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1995-09-13 第133回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年九月十三日(水曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員異動  九月六日     辞任         補欠選任      魚住裕一郎君     寺澤 芳男君      海野 義孝君     広中和歌子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         浦田  勝君     理 事                 大木  浩君                 佐藤 泰三君                 山崎 順子君                 山下 栄一君                 筆坂 秀世君     委 員                 海老原義彦君                 笠原 潤一君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 中島 眞人君                 長峯  基君                 松村 龍二君                 牛嶋  正君                 武田 節子君                 続  訓弘君                 寺澤 芳男君                 畑   恵君                 広中和歌子君                 朝日 俊弘君                 伊藤 基隆君                 山口 哲夫君                 国井 正幸君                 水野 誠一君    国務大臣        運 輸 大 臣  平沼 赳夫君        郵 政 大 臣  井上 一成君    事務局側        常任委員会専門        員        貝田 泰雄君    説明員        総務庁行政監察        局監察官     伊藤 孝雄君        科学技術庁研究        開発局長     加藤 康宏君        大蔵大臣官房企        画官       細溝 清史君        工業技術院長   平石 次郎君        運輸大臣官房総        務審議官     相原  力君        運輸大臣官房技        術審議官     戸嶋 英樹君        運輸省運輸政策        局長       土坂 泰敏君        運輸省鉄道局長  梅崎  壽君        運輸省自動車交        通局長      山下 邦勝君        運輸省自動車交        通局技術安全部        長        南戸 義博君        運輸省海上技術        安全局長     小川 健兒君        運輸省航空局長  黒野 匡彦君        気象庁長官    二宮 洸三君        郵政大臣官房人        事部長      金澤  薫君        郵政大臣官房建  野々村俊夫君        郵政省郵務局長  加藤豊太郎君        郵政省貯金局長  木村  強君        郵政省簡易保険        局長       天野 定功君        郵政省通信政策        局長       山口 憲美君        郵政省電気通信 五十嵐三津雄君        郵政省放送行政        局長       楠田 修司君        会計検査院事務        総局第三局長   天野  進君        会計検査院事務        総局第四局長   五十嵐清人君        会計検査院事務        総局第五局長   平岡 哲也君     —————————————   本日の会議に付した案件平成四年度一般会計歳入歳出決算平成四年度  特別会計歳入歳出決算平成四年度国税収納金  整理資金受払計算書平成四年度政府関係機  関決算書(第百二十九回国会内閣提出)(継続  案件) ○平成四年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百二十九回国会内閣提出)(継続案件) ○平成四年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百二十九回国会内閣提出)(継続案件) ○平成五年度一般会計歳入歳出決算平成五年度  保特別会計歳入歳出決算平成五年度国税収納  金整理資金受払計算書平成五年度政府関係機  関決算書(第百三十二回国会内閣提出)(継続  案件) ○平成五年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百三十二回国会内閣提出)(継続案件) ○平成五年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百三十二回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 浦田勝

    委員長浦田勝君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  この際、平沼運輸大臣及び非上郵政大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。平沼運輸大臣
  3. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) このたび運輸大臣就任をいたしました平沼赳夫でございます。  決算委員会皆様方には、常日ごろ運輸行政に関しまして多大の御理解を賜っております。また、大変な御尽力をちょうだいいたしておりまして、まずこの場をおかりして心から御礼を申し上げたいと思います。  運輸行政といいますのは、御承知のように陸海空、そして海上の安全の確保、さらには気象、大変幅広い分野国民生活に密着している行政でございます。私といたしましても国民生活向上のため、安全を旨として、委員皆様方の御協力をいただいてこれから一生懸命頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞ格段の御協力を心からお願い申し上げまして、就任のごあいさつとさせていただきます。  どうぞよろしくお願いいたします。
  4. 浦田勝

  5. 井上一成

    国務大臣井上一成君) 先月、郵政大臣を拝命いたしました井上一成でございます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。  決算委員会委員各位には、日ごろから郵政行政推進につきまして格段の御理解と御支援をいただいておりますことに、冒頭心から厚くお礼を申し上げたいと思います。  申し上げるまでもございませんが、郵政行政が担う分野郵政事業電気通信行政とともに、我が国の国民生活産業経済活動を日常的に支える極めて重要な役割分野でございます。このため私といたしましては、国民皆様から愛される郵便局信頼される郵政行政を通じて、これからの活力ある、しかも安心できる社会生活基盤の構築を目指してまいりたいと考えています。  委員長を初め、委員皆様方の御指導と御鞭撻を賜りますよう心からお願いを申し上げまして、私のあいさつとさせていただきます。  ありがとうございました。     —————————————
  6. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 委員異動について御報告いたします。  去る六日、魚住裕一郎君及び海野義孝君が委員を辞任され、その補欠として寺澤芳男君及び広中和歌子君が選任されました。     —————————————
  7. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 平成四年度決算外二件及び平成五年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、運輸省及び郵政省決算について審査を行います。     —————————————
  8. 浦田勝

    委員長浦田勝君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明の聴取は、いずれもこれを街略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  10. 浦田勝

    委員長浦田勝君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  11. 海老原義彦

    海老原義彦君 自民党の海老原でございます。  初めに運輸大臣に伺います。  ただいまごあいさつの中で陸海空と多岐にわたる運輸行政を所管されるということで、御就任をお祝い申し上げますとともに、この際伺いたいこといろいろございますので、とりあえず景気回復。  この内閣では景気回復が最大の使命だというふうに私も伺っておりますけれども、この運輸行政の中で景気回復に向けてできることは何があるんだろうか。私、素人ながら考えてみますと、まあいろいろあるだろうと。きょうはそのことを中心に質問していこうと思っております。だんだん細かい話、技術的な話など事務当局から伺いますが、とりあえず大臣から包括的に、運輸省としては景気回復に向けてどういうことができて、どういうふうに取り組む所存であるかということを伺いたいと思います。
  12. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 委員指摘のように、村山内閣二つの柱がございます。その一つは今御指摘の、景気回復内閣と位置づけてこの低迷した景気をいかに回復するか、これが一つの大きな柱であります。もう一つ行政改革政権、こういうことで規制緩和を含めていかに国民皆様方の御要望におこたえをしていくか、これが二つの大きな柱になっております。  御承知のように、運輸省といいますのは大変公共的な性格、そういう事業が多いところでございまして、港湾あるいは鉄道、さらには航空、そういった分野で、たまたま昨日の閣議の後の閣僚懇談会におきましても、村山総理から特段に景気回復、九月二十日ぐらいまでをめどに成案を得るようにと、そういう総理大臣としての強い要望がございました。  したがいまして、運輸省といたしましても、まずやらなければならないことの一つには阪神・淡路大震災の復興があるわけでありまして、これも地元の皆様方の御協力や諸先生方の御協力で非常に順調に推移をいたしております。さらにこのことに力を入れながら、あの地域の景気回復、こういうことに運輸省としても資していきたいと思っております。  あるいは、これから非常に大きな国際化の中で、垣根を越えた交流の時代に入ります。そのためにも、港湾にいたしましても空港にいたしましても、いわゆるハブ化をしていかなければなりません。そういうハブ化をしていくためにも、やはりこれは大々的に予算を獲得しながら景気回復に資するための事業も行っていかなけりゃいけない、こういうことでございまして、我々といたしましても既に八月の末に仕上げました概算要求の中にも、この景気回復を旨としてそういった整備の充実を図るということも盛り込まさせていただきましたし、また第二次補正予算、ここの中にも我々としましては景気回復のために、最大限これから財政当局と折衝をしながら予算要求をしていこう、そしてこれを景気回復一つの大きな柱にしていこうと、こういうふうに思っております。  さらに規制緩和、こういうこともやはり景気回復には一つ大きな重要なテーマでございますので、ここにも我々は配意をしながらそういう国民皆様方の御要望におこたえをしていきたい、そういうふうに思っているわけでありまして、全省を挙げて景気回復には全力を挙げて取り組んでいく、こういうことで我々やらしていただきたいと、こういうふうに思っております。
  13. 海老原義彦

    海老原義彦君 景気回復のため運輸行政の中で全省挙げて取り組むという前向きな御答弁、ありがとうございました。  運輸行政は、どちらかといいますと景気追随的と申しますか、景気が悪ければ荷も動かない、人も動かないというようなところのある行政でございますけれども、しかし運輸行政の中でも建設的な部門いろいろございます。そういうのが景気刺激策として非常に大きい問題だということ、私もそのように理解しておりますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  また、行政改革についてお触れでございましたけれども、運輸省は大背、省庁統合一つの象徴となったような、五十年前の話でございます。昔、陸海空のうち、海空逓信省、陸は鉄道省というように分かれておった。これが統合いたしまして今の運輸省の姿になった。このような一体化した運輸省の姿になるまでには、当初十年、二十年の間は、やはり陸の系列である、海の系列であるということが人事上もいろいろあったようでございますが、今は全く一体になっておる、一体になって大臣を支えておる。こういうような行政改革省庁統廃合の大先輩としていろいろと、あるいは頂門の一針として、十年、二十年、長い目で見なきゃ省庁統廃合というのは非常に難しい問題なんだよという見方もございますでしょうし、いろいろと運輸省自体が参考になることを抱えておると思うのでございます。  いずれにしましても、今はもう運輸省一体となって大臣を支える体制にあることを私も確信しておりますので、ひとつよろしくお願いいたします。  引き続きまして郵政大臣に御質問いたします。  郵政大臣に初めに郵政行政、御就任されての抱負というものを伺いたい。その際あわせて郵政事業の民営化問題について基本的な考え方を伺いたいということを当初考えておったわけでございます。しかし、事務当局といろいろお話ししておりますと、この際そういう問題に触れるのは大臣を渦中の人にすることになるので、ちょっとそれは遠慮してくれないかと。なるほどごもっともな話で、事務当局の非常に忠実な根回しに感激いたしまして私もやめるつもりでおりましたところ、大臣きのう記者会見でそのお話をなさったようでございますので、まず第一問といたしましては、記者会見でそういう話を引っ張り出された経緯、それからどんなことをおっしゃったか伺いたいと思います。
  14. 井上一成

    国務大臣井上一成君) 励ましを込めた御質問と受けとめて、私なりの考えを申し上げたいと思います。  郵政事業全般についてもうすべて御承知だと思いますけれども、二面は、日々の暮らし、日常の生活の中で欠かすことのできない国民生活を支えているという、全国に二万四千余りの郵便局を通じて郵便貯金簡易保険、いわば暮らし土台というか、そういう役割を担っている現実があります。さらに、電気通信行政というか、マルチという一つ表現で象徴される二十一世紀を志向した、これは未来、これからの時代をどうっくり上げていくかという、そういう一面と両面相持つ行政だと私は思っているわけです。  現実的な問題としては、今あまねく公平という表現がぴったしたと思うんですけれども、暮らしを支えているその土台を組みかえる、つぶしていく、そういうことはむしろ不安感を与えるだけであり、国民が求めている将来にわたっての安心感を与えていくということは村山内閣の掲げる「やさしい政治」の根本だと、その根本を担っているのが郵政事業の現実的な役割であると、私はそういう認識を持っているわけなんです。  さらに、未来、これは未知の世界、未知分野だというそういう認識も持てるかと思います。高度情報通信社会を構築していかなきゃいけない。そして、それはあくまでも暮らしの中に溶け込めるようなそういうソフトな面を私は置き去りにしてはいけない、忘れてはいけない。そういうことを考えますと、郵政の担い得る役割というものは非常に大きいものがある。まさしくこれからの二十一世紀は、うぬぼれかもわかりませんが、私の所管する郵政省はその先頭に立たなきゃいけない、こういう認識を持っております。  非常に微力ではありますけれども、委員長初め各委員先生方の御協力、御指導をいただきながら、私はその先頭に立って、安心した暮らし、安定した国民生活、そして希望の持てる二十一世紀、より心の通い合う社会をつくり上げていくために、その先頭に立って頑張る強い決意を申し上げてお答えとさせていただきます。
  15. 海老原義彦

    海老原義彦君 強い決意郵政行政に取り組まれると。立派なお話でございましたが、私の質問の後半にございましたきのうの記者発表発表ではなくて恐らくこれは記者がうまく発言を引き出したんだろうと思いますが、どのような状況で、どういう経緯で、どういう内容お話しになったか、ちょっとこの席で伺うわけにいくのかいかないのか、いかなければそれもまた結構なことでございますので、それは発言をお控えいただいても結構でございます。
  16. 井上一成

    国務大臣井上一成君) 今申し上げたことが総じた私の考え方でありますけれども、あえて昨日の記者会見流れというものを、これは一定の流れがあったわけでありますけれども、一人でも困る人、そういう社会、弱い者を切り捨てていくというような政治になってはいけないというのは私の政治信念です。  そういう意味から、今申し上げたように全国くまなくというか、過疎の他あるいは山間僻地、離島、そこに住んでいらっしゃるおじいちゃん、おばあちゃんがもし心を東京におるお孫さんや息子や娘に伝える場合に、今の私たちの果たしている役割というのは、均一な料金で遠近にかかわらずどのような状況の中でも公平にその心をお伝えしている。だから、例えば一番身近にある金融機関というのは郵便局なんです、一・一キロ。どれだけお年寄りであっても何らかの形で老後への、あるいはいろいろなコミュニケーションの中継地として郵便局が役立っている。こういうことを考えると、困る人ができるような世の中をつくっちゃいけない。  だから、時代がどれだけ変わってこようとも、また今後どのように変わっていくか予測もつかない。しかし、そのときそのときやはり国民皆さんのニーズにこたえ得る体制をとりながら、そしてより効率的に私たち皆さんに喜んでもらえる、信頼を得られる、そういう仕事をしっかりと打ち立てていかなきゃいけない。それには非営利、そして国が責任を持って安心してもらえるような業務というのは、今の体制を私は続けるべきであるというか、今の体制を堅持すべきであるというみずからの考えを申し上げたわけです。  ただ、申し上げておきたいことは、日々、それこそ予測もしないスピードで世の中が変わっていくということは事実でありますから、そのことを予測しながら、どんなときにでも対応のできる、特に高齢化社会になる、高齢化社会の到来、長寿社会の中で、高齢者が心配のないように安心のできる、そのような社会を組み立てる一員として、土台骨として、私は郵政は国が責任を持って、政治責任を持ってこれは果たしていくべき大きな役割だというそういう考えを、これはたまたま昨日いろいろな記者会見の中で話があって私に質問があったので、私みずからの考え、私みずからの理念を申し上げたわけでございまして、今お答えをした考えが、私の持っている理念信念考え、それをより強く推し進めていきたい、それが安心を与えることである、私はそう思っています。
  17. 海老原義彦

    海老原義彦君 郵政行政の所管しておるこの三事業、これは国が責任を持ってやっていくべきことであり、それが国民安心を与える道である、しかし、社会情勢の変転に応じてそれは弾力的に考えていかなければならないという御趣旨と考えますと、私もまことにそのとおりだと思います。仮に民営化するにしろしないにしろ、これは一朝一夕に決められることではなく、本当に真剣に慎重な検討を経なければならない問題であると思いますので、今の大臣の御発言、まことにごもっともだと思っております。  さて、次の問題に移りますけれども、これはいささか嫌な話でございますが、郵政職員不正行為の問題でございます。  会計検査院決算検査報告によりますと、平成四年度も平成五年度も郵政職員保険料や預金などを領得したという不当事項が多数摘発されておるわけでございます。平成四年度については、不正事項が四十六件、損害額六億七千五百九万円、平成五年度にあっては三十一件、損害額二億二百六十一万円。浜の真砂は尽くるともと申しますけれども、本当に毎年毎年こういった摘発を受けておる。このことについて私はあえて綱紀の弛緩とは申しませんけれども、しかし綱紀を今以上に粛正していく必要もございますし、また抜本的な対策を講ずる必要もあるのではないか。これにつきまして大臣の御見解を承りたいと思います。
  18. 井上一成

    国務大臣井上一成君) 海老原先生指摘のとおりでございまして、大変今回の、今御指摘になられた職員による不正行為というものは、お客様である国民皆さんから信頼感を失う、先ほど申し上げた私の理念からは相外れた大変遺憾なことだと。まず私は相済まない、大変遺憾なことでございます。  それじゃ、今後どうしていくのかということでございますけれども、そのような不正行為がなきように、防止するために、私たち防犯意識の高揚、あるいは正規取り扱いの励行、また内部牽制措置というか、職員教育、これはもう徹底しなきゃいけないし、すきのない職場づくりということもこれは考えていかなきゃいけないと思いますし、御承知のように、制度的には監察業務考査等もありますし、そういう折には少しでもそういうことの防止に対して万全の対策がとれるように私は指導をしていかなきゃいけないと。何はともあれ、今後全省を挙げて犯罪防止のために、再び御指摘をいただかないそういう体制をつくっていかなきゃいけない、一層の防犯体制徹底を図ってまいりたい、こういうふうに思っています。  そういうことで、ただいまの御指摘強く肝に銘じまして、一層の内部教育指導、引き締めを図っていきたい、こういうふうに思っています。
  19. 海老原義彦

    海老原義彦君 一層の徹底を図るということで、またこれまでも監察体制十分整ってやっておるということでございます。郵政職員三十万の中で不心得者はほんのわずかだということもございます。しかし、ほんのわずかであっても不心得者がいるということは何とか矯正していかにゃならないことでありますので、これからもひとつよろしく御努力をお願いしたいと思います。  さて、次に郵政大臣にもう一問ございます。  日本電信電話株式会社NTTでございますね。これは今後のあり方あるいは経営合理化というような問題につきまして、「日本電信電話株式会社法附則第二条に基づき講ずる措置しというのが平成二年三月三十日に郵政省から出ております。これを読んでみますと、いろいろ講ずる措置があるんだと。例えば公正有効競争の促進であるとか、あるいは経営向上のための合理化推進であるとかいろいろあるわけでございますけれども、これらの措置の結果を平成七年度にもう一度再検討するという話がこの平成二年に出された講ずる措置内容一つとして載っておるわけでございます。この平成七年度におけるNTTあり方についての検討というのはいかように進んでおるか、伺いたいと思います。
  20. 井上一成

    国務大臣井上一成君) NTTあり方については、ただいま御指摘がありましたが、電気通信審議会の中で審議を願っている途上でございます。既に今月に入って個々の関係者からのヒアリングも始まったわけでございます。  今私としては、来年二月にその御客中をちょうだいできる、こういうことでございますので、その御答申をいただいて私なりの判断をいたしたい。そういう意味合いからは、今お答えのできる、現状では白紙の状態でありますということで御容赦をいただきたい、こういうふうに思います。  ただ、情報通信は今後ますます成長率というか成長が高くなっていくということだと思いますし、そのことにおいて国の経済の発展あるいは雇用の創出、新しい産業創出と、いろいろな意味で私は国民生活にも大きなかかかわりがあろうかと、こういうふうにも思っているわけでありまして、重要な産業であるという認識を持っているわけであります。  したがって、電気通信審議会においてはそういう御認識を持っていただいておりますし、情報通信の一層の活性化を図っていこうという御認識も持っていただいているわけでありますから、国民のより利便性というか、暮らしに溶け込めるような、そういう状況をつくっていこうというそういう意味合いから、今少し御指摘がありました経営合理化、これは経営合理化も含めて幅広い御意見がちょうだいできるものだというふうに私自身は期待をいたしておりますし、そのような幅広い御意見が審議会の中で反映されてまいるのではないだろうかと期待もいたしております。  よって、私といたしましては、先ほど申し上げましたように、今日は白紙の状態であります。御答申をいただいて最終的な判断をいたしてまいりたい、かように思う次第であります。
  21. 海老原義彦

    海老原義彦君 NTT事業は、今後の高度情報社会の形成発展に非常に重要な役割を果たすものでございますから、来年二月、審議会答申ということでございますので、審議会の答申が出ましたらば答申を踏まえて必要な措置を速やかにとられるように要望いたしまして、大臣に対する質問を終わります。  ここまでで両大臣に対する質問は終わりでございまして、ここからは事務当局にかなり技術的な問題などにわたって伺いたいと思いますので、両大臣、どうぞ御退席ください。
  22. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 海老原君、大臣の退席なんていうのは私が言うことであって、あなたが勝手に退席なんて言わぬでください。
  23. 海老原義彦

    海老原義彦君 それでは質問を続けます。  まず、新幹線鉄道の問題でございます。新幹線鉄道の建設、これは現在三線五区間の建設が進められておると聞いておりますけれども、どのように進んでおるか、これについて御担当の方から伺います。
  24. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 両大臣、御退席ください。
  25. 梅崎壽

    説明員(梅崎壽君) 整備新幹線につきましては、ただいま先生御指摘のとおり三線五区間の建設を進めております。  この建設の状況でございますけれども、まずは北陸新幹線の高崎−長野間、この建設工事につきましては、用地買収、本体工事ともに約九九%につきまして着手をするといったような状況で、ほぼ全区間で順調に工事を進めておるところでございます。残りました部分の用地買収につきましては、引き続き早期に地権者の御理解を得まして円満な解決を図るべく最大限の努力をしているところでございます。  高崎−長野以外の四区間、すなわち東北新幹線の盛岡−八戸間、九州新幹線の八代−西鹿児島間、北陸新幹線の石動—金沢間及び糸魚川−魚津間、これにつきましては、一部におきまして用地買収を進めるとともに、工事に長い期間を要しますトンネルの工事につきまして本格的な掘削工事を行っているところでございます。
  26. 海老原義彦

    海老原義彦君 この工事の進捗状況も含めてどの程度まで、例えば何%進んでおるとか、あるいは用地買収がこの区間は終わったところであるとか、そういったことについてもう少し詳細にお願いしたいと思います。
  27. 梅崎壽

    説明員(梅崎壽君) 北陸新幹線の高崎−長野間につきましては、用地買収は九九%終了いたしております。それから、先ほど申し上げましたように工事自体につきましても九九%の区間におきまして着工いたしております。  それから、それ以外の四区間でございますが、これは線区によって多少の違いがございますけれども、おおむね一割弱といった状況でございます。
  28. 海老原義彦

    海老原義彦君 高崎−長野間でございますが、これは長野の冬季オリンピックに間に合わせるということで一生懸命やっておられるんだと思います。  冬季オリンピックは平成十年の二月ですから、あと二年とちょっとしかない。九九%の進捗状況だと伺って安心しておるわけでございますけれども、残る一%の問題でございますね。これは恐らく用地買収についてかなり反対があったりそういうことかと思いますけれども、私が聞いております話では、この辺で自治体としては誘致を積極的に推進しているけれども、一部の住民が反対のための反対闘争をやっておるというようなことも聞いております。そのために立ち木を一つずつ買って立ち木権というものを設定して、この立ち木を切らないでくれというようなことで闘争する、そういったものにどういうふうに対応しておられますか。
  29. 梅崎壽

    説明員(梅崎壽君) 北陸新幹線の高崎−長野間におきます立ち木トラスト運動の状況でございますが、まず軽井沢地区におきましては当初八地点で立ち木トラスト運動が行われておりました。  これにつきましては、地権者に対しまして新幹線建設に対する御理解、御協力をいただくよう鋭意努力いたしました結果、理時点では二地点に減少いたしております。この二地点につきましては、公正な第三者の御判断をいただけますように日本鉄道建設公団におきまして平成六年九月に土地収用法に基づく収用裁決の申請を行いまして、ことしの八月でございますが、長野県収用委員会におきましてこの審理が終了いたしております。今後は、この収用委員会の裁決がなされ次第、鉄道建設公団におきまして適切に対処することといたしております。  なお、群馬県の高崎地区におきましても、かつて立ち木トラスト運動がございましたが、これにつきましては平成七年六月に土地収用法の裁決がなされまして解決を見ております。  このような状況でございます。
  30. 海老原義彦

    海老原義彦君 いろいろと難しい問題があって、その中で御努力いただいている状況はよくわかります。  それにつけても思いますのは、この反対運動の一番根っこには新幹線騒音問題があるということでございまして、この新幹線の騒音というのは、確かに新聞報道などで見ますと、既設新幹線についてもかなり騒音基準を超えているものがあるというような報道も時々大見出しでなされておるようでございますが、これまでの調査で既設新幹線における騒音の状況というものをある程度データをお持ちだろうと思いますので、お持ちのデータの範囲内でお話しいただきたいと思います。
  31. 梅崎壽

    説明員(梅崎壽君) 新幹線の騒音基準につきましては、先生御承知のとおり、昭和五十年に環境庁の告示が出されておりまして、主として住居の用に供される地域におきましては七十デシベル以下、その他の地域におきましては七十五デシベル以下というぐあいになっております。  この基準に従いまして、私ども、建設線の方につきましては昭和五十四年の一月に運輸大臣通達に基づきまして環境影響評価を行っておりまして、その際の環境保余目標といたしまして、まず音源対策、一番重要な音源対策によりまして七十五デシベル以下にするように、こういう目標でやっておりまして、これにあわせて土地利用対策とか障害防止対策を含めまして総合的な施策によりまして環境基準の達成に努めている、こういう状況でございます。  それで、既設線の方でございますが、既設線の方では必ずしも直ちにこの基準が出ました際に実行がなかなかできませんので、一定の猶予期間を設けましてこの目標を達成するようになっております。私ども、その基準に従いましてこの目標を達成するように努力をいたしているところでございます。
  32. 海老原義彦

    海老原義彦君 もう少し具体的に、例えば東北新幹線のどこで調査したときはどの程度であったとか、あるいは上越新幹線ではどうかとか、新聞でそういうのが大見出しで出ましてまたまた環境基準を達成しないというような報道がありますので、それではおかしいなとだれしもが国民が思ってしまう。そうではなくて、実際には七十五デシベルに満たないところは割合少ないんだ、それについては防音工事等によってカバーしておるんだというようなことがもう少し積極的に御発表いただければと思うんですよ。この際、この席ででも結構ですからそのお話をいただきたいと思います。
  33. 梅崎壽

    説明員(梅崎壽君) 場所はただいま具体的に掌握いたしておりませんが、二百二十三カ所で調査いたしましたところ四カ所で七十五デシベルをオーバーしている、こういうような結果が出ております。さらに、ただいまのところは具体的なデータは今持ち合わせておりませんので、後ほと御報告申し上げたいと思います。
  34. 海老原義彦

    海老原義彦君 そのオーバーしたところは家屋防音工事などを施して、いわゆる民防でやっておるということでございましょうね。そう理解してよろしいんでしょうね。
  35. 梅崎壽

    説明員(梅崎壽君) 基本的には発生源対策で対処しておりますが、民家防音工事等をやっておるかどうか、具体的なデータをただいま持ち合わせておりませんので、後ほど御報告申し上げたいと思います。
  36. 海老原義彦

    海老原義彦君 次に、発生源対策の方でございますけれども、発生源対策として技術的には実にいろいろな進歩があったと思うんです。背の「こだま」の時代に比べて今の「のぞみ」あたりは非常に騒音が少なくなっておる。今後もいろいろと技術的な検討を進めておられると思いますので、具体的に技術的に発生源対策について御説明いただきたいと思います。
  37. 梅崎壽

    説明員(梅崎壽君) まず、発生源対策として最も重要なものは防音壁でございますけれども、この防音壁につきましては従前からいろいろ改良を重ねてきておりますが、さらに防音効果の高い技術開発を進めようということで現在もやっているところでございます。それから、防音壁に吸音材と申しますか、そういったようなものも設置して効果を高めるというようなことをやっております。  それからさらに、パンタグラフが集電するときにこれで相当音が出るということで、パンタグラフにカバーをつけまして騒音を減らす、あるいは車体を滑らかな形にいたしまして余り音が出ないようにしていく、単体の平滑化と言っておりますが、そういったようなことで技術開発を今鋭意取り組んでいるところでございます。
  38. 海老原義彦

