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1995-06-29 第132回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年六月二十九日(木曜日)    午後一時五十一分開会     —————————————    委員異動  六月十九日     辞任        補欠選任      星川 保松君     萩野 浩基君  六月二十日     辞任        補欠選任      萩野 浩基君     星川 保松君  六月二十八日     辞任        補欠選任      野別 隆俊君     及川 一夫君      星川 保松君     矢田部 理君      細谷 昭雄君     穐山  篤君      村沢  牧君     大森  昭君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         青木 幹雄君     理 事                 大塚清次郎君                 佐藤 静雄君                 稲村 稔夫君                 菅野 久光君     委 員                 井上 吉夫君                 浦田  勝君                 北  修二君                 高木 正明君                 穐山  篤君                 及川 一夫君                 大森  昭君                 谷本  巍君                 矢田部 理君                 風間  昶君                 刈田 貞子君                 都築  譲君                 林  紀子君    国務大臣        農林水産大臣  大河原太一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        秋本 達徳君    説明員        農林水産政務次        官        吉田 達男君        農林水産省経済        局統計情報部長  今藤 洋海君        農林水産省農蚕        園芸局長     日出 英輔君        食糧庁次長    阿部  修君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○農林水産政策に関する調査  (平成年産米生産者米価に関する件)     —————————————
  2. 青木幹雄

    委員長青木幹雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、村沢牧君、細谷昭雄君、野別隆俊君及び星川保松君が委員辞任され、その補欠として大森昭君、穐山篤君、及川一夫君及び矢田部理君が選任されました。     —————————————
  3. 青木幹雄

    委員長青木幹雄君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 青木幹雄

    委員長青木幹雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事井上哲夫君を指名いたします。     —————————————
  5. 青木幹雄

    委員長青木幹雄君) 農林水産政策に関する調査のうち、平成年産米生産者米価に関する件を議題といたします。  まず、平成年産米生産者米価について政府から説明を聴取いたします。阿部食糧庁次長
  6. 阿部修

    説明員阿部修君) 平成年産米穀政府買い入れ価格決定に関しまして、その算定方式及び留意すべき事項につきまして、去る六月二十三日の米価審議会諮問を行いました。さらに本日開催されました米価審議会におきまして、政府買い入れ価格試算値をお示ししましたので、その概要を御説明申し上げます。  まず、「諮問」を朗読いたします。     諮問   平成年産米穀政府買価格決定に関し、我が国稲作の健全な発展を図るとの観点に立ち、地域における生産性の高い稲作農家生産費及び所得を考慮して算定すること及びその際留意すべき事項につき、米価審議会意見を求める。   平成七年六月二十三日         農林水産大臣 大河原太一郎  次に、「諮問説明」を朗読いたします。   米穀政府買価格は、食糧管理法第三条第二項の規定により、生産費及び物価その他の経済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図ることを旨として定めることになっており、その算定については、昭和三十五年以降生産費及び所得補償方式によりその時々の需給事情等に応じて行ってきたところであります。   このような中で、最近の米をめぐる諸情勢にかんがみ、生産性の高い稲作担い手となる農家生産組織・集団の育成を通じて稲作の一層の生産性向上を図り、国民の納得の得られる価格での米の安定供給に努めることが重要な課題となっております。   また、米の需給事情につきましては、平成年産米の大豊作により緩和基調となりました。こうした状況の下で、平成六年十二月に決定した自主流通米供給安定化特別対策に基づき、水田営農活性化対策の枠組みの下で八万ヘクタールの追加的転作等を行うなど需給事情に応じた安定供給を図るための対策を推進しているところであります。   他方、一般経済情勢の面では、労賃物価ともに安定的に推移しております。   以上の事情総合勘案の上、本年産米穀政府買価格につきましては、引き続き、全国の各農業地域平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家をその地域において稲作を実質的に担っている者であるとし、このような生産者生産費基礎とし生産費及び所得補償方式により算定することとしてはどうかと考えております。つきましては、このような考え方により政府買価格算定すること及びその際留意すべき事項につきまして米価審議会の御審議を願い御意見を賜りたいと存じます。続きまして、お手元にお配りしてございます「平成年産米穀政府買価格試算」につきまして御説明申し上げます。平成年産政府買い入れ価格算定は、平成年産以降採用されておりますいわゆる地域方式に基づいて行っておる次第でございます。本年産米価をこの地域方式により算定することにつきましては、先般六月二十三日の前期米価審議会においてお諮りし、大方の御了解をいただいたものと考えております。  まず、一ページの算式でございます。  これは前三年の評価がえ生産費平均を分子とし、前三年の平均収量を分母とし、これに後で御説明いたします収量変動平準化係数を乗じまして六十キロ当たり価格を求めるものでございます。  なお、本年産につきましては、従来のルールにのっとりまして直近三カ年、平成年産、五年産、六年産米生産費調査結果を算定基礎として用いております。このうち、六年産につきましては、従来の二〇%以上災害農家に加えまして二〇%以上豊作農家も除外されております。  算定対象農家とり方につきましては、冒頭申し上げました地域方式によっております。この地域方式基本的考え方は、御案内のとおり、全国農業地域平均的な水準以上の高い生産性を実現している稲作農家を、その地域におきます稲作を実質的に担っている生産者であると位置づけ、算定対象とするものでございます。  具体的な算定対象農家とり方につきましては、次のようにしております。  すなわち、まず全国農業地域、これは九ブロックでございますが、それに区分いたします。次いで、地域ごとに六十キロ当たり平均生産費を求めます。そして、このようにして求めました地域ごと平均生産費を指標といたしまして、それ以上の生産性を上げている農家を選定いたします。ちなみに、このような手順によって算定対象となる農家戸数シェアは四三%程度となっておりまして、また、販売数量でのシェアは五九%程度となっております。  この一ページの算式でございますけれども、算定対象農家の十アール当たり平均生産費につきまして、物財雇用労働費など実際に支払う費用につきましては生産費調査結果を物価修正いたします。また、家族労働費につきましては都市均衡労賃評価がえをいたします。そして、実際に支払いを行っていない自己資本利子自作地地代につきましても一定評価方法により算入しております。これらを合計いたしました評価がえ生産費算定対象農家平均単収で割り算したものに収量変動平準化係数を乗じまして求める価格算定しております。この求める価格は、いわばお米全体の農家庭先段階での価格と考えていただければよいかと思います。  次の二ページでございます。算定値をお示ししておるところでございます。  1は求める価格でございます。2は基準価格でございまして、この一の求める価格最寄り検査場所までの運搬費を加算したものでございまして、一万五千六百十二円というふうになっております。  3は、基準価格基礎といたしまして、銘柄間格差等級間格差を前提に三類一等価格を算出したものであります。  本年産におきましては、調整額六十キロ当たり五百五十一円を加算しておりますが、これは本年十一月以降新制度への円滑な移行を図ることが重要な課題となっていること等を考慮いたしまして、所要の調整を行って据え置きとしたものでございます。  4は、いわゆる基本米価と呼んでおりますが、ウルチの一−五類、一−二等平均包装込み生産者手取り予定価格でございます。基本米価も前年と同額というふうになっております。  なお、次の三ページに類別・等級別価格の一覧を掲げております。説明は省略させていただきます。  続きまして、四ページでございます。算定要領でございます。算定要素とり方につきまして整理しております。  まず、家族労働費でございますけれども、この家族労働費につきましては、生産費及び所得補償方式もと都市均衡労賃によりまして評価がえを行っております。都市均衡労賃といたしましては、前年と同じように都道府県別米販売数量により加重平均した事業所規模五人以上一千人未満事業所製造業賃金を採用しておるわけであります。  四ページの下の方に一時間当たり労賃を掲げておりますが、このうち、男女込み労賃は直接家族労働評価に用いておりまして、男子労賃自給肥料等に係る間接労働評価に用いております。なお、労賃単価は、前年に比べまして男女込み労賃で二・五%、男子労賃で一・九%の上昇となっております。  次の五ページでございます。一番上のアのところでございますが、これは五人以上一千人未満規模労賃でございます。現物給与等調整前のものでございます。都道府県別労賃のデータの制約等から労賃規模期間について修正を行っておりますが、その計算手順を整理しております。  なお、労賃期間につきましては、従来より前年の六月から当該年の五月までの一年間を対象とするということを原則としてまいりましたが、ことしにつきましては五月の全国労賃が公表されていないというようなことから、四年産米価算定にやったと同様に、過去三カ年の五月から四月の平均に対します六月から五月の平均賃率平均を用いまして六年六月から七年五月の平均賃金をとっておる次第でございます。  六ページでございます。  一番上のイでございますが、本年につきましては経済不況というような影響によりまして、都市均衡労賃ベースとなります都道府県別米販売数量で加重平均いたしました製造業賃金伸び調査した産業全体の全国平均伸びに比べまして低い水準になっておるということにかんがみまして、過去にもたびたび行ってきた賃率調整という手法を行っておる次第であります。  ウは、アの労賃に加算する現物給与相当額加算手法につきまして、工は労賃から控除する通勤手当相当額減額手法について整理しております。  次の七ページでございますが、(2)ということで物財雇用労働費物価修正手法でございます。  物価修正につきましては、生産費調査調査期間暦年ベースと申しましょうか、一月から十二月となっている、それから、できる限り直近までの物価動向を反映させる必要があるというようなことから、従来、基準期間比較期間とも各年の一月から五月の平均物価指数を用いることを基本としております。本年産におきましても、このような従来の考え方を踏襲し、基準期間比較期間とも一月から五月をとることといたしました。  続きまして、(3)の副産物価額でございます。  この副産物はわら及びくず米でございまして、生産費から除外されますが、ここに掲げております係数生産費調査にあらわれた各年の副産物価額物価修正する係数でございます。  なお、この物価修正に用います変化率につきましては、これまで過去数カ年の副産物価額価格動向もと変化率を求めてきましたが、本年の算定当たりましては、くず米価格などが最近著しく低下しておるというようなことにかんがみまして、極力直近実態を踏まえたものとしております。  続きまして(4)の資本利子のところでございます。  資本利子借入金自己資金に区別しておりますが、この割合は米生産費補完調査調査結果を用いております。  具体的な金利とり方につきましては、借入金金利補完調査にあらわれた借り入れの実態にその後の実勢を織り込んで算出しております。一方、自己資本利子でございますが、実際には支払っていない部分についての一種の擬制計算であり、従来、その利率のとり方につきましては、米価適用金利の急激な変化を緩和するとの観点から一定調整が行われております。本年の場合も、公定歩合が七年の四月から一%という過去最低の水準になるなど、金利が著しく低下した水準にある、それから米価適用金利の急激な変動を緩和するため、前年に適用しました金利金利低下幅の二分の一を反映させた金利ということで三・八二というふうにしております。  続きまして、八ページの(5)の物件税及び公課負担でございます。  物件税及び公課負担は、この収益の有無にかかわらず稲作を行っておることによって賦課されるものを従来どおり計上しておるところであります。  なお、土地に係ります固定資産税は別途地代に織り込んでありますので、ここでは除いてあります。  次に、この下の方の(6)の地代でございます。  まず、自作地地代につきましては、生産者が実際に支払うものではございませんけれども、所得付与部分として従来から価格に算入してきております。本年産につきましても、従来同様、土地資本利子考え方によりまして、一般田固定資産税評価額九万六千八百七十三円、十アール当たりでございますが、これに十年の利付国債平均利回り五・二七一%を乗じて算出しておるところでございます。  また、小作地地代につきましては、生産費調査の実績ということで三万六十三円というのを算入しております。  続きまして、九ページの(7)の企画管理労働費でございます。企画管理労働費につきましては、本年産につきましても、各地域稲作実質的担い手農家算定対象として米価算定を行うという観点から、前年産と同様、米価に算入しておるところでございます。  (8)の算定値は、今御説明しました以上の各要素を積み上げた十アール当たり評価がえ生産費でございまして、平均で十三万二千九百十一円となるわけであります。これを六十キログラム当たりに引き直すために、次の2のところで十アール当たり平均収量算定しておるわけであります。十アール当たり平均収量は三カ年の平均で五百二十六キロというふうになっております。  次に、3の収量変動平準化係数でございますけれども、これにつきましては、本年の米価算定当たりまして、算定対象の四年から六年産の中に、戦後最悪の不作であった五年産作況七四、一転して豊作となった六年産米作況一〇九ということで、二年連続で異例の作柄が入ってくるということにかんがみまして、作況変動算定値に及ぼす急激な変化を緩和いたしまして米価算定安定性を確保するとの観点から、六年産の単収が平準化されるように、六十一から六十三年産米価で用いました収量変動平準化係数算定値に乗じたものでございます。  具体的には、麦価の算定と同様の方式によりまして算出しました六年産米販売農家平準単収をもとに、同じく六年産対象農家平準単収を求めまして、六年産をこの平準単収に置きかえた三カ年平均対象農家の単収に対します通常の三カ年平均対象農家の単収の比率をいわゆるこの収量変動平準化係数、アルファというふうにしておるわけでございます。  次に、めくっていただきまして十ページ、4の運搬費でございます。農家庭先から最寄り政府指定倉庫までの運搬及び受検に要します経費を米生産費補完調査結果に基づいて算出しておる次第でございます。  次の十一ページでございますが、以上の結果を原生産費価格決定年評価がえ生産費ということで整理したものでございます。  以上が平成年産米穀政府買い入れ価格誠算説明でございます。
  7. 青木幹雄

