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1995-10-19 第134回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年十月十九日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 遠藤 和良君    理事 久野統一郎君 理事 野田  実君    理事 萩山 教嚴君 理事 太田 昭宏君    理事 北村 直人君 理事 渡辺浩一郎君    理事 石井  智君 理事 簗瀬  進君       安倍 晋三君    遠藤 利明君       狩野  勝君    古賀  誠君       斎藤 文昭君   田野瀬良太郎君       根本  匠君    藤井 孝男君       村上誠一郎君    大口 善徳君       長内 順一君    白沢 三郎君       杉山 憲夫君    高市 早苗君       広野ただし君    山本 幸三君       沢藤礼次郎君    前島 秀行君       中島 武敏君    吉岡 賢治君       大矢 卓史君 出席国務大臣         建 設 大 臣 森  喜朗君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 池端 清一君 出席政府委員         国土庁長官官房         長       竹内 克伸君         国土庁防災局長 村瀬 興一君         建設大臣官房長 伴   襄君         建設省道路局長 橋本鋼太郎君         建設省住宅局長 梅野捷一郎委員外出席者         文部省高等教育         局私学部私学助         成課長     樋口 修資君         建設委員会調査         室長      白兼 保彦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  建築物耐震改修促進に関する法律案内閣  提出第九号)      ————◇—————
  2. 遠藤和良

    遠藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出建築物耐震改修促進に関する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。建設大臣森喜朗君。     —————————————  建築物耐震改修促進に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 森喜朗

    森国務大臣 ただいま議題となりました建築物耐震改修促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  本年一月の阪神淡路大震災において、建築物に多数の被害が生じ、多くの貴重な人命が失われたことはまことに遺憾であり、地震に対する建築物安全性向上を図ることの重要性を改めて強く認識したところであります。  今回の大震災における建築物被害状況を見ますと、特に昭和五十六年以前に建築された現行耐震基準を満たさない建築物被害が顕著であります。一方、それ以後に建築された新しい建築物被害程度は軽く、現行耐震基準はおおむね妥当なものであると考えております。  このため、国民の生命、身体及び財産を保護するため、現行耐震基準に適合しない既存建築物耐震改修を全国的な課題として早急に推進することがぜひとも必要であると考えております。  この法律案は、このような課題対応するため、多数の者が利用する建築物耐震診断及び耐震改修についての所有者努力義務建設大臣による指針策定並びに所管行政庁による助言指導及び指示について定めるとともに、所管行政庁建築物耐震改修計画認定してこれに対し建築基準法特例の適用及び金融上の支援を行う等、所要の措置を講じようとするものであります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一に、多数の者が利用する一定建築物所有者は、当該建築物について耐震診断を行い、必要に応じ、耐震改修を行うように努めなければならないこととするとともに、建設大臣がこれらの建築物耐震診断及び耐震改修に関する指針を定めて公表し、あわせて、所管行政庁が必要であると認めるときは、指導及び助言を行うことができることとしております。また、このうち、病院、百貨店等特定かつ多数の者が利用する一定建築物について、所管行政庁が必要な耐震診断または耐震改修が行われていないと認めるときは、必要な指示を行うことができることとしております。  第二に、建築物耐震改修をしようとする者は、建築物耐震改修計画策定し、所管行政庁認定を申請することができることとしております。所管行政庁認定に際しては、既存適格建築物において耐震性向上のみのための改修を認める等の建築基準法特例措置を設けるとともに、認定を受けた住宅耐震改修について住宅金融公庫貸付金利優遇措置を講ずることとしております。  第三に、国及び地方公共団体は、建築物耐震診断及び耐震改修促進を図るため、資金融通等に努めることとしております。  第四に、国は、建築物耐震診断及び耐震改修促進を図るため、研究開発促進のための措置を講ずるよう努めるとともに、国及び地方公共団体は、建築物耐震診断及び耐震改修促進に関する国民の理解を深める等のための措置を講ずるよう努めることとしております。  その他、これらに関連いたしまして関係規定整備を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  4. 遠藤和良

    遠藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
  5. 遠藤和良

    遠藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大口善徳君。
  6. 大口善徳

    大口委員 新進党・民主会議を代表いたしまして質問をさせていただきます。  最近、群発地震等地震が各地で発生をしております。今回の阪神淡路大震災、五千五百人を超える方が亡くなられた、そのうち九割ぐらいの方が建物倒壊によって亡くなった、こういうことでございますので、この建築物についての耐震強化は非常に緊急の課題である、そう考えるわけでございます。  そういう点で、今回この法案提出されましたことは、対策の一部として価値のあることではございますが、ではこれで全部十分かといえば、まだまだやらなければいけないことがあります。むしろ不十分である、そういう気がしてなりません。  この阪神淡路大震災においては、建築震災調査委員会というのが設置されておりまして、本年七月二十八日の中間報告を見ましても、この中におきまして、「既存建築物耐震診断改修の重なる促進のための制度体制整備」、こういう 部分があります。十五ページにあります。その中で、「診断改修に対する助成措置が不十分であること、」また、「相談窓口診断改修に関する技術的支援体制が未整備であること、」「診断改修を進めるための制度的枠組みが用意されていないこと」、「今後検討すべき課題が残されて」いる、こういうふうになっております。  その中で、真っ先に、診断改修助成措置が不十分である、こういうふうになっております。やはり、その耐震診断、そしてまたそれを改修するインセンティブを与えるためには、助成措置あるいは税制上の措置あるいは融資上の措置、こういうことが不可欠なわけでございますが、この点につきまして、大臣に所見をお伺いしたいと思います。
  7. 森喜朗

    森国務大臣 大口委員の御指摘どおり、まだまだこうした震災耐震に対する対応というのは、これで完全だというものはなかなか出てくるものではございませんし、また我々行政立場も、また国会の皆さんも、これからさらにお互いに議論をし、どうしたらこうしたことに対する完全な措置ができるかということは、これからもまた議論をして、勉強していく必要があろうかと考えております。  先ほど提案理由説明を申し上げさせていただきましたように、やはりこれは非常に、緊要性といいましょうか、急ぐことがまず大事でございますから、そういう意味で、耐震診断及び耐震改修促進させるための支援策がまず必要である、こういう考え方からこの法案提出させていただいたわけであります。  したがって、委員が御指摘のとおり、補助制度あるいは税制などの優遇措置というものは、もう少し何か考えられないかということについては、それはまだある意味では御指摘どおりだろうと私ども考えておりますが、まずは国民皆さん全体に対して耐震に対する注意喚起をしていく。昨夜来九州地区地震が続発をしているわけでございますし、そういう意味で、まずこの促進策を最前提に進めていくということが大事だということが今回の措置でございます。  そういう意味で、住宅耐震改修に対する住宅金融公庫融資限度額の引き上げ、これは第一次補正予算で既に措置をいたしたところでございますが、この法案におきまして、住宅耐震改修に対する住宅金融公庫による貸付金利優遇措置規定をいたしておりますし、また、事務所等につきましては、日本開発銀行等による融資について同様の措置を別途に設けているところでもあります。  税制上の措置といたしましては、耐震改修を行ったときの法人税等特別償却制度創設についても現在要望いたしておるところでございますので、平成八年度の税制改革審議にぜひ御検討をしていただきたい、このように思っております。  こうした、まだ完全といいますか、委員からはいろいろ御指摘があろうかと思いますが、当面この法案の中で措置いたすべきこと、これらの優遇措置の活用も図りまして、耐震改修促進にさらに努力をしていきたい、このように考えております。  なお、一部地方公共団体におきましては、その診断費用等についていろいろな助成措置を考えておられるようでございます。したがいまして、それらの地方自治体がまたどういう方法があるのか、そういう点もまたさらに検討していただく、そういうことも今後協議をしていきたい、また指導もしてまいりたい、このように考えております。
  8. 大口善徳

