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1995-09-14 第133回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年九月十四日(木曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員異動  九月十三日     辞任         補欠選任      広中和歌子君     大森 礼子若      山下 栄一君     林 久美子君      筆坂 秀世君     聴濤  弘君      国井 正幸君     小島 慶三君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         浦田  勝君     理 事                 大木  浩君                 佐藤 泰三君                 清水 達雄君                 山崎 順子君                 聴濤  弘君     委 員                 岩井 國臣君                 海老原義彦君                 笠原 潤一君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 松村 龍二君                 牛嶋  正君                 大森 礼子君                 武田 節子君                 続  訓弘君                 寺澤 芳男君                 畑   恵君                 林 久美子君                 朝日 俊弘君                 伊藤 基隆君                 今井  澄君                 山口 哲夫君                 小島 慶三君                 水野 誠一君    国務大臣        法 務 大 臣  田沢 智治君        労 働 大 臣  青木 薪次君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  衛藤征士郎君    最高裁判所長官代理者        最高裁判所事務        総長       金谷 利広君        最高裁判所事務        総局総務局長   涌井 紀夫君        最高裁判所事務        総局経理局長   仁田 陸郎君        最高裁判所事務        総局民事局長         兼最高裁判所事        務総局行政局長  石垣 君雄君        最高裁判所事務        総局刑事局長   高橋 省吾君    事務局側        常任委員会専門        員        貝田 泰雄君    説明員        防衛庁防衛局長  秋山 昌廣君        防衛庁経理局長  佐藤  謙君        法務省民事局長  濱崎 恭生君        法務省刑事局長  則定  衛君        法務省人権擁護  大藤  敏君        法務省入国管理  塚田 千裕君        外務大臣官房審        議官       高野 紀元君        文化庁文化部宗  佐々木順司君        労働大臣官房長  渡邊  信君        労働大臣官房審  澤田陽太郎君        労働省労働基準  松原 亘子君        労働省職業安定  征矢 紀臣君        労働省職業能力        開発局長     伊藤 庄平君        建設大臣官房地        方厚生課長    小澤 敬市君        建設省建設経済        局建設振興課長  野平 匡邦君        自治省行政局行        政課長      朝日 信夫君        会計検査院事務        総局第一局長   山田 昭郎君        会計検査院事務        総局第二局長   森下 伸昭君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書第百二十九回国会内閣提出)(継続案件  ) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百二十九回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百二十九回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度一般金歳入歳出決算平成年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書(第百三十二回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百三十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百三十二回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 浦田勝

    委員長浦田勝君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  この際、田沢法務大臣青木労働大臣及び衛藤防衛庁長官から発言を求められておりますので、順次これを許します。田沢法務大臣
  3. 田沢智治

    国務大臣田沢智治君) さきの内閣改造法務大臣に任命されました田沢智治でございます。  内外にわたり極めて困難な問題が山積しておりますこの時期に法務行政を担当することになり、その職員の重大なることを痛感いたしております。  申すまでもなく、法務行政に課せられました使命は、法秩序維持国民権利の保全にあります。国民生活の安定を確保し、国家社会の平和と繁栄を図るためには、その基盤と言うべき法秩序が揺るぎなく確立され、国民権利がよく保たれていくことが極めて重要であると思います。  私は、こうした認識のもとに、法務行政の各分野にわたり時代の要請を踏まえ、適切な方策を講ずるよう全力を尽くして努力する考えであります。  皆様方におかれましては、日ごろから法務行政につきまして格別の御理解、御協力を賜っておりますが、引き続き御指導、御支援を心からお願い申し上げまして、私のあいさつといたします。  どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手
  4. 浦田勝

  5. 青木薪次

    国務大臣青木薪次君) 労働大臣に任命されました青木薪次でございます。  現下の雇用失業情勢が極めて深刻であります。特に、円高不況あるいはまた産業構造の変化に伴うところの各種の情勢がここにまとめて参りまして、労働者が極めて雇用不安に陥っているというのが今回の実情でございます。  この問題に私は最も大きな重点を置きながら、今日までのこの経済のすばらしい興隆に果たしてくれた労働者皆さん期待と信頼にこたえると同時に、これらの皆さんの安らぎと豊かさを確保することができまするように、私は全身全霊をかけて頑張ってまいりたいと考えております。  委員長を初め、委員各位皆様方に絶大なる御支援をお願い申し上げまして、私のあいさつといたします。(拍手
  6. 浦田勝

  7. 衛藤征士郎

    国務大臣衛藤征士郎君) 防衛庁長官衛藤征士郎でございます。  国内外の諸情勢が目まぐるしく変化しているこの時期に、我が国防衛という国家存立の基本にかかわる崇高な任務に携わることとなり、その使命責任の重大さを痛感している次第であります。  私は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保ち、さらには国際社会における我が国の責務を果たすため、国の防衛政策の推進に全力を尽くしてまいりたいと考えております。  委員長を初め、委員皆様格別の御指導と御鞭撻を賜りますよう心からお願いを申し上げまして、あいさつといたします。  よろしくお願いいたします。(拍手)     ―――――――――――――
  8. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 委員異動について御報告いたします。  昨日、山下栄一君、広中和歌子君、筆坂秀世君及び国井正幸君が委員を辞任され、その補欠として林久美子君、大森礼子君、聴濤弘君及び小島慶三君が選任されました。     ―――――――――――――
  9. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事聴濤弘君を指名いたします。  なお、あと一名の理事につきましては、後日これを指名いたします。     ―――――――――――――
  11. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、法務省労働省防衛庁及び裁判所決算について審査を行います。     ―――――――――――――
  12. 浦田勝

    委員長浦田勝君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  14. 浦田勝

    委員長浦田勝君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 笠原潤一

    笠原潤一君 私は自民党の笠原潤一であります。お許しをいただきまして、質問をさせていただきます。  まずもちまして、田沢法務大臣青木労働大臣衛藤防衛庁長官、御就任おめでとうございます。三権分立のもと、行政のそれぞれの長として所管の業務に、そしてなおかつ国の安全に、あるいは国民期待にこたえて頑張っていただきたい、かように思う次第であります。  それでは、まず法務省関係でありまして、きょうは先ほど委員長お話しのように、法務省裁判所労働省防衛庁と、この四省庁平成年度、五年度決算であります。  本来ならば、決算というのはその前年度にほとんど決算を終えるのが当然でありまして、その決算に基づいて次年度予算なりあるいは各省のいろんな施策そのものが行われるのが本来でありますが、いつのころかこの決算がおくれにおくれてまいりまして、私はこの二年間、実はことし三年目に相なりますが、決算委員会に所属しておりますが、地方議会でもほとんど決算というのはその年度内に終えます。その年度内に置かれたものは大概十二月があるいは一月の決算委員会にかかって翌年度の、次年度のいろんな行政に反映させるのが当然でありますが、そういうことがないというのは甚だ私も国会に出てまいりまして希有の感じをいたすわけであります。しかし、いろいろな関係上おくれてきたことはやむを得ないといたしましても、今後なお一層スムーズに、そして決算審査が慎重に行われつつ、国民期待にこたえる、政府行政に反映されることを心から望んでおります。  それでは、まず法務省からお尋ねをいたしたいと思います。法務大臣にお願い申し上げます。  実は、本年の一月、夢想だにしなかった阪神淡路大震災が起きました。これはもう神戸というのは日本でも、いや世界でも有名な美しい町であります。その名の示すごとく、あそこは御影という地区がありまして、大体花崗岩の上は絶対安全だとだれしも思っておりますし、御承知のようにニューヨークはあんなところでも岩盤の上に立っていますから、グレニットの上に立っていますから絶対安全だということで超高層がそびえ立つ大都市ができておるのでありますが、私は神戸からまさかこのような大震災が起こってくるとは思わなかったんです。  しかし、災害というものは本当に天災でありまして、そういう関係で、この阪神淡路大震災が起きて、いろんな危機管理その他の問題もありますけれども、非常に世界じゅうをあっと言わせ、日本国民の心胆を寒からしめる、そして、果たして安全というものはどういうものであるかということを問うた大震災でもありました。  しかしそれ以上に、全く日本は安全で、本当に世界類例を見ない、こんな国があるか。一歩日本を出れば大概犯罪危機はつきものでありますけれども、日本においてはそういうことはなかったんですが、御承知のように、三月にこのオウム教によるサリンの事件が起きた。これは世界犯罪史上類例を見ない犯罪でありますが、こういうことがこの平和で豊かな、そして五十年間平和を謳歌してきた我が国にあって青天のへきれきという以上に、我々の身辺は、そして生命、財産は本当に保障されているのか、こういうことを甚だ心配するというよりも、もう危殆に瀕したようなことになってまいりまして、この大事件が一月以来半年を過ぎ、間もなく一年ももう十二月には終わりますけれども、その間にオウム明け大震災に明け、連日の報道はこれ以外の何物でもなかった。  本来でいえばもっと国家国民のために、そしてこの国が安全であり国民が豊かになっていく、こういう施策が行われ、そういうことが重点的なことでもあるにもかかわらず、この問題にほとんど費やされてきたことはまことに残念と言わざるを得ないわけであります。しかし、このような法を無視する、いわば民主主義に挑戦するようなこういう事態に対して、法の厳正な公正な維持と同時に、それに対処する法務当局の特別の体制を私は心から期待を申し上げておる次第であります。  具体的に少し入りますけれども、まずもちまして、法務省所管のいろんな問題がございましょう。順を追うて一つずつお尋ねをしたいと思うのであります。  まず、子供人権、児童の人権でありますか、子ども人権オンブズマン制度につきまして、御承知のように子供権利のための憲章が我が国でも批准をされたわけでありますが、子供人権が果たして守られておるかどうか。  同時に、今いじめその他の、かつては想像もできなかったような事態がこの国に起きておるわけです。世界の中でいじめとか子供のこういうような問題、私は余り聞いたことがないんですけれども、私は、教育戦中時代小学校戦中戦後の中学でありましたから、その当時の我々の環境を見ますとこんなことが起こり得ないし、お互いにいろんなことはあっても見たる者は弟たる者に優しく、そして非常にある意味ではほのぼのとした小学校時代中学時代を送ってきたんです。それはいろんな問題はありました。しかし、それは愛というようなものがあったような気がいたしますが、残念ながら最近の陰惨な陰湿なこういう問題は突如として起こったように見えますけれども、戦後五十年間のいわゆる教育の問題あるいは家庭のしつけの問題、いろんな問題がありましょう。  しかし、いずれにいたしましてもこういうことが発生したわけでありまして、そういう意味では命人権専門委員というのがおられますけれども、人権専門委員の果たされる役割は非常に大きいと思います。そういう意味で、人権専門委員制度の概略及び具体的な役割についてここでお尋ねをまず申し上げたいと思います。
  16. 大藤敏

    説明員大藤敏君) お答えをいたします。  法務省におきましては、いじめ、体罰、不登校児の問題など、近時におきます子供を取り巻く人権状況にかんがみまして、人権擁護委員の中から子供人権問題を専門的に取り扱う、今委員指摘子ども人権専門委員を指名することにいたしました。そこで、まず平成年度に東京、大阪、愛知、広島、福岡などの十の法務局及び地方法務局におきまして百六十七名の専門委員を指名してスタートさせ、さらに本年度はこれを全国の府県に拡大して指名した結果、現在全国に合計五百十五名の子ども人権専門委員が指名されていることになります。  子ども人権専門委員は、法務局及び関係機関との連携を図りながら、子供人権が侵害されることがないように監視をし、子供人権相談に応じて子供人権問題の情報の収集に努めているところでございます。そして、子供人権が侵害されているおそれがある場合におきましては、その事実関係等を究明するために法務局連携をしまして調査を行い、侵害されている場合には、その救済のために適切な処置をとることにしているところでございます。  以上でございます。
  17. 笠原潤一

    笠原潤一君 ただいま御答弁をいただきました。子供のための人権専門委員があるということでありまして、五百何名かということでありますが、これだけ多発する子供のための人権の問題で、人権専門委員だけでどうこうと言うわけじゃありません。それは、学校も社会もみんな一体になってこれが解決のために努力することは当たり前でありますが、子ども人権専門委員は五百名であります。  この際、人権擁護委員でありますが、我が県は、私は岐阜県の出身でありますが、実は人権擁護委員定数は五百一名になっておるわけです。しかるに、予算定数というものがあるそうでありますが、それが三百二十名。約百八十名も足らない。足らないというか補足されていないということですから、定数があるにもかかわらず、予算関係でそれだけしか充足できないということであります。全国的に見ればこれは膨大な数だろうと思うのですが、この定数予算の問題もあろうかもわかりませんが、このような社会的な問題であるし、将来の日本を背負って立つ子供の将来件を考えたならば、そういう点でいえば人権擁護委員定数そのものの問題もここに私は大きくクローズアップされ、それの問題を真剣に討議しなければならぬのではないかと思っています。  ちなみに我が県は民生委員さんというのがおられまして、これは御存じのとおりでありますが、民生委員は非常に多いわけです。子供家庭の問題から福祉の問題、いろんな問題で民生委員の果たされる役割は非常に大きいわけでありまして、それが我が県は約三千三百人おられるわけです、民生委員さんだけで。そういう点でいえば、民生委員さんが果たされる役割、それは子供のいろんな権利人権の問題、たくさんあるでしょう。  これは厚生省の所管ですけれども、そこら辺のお互い縦割り行政ではなくて、人権擁護委員民生委員一体になってやることの方が非常にそういう意味で大きな寄与をいたすと私は思っておりますから、そういう点でいえば民生委員が多くて人権擁護委員が少ないというわけじゃなくて、私はそういう意味お互い相互関連をしながら、足らざるところはお互いにそういう相互連携を持っていかれるのか一番いいわけでありまして、省庁問のお話し合いのもとにそういうことが行われていくことが、私は一番緊急かつ喫緊の急務だろうと思っておりますが、その点についていかがでしょうか。
  18. 大藤敏

    説明員大藤敏君) 人権擁護委員は、市町村長市町村議会の意見を聞いて推薦した者の中から法務大臣が委嘱するものとされておりまして、地域に密接した迅速適切な人権擁護活動を行うことが期待されているところでございます。そのためには、地域関係機関と緊密な連携を図ることが不可欠でございます。  御指摘民生委員との連携につきましては、人権擁護委員は、法務局と協力しながら定期的に情報交換を行い、民生委員から助言を受けるなどしておりまして、また既に民生委員の委嘱を受けている方を人権擁護委員として委嘱するなどして、人権擁護のために相互連携を図るようにしているところでございます。
  19. 笠原潤一

    笠原潤一君 一応今お答えをいただきましたが、いずれにいたしましても、各省庁間のそういう問題でございますから、いろいろとその調整を図っていかれることも大事だろうと思いますので、その点をお願いしたいのと、人権擁護委員は、今お聞きいたしましたが子供だけでも五四人でありますが、全国的には一体人権擁護委員は何人おられて、同時に、今申し上げましたように非常に少ないわけですから、何とかこの点で人権擁護委員増員を図る必要があろうかと思いますが、その点についてはいかがでありましょうか。
  20. 大藤敏

    説明員大藤敏君) 人権擁護委員定数は、人権擁護委員法の四条で全国で二万人を超えないこととされておりまして、具体的な各市町村ごと人権擁護委員定数はその市町村人口等を考慮して決めるということになっております。現在、人権擁護委員予算定数は一万三千七百三十五人でございますが、人権擁護制度の一層の充実強化を図るためには二万人の定数を充足させることが強く望まれておりまして、委員増員については今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
  21. 笠原潤一

    笠原潤一君 二万人であるのに一万三千人しかいないということですから、甚だ私もびっくりいたしましたが、こんなに少ないとは思わなかったんですけれども、これで活動しておられる人権擁護委員皆さんの労苦を察するに余りありますが、それ以上にまた、これもやっぱり活動してもらうのに、ほとんどボランティアだけのことでありますが、この人権擁護委員手当というものは一体どう相なっておるのか、その点についてちょっとお伺いをしたいと思います。
  22. 大藤敏

    説明員大藤敏君) 人権擁護委員に対しましては、人権擁護委員法の八条の規定によりまして、給与は支給せず、手真の範囲内で、職務を行うために要する費用を弁償することになっております。現在、委員一人当たり年額三万円を予算措置しているところでございます。  なお、平成年度予算概算要求におきましては、委員一人当たり千円の増額要求を行っております。今後とも、委員人権擁護活動に支障を生ずることのないように、予算措置及びその効率的な執行に配意したいと考えております。
  23. 笠原潤一

    笠原潤一君 甚だ何といいますか、昔で言えば奉公の精神というか、本当にボランティアそのものでありまして、まことに私どもはその御苦労に対して大変謝意を表するわけでありますが、いずれにいたしましても、これもやはり将来的にはもっとふやしていかなきゃならぬと思いますし、そうしていただかなきゃならぬと思っております。人権擁護委員制度充実させなきゃいかぬわけでありますから、こういうことについていろんな施策方針等はありましょうが、今後の問題としていろいろな問題がありましょうが、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  24. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 皆さんに申し上げますが、そこの答弁される方は必ず挙手をして声を上げてください。そうでないと、こちらはわからぬ。
  25. 田沢智治

    国務大臣田沢智治君) 人権擁護委員制度充実に当たって課題がたくさんあるんじゃないかというお尋ねでございますが、ただいまお話をいたしましたとおり、二万人の定員がありながらも一万三千人きりできていないと。果たしてこれで機能を十分果たせるのかというような問題が当然出てくると思います。  基本的には、これは人権擁護委員そのものの選出につきましては、各地方議会というものの推薦をいただいた中で法務大臣がこれを任命するという手続も必要でございますし、かつまた実質的に人権擁護委員の方々がお仕事をするということになりますと、本当の手当というような内容のほどのものではないという、そういう意味においてはボランティア的精神のもとに今日まで明るい社会をつくるために非常にお骨折りをいただいているということに対しては、私たちとしては心から感謝をしなければならないであろう。  しかし、国としてできることがあるならばやはり手当てをすべきものはしていかなきゃならないということで、今度は千円という手当をプラスしていこうと。しかし、千円でいいのかという議論はございますが、財政上の関係で、大蔵省との折衝の中では、それ以上は現状では難しいようでございますので、しかしいい仕事をしてもらうには国も責任を持つというような、それぞれの立場でそれを支え守っていく、そして感謝のしるしというものを具体的に提起していくというのは人間社会の中では大変大事なものであろうかと、私はそういうふうに思っております。  そういう意味で職務内容の重要性を強調し、人権擁護委員としての地位にふさわしい方々がたくさんまた御推薦をちょうだいして適任者の確保に努力する所存でございますので、私たちも積極的に努力いたしますので、ひとつ見守っていただきたいと存じます。
  26. 笠原潤一

    笠原潤一君 大臣から適切な御答弁をいただいて、ひとつそのようにお願いをしたいと思います。  実は法務省関係は、私も裁判所関係は余り知悉しておりませんので、この割り当てられた時間でいろいろとお尋ねをしたいと思いましたが、まだ保護司の問題もたくさんありますし、私の関係者も随分保護司をやっていて大変努力しておられます、今の人権擁護委員と同じように。これもいろいろと手当とかいろんな活動状況、その他のいろんな問題についてお尋ねしたいと思いますが、余り時間がありませんから、実は一番今大きな問題、先ほど申しましたように実はオウム真理教の、これは宗教法人の、今文部省の方、あるいは政府・与党においても宗教法人法の改正をしなきゃならぬじゃないか、こういうことで宗教団体をこれからどういうふうに考えていくかということが非常に大きな問題だと思うんですよ。  そこで、今問題になっているこのオウム真理教というまことに特異な宗教団体が、特異なまたまことに想像を絶するというか人道上あるまじきことをやったわけです。宗教活動とおよそ全然関係のない殺人、殺りく、殺傷、そんな本当にもう何といいますか、言語道断、言語を絶することを行ったわけであります。  これについて実際にオウム真理教の中で、いろいろと新聞報道でも騒がれておりますし、いろいろテレビ、マスコミ、メディアの中でも報道されておりますから、私があえていろんなことを申し上げる必要もございませんけれども、このオウム真理教に対する信者、またその他いろんな問題、これに対して一体この人権擁護委員会というのは、先ほどに返りますが、人権擁護委員会というのはこのオウムの信者に対するいろんな人権保護というか、そういう問題に対してどんなことをなされておったのか、そこら辺のところ、先ほどの人権擁護委員会、保護司はまた別といたしまして、その点について少しお尋ねをしたいと思うんです。
  27. 大藤敏

    説明員大藤敏君) オウム真理教をめぐる問題につきましては、例えば元信者が社会復帰をするに際して、オウム真理教の信徒であったという理由によって差別を受けるなどの事例が考えられます。法務省人権擁護機関におきましては、従来からあらゆる差別は許されないという観点から積極的な啓発活動を行っているところでございまして、オウム真理教の儒者であったという理由によって差別を受けることがあってはならないし、このような差別は許されないと考えているところでございます。  人権擁護委員は、法務局及び地方法務局における常設の人権相談や自宅での人権相談、さらに百貨店での特設人権相談におきましてこのような人権相談を受けた場合には、相談者に対して適切な助言を与えるとともに、法務局などの関係機関連携をして具体的な事実関係に即して適切に処置をしていくことになるというふうに考えております。
  28. 笠原潤一

    笠原潤一君 とにかく人権の擁護が非常に大事でありますから、そういう点では信者の中で人権が阻害されたりいろいろなことになって、いわゆる一般社会に復帰というとおかしいんですけれども、その宗教団体から抜け出してきてやっぱり適応能力を非常に失っておられると思うし、信者であるがゆえに非常に差別されるということに対してもこれからそういう点で大きな人権問題になり得ていくんじゃないか、こういうことが非常に心配されるわけです。その点はひとつ人権擁護の立場から、罪のない信者の人権を確保することがいかに大事であるか、それがいかに難しいことであるかということは存じておりますけれども、その点は慎重を期してやっていただきたい、こう思います。  それから、非常に問題になっておるこのオウム真理教に対して、先般、大臣が山梨県の上九一色村に行かれまして、あそこを視察された状況についてお尋ねをしたいと思います。それから同時に、オウム真理教に対して法務大臣は、新聞の報道によりますと、オウムヘの破防法適用を前向きに検討したい、こういうふうにおっしゃっております。総理大臣は何か慎重なことをおっしゃっていますが、今、宗教法人法と絡んでこのオウムヘの破防法適用というものはどうあるべきか、この点がこれから非常に大きな論争のもとになっていくんじゃないか、国家の法の秩序維持に対して非常にこれはもう基本的な問題に発展していくだろう、私はこう思っています。その点についてちょっと法務大臣に、このオウム真理教に対する破防法適用の問題について大臣の所見をお伺いしたいと思うんです。
  29. 田沢智治

    国務大臣田沢智治君) 先般、私は上九一色村と富士宮の総本部へ参りました。  今、笠原議員が御指摘されたとおり、オウム真理教の施設はかなり広範囲に散在しておりますし、その施設を見ると、化学工場的な要素があるかのごとくたくさんのパイプが外へ出ておる。そして、倉庫群というように一見感じ得る施設の内容を見ると、宗教団体が有する施設とは全く異質な施設であるという認識を私は持たせてもらいました。率直に申して、オウム真理教の一連の凶悪的な犯罪行為から見ると、これが果たして世を救い人を救うという信教の自由の中での信仰者としてのとるべき形態が実質的に整っているとは書いがたい状況にある、これは間違いありません。  宗教というものは、人間の心の中に世を救い人を思い大切な人を大切にしていくんだという、そういう心の修行をする場所でありながら、化学工場的なような状況があったり、倉庫群的なような状況があったということ自体やはり異様な感じを持って私は見学をさせてもらった、あるいは視察をさせてもらったという状況でございます。  さらには、町長さんなり市長さんたちもこの施設を一刻も早く撤去してほしい、そして地域住民が安心して生活のできる明るい村を回復したい、明るい市民生活を確立したいというのが主たる要望の要点でございました。  私もそういう現実を見まして、オウム真理教自体がいろいろな事件を起こしているものに対し、法務省としても、地方検察庁としても警察との連携を密に図りながら、率直に申して、去る六月三十日に宗教法人オウム教の解散請求を東京地方検察庁の検事正と東京都知事が東京地方裁判所に起こしております。この十月二日に現地を検証に行くというようなお話も聞いておりますし、また十月六日ごろ審問をするというお話も聞いておりますし、そういうような状況から見ると、この問題について国も挙げて関心を持ち努力しているというような状況にあるということをまずお話をしたいと思っております。  なお、破防法の問題につきましては、これは団体規制でございまして、この団体規制には二つの要件があるわけです。一つは暴力主義的破壊活動が行われたこと、将来にわたって継続的に反復して行われるに値する明らかなものがあると認めたときというように、破防法の要件はこの二つの要件を具備しなければならないということになっております。  そういうような状況を見まして、当該団体の設立目的や性格性を問わず、そういう二つの問題が具体的に立証できるということになると適用される方向にあるということで、結論からいいますと、法と証拠というものを積み重ねつつ、その判断によって行われなければならないということでございますので、積極的だとか消極的だとかということよりもそういう事実の積み重ねという、一つ一つの法と証拠というものを積み重ねて判断していくというのは連法精神民主主義社会における連法精神のあるべき法務行政のとるべき道であると私は思っておりますので、まずそういう視点に立ってこの問題を注目して、現在見守っているというような状況でございます。
  30. 笠原潤一

    笠原潤一君 今、大臣から二つの条件を具備しなきゃならぬと。法と証拠でありますが、この点について慎重に、その推移あるいはあり方をめぐって今慎重にそれを見守っておるということであります。このオウム真理教という宗教団体に対して、もちろんこの破防法というのは本来政治団体に適用すべき法律でありまして、宗教法人に適用するというのは非常になじまないといいますか、非常に難しい問題があろうかと私は思っております。そういうことで法務省としても非常にこの点は慎重な態度をおとりになっておると思います。  まして、この宗教法人は東京で東京都知事の認可であり、そして実際この布教活動といいますか、施設とかいうのはもう日本全国に今あちこちに散在しておるわけでありますから、この宗教法人法を本当にこの隣どういうふうに、宗教法人のあり方というものを本当にこれはやっぱり国民みんな注視しておりますし、このオウム真理教の行った行為そのもの、これは本当に全日本が注目しているわけです。いや、恐らく世界も注目していると思うんですよ。その点はそういう意味で非常に慎重な、それと同時に適切な判断が私は待たれる、こう思っています。  したがって、この山梨県の皆さん方、特に上九一色を初めその地域の人に言わせれば、このオウム真理教は実際に山梨県の上九一色村にあるにもかかわらず、いろんな施設、財産の許認可は山梨県が行っておるにもかかわらず、いろんなことになりますと東京都知事に陳情しなきゃならぬ、文部省に行かなきゃならぬ、法務省に行かなきゃならぬということになりますと、一体地方分権、都道府県の権限というものが果たしてどうなっておるかということと、それに対する実は山梨県そのものの県行政も、そして地域住民も大変そういう点で不信感を抱いておる。  法があって、その中で法がうまく準用されない、法もまた全く不備であるということになりますと、法の精神からいっても、法治国家である日本で法が守られないし、また法がある意味で適当に解釈されるということは非常に危険なことなんです。これは法務行政としても大変なことだと私は思っていますが、その点について、特にこれが破壊活動防止法をもし仮に適用された場合には財産は整理されてしまう。じゃ、その財産が整理されたら被害、損害を受けたその地域一体どう補償されるのか。ほとんど補償されないということになりますと、これは大変なことですからね。一番この点をはっきり整理していただいて事の運用に当たっていただきたい、こう思うんです。  いずれにいたしましても、このオウム事件というのは、実は報道されたけれども、オウムというもののたまに新聞紙上でいろんなことについて、その他いろんな宗教団体もありますが、この問題について甚だ日本人の関心というものは非常に薄かったけれども、ああいう事件が起きている。そして、その行動そのものは戦後民主主義への本当に完全な挑戦であることは間違いないわけですから。また同時に、オウム真理教のあの宗教そのものに対するいろんな問題。戦後教育世界で一番日本教育水準が高い。特に若い、教育水準の高い人たちがこの中に入っておる。それはまことに摩訶不思議だけれども、本当にもう非道な犯罪を行っておる。戦後教育というのは一体何だったのかということを、戦後民主主義教育というのは何だったかということを本当に真剣に知らされた事件だと私は思っていますよ。  そういう点で、これは法務行政とは関係ございませんけれども、今言ったような問題は法務行政当局としても、同法が与える影響、そのことについても非常に大きな何といいますかエポックを画することになるものですから、その点についてひとつ法務大臣に所見をもう一度お伺いしたいと思います。
  31. 田沢智治