    海老原義彦君 技術開発に取り組む目標は現在でも恐らく、先ほどの御説明にもありますように、七十五ホンを下回っておる地域がほとんどであるし、七十ホンを下回ることも少し減速すればできるんだと。しかし、今後さらにスピードが上がって三百キロを超えるというようになった場合に、何か速度の三乗則とか四乗則とかというのがありましてね、速度が倍になると騒音は八倍になるとか十六倍になるとか、そんなことがよく言われているんですよ。そういうようなことに対応するために、さらに技術的な研さんが必要だと思うんです。また、それが現実に進んでおると思う。その進んでおるという状況も少し世の中にPRした方が今後新幹線を建設していく上での反対運動を減らすためにも重要なことだと思うんで、ひとつそこら辺は十分御配慮をいただいた方がいいと思うんですね。
  39. 梅崎壽

    説明員(梅崎壽君) ただいま先生の御指摘のとおりだと思います。私どもそういうPRにつきまして、国民の御理解が得られるように積極的に努力していきたいと思います。
  40. 海老原義彦

    海老原義彦君 次に、空の問題に移ります。  先ほど大臣お話にもございました国際ハブ空港でございますが、この整備はどのように進んでおるのか、まず包括的に御説明いただきたい。
  41. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 我が国にいわゆる本格的な国際空港というのは、御案内のとおり二つでございまして、成田と関西国際空港であります。これもまた御案内と思いますが、成田は滑走路一本、関西空港も昨年オープンいたしましたが、滑走路一本という極めて不満足な状態で今整備されているというのが現状でございます。
  42. 海老原義彦

    海老原義彦君 成田も関西も極めて不満足な状況であるという御説明でございました。今後、具体的にどういうふうに整備していくのか、まず関西についてお話しいただきたいと思います。
  43. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 関西国際空港につきましては、地元等が中心になりまして、いわゆる全体構想という大きな構想がございます。これは、最終的には滑走路を三本設ける、平行滑走路二本、横風用滑走路合わせて三本でございます。これが全体構想でございますが、私どもといたしましては、その第一段階といたしまして平行滑走路をもう一本つくろうということで明年度、八年度から事業化を図るという方向で今概算要求をさせていただいている、こんな状態でございます。
  44. 海老原義彦

    海老原義彦君 平行滑走路をもう一本つくって、それによって収容力というか発着機数が非常に増便されるということは結構なことだと思うのですが、この増便に、何か離着陸コースが海の上しか通れないので増便にも限度があるんだというような話も聞きますが、その辺はいかがでしょうか。
  45. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 現在の供用しております滑走路をつくりますときに、地元の方々との話し合いの結果といたしまして、できるだけ陸上は飛ばさないようにしましょう、こういうお約束をさせていただいております。我々といたしましては、このお約束をかなり重く受けとめているところでございます。  ただ、将来的に関西国際空港の能力を十分に発揮し、国全体だけではなく地域の要請にもこたえていくためには、ある程度陸の上空を飛ばさざるを得ないという時点も来る可能性はございます。これにつきましては、仮に上空であって地域の方々に騒音という面から御迷惑をかけることが余りないといたしましても、十分過去の経緯を踏まえて話し合いをしながら、御了解を得ながら進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  46. 海老原義彦

    海老原義彦君 陸の上がなかなか通れない。もちろん約束もこれありということはわかりますけれども、やはりこれも状況の変化に応じてもう一度住民の方々と話し合って陸の上も通れるようにしていくというのが、せっかく関西空港を整備しても、せっかく増便のハード面はできても、ソフト面でそれが抑えられておるということではだめだと思うんです。  もっと話し合いを進めていかなきゃならないんですが、ネックは、自分の頭の上を通られて困るというネックは、やはりこれも騒音問題かと思うんです。騒音についてはどのような基準をお持ちか、またその基準について住民との話し合いの中でどのように説明しておられるか、そこら辺をひとつ御説明ください。
  47. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 空港周辺の騒音につきましては具体的な基準が決まっておりまして、典型的な例は伊丹でございますが、その基準に従いまして各種の対策を講じております。今先生御指摘の関西空港のルートの話は、むしろその具体的な基準というよりも、まさに今まで平穏な地域であったところに、自分の頭の上に飛行機が飛ぶということのその事実の重みといいましょうか、その辺についての心配が大変大きいと思っております。  一口に陸上を通ると言いましても、高度によってかなり音の高低は違いがございまして、伊丹空港周辺の方々がこうむってみえる被害に比べれば格段に違うと思っております。したがいまして、まさに今先生御指摘のように、一体どのくらいの高度を飛ぶんだ、その音が実際の社会生活、個人の生活にどういう影響を与えるんだということをよく御説明しながら御理解を求めていきたい、かように思っているところでございます。したがって、その場合に基準がこうだからもういいではないかという、そういう一律の言い方ではなくて、やはりそこに住んでいる方々のお気持ちになってお話をさせていただきたい、かように思っております。
  48. 海老原義彦

    海老原義彦君 大変結構だと思います。肉体的、生理的な騒音というよりも、むしろ精神的、感覚的なもの、自分の住んでいる上を飛ばれるということ、たとえ騒音は小さくても気になる。これについて一生懸命説得の努力を続けるということは大事だろうと思いますが、いずれにしましても、関西空港を整備してさらにもう一本もつくるわけでしょう。二本つくってさらにもう一本つくっていく。そういった滑走路の整備があれば当然周辺住民にいろいろな御負担をおかけするわけでございますが、十分に話し合って進めていかれていることと思いますので、今後ともその御努力をお続けいただきたいと思います。  次に、こういった国際ハブ空港と国内路線との接続の問題でございますけれども、これはいかように考えておられますか。
  49. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) もともとこのハブという表現の中には異なった路線と接続をするという思想が入っているわけでございまして、今まさに先生御指摘のように、国際線と国内線との接続が円滑にいかない空港は正しい意味における国際ハブ空港ではないわけでございます。  したがいまして、私ども本来ならば成田も関西も国内線を充実いたしまして国際線との接続の円滑化を図りたいと思っておりますが、成田につきましては、これまた御案内のとおりの文字どおり能力いっぱい使っているという現状から、なかなか国内線を十分に入れられないという状態でございます。  ただ、これからの方針といたしまして、成田につきましては円卓会議の結論を踏まえまして、これも粘り強い話し合いによりまして平行滑走路をぜひ早期につくりたいと思っております。また関空が、先ほど申し上げましたとおり、平行滑走路がまたできますれば、国内線も入れまして国際線と国内線との接続の円滑化をぜひ図りたい、かように思っておるところでございます。
  50. 海老原義彦

    海老原義彦君 成田については今お話のあったとおり、せっかく円卓会議の結論を得たことでございますし、これはぜひこれから積極的に進めていただきたいと思います。  もう一つ、羽田でございますね、東京国際空港。これはハブ空港とは言えないかもしれませんけれども、ここでは滑走路の新しい整備というのは海に向けて進めておるということでございますが、その状況をちょっと。
  51. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 羽田の沖合展開事業と我々呼んでおりますが、現在新しい滑走路が一本できております。これからの予定といたしましては、ターミナルビルを挟みましてもう一本沖側につくります。これがおかげさまで比較的順調に工事が進んでおりまして、八年度末には完成する予定でございます。これができた後、さらに横風用、現在のBランでございますが、これを若干沖にいたします新しいBラン、これをつくります。これが十一年度末と思っております。これだけ完成いたしますと、現在よりも能力が約二割増強される、かように考えております。
  52. 海老原義彦

    海老原義彦君 そうやって国際的な空港が順次整備されておる。また一方、一般の地方空港についても着々と整備が進んでいるようでございますが、国民が国内便を利用するに当たって一番不便を感ずるのは、やはり空港が町から遠くにある。この立地の場所を変えるというのはこれはできませんですけれども、そうすると、せめて町とのアクセスをよくしてやらにゃいかぬなという問題はどうしてもあるわけでございます。  千歳空港などは鉄道が導入されて本当に便利になりましたですね。それに引きかえて一般の地方空港、どこと一々名前を挙げませんが、どこもそうでございましょう。もう空港におりてからバス便が四十分かかる、一時間かかるというところが普通でありまして、こういうところを何か改善する方法はないか。  例えば、鉄道を引くといったら、それは乗客数が少ない、飛行機の発着だけではちょっと収支見合わない線になるのではないかとかいろいろ問題もございますでしょうけれども、こういったアクセスの改善についてどのようにお考えか、御見解を承りたい。
  53. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 空港のアクセスにつきまして、私どもも問題意識を持っております。今御指摘のように、一つは自動車、バスによる輸送、それから二つ目は鉄道でございまして、特に鉄道が空港の直下まで行くという千歳のような状態になりますと、大変航空を利用される方々の利便の向上にもなりますし、これは航空行政としても大変望ましい方向でございます。  したがいまして、私ども空港の下に鉄道をつくる場合には、空港整備特会の方からある程度の支援をするという制度も設けておるところでございます。したがいまして、我々あるいは地方公共団体、鉄道事業者等お互い相談しながら、なるべく便利にしていきたいと思っていますし、一部の地方空港では今つくっているところもございますし、幾つかの構想がございます。  ただ、まさに今先生おっしゃったように、当該鉄道サービスが果たして公的な支援を得たとしても、そのサービスが維持できるだけの需要があるかどうかというところが、これはケース・バイ・ケースでかなり慎重に見なきゃいけない点もあるというところは御了解いただきたいと思います。
  54. 海老原義彦

    海老原義彦君 今後とも御検討をいただきたいと思います。  次に、港湾関係に移ります。  先ほど大臣からも国際ハブ港湾というようなお話も出ておりますけれども、港湾の整備一般についてどのように進んでおるか、伺いたいと思います。
  55. 戸嶋英樹

    説明員(戸嶋英樹君) 港湾は我が国の海の玄関口として諸活動を支える非常に重要な基盤でございます。現在、第八次港湾整備五カ年計画、これ平成七年度の補正予算も含めまして合計で一〇二・三%の進捗率ということで、予算的には完了というか達成をいたしておるという状況でございます。しかしながら、ただいま先生御指摘のような香港、シンガポールの港湾整備に対して大水深のコンテナターミナルにおいておくれをとっておるだとか、そのほか海面処分場の不足の問題、地震に強い港づくりとか、そういった課題をなお抱えておるという状況でございます。
  56. 海老原義彦

    海老原義彦君 港湾の問題で、まだいろいろ伺いたいことあるんですが、例えば今お話の出た外貿コンテナ埠頭、こういったものの整備について、今後、お話のようにシンガポールや香港に比べてどうなんだと。シンガポール、香港へ行く船が日本へ寄らないとか、あるいは寄っても最後になるとか、そういうような状況をどう解決するんだという問題がございますが、今後一層の整備を進めていただきたいと思いますけれども、これからの御決意をひとつ。
  57. 戸嶋英樹

    説明員(戸嶋英樹君) 先生御指摘の、これから日本の港湾がインターナショナルの関係でどうやって頑張っていくかということでございますけれども、私ども来年度から新しい第九次の五カ年計画を要求いたしておるところでございますが、その前提となる長期政策、大交流時代を支える港湾という長期政策を公表したところでございます。その中で、大交流時代という時代の到来を考えまして、国際ゲートウエーである港湾については空港とともに根幹的な社会資本であるというふうに位置づけまして、その機能強化を図ってまいるという考えでございます。  第九次五カ年計画におきましても、国際競争力を有する物流ネットワークの形成を第一に掲げ、その強力な実施を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。よろしく御支援のほどをお願いします。
  58. 海老原義彦

    海老原義彦君 港湾には、そういった外貿関係の充実のほかにいろいろな多目的のあれがあると思うんですね。例えば廃棄物の処理というのも、これは結局埋め立て、これはやはり港湾事業の一環としてやっていくということもございますでしょうし、あわせて海岸の整備、環境共生港湾、エコポートなんてことも言われておりますね。そういった国民生活港湾とのかかわりについて、体系的にお話しいただけませんか。
  59. 戸嶋英樹

    説明員(戸嶋英樹君) 国民生活に密着する施策につきましても、私ども廃棄物埋立護岸という制度を持っておりまして、これでもって廃棄物処理を港湾の中で、海面でやっていこうという考えております。また、海山序の整備につきましても、これは従来は単に護岸でもって国土を保全していくという考え方が強うございましたが、最近では離岸堤をつくり、その後ろにビーチをつくり、また松林をつくるといったような、面的防護と呼んでおりますが、そういった考え方も取り入れてきております。港湾の整備につきましても、環境面を一生懸命考えていくという施策を推進しておるところでございます。  ただいま第九次五カ年計画の御説明の中で、国際競争力を有する物流ネットワークの形成を第一の柱に掲げておるというふうに申し上げたところでございますが、第二の柱として信頼性の高い空間の創造ということ、そして第三の柱といたしまして活力と優しさに満ちた地域づくりの推進ということを掲げております。以上、三つの柱の中で私ども体系的に港湾の整備を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。よろしくお願いします。
  60. 海老原義彦

    海老原義彦君 港湾関係について、会計検査院指摘事項がございますね。これは平成四年の検査でございましたが、場所は兵庫県の尼崎西宮芦屋港の高潮対策事業、この中で尼崎港区の高洲地区でございます。ここで簡単に申しますと、護岸の高さ、これが四十五センチから四十七センチ低く施工されておって、そのまま受け取っておった、こういう問題でございますけれども、これについては既設の護山が両側が沈んでおったのでそれと合わせればいいんじゃないかと誤認したというような説明もあるようでございます。原因はここでは問いませんけれども、むしろその後それをどう措置されたか、これはいつごろどういうふうな措置をされたかを伺いたいと思います。
  61. 戸嶋英樹

    説明員(戸嶋英樹君) 尼崎西宮芦屋港の尼崎地区でございますけれども、これは大変我が国でも有数の地盤沈下地帯でございまして、ただいま先生御指摘のような状況で護岸の高さ、天端高と申しますが、これが不足していたということでございます。四年度に御指摘を受け、平成五年度に兵庫県が潮の高さまでかさ上げ工事を県の単独事業として実施いたしております。
  62. 海老原義彦

    海老原義彦君 これは県の単独事業として実施した。運輸省の方でもそれはもちろん現状を確認しておるわけでございますね。
  63. 戸嶋英樹

    説明員(戸嶋英樹君) 承知いたしております。報告を受けております。
  64. 海老原義彦

    海老原義彦君 かさ上げしたその時点においては当初設計どおりに戻ったということでございますが、こういう場所は例の阪神・淡路大震災の被害地でもございますけれども、あの被害後こういった不完全な護岸はどうなったんだろうか、こういうこともちょっと伺っておきたいなと思うんですよ。
  65. 戸嶋英樹

    説明員(戸嶋英樹君) さきの阪神・淡路大震災では、港湾及び海岸が大変大きな被害を受けたわけでございます。神戸港を中心として大変大きな被害を受けたわけでございますけれども、この護山序については辛い被災を免れております。
  66. 海老原義彦

    海老原義彦君 被害を免れたということで、要するに修正後は通常の護岸として十分役に立つという状況になったんだろうと理解いたします。  さて、次に質問を移らせていただきまして、震災の話が出ましたけれども、関西大震災で大変な被害があった。これについていろいろ建設物、構築物についても意外な被害があって、今までの耐震基準の計算では横揺れに、あるいは縦揺れにどうだろうかということで、耐震基準を再検討するという問題が当然出ておると思いますが、その再検討状況と、それから再検討の結果を待たずに、ともかくとりあえず補強すべきことは補強していこうじゃないかということも当然やっておられると思うんです。こういった各種の施設の補強工事の予算規模、予算規模といってもあるいは既定の予算の中からやっておるのかもしれません。しかし、本年度の補正に、あるいは来年度の予算要求に組み込まれているものも多いかと思います。そういった金目の面と、それから具体的にどの程度のことをやっているんだという、これは極めて大ざっぱな包括的な言い方で結構でございますから、ひとつ御説明をいただきます。
  67. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 大きな震災があったわけでございまして、御指摘のようにさまざまに予想しないような出来事が起こりました。これを踏まえまして、今お話もありましたように耐震基準というものについてこの際全般的な見直しをしようということでやっておるところでございます。何分非常に専門的な問題でございますので、鉄道港湾それぞれに専門家に集まっていただきまして、今後の耐震基準をどうしたらいいか、委員会の形で検討を専門的にやっていただいている最中でございます。  ただ、それと同時に、今もお話がありましたが、それはそれとして、やはり当面緊急に措置をしなければならないことというのがございます。それを鉄道港湾それぞれに取り組んでおるところでございまして、鉄道について申しますと、橋であるとかトンネルであるとかのコンクリート柱、こういうものについて全体で五万本近くを対象にいたしまして、三年ないし五年をかけて逐次補強工事をしようということで計画を決定したところでございます。金目というのもあれですが、全体の事業規模は約千三百億円ほどということで予定をいたしておるところでございます。  また、港湾につきましても当然逐次点検をやっていくわけでございますが、それと同時に耐震強化岸壁、これは従来一般岸壁が対象になっておったわけでございますが、それに限定せずに、いわゆるコンテナターミナル、フェリーターミナル、こういったものも対象にして耐震強化岸壁の整備を進めていこうということで取り組んでおるところでございまして、これも事業規模にして今後五年間で約千三百億ほどを見込みたいというふうに考えておるところでございます。
  68. 海老原義彦

    海老原義彦君 各種施設の補強、手三百億、千三百億、合わせて二千六百億、そういったところを当面考えておるということでございますね。ありがとうございました。  さて、地震の問題でもう一つ伺いたいと思います。それは地震の予知技術でございます。  従来から、地震予知につきましてはいろいろな方面で研究されておるけれども、なかなか決め手がない。今度また新しい手法が導入されようとしております。これはギリシャで行われておるVAN法というものでございますが、これは新聞報道によりますと物すごく有望なんだという話でございますね。  これは技術的なことで恐縮でございますが、VAN法の原理と、それから日本においてどのように実施しようとしているかということとをお話しいただきたいと思います。
  69. 二宮洸三

    説明員(二宮洸三君) 先生御指摘のように、現在地震予知につきましては決め手となるものが非常に乏しい現状でございます。このVAN法と申しますのはギリシャの地震学者が開発した方法でございまして、開発された三人の方の頭文字をとってVAN法と呼ばれているものでございます。  地震の発生の前に、地殻に力が、ストレスがかかった場合に結晶あるいは岩石にひずみが生じまして、それから電位差が生ずる。それからまた同時に、今申しましたストレスに対応しまして地殻の電気的構造が変わります。それに伴いまして電位差が観測されるというものでございます。その観測されます電位差は非常にわずかなのものでございまして、一キロメートルあるいは十キロメートル当たりわずかにミリボルトの単位という非常にわずかなものでございます。  ギリシャにおきましては、観測ネットを張りまして、今申しました電位差を測定いたしました。その結果、成功率でございますけれども、成功したという予知の期間につきましては数時間ないし数週間前ということでございます。それから、発生した震央の予測誤差というのは半径にして大体百キロメートル、そして発生すると予知しました地震の規模、マグニチュードの誤差が〇・七というものでございまして、この程度の誤差と申しますか確率の中で七割程度の成功が見られたというふうに言われているわけでございます。  ギリシャ付近の地震と申しますのは日本のものとはやや異なってございますし、ギリシャの地質構造あるいは一般の電気的ノイズというふうなものの発生状況は日本とは非常に異なっているかと存じております。気象庁といたしましては、これが将来有望な方法の一つというふうに考えてございまして、先ごろギリシャに専門家を派遣いたしましてギリシャの実況をつぶさに見てまいりました。これに基づきまして、これが将来一つの予知の有力な方法になり得るという可能性を探るために、今回第一次の補正予算によりまして淡路島北部に観測網を展開しようとしておるところでございます。淡路島におきましては現在も余震活動がございまして、そこでは断層付近の応力というふうなものもございますし、余震が発生しておりますので、今後ここでネットワークを張ることによりましてそれらについてのこの方法の実態が調査されるものと思っております。  なお、日本におきましては非常に電気的ノイズが多いわけでございますので、検出されたシグナルが本当に地震に関連したシグナルであるのか、あるいは電気的ノイズであるのかということの判定も非常に難しいものと想像されます。したがいまして、今回の調査研究におきましてはシグナル検出のためのノイズの除去ということも大きな研究テーマでございます。これによりまして、これらの方法のいろいろな改善あるいは将来の見込みについての調査が進むものと期待しているところでございます。
  70. 海老原義彦

    海老原義彦君 伺っておりますと、ギリシャにおいては大変な成果があるということでございますし、これを日本に実用化させるには、やはり日本の岩石の条件が違うとかあるいはノイズが多いとか、そういう問題で非常に慎重なお話でございました。  このノイズの問題でございますけれども、日本にもノイズの少ないところはある、そういうところであればよろしいのか。また、ノイズを除去するということも、これもいろいろと研究対象としておもしろい問題だろうと思うんですが、やりがいがあって、またできる問題かもしれないなという感じもいたしますけれども、その辺のところはいかがでございましょうか。
  71. 二宮洸三

    説明員(二宮洸三君) 今申しましたように、ノイズの除去にはいろいろな方法がございます。たくさんのネットワークを組み合わせることによりまして、あるいはそういったものに共通にあらわれるものということでノイズを除去することが可能であろうと考えております。  先生御指摘のように、これらの実験は比較的ノイズの少ないところから始めることが当然必要かと思ってございまして、その意味では、今回淡路島北部を実験のフィールドとして選定いたしましたのは、先ほど申し上げましたように現実に断層付近のストレスが現在もあるということと余震が続いているということ、それからまた大都市周辺と違いましてこの地域では比較的ノイズが少ないであろうということも想定いたしまして、ここで実験的な観測を開始しようとしているわけでございます。
  72. 海老原義彦

    海老原義彦君 いろいろと御説明ありがとうございました。この実験が成功をして全国的に観測網がつくられるというようになることを期待いたします。  次に、また別の問題に移ります。  テクノスーパーライナーという新形式の高速船の開発、運輸省では前から進めておられるようでございますが、その状況について御説明いただきたいと思います。
  73. 小川健兒

    説明員(小川健兒君) テクノスーパーライナー、超高速の貨物船でございますが、これの研究開発は一九九〇年代の後半の実用化ということを目指して平成元年度から進めております。  具体的に申し上げますと、この研究開発は、平成元年から四年度まで推進性能とか船体構造等に関する要素技術の研究を実施いたしました。平成五年度と六年度には二隻の実験船を建造いたしまして、速力等の性能が所期の研究開発目標を達成しているということを検証するために実海域の実験を実施いたしました。これらの研究開発によりまして、テクノスーパーライナーの設計及び建造に関する基礎的な技術は確立されたと思っております。  今年度は大型の実海域実験船を使用いたしまして、各地の港に寄港させながら安全運航あるいは輸送システム等に関する課題に重点を置きました総合実験というのを実施しております。この結果、テクノスーパーライナーにかかわる運航技術の実証がなされるものと期待しているところでございます。
  74. 海老原義彦

    海老原義彦君 前向きな方向に進んでおられるようで大変結構でございますね。  そうすると、小さな模型的なものでの実験は既に終わった、いわば実験室段階は終わってパイロットプラントになったというような感じでございましょうかね。いずれにせよ、最終的には一千トンぐらいのものを目標としておられる、こういうことでございますか。
  75. 小川健兒

    説明員(小川健兒君) テクノスーパーライナーの研究開発目標というものは、速力五十ノット、それから載貨重量一千トン、航続距離五百海里ということを開発目標にして研究開発を進めておりまして、先ほど申しましたように平成六年度でその基礎的技術の確立は終了した。実験船は、小さいといいましても七十メートルの長さを持った千五百総トンの実験船を一隻つくっております。それで、今年度、総合実験というものを進めているところでございます。
  76. 海老原義彦

    海老原義彦君 これはますます有望なことでございまして、そうすると、もう大体当初の目標の大きさのものをっくって、具体的にどういうふうに運航されるかということを今研究しておるということでございますね。  さてそこで、こういったものが民間の一般の需要としてどうなんだろうか。今、速力五十ノットと伺いました。五十ノットというと九十三キロぐらいでございましょうか。鉄道にも劣らない、自動車にも劣らない立派なスピードでございます。これだけのものだったら結構需要開発もできるのじゃないかと思いますけれども、そこら辺のところはいかがでございましょうか。
  77. 小川健兒

    説明員(小川健兒君) テクノスーパーライナーの実用化の問題かと思いますが、先ほど申しましたように、本年度は実海域模型船を使いまして運航技術の確立ということで総合実験をやっているわけですが、さらにテクノスーパーライナーを事業化するためにいろんな調査が必要だということで総合的な調査、運航システムをどうするかとか、あるいはどことどこの航路を設定して運航するかというような総合的な調査を来年度行いまして、再来年度以降にその実用化に向けて取り組みたいというふうに考えております。
  78. 海老原義彦

    海老原義彦君 次に、先ほどから千トン規模で一応の目標を達成したようなお話でございますけれども、やはり船というものは御存じのとおり大きければ大きいほど経済性、エネルギー効率が出てくるわけでございまして、そういう意味からすると千トンというのは余りにも小さいんじゃないか、将来月トン規模とかそういったことも考えていかにゃならぬのかと思いますけれども、その辺のところはいかがでございましょうか。
  79. 小川健兒

    説明員(小川健兒君) 今回のテクノスーパーライナーの開発目標で、船型は載貨重量千トンということで研究をしてきたわけですが、実際には、実船を建造するに際しましては、航路だとかあるいは積載貨物、運航ダイヤに応じて船型をある程度選択することが可能でございます。  もう少し具体的に萌しますと、特に大型化に関しましては、例えば五十ノットじゃなくて速力を若干落とすことによって、ある一定の範囲ですが、かなり大型化することができる。千トンで五十ノットというものを、同じ馬力で例えば四十五ノットにいたしますと千八百トンぐらいまでの大型化はできますし、さらに四十ノットまで速力を落としますと、同じ五百海里の航続距離で三千トンぐらいまでは大型化する余地はございます。  ただ、先生が今御指摘されました数万トンというような規模の大型化というのは、これからまた新たに研究開発をしなきゃいけない問題かと思っております。
  80. 海老原義彦

    海老原義彦君 将来、需要開発するについて、経済性というのは非常に重要になってくると思いますので、そういう意味経済性のための大型化というのも御検討なさる必要があるのじゃないかなと思うわけでございますが、いずれにせよ、近ごろにないトピックとしてこういった新しいものを開発していかれるということ、大変結構なんだろうと思っております。  さて、次に自動車の問題に移りますけれども、低公害自動車、この開発と普及について概略承りたいと思います。
  81. 山下邦勝

    説明員山下邦勝君) 現在実用段階にございます低公害革は、典型的な排出物でございます窒素酸化物、NOxで比べますと、ディーゼル車に対しましてハイブリッド自動車が三〇%、メタノール自動車が五〇%、CNG、圧縮天然ガス自動車が六〇%、電気自動車が一〇〇%の削減効果がございます。  現在、低公害車の普及状況は、平成六年度末でハイブリッドが百二十六台、メタノールが三百三十四台、CNGが四百二十一台、電気自動車が約二千四百台、計三千二百八十台普及をいたしております。低公害車の普及促進のためには、技術をもう少し開発して性能を向上させる必要もございますし、価格がいかにも高いという問題がございます。こういったことにつきまして、メーカーやユーザーそれぞれの関係者の方々のいろんな協力も必要になってくると思っておるところでございます。  運輸省といたしましては、こういった低公害車の技術上の基準、これを逐次整備いたしてきております。また、低公害車等の取得に対します税や財投の支援措置、また低公審バスの取得に対する補助を行ってきておりまして、平成八年度におきましてもこれらについての支援措置推進していくことといたしております。  以上でございます。
  82. 海老原義彦