    大口委員 民間でも数十万、それから、規模にもよりますが、特定建築物は数百万から数千万、これぐらい耐震診断にお金がかかるということでございますので、助成措置についてはきちっと早急に考えていただきたいと思います。  今回の法案を見まして、果たしてこれで耐震診断また改修が進むのか、非常に疑問なわけでございます。そういうことで、インセンティブを高めるための施策を考えなければなりません。  それにつきまして、特定建築物耐震診断、そして、その診断結果につきまして情報公開すべきではないか。特に公共建物なんかはぜひとも耐震診断の結果を情報公開すべきである、そう考えるわけでございます。そしてまた、耐震診断をして、その結果改修をした、そういう場合には、火災のときの適マークのような耐震認定証、そういうものをきちっとわかるところに、玄関にでも表示できるようなシステムをとれば耐震診断改修というのは進むのではないか、そう提案するわけでございますが、この点いかがでしょうか。
  9. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘のように、特に建物を利用される立場から見ますと、この建物がそれ相応の水準の建物であるかどうかということがわかるという意味でも、何らかの区別、表示ができるということは大変有効なことではないかというふうにも考えているところでございます。  一方、今回の法律でいいますと、現行基準によって建てられた建物というものも基本的には安全な建物であるという考え方でございまして、今回考えておりますような耐震改修を済ませて安全になったものと、過去の基準に従って建てたものが改修によって安全になったというものと、結果におきましては、利用者立場に立ちますといずれも安全だということになりますので、それらを、現行基準でやったものについての扱いをどうするのかというような、大変広い対象というようなことを扱う話になってくるということでございます。  この御指摘のことにつきましては、そういうものとの整合性をどう考えながら、有効な手段があり得るのかどうかというようなことを慎重に今研究をさせていただきたいな、御趣旨については私どももそういう感じを強く持っているところでございまして、具体的にどういうやり方があり得るのかというようなことについては研究をさせていただきたいなというふうに思っているところでございます。
  10. 大口善徳

    大口委員 適マークも、最近のものも全部やっているわけですから、よく検討していただきたいと思います。  また、本年の三月二十九日、住宅局長通達が出ております。また、防災対策室長のこれも出ておるわけでございますけれども防災対策室長の通知の中で「重点的に耐震診断を誘導すべき区域の設定」、こういう項目があります。要するに、ここで言われていることは、「比較的古い木造住宅が高密度に立地する等、建築物所有者等に対する注意喚起により、重点的に耐震診断を誘導すべき区域を設定するものとする。」こういう面的な、個々的な建物特定建築物というだけではなくて、面的にある区域を設定して、そこを耐震診断改修というものを誘導していく、こういうことも法律に書くべきである、私はそう思っておるわけですが、いかがでしょう。
  11. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 耐震改修安全性向上を図るためには、いろいろな面から、先ほど大臣趣旨のところでも申し上げましたように、いろいろな方法をさまざま講じていかなければいかぬということはもう明らかでございまして、今御指摘のように、地域的に全体としての耐震性向上を図るということと個々の建物を取り上げるという問題とをダブらせ、あるいは並行してやらなければいけない、そういう点は御指摘のとおりでございます。  私ども、今回の法律では、個別の建物をどうするかという面に絞った提案をさせていただいているわけでございますが、地域的な対応というものをどう進めるか。実質的には、例えば密集市街地の再開発というようなことで現実に今取り組んでいるところでございますが、これにつきまして、耐震性向上という観点から法的な枠組みをさらに整備をする必要があるかどうかについては、現在鋭意検討している最中でございます。
  12. 大口善徳

    大口委員 これは通達でも出しているわけですけれども、法的にも考えるべきである、そう考え ております。  また、今回は構造の強度ということに重点を置いた耐震基準なわけでございますが、耐震性、また防災に強いという観点からいきますと、避難路がその建物で確保されているかとか、あるいは防災設備というものの耐震性はどうなのか、こういうこともチェックをしていかなければいけない。そういうことで、耐震性基準というものもそういう観点からも見直すべきではないか、そう思いますが、いかがでしょうか。
  13. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 地震災害の際に、建物自体が壊れるあるいは倒壊するというようなことと、それから一部の被害が生じたときに安全に避難をするというような、そういう面はいずれも重要なわけでございまして、今回の震災の中でも避難所の問題でということも一部にはあったかとは思っております。  この避難施設整備防災施設の問題につきましては、従来から、火災の際におきます場合には往々にしてそういうケースがあったわけでございまして、従来から、火災の際を前提としたような避難施設整備については、既存建物についても、防災要綱というのを立てまして長年やってきているところでございます。  そのような流れからくる対策と、今回の建物自体被害倒壊というようなものに対する対策については、あわせて、並行しながらやっていく必要があるというふうに考えているところでございます。
  14. 大口善徳

    大口委員 ここで小学校、中学校高校、大学と、学校施設耐震強化について考えてみたいと思うのですが、これにつきましては、公立学校につきましては、これは五十六年六月施行の新耐震設計基準、それ以前のものが、五十六年以前のものが全部対象になっておりまして、これの耐震診断、そして耐震度調査、補強、それから改築、この必要な措置を講ずべき、こうなっているわけでございます。  ところが、私立学校につきましては、私立高等学校等につきまして、昭和四十六年の旧耐震基準の以前のものだけしか対象になっていない、こういうことで、公立高校私立高校を差別をするような扱い方になっておりまして、その昭和四十六年以前のものについて、概算要求で今回十億ということのようでございます。  私は、まず私立学校においても、昭和五十六年以前のものすべてを対象にして耐震診断強化補助をすべきである、そういうふうに考えておるわけです。大体三千ぐらい私立学校があるわけですけれども、これが全部診断をするとすると、一校当たり二百万としても六十億かかるわけでございますし、それをまた改修等をすればその十倍ぐらいかかる、こういうこともあるわけですから、十億というのは甚だ少ない金額であるということも思うわけでございます。この点について文部省に。
  15. 樋口修資

    樋口説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の、私立学校耐震性強化に対する支援方策いかんというお尋ねにつきましては、文部省といたしましても、昭和四十六年、旧耐震基準策定年前の私立小中高等学校並びに特殊教育小学校施設につきまして、今後五年間を目途として、緊急かつ時限的に防災機能強化のための施設整備事業創設するということで、平成八年度概算要求におきまして十億円を要求させていただいているところでございます。  また、これにあわせまして、耐震機能強化のための施設整備に対しまして、日本私学振興財団におきます長期低利貸付事業もこれを対象とする方向で現在要求をさせていただいているところでございまして、平成八年度予算におきまして私立学校防災機能強化のための補助制度融資制度創設されるよう、私どもとしても努力してまいりたいと思っているわけでございます。  この補助金額の十億円という額が些少ではないかという御指摘もございましたが、私どもといたしましては、私立学校施設実態調査の結果を踏まえまして、公立文教施設に準拠いたしまして要整備面積とか補助単価等を設定し、今後五年間を目途として計画的に施設整備ができるよう、必要な初年度の予算額として十億円を要求させていただいているところでございまして、制度創設が認められました暁には、事業実施に際して、各私学防災ニーズ等を十分踏まえながら事業の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。  また、なぜ四十六年以前の建物に対しての補助ということになっているのかというお問い合わせでございますが、私ども、今回の阪神淡路大震災におきまして、四十六年前の建物に大きな被害が見受けられたということを勘案しまして、当面、特に緊急度の高い四十六年前の学校施設について早急に施設整備計画的に進めることが喫緊の課題と考えております。  このために、これまで設置者が自前の資金施設整備を図るという私学についての施設整備考え方を、この耐震機能強化については転換していただいて、補助制度創設されるよう、私どもとしても来年度予算の中で最大限努力を傾注してまいりたいと思っているわけでございますし、融資の面で私ども長期低利貸付制度対象とする方向で現在努力をさせていただいておりますので、これらを総合的に活用しながら、私学における耐震機能強化のための施設整備を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  16. 大口善徳