    国務大臣田沢智治君) 本来は、これは宗教法人のことでございますので、文部大臣がやるのが当然かと思いますが、おまえとしては感想はどうかというようなことでございますので、そういう職員的な次元を離れまして、私は私なりの感じを持っております。  まず、オウム真理教というものは、これは東京都が認可した宗教法人で、山梨県が認可しておりません。ですから、いずれにせよ全国各地にいろいろな施設があって、その施設もオウム真理教の施設と命名した施設と、オウム真理教というものでありながら実相は何とかの会社にしちゃったり何とかの施設にしちゃったり、全く違うような状況を呈しているというような流れもあるように聞いております。先般、群馬県より、こういう施設が化学工場みたいになると周辺の住民が危機感を感ずるので、この施設を撤去でき得るかどうか検討してほしいというような陳情もございました。  私は、一つはオウム真理教を東京都が認証することについて、果たして慎重な手続の中で宗教団体として認証するに値するものであったのかどうかという、やはり行政上の問題点もあったのではないだろうかと、こう思っておりますが、いずれにせよ、オウム真理教といえども宗教法人として位置づけておるということについて、その思いは思いとしてやはり認めないわけにはいかないと思います。ですから、この宗教法人が本当の宗教者の宗教法人であるか、信教の自由というものを基盤として、信教の自由というものを祈りの世界の中で実践していく修行の団体であるかどうかというものに対しては、かなり問題点があるのではないだろうか。そういうことを考えてみると、認証手続において現行の認証方法でいいのかという問題については、今おっしゃられるとおり改正しなければならない一つの問題点として指摘されてもいいのではないかと思っております。  全国的にいろいろな支部を持ち施設を持っている場合、東京都の認可だからそれでいいのかという問題につきましては、やはりこれは大きく議論があるわけでございます。やはり、各宗教団体がそれぞれの都道府県及び外国に支部を置いたり外国に教会を置くということも、開かれた日本をつくる国際性の中では今後どんどん出てきてもいいと私は思うんですね。外国にどんどん進出して日本というものを理解してもらうということについては、私は消極論じゃなくて積極論としてこれを支援し、支えていくべきであるという考えでございます。  ただ、全国に多く支部を持ち教会を持つ、道場も持つ、外国にたくさん教会を持ち支部を持つということについて、一地方自治体の認証でそのままでいいかというような問題は、今後議論をなされて国民的世論の形成の中で、どういうふうに物を見、物を考えることが安心した日本民主主義国家世界に開かれた民主主義国家を形成していく上において大切であるかというもう一歩下がった時点で冷静に見ながら、国民的世論あるいは国民がこうあってほしいんだという意思というものをやはり私たちは学び、また関心を持って対応しなきゃならぬ。出てきた現象が過激であるから、だからこうやっちゃうんだというような物の見方、考え方については私は余り賛成できません。  ですから、心の問題という次元の中では、世論的な次元の支援あるいは世論的な物の見方、考え方というものを十分に私たちが聞き入って、どういうような適切な対処の仕方が合理的であり、民主主義社会にとって大切であるかということをやはり研究しながら位置づけていくという努力をすべきであるということが私の所信でございます。
  32. 笠原潤一

    笠原潤一君 大臣の所見をお伺いいたしました。  余り時間もございませんが、もう一つ最近非常に大きな傾向は銃犯罪の多発であります。  私も長いこと、四十数年間アメリカヘ行ったり来たりで、ひところはニューヨークだとか海外は非常に治安が悪いと。私は幸いどういうことか一回も犯罪に遭ったことはございませんけれども、車ほどさように、日本犯罪の非常にない国ということでありました。最近の銃情勢の悪化というのは大変でありまして、大変な銃の犯罪の悪化に悩んでいるというのが国民の八〇%もあると新聞に報道してあるとおりであります。それと同時に、取り締まりが非常に不十分だと思っていらっしゃる人も国民の約五三%にも及んでいるということであります。  さらに驚くべきことには、三十代とか二十代の青少年が銃を扱ってみたい、こういうことを言っている人が非常に多いということが先ごろの新聞に報道されました。銃に対する麻痺といいますか、そういう感覚が平然と若い人たちの間に根づいているのは非常に危険だろうと思うんですよ。  銃犯罪の何といいますか、怖さといいますか、銃犯罪の犯したいろんな陰惨さ、陰湿さというものは大臣御承知のとおりでもありましょうし、皆さん承知のとおりでありますが、この銃規制を早く何とかしなければ、日本は法律的には銃は持てないんですけれども、それが平然と公然といろんなルートを通じて流れてくる。これに対して私ども本当にこれは寒心たらざるを得ないわけです。そういう点について所見をお伺いしたいし、また同時に規制や捜査の方法についても格段の、いや特段の努力をしなければならぬ時代に至っておりますが、その点についてお伺いをしたいと思います。
  33. 則定衛

    説明員(則定衛君) 銃器の問題につきましては、今委員指摘のとおりまことに遺憾なことでございますけれども、銃器を使用する犯罪が頻発しておるということ、それからまた内容的に見ましても大変凶悪な事犯が相次いで発生しているという現状にあるわけでございます。  今後の日本の治安を考えますときに、この時点で銃器対策として政府行政当局がとるべき施策をそれぞれの関係省庁でとっていくということが必要であると考えておるわけでございます。その意味で、内閣の中に銃器対策関係省庁連絡会議というのが設けられておるわけでございまして、最近におきましても私ども法務当局も出席いたしまして、銃器の流入の防止と、それから国内に潜在いたします銃器の摘発と、それからまた、銃器を使用した犯罪に対する捜査当局並びに司法当局の対応ぶりということを協議しておるわけでございます。さらにまた、取り締まりを徹底いたしますためには必要な関係法令の整備を行うことが当然求められるわけでございまして、御案内のとおり、最近におきましてさきの国会までに二回にわたって銃砲刀剣類所持等取締法違反の内容を整備する措置が行われております。  我が国の治安がこれまで諸外国と比べまして比較的全般的に良好である、そういう状況で維持されてきた一つの原因は、この銃器、特にけん銃の所持について非常に厳しく日本が国として対応してきたということがあるわけでございますので、私どもはそういう伝統の上に立って今後の治安がこれ以上悪化しないよう、銃器対策の面におきましても法務当局として、また警察を抱える法務省といたしましてその取り締まりになお一層努力を傾けていく必要があると考えております。  具体的には、捜査当局におきまして、国会で制定されました銃砲刀剣類所持等取締法の新しい条項を活用して、流入規制とそれから潜在しております銃器のあぶり出しといったこと、それからまた、銃器を用いた犯罪に対して警察当局におきまして厳正な法の運用を図って、個別的にまた一般的に再発の防止を図ってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  34. 笠原潤一

    笠原潤一君 今刑事局長さんから答弁がありましたが、私はもうこれからは多発するいろんな銃犯罪その他についてやっぱり法改正が必要だろうと思うんですよ。それで、日本だけが罪刑法定主義、これは民主主義の原則だと思うんですけれども、考えてみますと、欧米諸国どこへ行っても必ず御承知のように司法取引があったりいろんなことがあって未然にいろんなものを防いでいるわけです。しかし、日本はそれが行われないために、オウム真理教もそうであったと思うんですが、こんな重大事件に発展するまでに、私はやはりもう一度法の見直しをして本当に犯罪者を撲滅しなきゃならぬ、犯罪を未然に防止しなきゃならぬ。そして、国民の治安、国民の生活、権利財産の安全、いろいろなものを保持するためには思い切った法の改正も必要だろうと私は思っています。  それにはいろんな問題があろうと思いますが、罪刑法定主義というのは非常にいいことですよ。これはもう世界に冠たる日本のすばらしい、かつては法秩序の原点みたいなものであって、そして権利も守られ、いろんなことがありましたけれども、こういういろんな犯罪が多発して起きてまいりますと、果たしてそれでいいんだろうか。日本だけが例外であり得ない、いやむしろ日本の方がニューヨークよりもひどいじゃないかと在米の人たちも言っているくらいですから、私はそういう点でいえば、こういう大量な殺りく犯罪が行われ、こういうことが行われてきますと、そろそろ日本も、先進国と言ってはおかしいんですけれども、犯罪先進国ということじゃありませんが、先進国並みの法の整備をしなきゃならぬ。  戦後五十年間、本当に平穏無事でやってまいりましたが、本当にそういう意味ではオウム真理教にしてもいろんな問題にしても、命大きな警鐘が鳴らされた感が私はあると思うんです。その点について、ひとつそこら辺の所見をお伺いしたいと思うんです。
  35. 則定衛

    説明員(則定衛君) オウム真理教によります一連の犯罪がいわば組織性の高い、あるいは密行性の高い犯罪である、あるいは銃器取引等の密行性の高い犯罪につきまして、委員指摘のとおりいわば欧米諸国が採用しております司法取引でありますとかおとり捜査、あるいは電話傍受等の新しい捜査手法を採用してみてはどうかという御提言であるかと思います。  私どもは、今御指摘のような新しい捜査手法が密行性あるいは組織性の高い犯罪を解明するという上におきまして大変有用ではないかという考えは確かに持っているわけでございまして、その意味におきまして諸外国の立法例でありますとか運用の実情というものをよく調査しておるところでございまして、勉強させていただいております。  ただ、これらの捜査手法を導入いたしますときには、委員指摘のとおり一面におきまして適正手続の保障という点とのかかわりをどう考えるかという点、それからまた、国民の司法あるいは捜査等に対します信頼感との関係で、今言及されましたような新しい捜査手法を導入いたしました場合にどういうふうな反応があるであろうか、こういった点をやはり見きわめる必要もあろうかというふうに考えております。  したがいまして、今新しい捜査手法を導入するということになります場合には、我が国の法制度全体に及ぼす影響なども踏まえまして、また、現在問題になっております特定の事件からどうこうということでなくて、犯罪情勢全般の変化あるいは社会経済情勢の変化等に伴います捜査の一般的な困難化等の実情を総合的に勘案しまして、これにいかに対応していくかという観点から今後真剣に種々の方策を検討してまいりたいと考えております。
  36. 笠原潤一

    笠原潤一君 刑事局長さんの所見といいますか所信をお聞きいたしまして、私はどうかそういう形で早く法の適正な改正も同時に必要だろうと思いますので、その点をひとつ早急に研究、検討をしていただきたい、かように思うわけであります。  続きまして、裁判所についてお尋ねしたいと思います。  私の持ち時間は二時間ですけれども、本当に法務の関係で随分時間をとらせていただきまして申しわけないと思っています。  裁判所の問題につきまして、実は阪神淡路大震災の問題があります。今着々と整備、整理にかかっていますが、民事の問題で、日本の国の裁判の一番大きな問題の一つは民事裁判の余りにも長いことなんですよ。ですから、その点で阪神淡路大震災権利確定のためのいろんな紛争が起きてまいりますが、そういう意味で被災地における調停事件がどんどん多発してくると思うんです。そういう点については裁判所としてはどんなお考えを持っておられるか、その点をお伺いしたいと思います。
  37. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 今回の大震災に関しましては、今御指摘のとおり事件が訴訟等に行きました場合の迅速な処理が可能かどうかということがございましたので、立法当局の御努力もございまして、調停による解決に可能な限りの努力を傾注するという方向で、調停員の増員あるいはそのための環境の整備ということを当面の課題として力を尽くしてまいったところでございます。
  38. 笠原潤一

    笠原潤一君 よろしくその点をお願いしたいし、特に人員の増員は非常に不可欠と思います。非常にたくさんの案件、件数が多いわけですから、事案もありますから、そういう点をお願いしたいと思います。  それから、裁判が長期化するということ、これは国民の裁判に対する信頼の問題に相なってくると思います。したがって、国民の裁判に対する信頼を確保するためには、裁判所は裁判の長期化を回避することが一番大事である、それから適正かつ迅速な裁判を早く実現されることが必要であろうと思われます。  そしてまた、同時に裁判所における審理期間の非常に長いということが挙げられております。この審理期間の例えは短縮といいますか、あるものは十年も十五年もかかってくるということでありますので、そういう点は審理の早く終わるような、大変な御努力が要ると思いますが、裁判官の心労を煩わし、非常に体力的にもあるいはいろんな意味で物理的にも大変なことだと思いますけれども、その点はそういうふうになっていただきたいと思いますが、そういう点において具体的な方策があればお聞かせをいただきたいと思います。  それから、そういう迅速な裁判をするためには今申しましたようないろんな方策が考えられると思いますが、そういう点と、さらにこれは当然裁判官の判断の考え方によると思いますが、例えば日本国民が非常に法に対する信頼感を損ねるとは言いませんけれども、非常に日本の国で一番大きな問題は挙証主義だと思うんです。証拠がなけりゃ何をやってもいいんだと、こういうようなことがありまして、これが非常に法の尊厳と厳正、中立、公正さをどうも保持しにくい点であるんじゃないだろうか、こういうふうに思っています。  そしてさらに、これはどこでもあり得ることですけれども、一審と二審、下級裁判所と上級裁判所の判断が違ってくる。これが間々たくさんありまして、そういう点で国民というのは法というのは一体どうなっておるんだろうと、こういうようなことに対する危倶もあろうかと思うんです。そういう点では、一審と二審が違って当たり前でありますけれども、その点についてやはり何といいますか、そういうことを解きほぐすための国民に対するパブリックリレーションといいますか、そういうものも私は裁判所として必要じゃないだろうか、こういうふうに思います。  さらに、裁判が長期化する、特に民事の場合は長くなりますから、民事訴訟法の改正の問題についてはどうお考えになっておるだろうかと。さらに、裁判官も非常に人員が少ないために裁判が長期化するということでありますから、裁判官に対しても増員を図って適切に早く裁判がスムーズに行われることが、私はとりもなおさず国民が法を信頼し、裁判の公正を大変期待する唯一のものだと思っていますので、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  39. 石垣君雄

    最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) ただいま委員から民事訴訟の長期化の御指摘がございました。  状況から若干申し上げますと、地裁の民事の第一審通常訴訟事件の処理状況ですが、昭和六十年度の平均審理期間は十二・四カ月でございましたが、平成年度の平均審理期間は九・八カ月でございます。また、簡裁も数が多いわけですが、簡裁における民事第一審の通常訴訟事件の処理状況では、昭和六十年度の平均審理期間は三・四カ月でございましたが、平成年度の平均審理期間は二・六カ月となっております。  ただ、今申し上げた平均審理期間と申しますのは争いのない事件をも含んだ数値でございますので、争いのある、いわゆる対席事件と言っておりますが、そういう事件のみの審理期間について見ますと、平成年度の地裁における民事第一審の通常訴訟のうち判決で終了した事件の平均審理期間は十六・六カ月でございます。特にそのうちでも本格的に争われていると考えられる審理期間が六カ月を超えているような事件、こういう事件の平均審理期間は二十三・四カ月となっております。二年近くかかっておるということでございます。  そこで、迅速な裁判を実現するためにどうしたらいいかということで、現在、大方の方々から指摘をされておりますのは裁判の場が準備書面を交換するだけの場になっていないかということでございます。そこで、自主的な審理の、自主的な討論の場にする、そういうことによって争点をできるだけ早期に確定をして、その争点を中心とした集中的な効率的な調べをするということが大事ではなかろうかというふうに一つの考え方として考えております。  そういうものを実現するためでございますが、何といっても当事者である弁護士さんの協力が不可欠でございますので、一つはそういう意味で各裁判所と弁護士会との間で運営改善についての継続的な協議、あるいは研究会等をしておるということを申し上げておきたいと思います。  それからほかに、これらの運営改善の動きを助けるために、例えばラウンドテーブル法廷というものを設置してきております。このラウンドテーブル法廷といいますのは、裁判官と双方の代理人あるいは当事者が一つのテーブルを囲んで着席をする、そして形式にとらわれずにいわばひざを突き合わせて議論をして争点の整理をする、こういうのに非常に役に立っているようでございます。また、最近出ております電話会議システム、例えば裁判所と双方代理人の三者がお互いの会話を聞きながら議論を進める、こういうことによって期日の打ち合わせ等、あるいは進行の連絡などに効果を発揮するというものでございますが、これらの整備がされてきておるということも御紹介しておきたいと思います。  そこで、今後の問題でございますが、特にこの迅速処理という観点からまいりますと、運営改善ではどうしても貯えない部分というのが御指摘のとおりございます。そこで、この運営上の改善で賄い切れない事項につきましては、御指摘のとおり、現在、法務省の法制審議会の方で民事訴訟法の抜本的な改正を検討していただいておるところでございますので、裁判所としましては、実際の審理に携わっている立場から現場の意見をできる限りこの審議に反映をさせて目的が達成されるように努力をしたいというふうに考えております。  大まかなところはそういうところでございまして、あと若干人員の点がございましたら……。
  40. 涌井紀夫

    最高裁判所長官代理者(涌井紀夫君) 人員の面での手当てのお尋ねがございましたので、簡単に数字だけ申し上げておきます。  もちろんこの人員面での手当てといいますのは、やはりいろんな裁判の運営の改善の工夫とあわせてやっていかないといけないわけでございますが、最近十年間の数字で申し上げますと、裁判官だけでも七十二名程度増員をしていただいておりますし、また裁判官の裁判の仕事を直接補佐いたします書記官という職種がございますが、この書記官につきましても十年間で二百二十五名という増員をお認めいただいております。  これからも事件の動向等を見ながら必要な人的手当てに努力していきたいと考えております。
  41. 笠原潤一

    笠原潤一君 適切な答弁をいただいてありがとうございました。  なお、人員の増員は間断なくそういうことについて努力していただきたい、こう思っております。  それからもう一つ、実は私は地方議会、岐阜で市会議員をやり県会議員をやって、今日国会議員に相なりましたか、三十数年間も地方からこうしてやってまいりまして非常に奇異に思っていることがあるんです。それは何かといいますと、津の地鎮祭の事件であります。昔はもう日本の伝統、習俗でありまして、津の体育館の地鎮祭を神式で、神式といいましてもいろんな方式がありますが、行われたことに対して、一審は憲法違反にならない、憲法二十条、八十九条に違反しない。ところが、名古屋高裁でそれは憲法に抵触するという判断がなされました、判決が。そういたしましたら、日本国じゅう、まあ日本人という、日本の国というのはおもしろい、おもしろいというと失礼でありますが、日本国津々浦々に至るまで、市町村を初め国に至るまで全部この地鎮祭を取りやめました。  そして、最高裁判所の判決は、御承知のように、私が読み上げるまでもなく皆さん承知だろうと思いますが、市が主催し神式により挙行された市体育館の起工式が憲法二十条三項に言う宗教活動に当たらないとされた事例として、市が主催し神式により挙行された市体育館の起工式は宗教とのかかわり合いを持つものであることを否定することはできないが、その目的が建築着工に際し土地の平安堅固、工事の無事安全を願い、社会の一般的慣習に従った儀礼を行うという専ら世俗的なものと認められ、その効果が神道を援助、助長、促進し、または他の宗教に圧迫、干渉を加えるものと認められない事情のもとにおいては、憲法二十条第三項に言う宗教活動には当たらない。まあ反対意見も少しあったと、何人あったか私もそれは今のところ存じ上げておりませんが、いずれにいたしましても判決はそうなっておるんです。  ところが、この判決がありながら、地方自治体も国も一切行わないんです。大体、祝詞とかあるいはおみこしとかそういうものは、宗教的行事といえば宗教的行事かもわかりませんが、日本の伝統、習俗なんですよ、日本の文化なんですよ。にもかかわらず、これ全然やらない。地鎮祭はみんな業者に委託するんです。そして、その長たる県知事であろうと、いろんな国の機関の長が出かけてまいります。そして、くわ入れ式とか初がまとかやりながら、直会でお酒をいただいて、お土産まで持って帰られるというのが現実なんですよ。一体これはどういうことに相なっているか。  今の官官じゃありませんが、やっぱり本来の目的において国が施行者ですから、施主なんですから、あるいは市町村が施主なんですから、自分の建物、自分の道路工事の安全、同時にそういうところが破損しないように、これは心情的には当たり前のことなんですよ。それを施主たる者が行わないということは実はおかしいんです。民間の家でいえば、必ず自分の家を建てられるときはみんなだれでも自分で神主さんに頼んでおいて、自分の家が倒れぬように、平安にいくように、平穏にいくようにとやるんですよ。なぜそういうことが行われないか、国の最高裁で判断されながらそれが行われないというのはまことに私は残念と言わざるを得ません。  二審のときに、恐らく各市町村とか県とかいろんなところから自治省の方へどうなんだろうとみんなこれは聞き合わせに来ますよ。それは内簡でやったのかどうか知りませんよ。何かそのときに、いやそれはさわらぬ神にたたりなしと、そんなことはまあということで、そういうことになっておるものですから、このころから私はおかしくなってきたと思うし、主体である、施行者である、いわゆる事業主である人がやっぱりそういうことをしっかりしなければ、上正しかれば下旬とかという言葉があるけれども、決然としてそういうことをやるべきだと私は思うんですよ。それが本来の意味での責任なんです。責任を回避しているとしか言いようがない、私はそう思います。  そういう点でいえば、こういう判決もあるんですし、それは何も神道に戻ろうとか神道を大事にしようとか、私はそんなことは言っていませんよ。日本の伝統、習俗、習慣。だってそうじゃありませんか。神社仏閣でも本尊である仏像だって、あれだって国宝と認めれば国は補助を出すんですよ、はっきり言って。円あるいは塀にしたってそうですよ、国宝的なものならやっぱりちゃんと補助するじゃありませんか。だから、そんなことをやっていることに、法の尊厳とかそういうものを何か踏みにじって法の尊厳を侵しているような、逃げ腰であるような気がいたしてならぬと私は思うんですよ。  やっぱり、そういうものが判決されたならば断固としてそれを遵守していくというのが私は国であり地方自治体であろうと思いますが、きょうは自治省と建設省からもお見えになっていますが、その点についてお伺いしたいと思うんです。
  42. 朝日信夫

    説明員朝日信夫君) ただいま御指摘のありましたように、津地鎮祭の最高裁判決、昭和五十二年でございましたが、そこにおきましては津の地鎮祭をとらえまして、その目的は専ら世俗的なものと認められて、憲法二十条三項によって禁止される宗教活動に当たらないとされたところであります。  地鎮祭は工事の無事安全等を願い行われるものでありますが、私どもは、地鎮祭等を行うかどうか等につきましては、各地方公共団体におきましてこの判決も参考にしながらそれぞれの状況に応じて自主的に判断していただくべきものと、そのように考えております。
  43. 小澤敬市

    説明員(小澤敬市君) 建設省でございます。お答えをいたします。  建設工事におきましては、その節目節目に日本古来の慣習に従いましたさまざまな式典がとり行われることが多いというのは社会的な実態だと、こういうふうに理解をしております。御指摘のございました地鎮祭も、着工に先立ちまして工事の無事安全等を願う祭事として理解しておるわけでございまして、このことにつきまして昭和五十二年七月十三日に津の地鎮祭最高裁判決が出ているということについては承知しておるところでございます。建設省の直轄工事におきましても地鎮祭が行われる場合がございますが、これまでのところ、そういう場合には、工事の安全管理を直接担当いたします請負号の方でその自主的判断に基づいて実施するという形が定着しているものというふうに認識しております。  そういった地鎮祭等の取り扱いにつきましては、社会一般にどういうふうに行われていくかということなどを踏まえまして検討していく必要があるというふうに考えておりますけれども、ただいま御指摘いただきました点につきましては、貴重な御意見として受けとめさせていただきたいというふうに考えております。  なお、建設省といたしましては、発注者としての責務を的確に遂行することによって円滑に工事が施工されるようになお一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  44. 笠原潤一

    笠原潤一君 両省のそれぞれ担当の課長さんから御答弁いただきました。私は別に神道を鼓吹したり、そういう意味じゃありません。例えば橋ができ上がりますと一番最初に渡るのは三代の夫婦なんです。何も県知事や権力者が一番前に行くわけじゃありませんよ。これは伝統、美風なんです。橋ができて、よくぞ三代も生きてこられたんだ、こういうことなんです。  私はどうもおかしいと思うんです。何かちょっとあるとみんな辞易しちゃう。そういう点でいえば非常に伝統であり美風であり、橘の安全、日本の伝統、習俗、文化。みんな文化とかレトロとか言うじゃありませんか、今は。それにもかかわらずそういうことをやってなぜ悪いか。もう少しやっぱり国も地方自治体も真摯にそれを考えていただきたい、こう思うんです。  御承知のように、この場で宗教的なことを言うとおかしいんですが、日本人というのは御飯を食べるときに一番いいのは何かというと、はしですよ、はし。はしというのは杉の木でできています。杉の木というのは木を書いて三本ちょんちょんちょんと、三代の夫婦が橋を渡るんだと。杉の木というものは、日本人は一番大事な食事を食べるのにはしを使うんだということですから、そういう意味で非常に伝統、習俗的なそんないろんなものはないんですよ。本当にそこはかと美しい心情ですよ。心情等とかそういうことをやらないということが、先ほど言ったようにいじめとかそういう問題も起こってくる一つの原因だと私は思っていますよ。  だから、そういう点は国なり県なり市町村なりが、やりたい市町村もたくさんあるんですよ。それはみんなも喜ぶだろう、村民も喜ばれる、町民も喜ばれるだろうが、どうも何かそこでもうやめてしまったものだからこれを復活すると何か復古主義だのと言われるというようなことがありますので、そういう点は両省におかれましても、それは率先垂範しようとは言いませんけれども、今の答弁でひとつ各地方自治体の皆さんもおわかりになったと思うから、どうかそういう純風、美風は永遠に残していただきたい。そういう意味でも非常に重要な憲法判断だと私は思っております。その点を申し上げてこの点は終わります。  その後これから、法務省も少し関係ありますが、労働省でありますが、実は御承知のように、先般橋本通産大臣とカンター代表、ちょうちょうはっしの日米貿易戦争の一つである日米部品調達の問題でおやりになりました。世間の耳目を集め、そして今まで何でもアメリカの言いなりになってきたと言われた、橋本さんは随分頑張ってやっていただいたわけです。  しかし、それにもかかわらず、実はこれからの問題が非常に大きいわけでありまして、この部品協議の裏の中には、結果的には暗黙で自動車産業のいわゆる対米への移転といいますか、工場とかそういう事業主体の移転というものがあることでアメリカ側もある意味では納得したんじゃないだろうかと思うところもあるんです。いや、あるだろうじゃない、それは事実でしょう。  これは今アメリカから新聞で、今度トヨタが本社をアメリカの中西部のどこかに持っていきたい、ヘッドクオーターを。それがオハイオのコロンバスであるかシンシナティであるかケンタッキーのどこか、あるいはインディアナかどこかでルッキングフォー、いわゆる探しているんですよ。同時に部品も行かなきゃならぬ、部品工場も行くということで、アメリカのオハイオも、きのうでしたかアメリカから新聞が参りまして、トヨタさんが出てくるから何とか我が州にと、こう言っていったところがあるわけです。「トヨタコンファームズT一〇〇トラックプラント」、これ実はアメリカで随分もう既にすごい評判になっているわけです、必ずこれは行かなきゃならぬわけですから。そういう点でいえば、アメリカの方が日本より人件費が安い、施設もいい。最近はアメリカは自動車は悪かろう安かろうじゃなくて非常にいいと言い出したんです。  もしも、こういうことでどんどん技術移転の名のもとに海外に生産拠点がシフトされていきますと、トヨタ一社をとっても、日本の自動車産業のいろんなところがそういうことになっていったときに、今ですらも産業の空洞化、雇用の不安、大変なものなんですよ。ことしは御承知のように女子大生の就職がないじゃありませんか。日本の国というのはどの親もみんな、いい学校へ行って、いい大学へ行かせていいところへ就職させたいといったところが、学校は出たけれどといって今は就職のチャンスすらも失われているこの状況の中で、一体これからどうなっていくだろうということでありますが、その点について労働大臣どうお考えになっておるでしょうか。その点をお伺いしたいと思います。
  45. 征矢紀臣

