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堂本暁子君 五年は長過ぎると
思いますので、少なくとも第三回の締約国
会議までにそういうプロセスを踏んでいただきたい。そして、そのことを今、農水
大臣も
厚生大臣もいらっしゃいますので、それからあと各省庁、もう一々挙げませんけれ
ども、十一省庁皆様きょういらっしゃいますので、篇とそのことをお願い申し上げておきます。
そして、内容なんですけれ
ども、あと一年間ぜひ
国民と考えていただきたい。それは生態系の問題では中央の役所だけで考えられないことはいっぱいあるわけです。ですから、きちっとしたことを本当にくみ上げる必要がある。そのために、今回のこれは作文としてはできているかもしれませんけれ
ども、やはり国としての明確なビジョンを読み取りにくい、読み取れないと言った方がいいかもしれません。それから、戦略と言いましたら、一般には現状をきちんと分析し、そしてその現状をもたらしている原因が何なのか、そのことの解明、そして求めるべき目標を設定して、そして目標達成のための具体的な行動、そういった構造がきちっと戦略の中に書き込まれるべきだというふうに考えます。
最初の各省庁が
協力なさったことは、最初に申し上げたように御
努力は多といたしますけれ
ども、そういった
協力の仕方を単に各省庁が書くのではなくて、もっとお互いに連絡をとり合いながら有機的な包括的な戦略をつくっていただきたいわけです。最初に申し上げましたように、こういう形で
世界に戦略をさらすことが是か非なのか
日本が本当に
環境先進国であるのならば、みんながびっくりするような国際的に驚かれるような戦略を私は出していただきたいと
思います。
全国各地で起こっている深刻な生態系の破壊の現状も具体的には明らかにされておりません。
日本は本当に経済優先の形で戦後五十年をやってきて、そのためにさまざまな今は破壊がもたらされている。したがって、そのことを率直に私はこういった国家戦略の中では盛るべきだと思うんです。そういうことできちっと考えていただきたい。
例えば、これは各省庁に伺いますけれ
ども、原案の十ページに「移入種による生態系の撹乱等によって、生物多様性の喪失や減少が進行している。」とあります。しかし、今、
日本では年間およそ十万件の野生動物が輸入されていますけれ
ども、こういった動物は
日本の生態系にさまざまな
影響を与えています。また、人畜に有害な病原体を運んでいる
可能性もありますけれ
ども、検疫の体制はできていません。
厚生省は人間、農水省は家畜というような検疫の仕方であって、そういった言ってみれば法律と法律のすき間のようなところがあるわけですね。そういったものこそ生物多様性の国家戦略として新しい法律をつくっていく必要があると
思いますので、これは農水
大臣、そして
厚生大臣からお答えいだきたい。
それからさらに、私は知らなかったんですけれ
ども、北米産の魚、例えばスモールマウスバスという魚などが長野県の野尻湖とか、それからこれは福島県ですけれ
ども檜原湖などに流されている。こういったものもいろいろ魚の生態系に
影響を与えていきます。こういったものについてもきちっと禁止をしていくということを水産庁からやるべきではないかというふうに
思います。
それから次に、もうまとめて伺いますが、建設省にお願いいたします。
建設省、多自然型工法ということをこの中にお書きなんですけれ
ども、先ほど
大臣からもるるお話のございました、今までの二百二十の御意見の中でどれだけそういった河川のことについての御意見の多かったことか。多自然型川づくりをするのなら、自然のままの川を残してほしい。特に、渓流部については非常に雑な仕事が目立っていますというような意見が多くあります。ぜひとも建設省にはそういった多自然型の工法、もう魚も卵が産めなくなってきているような工法、これを見直すことをお考えいただきたい。そのことについての御答弁をいただきたいと
思います。
それから、今、江戸崎で、これは今まで関東にガンはいっぱい飛んできたんです。ですけれ
ども、今やさおになり、そしてかぎになって飛ぶガンの姿を私
たちは見ることはできません。五十羽ぐらいが越冬するオオヒシクイというガンの種類ですが、越冬する江戸崎の地域に今圏央道が建設されようとしている。もし建設省がこの中で多々おっしゃっているエコロードをつくるのであれば、予算は多少かさむのかもしれませんけれ
どもその生息地を迂回する、そして野生生物を
保護するといったことがやはり生物多様性を守る原点なのではないでしょうか。
それから、さらに林野庁にお願いを申し上げたいと
思いますけれ
ども、この戦略の二十ページには特定動物生息地
保護林という制度があると書いてあります。沖縄の西表、ここでは種の保存法でイリオモテヤマネコが指定されてから、土地改良法によって掘りくり返され、これからも掘りくり返されようとしています。国有林は払い下げて、そしてそこにサトウキビをつくる計画が進んでいるわけです。これは、やはり明治時代にできたような法律、それから改正は何度もございましたけれ
ども土地改良法、そしてその国有林を払い下げる法律、その後にできた種の保存法が機能しなくなって、三つの法律が重なってしまっている。当然こういった生物多様性条約を批准する際には、そこのところの法律を整理することが
日本としての責任のある態度だというふうに
認識しております。
私は、たまたま外務
委員会でこの条約の批准の審議にも当たりましたけれ
ども、
日本は法律を改正していません。そういった必要な法律を改正しない限り種の保存法は機能しませんし、そして生物多様性国家戦略は美しいことを書いても実際にはそのことがなされないということがございます。
なおかつ、文部省にこれは御答弁いただきたいことでございますが、
日本で一番
最大の絶滅種は分類学者だと先日伺いました。国家戦略を実現するのであれば、人材養成が文部省の責務かと
思います。
以上、もう時間がないので、もしきょうお答えいただけないようでしたら、後からこのことについて文書でお答えいただきたいと
思います。それから、十一省庁について、ぜひとも今後生物多様性についての長期政策、それぞれの省庁におありになると
思います。それから、
平成八年度のプロジェクト並びに予算について後日お答えいただきたいと
思います。
一番最初に、とりあえずは移入種についての検疫の問題と、それから今の魚の問題もございます。そういった点について、まずは御答弁をお願いいたします。