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国務大臣(
武村正義君) 今未明になりましたか、東京都議会の五つの党の相談で共同修正案が明らかにされました。
その内容は、かいつまんで申し上げますと、この経営破綻した二つの信用組合の処理
対策としては、組合の前理事長が告訴を受けている、また国会で証人喚問が予定されている。こうした
状況で、責任の所在について厳正に捜査が行われようとしている、こういう時期でありますので、「我々もその推移を慎重に見守り、今、直ちに三百億円の信用組合経営特別
対策費の採否の判断を下し得る
状況ではない。」ということであります。
しかし、都の信用組合に対する機関委任事務の監理・指導責任は重いと明確に言い切っておられます。また、「信用組合の破綻による金融不安、預金者の保護に対しては、都の立場から責任を十分に果たしていかなければならない。」ということが書かれておりまして、「よって、上記推移を慎重に見守る必要がある。」、これが御認識であります。
結論としましては、都議会に
提案をされている都の補正
予算案、信用組合経営特別
対策費という名目で三百億円が
提案をされているわけでありますが、これを削除して、別途、財政調整
基金、これは
全国の
都道府県に自治省の指導で、いざというときのために
地方自治体はこうしたものを大なり小なり持っているわけでございますが、財政調整
基金に三百億円を増額するといういわば修正案で一致をしたという発表でございました。
私
ども、この文書やその後の代表の記者発表のコメント等を見ておりまして大まかに認識をいたしますと、今も御紹介申し上げたように、機関委任事務ではあるが、都の信用組合に対する「監理・指導責任」という表現ですが、は重いということを明確に表明され、また金融不安や預金者の保護に対しても都は責任を十分果たさなければならないということも鮮明にされているわけであります。しかし、捜査その他国会の証人喚問等疑惑が解明されるさなかであるので、今ここでこの時期に「採否の判断を下し得る
状況ではない。」という表現がなされておりまして、後のコメントでは、新しい知事に判断をゆだねたい、こういう
考え方でありました。
私
ども大蔵省としましては、たびたび申し上げてまいりましたように、大蔵省、
日本銀行、東京都、三者がこの処理
対策案については共同して責任を負うという前提に立ちながら知恵を絞り、昨年の末に具体的な方策で合意をし、発表し、今日に至っているところでございます。都がその合意に基づいて
提案をされた
予算が都議会で通らないということは残念に思います。
しかし、都議会の五会派におかれても事の本質はきちっとわきまえていただいている。そして、こういう時期であるから新しい知事のもとに判断をゆだねようという結論でございますので、残念ではありますが、それなりの都議会としての対処をしていこうというお
考えのようにもうかがえます。まだ、議会側にもあるいは執行部側にも詳しい事情説明を受けておりません。ぜひお
考えを承りながら、私
どもとしてはこの事態には冷静に対処をしていかなければいけないというふうに思っております。
既にこの処理
対策案に従って東京共同銀行は認可を与え設立されております。そして、
日本銀行の二百億、
全国の金融機関の二百億の出資は終わっております。また、預金保険機構から贈与として四百億拠出されることも決定されております。そして、今月の二十日に頭取が決まり、頭取以外の役員はもう決まっておりますが、頭取が最終的に決まるようでありますし、いよいよこの二つの信用組合、破綻した信用組合の債権債務
関係の全体の移譲をこの共同銀行が受けるということが実現をいたしまして、正式には今月の二十日からこの東京共同銀行が動き始めるという
状況でございます。したがって、今回の東京都の
措置がこの基本的なスキームに今直ちに影響を与えるものではありません。
ぜひ適切な御判断をいただいて、この基本的な処理
対策案の骨格がゆがまないで当初の三者の合意に従って進められることを大蔵省としては期待をいたしたいと思っております。