    委員長青木幹雄君) 次に、平成年産米生産費調査結果を聴取いたします。今藤経済局統計情報部長
  8. 今藤洋海

    説明員今藤洋海君) 平成年産の米の生産費の結果でございますが一お手元の方に二冊資料を御用意しておりますので、これに基づきまして説明させていただきます。  御承知のとおり、平成年産の米は未曾有の冷害に見舞われまして作況指数は七四ということでございましたが、平成年産におきましては、全国的に天候に恵まれたため作況指数は一〇九と大豊作になったわけでございます。  生産費調査におきましては、正常な生産状態もとでの生産費を求めるという基本的な考え方に立ちまして、稲作生産実態を的確に把握した生産費調査結果の安定的かつ継続的な提供に努めてまいっておるところでございます。こうしたことから、特に大豊作でございました平成年産取りまとめ当たりましては、平年作に比べまして二〇%以上増収した農家の取り扱いについてどうするか慎重に検討してまいったわけでございますけれども、最近の十アール当たりの平年収量動向は趨勢的には停滞的でございまして、近年の増収、減収はおおむね気象条件によるものと考えられるということで、平成年産取りまとめから、従来の二〇%以上の被害を受けた農家に加えまして、新たに平年作に比べ二〇%以上増収した農家につきましても集計対象から除外するということで集計をいたしたところでございます。  お手元資料農家調査の方からまいりますと、農家調査全国の結果、一ページでございますが、十アール当たりで見ますと、費用合計から副産物価額を差し引きました生産費は十二万九千五百五十七円でございまして、前年に比べ四・一%の減少でございます。全額算入生産費は十六万六千七百九十九円ということで、前年に比べまして三・四%の減少でございます。  これを六十キログラム当たりで見ますと、全国的に天候に恵まれたということで、収量が五百四十三キロということに相なっておりまして、前年を一四・三%上回ったことから、全算入生産費は一万八千四百十九円ということで、前年に比べまして一五・六%の減少を示しております。  次に、二ページに十アール当たり費目別の詳細がございますが、主な費目について見ていただきますと、肥料費価格低下、また農業薬剤費につきましては病害虫の発生が少なかったということで減少をいたしております。賃借料及び料金は、収量が増加いたしましたので委託作業は増加しておりますが、料金単価低下してきております。また、農機具費につきましては、転作緩和等によりまして一戸当たり作付面積が増加したということで減少を示しております。  労働費につきましては、投下労働時間の減少により減少を示しております。  これらの結果、費用合計減少をいたしましたが、副産物価額でございますくず米価格が大幅に減少をしておりまして、費用合計から副産物価額を差し引いた生産費につきましては減少幅が縮まっておるところでございます。  次に、作付規模別生産費の関係につきまして六ページから七ページの表で見ていただきますと、十アール当たりの全算入生産費につきましては、生産費作付規模が大きくなるに従って低下しておる。こういった階層間の格差は、主として作付規模の大きな階層ほど農機具の効率的な利用が行われ、稲作労働省力化も進むことによりまして労働費農機具費等費用低下するということで生じておるわけでございます。六十キログラム当たりの全算入生産費につきましてもおおむね同様の傾向に相なっております。  それから、もう一冊の参考ということでございます。農業生産組織につきましての調査でございますが、平成二年から行っておるものでございます。  協業経営体につきましては、一ページの表にございますように、十アール当たりの全算入生産費が十三万六千五百六十三円、六十キログラム当たりで一万五千四百三十四円ということでございまして、先ほどの農家調査の結果と比べまして十アール当たり、六十キロ当たりいずれも八〇%強の水準ということでございます。  また、全作業受託組織につきましては、十アール当たりの全算入生産費は十二万二千二百六円、六十キロ当たりで一万四千三百六円ということでございまして、これも農家調査の結果と比べまして十アール当たりで七三%、六十キログラム当たりで七八%という水準になっておりますが、これは基幹的なオペレーターを確保して大規模農業生産に取り組むということで生産性向上が図られているものと考えております。  以上、平成年産米生産費農家調査結果及び農業生産組織調査概要でございます。
  9. 青木幹雄

    委員長青木幹雄君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより本件に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 ただいま大河原農林水産大臣におかれましては米価の問題、さらにまたあわせて日朝米供与の交渉、こういうことで大変不眠不休の御努力をいただいておるところでございます。しかもまだ、きょうは米審の中途でございまして、その合間を縫って御出席ちょうだいいたしまして、したがって私もごく要約して御質問を申し上げたいと思います。    〔委員長退席理事佐藤静雄君着席〕  三点についてお伺いをしたいと思います。  一つは、きょうの七年産米価にかかわる問題でございますが、先ほど食糧庁次長あるいは統計情報部長からいろいろ内容を聞かせてもらいましたが、御案内のとおり一昨年はかつてない大凶作、昨年は一転して未曾有の大豊作、こういうことで、そういう特殊要因が重なった中での米価決定であるわけでございます。  そういうことでございますので、そういう点を算定方式の中に実際試算される場合に組み入れていくということに非常な御苦労があったと、こう思っております。しかもまだ、これが食管法における最後の米価決定でございまして、いよいよ十一月から新食糧法に移行するというような諸事情もございまして、今、米審中でございますので定かにお答えはいただけないと思いますけれども、今回の算定方式にどういう点を新たに考慮しておやりになったか、それが第一点でございます。伺いたいと思います。  それから、せっかく大臣に御出席願いましたので続けますけれども、一つは新食糧法の十一月施行を含めまして、今いわゆる新政策なるものの施策が次々に打ち出されてまいっております。それで、そういうことから考えますと、そういうアラカルトではなくてやっぱり新政策農政展開の理念、方向づけ、これは何としても基本法見直しにかかってくると思います。これは精力的にやっていただいておりますが、この基本法見直しと、それに付随する生産と需要の長期見通し、これが中間経過としてどうなっておりますか。そしてまた、完結の時期が予定されておるとおり行くのかどうか。非常にこれは受け側も待っておるところでございますので、その点についての流れと見通しをお聞かせいただきたい。  第三点目でございますが、新政策展開の中で一番御苦労されておるのがいわゆる条件不利地域、中山間地帯、この活性化を目に見える形でやっていこうということであろうかと思いますが、これは日本のような非常に分散錯圃の状態がございますし、外国と比べましても特に急傾斜地でございますので、なかなかこれは言うはやすくして容易じゃない。しかし、ウルグアイ・ラウンド関連も含めまして、自治省の関係も含めまして手厚い行財政の支援を考えていただいております。非常に結構なことだと思いますが、これは私の見方でございますが、果たしてそれだけで中山間地に定住して、定着して将来ともにやっていけることになるかどうかということについては非常な懸念があります。これは農水大臣としてもそうだと思いますけれども。  それで、今まで論議された中でいわゆるヨーロッパ型のデカップリングということがたびたび出てまいりましたが、何かそれらしいいわゆる社会政策的な立場での直接所得補償ということをどういう形であるにせよあわせて考えていかないとやっぱりなかなか容易じゃない、こう思います。    〔理事佐藤静雄君退席、委員長着席〕  そういう点については前の入澤構造改善局長は、それをやるにしては条件がそろってない、まず国民的なコンセンサス、それから次にもう一つは主体が非常にまとまりがないということだからなかなか困難だということですが、そういう地形であればあるほど私は逆に必要なんじゃないか、こういう発想をすべきときに来ているんじゃないかという考えですが、これは抽象的なことでございますけれども、あわせて大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
  11. 大河原太一郎

