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国務大臣(
衛藤征士郎君) 数項目についての
笠原委員の質問でありますが、まず、私の
防衛についての基本的な考え方を申し上げたいと思います。
それは、一つは軍事大国化の道を歩まない、憲法を守る、そして非核三原則を守る、こういう立場で、あくまでも専守
防衛に徹する、こういうことでございます。
さて、よく仮想敵国のことを言われるわけでありますが、
我が国政府といたしましては、特定の国または特定の
地域を仮想敵国視するという考え方はとっておらないことは御案内のとおりであります。しかし、
我が国の
防衛力の整備について言えば、特定の脅威に直接対抗することを目指すというよりも、
我が国みずからが力の空白となって不安定要因となることのないように、独立国として必要最小限の基盤的な
防衛力の整備を目指したい、これが基本になっているということでございます。
さて、この観点に立ちまして、今
委員の御
指摘の数点について
お答えを申し上げたいと思います。
一つはFSXの問題でございます。
この問題につきましては、現有の
支援戦闘機の後継機として、
我が国の
防衛上の観点を踏まえまして、日米のすぐれた技術を結集しまして米国のF16をベースとして開発してきたものでありますが、
防衛庁としては今般これを量産化することといたしまして、
平成八
年度の
概算要求におきましても十二機を整備したいということで要求をしておるところであります。なお、量産計画について申し上げますと、
防衛庁としましては
支援戦闘機、
教育用航空機等の所要を考慮いたしまして合計百四十一機を
平成八
年度から
平成十九
年度にかけて十二年間で整備する考えを持っておるわけでございます。
次に、TMD、戦域ミサイル
防衛の問題でありますが、これはまず
我が国防衛政策上の位置づけといたしまして、これに対する
我が国の対応、また専守
防衛の観点から政策判断を行う必要がある、このように考えております。そのためには、弾道ミサイルの脅威であるとかTMDの具体的内容、その技術的可能性、費用対効果等多岐にわたる問題について検討する必要がある、このように考えておるわけでございます。
平成五
年度以来、事務レベルでTMDの具体的な内容につきまして米側から説明を受けておりますが、現在は、昨年九月の円米
防衛首脳会談における合意に基づきまして、弾道ミサイル
防衛に関する多くの知見を有する米側の協力を得ながら、日米共同で研究を進めておるところでございます。
なお、
平成七
年度予算におきましては、御案内のとおり、
我が国の防空システムのあり方に関する総合的調査研究に係る経費を計上いたしまして、また
平成八
年度予算概算要求におきましても引き続き本調査研究を行うために所要の経費を要求したところでございます。
これによりまして、
防衛庁といたしましては、弾道ミサイル攻撃などの空からの脅威に対処するための防空システムの機能、それから性能などにつきまして分析評価を行い、本件政策判断に必要な技術的資料の収集に当たりたい、このように考えておるわけであります。このような検討を踏まえまして、TMDに対する
我が国の対応等について判断をしてまいりたい、このように考えております。
日米安保体制の問題が
指摘されましたが、これは
我が国の存立と繁栄にとって不可欠のものである、このように認識をしております。まずは
我が国の安全の確保、極東の平和と安全の
維持への貢献、日米
関係の中核でありますし、また幅広い
日本の外交
関係の基礎でもあります。こういった観点を私たちは踏まえまして、日米安保体制は引き続き重要な意義を有している、このように考えておりますし、特に、アジア・太平洋
地域における平和と安定の
維持への貢献という意義はむしろ高まってきている、このような認識に立っておるわけでございます。こうした観点から、
我が国といたしましては日米安保体制の信頼性の向上を図りまして、その円滑な運用のために努力をしてまいりたい、このように考えております。
平成八
年度の
防衛関係の
概算要求の問題でありますが、対前
年度比二・九%増となった、こういうことでございます。極めて厳しいものでありますけれども、何とか所要の経費枠を確保できたものと、このように考えておるわけであります。
防衛庁としましては、
概算要求において認められた枠の中で、国の
防衛に万全を期すべく自衛隊の
維持運営のために必要な経費を極力確保いたしまして、御
指摘のありました災害等にも対応いたしまして、自衛隊がその機能を十分に発揮できるよう創意工夫を凝らしてまいりたい、このように考えております。
災害対策に対する対応でございますが、
阪神・
淡路大震災の災害派遣の教訓を踏まえまして、三月二十四日に
防衛庁長官を議長とする災害派遣検討
会議を設置したところでございます。
この検討
会議におきまして、具体的には自衛隊法第八十二条第二項のただし書き、いわゆる自主派遣条項の運用方針の検討をいたしました。また、
地方公共団体との
連携の強化、さらには災害救援活動の円滑な実施のために必要な権限の検討、
情報伝達の迅速化、効率化を図る、さらに災害派遣にかかわる備品等の
充実に当たる、このようなことであります。また、
平成七
年度補正
予算におきましては、御案内のとおり、ヘリコプター等により収集した映像
情報を伝達するシステム、人命救助システム等の整備にかかわる経費を計上いたしたところでもあります。また、災害派遣を命ぜられた部隊等の災害時における自衛隊の緊急通行車両の通行を確保するための措置にかかわる権限が付与されました。等々、いろいろの問題につきまして新しく検討が加えられたことを申し上げたいと思います。
時間の
関係上、次の問題について御答弁を申し上げたいと思います。
個別の問題といたしまして、先生の地元の岐阜飛行場の民間共用化についてのお話もございました。航空自衛隊の岐阜基地につきましては、現在、飛行開発実験団等が配備されまして航空装備品等の試験、運用研究等を行っておりまして、航空自衛隊といたしましては飛行場の利用に高い需要を有しておるところであります。同基地につきましては、地元に飛行場を民間共用するための一般的な願望があることはよく
承知しております。しかし、現段階において地元
関係機関等からその具体的な計画ないし要望が示されておらないようでございます。このため、
防衛庁といたしましても岐阜飛行場の民間共用化につきましては具体的な検討を行っているものではありませんが、こういった立場でございますので、今きめ細かく具体的な意見を申し上げることは差し控えたいと考えております。
以上、取りまとめて申し上げました。また質問がございますれば
お答え申し上げたいと思います。