃなりませんので、一九六〇年から七七年までアメリカにおりまして日本の状態を眺めておったわけでございます。その間にJAFができまして、そのJAF構成は、なかなか日本には自動車クラブというのはたくさんございませんので、いろいろ国際関係があるので、やはり国際的に立ち上がることのできる一つの団体ができなきゃいけないというようなことを常々考えておったわけですが、たまたま一九七〇年ごろに、浅原源七社長、日産自動車の会長をしておりましたけれども、そのときにまたJAFの会長をしておりまして、一度帰ってきてJAFをもっと公平と申しますか 一般クラブのようにするためにおまえ帰ってこいというようなことがございましたけれども、私は仕事が忙しくて帰ってこられなかったわけです。  一九七八年に日本へ帰ってまいりまして眺めますと、そして私は日産から推薦を受けたわけではございませんで、スポーツカーを好んでいる連中から推薦を受けまして、JAF理事に入りました。それで一番先に感じたことは、周りを見回すと、全部いわゆる自動車会社の重役があるいは社長か、そういった方々が顔を連ねておられるので、これは自動車クラブじゃない、もっと我々のような自動車を愛する者が中へ入ってきて、そしてこれをやらなきゃいけないということを考えて、たびたび理事会においては、早く民間に返してください、そしていわゆる利益を代表する方々には帰ってくださいというようなことを発言をしておりましたけれども、なかなかそれができませんで、そこへもってきて官庁の監督があって、いわゆる官庁から天下ってきた会長がずっとおられまして、我々としては何とも文句を言うことはできなかったわけです。  いつもそれに押しつぶされているような関係で、私は、殊にスポーツの委員長をしておりましたので、スポーツの方で逃げてというわけじゃありませんけれども、スポーツの方を何とか開拓しようというようなことでおりまして、今ここで顧問として内在的矛盾のことを申し上げるのは大変私心苦しいのですけれども、しかし何としても、自動車連盟というからには日本じゅうにあるモータースポーツクラブが連合してでき上がったものでなければならないのに、いわゆる草創のときにできた、いわゆるメー力ーあるいは販売会社によってつくられたクラブがそのまま今日まで来ておる。  その中で、理事会に私はたびたび出て申し上げたのですけれども、基本問題調査会というのがありましたけれども、この基本問題調査会では一回もその問題については議論されたことはありません。私が提案してもそれは消されてしまうというような状況でありました。したがって、いろいろ文句を申すものですから、五年前ですか、四年前に私はいわゆる祭り上げられて顧問になったわけでございますけれども顧問という仕事が何もありませんで、それきり一切何も関係がないわけでございます。  そんなことで、JAFはぜひとも、最近地方にたくさんクラブができておりますから、クラブの代表者を理事に送り出してJAF仕事運営してもらいたいと思います。
  14. 中村正三郎

    中村正三郎委員 大変ありがとうございました。  時間が大変切迫しているので、はしょって申しわけありませんが、もう一つJAFの問題についてお話をさせていただきたいと思います。  JAFには「国際スポーツ法典に基づく機能の行使及び自動車スポーツの運営並びに記録の公認」という項が定款に載っております。  ところが、私がこれを指摘するのは、私の前歴を申し上げなければ信じていただけないと思うのですが、私は、実は自動車のグランプリのレーサーをやっておりました。そして、JAFのことにも深く関与し、JAFのA級ライセンスの先生もやっておりました。  そういうことで内部の事情をわかっているわけでございますが、「国際スポーツ法典に基づく機能」と言っておりますけれども、「国際スポーツ法典」と訳したのは実は我々の仲間でありまして、そのときは民間でやると思いましたので、なるべく権威を持たせた方がいいと思ってこういう訳をしたのでございますけれども、これは実は、FIAというヨーロッパを中心にレースの興行をやっている団体のスポーツコードでございます。ヨーロッパは非常に長い歴史がありますから、歴史の中で、ある国の自動車メーカー同士、あるいは他の国の自動車メーカーとが相争って自動車レースをやってきたわけですけれども、その頂点にあるのがF1です。それで、競技のためのインターナショナルスポーツコードというのをつくっておりまして、それが、JAFがこの「国際スポーツ法典」という私どもの仲間の訳をそのまま入れてしまったコードにすぎません。  ですから、これは自動車メーカーの利害、いろいろなものがかかわりますから、法典といえるようなものではなくて、しょっちゅう改正がされます。あるときは、あるメーカーのものが走りにくいようなレース規則にしたり、近くでは、日本の本田が提供していたエンジンがちょっと走りにくくなるようにされたとか、突然どこかの自動車メーカーが走れないようにしたとか、私自身経験しておりますが、このFIAと同じことをJAFがやるものですから、日本でもこういうことが起こっております。  そして、自動車のレースというと、莫大な金がかかり、そしてメーカーの営業成績にもかかわってくる問題。いろいろな会社がスポンサーをして、それのお金がどう使われ、どういうふうに宣伝効果があるかということになってまいりますから、お金もかかるし、熾烈な争いになる。ですから、F1ではしょっちゅう死人が出ます。プロになればなるほど大変であります。  そして、F1を頂点に、GT選手権とかヨーロッパツーリングカーレースとかこういったことをやっているのがFIAでありまして、FIAは規則をつくって、FOCAというクラブがF1の興行などをやっております。ですから、この間日本に来たのもこういった連中であります。結果的に、この連中はヨーロッパでありますから、アメリカのレースはやられません。ですから、アメリカにはインディーカートレースというF1と同じようなレースがあり、これはカナダ、オーストラリア等でシリーズ戦が戦われておりますが、日本には紹介されませんから、日本の人はF1が唯一のレースの頂点だと思ってしまう。  こういうことが起こっているわけでありますが、こういうことが起こって困るというのは、このF1、いわゆる大きなヨーロッパのレースの興行を仕切るところの代理店に公益法人JAFがなってしまったということなんです。  ですから、最終的にはF1のドライバーになりたい、ヨーロッパスタイルでレースをやりたい、そういうところに参戦した方がメーカーとして得だというところは、JAFに入り、F1に入っても、それはいいでしょう。そして、今本田はF1の世界にはおりません。アメリカの方がいいというので、インディーカートレースにエンジンを提供しております。  ここで問題は、そんなものは条約でもないし法律でもないから、それじゃJAFを無視してやればいいということになるのですが、これが公益法人で、政府の監督を受けている団体だからややこしいことになります。こういう事態を解消しなければいけない。  このFIAの代理店であるJAFは、このJAFの周りにいる、さっき言ったJROなんとかいうのかな、レース興行JAF常任理事が携わって、法人格なき社団か何かをつくっている。そこでF1の興行などをやる。こういうことを公益法人がやっては困るので、JAFのレース部門というのは一つ公益的なことでない、まさに興行ですから、こうしたFIAやJAFによる干渉がなくなれば、日本のモータースポーツというのはもっともっと底辺が広がって、みんなができるものになる。今は興行なんですね。だから、自動車レースをやろうとするとJAFに物すごく金を取られる。  この間のF1のレースだけで、TⅠサーキットというサーキットは、あの中で旗を振るコースマーシャルの人だけで二億円取られたといううわさがあります。うわさですから調べてみなければいけませんが、火のないところには煙は立たぬと思います。  こういったことを改善するために、少なくとも自動車レース部門はJAFから分離するべきだと思いますが、警察庁、いかがですか。
  15. 田中節夫

    田中(節)政府委員 お答えいたします。  いわゆるモータースポーツの健全な発展という観点から見ますと、今委員お話しのように、このモータースポーツをめぐりましては、ドライバーあるいはオーガナイザー、メーカー、サーキット所有者等々、スポーツクラブも含めまして、いろいろな意見、要望が必ずしも一致しないという側面があったようでございます。  過去におきましても、日本におきましては、その都度JAF責任が問われたりして、そこから派生じて、今お話しのように、モータースポーツの統括業務と申しますか、そういうものをJAFから離してはどうかという御意見が過去にあったというふうに承知もしております。しかし、過去におきましては、そういうような統括業務につきましての財政基盤でありますとか体制等を総合的に見て、JAFにかわるべきものはないのではないかというような御意見で今日に至っているというふうに承知をしております。  ただ、先生指摘のように、健全なモータースポーツの発展ということを目指しながら、その過程におきましていろいろな問題が発生しているということでございますので、JAFにかわるべき新たな組織があるのかどうか、関係各方面の意見を伺いながら、真に健全なモータースポーツの発展のためのあるべき姿について検討してまいりたいというふうに思っております。
  16. 中村正三郎

    中村正三郎委員 もう一問だけ、済みません。  どういう状態が起こっているかといいますと、アメリカのインディーレースを日本でやろうとして、JAFが抵抗して大変な問題があったというのは有名な話であります。読売新聞がやろうとして、当時の運輸大臣まで話してやっと開催したことがございます。  それから、つい最近のことでありますが、アメリカの西海岸の極めて有力なピストリックカーレースをやっている人たちが、茨城新聞の何周年か記念、創立記念のレースというのを筑波サーキットでやろうとして、そこで日本の方のクラブ計画をしたのだけれどもJAFは、これはだれもJAFに入っていない、FIAのルールでもない、アメリカの連中はFIAのライセンスを持ってない、JAFのライセンスを持ってない、だから走らせないということで、これをぶち壊しました。そこで、アメリカのこの有数のピストリックカークラブの会長は、日本人のことは二度と信用しないと言って怒りに狂って帰っていったのでございます。  これは私の仲間が携わっているから知っております。私は強くこの部門を民間に移行することを求めます。  それからもう一つ、通産省が来ているのですが、筑波サーキットというサーキットがあります。これは公益法人サーキットです。しかし、これがJAF加盟クラブに牛耳られて、公益的であるべきサーキットが、百何日ある土曜日曜のうち、九〇%をJAF関係人たち興行のために押さえられた。今これを改善しようということをやっておられるそうです。その点を確認すると同時に、この筑波サーキット公益サーキットですから、少なくとも、JAFだけのレースをやるとかJAF以外の人には使わせないということはやらせないという御決意を今お述べいただきたいと思います。
  17. 林由起夫

    ○林説明員 御説明申し上げます。  先生指摘のとおり、筑波サーキット、これは財団法人日本オートスポーツセンターが昭和四十一年に設立したサーキットでございます。先生指摘の点につきましては、詳細に調査中ではございますけれども、おおむね御指摘のようなことは事実であるとの心証を現在のところ得ておるところでございます。  したがいまして、今後、公益法人運営に関します指導監督基準、こういったものも十分踏まえまして、通産省としまして、このサーキットの適切な運営が図られますよう厳正に指導監督してまいりたいというふうに思っております。
  18. 中村正三郎

    中村正三郎委員 JAF以外の競技でもやらせますね。
  19. 林由起夫

    ○林説明員 はい。
  20. 中村正三郎

    中村正三郎委員 どうもありがとうございました。
  21. 日笠勝之

    日笠委員長 須藤浩君。
  22. 須藤浩

    ○須藤委員 新進党の須藤でございます。  交通安全につきましては、特に今年度も自動車事故等による死者数が恐らく一万人を超えるのではないかというような数字が現段階でも推定されておりますけれども、いずれにしても、行政、そしてドライバー、国民一丸となって交通事故の死者数の減少を図らなければならないと常々思っております。  本日は、自動車事故ではなくて、鉄道におけるいわゆる踏切等の事故について質疑をさせていただきたいと思います。  鉄道におきましては、よく踏切において事故が起きるかと思いますけれども、現在これまでどのような形で、そしてどれほどの事故が起きているのか、概略で結構ですので、まず事故に関しての御説明をお願いいたします。
  23. 澤田諄

    ○澤田説明員 お答えいたします。  踏切事故の発生件数はいろいろな対策の推進によりまして大幅に減少しており、この二十年間で約四分の一に減少しております。しかしながら、平成六年度におきましては、踏切事故は件数で五百四十件、死傷者数で三百七十人の発生を見ておりまして、全運転事故千七十三件の約半数を占めますとともに、全運転事故の死傷者数八百五十八人の四割以上を占めております。
  24. 須藤浩

    ○須藤委員 踏切における事故といいますのは、私も事前に何点か資料をいただきながら御説明を伺っているのですけれども、とにかくこの二十年余りの間に、件数としてはかなり減少の傾向にあるということを数字でお聞きをしております。  そこで、例えば踏切における事故は平成六年度において、踏切の種類として第一種、二種、三種、四種ということで区分があり、その中でそれぞれ第一種が三百八十六件、第二種がゼロ、第三種が四十四件、四種が百十件、そして合計が五百四十件というようなことで、踏切事故の件数の減少について資料をいただきました。この中で、実は踏切に関しても、例えば自動車が踏切の中に入ってしまって事故が起き、死亡につながるということも当然この中に含まれているかと思いますが、踏切の事故を減少させるために今どのような対策が行われているか、簡潔に御説明願います。
  25. 澤田諄

    ○澤田説明員 踏切事故対策につきましては、第五次の踏切事故防止総合対策及び踏切道改良促進法に基づきます立体交差化、構造改良及び踏切保安設備の整備などの対策を積極的に推進しますとともに、関係省庁とも連絡をとりつつ、交通規制、広報、啓蒙活動の対策を積極的に推進しているところでございます。
  26. 須藤浩

    ○須藤委員 いろいろ努力をされている結果事故が減少しているということは言えるかと思いますけれども、事故減少のために、第一種から第四種までの踏切があるわけですが、事故が起きる、そしてそれを起こさないための対応として、踏切の種類がありますが、これをちょっと説明していただけますでしょうか。
  27. 澤田諄

