○武田節子君 それでは次に、公正な保護をするについては、官民格差についてどのように御認識をされ、お考えになられておりますか、
大臣の御所見を伺いたいと思います。
こういう事例が全国にたくさんございます。いろんな記録から調べたのでございますけれ
ども、それによりますと、浦和の県庁の屋上に貯水タンクがありまして、貯水タンクの中にはペンキが塗ってあります。それを時々はがして新しく塗りかえるわけでございますけれ
ども、そういう作業はシンナー、有機溶剤を使っていたします。シンナーは空気より比重が重いので、それが溶けて蒸気で出てきて沈み、底の中の空気が外に出てしまいます。
ちょっと長くなりますけれ
ども、お聞きください。
そこで作業をしている人が倒れて死亡する事故が、全国的にあちこちに起きております。そのとき、上の方で見ておった課長とか同僚が、大変だということで大体すぐに飛び込んで救おうといたします。目で見ても有機溶剤があるかどうかわかりませんから飛び込んでしまうわけです。そうしますと、その人も死亡してしまいます。
その場合は、もちろん死亡された人は一〇〇%の
労災ですけれ
ども、ところがその助けに入った人が警察官だったり公務員の場合には、遺族
補償年金が五〇%増しになるのです。身体
障害は、三級以上の身体
障害の場合は、三級は四〇%、二級は四五%、一級は五〇%ふえるわけでございます。国家公務員と地方公務員には、死亡と三級以上の
障害にはこのように加算
制度がございます。
また、北炭夕張炭鉱の場合でも、助けに入って死亡された人が十六人ぐらいおりましたし、それから上越新幹線の大清水トンネルでも助けに入って二人の方が死亡いたしました。
そこで、
労働安全衛生法が
改正になって二十五条の二、救護の安全に関する規定ができました。ところが、それには加算がございません。それは、こういう危ない場所に危険を冒して入っていく義務がないからだという理由でございます。危なければ入らなければよい、それをうかうか入ったのだということなのでしょうけれ
ども、損害賠償でもそういう考え方があるようでございます。
災害が起きた場合、災害応急従事
職員の場合にはやはり割り増しがございます。例えば島根県に台風が来ましたときに、台風が来て県知事が県庁
職員に浜田市に応援に行くように命令いたしました。その
職員が車を運転していったところ、途中で何とかいう大きな川の橋の途中まで行ったときに橋が流されて死亡いたしました。そういう場合には割り増しがございます。
公務員の場合、国家公務員でも地方公務員でも、そういう大規模災害があってそこに救援に行けと命令された場合には割り増しはございます。警察官、消防
職員、麻薬取締官、海上保安官等々、同じでございますけれ
ども、だから公務員は危険とわかっていた場合でもあえてその仕事をやらなければいけませんからこういう
制度をつくったということが自治省の事務次官通達に書いてございます。
私は、これは大変おかしいと思うんです。義務があって行くのはむしろ当たり前のことでございますし、もちろん割り増しも当然であると思います。でも、義務がなくてもあえて危険を冒して人命救助のために行く方の方が私は偉いなと、こう思うんです。そういう人にも割り増しすべきだと思いますけれ
ども、
大臣の御所見はいかがなものでございましょうか、お伺いいたします。