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武田邦太郎君 新緑風会の
武田邦太郎でございます。
ウルグアイ・ラウンドないしWTO
関連で、緊急農業農村
対策本部長としての
総理にお願いがあります。
この本格的な自由化、関税化を前にしまして、農業者、農業団体が確信なり希望なりを持つところでなくて、むしろ不平不満を持っている、これは深憂にたえないところであります。そこで、今、農業をめぐる諸条件が非常に好転しているということを十分に農業
関係者に
理解を求めて、的確な長期展望あるいは十分な準備あるいは弾力的な
対応によって自由化なり関税化なりを堂々と乗り越えることができるという、そういう考え方を農業
関係者に鼓吹していただけないかこう思うのであります。
その条件は、まず第一に、日本は太陽がよく照って雨が降る非常に恵まれた条件です。農業者は勤勉で能力が高いです。
第三は、これからが大事でありますけれども、高度成長の中で、二次、三次産業の能力は非常に高まりました。したがって、現在よりもはるかにすぐれた農機具、肥料、農薬を供給することが可能であります。特にこれから先はアメリカやオーストラリアがやっているような重厚長大農業ではなくて必ず軽薄短小農業に、ハイレベルな農業
段階に移ることはまず間違いがないと思います。
その場合に、日本の二次、三次産業は農業に対して、コンピュータリゼーションの進む状況においてあるいはロボット
作業はもう間もなく現実
段階に入っていくと思います。そうして、背景としてはマルチメディアの広範なシステムが前進する。こういう背景において軽薄短小農業の時代が始まれば、農業は世界に先駆けるぐらいの条件が二次、三次産業の側から生まれつつある。
そして、その次はお金でありますけれども、お金は農業
関係にはありませんが、第四次土地改良長期計画に見られますように、十年で四十一兆円の事業費を計上するほど
政治は農業に対して資金を供給する能力と姿勢がある。これは農業が本当に採算ベースに乗ってくればもちろん銀行からでも堂々と融資を受ける。そこまでいかなければこれは自由化を乗り越えるレベルではないということになります。
第五は、国内に一億二千四百万のハイレベルの食生活をする消費者がおりまして、食料マーケットが非常に豊かである。
第六が最も人事でありますけれども、高度成長の中で後継者が非常に減りまして、後継者一人当たりの農地というものは非常な面積が国内に存在しております。これは昨年の十月十八日の本
委員会で細かな統計をごらんに入れたと思いますけれども、後継者の定義もいろいろありますけれども、ごく常識的に言えば、
平成五年一月一日現在で三万八千人、全国で農地面積は五百万五千ヘクタールでありますから、後継者一人に対して国内の農地は百三十ヘクあるわけです。アメリカといえども一億九千万ヘクタールを二百十万戸でやっているわけでありますから、一戸当たりは九十ヘクであります。それ以上の面積が国内に後継者一人当たりにあるということは、もちろん百三十ヘクになるということはありませんけれども、規模拡大についてはもう恵まれ過ぎるほどの土地が十分にある。
この六つの条件を総合運用しまして、自由化時代、関税化時代のハイレベルな農業を実現していくということが
政治の任務だろうと思うんですね。きょうはいきなりこういう問題を出しましたから、即答してくださいとは申し上げませんけれども、こういう恵まれた条件を最高度に使って日本の農業に自由化、関税化を十分乗り越える生庫性を与えるだけの
政治をやるから、農業
関係者もそのつもりで立ち上がってもらいたい、こういう
要求をしていただけるかどうか、お願いします。