    説明員(征矢紀臣君) お答え申し上げます。  先生の御指摘、御心配のように、企業の海外進出が今後ふえていくことが予想されるわけでございまして、これは原因はいろいろあるかと思いますが、そうしますとそれか雇用面へさまざまな意味での影響を及ぼす。具体的には失業問題としてこれが顕在化してくるのではないかという懸念があるわけでございまして、かつ現実にそういう心配が現実化している面もあるわけでございます。  これにつきまして解用面からどう対処するか、こういうことでございますが、このような形での失業問題を避けるためには、これはやはり基本的には新たなそれに見合う雇用機会の創出が必要になるわけでございまして、そのためには新たな産業分野、付加価値の高い産業あるいはサービスの創造等が必要になってくるわけでございます。そういう中で新しい形で雇用が創出される、そういうことがぜひ必要な重要課題であるというふうに考えているところでございますし、当面の非常に重要な課題だろうというふうに考えております。  それとあわせまして、そういうことを前提といたしましても、現実に労働者の面から見ますと、従来の産業あるいは企業から新しいところへ移る労働移動、そういうものが避けて通れない、そういうケースがふえてくる、そういうこともあわせて起こり得るというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、そういう観点から考えた場合に、これが失業という形で出る場合につきましてはやむを得ない状況であります。できるだけ避けなければならないわけでございますけれども、これは雇用保険の失業給付で生活の安定を図りながら再就職のあっせんに全力を尽くさなければならないわけでございますが、できるだけ失業しない形で労働移動ができるようなそういうものを支援する対策、これも非常に重要であろうかというふうに考えているわけでございます。  この点につきましては、さきの国会におきまして御審議いただき成立いたしました改正業種雇用安定法、これが七月一日から施行されておりますが、これの施行によりまして、今のような構造的な要因により雇用調整をせざるを得ない業種につきましてこれを機動的、弾力的に指定いたしまして、これは現在六十六業種指定しておりますか、そこの事業主の方が出向あるいは再就職等を行う場合、その移動前後の教育訓練、仕事を変わるわけですから、教育訓練を行う事業主の方への支援、そういうものに努めているところでございます。  あわせまして、高付加価値化等に伴う産業を担う人材の養成、こういうことも非常に重要課題でございまして、そういう対策を現在進めているところでございます。
  46. 笠原潤一

    笠原潤一君 今お聞きいたしましたか、実は我が国は産業空洞化の問題が始まっているわけです。始まったんじゃない、既に始まってもう大変な事態にまでなっていますが、私見を言うとおかしいんですけれども、私は四十年間アメリカヘ行ったり来たりしていました。一九五〇年代のアメリカの黄金時代、そして今日、その間にアメリカの推移をずっと見てきました。  結果的に、日本では今でも問題は何かというと、製造業を余りにも何か軽視しているんじゃないかと思うんですよ。アメリカが空前の好況になってきたのは、今から二上年ぐらい前、アファーマティブアクション、アメリカはイコールオポチュニティーで世界じゅうから移民や労働者はやってくる、治安は悪くなってくる、そして産業の効率性はなくなってくる。みんなどこへ目をっけたかといったら、日本なんですよ。  私は、今から二十年ぐらい前に行ったときにびっくりしたことが幾つかあるんですよ。いや日本の企業はすごいねと言うんですよ、アメリカ人やヨーロッパやあるいは南米の連中が。これはたまたまレーガンとカーターの選挙のときにアメリカから招かれて行きました。何かといったら、一つは日本の企業はおもしろいと言っているんです。作業が始まる前、班長さんがいて、整列してそれで訓示をするんだと。それで、みんな精神一到何事か成らざらんじゃないけれども、ぴしっとしている。  それからもう一つは、トヨタの首脳が出てしゃべっておったんだけれども、一つはロボットですね。やあ、すごいと言っているんです。そして、製品管理もこれはもうアメリカから来たんだけれども、いやあれを見てびっくりしたと言いましたが、実はこのロボットなるものは、あるいはアイシンワーナーに代表される自動変速機もみんなアメリカで発明されて、アメリカで実は量産化されようとしたのが、この時代にアメリカというのは治安も悪いし、そういうことがあったものだから、まあとにかくそんなことを育ったってアメリカでやっても効率は上がらない。だからインベストメントは日本へ、技術移転も日本へ。どんどん日本ヘアメリカのいろんなものを持ってきて日本は史上空前の産業国家になったんですよ、製造業が。それで、日本人はおごってしまって、もう何も世界に学ぶものはないんだ、日本は実験国家であってもう何も学ぶものはないと言った。ところが今はどうでしょうか。実は日本はアメリカより二十年くらいおくれてやっていただけの話なんです。  ですから、日本から今またもとのアメリカヘそういう自動車産業その他、日本の中でもうかっているのは十三業種ぐらいですよ。いわば新幹線があって、あとは古い昔の列車を引きずっているのが日本経済の実態なんです。そして雇用を確保していったわけです。その雇用が脅かされてしまう、労働市場がない。  私は、今から二十年くらい前にある問題に遭遇して、ははあと思ったのは、これは大変なことだ、日本はとにかく非常に好景気で、経済成長が達成されてもう史上空前の世界一、二を争う金持ち大国になってきた。もう世界の方では、日本では買ってもらうものはないから何が起こるかといえば労働市場の参入しかないわけですよ。だから、世界じゅうからどんどん労働市場の参入が、初めは中曽根先生が日本は一国家一言語一民族、みんな一つだから絶対大丈夫。労働組合もそう思ったし、社会党や左派の皆さん方も日本には絶対労働市場の参入はないと思っておったんです。しかし、ブラジルヘ日本は移民をして、ブラジルで食っていけぬからといって日本から移民した人たちを日本へ戻そうということから始まって、今は日本の国内でどうですか、世界じゅうから労働者がどんどん集まってくるじゃありませんか。そしてそれが治安を悪くするような問題も起きてきていますよ。  私は、そういう点で製造業がしっかりしなきゃ、今ニュービジネス、ベンチャーとかいろんなことを各待もおっしゃる。しかし実際はそれは本当に産業の労働人を吸収していくんですか。私は大変これは難しいと思っていますよ。そういう点からいえば、労働省は本当におのれを知る者他を知らなきゃならぬわけですからね。  私はここで労働大臣に一つお願いしたいのは、確かにいろんな問題が経済の問題では通産省もあるでしょう、大蔵省もあるでしょう。しかしそれ以上に、労働市場が確保されて、みんなが働かなきゃ食っていけないんだし、金が入ってこないんですからね。  そのためには、労働省というのは海外に対して十三人か四人、今海外へ出して各公館に行っていらっしゃるけれども、実際はむしろ通産省は命物を入れることに一生懸命ですから、それ以上に労働情勢がどうなっていくか、経済がどうなっていくかということ、国民は生命、財産、みんな食っていくためには働かなきゃならぬわけです。そういう点でいったら労働省にしてみれば、アメリカでも十カ所くらい、ニューヨークとかサンフランシスコとかロサンゼルスとかヒューストンとかシンシナティとかコロンバスとかシカゴとか、そういうアメリカの情勢、あるいはヨーロッパでいえばフランクフルトであるとかいろんなところへ派遣して世界の労働状況がどうなっている、経済がどうなっているんだろう、雇用がどうなっているかということをもっと私はやる必要があると思うんです。  今こそ労働省は、日本世界国家なんだから、国際経済国家ですからなお一層そういうことが私は必要だと思うんだが、その点で労働大臣政府のお考えはどうですか、そういうふうに積極的に取り組んでいく考えはないでしょうか。
  47. 渡邊信

    説明員(渡邊信君) 労働省では、今先生のお話がありましたように、現在欧米諸国あるいは東南アジア諸国を中心にしまして十四カ国に職員を派遣しております。来年は中国に派遣することにしておりますが、今おっしゃいましたような問題意識を踏まえましてさらに増員を図るように努力をしていきたいというふうに思っております、
  48. 笠原潤一

    笠原潤一君 それから関連いたしまして、先般、自治省が地方公共団体の入札に関して二十四億円以上のものに対して外国企業の参入を認める、こういうことでありましたわ。これは労働省と自治省と法務省の三つが関係してくる問題です。  実は、阪神淡路大震災、この復興計画は来年あたりから着々と進んでいくわけですよ。この中で恐らく十兆円、十五兆円、どのくらいかは知りませんよ、これから公共投資が流れていくと思うんです。そこで、いわゆる外国企業、外国の建設事業をやっている艦設楽者が参入してくるわけです。これはもうガット・ウルグアイ・ラウンドで合意したわけですし、今や日米建設協議で一般競争入札にしたし、いろんなことはこれ皆さん承知のとおりであります。  そこで、二十四億円ぐらいだったら神戸の中で幾らでも仕事がありますよ。それが参入してきましたときに、参入してくることはいいんだけれども、同時に結果的に何が起こるかというと、外国の業者は単なる仕事をとるだけじゃない、必ず人間、いわゆる技術者を連れてくるわけですよ。技術者の名のもとに外国人労働者がどんどん入ってくるわけです。これだけでも日本の建設市場は随分脅かされると思いますが、そのときに、例えば、私はこれは隣国のことを言っちゃいけませんが、シアトルである大きな建設事業があったんです、今から十二、三年前ですか。そのときに、その事業は百五十億円くらいだと、私も今はっきり定かでありませんが、そのシアトルのタワーをつくったときに、韓国が落札したんです。そして、鉄は韓国の釜山の辺か何かで加工しました。しかし、その鉄をあっせんしたのは我が日本国の商社です。そして、日本の鉄を持っていったわけです。そして、日本企業はもうとても太刀打ちできない、米国企業も太刀打ちできないような価格で落札されました。  ですから、これから建設事業へそういう外国の企業が参入してくると、韓国はあと二、三年たつとWTOに加盟いたしますから、当然その権利が出てきます。韓国に限りません、いろんな国が、そのWTOに加盟しておるところは当然建設工事に入ってきます。  そこで問題は、日本の場合ですと建設工事完成保証人というものが今まであったんです。それがなくなりました。一般競争入札ですから、だれが入ってもいいんです。問題が起こったのは、世界と同じように、よそと同じように、パフォーマンスボンド、いわゆる履行ボンド、銀行さえ保証すれば、この工事は必ず銀行が保証しますからやりますよ、金は心配要りませんよと言えばそれでいいんです。そういうふうになってきたんです。  ですから、外国の企業はどんどん入ってくるでしょう。そして同時に、技術者の名のもとに鉄筋工であろうと組み立て工であろうとみんな連れできますよ。それだけ日本の労働市場、日本の建設業の労働者は圧迫されてきます。  そういう事態が起こってくるということでありますが、そういう点について、法務省としてはやっぱり入国管理局もございまして、労働者の参入を認められません、単純労働者は。しかし、単純労働者であるか、鉄筋であるとかそういういろんな加工のための専門家であれば技術者ですから、それはどういう形で、恐らくこれは技術者であれば認めざるを得ないと思うんですが、その点について、入国管理局の方は一般労働者であるか技術者であるかというのは判別がしにくいと思うんですが、そこら辺の問題はどうなんですか。まず、とりあえず法務省の入国管理局からお尋ねします。
  49. 塚田千裕

    説明員(塚田千裕君) 公共事業に従事する外国人労働者としましては、技術者、技能者あるいは単純労働者が考えられるわけでございます、  技術者につきましては、単純労働者と区別するのは難しいんじゃないかという先生の御指摘でございますが、入管法上省令できちんと定義されておりまして、その者が従事しようとする業務に必要な技術もしくは知識にかかわる科目を専攻して大学を卒業するか、または十年以上の実務経験によりその技術もしくは知識を習得している者、これについては受け入れるということにしております。  技能者につきましても同様でございまして、外国に特有の建築または土木にかかわる技能について十年以上の実務経験を有する者について受け入れるということで、単純労働者との間では非常に大きな区別を設けまして、一線を引いております。
  50. 笠原潤一

    笠原潤一君 一線を設けられる、それは当然でありましょうが、しかし十年であるかないかというサーティフイケート、証明書をどういうふうにとるかというのは非常に私は難しいと思うんですよ。ですから、そこら辺の問題はやはりしっかりとやっていただかないと、安易にこれどんどん入ってこられる。今でも私はこの東京都内を初め全国各地の公園でいろんな外国人のいわゆるたむろしているのを見ていますが、これどういう形で入っているのかさっぱりわからないわけです。  ですから、こういう点もしっかりやってもらわないと、一応基準、尺度はそのとおりかもわかりませんが、法網といいますか、法の網をくぐって入る可能性は十分あると思うのでありますので、その点をよくひとつ入国管理局の方ではチェックをしていただきたい、こういうふうに思うわけです。  それから、今申しましたように、韓国は九七年にWTOに加盟をされます。韓国ばかり言っているわけじゃありません、ほかの国もWTOに加盟していれば入ってこれるわけですから。アメリカであろうとカナダであろうとヨーロッパであろうと入ってこれますからね。建設工事には参入してこれますが、今言ったように、日本の場合はかつては、これはいい悪いは別として、工事完成保証人制度といって、この仕事だけは業者が保証しますよと、あったんです。お互いに、この工事が完成しなければその工事を保証した人がやってしまう。途中で投げ出されたら困りますからね。  しかし、今回は金銭保証と履行ボンド、アメリカ、外国では当たり前のことですが、そういうことになってきましたので、そういう点でいえば非常に安易に入りやすいし、また同時に、外国企業が、本社機能は向こうにあって、入ってきて膨大な仕事をやって、じゃ税金を納めてもらえるかというと、これどうもわかりませんわね、実際。恐らく本社機能がアメリカにあればアメリカ、韓国にあれば韓国、台湾にあれば台湾、シンガポールにあればシンガポールの本社がプロフィットは持っていってしまう、そういうことになるんです。そういう点でいって、非常にこの問題は大きいと私は思っています。  きのうかおとついですか、アメリカ商務省の方が、阪神淡路大震災に限らず、地方自治体までどんどん働きかけて一般入札に参加させるような、物すごい勢いでやってきたんです。関西空港華やかなりし日米建設協議のその前に、私はたまたまUSTRへ行ったら、アメリカの国会の中では「ダンゴー、ダンゴー」の声が鳴り響いていたんです。「ダンゴー」とは何だと思ったら、関西空港で日本の業者は談合でやるんだと。「ダンゴー」というのはアメリカの言葉に入ってしまったんですからね、今では。そういうことがあった。今度また恐らく商務省が先頭になって各地方自治体、各県へ入れてくださいよと。拒否する権利はありません、今こういう二つの問題がありますから。二つの問題でこれが満たされていればやれるわけですから。  そういう点で、そういう問題に対して、外国企業を軽視するわけじゃありませんが、それだけになお一層日本の建設労働から労働者が締め出されていく可能性もあります。ただですらも今大変な事態でありますので、その辺に対して労働待の方は、あるいは建設省の方はどうお考えになっているかちょっとお聞きしたいと思ったんです。  地方自治体の方もどういうこれから指導をなされていくのか、その点もちょっとお聞きしたかったんですが、自治省、建設省もおられませんから、一応労働省にまずお伺いします。
  51. 征矢紀臣

    説明員(征矢紀臣君) ただいま先生からいろいろ御指摘ございましたが、御指摘のとおりでございまして、日本の労働市場のあり方等からいって、単純労働者につきましては、現在政府で閣議決定されておりますとおりこれは受け入れをしない、こういうことでございまして、技術・技能労働者につきましては、先ほど法務省からお答えしたとおり明確な一応基準を引いて対処しているということでございます。  この厳しい雇用情勢の中におきまして、やはりこの単純労働者につきましては、これは簡単に受け入れるべきでないという基本的な考え方で対処してまいりたいというふうに考えております。
  52. 野平匡邦

    説明員(野平匡邦君) 建設省でございますが、外国人労働者の受け入れの是非につきましては多様な視点から慎重な対応が必要だというふうに従来から考えておりまして、特に建設業におきましては、外国人単純労働者を安易に受け入れるということは国内の労働者の労働条件を低く固定化するということになりますなど、建設業のいわゆる構造改善を阻害するおそれが大きいと考えておりまして、いわゆる単純労働者の受け入れにつきましては十分慎重に対応するという従来の政府方針を今後とも堅持するという考えでございます。  また、建設省といたしまして、建設業界に対しまして入管法を遵守し、不法に外国人労働者を雇用することのないように十分指導してきたところでございます。
  53. 笠原潤一

    笠原潤一君 決意のほどをお聞きいたしまして、恐らく建設業に携わる人たちも安心しただろうと思っております。  そこでもう一つは、実は二年有半前に宮澤内閣が残念ながら自民党の中でああいう形になって不信任を下されて、自民党が分裂して今日二年間たったわけです。あの宮澤内閣のときの経済企画庁長官は船田経済企画庁長官と思います。あのときの新聞で、バブル経済が崩壊して、だけれどもようやく景気は底入れしてこれから順調に推移していくだろうという経済企画庁の見通しであり長官発言であったわけです。にもかかわらずそれから、いやそれどころかどんどん悪くなっていってしまったわけです。  たまたまあのころは政治改革がもう燎原の火のごとく広がった。今は何か政治改革のセの字もないくらい政治改革を口にする人もありませんし、本当に摩訶不思議なこの二年間であったんですが、あの政治改革華やかなりしころ、かつての同盟と総評と一緒になって日本最大、いや世界最大の労働組合が誕生いたしました。その労働組合の幹部の皆さんは、テレビ、新聞その他で事あるごとに、やあ何々党はどうだとか、あれこれ。労働問題とか雇用とか経済の推移とか、日本国家の労働市場はどうなっていくだろう、日本労働者権利保護はどうなっていくだろうか、こういうようなことは一言もあのとき聞かれませんでした。やれ何党がいい何党がいい、政治改革をやらなきゃ日本の国はつぶれてしまうのではないかというような御発言、日本の政治改革をそのまま行うということばかりでありました。  そういう点でいって、かってケネディさんのころからジョンソンさんのころ、あのころのアメリカの労働界というのは政治に非常に熱中しておりました、労働組合が。だから、その後の中でアメリカの労働界というのは政治的なことに非常に多くくちばしを入れ、それが結果としてアメリカの産業が衰退し、労働者の、労働条件がおかしくなってしまって、先ほど申しましたように日本にどんどん、それは企業というのはもうからなきゃいけませんし、それと同時に利益を出さなきゃいけませんから、どうも私は日本という非常に安全で勤勉で正直で労働生産性が高くて労働価値が高くて労働のクオリティーがいいというところにシフトしてきたと思うんです。それで日本は今日の世界に冠たる経済大国になったと思うんですが、どうもそのころのあの当時の労働界の幹部の皆さん、何か政治ゲームみたいなものに熱中していらしたような気が私はいたしております。  今日こういう事態になって、本当に史上空前の不景気とそして円高もあった。しかし、円もきょうは百二円になりました、この後も少しほかの問題でお聞きしたいと思うんですが、百二円になったとはいえこの二年間の、特にこの一年間の円の乱高下というよりも円高で、この問題でいろんな輸出の制約などしたんだけれども、大変なディスメリットが多かったんではないかと思うんです。  そういう点で今後、労働大臣、ひとついろんな意味で労働行政、これは非常に重要でありますから、そういう点にかんがみて、特に労働省は先ほど言ったように海外にもいろんなアタッシェを置いてやられるけれども、私は国の労働政策というのは一番大事だと思う。産業政策それ以上に労働政策というのは非常に国の基本にかかわる、国民のいろんなものに関するものですから、私は労働省において、労働政策何とか部というのがあるそうですけれども、労働政策局というものを置いて本当に国の労働政策をしっかりやってもらう。それはとりもなおさず日本国の将来のいわゆる推移に大きなウエートを置くものだと思っていますが、その点について大臣、どうお考えですか。ひとつお伺いしたいと思います。
  54. 青木薪次

    国務大臣青木薪次君) 先ほどから笠原先生の御高見を拝聴いたしております。  今日、産業空洞化ということが叫ばれております。そしてまた、このことが今日日本の産業経済にとって最も大切な問題だと私は理解をいたしておるわけであります。そのことがまた雇用失業問題を惹起いたしております。  したがって、このことについてどうしていくかということについては、これはもう今度の第二次補正予算をつくるに際しまして九月二十日に、急速ではありまするけれども〇・五%の公定歩合の引き下げと相まって、今いろいろ先ほどから議論されておりますように、建設関係を初めといたしまして受注が相当ふえてきたというような中でこれを一挙に円安傾向と相まってひとつ不況打開に結びつけていきたい、そのために経済閣僚が中心となりまして経済対策を早急にまとめることになっておるわけであります。  その前提として私どもは今日、先ほどから議論されておりますように、日本の新しい技術の開拓、新しいベンチャー企業の形成といいますか、そういうことを通じまして日本の産業界に活を入れると同時に、日本の雇用の問題について新しい雇用創出を図っていきたいということを真剣に考えておるわけであります。  不況という問題は、何としても雇用不安を伴うというところに一番問題があるわけでありますから、これは笠原先生ただいまの御指摘のとおりだと考えております。  そこで、今労働組合がいろいろと政治的な問題に関与するというような問題につきましては、私はこのように解釈いたしているわけであります。労働組合は経済団体であります。したがって、経済的な地位を確保するためにみずから文化活動とかあるいはまた福利厚生活動とかいろんな問題を議論いたします。賃金要求もあるでしょう。労働協約の締結の問題もあるでしょう。そういったような問題等について企業内で労使がいろいろ話し合って決めていくわけであります。しかしながら、労働組合だけで解決できない問題というものがございます。例えば減税の問題でありましょう。今、この経済不況打開に向かって五兆三千億というような減税を続けていくという問題も、これまた労働組合の労働条件の維持改善、生活の向上につながっているわけでございます。  そういったような問題とか、あるいはまた年金やその他福祉にかかわる問題等を国会に、政治の分野にあるいはまた行政にお願いしなきゃならぬ点がたくさんあるわけであります。そういうことについて、労働組合運動の発展の姿として自分たちの労働組合員の生活工場につながるものとして運動することについては、私は一向に差し支えない。したがって、そういう立場に立って労働組合を見詰めていく。  したがって、そういうことで自分たちの要求を実現してくれるための政党というのはどうあるべきか、どういうことを望むか。これはアメリカにおいても非常に御経験の深い、アメリカの例えは民主党にしても共和党にしても、そういう分野はAFL・CIOの関係等においてもあると思うのであります。そういうことで日本も連合にまとまりました。まさに八百万の組織であります。ここで私は今の連合の掲げている制度政策要求という問題等についてはこれを支持し、健全な発展というものについてこいねがっているし、労働省としてもこれらの皆さんとも提携しながらこれから労働行政を進めていきたい、かように考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  55. 笠原潤一

    笠原潤一君 大臣からいろいろな御所見をお聞きしました。私は労働組合の政治性を否定するものではありません、それは当然でありますから。ただし、本来のそういうものではなくて、ゲームみたいなものに熱中することはいかがかということだけであって、そんなことを私は申し上げたんであって、今大臣が言ったような、そういうことは当然の帰結であることは私もよく存じ上げております。健全なそして同時に政治的にやっぱり労働組合がアプローチすることも大事でしょう、自分たちの権利保護のためにも。また環境の保全もいろいろなことがあるでしょう。それを私は何ら否定するものではありませんし大いに慫慂するものである、私はその点では同感でありますから、その点は御心配なく。労働省関係でこれだけ時間を費やしました。  実は、また防衛の問題に関して衛藤長官せっかくお見えでございますから、これからわずかしか時間がございませんが、ちょっと。  神戸における、いろんなことがありましたけれども、自衛隊の災害対策に果たされた役割は高く評価いたします。この問題を含めながら、と同時に先ほど大臣おっしゃったように、国際情勢というのは必ずしも平穏でもありませんし、国家の保安といいますか国家の厳然たる国土の保安、それから同時に我が国の存立を大事にするためには専守防衛であることはもちろんでありますが、そういう意味で一番大事な任務を負っておられます。どうかひとつ大臣の手腕に大変期待いたしておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  その中で、次期支援戦闘機FSXの量産化の問題、これはもう前から御承知のようにありました。この問題は今どうなっておるかということ。それからもう一つはTMD、世界は冷戦か解除されたといってもそうではなくて、ボスニア・ヘルツェゴビナ、これも考えてみますと、もうサラエボのあのすばらしいオリンピックをやったところでもあっという間に廃墟と化してしまった。その前からいえば、セルビアとあの辺の問題は、バルカンの英雄という言葉があるように、バルカン半島というのは何百年前からも御承知のような絶えず噴煙ただならぬ様相を呈するところであります。  だから、世界が平穏だと言っても、なるほどソ連がロシアになったと、言っても、もう御承知のように各地では頻発する地域的な紛争もあるし、またいついかなる問題が招来するとも限らない。中台海峡を挟んで今大変に険悪な状況でもある。  さらに、きょうも新聞に出ておるように、我が国の非核三原則は、中国においては、これは荒唐無稽と言わないけれども、何か非核三原則に対して大変な中国政府は批判をされておる。核の実験において我が方の円借款の見直しは、これは私も、それは日中の間の長いことであるからそういうことまで踏み込んではいけないと思っていました。しかし、そうかといって嫌中的になっちゃいけない、厭中的になっちゃいけないと私もみずからそう思っております、中国の核実験に対して、またフランスの核実験に対しても大変な危倶を感じておりますけれども。しかし、現実の問題としてそういうことが行われるということであります。  そういう中で、一体日本防衛はどうあるべきか。先般も中国からミサイルが飛んできたという話もあるぐらいですから、一つ間違ったならば、中国には中国の世論というものがある。中国というのは、神農以来四千年の間、シナ一千年寧日なしというぐらい、易姓革命の国でありますから、いつ何ときどういうことが起こるかわからぬわけですから、これ実際の話が。絶えず変わるわけですからね。  そういう点からいって、我が国防衛とかそういう安全の問題について大臣ひとつ所見と、先ほど言ったようにTMDにしてもあるいは次期戦闘機のFSXの問題についても、どういうお考えであるか。さらに、シーリングの問題で実は、九十二円でしたか、防衛庁が設定されましたが、今や百二円になってしまった。したがって、ホスト・ネーション・サポートについてもこれは大変なことになると思うんですよ。さらにいろんなもろもろの問題を抱えておりますが、長官としてその点について、日米安保条約の維持と堅持についてもひとつお伺いをしたいと思います。シーレーンの問題もあるし、いろいろありますが、もうだんだん時間もなくなってまいりましたので、その辺をまとめてひとつ大臣にお聞かせいただければありがたいと思います。  もう一つは地元のことですが、これは中部空港と関連いたしますが、実は岐阜空港を民間と共用という意見がかなり前からいろいろ民間にも地域的にありますが、そういう点について。中部空港が一元化されますと、これは運輸省の管轄でありますが、そういうことを含めながらも、その点について、これは我が地元でありますが、航空自衛隊と民間共用についても防衛庁としてはどんなお考えを持っておられるのか。一時的には、何か岐阜で未来博があったときに共用にしてもいいというふうなお話もあったそうですが、その後推移いたしませんけれども、それらのことについて、五、六点について質問いたします。どうぞよろしくお願いします。
  56. 衛藤征士郎