    ○澤田説明員 踏切対策につきまして、現在一種から四種まであるということにつきましては、先ほど先生から御指摘がございましたが、一種につきましては、踏切保安設備それから遮断機がついた踏切のことを一種と言っております。それから三種、二種は事実上現在ございませんが、三種につきましては、警報機のみの踏切で遮断機がないという踏切でございます。また四種につきましては、踏切の標識はございますが、保安設備がついていないいわゆる無人踏切で、警報装置がついていないという踏切が四種でございます。
  28. 須藤浩

    ○須藤委員 今踏切の種類を御説明いただきましたけれども、この中で、例えば第四種は警報、遮断機等がついていないということで、踏切の標示だけである。当然そこを通行する人は、踏切が存在することは認知をするけれども、列車の通行に関しての警報がないためにわからなく、事故が起きるということもあり得ます。第一種の方はそれぞれ警報機、遮断機がついていますけれども、中には車等あるいは歩行者も含めて事故が起きる場合もあります。  これは、例えば第四種をより施設整備を行って第一種の方向に持っていくということは当然行われていると思いますが、その辺の進捗状況はどのようになっていますでしょうか。
  29. 澤田諄

    ○澤田説明員 お答えいたします。  現在、先ほど申し上げました平成六年度でございますが、全体の踏切数三万八千五百二十二カ所のうち、一種踏切が八割の三万九百四十一ということで、御指摘の第四種につきましては五千六百四十カ所、全体のうち一四・六%でございまして、ここ毎年毎年減少傾向を示しております。
  30. 須藤浩

    ○須藤委員 それで、これはなかなか難しいところだと思うのですが、第四種の踏切を第三種ないし第一種の踏切に施設整備を図っていく、それによって踏切における事故の減少にどれほどの相関関係が出てくるかというようなことは把握されておりますでしょうか。
  31. 澤田諄

    ○澤田説明員 現在詳細な数字はちょっと持ち合わせておりませんが、先ほど申し上げましたように、事故件数では、全体の五百四十件のうち四種踏切が百十件ということでございますので、約二割弱という状況でございます。御指摘の第四種踏切、全体の総数でいきますと一五%程度であるということからしますと、やはり四種踏切はなくしていくという方向に行くべきだと思っておりまして、今後も四種踏切のさらなる保安設備の整備ということについて努力してまいりたいと考えております。
  32. 須藤浩

    ○須藤委員 そうしますと、事故対策の基本的な考え方として、踏切の施設整備を図ることにより事故の減少を図っていくということがあろうと思います。  そこで、実はどうしてこう回りくどいことを御説明いただいたかといいますと、当然のことながら、線路に道路がクロスをしている場合、そこが事故が最も起きやすい場所になる。その事故の未然防止のために警報機、遮断機等をつけて、事故が起こらないように事前に注意を促すということになろうかと思います。この場合、踏切そのものが設置をしてあれば、当然通行する方々も、そこが危険な箇所であるという事前の認識のもとに注意を払うべきは当然のことだと思います。  実は全国で、分類上は第四種に該当するのかちょっと私もわかりませんが、踏切がなくて道路と交差をしている、そこを通行人が通るあるいは車が通る場合もあろうと思います。そういった箇所というものは恐らく全国にたくさんあるのではないかと私は推測をいたします。  この辺の、そういった危険箇所、そういったところは調査ないし確認がされていましたら、お知らせいただきたいと思います。
  33. 澤田諄

    ○澤田説明員 踏切道以外の部分におきまして線路の横断等をされる場合があるという御指摘でございますが、その点につきまして私どもの考え方は、非常に線路に立ち入るということは危険でございますので、そのような箇所については注意標識等、立ち入り防止の措置をとるような指導を鉄道事業者にしておりまして、全体的な数等の把握というのはいたしておりません。
  34. 須藤浩

    ○須藤委員 それでは私の方から具体的な事例としてひとつ、交通安全、人命にかかわることですので、お話をさせていただきたいと思います。  日本全国、特に中山間地においては、恐らく農道や林道も含めて鉄道が当時敷かれた折に、従来生活道路としてあったところの上に鉄道が敷設をされているというところがあろうかと思います、その当時の状況というものはなかなか知る由もないわけですが、現実に、一般化して申し上げますと、当時生活道路として使われていたところの上に鉄道が走りまして、当然鉄道が敷設される折には公共の利益と福祉のために当事者の方も快く鉄道敷設に関して了解をし、そして鉄道が通っている。  当時は農耕等を行っておりましたが、牛やそういったもので荷物を運んでいたために、特別現在のような整備をされた踏切ということではなくても大きな問題はなかった。ところが、当然農業の方も機械化、近代化されることによりコンバインやあるいはトラクター、耕運機というものが通行するようになった。鉄道の方は、地理的あるいは勾配等の関係もあって、道路から見るとかなり高く整備、工事がされている。そこを通らなければ農耕することはできない。  それともう一つ、線路を挟んで奥に民家もありあるいはお墓もあるということで、年中通して人数的には少ないけれども往来がある、そういうところがあります。この場合どうしてもそこを通らなければならない必然性があるわけですが、現状を私も見てまいりましたが、大変に危険な場所である。一方がトンネルになっていて列車が来るかどうかということはなかなかわからない。踏切がないわけですから、そこを通行するなということは一つの事前の事故防止につながるわけですけれども、そう言われてしまうと、そこを通らなければならない人にとっては大変生活上困ってくる。これをどうしたらいいかな。  交通安全対策特別委員会ですから、人命にかかわることも含めて関係当局、関係者のもとでいろいろ話をして、対策は私は講ずるべきであろうと思いますが、この踏切設置に関して、今のような場合はどうされるのか、お聞きをしたいと思います。
  35. 澤田諄

    ○澤田説明員 先ほど申し上げましたように、踏切事故といいますのは鉄道事故のうちの約半分を占めておる。それから、一たび発生しますと多数の死傷者が出るおそれがあるということから、基本的には踏切対策が立体交差化あるいは踏切の統廃合ということで全体の踏切数の削減ということを基本に、現在ある踏切につきましては保安設備の整備ですとか構造改良というようなことで対策を講じているわけであります。  御指摘のような箇所、具体的にその箇所がどのような箇所か定かではありませんが、やはり線路内の立ち入りのおそれがあるというところにつきましては、先ほど申し上げましたように、立ち入りが非常に危険でございますので立ち入らないような注意標識等を行っておるわけでありますが、基本的に、そのような具体的な案件がありますれば鉄道事業者のみではなかなか解決できない問題でございます。地域の公共団体等との話し合いを進めながら、どのようなルートを経て線路に立ち入らないで通行できるかどうか、あるいは、それらについてさらに必要があれば地方公共団体等の協力を得ながら解決していくというのが一般的な方法ではないかと考えております。
  36. 須藤浩

    ○須藤委員 私も今一般論で申し上げておりますので、回答について一般的な答弁しかできないと思います。  実はきょう大臣出席要求を私はさせていただきました。それは、最終的に技術的な問題のクリアと、もう一つは交通事故防止のために踏切を設置するか、あるいは整備をしていくかという政策判断をお聞きしたかったから大臣要求をいたしました。残念ながら特別委員会関係出席をされないということですので、具体的な名称等まで私はきょうは申し上げませんけれども、交通事故、特に未然に防止をしていくという観点に立つ、これは車でも全く同じなんですが、どれだけの対応を整えていくか、対応をしていくかということが事故減少に当然つながってくるかと思います。  その際には、当然のことながら、予算措置をどれだけしていくか。予算措置をすることによって未然に事故防止を図れる箇所というのはかなり私は多くあるのではないかというふうに考えております。これは鉄道、踏切等に限らず、いわゆる一般道路でも全く同じ、特に鉄道の場合は、立体交差をさせていけば物理的なクロス面がないわけですから、当然事故は減るということになります。  しかし、今私が一般論として申し上げた場所は、現に踏切はなくとも通行がある、また、そこを通らなければ生活に支障ができる、そして鉄道が敷設をされた当時にさかのぼって経緯を考えてみると、これはかなりその当事者の積極的な協力があったからある意味で鉄道も通ったということがあろうかと思います。  技術的には私は必ずしも踏切のみをそこに設置をしなくても通行できるような対応策もできるのではないかというふうに現地確認をして考えているのですが、当事者の方々も、運輸省、そして地方自治体の行政、それぞれにかなり真剣な陳情といいますか要望をされております。具体的に返ってきた答えは、非常に難しい、予算措置も含めて難しいという答えが返ってきております。  しかし、これをそのまま放置をしておいて、現にそこで事故も起きております。機械的な事故と体を打撲をしてしまったということが起きております。恐らく放置をしておくと人命につながるのではないかという非常に心配をされてのお話でありました。これは一カ所に限ったことではなくて、中山間地における鉄道敷設に関して私はかなりそういう場所が多くあるのではないかというふうに実は考えているわけです。  そこで、例えば現在JRは民間に移りましたが、当時国鉄の時代から含めましてこういった経緯で危険な場所が幾つか出ている。私は、これを具体的に調べて、そして対応をすべきであるというふうに思います。そこに予算がかかるのであれば、政策的にこれを解消するための対応をすべきである、このように思います。  きょうは大臣がお見えになっておりませんので、この答弁はできないかとも思いますが、担当としてこういう状況が存在するということに関してどのようなお考えをお持ちであるか、お伺いしたいと思います。
  37. 澤田諄

    ○澤田説明員 踏切事故対策につきましては、先ほどから申し上げましたように、基本的には立体交差、構造改良、踏切保安設備の整備というようなことで、同時に、総合的な広報等も啓蒙活動も含めた諸活動で推進していきたいと思っております。  御指摘の踏切以外の横断箇所というようなことにつきまして、本来そこは通行してはならないというような箇所でございます。したがいまして、鉄道サイドだけの施策としますと、やはり通行禁止というような措置を講じざるを得ない問題かと思っております。先ほどから申し上げましたように、踏切の新設ということは法令上も含めて原則つくらないという方針の行政施策を講じておる中で、具体的な形でどのような対応がとれるかというのは、個別具体的に検討していく問題ではないかと考えておるわけでございます。
  38. 須藤浩

    ○須藤委員 本日は一般化して話をさせていただきました。一応問題の提起ということで、以後機会がありましたらまた質問させていただきたいと思います。この具体的な例が実はあるわけですが、これに関しましては別途また関係当局といろいろ御相談をさせていただきながら、事前の事故防止のために御協力をお願いをしたいと思います。  以上で終わります。
  39. 日笠勝之

    日笠委員長 山本孝史君。
  40. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 新進党の山本孝史でございます。  残念ながら、この七年間、交通事故による死者が一万人を超えております。この交通事故の陰でたくさんの方々が涙に暮れておられる。その遺族の方々のその後に長く続く精神的あるいは経済的な御苦労を思いますときに大変に心が痛みます。あわせて、加害者になられた方たちも大変につらい思いをされておられるだろうというふうに思います。  現在の第五次交通安全基本計画が来年三月末で終了いたしますので、引き続きの第六次交通安全計画の策定作業が現在進んでいるというふうにお伺いをしております。  そこでお尋ねですけれども、これまでの計画でなぜ一万人以下の目標の達成ができなかったのか。その点を真摯に検証しないと、同じような計画を立てていっても意味がない。これまでと違う角度からの施策をもってこの計画を立案をしていただきたいというふうに思うわけです。  その点でどのような考えに基づいて現在の計画策定作業を進めておられるのか。本来ですと総務庁長官にお伺いをさせていただきたいというふうに思ったのですけれども、きょうは御出席がないようなので、一番のその責任者に御答弁をお願いいたしたいと思います。
  41. 井野忠彦