    海老原義彦君 低公害車、今四種類のものをお挙げになりましたけれども、これいずれも並行して進めなければならないと考えておられるわけでございますか。それとも、将来はどういうものに重点を移行していこうというようなお考えがおありでしょうか。
  83. 山下邦勝

    説明員山下邦勝君) 現在のところはそれぞれいろんな経緯で開発が進められてきておりまして、私どもがこれがいいというところまでは、そこを選択するところまではまいっておりません。  ただ、我が国のいろんな気候風土、また国土は坂道が多いとか、またそのコストの状況、そういったことから自然にある種類のものへ落ちついていくのではないかという予測はできます。
  84. 海老原義彦

    海老原義彦君 言葉を慎重に選択して一つのものを言わないというようにしておるようでございますが、私もそんな気がいたしまして、やはりそれはやれる範囲でやっていくんだったらそういうものに、ハイブリッドでしょう具体的には、なるんだろうと。そういうことをもう少し、いろんなメーカーさんとの関係もあるでしょうけれども、国として方針を示して、一番経済効率の高いものはこれであるよということを進めて、それについては一番重点的に積極的に援助するというような方策はとれないんでしょうかね。
  85. 山下邦勝

    説明員山下邦勝君) 今、ハイブリッドというお話ございましたけれども、これについてもいろいろ問題がございまして、必ずしもそこへ重点化するということを決めたわけではございません。  今おっしゃいましたように、将来的にはいろいろ、今技術的に出そろいつつあるということでございますので、これからユーザーの選択が始まっていくんではないかという感じがいたします。そういたしますと最産効果が出てくるということで、必然的に落ちつくところへ落ちついていくんではないかと思っておりますが、先ほども申し上げましたように、使われる場所によってそれぞれ特性に応じたものがございますので、一つに絞るということになるかどうか、これはちょっと今申し上げかねる事柄かと思っております。
  86. 海老原義彦

    海老原義彦君 これは将来の排出ガス規制の強化ともかかわる問題でございまして、そこら辺の見通しになると環境庁抜きにしてお話を聞くわけにもいかぬのかとも思いますけれども、流れとしては排出ガス規制はますます厳しくなっていく。そういう流れの中で、将来例えばガソリン車が使えなくなるような状況だってあるかもしれない。今後、低公害車というものは真剣に検討していかにゃならぬ問題だろうと思います。  さて、次の質問といたしまして、許認可の問題でございます。  許認可事項は、運輸省が従来一番多いということで、その規制緩和につきまして大臣からも先ほど御発言ございましたけれども、運輸省の所管している許認可事項の総数と規制緩和検討している事項の数、どなたかお答えいただけますか。
  87. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 運輸省の許認可の件数のお尋ねでございますが、平成六年三月三十一日現在で千七百件でございます。御承知のように非常に多いわけでございますが、運輸省平成五年に許認可の総件数を三年内を目途に二割削減しようという計画を決めまして、自主的に規制緩和に取り組んで着実に推進を図っているところでございます。
  88. 海老原義彦

    海老原義彦君 許認可事項を削減していくということは非常に国民生活のためにある意味では大事でありますけれども、反面、いたずらに許認可事項を錯綜させている問題だけではない。国民生活のために必要な規制というものはやはり維持しなきゃならぬという問題もございますでしょう。そういった兼ね合いが大変難しいところだろうと思いますので、今後とも許認可を減らしていくということを考えていくために詰めた御検討がますます必要になってくると思いますので、ひとつその辺をじっくりと御検討いただきたいと思います。  では次の問題に入りまして、貨物自動車運送事業、これもかなりその許認可の問題に絡むことでございます。  貨物自動車運送事業につきまして、これはもちろん国内の物資の輸送という非常に基幹的な役割国民生活産業経済活動に欠かせないものでございますから、運輸省においても貨物自動車運送事業行政対象として全力を傾注しておられることに敬意を払うものでございますが、いろいろと規制の問題がございます。例えば、リース車両を借りて個人が新規参入するというのは非常にやりにくいので、新しく参入する事業主の場合には参入後三年間自己保有の車両による事業活動が義務づけられておるというようなことがあって、資金負担が非常に大きくなるというような話もございます。これはたしか行政監察の結果に出ておったんだと思いますね。そういったような問題についてどのようにお考えでございますか。
  89. 山下邦勝

    説明員山下邦勝君) 確かに先生御指摘のとおり、現在トラック事業者は事業開始後三年を経過いたしませんとリース形態による保有を認めておりません。また、リース形態もファイナンスリースのみを認めておりまして、メンテナンスリースを認めておらないわけでございます。  ことしの三月に閣議決定されました規制緩和推進計画に基づきまして、事業開始後三年に満たない事業者についてもリースによります車両の保有を認めますとともに、メンテナンスリースによる車両の保有も認める方向で今年度内に実施すべく検討をいたしておるところでございます。
  90. 海老原義彦

    海老原義彦君 前向きに御努力されておるようで結構でございます。  今申しました行政監察結果を見ますと、ほかにもいろいろ問題があるようでございますね。  例えば運賃、料金の見直しの問題でございます。貨物自動車運送事柴の運賃、料金については許可制から届け出制へ緩和されたということでございますが、どうも制度改革の趣旨が徹底されていない。届け出制にするためには、原価計算書を山さにゃならぬ。原価計算書をつくるのがどうも難しくてやり切れない。だから、裏業者独自の運賃、料金の届け出というのは少なくて、昔の認可運賃をそのまま届け出運賃としているというようなこともあるようでございますが、この辺は原個計算書なんて難しいものを添付しなきゃならぬ場合もあるでしょうけれども、必ずしも添付を要さない場合もあるんじゃないかとか、そのようないろいろな、運送形態多様でございますから、そういった中で市場原理に即応して考えていかざるを得ないというような気もいたします。その辺はいかがでございましょうか。
  91. 山下邦勝

    説明員山下邦勝君) 確かに、平成二年の十二月に施行されました貨物自動車運送事業法におきましては、高度化、多様化いたしますニーズに対応した運賃を事業者が積極的に考えていただけるような届け出制への移行をとったわけでございます。  しかしながら、今おっしゃいましたように、なかなか模様眺めといいますか、事業者の届け出がそういう状況にとどまっておったということは事実でございまして、こういった法律のねらいを促進いたします観点から、平成六年の二月以降、運賃、料金の設定変更に際しましては、今御指摘ございました原価計算書等の添付につきましては一定範囲内で必要はないということにいたしております。  また、届け出の期間につきましても、実施予定日の九十日前としておりましたのを三十日前、また既に届けられております運賃と同じような場合には直前でも結構でございますけれども、そういうふうにより機動的に動けるように改革をいたしております。
  92. 海老原義彦

    海老原義彦君 もう一つ、貨物運送関係の規制の見直しの問題でございますけれども、専用トラックターミナルというものがございますね。これは宅配便などの特別積み合わせ事業者が設置する専用ターミナルのことでございます。これは貨物自動車運送事業法と自動車ターミナル法と二重の規制があるわけでございますけれども、こういうのは不特定多数の者が利用することは少ないので、利用者の利便、安全確保を目的とすると、必ずしも自動車ターミナル法の規制をかけてなくてもいいんじゃないかというような問題が指摘されております。  今、積みおろし施設が百十四カ所あって、設置の届け出をしているのは二十九カ所しかない。専用ターミナルの設置数千六百二十五のうち、そういう状況にあるということは行監の指摘の中に入っておるんですけれども、この辺についてはいかがお考えですか。
  93. 相原力

    説明員(相原力君) 先生御質問の専用トラックターミナルの件でございますが、まず全国における専用トラックターミナルの設置届け出数でございますが、平成七年の三月未現在でございますが、全国で千六百七十九カ所ございます。バース数にいたしまして一万六千七百三十二バースでございます。  それから、先生の御質問で、貨物自動車運送事業法でもこちらの方の専用トラックターミナルについても見ているし、トラックターミナル法でやるのは二重の規制になるのではないか、あるいは専用のトラックターミナルについては規制をする必要はないのではないかという御質問でございます。  私どもといたしましても、従来は両法の法目的からいって、例えば専用ターミナルにつきましては構造の安全の確保とかあるいは利用者利便の確保の観点から必要であるということで今までやってきたわけでございますが、昨今におきます状況の変化等にかんがみまして、トラックターミナル事業者の負担の軽減の観点、それから創意工夫による機動的、弾力的な事業運営を促進する、そういう観点から、トラックターミナルにつきまして、規制緩和推進計画におきましても平成七年度末までに検討を行ってその緩和を図るということにいたしているところでございます。  私どもといたしましては、次期通常国会に自動車ターミナル法の改正案を提出する予定で今準備をしているところでございまして、御指摘の点も含めましてこの改正法案の中で取り上げてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  94. 海老原義彦

    海老原義彦君 さらに引き続き御検討お願いしたいと思います。  このトラックターミナルというのは、私記憶しておるのは、一種の公害施設であるということがどうしても抜けないのですね。立地をいろいろ考えて空き地の多いところにつくるんでしょうけれども、その後住宅の方で押し寄せてくるんで、いわば住宅が、居住者が公害に近づいていくケースだから何ともしょうがないということも多いようでございますけれども、いずれにしてもその地域の騒音規制を超えるような騒音がしばしばあるというようなことを聞いております。  これについて指導などをしておられますでしょうか。
  95. 相原力

    説明員(相原力君) 先生の御指摘のように、自動車ターミナル等、大量に草が出入りしあるいは頻繁に出入りするという場所でございますので、あるいは一種の迷惑施設的な面もあろうかと思います。そういう観点から、自動車ターミナルにつきましては、立地する際に建築基準法の用途地域規制によりまして住居専用地域には設置できないように立地規制が課せられているというようなこともございます。また、大規模な自動車ターミナルにつきましては、都市計画法上の都市施設として、関係者の意見を聞いた上で、都市計画決定をされた上で整備されている、こういうようなこともございまして、自動車ターミナルの整備に当たっては騒音問題についても十分な配慮をしてきているというふうに認識しているところでございます。  なお、御指摘のように、場所によりましては騒音問題で付近の住民の方々と問題があるケースもあろうかと思いますが、そういう場合には私どもといたしましても具体的な問題に応じまして適切に指導してまいりたいというふうに思っております。
  96. 海老原義彦

    海老原義彦君 どうぞ適切な指導お願いいたします。  もう一つ、引っ越し運送の問題でございます。引っ越し運送の利用者保護対策がどうも十分でないぞという指摘が、これも行監の指摘でございます。例えば、契約の時点で損害賠償条項などがなかったとか、あるいは届け出運賃、料金と異なるような契約が入ってしまったとか、いろいろな問題があるようでございますけれども、そのために損害賠償請求や解約手数料請求など、いろいろ苦情が発生しておる、苦情の発生件数が非常に多いというようなことも出ております。  この辺について御見解をいただきたいと思います。
  97. 山下邦勝

    説明員山下邦勝君) 今、最初に先生おっしゃいましたように、トラックが国民生活に非常に重要な役割を果たしておるという御指摘ございましたけれども、トラックが走っておることを国民の方々が目にする機会は非常に多いわけでございますが、実際に直接お使いになるということになりますと、一つが非常に普及いたしてきております宅配便でございます。もう一つがたまにお使いになる引っ越しということではなかろうかと思います。  宅配につきましては、非常に数もふえてまいりましたし、いろんなシステムが完備してきております。これに対しまして引っ越しは、非常に使われる回数というのが少ないわけでございまして、一般消費者の方もなかなかふなれな面もございます。そういう中でトラブルや苦情が発生しやすい傾向があるということは確かに御指摘のとおりでございます。運輸省におきましては、地方運輸局また支局、こういったところで苦情相談を行いますとともに、トラック協会に対しましても相談窓口の設置を指導いたしてきております。  今後とも、各地域の消費生活センターとも連携いたしまして相談活動の一層の充実を図りますとともに、トラブルの未然防止を図りますために悪質な事業者に対しては厳正に対処していくつもりでございます。御指摘ございました本年三月の行政監察におきましても指摘をされておるところでございまして、このような利用者保護の充実を図るために一層の検討を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
  98. 海老原義彦

    海老原義彦君 いろいろと前向きに取り組んでおられるようでございますが、さらに一層の御検討お願いいたします。  以上で運輸省に対する質問を終わりまして、次に郵政省に対する質問に移ります。  電気通信事業について、これも行監の監察結果が出ておりますけれども、これを見ますといろいろ私も問題点を感ずるのでございます。例えば、NTTの電報業務の要員配置の問題でございます。例えば、要員の処理可能通数は最大十九通人時。これを下回るセンターが結構多いようでございます。それから、直営要員のみでできるのに委託要員を配置しているというようなことも指摘されております。この辺についてはどのようにお考えでございましょうか。
  99. 五十嵐三津雄

    説明員五十嵐三津雄君) ただいま先生からお尋ねございましたように、ことしの六月五日に総務庁からいわゆるNTT関係につきます行政監察の勧告というのが出されております。手順の方から申し上げさせていただきますと、私ども郵政省からNTTにその旨通知をして、九月十八日にNTTから郵政省に改善措置の報告がなされるという手順に今のところなっております。  それで、先生お尋ねの中身につきまして少し申し上げさせていただきたいと思います。  まず電報の関係ですが、電報の要員という面では、NTTにおきまして平成元年から平成六年度末というところで見ますと、平成元年度末に四千二百名おりました要負が平成六年度末では二千二百名ということで二千名の減をいたしております。  それからもう一点、電報サービスセンターということについて申し上げますと、平成元年度末で四十九ございましたのが平成六年度末で四十二というふうにNTTとしても改善に努力はしているところでございます。  ただ、御指摘ありましたように、業務量との関係で要員の配置あるいはセンターのあり方につきまして行政監察指摘をいただいております。  そういったことで、この後具体的なNTTからの報告をいただくということになりますが、現在NTTにおいては受付拠点につきましての一層のコストダウンを図る、あるいは圏域を越えてセンターの集約化を図っていくというようなことについてもまた検討しております。さらに、要員のあり方についても合理的な配置あるいはパート化ということについても検討しているということで具体的な報告がなされるものと思っておりますし、私どもとしてもこの行政監察の結果を踏まえて指導に当たってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  100. 海老原義彦

    海老原義彦君 もう一問、伺いましょう。  同じくNTTの問題でございますが、利用者サービスの向上という方向で考える場合に単位料金の区域、東京でいえば二十三区とか、この設定にだんだん不合理感が出てきておるのではないか。社会経済活動が広域化しております。そういう中で、例えば私の住んでいるのは千葉県の一番東京寄りですけれども、その地区の大部分の人は東京と通話しておる、そういうのを高い市外料金を払ってしなければならない。これは西の方だって同じでございまして、部かの一番近い三鷹でございますか、そういったところと都区内の世田谷、杉並と通話する。それで、都区内であれば例えば江戸川区から杉並区へ通話するんだって単位料金ということになっておる。そういうような矛盾をいろいろ感ずるんですが、その辺はどういうふうにお考えでございますか。
  101. 五十嵐三津雄

    説明員五十嵐三津雄君) いわゆる単位料金区域、三分十円でかけていただいている単位料金区域ということでございますが、昭和三十年代からの歴史の中で現在五百六十その区域が、十円の単位の区域が我が国の中にございます。先生御指摘のように、その中でいわゆる行政区域と単位料金区域が合っていないというもの、全国で百六十九の単位料金区域の中でそういう箇所が二百四十六カ所ございます。そういう意味では、まず一点目としては行政区域と単位料金区域が合っていく方が望ましいというふうに私ども考えております。そういった意味からはこの是正ということがやはり国民のサービスという観点から大きな問題でございます。NTT自身も問題意識は同じでございまして、このことについての改善に努めてまいっております。  例えば、具体的な数字を申し上げますと、平成元年度以降現在まで十四カ所の単位料金区域の変更を行っておりまして、今年度も三カ所の単位料金区域の変更を行う予定というふうに私どもは承知をしております。  ただ、現実の問題としてなぜこういうことがあって進まないのかというふうに言いますと、単位料金区域を行政区域と合わせるということにつきましては、現在、隣の市と一緒になったところの一部分だけの区域になっているところあたりは、今度は隣接になるものですから、隣の区域になるものですから、今まで十円でかけられた区域が例えば二十円になっていくとか、そういう個人個人にとってみれば幾つかの問題が出てくる現実がございます。あるいは電話番号がそのときに変わってくるとか、〇四二五という番号が〇三になるように変わってくるとかそういう問題もありまして、その地域の皆さん方の合意がとれないということで、NTT自身もなかなか実施ができていないというのが実態でございます。  そういうこともございまして、このことにつきましては、今回の行政監察も踏まえまして、NTTは九月を皮切りにこういった地域での住民の皆さんにこういう問題についての周知をしていこうということを計画いたしております。  さらにもう一つは、先生から具体的なお話のありました千葉県と東京というようなときに、一つのグループとして自分の命住んでいる場所とエリアを考えながら単位料金区域をつくっていくといういわゆるグループ料金制なんということもございます。これは一部の国で取り入れております。これはこれですべての問題の解決ということにはなっておりませんが、そういうことも含めまして、NTTにおきましてもさらなる改善策について検討を進めていただきたいというふうに思っているところでございます。
  102. 海老原義彦

    海老原義彦君 さらなる改善策について御検討いただくというのは結構なことでございますが、やはり社会経済活動の広域化ということがございますから、通話圏の広がりというのはどうしてもあるんだと、そういうことを頭に置きまして、それに対応した単位料金区域についても十分御検討いただきたいと思います。  以上をもちまして、私の質問を終わります。
  103. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ————◇—————    午後一時開会
  104. 浦田勝

    委員長浦田勝君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成四年度決算外二件及び平成五年度決算外二件を一括して議題とし、運輸省及び郵政省決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  105. 山下栄一

    山下栄一君 平成会の山下でございます。大変御答弁いただく席が遠くて、はるかかなたに向かってしゃべる感じでございます。  最初に、郵政省の方に御質問申し上げたいと思います。  今回就任されました郵政大臣は大阪の御出身でございまして、私も大阪でございまして地域では大変お世話になっておるわけでございますが、きょうは御恩返しできるかどうかわかりませんけれども、一生懸命質問させていただきたい、このように思っております。  まず最初に、郵政互助会とその郵政互助会が出資しておる会社の問題につきまして御質問したいと思います。  この郵政互助会という組織は、郵政職員の方の互助組織で昭和二十九年に設立されたわけでございます。公益法人になっておるわけでございますけれども、公益法人でいけるのかというその公益性につきましての質問でございます。というのは、平成四年に総務庁の方が公益法人に関する行政監察を行っておりまして、その中で具体的な指摘といたしまして、「特定の団体等の構成員の親ぼく、福利厚生事業等を主に実施しており、公益事業をほとんど実施していないもの」、こういう中に郵政互助会ではないかと思われる組織のことが書いてあるわけでございます。  この指摘に基づきまして、勧告を受けて郵政省の方もこの公益法人の監督官庁として御指導をされ、改善されたというふうに思うわけでございますけれども、特にこの「公益事業をほとんど実施していない」という指摘に対しましての具体的な改善措置を教えていただきたいと思います。
  106. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) 郵政互助会でございますけれども、この互助会は、郵政省職員の福祉増進と郵政事業の発展に寄与することを目的といたしまして、民法第三十四条の規定に基づきまして昭和二十九年十月に郵政大臣により許可され設立された公益法人でございます。  お話のように、総務庁長官から郵政大臣に対しまして公益法人に関する勧告がなされております。お尋ねの点についても勧告がなされたわけでございまして、これに対して省としては公益事業、公益性を高めるための事業を実施することについて、勧告の趣旨にのっとりまして互助会を指導監督したわけでございます。これに対しまして、互助会といたしましても公益性の高い公益事業を実施するということを決めましてさまざまな施策を実施しているところでございます。  郵政互助会の平成六年度の事業報告によりますと、各郵便局の施策とタイアップいたしまして、バザーの売上金と車いすを社会福祉協議会へ寄贈するというふうな地域社会への還元策として約四百六十万円を支出しております。また、遺児への育英金支給として、遺児二百八十二人に対して二千百五十四万円の支出をいたしております。また、阪神・淡路大震災罹災者への救護等の事業に対しまして四百八十五万円を支出しております。平成六年度で申しますと、不特定多数を対象とした公益事業は合計三千百三万円ということでございます。
  107. 山下栄一

    山下栄一君 今おっしゃった公益事業が始まったのが平成六年からであるということでよろしいわけですね。それ以前はやっていない。
  108. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) 新規の公益事業として行いましたのは平成六年度でございますが、それ以前に遺児への育英金支給等は平成二年から実施しております。また、阪神・淡路大震災罹災者の救援につきましては、これは特異な事案に対する支出ということでございます。
  109. 山下栄一

    山下栄一君 育英資金というのはたしか互助会のメンバーの方の子弟に対する資金であると思うんですよね。したがいまして、不特定多数の方に対する公益事業というのには入らないのではないか、このように思うわけでございます。  したがいまして、公益事業と言える内容のもの、例えば老人ホームに対する車いすの提供等が始まったのが平成六年からである、そこから公益事業と言われるものがスタートしたと。平成六年度に限りましたら金額が幾らで、互助会全体の事業に占めるパーセントを教えていただきたいと思います。
  110. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) 平成六年度の一般会計の支出総額は八百六億七千四百万円ということになっております。災害会計支出総額が二十五億一千七百万円ということになっております。それから、公益事業支出額が三千百万円ということでございまして、総支出額に占める割合は〇・〇四%ということでございます。
  111. 山下栄一

    山下栄一君 具体的な数字を挙げていただきまして、互助会全体の事業の中における公益事業の割合が〇・〇四%ということでございますけれども、「公益事業の比重が低い法人については、公益事業を積極的に実施するよう指導するものとする。」、郵政省の方も加わった指導監督基準の中にこう書いてあるわけでございます。  そういうふうに考えましたときに、平成六年度から始まった公益事業が公益法人と言えるに値するのか、そういうことになるのではないかと。総務庁の勧告に対して具体的な改善措置を全然やってないというふうには言えないとは思いますけれども、公益法人とはとても言えないような状況ではないかと思うわけです。  総務庁にお尋ねいたしますけれども、公益法人として新規に設立をする場合に、どの程度公益事業をやっておればパスするかといいますか、新規の設立が認められるかということを一般的な問題といたしましてお聞きしたいと思います。
  112. 伊藤孝雄

    説明員伊藤孝雄君) 御質問お答えしたいと思います。  政府におきましては、民法六十七条に基づきます主務官庁の公益法人に対する指導監督を適正に行うという目的で、関係省庁の協議会等によりまして、今先生からも御紹介がありましたような幾つかの基準等が定められております。  ただいまの御質問につきましては、昭和四十七年三月に各省庁の関係者により構成されました当時の公益法人監督事務連絡協議会というのがございましたけれども、ここにおきまして「公益法人設立許可審査基準等に関する申し合せ」というものがなされております。  これによりますれば、「公益法人は、積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とするものでなければならない。」、したがって、「同窓会、同好会等構成員相互の親睦、連絡、意見交換等を主たる目的とするもの。」「特定団体の構成員または特定職域の者のみを対象とする福利厚生、相互救済等を主たる目的とするもの。」「後援会等特定個人の精神的、経済的支援を目的とするもの。」などは設立を許可しないということになっております。したがいまして、各省庁においてこの基準に従って判断をされるべきものと考えております。
  113. 山下栄一

    山下栄一君 私、質問しましたのは、現在新しく公益法人をつくる場合に、全事業の中で公益事業の割合をどれぐらいにしておれば公益法人として認められるかということを質問したわけでございます。互助会の公益事業が始まったんですけれども、〇・〇四%しか占めてないということなので、今現在新しくつくる場合であればとても認められないと思いますので、新規設立する場合の公益事業の割合がどれぐらいあれば公益法人として認められるかということをお聞きしたわけです。
  114. 伊藤孝雄

    説明員伊藤孝雄君) 御質問の趣旨はよくわかりますけれども、個別具体的にさまざまのケース等があろうと思いますので、先ほど申し上げましたように、私どもとして直ちに具体的にどういう数字であるべきであるという数字は持ち合わせておりません。最終的には、一義的には許可をされる主務官庁の責任で御判断をされる、事例に応じて御判断をされるべきものだと考えております。
  115. 山下栄一

    山下栄一君 だから、公益事業の比率が一%ぐらいであれば僕はとてもじゃないけれども公益法人とは言えないと思うんですよ。何も郵政互助会の話をしていませんよ。今現在新しくつくろうと申請された、だけれども公益事業の比率が一%ですという法人の申請があった場合に許可されますか、いかがですか。
  116. 伊藤孝雄

    説明員伊藤孝雄君) 具体的数字で一%でどうかとか、○・四%でどうかと聞かれれば、私どもとしてはお答えができないというか、個々個別の具体的なケースに応じて判断されるものだといろふうに考えておるということで、実際にそれは相当低いと認定するかどうかというのは、先ほどから申しましたように、各省庁の個々具体的なケースでないとなかなかお答えが申し上げられないということでありまして、その点を繰り返し御説明申し上げておる次第であります。
  117. 山下栄一

    山下栄一君 私は、とてもそんな公益事業として認められないと思うわけです。  先ほど私読み上げました、公益事業の比重が低い法人については公益事業を積極的に実施するように監督責任ある主務官庁は指導しなさいということがあるわけでございまして、その指導に基づいて平成六年度から始まったと思うんですけれども、まだまだ比重が低過ぎるんじゃないかというふうに思います。今後どのように御指導されていかれるかということをお聞きしたいと思います。
  118. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) 公益事業のことでございますけれども、総額としては三千百万程度でございますが、国の財源といたしましては二億円の財源をもちまして公益基金というものを創設しております。それで、この公益基金を順次ふやすという方向で考えているようでございます。  いずれにいたしましても、私どもとしても不特定多数を対象とする公益事業というものにつきまして、互助会としても充実強化を図るべきものというふうに考えておりまして、勧告の趣旨にのっとりまして互助会を指導してまいりたいというふうに考えております。
  119. 山下栄一

    山下栄一君 今答弁いただきました不特定多数の方に対するということが大事だと思います。郵政職員のメンバーだけに限られておりましてはやはりこれは公益法人ではないという、そういう基準ができておるわけでございますので、公益法人というふうになっているわけですから、それにふさわしい事案内容になるようにしっかり御指導をしていただきたいと思うわけでございます。  さらに、この総務庁による勧告の中に、営利企業を実質的に経営している公益法人、これはやはり問題であるということがございまして、具体的に郵政互助会におきましても子会社等がありまして、要するに互助会が出資している会社ですね、幾つかあると思うんですけれども、その会社名、事業内容等につきまして御答弁願いたいと思います。
  120. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) お尋ねの互助会が出資している会社でございますけれども、四社ございます。  一社は互興建設株式会社という会社でございまして、これは工事の請負、建物の設計監督業務をやっております。それから次に、弘信観光株式会社というのがございます。これはホテルの経営をやっております。それから、津久井湖観光株式会社がございますが、これは津久井湖ゴルフ倶楽部の経営をやっております。それから、弘信商事株式会社というのがございます。弘信商事株式会社は、御承知のように現在特別清算中ということでございます。  以上でございます。
  121. 山下栄一

    山下栄一君 出資比率、出資率ですね、教えてください。
  122. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) 互興建設は九九・九%でございます。それから弘信観光が一〇〇%、それから津久井湖観光株式会社は、当初は一〇〇%近く株を保有しておりましたが、その後、総務庁の勧告もございまして四八%まで出資比率を引き下げております。弘信商事については清算中ということでございます。
  123. 山下栄一