    大口委員 全然説得力がなかったですね。五十六年以前、四十六年から五十六年の間でも今回被害は相当出ているわけですから、そんな説明じゃだめですよ。これ以上時間がないから言いませんが。  次に、今回の震災から反省することとしまして、昭和五十六年以降におきましても、要するにこれは建築の、例えば構造計算がいいかげんであったり、あるいは設計監理がいいかげんであったり、あるいは基礎がいいかげんであったり、そういうことがあったわけですね。これは、建築確認という制度、そもそもが書面審理に近いわけで、そして完成の終了時における検査というのを外観だけ見るだけである、中間的に検査をしたりというようなシステムがございません。基礎をきちっとやっているかということを検査をやる体制もないわけでございます。そういうことで、やはり第三者による検査制度というものを真剣に考えていかなければいけないと思うのですね。  また、最近言われておりますように、耐震基準につきまして仕様から性能型、こうなっていきますと、ますます検査というものはバラエティーに富んでまいりますし、そういうことから考えましても、また規制緩和流れからいきましても、民間による、参加した第三者による検査体制というものは中長期的に考えていかなければならない、そういうふうに思うわけです。  そういう中で、例えば建築構造技術者協会、これは建築構造関係の、一級建築士が試験を受けて建築構造士という資格を取得しておるわけですけれども、こういう方々がやはりそういう民間検査の担い手となっていくようなことも考えていかなければいけない、そう思うわけでございます。ロサンゼルスやニューヨークにおきましては検査制度というものができておるわけでございます。  そういう点で、このあたりのことについても今回の反省に立って検討すべきである、そう思いますが、いかがでございましょうか。
  17. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 御指摘のように、今回の震災の実情におきましても、やはり設計段階あるいは工事監理段階、施工の段階、それぞれに必ずしも十分な配慮が行われていなかったのではないかというような事例がかなり見られるわけでございまして、これを生産体制の面から、あるいはチェック体制の面からいかにきちんとしていくかということは、私どもにとっても大変深刻なテーマと受けとめているところでございます。  今御指摘ございましたように、今後そういうものをきちんと整備する上では、現実実施をしておる、現在の体系で言えば建築士という仕組みに なるわけでございますけれども、そこを何らかの形でもう少し適切な形で効果が出るような方向整備した上で、力点を役所のサイドのチェックからより実質的なチェックをしていただける、今事例としてお挙げになりましたような例えば構造についても、特に構造に関する専門家方々というようなことが十分チェックに生かされるような方向に全体を組み立て直す必要があるというような意識を持っているところでございます。  したがいまして、できれば近々にもそういう大がかりな検討というものに着手しようということでいろいろな検討を進めているところでございまして、ただいま御指摘のような点を、そういう議論の中では前向きなテーマとして十分取り上げさせていただきたいなというふうに思っているところでございます。
  18. 大口善徳

    大口委員 次に、これは五月十八日の予算委員会でも私はお話をさせていただいたのでございますけれども応急危険度判定士の問題、これについてちょっと取り上げたいと思います。  静岡におきましても、阪神応急危険度判定士として、ボランティアで、これも県の要請を受けて行ったわけでございます。その方の話を聞きますと、徳島から朝早く出まして、そして毎日船を使って現場に通った、こういう苦労話を聞いたわけでございます。皆さん一級建築士等ですから一家一城のあるじでございまして、その方がもしこういう応急危険度判定の際におきまして死傷するというようなことになりますと、補償がない、こうなるわけですね。そのことが本当に大変だ、不安だということだったわけです。そしてまた、判定士を募集するときも、万が一の場合どう責任をとってくれるんだ、こういう声もあったわけでございます。  そういう点で、ことしの五月十八日の予算委員会におきまして、前の建設大臣でございますけれども、前の建設大臣に、このことにつきまして、応急危険度判定士身分保障について消防団公務災害補償のような、そういう基金というものをつくって考えたらどうだ、こういう提案をさせていただきました。  東京都におきましては、もう条例で、防災ボランティアということで補償についても手当てをしております。十分とは言えませんが、そういう形になっております。各都道府県がばらばらでこれをやるというよりも、やはりこれは国として考えるべきである。このことにつきまして、前の大臣、野坂建設大臣も非常に前向きにこれは検討をして、今現在検討を進めておるところである、こういう答弁をいただいておるわけでございます。  これにつきまして、やはり災害関係の所管である国土庁長官にもこの件につきまして非常に推進をしていただきたい、そう思っておるわけでございますけれども、御所見をお願いしたいと思います。
  19. 池端清一

    ○池端国務大臣 この問題につきまして、かねてから大口委員は非常に熱心にこの問題を取り上げられておりますことについて、敬意を表する次第でございます。  先生既に御案内のように、阪神・淡路の大震災におきましても、全国からこの応急危険度判定のために約六千五百名の建築技術者の方々が現地に赴いて大変献身的な活動をされたわけでありまして、本当に私ども心から感謝をしているところでございます。  この応急危険度判定重要性というものはっとに国土庁としても認識をいたしておりまして、現在、建設省を中心にいたしまして震災建築物応急危険度判定実施体制に関する調査検討委員会というものが設けられております。この中に国土庁も参加をして今この応急危険度判定実施体制整備について検討いたしておるところでございますが、先生御指摘のように、補償の問題につきましても、これも重要な課題だと私は思っております。今後、補償制度についても、これも含めたところの応急危険度判定制度化について十分検討していく必要がある、このように考えて、今後建設大臣とも十分協議をしながら検討を進めてまいりたい、こう思っておるところであります。
  20. 大口善徳

    大口委員 そのことにつきまして、建設省、あれから四カ月たっておるわけですけれども、簡単に報告してください、取り組みについて。
  21. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 応急危険度判定の問題につきましては、私ども、今長官からもお話がございましたようなことで、全体の体制づくりをどうするかということを鋭意努力しておるわけでございます。  また一方では、現実に活動していただく方々をいずれにしても確保するといいましょうか、養成する必要がございますので、現に既に十三都県では約一万人ほどの新たな講習を受講されたというようなことで、技術者そのものを確保していく、養成していくということと、今御指摘のような、さまざまな計画体制づくりというものを並行して鋭意やっているということでございます。
  22. 大口善徳

    大口委員 今回の震災について反省点というのは、もう一つは、やはり陸路における、非常に混雑といいますか、緊急通路の確保等もありました。静岡の場合は東海大地震ということが予想されるところでございまして、特にこの渋滞等については非常に日ごろから危ないな、そう思っております。  そういうことで若干地元のことを聞きたいと思うのですが、一つは第二東名、これはダブルネットワークといいますか、そういう点でも大事でございますが、静岡県におきましても第二東名、これから進めていくわけでございます。  そういう中で、静岡市におきまして、藁科川また安倍川というのがありまして、そこを第二東名が通るわけでございますが、その場合、藁科川につきましては下は市道で上を第二東名の二重構造にする。これにつきまして、安倍川におきましてもそういう第二東名の橋というものを、そういうものを使って、これは県道といいますか、そういうものも設置していただきたい、こういう要望が地元から出ておりまして、これにつきまして建設省の方で適切に指導していただきたい、そう考えるわけでございます。  また、静清バイパスの問題につきましても、これは平成八年度供用でございますが、平面交通の箇所がございます。昭府町と平和町地区の平面交通、ここを、これは交通安全だとか、あるいはバイパスの利便性からいきまして、この昭府町−安倍川区間につきましては高架、そういうものを検討すべきである、こういうふうに考えます。  さらに、静岡市は南北交通、これが非常にお粗末でございまして、特に県道平山草薙停車場線の大渋滞の解消というのが十数年来の懸案事項でございます。その中で、この平山草薙停車場線のすぐ近くに用地取得が非常に可能な申告田瀬名線というのがございまして、ここにつきまして、今街路事業でやっておるわけですが、道路事業と一体化をして、この千百三十二メートルの早期の全面開通に全力を挙げておるわけでございますが、これにつきましても、一体化について国の方からも協力を要請したい。  そういうこと、三点を質問したいと思います。
  23. 橋本鋼太郎