    ○国務大臣大河原太一郎君) お答え申し上げます。  七年産生産者米価につきましては、ただいま米価審議会諮問いたしまして御審議を願っておるところでございます。答申を得て速やかに決定したいというふうに思っておるところでございます。  本年産生産者米価につきましては、もちろん原則としては生産費及び所得補償方式、それから委員案内のとおりの地域方式という方式算定をいたしたわけでございますが、水準としての考え方としてはウルグアイ・ラウンドによる農業合意の受け入れに伴う部分開放と申しますか、ミニマムアクセスの受け入れ、さらには今もお話ございましたような食管法から新食糧法への移行というようなことで、稲作農家の皆さんが大変不安感を持っておられるというようなこともぜひ考えておかなければならない。また、我々は国内対策としては昨年確立して第一年目をただいまやっておりますけれども、やっぱり稲作農家の皆さんがしっかり対策を受けとめていただいて、一層厳しい国際環境のもとでやっていけるように立ち上がってもらわなきゃならない、そのためにその意欲をそぐような生産水準であってはならないというようなことが実は米価算定についての前提としてあったわけでございます。  それに加えまして、ただいまお話がございましたような一昨年は大凶作、昨年は大豊作、これらが三カ年の平均生産費もとにして算定いたします場合に、非常に算定安定性からいって難しい問題に当面したわけでございます。これについては先ほども統計情報部長からお話があったとおりで、繰り返しません。  災害農家について、二割以上の災害農家対象から除く一方、二割以上の増収農家対象農家から除くというような措置でまず原生産費段階で調整をいたしました。さらに、これも先ほど説明があったかと思いますけれども、単収を平準化するような平準係数を用いましてその辺の影響を緩和するとか、また金利等も超低利の金利の時代になりまして、これもまた生産費低下に影響をもたらす、これについても何がしかの配慮をいたしたいというようなことで、一番価格に影響を及ぼす単収と、それからそのコストの中に占めて影響の大きい部分についてそれぞれ配慮をいたしまして算定をいたしたつもりでございます。それが本年の価格でございます。  それから第二点は、基本法見直しなり長期見通しの問題でございます。  三十六年の農業基本法、これについて内外の情勢は大きく変わった、今後の農政の方向を明らかにするためにこれにかわる基本法を制定いたせということが天下の世論でございましたし、委員を初めとする当委員会等でも繰り返し御指摘をちょうだいしたと。昨年の国内農業対策、ウルグアイ・ラウンドの農業対策においてやはり農業基本法にかわる基本法の制定の検討に着手するということを明らかにして、現在その準備を進めておるところでございます。  一々そのねらいは申しません。これからの問題でございますが、農業生産なり農業経営という面だけでなくて食料問題、これも取り上げる、消費者の視点を取り上げる、あるいは農業の国土保全なりあるいは環境の維持とか地域社会の維持とかというような大きな役割をここで明らかにしていくというようなこと等を主眼としていますが、いずれにしても広い国民的な合意を得なければならないというような基本法でございますので、周到な準備のもとにこれを進めたいと思いまして、現在、各種の資料の収集なりあるいは外国への調査、あるいは予備的な関係方面への意見の聴取等、進め方等について逐次行っているところでございまして、いましばらくして本格的な検討に入りたいというふうに思っております。  なお、長期見通しにつきましても、既にたびたび申し上げておりますように、昨年八月、農政審議会も速やかにこれにかかるべきだということで、平成十七年を目標とする農産物の需要と生産の長期見通し、この作業に入っておりまして、これは本年秋を目途にそれをまとめたいというふうに思っておるところでございます。  それから、条件不利地域の問題について改めての御質問でございます。  中山間地帯の重要性と申しますか、ちょうちょう申し上げません。耕地面積とか農地コスト等で四割を占めておるとか、自然条件その他農地の賦存状態とか、いろいろハンディキャップを持っておる、規模拡大は簡単ではないという点でございます。  これについては、経営としては集約的な経営あるいは複合経営というようなことを主体にした農業生産展開を図っていかなければならないし、そのための新規作物の導入、あるいは中山間地帯が持っておる独特な自然条件でございます日中の温度差とか、あるいは夏の冷涼とか高度の差とか、いろいろな点を加味した新しい収益的な付加価値の高いような農産物を導入するとかいろいろの施策を進めておるところでございまして、そういう意味では、委員の御指摘のような社会保障的政策に入る前に、まず主業である農林業、この活性化、これをまず当面全力で進めるべきであるというふうに思っておりまして、例えば基盤整備事業等も国内対策で大規模な事業費を確保いたしましたが、その四割を中山間地帯に投入するというような考えのもとに生活基盤と生産基盤の一体化を進めるというようなことでございます。  そういうことでございまして、EU型と申しますか直接所得補償方式、これは今も、その難点ということを担当の局長がかつて申したということもお述べになりましたが、そういう国民的なコンセンサスの問題とかその他いろいろな要件がございますので、まず地域の主産業の活性化、それを行った上で次の段階に入るのがしかるべきではあるまいかと、さように思っております。
  12. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 大臣、大変お疲れでございましょうが、御出席いただきましてありがとうございました。多分お休みになっている時間がなかったのではないだろうかと拝察をいたします。私も今、頭の中が大分寝ぼけております。必ずしも的確な質問ができるかどうかわかりませんが、そこはお許しをいただきたいと思います。  そこで大臣にお伺いしたいと思いますのは、今諮問をされている案がどうなるかなどということは、これは審議会の最中でありますからお聞きをすることが無理だと思いますから、そのことは申しませんが、問題は食管法における最後の米価決定、こういうことに相なるわけであります。  大臣も触れられましたように、食管法は再生産をやはり旨として、そして消費者の方には家計の安定をということになっております。再生産を旨ということになりますと、これが実は生産費問題として非常に私どもと事務当局との間ではかなり相違が、まだ考え方の開きもあるようでありますし、さらに食管法最後であるということであれば、私どもはまさにその生産費を再生産できるそういう価格設定になるべきであるというふうに思っているわけであります。なかなかそこの辺のところが詰まらないのは大変残念でございまして、そこのところがきちっと詰まっていけば私は諮問案もあるいは少し変わった形になったのかなというふうにも思うんです。  その諮問案の評価は別ということにいたしましたから、問題は大臣も言われた生産費の問題、特に大塚委員の御質問にお答えになりましたように、中山間地等条件不利地域で、そこの主業たる農業を活性化することが先だと、まさに私もそのとおりだと思うんです。そうすると、そういうところの再生産をまさに中山間地帯はきちっと保障してやらなきゃならないということになるわけであります。その辺のところが今の生産費調査のあり方は万全だとは言えない、方法はまだいろいろと工夫することが必要だ、再検討する必要がいろいろとあるんじゃないか、こんなふうにも思うわけでありまして、まずその辺のところを、再生産を旨としという食管法の精神が本当に生かされているだろうか。こういう問題の御判断と、それから今の、特にその中で中山間地等についてどういうふうにお考えになっているか、まずこれをお聞きしたいと思います。
  13. 大河原太一郎

    ○国務大臣大河原太一郎君) 御案内のとおり、食管法におきましては生産費及び所得補償方式というルールで算定しておりまして、生産費の中の特に労賃については都市均衡労賃評価がえをするということで所得付与を行うというようなことが主体でございます。  さらに、算定方式といたしましてはいわゆる地域方式でございます。これには、その地域における生産性が、稲村委員には釈迦に説法でございますが、生産水準平均より高い対象農家をとらえてその平均もとにしていわゆる評価がえをしたり、あるいは物価修正をいたすということになっています。したがって、我々の考えとしては稲作体質の強化という視点から、やはり何と申しますか、生産性の高い稲作担い手たる農家、その再生産ということを主体とした考えである。それが今日の米をめぐる諸情勢等から見て適切なのではあるまいかというふうにしておるところでございまして、これは御議論があるところだと思いますけれども、私はそう思うわけでございます。  米価一本でございますから、さてしからば中山間地帯、この問題については価格でカバーすることが可能かどうかという難しい問題があるわけでございまして、この点については、何と申しますか、はっきり申し上げますと、まず主業としての農林業を生産面あるいは経営面からの活性化を図ると申しましたが、今後その点についても手当てをするのに思い切って社会保障的な、大塚委員の御指摘のようなところへ飛ぶのか、まずその価格所得政策みたいなもので特別な配慮をやっていくのかとか、いろいろ政策選択の問題が今後の問題としていずれ我々に迫られるものだというふうに思っております。
  14. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 お答えをいただきましたそのうち、特に再生産を旨としというところについてはかなりまだ論議をしていかなきゃならない課題が随分あると思います。その辺はまた今後の中で論議を深めていただきたいというふうに思います。  それから、もう一つの中山間地を中心にした条件不利地域についての大臣のお考えはほぼわかりましたが、しかし私はここで一つだけ提起をしておきたいと思います。それは、社会保障的な対応というのは必ずしも適切かどうかという問題があると思います。例えば山間地であれば森林の手当てをするとか、水の涵養をするとか、いろいろと仕事をしていただく、仕事をつくるということ、これが非常に大事。そして、そのつくった仕事に対してきちっとした保障をしていくというふうな、そういう体制をやはりお考えをいただかないと、社会保障的だということだけだといろいろと国民の中の格差の問題やら何やらというものとまた絡まってくる、そういうことがあると思いますので、今後の御検討の中では十分御留意をいただきながら御検討いただきたいというふうに思います。  時間がありませんから、今の生産費問題はさらにあと事務当局ともまた少しいろいろと論議をさせていただきたいと思います。  なお、新しい体制のもとで、新法のもと価格問題がどうなるかということは、実は今回の大臣の言われた再生産を旨としというそこのところが、法文としては入っていますが、これから先、新法の中でそれがどういうふうに生かされていくのか、これまた重要な課題でもあります。  それからもう一つは、ことしは天候が悪いかもしれません。そうすると、もし万が一、そうあってほしくないんですけれども不作というようなことになりますと、これは私意見だけ申し上げておきますが、新法とのかかわりでいったら、政省令関係が早く明らかになってある程度の浸透をしているということや、いろいろな手当ての問題やなんかもいろいろとあれされていて、それで計画流通米に出す義務を、義務と言ったら言葉が悪いかもしれませんが、計画流通米に出そうやというのを自然にすっといくような形ならいいんです。そうではないと、作が悪いとなったらさっと流通の関係の中の、心得のいい人はじっとしているでしょうが、不心得な人はさっさと入ってきてというようなことが起こってはいけないんでありまして、その辺は十分にお考えだと思いますけれども、特に念頭に置いて政省令関係も急いでやっていただきたいというふうに思います。  もうあと一問だけ私お伺いいたします。  北朝鮮の援助米について、これはニュース等ではいろいろと報道されておりますが、正式に私どもは伺ったことはありませんので、どういうことになっておりますか、これをまずお答えいただきたい。
  15. 大河原太一郎

    ○国務大臣大河原太一郎君) 北朝鮮に対する米の援助問題でございますが、報道等で御案内のとおり、国際貿易促進委員会というような民間団体のところが与党の訪朝団の方々に接触をして、天候不良等による食料の不足問題があるので援助を願うというようなことから話が始まったわけでございます。私ども日本政府としては、やっぱり人道的な見地から支援をいたそう、これは日韓関係もございますから外交的な枠組みの中で進めていこうと。我々農林省の方は、緊急輸入米等の在庫等もございますので、援助の米としての対応ということで現在検討しているところでございます。  なお、いろいろな報道がございまして、毎日決着か決着かというふうなことが出ておりますが、ただいま実務者交渉を行っている最中でございまして、その数量を含めて、あるいは条件を含めて、それを固めるのに両者の合意について鋭意努力をしておるというふうに承知しております。
  16. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 これは大臣もお触れになりましたように、人道問題としてやはりきちっと対応をしていかなければなりませんということでは私も同感でありまして、ぜひ積極的な展開をしていただきたいというふうに思います。  ただ、それに付随をいたしまして感じますのは、二国間で協定、いろんな相談ということになりますと、これは当面、今はしょうがないんですけれども、例えば今の韓国の外交上の問題と絡んできたりとか何とかといろいろとややこしい問題が入ってきます。しかし、食料が不足をするというのはまさに人道上の問題なんでありますから、これがそういう政治的といいましょうか国家利益といいましょうか、そういったいろいろなことにできるだけ触れないようにということは、これはもう私の年来の主張になりますけれども、やはり各国が何かの形で出し合って国際的な援助組織をつくって、そしてそこの判断で援助を決めていくというやり方でいけばそういうあれはかなり軽減をされるであろうというふうにも思うわけでありまして、そのために我が国は積極的な対応をぜひしていただきたい。  もう一度、恐縮でありますけれども大臣のお気持ちを伺って、私は終わりたいと思います。
  17. 大河原太一郎

    ○国務大臣大河原太一郎君) 国際的な食料援助等については、国際機関を活用するか、あるいは二国間援助を主体とするかという問題もございます。  私は、これはどっちがどうだということではなくて、二国間でも友好関係その他があれば機動的に行われるというようなことで、二国間でも結構です。また、やっぱり全体としては国際機関による包括的な援助体制、これが必要であるというふうに思います。例えばFAOとセットになっておりますWFPなどがそれに活用されるところでございまして、そういう意味の活用ということも今後考えていかなければ相ならない、さように思っております。
  18. 風間昶

    ○風間昶君 平成会の風間ですが、今の大臣の北朝鮮に対する米の問題について、通告外なんですけれども、ちょっとお聞きしたいんです。  ただいま実務者交渉というふうに大臣お話しされました。私はその前の段階にもっと議論があるべきだというふうに思っておりまして、つまり日本国民の大事な米を国交のない国に援助をするという重要な問題を国会審議なしに決めていくのはいかがなものかというふうに私は思うんですね。それをまずひとつ注文としてつけておきたいと思いますし、具体的に今回の北朝鮮への米の援助について、輸出するという観点に立つと輸出の法的な根拠というのはあるんでしょうかないんでしょうか、お伺いしたいと思います。
  19. 大河原太一郎

    ○国務大臣大河原太一郎君) お答え申し上げます。  外国政府に援助するための米の援助に関する法律がございまして、政府またはこれに準ずるものに対しては延べ払いという形でできる。それから、食管法そのものに貸し付けができるという根拠規定がございまして、それによって今回の援助も代金延べ払い方式でこれを行うというふうな検討が進められておるわけでございます。
  20. 風間昶

    ○風間昶君 では、ほかの国から同様な要請があった場合の措置も同様にやっていくというふうに考えていいんでしょうか。
  21. 大河原太一郎

    ○国務大臣大河原太一郎君) ほかの国から同様というのはいろいろケースがございまして、最近でも例えばネパールとかラオスに対して三万トンの援助を行っておるところでございます。それぞれの相手国の事情によりましてそういう措置を講じておるということでございます。
  22. 風間昶