    国務大臣衛藤征士郎君) 数項目についての笠原委員の質問でありますが、まず、私の防衛についての基本的な考え方を申し上げたいと思います。  それは、一つは軍事大国化の道を歩まない、憲法を守る、そして非核三原則を守る、こういう立場で、あくまでも専守防衛に徹する、こういうことでございます。  さて、よく仮想敵国のことを言われるわけでありますが、我が国政府といたしましては、特定の国または特定の地域を仮想敵国視するという考え方はとっておらないことは御案内のとおりであります。しかし、我が国防衛力の整備について言えば、特定の脅威に直接対抗することを目指すというよりも、我が国みずからが力の空白となって不安定要因となることのないように、独立国として必要最小限の基盤的な防衛力の整備を目指したい、これが基本になっているということでございます。  さて、この観点に立ちまして、今委員の御指摘の数点についてお答えを申し上げたいと思います。  一つはFSXの問題でございます。  この問題につきましては、現有の支援戦闘機の後継機として、我が国防衛上の観点を踏まえまして、日米のすぐれた技術を結集しまして米国のF16をベースとして開発してきたものでありますが、防衛庁としては今般これを量産化することといたしまして、平成年度概算要求におきましても十二機を整備したいということで要求をしておるところであります。なお、量産計画について申し上げますと、防衛庁としましては支援戦闘機、教育用航空機等の所要を考慮いたしまして合計百四十一機を平成年度から平成十九年度にかけて十二年間で整備する考えを持っておるわけでございます。  次に、TMD、戦域ミサイル防衛の問題でありますが、これはまず我が国防衛政策上の位置づけといたしまして、これに対する我が国の対応、また専守防衛の観点から政策判断を行う必要がある、このように考えております。そのためには、弾道ミサイルの脅威であるとかTMDの具体的内容、その技術的可能性、費用対効果等多岐にわたる問題について検討する必要がある、このように考えておるわけでございます。平成年度以来、事務レベルでTMDの具体的な内容につきまして米側から説明を受けておりますが、現在は、昨年九月の円米防衛首脳会談における合意に基づきまして、弾道ミサイル防衛に関する多くの知見を有する米側の協力を得ながら、日米共同で研究を進めておるところでございます。  なお、平成年度予算におきましては、御案内のとおり、我が国の防空システムのあり方に関する総合的調査研究に係る経費を計上いたしまして、また平成年度予算概算要求におきましても引き続き本調査研究を行うために所要の経費を要求したところでございます。  これによりまして、防衛庁といたしましては、弾道ミサイル攻撃などの空からの脅威に対処するための防空システムの機能、それから性能などにつきまして分析評価を行い、本件政策判断に必要な技術的資料の収集に当たりたい、このように考えておるわけであります。このような検討を踏まえまして、TMDに対する我が国の対応等について判断をしてまいりたい、このように考えております。  日米安保体制の問題が指摘されましたが、これは我が国の存立と繁栄にとって不可欠のものである、このように認識をしております。まずは我が国の安全の確保、極東の平和と安全の維持への貢献、日米関係の中核でありますし、また幅広い日本の外交関係の基礎でもあります。こういった観点を私たちは踏まえまして、日米安保体制は引き続き重要な意義を有している、このように考えておりますし、特に、アジア・太平洋地域における平和と安定の維持への貢献という意義はむしろ高まってきている、このような認識に立っておるわけでございます。こうした観点から、我が国といたしましては日米安保体制の信頼性の向上を図りまして、その円滑な運用のために努力をしてまいりたい、このように考えております。  平成年度防衛関係概算要求の問題でありますが、対前年度比二・九%増となった、こういうことでございます。極めて厳しいものでありますけれども、何とか所要の経費枠を確保できたものと、このように考えておるわけであります。防衛庁としましては、概算要求において認められた枠の中で、国の防衛に万全を期すべく自衛隊の維持運営のために必要な経費を極力確保いたしまして、御指摘のありました災害等にも対応いたしまして、自衛隊がその機能を十分に発揮できるよう創意工夫を凝らしてまいりたい、このように考えております。  災害対策に対する対応でございますが、阪神淡路大震災の災害派遣の教訓を踏まえまして、三月二十四日に防衛庁長官を議長とする災害派遣検討会議を設置したところでございます。  この検討会議におきまして、具体的には自衛隊法第八十二条第二項のただし書き、いわゆる自主派遣条項の運用方針の検討をいたしました。また、地方公共団体との連携の強化、さらには災害救援活動の円滑な実施のために必要な権限の検討、情報伝達の迅速化、効率化を図る、さらに災害派遣にかかわる備品等の充実に当たる、このようなことであります。また、平成年度補正予算におきましては、御案内のとおり、ヘリコプター等により収集した映像情報を伝達するシステム、人命救助システム等の整備にかかわる経費を計上いたしたところでもあります。また、災害派遣を命ぜられた部隊等の災害時における自衛隊の緊急通行車両の通行を確保するための措置にかかわる権限が付与されました。等々、いろいろの問題につきまして新しく検討が加えられたことを申し上げたいと思います。  時間の関係上、次の問題について御答弁を申し上げたいと思います。  個別の問題といたしまして、先生の地元の岐阜飛行場の民間共用化についてのお話もございました。航空自衛隊の岐阜基地につきましては、現在、飛行開発実験団等が配備されまして航空装備品等の試験、運用研究等を行っておりまして、航空自衛隊といたしましては飛行場の利用に高い需要を有しておるところであります。同基地につきましては、地元に飛行場を民間共用するための一般的な願望があることはよく承知しております。しかし、現段階において地元関係機関等からその具体的な計画ないし要望が示されておらないようでございます。このため、防衛庁といたしましても岐阜飛行場の民間共用化につきましては具体的な検討を行っているものではありませんが、こういった立場でございますので、今きめ細かく具体的な意見を申し上げることは差し控えたいと考えております。  以上、取りまとめて申し上げました。また質問がございますればお答え申し上げたいと思います。
  57. 笠原潤一

    笠原潤一君 どうもありがとうございました。  これで質問を終わります。
  58. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      ――――◇―――――    午後一時開会
  59. 浦田勝

    委員長浦田勝君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成年度決算外二件及び平成年度決算外二件を一括して議題とし、法務省労働省防衛庁及び裁判所決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  60. 武田節子

    ○武田節子君 平成会の武田でございます。両大臣の御就任、まことにおめでとうございます。よろしくお願いいたします。  私は、本日は労働省関係の質問をさせていただきます。初めに、労災保険診療費算定基準改善要求について労働省お尋ねいたします。  会計検査院より、平成二年十月五日付で労働大臣に対し、労災保険診療費の算定基準改善について、いわゆる地域特掲料金の問題が指摘されておりますけれども、本件に対し、まず、なぜこのような状況が生まれたのか、その背景と、また労働省としてどのような処置をされ、また現時点における状況はどのようになっているのか御説明をお願いいたします。
  61. 松原亘子

    説明員(松原亘子君) 労災保険における診療費の算定は、制度発足当時は自由診療で行われていたわけでございますけれども、その後関係機関と協議を重ねまして、昭和五十一年一月には全国的統一基準であります労災診療費算定基準を定めたわけでございます。  しかしながら、これを定めた後も、それ以前に自由診療で行われていた診療費を直ちに全国統一基準まで下げるということについてさまざまな困難がございましたことから、一部の労働基準局におきまして、算定基準を超えた料金を地元医師会等と協定を結ぶなどして設定した、先生が御指摘されましたいわゆる地域特掲料金による算定が継続して行われていたというものでございます。  この地域特掲料金につきまして、平成二年十月、会計検査院からその解消につき指摘を受けたわけでございまして、労働省におきましては、この指摘を踏まえまして地方労働基準局に対して強力な指導を行ってまいりまして改善に努めてきたわけでございます。  その結果、当初は二十四の局におきまして存在しておりましたこの地域特掲料金が徐々に解消に向かいまして、現在は残り三局、つまりこの間に二十一局につきましては完全に解消された、残り三局におきましてまだ残っているというのが実情でございます。
  62. 武田節子

    ○武田節子君 それでは、まだ完全解決に至っていない三労働基準局については、平成二年十月の改善要求より今日まで相当の時間を要していますけれども、今後の処理の見通しについてお示しをいただきたいと思います。
  63. 松原亘子

    説明員(松原亘子君) 御指摘のように、平成二年からかなりの時間を要しているわけでございますが、この間私ども鋭意関係機関と話し合いを進めまして地域特掲料金の解消に努めてきたわけでございます。三労働基準局におきまして残っているわけでございますけれども、当初残っていたものからは大分解消が進んできている、しかしながらなお一部に残っている、こういうことで完全解消には至っていないわけでございます。  私どもといたしましては、この完全解消を図るということが極めて重要であるというふうに認識しておりまして、今後ともなるべく早い時期に解消が図られるよう関係者の理解も得ながら進めたいというふうに思っているところでございます。
  64. 武田節子

    ○武田節子君 では、平成二年十月に会計検査院の改善要求が出されてから今日まで相当の時間が経過したにもかかわらず、なお現時点において未解決の三労働基準局のように地域によって統一算定基準を上回るところもあるようですけれども、このような問題の根本的な改善、解決には、労災診療や早期職場復帰や緊急性確保などの観点から健康保険診療とは同一視できない部分があることも理解できます。したがいまして、国の医療制度全体の中における労災診療の位置づけをより明確にするなど、労災保険法改正を含み、より抜本的な見地から労災診療費算定基準の明確化及び確立を図ることが必要であると考えますけれども、この点についてお尋ねいたします。
  65. 青木薪次

    国務大臣青木薪次君) 私としても、地域特掲料金の解消を図るということは非常に重要な問題であると位置づけいたしておりますので、労災保険の診療費のより一層適切な運用を図るべく、さらにひとつ努力をいたしてまいりたい、このように考えておるところであります。
  66. 武田節子

    ○武田節子君 今回は時間の関係上これで終わりますけれども、労災診療についての抜本的見直しについて労働委員会等でより深く掘り下げ、全体的見地から再度論議のテーブルに上げたいと思いますので、きょうはこの問題はこれで終わりまして、次の問題に移らせていただきます。  次は、女性問題についてお尋ねいたします。  平等、発展、平和をテーマに世界の約百八十カ国保地域政府代表が男女平等の具体策を協議する第四回国連世界女性会議が、北京の国際会議場で明十五日閉幕の予定で行われております。この北京会議におきましては、女性の意思決定の場への進出が大きなテーマでもございました。  こうした時代の流れの中で、我が国の現内閣には女性の閣僚が一人も入っておりません。時代に逆行したものと思わざるを得ません。女性の地位向上を掲げ、そして男女共同社会の実現を声高にされてこられた社会党党首の村山総理による内閣としては、おっしゃっていることとこの現実の違いを私は大変残念に思っておる次第でございます。社会党御出身の労働大臣としてはこのことをどのようにお感じになっておられますか、お伺いいたします。
  67. 青木薪次

    国務大臣青木薪次君) 武田先生からの御質問にありましたように、政治、行政を初めといたしましてあらゆる分野の政策方針決定への女性の参画を促進することが我が国における喫緊の課題であることは、まことに先生御指摘のとおりだと考えておるところであります。  村山総理は、今回の内閣改造に当たりまして、こうした点を踏まえていろいろと苦心されたわけでありまするけれども、結果的に女性の入閣が実現しなかったことについては私としても極めて残念だと思っております。ただし、政務次官については二名も今度は入っていただきました。そうして、補完するような努力をこれから、労働政務次官もそうでありますけれども、一緒になってひとつ女性の地位向上、男女同権という問題が具体的に実施されまするように努力いたしてまいりたいと思っておるところでございます。  先生御指摘のように、世界女性会議というのは昨年までは世界婦人会議と言いました。第四回の北京の会議は女性会議と変わりました。そして、各県も婦人から女性へと呼称も変わってまいりました。  このときに私は、大臣就任と同時に、労働省は婦人局というものがある、したがってひとつ婦人局を女性局にできないか。あるいはまた、今御答弁願いました松原局長もかつては婦人局長でありました。労働省は婦人の幹部がたくさんございまして、それぞれ重要な地位についていらっしゃいます。そこで、閣議後の閣僚懇談会でもって私は発言をいたしました、婦人という立場は、これはいろいろと言われているけれども、概念的には結婚した女性をまあ大体婦人というような呼称で言われやすい。それから、女性は、すべての女性を、全部これを女性という立場で呼称されている。  したがって今後、男女同権、特に男女雇用機会均等法の問題等についても、女子の保護規定という問題も労働基準法上いろいろあるけれども、そういう問題とも兼ね合わせまして、これからひとつ秋以降審議会において本格的に御議論願うということを通じまして、婦人の雇用の場における平等の関係等も考えつつ、今の女性の雇用機会というものは非常に狭められている、こういう問題等についても深刻な問題である。  したがって、大学のキャンパス等に対しても、一年間に三回、細かく就職案内等を出して、そうして女性の雇用という問題等についても真剣に考えていくということを通じまして、文字どおり男女雇用機会均等法というものの改正をこれからも審議金にお願いすると同時に、すべての問題について男女同権の実を上げていくように努力いたしたい、こう考えているところであります。
  68. 武田節子

    ○武田節子君 大臣の女性に対する深い御理解を心から感謝し、期待しております。  次は、今日大変深刻な問題であります女子学生の就職難についてお伺いいたします。  御存じのように、来春卒業予定の女子学生の就職については、超氷河期と言われるほど厳しい状況にございます。リクルートリサーチの調査によりますと、来春卒業予定の大卒求人倍卒は、男子一・三三、女子学生は〇・四五と、女性は男子の三分の一の求人しかございません。しかも、女子学生の半数以上は就職先が全くございません。これにミスマッチを勘案しますと事態はもっと深刻でございます。  なお、求人票には女手は不可になっていないのに資料を請求しても送ってこない、問い合わせをすると、女子は採用計画には入っていないとにべもない返事が返ってくることも多いようでございます、要するに、募集以前の段階で既に性差別が行われていることが求人の男女格差の数字となってあらわれております。労働省はこの実態をどう認識されているのでしょうか。女子学生雇用拡大のための事業主に対する個別指導等、対策を早急に講じる必要があると思います。  もちろん、労働省としてもそれなりの努力をされていることも理解いたしております。  去る九月四日、東京ドームでの来春卒業予定の学生を対象にした首都圏就職面接会が労働省主催で開かれました。この日正午現在で、リクルートスーツの学生たち約一万人近くが長蛇の列という報道がされております。実際に集まった学生はこの報道の三倍、三万人近くは集まっていると言われております。もう全然入れないと言って帰った学生が大半だったようであります。大卒女子二人しか採らない企業に何百人も受験に来ていたとか、また何社受けたか覚えていないなどの想像を絶する厳しい超氷河期戦線に、何とか九月には決めたいとの悲鳴にも似たような声が聞こえてまいります。  大臣は、八月二十四日、労政記者クラブでの会見の折、女性の雇用状況の厳しさを訴えられ、社会的弱者の立場に立って物事を考えるのが労働省の立場だと述べられております。具体的対策について、新労働大臣の積極的な取り組み姿勢を簡単にお示しください。よろしくお願い たします。
  69. 青木薪次

    国務大臣青木薪次君) 武田先生が御指摘されましたように、八月二十四日の記者会見を踏まえて、九月四日に東京ドームで一万三千人の未就職学生の皆さんに、キャンパスに現存 る皆さんを初めとして集まっていただきました企業は七百社参りました。ここで念には念を入れていろいろな御意見を聞く機会を得ることになりました。それから、各県においてもこのような集団就職相談をやっております。私どもは、これを集団見合いという呼称で提唱いたしておりまするけれども、このことによって数千人の人が大体この機会に就職が東京ドームだけでできるという情報を得ていることに大変喜んでおる次第でございます、  先生御指摘のように、就職面接会については今後とも各地方単位に継続的に実施をいたしてまいりたいと思います。それから、就職活動において女子学生が男子学生に比べて不利な取り扱いをされることのないように男女雇用機会均等法を着実に定着させる。一部にまだ不満足な点がございまするけれども、経営者等に対しても啓蒙宣伝をよくやって、そうして男女雇用機会均等ができまするように努力いたしてまいりたいと思っているところでございます。  私としては、働くことを希望する女子学生が男子学生と同様にその能力を発揮する機会を得ることができるよう、今後ともひとつ継続的に努力いたしてまいる決意でございます。
  70. 武田節子

    ○武田節子君 大変ありがとうございます。  次に、今日的社会問題となっております就職浪人の急増についてお尋ねをいたします。  就職浪人の数は、昨年は十五万人、本年が十六万人、来年はさらにこれを大幅に上回るだろうと予測されております。人生の新しいスタートをするとき、就職先がないということは本人にとってどれほどつらいことでしょうか。また、それまで御苦労された御家族にとっても言い尽くせないショックであり、悲しみだろうと思います。  ある女子大学の就職課の職員のところに泣いてくる女子学生も多いようであります。母親からこの四年間何をしていたのとか、あるいは取り組みが甘かったのではないかなどと責められ、自分自身が途方に暮れているのに母親に厳しく言われ、とてもつらいと泣いてくる学生もいるんですと職員の方もまたつらそうに話しておられました。  これはやはり政府労働省社会的に大きな問題としてとらえ、真剣に取り組んでいかなければならないと思います。そこで、できればこれら就職前失業者に対しては雇用保険三事業を活用して、就職促進のために救済策を積極的に講ずることにしたらいかがでしょうか、お尋ねいたします。
  71. 青木薪次

    国務大臣青木薪次君) 新卒者の希望するようなことについては、社会に羽ばたこうとする気持ちを大切にいたしまして、いわゆる就職浪人が今御指摘のようにないように努力しなければならないというように考えております。そういう認識で今後とも努力したいということと、このために新卒者の就職機会の確保に全力を尽くすとともに、未就職者に対しては未就職卒業者職場体験プログラムというもので、三カ月なら三カ月の契約を結んで会社へ行って、そこでよろしければそのまま採用してもらうというようなこともやっていきたいと思っております、合同面接会の実施を初めといたしまして、今まで以上にきめ細かな対策を実施いたしてまいる所存でございます。
  72. 武田節子

    ○武田節子君 実は、就職担当の職員の方に泣いてくるという話を聞いたときに、こんなことがなければいいがなとちらっと思いながらこの原稿を考えておったときに、ちょうど昨日「女子大生飛び降り自殺」という記事が東京新聞に掲載されました。七階のマンションから飛びおりて自殺したというニュースでした。黒の三つぞろいのスーツ姿だったようでありますが、調べでは平成五年に両親か病死されて弟と二人暮らし。十一日夕方、スーツに着がえて外出した、これからの生活や就職のことで悩んでいたのではないかというようなことを弟は話しておりますけれども、これがまた二人、三人と続くことのないようにしっかり労働省としては取り組んでいただきたいことを本当に心からお願いするわけでございます。  次に、以上の観点から男女雇用機会均等法の見直しについてお尋ねをいたします。  男女雇用機会均等法については、同法施行後において「施行状況を勘案し、必要があると認めるときはこ検討を加える、いわゆる見直し条項が記載されております。今日まで何ら見直しかされていないことに多くの女性からの抗議の声が上がっております。特に、超氷河期と言われるほどの現在の女子学生の雇用状況は、現行の努力義務規定の雇用機会均等法の限界を露呈しているものだと私は思うのでございます。見直し条項に記載されている「必要があると認めるとき」とは、まさに今そのときではないでしょうか。このような状況が長く続いているにもかかわらず、この十年間何ら見直しか行われなかったことは、実に私は怠慢ではないかというふうに思うわけでございます。  均等法の見直しについてどうお考えですか。具体的な見直しのスケジュールについて、ぜひ全国の女性に対して示していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  73. 青木薪次

    国務大臣青木薪次君) 均等法施行後、企業における女子の雇用管理の改善が図られてきましたが、一部には問題のある事案もなお見受けられているところであります。このため、労働省としてはさらに均等法の趣旨の徹底に全力を挙げて取り組んでまいります。  さらに、均等法の見直しについては、労働基準法の女子保護規定とあわせて婦人少年問題審議会において御審議をいただいているところでありますが、その結果を踏まえて対応したいと考えているところでございます。
  74. 武田節子

    ○武田節子君 とにかく、男女格差の問題は人権問題として明確に位置づけられなくてはならないと思っております。さらに、その人権問題としての意識で使用者みずからも真剣に取り組んでいかなければならない問題であると思っております。そうでなければ差別解消はなかなか困難であります。  そこで、均等法見直しについては、新たに女子の就職差別のある事業主については三年間あるいは五年単位で男女雇用均等実施計画を提出することを条項につけ加えることを提案いたします。また、毎年報告を義務づけ、公開を原則とし、実施状況によっては改善勧告・命令を行うようにするべきではないでしょうか。また、従わない場合には罰金を科するべきだと思いますが、いかがでございましょうか。  このお答えをいただきます前にもう一つ最後につけ加えさせていただきますと、労働省におかれましては、全国で四百七十九の職業安定所の所長の中で女性はわずか七名、安定所の出張所百二十を見ましても女性所長は八名、安定所を指揮監督する都道府県の職業安定課長に至っては四十七名中女性課長は二名です。最も千木を示すべき労働省の女性の登用がこんな状況では、女性の雇用問題は解決しがたいと私は思うのでございます。また、男女共同社会の実現も道遠しと思うのですが、これも含めて、ぜひ大臣のお考えなども伺わせていただければありがたいと思います。  これで私の質問を終わります。
  75. 澤田陽太郎

    説明員澤田陽太郎君) 武田先生の御質問の前段についてお答えを申し上げます。  均等法の見直しにつきましては、先ほど大臣の御答弁にございましたように、婦人少年問題審議会におきます審議の結果を踏まえて対応することとしておりますので、先生今御提案のような見直しの具体的な内容につきましては、労使を初めとする関係者の意見を十分聞きながら検討すべきものと考えております。  なお、均等法三十二条におきましては、労働大臣はこの法律の施行上必要あると認めるときは事業主に対しまして適宜報告を求めることができるという規定がございまして、この規定に基づきまして実際に事業主から必要な報告をとり、問題のあるケースにつきましては企業に助言、指導等を行っているところであります。
  76. 征矢紀臣

    説明員(征矢紀臣君) 簡潔に御答弁申し上げます。  公共職業安定所長等につきましての幹部職員の中の女性の割合の問題でございますが、御指摘のように現状におきましては割合が非常に少ないわけでございますが、これは過去におきます職員の中における女性の割合が少なかったこと等も ざいましてそんな結果でございますが、最近女性職員の採用が非常にふえておりまして、最新時点でいきますと男性五四%に対して女性四六%というような割合になっております。  したかいまして、係長以上で見ますと一八%ぐらいの管理職というようなことになっておりまして、今後女性の幹部も逐次ふえていくものというふうに考えているところでございます。
  77. 浦田勝

    委員長浦田勝君) この際、質問される委員皆様方に申し上げますが、決められた枠内でお願いいたしたいと思います。ですから、政府の方の答弁も簡潔にひとつ要領よくやっていただきたいと思います。
  78. 続訓弘

    ○続訓弘君 私は、平成会の続であります。  具体的な質問に入ります前に、三大臣に申し上げます。冒頭、田沢法務大臣青木労働大臣衛藤防衛庁長官から力強い所信の表明がございました。せっかくの所信に向かって、ぜひとも御努力をお願い申し上げます。  私は、労働問題に関連して御質問申し上げますけれども、笠原委員もけさほど労働問題について御質問されましたし、ただいま武則委員からもございました。したがいまして、重複を避けて簡潔に御質問申し上げます。  数カ月前の新聞報道によりますと、失業率は最悪の三・一%、失業者数は二百十一万に達している、こういう報道がなされておりましたけれども、現時点ではどのように推移しているか、数字だけを簡潔に御説明願います。
  79. 征矢紀臣

    説明員(征矢紀臣君) 最新の時点としましては、ただいま先生御指摘のとおり七月現在の数字でございまして、完全失業率は季節調整値で三・二%、それから完全失業者数については現数値ですと二百二万人ということでございまして、前年同月に比べて十四万人の増加となっております。
  80. 続訓弘

    ○続訓弘君 青木労働大臣は、私の仕事はまず第一に雇用問題の解決だということを力強く述べられました。ただいま武田委員は、具体的な数字をもって女子学卒者の悩み、そういうものを訴えられました。ぜひこのことを踏まえながら、政府として失業問題の解決あるいは学卒就職者の問題の解決に御努力をお願い申し上げます。  次に、労働省は、雇用問題に関連をいたしまして昭和六十二年度からホワイトカラーの職能向上策の検討を重ねられ、その結果を踏まえて平成年度からビジネス・キャリア制度として、人事、経理の二分野の職業教育訓練を実施されました。私は、この制度の創設を率直に評価いたしたいと存じます。しかし、なおこの際四点にわたってただしたいと思います。  第一点、現在のような雇用情勢から見て、例えば営業、生産管理、法務、広報、国際関係等々幅広い分野の職業教育訓練が必要ではないかと思いますけれども、どうでしょうか。  第二点、しかもこれらは二、三年のうちに実現すべきものと思いますけれども、いかがでしょうか。  第三点、この制度をより発展、定着させるためには資格制度にすべきと思うけれども、どうでしょうか。  第四点、この制度を資格制度にした場合の受験資格は、労働大臣認定教育訓練の受講修了者に加えまして、一定年数の実務経験者にも門戸を開放すべきではないかと思います。  以上、四点にわたって御回答願います。
  81. 青木薪次

    国務大臣青木薪次君) ビジネス・キャリア制度については、続先生から評価をしていただいて感謝いたしております。  これが社会的に定着することが重要と考えておりまして、積極的に制度の周知、普及に努めるとともに、企業内外で有効に利用されるように実効ある方策を検討してまいりたいと思います。またよろしくお願いいたしたいと思います。  細かな点については当局からお話しいたします。
  82. 伊藤庄平

    説明員伊藤庄平君) このビジネス・キャリア制度につきまして、御指摘のあった点について具体的な私どもの考え方について説明をさせていただきます。  まず第一点、対象分野の拡大について御指摘ございました。この制度、先生御指摘のように平成年度から始めまして、当初、人事・労務あるいは財務・経理といった分野から始めましたが、その後、営業・マーケティングそれから生産管理、こういった分野につきましても今年度新たに教育訓練を受講していただき、修了認定試験まで行うというところまで拡大いたしました。またさらに、私ども現在、法務・総務それから広報・広告、こういった分野につきましても準備を整えておりまして、来年度からは具体的に教育訓練のコースを受講いただき修了認定試験を実施する、こういった運びにいたしております。また、その後におきましても、先生御指摘のございました国際関係、例えば国際ビジネスといったような分野も準備を整えまして、最終的には平成年度までに十の分野程度まで拡大してまいりたいというふうに考えております。  また、次に御指摘のありました二、三年のうちにという点につきましては、平成年度を目標にしているということで御了解をいただきたいと思っております。  それから、この修了認定試験を実施して、それが企業のホワイトカラーの方々の処遇等に結びつくように私ども努力いたしておるわけでございますが、これを国家の認定資格制度にしたらどうかという御指摘でございますが、私ども、このビジネス・キャリア制度、そういった形で勉強していただいた方が企業内で処遇されていく、あるいは労働移動の際に役に立つ、こういったことを社会的に定着させていくことがまずもって大事かと思っております。国家的な資格認定制度にいたしますと、若干現在行われています技能検定制度とかいろんな資格制度との調整ということで大分時間を要しますので、まずそういった点につきまして最大限の努力をいたしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  83. 続訓弘

    ○続訓弘君 せっかく期待をされておりますので、ぜひとも平成十年ではなくてもうちょっと短い期間に実現されることを御要望申し上げます。  続いて、学習障害児の雇用問題について御質問をいたします。  前浜本労働大臣時代に、ことしの六月二十七日でございましたけれども、学習障害児を持つ親御さんたちが具体的な陳情にお見えになったと伺っております。七項目にわたって陳情されたと。私は、確かに親御さんからしてみれば、子供さんの将来のことを考えて気が気ではないだろう、このように思います。つきましては、二点にわたって具体的に労働省のお考え方を御質問申し上げます。  その第一点は、職業安定所や職業訓練所、地域障害者職業センター、就労援助センターなど労働省関係の職員に対して、この学習障害児をローマ字ではLD児とこう訳しておりますけれども、LD児への理解と認識を深めるために研修を行い、LD児にも広く雇用の機会を与えられるように指導すべきではないかというのが第一点。  第二点、LD児の雇用を拡大していくためには労働省が一般企業や国、地方公共団体等の公的機関に対して雇用の機会を広く与えてくれるように積極的に働きかける必要があると思うけれども、この二点について御所見を承りたい。
  84. 征矢紀臣

