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国務大臣(
武村正義君) 先ほどは、おっしゃるとおり、けさの
処分に対する
考え方ももちろん申し述べたつもりでございますが、どちらかといえば結果についてかいつまんで御報告を申し上げました。大変、不規則発言等で厳しい御
批判を承ったわけでありますが、しかし事情をつぶさに私の聴取した結果の報告を抜いておりますためにそういう結果になった面もあろうかと思っております。
今回の
処分は、率直に言って、この二人に関しては私みずからがこの週末に本人に会って
状況を聞きました。世間で報道されていることはもちろん、私
自身がうわさで聞いているようなことも全部投げかけて本人に確認をしたわけであります。そして、本人が事実ですと認めたことを基本にして今回の処置をとっているわけであります。
我々は司法当局ではありません。そういう
意味で、私
どもがヒアリングしたことがすべてであるかどうか、そのことは一〇〇%自信を持って申し上げることではありませんが、一応本人からの事情聴取ということで、私
自身あるいはその他の
職員も週刊誌等で名前が上がったような
職員を中心にして、それなりに事務方も全庁的な
調査をしてくれたわけであります。したがって、今現在、本人の事実の確認があったことを前提にして最大限
反省をして処置をとったというふうに御
理解をいただきたいと思います。
同時に、庁内に直ちに規律
委員会の設置を指示いたしました。
調査がまだ不十分という
意味ももちろん含まれております。さらに
大蔵省みずからこの
事態についてもより積極的に
調査をすべきである、そしてあわせて今後こういう
事態が二度と起こらない体制をつくり、この
反省に立ったやはり規律
保持のより積極的な
考え方をまとめて庁内で実施をすべきであるという
意味で、
規律保持委員会の設置を指示いたしました。
さて、二人の事実関係でありますが、一時間以上にわたってそれぞれヒアリングをしましたので全部ここで一言一句報告を申し上げるわけにはまいりませんが、かいつまんで申し上げると、両方とも数年前、中島次長は当時の大蔵
委員長の誘いで、僕の勉強会をするからぜひ来てくれ、君は幹事役で若いスタッフを数人
大蔵省から連れてきてくれと、こういう要請があってそれにこたえたようであります。行ってみるとそこに、
委員長の横に
高橋前
理事長が座っていたと。当然そこで名刺交換をしたんだろうと思うのですが、そういうかかわりが、省内全体としてもこの中島次長とのかかわりが一番最初のような感じがいたします。
田谷氏はちょっとそれよりおくれているような感じがしますが、そういう
状況から始まっております。数回、六、七回という表現でございましたが、
高橋氏の同席する会合に出ました、もちろん単独一対一ではありませんと。各省庁の役所であったり財界人であったり等々いろいろあったようですが、そういう場に出て、結果的には
高橋氏と同席したということを認めております。これは共通して二人とも認めております。
ゴルフはどうだということも聞きまして、中島氏は二回、田谷氏は一回、全部数年前でありますが、
高橋氏と二人という
意味じゃありません。政治家に誘われたとかいろいろ言っていましたけれ
ども、複数で
高橋氏も一緒にゴルフをしたことがありますということでありました。共通して言えることはそういう
状況であります。
片方、もう少し詳しく言いますと、窪田氏というのが存在しておりまして、これは
高橋氏と結果的には大変親しい間柄の人物のようでありますが、どう親しいかよくわかりません。IBMの中堅幹部の人であります。この人がむしろふだんは勉強会にしましてもゴルフにしましてもつき合いの対象になっていたようであります。
IBMの幹部だからという安心感もあったと
反省をいたしておりますが、
高橋氏は本当に何回かに一回しか顔を出さないと。出しても余り酒も飲まないし歌も歌わないし、むしろ何か外交とか経済の話ばかりしている人のような印象だったようでして、そういう関係で、実質この
高橋氏と窪田氏の関係がどういうことであるのか、金はどうなっていたか、そこは定かじゃありません。しかし、今報道されておりますように、両者は大変親しいということであります。この点にもしかし、
高橋氏との関係を自覚しなかったにしても不用意さがつき合いの面であると、やや度が過ぎているという感じがいたします。
そして、金品をもらったり、少なくともどのポストにおりましても役人、役員としてものを依頼されたりこちらが頼んだりしたことは一度もありませんと、そういう
意味では、今回の共同銀行スキームもそうでありますが、