    ○橋本政府委員 まず、第二東名に関連します併設して橋をかけてほしいという御要望でございますが、御承知のとおり、静岡県には富士川、安倍川、その他大河川がたくさんございまして、各地域の方からあわせて橋をかけてほしいという期待がたくさん参ってきております。  これを踏まえまして、建設省、道路公団、静岡県、関係市町村で、この道路網についての必要性、開発の見通し、あるいは地形的な条件等、いろいろ検討いたしまして、この併設橋の可能性について検討を進めたところでございます。  藁科川につきましては、その方向が一応出ております。安倍川につきましても、地域の御要望にこたえるべく、現在、併設橋について、その方向で建設省並びに静岡県等と検討を進めているところでございます。そういう方向でまとめてまいりたいと考えております。  それから、静清バイパスにつきましては、現在、全体二十四キロのうち約七割が供用しており ます。この供用している中に、昭府町から安倍川一・二キロが平面道路になっております。平成八年には全線が供用されますので、交通量の増加が見込まれます。  そういう意味で、当初地形的に大変厳しいところで平面道路とならざるを得なかったものではありますが、バイパスの利便性あるいは交通安全の観点から、立体化という御要望につきまして、地元並びに関係機関と調整を図って検討を進めていきたいと思っております。  それから、三点目の平山草薙線と国道一号の交差点、弥生交差点と言っておりますが、これについて交差点改良を実施するということで計画いたしましたが、市街地ということもあり、家屋の移転が相当必要になって、現在地元の御了解が得られておりません。  これにつきましても、引き続き事業を進めてまいりたいと思いますが、先生御指摘のとおり、並行して都市計画道路がございます。一部事業化しておりますが、これを延伸して国道一号まで進めていくということは渋滞対策にも十分なると考えております。そういう意味で、この延伸について、建設省も有効であり、必要と思っておりますので、静岡県と十分調整をしてまいりたいと考えております。
  24. 大口善徳

    大口委員 以上で終わります。
  25. 遠藤和良

    遠藤委員長 次に、渡辺浩一郎君。
  26. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)委員 新進党の渡辺浩一郎です。  きょうは、この法案に関しまして、主に技術的な面から少しいろいろと質問させていただきたいと思います。  まず、今回の法案は、当然ことしの一月に起きました阪神大震災の、この大災害に対する今後の対応ということでこの法案をつくられたかと思うのですが、私は、この法案は、阪神あるいは淡路島、そういった周辺の、地震の災害を受けたところ以外のところに対して、これを古い建物に対してもっと地震対策をきちっと強化していこう、技術的にあるいは構造的にきちっと強化をしていこうという考え方から生まれたかと思うのです。  特に、阪神地区外にこれを技術的に推し広めていく。今申しましたように、構造的にもっと補強していこうということの技術的な判断からこういうことをするに当たって、建設省は、この阪神大震災における体験で、どこに何が問題があったか、そしてそれをどうやってその地区以外のところに広めていこうとされているか、その辺の概要をぜひひとつお聞きしたいと思います。  そして、もしもできれば、まず冒頭にこの法案をつくった経緯もあわせてお聞きできればと思っていますので、お願いいたします。
  27. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 既存建物は、全国的に見ましても、長い耐用期間がございますので、いろいろな形で、古い建物についてはさまざまな弱点を持ちながら使われているということでございます。先ほどのお話にもございましたけれども、例えば火災に対する安全性についても、弱点を持っているものも確かにあるわけでございます。特に、地震に関する安全性につきましては、大きくは二度にわたって、ごく最近で申しますと耐震基準の見直しをしたわけでございまして、五十六年にいわば集大成をされたわけでございますが、その前にも、帯筋をしっかり巻こうというようなところでの整備もしたわけでございます。そういう技術の進歩、あるいはいろいろな事例についての知見を積み上げていくプロセスの中で、どうしてもそれ以前の建物というものは、可能であれば何らかの補強、補修をしたいということで、微々たるものでございますが、従来からも取り組んできたという歴史もございます。  特に、静岡でありますとか、そういう地震に対する警告あるいは関心が非常に高まったところはそれなりに取り上げてもこられたわけでございますが、今回の阪神・淡路の大震災は、全国的に、あるいは個々の方々にとりましても身近な問題として関心を持ってきた、そことあわせまして、この機会にぜひとも、一般的な行政指導というようなレベルから、しっかりした法的な枠組みの中で促進していきたいということで、今回このような法律を用意して、御審議に付しているということでございます。
  28. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)委員 それでは、この法案をつくることよりも、今までの法律、例えば建築基準法ですか、そういったもので措置できなかったかどうか、その辺の御検討をされていたかどうかお伺いしたいのですが。
  29. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 当然、建築基準法そのものをベースにして、新しい基準の遡及適用というような点についてもいろいろ議論もしてきた経緯がございます。  それは、一つは、遡及適用という、かなり個々の建物の条件をやや捨ましたといいましょうか、そういうことにならざるを得ない遡及適用という強硬手段が実際できるかどうかという面が一点と、それからもう一つは、現在の基準法の体系という組み立て方は、既存不適格、従来の基準には適合していたけれども現在の基準等には適合していないという、そういうものについては、遡及適用的なことをやりますと全体を修正するという枠組みになっておるということもございまして、今回のテーマは、そういう中でもより緊急性の高いテーマとして防災耐震改修というものを進めたいということ、その二点を主に理由といたしまして新しい法律ということに踏み切ったということでございます。
  30. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)委員 わかりました。  それでは、今回のこの法案がどの程度の効果があるかというのが、私にはちょっと読めていないのです。  この法案を読ませていただきますと、共同住宅などを含めた一般住宅に対して、申請すれば、それに対して改修工事をしなさいということが一つ。あるいは病院とかデパートとか、そういった特殊建築物に対しては改修指示するというふうになっておるのですが、阪神地区以外のところで、全国的な規模の中でどの程度この法案が、通った後、需要があるというのでしょうか、ニーズがあるのか。例えば一般住宅に関しては、申請が全くなかったら、この法案は全く意味もないですし、その見通しが誤っていたことになります。また、逆に言うと、物すごく申請があれば、これは大変うれしい悲鳴であろうと思いますけれども、それもまた見通しを間違っていたことになると思うのですね。  ですから、この法案によってどの程度のニーズがあるかということ、その辺の数値的なものがあれば、それと同時に見通しも含めてですけれども、数値的な目標や押さえがあればお聞かせ願いたいと思います。
  31. 森喜朗