    ○井野政府委員 現在第六次の交通安全基本計画を策定中でございます。新しい計画をつくる場合に大事なことは、今委員指摘のとおり、これまでの施策がどのような効果を発揮したかということの検証ということだろうと思います。これは非常に難しいわけでございますけれども、今回はできるだけ、以前にも増して充実したものとなるように検証をしてまいりたいというふうに思っております。それから、今後考えておる施策の効果予測という点につきましても、これまで以上に的確な効果予測をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、これからの施策を考える上で大事なことは、やはりこれまでの交通事故の分析をより的確に行うことであろうというふうに思っております。幸い平成四年に交通事故分析センターというものができましたので、この成果を生かしてまいりたいというふうに考えております。  それから、施策につきましては、これからますます高齢化、情報化というものが進んでまいりますので、そういう社会情勢の変化に対応した施策を展開していくことが重要ではないかというふうに考えております。例えば高齢化に対応した施策として、参加実践型の交通安全教育をさらに展開するとか、あるいは高齢者に配慮した道路交通環境の整備を一層図るとか、そういうことが大事になってくると思いますし、情報化に対応するための施策として現在進められております高度道路交通システム、こういうものをやはり整備していくことが必要ではなかろうかと思っております。  さらに、現在の交通事故の実態にかんがみますと、チャイルドシートとかあるいは後部座席を含むシートベルトの着用を一層推進する、あるいは事故多発地点対策の推進、こういうことも大事になろうかと思いますし、さらに救急対策の強化という観点からいいますと、もうヨーロッパでは二十年以上も前に導入されております救急ヘリコプター、こういうものも日本で導入できないかということも現在検討しておるところであります。  そういうことでこれまでの施策を着実に推進すると同時に、今委員指摘のとおり、新しい時代に即した新しい観点から施策を考えることも大事であると思いますので、そういうことから現在検討をしておるところでございます。
  42. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 普通の会社でいきますと、七年続けて目標が達成できなければその責任者は首になるというのが普通であろうと思います。事人命にかかわる問題ですし、救急体制にしても、ヘリコプターとおっしゃるけれども、救急救命士の制度は全然広がっていない、そういう点を置き去りにしてヘリコプターとおっしゃるのもいかがかなというふうに思います。  大体企業において、例えばトラック会社あるいは流通関係の業者というのは、自分たちの事故率を減らすことに極めて真剣に取り組みをしている。それはもちろん自分たちの会社の名誉もかかっておりますし、その企業内容にもかかわってくることですから一生懸命やっているわけでしょうけれども行政というところは、どうも自分たちの命ではない、自分たちのお金ではないという感じですと、何か対策にいまいち真剣味が欠けている。それが七年連続の一万人超えではないかというふうに思うわけです。その点をしっかりと受けとめていただいて内容の濃い計画を立てていただきたい、そういうふうに思います。  次の質問に移らせていただきます。  ことしの二月二十二日に開かれました本委員会におきまして、私は阪神・淡路大震災で重要な役割を果たした八尾基地を防災基地化してほしい、あるいは活躍をしました市民団体の活動を支援するような体制の整備を進めてほしいというお願いをさせていただきました。  あわせて、交通安全対策室が所管をされております財団法人交通遺児育英会という団体の運営に極めて不透明な部分がある。奨学金を利用している、あるいはこれから利用しようとしている交通遺児の子供たちに迷惑の及ばないように、不利益を与えないように、十分に監督、御指導をしていただきたいというお願いをさせていただきました。しかしながら、その後、そのときに監督官庁としてはわかりましたというお顔をなさっていたわけだけれども、残念ながらそのお約束が空証文に終わってしまいましたので、本日はその問題についてお取り上げをさせていただきたいというふうに思います。  七月二十八日の朝日新聞で、今申し上げました交通遺児育英会の奨学金の送金がおくれている、奨学金を当てにしていた交通遺児の学生が困っている、こういう大きな新聞記事が出ました。室長もごらんになっているとおりだと思います。  その理由は、理事会の開催がおくれていて、慣例として同時に開催をしていた奨学生選考委員会、ここの選考の議決を得ないと奨学生が決定できないわけですけれども、その奨学生選考委員会の開催がおくれている。したがって、採用がおくれているので奨学金の送金がおくれているんだという内容になっております。  この交通遺児育英会の理事長は、元総理府交通安全対策室長の宮崎清文さんが今なさっておられる。調べによりますと、宮崎さんが理事長に就任されて以来、五月までに開くべきだというふうに同会の寄附行為で決められている決算理事会が二年続けて七月に開催されております。それに伴って、総理府令で定められている監督官庁への報告も、期限であるところの六月末が守られていない。この宮崎新体制のもとで二年続けてこういう状況が続いている。これは明らかに交通遺児育英会の寄附行為違反、あるいは総理府令違反というふうに私は思いますけれども監督官庁の御所見をお伺いします。
  43. 井野忠彦

    ○井野政府委員 寄附行為では二カ月以内、それから総理府令では三カ月以内というふうになっておりますので、これに違反することは、御指摘のとおりであります。
  44. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 この記事が出ました後で、奨学金は送金をされました。  しかしながら、奨学生選考委員会の議決を経る前に、すなわち、七月三十一日に理事会は開かれたわけですけれども、奨学生選考委員会の議決を経たのはその日の午後、しかしながら、奨学金のお金は予定していた奨学生の口座にその日の午前中に入金をされている。したがって、これは奨学生選考委員会の規程にも違反をしているのではないかそういうふうに思いますけれども、この点についてはいかがですか。
  45. 井野忠彦

    ○井野政府委員 この点につきまして、向こうの事務局の責任者を呼んで事情を聞いたわけであります。  委員指摘の奨学金につきましては、当日の選考委員会、午後に開かれましたけれども、この議決の後に送金するように取引銀行に依頼をしていたという報告を聞いております。しかし、たまたま当日が七月三十一日ということで、月末で非常に銀行の方も事務が錯綜をしていたということで、銀行側の送金事務の手違いにより一部の学生に送金がなされたというふうに私は聞いておるところでございます。
  46. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 一度銀行にお伺いをされるとよろしいかと思うのですけれども、銀行というのは、送金の書類をいただきますと、午後に送れとかというのはなかなか無理な話であって、もう手続に入ってしまうのです。三十一日にこの選考委員会が開かれる。しかもそれが午後である。銀行の窓口が開いているのは一応三時までですから、もちろん事務センターはその後も開いておりましょうけれども、大体三時までに窓口に持ち込むということで考えていけば、三十一日の送金そのものが無理なのであって、ちゃんとした運営をしようとすれば、それは八月一日以降に送るというのが普通の形ではありませんか。普通の感覚としてはそんなふうに思われませんか。
  47. 井野忠彦

    ○井野政府委員 委員先ほどお示しになりましたように、数日前に新聞に出まして、送金がおくれておるということがございました。そういうことで、事務方も、一日も早く、一時間でも早くというような考えが背景にあったのではないかというふうには私ども理解しております。  いずれにしましても、銀行の方には時間を指定して、ちょうどその議決が終わる二時半か三時ごろを、詳しいことは覚えておりませんけれども、そのころの時間を指定して、その後に送金をしてくれというふうにお願いをしたというふうに私どもは聞いておるところでございます。
  48. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 できるだけ早くということであれば、本当は理事会をもっと早くに開くべきだという話にこれはなるのですよ。そこで、責任の所在を明確にしていくことが今後同様の事態を起こさないということについて極めて大切であろうというふうに思うわけです。  それで、育英会から提出をさせたのか、あるいは提出をされたのか、この点もお触れをいただければと思いますけれども、文書というのがある。しかし、その文書の内容を見させていただくと、六年度の理事会の開催がおくれたことはまことに遺憾であると考えるというふうにはなっておりますが、先ほど申し上げましたように五年度もおくれているではないかという点については何ら触れていない。しかも、その後奨学生にどういうふうなことをなさったのか、迷惑をかけたことについてどういうふうなおわびをなさったのか、その点ほどういうふうに理解をされておられるのか、私はその点も実は心配をしております。  それで、室長も、交通遺児育英会からこの対策室に提出をされておる議事録、各回の議事録全文掲載されておりますのでお目通しをいただいていると思いますけれども、この理事会の席上でも、宮崎理事長は、二年続けておくれている、自分が新しく理事長になってからこういうふうな運営が続いているということについて、その責任を認める発言はされていないというふうに私は聞いております。  室長、その点ほどういうふうに受けとめておられるのか。こういうことであったのでは、指導するというふうに二月におっしゃって、その後、七月にこういう事態があってということですから、監督官庁としての指導が極めて形倒れになっているのではないか、表面的になっているのではないかというふうに私は思うわけです。先ほども申し上げましたように、現在の交通遺児育英会の理事長は元総理府交通安全対策室長、今の井野さんのいわば先輩に当たる方が今ここの理事長をなさっておられる。そうしますと、この理事長と、そして現在の監督官庁である交通安全対策室との間に何か不透明なつながりがあるのではないかというふうに勘ぐりたくもなる。きちんとした指導をしていただきたい。  総理府令に違反をしました、寄附行為に違反をしました、奨学生選考委員会の規程にも違反をしましたということを前提にした今後の運営に適切な運営をするという文書をとるぐらいのことでないと、きちんとした指導にならないのではないか、そういうふうに思いますけれども、見解をお伺いします。
  49. 井野忠彦

    ○井野政府委員 この問題につきまして、去る八月一日、理事会の翌日になりますが、交通遺児育英会の事務方の責任者であります専務理事事務取扱を呼びまして、今後このようなことのないようにということで、厳重に注意をしたところであります。また、同日付で、理事長から私あて及び共管省庁でございます文部省の高等教育局長あてに、理事長名で、今後このようなことのないようにしたいという旨の文書を提出されているところでございます。
  50. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 その文書の内容について、満足されておられるのですか。
  51. 井野忠彦

    ○井野政府委員 このようなことを今後しないようにしたい、気をつけたいということでございますので、そういうぐあいに私どもは受けとめております。
  52. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 私がお伺いしているのは、交通安全対策室は、監督官庁としてきちんと指導をしているのか。  その出てきている文書は、それであなたは十分だというふうに今おっしゃっているわけです。しかし、二月二十二日に私はお願いをして、指導をしてくださいと申し上げた。わかりましたとおっしゃった。七月の時点でこういう事態が起きた。それを受けて出てきている文書なのだから、私が申し上げているように、総理府令に二年続けて違反をしている、そして二年続けて寄附行為に違反している、今回の送金は奨学生貸与規程にも違反している。この三つの重大な違反、三つも違反をしているという事態を前提に置いた今後の運営にしっかりしますという文書をとらないことには、監督官庁としての責任を果たせないではないですか。その点を言っているのです。
  53. 井野忠彦

    ○井野政府委員 事務方のトップを呼びまして、先ほど申し上げましたように厳重に注意をしておりますし、また、理事長からもこういう文書が出ておりますし、私どもも、今後二度とこういうことのないように一層指導監督を徹底してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  54. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 余りにも頼りないから、私はあなたに約束破られたから、こういう御質問を差し上げているわけだけれども。  しかし、この宮崎さんが新しく理事長になられてからいろいろな事態が起きている。この交通遺児育英会は昭和四十四年の設立ですけれども、その四十四年の設立以来理事であった静岡県交通事故遺児を励ます会の小長井清一会長、そして財界大御所の中山素平さん、厚生省の兄事務次官であった翁久次郎さん、元文部大臣の永井道雄さん、監事では日本生命の名誉会長の弘世現さん、こういう方々が次々と宮崎新体制の中で辞任をされておられる。しかも、評論家の秋山ちえ子さん、この方も設立以来の理事ですけれども、この方もやめたいというふうにおっしゃっている。  これらの方々というのは、理事の任期は三年ですから、去年の四月に新しく再任あるいは選任されたばかりの理事皆さん、その方々が次々とこの一年ぐらいの間におやめになっている。任期は、申し上げたように再来年の三月です。この三年間の任期の途中でこういうふうに次々と、日本の政財界あるいは教育界をリードしてこられた方たちがお引き受けになった理事をおやめになっていく。これはただならぬ状況であるというふうにだれが見ても思うわけです。これまでにもこういうふうな任期の途中でおやめになったケースはあるのか、その点はどうですか。
  55. 井野忠彦

    ○井野政府委員 これまでに相次いで辞任した例はないというふうに聞いております。
  56. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 だったら、お伺いします。  こういう状況監督官庁である総務庁交通安全対策室長はどういうふうにお受けとめになっておられるのでしょうか。
  57. 井野忠彦

    ○井野政府委員 今委員指摘理事さんの中には、高齢あるいは病気等を理由にして辞任した理事さんもおられるというふうに聞いておりまして、全部が全部宮崎さんのもとでいろいろあった、そういう理由ではないというふうに私は聞いております。一身上の理由で辞任したものでございますので、私どもがどうこう言うことにはならないというふうに思っておるところでございます。
  58. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 これだけの名前のある方々は、おやめになるときは一身上の理由ということをおっしゃるのが普通であって、私はこういう理屈でやめますなんということをおっしゃる方は一人もいないわけですね。そして、大体いろいろな社会的な地位というか、いろいろな団体の役員も兼ねておられる方たちが多いですから、ほかの団体をやめているわけではないわけです。交通遺児育英会をやめている、そこが問題なのです。そこの受けとめ方を私は聞いているのです。  こういうふうに、去年の四月に選任されたばかりの理事がたくさんおやめになっていく。その一方で、理事会があって、評議委員会があって、理事の選任は評議委員会の議決ですから、評議委員会で二度にわたって、いわゆるこの交通遺児育英会に寄附等財政面で、あるいはその成長を助けるという意味合いで大きく貢献されてこられた方たちを理事に入れるべきではないか。  具体的には、この交通遺児育英会の奨学金を利用して卒業した奨学生、卒業生の代表、あるいは、街頭で毎年春、秋、ことしもついこの土日、土日とやらせていただきましたけれども、そういう街頭で募金に立っておられる学生募金事務局のOBの方、あるいは、あしながさんと呼ばれる一般の篤志家、たくさんの御寄附をされておられるそういうあしながさんの代表、このいわば三団体の、三つのジャンルからの代表を理事に選任すべきであるというふうに評議委員会で二回にわたって議決をされている。しかしながら、この宮崎執行部のもとにおける事務局が、そのたたき台を一向に出さない。したがって、理事会でのこの議論というのも、ここ一年半にわたってたなざらしになっている。評議委員会が議決をしたものを執行部がそういうふうに握りつぶしている、そういう状況がここ一年半続いているわけです。  しかしながら、一方で元警察庁の交通局長の関根謙一さん、これは宮崎理事長の後輩に当たる方ですけれども、この方は理事としてすっきりと選任をされている。片一方で、評議委員会が議決をしている、みんなが望んでいる正式に議決をされているその三理事が選任をされない。その一方で、宮崎さんの息のかかった自分の後輩に当たる交通局長の関根さんは、理事としてすっきりと選任をされている。これは一体何なのだ。この理事の選任過程というのは、極めて偏りがあるじゃないか、意図的ではないかというふうにとられても仕方がない。申し上げているように、宮崎理事長、そして監督官庁交通安全対策室、その後ろ側におられる警察庁の皆さん、この三つの間に何らかのトライアングル、しかも余りよろしくない不透明な、判然としないトライアングルがこの後ろにあるのじゃないか。見方によっては官僚による民間団体の乗っ取りではないかというふうに言う人さえいるわけです。  そういう状況を、後輩だからなかなか言いにくいのかもしれないけれども、あなたの立場上、井野室長はどういうふうに受けとめておられるのか。三理事の選任は早急にすべきではないか。それが正常な運営ではないかそういうふうに思うのですけれども、その点はいかがですか。
  59. 井野忠彦