    山下栄一君 今、四社挙げられましたですけれども、もともと全部一〇〇%ないしそれにほとんど近い内容であったと。一社だけ、ゴルフ場経営の会社だったと思いますが、その会社だけは指摘を受けて出資比率を下げた、半分ぐらいに下げたと今お話ございましたが、これは先ほど申し上げました総務庁の指摘によりまして、実質的にそういう営利を目的とする企業を経営しておるような実態は非常に問題であるという指摘があるわけでございまして、その中で特に平成四年の指摘以降、弘信商事、これにつきましては多額の七百億を超える損失をもたらしまして、今特別清算中である。これも一〇〇%出資でございます。互興建設は九九・九%のままである。弘信観光は一〇〇%である。改善の跡が見られないわけでございますが、こういう会社につきまして、特に弘信観光、互興建設につきまして今後どのように指導されるか、お聞きしたいと思います。
  124. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) 先ほどからお示しかございました平成四年六月二十九日の総務庁の勧告を受けまして、郵政省といたしましても、郵政互助会に対しまして、出資比率の引き下げ等を視野に入れた関係会社の経営あり方について見直しを行うよう平成四年七月に指導しております。同年八月には、勧告の趣旨を踏まえた改善を今後検討していくという報告を受けたところでございます。  これに基づきまして、先ほども申し上げましたが、津久井湖観光株式会社につきましては、ことしの六月、株式の一部を他の民間会社に譲渡いたしまして出資比率を引き下げたところでございます。  郵政互助会といたしましても、今後とも勧告の趣旨にのっとり改善方策の検討を進めていくというふうに申しているところでございまして、郵政省といたしましても、より一層指導監督に努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  125. 山下栄一

    山下栄一君 弘信商事の問題につきまして少しお聞きしたいと思います。  一〇〇%出資の実質互助会の子会社である、これが多額の損失をもたらしまして特別清算中であるということでございますけれども、これが七百十一億という、そういう金額でございます。  この互助会に入っておられるメンバーの方々、二十五万人ぐらいいらっしゃると聞いておりますけれども、私も具体的にメンバーの方にお聞きしましたら、特に新しく郵政職員になられた方は、とてもじゃないけれども互助会に入る気が起こらないと。また、入っておられる方々につきましても、互助会の本来の目的である、退職のときに退職給付金がいただけるように給料から三%ずつ積み立てたそのお金で成り立っている互助会、この互助会の一〇〇%子会社である弘信商事がこれほどの多額の損失をもたらしたことについて、本当に我々が退職するときに給付金をいただけるのであろうか、そういう不安があると。当然であろうと思うわけでございます。  これは昨年、たしか弘信商事の問題につきまして、解散という、特別清算手続に入ったという、こういうふうな記事が新聞にも報道されましたんですけれども、この互助会が実質経営しているとも言える弘信商事に対する、この互助会の監督官庁である郵政省責任というのは私は非常に重たいと思うわけでございます。具体的に互助会がこれ多分弘信商事の七百十一億の損失を引き受けると思うわけでございますが、これに対する監督責任をどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
  126. 金澤薫

    説明員(金澤薫君) 弘信商事株式会社は、省の監督権限が直接及ぶものではないわけでございますけれども、一〇〇%郵政互助会が出資した民間企業ということで、私どももその民間企業の経営が互助会本体に対して影響を及ぼすことのないよう、さまざまな機会をとらえて指導をしてきたわけでございます。  しかしながら、経済状況が不況が、長引くということやバブルの崩壊というふうなさまざまな事案がございまして、私どもといたしましてもさまざまな指示、指導、監督をしたにもかかわらず、清算というふうな手続になってしまったということでございます。  私ども、清算に当たりまして、この連鎖倒産というような問題が引き起こされますと社会的に非常に問題になりますので、その点についての十分の配慮、それから会員に対して退職給付事業に対する影響を最小限にするというふうなこと等々、最善の施策を講じてまいったというふうに考えている次第でございます。  七百十一億の損失の話でございますが、これにつきましては、特別清算の配当金等々ございまして最終的には六百三十億程度になろうかと思いますが、十カ年の経営改善計画によりましてこれの解消に努めてまいるということでございます。  いずれにいたしましても、特別清算という事態を招いたことはまことに遺憾なことだというふうに考えておるところでございまして、今後退職給付事業に対する影響が出ないよう、できる限り経営についての監督指導を強めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  127. 山下栄一

    山下栄一君 先ほど申しましたように、職員の方々が現実に不安を感じて、互助会に、せっかく積み立ててきたから今から脱会するわけにいかないけれども、新しく入る人は入る気が起こらないという現実があるわけでございます。また、この弘信商事の問題は、単に昨年清算に入ったということだけではなくて、十年前にも同じような問題を起こしておる。  そして、今バブルの問題とか不景気が影響したとかおっしゃいましたですけれども、このような大変な状況になるまで、それをカバーするために後追い増資をどんどん互助会がやっているわけでございまして、そういうことをやりながら結局解散、特別清算に追い込まれたという、その間のもちろん郵政省を通じての互助会の指導、また郵政省の直接の指導もあったとは思いますけれども、この監督責任は大変重大である、このように感じるわけでございます。  この弘信商事の問題につきまして、昨年、来年度中に清算が終わるという話も聞いておりますが、最高責任者の大臣のお考えをお聞きしたい、このように思います。
  128. 井上一成

    国務大臣井上一成君) 日ごろから大変郵政事業に御理解をいただいている山下先生の御質問を今お聞きして、郵政省が直接の監督の及ぶ範囲ではありませんが、弘信商事のこの事件については大変私は遺憾なことである、こういうふうに申し上げたいと思うんです。  そのことが互助会に加入をしている職員皆さんにいっときといえどもいろいろと不安な状況をつくったということについては、私は申しわけない、再びこのようなことが繰り返されないためにも一層の監督強化、指導徹底していくべきではなかろうかと、このように思います。  なお一層、互助会の業務経営、運営、経理等も十分郵政省としても強く指導をいたしてまいりまして、今回のこの弘信商事の問題を、再びこのような事態を起こさないようにしっかりと頑張ってまいりたい、こういうふうに思いますので、よろしく御協力のほどをお願い申し上げたいと思います。
  129. 山下栄一

    山下栄一君 きょう午前中も郵政事業の民営化についての御質問大臣にあったわけでございますけれども、「人にやさしい政治」の観点からこの郵政事業郵便事業にしろ貯金事業にしろ、大変大事な事業なんだというお訴えがあったわけでございます。その郵政事業そのものに対する信頼を失わせるような事件でございまして、今ほかにも信用組合の問題とか兵庫銀行等の問題もございまして、日本の金融の体制そのものが大きく揺らぎ、信頼を失いつつあるわけでございまして、その中心の一つであります郵政省に関するこれは不祥事でございますので、さっき監督責任の問題は今後指導の中でというふうな話ではなかったかと思いますけれども、とてもそれでは済まされない大きな問題であろうと思いますので、しっかりと御指導していただきたいと思います。  互興建設、これは九九・九%出資の互助会の子会社でありますが、これは昭和五十二年にできまして、総務庁の指摘以後も出資率が全然変わらず今日に至っておるというわけでございます。この互興建設という会社は、郵政省の本省のさまざまな修繕工事、また郵便局、特定郵便局等の工事、普通郵便局の工事、宿舎の工事等を請け負っておるようでございますけれども、特にその中で本省の建物の修繕・改築工事が多いと思いますが、その発注工事の内容、受注率、ほかの会社もあってそのうち互興建設はどれくらい受注しておるのか、また金額等わかりましたらこの二、三年示していただけますか、お願いしたいと思います。
  130. 野々村俊夫

    説明員野々村俊夫君) 互興建設が受注しました本省内装工事の実績でございますが、平成四年四月から平成七年九月までに受注した本省内装工事は合計七件でございまして、その受注総額は三億四千七百万円でございます。
  131. 山下栄一

    山下栄一君 これは新聞の記事ですけれども、八九年から九三年まで、本省の建物の工事でございますけれども、この五年間で二十一件中十九件、九〇・四%が互興建設であるということでございます。だから、一般競争入札ではなかったと思いますけれども、一応入札という手続を経ているけれども、ほとんど独占的にそういう工事を受注しているということでございます。  私は、さまざまな理由をおっしゃると思いますけれども、これは総務庁からも指摘を受けている、実質互助会の子会社とも言える九九・九%出資の互興建設に、この出資比率の改善のないままに、総務庁の勧告にもかかわらず改善されていないその建設会社に対して今も本省の修築工事の発注が続けられておるということが大変大きな問題であると思いますけれども、この御見解をお聞きしたいと思います。
  132. 野々村俊夫

    説明員野々村俊夫君) 互興建設の指名につきましては、指名基準に従いまして実績等を勘案して指名しているところでございます。会計法令等に基づいて公正な入札が執行されてきた結果でございますので、御了承いただきたいと思います。
  133. 山下栄一

    山下栄一君 そんなこと聞いていませんよ。要するに、総務庁の勧告にもかかわらず、互興建設の出資比率、もう少し出資比率を下げなさいという指導にもかかわらず全然変わっていない、指摘からずっと九九・九%のままである、平成四年、五年、六年と。きちっと指導どおりやっていない、そういう会社に、本来きちっと監督すべきと。なぜ監督すべきかというと、実質的に互助会が経営していると言ってもいいような会社でございますので、そういう指導でちゃんと改善されていない、そういう会社に郵政省みずから発注を続けるのは、自分の本省の工事ですから問題ではありませんかと申し上げているわけでございます。
  134. 野々村俊夫

    説明員野々村俊夫君) 私ども建築部から発注します工事の指名につきましては、基本的に工事実績あるいは会社の経営状況その他について勘案いたしまして指名しているところでございまして、互助会の出資比率についての問題が指名するかどうかということに抵触するというふうには考えておりません。
  135. 山下栄一

    山下栄一君 総務庁の勧告が無視されている、そういう状態の互助会の実質の経営会社、そんな会社に今も本省が直接、自分のところの建物ですからこれは大変大きな問題であると思います。後からちょっとまた大臣にお考えをお聞きしますけれども。  その互興建設の会社の出張所といいますか、これが本省の建物の地下にある。それがもうずっと常駐の事務所として使われておるというふうに聞いておるわけでございますが、この互興建設の本省内にある現場事務所といいますか出張所と申しますか、これはどういう使われ方をしておるのか、またどういう契約で本省は互興建設と契約を交わし、この契約内容の根拠はどこにあるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  136. 野々村俊夫

    説明員野々村俊夫君) 御指摘の互興建設に限らず、庁舎の工事を実施する場合には業者との連絡や打ち合わせを十分に行い、工事の円滑な推進を図るために、工事請負契約書に基づいて、請負業者から要請があれば庁舎のスペース等を考慮して現場事務所として工事期間中に限って、これは工事期間中に限定してでございます、庁舎の一部を使用を許可しております。  御指摘の根拠でございますが、工事請負業者への理場事務所の使用許可は庁舎管理者が庁舎管理権の枠内で郵政省庁舎管理規程の定めるところにより使用を許可するものでございます。  それから、工事契約書の中のどこにということでございますが、工事契約書の中に現場説明書というものがございますが、その中に「請負業者事務所は、庁舎の一部を庁舎管理者と協議して使用することができる。」ということを明記して貸しているところでございます。
  137. 山下栄一

    山下栄一君 こういうことが朝日新聞で指摘されたんですけれども、平成五年のことでございますが、この平成五年という年は、平成五年三月十五日から平成六年三月十日まで一年間ずっとこの互興建設の事務所が置いてあったということでございます。現在も工事中なので現場事務所があると思いますけれども、工事が完了すればこの工事事務所はない、そういうことでしょうか。
  138. 野々村俊夫

    説明員野々村俊夫君) そのとおりでございます。
  139. 山下栄一

    山下栄一君 その事務所は撤去されるということであるわけでございますが、郵政本省の一角に、建物の一部にこの互興建設の事務所がある。その電気代とかそういう費用はどうなっているんでしょうか。
  140. 野々村俊夫

    説明員野々村俊夫君) 電気代等については実費を精算しております。
  141. 山下栄一

    山下栄一君 実費を精算しているという意味はよくわかりませんけれども、契約に基づいて賃貸料その他、電気代、電話代、水道代かわかりませんけれども、そういうものがきちっと契約に基づいて支払われておるということでしょうか。
  142. 井上一成

    国務大臣井上一成君) 部長の方から会計法令等に基づいて適正に対応しているという答弁があり、山下先生からの具体的な御指摘もありました。なお一層今後適正な運用に努めてまいるという、私からその決意を申し上げて、ぜひ御理解を賜りたい、このように思います。
  143. 山下栄一

    山下栄一君 大臣の答弁はそれで結構なんですけれども、その前に具体的な話を今申し上げておりましたので、先ほどの質問お答え願えますか、契約に基づいて支払われておるのかということ。
  144. 野々村俊夫

    説明員野々村俊夫君) 契約に基づいて、契約書の中にそのスペースを貸してもよいということが書いてございますが、光熱費等については、業者との関係では実質的に精算しております。
  145. 山下栄一

    山下栄一君 大臣、一度その事務所に足を運んでいただきまして確認いただきたいと思っておりますけれども。  郵貯振興会の問題に移りたいと思います。  これは郵政大臣の認可法人郵便貯金振興会、いわゆる郵便貯金会館、片仮名でメルパルクと呼ばれている会館を運営する組織と聞いております。用地、建物等の建設資金は郵政事業特別会計から出ておる、郵便貯金が主だと思いますが。その建てられた郵便貯金会館を運営するのがこの認可法人郵便貯金振興会である。これが全国十五カ所あるわけです。実質的には会議で使ったり結婚式場に使ったり、メルパルクですけれども、ハイカラな名前でございますが、宿泊施設としても使われておる。  これにつきまして、最近はこの郵便貯金会館が建設されていない、全国十五カ所つくられたのが全部五十六年以前であるという。新たにつくられなくなった理由をちょっとお聞きしたいと思います。
  146. 木村強

    説明員(木村強君) 先生御案内のように、メルパルクという愛称で親しまれておりますけれども、郵便貯金事業の周知宣伝施設ということで昭和四十五年から五十六年の間に全国十五カ所で、十五都市でありますけれども、郵便貯金会館を設置してまいりましたが、郵便貯金会館はその後原則として新設しないという臨調答申に従いまして、昭和五十六年以降については新設をいたしておりません。  ただ、仙台、長野、名古屋の三会館につきましては、二十年近くたったということ、建築物の老朽化等によりまして新築移転を計画して実施しておるという状況でございまして、十五カ所ということで現在運営させていただいております。
  147. 山下栄一

    山下栄一君 昭和五十八年の臨調答申、これを踏まえた五月の閣議決定に基づきまして、この郵貯振興会が経営する郵便貯金会館については原則的に新設してはならないという、そういう答申ないし閣議決定があったわけでございますが、しばらく建てられておらなかったわけですけれども、類似施設と呼ばれるものが復活してきておるということでございます。  特に、栃木県日光市の、平成二年度に予算化されたと思いますが、十四万平方メートルのリゾート施設、これは宿泊施設が入っておる。そしてさらに、少し後の平成四年度ですか、三重県における二十万平方メートルの敷地のリゾート施設、これも豪華な高級感あふれる宿泊施設が生まれておる、六階建てで、地下二階かなんかの。こういう、名前は郵便貯金会館とは言わないかもわかりませんけれども、実質宿泊施設があり、会議等も行う場所もあるという、そういうものが復活してきている。  さらに、地域文化活動支援施設と呼ばれるものが、次々と十カ所以上にわたりまして平成五年以降復活してきておるということが一方でございます。これは、名前はメルパルクじゃないかもわからないけれども、実質は宿泊施設を伴うそのような会館をつくってはならないという臨調答申ないし郵政大臣も参加された閣議決定が無視されて、ほごになっているというふうに私は思うわけでございますが、そういう類似施設に関する臨調答申違反、閣議決定違反であるということについての見解をお聞きしたいと思います。
  148. 木村強

    説明員(木村強君) 先生から今御指摘ございましたように、いわゆるメルパルクとは違った施設を現在計画中でございます。  一つは、今お話のありました日光であるとかあるいは三重というところで設置を予定して準備を進めておるものでありますけれども、これはいわゆる本格的な余暇時代の到来に対応するということで、リゾート法の承認地域に設置するスポーツあるいは健康増進機能を中心とした施設でございまして、従来のような都市を中心に宿泊機能を備えて民業と競争するといったような性格のものとは異なるという考えで進めておるものでございまして、郵便貯金会館は原則として新設しないとされております臨調答申の趣旨を逸脱したものではないということで関係方面とも合意の上、調整をさせていただいておるところであります。  なお、この計画の推進に当たりましては、周辺地方公共団体、民間企業等の開発計画との整合性、それから地元の住民の皆様方の賛意といったようなことも考慮しながら、官民が一緒になって、民業圧迫ではなくて相乗効果を生んでいこうということで進めておるものでございまして、地元のリゾート計画推進の核として地元からも期待をされ、雇用の拡大、消費需要の増大等の地域振興という側面も有しておるわけであります。  いずれにいたしましても、これらの施設に対しましては、臨調答申あるいはその後の閣議決定の趣旨とたがわないように十分関係方面との調整を経て、合意の上で予算化されたものでございまして、国会審議でも十分審議されてきておるものだというふうに理解をいたしております。  さらに、趣旨は違いますけれども、同じ地域文化活動支援のための施設ということで、これは宿泊機能を中心としない、いわゆるカルチャー教室、ギャラリー、ホール、会議室、貯蓄相談センター等地元の要望も取り入れた地域の特色を生かした新しいタイプの施設でございまして、先ほどのリゾート施設ともあわせまして臨調答申の趣旨は十分に勘案をして調整をしながら図っておるという性格のものでございます。
  149. 山下栄一

    山下栄一君 臨調答申の趣旨をごまかしてやっていると私は思うわけでございますけれども、地域文化施設につきましても、今カルチャー教室とかなんとかおっしゃいましたが、地元から宿泊施設としても併用といいますか、というのであれば郵政省も宿泊施設もつくりますというふうになっていると思うんですよ、地域文化施設でですよ。具体的に富山とか大宮とかではそういう宿泊施設も併用してつくりたいという要望郵政省に入っているというふうに聞いておりますけれども、いずれにしましても、臨調答申のねらいというか趣旨は、郵貯振興会による郵便貯金会館の新設はだめだと、これはまた現在設置されているメルパルク等も民営化が望ましい、民営化の方向でやりなさいという、それがねらいだったと思うんですね。  本来、宿泊施設とかリゾート施設とか、プールとか、大きなおふろもそうでございますけれども、そういうふうなものは民間で競争原理を働かせながら実際はやるべきものであると思いますし、実際日光等でも地元の旅館業界が反対しているわけでございまして、反対意見もあったというふうに聞いております。それで、六百あった定員を三百に減らしてやるとか、そういうことをやっているわけでございます。  私は、これは地元の要望はどこまでかわかりませんけれども、市の方で雇用の問題とかさまざまな問題で地域活性化のためにいいと言えばもう丸ごと土地も建物も郵便貯金でつくって、あとの運営は郵貯振興会で運営されるという内容のものをつくるべきではない、これは行政改革に逆行するものであると、このように考えるわけです。  もう時間がなくなってしまいましたですけれども、大臣に、郵貯振興会に対する臨調答申、閣議決定の流れ、趣旨を踏まえて、しばらくはメルパルクという名前の郵便貯金会館が建設されてなかったけれども、類似施設、実態は同じようなものが復活してきているということに対する、私はおかしいと思うわけでございますが、臨調の答申、閣議決定に反すると思うんですけれども、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  150. 井上一成

    国務大臣井上一成君) 山下先生、今のような御意見、お考えというか受けとめ方もおありかもわかりませんが、地域振興あるいは地元の人たち要望にいかにこたえて、国民皆さんからお預かりをした大事な資金をどう生かしていくかということは、これはまたひとつその考え方も大いに御理解をいただきたい。  そして、臨調の答申の趣旨を逸脱しているのではないかという御指摘があったわけですが、五十六年からは既にその答申を受けて新たな施設は開設していない。むしろ地域文化を創造していく、さらには地域経済活性化、そしてまた地域住民とのコミュニケーション、いろいろな意味でこれは大いに、今貯金局長が地域、地元関係者との十分な話し合いの中でつくり出していきたいという答弁がありました。むしろそういう意味では、これからの子供たちからお年寄りにまですべての人に喜んでもらえるような施設として、そして自立した運営をやっていますから、決して民間との競合、競争あるいは圧迫というような範疇には入らないという理解を私はいたしているわけでありまして、ひとつ十分その点につきましても御理解をいただきまして、ひとつよろしく御協力をいただきたい。  臨調の答申の趣旨については、私どもは十分に尊重いたしてまいります。どうぞよろしく御理解をいただきたいと思います。
  151. 山下栄一

    山下栄一君 郵便貯金会館、メルパルクは、これは新設しないで実質同じような内容のものを名前を変えてやっているということで、現在あるメルパルクも民営化する方向でというふうに臨調答申があるわけでございまして、私は今のごまかしながら復活させているという方向については全然納得できないわけでございます。行革に反すると。メルパルクそのものも地域活性化になり、地元地域の雇用になるわけですが、それをやめなさいということでもともとはスタートしているわけですからね。それを名前を変えて同じようなものをつくっているというようなことはもう全然おかしいと私は思います。  あと五分しかございませんけれども、運輸省に全然質問していませんので質問させていただきたいと思います。脱税事件は、もうこれは時間がなくなったのでまた別の機会に譲りたいと思います。郵便貯金を利用した脱税といいますか、その問題はまた別の機会に譲りたいと思います。  航空運賃の問題でございます。  運輸省にお尋ねいたしますけれども、ジェット特別料金という料金を利用者は飛行機を利用するときに払う。このジェット特別料金というのがつくられたのは昭和五十年代初めだったと思いますが、これはもともと騒音対策費を利用者が負担するということからジェット特別料金が始まった。騒音対策費として、財源として航空会社は特別着陸料を払う、それを航空会社は利用者に転嫁する、その名前をジェット特別料金とする、こういう形で始まったわけでございますが、今もうジェット機がほとんどの路線で飛んでおるという状況の中で、こんな特別料金という形で別建てでとるのはおかしいという、そういう話もあるわけでございます。  きょう問題にしたいのは、ジェット特別料金、利用者が支払うお金、特別着陸料、これは航空会社が国に払うもの、それと、本来こういうような費用、料金が設定されたもともとの目的である騒音対策経費、その兼ね合いでございますけれども、ここ数年、利用者の払うジェット特別料金と特別着陸料に差額が出てきておる。基本的にはジェット料金の方がたくさん支払われておる。さらに今度は、特別着陸料という航空会社が国に支払うものよりも実際そのために払っていたはずの騒音対策に使われる費用がさらに金額が低い。このように差額が出てきているわけです。それも百億近いそのような差額があらわれてきておるということで、これがずっとこの五、六年恒常化しておるということでございます。  あるときは特別着陸料の方がジェット料金よりも高いとか、騒音対策費の方が特別着陸料よりも高くついたとか、そういうことであればわかるんですけれども、利用者が払うものの方が多いとか、航空会社が払うものの方が実際使われている騒音対策費よりも多いとかとなるとこれは問題であるというふうに思うわけでございます。こういう騒音対策費にかかわるさまざまな問題につきまして、特にジェット特別料金と特別着陸料の差額が利用者に還元されないで、ジェット料金を安くするとかいう形で還元されないで航空会社に入ってしまっておるという問題につきまして、その他の問題につきまして、会計検査院指摘があるようでございますけれども、その会計検査院からお考えをお聞きしたいと思います。
  152. 天野進

    説明員天野進君) 御指摘の件につきましては、以前から、特別着陸料の算定方法が適切であるかという観点などから会計検査院といたしましても関心を持って検査してまいりました。その結果につきましては、本院の見解を当局に申し上げているところであります。  現在、本件につきましては、当局から検討を進める旨の報告を受けていることから、その対応を見守っているところであります。
  153. 山下栄一

    山下栄一君 ちょっと抽象的におっしゃったので何のことだかわからない。だから、利用者が払うジェット料金と航空会社が払う特別着陸料、これがイコールじゃない。その余分なお金を利用者が負担させられておるという、五十億から百億の間でこの五年も続いておるという、そういう状況は問題であるということを指摘したということでしょうか。それでよろしいですか。
  154. 天野進

    説明員天野進君) ジェット特別料金の関係につきましては、認可料金という関係もございまして、本院の方といたしましては、特別着陸料の算定方法がどうかという、こちらの方の観点から検査をいたしまして、それらの二つの間に相当の開差があるというのはただいま先生御指摘のとおりでございまして、本院の方といたしましても、この開差がどういうものであるのか、そういう点について検討いたして、それなりに本院としての意見を運輸省の当局にお話し申し上げたと、こういう事態でございます。
  155. 山下栄一

    山下栄一君 はい、わかりました。騒音対策として使われる、例えば防音工専とか引っ越し代とかまた緑地緩衝地帯をつくるとかという、そういう騒音対策にかかわる費用よりも航空会社は余分に特別着陸料を払い、それよりもさらに利用者はジェット特別料金という形で負担しておる。もともとジェット料金というのは騒音対策のために利用者が負担するという形から始まったにもかかわらず、そういう状況がこの五、六年続いておるという、非常によくないといいますか、是正すべき状況が恒常化しておると言ってもいいと思うわけです。こういう問題につきましては、以前、昭和五十二年の衆議院の運輸委員会ですか、当時の航空局長が、こういう恒常化した場合はきちっと検討いたしますという旨の答弁もされておるということでございまして、少なくともこんな不健全な状態が続いておることに対しまして、僕はやっぱりジェット特別料金を、それでなくても航空運賃は高いと言われているわけですから、少なくとも下げるべきであると、このように思うわけでございますが、運輸省の御見解をお聞きしたいと思います。
  156. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 先生の御指摘、ちょっと問題を整理させていただきますが、二つございまして、一つは環境対策費とエアラインが払っている特別着陸料との間に乖離があるのではないかというのが一点。それから二点目は、エアラインに利用者の方がジェット料金として払っている金額とエアラインが国に特別着陸料として払っている金に乖離がある、この二点だと思います。  まず前者につきましては、私ども環境対策費というのは空港整備特別会計の中で専ら環境対策だけに使う金という経理処理をしておりまして、それ以外の空港整備の中にも広い意味における環境対策はたくさんございます。例えば、今最盛期を迎えております羽田の沖合展開もまさにあれは環境のために膨大な資金を使って周辺住民の方々の騒音を少しでも少なくしようというわけで沖合に埋め立てをして展開しているわけでございますから、したがいまして前者の環境対策費と特別着陸料が完全にイコールでなければいけないとは我々考えておりません。ここのところはまず御理解いただきたいと思います。  それから、二番目のジェット料金と特別着陸料の間に乖離がある、これは御指摘のとおりでございます。当初、この制度を設けましたときにはむしろエアラインが納める額の方が多かったんです。実は、この特別着陸料というのはどういう制度になっているかと申しますと、同じジェット機でも騒音の低いジェット機は安い料金にしましょうと、こういうインセンティブを入れているわけでございます。このインセンティブも効きまして、各社が一生懸命低騒音機を入れてまいりました。そのために結果として国に納める特別着陸料が減っているというのが原因の一つでございます。  もう一つは、国内の航空運賃は実は昭和五十七年から引き上げておりません。変更しておりません。したがって、いわばその辺の調整をするタイミングを探しているうちに今日に至ったという、この二点が大きな理由だと思っております。  そこで、先生の御指摘のように、この特別着陸料とジェット料金の間に大きな乖離があるということは我々十分問題意識を持っております。先月の二十四日に航空審議会の部会で意見が出されまして、この点につきまして、この乖離よりもその前の問題として、そもそも現時点において普通着陸料とこの特別着陸料を二本立てする意義がもうなくなったのではないか、こういう抜本的な意見をいただいております。これは我が国の空港あるいは航空全部がほぼジェット化しているわけでございまして、わざわざジェット特別料金を取る必要はない、あるいは特別着陸料を取る必要はない、この点も含めて検討しなさいという御指摘を受けております。  そこで、我々これらの御意見を踏まえながらどう対応するか、どういう場で検討するか、まさに今準備をしているところでございます。もうしばらくお時間を拝借いたしたいと思います。
  157. 山下栄一