    森国務大臣 先ほど大口委員の御質問に対して申し上げたわけですが、恐らく今先生の奥様もそうだと思うのですが、今もしあのような地震があったらどうなるのだろうかなというのは、どなたも大きな関心を持っておられるところだと思います。私も、実はちょっと地震の前に、去年家を改築したのですが、かなり危険な場所にありまして、うちの家内などは、ああ、よかったわね、まずこれで地震があっても大丈夫ねというようなことで、やはり今家庭におられる奥様方にとっては、そのことを一番心配しておられるのだろうと思います。  そういう意味では、これは完全なものだということは申し上げられぬと思いますが、昭和五十六年から適用されたもの以前に建築されたというのは、これはもう先生も御承知のように、今の建物の約三倍あるのですね。それから、少なくとも現行耐震基準を満たしていない住宅、非住宅、合わせて約千四百二十万棟のものが既存建築物であるというふうに我々は承知をしておるわけです。ですから、当面、こうした五十六年以前のものをできるだけ早く、国民が今そういう関心を、大変心配を持っておられるときですから、できるだけそのことを促進しよう。つまり、のど元過ぎれば熱さを忘れるといいますか、だんだん日とともにそのことが忘れ去られてはいけない。そういう意味では、国も地方の自治体もそのことを促進をし ていく、さらに啓蒙をさせていく、そのことが私はやはり大事だと思っております。  専門的に、この法律によって技術上どうなるかこうなるかということは、これは先生の方が御専門ですからお詳しいわけでありますから、私はそこのところはあえて先生に御答弁申し上げようとは思っておりません。ただ、この制定によりまして、行政機関による適切な指導助言が、そしてまた指示が行われるということになる。それから、耐震改修実施に対しましては建築基準法特例措置や各種の助成措置があるということで、つまり耐震改修促進のための法的な枠組みが一応与えられるということになる。それが今回の法律の一番大きな意義だろう、私はこう思っております。  これによりまして、先ほども申し上げましたように、国や地方公共団体が具体的かつ計画的に耐震改修を推進することになりますから、それは地方自治体にとっていろいろなPRもできるでしょうし、そういう啓蒙運動もできるだろうと思いますし、ぜひ現行耐震基準を満たしていない建築物について、各種施策、いろいろな施策とあわせまして、相当程度の耐震診断耐震改修促進されるのではないか、こういうふうに私は期待をいたしております。  詳しい数字につきましては、必要でございましたら局長から説明させます。
  32. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 今大臣からお話がございましたようなことでございますけれども、我々が今、対象として、もともと母集団として考えているのは、我々の推計によりますと、住宅でも千二百万棟、あるいは非住宅でも二百二十万棟というようなものが今回の枠組み対象となるものでございまして、このうち努力義務という、特定建築物と言っておりますが、そういうものだけでも二十万から三十万棟になるであろう、これは診断をしてみないとわからないわけでございますが、恐らくそうなるだろうというようなことも考えておるところでございます。  したがって、現在これだけの膨大な対象でございますので、どういう進み方をするかという具体的な数字を実際明確に持ってはおりません。しかし、私どもは、先ほど大臣から申しましたように、公共団体とは今盛んに詰めているところでございますが、むしろ取り組む一つのプログラムという意味での目標につきましては、既存建物でございますので、三年、五年というわけにはいきませんが、できれば、例えば十年というような期間をとって、その間に何とか努力義務対象にしている特定建築物についてはおおむね過半のものが手が入れられるというような、成果が上がるようなプログラムをつくろうということで鋭意協議をしている最中でございます。
  33. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)委員 ぜひ、そうした努力を重ねていただきたいというふうに思っております。  そして、そうなってまいりますと、今回の法案は、これはお金に関しては全くその措置がなされていないのではないかと思っております。簡単に言えば、特殊建築物に対して、学校やデパートやあるいは病院に関して、改善をしなさい、こういう指示をした。私の個人的な解釈では、しかしお金は先方で出しなさいという話だろうと思うのですね。そうしますと、私は、もう少し前向きな姿勢をとらないとこの耐震設計を改修していくということは前に進まないのではないかと思いますけれども、その辺の見通しはいかがでございましょうか。
  34. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 いずれにしましても、改修をするとなりますとそれ相応の費用がかかるということでございますので、そういう経済的理由により改修の進みぐあいが左右される、これは全くそのとおりだと考えております。  私どもとしても、できるだけの促進助成策というものを用意したいと考えているところでございますが、全体的な原則としては、やはり建物が個々の、個人あるいは事業者のいわば私有財産、個人等のものであるということから、ストレートに、例えば補助金を交付するとかということにはなかなか及ばないというジレンマもあるわけでございまして、現在用意いたしております促進策につきましては、先ほど来出ておりますように、できるだけ使いやすい資金を用意をしていく、あるいは使われた費用に伴います税制上の措置を講じるというようなところで、現在構成しているところでございます。
  35. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)委員 これはかなりいい法案だと思いますけれども、やはりお金の措置というのは相当真剣に考えないと。今局長からのお話によって、千二百万とか二百二十万戸とかという大きな対象建築があって、そのうちどうしても努力義務としなきゃいけないのが二十万から三十万戸ぐらいあるという話ですね。それを五年かけてあるいは十年かけてやっていく中で、やはり私は、補助金がなくて単に税制優遇措置あるいは融資という形でそれを促進していくというのは厳しいんじゃないかというふうに思うのですね。簡単に言えば、ともかく改修してくれ、しかしお金は出しませんよということだと思いますので、それはかなり、拒否をするとは言いませんけれども、足踏みする方は結構出てくるんじゃないかと思うのですね。この辺はやはり大きなこれからの課題じゃないかと思っているのです。  建築基準法に、第十条だったかと思いますけれども建物が非常に老朽化して大変ぐあいが悪くなったり、あるいは火災に対して非常に危険があった場合に対しては、それを改善する命令があると思うのですが、今回の法案法律でさらに進めて、ともかく古い建物であるけれども、新耐法の五十六年以前の建物であるけれども、これを改善しろという指示ではなくて、命令することまでお考えかどうか、その辺をちょっとお伺いしたいのですが。
  36. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 ただいまの基準法の十条に、保安上危険である、今回のケースでいいますと、地震が来たときに明らかに倒壊するのではないかと思われるものについての措置がもともと基準法の中にもあるわけでございます。実態としてはそういう該当するようなものもあるのではないかという御指摘も従来からあるわけでございますが、今回そのいわば従来からあります強制的な命令措置の一つ手前に促進誘導策という法案の体系ができ上がりますと、そういうものが一たん前にあって、そういうプロセスを前提とした上で一段とこの十条というものは生きてくるだろうという考えを持っておりますので、最終的な段階においてはこの十条の発動ということも、従来よりは、恐らく今申し上げたような関係からも、プロセスとしても使いやすいわけでございますので、私どもとしては、最終的には従来に増して十条というものを真剣に発動するということもあわせて考えたいというふうに思っております。
  37. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)委員 わかりました。ともかく、これはかなり強制的にしなければいけないんじゃないかという気が私はしております。  私も建築分野におりましたので、建物を建てるということに関して、またお客さんの、お施主さんのいろいろな嫌がることの心情なんかもよく個人的な体験をしていますので、これは阪神大震災を受けたところではかなり効果はあるかもしれませんけれども、北海道や九州で、震災地から離れたところで改修をやれと言ってもなかなか前へ進まないんじゃないかと私は思います。これはまた後でも質問申しますけれども、次のステップを考えるべきじゃないかというふうに私は考えますので、ひとつ善処をお願いいたします。  それで、さらにちょっと細かいことを伺いますが、今回の改修に当たって、構造的ないろいろな補強措置をとるということで、いろいろな方法がとられているようでございます。かすがいをつけるとか、あるいは鉄筋を補強するという形があるかと思うのですが、この中で、構造的に耐久力を増すために、柱に鉄板を巻くという方法が考えられているようですが、御存じのとおり、鉄板というのは大変火事に弱くて、通常の場合は、鉄骨、鉄板に関しては耐火被覆を当然するわけですけれども、それをしないで構造的に鉄板だけの補強を するということで、これは火事になったらどうなるんだということも当然考えられますので、その辺の理由をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  38. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 今回の耐震改修方法の中で、柱を鉄板によって補強するという方法は、かなり一般的に使われる工法だろうというふうに考えております。これにつきまして、そういう工法をとった場合に、火災とめ関係でどうなるかということでございますが、まず純粋に技術的な問題といたしますと、もともと今回の対象になるような建物は、もとの柱、はりというものは耐火構造であるという前提でございます。それに加えて、上から鉄板が加わってくるということでございますので、鉄板自体が火で弱まったことによって純粋な意味での耐火性能が落ちるということはまあないだろうという一つの考えがございますけれども、いずれにしても、これは不燃材料できちんとした——もちろん鉄板でございますので、そういうものでございますし、そういうことを、中がいわゆる耐火構造で外側に鉄板が加わってくるとそういうものが火災時にどうなるかということについては、きちんとしためどをつけた上でチェックをすることにいたしておりますし、また、例外的な場合には、熱に長時間さらされないということを担保するために、例えば熱の感知器等によって熱による耐力の低下を防止するというようなことも基準として定めて、それらを通じて両立をさせていくという形をとりたいと考えているところでございます。
  39. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)委員 ちょっとおかしいなと思うんですが、構造的にともかく弱いからそれを補強しろという、その弱い柱が鉄骨であれその鉄骨に耐火被覆がしてある、その外側に鉄板を補強するということですよね。そうすると、その柱はもともと構造的に弱いから、耐久力がないから鉄板で補強するわけですけれども、その補強した鉄板が次に火事で弱いと。今局長からお話ありましたように、煙探知器でしたっけね——火災探知器ですね。火災探知器をしてもスプリンクラーがあるわけじゃないわけですから、火事になった場合にそこは耐久力がなくなってしまうのじゃないかというふうに思うのですね。  それは私の意見ですけれども、今局長おっしゃったように、かなり全国でもって事例があるということだとすれば、その辺でどういう解釈をしているのか、その辺をもう一度ちょっとお知らせいただきたいと思います。
  40. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 補強をした後でさらに地震が来た場合、それから補強した後に地震が来る前に火災に遭った場合、いろいろなケースがあり得るわけでございますが、補強としていたしました鉄板で巻いた部分が火事に遭った場合には、その火事の後に、火災後の使用に耐え得るかどうかということについては改めての検討になると思うのです。そういうことでございますので、当然多くの場合には、地震があってそのことが一つの引き金になって火災が起こるというケースも大いにあり得るわけでございますが、その場合には、その段階まではもっておる、火事にさらに遭ったのでその鉄板の耐力が落ちてしまった、したがって全体としての耐力も落ちてしまった、それは、火災後のもう一度判定をしなければいけないというプロセスでございます。
  41. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)委員 わかりました。  それから、もう一つお聞きしたいんですが、これは昭和五十六年の新耐法の以前の建物を基本的には対象にしているわけですが。私も阪神大震災の現場を見ましたけれども建物の中でピロティーですね、一階のところが空間になっているところはかなりやられているというふうに私は認識しているのですが、そういったところは五十六年以降のものでも今回の対象になるかどうか、その辺をちょっとお聞きしたいのですが。
  42. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 五十六年以降におきましても、ピロティー形式のようなものについて十分な配慮が行き渡っていない設計の建物については被害も出ているわけでございます。かなり問題も指摘されているわけでございます。したがいまして、私ども現在の検討段階では、ピロティー形式の建物に対する技術基準を見直しをいたしまして、しかるべき適正な基準をつくりたいという考えを現在持っております。まだつくっておりませんが、そういう準備をいたしております。  そういたしますと、仮にそういう技術基準の告示が改めて修正あるいは追加されたケースで考えますと、そのことによってその段階から前のものはその新しい基準に対する一種の既存不適格ということになりますので、ピロティーについてもこの考え方の適用の対象になるということでございます。
  43. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)委員 これは今のピロティーの話だけになりましたけれども、それ以外のことも、ピロティー以外のこともその検討はされているんでございましょうか、その辺を。
  44. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 技術的なテーマで特に取り上げて、指摘も受け、検討しておりますのは、溶接の問題、あるいは特に鉄骨の柱脚の問題、それと今のピロティーというようなものが大きなテーマとして検討しておるところでございます。
  45. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)委員 わかりました。  それでは、今回この法案は大変私どもから見ましても前進ある、かなりいい法案だというふうに思っておりますけれども、私は今後やはりこれをさらに進めていかなきゃいけないかなというふうな気はしております。特に、先ほど言いましたように、お金の手当てが全くないということと強制力がやはりないというこの二つは、今後検討していかなければいけない大きな課題だろうと思っておるんですね。  この二つに関して、最後になりますけれども、建設省としてはどういう取り組みをしていこうと。まあ既存法律の中でやっていくという先ほど説明はございましたけれども、やはり今申しました改修の強制力ですか、これと、それから資金の手当てということに対して、やはり相当前向きにしないと先ほど計画はなかなか進まないと思っているんですが、その辺の今後の見通しについてひとつお伺いしたいと思います。
  46. 森喜朗