    ○井野政府委員 評議委員会の場におきましてそういう議論が出たことは、もちろん私も承知しております。ただ、評議委員会において議決をされたというふうに私は聞いておりません。理事会におきまして適当な人を選ぶようにというふうに、そういう議論が評議委員会において議論されたことは承知しておりますけれども、これこれを理事にすべきだというふうに議決をされたというふうには私は聞いておりません。
  60. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 理事会の議事録と一緒に評議委員会の議事録もお手元に届いている、それをしっかり読んでおられる、こう理解していいのですか。
  61. 井野忠彦

    ○井野政府委員 評議委員会の議事録も当然読んでおります。
  62. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 そういうふうにしっかりと読まれている。その中で、流れとして出てきているのは、三理事を選びなさい、各界の代表である者をちゃんと入れなさいという議論がしっかりと評議委員会の中でなされている、そのことはお認めになりますね。
  63. 井野忠彦

    ○井野政府委員 そういう議論がしっかりなされていることは承知しております。
  64. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 決議があっなかなかったという点は、それぞれお立場があろうから微妙に表現が変わってくるのだろうと思いますけれども、しかしこういうふうに関根さんだけがすっきりと選ばれている。しかも、それまで指導的な立場におられた理事皆さんが次々、嫌気が差してやめていかれる。そこのところに、宮崎体制へのいわば理事皆さんからの、あるいは社会全体からの不信任が突きっけられているのだ、そういうふうにあなたは受け取りませんか。
  65. 井野忠彦

    ○井野政府委員 関根さんの理事選任につきましては、これは石井元理事長が昨年亡くなりまして空席になっておった。石井さんは元警察庁出身でございますので、とりあえず空席になっておる石井さんのポストを警察庁から埋めたというふうに私は理解しておるところでございます。
  66. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 石井さんは、今おっしゃったように元の警察庁長官、いわば事務次官クラスですね。事務次官クラスの後に局長クラスが選任される、しかもそのことについて井野さん、あなたは口添えをしたわけですか。
  67. 井野忠彦

    ○井野政府委員 私も、警察庁に参りまして適当な人を推薦していただきたいということはお願いをしております。
  68. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 きょう、厚生省は来られてないので話をしてもわかりませんけれども、厚生省の兄事務次官の翁久次郎さんがおやめになっている。その後任は選ばれていない。その点についてはあなたはどういうふうに理解をしておられますか。
  69. 井野忠彦

    ○井野政府委員 厚生省にも私もそういうお話を持ってまいりましたけれども、それは厚生省の内部の人事的な都合であろうというふうに私は理解しております。
  70. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 厚生省は、今こういうふうにごたごたのあるところには事務次官経験者を送れませんということでお断りになった、そういうことなんですよ。そういうふうな状況の中で、兄事務次官クラスのこの警察庁長官の脚後任に交通局長を持ってくる。しかも、宮崎さんもその分野ではずっと活動されておられた、いわば自分の後輩に当たる人、関根さんからすれば、何事があってもすぐ宮崎さんに相談に行くような、そういう方を選任をしてくる。そこのところに私は極めて不透明なものを感じるというふうに言っているわけです。その点のあなたの認識度合いは極めて薄いというふうに思います。  一点だけ確認をしておけば、申し上げているように関根さんは宮崎さんの脚後任という形ではない。事務次官の後に交通局長というランクで脚後任という形はあり得ない。なぜなら、ほかの運輸省も文部省も厚生省も、慣例の中ではずっと事務次官のクラスの人たちが、前の方がおやめになった後に御就任をされておられる。その意味で、今あなたの御答弁の中で、警察庁長官の後任に関根局長だとおっしゃる、それは、ほかの慣例とは全く合わないのだ。そのことを御承知の上でそういう答弁をされているのだろうと思うけれども、その点はおかしいのだということだけ指摘しておきます。  補助金がこの交通遺児育英会におりている。運輸省の自賠責の特別会計と、それから公営競技団体であるところの日本自転車振興会と日本小型自動車振興会、これらの団体からこの交通遺児育英会に補助金がおりております。その点についてお伺いをさせていただきたいと思います。  交通遺児育英会にはこれまでに、先ほど申し上げましたあしながさんと呼ばれる一般の篤志家の方たち、月千円あるいは一万円という形でたくさんお金を送ってくださった方たち、この方たちから百十八億円の御寄附が集まっている。学生の皆さん、先ほど三理事に選任をしなさいと言った人たちですけれども、大学生、高等学校生あるいは看護学校生の皆さんが街頭にお立ちになって集められた募金が三十一億円、そして政府や公営競技団体からの補助金、助成金で六十六億円、これまで、四十四年の同会設立以来、三百六十三億円の資金が各界から寄せられてきている。  平成六年度末現在の資産状況を申し上げましょう。基本財産が百億円、繰越金は六十二億円あります。奨学金は貸与ですから、奨学生から返還をされてきます。このお金が年間で十一億円になりますのですが、昨年の奨学金の貸与額は、貸与対象になる交通遺児の子供たちが今減ってきている。少子化ということもありますし、あるいは交通事故の事故内容が変わってきましたので、交通遺児の数が減ってきている。したがって、奨学金の貸与額、高校生、大学生等をすべて含めて十四億五千万円という状況になっています。  十四億五千万円の奨学金を貸与するのに十一億円の奨学金の返還金、これはそのまま貸与金に回っていきます。そして、百億円の基本財産を持ち、六十二億円の流動資産を持っている。そういう交通遺児育英会、そこに補助金がおりていって、しかも本年度も宮崎さんのこの交通遺児育英会は運輸省や公営競技団体に補助金を申請している。  いわゆる自賠責保険からの交通遺児育英会の補助金は、平成四年、五年、六年と決算段階でゼロになっています。補助金はついているけれども、実際には使ったお金が少ないので、計算してみるとゼロだからということでゼロになった。返還金が多いから、奨学金の利用者が少ないから、実際には決算額はゼロになっている。しかし、平成七年度、運輸省は二千九百万円の補助金をこの団体につけるのだということでおつけになっている。日本自転車振興会からの助成金は、平成六年度、七年度、ゼロです。日本小型自動車振興会からの助成金は、平成七年度やはりゼロになっている。しかし、宮崎理事長のもとで交通遺児育英会は同じように三つの補助金、助成金をことしも申請している。  行財政改革の必要性が叫ばれて、しかもこういう公営競技団体への収入は今減る一方ですから、そういう状況の中で、しかし交付を希望する団体はたくさんある。そういうことを考え合わせたときに、普通の感覚であれば、この補助金、助成金の申請は御遠慮するというのが私は普通の感覚だろうというふうに思うわけです。  もちろん、こういう助成金、補助金の申請あるいは交付ということについては、監督官庁である総務庁交通安全対策室は深く関与をしているわけだけれども、まずは通産省にお伺いをしたいのですが、この日自振それから日動振の申請に対して平成七年度はゼロにされておられるわけだけれども、このいきさつを教えてください。
  71. 林由起夫

    ○林説明員 両振興会におきまして、法人の財政状況等を総合的に勘案して審査をした結果、今年度につきましてはゼロになったというふうに承知をしております。
  72. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 総合的に勘案したというのはどういうことですか。それは財政状況に余裕があるから補助金はっけなくてもいい、助成金をつけなくてもいいという判断ですか。
  73. 林由起夫

    ○林説明員 小型自動車振興会におきましては、大学生に関します奨学金を支援をしてまいったわけでございます。最近の大学奨学金の返還金、さらには寄附金の実態、そして一方では奨学金の要望額、こういった点を勘案いたしますと、この交通遺児育英会の方におきまして自己資金がかなり充実をしてきておる、こういった状況を勘案しまして今年度の補助金はゼロになった、こういうふうに承知をいたしております。
  74. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 運輸省にお伺いします。  四年、五年、六年とゼロになっている、そういう状況の中で再び申請が出てきている。今、通産省からのお答えのとおりに、資産状況等を見ると必要ないのではないかということで通産省はゼロ査定をした。そのことについて、運輸省はこの自賠責特別会計からの補助金をどういうふうに考えておられますか。
  75. 山下邦勝

    山下政府委員 交通遺児育英会に対します補助につきましては、経済的に困窮している交通遺児に対する奨学金の貸与という公益的な事業活動を健全に促進いたしますために国も応分の助成を行うという考え方に基づきまして、従来から支援してきておるところでございます。  平成六年度が申請ございませんでしたけれども、七年度につきまして予算を計上いたしておりますのは、貸与月額のアップに伴いまして事業所要額がふえたということに関連するものでございます。  補助金の交付につきましては、交通遺児育英会の資金状況等を総合的に勘案いたしまして今後検討するということになっております。
  76. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 通産省の答弁を聞いていないのですか。資産状況は十分にあるから向こうはやめたのだと言っている。あなたも今、資産はあるけれども、資金需要がふえた  資金需要がふえたといっても二千九百万円ですよ。申し上げたように、六十二億円の資産を持っている。そういう状況の中で、なぜこの二千九百万円の補助金をことしもつけなければいけないのだ。しかも、三年間にわたって決算したらゼロだったじゃないかという状況の中で、限られたお金なのだからもっと有効に使うというのが行財政改革に今一番必要なところじゃないかということを言っているのです。もう一遍よく考えてください。  そして、少ない金額であれ、こういう補助金をつけていると、そこをねらってつながりを持っていくのだ。金の切れ目が縁の切れ目になるから、どうしてもそういうふうな団体に、少しずつでもいいから補助金を配っておいて、自分たちの影響力を持ち続けようとする、そういう官僚の姿勢に今問題点があるのだ、それが行財政改革改革しなければいけない一つの柱じゃないかその極めて典型的な例がこの例じゃないかというふうに私は申し上げているのです。  もう一遍答弁してください。
  77. 山下邦勝

    山下政府委員 この補助金につきましては、私ども一定のルールをつくって、先ほどおっしゃいました所要額に対しましてどれぐらい返ってくるのか、また、それに充てられる利子等もございますから、そういったことを勘案して補助金の計上をしておるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、最終的にはトータルとしての資金状況を見て出すかどうかを決めるわけでございます。
  78. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 答弁、極めて不満足ですけれども、しっかりとした検討をしてください。この年末に向かって予算を立てていくわけでしょうから、その中でもう一遍見直しをしてください。  それから、交通安全対策室も、こういう補助金のつけ方も含めて対策室の指導範囲内だというふうに私は思いますけれども、その点はどうですか。
  79. 井野忠彦

    ○井野政府委員 この問題につきましては、先般の理事会におきまして議論をされまして、申請をするというふうに議決はなされておりますので、当面はそれを尊重したいというふうに思っております。
  80. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 国民の声を受けた行政あり方あるいはお金の使われ方、自賠責にしたって、みんなそれぞれお金を、保険料を払っているわけですから、その益金の中でやっている話であって、議決をしたからそれでいいのではないかということであれば、指導という意味合いは全く必要がなくなるのです。あるいは、何ぼでもつけていこうということであれば、お金はずさんに幾らでも出ていく。その点を私は厳しく指摘をしていきたいというふうに思います。  井野室長に最後の御質問ですけれども、私がお尋ねをしたときに、交通遺児育英会、今申し上げたような余裕資金があるので、これは井野室長の個人的な見解だと思いますけれども、交通遺児の育英という本来の目的から外れて、交通安全の施設の整備であるとか、そういったところにもこのお金を使いたいのだというふうな見解を示され、私はそのように受けとめたのですけれども、井野室長としては、この交通遺児育英会のお金を交通安全に使うということはない、もちろん、監督官庁がそういう指導ができる立場ではないと思いますけれども、そういうふうなことをにおわせることもないというふうに理解してよろしいですか。
  81. 井野忠彦

    ○井野政府委員 そういう交通安全施設に使いたいなんということは、私は言っておりません。私の趣旨は、寄附行為がありますので、寄附行為を改正しない限りほかには使えませんよ、逆に、寄附行為が改正されれば、類似の団体とか交通安全団体とかに使える余地が出てくるかもしれませんという趣旨で個人的に申し上げただけでありまして、その後理事長は、理事会でそういう考え方はないというふうに発言されたというふうに私は聞いております。
  82. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 きょうるる御指摘を申し上げたような点、極めて不透明な状況にあるというふうに思わざるを得ない。公正な運営というものをさせていくのが、監督官庁であるところの交通安全対策室あるいは文部省のお仕事であろうというふうに思います。  時間がなくなりましたので、最後に一点だけ、震災関係のことでぜひお願いをさせていただきたいのですけれども、いわゆる高速道路の高架橋あるいは鉄道の高架橋がたくさん落ちて、なぜあんなところで落ちなければいけなかったんだという御指摘も随分ありました。今、あの耐震基準に満たないような状況で首都高あるいは阪神高速があり、そしてたくさんの鉄道の高架橋があるという状況があって、運輸省の鉄道施設耐震構造検討委員会あるいは建設省の道路橋震災対策委員会という中で、この状況のチェック、そして今後の対策というものを検討されて、中間の取りまとめが出たというふうにお伺いをしています。  現在、三年ないし五年の期間をかけて、それぞれの高架橋あるいは道路橋の補強、補修工事をされるということですけれども、極めて本数の多いことで、予算もたくさんかかる話だと思います。三年五年ということを言っていると、その間に再びああいう大きな地震が起きないとも限らない。そういう意味でも、できるだけ早く予算措置をつけていただいて、そして十分な構造にしていただきたい。きょうは建設大臣も運輸大臣もおられないので、おられたらお願いしようと思いましたけれども、きょう御出席政府委員の方から、ぜひ私のこの願いを受けとめていただいて、十分な対策をとっていただきたい、そのことを最後にお願いをして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  83. 日笠勝之