    山下栄一君 今答弁ございました中で、ジェット特別料金は確かにこれは問題であるというお話がございまして、ただ、昭和五十七年以来料金改定が行われていないまま今日まで来ているのでチャンスを逸したと。だから、利用者はずっと余分に払い続けて、本来の趣旨であるジェット機による騒音のための特別料金を利用者は負担していたわけですから、それをずっと余分に払っているという状況は今も続いておるわけです。そんな状況、チャンスを逸しましたからと。チャンスを逸したって、チャンスをつくってやればいい話やと私は思うんです。  今は価格につきましては非常に関心の高い時代でございましてね。特に公共料金の問題は、もう基本的にずっと立て続けに最近も上げられているわけでございます。今、ジェット料金を引き下げる、こういう判断をすれば、おたくは大変よくやったということで評価を受けるのではないかと思うんです。チャンスをつくっていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  158. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、今先生の御指摘の点も含めて制度そのものの抜本的な見直し、急いで勉強させていただきたいと、かように思っております。
  159. 山下栄一

    山下栄一君 私がちょっと心配いたしますのは、環境対策のことを今も御答弁の中でおっしゃいましたけれども、そのために町中の近くじゃなくて埋め立ててつくればそういう騒音問題、環境問題も解決されるからそれも環境対策に入っていくんだ、空港整備と環境対策一体であるというふうな考え方を突き詰めていきますと、それも利用者が負担させられるのではないか、空港の整備に至るまで利用者がインフラの負担というふうになりかねないと、このような懸念を持っております。  大臣に最後お尋ねいたしますけれども、新聞報道によりますと、日本は着陸料が大変内外価格差で高いと言われる中で、普通着陸料、特別着陸料を含む航空会社が払う空港使用料を見直して、できるだけ一般財源を投入して空港使用料を軽減する方向で考えていきたい、こういう意味大臣の御見解といいますか、お考えが述べられたような記事が載っておりましたけれども、この点につきまして大臣のお考えをこの場でお聞きしたいと思います。
  160. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 私、就任のときの記者会見で今御指摘のような趣旨で私の考え方を述べさせていただきました。  確かに空港使用料というのは外国と比べても大変高い水準にあることは事実であります。しかし、一方においてこの国際化時代に世界の中で十分通用する多機能の空港を建設していかなきゃいけない、こういう国家的な命題もございまして、現時点では空港整備というのは主に空港使用料等を含む特別会計で賄っている、こういうところが比重として大きいわけでありまして、今すぐにここをなくしてしまうと将来の経営が成り立たないということにもつながりかねません。  そこで、今先生が御指摘のように、やはりすべての国民や世界のための利便性というものを打ち立てなければならない航空行政でありますから、したがって特別会計だけに頼るようなそういうあり方というものを改めて、やはり一般財源をそこに投入していく、こういう発想も必要だと担当大臣として思わせていただいておりますので、私も、いろいろ厳しい局面がございますけれども、皆様方のお力をいただきながら、そういう方向でこれから一般財源の導入ということを含めて頑張らせていただきたいと、こういうふうに思っております。
  161. 牛嶋正

    牛嶋正君 私は平成会の牛嶋でございます。  きょうは山下先生から貨重なお時間を二十五分ほどいただいておりますけれども、限られた時間でございますので問題を一点に絞って郵政省にいろいろお尋ねしてまいりたいと思います。  その問題と申しますのは、郵貯と今問題になっております信用不安との関係でございます。  八月における郵貯の急激な伸び、これは新聞で拝見させていただいておりますけれども、これは預金市場において郵貯シフトが起こっていることを明確に示すものではないかととらえております。そして、この郵貯シフトが、今もなお進行しております信用不安、銀行不信と無関係でないことも私は確かであろうと思っております。このシフトがこのまま続きますと、今後の我が国の金融システムの立て直しに対しても重大な影響を与えることが懸念されます。場合によっては、金融秩序の回復をおくらせることさえ予想されるわけであります。  今、信用不安の議論をされるときに、どうも郵貯がいつもその議論の外に置かれているようですけれども、私は、我が国の金融システム全体を考える場合に、郵貯を抜きにして今の信用不安の問題を議論できないというふうに思っておりますので、この問題について幾つか御質問をしながら私の意見も述べさせていただきたい、こんなふうに思っております。  まず最初に、八月における郵便貯金の伸びの状況も含めまして、ことしに入ってからの郵便貯金の推移をお教えいただきたいと思います。そして、最近の郵貯の伸びの原因について郵政省はどのようにお考えなのか、その御意見をまず承ってまいりたいと思います。
  162. 木村強

    説明員(木村強君) まず、平成七年度、本年度に入りましてから八月期までの郵貯の純増の累計でございますが、三兆三千二百五十三億円ということで、対前年の同期の累計と比較をいたしますと一〇六・九%の状況でございます。  内容を申し上げますと、郵貯の主力商品でございます定額貯金、これにつきましては二兆四百二十五億円ということでございます。前年の定額貯金と比較をいたしまして八六・五%と大幅に下回っておる実績でございます。通常貯金につきましては一兆三千五百九十二億円ということで、対前年比一四八・八%ということで前年を上回る実績でございます。  今、先生御指摘がございましたようなことも頭に置いて私ども内部で分析をいたしておりますが、トータルといたしましては、この八月期まで昨年度と比較してそう大幅に郵貯が伸びたということではないというふうに認識いたしております。特に、定額貯金につきましては、先ほど申し上げましたように、郵貯の九割弱を占める主力商品でございます。これが対前年比、非常に成績が悪いということでございます。  御案内のように、数次にわたる金利の引き下げを受けまして、郵貯につきましても金利を民間金融機関等のバランス感覚等を見ながら、もちろん預金者の利益も考えなきゃいかぬわけでありますけれども、全体の経済政策に協力をしていこうと、国の立場でもございますので、そういう観点から金利を下げさせていただいております。心苦しいわけでありますけれども下げさせていただきまして、通常貯金との金利差なども非常に縮小しておるという状況の中で、お客様は定額貯金というものに対して最近入れる額が非常に少なくなっておるという状況でございます。  これに反しまして、通常貯金が相対的に金利もいいということもございますが、特に国民と厚生年金等の振りかえ預入というものが徐々にふえております。郵便局を窓口として使おうといったようなこと、あるいは額自体も伸びておるというようなこともございまして、通常貯金が前年を上回っておるということで、通常貯金の伸びと定額貯金の低い額ということとあわせてトータル的には昨年と同じかなと。ただ、中身を見ますと、主力商品は落ちておる、金利の安い一般の通常貯金に若干資金が集まっておるという状況でございます。  これは低金利下でございまして、利用者の皆さん、お客様の皆さんも、今どこへ預けようか、有利な商品はないな、もう少し様子を見てまだ金利の高いところへという様子見の貯金なども入っておりまして、民間金融機関が普通預金を大いに伸ばしております。この状況と変わったところはないということで、総体的には先生御案内のような民間の金融機関を原因といたしまして郵貯が一気にその量をふやしておるという現状にはないというふうに認識いたしております。
  163. 牛嶋正

    牛嶋正君 今、私はことしに入ってからというふうにお聞きしましたのでそのような数字が出てくるのかなという気もしておりますけれども、いずれにいたしましても郵貯シフトは八月の動きを見ると起こっているような気がいたします。  そして、これまでも郵貯シフトというのは何回かありました。そのとき、主として民間金融機関、特に銀行協会あたりから預金市場におけるイコールフッティング論が議論されてきたというふうに思っております。すなわち、郵貯は預金市場において民間金融機関よりも有利な条件で競争している、したがって郵貯に資金が集まるのは当然だというのが民間金融機関の言い分であったわけであります。  そして、郵貯を有利にしている要因といたしましては税制上の優遇措置がまずありました。それから、定額貯金に見られる金利の有利さ、さらには郵便事業簡易保険事業など他の郵政事業と一緒に事業が展開される、そういう有利さも指摘されてきたわけです。しかし、いずれも預金者が期待する預金あるいは貯金に対するリターンに関係するものであったというふうに思っておりますし、これらの要因につきましては、例えばマル優の廃止とかあるいは金利の自由化等々でかなりその格差は縮まっているというふうに見ていいのではないかというふうに思っております。  二万四千カ所ぐらいでございましょうか、全国津々浦々に所在いたします郵便局を窓口にしている郵貯を考えますと、これはまさに地域金融であり、もっと言い方をかえますと庶民金融だというふうに言ってもいいかと思いますね。ですから、民間の金融機関との競合も、どちらかといいますと信用金庫とか信用組合あるいは農協といった中小の金融機関と密接な関係にあるというふうに考えていいのではないかと思うわけであります。ところが、これまでの両者の関係というのは、私は競争関係というよりもむしろ共存関係の色彩が強かったんではないかというふうに思っております。    〔委員長退席、理事大木浩君着席〕  例えば、今ここに農業従事者がいるといたしまして、その人は恐らく自分が組合員になっている農協に預金するでしょうね。しかし、近所にある郵便局もよく知っている、特定郵便局長さんをよく知っている。そうなりますと、そこにも貯金する。こういったぐあいで、私は、割合今まではそういった中小のいわゆる地域金融機関とそれから郵貯というのは、微妙なではありますけれどもバランスが保たれてきたんではないか、こんなふうな気がいたします。このバランスは、今私が申しました地域社会における血縁とか地縁、そういった人間関係が私は背後にあったというふうに思っております。  それからもう一つは、先ほど申しましたけれども、地域金融におきまして郵便局と民間金融機関とがほぼイコールフッティングの状態で預金者に対応しているということも挙げることができるかと思います。  しかし、その場合問題は、今まではイコールフッティングを考える場合にリターンの面だけを見てきた。ところが、リスクの面は非常に重要な側面なんです。しかし、これまでは日本の銀行は絶対に倒産しないという銀行神話があって、それが支えになっていた。ですから、郵貯と民間の金融機関との間にリスクの面では差がなかったわけであります。  ところが、昨年暮れから続いております信組の経営破綻、これが日本の銀行も危ないと、これまでの神話を崩してしまうわけですね。そうしますと、リスクの面でのイコールフッティングが崩れてしまうわけです。そうなりますと、今や郵貯の預金市場における優位性というのは非常に決定的なものになっているんではないか。このことが郵貯シフトを引き起こしている大きな要因ではないかというふうに私は思っております。  先ほど私が言いましたように、地域金融において今まで中小の民間の金融機関と郵貯は共存関係にあったと思うんです。これが、民間の方の銀行神話が崩れることによって今やその関係が崩れようとしている、こういう非常に重要な状況が生まれているというふうに私は理解しているんですけれども、これについてどういうふうにお考えなのか、ちょっと伺いたい。
  164. 木村強

    説明員(木村強君) 先生まさしく御指摘賜りましたように、これまでいわゆる民間の金融機関、まあ民間という言葉が使われておりましたけれども、経営者は確かに株を配当し、民間から出資を集め、民間金融機関として経営をされておりましたけれども、いわゆる護送船団方式ということで大蔵省の行政のもとに、これは一つもつぶしてはいかぬのだ、こういう行政が展開されておったというふうに私は認識をいたしております。  そういう中で、国営郵貯と民間金融機関との、まさにリターンの関係じゃなくて、リスクという面ではどちらもっぶれない。官民論とよく言われますけれども、私どもは大蔵の担当官との交渉のさなかでは官官論じゃないか、大蔵省が指導する民間金融機関と国営郵貯が経営する貯金とのいわゆる官官論じゃないかといったような表現までしながら交渉を進めた記憶がございます。  確かに昨今の状況は、一部の民間金融機関が破綻を生じ、混乱をいたしております。そういう面では国が経営をいたします郵貯と民間金融機関経営をいたしますものとでは確かに問題意識というものに若干乖離が出たかなというふうに考えておりますけれども、今の実態で、郵貯が預かります小口の郵便貯金としては限度額が一千万でございます。  そういう意味では、民間金融機関におきましても預金保険法に基づく預金保険機構の支払い保証、いわゆるペイオフと言われておりますけれども、これは最高限度額一千万ということでございまして、郵便貯金の預入限度額一千万ということでございますから、いわゆる郵貯を利用しよう、あるいは小口で一千万まで民間金融機関を利用されようという方にとっては実質的な信用格差があるというふうには考えていない。民間金融機関におきましても一千万、いわゆる郵貯と競合するかなどいう部分につきましては完全に保証がされておるというふうに認識しております。
  165. 牛嶋正

    牛嶋正君 少し郵政省のお考えと私の間にずれがあるようでございますけれども、今までは、私は先ほど申しました共存関係などを考えて、信用不安が徐々に拡大していくこの過程で、郵貯はそれに対して歯どめの役割を果たしてきたんじゃないかと思っております。そういう評価を私はさせていただいておるわけです。恐らく、預金者の方も先ほどの共存関係の関係から郵貯と同じように、民間のそういった中小の金融関係に対して信頼を置いていたと思います。そして、一部はそういったところに預金しますけれども、郵貯にも貯金をしてある、そういう安心感もあるわけです。こういう安心感が、私は信用不安をかき立てることを多少抑えていたと思うんです。そういう意味で、私は郵貯が今の信用不安の状況の中で果たしている役割は大きかった、こういうふうに思うんです。  それだけに、この八月の郵貯シフトが私には気になるわけでございます。もし、これがこのまま続くとするならば、そして、しかもそのシフトの方向が中小の金融機関から郵貯へ向かうようなシフトであるとするならば、私は恐らく信用不安の拡大を加速させる要因に働くんではないか、そしてそのことがまた郵貯シフトを促していく、こういう悪循環が始まるんじゃないか。この八月の動きがそういう悪循環が始まる兆しであれば、これは大変なことだと思うんです。  そういう意味で、今まで信用不安の拡大の歯どめになっていた郵貯が、今度はそれを加速する要因になっている、新たな要因になっている。そういうことで、非常に私はこれは重要な問題だというふうに認識して、きょう取り上げさせていただいたんですけれども、この点についてもう一度ちょっとコメントいただきたいと思います。    〔理事大木浩君退席、委員長着席〕
  166. 木村強

    説明員(木村強君) 先生御指摘がございましたように、特に地方の方で郵便局と信用金庫等との共同関係といったようなものが競争関係にと、そして郵便局は国の保証、一方はそうではないということで、むしろ今まではそれがあるからよかったんだけれども、今度は郵貯の存在が逆に郵貯へ郵貯へと金が流れていくことになるんではなかろうかということでございます。  私どもの現状の分析でございますけれども、先ほどデータで申し上げましたが、確かに八月期は純増は七千二百五十九億円ということで、前年度よりもやや上回っておりますけれども、この内容はやはり通常貯金でございます。定額貯金は前年と比べますと七九・七ということで、むしろ落ち込んでおるわけでございます。そういう意味で、必ずしも民間金融機関の一部の破綻ということで即郵貯にのみ行くということではなくて、全般の金利情勢その他の中から一時避難的に少しは行ったかなというものがあるのではないかと。  これは、大手の銀行なども確かに普通預金は大いに伸ばしております。むしろ大手の方は新しい商品を開発しながらどんどん獲得をしておるという状況でございまして、今回破綻が起きましたときにも郵便局の実情をつぶさに私ども点検をいたしましたけれども、ずっと人が並んだとかいうようなことはございませんで、比較的クールに経営がなされておるという状況でございました。  また、私どももこういう機会をとらえて、信用不安をとらえて一気に郵貯に金を集めようというようなことは厳に慎むように指導もいたしておりまして、クールな対処の中では確かに周辺の、例えば木津でございますと、大阪府の発表では大半が一千万以上の大口預金だと。木津信用組合の場合は大阪府の調査では七七%が一千万以上の大口預金であるということで、預入限度額が一千万を超えてはならないという郵便貯金にとりまして特にそのお金がどっと入ってくるという状況ではなかったということで、全般的な金利状況の低下あるいはそれを見てどこへ預けようかというお客様たち、それからまあ近隣ではやはり郵便局があるからなという感じで、一時的にお預けかえをされておる。一時、緊急避難的に預けかえをされたというケースはあろうかと思いますけれども、今までの現状の分析をいたしますと、今回の金融破綻、一部の破綻によりまして郵貯にどかっとお金が来たということではないというふうに認識しております。  もちろん、これからまだまだもっともっと出てくるんだというような話になってまいりますと、先生の御案内のような事態が起こるかもわかりませんけれども、大蔵省も今までの方向では、きちっと不安を与えないように、預金保険機構のお金などを使って大口預金者までも保護していこうという預金保険機構の資金援助方式を追求する方向というものを大蔵省も六月八日の段階で発表もされておりまして、けさも私ニュースで聞きましたけれども、木津の払い出し金額も徐々に少なくなってきた、落ちついてきたというような報道もされておりました。そういう面では、大蔵省の今後の指導あるいはパニックに陥ることない国民の冷静な対処ということが必要でございますけれども、よく見きわめなければいかぬだろうと。  私どもとしましては、郵便局があるがゆえに郵貯にどんどん金が来て、民間の資金が枯渇をして自由主義経済が大変になっていく、民間も立ち直れない、経済の回復もままならないといったことのないように、資金のシフトにつきましては十分慎重に動向を見きわめながらバランス感覚を持って対処してまいりたい、このように考えております。
  167. 牛嶋正

    牛嶋正君 私、今郵政省が出しておられます郵政行政統計年報、それから日銀の経済統計年報でもって一九七五年末と一九九三年末の金融機関別の資金量の比較をちょっとさせていただきました。  かなり構成に大きな変化が見られるわけでありまして、例えば全国銀行勘定をとってみますと七五年末が四九・二%、大体半分です。それが九三年末には三六・一%まで一三・一%の下落をしております。それから共同組織金融機関、これも三・二%の下落。  それに対しまして、構成比を上げておりますのは保険会社といった契約貯金の場合でありまして、これが七・一%上昇しております。と同時に、資金運用部がやはり五・八%の上昇でございます。ですから、保険会社は別といたしますと、やはり大きく公的金融と民間金融のウエートが変わりつつあるということであります。  このことをとらえて、恐らく今回の郵貯シフトが続きますと、この傾向がもっと大きく広がっていくんだと思いますけれども、いつも議論されますのは郵貯の姿勢の問題、あり方の問題です。そして、民間金融機関からは常に郵貯は民間金融の補完の位置にとどまるべきであるというふうなことを言い続けてきているわけであります。恐らく郵政省も郵貯の位置づけをされるときにはそういうお言葉をお使いになっているんじゃないかというふうに思いますけれども、私はこの数字を見ますと、その補完の域は出ているというふうに思います。  しかし、先ほども申しましたように、信用不安が拡大していく過程で郵貯が果たしてきた役割考えますと、私はこの補完の位置にとどまるべきであるという郵貯の姿勢をもう一度見直す必要があるんじゃないかというふうに思っております。しかも、マクロ的な経済構造が変わっているわけであります。バブル以前は貯蓄とそれから民間の投資はほぼ均衡しておりました。今や貯蓄がかなりオーバーしているわけです。このギャップを公共投資で補わなきゃいけないわけです。言うならば、資金の面でも民間部門から公共部門に相当資金を配分していかなきゃいけない。そのときにこの公的金融、郵貯を含む公的金融のあり方というものをもう二度考え直す必要があるんじゃないかというふうに思っております。  ですから、最後にそれに関連いたしまして私は郵政大臣にちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、これからの金融システムの中での郵貯のあり方といいますか位置づけ、それについてどういうふうにお考えになっているのか、その点をお聞きいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  168. 井上一成

    国務大臣井上一成君) 今、牛嶋先生、金融システムの不安というか、そういうことについても郵貯に資金がシフトしているんではないかという御心配を含めた指摘がありました。私はこれは、二万四千有余の全国に存在する郵便局での業務一つである郵便貯金、最も国民に親しまれ、かつ身近な存在であって、生活の基盤の中に定着しているというか組み込まれているという、もう土台骨であると、これは。いわば生活文化をつくっている一つの大きな土台だと、そういうふうに私自身は理解をして、もう国民安心のよりどころというのはどこなんだといったら、金については郵便局郵便貯金だと、こういう私なりの強い考えをたびたび申し上げてきたわけです。  むしろこういうバブルがはじけて不良債権を抱えた民間金融機関がいろいろな混乱の、一部ですけれども、社会不安を引き起こしているという、そういう実情も十分承知はいたしておりますが、だからといって郵貯に対する問題を、あらゆる角度からの御意見なり御指摘については謙虚に承りたい、これはもう当然のことでございます。しかし、その生活の基盤を支えている郵便貯金について、いや、そこにシフトするというそれはよろしくないという論理が本当に国民皆さんに、むしろ私は国民皆さん安心のよりどころとして郵貯へ、郵便局へいっときといえども運んでいただける、そこへ持ってきていただける、預けていただけるということはより強い安心感国民は持っているんじゃないかと、こういうふうに思うわけです。  そういう意味で、もう御存じのことをあえて申し上げるのは大変恐縮なんでございますけれども、例えば国民生活基盤を充実するという公共事業の財投資金の六〇%近くは、郵便局がお預かりをした郵貯の原資をこれは使っているわけなんです。だから、そういう意味ではむしろこの際に国民皆さんからお預かりをしている郵貯の資金使途、いわゆる財投資金の透明度も少しぐらいははっきりとして、皆さんから預かったお金はこのように社会に、皆さん暮らしの中に還元をしていますということも大きく私たちとしてはわかってほしいという思いが郵政としては強いんです。大蔵省に一たんとりあえずそれはお渡しをしていますけれども、いかに国民皆さんからお預かりをしている原資、資金が国民皆さん生活の基盤を整備するために役立っているかということを十分御理解をいただけるような、私はそういうことも……
  169. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 大臣、もう時間を過ぎてやってもらうと困りますよ、あなた。早く締めくくってください。
  170. 井上一成

    国務大臣井上一成君) はい、済みません。  そういう強い意識も持っています。どうぞよろしく御理解をいただきまして、愛される郵政として今後とも取り組んでまいりたいと思います。大変長くなって恐縮でした。
  171. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 私は、社会党の伊藤基隆でございます。  まず、郵政大臣の御就任に対し、心からおめでとうございます。  先ほど午前中の海老原委員大臣との討論といいましょうか質問と回答、ただいまの牛嶋委員との討論をお聞きしまして、郵政事業の持っている性格、それと郵政大臣がどのような決意郵政行政に当たられるか、そういうことについて大方のところはあらわれてきたというふうに思っています。  それはすなわち、郵政省国民生活に最も身近な公的機関、郵便局二万四千のネットワーク、それが通信、金融、福祉の基本的なサービスを提供している。特に、ただいまの牛嶋委員との御討論の中で、国民生活基盤、社会資本整備に対して郵便貯金が果たしてきた役割、それが郵便局機能から出ているということも討論の中から出てきたわけでございます。  もう一つは、二十一世紀の日本のリーディング産業と目されている情報通信メディア産業、これに対して、これを所管する極めて重要な立場にあって、午前中の大臣の答弁で言えば、これからの時代郵政行政が担う部分が非常に大きくなってくるだろうとの見解が述べられました。私は、この大臣就任に当たっての決意表明やただいまの決算委員会における答弁について全く同感でございます。  そこで、この討論を土台にしまして、少し発展させた質問といいましょうか、大臣に対して見解をお伺いしたいわけでございますけれども、私は郵便局ネットワーク産業という言葉をよく使います。郵政事業郵便局ネットワーク産業ではないかと。特に、郵便については人が介在する通信手段、これはマルチメディアに対極するものであるかもしれないし、それに対応する力を十分に持っている、そういうウエットコミュニケーションというものが郵便事業の性格としてあるんじゃないかというふうに思っています。  特に、大臣の答弁の中にもありましたが、郵政事業そのもの、郵便局ネットワークそのものが国が持っている機能のうちの、国は強くなければならないというふうに私は思いますが、国の最も優しいというか、やわらかな部分が国と国民との関係に醸し出されているのが郵政事業のサービスであろうというふうに思っております。  そうしますと、今日まで果たしてきた役割をこれからも果たしていく上で重要になってくるのは、国民生活上の基盤的サービスを安定的に供給していく、そのときにあまねく公平ということが貫かれていかなきゃならないというふうに思っておりますが、この辺に対して大臣がどのようにお考えになっているか、今後これを貫いていく基本的姿勢等について一つお伺いしたい。  もう一つは、二十一世紀のリーディング産業であるマルチメディア産業郵政省は重要な役割を果たしていくということをおっしゃいました。メタルからメディアヘ。トラスチックな転換ではないかもしれません、メタルとメディアは共存しながら転換していくんではないかというふうに思いますが、そのとき、郵政省だけではこれはかかわれない問題ではないだろうかと。  国の行政という場合では、通産省とどういうことなのか、または運輸省とどういうふうに連携をとるのか、さらには産業界との関係をどうしていくかということがあると思いまして、マルチメディアを目指していくとしたら、そういうさまざまな業界や他省庁との関係をどのように保っていくか、どのように協議、協調していくかという基本的な部分で、基本的な姿勢で結構でございますから、郵政行政全体に対する御決意と、討論の中から出てきましたあまねく公平を貫く姿勢、マルチメディアに向かっての郵政省の基本的な協調体制といいましょうか、他省庁との関係についてお伺いいたしたいと思います。
  172. 井上一成

    国務大臣井上一成君) 伊藤先生の御質問に重複を避けてお答えをしていきたいと思います。  私は、郵政、現実に支えている大きな役割とこれから担う未来への役割をけさほどここで申し上げました。今、二万四千に余るいわゆる郵政ネットワーク、これは言葉をかえれば人的企業だという、人と人とのきずなを強めていく、そういう本当に何というんでしょうか、心を運ぶ、心をつなぐ、そういうことについてはこれはもうやはり政治がこれを支えていかなきゃいけないと、これはもう多くを申し上げません。  二十一世紀はマルチの時代。技術革新、技術改革、いろいろな面で取り組まなきゃいけない。新しい産業も興さなきゃいけないでしょう。しかし、そこに欠けてならないもの、そこに私は技術や経済性だけを優先し、そしてそこに取り残されるものがあったとするならば何が取り残されるのか、そういうことも考えていかなきゃいけない。  それはソフトな面だと思います。精神文化という言葉に置きかえてもよかろうと思います。その精神文化、ソフトな面は郵政が長年、百二十有余年培ってつくり上げてきた。私はそのことを二十一世紀にも生かしていかなきゃいけないと。そういう意味では、現実の今しっかりと支えている一つ土台骨を次への、二十一世紀への新しく生まれてくるであろう土台骨にも相つなげるようにと。それが相協調、協力できるようにと。  省庁で通産省とのお話もありましたが、本年の二月、高度情報通信社会を構築する対策推進本部も既に村山総理を本部長に、私、通産大臣、官房長官が副本部長になって政府としても情報化社会に向けて取り組む。それが景気回復、さらには産業創出、あらゆる面で二十一世紀を、けさほどは未知分野だと申し上げましたけれども、和とのバランスのとれた、知的付会という表現を使われる方もいらっしゃいますけれども、あえて私はきょうここで和との、知恵です、和との調和の社会、バランスのとれた和との調和の社会をつくる、そういうことが郵政に課せられた仕事だと思っていますし、今申し上げた関係省庁とも今後十分協力をし合いながら国民暮らしをより豊かに、そしてまた本当に住みやすい社会をつくり出す、その役割を担わせていただきたい、そういう強い決意を持っています。
  173. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 ありがとうございました。また別の機会に十分詳しく和との調和についてお話をお伺いしたいと思います。  郵便事業についてお尋ねいたします。  郵便事業は、この決算委員会に保っている平成四年度、平成五年度と赤字決算が続いておりました。九四年一月に料金改定を行っておりますね。その結果、平成六年度決算では相当な収支改善が図られたようでございますが、この間、郵政省としてどのような経営努力がなされてきたのか、このことについてお伺いしたいと思います。  特に、料金値上げによってダイレクトメール業界などに経営圧迫が起こって、そのことが郵便離れなどということも常に起こってくる状況でございますけれども、そういうことに対する対策を十分にいたしませんと、郵便の利用構造が根本的に変わってしまうということも懸念されるのではないかというふうに思いますので、その辺についての省の見解もお伺いしたいというふうに思います。
  174. 加藤豊太郎