    森国務大臣 きょうは、大変短い時間で理事皆さん委員皆さん御配慮をいただいておりまして、感謝申し上げますが、今先生と局長とのやりとりを伺っておりましても、極めて技術的にもいろいろ示唆に富んだお話が多かったと思います。先ほども申し上げましたように、まず、建築物耐震改修促進するためのいわゆる法的な枠組みをこれで用意されたというふうに、そういう意味では前進であるというふうにぜひお考えをいただきたいというふうに思います。  今ございましたように、税制の問題でございますとかあるいは融資の問題でありますとか、これは考えなければならぬ問題がたくさんありますし、とりわけ、今お話がございました技術的な問題になりますとさらに検討を深めていかなければならぬ点が多いのかと、こう考えております。まずは一つ法的な枠組みが用意をされたということで、私どもとしてもさらにこの問題については検討を重ねてまいりたいと思いますが、今にでも、今晩にでも地震があるかもしれません。そういう意味では、国民の多くの関心のありますときにぜひこの仕組みをまず国民皆さんに理解をしていただいて、行政そして民間、皆挙げて耐震対応にぜひ備えていけるようにしたいと、こう考えております。  いろいろ御指導いただきましたことを感謝を申し上げます。
  47. 渡辺浩一郎

    ○渡辺(浩)委員 じゃ、私も最後になりますが、ともかくこれをひとつ施行していただいて、五年、五年とは言わずに二年、三年の中で実際にやってみて、それでどういう具体的な問題点が出てくるかひとつ御検討いただいて、その中で、今私が申しました資金の手当て、それからもう一つは強制権、命令ですか、そういったことをやはり検討対象にぜひともしていただきたいということをお願い申し上げ、私の質問を終わらさしていただきます。  ありがとうございました。
  48. 遠藤和良

    遠藤委員長 次に、中島武敏君。
  49. 中島武敏

    ○中島(武)委員 建築物耐震改修促進法案についてお尋ねいたします。  時間の関係もありますので、私もできるだけ簡潔にお聞きいたしますけれども、答弁の方もひとつ簡潔明瞭にお答えいただけると大変ありがたいと思います。  まず、政府は阪神淡路大震災を大変重要な教訓としてこの法案提出されたと思うのです。そこで、まず第一に伺いたいのは、現行耐震基準ですね。現行耐震基準は、阪神淡路大震災の震度である震度七、この震度その激震に十分耐えられる、こういうふうにお考えですか。
  50. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 現在の耐震基準の妥当性をという観点からも、今回の震災については、学識経験者を網羅いたしまして特別な調査委員会におきます調査も進めていただいているわけでございます。その現在までの御報告によれば、全体の枠組みとしては、あの阪神大震災現行基準との対比においては、大筋においては妥当性があるという御見解をいただいております。  しかし一方では、先ほどもお話がございますような、ピロティー形式であるとか幾つかの弱点が紛れ込んでくるといいましょうか、入ってくる部分がある。したがって、その点については、例えばピロティー形式のようなもの、あるいは鉄骨の柱脚等についての基準の補強、修正等を行う必要はあるというふうに考えているところでございます。
  51. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今もお話があったんですけれども、確かに中間報告においても新耐震設計法はおおむね妥当、こういうふうに言っておられますけれども、御答弁にありましたように、余裕ある設計をすべきだ、こういうふうに言っているんですね。私は、特にその際に心がけなければならないのは、一般の建築物に比べて学校とかあるいは福祉施設とかその他公共の建築物、この公共の建築物は、現行基準で満足しないで余裕ある設計をすべきだと思うんです。私も神戸、阪神を何度も訪れましたけれども、やはりここでは公共施設が相当被害を受けているわけですね。そういう点からいいますと、防災上の機能を果たす上からもひとつ十分な余裕ある設計にしなきゃいけないんじゃないか。  これは東京の場合ですけれども、公共の建物については、一割から三割増しぐらい、それから重要な建築物については五割増しで設計している、こういうふうに聞いているんですけれども、今のこの問題についてどうお考えですか。
  52. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 安全性考え方で、ただいま御指摘のような学校等の公共的な性格の強い建物については、より一層入念な設計なり工事が行われて着実な安全性を確保していくという点は、まことにそのとおりだと考えております。  建築基準法上のレベルにおいてどう差をつけるかという観点で見れば、私ども基準法としては全体を通じた最低基準という性格でいいのではないかと考えておりますが、今申し上げましたように、より着実に安全性を確保する。そのやり方は、例えば今お話がございましたように、計算その他におきます安全率をより高めた上でやるとか、個々の建物の性格を十分に反映して受けとめて、正確な、漏れのない設計、工事をやることによって確実にしていくとか、いろいろな方法があるわけでございますけれども、いずれにしましても、そういう公共的な建物はより一層安全性を確保さるべきであるというふうに考えているところでございます。
  53. 中島武敏