  84. 山下八洲夫

    山下(八)委員 ことしは戦後五十年という重要な年の節目でもございますが、国会にとりましても、また、国民皆さん方にとりましても、大変な年であったと思うわけでございます。今さら改めて申し上げるまでもないわけでございますが、一月の阪神・淡路の大震災、あるいは三月の地下鉄サリン事件、あるいはオウムだ、あるいはハイジャックだ、いろいろとこのような事件が起きました。また、もう一方では、それこそ金融機関をめぐる問題等々あったわけでございますが、このような問題といいますのは、見ていますと、テレビで大変華々しく報道されたり、あるいはまた新聞も同じでございますが、華々しく報道されるわけでございます。  このようなマスコミの報道の陰で、それこそ毎日、全国津々浦々におきまして、交通事故で亡くなったり、あるいはけがをして後遺症等によります身体的あるいは精神的にも苦しんでいる人が大勢いらっしゃるわけです。まことに悲惨な状況が今日も続いているのではないか。おおよその見当で申し上げますと、四十九分にお一人ぐらいは亡くなられる、あるいはまた三十六秒にお一人は負傷者になっている、このような状況が続いているわけでございます。  その中で、我が国における戦後の交通事故による死者数、つまり昭和二十一年から昨年の死者数の累計は四十八万五千百四十二人になっているわけですね。ことしもまた一万人を超えるのではないか。そうしますと、場合によりますともう来年あたりは五十万人を超えてしまう。私は岐阜県でございますけれども、岐阜県で一番大きい県都は岐阜市で四十一万人なのです。そうしますと、岐阜市はもうなくなってしまっているのですね。これぐらい大変な方が犠牲に遣われている。また、負傷者につきましても、累計で申し上げますと二千四百二十九万人にも達しておりまして、人口が一億二千五百万人でございますから、大ざっぱに五人に一人の方は交通事故に遭っているというような状況になっているわけです。  このような状況の中で、年間の交通事故によります経済的損失額の合計は、粗っぽい試算ではございますけれども、九一年度で約五兆円ぐらいに達している、こういう状況になります。これは我が国のGNPの約一%に達していることでありますし、大変な状況になっているというふうに思うわけでございます。  現在、少子・高齢化社会でございますし、このように交通事故は直接人の生命にかかわる問題でありますし、また、阪神・淡路大震災でお亡くなりになられた方々には大変気の毒なわけでございますが、それの二倍という数字にもかかわらず、いつの間にか一万人という交通事故で亡くなる数字に国民全体はなれっこになっているのではないか、驚きを感じていないのではないか、このような気がして、私は大きな懸念をしているわけでございます。きょうも、残念ながら、後ろを見ましてもマスコミの方は一人も見えていないと思うわけですが、なぜマスコミも、あるいは社会も、あるいは国民も、もう少しこの問題につきまして関心を持たないのだろうかなというふうに思うわけです。  車を運転しますと、事故は絶対ないということは言えないわけでございますけれども、このような状況で事故が発生していきますと、これからますます少子社会、また出生率も一・五〇ですか、そういう状況に来ておりますが、それこそ日本はつぶれてしまうのではないかというような危機すら私は思うわけでございます。  昭和三十六年の交通事故者数が一万二千八百六十五人でございますし、これは日清戦争の二年間の死者数と人的損害を上回ったわけでございますから、そのときに交通戦争と呼ばれたのは第一次交通戦争であったと思うのです。その後、四十五年に死者数が一万六千七百六十五人、戦後最悪の記録に達しまして、政府を初め国民一体になって事故防止対策に努めて、その後順調に減少していったわけでございますけれども、昭和五十四年が八千四百六十六人ということで、戦後のボトムを迎えたわけでございます。それからまた交通事故が再び増加に入りまして、昭和六十三年には一万三百四十四人になり、またここで第二次交通戦争と呼ばれるようになりまして、今日また、七年連続、先ほどもお話ございましたけれども、一万人を超えているわけです。場合によればことしも、先ほども申し上げましたとおり、一万人を突破するのではないか、このような危機感すら持っているわけでございます。  今や交通戦争は、私は、百年戦争、そう呼んでもいい状況ではないか。目先の短期の対策だけではなかなか、私は、この交通事故あるいは死亡事故を減少させることは大変難しいのではないか。そうしますと、今から、もう二十一世紀は目の前でございますし、百年先を見据えた長期展望に立ったいろいろな諸対策を講じるべき時期に来ているのではないかな、そのように思っているわけです。  そういう中で、車につきましても、あるいは道路につきましても地域差はあると思うわけでございますし、また、機能の向上や整備等道路環境の改善、いろいろな問題もあると思うわけでございますが、一万人を割らない状況になっていることは事実であるわけです。  そういう中で、交通事故の原因の大半は人的な要因であるということは、私自身も十分認識はいたしております。だが、やはり交通安全対策の行き着くところは、歩行者や、あるいは自動車の運転者の交通安全意識の問題もあると思うわけです。  私は、また後ほど触れたいと思うわけでございますが、今回、ドイツに私的に五日間ばかりちょっと遊びに行ってきました。ちょうど私がお邪魔しましたら、その直前に当委員会の交通事情調査団がいらっしゃったようでございます。ドイツで、いろいろなところでいろいろなお話を私もお聞きしたのですが、あそこはとにかく法律第一主義と申しますか、交通ルールにしましても、人も、それから運転者も、きちっと守れ。例えば、赤信号を渡っていてはねられたら、逆にはねられた歩行者の方が悪いんだ、これぐらい厳格なようでもございます。そういうことはお国柄の違いは一方ではございますけれども、せっかく今申し上げましたように、このような状況の中で来年度から始まる第六次交通安全基本計画や、あるいは交通安全施設等整備事業五箇年計画の策定に努められてもらいたいわけでございます。  そこで、お尋ね申し上げたいわけでございますが、昨今の交通事故の状況を見てまいりますと、各方面、警察にしましても、建設省にしましても、総務庁にしましても、あるいは運輸省にしましても、きっとそうだと思うのですが、それぞれの分野で懸命に努力をしていると私も理解をします。  だが、先ほどから言っておりますように、平成七年の死亡者も、一万人以下にする、多分難しいんじゃないかと思うわけでございますが、第五次交通安全基本計画の目標達成は、このままでは本当に、ほとんど困難な状況ではないかな。このような状況をどう考えているか、本当は各省庁にお尋ねしたいわけですが、時間がございませんので、総務庁が右代表してお答えいただきたいと思うわけです。  また、過去というよりも将来に向けた方がいいと思うわけでございますが、交通安全対策はどのようにしていったらいいかということも、ぜひあわせてお答えいただきたいと思うわけです。  私も思うわけでございますが、道路もよくなった、あるいは車もよくなった、毎年毎年交通安全施設もよくなっていく。それにもかかわらず、やはり事故も多くふえていく、あるいは死亡者もなかなか減らない。きっと、そういうことを申し上げますと、皆さん方は、今度は車もふえた、免許証保有者もふえた、あるいは走行距離もふえたとおっしゃいますけれども、それ以外に私は原因があるのではないか。どこをどう対策すればいいんだということは、ある程度専門家でございますから、もう理解しているんではないかというふうにも思いますので、ぜひ御答弁をお願いしたいと思います。
  85. 井野忠彦

    ○井野政府委員 委員指摘のとおり、本年も、十月末現在で死者が八千六百人を超えております。このまま推移いたしますと、一万人を上回るのではないかというふうに危惧している状況でございます。  ここ数年の事故の特徴を見てみますと、一番多いのが高齢者がふえておるということであります。それから若者もふえておる、特に自動車乗車中に亡くなっておる、しかもシートベルトをしていない人が、そのうち約四分の三を占めておるという状況にございますのでありますから、やはり高齢者、特に歩行中の高齢者の事故をいかに減らすか、それから若者の運転中の事故をいかに減らすかというのが大きなポイントになるだろうと思います。  そういうことで、私どもといたしましては、現在、短期的には、そういう高齢者の事故防止、それからシートベルトの着用に重点を置いて、関係省庁が一体となって取り組んでおります。総務庁自身といたしましても、高齢者に対する交通安全教育とか、それから官民一体となったシートベルトの着用推進キャンペーンを展開しております。  委員指摘のとおり、やはり長期的には、私は、交通事故の問題を、他人事ではなくて、一人一人の人が自分の問題だと受けとめて真剣に考えないと、事故はなかなか減らないのじゃないかというふうに思います。自分の問題として受けとめて考えて、そして行動するということになれば、それほどまでに意識が向上すれば、交通事故も減らせるんじゃないかというふうに思っております。  そういうことで、やはりこれからは、車の対策ももちろん大事ですし、道路交通環境の整備ももちろん大事でありますけれども、やはり根本的には、国民一人一人の交通安全意識をいかに高揚させるかということが大事であろうと思います。しかも、それは頭の中で理解するのではなくて、やはり経験をしてもらって、体験をしてもらって、体で覚えるというような交通安全教育の手法が大事であり、また効果があるんじゃないかというふうに思います。  しかし、これは時間もかかりますし、費用もかかりますので、今すぐに全国民に対してそういうことが可能なわけではございませんけれども、地道にそういう体験型、参加型の交通安全教育を、高齢者に対しても、あるいは若者に対しても、地道に進めていくことがやはり大事なことではないかというふうに思います。  例えば若者につきましては、無謀運転、スピード違反で重大事故を起こす例が多いわけですけれども、急ブレーキをかけた経験なんというのは全くないわけであります。ですから、そういう急ブレーキをかけたら実際車がどうなるのか、自分の体がどうなるのかということを安全な環境のもとで一回体験をしてもらう。そういうことであれば、これは若者も肌身でスピードの怖さを感じるわけでございまして、そういう場が現在、民間自動車メーカーとか地方自治体でも徐々にできつつございますので、そういう機会を活用して、体験型の若者教育を推進すべきであろうというふうに私は思っております。
  86. 山下八洲夫

    山下(八)委員 時間がわずかしかありませんので深追いはいたしませんが、私は、それは運輸省もあるいは警察庁もそれぞれ、それぞれの分野で大きくかかわり合うと思うのですが、最近、私も車を運転するのが好きですからよく運転するわけでございますけれども、そういう中で、不必要なものが余りにもついている。また、運転が散漫になるようなものが随分ついている。例えば、電話でいたしますと、これは通産省になるのか郵政省になるのかよくわかりませんが、それは何ですか、カーナビといいますか、ああいうものをこれからどんどん導入していこうとかいろいろな不必要なものがついてそれぞれ散漫になっていく。それも事故の原因の一つであることは、私は否定できないと思うわけです。この辺につきましては、きょうは特に答弁を求めようといたしておりません。  私もちょっとドイツにプライベートで行きまして、あそこでそれこそレンタカーを借りまして五日間ぐらい走り回ったのです、フランクフルトからシュツットガルト、そしてミュンヘンと。そして走って見ますと、実に思わぬところに気がついたわけでございます。  建設省にお尋ねしたいと思うわけでございますが、建設省も、例えば高速道路であれ、あるいは国道であれ、いろいろな道路を建設されますときに、交通安全というのも念頭には当然置いていらっしゃると思うわけです。だけれども、私は最近、昔からそうでございますけれども、それは予算の関係もあるから一概には言えないわけでございますが、最近でも、例えばバイパスをつくる。そうすると、当初大体片側一車線、往復二車線ぐらいでつくりまして、部分的に二車線にしている。そして、交通量が一定の台数になるとまた拡幅をして片側二車線にしている、正直言いまして大体こういうつくり方ですね。高速道路も同じですよ。少しでも長い距離道路をつくる、これも重要かもわかりませんけれども、私は、初めからああいうところは思い切って片側二車線なら二車線でやっていく。これは国道だけではなくて、たとえ都道府県道であろうと、市町村道であろうと、最後は根っこになる予算は建設省が持っているわけでございますから、建設省がたくさん予算をつければそれだけ地方道にしてもいい道路ができる、そこで警察としっかりと協議をしながら、いかに安全な道路をつくるかということも大事だと思うのです。  最近は、地権者も確かに利口になったせいか、大体バイパスをつくりますと、アップダウン道路で物すごいのですね、しかも、平面交差が物すごく多いのですね。当初はそうではなかった、比較的、ある程度高架になって信号も少なかったというような状況で、あれで交通事故をなくしろというのは、また一方では難しいのじゃないかなというふうに思うのです。  私は先ほど、ちょっとドイツで運転しましてつくづく思ったわけです。例えばシュツットガルトにしましても、ミュンヘンにしましても、あの市街地を走ってみますと、実に道路はうまくつくってありますよ、やはり例えば、日本で言うと、走るのは左と右側は違うわけでございますが、右側通行でございますから、日本流で置きかえて言いますと、例えば、幹線道路の次の交差点を右折したいというときに右折禁止になっている。右折禁止になっていますと、もう一つ先の交差点の下ぐらいで地下へ入りまして、Uターンして、そしてもとへ戻って左折していく、このような構造になっているのですね。だから、立体というのか、ちょっと何と言っていいのかわからないのですが、実にうまくつくってあるのですね。  それから、やはりあらゆるところで、どうやって人と車と分離するか、この努力といったら随分されているわけですね。ですから、私はそういうのは、右折させるより、その交差点を越えて次の交差点に行く途中ぐらいのところで地下でUターンできて出てくるというようにすれば、地上で中央道の縁石みたいなところを切り抜いてUターンするということは大変危険なわけでございますから。いいますと、地下でなっているのですね、地下へ一たん入れて、実にうまくできているのです。そういうことをすれば、私は随分違うと思うのです。  だから、道路をつくるときにそういうものを並行してやっていきますと、予算もうんと少なくなるのです。そういうふうに道路の面からも交通事故を少なくしていく、こういう努力をしてもらいたいなというふうに思うわけでございますが、その辺はいかがでしょう。
  87. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘ありましたとおり、交通安全についてはいろいろな工夫をしてやっていかなくてはならないということだと思います。  そういう意味で、最初に御指摘がありました四車線道路の暫定二車線というのはいかがなものかということでございますが、高速国道等につきましても、四車線の完成形のうち、暫定二車線で整備しているというものが、現在高速道路五千八百キロありますが、約一六%の九百五十キロぐらいありまして、こういうものは今暫定二車線になっております。これにつきましても、先生からも御指摘ありましたとおり、高速道路全体の採算の問題と、ネットワークを少しでも早く整備していかなくてはいけないという問題からやむを得ない点があると思いますが、これに要する費用というのは、全体から見ますと二割ないし三割の節減であります。  また、バイパスにつきましても、四車線のうち暫定二車線で整備していくというのがよく見られる点でありまして、これらについても事業費の点から大変な制約があってそういうことになっておりますが、今御指摘のとおり、やはり安心して安全に通れるためには、最初から四車線で完成形で整備したらどうかというのは、全くそのとおりだと私も考えております。事業費確保とともに、さらに一層安全とか安心という面を重視した道路整備をやってまいりたいと思います。  さらに、交差点改良等についてもいろいろやっておりますが、今新しく地下のUターン路というような御提案もありましたので、これについても今後十分検討してまいりたいと思います。
  88. 山下八洲夫