    説明員(征矢紀臣君) ただいま御指摘の学習障害の問題でございますが、これ最近新しくそういう障害があるということがわかってきたわけでございまして、実は私どももそういう意味では行政経験が極めて浅いところでございます。国会での御指摘も受けながら勉強しながら対処しているところでございますが、この学習障害を持つ方々につきましては職業につくことが困難な方々がおられるわけでございまして、こうした方の雇用の場を確保するためには、一人一人の職業上の問題点を個別具体的に把握し適切な職業が選択されるようにきめ細かい援助指導を行うことが必要であるというふうに考えております。  労働省といたしましても、公共職業安定所を中心としてきめ細かな職業指導あるいは職業紹介等を行いその就職の促進に努めているところでございますが、ただいま御指摘の第一点題の研修の問題でございますが、私ども職員の研修につきましてこういう障害者担当官の研修機会もございます。したがいまして、そういう機会の中でこの学習障害の問題につきましても取り上げまして、今後対処してまいりたいというふうに考えております。  また、現在学習障害を持つ方々が就職する上での問題点あるいは職業リハビリテーションのあり方、事業所におきます必要な配慮などにつきまして調査研究も行っているところでございまして、今後におきましてこの研究成果等も踏まえまして学習障害を持つ方々に対する具体的な対策について検討してまいりたいというふうに考えております。
  85. 続訓弘

    ○続訓弘君 村山内閣はかねがね人に優しい政治、これを大きく掲げられております。労働大臣、ぜひこういう障害を持つ子供さんたちの就労の機会について特段の御努力を御要望申し上げます。  次に、法務省関係について御質問申し上げます。  まず、会計検査院にお伺いいたしますが、会計検査院が平成年度及び五年度において法務省に対して指摘されました不当事項について御説明願います。
  86. 山田昭郎

    説明員(山田昭郎君) 御質問の法務省における不正行為でございますが、平成年度指摘は、岡山地方法務局の職員が、登記等の事務に従事中、昭和六十年十二月から平成三年四月までの間に、登記申請書に張りつける目的で保管されていた未使用の収入印紙及び収入印紙代として受領し保管されていた現金計八千五百万余円を領得したものでございます。  また、五年度指摘でございますが、東京法務局の職員が、平成元年七月から三年五月までの間及び五年六月から六年三月までの間に、同様に収入印紙及び現金計三億五千五百万余円を領得したものでございます。
  87. 続訓弘

    ○続訓弘君 ただいま御報告がございましたように、平成年度は約六年間にわたって八千五百万円、また平成年度指摘事項は約三年間にわたって三億五千五百万、こういう巨額の不正行為であります。  これらに対して、まず法務省に伺いますけれども、第一点、このような事態に対してどう考え、反省をしておられるのか。第二点、いかなる再発防止策を講じられたのか。第三点、今申し上げた八千五百万なりあるいは三億五千五百万の生じた損害額に対してどのように求償をしておられるのか。この三点についてお答え願います。
  88. 濱崎恭生

    説明員(濱崎恭生君) ただいま会計検査院から御指摘のありましたような不正事件が発生し指摘を受けたわけでございまして、このような不正行為の防止については従来から配慮してきたつもりでございますけれども、まだまだ至らないところがあったというふうに深く反省をしている次第でございます。国民皆様方にとって大変申しわけない事態であったということを深くおわび申し上げたいと存じます。  このような事犯、しかも二年連続して指摘を受けるというようなことになったという経緯を踏まえまして、私どもそういう反省を踏まえて、速やかにこのような不正事犯が再び発生することのないよう、その防止策の徹底について通達を発出いたしました。それと同時に、全国法務局地方法務局長会同その他あらゆる会同等の機会をとらえまして、管理者及び職員に対して綱紀の粛正の徹底を図るよう指示しますとともに、こういうことを再び発生させることのないような内部の監視体制の充実、それから事務監査の内容の充実について通達を発出するなどして、再びこのような事犯が二度と発生することのないように努めているところでございます。  従来も努めてきているつもりでございますが、全国法務局、登記所の職場の隅々まで、職員一人一人まで果たして徹底していたかどうかということを十分に反省して、その徹底を図るということに努めているわけでございます。再びこういうような不正事犯を発生させることがないようにという決意を持って臨んでいるところでございます。  なお、被害の弁償の関係でございますけれども、四年度指摘を受けました岡山地方法務局関係事件につきましては、被害額約八千五百万円中、当事者から返納を受けた額が八百五十二万円でございまして、なお七千六百万円余が未収ということで債権管理をしているところでございます。この返済について鋭意返済を求めるように努力しているところでございますが、この事件、本人は懲役刑を受けまして、現在出所して勤務して給与を受けておりますが、その給与の中から弁済を月々受けておりますけれども、これは延滞金に充当するということで、元本に充当するに至るまでにはなおいろいろ難しい問題があろうかと思っております。  それから、二番自の東京法務局練馬出張所の関係につきましては、損害額約三億五千万円余のうち、既に本人から二億七千万円余について返済を受けております。残る金額が八千五百万円余ございますけれども、これについては本人名義のマンション等からの回収を図るべく現在鋭意努力中という状況でございます。今後ともその回収については努力をしてまいりたいと思っております。
  89. 続訓弘

    ○続訓弘君 次に、裁判所関係について伺います。  平成年度歳出予算項目、諸謝金の決算額は三十五億四千二百十六万余円であります。この中で、まず質問は、第一、国選弁護人に対して支払われた金額は幾らか。第二点、選任された国選弁護人の人数は何人か。三点目、平均支給額は幾らかをお答え願います。
  90. 高橋省吾

    最高裁判所長官代理者(高橋省吾君) 全国地方裁判所選任された国選弁護人の累計総数は、平成四年から平成六年の三年間で合計九万三千六百八十二人、一年当たり平均三万一千二百二十七人となっております。  平均的な事件の国選弁護人の報酬の基準額は、平成四年が六万八千七百円、平成五年が七万二千円、平成六年が七万四千八百円となっております。
  91. 続訓弘

    ○続訓弘君 東京弁護士会の調査によりますと、これは平成三年四月五日から平成五年三月二十二日までの受任国選弁護件数は三百十六件、事件処理に要した平均時間は十九時間十四分、一件当たり報酬額は六万五千九百十円、これを一時間当たりに換算いたしますと三千四百二十三円であります。日本弁護士連合会は、かねてこの報酬額について増額の要求をしておられます。私も、常識的に弁護士の時給が二千四百二十三円は低過ぎるんじゃなかろうかと囲います、  そこで、裁判所に伺います。国選弁護人の報酬に対する基本的な考え方と現行基準の妥当性についてどう考えておられるのか、御所見を承ります。
  92. 高橋省吾

    最高裁判所長官代理者(高橋省吾君) 現在の国選弁護人に対する報酬額につきましては、その金額で全く十分であると、そういうふうに考えているわけではありませんけれども、社会情勢とかあるいは国選弁護人の公共的な性格などを考え合わせますと、目下のところではこの程度でやむを得ないものと考えております。  なお、国選弁護人の報酬につきましては、財政事情が極めて厳しい中でも、刑事裁判における国選弁護制度の重要性にかんがみ、毎年公務員の給与の改善卒を上回る基準額引き上げを行ってきているところでありまして、今後とも十分配慮してまいりたいと考えております。
  93. 続訓弘

    ○続訓弘君 次に、オウム関連の問題について伺います。  先ほど笠原委員からいろいろ御質問がございました。私は重複を避けて御質問申し上げます。  まず第一点、現在までにオウム関連事件として起訴した件数及び起訴人員について。第二点、今後オウム関連事件として起訴件数、人員をどのように予測しておられるのか、この二点について伺います。
  94. 則定衛

    説明員(則定衛君) お答えいたします。  オウム関連の事件ということで世間には初めてそれらしい認識が広まりましたのが、本年二月未に発生いたしました公証人役場の事務局長の仮谷氏拉致監禁事件でありました。警察当局におきましては、その犯人検挙に向けて捜査を鋭意展開中でございました本年三月の二十日に、例の営団地下鉄駅、電車内等におきますサリン散布によります多数殺害事件が発生したわけでございます。その数日後、警視庁を初めといたします金田の関係警察が一斉に強制捜査に乗り出しまして一連のオウム関係事件の捜査を急展開させて、これに対応いたしまして検察庁でも順次警察から送致を受けました事件を受理して今日に弔っているわけでございます。  これまで、先ほどの地下鉄サリン事件によります殺人あるいは殺人未遂等の事件、あるいは仮谷さんの逮捕監禁致死事件、それからいわゆる資産家の拉致監禁事件、さらには信者に対するリンチ殺人事件、加えて銃器の製造事件、あるいは覚せい剤、LSD等の薬物の製造事件等々、さまざまな罪種によります事件の被疑者を、昨日現在まで関係検察庁から報告を受けておりますところによりますと延べ約四百名の被疑者を受理しておるわけでございます。そういたしまして、昨日までにそのうち延べ約二百六十名を先ほど申しました殺人、殺人未遂、殺人予備、逮捕監禁致死、営利略取罪あるいは武器等製造法違反等により、公判請求、正式裁判請求をいたしております。さらに、著作権法違反あるいは道路交通法違反等によりまして、罰金を求刑いたしますいわゆる略式請求事件として十一名を請求いたしておるわけでございます。  なお、現在いわゆる坂本弁護士一家殺害事件等について警視庁、神奈川県警と東京地検、横浜地検が連携しつつその真相の究明と犯人の処罰に向けて鋭意捜査を展開中でございますが、第二点のお尋ねの今後受理が予測されるべき人員ということにつきましては、現時点におきまして正確に予測するということは困難でございます。  なお、オウム関連事件と目されておりますいわゆるVXと称されます毒ガスを使用した殺人事件でありますとか、あるいはさらに内部におきます信者の殺害事件、さらには都知事あての爆発物郵送事件等、オウム関係者による犯行と目される事件の解明に向けて、警察及び検察当局が連携してその真相の解明と犯人処罰に向けて今後なお当分捜査を展開していくものと考えております。
  95. 続訓弘

    ○続訓弘君 ただいま法務当局から御回答がございましたように、オウム関連事件では大変人数も起訴件数も多いし、また被告人といいますか、その数も多い、そして複雑な事案である、こんな回答がございました。これらの被告人が私選弁護人を選定されるならば話は別でございますけれども、裁判所が国選弁護人を選任することになると私は大変問題があるんじゃないか、困難な問題が横たわっているのしゃなかろうか、そのように考えます。  そこで、裁判所としてオウム真理教関係事件に対して国選弁護人の選任の具体的な準備等はどのようにしておられるのか、具体的にお伺い申し上げます。
  96. 高橋省吾

    最高裁判所長官代理者(高橋省吾君) 国選弁護人の選任につきましては、通常の場合は、裁判所から弁護士会に対して国選弁護人の推薦依頼をして、弁護士会から国選弁護人を希望する弁護士の名簿に基づいて弁護士を推薦してもらった上でその弁護士を弁護人に選任する、こういうような運用がされております。  ただ、このような通常の推薦手続によってはなかなかその選任が困難であるとかまたは相出でない、そういう寮件につきましては、昭和五十四年三月三十日に法曹三者協議会において合意ができまして、そういうような事件につきましては特別案件ということで国選弁護人の推薦依頼を弁護士会にお願いしているところであります。  今回の事件につきまして、最も多く事件が係属しております東京地裁の取り扱いによりますと、通常の国選弁護人選任の方法によっては選任困難となることが予想されたために、このような事態に対処するために、裁判所と東京の三つの弁護士会との間で国選弁護人の選任に関して協議を調えた上で、裁判所から弁護士会に対し特別案件として国選介護人の推薦をお願いいたしまして、弁護士会の御努力によりまして、国選弁護を希望する相当数の被告人に弁護人か選任されていると聞いております。
  97. 続訓弘

    ○続訓弘君 ただいま裁判所側から具体的な御答弁がございましたように、本件に対して国選弁護人の選任については大変難しいと、るる御説明ございました。聞くところによりますと、今もお話ございましたように、東京の三弁護士会におきましては、裁判所の国選弁護人報酬のみによってオウム関連事件を処理することは不可能と判断して、オウム関連事件の国選弁護人を引き受ける弁護士に対しまして財政的にあるいは保安的に支援するため、各会員から拠出金を募集しているとのことであります。  そこで、裁判所に伺います。  第一点、裁判所は、オウム関連事件国選弁護人に対する報酬について、先ほど私が過去三年間の実績について時給三千四百円云々と申し上げましたが、そういう国選弁護人の報酬についてどのように考えておられるのか。このオウム事件の国選弁護人に対して特別の措置を考えておられるのかどうなのか。  第二点、国選弁護人の身の安全対策について、裁判所側としてどのように考えておられるのか。  この二点についてお答え願いたい。
  98. 高橋省吾

    最高裁判所長官代理者(高橋省吾君) まず、御質問の第一点の国選弁護人の報酬の点についてですけれども、国選弁護人の報酬は、実際に事件の審理を行った受訴裁判所が審理過程を振り返って、その事件の難易あるいは当該国選弁護人の訴訟活動の状況、開廷回数その他の事情を総合的に考慮して決定するものであります。報酬支給決定がなされる時期につきましても、通常は審理が終了した時点であり、長期間の審理を要する事件について途中で支給決定をするかどうか、またどの時点において支給決定をするか、中間払いということですけれども、そういう事項につきましてはいずれも審理を担当する受訴裁判所が判断することであります。  したがいまして、一部始まっておりますけれども、まだ本格的な審理が始まっていない現時点におきまして、受訴裁判所としましても具体的にその報酬額について定めることができない状況にあります。最高裁事務当局としましても、具体的事件に関する報酬に関しましては、もともとそれは受訴裁判所の決めることでありまして、事務当局において幾らの金額が相当か、どの程度の報酬額が相当か、そういったことを決めてお話しできる、そういう立場にないのでありまして、その点をひとつ御理解いただきたいと思います。  もっとも、今回の一連の事件につきましては、その事件内容の複雑困難さ、予想される訴訟活動の負担の重さなどを考慮しますと、将来、事件を担当する受訴裁判所において高額の報酬額の支給決定がなされることもあると予想されます。そのような場合におきましても、事務当局としましては、受訴裁判所が相当であると判断した報酬金額につきましては、予算執行上支障が生じないように対応し、円滑な審理進行に支障を来すことがないように努めたいと考えております。  第二番目の国選弁護人の身の安全確保についての御質問でございますけれども、具体的な事件の警備につきましては、事件が係属した裁判所において情勢に応じて必要かつ相当な警備を行うことになると思われます。被告人本人あるいは弁護人等の訴訟関係人の安全確保策についても同様であります。ただ、どのような警備体制をとるかという点につきましては、警備という事柄の性質上からもお答えできないという点をひとつ御理解いただきたいと思います。  ただ、一般的に言いますと、弁護人等の安全確保につきましては、弁護人の意向をよく確認し、その要望するところについて十分協議した上で、必要に応じて弁護人の要望とかあるいは裁判刃が知り得た情報等を警察に伝達するなどして側面的に協力していくことになると思われます。
  99. 続訓弘

    ○続訓弘君 次に、オウム真理教の解散請求に関連をして御質問いたします。  先ほど法務大臣は、東京地検並びに東京都が裁判所に対して解散請求をやった、ただいま裁判所において審理中だと、こういうお話がございました。したがいまして、審理中の事案に対して私は立ち入って御質問するのは適当でない、こう思いますので、これに関連する事案について御質問申し上げます。  まず文部省にお伺いいたしますけれども、仮に解散請求が確定した場合の法律上の効果について、次の二点についてお答え願いたい。  第一点、オウム真理教の保有している資産がどのように処置されるのかどうか、これが第一点。第二点、宗教法人資格を喪失したら一宗教団体としてのオウム真理教の宗教活動は今後どうなるのか。この二点についてお答え願いたい。
  100. 佐々木順司

    説明員佐々木順司君) まず一点目でございますが、宗教法人法に基づきまして所轄庁などが裁判所への解散命令の請求を行い裁判所の決定があった場合には、それが確定した時点で解散の効力が発生し法人の清算が開始されるということになります。清算手続に入りますと、法人は業務を停止いたしまして債権債務を確定し、債権の取り立て、債務の支払いを経た上で、最終的に残余財産がある場合には当該法人の規則の定めるところによりまして処理するということになるわけでございます。  二点目の問題でございますが、宗教法人法によります解散命令はその宗教団体の法人格を失わせるものでございまして、法人格が失われたといたしましても宗教団体として宗教活動を行うことは憲法の信教の自由により保障されているところでもございまして、これは行い得るものというふうに理解するところでございます。
  101. 続訓弘

    ○続訓弘君 ただいまの回答のように、実は解散命令を出しても宗教活動は今までどおり変わらない、こういう回答がございました。  解散請求の裁判の審理期間は恐らく長期にわたるでしょう、そしてその間、今お答えがございましたようにオウム真理教の宗教法人としての活動は依然としてそのままでありましょう。その場合、宗教法人の役員もオウム真理教によって任意に選任され、またその財産運営も役員の自由な処分に任されることになるわけであります。こうなりますと、解散の裁判が確定したとしてもその時点においてはオウム真理教の資産は実質的に何にも残ってない、ゼロに等しくなっているかもしれません。解散請求審理期間中の適法行為を期待することも不可能な状況にあります。  そこで伺います。実は、事務当局にこの問題について伺いました。大変答えにくい問題だと。文部省は文部省で私のところはと、法務省法務省で私のところはと、こういう実は回答でございました。  そこで、私は法務大臣にじかにお伺いいたします。特に法務大臣は専門家でございますので、率直な回答をお願い申し上げます。  第一点、違法行為をなした役員の職務を停止し、裁判所による職務代執行役員を選任する、これが第一。第二、法人財産に対し処分禁止を命ずる裁判を求めるなどの法的措置を検討する余地があるのかどうなのか。この二点について法務大臣の所見を伺います。
  102. 田沢智治

    国務大臣田沢智治君) 前段で質疑者から申されたように、本件は非常に難しい法的な問題点がございますが、現行法上どのような法的措置をとり得るかという点ではまことに困難な問題点がございます。しかし、この問題について困難であるからそのままでいいかということはこれは国民世論も承知しないであろうというふうに私たちは思っておりますので、オウム真理教の財産の保全等が重要な課題であるということは御指摘のとおりであると私たちは思っております。  しかも、被害者の救済のために何らかのとり得る法的対策がないかどうか、これを十分に関心を持ってあらゆる観点に立って現在真剣に取り組みかつ検討をしている段階であるということで現状においては御理解をいただきたい。でき得る限り現行法の中で具体的にどういうような効率のある法的措置がとれるのか今検討中でございますので、ひとつ御留意をいただきたい、こう思っております。
  103. 続訓弘

    ○続訓弘君 私は、この点は重要な問題だと存じます。せっかくの御検討をお願い申し上げます。  そこで、オウム真理教に対する破防法適用について具体的な質問を申し上げます。  この問題につきましては、先ほど笠原委員に対して法務大臣の御答弁がございました。オウム真理教に対する宗教法人解散請求に基づく裁判の効果が、先ほど事務当局から御説明ございましたように、単に宗教法人としての能力を喪失せしめるのみであって、宗教団体としての活動について何の支障も来さないとすれば事は重大であります。  松本サリン事件国家の司法権を直接的に否定するものであり、地下鉄サリン事件国家の警察権に対する間接的否定であり、東京都知事あて爆発物郵送は国家の宗教行政権に対する直接的反逆行為であると言えましょう。その他、現在捜査中のオウム関連の多数の殺人事件も単なる個別的殺人事件ではなくて、オウムという主教団体による組織活動としての犯罪行為であることは明らかであります。このような宗教団体が法的に存続を許容されてよいはずはありません。  そこで、法務大臣に伺います。法務大臣は、先ほど御答弁ございましたように、去る十一日に現地を訪ねられてつぶさに視察されました。そして、現地で市長さんや村長さんからあるいは住民の方々から具体的な要請を受けられました。その要請にこたえて、新聞報道によれば、法と証拠に基づいてと前向きの発言をされたやに実は報道されております。これについて、破壊活動防止法に基づく解散請求についての所見を重ねてお伺いいたします。
  104. 田沢智治

    国務大臣田沢智治君) 先ほど笠原議員の質問に対して私も申し上げたとおり、破防法の解散というものの手続については、まず公安調査庁の長官が解散申請をいたします。その申請手続に基づいて、規制請求に先立って弁明をオウム真理教の者から聞きまして、そして公安審査委員会がその審議をして処分を決定して官報に載せたことによって効力が発生するという手続がございます。  そこで問題は、現状の中で宗教法人ではなかなか効果ある措置はとれないんじゃないか、だから破防法を適用した場合どうなるかと。これ、適用するかしないかは法と証拠に基づいていたしますので、するという前提に立っての話ではなくして一般論としてお聞きいただかないと誤解があるといけませんので、その点、御理解をちょうだいしたいと思います。  一般論で言えば、破防法の規定では、解散指定の処分は公安審査委員会の決定が官報に公示されるときにその効力を生じます。当該団体の役職員、構成員であった者は、団体の存続、発展に資する行為など当該団体のためにするいかなる行為も禁止されます。できません。  また、解散指定の処分が訴訟手続によって取り消しを求めることができないということが確定した場合、ということは、解散の手続をしたが、いや、解散はそれは不当であるという、そういう抗告をされると思うのです。それが却下されて最終的に処分が決定したとした場合に、当該団体は速やかに財産を整理しなければならないという、そういう効果がございます。  よって、結果的にはどうかということになると、解散処分が決まった場合は団体のためにするいかなる行為もしてはならない、団体としてはできないという大きな効力が出てくるということが言えるのではないか。これは一般論として申し上げます。
  105. 続訓弘

    ○続訓弘君 平成七年の九月一日に新進党は「オウム真理教に対する破壊活動防止法の適用に関する見解」、これを発表いたしました。この公の場でそれを読ませていただきます。  オウム真理教は、同教団関連事件の捜査が進展する中で、それらの事件の主体である可能性が極めて濃厚になっている。さらに、同教団はサリン等の毒物を製造したのみならず、機関銃等の兵器の製造までも実行しつつあったことが判明したといわれている。  個々の犯罪に対する処罰は刑事裁判の手続きを経て実施されることはいうまでもないが、このような反社会的な重大犯罪の基盤となった同教団自体に対する規制の措置をとることは、国民生活の安全確保と法秩序維持のために当然であると考える。  この点については、本来の宗教活動の在り方から大きく逸脱した同教団に対する解散請求が東京都より出され、その手続きが進行しつつあることを積極的に評価したい。しかし、同教団の対抗措置等により、解散請求についての裁判所の判断が確定するまでには多くの時日を要すると予想され、また宗教法人に対する解散命令が出されても、同教団の任意団体としての活動は継続される。  われわれは、同教団の反社会的性格から見て、同教団の活動を規制するための一層強力な措置をとるべきであると判断する。それは破壊活動防止法による団体規制であり、団体規制の中でも、同教団の危険性を考えた場合解敵の指定が相当であると考える。  そして、同法の団体規制の適用に際して必要とされる、同教団が政治目的を持つことと今後とも破壊活動を継続するおそれがあることの要件については、最終的には公安調査庁の作業を待つよりほかないが、従来の経緯からして証明可能であると考える。  したがって、新進党は、政府が一刻も早く公安調査庁をしてオウム真理教に対する破防法に基づく解散指定の手続きを開始させ、国民の不安を解消するとともに法秩序の安定を図るべきであると考える。以上であります、そこで、重ねて法務大臣に御要望申し上げます。ただいまも法と証拠に基づいて厳正に対処する、こういうお話でございましたので、それを信じて厳正に対処されることを御要望申し上げます。  続いて、法務省お尋ねいたします。  それは毎日新聞八月一日付だったと存じますけれども、入管の関係の記事が載っておりました。前大臣時代に入管の局長が処分された、そして二度と再びこのような事案が発生しないように、こういう声明を出しておられるという記事が載っておりました。これに対して、事件の概要と法務省の今後に対する誓いの言葉をお願い申し上げまして、法務省関係は質問を終わります。
  106. 塚田千裕

    説明員(塚田千裕君) 事実の概要につきましては、私の方からお答え申し上げます。  二つの団体、これは外国の芸能人を受け入れる目的で設立された団体でございますが、現在、興行という在留資格で入国、在留する外国人芸能人、これは我が国におきましては演芸、演奏等本来の活動を行うことが少なく、ホステス等として活動している実情がございます。一方、芸能人送り出し国におきましても、このようなホステス等の活動に従事させることは自国民に対する人権侵害であり、善処してほしいというような指摘がなされる状況があったわけでございますが、平成五年の六月ごろからこれら芸能人を受け入れているホテル関係者や招聘業者の有志の間で自主規制を通じて円滑な受け入れを図りたいとの機運が生じまして、平成六年二月に外国人芸能人招へい業者協会、また同年三月に国際アーティスト友好ホテル協会がそれぞれ任意団体として設立されたと承知しています。  これに対して特別扱いをしていたと伝えられたわけでございますが、一点としましては、入国審査官の監督のもとではありましたけれども、両協会の職員に入国審査リストのチェックを許していた、いわゆるブラックリストヘの接近を許していた、入ってくる人が入国拍否事由に該当するかしないかというようなチェックを許していたということでございます。さらには、例えば二つの協会の事前にチェックした案件を早期に処理していたと。これは比較の問題でございますけれども、事前チェックが済んでおりますのでそれだけ処理が速やかに最終的にできるということで、ほかの団体等と区別した待遇と受け取られる可能性のある指導支援をしたことがございます。  なお、現在は、外国人芸能人にかかわる各種任意団体につきましては、これをすべて公平に取り扱っていくというふうにいたしております。  事実関係は以上でございます。
  107. 続訓弘

    ○続訓弘君 次に、防衛庁関係について御質問申し上げます。  時事通信が八月五日から八月八日まで全国二千人の成年男女を対象に実施されましたアンケートがございます。その回収卒は六九・八%だそうであります。それによりますと、自衛隊の存在について八四・七%が「あった方がよい」と。前回は昨年の三月の調査でございますけれども、前回の調査を六・八ポイント上回っている。しかも、社会党支持者でも七七・二%が「あった方がよい」と回答したと報じております。  なお、役割につきましては、「台風、地震などの災害出動」が四一・六%、次いで「国の安全確保」が三四・四%、「国内治安の維持」が一二・〇%であります。阪神大災害での自衛隊の活動についての質問に対しては、評価するという回答が八五・六%でありました。さらに、PKOへの参加の継続については六七・八%が賛成だと、前回が五六・八%ですから一一ポイント伸びた、こう報じておりました。しかも、この賛成派の中には社会党支持者で五八・八%、共産党支持者でも四五・〇%だという調査結果を時事通信は発表しております。  これらを視野に入れながら、以下具体的な質問を申し上げます。私は、特に自衛隊の人員の問題について御質問申し上げます、  先ほど防衛庁長官は、国の防衛政策に対して全責任を持って、自信を持って対応するんだという力強い誓いの言葉を述べられました。自衛隊が発足以来、法律定数と実際の隊員との間に格差がございます。御存じでしょうか。まずお答え願います。    〔委員長退席、理事大木浩君着席〕
  108. 衛藤征士郎

