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1995-03-17 第132回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成七年三月十七日(金曜日)     ―――――――――――――    午前十時開会    委員異動  三月十五日     辞任         補欠選任      山下 栄一君     北澤 俊美君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         岡野  裕君     理 事                 板垣  正君                 狩野  安君                 瀬谷 英行君                 寺澤 芳男君     委 員                 井上  孝君                 岡部 三郎君                 村上 正邦君                 栗原 君子君                 北澤 俊美君                 高桑 栄松君                 永野 茂門君                 吉田 之久君                 聴濤  弘君                 田  英夫君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 五十嵐広三君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  山口 鶴男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  玉沢徳一郎君         ―――――        会計検査院長   矢崎 新二君         ―――――    政府委員        内閣官房内閣情        報調査室長    大森 義夫君        人事院総裁    弥富啓之助君        人事院事務総局        管理局長     山崎宏一郎君        宮内庁次長    鎌倉  節君        皇室経済主管   古居 儔治君        総務庁長官官房        長        池ノ内祐司君        総務庁人事局長  杉浦  力君        総務庁行政管理        局長       陶山  浩君        防衛庁参事官   小池 寛治君        防衛庁参事官   熊谷冨士雄君        防衛庁長官官房        長        三井 康有君        防衛庁防衛局長  村田 直昭君        防衛庁人事局長  萩  次郎君        外務大臣官房外        務参事官     谷内正太郎君    事務局側        事 務 総 長  戸張 正雄君        常任委員会専門        員        菅野  清君    衆議院事務局側        事 務 総 長  谷  福丸君    裁判官弾劾裁判所事務局側        事 務 局 長  中川 俊彦君    裁判官訴追委員会事務局側        事 務 局 長  舟橋 定之君    国立国会図書館側        館     長  緒方信一郎君    説明員        総務庁長官官房        審議官      大橋 豊彦君        外務大臣官房審        議官       竹内 行夫君        外務大臣官房審        議官       高野 紀元君        外務省経済協力        局国際緊急援助        室長       和田 章男君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○平成七年度一般会計予算内閣提出衆議院送  付)、平成七年度特別会計予算内閣提出、衆  議院送付)、平成七年度政府関係機関予算(内  閣提出、衆議院送付)について  (皇室費国会所管会計検査院所管内閣所  管及び総理府所管総理本府、日本学術会議、  国際平和協力本部宮内庁総務庁北方対策  本部を除く)、防衛本庁防衛施設庁))     ―――――――――――――
  2. 岡野裕

    委員長岡野裕君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十五日、山下栄一君が委員を辞任され、その補欠として北澤俊美君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 去る三月十四日、予算委員会から、三月十七日、本日一日間、平成七年度総予算中、皇室費国会所管会計検査院所管内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、日本学術会議国際平和協力本部宮内庁北方対策本部を除く総務庁防衛本庁防衛施設庁について審査の委嘱がありましたので、御報告いたします。  この際、本件を議題とし、順次予算説明を聴取いたします。  予算説明につきましては、国会所管及び会計検査院所管以外は去る二月九日の本委員会におきまして既にこれを聴取しておりますので、この際、国会所管及び会計検査院所管予算説明を聴取いたします。  まず、国会所管のうち衆議院関係予算説明を求めます。谷衆議院事務総長
  4. 谷福丸

    衆議院事務総長谷福丸君) 平成七年度衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成七年度国会所管衆議院関係歳出予算要求額は六百六十九億三千八百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと七億千五百万円余の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は、国会運営に必要な経費でありまして、六百四十一億千九百万円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し一億三千四百万円余の増加となっておりますが、その主なものは、議員歳費等増加によるものであります。  第二は、衆議院施設整備に必要な経費といたしまして、二十八億千百万円余を計上いたしております。  この主なものは、平成九年度に完成を目途とする第二別館の増築費各所冷房用冷凍機設備改修費国会審議テレビ中継設備整備費及び本館等庁舎の諸整備に要する経費並びに国会周辺等整備に必要な土地購入費でございます。  第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。  以上、簡単でありますが、衆議院関係歳出予算概略を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  5. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 次に、参議院関係予算説明を求めます。戸張参議院事務総長
  6. 戸張正雄

    事務総長戸張正雄君) 平成七年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成七年度国会所管参議院関係歳出予算要求額は三百九十九億七千七百万円余でありまして、これを前年度に比較いたしますと二十二億九千百万円余の増加となっております。  次に、その概略を御説明申し上げます。  第一は、国会運営に必要な経費でありまして、三百八十五億円余を計上いたしております。  この経費は、議員関係の諸経費職員人件費並びに事務局及び法制局所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し十八億八千百万円余の増加となっております。これは主として、人件費増加によるもののほか、第十七回参議院議員通常選挙に伴う改選関係経費の計上によるものでございます。  第二は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、十四億七千百万円余を計上いたしております。これは、本館地階傍聴参観者施設改修費国会審議テレビ中継設備整備費及び本館その他庁舎等施設整備に要する経費でございます。  第三は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。  以上、平成七年度参議院関係歳出予算概略を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  7. 岡野裕

  8. 緒方信一郎

    国立国会図書館長緒方信一郎君) 平成七年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成七年度国会所管国立国会図書館関係歳出予算要求額は百五十四億三千百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと二億五千六百万円余の増額となっております。  次に、その概要を御説明申し上げます。  第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は百二十七億九千三百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと三億五百万円余の減額となっておりますが、これは主として退職手当等人件費減少によるもので、関西館建設準備経費図書館業務機械化国会サービス充実のための経費図書館資料収集保存対策経費等につきましてはそれぞれ増額計上いたしております。  第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、五億五千九百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと一千万円余の増額となっております。  第三は、施設整備に必要な経費でありまして、二十億七千八百万円余を計上いたしております。これは、本館改修に要する経費関西館用地の取得に要する経費及び支部上野図書館庁舎安全性調査経費等でございまして、前年度予算額と比較いたしますと五億五千百万円余の増額となっております。  以上、簡単でありますが、国立国会図書館関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  9. 岡野裕

  10. 中川俊彦

    裁判官弾劾裁判所参事中川俊彦君) 平成七年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成七年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係歳出予算要求額は一億二千二百六十万円余でありまして、これを前年度予算額一億二千二百五十一万円余に比較いたしますと九万円余の増加となっております。  この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長職務雑費委員旅費及び事務局職員給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官弾劾裁判に直接必要な旅費庁費であります。  以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  11. 岡野裕

  12. 舟橋定之

    裁判官訴追委員会参事舟橋定之君) 平成七年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。  平成七年度国会所管裁判官訴追委員会関係歳出予算要求額は一億三千五百七十万円余でありまして、これを前年度予算額一億三千九百九万円余に比較いたしますと三百三十八万円余の減少となっております。  この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長職務雑費及び事務局職員給与に関する経費並びに訴追事案審査に要する旅費その他の事務費であります。  以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  13. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 以上をもちまして国会所管予算説明聴取は終わりました。  次に、会計検査院所管予算説明を求めます。矢崎会計検査院長
  14. 矢崎新二

    会計検査院長矢崎新二君) 平成七年度会計検査院所管歳出予算について御説明いたします。  会計検査院平成七年度予定経費要求額は百五十一億二千二百二万六千円でありまして、これは日本国憲法九十条及び会計検査院法の規定に基づく本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。  今、要求額の主なものについて申し上げますと、人件費として百二十九億一千百五十三万八千円を計上いたしましたが、これは総額の八五・四%に当たっております。このうちには、会計検査充実を図るため、一般職員十二人を増置する経費も含まれております。  旅費として八億七百五万九千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、検査旅費が七億一千九十三万七千円、海外検査等外国旅費が二千五百四万二千円であります。  施設整備費として二億七千五百八十一万六千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、庁舎事務室等改修工事費一億六百六十万九千円、宿舎改修工事費七千七百八十七万一二千円であります。  その他の経費として十一億二千七百六十一万三千円を計上いたしましたが、このうちには、検査の円滑な実施を図るための会計検査活動費一億五千九十七万八千円、会計検査充実強化のための経費七千五百九十一万二千円、検査業務効率化を図るための経費二億九千六百九十二万六千円及び検査要員等充実強化のための研究・研修体制整備経費二億五千九百八十五万三千円が含まれております。  ただいま申し上げました平成七年度予定経費要求額百五十一億二千二百二万六千円を前年度予算額百四十八億八千五百三十七万一千円に比較いたしますと、二億三千六百六十五万五千円の増加となっております。  以上、簡単でありますが、本院の平成七年度予定経費要求額概要の御説明を終わります。  よろしく御審議のほどお願いいたします。
  15. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 以上で予算説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  16. 板垣正

    板垣正君 初めに、過般の阪神大震災、これに関連をしてお伺いしたいと思います。  一月十七日に勃発をいたしましたまさに未曾有と言っていい阪神淡路大震災、絶大なる災害をもたらし、五千四百を超えるとうとい人命が失われ、また今なお八万を超える被災者方々が非常な不自由な生活を強いられておる。その他もうあらゆる面で大変な状態が続いているわけでございます。こうして亡くなった方々に改めて心からお悔やみ申し上げ、また罹災者方々にお見舞いを申し上げる次第であります。  私がきょう特に申し上げたいのは、自衛隊皆さん方の大変献身的な活動であります。初期出動が遅かったとかいろいろなことを言われたりいたしておりますけれども、またこれは全般的に反省すべき、あるいは今後検討すべき問題がいろいろあろうかと思います。それらはまた後で伺いたいと思いますけれども、とにかくまさに不眠不休、献身的に自衛隊皆さんが大変な救援活動を展開された、私は心から感謝し、敬意を表する次第であります。  現在までの概要で結構でございますけれども、災害救援についての自衛隊活動の概況、そして現在どういう活動をしておられるか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  17. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) まず現在、自衛隊現地における支援要請の変化を踏まえ、兵庫県等の関係機関と調整を行いつつ、医療給水給食入浴支援等生活支援活動及び倒壊家屋等瓦れき処理を行っているところでございます。  なお、人命救助につきましては、第二次災害が起きた場合に備えまして、要請があればいつでも即応体制をとれるように待機しながらやっておるところでございます。  そこで、委員指摘の今日までの活動状況でございますけれども、現在、人員数陸上自衛隊が一万六千四百名、海上自衛隊が千九百名、航空自衛隊が三千九百名、全体として二万二千二百名でございますが、先ほど申し上げました即応体制、この一万名を含んでおります。したがいまして、一万二千二百人が活動いたしておりまして、航空機数は百五、現在艦艇は二となっております。さらに車両数は三千七百両で活動を行っております。  今までの活動実績でございますが、人命救助は百六十五名、御遺体の収容は千二百三十六体、医療支援におきましては二万人となっております。給食支援は五十八万食、給水支援は五万四千トンに上っております。入浴支援入浴者数三十九万三千人を超えております。さらに糧食等の輸送につきましては七百十万五千食を輸送し、毛布は十六万一千枚を輸送いたしております。道路開通、これは啓開という言葉でございますが、道路開通は三十四・八キロメーター。それから現在、主な活動となっておりますけれども、家屋解体につきましては、神戸及び淡路島合計で千六百二十五戸を解体いたしております。これは三月十五日現在の数字でございます。  以上でございます。
  18. 板垣正

