○東(祥)
委員 外務
大臣、本日は近世
日本の評論家、歴史家でもありました徳富蘇峰
先生がお亡くなりになった日でございます。明治十九年、二十三歳のとき、「将来之
日本」という著書を著しまして一躍有名となりまして、以来、言論界の一角に特異な
地位を占め続けた
先生はこのように
指摘しております。「多忙とは怠惰者の遁辞である。今日すべきことを今日しなかったら明日は必ず多忙である」、これはまさに自戒の念を込めまして、
沖縄県民の苦しみ、悩みを取り除き、
日本の安全をどうするのか、将来の
日本はどうなるのかということをただしていかなければならない、こういう思いで、八十分間ですけれども、本日の
審議の対象であります
在日米軍駐留経費、新
特別協定のよって立つ
日米安保体制、そしてまた自衛力、とりわけ
日米安保体制の今日的な意義と
沖縄基地問題について
質問させていただきたいと思います。
沖縄の米兵による少女暴行事件、決して許すことのできないこの事件に端を発しまして、現在
米軍基地をめぐって縮小を求める声が高まる中、安保堅持を高らかにうたい続けている連立与党も縮小を求める方針を打ち出しております。長年にわたりうっせきした
沖縄県民の感情の高まりを
考えれば、
沖縄県民の苦悩をどのようにして軽減させればいいのか。あるいはまた、その苦悩を
沖縄県以外に住まわれる
日本人がどのように共有するのかといった方策を講じないことには、安保
条約に基づく
米軍の駐留自体すら危ぶまれる
状況になっているのではないのか、このように思わざるを得ません。
しかし、問題は、そのような
米軍の駐留自体すら危ぶまれる
状況になっているがゆえに縮小ということになるのか、あるいはまた、
沖縄県民の感情の高まりが大きければ大きいほど縮小という問題が出てくることなのか。そのことと安保堅持というのは、どういうかかわり合いがあるのか。問題は今日、また十年あるいは二十年、三十年にわたる、
我が国の
安全保障という一億二千万人の
国民の生命と財産そして領土という、最も冷静な判断を必要とする問題なのではないのか。では、この判断をだれが下すのか。やはり、この最高機関である国会にバッジを持って参加している政治家が冷静な判断を下して、そしてそれを
国民に理解を求める必要があるのではないのか。こういうことから
考えますと、本日の
質問の骨子は、基本的には四点になるのだろうというふうに思います。
第一点目は、冷戦構造崩壊後、世界とりわけ
アジア・
太平洋地域における
日米安保体制というのは必要なのか。必要であるとするならば、なぜ必要なのか。第二点目としては、もし
日米安保体制が必要であるとするならば、なぜ
日本に四万五千から四万八千、昨日のペリー国防長官のあの記者会見によれば四万七千の、
在日米軍の駐留が必要なのか。三番目としては、もし四万七千人の在日駐留
米軍兵士が必要であるとするならば、なぜ常時大体二万一千と言われる、三万人近くになることもあるというふうに伺っておりますが、
沖縄にその駐留の規模が集中しなければならないのか。そして最後の問題としましては、もし
沖縄にその
在日米軍の駐留が集中することが必要であるとするならば、
沖縄県民に対してどのようにこたえていったらいいのか。多分この四点に要約することができるのではないのか、このように思います。
そして、その上で、まず第一番目の
質問でございますが、戦後の
日本にとって、まさに荒廃した
国民経済、そしてまた連合国及び
アジア諸国の目、そしてまた
国民の国家防衛に対する不信、さらにまた新憲法の制定という制約のもとで、国家の独立を保全するために
日米安保体制は必然の選択であったと私は思っております。これを踏まえた上で、戦後五十年を経て
我が国もまた
国際情勢も大きく変化いたしました。
日米安保体制はこれまでいかなる
意味を持ち続けてきたのか、そしていかなる新しい意義あるいは必要性、つまり安保の堅持の
根拠ですね、を有するようになったのか、まずこの点について外務
大臣の率直な御意見を、御見識を承りたいと思います。
その前に、私は、きのう、ペリー国防長官のあの記者会見を聞いておりまして感動いたしました。淡々と
日米安保体制の重要性について話をされておられました。そして、共通の敵ということではなくて、
日米間にはまさに共通の利益がある
のではないのか、このように明確に言われておりました。
残念ながら、本来ならば外務
大臣あるいはまた防衛庁長官、そしてまた総理みずからが、この
日米安保体制の重要性について適時適切に
お話を、
国民に理解を求めていなければならなかったのだろうと思います。また、やられているのかもわかりませんけれども、そういう
部分をマスコミが取り上げないのか。どうも私は、あのペリー国防長官の
お話を聞いていて、何かおかしいな、
日本として、
日本の政治家として、また外務
大臣あるいは総理
大臣から、あのような話をいまだかつて自分自身の言葉として、また国益を最も尊重するトップにいられる
日本の政治家があのようなことをいまだかつて言ったことないな、そのような感想を交えて聞いておりました。
これを踏まえた上で、どうか私のまず第一番目の
質問に、
河野外務
大臣、御所見を承りたいと思います。