    山下(八)委員 もう時間がございませんから、警察と運輸省にまとめて三点ばかりお尋ねしておきたいと思います。  簡潔に結論だけ申し上げます。これから激しい高齢化社会でございます。我々も免許証を持っていますが、これからどんどん免許証保有者が高齢者になっていくわけですね。事故を起こす方も高齢者が随分年々ふえてきているというところはありますから、この高齢者対策というのは、特にきょうは同じ高齢者の問題でも、歩行者は横へ置きまして、ドライバーの方だけで申し上げたいと思うわけでございます。  それは、人それぞれ肉体的な差というのは大変あるわけでございますけれども、私は、これだけ着実に高齢者の免許証保有者がふえてくる、あるいは、あわせて今日も事故をされる方がふえてきている、この事実はもうデータとしてきちっと出ているわけですから、この高齢者に対します免許対策をひとつぜひ検討してもらいたいなというふうに思うのです。  私も、田舎町に住んでおりますから、七十ぐらいになって免許証を取り上げられると、私自身も交通弱者の一人で今度は苦労するかなと思ったりするわけでございますけれども、それ以上に、やはり危険を一方で抱えているわけですから、何歳がいいかわかりませんけれども、ある程度の年齢に達したらもう免許証は返納するような制度はできないかなというふうに思いますので、その辺はお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。たしか今三年に一回の切りかえですかそういう格好になっているのは承知しておりますけれども、もう少しある年齢へ来たら返納するようなシステムができないかなというのは、これはなかなか難しいと思いますけれども、検討していただきたいと思います。  このこととあわせまして、個人タクシーの免許の関係です。  大切な人命をあちこち送り届けているわけでございますし、旅客機にしたって、それから電車にしましても、あんな高齢者が大切な重い命を乗せて走っているというのは私は見かけないのですね、動力のついたもので。それで、私も最近、時々タクシーに乗りますけれども、個人タクシーはなるべくとめないで、ほかの法人タクシーの方が大体年齢が若いものですから、そちらへ乗るようにしているわけでございますが、高齢者が下手だというのではなくて、やはり乗っていまして不安を感ずることがよくあるわけでございます。多分この中にもそういうことを経験された方がいると思うのです。  この個人タクシーにつきましても、一回個人タクシーの免許資格を得れば亡くなるまで無限にいいのだというのは、ちょっと考える時期に来ているのではないか。一般社会にしましても定年制があるわけでございますし、同じ会社へ七十も八十も勤めることはできないわけでございますし、そういうことを考えれば、その辺のことをぜひ何か検討しているようでしたら教えていただきたい。  それから、警察の方に、私はドイツで運転しておりまして、はたと気がついたのです。信号でとまっておりますと、これはお金がかからないからかえって研究していただいていいのではないかと思うのです。  今、日本も赤になって青の矢印信号で、随分信号機がそういう格好に変わってきているわけですけれども、私、前が赤でとまっておりますと、大体日本だと、隣の、横の信号機を見て、ああ黄色になったな、じゃあ前向いてちょっと準備して、また青へなったらスタートする、これが大体習慣になっていますね。だから、日本の正面の信号を見ておりますと、青から黄色へ変わって赤に変わっていく、そして赤から今度は青に変わる、こういうシステムですね。  ドイツの市街地を走っていましたら、そうじゃないのですね。青から黄色、赤に変わって、赤から黄色になって青に変わるのですね。そうしますと、横の信号機を見なくていいのです。それだけ前に注意力がよりいく、こういうのは大変いい知恵ではないかと思います。これが交通安全に少しでも役立つかどうかというのはまた専門的に研究しないといけないと思いますが、そういうものも参考にぜひ研究していただきたいというふうに思うわけでございます。  一括申し上げましたので、時間が過ぎましたので簡潔に答弁いただいて、終わりたいと思います。
  89. 田中節夫

    田中(節)政府委員 私どもに二点御質問がございました。  運転免許につきまして、高齢者に一定の年齢で限界といいますか制限をしてはどうか、こういう御意見でございますが、私どもとしては、高齢運転者対策は極めて重要だというふうに認識しております。今委員指摘のように、一定の年齢で一律に運転免許を返納させたらどうかという声もございます。ただ一方で、お話しのように個人差もある。また、運転を続けている高齢運転者につきましては自動車というものが生活に不可欠である、また移動の手段も十分に確保されていないというようなことで、一方では慎重に検討するというような御意見もございます。  現在、私どもで高齢者にやさしい交通社会をめざす懇談会を開催しておりまして、その中でも委員のような御意見も出ております。私どもとしては、懇談会におきまして広く一般国民皆さんの声を聞きながら、今後さらに運転免許制度のあり方、それから運用につきまして検討を今進めておりますので、その中でまた詳しく検討してまいりたいというふうに思っております。  それから、二点目の交通信号機の問題でございますが、委員指摘のように、最近、交差点でのいろいろな複雑な交通流、交通の流れを整理するためにいわゆる青の矢印の信号を用いております。その場合には、青、黄、それに赤に青の矢印がつきまして赤、こうなります。通常の三灯の信号機は青、黄、赤、こういうふうになっております。基本的には黄色の信号の次には赤が来るというのが我々の基本的な考え方でございますけれども、今委員の御指摘のように青、黄、赤、黄、青、こういうふうになりますと、黄の次に青が来る場合がございます。ですから、そういうようなことが果たして交通の流れあるいは交通事故の防止にどういうような影響を及ぼすのかドイツでのお話でございますので私ども詳細をまだ承知しておりませんので、少し研究させていただきたい。それで交通事故防止とかあるいは交通流の円滑にどのような効果があるのかということを勉強してみたいというふうに思っております。  以上でございます。
  90. 山下邦勝

    山下政府委員 個人タクシーの高齢化の問題につきましては、本年の六月に見直しを行いまして通達の形で流しております。これは、一つは若い方がもう少し入りやすいような形でいろいろ参入要件を緩めておりますとともに、高齢運転者に対しましては健康診断でございますとか運転の適性診断、こういったものを徹底するようにいたして安全の確保を図っていくということを基本といたしておるところでございます。  なお、定年制の導入につきましては、年齢と運転技能の低下の関係については少し実証的な調査が要るということを考えておりまして、二、三年の後に判断をいたしたいと考えておるところでございます。
  91. 山下八洲夫

    山下(八)委員 どうも済みません。
  92. 日笠勝之

    日笠委員長 字佐美登君。
  93. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 新党さきがけの宇佐美登でございます。この春に通過しました大型二輪教習等に関する質問を前半部分させていただきたいと思っております。  通常国会におきまして大型二輪車の教習所における教習の導入ということが図られておりまして、十八カ月以内に施行するために今御準備を警察庁を中心にやられているというふうに伺っております。大型二輪車等に関する実験教習というものが現在行われております。平成七年九月から、ことしの九月から十一月まで、実施場所が十都府県、十一指定自動車教習所で行われていると情報をいただいております。  その中で、基準教習時限というもの、今、普通自動車、技能三十四時間、学科三十四時間なんですけれども、大型自動二輪、これはあくまで実験なんですけれども、技能四十時限、学科三十二時限ということで、技能に関していえば普通自動車よりもさらに多い時限数を今実験として検討なさっている。  普通自動二輪、いわゆるこれまでの四百cc以下のものですね。中型と言われるような感覚のものですけれども、技能、これまで十一時限だったものを二十二時限、学科二十三時限だったものを三十一時限、実験として今行っているというような、今の実験教習の概要をもとにお聞きしたいことが幾つかあります。  これまでの大型自動二輪、検定場での検定、非常に難しい、大体一二から一三%の合格率しかないと言われております。ただ、現実的には、ある地域の検定場においてはさらにパーセンテージ、合格率が低いというようなことも言われておりました。その意味で、今回自動二輪の教習を導入するということは非常に意義のあることだと二輪車を愛する者としては思っているわけですけれども、ただ、教習所が今回この大型自動二輪の教習を導入するに当たって、教習所の新設基準というのは九五%の合格率が必要なわけです。百点満点七十点の技能試験を受ける、その九五%の合格率が必要だということなんですが、通常、他の教習車種の追加に当たっては、人的基準、いわゆる有資格の指導者や検定員の有無など、物的基準規定のコースがつくれるかなど、この点についてのみ認められれば公安委員会の指定が受けられるわけですけれども、今回の場合、新設基準と同じように九五%の合格率が必要だということで、非常に、過度とも思われるような基準だという認識を私はしているのです。  あくまで今回、実験教習の最中であって十二分な御返答がいただけるかどうか疑問の点もあるのですけれども、これまで通常、国会、立法府の議論というのは、どうしても法律をつくる、当たり前のことですけれども、その議論に終始しまして、それ以降、政省令の問題であったり実際の運営というものがされる途中の間というのは非常に白紙委任の部分が強いと思います。  そんな意味で、実験教習の最中ではありますけれども質問をさせていただきたいと思います。今申し上げた、新設基準というもの、教習所の実施が簡易に導入できるような方針というもの、現状をどう考えているのか、局長、御答弁ください。
  94. 田中節夫

    田中(節)政府委員 大型自動二輪教習を教習所にやらせる、教習所への技能検定の導入につきましては、本委員会におきまして十分な御審議をいただきまして先国会で法律を通させていただきました。現在、それに基づきまして、御指摘のように実験の教習をやっております。  それで、私どもといたしましては、委員会でもいろいろ御指摘がございましたけれども、現在の大型二輪ライダーの水準を下げることのないようにしてほしいというような御意見を踏まえまして、一通りの教習が終了した者の九五%以上の者が技能試験においては合格点に達しているという従来の新たな指定の基準、これにつきましては維持してまいりたいというふうに考えております。  ただ、従来、今お話しのように、合格率が一二、三%であるというようなお話がございましたけれども、今回私どもが九五%と申しておりますのは、一通りの教習が終了した者の中で判断いたしますので、従来の数字とは必ずしも同様な判断はできない、数字だけでは判断できないのではないか、むしろ今回はきっちりと教習を終了している者が受けるわけでございますので、この九五%の数字というのはあながち無理な数字ではないというふうに考えておるところでございます。
  95. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 これまでの一二から一三%の合格率というもの自体が、これまでの警察の考え方、大型の自動二輪というものは危険だ、できるだけ免許を取らせないようにしようという意向があったことは否定し得ないと私は思っているわけです。  そんな意味で、今回教習所で教習が行われるに当たっても、できる限り教習所が導入しやすい形、もちろん運転免許ですから、取得者が安全性を確保できる、混合交通の中で二輪車が他の交通機関に対して迷惑をかけない、当たり前のことであります。事故が起きないような、そんな教習が行われることは当たり前でありますけれども、それでは、例えば、今回、実験の中におきまして、中型では四十キロ、時速四十キロからの急制動教習というものを行っておりますけれども、大型に関してのみ五十キロの急制動をやろう、そんな実験教習をやっておられます。  これはどういう理論的裏づけがあるのか。例えば、二般交通の中では、一般道路は最高速六十キロだと思いますけれども、六十キロから例えば急制動というような理論づけではなくて、中型だから四十キロ、大型だから五十キロという分け方そのものが、考え方として教習の中で適さないのではないか、そんなふうな認識をしております。オートバイが大型になれば、もちろん性能が高まっていく部分もあるわけですけれども、制動力そのものに関して言えば、中型でももちろん重いオートバイはございますし、その微妙な範囲の中で、混合教習が実際に教習所で行われている中で、その十キロの違いによる急制動教習というのが、実は教習所における混乱を招く可能性も否定し得ないものと思います。  さらに、別の話になりますけれども、普通二輪車、中型二輪四百cc以下の話ですけれども、今回、それではどういうものをその教習プログラムで検討しているのか。これまで十一時限であった技能が倍になるわけです。大型の教習を導入すると同時に、今度は今まで比較的取りやすかった中型二輪まで取りにくくなってしまうのじゃないか、そんな危惧が特に若い世代の方々から寄せられているわけですけれども、その点についてどのように考えていますか。
  96. 田中節夫