    国務大臣衛藤征士郎君) 続委員お答え申し上げます。  今御指摘をいただきましたことについては、十分承知をしております。
  109. 続訓弘

    ○続訓弘君 何と、法律定数では二十七万三千八百一人に対して現員は二十四万四百五十二人、その差は三万三千三百四十九人であります。その大多数は陸上自衛隊、これが約三万人も乖離がございます。  そこで伺います。  法律で認められた定員、この二十七万三千八百一人はどういう定員であるのか、このことについて大臣からお答え願います。
  110. 衛藤征士郎

    国務大臣衛藤征士郎君) お答えを申し上げます。  防衛庁の定員の問題でございますが、これはいわば平時における定員ではございませんでして、有事における定員の一つの枠を示したものでございまして、一般公務員につきましてはいわゆる平時における行政需要を前提とした定員であります。防衛庁のものは、有事のときの目いっぱいの枠が陸海空自衛隊の自衛官の定数として示されておりまして、そしてそれに対する充足率が今委員が御指摘したとおりになっておる、こういうことであります。  しかし、私といたしましては、この陸海空の充足率につきましても、これは十分ではありませんから、やはり陸海空のそれぞれの充足率を高めるように努力をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  111. 続訓弘

    ○続訓弘君 私がなぜそういうことを申し上げるかといえば、私は二十四年間、鈴木知事の十二年間、美濃部知事の十二年間、法務大臣が御存じのように都政の責任者でありました。都政には警視庁四万一千人の職員、そして消防は一万八千人の職員を抱えておりました。その人員の要求に対しては、既に今回七月で御引退されました原元総監、現におられます鈴木貞敏先生、下稲葉先生、これらの人力と厳しくやり合ってまいりました。私は行政側、相手方は首都の治安を守る立場、一名の人員の削減も相ならぬ、しかも我々が予算要求した予算は削ってはならないという姿勢で、私どもは折衝をいたしました。  その結果何と、今数字を申し上げますが、平成五年警視庁の官の人員は、四万一千三百十二人に対して四万一千三百十人なんです。定数と現員との差、わずかに二名。平成年度は、これは三月三十一日現在ですよ、四万一千三百十人ですから、同じく二名なんです。消防官を申し上げますと、一万七千四百四十七人の定員に対して平成五年は一万七千四百四十一人ですから、わずかに六人。平成年度は一万七千四百三十二人ですから、わずかに十五人。  これはやはり先ほど申し上げましたように、原総監あるいは下稲葉総監あるいは鈴木貞敏当時警視庁総務部長、こういう方々が人即事業と、首都の治安を守るためには、都民の生命財産を守るためには何としても議会が認めた定員と現員との間にいわば未補充の人員があってはならぬ、こんな姿勢で臨まれたがゆえだと私は思います。  同時に、一朝一夕にして人は育ちません。三万人の陸上自衛隊が有事に備えて云々とおっしゃいましたけれども、いつが有事なんですか、いつが平時なんですか。常に訓練を怠らない、そういう姿勢こそ私は防衛庁長官の責務だと思います。重ねて御答弁願います。
  112. 衛藤征士郎

    国務大臣衛藤征士郎君) 確かに、続委員指摘のように、充足率は大変低うございます。  私といたしましても、有事におけるこの定数の枠、そして平時における充足卒、この乖離というものが我が国のいわゆる財政事情、そういうものにも起因しておりますし、さらには私どもといたしましては、優秀な陸海空の自衛隊員を募集し確保してまいりたい、こういうことでありまして、長い間の経緯を見ますと、その時々のいわゆる景気動向といいますか経済情勢といいますか、好況であったり不況であったり、そういうことにも若干影響されておる、このことも事実であります。しかし、続委員の御指摘のとおり、長官としてはこの陸海空の充足率を高める、このことについてあらゆる努力をしてまいりたい、このように思っております。  なお、昭和五十一年につくりました防衛計画の大綱がありますが、この大綱の見直しのときに当たっております。暮れの予算編成時までには、我が国防衛大綱の基盤の整備といいますか、そのあり方についての検討を終えていただきまして、そしてさらに次のおおむね五年間の防衛整備の計画を立ててまいるわけでありますが、そのときに当たりましても今委員指摘のことにつきまして十分に対応していきたい、このように考えております。  大変な激励をいただきまして私はうれしく思っておりますし、勇気づけられておるわけでありまして、引き続いて、ただいまの御発言どおり、これからも陸海空自衛隊の充足についての御指導と御支援を賜ればうれしく思います。よろしくひとつお願いいたしたいと思います。
  113. 続訓弘

    ○続訓弘君 私は、先ほども申し上げましたように、長年定数管理をやっておりました。そんな関係から今あえて申し上げたんで、大蔵に対して、私どももそうでしたけれども、財政当局は要するに値切る、ぶった切ることがいわば職業本能なんです。しかし、それをさせては人の今、生命財産を守るわけにはまいりません、守れません。  そしてまた、先ほども申し上げましたように、長年の訓練こそ本当の人が育つんです。そういう意味で、私はぜひ衛藤防衛庁辰官の今誓われたような姿勢で対大蔵に臨んでいただきたい。そうしないと、ずっと三万人の空き定員があるじゃないか、だとするならば法律上で削ればいいじゃないか、そしてまた一朝有事に必要ならば増員をすればいいんじゃないか、こういう議論になってしまうんじゃなかろうか、私はそのことを恐れるがゆえにあえて申し上げたんです。  そして、冒頭にも申し上げましたように、国民の間から頼れる自衛隊、愛される自衛隊、そういう自衛隊にもう既に育っている、こういう確信を持ったがゆえにあえて質問を申し上げました。せっかくの御努力をお願い申し上げます。
  114. 衛藤征士郎

    国務大臣衛藤征士郎君) 承知しました。
  115. 続訓弘

    ○続訓弘君 これで終わります。
  116. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 日本社会党・護憲民主連合の朝日でございます。今回が本委員会における初めての質問でございますので、どうかよろしくお願い申し上げます。  まず冒頭に、大臣には御就任おめでとうございます。期待をしておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  まず、きょう御質問をさせていただく幾つかの質問に共通しまして私自身の考え方を簡単に述べさせていただいた後、具体的な御質問をさせていただきたいと思います。  御承知のように、今日、超高齢社会の到来を目前に控えまして、高齢者の皆さん、特に要介護老人のための新たな介護システムの構築が緊急かつ最重要の課題となっていることは御承知のとおりでございます。もちろん、その新たなシステムをつくっていくためにさまざまな観点からの検討が必要であることは言うまでもありませんが、私は、このシステムの構築に当たって、保健医療・福祉サービスにかかわる人材確保、ヒューマンパワーの確保対策がとりわけ重要であるというふうに考えております。  まさにこのような観点から、平成四年、看護職員を初めとする保健医療・福祉職場にかかわる人材確保推進のための法律が制定されたことは御承知のとおりでございます。平成四年以降、この法律に基づいてさまざまな人材確保対策が進められてきたというふうに承知しております。  ただ、この人材確保の法律については、当初から果たしてどの程度の実効性が上がるのか、いささか疑問視する向きもございました。しかし、そういう法律をこの間具体的に実践してまいりまして、ちょうど折しもことしの八月に、総務庁から保健医療・福祉に係る人材確保対策に関する行政監察結果報告書及びその報告に基づく勧告が示されました。  私は、この勧告に特に注目をいたしまして、今回この中で指摘されております幾つかの事項を中心に、今後の人材確保対策をさらに積極的にかつ具体的に推進していくことを求める立場から幾つかの点に絞って質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、労働省として、今回の総務庁行政監察から示されました報告なり勧告をどのように受けとめ、また今後どのようなお考えのもとに具体的な改善方策に向けた検討をされようとしているのか、基本的な姿勢についてお尋ねしたいと思いますが、その際、勧告の指摘事項、大きく分けて三点にわたっておりますが、特に私は無料職業紹介事業の許可の範囲等の検討及び職業紹介機関の間の連携強化にかかわる部分を中心にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  117. 征矢紀臣

    説明員(征矢紀臣君) ただいま先生御指摘の総務庁の行政監察結果に基づく報告及び勧告を受けとめて具体的な改善策をどうするかという点につきまして、御指摘の点についてお答え申し上げたいと思います。  ナースセンター及び福祉人材センター等の無料職業紹介事業の許可の範囲等の検討の関係でございますが、保健医療あるいは福祉分野におきます無料職業紹介事業に関しましては、行政監察における勧告を踏まえまして、速やかにその実態の把握をした上で対処してまいりたいというふうに考えております。  それから、福祉重点ハローワークとナースセンター及び福祉人材センターの職業紹企業務の連携の問題につきまして、総務庁の行政監察の勧告にありますとおり、双方の機関における情報提供、連絡等で十分な連携が図られていない面があることも事実でございます。そこで、この指摘を踏まえまして、実態の一層の把握に努めますとともに、ナースセンター等から提供された未充足の求人求職情報の積極的な活用、福祉重点ハローワークからナースセンター等への効果的な情報提供についての仕組みの検討等を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  118. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ありがとうございました。  先ほど申し上げた人材確保の法律、たしか厚生と労働と文部と三省が共同してこの推進に当たるという趣旨であったと思います。とりわけ、職業紹介機関の間の連携強化の点については積極的な検討をぜひ要望しておきたいと思います。  そこで次に、ただいまもお話がありましたけれども、平成年度以降、公共職業安定所が実施してきた福祉重点ハローワークについてお尋ねしたいと思います。  と申しましても、御存じでない方もおありかと思いますので、具体的にこの事業の趣旨、目的、例えばどんな職種を対象としているのか、そして平成四年以降最近の事業の実績等について、大まかに平成四年法律制定以前と法律制定以降との比較などを含めて簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  119. 征矢紀臣

    説明員(征矢紀臣君) ただいまの点でございますが、人口の高齢化の進展、あるいは医療の高度化等によりまして、高齢者に対します介護・看護サービスの需要が増大しておりまして、福祉労働力の確保につきましては、これは非常に重要な課題となっているところでございます。  このような状況の中におきまして、福祉分野におけるハローワークの需給調整機能をより強化することによる就業の援助及び福祉関係事業主に対する雇用管理改善のための指導、援助等の業務を積極的に進め、福祉人材の確保を効果的に行うことを目的としまして、福祉人材確保対策事業を行っているところでございます。  御指摘の福祉重点ハローワークにおきましては、看護婦、保健婦等看護関係職種及び社会福祉施設等の寮母、介護職員等の介護関係職種の人材の確保のため、潜在福祉マンパワーの登録、再就職のための情報提供、各種講習会の実施、福祉マンパワー合同求人選考会の開催等の施策を総合的に実施しているところでございます。  これらの施策の効果の面で見ますと、この事業が始まる前の平成年度におきます福祉関係職種の就職件数は二万二千三百二十一件でございましたが、平成年度におきましては二万六千七百九十七件ということでございまして、平成年度と比較しまして約二〇%増になっているところでございまして、そういう意味では福祉労働力の確保に役に立っているものというふうに考えております。  福祉重点ハローワークにつきましては、現在まで三十三都道府県におきまして、中核となります公共職業安定所を指定しているところでございますが、本年十月には新たにまた三県のハローワークについてこの指定を予定しているところでございます。これにつきましては、福祉分野の人材確保の拠点になるものでございますので、今後、指定がなお行われていない県におきましてもこの体制整備に向けて積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  120. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 今お尋ねした部分で二点ほど確認をしておきたいんですけれども、今実績としてお話しいただいた数字はあくまでも職業安定所におけるハローワークを通じた就職件数というふうに理解してよろしいんでしょうか。  多分、これ以外にナースセンターや福祉人材センターを通じて就職された方の件数がそれぞれ何件かあるというふうに思いますし、もちろんそれ以外にも学校を通してとか個人的な関係でという場合もあるんでしょう。とすると、無料職業紹介事業全体の実績というのは、大まかに考えて、職業安定所におけるハローワークとナースセンターとそれから福祉人材センターを通じて就職された方の件数を合計すればこれが把握できる、こういうふうに考えてよろしいでしょうか。
  121. 征矢紀臣

    説明員(征矢紀臣君) 御指摘のとおりでございまして、先ほど申し上げました実績は、これはハローワークを通じた福祉人材の就職件数でございます。  看護法あるいは介護法に基づいた施策の効果としての就職件数ということになりますと、ただいま御指摘のように、ハローワークの就職件数にナースセンター及び福祉人材センターにおきます就職件数を合計したものということでございますが、平成年度の紹介件数で見ますと、ナースセンターにつきましては一万四千八百二十九件、福祉人材センターにつきましては三千四百七十二件の実績がございます。したがいまして、全部足し合わせますと約四万五千件近い数字になるわけでございます。  なお、このほかに、御指摘のように学校におきましても福祉関係事業所への紹介が行われているわけでございますが、これにつきましては数字的には統計上把握できない関係がございまして、その辺につきましてはお許しいただきたいと思います。
  122. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 もう一つ関連して、先ほどこの事業の実施のための体制整備にかかわって福祉重点ハローワークに指定されている職業安定所の数がこれまでは三十二県、今回、ことしですか、さらに三県道知、こういうふうにお聞きしましたが、ということは、残されたあと十一の県についてはまだ実施の予定が立っていない、こういうことでございますか。
  123. 征矢紀臣

    説明員(征矢紀臣君) 残された県につきましても、私どもといたしましては、今後、平成年度以降、この福祉重点ハローワークの設置につきまして計画的に対処してまいりたいというふうに考えております。
  124. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 計画的に対処してまいりたいということなんですが、改めて申し上げるまでもなく、人口の高齢化の問題というのは、多少の時間差はありますけれども、どこの都道府県においても避けることのできない重要な課題になってきていますので、これでは困ると思うんです。ぜひ早急にその指定箇所数を全県に拡大していく、そしてそれぞれの職業安定所における実施体制の強化に努められますように、この点は特に労働省に強く要望しておきたいというふうに思います。  次に、テーマを変えまして、この行政監察局からの勧告の中に、一つ大きく項目を取り上げて非常勤ホームヘルパーの就労環境の問題について報告なり幾つかの指摘がなされております。この問題についてあえて労働省お尋ねしたいと思います。  あえてと申し上げましたのは、実はお読みになったらわかりますが、勧告の中ではこの項目については厚生省に対して幾つか指摘をしておりますが、労働省に対しては具体的に勧告事項とはなっておりません。しかし、この勧告の中で指摘されているような幾つかの実態は、労働行政の側としても極めて深刻に受けとめるべき幾つかの課題が含まれているというふうに私は理解をいたします。  具体的には勧告の二十九ページから三十一ページにかけて記載をされておりますが、時間の関係ですべてを紹介することができませんので一部を紹介いたしますと、例えば、非常勤ホームヘルパーの方の労災保険を適用していない団体が三三%ある。あるいは健康診断を実施していない団体が二一・六%ある。退職金を定めていない団体が七〇%ある。賞与を定めていないものが三十一団体、六〇%もある。  さらに、登録ヘルパーに関して言えば、雇用契約に基づく労働者とは認められないとする都道府県もある。総じて「登録ヘルパーについては、労働者保護法令が適用されないこととなり、労働者としての保護が不十分なものとなっている。」、こういう実態も指摘されておりますし、さらにもう一つ言えば、「非常勤ホームヘルパーの中には、所定労働時間等が正規職員である常勤ホームヘルパーとほとんど変わらない者がみられる。」、にもかかわらず非常勤という扱いをしているというような実態が数多く指摘されております。  このような実態に対して、もちろん厚生省などとも協議、協力をしていくということになるんでしょうが、労働省として今後どのような考え方に基づいてこのような実態に対処されていこうとしているのか。私としてはぜひ積極的な対応が求められていると思いますので期待したいと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  125. 松原亘子

    説明員(松原亘子君) 先生御指摘されました今般の行政監察結果に基づく勧告におきまして、登録ヘルパーについて、雇用関係があるというふうにしながらも労災保険が適用されていないとか、また年次有給休暇を付与しなければいけない労働者についても年次有給休暇が付与されていないといったような実態があるということが指摘されているわけでございますが、このような実態につきまして私どもとしては問題があるというふうに認識をいたしております。  登録ヘルパーにつきましては、その就労の実態から見て所属先団体との間に雇用関係があるかないかということがポイントになるわけではございますけれども、所属先団体との間に雇用関係が認められる場合には労働基準法ですとか労災保険法など労働者保護法令は当然に適用されるものでございます。  そういうことから、私どもといたしましては、所属先団体に対するこういったことについての周知徹底が図られますよう厚生省とも連携を図って適切な対応をとりたいというふうに考えているところでございます。
  126. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 この点に関して一つ要望しておきたいんですが、どうも非常勤という形でくくった中にも随分いろんなレベルというか段階の雇用形態があるようでありまして、そういう部分についてどうも今まで日本の労働法制上もしばしばそういう方たちが抜け落ちて必ずしも十分な保護が行き届かない、こういう現状があるように思います。とりわけその一つの典型がホームヘルパーさんではないかというふうに思います。ぜひ積極的な検討をお願いしたいと思います。  最後に、これまでのお答えを踏まえまして総括的に労働大臣にお伺いしたいと思います。  きょうの午前中の議論にも若干ありましたけれども、私は、保健医療・福祉サービスの分野、言いかえれば健康福祉産業の分野は新たな雇用の創出の領域としても大変重要な領域だというふうに思います。ただ、残念ながらよくも悪くも過去のいろんな歴史の積み重ねの反映と言うべきでしょうか、なかなかに近代的な労使関係が成立しにくい領域、職場であることも事実でありまして、言いかえれば現場で働く労働者保護の視点がややもすれば希薄になりがちな現状がある、こういうふうに指摘せざるを得ません。そうした現実がこれらの領域における人材確保を一層困難にしているということもまた事実ではないがというふうに思います。だからこそ私は、この分野においてぜひこれまで以上に労働行政が積極的に役割を果たしてほしい、こういうことを期待したいわけでございます。  ぜひ、そういった面も含めまして総括的に大臣の方から基本的な姿勢あるいはお考えなどをお聞かせいただければありがたいと思います。
  127. 青木薪次

    国務大臣青木薪次君) 今、朝日先生から貴重な御意見を拝聴いたしました。  今後、我が国の介護とか看護ニーズが増大するという中におきまして、そのための人材の確保を推進することは国を挙げて取り組むべき重要な課題だと考えておる次第であります。    〔理事大木浩君退席、委員長着席〕  特に、労働省といたしましては、今回の総務庁の勧告において指摘されました事項を踏まえて、福祉重点ハローワークの一層の機能強化を図るとともに、ナースセンター及び福祉人材センターとの連携にも十分配慮しながら今後とも積極的に福祉マンパワーの確保ということを推進する、そのために努力いたしたい、こう考えておるわけであります。
  128. 朝日俊弘

    朝日俊弘君 ありがとうございました。これで終わります。
  129. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 日本社会党の山口哲夫と申します。  まずは三大臣の御就任、おめでとうございます。  決算委員会は私初めてでございますので、日ごろから決算書の作成のあり方について若干疑問を持っておりましたので、それを中心にいたしまして、特に防衛庁に絞って質問をしてみたいと思っています。  質問通告によりますと防衛予算の削減と書いていますけれども、これは二番目でして、一番目の通告は、今言った決算書の作成のあり方についてでございます。時間があれば、防衛予算の削減問題についても触れたいと思っています。  実は平成年度決算参照、特に国の債務に関する計算書というのがありますけれども、これを見ておりますと、防衛庁に関する国庫債務負担行為、これの合計が一兆六千三百八十二億円、これがどういうわけか合計が書いてないんですね。ちょっと不親切だなと思っているんですけれども、債務負担行為に関しては全然合計を書いていないんですね、今後書いていただきたいと思うんですけれども。それから、継続費が千三百三十九億円という数字でございます。これを合わせますと一兆七千七百二十一億円、こういう数字になります。  ところが、防衛庁が出しております平成年度の「概算要求の大要」というのがあります。この二ページに平成年度予算額のうちの歳出化経費、これはもう既に確定している金額ですから予算とは申しましても確定している金額なんですが、これが一兆七千四百七十九億円、先ほど決算で申し上げました金額と二百四十二億円運うんですね。こっちの方が少なく書いてある。これはどこに原因があるんでしょうか。事務当局で結構です。
  130. 佐藤謙

    説明員佐藤謙君) 私の方からお答え申し上げます。  ただいま御指摘のございました五年度決算の国の債務に関する計算書、これの本年度債務消滅額、この数字と五年度予算の歳出化経費の違いいかんということでございますが、本年度債務消滅額の中には、五年度予算の歳出化経費だけではなくて、五年度の新規の国庫債務負担行為の前払い金、こういったものであるとか、あるいは前年度からの繰越金、こういったものも含まれておるわけでございます。一方、翌年度への繰越金が含まれていないとか、対象にずれがございますものですから、今先生おっしゃいましたように必ずしも一致する計数にならない、こういう性格のものだろうと思います。
  131. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 二百四十二億円の中には私の計算によりますと為替差益の金額が入っていますね。たしか百六十六億円が為替差益だというふうに聞いておりますので、そのとおりだと思うんですけれども、約七十六億の違いがあるんですが、事務当局とちょっと詰めてみましたら、一般物件費の方にそれは入れているんだという話なんです。間違いありませんか。
  132. 佐藤謙

    説明員佐藤謙君) 今御説明申し上げましたように、消滅額という中には、今申しましたような歳出化経費以外に前年度からの繰越分だとか、当該年度の前金であるとか、それから繰り越したとか、あるいは今おっしゃったような当該年度の不用だとか、もろもろのものがあろうかと思います。  今先生お話しの一般物件費の方の云々というのは、ちょっと私趣旨がわかりかねるところがあるんですが、そういうことで若干のそごがあることは先ほど申し上げたところでございます。
  133. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 事務当局と相当詰めてみたんです、金額のことですから。恐らく局長ではこれはおわかりにならないと思いましたので、詰めてみましたら、どういうわけか、この大要の中には、歳出化経費と一般物件費というのがあって、債務負担行為の初年度分だけはこの一般物件費の方に入れておりますという。私たちに言わせればこれはちょっとおかしいというんです。  なぜならば、これは財政法第二十八条による平成年度予算参考書類よりの抜粋ですけれども、これによりますと、国庫債務負担行為の初年度というのは、これはあくまでも国庫債務負担行為として議決をしたものなんです。それがなぜ初年度だけが物件費という方に入れなければならないのか、その理由がわからないんです。  これは私は、皆さんの方で作成している「概算要求の大要」の中には、一般物件費の中には含めないで、あくまでもこれは歳出化経費ですから、そちらの方に今後は振りかえるようにしていただかないと、いろいろと誤解を招くもとになるんです。いかがでしょうか。
  134. 佐藤謙

    説明員佐藤謙君) ただいま先生御指摘のありました物件費の中の一般物件費というものの分類の御質問だと思います。  実は、私ども防衛庁予算、この内容を御説明しますときに、非常に多岐にわたるものですから、これをできるだけ性格に応じて御説明をし、御理解いただこうということで、大きくいつも人件・糧食費、こういう分類、それから歳出化経費、それから一般物件費、こういうふうな形で三分類で御説明することが多うございます。  その中で、国庫債務負担行為あるいは継続費、こういったものの既往年度の契約に基づく支出というものは、いわば契約済みのそれの支払いでございますので、非常に義務的な色合いが強いということで、そういった過去の契約に基づく支出という意味で歳出化経費、こういうふうな御説明をさせていただきます。  一方、国庫債務負担行為の当該年度に新規契約をする、その新規契約する年度の前金、支払い額というものも、とらえようによりますと確かに国庫債務負担行為の歳出化ではございますけれども、性格的に考えますと、やはり既往年度に既に契約をしてしまったもののそれに基づく支払いと、それから当該年度に新たに契約を結ぶときのその初年度の支払いと。当該年度に新たに国庫債務負担行為で契約するときの初年度の支払いにつきましては、まさに当該年度全体の契約を審査するといいましょうか、考えるときにあわせて検討対象になる性格のものでございましょうから、既往のものの契約に基づく支出ということとは義務的等の性格において異なる面があろうかと思います。  そういう面から、実は私どもの予算を説明しますときに、そういった性格の違いをわかりやすくするといいましょうか、そういう意味で便宜そういった使い分けをさせていただいているところでございまして、そういうことでもって私どもが使わせていただいているということを御理解いただきたいと思います。
  135. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 事務当局はもう少し詳しくお話しになりまして、議会で議決にならないこともあり得るかもしれない、そういうことも考えると一概に歳出化というふうに替えるかどうかわからないというような説明もございました。  しかし、今までそんなようなことはほとんどなかったと思うんです。議会でこの分だけは否決だと、そんな例はまずあったためしかないと思うんです。そういうことから申しますと、これは初年度であってももうほとんど次年度以降の歳出化と性格的には変わりない内容である、私はそう思うんです。ですから、あえて物件費に入れるということはどうしても理解ができませんので、これはもう少し今後ひとつ詰めて一度検討してみてもらいたいものだな、そういうふうに思います。  予算決算関係のいろんな方々にも尋ねてみましたけれども、やはりそういう方々でもなぜ防衛庁がこの物件費の中に入れるのか理解できないという声が結構多いわけです。私一人がそう言っているのではありません。その道の結構専門家の方でもわからないという意見の方が多いようですから誤解を揃いてはいけませんので、今後十分にひとつ検討していただきたい。これは宿題としてお願いをしておきたいと思います。私はそういう見解を持っております。しかも私だけではないんです。こういうことについては多くの方が言っておりますから、防衛庁の方としても一度検討をしておいていただきたい、そう思います。  それから、この債務負担行為というのは、これは昔のことを言ってもしょうがないですけれども、戦後こういう制度はなかったですね、あくまでも我が国予算というのは単年度主義というのが大原則ですから。それで、昭和二十七年の吉田内閣のときに初めて継続費というものがつくられたときに随分質疑応答があった。その中で、国土開発のためにトンネルでもっくるなんというときになると何年もかかりますから、そういうことを考えたときに継続費をぜひつくらせてほしいということで制度化したというふうに聞いております。そのときに池田大蔵大臣は、将来軍艦をつくるためにこれを使うなんということは絶対にありませんと言ってたんかを切られたんですけれども、数年後にはまず潜水艦にそれを利用するようになった。債務負担行為というのは、これはあくまでも例外的なものとして、単年度予算編成主義からいけば例外のものだと思うんです。ところが、日本の戦時中はこれがもう最大に利用されまして、結局日本が大変な軍国主義になっていくという、財政上からいけばそういうものに手をかしたことになると思うんです。  ですから、私どもはやっぱりこの国庫債務負担行為については少し神経質に考えていく必要があるのではないだろうかな、そういうふうに思ってこの決算書を見てみますと、どうも中身がよくわからない。  これは「平成年度決算の説明」、大蔵省の主計局から出されたものですけれども、国庫債務員負担行為は航空機購入、弾薬購入、艦船建造、武器購入等々、大項目でしか書いていない。航空機といったっていろいろありますよね。FSXもあるだろうしF16もあるだろうし、いろんな種類があるんです。そういうものが一つも出てこないで、大ざっぱに航空機購入とだけしか書いていない。しかも年次ごとには何も書かれていないんですね、初年度幾ら、後年度以降幾らと。継続費だけは書いています、年度ごとに。余りにもこれは決算として国民には不親切だと私は思うんです。  今後、やっぱりこれは継続費と同じように年次ごとにきちっと出して、そして航空機でも艦船でも種類別に書くように私は改めていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  136. 佐藤謙