    板垣正君 ただいま御報告いただいたとおり、まさに自衛隊の自己完結的な組織、何よりもやはり日ごろの国を守る、国の平和と安全を守る、そのためには厳しい訓練を日夜重ねる、そういう姿がある意味における異常事態対応してそれだけの成果を上げていただいておる、また住民からも大変感謝をされておると伺っておるわけでございます。  そこで、「セキュリタリアン」という、これは自衛隊防衛関係の、これで「阪神淡路大震災を検証する」というので非常によくまとめておられます。特に、私はいろいろ拝見いたしましたけれども、「マスコミ報道を科す」というページがあります。これはぜひ多くの方に見ていただきたいと思うんです。例えばヘリコプターによる初期消火活動の問題、こういうものについてもできたのではないかというそういう検討もされたけれども、結局消防庁の方で判断をいろいろやられたわけで実施はされなかったような問題をめぐって、また被災地の上空における自衛隊ヘリコプターの飛行の問題であるとか、もっとヘリコプターにより大量動員できたのではないかとか、あるいは偵察ヘリの撮影したビデオカメラが机の上に置きっ放しにされたのではないかと、これもそうではないという事実がはっきりここに解明されております。  こういうことで、あれは二月十六日でございますけれども、私も現地に一日でありますが参りまして自衛隊の幹部の皆さん方お話を伺い、あるいは家屋解体作業あるいは入浴実施活動状況を目の当たりにさせていただき、また隊員方々お話も伺ってきたんですけれども、やはりああした隊員活動の姿というのが比較的報道に載らないんですね。率直にもっと自分たちがやっている姿というものをPRしてほしいという声もございました。そういう点でまさに報われない姿で、持っていった水を自分たちの飲む分まで提供したとか、被災方々が不自由な生活をしておられる、天幕を張って寝るには忍びないと車の中で仮眠しながら、ほとんどの隊員が飲まず食わずで二十時間ぶっ続けで初めの段階は働かれた、そういう姿。そういうのはやはり自衛隊防衛庁立場でも隊員の労苦にこたえる形で国民の皆さん方にもよく知っていただく努力が必要であろうと思うし、そういう意味でもあえてこうした防衛関係の雑誌でマスコミ報道の誤った点を正される姿勢というのは非常に意味のあることだと思います。  その中で一つだけ、ここに説明はありますけれども、出動命令が出なかった、「地震発生後、現地部隊出動できる体制をとりながら、出動命令がついに出ず、防衛庁(及び官邸)に部隊出動命令発出の許可を求めても、「待て」の言葉しか帰って来なかった」と。これが某週刊誌に載せられた記事でありますね。こういうことは我々の耳にも入ってきましたが、これについてもきちっとした説明がなされておりますけれども、これは自衛隊防衛庁基本にかかわる問題でありますから、この点についてはこの事実関係をもう一度ここではっきり御説明いただきたいと思います。
  19. 村田直昭

    政府委員村田直昭君) 今、先生も御指摘のとおり、出動命令が出ずということで一部週刊誌にそのような記事が出たことは私も承知しておりますが、これにつきましては再々申し上げておりますけれども、要するに震災が発災しまして、五時四十六分でございますが、陸上自衛隊としては六時に直ちに非常呼集をかけて隊員を集めるということをいたしまして、それから七時十四分には陸上自衛隊ヘリコプターが八尾から発進をする。また、さらに引き続きもう一機発進をするということで、その間伊丹駐屯地におきましては、阪急の伊丹駅でございます……
  20. 板垣正

    板垣正君 その辺はわかっておりますから。もっと官邸との関係とか、本庁との関係連絡がなかったというふうなことなんですね、この報道は。
  21. 村田直昭

    政府委員村田直昭君) それで私どもとしては、これは官邸の御判断を待つまでもなく部隊として判断をし、今私がちょっと申し上げましたような活動に入っておるわけでございまして、これはここに書いてありますような発動命令を待って足踏みしておったが、それが来なかったというような状態ではないということでございます。
  22. 板垣正

    板垣正君 関連しまして、特にこの週刊誌報道等によって、四時間の空白がなければもっと救えたんじゃないかと。これはやはり初期出動、もっと早く現場にと、こういう思いは我々にも率直にあるわけですけれども、そして現実に兵庫県庁から自衛隊出動要請があったのは十時ということですね、当日の。つまりこれが言われる四時間の空白ということなんですね。  この問題で私は、自衛隊立場で今お話しのように既に要請のある前からもう偵察をする、伊丹では部隊も出る、あるいは姫路でもいつでも出られる体制をつくっている、しかし県庁となかなか連絡がとれない、しかも要請といってももうとにかく状況がわからないまま出てもらいたい、こういう格好で出るということになったと思うんです。  そういう意味合いでは、この初期出動の問題、これにどう的確に対処するか、こういう点で今、防衛庁でも検討されておられると思いますけれども、この自衛隊災害派遣の権限、そうした問題で政府防災基生計画改定の問題、防災基本計画改定という方針の案をめぐって現在検討されているようですが、大地震発生後一時間以内に都道府県から連絡がない場合、総理大臣自衛隊出動を命じる、こういう点について検討されているとか、あるいは初期出動について自衛隊を警察とか消防と並んで災害救援組織として位置づける、そういう形でこれは日ごろからの共同訓練、こうしたことも一層やりやすくなるという意味があると思いますけれども、つまり法改正の問題ですね。  自衛隊災害救援はではどう位置づけるのか、やはり要請を待って出るという建前、これは原則でありましょう。地方自治体が原則でありましょうけれども、なかなか全体の状況がつかめない、そういう中で仮に今度の四時間というものの空白というものが、おくれというものがもしあったとするならば、より早い形における防衛庁長官なりあるいは官邸からの出動というふうな今読み上げたようなことが政府防災基本計画で検討されている、こういうことでございますけれども、これについては長官はどういう御見解を持たれますか。
  23. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) まず当時の状況を考えてみまして、なぜ四時間も要請がおくれたか。私も知事さんともお話し合いをいたしたわけでございますが、自宅から県庁まで三キロ離れている、歩けば一時間ぐらいで到達することはできたとは思うんですけれども、車が来るまで待っておった。それから同時に、県庁に参りましてから会議を開いて、若干勘違いされておったかとは思うのでございますが、自衛隊派遣要請をする場合におきましては、例えば被害状況を把握して、要請する人員それから要請事項及び期間はどうするかと、こういうようなものを整えなければ要請できないというふうに考えておられたのではないか。  そうじゃなく、まず第一に、これは県の対応を超えた災害であるというふうに判断した場合におきましては、県庁に到着しなくとも、自衛隊に対して最も被害が大きいところは神戸市である、神戸市に出動をお願いしたい、こういうことが私は自宅からでも車の中からでも要請できるということをまず知ってもらいたいということでございます。したがいまして、知事さんの要請というものはできるだけ早いにこしたことはない。今までの例でも災害が発生してから十八分後に要請したという例もあるわけでございます。  それからさらに、自主出動の点のお尋ねでございましたが、自衛隊法八十一三条の三項によりますと、近傍災害人命救助も含めた対応をするという形になりまして、自主出動を認めておるわけでございます。今回の場合におきまして、阪急伊丹駅及び西宮の病院裏の生き埋め人命救助に対しましては合わせて二百五十人の隊員が救生活動に当たりまして、実際に人命救助をいたしておるわけでございます。  そうした場合に、一つここも反省材料でございますが、伊丹市警察及び西宮の警察にはもっと多くの情報が寄せられておったと思うんです、市内全域の問題。ところが、これが自衛隊に、場所の特定初めこの地域救済の要請があったかどうかと、私は極めて少なかったんじゃないかと思うんですね。だから、自主出動をする場合におきましても、基地の周辺でございますから、この場合はやはり情報というものが、警察あるいは消防との連携というものがふだんからなければ、こういうものをもっと自衛隊を活用するという意味においておくれをとるのではないかと、こういうところを私は考えておるところであります。  したがいまして、総理大臣に権限を与えて、都道府県から連絡がない場合は自主出動を命ずる、このことを検討することも大事でありますが、自衛隊現地に駐在をいたしておるわけでありますから、現地判断というものが極めて重要でありますし、一刻を争うという場合におきましてはこの府県からの出動要請の可能な限り早い体制をいかにとるかということ、それから警察、消防とどのような連携をいたしまして救生活動を行うか、この二点を詰めてまいりますならば、内閣総理大臣云々というよりももっと早い対応ができるだろう、このように考えております。
  24. 板垣正

    板垣正君 今お話しのとおりに、要請の様式といいますか、いつ、どこに、何名、いつまで、どういう作業で、こういう様式が決められてるから、知事さんはやっぱりそういうので出さなきゃというので、情報がわからないという格好であれだった思うが。  いずれにしましても、今までかつてないまさに大災害である。私も参りましたとき、自衛隊の幹部の皆さん方にも伺いました。つまり、どのくらいの災害であるのかという、やはり第三師団なら第三師団の管下、それで何とかいけるんじゃないか。地元、あれは第三師団ですか。
  25. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) はい、そうです。
  26. 板垣正

    板垣正君 あと一〇師団、一三師団ですね、広島、愛知。それまで全部注ぎ込むに値するかどうかという判断がなかなかつかなかった。だから、現実に出動させたのは給水部隊ですね。一三師団とか一〇師団の場合は、十七日の夜、給水部隊を何百名か出せと、これは着眼はよかったわけですけれども。つまり全体の規模というのは、今顧みればそれこそ全国の自衛隊挙げて取り組むような大きな災害であったわけでございます。  そういう面で、やはり現地判断現地の情報収集というのはもちろん大事ですけれども、まさにそれを超えたような状態においてなかなか全体をつかんで瞬時の判断というのは難しい場合もあり得るということの一つのあれじゃないか。こういう意味合いにおいて、今御答弁ございましたけれども、今のこの防災計画の検討、防災基本法の検討ともあわせて御検討いただきたい。  法律の関連について、やはりよく言われます九十四条関連ですね。これはやはり私ども参りましても、おふろをつくるにしても、公衆浴場はやっぱり法律がありましてもちろんやたらなところにふろをつくるわけにはふだんはいきません。しかし、そういう問題についてもすぐ法律にぶつかる。消防法との関連でもいろいろぶつかる。また、九十四条で認められている、警官が不在なときはこれだけはやれる、避難勧告するとか立ち入りできるという程度であって、余りにも縛られていると申しますか、いずれにしましてもその根底にありますのは、この法律そのものが、まだ自衛隊そのものがある意味で非常に日陰扱いといいますか、なるべく控える控えると、こういう状況の中でいろいろな計画が進められざるを得ない、そういう面もあったと思います。  この九十四条、災害救援の問題を第三条の本来任務に位置づけるかどうかについては、現地の指揮官等の立場からもやはり防衛、国を守るという本来任務というものが、これが根底にある。災害救援はもちろん重大でありますけれども、これはひとり自衛隊のみに課せられる問題ではない。自衛隊は、もちろんその中心になってやっていただかなきゃならないけれども、やはり何といってももう都道府県あるいはそれを超える規模で挙げて取り組まなければならないわけであります。ただ、八十三条あるいは九十四条の関連、こういう問題については私はやはりこの際検討され、必要な法改正は必要じゃないのかという思いがいたします。  それから、もう一点は、やはり自衛隊が現場におられることは非常に住民にも安心感を与える。また、従来の防衛体制の配置からいっても、各地区に配備をされておる、今回は神戸市にはまとまった部隊はいない、姫路もしくは伊丹というふうな、これはもうやむを得ざる限られた人数でございましょうけれども、東京なり大関東の直下地震に対応というふうなことも現実感を持っていろいろ論議もされ、準備も進められようとしているところですね。  一例として、市ヶ谷に置かれておるあれは三二連隊ですか。市ヶ谷における三二連隊が防衛庁の移動計画に基づいて十一年には大宮に移るというふうな既定計画があるようですけれども、やはりヘリコプターで運ぶとか車で運ぶといっても今度の状況のとおりなんですね。姫路から神戸まで四時間かかるわけでしょう。  そういう状況をあれしますと、やはりこの市ヶ谷に置かれている、つまり東京都の真ん真ん中に置かれている実動部隊、この配置についてはもう一度検討し直す必要があるんじゃないか。その法改正の問題と配置の問題をちょっとお伺いいたします。
  27. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 私は、八十三条につきましては、やはり運用で十分万全の体制をとることができる。つまり、今回の神戸市のケースを見てまいりますと、夜中の十二時から朝の六時までに起きた、いわゆる百万都市と言われる政令都市の場合におきましては、地方自治体の警察、消防、いわゆる防災要員が持ち場に到達するまでにかなり時間がかかっておる。一番早く対応したのは我が自衛隊でございますが、これは二十四時間体制をとっておるわけですから。  したがいまして、ヘリコプターが飛んだのは、我が方が七時十四分、それから兵庫県警のヘリコプターが飛んだのが九時十五分、神戸市のヘリコプターが飛んだのが十時過ぎ、これだけの差があるということです。といいますのは、その要員がその場所に到達するまでにかなり時間がかかったんだろうと私は思います。  したがいまして、もし今後改善をするということでありますならば、やはり警察、消防と連絡を密にしながらできるだけ情報の交換をいたしまして、全体像というものを早くつかめるような体制をとるということが大事だと思いますし、さらにまた我が自衛隊は二十四時間体制をとっておるわけでありますから、大都市における防災体制というものも二十四時間体制というものをやはり考えていただきまして、地方自治体の危機管理体制というものをもっと強めていただきたい。  したがいまして、自衛隊法の八十三条をどんなに改正いたしましても、要請する側と協力する側である地方自治体が自衛隊というものに対して通報、連絡、協調というものがなければ、ただただ自衛隊が自主的な出動をしたとしましてもこれは万全の体制というものはとれないのじゃないか、私はそういうふうに考えておるわけであります。  それから、九十四条の点でございますけれども、九十四条につきましては、これは自衛隊を抑制するというよりは日本の憲法からくる物の考え方全体でございますが、例えば自動車を路上に放置しておるものが非常に通行の邪魔になるという場合におきましては、道路交通法によりまして警察が行う権限でございますが、自動車をどけてそれを保存しておかなきゃいかぬ、こういう形になっておる。私権の制限というものが法になかなか認められておらないところにあるわけです。したがいまして、自衛隊がやれるかどうかということも含めて、これは警察がやれるかどうかということも検討しまして、私権の制限というものをどうするか。  また、家屋を場合によっては消防その他によって破壊しなきゃならぬというような場合もあるかと思いますが、そうした場合も補償の問題とかいろいろな問題がありまして、やはり公的な権限を行使する場合におきまして私権の制限との関係とかそういうものを政府全体として検討しなければ、九十四条に警察と同じような権限を認めたからといってこれらの諸問題が解決されない限りは問題は依然として残る、こういうように考えているところであります。
  28. 板垣正

