○安恒良一君 私は、今提案をされました
更生保護事業法並びに同法の施行及びこれに
関係する
法律案には
基本的には賛成であります。
ただ、総体的にちょっと批評したら失礼ですが、やや仏つくって魂入れずという
感じがするわけであります。それは、今回はいわゆる
社会福祉法人並みに法人格もとり、税制上の優遇
措置が一部を除いて同じになる等々、中身の前進がございます。しかしながら、私がもう質問をするまでもなく、下稲葉
委員初め各同僚議員から
指摘をされたところの問題点を総称して言うなら、非常に仏つくって魂入れずということになるんじゃないか。
それはどういうことかというと、もう最後ですから、やや落ち穂拾い的に確認をしながら少し問題点を提起したいと思いますが、この
事業法の三条の第一項に、国が講ずる
措置の具体的
内容について、それから同じくこの
事業法の三条の二項に定められる、いわゆる今までと違って地方公共団体に求められるあるいは義務づけられている具体的
内容がここで諸
委員からみんな
議論されたところです。
そこで、国が講ずる
措置とは何だということについて、私は事務当局との間で詰めてみましたし、ここのやりとりを聞いてみますと、いわゆる一番大きい問題は、その施設
整備や
事業運営に対する
予算措置、ここのところにうんと力を入れていこう、こういうことだと思います。そのほかに、更生保護
事業者の経営担当者やその従業員に対する
各種の研究とか研究会、その他
国民に
理解を得るための広報活動等々をさせているというふうに事務当局から資料をいただきました。
そこで一番問題になるのは、更生保護委託費ですね。それから、更生保護施設
整備費の問題だと思います。この更生保護施設
整備費は、去年の
法律改正でやっと国が二分の一を持つことになりました。しかし、その二分の一も、当協会が別に二分の一用意しないとできないということの不十分さをここで皆さんから
指摘をされて、それは逆さまじゃないかという
議論があって、それらの今後の前進については
大臣がいろいろお約束をされたところであります。
そこで、私はその中で一番問題になっているこの更生保護委託費のところを、既にもう同僚議員からたくさん
議論が出ていますが、中身について時間の許す範囲内で考え方を明らかにしながら
大臣の所見をお聞きをし、また
努力をしてもらいたいと思うんです。
なぜ私が仏つくって魂入れずと言ったかといいますと、今
年度予算、今七
年度予算を
審議して来週にはこれが上がるんですが、その中の内訳を見ますと、これだけの
法律をし、今度は大きな前進があるんだ、また保護協会の皆さんが期待をしているほど中身が前進しているかというと、
予算の組み立ては全然変わっていないんです、単価の出し方は。
例えば一つの例を挙げますと、食事つき宿泊委託の中身を見ますと、
人件費は二千百三円、ことしは二千百九十四円なんですね。それから物件費は二百九十二円、端数はありますけれ
ども、ことしはそれが三百四十三円。補導費は全く同じ、百三十九円。それからいわゆる宿泊費は千八百六十二円が千八百九十円と。皆さん方の
予算要求はそうなっておりまして、計算の基礎、やり方も、これだけの画期的な
法律をおれたちは出したんだと言われながら、肝心のいわゆる更生保護委託費の中身は今までの発想と全く同じ発想で積算をされて、
要求をされているわけです。ですから、ことしのことは今言って
予算修正というわけにもいきませんから、しかし来年のことを考えて、ここは少し
議論を私はしなきゃならぬと思うんです。
特に、私は
大臣に認識をはっきりしてもらいたいと思うのは、皆さんが言われたように、この
人件費について専従者が五百何十人がおられると。それはいわゆる主幹であり、補導主任であり、補導員である。そのほかに賄い、これはまたほかに何百人かいる。合計で約八百人ぐらいの専従者がおられるんでありますが、その方々の給料がどういう仕組みになっているかというと、施設に人所した人の人員によって決められるわけですね。
そうしますと、私は資料をいただきましたが、昭和五十六年から
平成四年までの入所率は五〇から六〇の問をずうっといっているわけですね。そうしますと、給料は常に四割引きになっているわけでありますのでは、その給料の穴を何で埋めているかと聞きますと、篤志家の寄附金で穴を埋める。さらに、OBの方で年金プラス給料で埋めていると。これでは、私はこの重要な仕事をしている人の処遇としてはまことにお粗末だと思うんです。
その結果、これ数字をいただきましたが、まず、主幹は国家公務員に準ずるということで五級の二号俸、五級の三号俸です。給料は二十三万五千円、二十四万三千円となっています。それから、補導主任は四級の二号で二十二力七千四百円、補導員は三級の五号で二十万四千七音円、これは国家公務員の場合であります。これにいろいろな諸手当がつきますから、大体これの三割プラスなんです。
ところが、支払い実績でこれらを今度は見ますと、今、言ったようなことで約四割ぐらい減りますから、例えば私がいただいた
平成五
年度の主幹の給料は二十三万三千四百三十二円であります、補導主任は十九万八千四百四十七円、補導員は十六万六千二百五十六円であります。ですから、これは本俸だけの比較であります。そうすると五万円も、数万円も低いんであります。しかも、やっておられる仕事は大変な仕事であって、ですからこういうことをしていると、若い人がもしも入ってきても、数年たったらやめていきますよ。老齢化が心配だと言われながら、いわゆる自分の給料というのが入所人員によって月々左右されていくなんて、こんなばかげた給与体系はないんですよ。ですから、私はせめて今度
法改正のときにそこだけは直して提案をされるだろうと思って期待していましたが、全然直ってないんです。
ですから私は、あえてこれは仏つくって魂を入れずということを言っていまして、どうしてもここだけは私は直さなきゃいかぬと。
社会福祉法人並みとか公益法人にしたということで看板はきれいになったんですが、そこで働いている人の
人件費が収容人員によって月々左右されて、一番うんと一〇〇%入ったときでも国家公務員並みなんですから。そして、あとはいわゆる篤志家の寄附によって
人件費が賄われるとか、もしくは年金プラス給与でOBを使っているというやり方で、本当にここに書いてあるような更生保護
事業ができるんでしょうか。できるはずはないんですよ。
ですから、少なくとも
大臣、私はここだけはやはり、ことしはもう無理です、しかし来
年度には必ずやっぱり直すということがないといけません。なぜ私が
大臣に強調するかというと、もう事務当局とはうんと詰めていますから、私は意地悪で答弁させぬわけじゃないんですよ。毎日のように部屋に来てもらって
局長以下課長とみんな詰めているんですが、いや、そうは先生言われましても大蔵との
予算折衝でと、えらい
法務省は大蔵を怖がるんですね。
国民の前には
法務省といって威張っておって、ところが大蔵になるともう全然これだめなんですよね。それじゃ私はやっぱりいけない。
それは、
我が国の生産には直接寄与してないと、
法務省は、ほかの省庁に比べて、農水省とか通産省とか。しかし、そんなことに遠慮することないんですよ。
大臣がおっしゃったように、
我が国の治安、法の
維持、
国民の生活の安全を守っているのが
法務省なんですから、私は胸を張って大蔵省と
折衝をされていいと思うんです。しかも、このことは私だけ言ったわけではない、ここにおられる先生全部が言われたことですから。ただ私は数字的に、落ち穂拾い的に整理して言っているだけの話、整理して言っている。
ですから、この点については、どうお考えになるかということと同時に、来年どう是正をするのかということについて、まず
大臣のお考えをお聞かせください。