    ○風間昶君 わかりました。後ほどまた平成会の都築委員が御質問されると思いますので、通告外でしたので申しわけございません、私の方の質問に入らせていただきます。  米価決定のシステムについて伺いたいんですが、当然、政府の買い入れ価格については、現行制度の中で経済状態との絡みで言うと経済が相当早く拡大していってインフレ率も高い場合には、現行のように毎年生産費調査するやり方は合理的だというふうに思いますけれども、経済も成熟してきて、インフレも心配ない、つまりむしろデフレになっていく可能性もあるという時代において、農家が努力した分、農家が汗をかいた分、結局生産費も下がって計算式政府の買い入れ価格が少し下がってしまう。やっぱりどんな業界でも自分で努力した分は自分の取り分にしていきたい、あるいはしたいということでありますから、私は農家にもそれを認めるべきでないかというふうに思うんですね。特に、時短に伴って生産性向上分については農家に担保といいますか留保すべきだというふうに思いますが、その点について一点。  さらに補足的に言いますと、要するに現行の毎年毎年の買い入れ価格決定を私はむしろやっぱり三年ぐらいのスパンで制度見直しを図るべきじゃないかというふうに思っているんです。御異論あると思いますけれども、この二点についてまず伺いたいと思うんです。
  23. 大河原太一郎

    ○国務大臣大河原太一郎君) 生産費の低減、すなわち労働時間の減少等の面あるいは技術的な進歩その他による単収の増加、これらが生産費の低減の要因だと思うわけでございます。これについては経営者である農家自身の努力と申しますか、そういうものがあずかって力があるところが大きいわけでございまして、そういう意味では生産性向上のメリットと申しますか、生産費の低減は農家に対して多くを帰属させるべきだという議論が一方にあるわけでございます。  しかし他方では、単収の増加あるいは機械化等においても、公共的な圃場整備その他の投資、これによっていろいろ生産性向上の成果があるのであるから、その一面的な農家生産性向上のメリットを還元するのはいかがなものかという議論もあるわけでございます。  そういう点で、生産性向上のメリットというのは何割が農家還元、何割が消費者還元という点についてはなかなか難しい問題があるかと思うわけでございまして、それらについてその時々の判断によらざるを得ないんではないかというのが今日の我々の考えでございます。  それからもう一つ、制度の見直しの問題はしばしば過去においてもそういう議論が出ましたが、やはりいざその時々の現実の価格決定になりますと条件が非常に動いております。したがって、それを採用しているときは、米価そのものにもございましたが、やはり長持ちをしないという過去の経験もあるわけでございまして、ある程度の中期の価格水準決定、これについてはなお相当の慎重な検討が要るのではあるまいかというのが私どもの今日の考えでございます。
  24. 風間昶

    ○風間昶君 そうすると、言われているところのいわゆる猫の目農政というのがここずっと続いていくのではないかという危惧を持っている人もいるわけですから、そこのところをきちっとやっていっていただきたいと思うんですけれども、今、現時点では、とにかくその都度その都度の状況によって条件が動いているんだから、少なくとも三年とか四年とか五年ぐらいの制度見直しは難しいということでしょうか。
  25. 大河原太一郎

    ○国務大臣大河原太一郎君) 簡単になかなか、簡単と申しますとあれですが、早急な結論が難しいということを申し上げます。
  26. 風間昶

    ○風間昶君 ちょっと話がずれていくかもしれませんが、農家所得のことについて質問したいんです。  米ばかりでなくて、麦だとか畑作物あるいは牛乳まで同じような価格決定システムが採用されていて、そういう意味でいうと農政というのはこういうそのときそのときの条件による価格政策であるというイメージも強いわけです。しかし、私は大事な食料を扱う上で価格政策で農政を引っ張っていく時代はもう終わったんでないかというふうに思うんですね。終わったというよりも過渡期になるかもしれませんけれども、そういうやり方で農政を引っ張っていくことは僕はもう非常に難しいと思いますので、農家所得そのものをダイレクトに評価してその所得政策実現のためにほかの政策をきちっと考えるという時代に行かなきゃならないのではないかというふうに思います。  「ホショウ」の問題ですけれども、「ホショウ」という言葉は国語辞典で調べたら最低三つぐらい出ておりまして、農水省が使っている所得ホショウというときには、損したときに代償する、払うといういわゆるコンペンセーションというかそういう補償、損分を償うというのをどうも頻繁に使っているような感じがするんですが、むしろ私は前もって農家所得の最低限、ミニマムをきちっと明らかにしていくというギャランティーという意味での保障、安全保障の保障ですけれども、そういうことが大切ではないかと思うんです。  一般論でありましょうが、大臣所得政策に対する御見解を伺いたいと思うんです。
  27. 大河原太一郎

    ○国務大臣大河原太一郎君) なかなかに難しい問題だと思います。
  28. 風間昶

    ○風間昶君 哲学的な問題になると思いますけれども。
  29. 大河原太一郎

    ○国務大臣大河原太一郎君) 非常に難しい問題だと思います。  というのは、技術的にも、あるいはその所得補てんをだれが負担をするかというような大きな問題もあるのではあるまいかと思うわけでございます。財政が全部それをかぶるのか、あるいはそれを消費者、今の価格政策における負担というのは我が国においては消費者負担型が非常に大きいわけでございまして、財政がこれを負担するということになるとまたそこでそっちの議論もございますし、それから所得補償の水準とかその方法とか、そういう問題についての相当な検討が要るのではあるまいかというふうに思っておるところでございます。  農政の我々の今日までの行き方としては、言うなれば、大きな言葉で言えば構造政策を推進してコストを低下して、それによる所得の確保を図っていくという、我が国の現段階ではそれの方がまず優先するということで政策を進めてきておるというわけでございます。
  30. 風間昶

    ○風間昶君 大臣所得ホショウと今おっしゃいました。それは農家所得のミニマムを明らかにしていくギャランティー的な保障なのか、あるいはその損分だけを見ていく補償なのか、どちらの方で使われたのかちょっと定かにわからなかったんですけれども、ちょっと理解できなかったんですが。
  31. 大河原太一郎

    ○国務大臣大河原太一郎君) 所得の補てんでございます。デカップリングといいますか不足払いといいますか、そういう意味で所得補償ということを申し上げたわけでございます。
  32. 風間昶

    ○風間昶君 せっかく大臣がお見えになっていらっしゃいますので住専の問題をちょっとお伺いしたいんです。  住宅専門金融機関、いわゆる住専の問題について、ことしの七月四日付のエコノミスト誌によれば、住専七社に対する不良債権問題で地銀の六十四行が債権を放棄するという記事が載っておりまして、その中で農林系金融機関が住専七社に対して全体の四割に当たる五兆五千億を貸し付けてあるというふうに出ておりました。  その問題で三点お伺いしたいんですけれども、一点は地銀六十四行の債権放棄についてその真偽はどうなのか、大蔵省から何か報告を受けているのかどうかというのが一点です。  それから二点目は 大臣が今月の六日の記者会見でもいわゆる母体行責任という考えで一貫していらっしゃるというふうに述べておりましたし、私も農林金融機関の責任はないと思うんです。ですから、そういう意味では大臣の一貫しているというお考えは今も変わりがないのかどうか。  三点目に、公的資金の導入についても御見解を述べられておりますけれども取りざたされておりますが、大臣のお考えはどうなのかということをきちっとお伺いしたいと思います。
  33. 大河原太一郎

    ○国務大臣大河原太一郎君) 委員案内のとおり、住専七社に対する農林系統金融機関の融資額は相当な額に達しております。割合も多くございます。これについては、バブルの崩壊に伴う不動産市況の低迷というものがございまして住専の経営の悪化が進んだということで、平成四年にその再建計画が一度できたわけでございますが、さらにそれに対して経営の悪化があるということで平成五年に母体行を中心として関係金融機関による経営再建計画が立てられたわけでございまして、それに基づく再建計画が現在進められておるところでございます。  我々の方としては、その母体行を中心としたこの再建計画が直接の監督機関である大蔵省の監督、指導のもとに的確に行われるということを注意して見守ってきたのが今日までの状況でございます。したがって、いろいろの報道である特定の住専に対して債権放棄とかなんとかというふうなことが報道されておりますけれども、我々は一切承知しておりません。  大蔵省の方針としても、不良債権問題の中で住専問題は非常に大きなウエートを占めているので、これが解決については本格的な取り組みが必要であるという判断に立っておりまして、先般も大蔵大臣の「金融システムの機能回復について」という中で、住専問題については住専の再建計画の実施状況を的確に把握して必要があれば抜本的な再建策を関係者で論議する段階に来ておるということを申しておるわけでございまして、これからの問題であるというふうに我々は注目をしておるところでございます。  なお、公的資金導入問題については、そういう不良債権問題の住専にとどまらず、不良債権問題全体の取り扱いの問題の一環として大蔵省を中心とした検討を今後進めるという程度でございまして、私どもとしてはコメントする立場にはないというふうに御理解願いたいと思います。
  34. 風間昶

    ○風間昶君 これはまた機会を改めてちょっとやらせていただきます。  最後に、先月の八日から今月の二日にかけての四十七回国際捕鯨委員会での年次会合が開催されて、南氷洋及び北西太平洋捕獲調査計画を提出したというふうに聞いていますけれども、評価がどうだったのか、端的に。  それから、今年度の捕獲調査について、我が国の方針をきちっとやっぱりこの委員会の場で公に大臣からお考えを聞きますと従業者というか操業者も安心すると思いますので、ここをお願いしたいと思います。
  35. 大河原太一郎

    ○国務大臣大河原太一郎君) 我が国の行っております南氷洋の捕鯨の捕獲調査につきましては、IWCの科学委員会においてもその評価を受けておるところでございます。そういうことでございますので私どもとしてはそれなりの評価を得ているものと思っております。  先般のIWCの総会等においてはこれについての自粛的な決議がなされたわけでございますが、これは法的な根拠があるような決議ではございません。したがって、我々としては捕鯨条約の第八条でございますか、それによる調査捕鯨の権利を持っているということでございまして、引き続いて調査捕鯨は進めたい、さように思っております。  ただ、反対国が相当ございますので、そのような国に対しては理解を求めながら、本年の調査捕鯨についても十一月からでございますから、その間に十分な手当てをしてやっていきたい、かように思っております。
  36. 風間昶

    ○風間昶君 ありがとうございます。終わります。
  37. 林紀子

    ○林紀子君 私は、国会に送っていただいてからこの六年間、農水委員一筋に活動してまいりました。この委員会の場でも八十回を超える質問をしてきたわけです。そして、北海道は宗谷の酪農地帯から沖縄の石垣島まで全国を視察して、農民と話し合ってまいりました。そして感じるところは、日本農業はますます深刻になるばかり、農業再建の展望が見出せないでいるのが現実の姿です。そしてその根本は、米の輸入自由化はしないという選挙公約やまた三度の国会決議に反してWTO農業協定を批准した、ここにあると思うわけです。  そこで、改めて大臣にお聞きしたいと思います。WTO農業協定について選挙公約や国会決議に沿って改定を求めていく考えはあるのかないのかということをお答えいただきたいと思います。
  38. 大河原太一郎

    ○国務大臣大河原太一郎君) 御案内のとおり、WTO協定については国会の承認をちょうだいいたしましてこの四月一日から実施されているところでございまして、これに対して直ちに改定を求める立場にはございません。
  39. 林紀子

    ○林紀子君 きょうのトップニュースは日米自動車協議が決着をしたということですね。アメリカは三〇一条で一方的に日本を制裁しないということになりました。これは当然のことだと思うわけです。    〔委員長退席理事大塚清次郎君着席〕  私が佐賀に伺いましたとき、五十年間開拓農民としてやってきたとおっしゃる方は、自動車交渉になると日本の政府は粘りに粘っている、しかしガット農業合意を政府はいとも簡単に受け入れてしまった、農業軽視も甚だしい、こういうことをおっしゃっておりました。これはこの方だけの思いではないということを強く申し上げたいと思います。  そしてあと一つ米価の問題ですね。九五年産米価については引き下げも据え置きも絶対に認められません。今、生産費調査について御説明をいただきましたけれども、この実態というのは農家と全くかけ離れたものだと思わざるを得ないわけです。    〔理事大塚清次郎君退席、委員長着席〕  それはまず、米価算定方式となっている地域方式による対象農家、先ほど阿部次長の方からこのシェアは四三%だという御説明がありましたけれども、これによって計算をいたしますと、全国調査農家数が二千八百九十九戸、販売農家数というのは二千九十九戸にふるい分けられまして、その四三%ということになりますと九百二戸なんですね。この九百二戸の生産費ということで計算をしていく。ですから、これまた農水省からいただいた資料によりますと、一万六千三百九十二円という米価計算すると、平成五年は九%の農家しか生産費はカバーできない、九一%の農家稲作では赤字になると、こういう数字が示されているわけです。  大多数の農業者の生産費を償い、人並みの所得を確保するためにはどうしても引き上げしかないと思いますが、いかがですか。
  40. 大河原太一郎