大蔵省の仕事に影響を与えるようなことは絶対にしておりません、全く私的なつき合いでありましたということであります。
そこで、田谷氏については、香港行きの問題でありますが、本人の話を集約いたしますと、五年半ぐらい前になるんですかの夏、夏休みに一遍一緒に香港へ行かないかという誘いを窪田氏から受けたと。それで、これは日時もわかっていますが、八月の土、日、月。月は休暇届を出して二泊三日で香港へこの五人で参りましたと。そして、
高橋氏が証人喚問で認めておりますように、往路、行きは
高橋氏の自家用飛行機というんでしょうか、に同乗をして行きましたと。ほかのグループも乗っていたように思いますが、我々としてはこの五人でしたと。もちろん
高橋氏本人も乗っていたと。しかし、香港でおりてからは基本的にはこの五人で行動をして、帰りは商用機で帰ってまいりました、主に買い物と観光、一般的な観光でありましたと。
この五人の中には公務員は、あと全部民間人で、彼以外はいないようですが、割り勘ということで幾らだと言うと二十万円と言うので、二十万円はきちっと支払いを済ませておりますと、当時。まあ香港、片道が自家用機ということになったけれ
ども、往復と向こうの宿泊、飲食の経費二十万というのは。言われたまま払ったわけですから、これが多いか少ないか、それは十分チェックをしておりませんでした、ましてや
高橋氏は証人喚問でお金はもらってないと言っておりますから、そういう
意味じゃ結果として便宜供与を受けたことになります、その点は二十万円の根拠といいますか内訳を当時きちっとチェックしなかったのは甘かったし、これは今思うと
反省点でありますと、こういう本人の話でありました。
本人の話を私はすべてそのままどうこう、本人の話だけを肯定して本人の
立場で弁解しながら申し上げているつもりはありませんが、でも結局、司法当局でない
立場で真剣にいろんな
質問も投げかけながら聞いたわけでありますが、本人が認めた事実を今こうしてそのまま本人の表現どおり申し上げているわけであります。
そういう
意味で、もとへ戻りますが、そういうヒヤリングを私みずからもしたということも含めて、本人が認めた事実を基本にして最終判断をせざるを得ません。この時点で明らかになった事実を基本にしてけさの処置をしたものであります。
国家公務員法上、いわゆる法律に触れる場合、職権乱用とか業務上横領とか、あるいは非行という言葉もありますが、人に
暴力を使うとか、そういう明らかな
行為がある場合には懲戒の対象になります。私
どもこの国会でも節度を超えているかどうかという言い方をしましたのは、法に触れていれば、刑法であれば司法当局の処置が決まりますし、刑法でなくても
国家公務員法上の法違反はきちっと懲戒
処分の対象になるわけであります。また、そういうものを前提にして初めて懲戒
処分は成り立つというふうに認識せざるを得ません。
節度を超えるという言葉はややあいまいさを含んでおりますが、社会的通念あるいは
国民の健全な常識を超えているかどうかという
意味で、この香港行きは、いかに経費を払った払わないにしろ、世間に誤解を招くという
意味では節度を超えている
行為ではないのかと。あるいは一民間人と何かの関係で一度ぐらい食事をする機会があったとしても、数回にわたってつき合うことも、やはりもう少し厳しく警戒心といいますか、相手にその当時は疑問を持たないにしても、やはり警戒心を持つべきではなかったか。そういう等々の当然
反省は必要であります。そういう
意味で、総合的にはやはり節度を超えていると私は判断をして今回の処置をとらせていただいた次第であります。
甘い甘くないの
議論は当然あると思いますが、法的な
措置については法的な明確な根拠というものが必要であります。なお、少なくとも申し上げたように、
職務外の私的な
行為で過去、
訓告であれ
処分を受けたケースはないというふうに伺っておりまして、その
意味では、
政府としては初めてこういう
措置をとらせていただくことにもなるというふうにも思っているわけであります。
なお、今回の処置はヒヤリングでわかり得た事実を基本にいたしておりますが、今後、規律
委員会も設置をいたしますし、さらにより積極的なこの問題に対する
調査も
大蔵省みずからもやるように指示をいたしております。そういう
意味では、今後新たな事実が明らかになれば、当然それは新たな
対応が必要であるという認識に立っている次第でございます。
もう少し全体が集約されて事が全貌明らかになった後に
処分をする方がかえって客観的でいいのではないかという多少迷いもありましたが、しかしこれだけ厳しい
批判を受けているときに、少なくともこの事実を前提にしてではあってもそれなりの処置はとるべきだという判断をして、きょうの御報告申し上げたようなことになった次第であります。