    説明員佐藤謙君) 予算書なり決算書なりの記載のありようの問題でございますので私どもの方からお答えするのが適切かどうか、そういう問題がございますが、私どもとしてお答えできる範囲でお答えさせていただきたいと思います。  まず、継続費とそれから国庫債務負担行為でございますけれども、これはもう先生御案内のとおりでございますけれども、まさに継続費の方は債務負担の総額とともに、それの各年の支出権限につきましてもあらかじめその年度国会の議決をいただく、そういった支出権限も含めて権限を付与していただく、こういうことで、したがいまして総額とともに各年度につきましても予算害の上できちっと記載をしている、こういう仕掛けになってございます。  一方、国庫債務負担行為の方は、まさに多年度にわたります債務を負担するというところに主眼がございまして、予算におきましてはまさに債務負担権限だけを国会でいただく、それで各年の支出権限につきましては歳出予算という格好でもってそれぞれいただく、こういう形になってございますので、今先生が言われたようなそういった扱いの違いが出てこざるを得ない、こういう仕組みになっていると思います。  それからあと、決算書上、国庫債務負担行為の状況と申しましょうか、その消滅の推移であるとかそういったものにつきまして各装備品ごとに明らかにしてはどうか、こういうことでございますが、これも決算制度の基本にかかわることでございますが、実は我が国決算制度ではまさに予算書が歳出、これは部局、それからその下の項に分けて歳出金額を分類して、それでコントロールをしていく、こういう仕組みになっているわけですが、それに対応する格好でもって決算を作成していく、こういう仕組みになっているところでございまして現在のような資料の作成、こういうことになっているわけでございます。  さらに、これは若干事務的なところで恐縮でございますか、じゃ各装備品ごとの状況を示せないかという点について申しますと、実はこれは大変膨大な装備品もございますし、それからまたそれぞれの装備品ごとの契約件数も大変膨大に上るものですから、それをそういう格好でまとめていくということはなかなか事務的には困難が伴う問題もございます。また、それを決算書に掲げるということになりますと、むしろ膨大、複雑になってどうかというような逆の問題もあろうかと、こんなふうには思っております。  ただ、若干付言させていただきますと、そういうことではございますが、必要に応じましてその内容について補足説明的な意味で資料をつくり御説明をさせていただくとか、そういう努力はこれまでもやっているところでございまして、引き続きそういう努力はしてまいりたい、かように思っております。
  137. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 国庫債務負担行為に固執するのは、初年度というのは非常に少ないんですね、防衛庁で出した「概算要求の大要」、これを見ましても。  例えば装備品等の整備、甲類六百三十三億円ですよ、後年度負担が、総額で六百三十三億八千八百万円。それに対して当年度、初年度、六百三十二億円に対して百万円ですよ。〇・〇〇何%、〇・一%にも満たない。たった百万しか初年度は払っていないんです。これが装備品。航空機、全部でこれは三千六百四十六億円。初年度は四億四千七百万円、〇・一%、航空機ですね。それから艦船、これが二千百十七億円、後年度負担。初年度は幾らかというとわずかに十億円、〇・五%です。  だから、防衛庁が今買おうと思っている装備品、いわゆる武器、もう大部分が後年度負担ですよ。ですから、〇・一%くらいの予算だから簡単に予算をつけちゃうんです。ところが、後年度物すごい負担になるということをこれは感じていないんじゃないだろうか。いかに予算の重圧がかかってくるのかということを非常に軽く見てしまう、そういう危険性がこの国庫債務負担行為にはあると私は思うんです。ですから、なかなか軍縮をやろうと思ってもできないですよ、これは、もう既に約束したことが何百億あるんですから。何百億どころでないですよね、総額にしますと三兆円超えていますよ。  そういうことを考えたときに、国民が、この国庫債務負担行為で求めようとしている武器弾薬、そういうものが、一体どういう種類が何年間かかって、何年目にはどのぐらいのお金を払っていかなければならないということが一目瞭然になるような、そういう予算決算のあり方というものを私は根本的に考える必要があると思います。命局長予算書がそういうふうになっているのでそれに従ってやっている、それはわかりますよ。ですから、きょうは決算委員会ですから決算の問題から入りましたけれども、予算のつくり方そのものも私はやっぱりそう変えていくべきだと思うんです。どうですか。
  138. 佐藤謙

    説明員佐藤謙君) 国庫債務負担行為について、次年度以降の展開といいましょうか、各年の年割りまで示せないかというような御趣旨がと思いますが、国庫債務負担行為につきましては、先ほどの御説明と若干重複して恐縮でございますが、まず後年度にわたる、多年度にわたる債務を負担する権限を国会に付与していただく、それで各年度の支出権限は歳出予算という格好でそれぞれ付与していただく、こういう財政制度の仕組みになってございますけれども、その中で、そうはいっても国庫債務負担行為に係るものも次年度以降の支払いのめどが立っているであろうから、それをわかりやすく示したらいいではないか、こういう御趣旨がと思います。  ただ、実は次年度以降の具体的な支払い額ということになりますと、それはそれこそ為替レートの問題がどうなるとか、そのほかにもいろいろな要因で必ずしも確定ができないわけでございます。そういうことから、国庫債務負担行為については継続費のような、次年度以降の年割りを示さないような扱いになっていると理解しております。  ただ、その点につきましても、これは私ども防衛庁としての見積もりでございますけれども、お求めに応じまして来年度以降の後年度負担の展開がどうなるんだというようなものは、これは本当にそういった意味では防衛庁限りの見積もり、試算というようなものだと思いますけれども、そういうものとして御参考までに御説明をさせていただくとか、そういう努力はこれまでもさせていただいておりますし、今後ともそういうことで御理解を賜るように努力をしてまいりたい、かように思っております。
  139. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 予算書、決算書というものは、国会議員が質問をするためにどうしてもこういう内容が必要だから出してくれと言われて出すものではないと思います、私は。国民がどこででも見て、なるほど自分たちの納めた税金がこういうふうに使われているのか、こういうふうに一年間使って決算されたのかということが明らかになるように示すのが、私はやっぱりこれは政府責任だと思うんです。求めに応じて出すなんというのは、私は許されるものではないと思いますね。ですから、きちっとやっぱり出初からもう少し、さっきから申し上げているような内容で予算決算をつくるようなそういう体制を私は根本的に考えてもらいたいと思います。  きょう大蔵省も来ておりますので聞いていらっしゃると思いますので、十分ひとつ検討していただきたいと思うんです。  事務当局に言わせますと、こんな膨大になりますと言うんです。知らない人だったら本当かと思います。そんな膨大なものでないでしょう。例えばおたくの方で出しているこの国庫債務負担行為、何ページですか。「装備品等の整備」、甲類で一ページ、航空機一ページ、それから艦船一ページ、誘導弾ほか一ページ、四ページですよ。非常に主要な機種を全部書いていますよ。例えば九〇式戦車、八九式装中戦闘車、装輪装甲車、そのほか七八式雪上車、ずっと詳しく出ています。このくらいのこと出そうと思えば、これだけ粗く書いても四ページで済むじゃないですか。こんなものだなんて事務当局は言うけれども、それは余りにもひどいと思うね。だから、本当にやろうと思ったらできないことはないです、これは。  為替がどうのこうのと必ず言います。国庫債務負担行為は、これは為替なんです、その差益がどうなってくるかわかりませんと、こう言うんです。継続費は、例えば戦艦をつくる場合にどんがらをまず先につくる。どんがらと言ってもあれでしょうけれども、船体ですか、船体を先につくる。翌年度は大砲をつくる。三年度目はエンジンをつくる。だから、契約がきちっとできるから継続費としてわかるんですと、こう言うんですね。しかし、一般の戦闘機をつくる場合には、これは外国、アメリカから買ってきたり、部品を買ってきてつくるので、どうしても差益が出てくるんです。ですから、次年度以降どうなるかわかりませんと、こう言うんです。  ところが、戦闘機はそうかもしれないけれども、それじゃ国庫債務負担行為というのは外国から買うものばかりですかといって調べてみたら、戦車なんか全部国産でしょう。装甲車もみんな国産ですよ。だから、局長がおっしゃるように為替差益なんて何にも心配ないはずです。  現に、防衛庁は国庫債務負担行為で戦車を買う場合に、五年契約でもって金額をちゃんと示しているでしょう、業者との間に。初年度は幾ら、ゼロ、二年度は十億、三年度目には十億とか、金額を示している。それなら継続費と同じように出せないはずがないと思うんですよ。どうしても為替の差益が出る、だから金額が変わってくるかもしれないというのであれば一項目書いておいたらどうですか。この件については為替差益に関係して若干の金額の相違があるかもしれません、その場合には国会の議決を得て決めるものですと一項題書けばいいことであって、そういう一つの事例だけをとらえてできませんというやり方は、私は納得できません。  どうかひとつ、この国庫債務負担行為の決算の書き方、あわせて予算のあり方、これについては一番国民が関心を持たなければならないし、持っている問題です。四十年間軍拡を続けてきたのは日本だけです、これは。今後こういうような形をとっていったら、知らない間にどんどん軍事費が伸びていくんです。そういうことを恐れる余りに、あえてこういった細かいことについて申し上げました。  ぜひひとつ改めていただきたいと思うので、まず長官の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  140. 佐藤謙

    説明員佐藤謙君) 長官からの御答弁の前にちょっと事実関係だけ補足をさせていただきます。  事務当局が云々というお話がございましたが、実態から申しますと、要するに予算が項ということでもって国会の議決を受けているわけでございますね、いわば立法科目として。そういうことでございますので、予算の執行も科目に従ってずっと追っていくわけですが、そうすると、あと今おっしゃったようないろんな装備品ごとのものに科目ごとの支出を分けていかなきゃならぬことになるわけですが、実はこれも大ざっぱで恐縮ですけれども、例えば五年度なら五年度を考えてみますと、どのくらいの調達に伴う契約件数があるかといいますと、七万件から八万件あるわけです。これが結局、今の体制ですと予算の各科目ごとの整理ということで、できているものの中からそういったものを全部区分をして組み直さなきゃならぬということにあるものですから、その点、事務当局が非常に難しいとこう申し上げましたことは、まさに実態を踏まえたことだと思いますものですから、ひとつそれは御理解をいただきたい、こう思う次第でございます。
  141. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 財政法の第二十八条に「国会に提出する予算には、参考のために左の書類を添附しなければならない。」、八番員に「国庫債務負担行為で翌年度以降に亘るものについて」、中略しますけれども、「その全体の計画その他事業等の進行状況等に関する調書」というふうに書いてあります。「全体の計画」ということは、初年度と後年度負担だけを出せばいいというものではないというふうに私は解釈します。出して差し支えないものはあくまでも明らかにするべきです、これは。  去年の決算委員会でも、我が党の清水議員が同じような質問をしております。当時の玉沢長官がこういうふうに答えております。「決算の状況をわかりやすく国民に周知していただくということは、防衛庁としても重要なことと考えております。」と。一年たっても何にも改善されない。その誠意が疑われます。どうか、開かれた防衛庁にしたい、国民に愛される防衛庁にしたい、常々おっしゃるわけですから、せめて決算書予算書の今申し上げたようなこと、私は全部出せと言いません。ここに出ているくらいの主要な装備でも結構です、四ページでできるわけですから。  どうですか、長官。長官に結論だけ聞きたいと思います。
  142. 衛藤征士郎

    国務大臣衛藤征士郎君) ただいま山口委員の御指摘がございましたが、予算書にしろ決算書にしろ、これは国民にとってわかりやすく、しかも簡素であることが望ましい、当然でございましょう。  私も地方の首長の経験がございますし、山口委員もそのとおりだと承っておりますが、防衛庁の中で工夫できるものがあれば工夫をしてみたい、そしてできるだけわかりやすくその努力はいたしたい、このように考えております。
  143. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 お互い自治体の首長の経験からいきますと、自治体ではとてもこんなことを出したら議会が混乱するくらいでしょう。考えられないことです、地方自治体では。政府も同じだと思いますので、ぜひひとつ検討していただきたいと思います。  次に、FSXのことについてお尋ねいたします。  これは昨年八月の十二日に総理の諮問機関であります防衛問題懇談会が報告書として出した「日本の安全保障と防衛力のあり方」ということについて、こういうことが書かれてあります。「ソ連による本格的な航空侵攻の可能性は低下したので、戦闘機部隊または戦闘機の数を削減すべきである。」、こう書いてあります。  ところで、FSX、次期支援戦闘機、これは先ほどもたしかちょっとお答えが出ていたようでしたけれども、F1の後継機として整備される。そのF1というのは七十七機です。後継機として整備をする。しかも、ソ連の脅威はなくなってきている。したがって、航空機は削減せいとこの報告書に出ているんですけれども、F1が七十七機なのに百四十一機、なぜ約倍のこれを買おうとするんでしょうか。
  144. 秋山昌廣

    説明員(秋山昌廣君) まず、懇談会の報告に出ていたこととの関係支援戦闘機の必要性について、あるいは部隊の必要性についてちょっと最初に申し上げたいと思うわけでございます。  航空自衛隊は、我が国周辺のほぼ全空域を常時継続的に警戒監視できる航空警戒管制部隊などを保有いたしますとともに、領空侵犯及び航空侵攻に対して即時適切な措置を講じ得る体制を、これは常時継続的に維持できますように現在十三個の戦闘機部隊を保有しているわけでございます。そのうち、岩上陸侵攻阻止及び対地支援を主たる任務といたします支援戦闘機部隊を三個飛行隊保有しているわけでございます。  懇談会のレポートにありました戦闘機部隊の削減の提言は、この全体の十三個部隊についての御意見ということでございます。  防衛庁といたしましては、四面を海に囲まれました島国である我が国の地理的特性などを考慮いたしますと、岩上陸する侵攻部隊を海上または地上で阻止し、侵攻部隊と戦闘している海上自衛隊及び陸上自衛隊の部隊を空から支援する機能は今後も維持する必要があり、六機能を主たる任務とする支援戦闘機部隊三部隊は引き続き維持する必要があると考えているところでございます。  お尋ねの現在のこの支援戦闘機部隊、現有はF1でございますけれども、約七十機、七十機強保有しております。これの耐用命数、飛行時間等によるいわば耐用年限といったようなものでございますが、この耐用命数との関係で八年度以降逐次用途廃止されることになります。そこで、この支援戦闘機部隊を維持するためにその後継機を整備する必要があるということでFSXの量産化に入りたいということでございます。  他方、このFSXの量産機数につきましては、八年度から十二年間にわたりまして百四十一機予定しておりますけれども、これは支援戦闘機部隊あるいは教育部隊等、各種部隊等にこの戦闘機を充当したいということで、支援戦闘機部隊だけのための全体計画ではございません。
  145. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 どうして曲芸飛行にまでFSXを買わなきゃならないのか、私には不思議でならない。百四十一機を見ますと、ブルーインパルス九機が入っているんですね。何か単価をなるべく安くするために数をふやそうということで、無理して曲芸飛行に使うものまでFSXを注文するというように解釈せざるを得ません、これは。  あと時間がもうないので、結論だけ申しますけれども、考えようによってはアメリカのF16、これを利用してもおかしくないと言われている。アメリカのF16をもし購入するとすれば、約七千億円節減できると言われております。そういう方法もあるでしょう。私は少なくとも百歩譲ったとしても、F1の後継機であるならばF1の七十数機に合わせるべきだ、百四十一機は要らない、こう思います。そこを御検討いただきたいと思います。  それからもう一つは、今防衛庁にいらっしゃらないけれども、前にいらっしゃった幹部がこういうことを言ったことがありますね。防衛産業のことも考えなきゃならないんだという話をされたことがありました。私は大変驚きましたけれども、我が国の安全保障政策というものが防衛産業によって仮に支配されるということになると、これは大変な問題です。そういうことがあっては絶対にならない。  産軍複合体という言葉がありました。軍と産業が結びついて、そしてアメリカの民主主義が滅んでいくというアイゼンハワーの有名な演説がありました。日本がもし、防衛産業と自衛隊のこれからの計画が結びついていくということになったらこれはゆゆしき問題ですから、今の防衛庁にはそういう方はいらっしゃらないと思うけれども、そういうことも懸念されますので、十分にひとつ今後こういったFSXの問題については御検討いただきたい。改めて内閣委員会でやりたいと思います。  以上で終わります。
  146. 聴濤弘

    聴濤弘君 まず外務省に伺いたいと思います。外務省、呼んでありますので来ていると思いますが。  先日、八月二十四日の内閣委員会で私は米軍の低空飛行問題について質問をいたしました。これまで国会質疑政府は、米軍の低空飛行の問題については日米安保条約と日米地位協定で認められているところである、こういうふうな一般的見解を表明して、問題が具体的な問題になりますと、例えば私がその内閣委員会で取り上げた奈良県の十津川村の問題でありますが、そういった具体的な問題になりますと、それは知らない、米軍の運用上の問題である、こういうふうに答弁をずっとしてまいりました。  そこで、私は、十津川村の事故に関する米軍の調査報告書に基づいてこの内閣委員会で、米軍は日本本土に四つの低空飛行訓練ルートを設定しており、そこでは民間機が入れないようブロック、遮断するということですね、ブロックがかけられていると米軍の資料に記載されている、日本が知らないということは通らない、そういう質問をいたしました。  私が質問した根拠は、米軍の調査資料に低空飛行ルートの五官フィートから三千フフィート、メートルに直しますと百五十メートルから九百メートルのところにアルテチュードブロックと書いてある、アルテチュードというのは高度といいますが、高度のブロックという記載がある、これが私の質問した根拠でありました。  この内閣委員会での私の質問に対して、外務省の答弁が私との間で押し問答になりましたが、締局のところ、外務省はよくわからないということで調査を約束いたしました。外務省は、アルテチュードブロック五百から三千というのはどういう意味がということについて調査して後で報告する、こういうふうに約束をいたしました。調査の結果はいかがであったか、お知らせいただきたいと思います。
  147. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) お答え申し上げます。  先般、先生の方から御質問がございましたアルテチュードフロックの意味につきまして米側に確認いたしました。その結果、これは飛行訓練を実施する際に出されるパイロットに対する米軍内部の指示ということでございました。例えばアルテチュードブロック五百から三千の指示を受けたパイロットは、定められた区間を高度五百から三千フィートの間で飛行しなければならないという意味であると聞いております。
  148. 聴濤弘

    聴濤弘君 要するに、今のお答えですと、ブロックということが書かれているが、そのブロックというのは遮断をしているという、あるいは封鎖しているという意味ではなくて、その空域を飛んでよろしいという米軍内部の指示だと、そういうことですね。
  149. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) そのとおりでございます。遮断しているということじゃなくて、米軍内部でその区間を、その高度を飛ぶようにという指示をしているということでございます。
  150. 聴濤弘

    聴濤弘君 ブロックではなくて、遮断という意味ではなくて、そういう空域あるいは飛んでもいい範囲だというような意味だと普通レンジという言葉を使うんですね、米軍の言葉では。そういうこともあるので、決して私今の答弁に納得するわけにはいきません。  しかし、もしフロックされていない、遮断されていないということになりましたらこれは極めて危険なことだということになります。あなたは、ブロックという意味はそういう遮断という意味じゃないんだということでお答えになって、それで安心しておられるかもしれませんが、とんでもないことで、逆に言いますと、実際の問題としては大変な危険性があるということを言っているにすぎないと私は思うんです。  そういう低空のところでは有視界飛行をやっているので大丈夫だ、別にブロックしなくてもというようなことは現在ではもう通用しない。例えば十津川村で何で事故が起こったかといえば、あそこで超高速で飛んでいたためにもう避けることができなくなって山にぶつかったわけなんですね。これは米軍の調査報告がそういって述べているわけです。今はそういう低空のところではヘリコプターも飛びますし、民間人が所有しているセスナ機は飛びますし、そういう状態になっている。そこはブロックしておりませんよとあなたはお答えになるわけだから、日本の空がいかに危険な状態になっているかということを自己告白するようなものだと私は思います。  いずれにしましても、私がこの前質問したことに対しての今の調査報告でありましたが、報告を受けたということは私、今確認をいたしますけれども、その内容は到底納得できないものであるということを申し上げておきたいと思います。  きょう私、防衛庁長官にこの後いろいろ質問したいので、また別の機会にこの問題は非常に重要なことでありますので取り上げるということを申し上げて、防衛庁長官の方に質問を移させていただきたいと思います。  防衛庁長官にお伺いしたいと思います。外務省の方、結構です。  日米安保条約の強化の問題、それから再定義の問題、これが今大きな重要な政治問題になっております。いろいろなことが報道されておりますが、きょう質問する趣旨は、報道はいろいろあるんですけれども、実際上今どういうことになっているのかということの事実の関係を基本的にお伺いしたいというのが私の質問の主要な趣旨であるということをまず最初に申し上げておきたいと思います。  第一には、私は若干日程上のことについて質問させていただきます。  九月の二十七日、ニューヨークで日米安保閣僚会議、通称2プラス2というんですか、の会議が開かれると言われております。そこで在日米軍駐留経費の新しい特別協定が調印されるという報道がありますが、それは事実なのでしょうか、そのとおりなのか。  もう一つ、物品役務融通協定、通称ACSAといっているあの協定についてもこの九月二十七日の会議で基本合意がされるんでしょうか。  以上、二点についてまずお聞きしたいと思います。
  151. 衛藤征士郎

    国務大臣衛藤征士郎君) 聴濤委員お答え申し上げます。  九月二十七日の2プラス2、日米安全保障協議委員会でございますが、この席におきまして、今御指摘のありましたことにつきましては新しく協定をいたしたいと思っております。つまり、現行の特別協定が来年三月で失効いたしますので、この九月二十七日の2プラス2の会合におきまして新しい特別協定をいたしたい、このように考えております。  もう一点でありますが、ACSAでございますが、ACSAについては2プラス2の九月二十七日の会議では取り上げられないということであります。
  152. 聴濤弘

    聴濤弘君 新協定は、特別協定はそういうことだとわかりました。新協定もそれからACSAもいずれ来年三月には締結したいという報道もありますし、十一月のAPEC会議ではこれについて完全な合意を日米首脳の間で行いたいというような報道もありますが、いずれにしましても新協定とACSA、これは私は国会承認が必要な協定だというふうに思いますが、防衛庁はいつこれを国会にかけるつもりでいますか。
  153. 秋山昌廣

    説明員(秋山昌廣君) ただいま委員指摘のとおり、いずれも国会の承認を必要とするような手続がこれは出てくるということでございますけれども、今月予定されております2プラス2で、今大臣から答弁がありましたように、新しい特別協定については調印するという方向で今調整を進めておりますが、それが終わった後どういう形で国会の方にお願いをするのか、これは外務省が中心になるかと思いますけれども、それは早急に対応を考えるということになろうかと思います。  ACSAの方も同じようにいずれ国会の御審議なり御承認が必要になるというものでございますが、これにつきましては、まさに現在米側あるいは日本政府部内でどういう形の協定あるいは法律というようなことになるのか、そういう検討をしている最中でございまして、今どういうスケジュールに今後なるのかということは、はっきりとしたことは申し上げられません。
  154. 聴濤弘

    聴濤弘君 両方とも国会の承認が必要であるというふうにおっしゃったことは私確認したいと思います。  次に、ACSAの内容上のことについて、これも事実関係を主として防衛庁長官にお伺いしたいと思います。ACSAはまだ交渉中だというようなことでありますけれども、非常に大事な点なので、事実関係はどうなっているのかということで質問をいたします。  アメリカとNATO諸国が結んでいるACSAあるいはACSAと同様な相互支援協定あるいは相互支援法といったものがNATO諸国と結ばれておりますけれども、それらの協定あるいは法律には、有事に限るとか平時に限るとか、そういうことは規定されておりません。日本の場合、このACSAでは平時と共同訓練のときに限るという規定があるんでしょうか。
  155. 秋山昌廣

    説明員(秋山昌廣君) 先ほど申し上げましたように、法令上あるいはアメリカとの関係でどういう文書になるか、その辺がまだ確定しておりませんので今委員の御指摘について確たる答弁ができませんけれども、我々として今考えておりますのは、日米の共同訓練といったものを中心としたACSAを考えているということでございます。
  156. 聴濤弘

    聴濤弘君 それでは伺いますが、防衛庁長官はこの前ホノルルに行かれましてペリー国防長官と会談をし、その結果の記者会見が行われ、また閣議でもACSAをPKOにも適用することを前向きに検討したいということを表明されておりますが、PKOに適用するという場合にはこれはどういう概念で適用するんですか。有事の場合なんですか、それとも平時、共同訓練じゃないですから共同訓練は除外して、有事の場合なんですか、平時の場合なんですか。どちらの概念でもってPKOに適用するんでしょうか。
  157. 衛藤征士郎

    国務大臣衛藤征士郎君) 御指摘いただきましたように、ハワイにおけるペリー国防長官との会合におきましてACSAの導入についても話題にはなりました。しかし、PKOにACSAを適用するか否かとかいう具体的な枠組み等につきましては、何ら確定的なことを私の方では申し上げておりません。
  158. 聴濤弘

    聴濤弘君 もうあたかも全部決まったように報道されておりますが、決まっていないということなんですね。  もう一つこれについて、平時、有事に関連して事実の問題としてお聞きをしたいことがあります。それは例えば朝鮮が有事だ、朝鮮半島で何かが起こった、米軍が出動した、それに対して日本が米軍を支援する、こういうことが想定されてこのACSAというものが結ばれようとしているんだ、またACSAが必要なんだというこういう論調、こういう解説、これはもう非常にたくさん出ております。米軍の当局者もそういうことを言っております。  そこでお聞きしたいんですけれども、朝鮮でそういう動乱が起きる、戦争状態が起きる、米軍が出動する。ところが、日本はその限りにおいては平時なんですね、日本は。それでも、平時だからというので米軍を支援するということができるんでしょうか。
  159. 秋山昌廣

    説明員(秋山昌廣君) まず、先ほどの御質問の中にPKOの問題かちょっとございましたけれども、基本的に我々考えております、特に日本政府が参加するPKO活動あるいはこれは一般的に申し上げまして国連が行っているこれまでのPKO活動、これは有事という概念ではないと思いますし、我々日本政府の参加しているPKOを有事というふうに理解したことは全くございません。  それから、今御質問のございました朝鮮半島における何らかの事態が発生した場合の問題という点でございますが、先ほど申し上げましたように、我々現在このACSAについて考えておりますのは、基本的には日米共同訓練といったものをその中心にして考えているわけでございますけれども、今御指摘の点につきまして、つまり朝鮮半島である事態が発生したときの対応については、当然のことながらこれは別の観点からの検討になろうかと思います。
  160. 聴濤弘

    聴濤弘君 別の観点というのは、有事、平時とかそういうことではないもっと別のレベルの観点という意味ですか。
  161. 秋山昌廣

    説明員(秋山昌廣君) これは昨年の春、五月、六月あるいは今年の春にも、北朝鮮と米国の間の例のいろいろな交渉が行き詰まったときに、やはり国連の、具体的に言いますと、いろいろな北朝鮮に対する措置といったようなものがあった場合にどう対応すべきかというのは日本政府としても大変重要な課題であったわけでございまして、御記憶があるかとは思いますけれども、日本政府としては、その当時再三答弁をいたしましたけれども、憲法の枠内でできるだけのその対応をすると。そのできるだけの対応としてどういうことがあるのかということについては、これは法律上の問題もあります、いろいろ難しい問題もございますが、それはそういう形で政府部内でどういうふうにしたらいいのかということを検討いたした、あるいは今御質問に対してはそういう意味で別途の検討の枠組みの中の話だということを申し上げたわけでございます。
  162. 聴濤弘

