○正森
委員 農水省もお答えがあると思いますが、時間がございませんので、新聞に報道されておりますから、省略いたします。
これについては、投書があるのですけれども、投書ではこう言っているのですね。会計検査院をそんなに接待するのはなぜかというのが朝日新聞に載りましたが、投書では、「かつて私が公務員として在職していた時に会計検査院の検査が三日間行われた。主任検査官以下四人が来所し、一日目は、旅館を借り上げての大宴会で、検査官を二日酔いにするのが目的の作戦。二日目は、業務
説明に時間をかけ、昼食・夕食に時間を大きく取り、書類検査は午後の三時間ほど。三日目は、検査結果の
概要説明の調整作業で終わり、検査結果の事前講評を麗れいしく実施すると、ハイヤーを
使用して希望の観光地を案内し、盛大な夕食の後、東京へお帰りいただいた。その後、各検査官の自宅にお土産を送り、検査のための出張旅費、宿泊費、日当は検査院から受領しているのに、必要
経費は全額当方持ち、一緒に来た女子職員一人は、三日間たっぷりと観光を楽しんでいたが、何をしに来たのであろうか。」こう書かれているのですね。これは事実かどうかわかりませんが、これは氷山の一角で、「相互に調整したうえで出される氷山の一角」だ、不当事項あるいは不適事項ですね。こういうように報道されているのです。
時間の関係でさらに言いますと、外務省も来ておりますが、フィリピンなどへ行った場合でも、在マニラ大使館や国際協力
事業団から接待を受ける。特に見逃すことができないのは、六月二十二日の朝日新聞の夕刊によると、ルソン島中南部のナガからカラヤアン間の二百四十五キロを電線で結ぶ超高圧送電線
計画、三百二十四億余りを借款をして、実際に使ったのは円高でこれより少なかったそうですが、「電線の全長の九五%が瞬く間に盗まれ、消えてしまった。」なぜかといえば、レイテ島の発電所
計画が全く進まなかったからだ。つなぐべき発電所の建設が全く手つかずなことに気がつかなかったのか。電気が通らない電線というのは危なくないからね、絶好の窃盗の対象なんです。それで、九五%をとられてしまった。ところが、これを報告しようと思ったら、「まったく言い訳できない事例なので、OECF側が「格好がつかない」と検査院に泣きつき、最終段階で報告から落としてもらった」。こういうことが報道されているのですね。
あるいは十月四日の毎日新聞ではこう書かれている。会計検査院の
指摘の不適事項の額と会計検査院の
予算の額が、大体百二十億円から百四十億円でここ五年間ほどずっと均衡している。それはなぜかといえば、少な過ぎれば会計検査院の存在価値が問われるし、多ければ多いで他省庁から反発され恨みを買うということで、それぐらいに自己規制しておるということが書かれているのです。それはなぜかというと、順番にずっと上へ上がっていくのですが、事務総長以上の段階で落とされてしまうことが何回もある。昨年の場合は、大蔵省、郵政省、
厚生省、労働省関係など十件を数えているということで、それについていろいろ聞いたら、頼み込んで報告に載せるのを勘弁してもらった。
なぜこんなことが起こるのかと言えば、十二月十六日の朝日新聞はこう言っている。「検査院幹部の一人から本音を聞くことができた。「一般職員の定年は六十歳だが、
局長以上は検査官に就任する場合を除けば五十五歳前後で退職する。特殊法人などへの幹部の再就職を世話してもらっているからね。うちには何もないから
各省にお願いせざるをえない。検査報告書に載せないでくれと頼まれると頭から断りにくいし、行革に反映するような思い切った
指摘もやりにくくなる」」こう言っているのです。
これでは一体、会計検査院が憲法上特別の地位を占め、会計検査院法でもあるいは
財政法の十七条から十九条でも
国会や最高裁判所と同じように独自の財政的な措置をとってもらっているというのが、全然効果がなくなっているではないですか。これでは、私は会計検査院の存在価値に重大な疑問を投げかけざるを得ないと思うのです。
そこで、時間がちょうど来ましたので、
会計検査院長に伺います。私がきょうここで言っておりますのは、会計検査院をいたずらに新聞記事等を引用して攻撃することではありません。しかし、五十五歳定年だからやはり天下り先が欲しい、そこへは先輩が行っている、そうしたらなかなか不当事項を言いにくいというようなのがもし事実とすれば、識者も言っておりますように、会計検査院の天下りについては
考えることをしたらどうか、あるいは五十五歳定年をせめて他の公務員並みに六十歳以上にするとか。あるいは最高裁の場合には六十五歳、あるいは最高裁裁判官は七十歳で、法曹資格がありますから退職してからも弁護士になることができます。
会計検査院も、もし必要なら、
財政法十七条以下の
規定があるのですから、大蔵省に言って待遇を改善し、そのかわり検査で手心を加えるというようなことがないように、天下りを世話してもらうからなどというみみっちい
考えではなしに、堂々と憲法の
規定による検査ができるように、みずから、こうしてもらえばもっと厳正な検査ができるという措置を
国会にも言い、そして政府にも要求すべきではありませんか。我々は、その要求が正当なものであるなら、喜んで会計検査院の要求に基づいていろいろ要求をしたいと思います。