    板垣正君 市ヶ谷の部隊はどうですか。
  29. 村田直昭

    政府委員村田直昭君) 今回の防衛庁の六本木から市ヶ谷への移転の計画に伴いまして、先生御指摘のように市ヶ谷の部隊、三二連隊を大宮に移すという計画で今進んでおるわけでございます。  そして、この移転計画につきまして、その三二連隊の移転につきましては、私どもこの計画をつくるとき部内においても慎重に検討したところでございまして、その際に大宮に移すということ、それから朝霞にはまだ三一連隊が依然としておるわけでございます。それから、習志野に第一空挺団等の部隊があるというようなことも勘案しまして、現計画をつくる際に三二連隊を大宮に移すという計画にしたわけでございます。そのような意味で、第一空挺団というヘリをもって活動する精鋭部隊が習志野におるということも検討の上で計画を決めておりますので、現計画で進めたいと考えております。  いずれにしましても、今回の震災の結果、やっぱり初期の移動というものが非常に大切であるということは、この東京のみならず全国の今度の大規模災害派遣におけるヘリの活用ということも私どもは教訓事項として得ていますので、その活用もあわせて万全の体制をとってまいりたいと考えております。
  30. 板垣正

    板垣正君 どうも防衛庁は一回決めるともう変えない。市ヶ谷一号館を壊すと決めたら、何と言われようと壊してしまうと。もう私も一号館の問題はあえてここでは言いませんけれどもね。  災害の前ではありませんか、その移転計画だって。現に国民の中からも、新宿区の住民からも、多くの識者からも、そういう実動部隊、都の一番真ん中におる部隊を、こういう大災害、しかも東京直下地震も予想されるくらいな中で、既定方針だから変えないというだけでは納得できませんよ。もっと検討していただきたい。  九十四条の問題その他に関連しての長官の御説明はそれなりに私も納得できる。まさにこれは国全体の法体系、システム、あるいはもうある意味では住民の意識ですね。まさにそういう意味では危機管理体制というものが、日本は余りに平和で安全過ぎて、地震ということは忘れるわけじゃないけれども、まさかと。特に、関西の地区はよもやという意識にもないくらいですね。そういうところにまさに天刑が下ったと、そう言っちゃ犠牲になった方がお気の毒ですけれども。  改めて危機管理体制なり、またいわゆるそういう異常な事態があり得るんだということが骨身にしみて、これはもう責任ある立場の者はもとより、多くの国民の皆さん方も改めてそうした認識を持たれた。そういう中で防衛庁自衛隊の存在というものも国民意識に改めて、こういう不幸な事態を通じてではありますけれども、意識づけられたと思います。  しかし、今お話があったように、やはり国の管理体制のシステムなり、また日ごろの訓練なり計画に伴う十分な配慮なりがなくしては緊急の事態に対応できない。そうなってまいりますと、自衛隊の機能というものは非常にかけがえのないものであると同時に、やはり国民一人一人にとっては、みずからを守るのは自分なんだ、我が家を守るのは自分なんだ、この地域を守るのは自分たち地域住民なんだと。おのずから警察は警察の責任がある、消防は消防の責任がある、自衛隊方々も含めてこれらの方々は、あえて危険に身を投げてでも国民の生命、財産を守ろう、火を消そうと、こういうことで献身していただくわけでございますけれども、やはり地方自治体としては、今お話しのように受け身の立場ではなくして、言ってみれば自主的な防災組織、これも論議が出ているようですけれども、自主的な地域の防災組織、これは現実に今度の災害でも日ごろからの地域住民のつながりというのが綿密であったようなところにおいてはやっぱり危機対応において適切なとっさな処置がとられたということもありますから。  そうなってまいりますと、やはり大きな今後の課題としては、いわゆる市民防衛の問題ですね。これは諸外国どこでも、市民防衛というのは何も市民を戦争に参加させようというんじゃないんで、いかにして市民みずからがみずからの命を守るか、有事においてはむしろ戦う人たちをいかに戦いやすい体制に置くか、こういう点における市民防衛組織という問題、市民防衛の問題というのは我が国においてはこれまた欠落している問題じゃないのか。  それともう一つは、いわゆる有事法制の問題ですね。アメリカのFEMAにしても諸外国の災害救援組織にしても、やはりこれは国家の有事、そういうものにいつでも対応できるその体制が、災害対応においてもまさに機敏に対応できるということにこれは関連しておるし、一つの前提的なものにも位置づけられているんじゃないのか。そういう点では、我が方はまだまだ有事法制などというと、もう敬遠してしまうという空気がまだ濃厚であります。  やはり有事法制というあり方、これはただ自衛隊がやりやすいようにという建前だけではない、どうも今までの検討は。そうすると、各省庁のいろんな立場なり何かとぶつかって、もうにっちもさっちもいかない。これは防衛庁だけの問題ではない。有事法制の問題はやはりもっと政治の責任なり政府の責任において取り組まなきゃならないし、またいわゆる市民防衛、市民の防衛組織の問題についてもこの際、検討課題として今後取り組む必要がある。これは防衛庁の担当から若干ずれますけれども、御所見があれば承りたいと思います。
  31. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 私は、世界各国における市民防衛の基本的な物の考え方はどこかと申しますと、やはり核戦争に生き残る、できるだけ犠牲を少なくする。そのためには、核戦争が起きた場合におきまして、できるだけ適切に国民の避難誘導をいたしまして最小限の被害で食いとめる。こういう考え方のもとに、例えばアメリカにしましてもスイスにしましてもスウェーデンにしましても、私も衆議院の安全保障委員会において各国を回ってきた経験でそのように感じておるところでございます。  そこで、アメリカのFEMAでございますけれども、これも核戦争を想定したところからスタートしておるわけでありますが、その後、災害対策に重点を置いて活動しておる、こういうように伺っておるわけであります。しかし私はここで、日本のシステムについても決して劣っていないということを申し上げたいと思うわけでございます。  それは、我が国には世界でも例を見ない自衛消防というのがあるわけです。この消防団の組織というのは大都市では活動は余り顕著ではありませんけれども、中小都市以下市町村では地域ごとに各分団がございまして、そしてその分団の活動には地域の人たちが後援会となって日ごろから防災活動を行う。消火活動ばかりでなく、水害等があった場合におきましても消防団が警察あるいは自治体との連携のもとに避難誘導、適切な行動をとっておる。こういうのを見れば、地域に非常に密着した防災組織というものがずっと根をおろしておる。これは世界に例のない防災組織だと私は日ごろから考え、私も地域に帰りますと、消防団の皆さんとたまには酒を一杯飲みながら友好増進をしているというところでございます。  これがつまり自衛隊等とも連携をすれば、自衛隊がある地方都市に行ったとしましても土地カンが全然わからないわけですから、何町の何番地で何が起きていると言ったって地図を一々見ながら行かなければならぬようなことではとても対応がおくれるわけです。各消防団がその場所におりまして、そして自衛隊とともどもに案内役をしていただきながら適切な誘導をしていただきましてそこで活動する、こういうものが私は最も大切じゃないかな、こう思っておるところでございます。  また、日本の災害対策基本法等におきましても、まず第一に自分たちの町は自分たちで守るというところの思想から始まっておる。したがって、市町村で起きた災害に対しては市町村が対応する。しかし、それがみずからの力でできない場合には広域の消防あるいは防災組織というものが連携する。なおかつ県にもそれが報告が行きまして、県で対応できるものは県で対応する。しかして、県で対応できない場合に国に要請をするということになっておるわけであります。  FEMAの組織も、我が国では外国のものがすべていいように報道されますけれども、やはりアメリカの場合におきましては地方政府、市政府だと思いますが、これが災害をまず受けて、そして州に報告をし、州からFEMAの本部に報告が行って、ホワイトハウスの大統領府に連絡が行って、そこでこれは連邦政府が介入すべきかどうかという判断をすると。検討しても、これは州でできるものではないかといった場合におきましては、連邦の救済活動はストップするということもあり得るというふうに書いてあるわけでございます。  そういうようなケースを見てまいりますならば、我が国の災害対策基本法の点におきましてもまさにFEMAと同じような体制のもとに行われておるわけでございますから、これを連携を強化するということでもってやれば、一々FEMAに行って勉強しなければ日本の防災体制はできない、こういう貧困なものではないと私は考えるわけです。  ロサンゼルスのノースリッジにおきましても、発生したのは四時半でございますが、連邦政府軍がロサンゼルスに入りましたのはその夜の六時過ぎです。ただし州の部隊ですか、これは早いわけです。しかし、連邦軍そのものが救済に入ったのはその日の夕方でございますから、これは国土が大きいということもあるかもしれませんけれども、そういうものと比べて我が自衛隊が初動におくれているとは言っておりますけれども、発生と同時に行動しているということからいいますならば、決しておくれたことだけが批判されるべきものではない、私はそういうふうに考えているところであります。
  32. 板垣正

    板垣正君 これは地域等のいろんな災害対策検討でもいろいろ言われている消防関係の話ですね。  私も十年以上前に火事に遭いまして、世田谷の昼火事です。世田谷区喜多見ですけれども、不在だったんですけれども、そこに一番初めに消火に駆けつけてくれたのは町会の消防隊です。地域の消防隊です。ただし手押しポンプなんです。そういう面では地域の連帯なりそういう中で行うということは大事でございましょうが、今FEMAのお話もありましたけれども、ロサンゼルスの災害が起こった、大統領の耳に十五分で入っているというのですね。それで州の救援が一時間後には動き出していると。これはやはり我が方の今回の、いわゆる国の中央における危機管理体制に反省すべき点があったということは事実だと思うんです。  そういう面では、現場の自衛隊方々の献身的な御苦労なり、住民の方々、ボランティアの方々の大変な御苦労、こういうものに対応する国全体としての、とっさの場合でもすぐそれに対応できる、初めの一時間、こういう面でどうぞ今後とも検討していただきたい。災害の問題はこの辺にいたしたいと思います。  次は、日本の防衛のあり方。  申し上げるまでもなく冷戦後、これは国際社会そのものが新しい秩序を模索しつつある、そういう中で我が国の防衛のあり方、これもいわゆる冷戦下における我が国の防衛のあり方、ポスト冷戦、こういう中で我が国の今後の防衛をどうしていくか。これが当然、防衛計画大綱の検討ということにもなりますし、また防衛問題懇談会、これも時間をかけて検討された。  承るところによると、既に大綱の基本的な考え方といいますか、おおよそのところはまとまってきているというふうにも報道されておりますが、この大綱見直し作業あるいは次期中期防、こういう問題について現在どういう進行状況にあるのか、御説明いただきたいと思います。
  33. 村田直昭

    政府委員村田直昭君) 先生の御指摘の防衛力のあり方の検討、これは現行の中期防の中であり方を見直すというふうに既に規定されております。それに従いまして、私どもとしてはじゅんじゅんと順を追って進めておりまして、たしか中山防衛庁長官のときに、大綱のあり方の骨格、政府部内でのたたき台というようなものについては六年度中にその案を概成するというようなお答えをしておるかと思いますが、そのスケジュールに乗って今検討をしているところでございます。  もちろんこれは防衛庁におけるまとめでございますから、それをたたき台としてまた安全保障会議等の場で検討が続けられていくということになろうかと思いますが、現在は三月でございます、最終段階ということで検討を継続しておるところでございます。
  34. 板垣正

    板垣正君 検討されているのはわかりますが、タイムスケジュールからいって、いずれにしましても来年度予算関連もありましょうが、いつごろまでに結論を出されるのか、その辺はどうなんですか。
  35. 村田直昭