    説明員加藤豊太郎君) 郵便事業の収支改善につきましては、先生御指摘のとおり、平成六年度決算で単年度一千百四十七億の黒字、累積で百四十六億の黒字を計上することができました。  これは、昨年一月に料金を改定させていただいたということももちろんなんですけれども、非常に厳しい環境の中で、お客様のニーズに対応したところの各種のサービスの開発、改善、それから営業努力、さらにまた懸命な経費の節減に努めた結果だというふうに考えているところでございます。  今後この郵便事業が健全な経営を維持していき、お客様のニーズに対応したサービス改善を積極的に行い、利用者の利便の向上を図るということが非常に重要な課題だろうというふうに認識しているわけでありますけれども、このような観点から、料金面や利便性の面でさまざまなサービスの改善を行っていきたいというふうなことで取り組んでいるところであります。  今年度におきましても、既に実施した主なサービスをちょっと申し上げますと、料金面につきましては、いわゆる緊急円高経済対策の一環としまして、国際レタックスの料金引き下げの実施、それから小型包装物のエコノミー航空扱いの開始、それから今先生御指摘ありました広告郵便物につきましても料金減額制度の改善、第三種郵便物、カタログ小包郵便物、それから書留料金の減額制度の新設、こういうふうなことで取り組んできたわけであります。  また一方、利便性の改善というふうな観点から、政府刊行物ブックポストサービス、これは地方におけるところの白書類の購入の利便性を高めるための郵送サービスでございますけれども、こういうふうなサービスを始めたとか、小包郵便物の夜間配達の充実強化をしたとかいうふうなことでサービスの改善に努めてきたつもりでございます。  今後も料金、利便性等の観点からさまざまなサービスの改善に取り組むこととしておりまして、この年度内においては、料金面では小包郵便物の料金の減額制度の一環としまして、個人のお客様を対象にしまして、年間十一個御利用いただいた場合には十一個目をただにするというふうなサービスを新しく十一月から開始したいということだとか、利便性の観点からすれば、コンピューター郵便の充実だとか、それから関西学園都市において今実験を開始しておりますところの新世代通信網パイロットモデル事業へ私ども郵便事業も参加していくとかというふうなことで取り組みたいと思っているわけでありますけれども、さらに、最近昼間の不在家庭が増加する傾向にかんがみまして、受取人の方への直接手渡しか必要な郵便物、例えば書留につきまして夜間配達等の利便性の高まる方策を検討し、取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。  いずれにしましても、まさに御指摘郵便離れがないように、今後ともお客様本位のサービスの改善に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  175. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 平成七年度の事業財政についても順調に推移しているというふうに伺っております。現行料金をなるべく長期間といいましょうか変更しない方がいいわけでして、経営改善がなされれば値下げということも考えなきゃならない。要するに健全な財政基盤をどう維持するかというところに全力を挙げていかなければならないというふうに思います。  そこで、新しい技術、アメリカ等のバーコードシステムとかかなり進んだシステムがあるようですけれども、そういうことや、郵便販売時代というふうに言われていて、営業体制をどうするかということも、ただ待ってポストに郵便が入るだけという企業から脱皮を図る上では非常に重要ではないかというふうに思っていますし、何よりもまず人的な要素が非常に強い企業ですから、職員の積極的な姿勢をどう出してくるか、適正な定員配置はきちんと行わなければならないというふうに思っていますし、処遇その他安定的な仕事場のイメージというものもつくっていかなきゃならないというふうに考えているところです。  その辺について、簡単で結構でございますから、御答弁いただきたいと思います。
  176. 加藤豊太郎

    説明員加藤豊太郎君) 御指摘ありましたように、利用者や国民から信頼される郵便事業を確保していくためには、健全な経営を確保しまして、できるだけ長い間この現行料金を据え置くということが肝心だというふうに思います。  今、御指摘のあった新技術対応対策、それから営業体制の確立、定員確保についてでありますけれども、新技術への対応ということにつきまして、私ども二十一世紀を見据えたところのマルチメディア時代郵便事業がどう対応していくかということが一番大切なことなんだろうというふうに思いまして、電気通信メディアを郵便サービスの中に取り込んでいくというふうな観点から、この四月に部外有識者で構成するところのマルチメディア時代における郵便サービスに関する調査研究会というふうなものを開催いたしまして、現在いろいろな方から御意見を承っているところでございます。また、先ほど申しました新世代通信網パイロットモデル事業にも参画を予定しているところであります。  御指摘ありましたところのバーコードにつきまして、平成十年二月をサービスインの目途としているわけでありますけれども、郵便番号を七けた化して、それをそのバーコードにし、郵便の処理をより効率化していくというふうなことで取り組んでいきたいというふうに思っているわけであります。  また営業体制の確立につきましては、私ども郵便局四十局に新しく郵便営業企画課というふうなものを設定しまして営業に取り組むとか、全国の主要都市に、八十九ほどあるんですけれども、郵便営業センターを設置しまして、その機能の充実に努めているというところでございます。  さらにまた、人のお話がございましたけれども、私ども何しろ人力に対するところの依存度が非常に高い事業でございますので、安定した郵便サービスを確保していくためには必要な要員確保というのは非常に重要なことであろうというふうに認識しているわけでありますけれども、このような観点から、来年度の予算概算要求におきましても千四百七十七人の増員要求、それからまたさらに四時間勤務の郵政短時間職員といたしまして二千三百十八人を要求しているところでございます。いずれにしましても、こういうふうな要員を確保すると同時に処遇の改善も検討していかなきゃいかぬというふうに思っている次第でございます。  また同時に、今後とも郵便事業というものを効率的に経営していかなきゃいかぬということがございますので、先ほどちょっと申し上げましたところの新郵便番号制度の導入によるところの手作業の機械化、それからその要員の再配置、作業の部外委託等々の効率化にも積極的に取り組んでいく必要があるんではないかというふうに考えている次第でございます。
  177. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 次に貯金事業についてお尋ねします。  先ほどの議論にもありましたように、民間金融機関経営状態について昨今いろいろと問題になっております。その一方で、今また金融界の一部などから郵貯の役割終了論、または民業圧迫論ということが叫ばれてきています。郵便貯金経営形態を見直そうとする動きが出てきているということはどの立場に立って出されているか。私は金融業側から、自分たちの現状の中からそういう意見が出ているんではないかというふうに感じておるところであります。  先ほどの大臣への質問の中であまねく公平なサービスということで触れましたけれども、郵貯が従来ずっと果たしてきた全国各地であまねく公平なサービスをしている、または国際ボランティア貯金、これは全く私はすばらしい取り組みというふうに評価するところですが、そういう取り組みを国営事業たる郵便貯金が行っているということを社会的な評価としていかなきゃならないというふうに考えております。  改めて、この貯金事業の今日的な役割、今後の役割について郵政大臣から簡潔にお答えいただきたいというふうに思います。
  178. 木村強

    説明員(木村強君) 伊藤先生から御指摘がございました。先生には、第三次行革審の専門委員とされまして、私ども郵政事業に非常に深い理解を賜りまして、常に国民からの視点というのを失わずに議論をしていただいたことに対しまして、この場ではふさわしくないかもわかりませんけれども、気持ちのあらわれでございまして、お礼を申し上げたいと思います。  今御指摘のありました、金融界の一部などから郵貯の役割終了論や民業圧迫論が出ております。郵便貯金経営形態を見直そうという動きがございますが、私どもの国営事業というのはやはり国民が主役である、国民が我々に何を求めているか、このニーズがある限り私どもは国家公務員として国民の負託にこたえていく責務がある、この存念でございます。  具体的には、国民金融機関のイメージというのを民間の新聞などで調査をされましても、信頼できる、あるいは親しみやすい、サービスがよい、相談しやすい、窓口の対応がよい、役に立つことを教えてくれる、いずれも民間金融機関よりは高い評価をいただいております。  私どもは、そのような国民のニーズというものを常に見きわめてまいりまして、変化の時代でございますから、経営手法などは十分にその時々の新しい息吹を感じた手法を講じながら、本質はやはり国民に向いた郵便貯金事業、先ほどからお話が出ておりますように、特に最近の金融機関が混乱をしております状況の中では、最後のよりどころとして、本当に国民の身近な、定着をした郵便局郵便貯金事業であるということを誇りに思って、今後とも、手法につきましては柔軟に変化に対応しながら、国民の意識というものをまともに受けて対応してまいりたい、このように考えております。
  179. 井上一成

    国務大臣井上一成君) 私からもごく手短にお答えをしておきたいと思います。  先ほどからもたびたび申し上げておりましたように、離島や山間地を含めた全国各地の国民皆さんにあまねく公平にサービスできるのは国営事業であるからであるということは、もう繰り返して申し上げる必要はございませんが、あえてここで強く申し上げておきたいと思います。  そのことは、何よりも大事なことは、国民皆さんが主役である、その国民皆さんの利益の向上を図っていくことが郵貯の、郵政の大きな役割であるということでございます。そのことによって十分国民皆さん理解を得てまいりたい、こういうふうに考えております。  さらに、伊藤先生御指摘がありましたボランティア貯金等についても、来年度の概算要求一つの大きな柱として国内のボランティア口座の創設を要求させていただいております。どうぞ、そういう意味ではさらなる、特に実務にも大変お詳しい伊藤先生でございますから、これからも一層の御指導と御協力をいただきますことをお願いして、私の答弁にいたします。
  180. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 今、先ほどの議論にもあったように、大変超低金利の状況であります。日本の金融政策の中で、全く私は今までこれに取り組まなかったことを残念に思っているのは、低金利政策がずっと続いてきたということであります。  狂乱物価、超インフレというようなときに目減りが起こってきて、そのときゼンセン同盟がただ一つ目減り訴訟を起こしたということを記憶しておりますが、日本の労働組合も、庶民の側からも、この低金利に対する批判というものが系統的には言われてこなかった。低金利政策の中で狂乱物価、オイルショック等によってインフレが起こってきて、預金者は目減り、企業の借金はやや棒引きに近いという状況が起こってきて、それが企業の蓄積を大量に生んで、銀行の融資は非製造葉や中小企業に行かざるを得ない状況になってきた。その中から私はバブルが発生する原因が生まれてきたというふうに思っております。  そのことについて、今ここで解明することではございませんけれども、今の超低金利ということが年金生活者などの生活を圧迫しているという現状は否定できないというふうに思っています。国営であるということと非営利の個人貯蓄専門機関という立場からすれば、この超低金利時代に対して具体的に対応しなければならない責務があるというふうに私は思っております。  そのことについて、具体的な対応をどのようにお考えか、あったらば聞かせていただきたいというふうに思います。
  181. 木村強

    説明員(木村強君) 先生御指摘のように、本当に私どももかって経験したことのない今は低金利時代でございます。郵便貯金は入り口の部門で、主として私ども郵便局を通じて国民皆さんとの接点を持っておるわけでありますけれども、国営・非営利、個人のための貯蓄金融機関、あまねく公平にということは今先生御指摘のとおりであります。  私どもも、国営機関ではございますけれども、日本の中の金融機関の一部でございますから、全体の経済を阻害するようなことは十分気をつけて、しかもこれからは自由化の時代だということでございますから、そういう面では非常にバランス感覚を持って対応していかなきゃいかぬということで、大変心苦しい中ではありますけれども、郵便貯金も金利を下げてまいりました。  したがいまして、現在、今もお話がございましたように、経済の回復というものを第一義的にした措置でございますけれども、長期的に見れば、長い目で見れば、それが経済の回復、日本の国力の増進、国民の繁栄ということにつながるという信念ではございますけれども、今の状況を見ればやはり個人一人一人は大変困っておられる。特に、年金受給者の方々あるいは要介護世帯を抱えた方々、こういった方々は本当にお困りだということが私どものところにもどんどんと声が響いております。  こういったところに、まさに国営・非営利でございますから、今金利を下げますと郵便貯金もコストが非常に下がります、民間金融機関もそうでありますけれども。これで蓄えたお金というのは預金者に還元をするというのが郵貯の使命でありまして、私ども不良債権も抱えておりません、しっかりと大蔵省の方で、運用部の方で回していただいておりますので、郵便貯金事業そのものとしては十分お金があるわけです。そのお金を還元していこうと。  今お話にありましたような弱い方々、一般の方々としては全体の経済原則に従わなきゃならぬわけですけれども、取り残されていく大変な方々というものはやはり国営・非営利の郵貯が身近な存在として助けていくべきであろう、これが行政役割でもあろうということで、こういった低金利下では、特に福祉定期貯金というものを大蔵省と交渉いたしまして、問題提起をいたしまして、異常な低金利下あるいは金利が下がっていく段階ではこれ以上下げないんだよと、一定の年金受給者の方々に限ってこれ以上下げないんだと、こういう措置をとりながら全体のバランスを図ってきたところであります。  今回も非常に異常な低金利下でございまして、心苦しくも全体の中で私どもも金利調整をしなきゃいかぬわけでありますけれども、やはり郵貯の使命の一つは、郵便貯金法にもございますように預金者の利益ということでございますので、この観点も忘れてはならないと郵政大臣からもきつく私ども御指導を賜っておるところであります。  今の状況の中では、この福祉定期貯金の充実改善、あるいは、この年末に向けまして概算要求を既に大蔵省に出させていただきましたけれども、要介護世帯を抱えた人たち、これは今、私どもの統計調査によりますと、厚生省等との協力で得た数字でありますけれども、一世帯平均五十万円ぐらいが要介護老人を抱えた世帯は一般の家庭よりも経済的負担が大きいということでございます。  したがいまして、こういった方々に郵便貯金を利用していただきますと、少しその利率を上増しするとか、あるいは振替口座をお使いになればこれを無料にしていくとか、あるいは郵便局でこういった介護の方々の相談に応じるとか、あるいはローンを借りられますときにはそのローンの額を多くするとか、利率は低くして借りられる額は多くするとか、こういった弱い方々に対する総合的なサービスを実現したいということで、まさに手法は民間をならいながらその本質は国営・非営利、個人あるいは弱い人という立場で全体の経済調整を補完しながらやっていく役割もあるのではないかということで、これからのような自由化の時代、低金利の時代にはますますそういった面での配慮が必要だろう、こういう思いを強くいたしておりまして、現在予算要求等を出させていただいております。きのうもきょうもそういった観点で私自身も出向きまして大蔵省銀行局長等と交渉中ということでございます。
  182. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 郵便貯金の金利は民間の金融機関の金利より低利に置かなければならない、置くという大蔵・郵政合意がありますね。そういう合意からすれば今のことは必ずやらなきゃならないことというふうに私は理解しておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  さて、簡易保険事業についてお伺いします。  簡易保険事業決算の推移を説明いただきますと、ここ数年剰余金が減少し続けているということのようでございます。生保も含めて厳しい経営環境にあるということは理解できるのですが、果たしてこの経営状況というのは簡保と生保との比較においてどうなのか。生保業界全体において同じ状況が起こっているのか。見通しといいましょうか、どのようにこれが解消されていくのかということについてお伺いしたいと思います。
  183. 天野定功

    説明員天野定功君) 生命保険業界の経営状況でございますけれども、まず平成六年度の簡易保険事業につきましては、死亡率は安定的に推移し、事業費率も年々低下傾向にありますものの、新契約実績の減少によりまして保険料収入が伸び悩むとともに運用環境も悪化しておりまして、運用利回りが前年度を〇・四七ポイント下回る四・六七%に低下し、剰余金は二年連続で減少しております。民間生保も同様でございまして、保険料収入の伸び悩みとともに運用利回りが前年度より〇・九七ポイント下回る二・九一%に低下しておりまして、剰余金は前年度を下回る金額であったと承知しておるところであります。  経営状況は以上のとおりでございまして、長期に及ぶ景気の低迷、未曾有の低金利など、生命保険業界を取り巻く経営環境は大変厳しい、そういう状況にあると認識しているところでございます。
  184. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 では、そういう状況下にあって、加入者サービス、加入者の利益の向上というのをどのように図ろうとするのか、お聞きしたいと思います。
  185. 天野定功

    説明員天野定功君) 昨今の運用環境の悪化により、過去の高金利時のような高い運用利回りを得ることは難しい状況になっているわけでありますが、加入者利益の向上のために確実有利、公共の利益を原則といたしまして、資金の多くを確定利回りを対象に運用する中で、少しでも金利の高い債券を購入するなど、できる限り運用利回りの向上をさせるように努力しているところであります。  当面は厳しい運用環境が続くものと思われますが、資金の運用に当たりましては、内外の経済金融情勢などを総合的に勘案しまして、為替や金利の変動に伴うリスクや運用先の信用リスク等の管理にも配慮しつつ、より一層確実有利な運用に努めてまいりたいと考えております。
  186. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 郵政大臣を初め皆さんの答弁を、短い時間でありますが、お伺いしました。さらに機会がありましたら討論して深めていきたいというふうに思っておるところです。どうもありがとうございました。  続いて、運輸省関係についてお尋ねします。  まず、運輸大臣、御就任おめでとうございます。  今回、質問するに当たって、運輸省の資料を読まさせていただきました。私としては、大変興味を持ったのは港湾関係の問題でございます。国際化が進む中で、運輸行政の中の、空港、鉄道もございましょうが、港湾についてどう整備されているかということに私は非常に関心がございます。  一方では、多極分散型国土形成と言われて久しいわけでございますが、どうしても一極集中というぐあいに推移してきていると思います。そういう状況下で、特に運輸行政がつかさどる鉄道港湾、空港、社会資本整備の充実、これが今後のアジアにおける日本、または日本における安定、安心した生活基盤をつくるという上で非常に重要かと考えているところでございます。  運輸行政責任者である大臣から、一般的な決意と申しましょうか、姿勢と申しましょうか、まずお伺いしたいというふうに思います。
  187. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 今、伊藤先生御指摘お話に私は尽きると思っております。  運輸行政といいますのは、御指摘がございましたように、陸海空、その運輸全般を担当させていただき、さらには海上保安、そして気象と、非常に幅広い分野を受け持たせていただいています。多極分散という観点、これは国家的な命題でございまして、この多極分散を考えていくときに、これはある意味では運輸行政の使命そのものだと思っております。  鉄道に関して申し上げますと、既に国民に親しまれ幅広く利用していただいております新幹線というのは、千八百三十六キロを今開通営業をしております。そして、この多極分散の一環として、それぞれの地域からさらに新幹線を整備をしろということで、現在四百五キロのいわゆる三線五区間において整備新幹線の整備を進めているところでありまして、これも長野オリンピックの高崎−長野間がほぼめどがつきまして、これから残りの四区間について鋭意翼を広げていきたい、こういう今状況になっております。  さらに、未着工部分は千五十キロあるわけでありますけれども、これも先年の関係四閣僚の合意におきまして、また与党の政策担当者のレベルでも、多極分散の一つの大きな課題として鋭意これにも取り組んでいくということになりましたので、この方面の整備も我々としては一生懸命努力をさせていただきたい。  それと同時に、在来線でありますけれども、この在来線に関しましても、それぞれの地域で高速化でありますとか、あるいは今御指摘の安全性の強化、こういうことに関しましても幅広く展開をさせていただいているところであります。  そして、特に伊藤先生御指摘港湾の問題でありますけれども、これは第九次の港湾の五カ年の整備計画におきまして、既に我が運輸行政といたしましても最重点のテーマとして位置づけさせていただいています。大蔵省主体の財政審議会におきましては、この港湾整備がCランクだと、とんでもない話でございまして、私どもとしてはこれは超Aのランクにしなきゃいかぬ、こういうことで、まず主要港の整備を含めそして地方港の、いわゆるこれから国際化を迎えてまいりますと、港もハブ化の機能を持たなければなりません。  そういう意味では、大水深度の港の整備、あるいはコンテナ埠頭の拡充強化、こういう問題にも我々としては全力で取り組んでいるところでございまして、これも五カ年の整備計画の中にきちっと盛り込んだところでありまして、私どもとしてはこれからの港整備も最重要のテーマとして一生懸命に努力をさせていただきたいと思います。  また、空港の問題でございますけれども、これに関しましては、もう二十一世紀というのはいわゆる垣根が取り払われて、そして人と物と情報の大きな交流の時代だと、こういうことであります。既に東アジア一地域を見渡しましても大変大規模なハブ空港の整備が進んでいるわけでありまして、我が国もこれにおくれをとらないという意味で、地元の御協力もいただいて関西新空港の二期工事もめどが立ったところでありますし、また先人の皆様方の大変な努力で、難航しておりました成田空港の平行滑走路の問題に関しましても、ようやくそのところまでは合意をいただいたような段階であります。これは拙速は許されないわけでありまして、我々はさらに努力を重ねて、そして国際空港としての成田空港の機能を高めていく、こういうことにもこれから鋭意努力を払っていきたい、こういうふうに思っています。  そして、御指摘のとおり、この運輸行政の一番のかなめというのは安全性の問題でございますので、既に阪神・淡路大震災で我々としては大変な教訓を得たわけでありまして、新幹線の耐震強化、そして港のいわゆる耐震構造、こういうことにも意を十分払わせていただいて、今鋭意整備を進めているところであります。  さらに、安全に関して言及させていただきますと、海上保安というのが大変重要な役割を担っているわけでありまして、特にこの前も閣僚会議の中で大きな問題になりまして関係閣僚会議ができたわけでありますけれども、いわゆる銃器の取り締まり、こういうことに関しましてもより徹底した強化体制をしいて、そして水際でこれを何とか押しとどめる、こういうこともやっておりますし、さらに高速巡視艇の導入あるいは高速ヘリコプターの導入等々、我が省といたしましてはでき得る限り海の安全を確保していく。  そしてまた、気象庁におきましては、これはやはり防災のかなめでございますので、地震予知を含めてその性能強化、また設備の充実のために意を払っているところでございまして、私どもといたしましては、やはり多極分散の国土形成の我々運輸行政がそのかなめである、こういう意識のもとに、先生方の御協力をいただきながら一生懸命頑張ってまいる所存でございますので、どうぞよろしく御協力のほどお願いを申し上げる次第であります。
  188. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 ただいまのお話をお伺いしまして、かねがねこの社会資本整備の問題と民活の問題について考えておるんですが、基盤的には公的セクター、例えば運輸行政が行おうとしている部分などが基盤としてあって、その上に民間活力は花を開くのではないかというふうに考えております。  問題は、この社会資本整備、例えば港湾整備等運輸省の資料を見ておりまして感じるのは、それではその整備が終わった段階で民間の投資が起こることをあらかじめ予測して行っているのか、あるいは予定してそのことをやっているのか。ここがかなり私としては重要なんじゃないかというふうに思っています。その辺に対する見解をお伺いしたいと同時に、多極分散でありますから、それぞれの極が独立した機能を持ちつつどう東京とアクセスするのか、国際的にアクセスするのかということについて、もちろん考えておられると思いますけれども、ぜひその辺のことについての御見解もお伺いしたいと思います。  さらには、交通が通信と合体した総合機能を発揮するシステム、そういうものを郵政省その他の省庁との関係の中で考えていくことについてはどうなんだろうか。マルチメディア時代における空港、鉄道港湾というものの位置づけをどのように、私は合体してそれぞれの極が独立した機能を持ち得るにはテレコムとの結合がなければだめだというふうに思っていますけれども、その辺についてはどうお考えか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  189. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 今、三点ほどの御指摘があったと思います。その一つは、いわゆる民間との兼ね合いをどうやって、そして運輸行政が国として先行投資をしながらそれをどうやって民間と結びつけていくか、このことが重要ではないかというような御指摘だったと思います。  私はそのとおりだと思いまして、長々申し上げる必要はないと思いますけれども、例えば港湾の整備一つとりましても、多目的な港湾を設置することによりましてそこに新たないろいろなビジネスチャンスが生まれますし、また、さらにはそこを中心としていろいろなビジネスというものが構築をされてくると思います。ですから、我々国としてはそういう土台をいかに民間との兼ね合いのもとに構築をしていくか、このことに意を用いるか、こういうことになると思いまして、それは整備新幹線も同様でございますし空港の整備も私は同様のことだと思います。  それから二点目は、いわゆる多極分散のときに、東京でありますとかあるいは大阪でありますとか、そういうところとどういうアクセスをづけていくか、こういうことであります。  それは我が省といたしましては、一つは、例えば地方空港の整備も今一生懸命努力をさせていただいているところでありまして、その地方空港の整備とそしてそのもとのハブ空港とのいわゆる連携をとっていく、あるいは在来線をさらに高速化、充実をしてこのアクセスに遺漏のなきように期していく、こういういろいろな手だてが私は考えられると思います。ですから、そういう中で民間の御意見も十分承りながら、多極分散の中でやはり中心部との複合的ないわゆる経済効果が出る、そういうことを我々としては意を用いてこれからも頑張っていきたいなと、こういうふうに思っています。  それから、三番目の御指摘でありますけれども、通信との、いわゆるマルチメディアのお話でございました。  このマルチメディアのことに関しましては、私は御指摘のとおりだと思います。そして、例えば例として鉄道一つ出させていただきますと、特定郵便局は二万四千全国にあり、これが大変な拠点に相なっています。しかし、鉄道の駅というものを考えますと、やはりもう一つの大きな拠点になり得るそういう下地があります。しかも、全国に張りめぐらした鉄路というネットワークがあります。そして、御指摘の空港等それぞれの機能を持っておりますので、やはりこれは、郵政大臣いらっしゃると思いますけれども、郵政省といろいろ連携をとりながら、将来を見据えて国民にとってどれが一番望ましいか、そういう方向で我々としても持てる力をフルに発揮しながらお役に立っていかなきゃいかぬ、こんな認識を持っております。
  190. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 少し情緒的な話をしますけれども、八月の末に山陰地方を少し見て歩きました。松江から萩まで三時間四十分、萩から小倉まで二時間四十分、萩から小倉までの汽車は急行で二両編成でございます。小倉に出て「のぞみ」に乗ったわけですから、その落差のすごさというのはもうつくづく感じました。しかし、立地条件から人々の生活の規模といいましょうか人口動態からしますと、特に地理的条件があってやむを得ないなというふうには乗っていてよくわかります。ただ、山陰と山陽の縦の連携ということが非常に不便でありまして、そちらにつながるのが大変時間がかかり過ぎるという感じはありましたけれども。  私はその中で、鉄道のことを言うつもりじゃなくて、地元で境港のことについて少し話を聞きました。境港が、私は釧路、銚子、境港という漁業基地として水揚げが多いということを競り合っているトップクラスの漁業基地と思っていましたら、今は貿易に主眼を置いて、東南アジアから便数は少ないけれども定期的な貨物船が来る。さらには釜山港をハブに見立てて、釜山港とつながりを持ってアジア貿易の拠点というふうに脱皮しようということが書かれていたり言われたりして、大変先取的な考え方をしているなというふうに思いました。ただ問題は、地理的状況からいったら釜山を目指すというのは重要なのかもしれませんけれども、運輸待が言うように、三大湾、九州北部となれば博多があるわけでありまして、博多との関係でどうなのかという感じもいたします。  香港やシンガポールで、先ほど大臣も触れられました水深十五メートルコンテナターミナルというものが盛んにつくられている。日本は神戸港の震災被害もありましておくれているんじゃないか。空港についても、今ソウル近郊に海上巨大空港、ハブ空港化を目指して、アジアのハブを目指してつくっている。釜山がそういう状況である。では上海はどうなっているのかということを見たときに、私は日本のアジアまたは国際的な拠点としての位置が揺らぐのではないかというふうに考えます。  したがいまして、ぜひ港湾整備新五カ年計画とあわせて、これは事務当局で結構でございますから少し御答弁いただきたいと思います。
  191. 戸嶋英樹