    ○国務大臣大河原太一郎君) お答え申し上げます。  前段での御質問の中に農業合意を唯々諾々として受け入れたというようなお話がございましたが、全く事実ではございません。七年間にわたって徹底した日本の輸入国の立場あるいは農業の持つ多面的な役割等々についてはガットの場で主張したところでございます。強力な主張をしたつもりでございます。最後は、我々の要望も一部通ったところもございますけれども、全体としては輸出国本位の農業交渉というようなことで、我々としてはミニマムアクセスを受け入れる、全体としてのWTOの受け入れを、これは改めて申し上げるまでもございませんが、多角的な貿易体制の一層の進展のためには国益として農業については十二分の国内対策を措置することによってこれを受け入れるということにしたわけでございまして、その点については、私としては、委員の御所論なり御意見には同意しかねるところでございます。  なお、米価算定の場合の対象農家の問題についてでございますけれども、やはり稲作の体質を改善して生産性の高い農家を育成したり、あるいは個別農家のうちの零細の農家等については組織化とかあるいは集団化というようなことによって生産性向上する、それによって国民的な合意も得ながらこれを行うというのがやっぱり今日の米価算定考え方でございます。したがって、米の販売農家あるいは米の生産農家をすべてカバーできるような生産費なり価格決定というようなことを我々はとらない立場にあることを申し上げます。  なお、数字等についての御指摘等については、事務がおりますので申し上げさせます。
  41. 青木幹雄

    委員長青木幹雄君) 時間がオーバーしておりますので簡単に。
  42. 阿部修

    説明員阿部修君) 先ほど言われました米価生産費のカバー率でございますが、ごく簡単に申し上げます。  生産費で戸数のカバー率五五%でございます。全産業生産費で二四%というような数字になっておりまして、九%という数字は私よくわからないんですけれども。
  43. 青木幹雄

    委員長青木幹雄君) 時間が過ぎておりますので簡単に。
  44. 林紀子

    ○林紀子君 確かに、WTO協定は唯々諾々と従ったのではないとのお話ありました。七年間やったけれども、しかし輸出国の意向に従って屈服させられた、これが結果だと思います。  私は、せんだってJA主催の懇談会というのに出させていただきましたけれども、三十六ヘクタールの米づくりをやっている青年が最後にこう言いました。農民は昔から生かさず殺さずでやられてきた、これからもこれでやってくれ、殺してしまってはおしまいだ、こういう悲痛な叫びを上げていたということを一言最後に申し上げておきたいと思います。
  45. 青木幹雄

    委員長青木幹雄君) 以上で農林水産大臣に対する質疑は終わりました。  引き続き、政府当局に対する質疑を行います。
  46. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 それでは、第一の質問でございます。  生産調整についてでございますが、これは農蚕園芸局長の所管ですか。ことし六十八万ヘクタールに去年の豊作によって減反が追加されましたけれども、実際の取り組み状況はどの程度の消化になっておりますか。
  47. 日出英輔

    説明員(日出英輔君) 詳しくは六月末に生産者が計画を出し、八月一日に現地確認をいたしませんとわかりませんが、私どもが県あるいは市町村から聞きました数字は六十万プラス八万ヘクタール、つまり六十八万ヘクタールの分につきましては大体五、六千ヘクタールがまだ達成されていないという状況ではございます。したがいまして、九九%を超えるぐらいの状況まで来ているのではないかというふうに思っている次第でございます。
  48. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 ところで、今度は新食糧法もとでは非常に減反というのが一つの、これが確実に行われるかどうかということが大きな新食糧法の運用していく上において眼目になってくるわけでございますが、これに対処するには、八年度からの転作についてどのように考えるかということでございますが、あらましのお考えはありますか。
  49. 日出英輔

    説明員(日出英輔君) 八年度から新しい生産調整方式を実施するということで、この秋には全体像につきまして各県なりあるいは農業団体との調整を終えなきゃいかぬわけでございますが、まだ今そういった検討を急いでいる状況でございます。  ただ、私どもといたしますれば、昨年来申し上げておりますように、極力生産者の自主性を尊重するというようなことがございますので、強制感を伴います実効確保措置については見直す、あるいは生産調整目標につきましては、極力生産者なり地域の意向を踏まえた形で調整した上で決定するといったようなこと、あるいは生産調整助成金の体系とか額とかいうものを十分に検討するといったこと、あるいは生産者がより取り組みやすいような生産調整手法をいわば多様化すると、こういった幾つかの点が私どもの大きな宿題になっているというふうに思っております。  今、関係県あるいは団体からの意向を聞きながら内部で検討を急いでいる状況でございます。
  50. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 このいわゆる生産調整というのは、農家にとっても非常に守らなきゃならぬ大切なことに新制度のもとではなってくると思います。これが乱れると、いわゆるこの生産調整それから計画制度、備蓄、この三本柱の一つが当初から揺らぐということになると、新食糧法そのものが運用がなかなかうまくいかないということになるわけですから、そのためには、識者も言っていることは、やっぱりあるものをもう決めたら備蓄という一つのクッションがありまするから動かさないと。しょっちゅう豊凶でどんどん動かしていくと、どうも受ける側の農家は非常に不安なんですね。ですから、そういう心組みでいってもらいたいということがあります。  それからもう一つは、いわゆる一律減反はなるべく選択制にしていくということであれば、それなりの支援策というものが国で講ぜられていかなきゃならぬと思いますので、その点も含めて、平成八年度の生産調整の方策決定にはひとつ十分な御配慮を願いたいということを要望しておきます。  それから、その次でございますが、新食糧法の施行は十一月となっておりますが、これはもう具体的な内容は政省令あるいは運用面にゆだねられている部分が非常に多い。だから、早く政省令の内容を固めていただかなきゃならぬ。いわゆる移行準備、それらの移行準備が十一月の施行以前のどの程度までに用意されるか、その辺の大体のただいまの農水省の作業の進度についてお伺いをしたいと思います。
  51. 阿部修

    説明員阿部修君) 新食糧法の政省令が十一月一日から切りかわるというようなことで、今、私ども必要な政省令、さらには具体的な一つ一つの制度の運用の方向につきまして鋭意検討を進めておるところでございます。この政省令の整備に当たりましては、国会での御議論を踏まえるということは当然でございますし、新食糧法が定めております骨格に沿いまして制度の非常に細部にわたるまで十分な検討が必要でございまして、また今私どもやっておりますのは、新制度への円滑な移行に向けまして生産者の方々、消費者の方々、流通業者の方々の意向を十分把握するように努めておるところでございます。鋭意、なるべく一日でも早くというところで作業を進めておるところでございます。  また、この新しい法律の円滑な実施というためには、関係者の方々に対しましてこの政省令の方の内容が固まり次第、前広にと申しましょうか、そういった姿勢でどんどん御説明していくというようなことも必要なものというふうに考えておりまして、そういった点にも配慮してやってまいりたいというふうに思っております。
  52. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 これをなぜ私が急がなきゃならぬかといいますと、十一月の施行前の準備期間ですね、これをなるべく早く明らかにしていかないと、今度は施行されてからの、実際運用すると利害関係者にこれは周知させなきゃならぬ、そしてその用意をさせなきゃならぬ。この間に空白、ポケットが出る、ともすれば滑り出しから幾らか混乱するおそれがあるんじゃないかということを思うんですね、これは。したがって、早ければ早いほどいいと思うんです。慎重たるべきところは慎重でなくちゃいかぬが、これはやっぱりもう十一月に迫っておりますから、そしてこれだけの制度の変わりを実際に照らして施行していく、具体的にこの制度が動いていくというためにはかなりの時間がかかるんです。  例えば、それは今度の新政策の一般予算。政策がどんどん出てきた。そして、さらにまたそれに財政的な裏づけが出た、それにウルグアイ・ラウンドというのが一つ加わってやっておる。どうもそれの周知期間が非常に長くかかっているんですよ。だから、特にその場合はこれとまた違った意味においてすぐ実動に入らなきゃならぬわけですから、食糧庁大変でございますけれども、早ければ早いほどいいということでひとつ対応していただきたいということを要望しておきます。  それから、その次ですが、これもまた食糧庁に関することですが、新食糧法もとでのいわゆる政府買い入れ価格の問題、これの具体的な算定方式をどうするかということは、これまた大変大きな問題だと思うんです。  これは自主流通米中心になってきますから数の比率では非常に少ないわけでございますが、これは下支え価格としての役割を果たすわけですから、どういうエレメントを、要素をとってどうするかということについても、おいおいこれは検討を急がなきゃならぬと、こう思っておりますので、その点についてはどうですか。
  53. 阿部修

    説明員阿部修君) 新しい食糧法もとにおきます政府米の買い入れ価格でございますが、これは考え方といたしまして、自主流通米の価格動向が反映されたものとすることを基本といたしまして、あわせて生産コスト等を参酌し、再生産を確保することを旨として設定していくというふうにされておるところでございます。  したがいまして、今までの政府買い入れ価格算定考え方とは異なってくるわけでございまして、こうした新しい基本的な考え方に基づきまして政府買い入れ価格決定していくことになるわけでございますが、この具体的な算定方式につきましては関係方面に広く御意見を伺いまして、施行時をめどに検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  54. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 少し早いけれども、終わります。
  55. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、各担当の局長にお伺いをする前に、せっかく政務次官に御出席をいただいておりますので、事務当局の方に通告はしておりませんでしたけれども、政務次官は政治家としてのちゃんとした御判断をお持ちであろうと思いますので、お伺いをしたいと思うんです。  それは、先ほど大臣から朝鮮民主主義人民共和国の援助米の問題、まだ事務レベルの詰めの段階というふうにお話がございました。これは私は国交のない国とはいえ、日本海側の我々にとっては極めて重要なことになると思いますね。今の米価とは直接関係ありませんけれども、日朝漁業協定、これが日本海側の漁をしている皆さんにとっては重要な課題になる、経済にも重要な課題になるということになりますので、そうすると次官のお立場からは積極的にやはり日朝の関係正常化ということが望まれるんじゃないかと思いますが、それは外務レベルのことといたしましても、漁業交渉と、多分私と同じように、これがうまく友好関係に働いてくれたらなというふうにお感じになっているんではないかと思うんですけれども、その辺のところ、御感想をお聞かせいただければありがたいと思います。
  56. 吉田達男

