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笠原潤一君 実は米国
経済は非常に順調に推移しているんですよ。失業率は四、五年前はまだ九%、一〇%近くあったのが、今や五%台に落ち込むというか、非常に順調に推移しています。それから消費者物価はほとんど上がっていない。御承知のように、史上空前の四千ドルをつけたアメリカのウォール街では沸きに沸いているわけですよ。アメリカへ入ってみて、一体何が不況なのか、全然不況感はない。三大自動車会社、GM、クライスラー、フォード、非常に順調ですよ。
これでどうしてアメリカのドルが安くなって
日本の円が高くなっていくか、甚だ不思議であります。したがって私は、そこら辺でどうもこれはおかしいんじゃないか、こう思っているんです。
例えばグリーンスパンとかルービンがいろいろなことを言うけれ
ども、実際アメリカはこれだけドル安になっても全然介入してこないんですよ。これはもう本当に私はそういう点でG7というのは一体何をしているのか、果たしてマハディールさんが言ったように、G7の役目は終わってしまったんじゃないかと本当に心配していますよ。
ですから、世界の通貨のこの危機というものを一体どういうふうにと、日米の
財政当局が非常に心配しておられることは事実なんです。毎日テレビを見ますと、刻々と
円高のあれが報道されていますよ。中小
企業は一瞬一刻みんな右往左往している。しかし、これはもう毎度のことであって、私は本当にその点で非常に不思議に思っているのは、プラザ合意以来どんどん円が上がってきてドルが下がってきました。それで二百円を割ったときは
日本じゅうの中小
企業は大騒動したんです。しかし、二百円からどんどん上がって百円切ったときもまた大変だったけれ
ども、これは毎度毎度、
日銀が協調介入をやってドルをどんどん買い込んで、まあ後でまた少し聞きたいけれ
ども、こんな状況で一体何が起こっているのか。
アメリカは、御承知のように、九〇%は自国で生産できます。全部消費できるわけです。これは
言葉が悪いけれ
ども、私は今から三、四十年ほど近く前にアメリカに行ったときに、こういうことを言われたんです。群盲象をなでる。いや盲人の方にそう言っては、盲と言っちゃいけませんけれ
どもね、今では視覚障害者ですから。私は盲人会の顧問ですからそういうことを言うのは嫌ですけれ
ども、しかし当時はそう言われたんです。アメリカという国はそういうことであって、ほとんど自国で何もかもできちゃうんですよ。
だから、アメリカの田舎へ行ってみて、ドルが安くなった何だかんだと言って、いやそれは
日本へ来る皆さんはドルが安いから大変なことなんです、観光客は。しかし、アメリカの国内におってみますと何ら痛痒を感じない。一体それはどこ吹く風ということになっているわけです。(「購買力平価の違いだ。」と呼ぶ者あり)そうなんです。
ですから購買力平価、今どなたかおっしゃってもらったんですが、
日本の国を考えてみますと、新幹線に古い列車をつけて歩くような
日本なんですよ。今、実際に
日本と
日本いじめの貿易のインバランスって何だといったら、結局、自動車、コンピューターその他十数品目が金をもうけておって、あとは全部だめなんですからね。新幹線の後ろに古い列車をつけて歩くような
日本経済の中で、今言ったように規制緩和、いや規制緩和はこれは通告していませんが、じゃ規制緩和をやってどうする。だから、もっと日米の
財政当局も政府当局も本当に腹を割って本当の話をしなきゃいかぬと私は思っていますよ。そうしなかったらこの危機は回避されないと思うんです。ですから、そこら辺は大胆に。
そういう点について、私はこの前も一月九日に、実はアメリカのオハイオの州知事、僕の友人ですからね。実は前はあそこは民主党の強いところなんですよ。ホンダの本社があそこにありますがね。そこでも彼は前に共和党の知事になったんです。今回は楽々当選ですよ。
彼の就任式に行ってびっくりしたことは、アメリカというのは非常に堅調であると同時に、もう全然違っていまして、その中でこういうことを言うんですよ。かつてアメリカの
企業は
日本に学べと言ったんですが、反対に向こうのビッグスリーのトップはどう言っているか。
日本の自動車会社ももう少しアメリカの
企業を見習ってもらいたい、こう、言うんですからね。それくらいさま変わりしてきているわけです。
ですから私は、そういう点でこの
円高ドル安、そして中小
企業がこれからどうするかということになれば、結果的には海外にシフトしなきゃならぬということになってしまう。じゃ
日本は、一億二千万人も人間がおりましてどうやって雇用を確保するんですか。労働
大臣にはきょうは通告していませんから
お尋ねできませんけれ
ども、一億二千万人もの人間をどうやって雇用を確保するんですか。今、女子大生なんかほとんど就職できないじゃありませんか、実際に。今、大変な不安に陥っていますよ。私は、その辺はもう少し
認識をしっかりしなきゃ、まあ、していらっしゃると思うけれ
ども、その辺についてもう一度ひとつ、
経済企画庁長官に実はこの問題についてちょっと
お尋ねしたいと思います。