    ○中島(武)委員 次にお尋ねしたいのは、耐震改修の問題なんですけれども、この問題で、耐震改修を必要とする建物はどの程度あるのか。この点で、木造と非木造、それからもう一つは住宅と非住宅、これについてお答えをいただきたいと思います。
  54. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 私どもの今回の区分でいいますと、大体五十六年以前ということとそれ以降ということが一つの母集団になるわけでございますが、その五十六年以前の建物のうち、現行耐震基準のレベルでの耐震性能を有していないのではないかというふうに想定されるものの推計といたしましては、住宅が約千二百万棟、それ以外が二百二十万棟というような推計をいたしているところでございます。また、この千二百万棟と言っております住宅のほとんど、千百万棟ぐらいがいわゆる木造住宅であるというふうに考えているところでございます。
  55. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今度は特定建築物の問題なんですけれども特定建築物耐震改修を大いに促進するという、そのために促進策としてどんなことがありますか、どんなことを考えておられますか。
  56. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 一つは、最終的なことでもあるわけでございますが、所有者の御理解を得なきゃいかぬということでございますが、建物は必ずしも——今回のような耐震改修を除きましても、さまざまな維持保全の関係であるとか模様がえであるとか、いろいろなことで専門家がいろいろな形で関与するわけでございます。したがいまして、そういう際にこの安全問題というものもあわせて御関心を持っていただけるような、我々から見ますと一つのPR部隊になるわけでございますけれども、そういう今回の耐震診断専門家というものが常時世の中の一般的な活動の中に存在していただけるということを目指して、現在、直接は今回の法律のためでございますけれども耐震改修を進めていただく専門家を再養成、再教育をするというようなことでやっておるところでございます。  それから、今回の枠組みができ上がることになりますと、法的な枠組みを背景として、行政サイドも積極的にそれらの所有者方々にいろいろな働きかけができるというふうに期待しているところでございます。
  57. 中島武敏

    ○中島(武)委員 法律によりましても、特定建築物所有者に必要な指導助言ができるとか、あるいは不特定多数が利用する一定規模以上の特定建築物については指示をすることができるとか、あるいは、指示に従わなかった場合とは書いてないのですけれども耐震性安全性について報告させる、あるいはまた立入検査調査どもうたわれているわけですね。  私、ここで特に聞いておきたいと思うのは、不特定多数のものについては、罰則や何かもつけて、こういうふうにいろいろこれを促進するやり方が法的にも保障されているんです。いるんですけれども、しかし不特定多数じゃなくて特定多数の特定建築物、例えば学校とか福祉施設とかその他いろいろありますよね。これについては、私が思うのは、こういうところは防災上の社会的な責任があると思うのです。ところが、これは指導助言だけであって、ちょっと芸がないんだね。そこを何か考えてないのですか、やはりもっと積極的にそういう学校とか福祉施設とかその他のところ、もうどんどん改修させるということについてなんですがね。
  58. 梅野捷一郎

    梅野政府委員 いろいろな種類の建物がございますが、まあいわゆる公共的な性格の強い建物ということで考えますと、従来からもそれぞれの所管の省庁あるいは公共団体におきます所管の部門というのがございまして、この耐震改修については、一般の建物に比べますとお取り組みは、姿勢としてそれなりには進んでいたという、あるいは結果が出ていない面もあるわけでございますけれども、そういう動きにあったことは事実でございます。私どもといたしましては、こういうものをできるだけそれぞれの、この法律を制定するという機会に各省にも既にいろいろな形でお願いをいたしておりまして、そういうそれぞれの今までの取り組みを一段と強くお取り組みいただいて、所管ベースでの御指導もお願いじょう。  それから、これは大臣からお話しすべきことかもしれませんが、国土庁長官などともそういう問題について、今後公共的な建物をどうしようかというようなこともお話の話題にも上っているというふうに伺っておるところでございまして、我々事務方におきましてもそういうところと、特に国 土庁とは密接な連携をとって、しっかりした取り組みを形の上でもつけていけないかというようなことで協議を始めているところでございます。
  59. 森喜朗

    森国務大臣 この法案を閣議決定いたしました際に、閣僚懇談会で私から各閣僚に対しまして、所管の公共物、そして特に危険なものがあるかないか、そうしたものを各省庁でひとつよく点検をしていただきたい、それについてぜひ御協力もいただきたいということを申し上げて、国土庁長官にその全省庁の取りまとめをしていただきたいということをお願いし、国土庁長官も、そのように措置をしたい、こういうふうにお互いに閣僚懇で申し合わせをいたしております。
  60. 中島武敏

    ○中島(武)委員 積極的にやっていらっしゃるようだなと思うのですけれども、いろいろな省庁にまたがるのですから、何か横断的な組織みたいなものをつくって定期に検討会を開くとか、あるいは改修促進も、政府としても特定建築物は掌握できるようですから、年次計画を立ててこれの推進を図るとか、そういうことは必要じゃないかなと思うのですけれども大臣、どうです。
  61. 森喜朗

    森国務大臣 先ほど住宅局長も申し上げましたように、これから事務的に各省庁よく連絡をとっていただいて、国土庁で取りまとめをし、まずはスタートするところでございますので、これからいろいろな意味でプログラムをつくる、そういう準備もしてみたい、こう考えております。
  62. 中島武敏

    ○中島(武)委員 時間の関係もありますので、ちょっと緊急な問題ですから、次に官官接待問題と公共事業費の中の事務費の流用問題、この問題について大臣に伺いたいと思うのです。  官官接待というのは、私が申し上げるまでもなく、大変大きな社会問題になっています。それで、公共事業の約七割というのは建設省所管であって、建設大臣はいわば公共事業担当大臣と言っても言い過ぎではないと思われるわけですけれども大臣、この官官接待、どうすれば根絶できるとお考えですか。
  63. 森喜朗