    説明員(戸嶋英樹君) ただいま先生から、日本の港湾はアジアの各国と比べても相当おくれておるのではないか、十五メーターの大規模バースなどが不足しているというふうな御指摘も含めてございました。  確かに、国際輸送の関係ではコンテナが逐次大型化が進んでおります。最近では六千個積みというふうな大型コンテナなども登場するという状態になっておりまして、ぜひとも十五メーター岸壁をつくっていくということをやっていかないといけないという状況になっております。シンガポール、香港などでは大型岸壁が既にそれぞれ六バース、四バース供給されております。しかしながら、我が国ではそのような状況になっておらないということがありまして、神戸港の復興計画の中で二バースを供給するようなことを進めていこうというふうに考えておるところでございます。  また、そういったハブ的な港湾以外におきましてもやはり国際化ということは大規模に進んでおります。急速な勢いで進んでおります。こうしたことから、日本の各地域からインターナショナルに向いて活動ができるようなというふうなことで、長期施策の中で全国を大体二土地域ぐらいに分けまして、そういった地域から直接アジアと交流できるような、そういった時代を目指して頑張っていかなきゃいけないというふうに考えておるところでございます。
  192. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 私は、先ほど郵政省とのやりとりの中で出ましたように、第三次行革審に専門委員として参加しておりました。港湾整備ということになったときに多くの人が言ったのは、日本の漁港の整備に予算が使われてい過ぎはしないか、もう一定程度のレベルに達しているのだから、そういうものに余り今後重点的に投資する必要はないのではないかということを主として港湾関係で意見が出されていました。  聞いたときに私もなるほどなと思っていたのですが、実は、阪神大震災で神戸港があのように災害を受けたときに、日本経済だけではなくてアジア経済に大きな影響を与えたということを新聞報道などで見まして、それまで余り関心のなかったところに、なるほどすごい機能を神戸港というのは持っていたんだなと。さすれば、ほかのところも同じなんじゃないかというふうに感じるところです。  今、布十神戸港の復旧の問題について触れられましたが、全体的な機能が回復するめど、ないしはそれまでの代替機能をどこの港湾が持っているのかということと、港の耐震構造などについての計画が出されているようですが、神戸港の復興の中でそのことが十分に生かされ得るのか。災害をこうむった施設を排除してから復興するわけでありますから、耐震で基準は決めても施工者がそのことについて守らなかったらどうにもならないわけですし、施工に当たっての運輸省の監督または施工指導というものをどうしようとしているのか、少し質問をまとめましたけれども、お伺いしたいと思います。
  193. 戸嶋英樹

    説明員(戸嶋英樹君) 復興のめどでございますけれども、現在港湾の利用状況は相当回復をいたしておりまして、外航の定期航路が全体で二百ございますけれども、それのうちの百四十航路が再開をいたしました。船にしましても八月で大体七五%、それから貨物量でも八月時点で対前年同月比で六五%と、全体で大体三分の二は回復したかなどいう利用状況になっております。港湾の施設につきましても、全体の中で現在は神戸港以外の港を利用しておるもの、そういったものも戻ってきておりまして、施設につきましても神戸港のコンテナ埠頭の二十一バースのうち八バースが暫定的に利用可能になっております。  また、コンテナ機能を早期回復するために総理の諮問機関から仮設桟橋埠頭をつくるようにという御指摘をいただいておりますが、これをことしの十月中には供用いたしたいというふうに考えておるところでございます。第一線の防波堤、その他も逐次工事が進んでおるという状況でございます。  また、耐震の基準だとか今後の施工の指導ということにつきましても御質問がございました。  私ども、従来は耐震強化岸壁を通常の岸壁だけにいたしておりましたけれども、これをコンテナだとかフェリーだとかそういったものについても適用するということにいたして、これを全国的に展開してまいりたいというふうに考えておるところでございます。また、防災拠点というものもつくっていきたいというふうに考えておるところでございます。  そういったことにつきまして、港湾施設耐震構造検討委員会及び地震に強い港湾あり方に関する検討調査委員会、そういった委員会をつくりまして、それぞれの報告を踏まえまして措置をいたしておるところでございまして、例えば耐震強化岸壁の設計対象に直下型の地震を追加するだとか、あるいはコンテナ施設などを重要度係数A級と、神戸港はB級であったわけですけれどもA級にすることを原則とするだとか、設計基準を厳正に適用していくように指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  194. 伊藤基隆

    伊藤基隆君 どうもありがとうございました。
  195. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私は、民活型プロジェクトとか第三セクター方式による開発問題についてお伺いしたいと思うんですけれども、もともと民活型あるいは民活方式と言われるもの自体がいわばバブル経済をあおるという役割を果たしてきました。しかも、その計画の中身もいわばバブルを前提にした、今から見ればだれが考えても何でこんな計画を立てたんだろうと思われるようなずさんな計画を立てた。その結果破綻が相次いでいる。その決定的なものが東京の臨海副都心開発だったと思うんです。  きょうの新聞にも出ていますけれども、都議会でも見直しのための特別委員会を設置するとか、あるいは知事のもとにも見直しのための懇談会を設置するということで、東京都でもこの見直しか始まっています。これを見てみますと、例えば第三セクターが随分できています。東京テレポートセンター、東京ファッションタウン、タイム二十四、東京臨海熱供給、この四社だけでもNTTの無利子融資であるとかあるいは民活補助金等々の公的資金が約一千七百億円、大変な額ですが注がれています。それ以外にも、東京臨海副都心建設、これは中心的な第三セクターですけれども、これにも多額の公的資金が注ぎ込まれている。今さら聞く必要もないでしょうけれども、これ、まともにいっている会社は一つもありません。中には東京悪ビル建設と呼んだ方がいいような第三セクターだってある始末です。ほとんどが開業だって延期です。  そこで、まず最初に郵政省にお伺いしたいんですけれども、郵政省所管の民活プロジェクトとして東京テレポートセンターというのがありますね。ここの事業が計画どおりに進捗しているのかどうか。委員長も私も長い答弁嫌いですから、端的に答えてください。
  196. 山口憲美

    説明員山口憲美君) 御説明申し上げます。  東京テレポートセンターでございますが、このセンターにつきましては、当初の計画どおり本年十月に竣工予定ということで整備を進めておりまして、十一月には一部開業、そして平成八年のなるべく早い時期の全面開業に向けて現在最後の調整に入っているということでございます。
  197. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 一部開業と言ったけれども、それはあれでしょう、東京UHF局のMXテレビ、これ十一月開業で認可を受けている、だからこれでとりあえず十一月に本当にごく一部開業ということですね。入居率は床面積の約四割程度ですよ。だから、順調にいっているんじゃなくて、全く計画どおりにいっていないということですよね。  この計画というのは、もともとあれでしょう、臨海副都心計画にいわば先立ってこの計画があった。金丸さんが当時民活担当の副総理ということで乗り込んで、こんなちっちゃい規模じゃだめだ、もっとでっかい開発をやれというので今のように広がったんですよ。しかも、バブルの中で、当初計画で八百億円だった事業計画が約一千六百億円に膨れ上がった。約倍ですね。で、開業は延期。しかも、この事業費が膨れ上がったために、九三年度から九六年度まで四年間、毎年二十億円ずつ増資をするという羽目に追い込まれていますよね。これ、全部の参加企業が増資に応じましたか。
  198. 山口憲美

    説明員山口憲美君) 東京テレポートセンターの主要な出資者というのは、東京都でありますとか日本閥発銀行それからNTT等でございますが、現在のところ、増資に当たりましてKDDでありますとか第二電電等、一部の増資に対応していない企業があるというふうに聞いておりますが、TTCにおきましてもさらに努力をされておられるというふうに聞いております。  ただ、一部こういうことがございますけれども、資本金の確保について大きな支障が起こっているというふうな状況ではないというふうに聞いております。
  199. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 郵政省の事態の把握というのが非常に甘い。応じているどころじゃないでしょう。KDD、東京ガス、第二電電、日本サテライトシステムズ、宇宙通信、日本国際通信、九三年も九四年も増資に応じていないでしょう。その結果失権株まで生まれているんでしょう。  資本金も不足です。東京都の幹部に聞きましたよ私たちも、どなたかとは言わないけれども。ビル経営じゃ事業費の二割の資本金の確保が普通必要だと言われているが、一割に満たない、大変深刻だ、経営への圧迫は免れないと東京都の幹部はおっしゃっています。そこで、貸すれば銘するじゃないけれども、どういうことをやっているか、資本金の穴埋めのために。  これは東京都の企画審議室がまとめた資料です。これを私手に入れましたけれども、どう書いてあるか。要するに、増資に応じない企業がある、資本金に不足が生じた、さてどうしようかというので、平成六年度、九四年度民活補助金予算の執行残額がある、これを二億円流用して、とりあえず増資に応じなかった分を東京都がこの二億円出そうというんですよ。  会計検査院に聞きますけれども、民活補助金というのは出資金じゃないでしょう。それが出資と同じように使われたら——流用すると書いてあるんですよ、資料にちゃんと。「執行残額より二億円を流用し充てる。」と書いてある。明らかに補助目的と違うでしょう。会計検査院の見解を伺いたい。
  200. 平岡哲也

    説明員(平岡哲也君) 補助金適正化法に照らしましても、交付された補助金をほかの用途に使用してはならないということは言うまでもないことであります。  委員の言われます増資資金への流用ということが具体的にどういうことなのか、補助金を他用途に使用したということになるのか、そのあたりにつきまして、事実関係につきまして我々としても調査をしてみたい、かように存じます。
  201. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 直ちに調査してください、これはもう明らかに「流用」と書いてあるんだから。流用して結構ですって、そんな金の使い道なんかあるわけないんですから。幸いに決算委員会、今月まだ何回もありますから、この委員会に報告してください。私、伺いますから、委員長のところでも結構ですから。  九三年度がそれですよ。九四年度もやっぱり資本金不足、増資に応じない企業がある。だから東京都が一般財源から出しているんですよ。鈴木前知事は、この計画を進めるときには、都民の税金は一円だって使わない、こう公言して進めてきたんです。しかし、それが破綻したから税金に手をつける、民活補助金にまで手をつける。とんでもない事態ですよ、これは。  これはもちろん東京都の責任は重大です。しかし、それを民活法で認可したのが郵政省です。そして民活補助金を出してきたんだから、NTTの無利子融資だって出してきたんだから。例えば、東京テレポートセンターだけだって、開銀が十一億円の出資、民活補助金が四十一億円、NTT無利子融資が二百二十六億円、開銀の低利融資が四百六十七億円、総額七百四十五億円です。  郵政省はこの東京テレポートセンターの事業のために都に人だって派遣しているでしょう。どうなんですか、郵政省
  202. 山口憲美

    説明員山口憲美君) 東京都に出向しております。
  203. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 今言った企画審議室ですよ、ここに、東京都の企画審議室調査部の調査担当課長は郵政省、今の人も前任者もそうです。ですから、郵政省の監督責任というのは私重大だと思うんです。  そこで、郵政大臣にお伺いしたいと思うんですが、今東京都でもこの見直しか始まっている。民活法で認可してきた郵政省として、この事業に対して今後どうするのか、反省点はないのか、これを伺いたいと思います。
  204. 井上一成

    国務大臣井上一成君) ごく簡単に、簡略にお答えします。  臨海副都心開発については、東京都において今般懇談会を設けて検討を開始したと聞き及んでいます。  東京テレポートセンターについては、臨海副都心開発計画の一環として進められてきたものでありまして、郵政省として基本的には新たな時代に向けて情報通信基盤の整備は極めて重要であるという考え方を持っております。そういう意味合いからも、情報通信基盤の整備促進という観点から、東京テレポートセンターが適切な役割を果たし得るよう、東京都と今後連絡を密にしてまいりたい、かように考えています。
  205. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 運輸省もなかなか大変で、民活法に基づいて認可した竹芝地域開発株式会社というのがありますけれども、ことし七月にこの南ゾーンの工事が完了しましたが、オフィスビルの方、こちらの方がやはり例に漏れずなかなか入居が決まらない。  私、昨日聞きました、この会社の総務課長に。何とおっしゃっているかというと、入居のめどがついたのはまだ五割程度にすぎない、しかも当初予定した賃料じゃもう全くだめだと。当初三万五千円ぐらいを考えておった、一坪当たり。そこで、どういう方式をとろうとしているかというと、三年契約のフリーレント。これはアメリカなんかでよくあるそうですけれども、最初半年間はただにする、以降坪当たり月二万。実質坪当たり一万七千円ということらしいですよ。ですから、このままでいくと到底黒字転換なんかできないと。この総務課長は何とおっしゃっているかというと、借金を返すためにまた借金をする必要がある、こういう実態だというんです。  時間がありませんから、続けて言いますけれども。これは民活法に基づく認可事業ではありませんけれども、東京臨海新交通、新橋の手前で新幹線からこっちへ向かうと右手によく見えますけれども、「ゆりかもめ」という新交通システムがあります。これは新橋から汐留を経由して国際展示場まで十二キロをつなぐものですけれども、この路線の単年度黒字転換、そして累積での黒字転換、これは大体何年目と想定されているのか、これをちょっと伺いたいと思います。
  206. 梅崎壽

    説明員(梅崎壽君) 東京臨海新交通の収支見通してございますけれども、昭和六十三年十一月に免許あるいは特許をした時点での見通しは、単年度黒字転換年次は開業七年目、累積赤字解消年次は開業十八年目と見込んでおります。
  207. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 そうですよね。この収支計算というのは当然臨海副都心計画が全体としてうまくいくということが前提なんです。  例えば、東京臨海新交通が出したこのパンフレットを見たって何て書いてあるかというと、臨海副都心にはいずれ十六万の人々が住んで暮らすんだ、働くんだ、東京で七番目の副都心だということが書かれています。あるいは沿線の施設はどうかというと、臨海副都心でテレポートセンターであるとか国際展示場であるとかすべてのものがきちっと計画どおりできるという絵がちゃんとかかれておる。しかし、これが全部破綻したわけでしょう。そうしますと、この新交通システムの収支計算も当然これは大きく狂ってくるということにならざるを得ないと思うんです。  私、汐留駅をきのう見てきて写真を撮ってきましたよ。もう皆さんよく御存じだと思いますけれども、これがその新交通システムの汐留駅です。(資料を示す)浜松町の貿易センタービルから見ればよく見えますよ。だれだって入れませんね、今、周りを塀で囲んであるし。アクセス道路も何もないし、ここをつなぐ交通機関が何にもないんですよ。だから、駅はっくったけれども当分これは使わないでしょう。使う計画はありますか、汐留をすぐ。
  208. 梅崎壽

    説明員(梅崎壽君) この鉄道はことしの十一月に開業が見込まれておりまして、私どもは、その際この駅も使われるというぐあいに聞いております。
  209. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 全然問題を把握していない、これは令く使う計画ないです。東京都に確認してごらんなさい。使えるわけがないでしょう。今何日ですか、九月十三日ですよ。十月末から十一月初め、どっちかに開業するというんです。どうやって使うんですか、これ。だから東京都は、当分汐留駅は、これは駅だけで十五億円かけたというんですよ、東京都にきのう聞きましたよ、ところが当分使わないということであります。  じゃ、何でこんな駅をつくったのか、すぐ隣に新橋駅があるんだから。何のためかというと、あの汐留の再開発で四十階建てでしたか五棟建つ、三十階建てぐらいのビルが一棟建つ、こういうことを想定して、汐留駅というのは当初計画にはなかったが、それを急遽つくったんですよ、十五億かけて。ところが、バブルが破綻して、この駅は結局使わない、こういうずさんなことをやっているんですよ。ここにこれまた巨額の公的資金、国の資金だって入っているんです、ここは民活補助金は入っていないけれども。  運輸大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、この竹芝の再開発といい新交通システムといい余りにも計画がずさんだった、余りにもバブルに踊り過ぎた。これを鉄道事業としたって認可したわけですから、この運輸省責任というのはやはり痛感してもらう必要があるというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  210. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 今、先生御指摘のプロジェクトというのは、都心に隣接をして、そしてこれから想定をされております高度情報化社会そして国際化社会、さらには都民に憩いを与える、ウオーターフロントとしてのそういう機能を兼ね備えるべき、そういう絶好の空間である、こういうことであの時期、すべての合意の中でこれが形成されたと思っています。  しかし、ある意味では大変、バブルが崩壊をいたしまして、御指摘のように予測しない事態が起こったことも事実であります。しかし、将来的に見れば私は、この世界一の大都市である東京の都心に隣接した絶好の立地条件にあるところでありますから、やはり当初の計画、そういうものに従って、また進出された企業の皆様方も大変厳しいと思いますけれども努力をしていただきながら、やはり所期の目的を達することが、今我が省として、それに今までも御協力してきましたけれども、我々としてはそれは所期の目的を達する、そういう方向でじっくりと見守っていきたい、こういうことであります。
  211. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 私たちも、つくったのを壊せなんてことを言っているんじゃないんです。ただ、計画どおりに進まなかったということについての反省がなきゃ、それは次にこれ見直しで出しできますよ。だって、乗降客の数が全然変わってきたわけですから。それを、またずさんな計画を立てる。結局そんなことを何度も繰り返すということじゃ、これは問題にならぬと思うんです。やっぱり結果責任をとらないと、ある時点で。計画どおりいかなかったということについての責任をとるというのが、これは当然だと思うんです。  時間がなくなりましたから、最後に地震の問題で何点かお伺いしたいと思うんです。  私も兵庫県出身なんですが、阪神大震災というのは、やはり予知体制の大切さというのを改めて浮き彫りにしたと思うんです。特に活断層による直下型大地震、これがいかに大きな被害を与えるものであるかというのは、あの阪神大震災で私たちが嫌というほど痛感させられたことでありました。  この活断層はいつごろ活動したのか、いわゆる活動履歴ですね、これをいかにつかむかというのが活断属の調査にとって不可欠なことであります。日本には活断属が大体二千あると言われています。ところが、専門家によってもちろん違うわけですけれども、そのうち確認されているのが大体数個から数十個、多目に見ても数十個だと。つまり、ほとんどまだ我々はっかんでいない。そういう日本列島の上に私たち暮らしている。  ところが、これまで大体どれくらいの調査かというと、一年か二年かけてやっと一つ調査する。これじゃ二千やるためには一千年、二千年かかっちゃうということになるわけです。しかも、都市部では活断層があるかないかもわからない。したがって、この活断属の調査を飛躍的に強化する必要があると思うんですね。  私たち、このことはこれまでも国会で取り上げてきましたけれども、まず通産省に聞きますが、今後この活断層の調査、どういう計画があるのかお伺いしたいと思います。
  212. 平石次郎

    説明員(平石次郎君) 今、先生からお話しのとおり、現在確認されている活断層の数につきましては、いろいろな国の機関や大学等の調査結果を踏まえますと、活断層である可能性のあるものも含めて約二千というふうに言われております。  私どものところでは、地質調査所が中心になって地質の調査の一環として活断層についての調査もしておりますが、その活断層の活動歴等を知るためにはトレンチ調査等の詳しい地質の調査が必要でございます。それで、私どもでは平成八年度に、先ほど申しました地質調査所におきまして所要のトレンチ調査、また大都市周辺に潜在すると言われています活断層の調査などにつきまして、そういった調査を行うべく必要な予算を要求しているところでございます。  私ども工業技術院といたしましては、これからも引き続いて関係者と相談しながら、活断層に関します調査研究を進めていきたいと考えております。
  213. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 いま一つ活断層とあわせて大事なのが、海溝型巨大地震に備えるための予知体制をどうつくっていくかということなんですね。  ところが、今海底地震計というのは東海地域、南関東地域にだけしか設置されていない。ところが、今から十三年前の第四次予知計画でも、例えばどういうことが指摘されていたかというと、海底観測の重要性、これが本当に強調されています。「ケーブル式海底地震計の設置によって、東海地域の海面に発生する微小地震の検知能力は飛躍的に向上した」と。これは当然この東海や南関東だけじゃなくて、その他の重要地域についても設置する必要があると言われて十三年ですよ。まだ設置されていない。神戸沖だってその重要地域に入っているわけですから、この提言に照らしても速やかに海底での空白区域をなくしていく。そして、海底地震計を設置して役に立つということが確認されているわけですから、この問題について科学技術庁にお伺いしたいと思います。
  214. 加藤康宏

    説明員加藤康宏君) 阪神・淡路大震災を契機といたしまして地震防災対策特別措置法ができまして、それに基づきまして地震調査研究推進本部というものがこの七月から発足しております。  先ほどの活断層の調査もそうでございますが、その本部で地震に関する総合的な調査観測計画を策定するということになっておりまして、活断層の調査の計画、それから今御指摘の海底地震の観測につきましてもこれから計画をつくるところでございます。  先ほど申されましたように、現在、東海、房総、伊豆半島東側に海底地形観測の装置がございます。さらに、今は相模湾とか三陸沖に整備中でございます。  それから今後は、先ほど申されました海溝型巨大地震の発生が懸念されております南海トラフだとか、そのほかいろんなところにつきましても展開を図っていく必要があると考えておりますので、先ほどの推進本部、そこで計画がつくられていくわけでございますが、早速にもできるところから海底地震観測綱の充実を図っていきたいと考えております。
  215. 筆坂秀世

    筆坂秀世君 最後に、運輸大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、第一次補正予算でも地震対策予算が約三倍にふやされました。これから第二次補正予算が組まれようとしているわけですけれども、これはいずれも非常に急がれる問題ですので、やはり可能な限り、来年度予算と言わずに前倒してこの予知体制の強化を図っていくという必要があると思うんですが、この点についての御所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  216. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 今、二次補正に関しましては、関係各機関といろいろ検討しながら鋭意作業を進めている最中であります。  したがいまして、一次補正予算では地電流観測に基づく地震予知技術の調査研究、こういうものに着手したわけでございまして、さらにその重要性にかんがみ、二次補正の中でもそれが盛り込まれるように我々としては努力をさせていただきたい、こう思います。
  217. 国井正幸

    ○国井正幸君 新緑風会の国井正幸でございます。  我が国は、他の先進諸国に比べてとかく付会的な負担、いわゆる社会的経費がかかり過ぎるというふうに言われておるところでございます。このために、国民は世界最高の賃金水準だと言われておりながらも、なかなかゆとり、豊かさが実感し得ない状況にあるわけでございます。  また、企業も国際競争力を確保するという観点から生産拠点を海外に移すなど、いわゆる産業の空洞化が進行いたしておるところでございます。社会的コストを低減させるためにも、一層の規制緩和を図ることが肝要であるというふうに考えておるところでございます。  そこで、運輸省でも近年きまざまな規制緩和措置というものをとられておるというふうに思っておるところでございますけれども、今後の運輸省規制緩和への取り組みについて、ぜひ大臣からお考えをお聞かせいただきたいと思うところでございます。
  218. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 規制緩和に関しましては、この村山内閣におきましては行政改革推進政権と、こういうことでございまして、大きな柱の一つでございます。  したがいまして、運輸省といたしましても、これまでの目標に向かいまして、例えば車検制度でございますとかいろいろなことで相当実績を上げてきたところであります。しかし、これからの国際的な要求でありますとか国民利便性考えますと取り組むべき課題はまだ幾つかあるわけであります。  したがいまして、五年を三年に前倒しをしてさらに強力に推進をするということでありますから、我が省といたしましても、このことは村山内閣のやはり大きな柱でございますので、もろもろの件に関しまして鋭意努力をさせていただきたい、こういうふうに思っています。
  219. 国井正幸

    ○国井正幸君 国民からはさらなる規制緩和要望が出ておるところでございますので、ぜひ引き続き規制緩和を進める方向で御努力をいただきたいと思うところでございます。  さて、本日は規制緩和の中でも特に車検制度について、今大臣からお話もあったところでございますけれども、お伺いをいたしたいと思っておるところでございます。  百二十九回の国会で道路運送車両法の一部が改正をされまして、六カ月点検は廃止をする、十二カ月点検の点検項目もおよそ半分に削減をするということになったわけでございまして、さらには二十四カ月点検前の車検も可能と、こういうふうなことになったわけでございます。  施行から二カ月余り過ぎたわけでございますけれども、運輸省では車検制度改正の効果を、先日新聞にも載っておったというふうに記憶をいたしておりますが、どのように把握をされておるのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  220. 南戸義博

    説明員(南戸義博君) お答えいたします。  今回の道路運送車両法の改正によりまして自動車ユーザーの保守管理責任、こういった点について明確にさせていただいたとともに、検査・整備制度の大幅な簡素化が図られたところでございます。    〔委員長退席、理事大木浩君着席〕  この見直しの実施後二カ月近くたちつつあるわけでございますが、一カ月目の段階で調査いたしましたところ、検査・整備にかかわる一般ユーザーの関心が高まっておりまして、そういった点からユーザー車検が増加しております。また、大幅な技術的な進歩をも踏まえた簡素化が点検項目などについて行われておりますが、その結果、車検時の点検整備料金が平均で約一四%ほど減少しております。また、ユーザーの意識改革あるいは整備工場、事業者側の意識改革も少しずつ始まっておりまして、そういった点から新しい整備サービスの提供等の動きがあり、今後、この施行が本格的に浸透することによりましてユーザーの負担が軽減されるとともに、ユーザーの選択肢あるいは整備を提供される側のサービスの多様化が進んでいくものと思っております。
  221. 国井正幸

    ○国井正幸君 自動車ユーザーの選択肢が広がるということはまことに結構なことであるというふうに考えますし、あるいは点検整備料金も減少しておるということで、規制緩和の効果があらわれてきているんだろうというふうに思います。    〔理事大木浩君退席、委員長着席〕  しかしながら、今回の改正ではまだ不十分な点も幾つかあるのではないかというふうに考えておるところでございます。自動車の性能は自動車産業に従事をしている方々の大変な御努力等によりまして格段に向上してきたというふうに思っております。  車検期間は今、新車三年、一回車検を受けると二年、こういうふうなことになっておりますけれども、この車検期間をもっと延長しても問題はないんではないか。例えばマイカーについては、初回の車検が三年でありますけれども、これを例えば五年に延ばすとか、あるいは車検を三回終わるまではいずれも三年間有効である、こういうふうにするとか、そういうことも可能なんではないかというふうに考えております。  昭和五十八年にマイカーの初回車検が三年に延長されたわけでございますけれども、この改正に関しましては、昭和五十七年七月六日の本院の運輸委員会で当時の運輸技術審議会の亘理自動車部会長が、自動車技術の進歩に従って三年という数字もしかるべく延長すべきではないか、こんなことを述べられておるようでございます。それからしますともう既に十年が経過をいたしておるところでございまして、ことしの七月に改正をした、こういうことはありますけれども、こういうことを踏まえて一層の車検期間の延長というのが検討できないんだろうか。この辺についてお考えをお伺いしたいというふうに思います。
  222. 南戸義博