    政府委員村田直昭君) 現在の中期防でございますけれども、これが平成七年度をもって終了する、したがって八年度以降についてその中期的な計画というものはない。一方、今お答えしましたように、大綱についてもこれを見直すということで、その姿がまだ浮かんでおりませんが、近々そういうような方向として防衛庁としてはまとめますが、これを先ほど言いましたように、政府部内においてさらに検討を継続する必要がある。  そうしますと、大綱にかわるべきものというものがまず考えられる。それと、それに基づきましていかなるような格好で防衛力の整備を継続していくか。従来ですとやはり防衛力の整備というのは継続的、計画的に行う必要があるということを申し上げております。装備の取得にも長期間を要するというようなこともございます。そういう意味で、長中期的な計画というものが要るのではなかろうかと我々考えておりますが、その部分についてはまだ決定を見ておりません。  したがいまして、大綱にかわるべきもの、あるいはそれに基づいて長中期的な計画が要るのかどうか、そしてそういうものに基づいて八年度以降のものが決まれば、それの初年度としての八年度の要求というような格好になってくるのではないかというふうに私どもとしては考えておりますけれども、その段取りについてはまだ政府部内で決定を見ておりませんので私どもの方から申し上げるわけにいきませんが、大筋そういうふうになっていかなければなかなか来年度、八年度以降の予算を要求するということを考えましても、そういうふうに進めていきたいという希望を持っておるわけでございます。
  36. 板垣正

    板垣正君 長官に伺いますが、もうそこまで作業を進められつつ、それでは新しい防衛計画大綱の防衛のビジョンをどう描いて、そしてどういう防衛体制をとっていこうとするのか。  当然、今度の防衛計画をめぐっていろいろ言われておりますのは、隊員の削減の問題がありますね、部隊の削減をする。あるいは何かの報道にありましたが、防衛庁長官がコンパクトな機動性に富み、主体的で有事に柔軟に対応できる防衛力を目標にしたいと。何かコンパクトなど言うと、私どもが特に懸念するのは、いわゆる安易な軍縮ムード、安易な平和ムード、こういうのに飲み込まれて長期展望もビジョンも、あるいは日米関係が一番機軸になりましょうが、内外情勢というものも何か抜きにして、とにかく減らすんだというふうな方向ではないと思いますが、そういうものがとかく、だから防衛庁長官、コンパクトな自衛隊なんというのは何か誤解を与えるんじゃないでしょうか。どういうことでしょうか。
  37. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 委員御案内のように、東西の冷戦構造が崩壊した直後におきましては、世界大の戦争もないだろうから世界の情勢は平和の方向に行くだろう、こういう期待があったわけでございます。既に我が国におきましては、中期防を修正して数千億円の分の削減等も行っておるわけでございます。  しかし、その後、東西冷戦構造が崩壊して世界が平和になったかと申しますとむしろ逆の方向で、非常に紛争が多発してきておるわけでございます。それは大きなソ連邦というものが崩壊をした場合におきましては、少数民族も百を数えるものが独立を志向するとか、またユーゴスラビアの例等を見ておりましても、民族が違い、宗教が違い、また言語等が違ってまいりますと、それらの歴史的な経緯から見ましてそれぞれの怨念が飛び出してまいりまして、地域紛争というのはむしろ拡大する傾向にある、こういうようにまず認識をするものでございます。  なおかつまた、この東西冷戦の場合におきましては両陣営が対峙をいたしまして、核による均衡という形で、核兵器は確かに大量破壊兵器でございますけれども、東西二大陣営の方が大量破壊兵器、核の管理等もむしろきちっとしておったんじゃないか。ところが、このような現在のような世界じゅうが不安定な状況になってまいりますと、中小国も弾道弾ミサイルを保有し得ることができる、あるいは大量破壊兵器等も開発する能力というようなものを持ってきているのではないか。こういうことで、極めて国際情勢は不安定、不透明な方向にますます向かいつつあると見なければならぬのではないか。  そういうときに、我が国の周辺でございますが、ソ連という国が崩壊をいたしまして、直接的、間接的、潜在的脅威というものは薄れたわけでございますけれども、しかしながら膨大な軍備を持っておるロシア、これが例えば将来政権がかわって攻撃的な意図を持つようなことになった場合は、こういう場合も不安定な要素として考えておく必要があるんではないか、仮の話でございますが。それから、例えば朝鮮半島等におきましてもいまだに大きな軍事力で対峙をしておるという状況もある、あるいはまた南沙諸島をめぐって関係各国はいろいろ対立する要素というようなものも見えてくる。  こういうようなことをずっと見てまいりますと、やはりこれから一番大事にしなければならぬと思いますことは、近隣諸国との信頼醸成というものをまず行い、そしてお互いに隔意なきそれぞれの国の明確なる政策というものも提示し合いながら、相手に不必要な脅威を与えたりまた脅迫したり、こういうようなことがないように十分気をつけていく。そういうようなことで本当の信頼醸成というものが高まった場合におきましては、これは軍縮ということも可能でありましょうし、ある程度の地域の安全保障体制といいますか、そういうものの構築というものも可能になってくると思うわけでございます。  しかしながら、まだそういうところまで行っていないということでありますならば、周辺諸国においての軍事的な紛争というものが我が国に対してどういうような影響を与えるかということをまず第一に想定いたしまして、やはり日本の国の平和と安全を守るためには、領空、領海、領土の万全を期していかなきゃならぬわけでありますから、近隣諸国の国々とは信頼醸成をしながらも、やはり情勢の判断ということを的確にするためには、情報力の強化というものもしっかりと確保しておかなければならぬのではないか。  そういうことを念頭に入れまして、例えば今、陸上自衛隊等三自衛隊、定員が十分ではございません。定員が十分でないということは、不完全だということになるわけであります。不完全な部隊をもって即時有効な防衛というものができるかどうか。こういった場合におきましてはむしろ一〇〇%充足して、人数は少ないけれども、機動性と有効性というものを追求していくならば、人数が少なくても一〇〇%充足した目的の部隊の方がはるかに有効な防衛というものができるのではないか。  それから、同時にまた、日本列島は北海道から沖縄まで広いわけでありますから、これがどこかで有事が起きる、どこかで災害その他が起こる、こういう場合におきましては常に機動性というものを追求していかなきゃいかぬじゃないか。その機動性をもってその場所にできるだけ早く参りまして救出あるいは防衛体制というものを確立する、こういうようなことを進めていくということが大事ではないか。  そうしたことを考えてまいりますと、やはりこの三自衛隊が、陸海空のこの我が国の独立と平和を守るという上におきましては、三自衛隊が主体的に連携をとりながら防衛の任につくということが大事だと思いますし、それらの連携なしにばらばらということをやったんでは十分ではございません。そういうような考えに基づいて主張したことでございまして、これから具体的な点については、そうした考え方のもとにまとめていくということが大事ではないか、こう考えておるところであります。
  38. 板垣正

    板垣正君 一部の報道によると、定員の問題、これは陸上自衛隊十八万定員だけれども定員を欠いておる、現在約十五万、これが実際の姿だと。こういう形で定員が二割程度減ると、こういうことが言われておりますが、それとあわせて正面装備も一緒に原則二割削減というふうな、冷戦終結に伴ってそういう形で別表をつくり直す、そういう新しい防衛計画大綱の原案をまとめつつある。  この定員の問題、十八万定員二割削減で十四万四千人。海上自衛隊航空自衛隊はおおむね現状というふうな報道ですけれども、それとあわせて戦車も潜水艦も飛行機も皆二割削るんだという、これはもうとてもあり得ないことだと思いますけれども、そうでもしなければなかなかまとまらないと。そういう姿はこれが軍縮だよと言ってイメージも出てくるというふうな、これは杞憂かもしれませんが、ちょっと事実の確認を。
  39. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 委員指摘の点は、これはある一部の新聞に報道されたものでございまして、正面装備を一律二割引きと、バーゲンセールのようなことは一切考えておりません。  要すれば、科学的な近代兵器がより一層防衛効力のあるものに変えられるということでありますならば、例えば数が減っても防衛の質というものは落ちないわけでありますから、そういう点も追求してみなければならぬと思いますし、それからまた同時に、例えばいろいろな今まで役割を果たしてきたものであっても、今後数を少なくしましても十分対応できるものがあればそういうものは削減をする。しかしながら、今後さらに防衛目的で強調していかなきゃならぬものが必要である、こういうように考えられるものについてはむしろ数をふやしていく、こういうような考え方に立って検討しておるものでございまして、何回も言うようでございますが、防衛にはバーゲンセールはないということだけ申し上げておきます。
  40. 板垣正

    板垣正君 まさにそうだと納得をいたしました。  長官、どうでしょうか。やはり冷戦時代の安保体制というのはある意味では単純明解といいますか、いわゆるソ連の侵略、これがあってはならない、これを抑止する、こういう点でこの体制もとられてきたと思いますけれども、もうソ連がこういう状態になった。もちろんロシアの脅威というのは不透明ではありますけれども、情勢が大きく変わった。しかし反面、さっきおっしゃったように、いろんな不安定な危険な状態というものがもうある意味ではアジアには集中していると言ってもいい。  そうなりますと、当然自衛隊の新しい防衛計画の大綱なりこれからの体制づくりにおきましても、今お話しのあった十分この辺はもうある面ではという面もあるでしょうし、いや非常に欠けていた面、我が国の今の現在の体制において新しいといいますか、ある意味では多角的な防衛体制を配慮しなきゃならない。信頼醸成というのはもちろん大事ですけれども、多角的な安保体制という中における現在の我が国の防衛体制が持っている欠陥、これはどういう点が挙げられると思いますか、長官
  41. 村田直昭

    政府委員村田直昭君) 先生御指摘のように、防衛体制が欠陥といいますか、我々としては今までも必要最小限度の防衛力というものを整備し、一応概成をしたというのが前中期防までの状況であり、現中期防においてもそれを継続しておるわけでございまして、現時点までに大きな問題というようなものは生じてきておらなかったわけでございますが、将来といいますか、最近における国際情勢から見ると、先ほど大臣からもお話がありましたように、大量破壊兵器の拡散あるいは弾道ミサイルの拡散というような傾向があるということも考えられます。  それからさらには、やはり今までの防衛力整備の中でも若干まだ問題があるとすれば、陸上自衛隊についての機動性の問題でありますとか、それから先ほど言いましたような人員の充足の問題というようなことが考えられます。また装備についても、量よりもむしろ質の面で相当おくれておるというような面もありますので、そういう点の是正ということが必要ではないか。  さらに海上自衛隊につきましても、PKO等のいろいろな機能というものが最近ふえてくるということになれば、従来の持っておったものの中で、一部をさらに、何といいますか、輸送体制整備というような面に振り向けていくような必要があるのじゃないか。それから、従来対潜戦というようなものに偏っておったようなものについて、防空でありますとか、そういうような面についての、これは量というものではありませんで、機能的にそういうものを補っていく必要があるのではないか。  それから、先ほど言いました航空自衛隊について言いますと、やはりPKO等の機能というものがふえてきておるというようなことから考えますと、長距離の空輸というものをどう考えていくか。またこれは結論が出ておるわけじゃありませんが、どういうふうに考えていくかというような問題。  それから、全般的に言いまして、先ほど言いま。したようなミサイルの拡散というようなことについて、それに対応する能力が非常に今ないということでございますので、それについてどうしていくか。しかし、それについては有効性と効率性というようなこともあわせ、慎重にさらに検討していく必要があるだろうというふうに考えておりまして、現時点は、いずれにしましてもまだ検討段階でございますので、ここだというようなことを決めて言うわけにはいきませんが、我々としてはそのような点に着目しながら現在、研究作業をしておるという状況でございます。
  42. 板垣正

