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政府委員(
上野博史君) まず第一点の、うまい米、うまみの成分とでもいいますか要素とでもいいますか、これがどういうことなのかという御
質問でございますけれ
ども、米がおいしいかどうか、いわゆる食味というのは米飯の見た目の色のぐあい、全体の粒のそろい方とか、そういう見た目の問題が
一つやっぱりある。それから香りの点もあるでしょう。それからもう
一つは、これは明らかに味の問題、それから味の
一つをなすのかもしれませんが粘り、かたさ、こういう
ような幾つかの要素によって我々が食べたときの感覚で評価をされるわけでございます。
これらの要素をもう少し科学的にといいますか分析して申し上げますと、ある
程度たんぱく質の含有量、アミロースの含有量、それから米飯の物理的な特性、あるいは粉にしてみた場合ののりになる糊化特性、あるいは特定の無機質の含有量という
ようなこととどうも
関係があるというふうに言われているわけでございます。
その中で、特にたんぱく質の含有量とでん粉の一種でございますアミロース、これの含有量がいずれも一般的に低い方が粘りがあって食味がよいということが、これはある
程度といいますか科学的に検証されて、こういうことの数値を用いて示すならば、それに限っての話ではございますけれ
ども、うまさの評価ができるというぐらいのところに最近の研究は至っているわけでございます。
部分的にそういう点で検証はできるということではあるわけでございますが、全体としての食味というのはやっぱり依然として個人差があるわけでございまして、数値としてこれが一〇〇のうちの九十幾つであるという
ようなふうになかなか相対としての評価をするというのは難しい。これは個々の企業あるいは小売の方々、そういう方々がそれなりのお
考えでもって
一つの計数算出の方式をおつくりになり、それを当てはめていろいろな銘柄のお米を点数表示されるというのは、これはそれぞれの試みとしてはあり得るんだろうと思うのでございますが、私
どもが公の立場でそういうものをもってうまさを表現するという
ようなところまで固まったものにはまだなっていないというふうに
考えているわけでございます。
そういうことで、先ほど申し上げました
ように、たんぱく質含有量とでん粉の一種でございますアミロースの含有量、こういうはっきりわかっているものを使って客観的な判断基準として成分
検査の結果を示すということを今回の成分
検査の内容として
考えているわけでございます。
それから二点目の、今度はそれぞれの要素的な話にかかわるかと思うのでございますが、保存方法の話もあったかと思うのでございますけれ
ども、保存方法によって品質劣化の度合いが変わるんじゃないかという
お話でございます。これはやはりお米の品質に一番
関係いたしますのは水分含有量というのが問題でございまして、これが高いほど、あるいは保管中の温度、湿度が高いほどカビや虫の被害を受けますし、いわゆる酸化が進みまして脂肪酸度が増加するという
ようなことによって食味等の品質が劣化をするということが言われているわけでございます。
ただ、このところの私
どものあるいは我が国のお米の夏場の保管方法というのは全量十五度C以下での低温保管という形で行われておりまして、劣化の度合いというのは非常に少なくなっているということでございます。
それからその次に、今ずり米といいますか店頭精米でき
よう搗精をした米だからおいしいというその
関係の
お話でございますけれ
ども、これにつきましては、今も申し上げました
ようにお米の水分含有量と保管の
条件、先ほどの御
質問にもございましたが、どういうところで保管をされているか、そこの温度や湿度がどういう
状況であるか、またそういうことに非常に
影響を与えます包装の形態がどうなっているのか、保管期間がどの
程度あったのかという
ようなことによって変わってくるわけでございまして、余りそう二、三日でどうこうという話じゃ必ずしもないと思うわけでございますが、温度や湿度が高いほど、保管期間が長いほど劣化をし、カビや虫の害が発生して、これもやっぱり脂肪酸度がふえるという
ようなことによって食味の品質が落ちてまいるということになると思っております。
ただ、店頭精米で、すって、搗精してから間を置かないで
消費者に渡るということの点でございますけれ
ども、やはりそれはできるだけ間近に搗精をされた方が長もちをするという意味ではそのとおりでございますが、お買いになってから後の家庭での保管の状態なり保存の期間なり、そういうものと非常に
関係がある、むしろそっちの方がお米の味という点では
影響が大きいんじゃないかというふうに思っているところでございます。
それからその次に、ブレンドによりましてお米の食味がよくなるということ、これはよく言われているわけでございますけれ
ども、これにつきましては、ブレンドをしたから物理的、科学的に食味が上がるということはどうも言えないんではないかと。一定の味のお米を長期間にわたって
供給できるという
ような意味でブレンドの持つ意味というものはあると思いますし、それから、いいお米は高い、さほどいいお米でないという評価のお米は安いというそういう
ような傾向があるとすれば、それぞれを足し合わせてある
程度の味をつくることによって、またコスト的にもその中間になる
ようなものを
供給できるという
ようなことがブレンドの意味合いとしてあるんではないか。ブレンドによって味が本質的に変わるということはどうもないんじゃないかというふうに
考えているところでございます。
それから、収穫後、天日による自然乾燥をした方が米の味がよいということにつきましては、これはやはり人工乾燥の場合によく問題になりますのは、急速に熱を加えて乾燥する、それによってひび割れが入ったり胴割れ米が出たりするという
ようなことによって質が悪くなるということがあることと対比して
考えますと、天日乾燥の場合には時間をかけて徐々に乾燥が進むという面でお米の仕上がりにいい
影響があるんじゃないのかというふうに
考えております。
ただ、そうなりますと人工乾燥も上手にやればおいしい米ができるということで変わりがないんじゃないかということにもなるわけでございまして、巷間本当に天日乾燥のものがおいしいということが言われておりますことからいえば、今私が申し上げました
ような
説明を超える何かの要素があるのかもしれない。この点については私
どもとしてはつかみ切れていないということでございます。
それから最後に、インディカ種とジャポニカ種の
関係の味の差の問題でございますけれ
ども、これは経験的に我々は知っております
ように、ジャポニカ種は短粒で、炊くと粘りがあってやわらかいという特徴がございます。それから、それに対しましてインディカ種の方は粒が長くて、炊きますとぱさぱさしているということが特質として言えるわけでございます、
この特質のよって来るところはやはり科学的にあるわけでございまして、成分的に申し上げますと、粘りに
関係するアミロースの含有量というのは、ジャポニカタイプの場合は、
国産米でございますけれ
ども、大体でん粉全体を一〇〇としますと一七から二四%ぐらいの範囲に入る、それに対しましてインディカ種の場合には二五%を超えるものの方が多いという
ようなことが言われておりまして、この辺が先ほどの両者の特質の差になってあらわれているのではないかということでございます。
以上でございます。