    聴濤弘君 いずれにしましても、ACSAの問題というのは憲法か禁じている集団的自衛権の行使と非常に密接にかかわってくる重要な問題なので、臨時国会でも徹底的にこの問題は審議する必要があるということを申し上げて、時間がありませんので、最後に安保再定義問題について質問をいたします。  十一月に開かれるAPECの際に日米首脳会談か行われ、そこで日米安保体制の意義についての日米の共同声明が出るということ、これが方針になっているようであります。そして、その共同声明の文書の作成が進められ、でき上がっているという報道もあります。  アメリカ側でこの作業を中心的に進めているナイ国防次官補がたくさん講演もし、論文も書いております。私もできる限りのものは読んでみましたけれども、そのナイ国防次官補が現在日米安保条約というのがなぜ重要かということについて三つのレベルから問題を提起しております。  一つは従来どおりの日米の二国間での意義ですね。それから二番目は地域的な安全保障、アジア・太平洋地域の安全保障というのが二番目。三番目には世界的規模の問題に対処する、世界的規模ということを第三番目に挙げております。こういう三つのレベルで重要なんだということを言っている。  日本側も、これはことしの五月、前の玉沢防衛庁長官が訪米するころですが、日本側の案もできたということで幾つかの新聞が報道をしました。日米安保条約の新しい役割として、安保条約は世界の安定維持に関する米国の活動を日本支援するための不可欠な枠組みである、こういうことを日米共同声明でうたうという文案までことしの五月に幾つかの新聞が報道をいたしました。方向はナイ国防次官補が言っているのと同じものなんですね。  御承知のとおり、日米安保条約の建前というのは日米の防衛に関するものであって、ナイ国防次官補の分類によれば第一のところに当たるものである。もう一つ安保条約の建前は、日本がアメリカに基地を提供するのは、一の日米間のことと同時にもう一つは極東の安全のため、これが安保条約の建前なんだと。ナイ国防次官補、今のアメリカ側あるいは日本側の発表されていることから見ますと、日本側が進めていることはこの日米安保条約の範囲をはるかに超えるものであるということは明確だというふうに思います。  そうであれば、この再定義問題というのは、実は安保条約の改正の問題である、こう言わざるを得ないと思うんです。事実上の条約の改正に当たるということになると思うんです。事実上の条約の改正であるものを、国会にかける必要のない共同声明の形でやってしまうということになるわけで、これはもう極めて重大な問題だと思います。条約の改正が国会にかけないでやられるなんという、これは憲法にも反しますし、国会法にも反する。これはもう当然のことであって、このようなことが行われるということは極めて重大だと私は思います。  防衛庁長官の見解をお聞きしたいと思います。
  163. 衛藤征士郎

    国務大臣衛藤征士郎君) 冷戦後の日米安保体制のあり方は、これから国会の場で議論される問題だと考えておりますし、また今、聴濤委員指摘の日米首脳会談に向けた前防衛庁長官の話等々いろいろの検討がございますが、私は ずれにいたしましても、こうした検討は日米安保条約の実質的な改正を行うようなものではない、このように判断をしてこれからも取り組んでまいりたい、このように考えています。
  164. 聴濤弘

    聴濤弘君 今私が申し上げたことが実際に進んでいるならば、これはもう明確なる安保条約の改定であることは間違いないと思うんですね。安保条約というのは、時間がありませんから繰り返しませんが、範囲、内容について、さっきも私が述べたところにすべてのエッセンスがあるわけで、それをはるかに超えるところの作業が今行われているというわけですから、安保条約の実質上の改定であることは青うまでもないと思うんです。それが交渉中だということで、今我々国民の前にはそれは発表しないで、そして十 月のAPECで共同声明でもってそれをぼんと出す。いわば秘密交渉をやっていて、そしてその結果だけ国民の前に押しつけてくる、こういうようなやり方というのは絶対に許されないと私は思います。  このことを申し上げて、時間がなくなりましたので、これで質問を終わります。
  165. 小島慶三

    小島慶三君 私は、新緑風会を代表いたしまして、二、三、お伺いさせていただきたいと思います。  初めに、三大臣、どうもきょうは御苦労さまでございます。  私の最初に伺いたかったことは、実は法務省関係であったわけであります。けさほど笠原委員からかなり長い時間にわたってオウム関係の御質問がございました。私もそれに関連して田沢大臣の滋味あふれるお言葉をいただきたかったのでありますが、これは省略させていただきます。  それで、労働省防衛庁の方にお伺いをいたします。  まず、労働省関係でございますか、これは雇用促進事業団の問題でございます。私、昔のことで恐縮でございますが、炭鉱のスクラップ・アンド・ビルドというのを戦後実施いたしました。そのときに大量の炭鉱離職者が出るということで、労働省の方と御相談をしまして、炭鉱離職者援護会というのをつくった覚えがございます。それが今拡大されまして雇用促進事業団ということになっているわけでございます。  それで、現在の雇用促進事業団のいろいろな仕事のあり方を見ますと、これは私、素人がよそから余計なことを言ってもいけませんが、当初の目的からすればかなり問題は片づいてきておるということではないかと実は思っております。炭鉱離職者援護会の仕事に加えて、一般的な離職者、しかも再就職のために移転される離職者、こういう方のためにこの事業団が役に立っている、これはよくわかります。しかし、だんだんにその数も減ってまいっておりましょうし、それから行政勧告やなんかを見ましても、新しい住宅はつくらないということが言われております。  そういうことに関連して、雇用促進事業団の運営というものをこれから考えていった場合に、もちろん当初の炭鉱離職者の移転就職のためということは言えないでありましょう。それから、もっと拡充した一般的な姿で就職対策というものを推進するような機関であるか、そこまではお考えにならないということで新しい施設はつくらない、こういうことになっているのではないかと思うのでございますが、その辺のところをどういうふうに考えておられますか、まずお伺いいたします。
  166. 征矢紀臣

    説明員(征矢紀臣君) ただいま先生御指摘の点でございますが、経緯といたしましては、おっしゃるとおり、当初大量に発生いたしました炭鉱離職者対策が出発点となりまして雇用促進事業団が設置され、そういう中で、移転就職者用宿舎も設置、運営が始まって今日に至っているわけでございます。  ただ、その後、経済情勢の変化あるいは産業構造問題等に対処するために、当初は炭鉱離職者ということで出発したわけでございますが、その後のオイルショック時あるいは円高不況時等におきます造船、繊維等の産業を中心とする大量の離職者対策、移転就職の促進、そんなようなことも含めましてこの移転就職者用の宿舎の設置を行ってきているということでございます。  あわせまして、事業団の内容といたしましては、諸般の労働福祉施設、これは中野のサンプラザというようなもの、あるいは各地域におきます宿泊を伴う施設の設置あるいは体育施設等の地域におきます福祉施設、そんなものもあわせて設置をするということと、さらに中心になっておりますのは、構造変化等に対応しまして労働者の能力開発、これは在職者あるいは離職者、そういう方々両方ございますが、その能力開発についての施設、この設置、運営をするというようなことで今日に至っているところでございます。
  167. 小島慶三

    小島慶三君 ありがとうございました。  それで、今お話がありましたように、本来の仕事に加えた二つの大型福祉施設、それから研修訓練センターですか、その二つがつけ加わってきてると思うんですけれども、やっぱりこれも事業団本来の役割からするとややつけ加えの感じがいたすわけであります。殊に、行政勧告あたりからもその辺についての見直しということが行われております。  また、重ねてのことでございますが、住宅の問題につきましても、これは本来ならば回転性のものであるということで、常設的な住宅ではないというふうに思うわけでありますが、これもだんだんそこにたまりができてまいりまして、本当でありますと一年以内とか三年以内とかでよそに移るべきものが、今は三年以上のものがたしか六〇%ぐらいになっていると思うんですけれども、この辺についても行政勧告があったと思うんです。  その辺の見直しについてお教えいただきたい。
  168. 征矢紀臣

    説明員(征矢紀臣君) 雇用促進事業団につきましては、御指摘のように、昨年行政勧告が行われまして、その中でただいま御指摘の幾つかの点が指摘されているわけでございます。私どもといたしましては、そういう勧告の指摘を踏まえまして、その対処についていろいろ検討するということでございます。  移転就職者用宿舎につきましては、ただいま御指摘のように、長期滞留する方が多いというようなことがございまして、こういう方についての入居問題をどうするか、家賃をどうするか、あるいはそういう方についてただいま御指摘のような点を踏まえてどうするか、そういう点について検討をいたしているところでございます。
  169. 小島慶三

    小島慶三君 ありがとうございました。  それで、そういったいろんな見直しの視点というものがあると思うんですが、私最初から申し上げておりますように、若干、当初から現在までのいきさつを考えましても雇用促進事業団というのはある程度使命を果たしたのではないかという感じがいたすわけであります。  それで、行政勧告におきましても、この仕事地方とよく話し合って地方の方にだんだん移管をしたらどうか、あるいは住都公団に一括売却したらどうか、こんなふうな話が出ておるわけでありますが、そういう方向で整理を考えておられるのか。それとも、今規制緩和その他でたくさん離職者が出てまいります。そういう点をにらんでもっと積極的に活用するというふうにお考えになっておられるか、大臣にその辺を伺いたいと思います。
  170. 青木薪次

    国務大臣青木薪次君) 今後の設置につきましては、恒常的に移転就職者の流入か見込まれる地域で既存の宿舎がないという場合に、真に必要な地域に設置をしてまいったわけでありますが、今後の問題については、設置戸数について都道府県ともよく相談をいたしまして、一カ所当たりの設置戸数をなるべく小規模にするなどして、ひとつ機動的に対応いたしてまいりたいと思っているところであります。  なお、長期入居者対策等を行うことによりまして、既存宿舎の効率的な運営を図りつつ、老朽化の著しい宿舎については必要に応じまして建てかえ等をひとつ考えて対処いたしたい、こんなふうに考えているわけであります。
  171. 小島慶三

    小島慶三君 ありがとうございました。  時間がありませんので、次に防衛庁長官お尋ねをいたしたいと思います。  私が今大変懸念しておりますのは北東アジアの防衛問題、これが刻々に、しかも密度を加えて変化しつつあるということではないかと思うのでございます。ロシアはああいう形で力がなくなりました。それからの侵略というふうなことは当分考えなくてもいいというふうに世間では言われております。  ただ、ロシアがそういうふうな今の冷戦後に至った段階で中国の方は大変にメリットを受けているわけであります。ロシアがああいうことになりましたので、国境に備えている百万の兵隊を中国としては転用できる、それから予算もそちらの方に割がなくてもいい、それから奥地の工場、これもやらなくてもいいということで、中国は戦略大転換しておるというふうに思います。  どちらの方に転換しているかといえば、海軍力の増強ということで、中国の計画によりますと、二〇〇、五年には先進海軍国と全く並ぶという程度まで増強したいと、言っております。どの程度の成果が上がるかわかりませんが、現在の二けた成長のもとではあるいはそういうことも可能になるかもしれません。そういうふうなバックグラウンドを踏まえてどんどん現実に行動に出てきているところに非常に問題があるのではないか。  例えば南沙列島、これはかつては日本の領土でありました。敗戦後、今のところ帰属がわからなくなっております。そういうところで中国が圧倒的な軍事力を行使してあそこに拠点をつくっております。これは当然、権益を主張しているとカ国の争いになりましょうから、その後の拡張については余り簡単に手が出せないかもしれぬ。  しかし、もっと問題なのはやっぱり中台関係だと思います。中台関係についてはかなりぎくしゃくしてまいりました。殊に、最近ではそれにアメリカの関係が加わってきておりまして、アメリカではクリントン大統領がチベットのラマ法王、これと会談するというような話が出ております。こうなりますと、ますます一触即発といいますか、そういうふうな危険性というものは非常に広がりつつある。  殊に、中国の七人の有力な軍人が連名で中国政府のアメリカに対する軟弱性というのをなじっております。天下にそういうものをなじっております。ですから、中国の国内情勢も鄧小平以後はどういうことになるか、全く私は見当がつかない。恐らく、軍事大国というものに向かって、かつての日本ではありませんが、富国強兵でどんどん出てくるのではないか。当然これはアメリカを刺激します。  そういうふうな情勢で、私、前に尖閣列島の開発をやっていたことがありますが、この尖閣列島だっていつどんな情勢に巻き込まれるかわからぬ、もう当然、中台、衝突すれば作戦範囲になるでありましょうし、そういう点を考えても、日本の今の情勢というのはそう簡単に冷戦が済んだからもう軍縮をやっていい、こういう情勢ではないんじゃないか、新しい第二の冷戦というのを控えているのではないかというふうに思うわけであります。この点は山口先生のお話と大分違うので申しわけないのですけれども、私はそういうふうに思っております。  そういうふうなものを踏まえて、防衛庁長官としてはどういうふうに日本のこれからのあり方、こういった問題へのかかわり方、これを考えておられるのか。殊に、さっきも御質問がありましたように日米安保、この再定義という問題も出ておりますから、この辺も大きく絡んでくる、日本の運命を左右する大変な問題ではないかというふうに思っておるわけでございます。  そういうことで、私は防衛庁予算という面から見ても、もちろん切り詰めるべきは切り詰めていただいて、こういう新しい情勢に備えての積極的な対応を今から考えないと遅い、こういう感じがしております。私は防衛庁予算に大いに応援をするつもりでおりますけれども、そういうことを踏まえて大臣の御見解を承りたい。よろしくお願いします。
  172. 衛藤征士郎

    国務大臣衛藤征士郎君) 小島委員からただいま北東アジアの軍事情勢に対する御見識が指摘されました。ほぼ私も同じような考えを持っておるわけでございます。  ロシアにつきましても、依然として我が国周辺地域の安全に対する不安定要因になっていることは間違いない、このようにも思っておりますし、また朝鮮半島におきましては、韓国、北朝鮮合わせまして百五十万人を超える地上軍が非武装地帯を挟んで対峙しており、依然として軍事的緊張が続いている現実であります。また、北朝鮮の核兵器開発疑惑や弾道ミサイルの長射程化のための研究開発の動き、これは単に我が国周辺のみならず国際社会全般にも不安定要因をもたらしておる、このように私も思っておるところでございます。  また、小島委員指摘の中国の国防力でございますが、とりわけ海軍力、そして空軍力の増強は目覚ましいものがある、このように私も考えておる次第でございます。  アジア・太平洋地域の各国々の安全保障観がばらばらであるということであります。これが欧州諸国のように一つの考え方があればいいのでありますが、残念ながら北東アジア地域はそうではない。こういう状況になって、日本がいかにして我が国の安全保障をこれから進めるかということになるわけでありますが、先ほど申し上げましたとおり、我が国は周辺諸国に脅威を与えてはならない。まして軍事大国化の道は歩みませんし、憲法は守りますし、非核三原則は守る、この立場をとってするならば、当然日米安全保障条約を基幹とするところの我が国防衛、それをこれから着実に担保していかねばならない、こういう立場にあると私は思っております。  でありますから、アジア・太平洋地域の安定と平和のためには米軍のコミットメント、またプレゼンスというものは私は必要である、このように考えておるところでございます。
  173. 小島慶三

    小島慶三君 私がさっき申し上げ損ねた北朝鮮のあるいは朝鮮半島の問題についても補足をしていただきまして、ありがとうございました。  私の質問をこれで終わります。
  174. 水野誠一

    ○水野誠一君 新党さきがけの水野でございます。  三大臣の御就任をまずもってお祝い申し上げたいと思います。おめでとうございます。  私、時間が限られていることもございまして、本日は労働省にテーマを限って御質問をさせていただきたいと思います。まず、人材派遣あるいは職業紹介の規制緩和について青木労働大臣に伺いたいと思います。  人材派遣や有料職業紹介の対象範囲の見直し作業が、これは昨年のILO九十六号条約の見直しか決議されたことを受けまして現在進められようとしているわけであります。中央職業安定審議会平成七年中に人材派遣法、そして有料職業紹介については未年度答申があるということでございます。これは少しでも早くこの答申がなされることを期待するわけでありますが、またこの答申に対する大方の予測はかなり消極的な部分緩和にしかならないんではないかという危惧も一方ではあるわけでございます。  六月二十七日の朝日新聞では「職業紹介、規制緩和の焦点に」という記事で官官対立、すなわち労働省・連合対経済界・通産省の開放派と比較的消極的な立場と対立があるんではないかというようなことも書かれているわけですが、私はこの中で双方のいろいろな意見を拝聴するに、どうも反対される立場の中には日本型雇用のパラダイムが今完全に崩壊しつつある、変わりつつあるという意識、認識がどうも不足しているのではないかな、そんな感じもするわけでございます。  職業安定法では、御案内のとおり労働力の需給調整というものはあくまでも国の役割であるということとしておりますし、職安が現在それを一手に引き受けているわけでありますが、現在一年間に紹介する労働者の数というのは就職、転職を含めても二〇%に満たない、これも既に御案内の統計があるわけでございます。  以前のように、日本型の終身雇用というものが確保され、労働の質やあるいは労働者の質が比較的均一な時代であれば、国の紹介ネットワークのみでも十分に機能したというふうに思うわけでありますが、現代のようにさまざまな職種、技能が生まれてきた時代になっては、多様な特化したデータベースと紹介のネットワークが必要になるはずであります。新しい雇用概念としての人材派遣についても同様この必要性が説かれているわけであります。  昨年、労働省が高齢者雇用促進のために派遣事業を高齢者のみに限りまして原則自由化をされました。これは大変私も評価をしているわけでありますが、この適用は今企業リストラによって行き先を失っています中高年労働者、とりわけ中年労働者、中間管理職あるいはホワイトカラーを含む中年労働者にも広げるべきではないかなというふうに考えております。  先ほど続委員より御質問がございましたが、現在失業率は三%を超えるという戦後最悪の水準になっているわけでありますが、雇用実態はその数字以上に深刻ではないかと思います。  まず第一には、その数字にあらわれない企業内失業あるいは失業予備軍というものがまだかなり存在をしているということ、あるいは九三年-九四年の一年間に非労働力人口というものが平均五十六万人増加という事態があるという数字上のマジックがこの中にはあるわけでありまして、したがってこの三・二%というような数字以上にこの問題は深刻であるというふうに思われるわけであります。  この失業者は、今の職業紹介制度のもとでは年齢的なバリアだけを考えても適切なマッチングを見づけられない実態があるわけであります。高度な転職のための教育とともに、適した事業を創出していく、つくり出していく、そういったクリューティブで自由な発想やパラダイムの転換を図るためにも、民間職業紹介や人材派遣会社の自由化というものを進めていく必要があるのではないかというふうに私は考えております。  これは、視点を変えて産業の空洞化を救うであろうというベンチャービジネスを創造していくという上でも非常に重要な視点ではないかと思います。経団連の新産業・新事業委員会の中間提言でも、人材の流動化の必要性ということから労働市場の自由化ということを大きく訴えているわけでございます。  日本型雇用形態が変わらざるを得ない現在、発想の原点を変えて雇用慣行の見直し、あるいは社内完結型の福利厚生の見直し、あるいは退職金制度の見直しなど、開放型雇用体系を前提として、国と民間の連携を図った職業紹介あるいは人材派遣のシステムを今新たにつくっていくべきではないかと思いますし、そのためには、先ほどの指摘にもありましたような省庁問あるいは労使の垣根というものを取り払って、まさに国を挙げて雇用問題に前向きな取り組みをすべきではないかというふうに考えております。  新大臣の御見解を伺いたいと思います。
  175. 青木薪次

    国務大臣青木薪次君) 水野先生の質問にお答えいたしたいと思います。  労働者派遣事業制度のあり方については、規制緩和の議論等を踏まえつつ、まず第一に適用対象の業務、二番目として手続の簡素化、三番目として派遣労働者の就業条件等の確保・整備のための措置、四番目といたしまして労働者派遣事業の適正な運営の確保のための措置、こういう問題を中心にして、昨年十一月以来、中央職業安定審議会において精力的に検討を進めていただいてきたところであります。七月末には中間報告が行われたところであります。これを踏まえてできるだけ早期に結論を取りまとめていただきたいと考えております。  それから、労働省としては、中央職業安定審議会の審議結果を踏まえた上で法的措置を含めて積極的に対応してまいりたい、こんなぐあいに考えております。
  176. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。  次に、阪神淡路大震災で被害を受けた方々についての雇用の状況並びに国の対策の実施状況を伺いたいと思います。  今回の阪神淡路大震災のために工場、オフィス、店舗、港湾などの職場が被災し、仕事がなくなった人の数は膨大な数になるわけでありますが、震災で家族を、また財産を失った多くの方々が生活の基盤である働き場所を確保して生活の種となる収入が得られるようにすることは、経済復興を促進するという意味でも非常に重要な課題の一つになると思います。  財産を失っただけではなく、崩壊した住宅のローンの支払いをしなければならない方も数多くいられるわけでありますが、ただ単に仕事があるということだけではなく、雇用の質、つまり一つは、収入の面でもそういった経済負担に耐えられるだけの賃金を確保できるような対策が必要であろうと思いますし、またもう一つは、自分に一番向いている仕事とのマッチングという意味での質も含めてこれは対策を考えていかなければいけないと思っているわけであります。  国としても、雇用保険や雇用調整助成金などの特別措置を実施して被災者の方々のための援助をされているわけでありますし、また職安を通じて雇用の確保に努めていられるということと思いますが、半年以上経過した現在の被災者の雇用状況、これは量的な面と、今質問の中に織り込ませていただきましたような質的な面の両方からの視点で、また国や自治体の雇用対策の実施状況について伺いたいと思います。
  177. 青木薪次

    国務大臣青木薪次君) まず、きのうとおとつい現地に行ってまいりまして、つぶさに調べてまいりました。  兵庫県の雇用状況は、これまで震災の影響により求職者が増加してきましたが、七月の数字では新規求職者は前年同月とほぼ同一水準まで減少してきております。  次に、被災地における雇用対策といたしましては、雇用調整助成金の特例措置及び高卒助成、いわゆる業種を限定しない、全体にやる、それから三分の二を四分の三にする、こういう措置を講じたところであります。それから雇用保険の失業給付の特例支給などでありますが、これも同じようにやりました。  失業の防止に努めておりまするけれども、また積極的な求人開拓、それから就職面接会の積極的な開催も含めたきめ細かな職業相談、職業紹介の実施、そして特定求職者雇用開発助成金の積極的な活用、あるいはまた公共事業への就労促進法の活用などによりまして被災による離職者の雇用促進等について全力で取り組んでいるところでございます。  以上、答弁申し上げます。
  178. 水野誠一

    ○水野誠一君 ただいまの御答弁も踏まえまして、また先に伺いました第一番目の質問も踏まえてもう一問伺いたいと思いますが、こうした大震災は今後も十分に起き得る可能性というのはあるわけでありますが、大震災の復興対策の一つとして、震災地区における人材派遣あるいは職業紹介を臨時措置として規制緩和できないかという点について伺いたいと思います。  今回のように失業された方々、中でも大企業に勤めていた方々は大変恵まれているということは言えるわけでありますが、中小企業、零細企業にお勤めになっていた方々は、会社が倒産したり閉鎖したりあるいは縮小されたりというようなことで、再就職が非常に厳しい状況だというふうに聞いております。  また、もちろんこれまでに多くの方々が、今大臣のお話しもございましたように、職を見つけられた方がもうあるわけでありますが、質的に見たときには必ずしも適切な仕事とは蓄えない、かなり不満がその中にはあるということも聞いております。  米国のロサンゼルスの大地震がございました。その後で失業した多数の労働者が民間の職業紹介、人材派遣業者によって職場を与えられたというニュースを私は読んだことがございます。これも、米国ではもともとILO九十六号条約を批准していないために、職業紹介、人材派遣というものなどについての制約がないということが仕事と人とのマッチングをかなりスムーズにしたという趣旨の記事であったというふうに記憶しております。  今回の被災による失業者の多くというものは、仮に一時的に地元を離れて就職ができたとしましても、地元が再建されたときにはいつかは戻りたいと思っている、そういう方々が非常に多いということがアンケートでも出ております。短期的な雇用を目的とする人材派遣制度というものが、こういった状況のもとではかなり利用価値があるのではないかというふうにも考えております。  ところが、御承知のように、現行の労働法の体系では人材派遣事業は十六業種ということに限定されております。しかし、このたびのような震災による失業者というのは、上場労働者でありますとかセールスマン、ウエートレス、運転手、店員といったありとあらゆる職種の人がいるわけでありまして、十六業種以外のこのような方々の雇用には民間の人材派遣業者というものは現状ではタッチできない、こういう状況だと思います。  また、職業紹介の分野におきましても、既に職を見つけた方々を含めまして、自分の経歴にマッチしたよりよい仕事を探したいという声もあるわけでございまして、そういった状況を考えていったときに、特例の時限措置としてのこの二法の緩和が生まれることができれば、これによって国も雇用保険や雇用調整助成金の支出も削減できるという一石二鳥のメリットにもつながるはずであります。こういった特別措置の御検討を、可能性があるかどうか、この点につきまして労働省の御見解を伺いたいと思います。
  179. 征矢紀臣

    説明員(征矢紀臣君) ただいまの先生の御指摘でございますが、一つの考え方としてただいま御指摘のような考え方があるわけでございますが、他面におきまして労働者保護等の観点から労働者派遣事業のあり方あるいは民営職業紹介事業のあり方についてのさまざまな御意見もあるわけでございます。そういう中で、現在の法制度のもとにおきましては特定の地域において特例として認めるという仕組みはないわけでございまして、そういう意味で現状におきましては御指摘のような仕組みはなかなか困難であると。もう二面で申しますと、労働者の立場から見ますと、状況が非常に厳しい地域につきまして、これは震災以外でもあるわけでございまして、全国的な規模で考えるべきではないか、こういう御指摘もあるわけでございます。  いずれにいたしましても、労働者派遣事業制度のあり方につきましては、先ほど大臣がお答えしたとおり、現在、関係議会で具体的に適用対象業務の拡大あるいは手続の簡素化、その他就業条件の確保等を含めまして検討中でございまして、この点につきましてはできるだけ早く審議会としての結論を取りまとめていただきまして、私どもとしては法的措置も含めて積極的に対応してまいりたいというふうに考えております。  あわせまして、民営職業紹介事業制度の見直しにつきましても、これについても中央職業安定審議会で具体的な議論を進めるものでございますので、労働者派遣事業制度の見直しの検討の進捗状況も踏まえまして、これにつきましてもできるだけ速やかに審議会におきます検討に着手をしていただきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  180. 水野誠一

    ○水野誠一君 ただいまの御答弁はよくわかったわけでありますが、ともかく規制緩和の方向というのは、今の経済情勢あるいは雇用情勢というものの現状をフレキシブルに把握して、それに対する対応としてやはりフレキシブルな対応をお願いしたいというふうに思っております。とりわけ阪神大震災というような非常時の場合にやはりフレキシビリティーを持った対策というものが必要になるということを御理解いただければというふうに思います。  最後に、もう時間もございませんので手短に女性の雇用問題ということで伺いたいと思います。  先ほど武田委員からも男女雇用機会均等法の見直しという問題について御指摘がございました。十年たった今、広がっております格差是正という視点からもそれはぜひとも必要なことだというふうに思いますが、一方で日本商工会議所が労働基準法の女子労働者に対する保護規定、これは時間外労働あるいは休日労働、深夜業の規制などが女子の雇用機会、能力開発、発揮を妨げているということで緩和を求めている、こういう動きもあるわけでございます。これは女手の雇用というものを促進していく上では非常に重要な視点かというふうに思いますが、その一方で女性が安心して働ける職場環境をどう整備していくかについて伺いたいと思います。  もう長々と御質問することはやめますが、今女性が本当に仕事を得て企業の中でその責務を全うしていくというためには、出産、育児というような女性独自のやはりバリアがその中にはあるわけでございまして、それを越えて安心して仕事に打ち込める、そういった職場の環境をつくり上げることが実質的な意味での女性の職業生活に最も大切なことだというふうに思います。  公営の託児所でありますとか、あるいはいろいろな立法も含めた措置というものがそこには必要になるわけでありますが、厚生省を初めとする他省庁との連動も含めて、労働省がこの環境改善、促進ということについて今後どんなお取り組みをしていくか、その辺についてお聞かせいただきたいと思います。
  181. 青木薪次

    国務大臣青木薪次君) 女子労働者が雇用を継続していくためには仕事と育児や家族の介護との両立が大きな問題でありまして、国としてはあらゆる支援をしていくことが重要であると認識しておるところであります。  このため、さきの通常国会で成立いたしました育児介護休業法に基づき、育児休業制度や介護休業制度の普及、定着、育児や介護を行う労働者が働き続けやすい雇用環境の整備など、労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援するための対策を充実いたしまして、総合的、体系的に推進をしてまいりたい、こう思っているところでございます。
  182. 水野誠一

    ○水野誠一君 終わります。
  183. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 他に御発言もないようですから、法務省労働省防衛庁及び裁判所決算審査はこの程度といたします。  次回の委員会は来る二十日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十七分散会      ――――◇―――――