    板垣正君 防衛問題懇談会の報告書、これもいろいろ指摘がされていると思うんですね。今お話もございましたけれども、やはり今までの防衛体制から多角的なあり方 あるしはPKO活動、あるいはシーレーンの問題も非常に不安定要因がありますね。南シナ海、あるいはシーレーンの防衛、そういう対応というようなものにおいても指摘されている問題はいろいろあるわけでありますから、もう次の問題に入りたいと思いますけれども、十分検討し、進めていただきたいと思います。  やはり避けて通れない問題として集団自衛権の問題、これは防衛庁限りでどうこうというわけにはまいりませんでしょうけれども、やはり我が国は個別的自衛権しかないんだ、集団的自衛権は憲法違反だなんと言っていていつまでも通用するんでしょうか。むしろ逆に、では日本は単独自衛をやるんだと、ぎりぎりまでの防衛をやり出したら大変なことですね。そうじゃなくて、今の時代は多角防衛であり、かつ多角的安全保障の時代であり、かつアジアにも一つのそういう防衛的な信頼醸成措置を講じつつ対応していこう。ということはやはり一つの集団的な安全保障体制に移っていこう、そういうものを展望していこう、そういう中で日本も積極的な役割というか積極的にそれに取り組んでいく、これが流れとして私は自然ではなかろうか。  これは極めて独特な、我が国だけはそういう集団的な自衛権はできません、結果的にはほかから助けてもらってもうちは助けませんと、そんなものが仲間になれますかね。そういう面で、これはいずれ大綱見直しなり今後の防衛論議の中で避けて通れない、PKOの位置づけの問題ももちろんございます。その点、長官の見解がもしございましたら承りたいと思います。
  43. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 集団自衛権についてはいろいろ議論があるところではありますけれども、しかし現在の政府の憲法解釈を見直す必要はないと考えておるところでございます。  集団自衛権を行使できなければ世界の仲間として普通の国になれないという議論はいろいろあるわけでございますけれども、我が国が今日まで平和を保ってきた、平和を確保してきたという観点からいえば、私は現在の日米安保体制、また片務的であっても大きな役割を果たしてきたと。しかして、日本が集団自衛権を行使できなければ世界の仲間外れになるという考え方は私のとるところではございません。  やはりPKOの問題にしましても、日本が人道支援であれだけの決断をしまして、部隊を一万二千キロも離れた地域に送って活動したということについては、人道支援ということで世界各国から大変な、自分の口で言うのもおかしいわけでありますが、大きな評価を得ておるというところでございます。  PKF等の点につきましては、これは両院の議会で論議をしていただくということで見直しの論議が行われるということになっておりますから、両院における議論を踏まえて結論をいただきたい、こう思っておるわけでございます。  私としましては、集団自衛権を日本が行使できないということだけをもって世界の孤児になるという考えはとれない、これだけは申し上げておきたいと思います。
  44. 板垣正

    板垣正君 憲法解釈に触れる問題ですから、現職の大臣としては言いたいことも言えないと思うんですよ。いずれ検討していきましょう。  それで、今度は日米安保体制の問題、日米安保体制の再定義。これは非常に大きな、まだこれからの防衛のあり方に関連して避けて通れない問題であろうと思うんですね。  日米安保体制というものがやはり日本の平和と繁栄を支えてきたことは申すまでもない。しかし、あれは冷戦時代の、言ってみればまさに冷戦時代の脅威に対応して日米安保体制という姿でこの国が守られてきた、日米関係もそれを基軸にしてきた。となればソ連が、ああした共産体制が崩壊をする、そして新しいアジアの情勢の中で今後日米安保体制をどう意義づけていくのか、その存在理由をどう見出していくのか、これは非常に重大な問題であろうと思う。その点、アメリカは冷戦時代をそれこそ勝ち扱いたということですよね。したがって、それだけのものをやってきたがゆえに、それでは実質的には新しいアメリカという立場からすれば、やっぱり世界の平和、安定に自分の国は責任を持って今まで以上の役割を果たしていこうという立場に立つのは当然でございましょう。  これは御承知のとおりに、日本側ともいろいろ折衝なり、向こうの要人も見えているようですけれども、この二月末に発表された東アジア戦略報告、あるいは三月初めに出された日米安保関係の今後の戦略、あるいはその後出されたアメリカの国防報告、これはやはり世界的なスケールなりあるいは日本との関係、あるいはアジアとの関連の中で、言ってみればアメリカの世界政策、世界戦略、これを打ち出している意味においては非常に重大な内容をはらんでいるし、そういうものを踏まえながら我が国としてのあり方を主体的に築いていかなければならない、こう思うわけでございます。  そこで、今申し上げた国防関係の最近アメリカが提起されている報告等について、簡単で結構ですから、その概要、そして我が政府はそれぞれに対してどう基本姿勢をとっているか、外交姿勢をとっているか、その点に触れて外務省からお願いします。
  45. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) 今、先生が御指摘になった諸報告でございますが、これはいずれも米国とアジアとの歴史的、地理的、文化的及び経済的結びつきを強調した上で、一九九三年十月に出ました「ボトムアップ・レビュー」というのがございますけれども、ここで表明されました約十万人の前方展開勢力をこの地域に維持するということを再確認しております。また、ますます重要性を増しているこの地域に対する米国としての継続的なコミットメントの重要性を強調しておるところでございます。  さらに、東アジア・太平洋安全保障戦略報告及び日米間の安全保障関係に関する報告は、日本との関係について、特に日本の持つ政治的、経済的影響力にかんがみ、冷戦後の国際秩序を形成する上で日本が当然のパートナーである、ナチュラルパートナーという言葉を使っておりますが、であり、日米関係は最も重要な二国間関係であるということも述べております。  そういうこれらの報告は、このように日米安保体制を重視し、アジア・太平洋地域への米国のコミットメントを維持するということをその基調としております。そういう意味で、このような報告の考え方を日本側としては歓迎しているところでございます。
  46. 板垣正

    板垣正君 防衛庁長官に伺いますけれども、今御説明のありました米国の東アジア・太平洋地域安保戦略、これは国防報告もその他のあれも一連の流れでございますが、アメリカが基本的に九〇年から進めてきた兵力削減、これはもう終わったと。終わったからヨーロッパにおける十万、東アジア・太平洋における十万体制、これはもうこれでいくんだと明確に打ち出しておりますね。ではアジアにおいて十万人体制というものをずっと今後も続けていくという場合、軍事的に見てアメリカがそれだけのものを置くアジアの軍事情勢というものを、もちろん長官の御見解もございましょうが、アメリカがそういう姿勢を、というのは、どうもアメリカが内向きになって、国内ではいろんな論議があるようです。議会の意見もあるようです。そういう中で、今のナイ国防次官補等を中心にやはり積極的に新しい構想を打ち出していく、そういう中で日本は何といってもパートナーなんだと手を差し伸べているわけです。そういうアメリカの持っておる軍事情勢に対する認識というものをどういうふうに受けとめ、どういうふうに評価されるか承りたい。
  47. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) まずその前に、委員指摘の東アジア戦略報告で日本との関係をどう言っているかという点をちょっと引用させていただきたいと思います。  米側の方でありますが、「我々の日本との安全保障同盟は、アジアにおける米国の安全保障政策の柱石となっている。米国及び日本のみならず、この地域を通じて、この同盟関係はアジアの安定を確保するための主要な要素と考えられている。」。したがいまして、アジアにおける米国の安全保障政策のかなめとなっておる、これが日米安全保障体制である。私は、平和を守るために大きな役割を果たしておる、おもしになっておる、こういうように認識をいたしておるところであります。
  48. 板垣正

    板垣正君 アメリカがこの戦略を通じて十万人体制、軍事プレゼンスをほぼ無期限に続けるという思い切った方針を出した。こういう中で、同地域での武力衝突を抑止する、もう一つ中東の石油海上輸送路、シーレーン、この安全を確保する、特定のパワーによる地域覇権確立を防ぐ、地域協力を確立する、大量破壊兵器の拡散を防ぐ、そういう戦略目的といいますか、そういう立場で提起されていると私は一部報道で受けとめますけれども。  やはりアジアにおける情勢、アメリカがこうした中で、特に中国の動き、さっき申し上げました安全保障戦略報告書、一日に公表されました。この中で、東アジア、中国が地域の脅威にならないことが重要であると、こういう立場で初めて中国の潜在的脅威に公式に触れたんだというような報道もありますけれども、外務省に確認しますが、そういう点があるんですか。
  49. 高野紀元

    説明員(高野紀元君) 先生御指摘になりました米国の東アジア・太平洋安全保障戦略によりますと、米国として追求する具体的な安全保障上の目的には次のようなものがあるということで数多くの項目が含まれているわけでございます。  中国に関連して述べているところを申し上げますと、中国に関与し、その国際社会への建設的な統合を支持する。これには大量破壊兵器の拡散を制限し、国防政策と軍事活動の透明性を促進するという世界的な努力への中国の参加が含まれるという形で中国への言及がございます。
  50. 板垣正

    板垣正君 そうした中国の情勢ですね、長官どうでしょうか。中国が経済建設に重点を置いていることはわかりますが、同時に将来の展望に立ちながら軍事力の強化、特に海軍に重点を置いて、そういう流れというものをこれは否定できない。我が国としてもこの日米関係、日中関係は極めて大事な問題でございますけれども、そうした中国の情勢に対して、まあ十年ぐらいは大丈夫だよと、いろいろ言っているけれども十年ぐらいまでは大丈夫だよという見方はありますけれども、仮にテンポが早まって、言っているところの近代的な軍事体制なり、特にあの南シナ海、あるいはインド洋を通ずるビルマにもどんどん伸びてこようという勢いでございますが、そういうものがもう十年じゃない、六年とか七年で実現することも可能性としてあるんじゃないでしょうか。  そうすると、我が方がこれから組み立てていく、対応していかなければならないアジア情勢の中で朝鮮の問題というのは一番深刻ですけれども、これも極めて不安定ですけれども、そうした中国との関係というものに対する対応を含めて相当真剣に受けとめていかなければならない。  これは、この間も統幕議長が行って話し合うというような信頼醸成措置、透明化のかかわり合いというのももちろん大事ですけれども、それはしかし極めて限られたことであって、国家意思において現在運ばれつつある流れが、テンポがもっと早まって、東南アジアの国々がひそかに警戒しているような事態がもっと早く来ないとは断言できない。その場合を予測しながらやはり我が国としてのあり方なり多角的な安保体制、安全保障体制を構想していかなきゃならない、我が国なりの戦略を立てていかなきゃならない、こう思いますが、いかがでしょうか。
  51. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 各国ともいろんな選択があるものと思います。例えば軍事的な手段あるいは軍事的な行動を通じて政治的な目的を達成するというものもあるかもしれませんし、あるいはまた友好的な関係を保ちながらその国の経済的な発展をもたらそうとするという選択もあるかと。思うわけでございます。我が国としましては、やはり平和的な国家でございますから、近隣諸国におきましても平和的な方向で問題が解決をされて友好関係が保たれていくということが大事だと思うわけでございます。  したがいまして、朝鮮半島におきましても外交的な手段を通じまして問題が解決するということが好ましいと思うわけでございますし、南沙群島その他の紛争のもとをたどってまいりますと、海底油田等の資源の問題の行方が一つの争点にもなるのではないかなと、こう思うわけでございます。もし海底油田とかそういうエネルギーの問題ということになってまいりましたならば、一国が独占するとかなんとかというよりは、むしろ関係各国が協力して開発をして、ともどもにその利益を分け合うという方向がいいのではないか。我々としましてはそういうような方向を提言し、問題の解決をするという方向に積極的に行動していくべきではないか、こういうふうにも考えているところであります。
  52. 板垣正

    板垣正君 確かに、積極的に平和的に話し合ってやられるということは、おっしゃるとおり結構なことだと思いますよ。しかし現実に我々はやっておるんでしょうかね、日本の外交は。南沙の問題でも傍観しているんじゃないでしょうか。尖閣列島に火がつかなきゃいいと恐れおののきながら傍観しているのが現状じゃないでしょうか。やはり平和国家であり、平和外交をやるというなら、もっと積極的に、まさに割り込んでいってでも対話を促して、そこで平和的に話し合いをつけるような行き方というものが期待されるんじゃないでしょうか。  中国も石油の輸入国、インドネシアも石油の輸入国、日本と東南アジアの国は全部中東に頼らざるを得ない。このシーレーンというものが、アメリカ軍のプレゼンスというものが、日本も含めてアジアの国々からもアメリカが十万体制をとってくれることによってむしろ歓迎されているというのは、そうした将来の流れの中で資源の問題もありましょう。  そうであるならば、やはりこれを裏づけるのは、我が国がただ幾ら国会で謝罪決議しようと、不戦決議しようと、そんなものは国際社会に関係ありませんよ。もっと具体的に日米安保体制、アメリカとまさにパートナーとしての信頼醸成措置もございましょう、PKOの活動もありましょう。あるいはACSA協定ですか、近々事務レベルの会議が三月末ですか、ハワイで開かれる。長官、五月にはアメリカに行かれるんですか。
  53. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) そのとおりです。予定しております。
  54. 板垣正