    説明員(南戸義博君) 車検期間につきましては、運輸技術審議会におきまして最近における自動車技術の進歩等を踏まえまして専門的、技術的な検討が行われたわけでございます。  その結果、現行の自動車検査証の有効期間についてはおおむね適当ではございますけれども、車齢十一年を超える自家用乗用車については有効期間を二年とすることが適当だというような答申をいただきました。これを受けまして、車齢十一年を超える自家用乗用車等については有効期間を二年と改正して、本年の七月から施行したところでございます。  したがいまして、それ以外の車検期間の延長については現時点では困難だというふうな判断ではございますが、新しい車両法の施行が始まっておりますので、この新しい制度の施行状況を見ながら、また今後の自動車技術の進歩、また使用態様の変化、こういったものを継続的に今後フォローアップしまして、長期的な規制緩和推進計画というようなものに基づきながら検討継続していきたいというふうに思っております。  なお、我が国の車検の有効期間というものは国際的に見てどうかというような点についても検討がされたわけでございますが、現在のところは諸外国とほぼ同程度のものというような状況でございます。
  223. 国井正幸

    ○国井正幸君 次に、やはり東検にかかわる問題なんですが、農耕用トラクターの車検期間についてお伺いをしたいというふうに思うところでございます。  既に御承知のとおり、農耕用トラクターはほとんどが田畑で使用されるものであって、一部道路も通るわけでございますけれども、使用頻度も一般の乗用車等と比べるとそれほど年じゅう使っている、こういうふうなことではないというふうに思います。そういう意味では普通の自動車とは事情が大きく異なっているのではないかと思うところでございます。それにもかかわらず、農耕用トラクターの車検期間は二年と定められておりまして、車検期間の延長というのが強く求められておるところでございます。  この点につきましては、道路運送車両法の一部改正の際も、平成六年の六月二十日に本院の運輸委員会でなされました附帯決議にも、使用実態調査を進めて延長等の措置を講ずることが盛り込まれておるわけでございます。いわゆる実態調査を進めて延長等の措置を講ずると、こういうふうなことでございますから、実態調査がどうなっているのか、それからこの問題に対する附帯決議に対してどのような姿勢で今臨もうとしているのか、この辺についてお伺いをしたいというふうに思います。
  224. 南戸義博

    説明員(南戸義博君) 農耕用トラクターの車検の有効期間につきましては、先ほど御説明いたしました運輸技術審議会でも検討されました。その結果、車齢が十年を超えたものについては、先ほどの話と同じでございますけれども、有効期間を延長しても問題がないということで、今回の改正の際に、農耕用トラクターについても十年を超える場合には有効期間が二年となったところでございます。  しかしながら、ただいま先生が御指摘のとおり、この法律が審議されました昨年の六月におきまして衆議院、参議院とも運輸委員会において附帯決議が幾つかなされて、その中に農耕用トラクターについてさらに使用の実態調査を進めるようにということが決議されたわけでございます。したがいまして、私どもそういった実態も踏まえて政府の規制緩和推進計画の中にもこの調査を盛り込んでおります。  そして、具体的には特殊自動車、農耕用トラクターも含めまして特殊自動車の使用実態を調査する、走行距離の状況とかあるいはふぐあいの発生状況、また交通事故の発生状況、こういったものを現在鋭意進めておるところでございまして、今年度内にその調査結果を踏まえて必要な措置を講じてまいりたいというふうな状況でございます。
  225. 国井正幸

    ○国井正幸君 できるだけ早くこうしたものを実態調査して、その趣旨に沿うようにお願いをしたいというふうに思っております。  国民の負担を軽減する、こういうふうな意味合いで車検期間の延長を柱に質問をさせていただいたわけでございますが、多くの国民は車検のときに非常に費用が高い、こういうふうに感じておると思うんです。これは先ほどの答弁にもあったわけですが、車両の整備料金は下がってきた、こういうことでありますけれども、その整備料金に加えて自動車重量税、さらには自賠責の保険料、こういうものを一括して支払うわけです。これらが一緒に払われるので非常に高いということを感じているわけですよ。とにかく車検を受けるとこれだけお金がかかるということになるわけでございます。  そこで、大蔵省にお尋ねをしたいというふうに思うわけでございますけれども、なぜ自動車重量税を二年ないし三年一括して払わなければならないのかということですね、一括前納しなければならないのか。自動車税と同様に単年度で納付をしても私はいいんではないかというふうに思っております。  と申しますのは、自動車重量税は自賠責保険やあるいは自動車税と異なって廃車をしても戻ってこないんです。戻さない、こういうことなんですね。傾向としては、これからやはり規制緩和の中で車検期間を長くするという傾向にあるわけですよ。それで、二年ないし三年、こういうことになってきて、一括払って、それは道路も壊すし、そういう意味で負担をしてもらうという意味合いはよくよくわかるんです。しかし、自動車税なりあるいは自賠責は廃車をした時点で戻るんですね、期間計算をして。これだけが、言葉は悪いかもしれませんが、国民から見れば払いっ放し、取られつ放しと、こういうふうなことに映るわけですね。  したがって、できれば私は期間計算をしてこれについても戻すべきだというふうに思いますし、仮にそれができないとするならば、自動車税のように毎年毎年払うとかして、国民からして納得のいく方法をぜひ考えるべきではないかというふうに思っておるところでございます。ちょっとお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  226. 細溝清史

    説明員細溝清史君) まず、第一点目の車検時に支払います自動車重量税につきまして、廃車時になぜ還付をしないのかといった点につきましてお答えしたいと思います。  自動車にかかる税金はいろいろございます。取得なり保有なり権利創設なりに国税、地方税がかかるわけでございますが、自動車重量税は、自動車が車検を受け、または届け出を行うということによって道路を走ることが可能になるといった法的な地位あるいは利益、これを受けることに着目して課税される一種の権利創設税でございます。  したがいまして、一たん車検が有効なものとなっていれば、現実に自動車がどの程度走行するのか、あるいは走行し得るのかといった問題とは直接関係がないということでございまして、こうした税の性格から見まして、車検の有効期間内に廃車された場合でも、既に有効な車検を受けて道路走行が可能になるという地位が与えられておりますので、税を還付するということは考えられないということでございます。  それから、毎年度ないしはそういうふうな分割払いのようなことができないのか、こういう御質問がございましたが、これは自動車重量税が前払いであると。委員のお言葉の中にも前払い、こういうお言葉が出てまいりましたが、私どもはあくまでも権利を創設した、それに着目したときに課税をする。したがいまして、そういった車検が終わって自動車重量税を納税していただきますと、それで課税関係は終了しておるというふうに考えております。したがいまして、一種の権利創設税であるということから、そういう車検を行うという時点に着目して課税をしておることでございます。  以上でございます。
  227. 国井正幸

    ○国井正幸君 時間もない中ですけれども、私はちょっと納得しがたいと思うんです。いわゆる二年と三年とで明らかに違うわけですから、そういう意味から見ますと、一度取ったからといっても二年間有効なのか三年間有効なのかということでその税額が違うわけでございますから、そういう意味からすれば、廃車をしたとか使えなくなったということが明らかになった場合については、これはぜひそういう期間をもって戻すべきだというふうに思います。  しかし、ここで議論していても、三十三分までというふうなことでございますので、これはまた別途別の機会でさせていただくことで、そういう強い要望があるということはしかと受けとめておいていただきたいというふうに思うところでございます。  次に、郵政省にお伺いをしたいというふうに思います。  本来、地域情報化の問題についてももう少し時間をとってお伺いをしたいのでございますけれども、結局時間の関係で最後の一問になってしまうというふうに思うんです。  実は私、選挙区が栃木でございまして、県域テレビが栃木県は今ございません。そういう意味で、県民からも県域テレビを創設してほしいという大変に強い要望がございます。そういう意味で、全国で四十七都道府県あるわけでございますけれども、県域テレビのある県ない県、この辺がどういうふうになっているのか。  それと、電波の割り当てがされているにもかかわらず一向に遅々として進まないんですね。そういう中で、県民の中からは、これから二十一世紀を見据えた場合、電波に頼ることだけではなくて、むしろケーブルテレビを各地に設置をしたものをうまくつないで、それでもってその地域の情報化というものを進めたらいいんではないか、こんな意見も実はあるわけでございます。  特にマルチメディア時代ということで双方向性の通信というものも期待をされているわけでございまして、そういう観点から地域情報化の問題というものについてどのようにお考えになっているのか、この辺をお聞かせいただいて、私の質問は終わりたいというふうに思います。
  228. 楠田修司

    説明員(楠田修司君) 県域テレビのお話でございますが、郵政省といたしましては、放送の全国的普及及び地域の情報化を図るために、昭和六十三年の放送普及基本計画におきまして、民放テレビにつきましては全国各地域に四系統の放送が受信できるよう指針として明示しております。現在この指針に基づきまして、民放テレビ放送が四局以上視聴可能な地域は四十七都道府県中三十一都道府県となっております。全国世帯の約八七%でございます。一方、県によりましては三局以下の地域も十六県残されております。この中には既に周波数割り当てが行われておりますけれども開局に至っていないという局もございます。  なお、栃木県のお話が少しございましたが、関東地域は五局は既に視聴可能になっておるわけですが、栃木県と茨城県が県域テレビということで二県がまだ予備免許に至っていないという点はおっしゃるとおりでございます。  これらの点につきましては、現在我々としましては地元の取り組みということを促進するために、一つは、本年三月にいわゆるマスメディア集中排除原則の緩和といいますか、持ち株比率の制限に関する規制緩和というのを行いました。一〇%を二〇%未満にしたわけであります。それから本年五月には、地元の自治体とか経済団体に新局開局要望調査ということを行いまして、地元での取り組みを進めていただきたいということをお願いしております。それによりまして来年五月を目途に必要な措置を、予備免許のようなことでありますが、やりたいということで開局促進ということをやっておるわけでございます。最終的には地元でそういう動きがまとまれば開局に至るということでございます。  なお、CATVの関係で地域の情報化とおっしゃいましたが、先生御指摘のとおりでございまして、CATV、現在技術革新によりまして大量伝送あるいは双方向機能というものが非常に充実してまいりました。ちょっと数字を即し上げますと、CATV全体の加入者は現在一千万世帯に近づきつつあります。中でも都市型CATV、端子数一万以上、それから双方向かつ自主放送五チャンネル以上という大規模なCATVですが、これは平成六年度末で二百二十一万世帯に達しております。対前年比で見まして三六%増ということで、非常に普及が進んでいるところであります。  このような動向を踏まえまして、我々としましてはCATVの一層の普及促進を図るということで、簡単に申し上げますと三つの施策をとっております。  一つが、超低利融資制度あるいは税制支援措置というものをCATVが光ファイバーを使う場合にやるということであります。二つ目は補助金制度でありまして、田園型といいますか、地方でなかなか民間がやらないようなところを第三セクターとか自治体がやる場合に補助金を出す。あるいは都市部でありまして非常に高度なサービスをする場合に補助金を出すというようなスキームを持っております。それから三つ目は研究開発で、先ほど先生おっしゃいましたネットワークを結ぶというのは、これは研究開発としましてそういう方式をいろいろ研究しなければなりません。そういうふうなもので広域的な実験サービスを行っております。  以上のような施策をとりまして、将来CATVがネットワークとして結ばれる、あるいは広域的な大きなCATVができるということで地域の中核的な情報通信基盤として一層役割が期待されておるというふうに承知しておりますので、今後ともこの発展を図るべく、積極的に支援してまいる所存でございます。
  229. 水野誠一

    ○水野誠一君 さきがけの水野でございます。平沼運輸大臣に空港整備計画について伺いたいというふうに思います。  八月に出されました第七次空港整備五カ年計画の中間報告を私も拝見いたしました。今マスコミでもそれについてのさまざまな批評がなされているところでございます。しかし、そこでの論調というのは、大部分がその農閑を危惧するという論調がやや強いかというふうに思っております。私も、我が国の首都圏の空港整備計画自体がどうも今まで後手後手に回っている、すなわち戦略的に行われてこなかったんじゃないかという危機感を持っているところでございます。  これは、言ってみれば需要追従型と申しますか、現実の市場をベースに予測をしてそれに対応していくということでありますが、空港建設というものがどうしても長期間かかるものであるがためにこういう需要追従型にならざるを得ないというような事情もあるかと思います。  例えば羽田の件でありますが、現在、沖合展開事業が展開されている。これが一九九九年に完成するということでありますが、中間報告では二十一世紀の初頭、羽田が二〇〇八年にはもう既に満杯になってしまう、再びその能力が限界に達するというような予測もありますし、また、第二期工事が予定されております成田でも二〇一五年には限界を超えるというような予測もあるようでございます。また、さらに言えば一部の識者の間ではもっと前に限界に達するというふうな見方もある。  そこで、首都圏の第三空港計画ということになるわけですが、この中間報告の中でも候補地はまだ白紙状態、現実的な計画はまだ十分に進んでいない現状だというふうに拝見をしております。  これに対しまして、御承知のように、韓国あるいはシンガポールというようなアジア諸国においては、まさに国を挙げて国家戦略としてグローバルハブあるいは国際ハブ空港の建設というものを今力強く進めているところでありまして、まさにそこに対して競争力を維持していく上でも、我々は国家プロジェクトとしてこの辺をとらえていく必要があるんではないかというふうに思います。  空港事業というものが大変時間がかかるものであり、つまり、絶えず時代を先取りする姿勢というものを持ち続けていかない限り、先ほど申しましたようにどうしても後手後手に回るということと同時に、一省庁だけのプロジェクトということではもはやその限界があるんではないだろうか。今言われております首都機能移転問題同様に国家的プロジェクトとして考えていくべきではないかなと、そういうふうに承知をしているわけでございます。  今、二十一世紀航空システムに対応できるグローバルハブ空港の開発整備の必要性というようなことが盛んに言われているわけですが、六年の六月に出されました航空審議会の輸送力向上委員会の答申、これを拝見しますと、その中で国際ハブ空港の定義というのがあるわけであります。これを拝見しても、今アジアで計画されております国際ハブ空港のビジョンというものとはまだかけ離れているような感じもいたします。  つまり、物理的な機能だけをいうのではなくて、先ほども御質問の中にありましたが、空港利用料の合理性というようなことも含めて、世界の航空会社が日本を選ぶというような質的な使いやすさ、質的な戦略あるいはそのキャパシティーの実現というようなことも踏まえて計画をしていきませんと、本当の意味での二十年、三十年という長期的タームをにらんだ計画にはなっていかないんではないかなと、そういうふうに思います。  そこで、単に航空審議会の答申を待つだけではなくて、例えば、空港整備に対する国費の充当率の向上策というようなことも踏まえて、大臣には戦略的な視点から、あるいは長期的なビジョンに立って空港整備に向けての政策を例えたらというふうに思っております。
  230. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 水野委員、非常に示唆に富んだいろいろな御提言がございまして、私も承っておりまして非常に意を強くしたと同時に、またそのとおりだなと、こういうふうに思わせていただいています。  先ほど来何度も申し上げていることでありますけれども、二十一世紀というのは国際的にすべての壁がある意味では取り払われて、人や物や情報が非常に大量にそして自由に行き来をするという時代になると思います。その中で一つの大きな役割を担うのが私はハブ空港だと思っています。今御指摘のように、東アジアの一地域を見ましても、お隣の韓国では既にその建設のつち音高く大ハブ空港が完成しようとしておりますし、また最近著しい経済的飛躍を遂げております中華民国、台湾にも桃園というような大変大規模な空港が整備されておりますし、また香港におきましてもこれまた新空港の建設というものが急ピッチで進んでいる、またシンガポールにおいてもしかりでございます。  日本の場合には、確かに三十年来を振り返ってみますといろいろな制約があったことも事実であります。しかし、いろいろ関係各位の御協力をいただきながら、世界に誇り得るハブ空港の機能を持つ関西新空港という海上に構築をされた画期的な空港が、この一年間の実績でも国内便で八百万人、そして国際便で八百万人、計千六百万人の実績を上げるに至りました。したがって、地元の御協力をいただきながら既に二期工事というものを展開するということでこれも出発を見たところであります。  また、東京という首都圏で国際空港として成田空港がございまして、これも開港二十三年を経たわけでありますけれども、そもそも国の最初のやり方が大変まずい面がございました。したがって、地域の住民の皆様方の大変な反対があった、こういうことで本当に大きな犠牲も払ったところでございますし、また率直に申し上げて大変御迷惑をかけたことも事実であります。しかし、先人の皆様方、当事者の皆様方の一生懸命真摯な努力によってここもようやく平行滑走路は建設もしてもいい、それは認める、そういうような状況のところまで来たわけでありまして、御指摘のようにある意味では全体のプロジェクトに関しておくれが大変懸念されるというような状況になっていることは否めない、そういうふうに私思っております。  しかし、今申し上げたように一つの方向がはっきり見えてまいりましたし、まだこれからの計画の中で中部に、名古屋を中心とした中京経済圏にもやはりハブ機能を持った空港をつくろうということで今調査、調整が進んでいるところであります。首都圏の新しい空港ということも、これまた今御指摘のようにそれぞれ我々は一つの経験をしておりますから、最初からここにありきということで出発をしますとまたいろんな弊害が予想されますので、あくまでも地元の皆様方の御意見や関係の皆様方の御意見を総合しながらそれを進めていくことが一番確実な方法である、こんな認識で首都圏空港の構想も進めております。  その中で新しい空港、そういう機能を考えたときに、また立地を考えたときに、運輸行政も技術革新というものをやはり心がけていかなきゃいけない。そういう中で今メガフロート構想というような新しい、世界がまだ着手をしていないそういう構想でつくる可能性もあるわけでありまして、工期の面ですとかあるいは工費の面とかいろいろな問題点をクリアしなきゃなりませんけれども、しかし方向としては短時日でそしてハブ空港の機能を持ったそういう空港を建設する、そのためのいわゆる新しい技術、こういうことは間違いないと思いますので、今研究段階でありますけれども、こういうことも国家的プロジェクトに位置づけて我々努力をさせていただきたいと思っております。  また、これからの新しい空港というのは単に飛行機が離発着するということだけじゃなくて、その中に複合的ないろいろな機能を持たせていく、こういうことも必要だと思っておりまして、そういうことも含めて単に運輸省のプロジェクトということじゃなくて、もう既に空港整備は国家的プロジェクトでありますので、我々としては国の一大プロジェクトとしてこれからも皆様方の御協力をいただいてやらせていただこう、そんな一つの構想でこれから担当大臣として頑張りたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
  231. 水野誠一

    ○水野誠一君 ただいまの大臣お話にも関連して、首都圏第三空港の建設及び羽田空港の再拡張の可能性ということについて伺いたいと思います。  昨年、今も大臣お話にありました関西空港が開港したわけですが、私自身も利用させていただき、また他の利用者の声を聞いてみますと、余り評判がよくない面があります。これは何かと申しますと、やはり伊丹に国内線が残されたということにおいて乗り継ぎが非常に不便であるということが言われるわけであります。また、成田という空港に関しましても、世界でこれだけ中心地から離れている空港というのも他に例を見ないということでよく引き合いに出される空港になるわけでありますし、また国際ハブ空港という位置づけはされているわけでありますが、関空同様に国内線への乗り継ぎに関して非常に不便であるという問題もあるわけであります。将来、一定の国内線の乗り入れが認められるということではありますが、そうしても大きな改善とはならないんではないかということを危惧します。  そこで、首都圏第二空港を建設する場合に、新空港と既存の空港との連結というものが非常に重要な意味を持つというふうに思っております。それが成田より遠くなる、あるいは成田、羽田とさらに新空港が非常に相互に遠い関係に位置づけられるということでは意味がない。そういう中で用地を、立地を探していくということは大変難しい仕事であるということはわかりますし、また今有力な候補として川崎市、横浜市などの案も出ているということも聞いております。また、今大臣からお話のあったメガフロートも含めた海上空港という計画もあろうかというふうに思うわけでありますが、私はそれに加えて羽田の再拡張案というものをもう少し議論していく余地があるんではないかというふうに考えています。  一九九九年までに羽田の沖合展開工事が終わるということでありますが、こうしますと年間着陸回数ベースで処理能力が二十三万回まで拡大するということでありますが、さらに羽田を拡張して処理能力を三十万回ぐらいまで上げることが可能だという議論もあるようであります。  この第七次空港整備中間報告では、羽田の再拡張は騒音問題と東京港の港湾機能への影響から極めて難しいというふうに述べているわけでありますが、いろいろな事情を考え、また首都圏第三空港の場所選定がなかなか難しいというような事情も考えますと、羽田を再拡張して国内と国際線両用化して当面の航空需要に備えるというのがどうも現実的な案ではないかなというふうに思えるわけであります。  ちなみに、英国なんかでも第三空港としてスタンステッドの計画があったわけですが、その後、最終的にやはり利便性ということを考えてヒースロー空港の再拡張ということに逆戻りをしたというような事情もありました。これは、ぜひ羽田の再拡張案というようなあたりについても御検討いただけるかどうか、このあたりについて伺わせていただきたいと思います。
  232. 黒野匡彦

    説明員(黒野匡彦君) 羽田で今使っております一番大きな滑走路は新しいターミナルビル前の滑走路でございますが、この滑走路はほぼ南北に向いております。この滑走路上の航空機を真っすぐ北の方へ延ばしてまいりますと、港区を横切りまして新宿区の上を通ってもっと北へ行く、こういうことになりまして、まさに東京の都心を真っ二つに横切る、こういう位置にあるわけでございます。  そこで、我々は従来からこの騒音問題に対処するために北の方に向かった航空機は右旋回する、こういう運用をさせていただいております。これは、従来東京都ともそういうお約束をした上で羽田の沖合展開を認めていただいたという経緯がございます。いわば羽田空港は北側のほぼモノレールの線路上に大きな壁がある空港、そういう空港だというイメージを抱いていただければいいと思うんですが、専ら航空業者の立場だけから申しますと、羽田というのは先生おっしゃるまでもなく大変いい位置でございまして、あそこに平行滑走路を何本もつくることによりまして右旋回、左旋回あるいは真っすぐ延ばすという滑走路をそれぞれ独自で使うという形にいたしますと、処理能力はかなり確保できると思います。  ただ、今のような極めて深刻な騒音問題が発生することは間違いございませんで、この騒音問題に対する解決策を、例えば地元住民の方々と話し合うというような努力をいたしましても、我々の経験からいたしますと、まず見通せる期間において解決策を探すことはできないであろうと思っております。したがいまして、この羽田の再沖展にこだわる限りは、まさに先生先ほどおっしゃったように需要に先行して空港能力を高めるという大きな目標と矛盾してしまうということで、私ども、極めて困難だというこの航空審議会の答申をそのまま受けまして、新しい空港用地をぜひ探したいと、かように思っているところでございます。
  233. 水野誠一

    ○水野誠一君 今の御説明は大変よくわかる説明ではありますが、また同時に、一時通称東芝案と呼ばれたようなひし形、ダイヤモンド状に滑走路をつくる案であるとか、いろいろな知恵と申しますか方策というようなものも議論されたというような経緯も聞いております。そういうことから、単純にこれはだめだということだけではなく、ぜひまた今後ともいろいろな可能性ということについては考えていく必要があるのではないかなというふうに私は理解をしております。  それから、先ほど大臣お話の中にありましたメガフロートでございますが、この関西空港でも一兆五千億という膨大な建設コストがかかったわけでありますが、その経緯でもメガフロート案というのがあったかというふうに聞いております。しかし、最終的には埋め立て方式というものがとられたわけでございますが、このメガフロートの可能性ということについて、今技術的な問題も含めてどんな検討がなされているのか。そして、単純に考えますとコスト削減のためには非常に好ましい案ではないかというふうに私ども思うわけでありますが、このメガフロートについてもう少し詳しく現在の研究状況をお知らせ願えればと思います。
  234. 小川健兒

    説明員(小川健兒君) メガフロート、超大型海洋構造物の研究開発でございますが、この研究開発は海洋空間の有効利用という観点から今年度から三カ年計画で始めたものでございます。目標は、数キロメートル規模、耐用年数も百年以上という開発目標を掲げて、現在、技術開発が開始されたところでございます。三年計画でございますので、本研究開発が終了する平成九年度末までには技術的にはいつでも超大型の海洋構造物の建造が可能な体制が整えられるだろうというふうに思っております。
  235. 水野誠一

    ○水野誠一君 時間もございませんので、最後に貨物流通の円滑化、特にモーダルシフトについて伺いたいと思います。  時間の関係もございますので詳しい内容は省きたいと思うんですが、トラック輸送中心から低公審で効率的な海運、鉄道の積極的活動を図るというのがモーダルシフトでございますが、このモーダルシフトを一層推進するということで今運輸省としてどんな視点からお考えになっているか、とりわけ内航海運の構造改善と効率化ということに絡めてお話をいただければと思います。
  236. 相原力

    説明員(相原力君) ただいま先生御指摘のとおり、貨物流通の分野におきましてモーダルシフトというのは最も重要な施策の一つであるというふうに私ども認識いたしております。  今、先生からお話しございましたように、近年、特に地球環境問題を初め道路混雑の問題あるいは労働力不足の問題等々から、トラック輸送体系に過度に依存しないような物流体系を構築することが非常に重要であるということで、特に長距離の幹線物流の分野におきましてトラックから相対的に大量輸送かっ低公害でございます鉄道あるいは海運ヘシフトする、これをモーダルシフトというふうに言っておりますが、このモーダルシフトを推進することが非常に重要であるというふうに認識しております。運輸省といたしましては、このモーダルシフトの受け皿となります鉄道あるいは海運の輸送力の増強などを計画的に実施しているところでございます。  今、御質問でございます特に内航海運の関係でございますが、今後の内航海運対策につきまして、ことし六月、海運造船合理化審議会におきまして答申をいただいておるわけでございますが、この答申の中でもモーダルシフトヘの積極的な対応が一つの柱として求められているところでございます。具体的な中身といたしましては、海運の関係につきましては、例えば船舶整備公団におきまして内航コンテナ船、あるいは運転したままトラックが乗降することができるような、ローロー船と言っておりますが、内航ローロー船などの整備を船舶整備公団において行っております。  また、先ほどの海運造船合理化審議会の答申におきましては、いわゆるモーダルシフト対象船舶につきましては船腹調整事業というのを、従来対象になっておりますが、この対象船舶につきましては早い時期に船腹調整事業の対象外とするということも出ております。運輸省としても、そういう方向で施策を進めてまいりたいというふうに思っております。  なお、港湾の整備が密接に関連しているところでございますが、例えばコンテナ対応型の内貿ユニットロードターミナルと言っておりますが、こういうものを積極的に推進することといたしておりまして、平成八年度からの港湾整備五カ年計画におきましては約七百億円、合計で四十バースを整備するということにいたしております。また、アクセスのための幹線臨港道路の整備も非常に重要でございまして、平成七年度におきましては十六港におきまして整備をしているところでございます。  以上のように、私どもといたしましては、このモーダルシフトの推進につきましてより一層全力を挙げて対処してまいりたいというふうに思っております。
  237. 浦田勝

    委員長浦田勝君) 他に御発言もないようですから、運輸省及び郵政省決算の審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明十四日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会      ————◇—————