○松前
委員 松前でございます。
一番
最初に、大臣にお伺いするわけではありませんが、最後に御感想をお伺いしたい。
この
科学技術基本法、せっかく
提出されておりまして、やはり
科学技術庁としてしっかりした考えの上に立ってこれを受けとめてもらわなければいけない。そういうことで、私は
最初に、この
提案理由というところについて私なりの
意見を申し上げておきたい。そのことについて、最後に御感想でもいただければありがたいと思っております。
私、この
科学技術基本法、大変よくできているというような
評価もございますが、非常に不十分だということは、私自身もいろいろ見ていますとそういう感じがいたしますけれ
ども、しかし、ここで一歩前進をしてくれたなというような
意味において、これから先これを基本にして、それこそ
基本法、それを基本にして一歩、二歩と前進を続ける、前進できるという基礎づくりができたな、そういうふうに思っております。
不満なところを申しますと、大体この
提案の理由の
最初のところに、「新
産業を創出することが不可欠であります。」という
言葉が書いてある。これは何も
科学技術基本法をつくってやるべきような
内容であるのかなというように私は思います。
〔
上田(晃)
委員長代理退席、
委員長着席〕
これまで一生懸命やってきた。そして今ここまで来た。そして今新
産業というのは一体何かというと、
日本が高度に成長して、そして一番
世界で豊かな国になって
先進国化した。開発途上国化の
時代において一生懸命
科学技術をやる場合においては、非常に物が売れるような、
経済に
貢献するものが必要であった。そして今、
先進国化してきたら、今度はそういうことをやるよりも、もっともっと別の
貢献をしなければいけない。
そうしたらだんだんと、現在の開発途上国、これも
経済成長してきて、そちらに仕事がとられていくというような
現象が起こる。アメリカ化というのでしょうか、そういうような
現象が
日本も起こってきている。そこでの不満が今、
経済空洞とか何かいろいろな、
産業空洞とか言っていることでありまして、この辺については私はそれほど強く言いたくはない。
今一番求められているのは、この二番目、
環境とか食糧・エネルギー問題というような
言葉がございまして、
我が国がそういうような
世界的な問題について
貢献を求められているというところに非常に大きな問題が、意識が私は存在していたのであります。
大体、今
人口が五十六億人、そして二〇二五年になりますと百億人近くまでなる。そしてその百億人近くになった人たちが、開発途上国の人たちがふえていくということになります。ところが、開発途上国の人たちを、何といいましょうか、そのままの
経済の今の貧困な状態、貧困ではないけれ
どもかなりレベルの低い状態のままで置いておけるかというと、違うわけですね。どうしたってこれは、何とか
経済を成長させて立派な国にしてあげたいというのはだれも思っていることでありましょう。
そうなった場合に、二〇二五年、百億人近くの、八十億人と言われているけれ
ども、その人たちが
経済成長した暁に一体どういうことが起こるかというと、エネルギー消費だけ見たって今日の約三倍近く使うというのはもう言われています、みんなが。私は随分前にそれを計算して皆さんに、
科学技術庁に示したこともありましたけれ
ども、三倍近く。
三倍のエネルギーを今どこから調達しますか。今、石油にしたってもうすぐ、二〇二五年、ちょうど二五年、こう言っていますが、枯渇をする、なくなると言っている。なくなるときに、石油にかわる資源は何だといったら、原子力がというと、原子力は、これは幾らやったってどんどん将来
環境破壊になるようなものをつくっていくことになりますから、そういうものはまずいじゃないか。
そうすると、それだけ、三倍ぐらいのエネルギーをどこから求めるかということになると、これは今、解決策は何もないわけですよね。やはり何かすごい
技術のブレークスルーがなければいけない。そのための頭脳というのは今
日本にあるのか、
世界にあるのかといったら、ありはしない、全然ない。
ですから、そういうようなことを含めて将来の、もう目前に迫っております、非常な大変な
時代が来るというようなときに、どうやって
世界じゅうが豊かな
状況で新しい
時代に飛び込んでいけるかということを考えれば、
科学技術を
振興といいましょうか、その新しいブレークスルーをしなければどうしようもない、そういうように思うわけですね。ですから、そういうところに私たちは頭脳をしっかりと蓄積をしてそして具体的な
努力ができる、そういう国づくりをしていこうというのが
科学技術基本法だろう、そういうふうに私は
理解しているわけでございます。
そして、
我が国は、やはりそのときに
科学技術というものが、
我が国がそういう場合に、やる場合に、一体どういうアイデンティティーを持ってやるのかということをしっかり持たないと、尊敬される国にはならないと思います。やはり
日本としては尊敬される国にならなければいかぬ。
国連の常任
理事国になろうなろうといってなってみたって、中身のない国がなったって、これは足をすくわれたらすてんとひっくり返ってしまうに決まっています。ですから、中身をしっかりして、そして尊敬された暁において、国連常任
理事国といったらこれはもう大変な、平和の
努力をどんどんやればみん宣言うことを聞いてくれるのですから、そういう国になろうじゃないですかというのが、私たちの、
科学技術をやってきた
人間としての今
国会で一生懸命やろうと思っている理由でございます。
そういうことで、アイデンティティーは何かといったら、やはり平和憲法があるじゃないか。その平和憲法に従って
世界じゅうを
日本の平和憲法で、それにマッチするような国に、
世界にしていこうじゃないか。それにはやはり
日本はすごい発言権のある国になるべきである。発言権があるには、中身がなければいかぬ、実力がなければいかぬ。その実力はどこにあるかというと、将来の大変な時期に対して我々が本当に頭脳で
貢献できるという国、そういう国づくりをしよう、そんなことで
科学技術基本法があるのではないか、そういうふうに思っております。
アメリカはアイデンティティーがきちっとあって、二百年のフロンティア精神、それのまねをしてはいけないですよね。いいところもあるけれ
ども、そればかりじゃない。
日本は
日本でちゃんとしたアイデンティティーがある、そういうふうに思いますので、この
科学技術基本法というのは、そういう
意味で非常に私は、
内容は十分ではないかもしれないけれ
ども、一歩進めた形として、これから
我が国が
世界の中で立派な国として
世界じゅうから認められる一歩を踏み出した。それが行政を強めるとか何かいろいろあるけれ
ども、やはりそういうようなブレークスルーの
研究をやるとお金もうけになりませんから、お金もうけにならぬような
技術は、
最初の新
産業創出なんというところでやっていったのではこれは全然
振興しないわけですよ。
だから、やはり
政府が何らかのお金を出すというような方向をやっておかないと、これは絶対できない。お金なしだって仕事はできるけれ
ども、しかし、やはり今の
時代、多少はお金がないとできませんので、そういう
意味でこの
基本法、ぜひとも私も
成立をさせたいということで一生懸命やってきたわけであります。
しかし、その中で、いろいろと細かい問題点がありますので、その辺について
提案者の皆さんに多少お聞きをしたいと思っておりますが、ちょっと
言葉足らずのところがあるのじゃないかな、その辺を、どこかに書いてあるのかもしれないけれ
ども、レベルが低い質問かもしれないが、お答えをいただきたいと思っております。
最初に、新しい
独創性に基づく
研究成果、ブレークスルーが必要だ、そういうためには、
独創性に基づく
研究成果というもの、これが
日本では随分今まで低かったわけですけれ
ども、その
自主性とか
創造性を尊重することが大切だということを言われていますけれ
ども、この辺について、この
基本法ではどういうところできちっと書かれているのかということについてまずお伺いをいたしたいと思います。