    板垣正君 予定ですね。  さらに今度はカナダでサミットもありますね。それで十一月のAPECがある。アメリカ側は十一月のAPECで新しい日米安保体制についての共同宣言といいますか、それを一つの集約にしながら、もう既にその案を固めつついろいろ協議されてきているというふうに私ども一部報道で聞いておりまするけれども、そうした流れをお認めになるかどうか、またお認めになると思いますが。  そういう中で、長官もおっしゃった積極的な平和姿勢というものは、日本がそういう立場で国家の基本姿勢を持てば持つほど、この新しい防衛体制というものの重みというものは非常に大きいと思う。ただ、表面的な流れに乗ってとにかく軍縮というものは予算の数であらわしたい、あるいはバーゲンセールはやらないとおっしゃった、まさにそうだと思うんですけれども、やはり長距離の輸送機も必要でございましょう、給油機の提案もございます。その他PKO活動におけるあり方においてもちょうど見直しの時期を迎えますから、そうした基本的な姿勢に立って、国の防衛体制の新しいあり方について大変御努力いただいておりまするけれども、今後さらに真剣に、挙げて私どもも取り組んでまいりたい、その辺の御決意を承りたいと思います。
  55. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 委員指摘のとおり、日米安保体制並びに我が国の防衛体制、しっかりとこれを堅持しながらやっていくという点については基本的な認識は全く同じでございます。  同時にまた、日本とアメリカがやはり友好関係を保ちながらアジアの平和のおもしになっていく、また軍事的な手段を講ずるようなことがほかの国にないように大きな抑止力となっておる、こういう点をよく考え、また同時に、ただ日本の平和を守るというだけではなくして、この日米基軸をもとにしてアジアの平和、安定のためにも努力をしていくということが最も大事である、このように考えているところであります。
  56. 板垣正

    板垣正君 終わります。
  57. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 今回の阪神大震災に関連して質問をしてみたいと思っております。  板垣さんの質問に対して防衛庁長官から、今回の一つの教訓として、地方自治体の危機管理体制の強化というものは非常に大事なことであるということが先ほど答弁されました。私ももっともだと思ったのであります。  では具体的にはどういうことかというと、地元の地方自治体がやはり直撃を受けておるわけです。直撃を受けて、県庁でも市役所でも犠牲者を出しているわけです。そういう状態ですから、どこが中心になって自衛隊の派遣を要請するにいたしましても、自衛隊の方に対して具体的に状況判断ができるような内容が連絡をされないと自衛隊だって困ると思うんです。  関東大震災を振り返ってみますと、東京のど真ん中に近衛歩兵第一連隊から第四連隊あるいは麻布三連隊とか、赤羽に工兵隊とか、世間谷に輜重隊とか、中野に電信隊とか、部隊が都心にあったわけです。しかし、あの関東大震災の場合には、本所、深川方面から火災が発生をして、木造密集住宅が多かったせいもあってたちまち大火事になった。その災禍に対して軍隊は何もできなかったわけです。消火活動ができないような状態ですから、仮にそこへ軍隊が駆けつけたとしてもなすすべがなかったというのが関東大震災の一つの教訓になっているわけです。今回の関西の大震災でも、消火活動ができなかったという点が似ております。  それから、自衛隊の派遣の場合は、先ほどもお話がありましたけれども、姫路から神戸まで四時間かかった、こういうことがあるわけですね。そうすると、何を一番先にやらなければならないかということになってくるのでありますけれども、こういう場合にはやはり人命救助だというふうに私らも考えます。つぶれた家屋の下敷きになってしまった人が助けを求めている。ところが上空をヘリコプターがたくさん飛んできて、そのヘリコプターの騒音のために助けを求める声が聞こえないといったような話も聞きました。  そういう状態の中で一番先にやらなければならないのは何かということになると、やはりそういう緊急の判断、何から先にやっていいかというようなことをコントロールするのはだれかということになるんです。やはり地元ではないかと思うんですね。  この前の新聞にも出ておりましたけれども、地元の第三特科連隊の林連隊長は、「県の要請前に、神戸市の救援を最優先すべきだと判断できた。しかし、隊員は市内の地理に暗く、パトカーなしで行くのは難しかった。派遣準備も午前十時ごろまでかかった」、こういう話があります。無理もないと私は思います。自衛隊にしても、どこへ行って何をしていいのかわからないということであれば、ただやみくもに駆けつけてみたところでうろうろするだけなんですよ。それでは仕事にならないわけですね。  そういう意味では、初期体制はどうしたらいいか、その指揮はだれがやるのかといったようなことが当然問題になってくると思うんですが、その点、まずこれは官房長官にお伺いしたいと思うんです。
  58. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 仰せのとおりであろうと思いますね。今、瀬谷委員指摘の、今回の大震災での反省の上に立つさまざまな問題点というのは全く我々の認識と共通しているというふうに思っています。  そういう点では、私ども御案内のように現在、全体的に防災計画の見直し、これは中央、地方ともそうでありますが、あわせてまた、この際は災害対策基本法も含めて全体的な対応の見直しをしていこうというふうに考えているところでありまして、自衛隊も含み、また地方自治体と国との密接な関係というようなところも重要なポイントとして全体的な見直しの作業に入っているところでございます。  特にこの際、国民的な視点からの抜本的な議論もしてみる必要がある、こういうぐあいに考えておりまして、特に総理からそういう指示もございまして、近くそのための検討の組織、機関というものを設けさせていただきたいというふうに思っておりまして、そういう議論をも通じながらこの際、全体的な防災あるいは災害対策の見直しに全力を挙げたい、こういうぐあいに思っている次第であります。
  59. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 自衛隊の任務とすれば日本の防衛ということになるでありましょうが、我々今のところは国に見える敵というのはないわけであります。つまり、ロシアが日本に攻めてくるとか朝鮮から何か脅威があるとか、そんなことを考えてみますと目に見える敵というのは今のところない。しかし目に見えない敵が一番怖いわけです。  目に見えない敵というのは今回のような大地震ですね。いつ始まるかわからない、どこで始まるかわからない。だから、そういう場合に備えると言ってみても地震が発生した瞬間には道路がだめになる、鉄道がだめになる、港湾がだめになる、何もかもめちゃくちゃになる、こういう状態です。だから、そういう場合に抜かりなく駆けつけろと言ったって、初期のおくれがないようにしろと言ってみても、なかなかこれは難しい問題ですよ。初期のおくれがないようにするには地震の発生前に駆けつけなければならない。実際問題としてできませんね、そういうことは。  そうすると、なるべく早く駆けつけるためにはどうしたらいいかということが問題になってきます。それはまず場所を、どこで何が起こっているかということをいち早く把握して、そしてこの場合に地元の消防なり警察なりでは手に負えないということになれば自衛隊の応援を求めるほかないだろう。ところが、自衛隊にしても神戸の市内に部隊がいるわけじゃない。先ほどの話じゃないけれども、姫路からでも四時間かかったと。
  60. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 三時間です。
  61. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 まあ一時間しか違わないわけですから、どっちにしても大した違いはないんですが、もっと早く駆けつける方法を考えなきゃいかぬですね。この場合には、陸上が渋滞で動けないとか、道路が壊れたとか、電車も使えないとか、高速道路も使えない、こういう状況でしょう。  そういう場合には、神戸なんかの場合は船を使った方が早いのではないか。それから飛行機を使った方が早いのではないか。飛行機といったって普通の飛行機じゃこれは着陸できませんから、そういう場合にはヘリコプターといったようなものを使う。ヘリコプターを消火にも使うし輸送にも使う、こういう方法を考えるべきではないかと思うんです。それから、海上から運ぶとなると岸壁がみんな使えない、普通の船は着岸できない、こういうことになりますから、そういう場合には例えば上陸用の艦艇がありますね、そういうものを沖合から使う、あるいは砂浜に乗り上げてそのまま人間が上がれるようなホバークラフトなんというものがありますね、これは昔と違ってこういうものは最近できたものですからこういうものを精いっぱい使うということを考えるべきじゃないかと思うんですよ。  ただ、ここで一体所管はどこかということになると、自治省の問題なのか、建設省の問題なのか、国土庁の問題なのか、省庁別いろいろあるんですよ。だから、こういう場合にまず空の方の管制もしなきゃいかぬでしょう。マスコミヘリコプターがわんわん飛んでいる、それから自衛隊ヘリコプターも飛ぼうとする、余り接近が激しくなると危険を伴う、だから空の管制もする必要があるだろう。そういうような場合にはどこがコントロールするかということが出てきますね。各省庁にまたがる問題をコントロールするのは総務庁のあたりでもってコントロールできないものなのか。その場合は官房長官とどういうふうに連絡をとるのか。ちょっと私ら考えてみてもすぐには思い及ばないんですよ。  だから、そこで総務庁長官にもお伺いしたいんですが、こういうふうに各省庁にまたがっている問題をコントロールするのは、やはり総務庁あたりが一番先に手を伸ばさなきゃならないんじゃないかなという気もしますけれども、その辺はどうなんでしょうか。
  62. 山口鶴男