    説明員(吉田達男君) 人道的対応をもって米を供給すると。有償、無償、議論ございましたが、固まって有償になりましても、このことを通して友好信頼関係の契機にはなったと、私は将来を目指すときに一つの前進だと受けとめております。  御質問にございました日朝漁業協定等々にかかわって一言申し上げれば、私は日本海側に住んでおりますものですから、特に一昨年十二月二十五日に日朝漁業協定が更新されないままになって、今日その再契約といいますか、きっかけを失ったままになっておるところ、最近の統計では日本海に魚がどういうわけかいなくなって、特にイワシなどの減少については著しいものがございます。その辺を地形上よく感知するものですから、地域の関係者等々にわたりましてはそういう折から日朝漁業協定について前進することを期待する向きも多うございます。したがって、そういうことが今回のきっかけをもとにして発展していきますことを期待するわけでございます。  しかし、今日における交渉手続の中で、具体的なリンクとかそういうことは全くございません。先の先を見通すということになれば、日朝の国交の正常化等々に遠い夢、期待をかける出来事ではありまして、今日進んでおりますことを私といたしましては期待と、なるならば喜びということにいたしたいと思っております。
  57. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 その問題も、私も日本海側の人間でありますから重要な関心を持っているわけでありますが、これまた議論を始めますとそれこそ時間、御迷惑もおかけするだろうと思いますので、今度は私見がかなり強くなってくると御迷惑をかけることになると思いますので、以上で漁業協定とのかかわりをどう考えるかということは終わらせていただきまして、それでこれから米価算定の問題に入らせていただきたいと思います。  まず、統計情報部の方に伺いたいのでありますが、生産費調査のあり方について今回は随分議論になりました。それで多分、米審でもまた議論がいろいろとあるんではないかというふうに思いますが、いろいろと御努力をされた跡は、例えば生産費のいわゆる調査農家の二〇%以上の減収の分、二〇%以上の増収の分、上下カット、これがいいか悪いかという議論はまだ残っておりますけれども、そういう御努力の跡、それでも説明はしやすくなっていると思いますけれども、御努力の跡は見えるのであります。しかし、私どもからするとまだ現実とはかなり乖離をしている部分がございますということで、今回の米価の方に用いられる統計としてはもう準備されたものを使うしかないんだと思うわけでありますけれども、こうした実態をできるだけ正しく掌握をするという上で、今の統計のとり方、つまり生産費調査調査の仕方、これについてどのようにお考えでありましょうか。  特に、私は、農家の数はうんと多いんですからなおさらそうなんですけれども、そういう中でいけば変因数の少なさというのが、要するにサンプリングの問題もありますし、それから偏り、常に正常分布をしているという判断で物をやっておられるわけですけれども、これはもう正常分布が必ずしも当てはまるということには現実の問題としてなっていないと思うわけでありまして、そうい点をどういうふうに今後お考えになっているかをお聞かせいただきたいと思います。
  58. 今藤洋海

    説明員今藤洋海君) 生産費調査につきましては、先ほども御説明いたしましたように、正常な生産状態もとでの生産費を算出するということで、今回は先ほどお話ししましたように平年収量に比べて増減率二〇%を超える農家につきましては集計対象から外すという取り扱いをさせていただいたわけでございます。過去のデータをずっと分析いたしまして、平年収量に対して二〇%の範囲内というのがいわゆる統計上の二シグマといいますか、標準偏差の二倍の範囲だということで、これは正常なる単収である。それを超えるような収量については異常な収量なので、これをもとにした集計は適切ではないということで今回外したわけでございます。  それで、過去をずっとさかのぼってみましても、もちろん豊凶変動がございますので、年によりましては増収率の二〇%を超える農家が大変割合が高いとか、逆に減収率一〇%を超える農家の割合が高い、こういった年もあるわけでございますが、過去をずっとさかのぼってみれば、平均的に見れば、二〇%を下回る農家の出現する割合、それから二〇%を超える農家の出現する割合というのはほぼ均衡しておるわけでございまして、そういった点、それからそれの出現割合が三、四%といったような状況でございますので、今回採用させていただきました上下といいますか、増収減収二割ずつで切っていくという集計方法については、より改善されたものだということで御理解をお願いしたいと思っております。
  59. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 統計的手法としてのより前進という面は、それはそれなりに私もそうだろうというふうに思います。非常に俗な表現で恐縮ですけれども、今までは、例えばなぜ二〇%で下限のところを切るのか、これはなぜ二〇%か、それは三〇%ではいけないのか、一〇%ではいけないのか、その根拠というのは明らかではなかったですね。しかし、今度統計的手法に基づいて標準偏差、二シグマをとる、これはそれなりの一つ説明がはっきりとした。そういう点では私も評価をいたします。  しかし、統計というのは、統計があって現実があるわけじゃないんですよ。現実があって、その現実をどれだけ現実として正しく掌握できるか、そのために統計があるわけですから、現実と乖離をしているということがあればあるほど統計的手法、いろいろな方法を使いながらやっていくしかないということですね。だから、工夫の余地があるのではないかというふうに申し上げている。過去の長いスパンでと。長いスパンでなんて、スパンを長くすればするほど正常分布になる可能性というのは大きいんですよ。可能性でしょう、これは。  だけれども、例えば平均は三カ年でとるんでしょう。そうすると、過去の三カ年を何重にも組み合わせながら見ていかなかったら正常分布というものの判断もなかなか面倒ですよ、簡単ではないですよ。そういう問題もありますから、だから理屈としてはおっしゃることはあれでしょうけれども、実態をより正確に掌握するための統計的手法のいろいろな検討も含めて、今後課題として御検討いただけますかどうですか、このことはお答えいただきたい。
  60. 今藤洋海

    説明員今藤洋海君) 確かに、昨年のような豊作の年でございましても地域によりましては大変干ばつの被害でほとんど収量がとれないといったような地域もございますし、従来から農家の方々から土地改良の負担金の見込み方が少ないんじゃないかとかといったように、個々の農家によっては大変土地改良事業の負担金の多い農家もあればそうでない農家もあるといったようにいろいろ一般的な平均値だけでは十分把握できない実態があることは十分承知しておるわけでございます。  しかしながら、一応生産費調査では全国的な平均値を出すということを第一義としておるもので、その平均値が状況を、実態を十分あらわしているということでは必ずしもないということは承知いたしておりますので、今おっしゃいましたような話も含めまして、さらにより実態が把握できるような調査方法等も今後とも検討してまいりたいと思っております。
  61. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そこで、今度は食糧庁に伺います。  この生産費調査の結果が生のまま米価算定のときの生産費に用いられるわけじゃないですね。さっきのあなたの説明の中でいつでも、九ブロックに分けてということでいろいろとありました、地域方式。まず、九ブロックというのはどういうブロックに分けているんですか。それが一つと、それからその九ブロックの中でどの水準の、平均値をとるのですか何をとるのですかということについて、まずこれをお伺いしたい。
  62. 阿部修

    説明員阿部修君) 九ブロックでございますが、北海道、東北、北陸、関東・東山、東海、近畿、中国、四国、九州の九地域でございます。  それから、各それぞれの地域におきまして平均生産費よりも安い生産費生産をしている農家を選定するということになるわけであります。
  63. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうしますと、例えば三カ年平均ですから平成五年は入りますね、計算の中に。平成五年のときのあれでいけば、統計の方で調査をされた対象農家、北海道は七戸ですよね。そうすると、七戸のうちその米価計算の中に算入された農家は何軒あるんですか。
  64. 阿部修

    説明員阿部修君) 半分、ちょっと今調べておりますが、七戸のうち三戸か四戸、ちょっと今調べております。
  65. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 それでは後で答えていただくことにしまして、そうすると平均以下のところをとるということになりますと、今のは九ブロックというのはかなり大きい部分でとっていますよね。その中には平地のすごく地味の豊かなたくさんとれるところもあるし、それから中山間地、条件の不利地というのもいろいろとあります。  それで、その中で特に平場のうんと条件のいい地域はその平場が表現されるということで、それでも問題は残るんですが、中山間地とか条件不利地が多いところというのは今の平均のところでとられたときにかなりその地域では主力的な形の農業経営者、主力というか一番多い典型的なそこの地域農家、これが外れるということが結構出てくるんじゃないですか。その辺はどういうふうにお考えですか。
  66. 阿部修

    説明員阿部修君) 一般的に申しますと、先ほどの九ブロックそれぞれでとりますからその分布は一応それぞれの分布が確保されるわけでございますが、九ブロックの中で、一つ一つのブロックで生産費で分けてまいりますから、平場の一般的に言って非常に生産性が高いところと、零細な農家が混在しておる地域と申しましょうかそういうところにおきましては、一般的に言えば、平場の農家の方は算定対象になるけれども、コストの高い農家の方は外れるというようなことにはなります。
  67. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そこに一つ問題があるんじゃないですか。そこのところで、典型的な農家というのが、いわば平均生産費よりもちょっと高い、そこの今のブロックの中での平均生産費よりもちょっと高いと、生産費の高さが。安い方をとるんでしょう、平均生産費より安い方を。そうすると、平均生産費よりちょっと高い、その辺のところの農家が一番数としては多いですよ。数が多いものが拾われないということはこれ非常に問題があるんじゃないですか。  だから、統計調査されたものはそれはそれでいいですよね、わかりましたと。しかし今度は、米価計算をするときに食糧庁はその中からまた拾うわけだから、拾ったやつをまた平均するんだから、そうすると、拾うときにその地区の大方のものが、多くのものが外れるようじゃこれちょっと問題が起こるんじゃないの。その辺はどう考えていますか。
  68. 阿部修

    説明員阿部修君) 確かに先生がおっしゃるようなことになる傾向はあるわけでございます。ただ私ども、この地域方式を採用しておるという考え方でございますが、これは生産性の高い稲作担い手となる農家生産組織なり集団の育成を通じまして一層の生産性向上を図っていくということで、米の安定供給を図るというような課題に対応してこの地域方式というものを平成二年からやっておるわけでございまして、そういった面では先ほど申しましたようなサンプルのとり方をやっておりますから、サンプルの配置が必ずしもその形の反映をしていないということには相なるわけでございます。
  69. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そうのんきに答えられちゃ困るんですよね。というのは、その地域農家があなた方が考えているような、農林水産省が考えているような合理的な規模にしたいと思っても、そういう規模にしたいと思ってもなれない地域というのを持っているのが中山間地ですよ、そういうものがかなり多いのが。そういうところで複合経営だとか何とかといろいろとやっていくわけですが、苦労を皆さんしているんですよ。だけれども、そういうところが、主力の、そこの地域のかなり多くの部分を占めているというときに、これがごそっと除外されてこれでよろしゅうございますとどうして言えるんですか。  大臣だって今のように、中山間地、条件不利地、そこのところで主業が成り立つとかなり大きい声で言いましたよ。その主業であるものが価格計算の中で生産費のあれが落とされるというのは、これはやっぱり矛盾じゃないの。こういう点は、私は矛盾があれば矛盾は率直に反省をしながら、その次の、どういうふうにしたらできるかということを考えていただくのが当然だと思うんで、この込むしろ深刻に考えていただかなきゃいかぬのじゃないかと思うけれども、いかがですか。
  70. 阿部修

    説明員阿部修君) 私申し上げましたのは、地域方式農家算定方式は先ほど申しましたようなことになっておるわけでございますが、それは一定考え方によりまして先ほど申しましたような考え方でとっておるわけでございます。どういった農家対象にするかという議論はずっと長くあるわけでございまして、この地域方式の前にやったことがございますが、一・五ヘクタール以上という農家担い手として考えて、その一・五ヘクタール以上の農家算定対象といたしまして米価算定するという方式を一年やったことがございますけれども、これは御案内のようにいろいろ御意見がございまして、これの後、今の地域方式ということをやっておるわけでございまして、考え方といたしましては担い手なり高能率な生産組織というところをポイントに置いておるというものでございます。  それから、一点ちょっとつけ加えさせていただきたいんですけれども、規模の小さい農家が必ずしも生産性が低いということではないわけでございまして、最近の規模の小さい農家におきましても、生産組織とかそういうところの方に作業を委託しまして、生産費そのものは安くなっておるというような傾向も見られるところでございます。
  71. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 もうこれで、私は早く終わりたいと思って今一生懸命聞いていたんだけれども、これだけで随分時間とってしまったんですが。  言われていることはわかるんですよ、例えば生産組織でいけばそれは少し合理化できますと。だけれども、また違う角度からいきますと、生産性を上げるための努力をみんなしているんです。その上がった生産性向上分が、それを上回る形で価格の方が落ちているんですよ、低くなっているんですよ、実際に。僕の試算ですけれどもね。  そうすると、一生懸命努力している者が、その今の落ちているということを仮に否定されるとしても、生産をするためにそれだけの努力を一生懸命している。さっき風間先生からもありました。努力した結果というものを普通の企業なら、中小企業、零細企業でも、自分の努力でもって労働生産性を上げたといったらそのメリットは努力した者にみんな来るんですよ。それを、努力したものをみんな、少なくとも価格がそれを上回って下がっているというのを否定されるとしても、価格にメリットはほとんど反映できていないと私は思っています。その辺のところも、いろいろそれはあなた方の方からする反論の余地はありましょう。  しかし、一番私が言いたいことは、そういう努力をいろいろとしていても、それがまだ普遍的、一般的ではないんですと。協業なら協業が普遍的、一般的じゃないんですよ、まだ。そういう中で、それこそ大宗を占める農家、経営体の農家が、そのブロックの中でそういうものが生産費調査の中から外れていくという現実というのは、これはやっぱり見直していただかなきゃならない、今後の問題として、ということを強く申し上げて、私は質問を終わりましょう。
  72. 都築譲