    田中(節)政府委員 御質問は二点ございました。  現在実験教習でやっております大型自動二輪の制動、いわゆるブレーキに関する教習でございますが、これは五十キロメートル毎時の速度でやっている。現在、普通、いわゆる中型でございますが、これは四十キロメートルである。この差はどうかということでございますが、現在私どもで行っております実験教習では、安全を十分確保しながら、できるだけ実勢速度に近い速度からの教習を行う。また、実際の運転により役立つ教習にしようという基本的な考え方によるものでございまして、普通自動二輪との違いは、その重量とか高い加速性を考慮して、そのようなスピードで教習をやっているわけでございますが、今委員指摘のような御意見が実験教習の過程でも出てきております。  私どもといたしましては、その実験教習の結果等を踏まえながら、最も適切な数値をどういうふうにして設定するかということを検討してまいりたいというふうに思っております。  それから、普通自動二輪の教習プログラムの関係でございますが、これは普通自動車免許の教習プログラムを見直す際に、自動二輪の方だけは、普通自動二輪の方は残っておりました。今回危険予測とかあるいはその他の従来盛り込まれなかったところの車両特性を踏まえた技能水準の向上というようなものを配慮してカリキュラムの見直しをしておるところでございます。技能教習では、バランス走行の充実とかオーバースピードのカーブ走行とか交差点事故のケーススタディーというようなものも入れて検討しております。また、学科教習につきましては、適性検査結果に基づくところの行動分析、あるいは危険予測のディスカッション等々を含めております。  現在、実験教習でございますので、この数字は確定的なものではございませんけれども、できる限り、お話のように、普通自動二輪あるいは大型自動二輪も含めまして、今回のいろいろなことによりまして、いろいろな措置によりまして受けにくくなったというようなことではなくて、優良なドライバーの育成に寄与する、こういうような内容のものにしてまいりたいというように考えておるところでございます。
  97. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 それでは、引き続き教習課程なのですけれども、今回大型も中型も運転シミュレーターというものを導入しようというようなことを言われている。実際にそんな教習の実験教習をやっておられますか。
  98. 田中節夫

    田中(節)政府委員 自動二輪につきましては、かねてから普通自動車の運転免許取得につきましては路上教習が義務づけられておりますけれども、自動二輪については路上教習が交通安全上なかなかできない、これにかわる措置がないかというような御指摘委員会でもございました。路上教習にかわる効果的な教習を実施する必要があるということで、現在大型自動二輪の実験教習の中ではシミュレーターの導入ということを前提とした教習をやっていることは、御指摘のとおりでございます。
  99. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 このシミュレーターというものが今回の教習課程の中では三回使われる、そんな予定だと聞いております。  その一つが第二段階の七、車両特性を踏まえた運転。車の傾きぐあい、二輪の車両特性を意識し、注意深く路面の状態をつかむことができる。第三段階、法規走行。交通法規に従い、市街地の走行を体験する。第四段階、大型教習に関しては項目七でありますけれども、危険を予測した運転。他の交通とのかかわりにおける危険を的確に予測し、危険の少ない運転行動を選べる。  この三つのうちで言えば、最後の第四段階、危険予測ということに関してある一定の論理性というのは感じられるわけですけれども、その前の前段階二つ、車の傾きぐあい等の二輪車の特性もしくは第三段階の交通法規に従ってというような話に関して言えば、実際にオートバイに乗った教習が行われているわけです。第二段階の七ということで、比較的もう深まっている中で、そういうシミュレーターというものの必要性は、全くと言ってもいいぐらい、私個人の意見で言えば、感じられないわけです。  今回、道交法の改正で、普通自動車教習のシミュレーターは採用しても、シミュレーターを使わずほかの教習方法で実施してもよいというふうにされていると思いますが、その認識で正しいですか。
  100. 田中節夫

    田中(節)政府委員 普通自動車の教習カリキュラムの中に、シミュレーターの問題につきましては、必ずしもシミュレーターを導入しなければならないということではなくて、教習科目につきましてはシミュレーターによってもいいし、そうではなくてもいいものはございます。それは御指摘のとおりでございます。  ただ、私どもとしては、今御指摘のように、現在の実験教習では三時限、お話のとおり、やっておりますけれども、これで十分なのかどうかということにつきましても、実験教習の中でいろいろ検討させていただきたいというふうに思っております。
  101. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 というのは、シミュレーターというのが大体一台一千万円ぐらい、もちろん開発コストとそれをどれだけ買うかという需要で大分違うわけですけれども、一説に一千五百万円近いということも言われております。  子供が減っていく中で、学校も厳しいように、自動車教習所も経営がますます厳しくなっていくわけです。昨年突如として神奈川の一つの教習所が経営をやめられました。これは組合との関係でやめたというようなバックグラウンドはあるものの、経営が非常に厳しい中で、一千万円する機械というものの導入が本当に必要なのかどうかということ、実験教習を行っている教習所の方々からも意見が出ている。その情報をとられていると思っておりますので、今おっしゃったように普通自動車教習のシミュレーターのように他の教習方法で実施してもよいという考え方を導入することが非常に自然な姿だと思っておりますので、その点をぜひ御考慮いただければと思っております。  最後に、今回のこの教習に関して言えば、この通常国会のときにも申し上げましたように、やはり中型なりの経験というものを持たないで大型二輪を運転することが、私からすれば非常に危険を感じるわけであります。同時に、普通二輪免許保持を前提に考えれば、教習項目の簡素化も図ることができるのだと思います。普通自動車よりも多い大型自動二輪、技能四十時間、学科三十二時間、合わせて七十二時間の教習が必要かということに関して、できる限りその効率性というものを考えていただきたいと思います。  説明によれば、これまでの自動二輪というものの教習、特に学科の分野でも普通自動車と同じだけの学科が必要なのではないか、そんな議論の中で、ふえていると聞いておりますが、以前にも御指摘したように、学科の勉強の中ではむだなもの、必要の非常に少ないものと思われるものが種々含まれております。逆に技能の部分で言えば、これは自動車のことになってしまいますけれども、例えばエンジンオイルをかえる、バッテリーをつなぐ、パンクしたタイヤを交換する、これらの通常運転の際に必要だと思われる技能教習というものをぜひ早急に導入をいただけるよう御要望を申し上げたいと思います。その点については意見を表明するにとどめさせていただきます。  次に参ります。  続きまして、交通安全という面から、高知県と徳島県を結ぶ国道百九十五号線についての質問をさせていただきたいと思います。  特にその中でも木頭村、木の頭の村と書く村があります。ここのユズというのは、一般市場に出回っているようなユズの大体十倍から二十倍ぐらいする、本当に貴重なユズの産地であり、林に囲まれた風光明媚な場所なわけでございます。そこに細川内ダム、細い川の内、細川内ダムというものが建設予定ということで、この数十年、二十数年間、地元木頭村が真っ向から反対をしまして、計画がとんざしている現状であります。  私も、長良川河口堰の反対運動、この細川内ダムの反対運動ということで、一生懸命必要のないダム建設というものをとめるように努力をしている、一生懸命やっている最中なのですが、現在予定されているダムというのは、日本ダム協会のダム年鑑によりますと、計画調査中五百八十七あります。最新のものですけれども、これよりも減っているのかふえているのかちょっと把握し切れておりませんが、五百八十七。今二千五百五十六あるダムに、大体二割近くさらにふやしていこうという計画が今も行われております。  この計画の大半が、昭和三十年代、四十年代、いわゆる高度経済成長の中で、利水的な面から始められた計画が大半であります。もちろん、ダムをつくるときには治水というものも言われるわけですけれども、治水、利水の率、費用率というものが当然計算されるのですが、ほとんどすべてと言ってもいいぐらい利水率の高いダム計画であると言うことができると思います。その中でも最も理論性の低いこのダムをとめなければ、残り五百八十六の計画中のダムすべてが稼働してしまうのではないかという恐怖に駆られるぐらい、全くと言っていい治水性も利水性もないダムが細川内ダムの計画であります。  その水没予定地、この二十数年間水没予定地とされてきました一般国道百九十五号の徳島県木頭村のエリアにおきまして、その四キロ区間におきまして、大体幅が三メートルぐらい、一番狭いところ、これは雑誌の記事によりますし、私の体感、体で感じたところですけれども、三メートルもない、二・六メートルぐらいの道幅のところが出てきます。この四キロの事故というものが非常に多く起こっているわけです。  木頭村内の自動車の物損事故の現状というのは、一九九五年、ことしの九月末現在までで、五年間で九十九件あります。そのうち、その四キロの間、二十八件あります。大体百件中の二十八件、三割近くが結局のところ水没予定地とされ、国道であるにもかかわらず、非常に道幅の狭い中で事故が多発しているわけであります。  この徳島県木頭村の交通安全対策というものをどういうふうに考えているのか、建設省の方から御答弁ください。
  102. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 一般国道百九十五号は、高知県と徳島県の阿南市を結ぶ国道でございます。実延長で百四十八キロございますが、阿南市の方から順次改良を進めまして、現在、改良率八五%、現在もって改良中の国道でございます。  御指摘の木頭村における百九十五号の交通事故につきましては、今五年間のデータの御指摘がございましたが、そういうことでございます。しかし、平成六年を考えますと、確かにその区間におきまして、未改良区間におきまして、物損事故はございますが人身事故はないというふうに我々は聞いております。  さらに、これらについての交通安全対策はどのように考えるかということでございますが、御承知のとおり、この未改良区間約四キロあるわけでありますけれども、今計画されております細川内ダム建設事業により水没いたします。そういうことで、きょうはそのダムの必要性の議論は別といたしまして、抜本的なこの国道の改良につきましては、やはりダム事業と調整して実施する方針である、我々もこのように考えておりますし、道路管理者である徳島県もそのように申しております。  そこでこの道路でありますが、御指摘のように、道路幅員は三・一メーターから七メーターと狭小でございます。そういうことで当面、大型車がすれ違いができない交通の隘路となっている箇所、これらにつきまして、特殊改良二種事業等によりまして、突角の切り取り、待避所の設置、あるいは交通安全としての標識とかガードレールの整備を実施してきております。しかし、大変狭小なものでございますので、今後この現道についての必要な対策は可能な限り進めて安全の確保に努めてまいりたいと考えております。徳島県におきましてもそのような考えと聞いております。建設省としてもできる限りの御支援をしてまいりたいと考えております。
  103. 宇佐美登

    ○宇佐美委員 時間になりました。非常に心強い御発言だったと思います。  きのうですか、辞令が出まして、これまで河川局の方が建設省から徳島県の土木部長になったわけですけれども、今回道路局から出向することになったと聞いております。河川行政ばかり優先される建設省の体制というものがいまだにやはり続いている中で、道路なり下水道なり、必要とされているものをぜひ率先してやっていただけるよう大きな期待を申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございます。
  104. 日笠勝之

    日笠委員長 藤田スミ君。
  105. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、ことし本院の欧州各国交通事情調査団の一員として各国を調査してきたわけでありますが、既にヨーロッパ諸国では、シートベルトやエアバッグはもちろんのこと、日本では非常に着用率の圧倒的に低いチャイルドシートも、義務化されていたりして常識になっておりました。また、ヘリコプターによる救急医療活動の整備や交通事故の科学的な調査、解明、蓄積、そういう点でも多々学ぶべき点がありました。  きょうは、こうした体験をもとに、限られた時間ですのでほんの一部しか取り上げられませんが、質問をしていきたいと思います。  ドイツ連邦交通省に参りましたときもチャイルドシートのお話を伺いましたが、極めて明快に、子供を守るのは大人の責任だと言い切られているわけであります。JAF調査しましたところでは、日本の場合着用率は七・七%という数字になっています。これは、諸外国の七〇%から一〇〇%と比較をいたしますと本当にお粗末な状態であります。チャイルドシートに限らず、私は前回エアバッグの問題も取り上げましたけれども、我が国では、安全基準に明確に位置づけることや法定化が実際の普及の後追いをするという姿になっているのじゃないかと思うわけであります。  シートベルトが安全のための効果があるとして装着が義務化されているわけです。しかし、シートベルトは子供にとっては構造上の問題で装着は非常に難しい、そういうことになっています。だから子供はもういいんだというわけにはいかないわけであります。したがって、チャイルドシートなど子供用の安全装置も、シートベルトと同列にやはり義務化するということは非常に当たり前のことじゃないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  106. 田中節夫

    田中(節)政府委員 チャイルドシートの着装を法的に義務化してはどうかという御意見でございますが、今も御指摘のとおり、昨年の九月のJAF調査では七・七%という低い数字でございます。普及率及び着装率は極めて低いというようなこと、現在では、まず国民の間にチャイルドシートが子供の安全確保のためにいかに有効であるかという点について十分な認識を持っていただく広報、啓発を積極的に推進し、そして法的措置については、その普及状況や世論の動向を見きわめながら検討する必要があるのではないかというふうに思っておるところでございます。
  107. 藤田スミ