    国務大臣(山口鶴男君) 総務庁の役割を大変高く評価いただきまして感謝にたえないわけでございます。  問題は、結局総理大臣のもとでこの総理府がございまして、これがいわば総理のもとで行政の全体的な総合調整の基本になっているわけですが、その中で災害に関しては国土庁が所管をする、それから人事管理その他の部門につきましては総務庁が所管をするというような形になっているわけでございまして、現在の国家行政組織法のもとでは災害に関する施策の企画立案等、関係行政機関の災害に対する事務の総合調整、それから災害対策基本法に基づきまして内閣総理大臣を補佐するそういった仕事は国土行政の総合調整機関である国土庁においてこれを行うという形になっているわけであります。  したがいまして、この辺の国家行政組織法を改めなければ、せっかく大変御提言をいただいているわけでございますが、総務庁としてこれをやるというわけにはまいらぬわけであります。
  63. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 大地震のような緊急を要する場合に、どこだどこだと誇っていたんじゃまずいと思うんですよ。だから、そういう場合に手っ取り早くどこかだれかがコントロールする中心があって、そしてなるべく手早く応援部隊も行動できるようにすることが今までの教訓で望まれているわけです。  きょうは、私も雑誌を一つ持ってまいりましたけれども、これを見ますと、きょうは先ほど防衛庁長官から自衛隊がどのくらい人間を今まで出して、そしてどうしたという報告があった。それを見ておりましたら、倒壊家屋からの生存者百六十五人を救出したとか、遺体を千何百体確認したとか、手作業によるローラー作戦でいろいろこういうことが進められたという長官の報告が写真の説明入りで書いてあるんですよ。これは合っているなと思って私は聞いてたんですけれども。写真入りだとなお生々しいから、非常にこれは参考になったなと思いました。  その中でやはり私が感じましたことは、緊急を要するという場合には何から先かということから決めてかからなきゃいかぬですね。その場合には、やっぱり人命救助だ、消火だと。しかし消火にしても、自衛隊は消防団とはまた違うわけですから、平素の訓練が。どういうような支度をしてどこに駆けつけたらいいかということを判断して、それから出動しなきゃいかぬでしょう。その辺自衛隊としては、今まで人命救助も大変にやっていただいておるんでありますが、今後も起こり得るこういう災害対策としては、今度の阪神の体験を参考にしてどのようにしたらいいかということをお考えになったのか、その点をお伺いしてみたいと思います。
  64. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 委員が御指摘をされましたように、自衛隊だけがただ自主派遣をしまして地理の不案内なところに行ってうろうろする、これが最も効果のないやり方だと思うんです。ですから、阪神伊丹駅で行われましたように、近傍災害の場合におきましては地域の通報をいただきましてそして人命救助に当たっていく、これで対応したわけですが、願わくばもっと地元の警察と連絡をし合って、警察には百件以上の要請その他があったそうですが、それがもっと自衛隊の方に伝わっておれば西宮とか伊丹とかそういうところでもっと効果的に早く対応できたんではないか。これはやはり地方の自治体なり警察との連携を強化していくということが大事じゃないか、こういうふうにまず一つ思います。  それから、先ほど海からの支援ということでございましたが、今回自衛隊がとった対応といたしましては、神戸港の中に阪神基地隊がございます。これは海に潜るフロッグマンというのがおりまして、崩壊をした港の桟橋、これのいろんなところに突起物があるわけでございます。そうしますと、船が入ってまいりましても座礁するという可能性がありますから、船が着けるところを全部点検いたしました。それで何か所か十分船が着けるというところを確認しまして輸送艦その他を誘導して着けておるわけでございます。最初から突起物がなくとも、例えば砂浜に上陸できるような上陸用舟艇とか、こういうのも当然輸送艦でございますからそういう機能を持った船もその日のうちに横浜と呉を出港しておるわけでございます。  それから同時に、ホバークラフトというのがございましたが、これは現在研究中でございますのでもうちょっと時間がかからなければ装備に入りませんが、しかしながらこれも装備をされれば大きな役割を果たすだろうと、こういうふうに思うわけでございます。  それから、海と空はこれはあくまでも運輸省が管轄をいたすわけでございますが、空の方におきましてはヘリコプターが、最初は民間あるいはマスコミその他のヘリコプターが非常に飛び交って危険だったわけでございますが、自衛隊ヘリコプターは特定の目的をする、患者の輸送を行う、あるいは物資の補給をするということで、運輸省にお願いをしまして路線を特定していただきまして、ここの路線だけはもう自衛隊が占用して使える、こういうことで大変大きな効果を上げたところでございます。  今後も災害が起きた場合におきましてはそういうような対応をする、迅速に行うということがやはり大事ではないか、こう思うわけでございます。  それから、道路の通行でございますが、この道路の通行の場合におきましては交通規制を行いまして、優先する車両だけ先にどんどん行ってもらう。これは警察、自治体の役割になるわけでございます。今回は、極めて痛ましいことでございますが、交通規制をやっておった警官の皆さんにも近所で生き埋め事件があるということで要請がありまして、交通規制をやっておった警官まで全部人命救助に回ったものですから非常に初期の通行が万全ではなかった、こういう反省点があるわけでございます。したがいまして、姫路からわずか一時間足らずのところにあるわけでございますが、先ほど委員が申し上げたように、これは四時間ではございませんで三時間でございましたが、普通の三倍かかったと、こういうことでございます。  したがいまして、瓦れきがあっても通行可能な道路を明確にいたしまして、その通行可能な道路を優先車両がどんどん行ける、人命救助のための車両が道行することができる、こういう点は今後十分研究していく必要があるんじゃないか。その場合はこれも自衛隊が警察の方々と協力をいたしましてできる範囲があるのではないかなと、こういうふうに考えておるところでございます。
  65. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 防衛庁の発行した防衛力整備概要というのを、これをずっと見てみますと、この中に輸送艦というのがあるんですね、LST。この輸送艦というのは八千九百トン型で、これを見ると、簡単な図解ではあるけれども、航空母艦のような甲板を持っていて、ここにいろいろな車両が置けるようになっている、ヘリコプターも着艦できるようになっている。それから、艦尾からホバークラフトが飛び出すことができるようになっているんですよ。  先ほど研究中というお話だったけれども、この図を見てこれは何かなと思ったんですよね、この図を見ただけじゃよくわからないから、そうしたらこれがホバークラフトだというんですよ。なるほどホバークラフトというのは一度私も外国で乗ったことはあるけれども、海の上を走るだけじゃなくておかの上へそのまま上がれるんですね。それは、こういう船から出ていく場合にはそのままおかの上へ上がれるというんです。  最初、この輸送艦、この船は一体何だろう、何の役に立つんだろうと思ってよくわからなかったんですが、いや、地震が起きてみるとこんなときには使えるんじゃないかな、こう思ったんですよ。だから、海上自衛隊の艦船でも、こういう特別な場合に役に立つような装備というものは改めて考える必要があるんではないか、こういう気がします。  それから、先ごろの委員会でも私は述べましたけれども、多目的の艦船を用意して、今までの予算委員会でもしばしば言われたことは、高齢者や病人が体育館の板の上に寝ていて非常に寒い思いをして大変だということは何回も聞いているんですよ。だから、そういう人たちを多目的の船に収容すると。運輸大臣のこの間の話では、フェリーボート等を借り上げて使っていると、ところが場所が大阪の方で遠いものだから、地元に近いところを望む人たちからは余り利用されないという意味お話がありました。  けさのテレビのニュースでは、救難船等が検討されているという話も聞きましたけれども、内容はよくわかりませんが、これらの点、せっかく検討されているなら、いざという場合に救難の役に立つような船を、これは海上自衛隊が持っていてもいいし、あるいは運輸省の練習船を使ってもいい。練習船だと「ほくと丸」とか「ぎんが丸」とかというのは五千トンクラスですね。これは遠洋航海なんかに使うようになっているんですけれども、年がら年じゅう使っているわけじゃないから、こういうものも使えるんじゃないかと思うし、海上保安庁の巡視船も三千トンクラスの巡視船だったらヘリコプターを搭載しているわけですよ。  だから、海上自衛隊の分野とあるいは保安庁の分野とどういうふうに違いがあるかはっきりしない点もありますけれども、こういう場合には一体となって保安庁であろうと防衛庁であろうと使えるようにするということが望ましいんじゃないかという気がいたしますが、それらの点はどういうふうに考えておられるのか。  官房長官の方でこの前の私の質問では検討をしておるというお話がございましたけれども、もし具体的にこういう問題を検討されたならば、なるべくこの災害の教訓を生かすために実現をしてもらいたいというふうに考えますが、その点をお伺いしたいと思うんです。
  66. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 先ほどLSTの中でホバークラフトを積んで行動するという輸送艦の話が出ましたが、私は研究中と言いましたが、これは調達中でございまして、平成九年には取得できるということで今進んでおります。  それから今回、自衛艦が、輸送艦がどういう役割を果たしたかと申しますと、多目的船と同じような役割を果たしております。ただ、病院の役割は果たさなかったわけでございますが、輸送艦の中にかなりベッドをつくりまして、これは被災者の方じゃなくして、一万人を超す自衛官が行っておりますので、そこに寝泊まりをするという形をとりました。それから同時に、クリーニングを船の施設が持っているものですから、これは多くの被災者方々のクリーニングをかなりよくやってやった。それから、港のところにおふろ場をつくりまして、そこでたくさんの方々に使っていただいた。こういうことで、船が持っておる機能をいろんな形で使ったという点はこれは申し上げておきたいと思いますし、今後もそういうことで大いに役に立つんじゃないかと思います。  政府が検討している多目的船舶につきましては、これは官房長官の方から御説明していただく方がよろしいかと思います。
  67. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) これはこの前御質問いただきまして、その折にもお答えしたわけでありますが、従前も既に政府としてはここ数年検討を続けているわけでありますが、なかなか難しい要素もしかし含まれていると。そういう必要性というものは皆感じながらも、今、世界で見てもそれらしいものがあるのはアメリカで軍の方にいわゆる病院船があるという程度のものなんですね。それは実はいろんな難しいということの理由があろうというふうに思います。しかし、この際我が国としても、国内もそうでありますが、国際的にもむしろそういうことこそが我が国の積極的な国際貢献の道でもあるという考えもありまして、ここのところはしっかりひとつ検討をさらに進めてみたい、こういうふうに思っている次第であります。  一つは病院船としての特化した、多目的というよりは病院船としての機能を持たせるか、あるいはもう一つとしては、お話のように工作的なものであるとか、種々の機能を持たせたもので考えるかという二つの筋があると思いますが、この両面についてなお検討してまいりたいと、こういうぐあいに思っている次第であります。  なお、今もずっと御指摘があり、また防衛庁長官からもお答えをしているところでありますが、やはりこの際、全体的に検討していく中で、自衛隊の持っている仕事のうちの災害対策の問題に関して、もっと設備等について意識的に強化をきちんとしていく必要があるのではないかと、こういうふうに考えておりますし、またそういう議論も非常に多いところでございますので、その辺のところは防衛庁の意見をよく聞きながら、そういう点でその面にもっと重視をした設備の内容ということなどに関して議論をし、必要があれば予算化していくというようなこともあっていいようにも思われますが、何にいたしましても全体的にこの際抜本的な議論を先ほど申しましたようにぜひ今年はさせていただきたいと、こういうぐあいに思っている次第であります。
  68. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 お医者さんの議員の方から私はお伺いしましたが、ああいう船の設備というのは、海上自衛隊であろうとあるいは民間のフェリーボートであろうと、みんなもう今は冷暖房が完備している、それでホテルのような個室までできている、そういう設備の船を使えば治療室とか手術室とか、こういうものを設けるのはわけがないと言うんですよね。そんなに金がかからないはずだと言うわけです。  だから、そういうものを設備した、いざという場合には病院のかわりになるというような船で、しかも多くの人を収容できる、医師も看護婦もあるいはボランティアも収容できる、こういうことを考えると、船の利用というものはもっと積極的にやるべきではないかというふうに考えますので、以上の点を要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  69. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ―――――・―――――    午後一時十三分開会
  70. 岡野裕

    委員長岡野裕君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成七年度総予算中、皇室費国会所管会計検査院所管内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、日本学術会議国際平和協力本部宮内庁北方対策本部を除く総務庁防衛本庁防衛施設庁を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  71. 栗原君子

    ○栗原君子君 栗原でございますが、よろしくお願いをいたします。  私は、午前中の質問で皆さんのやりとりを聞かせていただきまして、それにかかわりまして幾つか、とりわけ憲法で定めております個人の生存や尊厳についてどのように考えていくか、こういった観点で質問をさせていただきたいと存じます。  まず官房長官にお伺いいたします。  FEMAの調査団が帰国いたしましたけれども、この調査の報告を受けられましてどのようにお感じになられましたでしょうか。日本としても大変参考になることも多いとか、あるいはまたこれから生かせていけるものもたくさんあるとか、何か感想でもお述べいただければと思います。
  72. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) この前、FEMAに派遣いたしました調査団は、御承知のように今度の反省の中から即応体制が非常に重要だということで、主として初動体制とそれからもう一つはGIS、これはアメリカで非常にこの面の開発が進んでいるということもございまして、地理情報システムと言われているわけでありますが、このGISについて調査をしてきておりまして、帰りましてからその報告を受けたところでございます。  FEMAの一つのポリシーみたいなものとしては、初動体制についてはフロアクティブという言葉で、いわば疑わしきは行動するというような意味のものが行動基準になっているわけであります。これは我が国でも同じようなことであろうというふうに思いますが、そういう考え方のもとにかなり徹底した対応がそれぞれとられているというふうに思われました。詳細についてはちょっと省略をいたしたいと思います。  それから、特に注目をしておりましたGIS、いわゆる地理情報システムにつきましては、これは自然条件、社会条件の数値データをあらかじめ蓄積しておいて、災害があった場合に災害のデータをそれに入力していくというやり方なのであります。そうしますと、かなり科学的に初動判断をすることができるといいますか、それに役立つようなデータが得られるというようなことなのであります。アメリカではそれはすっかりできていたというふうに我々は聞いていたんですが、実際に行ってまいりますと、開発中であと一年ぐらいで完成するのではないか、こういうようなお話でございました。  実は、私も一月ぐらい前に行って見てきたんですが、東京消防庁にやや同じような種類のシステムがあるのでございます。毎年一億円ぐらいかけてそれに新しいデータを注入しながら、東京都内に関しましては相当な予備判断ができるような状況になっているということに改めて認識をしてきたような次第でございました。  ちなみに、FEMAはワシントンと地方の十の事務所に二千五百人の人員を擁しておりまして、自然災害等における緊急事態に対する対応の計画、予防、応急、復旧に関する連邦政府のいわば中心的機関、背骨のような役割を果たしているというふうに聞いております。  このようなFEMAなど諸外国の制度を参考にしながら、我が国の国情も踏まえながら、我が国の災害の実態に合ったようなしっかりした体制をこの隊とるべきであろうというふうに思いまして、御承知のように、今、政府としてはそのための国民的な議論を起こそうということで、近く懇談会も総理の諮問機関としてスタートしていきたい、こういうぐあいに思っている次第であります。
  73. 栗原君子

    ○栗原君子君 時間の関係でちょっとはしょらせていただきたいと思います。  まず防衛庁長官にお伺いいたします。  防衛庁の広報誌でありますセキュリタリアンの記事の中に、災害対策基本法を改正して、そしてその中に自衛隊活動内容を適切に位置づけること、こういったような提言がなされているわけでございます。  午前中のやりとりを聞いておりますと、今回の阪神淡路大震災において自衛隊が大変活躍をした、こういったことがしきりに議論の中に出ておりましたけれども、私は今のような自衛隊災害対策基本法の中に位置づけられていくというのは、ある意味では少し危険な感じがするわけでございます。  例えば、どういうことがありましたかといいますと、これは地元の人たちからこんな話を聞いてきたんです。阪神地区のある部隊が生き埋めの現場で救出作業に当たったが、三十人の隊員が一時間かかっても救出できなかった、そこで近くにいた消防のレスキュー隊に応援を頼んだところ、五名のレスキュー隊員が十分で被災者を救出してしまったというのであります。救助の装備を持ち、人命救助訓練を重ねてきた消防のレスキューと戦闘訓練を本務とする自衛隊とでは当然違うわけでございます。それで、自衛隊員の方もこう言っているんですよ。我々は人命救助のエキスパートじゃないよな、もっと早くと言うけれども、自衛隊が早く救助に行ったとしても、人命救助訓練なんかしていないからこれは無理なことだと、こんな話もしているわけでございます。  それから、消防のレスキュー隊の場合は、自衛隊の装備で人命救助をしろというのは我々、消防の救命綱発射銃というんでしょうか、離れたところにロープを打ち込んで、ロープを伝っていって人を救出するような器具でございますけれども、これで戦闘をやれ、こういったような状況でありまして、どだい無理な話だと、こんな話になっております。  こういう中で、セキュリタリアンに提案してありますように、災害対策基本法の改正をして自衛隊が位置づけられるということはどういうことになってくるのか、防衛庁長官、お尋ねいたします。
  74. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 御指摘のセキュリタリアンの記事災害対策基本法の見直しに触れているからといって、特段政府の見解から踏み込んだものとは考えていないところでございます。
  75. 栗原君子