    ○都築譲君 食管法もとでの米価決定、最後の米価決定ということで大変連日の御尽力に敬意を表する次第でございます。  昨年来、ウルグアイ・ラウンドの協定実施、それからミニマムアクセスの受け入れということで日本の食料・農業・農村を本当にどうするかということで国内対策各般を講じてこられたわけでございまして、効率的な経営体の育成とか、あるいは青年の就農促進、あるいは条件不利地域に対する対策、生研機構に対する拡充、いろんな努力が生産者の努力を支援するという形でいろいろ御尽力をされてきたわけでございます。  今回の米価食管法もとでの最後の米価と言いつつも、実は世の中はずっと継続するものでございますから、ばたっとことしの十一月から新しい仕組みで世の中がばっと切りかわるというわけではないというふうに思うわけでございまして、その影響が本当に実際どういうふうになってくるのか、そこら辺のところもよく承知をしたいなと、こういうふうに思います。それから、新しい食糧法がどういう仕組みで本当に円滑に機能していくのか。それから、それが本当に消費者も生産者も納得するような機能を十分果たしていくことになるのか、そこら辺のところをもう一度、新食糧法のおさらいのような形で恐縮でございますが、政府の方に御見解を伺いたい、こういうふうに思っております。  まず最初は、ことし十一月に新食糧法が施行されるということでございます。昨年の十二月八日に法律が公布されたわけでございまして、米穀年度のスタートに合わせて施行をするということでございますが、実際に施行をされれば恐らく直ちに基本指針といったものをつくられる、それからそういったことで米を選ぶのかあるいは転作を選ぶのか、そういった判断を農家の方に迫るようなことになる、そして翌年には恐らく基本計画というようなものを具体的に定めていくと。ただ、こういうふうな形で動く中で、実は予算も平成八年度の予算を十二月には例年編成をする、こういうふうな作業があるわけでございます。  それで、先ほど他の委員からも御指摘があったと思うわけでございますけれども、実際に今後、本当に新食糧法をどういうふうな形で施行に向けてスケジュールを描いておられるのか。そしてまた、そのために政省令も検討されておる、こういうことでございますけれども、その具体的な政省令の検討状況、それから検討のスケジュール、と申しますのも、八月末には恐らく概算要求の締め切りと、こういうふうな形になるわけでございますから、そこのところであらかたの骨格というのは出てくるのか、そこら辺のところも踏まえてちょっと現在のお考えになっているところをお聞かせいただければと、こういうふうに思います。
  73. 阿部修

    説明員阿部修君) 新食糧法の施行に向けての具体的なスケジュールなり政省令の検討状況というような御質問でございます。  輸出入の部分はこの四月からもう実施でございますが、それ以外のものにつきましてはこの十一月一日ということで、今予定している方向でやっておるというふうな状況でございます。  現状を申しますと、このために必要な政省令及び具体的な制度の運用というところにつきまして検討を進めておる段階でございますし、制度全体が切りかわっていくということでございまして、制度の隅々までと申しましょうか、細部に至るまで十分な検討をやらなければいかぬというようなことでございまして、現在私ども、生産者の方々なり流通業者の方々、消費者の方々、そういった意見を十分に把握するように努めておりまして、全体的な検討を進めておるというようなところでございます。  少しでも早くやれ、検討をしろというような御意見が方々からあるわけでございます。私どもも今鋭意やっておるわけでございまして、ある程度固まったそういったような段階におきましては、十分前広にお示ししていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  74. 都築譲

    ○都築譲君 前広にというのはできるだけ早くと、こういうことだろうと思いますけれども、実際に農水省の場合は政省令という大変重要な事項決定するわけですから、恐らく審議会などにお諮りになるんだろう、こういうふうに思うわけでございます。  そうしたときに、米価決定については米価審議会の方で行う、こういうことでございますけれども、今おっしゃられた政省令などはどういう審議会で決定されることになるのか、そういったところももう既にお考えになられておられるのか、農政審議会が出てくるようなお話になるのか、そこら辺のところはいかがでございますか。
  75. 阿部修

    説明員阿部修君) 政令で定める審議会というふうになっておりまして、米価審議会のようなイメージをしておるわけですけれども、まだきちんとこういうふうに決まっておるというあれではございません。
  76. 都築譲

    ○都築譲君 恐らく、十一月施行ということであれば、その審議会の審議も相当議論を尽くされる必要があるわけでしょうから、そうすると、そこから逆算すると相当早くからまた御準備もされていくのかなというふうな気もいたしますので、その点のところはこれは全体の話にかかわってくるわけでございますから、ぜひよろしくお願いをしたい、こういうふうに思います。  それで、今回の米価一定水準ということで設定をされると、平成八年度のお米についてはことしの秋にまた決定をしていく、政府米についてですね、というふうなお話で聞いておるわけでございますけれども、それとの関係で、実はこの間も新聞に出ておりましたけれども、いわゆる売買同時契約方式、SBS方式の輸入米が今回は五千六百トンある。ミニマムアクセス四%分ということで、玄米換算で四十二・六万トンのうちの五千六百トンでございますから、実際には割合として大変少ない、こういうふうに思うわけでございますけれども、SBS方式の輸入米が実際に価格決定についてどういう影響を持ってくるのか。  これは食糧庁の方で、商社とその卸業者の入札のできるだけ価格差の大きい順にとっていくようなお話もあろうかと思うわけですが、ただマークアップの差益が一キログラム二百九十二円以下だよというWTOにおける国際約束があるわけでございまして、そうすると実はそこで縛られておりますから、実際のところはそんなに差異は出てこないのかな、こういうふうな気がいたします。  問題になるのは、例えば卸業者が現在聞いているところでは二百七十二社あるようでございますが、この卸業者についても登録業者以外の新規参入を認めるということでオープンにしたというふうな話があるわけです。  一番気になりますのは、例えば下水道事業の関係で、数カ月前談合というふうなお話が随分あったわけでございまして、そこら辺のところを、まあマークアップの差益があるからどうなのか、天井に張りつくのかどうかという議論もやっぱりあろうかと思うわけでございますけれども、そういったSBS方式概要をもう一度教えていただきまして、そういったものが国産米の需要、供給あるいは価格にどういうふうな影響を及ぼすと認識をされておられるのか、ちょっとそこら辺のところをお教えいただければと、こういうふうに思います。
  77. 阿部修

    説明員阿部修君) SBSについてお答えする前に、ちょっと私、先ほどの答弁で誤解をいたしまして間違ったことを申しましたので、恐縮でございますが訂正させてもらいたいと思いますが、政省令を決める場合に審議会の御意見を聞くということになっているのかというところでございますが、必ず聞けというふうにはなっていないんですが、広く関係方面の意見を聞いてやってまいりたいというふうに思っております。  SBS方式でございますが、これはそもそものねらいといたしまして、輸入米の適正な市場評価を得るということで、量は少ないわけですけれどもやっておるわけでございまして、具体的に申しますと、食糧庁への売り渡し申込価格が食糧庁が設定した買い入れ予定価格のそれ以下で、食糧庁からの買い受け申込価格が私どもで設定した売り渡し予定価格以上のもののうちその売買差益が二百九十二円の範囲内というようなものにつきまして、売買差額が大きい申し込みのものから順次とっていくというようなものでございまして、そういうスタイルになっておるわけでございます。  その際の売り渡しの予定価格でございますが、これは多様など申しましょうか、ちょっと私どももどういうお米がというのは必ずしもきちっとわかっているわけではないわけでございますが、そういった多様な外国産米の市場評価を得るといったSBSの導入の趣旨も踏まえて、外国産米の品質や国内での評価、それから国産米の需給なり価格の状況を勘案して適切に決定してまいりたいというふうに思っておるわけでございまして、この入札を七月二十六日にやる予定でございまして、大体一番早い船が八月の下旬ぐらいには来るのかなというふうに思うわけでございます。  こういったSBS自体は、先ほど申しましたように輸入米の市場評価を得るために限定的にやっておるというようなものでございまして、国産米の全体の需給というようなものや価格に大きな影響を与えるということではないのかなというふうに考えておるわけでございます。  いずれにしても、私ども初めての経験でございますので、注意深く見守っていきたいというふうに思っております。
  78. 都築譲

    ○都築譲君 ぜひしっかりと見ていっていただきたい、こう思うわけです。  続きまして、政府米の話がこれから非常に重要になってくるわけで、算定方式の話も先ほど出てまいりました。それで、気になりますのは、政府米の位置づけ、役割が本当に自主流通米の価格の下支え機能を十分果たせるのか、こういう議論がやっぱりこれは非常に大きな問題であろうかと思うわけです。  もう一つは、今年度はミニマムアクセス四%と、こういうことですが、その量的な拡大が西暦二〇〇〇年には八%になってくるわけでございまして、特にまた問題になりますのは、実はドルだってわずかこの三カ月間で一挙に二〇%も下がるような状況になれば、今後どういうふうな形で為替の変動があるかもわからない。そうなれば、例えば具体的に日本産のお米の価格とそれから外国産米の価格、これは今、例えばタイとかなんかと比べると生産者価格で九倍とかなんとかと、こういうふうに言われておりますけれども、それだって実はドルベースで換算すれば物すごく開く事態になってくるんだろうなと、こういうふうに思うわけです。  そうすると、確かにミニマムアクセスということで数量を限定しておりますけれども、ますます供給圧力と申しますか、あるいは国内の需要者の動向だって、アクセス分の四%が八%になるということ、さらにまた為替変動があってそれが安く買えるというのに、政府米の価格決定はまだはっきりされておりませんから今からどうこう言うつもりはございませんけれども、実はもっと安くなるんじゃないのか、こういう議論だって出てくるだろうと、こういうふうに思うわけです。  だから、そこら辺のところについて本当に悪影響を及ぼさないようにということで、実は何を言うかというと、生産着の効率的な経営を推進するんだという形で一生懸命農水省も音頭を取って助成金も用意をしてやっておられる。ただ、それに対してまた、需要者の消費者の方は実はそういうふうな形にはなってこないのかもしれない。そういった中で、また国民が、やはり全体の生産者も消費者も流通業者も含めて納得するような形になればいいんですが、今後の五年間をどういうふうにごらんになるのか、そこのところをちょっと見解をお聞かせください。
  79. 阿部修

    説明員阿部修君) ミニマムアクセス米の政府売り渡し価格、売却価格が国内のお米のマーケットにどういう影響を与えていくかというのはなかなか難しいわけでございますけれども、私ども今考えておりますのは、このミニマムアクセス米の具体的な売り渡し価格の設定の仕方につきましては今から鋭意検討していくわけでございますが、いずれにいたしましても、外国産米の品質、それから外国産米の国内での評価、それから国産米の需給や価格の状況、さらにはSBSの結果というようなことを勘案いたしまして設定して、そういった悪影響を及ぼさないというような形でなるべく運用してまいりたいというふうに思っております。
  80. 都築譲