    ○藤田委員 それが納得できないということを申し上げているわけです。  これは名古屋市立大学の青山さんとおっしゃる名誉教授の方ですが、こういう調査をしていらっしゃるわけです。これは九一年ですが、愛知県で十五歳以下の子供が車に同乗していて死亡した七件の事故を調べたところ、ゼロ歳から九歳までの全員がチャイルドシートをつけていなかった。子供たちは座席にそのまま座ったり、親にだっこされたりしていたが、事故の衝撃でガラスに強く当たったり、外にほうり出されたりして死亡した。一方、同乗していた親の死亡は一件だけ。子供の七件に対して親の方は一件だけで、残りはシートベルトをしていてけがで済んでいた。  その後、また県内で子供が同乗して事故に遭い、けがをした五百七十七人について調査をしているわけです。ここでもチャイルドシートをつけていた子供は、全員がすり傷や打撲傷など軽いけがで済んだが、つけていなかった子供は骨折などが目立った。シートベルトをつけていた子供は首のけがが半分以上を占めた。ベルトが首を締めつけ、けがの要因になったようだ。聞くだに恐ろしいことを報告しているわけです。  アメリカでは、ここで言っているのは、ほとんどすべての州が法律で着用を義務づけ、違反の場合は数十ドルから二百ドルの罰金を科しているというふうにも報告しています。イギリス、ドイツなども義務づけられていて、着用率は九〇%以上ということで、青山さんはチャイルドシートの効果がはっきりしているんだと、調査の中でも。したがって、欧米では着用は常識になっており、政府も早く法改正をして子供の安全のために取り組むべきだということを言っていらっしゃるわけです。私は、大人の方はシートベルトを義務づけ、そして子供の方はそれによって一層危険になっているのに何でほうっておくのかというのがとても納得できないんです。納得できるように説明してください。  子どもの権利条約というのを読まれたことがありますか。子どもの権利条約の第六条の中では、すべての児童が命に対する固有の権利を有することを認めるということを書いています。そのために、その子供の命を守る万全の措置を取るべきだということを言っているわけです。余りにもおかしな話じゃありませんか。納得できるように説明してください。
  108. 田中節夫

    田中(節)政府委員 委員指摘のように、シートベルトの着用の義務づけの場合にも、その前段といたしましてシートベルトの効果その他を広報して、その後義務づけを図るというようなプロセスをたどってまいりました。私ども取り締まりの現場にある者といたしましては、具体的な法律に基づきまして取り締まりをする場合に、その具体的な規制あるいは具体的な義務づけが国民全体に受け入れられるというようなことでもって初めてその取り締まりも円滑にいくというようなことがございます。したがいまして、チャイルドシートの着装の義務づけにつきましても、国民全体が受け入れるということであって初めて法的な義務づけが可能で、私どもも現場できちっとした取り締まりが可能であるというふうに考えます。  そういたしますと、今のこの段階で、普及率、着装率が極めて低い段階で現場でどのようなことが起こるかというふうに考えますと、国民的な合意が今の段階であるのかどうかにつきましては、もう少し時間をかしていただく必要があるんではないかというふうに思っておるところでございます。
  109. 藤田スミ

    ○藤田委員 それじゃ、いつまで待ては、あるいは皆さんが大体いつを目標にしてそういう方向で進めるという計画はお持ちなのですか。
  110. 田中節夫

    田中(節)政府委員 具体的にいつまでとかあるいは何年をめどにというような計画はございませんけれども、少なくともこのチャイルドシートの有効性、広報、啓発等につきましては、従来にも増して努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  111. 藤田スミ

    ○藤田委員 その目標も持たないで放置していくというのは、こんなおかしな話ありませんよ。皆さん、おわかりですか。  もう一度聞きますが、シートベルトを大人の方には義務づけた、車に乗せている子供の方は、シートベルトもつけられない体の小さな子供はつけられませんし、仮につけたとしても、首を切るというようなそういうけがをするということになっているんです。そして、衝突をした場合には、子供が飛んで出るとかガラスに当たってけがをするとかあるいは大人は死んでないが子供だけが死ぬとか、そういうことになっているんです。  それじゃ、もっときちっと目標を持って、少なくとももう何年後には義務化するからもっときちんとこのチャイルドシートのことを理解してもらいたいということでいくならともかく、その状態やったらいつまで待てはチャイルドシートが義務化されるのかそのまま目標も持たないというそのやり方はとても納得できないのです。これが子どもの権利条約を締結した日本の姿かという点では、私は本当に大きな怒りを感じます。国民の理解ということを私は無視するわけじゃありませんよ。ありませんが、政府がその姿勢では、とてもじゃないけれども、いつまでたっても展望は持てません。展望を持てるように御答弁ください。
  112. 田中節夫

    田中(節)政府委員 子供の安全を望む気持ちは私ども委員と同様でございまして、チャイルドシートの重要性、それから安全確保のための有効性ということは、十分に認識しております。  ただ、これを国民の方に理解していただき、法的に義務づけるということになりますと、罰則の問題とかあるいは点数の問題が出てまいります。ですから、そのような問題につきまして、何年をめどにして義務づけをするというようなことにつきましては、今の段階では申し上げにくいということでございます。
  113. 藤田スミ

    ○藤田委員 もう一度答えてください。目標は持たなければならないというふうに考えられますか。
  114. 田中節夫

    田中(節)政府委員 着用の普及の状況、例えば何年ということではなくて、着用の普及状況がどれぐらいになるかとかというようなこと、それから国民皆さん方の意識がどれぐらい盛り上がって、現実に例えばチャイルドシートの普及状況といいますか、簡易につけられるようになるというようなこと等も相まって初めて法的な義務づけが可能になるというふうに考えておるところでございます。
  115. 藤田スミ

    ○藤田委員 もう全く納得できないんです。エアバッグの問題のときも、あなた方はもっともっと国民の間に認識を広げていって、そうして普及を待ってからなんだ、こういうことをおっしゃった。チャイルドシートの問題は、幾ら何でもシートベルトを義務化されているわけですから、これはもう子供を守るという立場できちんと目標を定めて、それに向けて旺盛なPRをし、理解を広げ、そうして義務化をきちんとしていくという立場に立って当然のことだと思いますのに、そういう御答弁に終始をしているということは、とても残念です。  大臣がいらっしゃったら、多分大臣はもう少し積極的にお答えになるんじゃないかな。私はこの空席を見て歯ぎしりをしておりますが、この問題についてはこれからも取り上げて、一日も早い実現で子供を守りたい、私はそのことを申し上げておきたいと思います。  次に、高齢運転者の問題であります。  高齢ドライバーの運転中の事故やそれに基づく死亡者の増加は深刻な社会問題になりつつあります。この問題を考えるとき明確にしておかなければならないのは、高齢者が運転することを否定したり、ただ高齢者だからと運転の機会を奪うような対応はすべきではないと思います。  こういうことを明確にした上で質問をいたしますが、個人差があるにしても、ドライバーに限らず、私たちは年を重ねるにつれて反射神経など体の上での衰えを見せることは否定できない事実です。そのほかの面でも高齢化の影響を生ずることは否定できません。大切なことは、高齢ドライバーの方々がそうしたことをみずから納得する、自覚をして運転できるように、教育や研修はもちろんですが、それだけではなく、私は、自己診断などを行うことで納得の条件を整備する、そういう体制の整備が必要じゃないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  116. 田中節夫

    田中(節)政府委員 高齢運転者は、一般的には、加齢に伴いまして視力、視野、聴力、反応時間等の身体的機能が低下いたします。また、注意力あるいは情報収集力、判断力も弱くなるということでございますが、個人差が非常に大きいというのは、今委員指摘のとおりでございます。  また、運転を続けている高齢運転者にとりましては、自動車等が生活に不可欠なものである、生きがいにもなっておるということになりますと、一律に高齢者の運転を制限するということはなかなか難しい問題がございます。  そこで、私どもといたしましては、現在、更新時の講習の機会等を通じまして、高齢運転者みずからが運動能力を自覚していただく、そして自分がどうやって安全な運転をするかということについての誘導といいますかそういうような意識づけをしておるところでございます。  ただ、高齢運転者が非常にふえている中で、現在の体制の中では必ずしも十分ではないというふうに考えておりますのできる限りすべての高齢運転者に対しましてその運転適性診断を受ける機会を設ける、その機会の拡充を図っていきたい。今後は、予算上の問題を踏まえまして、科学的検査機器の導入とか体制の充実を一層推進していく必要があると考えているところでございます。
  117. 藤田スミ

    ○藤田委員 あなた方は、参加型、実践型という言葉をしきりに使っているわけでありますから、まさに高齢化社会に向けて参加型、実践型を地でいくためにも、ぜひともCRT型運転適性診断機器など配置をし、場合によっては、自動車教習所などにも委託をするなどのやり方で、身近なところで絶えず高齢者が自分の体の状況というものを納得、理解して、そうしてそれにふさわしい運転をするという、そういう条件整備を急いでいただきたい。努力をするということを確認して、次の質問に入ります。  救急医療の問題です。  これはまだ気の遠くなるほど私はおくれているということを言わざるを得ません。ドイツにしても、アメリカにしても、救急医療にヘリコプターが日常的に使われています。しかし、我が国ではまだ救急活動にヘリコプターを本格的に導入はしていません。  こうした中、ことしの七月、総務庁行政監察局から「救急業務及び救急医療業務に関する行政監察結果報告書」が出されております。この中で、ヘリコプターの効果的運用に関して非常に重要な指摘がされていると思うのです。  勧告では、自治省に対して、ヘリコプターの活用に関し、消防機関による一貫した活動、救急隊員の乗務の指針、救急救命士の活用、そして導入促進のための支援策などの措置を求めているわけであります。また、この勧告の中では、要するに救急活動におけるヘリコプターの活用が特別なものだという意識を捨てて、もっと常時使える、使っていくというふうな姿勢に立たなければいけないということをしきりに訴えているようにも読みました。  そこで、この勧告に対して自治省の方はどういう見解と対応策をとろうとしていらっしゃるのか、聞かせていただきたいわけであります。
  118. 小濱本一

    ○小濱説明員 ヘリコプターによる救急につきましてお答えいたします。  ヘリコプターにつきましては、離島、山間地域におきます重度傷病者あるいは交通事故の負傷者などにかかわります救急搬送に極めて有効であると考えております。さきの阪神・淡路大震災に際しましても、負傷者の救急搬送等の業務に従事しまして、その機動的かつ広域的な活動能力が改めて認識されたところでございます。  各地方公共団体におきましては、こうした経験を踏まえまして、消防防災ヘリコプターの導入年度を繰り上げるなど、その整備に積極的に取り組んでいるところでございまして、私ども自治省、消防庁といたしましても、これら自治体の要望にこたえるべく、必要な国庫補助金を確保し、消防防災ヘリコプターの円滑な整備を推進しているところでございます。  ちなみに、平成七年四月一日現在におきます消防防災ヘリコプターの整備状況は全国で三十九機だったわけでございますが、本年度の国庫補助金を確保した分を含めますと、計五十機が整備される見込みでございます。  今後は、こうした消防防災ヘリコプターにつきまして、救命効果の一層の向上に資するため、災害時に限らず平常時から救急搬送への積極的な活用を図る必要があると考えております。したがいまして、ヘリコプターを利用した救急業務におきます救急隊員の乗務指針の策定あるいは臨時離着陸場の整備等々、ヘリコプターを救急業務に活用するための諸条件の整備につきまして、関係地方公共団体等と今後協議してまいりたいと考えております。
  119. 藤田スミ

    ○藤田委員 とにかく、この勧告の中でも触れているわけですが、本格的な導入に至っていないのは、その要員や整備など維持経費に対する費用負担の問題が非常に大きいことがあるということを思うわけです。せっかくヘリコプターを持っても、実際に救急出場をした回数を調べていくと、この報告の中では、たった一回しかやっていない、全体のこのヘリコプターの出場回数の中のわずか〇・四%とか、全く出場したことはないというような数字がたくさん並んでおりまして、宝の持ちぐされといいますか意識して救急乗務にヘリコプターを活用していくんだということで支援の体制をつくっていくことが非常に大事じゃないかということを思うわけです。  その点では、端的に言って補助ですね、それを本当に本格的に国がここまで保有が進んでくる中では大きく打ち出していかないと、やはりヘリコプターが救急業務に活用されるということにはなかなかなりにくいこともあろうかと思います。  その点について御答弁を求めるとともに、質疑の時間が終わっていますので、最後にもう一点。  交通事故の死者の統計が、三十日以内の死亡者を諸外国はとっています。我が国の場合は二十四時間ということが表で出ておりまして、その点では、二〇%方少ない数字になっているわけです。これは私は、現にもう統計上では三十日以内という数字もとっておられるわけですから、ぼちぼち各県の一番大きなところには、下に補足をする形で、三十日以内の死亡は何ぼということを出していくということが大事じゃないかというふうに考えます。この点と二点で終わります。
  120. 小濱本一

    ○小濱説明員 ヘリの救急に関します財源の支援につきましてお答えいたしますが、ヘリにつきましては、補助金のほかに、維持管理経費も含めまして交付税で財源措置をしているところでございまして、私どもといたしましては、今後とも必要な財源措置については、そういった措置についてこれからも充実していきたいというふうに考えております。
  121. 田中節夫

    田中(節)政府委員 交通事故死者統計のお話でございますが、御指摘のように、現在基本的に私どもは二十四時間統計をとっております。これは、重大事故の状況国民に一日も早く知っていただきたい、そしてできる限り早く手を打つというような観点でございますが、一方では、交通事故の実態をより明らかにする、また国際的な比較ということで三十日の統計もとっております。  三十日統計は、公表までおおむね二カ月ほどかかるわけでございまして、事故対策につきましては、速報性という点ではやや劣る点がございます。ただ、委員指摘のように、三十日統計につきましては交通事故の実態をより明らかにしているというところがございますので、この内容につきましては、積極的に広報につきましてさらに努力をしてまいりたいと思っております。
  122. 藤田スミ

    ○藤田委員 時間が参りましたので、終わります。
  123. 日笠勝之

    日笠委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十二分散会