    森国務大臣 官官接待を私は是認しているのじゃないので、誤解がないようにまず冒頭に申し上げておきますが、お互いに話をしたり、お互いに人間関係を深め合っていきますと、一緒にお茶を飲んだり食事をしたりということが、やはりこれは流れとして進んでいく面はあると思うのです。日本には、日本だけなのかどうかわかりませんが、そういうまた風土的なものもあるだろうと思います。これは一般的な話でございます。  しかし、少なくとも、職務上の関係者と打ち合わせをする、これはやはり社会常識に照らしまして節度のあるものでなければならぬということだろうと思います。この点につきましては、今日までいろいろな機会に職員に徹底をいたしておるところでございます。  最近だけでも、平成七年八月に入りましてからも本省での第一課長会議をやっておりますし、十月五日にもこのことをやっております。九月八日には、地方建設局長等お集まりをいただきまして、私みずからこれを強く指示を、通達をいたしておりますし、九月十四日には、地方建設局の総務部長等にも御出席をいただいてこの種の会議をやっております。さらに十月には、本省の幹部会議でもこのことを強く申し上げております。  それだけではございませんで、最近では地方公共団体への要請も、我が省として約三回ばかり、いろいろな機会を通じましてそういう通達を徹底させております。  特に、八月十五日の閣僚懇談会におきます内閣官房長官及び総務庁長官の発言を受けまして、職員に一層の徹底を図るように、少なくとも国民の疑惑や不信を招くような行為は慎むように綱紀粛正の徹底を図っておる、またこれからも図ってまいりたい、このように考えております。
  64. 中島武敏

    ○中島(武)委員 実は、私たちが秋田県、宮城県などをいろいろ調査したのです。そうしますと、官官接待に事務費の中の食糧費が使われているというだけじゃないのです。もちろんそのことを含めてですけれども、秋田県では建設省所管の公共事業費の中の事務費、これが科目更正−科目更正というのはもう御存じと思いますが、単純ミスで科目を間違えて記入したという場合に訂正する措置なんですけれども、この科目更正という会計手法を悪用して非常にひどいことがやられているということがはっきりしました。  これは秋田県の生活と健康を守る会が県が情報公開に基づいて発表したものをまとめたものなんですけれども、それによりますと、科目更正の金額は九三年、平成五年度それから九四年、平成六年度の両年度で、土木部監理課、農政部農業水利課それから林務部林政課の三課から他の部、他の課へ流用されているのですね。挙げますと、公共事業費の事務費のうち、食糧費は九千三百八十四万八千円、それから一般需要費が一億六千四百六万八千円、旅費一億三千四百五十七万七千円、その他が八千二百八十万六千円、合計四億七千五百二十九万九千円なんです。  それから、土木部の部内で科目更正をやっておるもの、科目更正と申しましてもこれは款項の更正だけですけれども、二億五千百二十五万四千円なんです。  以上申しました三つの部と、それから土木部の部内でやっているものを合わせますと、七億二千六百五十五万円になるのですね。私は、その具体的な中身について細かに述べるいとまをきょうは持っておりませんけれども、例えば土木部監理課の事務費が商工労働部商放課の電話代に流用されているのです。  それから、宮城県を調べてみますと、県出身の中央省庁職員の県人会を毎年開いているのですけれども、その県人会の名簿の印刷代に流用されているのですね。どこから流用したかというと、流域下水道費それから農地防災費から支出しているのです。しかも驚くべきことに、公共事業費の流用ではないか、こうオンブズマンが尋ねると、これは宮城県の東京事務所なんですけれども、いや、国に関連するものなので公共事業費からも出せる、こういうふうに言っているのですね。ちょっとこれも随分開き直り過ぎているじゃないか。こういう名簿代なんかが公共事業費から出せるなんということになったら、何でもできるということになってしまうと私は思うのです。  大臣は初めてお聞きになることかもしれませんが、こういう問題をどういうふうに是正したらよいのか。時間もありませんから端的に申し上げたいと思いますけれども、やはり大臣みずから調査をする。会計検査院が入っておりますけれども、会計検査院の結果を待つのじゃなくて、今これだけの——官官接待だけじゃないのです。今言いましたような大変な流用が、科目更正という名目でどんどんやられているわけです。これは、やはり建設省の大臣みずからこれを調べるべきじゃないだろうか、私はこう思うのです。  それから、もう一つこの問題について思いますのは、流用が事実だったらやはり返還させるべきだと思うのですよ。これは法律にもちゃんと、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律十七条、十八条で規定があるわけですから、これはきちっとやるべきじゃないか。  それからもう一つ申します。もう具体的なところまでさらに言いますけれども補助金申請があるのですよ。建設省は補助金申請があるときに協議するわけですから、だからそのときに流用されないようによくチェックする。それから、工事が終わったら実績報告をやるわけですから、この実績報告のときに流用がされていないかどうかということも厳しくチェックする。  そういうふうに具体的にやって、今世間の非難を浴びている、まだ余り公にはなっていない流用の食糧費だけじゃない問題を含めて、やはり正しく予算が執行されていく、公共事業費が国民皆さんの信頼を得るというようにするべきではないかと思うのですが、以上を大臣みずから。  それから、はっきりした場合には返還、それから、あらかじめチェック、終わってからチェック、こういうふうにやるべきじゃないかということを大臣からお答えをいただきたい。
  65. 伴襄

    ○伴政府委員 幾つか御質問ございましたけれども、一つは科目更正のお話がございました。科目更正というのは、その結果例えば補助金の、県単費、県の独自の費用ということもございますけれども補助金が絡んでいた場合、それが明らかに他の用で使われているといったような場合につきましてはこれは問題でありますので、秋田、宮城の例も話が出ましたけれども、この補助金がどう使われているかということを、例えば検査院が秋田県等五府県で今検査しております。現段階でまだ検査院から具体的な検査結果について連絡を受けておりませんけれども、もし今お話しのような明らかに他の用途に使用しているといったような場合があったら、やはりこれは検査院ともよく相談して、補助金適正化法というのがございますから、それに基づきまして、その交付決定の分は取り消して返還するということも検討しなければいかぬというふうに考えております。  それから、審査でございますけれども、やはり事前事後、お話しのように審査しておりまして、事務費の中で例えば食糧費はどのくらい充てるかというようなことを一々事前にちゃんとチェックしておりまして、使途に関する審査という事前審査もやっておりますし、それから事後、補助事業が終わった後にも事務費の検査をやっております。したがって、お話しのとおり、事前事後の審査、チェックを厳重にやりたい、そういうふうに指導を徹底してまいりたいと思っております。  それから、支出実態の調査の話は、これはなかなか、件数が大変膨大でございまして、補助の件数だけでも当初予算てたしか二万六千件ぐらいございます。だから、それを一律にというわけにいきませんけれども、今検査院がいろいろ状況を調査しておられます。そういう結果も踏まえながら、適切に対応していきたいというふうに考えております。
  66. 森喜朗

    森国務大臣 官房長からお答えを申し上げたことに尽きていると思いますが、基本的には補助事業の目的を逸脱して、補助事業の執行として適切でないものの食糧費の支出というものは、これはあってはならないというふうに私も考えております。  それから、大臣みずからということで、今官房長申し上げましたが、公共事業は、建設省はその主なるものではございますが、各省その他の省庁もございます。そのためには、やはり国の税金が正しく使われているかどうかということでは会計検査院というのがあるわけでございますから、今そこでそれぞれ個別の事情についてよく調べておられると思います。その報告を私どもとしては待って、適切な措置をすべきだと考えております。  それから、補助金の返還ということの御指摘、今御質問の中にもございましたが、今申し上げましたように、関係各省ともよく相談をして判断していかなければならぬと思っております。少なくとも、補助事業の目的を逸脱して補助金等適化法に違反する、こういうふうに認められた場合には、同法に基づく補助金の返還等、適切な措置検討していきたい、こう考えております。
  67. 中島武敏

    ○中島(武)委員 終わります。
  68. 遠藤和良

    遠藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  69. 遠藤和良

    遠藤委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  建築物耐震改修促進に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  70. 遠藤和良

    遠藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。建設大臣森喜朗君。
  71. 森喜朗

    森国務大臣 建築物耐震改修促進に関する法律案につきまして、本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中におきます委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいる所存でございます。  ここに、委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表しまして、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。(拍手)
  72. 遠藤和良

    遠藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 遠藤和良

    遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  74. 遠藤和良

    遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時三十六分散会