    ○都築譲君 それから次の点は、流通の複線化というのが認められたわけでございまして、農家によっては計画外流通というものを選択することが可能になると。  この間、新聞に出ておったんですけれども、「戸惑い広がる産地」ということで実は新潟の魚沼の関連の記事が出ておりました。それで、一つの単位農協が大手スーパーと互角に渡り合うというのはやっぱりなかなか難しいというふうなことがあるわけですが、逆に従来どおりの経済連を通じた計画出荷というのがあるということですが、コシヒカリが実は自由米市場だと四千円以上高く評価をされるのに、経済連を通すということであれば新潟の一般地区産に比べて六十キロ当たり八百円上乗せされるだけであると、こんなことがあるわけです。  他方、自由米ルートで計画外流通をやるというふうな形になりますと、例えば仮渡金の話とか補助金とか販売促進費が保証されない、あるいは消費地への輸送や代金回収の問題、こういったものもまた出てくると。こういうことだから、やはり余りリスクをかぶるというわけにもいかないんじゃないかというふうなお話もあるようでございまして、なかなか悩みが深いのかなというふうな気がするわけです。  だから、実際に政府としては、計画流通米ということで政府米とそれから自主流通米といったものをいろんな奨励措置あるいは助成措置を講ずることによってきっちりと供給が安定をするように努力していきたい、こういうお考えだろう、こういうふうに思うわけですが、逆にいい品質のものを安く買おうということは消費者もあるわけですし、いい品質のものだったらできるだけ高く売りたいという生産者考え方もあるわけです。そうすると、実際どこら辺で均衡するのか。助成金、奨励金それから安心感、こういったものを含めてどのルートを選択するのか、どこがその均衡点になるのかというところはこれはなかなか計量的に計測するというのは難しいのかもしれません。  実は、計画外流通の方にもし入るというふうなことになった場合に計画流通米というのが十分確保できない。じゃ逆に計画流通米を一生懸命確保しよう、安定供給全国一律に、時期的にも安定して出せるようにするんだと。計画外流通というのは、とれたときにさっと出してやればいいけれども、後は保管しなきゃいけない、保管のお金もかかる、こういうふうな話になってくるからやっぱり難しいんだと、こういうふうな話もあるかもしれません。だから、計画流通米を実際しっかり確保するためには、また奨励措置、助成金、こういったものでぐっと引きつけるけれども、実はまた国の予算で恐らくそこのところは賄っていかなきゃいかぬわけですね。そうすると、財政的な制約だってまた出てくるから全部が全部計画流通の方に来るという話でもないし、もともと食糧法を制定したのはそういう趣旨のものでもなかっただろう、こういうふうに思うわけでございます。  だから私、消費者の立場からいえば、二面性を持っているからなかなか難しいんですが、計画流通米が本当に確保できなくなるようなおそれはないのか、そしてそのためにしっかりとした財政措置というものを講じることができるのか、そこら辺のところをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  81. 阿部修

    説明員阿部修君) 先生御指摘のように、消費者が必要といたしますお米を安定的にずっと流していくためには、計画流通米が大宗を占めていくということがもう不可欠でございます。私どもそういう努力をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございますが、こういったために、計画流通米を量的にも確保するとともに年間を通じましてきちんと計画的に販売をしていく、かつ安定した価格で販売していくというような観点に立ちまして計画出荷米に対して必要な助成措置ということを検討していくこととしておるわけでございます。  それからあと、先ほど非常によい品質のお米をできるだけ高くというような話がございました。ちょっと私よく理解できなかったかもわかりませんけれども、自主流通米の市場、センターでございますが、あちらの方でも品質によって随分値段の差がついております。
  82. 都築譲

    ○都築譲君 今、阿部次長が言われた点でございますけれども、計画外流通米についても価格形成センターの関与があるわけでございますか。そういう意味じゃございませんね。
  83. 阿部修

    説明員阿部修君) いえ、ありません。
  84. 都築譲

    ○都築譲君 そうですね、はい。  それで、今、最後のところで阿部次長が言われましたように計画流通米の助成金でございますけれども、先ほども申し上げたように、国民生活の観点から米が時期的にも地域的にも偏ることなく安定的に供給されることはやはりぜひ必要なことである、こういうふうに思うわけでございまして、その点について助成金をどういうふうな形で拡充強化されるのか。これは農業団体、農民連盟の皆さん方からもいろいろ言われておるわけでございまして、その点について、まだまだこれから政省令の検討をすることになるのかな、予算措置とあわせてやっていかれることになるのかな、こういうふうに思うわけですが、基本的な考え方など、もし御披露できるものがありましたらちょっと教えていただければと、こういうふうに思います。
  85. 阿部修

    説明員阿部修君) 具体的な仕組みにつきましては今から検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
  86. 都築譲

    ○都築譲君 これは通告外の質問でございますのであれですが、先ほど平成会の風間委員からもお話がございました北朝鮮への米の援助の問題でございます。  援助ということになれば恐らく外交関係でございますから、もっとも国交がない国と外交関係がどうあるか、もともとこういう問題はあるかもしれませんが、国のお金を投じて今まで保有をしてきたお米を国交のない国に売り渡すのか、無償で提供するのか、そこのところはまだ議論が日々変わっているようでございますけれども、北朝鮮という国とは今まで国交もなく、それからさまざまな外交問題を抱えております。最近でも原子力発電所、核査察の問題もいろいろ問題になっておるわけでございまして、そういった意味で、これは農水省の方に申し上げる話ではないのかもしれませんけれども、私どもの立場としても、ぜひ国会でも十分議論を尽くしてやっていくべきではないかということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  87. 林紀子

    ○林紀子君 新食糧法もとでは、政府の米の買い入れ価格というのは自主流通米価格センターで形成された価格、いわゆる市場原理に基づく入札価格基本とする、こういうことになるわけですね。そうしますと、この政府の買い入れ価格というのは下支えの役割というのは果たさないということになると思います。  こうした下支えの機能がなくなるとどうなるか。農水省の農業研究センターの研究室長が学会で発表したというのを私も拝見したんですが、新食糧法もとでは六十キロ一万円に急落する可能性もあるというふうに発表なさっているわけです。こういう事態も起こり得るのではないかと思いますが、どういうふうにお考えでしょうか。
  88. 阿部修

    説明員阿部修君) 新食糧法におきましては、御指摘のように政府買い入れ価格につきましては、自主米の価格変動が反映されたものとすることを基本として、あわせて生産コストを参酌して設定していくというようなことになるわけでございまして、お米のマーケットの需給を安定させるということが価格の安定につながっていくわけでございます。そうした需給を安定させるという面で、生産調整や備蓄の運営を通じまして適切な需給調整を図っていくというのがまずあるわけでございます。  それから、価格形成センターでの価格形成でございますが、これも今もやっておりますけれども、適切な値幅と申しましょうかバンドの範囲内で、その中で自主流通の価格形成を図るというようなことによりまして米全体の価格の安定を確保するというようなことが重要であるというふうに考えております。
  89. 林紀子

    ○林紀子君 今、生産調整というお話も出ましたけれども、ミニマムアクセス四十万トン余りを輸入してどうして生産調整なのかという声は農民の間で大変大きいわけです。そして、この減反というのは自由化をする前は、ミニマムアクセスを受け入れる前はそれを阻止するために減反だということでずっと言われてきたわけですね。ミニマムアクセスを受け入れたら、今度は価格を下げないために減反だということをずっと言われるということでは、いつでも本当に痛手を受けるのは生産する農民だというふうに思わざるを得ないわけです。  我が党は、自主流通米取引に最低取引価格制度というのを導入して、そしてこの価格がどんどん下がってしまうのを抑えるべきだということを御提案しているんですけれども、当面六十キロ二万円の最低取引価格を設定する、そして価格が下落したときに国が価格支持を講ずる、いわゆる下支え機能を講ずるべきではないか、それが暴落をしていく大きな歯どめになると思いますけれども、それについてはどのようにお考えになりますでしょうか。
  90. 阿部修

    説明員阿部修君) 新食糧法におきましては、自主米が実態的にもお米の流通の主体となるというようなことでございまして、自主米の価格形成センターにおきます一層の透明性を持った価格形成につきましてもそういった入札取引によりまして需給実勢が的確に反映されるというようなことになるわけでございます。  この場合の価格水準でございますが、需給事情なり市場の評価に応じて変動するというようなことになるわけでございますが、御案内のようにこの変動が非常に極端なものになれば稲作農家、消費者家計等にも非常に悪い影響を及ぼすことも考えられるわけでございまして、それで、先ほど私申し上げましたように、そういったものを避けるためにも需給の的確なる調整、それからこの自主米の価格形成センターでの価格につきましては先ほどバンドと申しましたけれども、そういった適切な値幅の範囲内で価格形成を図るということで価格の安定を確保していきたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、センターにおきます入札取引の具体的な仕組みでございますが、自主流通米の価格形成機構の運営委員会という席がございまして、これまでのこの機構の経験を踏まえまして、今後、新制度におきます自主米の役割が十分発揮されるように関係者が十分譲諭して決定していく必要があるというふうに思っておる次第でございます。
  91. 林紀子

    ○林紀子君 それでは、その中でぜひこの二万円の最低取引価格を設定するということもお考えいただきたいと思うんですね。これがもし国で不可能であるということになりましたら、都道府県単位で米の価格支持を行うということが制度上可能かどうかということをお聞きしたいわけです。  例えば、山形の「どまんなか」が六十キロ二万円の価格を割り込んだというようなときには、県がその差額を補償する仕組みをつくる、そういうことでやっぱり農家価格を、きちんと手取りを保障していく、そういうことは制度上の問題として可能でしょうか。
  92. 阿部修

    説明員阿部修君) 御指摘のことは、ちょっと私理解不足かもわかりませんが、都道府県がいわば価格支持ということで、不足払い、そういうようなことをするということではないかと思うわけでございますが、制度上これがすぐ問題になるというものではないわけでございます。  そもそもお米の需給なり価格の安定というのはナショナルベース全国ベースでその安定というのを確保していくべき問題であるというふうに思うわけでございまして、各地域がそういうようなこと、私もちょっとイメージがまだわかないんですけれども、どういうぐあいになるのかなというふうに思っており、ちょっとイメージがはっきりしないわけでございます。
  93. 林紀子

    ○林紀子君 例えば野菜の価格支持というのを県ごとでやっているということがありますから、それと同じような考え方で米もやっていけるんじゃないかということなんです。  ちょっと時間がありませんので最後の質問をお伺いしたいんですけれども、生産資材の問題なんですね。  円高がこれだけ進んでいるのに生産資材が一向に安くなっていない。特に除草剤については異常に値が高くて、どの商店で買っても同じで、これはやみカルテルではないかという声も私のところに寄せられました。農水省では、農蚕園芸局長の私的諮問機関として、この六月には農業生産資材問題検討会というのを設置したというふうにお伺いしているわけですが、円高差益の還元も含めて、どのように生産資材価格の引き下げを図っていくのかどうかというのをお聞きしたいと思います。
  94. 日出英輔

    説明員(日出英輔君) 私どもといたしましては、農業の生産コスト低減を図るためには資材費の低減は重要だということで、今先生お話しのように研究会を開いて、秋口までに結論を出すべく急いで検討しておるところでございます。  ただ、お話しのように、円高が直接響きやすい例えば肥料のようなもの、それから円高がおおよそ響きにくい例えば農機具のような問題、生産資材の中にも円高との関係ではいろいろございますが、いずれにいたしましても、その本体価格の問題あるいは流通経費の問題あるいは利用の問題、さまざまな角度から検討いたしまして資材費全体のコスト低減を図る、こういうつもりでやっていきたいと思っております。
  95. 青木幹雄

    委員長青木幹雄君) 林君、時間が過ぎています。
  96. 林紀子

    ○林紀子君 阿部次長、先ほどのお答え何かありますか。先ほど時間がないので飛ばしてしまいましたけれども、先ほどの続きということでお答えがありましたら最後にお答えいただきたいと思うんですけれども、県段階の問題です。
  97. 阿部修

    説明員阿部修君) ですから、私自身イメージがはっきりしないという面が、お許し願いたいんですけれども、制度上直ちに問題となるというものではないと思います。ただ、米の値段は全国ベース調整するわけでございますから、例えば山形のそういったシステムと新潟のシステムとどういうマッチングをするのかなということで、ちょっと私もよくはっきりしないという面があるということでございました。  それから、私、先ほど稲村先生の質問のときにちょっとすぐ答えが出てまいらなかったわけでございますが、米価算定の五年産の場合でございますが、北海道の算定に含まれる農家戸数は二戸だそうでございます。どうも大変失礼いたしました。
  98. 青木幹雄

    委員長青木幹雄君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十四分散会