    ○栗原君子君 このセキュリタリアンというのは防衛庁の広報誌でございましょう。だから、それはある程度そういった世論を喚起するとか隊員の士気を向上するとか、そういったさまざまな情報活動をする手段の雑誌であると私は理解しているわけでございますが、そういたしますと幹部の中にそういった考えもあるのではなかろうか、こういうことを思うわけです。  特に私は、これは男女差別も甚だしいと思って見たんですが、この中に「悪妻は百年の不作」であるとかいうような、こういう文言まで出ているんですよ。女ばっかりが悪いとは思わないんですが、男もやっぱり悪いのは山ほどいると思うんですけれどもね。こういう観点の中で物事を見ているのが防衛庁の体質かと思って私はちょっと驚いて見たんですけれども。
  76. 三井康有

    政府委員(三井康有君) ただいま御指摘をいただきました雑誌セキュリタリアンと申しますのは、財団法人防衛弘済会というところが編集、発行いたしておるものでございます。また、これに記載されております意見といいますものは、執筆者の個人的な見解という位置づけでございます。  とは申しましても、防衛庁といたしましては、セキュリタリアンの編集部が今回の大震災に際しまして救援活動に当たりました自衛隊の実態を正確に把握した上で、今後見直される災害対策全般の中で必要な自衛隊の役割を位置づけていくことが重要だという観点から提言を行ったということは、今後の論議、検討に資するものだと考えておりまして、できる限り多くの読者に読まれることを期待したいと考えております。  なお、「悪妻は百年の不作」という御指摘もございましたが、これはこの記事の末尾の方にいろいろことわざを列挙いたしまして、要するに「災害は忘れた頃にやって来る。」、あるいは百年の単位でやってくるということに備えなければならないというようなことを言いながら、最後に「兵を養うは国家百年の大計である」ということを訴えて、要するにその悪妻について特段男女差別をするとかいうような趣旨は全くないということを付言させていただきます。
  77. 栗原君子

    ○栗原君子君 今回、不幸にしてこういった大きな災害が起きたわけですけれども、私はこれを機会に何か大きな動きが出てくるような気がするんです。それは二つの動きにいろいろ世論としてなるんじゃないかと思っております。  一つは、私たちは今まで産業の軍事化に対しては随分警戒をしてきたわけでございますけれども、今回阪神災害を見ておりましたら、次には心の軍事化というのが、私は住民の中にそういう考え方が浸透していっているような気がするんです。例えば、かつて兵隊さんありがとうという言葉がありましたように、今回でもやっぱり自衛隊さんありがとうと、そういう言葉、確かに自衛隊皆さんもいろいろやってくださったということは聞いておりますけれども、そういった意味でじわじわと軍事化に向いていくんではなかろうかと、これが一つ大変警戒しなきゃいけないものの一例でございます。  それからもう一つには、これを機会に日本が軍事化に進んでいくのか、それともこれを機会にもう一つはこういった自然災害に備えていくため、その突破口に軍事費を削減していくのか、こういった私は二つのこれから日本が進もうとする道、どちらの道に行くのかと心配をしている一人でもございます。  それから、被災地に行った隊員の中で、よくやってくださったという声がある反面、何もすることもなかったという人たちも相当数いたということを市民の人たちが見ているんです。それから、救助に駆けつけてもらったときにどういった装備で駆けつけてくれたかというと、ハンマーとかチェーンソー、あるいはまたショベルとかつるはしとか、こういったもので駆けつけてもらった。これも確かに必要なことではありますけれども、もっとやっぱり重機があったらいいのじゃなかろうかと、こういうことを市民の人たちが指摘しておられまして、本来私は自衛隊というのは人殺しをすることはやるけれども、人を救助することというのは余り訓練ができていないように思うわけでございまして、ちょっとこんな指摘をさせていただきました。  それから次に、災害緊急事態の布告を人権の立場から見送ったということ、これは今回災害対策基本法の中のとりわけ八章の百五条の適用をどうするかというような質問が衆議院で出されておりますときに、人権の立場から見送ったということを総理が御答弁をなさっておられます。もし、これを見送らなかったらどのようになるのかということを考えました。例えば、輸送をするために一切の交通手段をシャットアウトするとか、まず物資が運べないからシャットアウトするわけでございますね。そしてまた、権力が官邸に集中をするということは、これは戒厳令のような状況になると想像するんですけれども、こういったところは官房長官、どのようにお考えでございましょうか。
  78. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) いわゆる非常災害対策本部と、それから緊急災害対策本部の違いのことであろうというふうに思うんですが、実態的にはほとんど何も変わらないわけなんですね。  ただ、組織の上で違うのはどういうぐあいに違うかといいますと、非常災害対策本部の場合には、これは本部長が国務大臣ということになっておりまして、本部員はそれぞれ所管の局長が参加する、こういうことになっていますが、緊急災害対策本部の場合にはどういうことになっているかといいますと、これはなるほど本部長は総理大臣ということになるのでありますが、しかし本部員はやっぱりそれぞれの局長ということになっております。  かつ、内容的に見ますと、御指摘のように物資の統制であるとかあるいは物価についての統制であるとか、そういうようなことを一つの布告をして実施するというようなことが、国会が開かれていないときだとかの場合にはそういうことができるというような点がありますが、あとは内容は実態的にはちっとも変わらないわけなんですね。今、例えば交通の制限等についてのお話も触れておられましたけれども、これは全く変わらないわけで、いわゆる道路交通法に従ってそれぞれの制限をまたやっているわけで、案外言われているほど違わない。  それでは、我々の方は一方で非常災害対策本部を設け、もう一つは緊急対策本部というものを法とは別に閣議決定で決めていったということはなぜかといいますと、これは本部長は総理大臣、それから本部員は全閣僚ということで、実は実態として私ははるかにその方が強力なものだろうというふうに思いますものですから、一つには非常対策本部を設けて、ここで実際上の仕事はどんどんやってもらう。他方で今の閣議決定に基づく緊急対策本部を設けて、全閣僚で相互の縦割りの弊害なんというものがないように、しかも積極的な実力のある組織としての決定をしていくというような仕組みをつくらさせていただいたわけでございますので、そういう点を御理解いただきたいと思います。
  79. 栗原君子

    ○栗原君子君 外務省の方がいらっしゃいましたらお伺いをいたしますけれども、国際緊急援助隊法を改正して国内の災害にも対応できるようにならないか、こういうことを私は思うわけでございます。現に今回の兵庫に行ってくださった例のお医者さんとか看護婦さん、これはJICAの方から研修の名目で行っていただいたということをおっしゃっていますが、これはなかなか外務省がJICAの関係だから外務省から言っていただくことはできないのではなかろうか、こういうことを思ったわけでございますが、これはそういうシステムになっていないということでぽんとけられるわけでございます。  ただ、これは外務省、せっかく同じ日本人であります、同じ地域に住んでいる人だから、ぜひ私はそういう救援にお医者さんとか看護婦さんは行っていただきたいということを思うわけでございます。外務省だけでだめだったら、やっぱりこれは国土庁とか各省庁とも連携をして、同一人が両方に登録をしているというようなシステムにすれば出すことができるんではなかろうか、こんなことを思いますが、ちょっと外務省の方、お願いします。
  80. 和田章男

    説明員(和田章男君) ただいまの先生の御質問について御説明いたします。  まず国際緊急援助隊法は、先生御案内のように、国内の災害救援活動を行っている消防、警察、自衛隊、海上保安庁、厚生省その他の職員に着目いたしまして、これらの職員に海外の災害においても本来業務として救援活動を行っていただけるようにしたものが国際緊急援助隊法でございます。実際上、国際緊急援助隊は常設のチームではございませんで、海外で大規模な災害が発生した際にその都度、消防、警察、それから防衛庁、海上保安庁その他の省庁から職員を出していただきまして、チームを編成して派遣しておる次第でございます。  以上申し上げました次第もございまして、これらの省庁等の職員の国内災害の活用につきましては、基本的にはそれぞれの省庁等の御判断であるというふうに認識しております。現に今回の震災に際しましては、これらの省庁等が独自に対応したことは御高承のとおりでございます。  他方、国際協力事業団が管理しております国際緊急援助隊の医療チームに参加して海外の災害救助に貢献したいとする民間の医師や看護婦のボランティアの方々の登録名簿の活用につきましては、これまで各種方法を検討いたしました結果、厚生省等の関係省庁と相談して、国内災害時の緊急医療体制整備の中で活用の方法を講じていただくことが最良の方法であるというふうに考えまして、関係省庁にお願いをいたしておるところでございます。  いずれにいたしましても、本件につきましては、外務省といたしましても引き続き鋭意努力をしていきたい、そのように考えております。
  81. 栗原君子

    ○栗原君子君 もう時間がなくなってしまったんですけれども、実は私はここで、今、自治省、消防庁の方でも検討していただいているようでございますが、やっぱり別組織というのをきちんとつくっていく必要があるのではなかろうか。それには、一方で自衛隊の削減、そして予算も削減をして、それで国内のそういう災害に備えていくということをまず考えていただきたいと思います。  それと、今ある消防の施設とか消防の職員などについても各自治体で出されたものがありますけれども、充足率が満たされていないわけでございます。救急車の場合でしたら九九%まで行っておりますけれども、例えば化学消防ポンプの自動車、これなんかはまだ五九%しかない、はしご車も六三%しかない。こういったところをもう一度点検して今の消防の体制を強化する、そして一方では別組織を検討していただきたい、こういったことを最後にお願いして、そして五十嵐官房長官のコメントをいただくなりして終わりたいと思います。
  82. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 自衛隊は従前からやはり災害対策上の重要な役割を持って常に活動していただいておりまして、今度の災害でも大変御苦労いただいて、いろいろな意見があるのかもしれませんが、私どもが被災地等で聞いております範囲では、いずれも被災者皆さんはよくやっていただいたという声が大変多いのではないかというふうに思います。  出動時、最初のときの自治体との関係がどうであったとか、いろんな点で確かにそれを含めて反省すべき点もあろうというふうに思いますが、そういう点は先ほど来申し上げておりますように、全体的にこの際災害対策等につきましては国民的な議論もしていきたいというふうに思っていますので、その中で十分にまた検討してまいりたいというふうに思います。  それから、御指摘のそれぞれの消防における施設の現況がどうも基準と照らして特に少ない部分がある。お話のように消防ポンプなんかの場合は八八・七%、あるいは救急自動車なんかは九九・六%、非常に充足率は高いのでありますが、しかし化学消防ポンプが五九・九%、あるいははしご車が六三・八%など、やはり非常に充足率の低い部分も確かにある。これはやっぱり特殊な用途のものでありますし、非常に高価であるというようなことのためであろうと思いますが、しかし高層ビル等が一朝火災になったときには、本当にこれはあるとないでは大変な違いでありますから、そういう意味ではこれらの充足につきましても我々としては努力してまいりたい、こういうぐあいに思います。
  83. 栗原君子

    ○栗原君子君 終わります。
  84. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 規制緩和につきまして、総務庁長官に二、三お伺いしたいと思います。  今、御案内のように急速に円高が進行しております。一時十分の東京の為替で八十九円、二週間足らずの間に一二%という円高が進行しておりまして、三月六日、私も予算委員会で武村大蔵大臣に、このままでいいのか、果たしてG7がもう一度何らかの方法で緊密な連絡を特にトップの通貨当局者がしなくていいのかということを申し上げたわけです。  トヨタクラスの会社で一円で一千億円、もちろん輸出関連の中小企業は今大変な打撃をこうむっております。この急速な円高と政府が今取り組んでおられます規制緩和とどういうかかわり合いがあるのか、つながりがあるのか、総務庁長官の御認識をお伺いいたしたいと思います。
  85. 山口鶴男

    国務大臣(山口鶴男君) ただいま委員指摘の御質問は、私も参議院予算委員会で拝聴いたしておりました。  円高対策につきましては、大蔵当局なり日銀なりがそれぞれの立場において委員指摘のようなG7の開催あるいは関係各国との協調体制等々で取り組むべき課題であると思っておりますが、たまたま今、総務庁といたしましては村山内閣の重要課題の一つとして規制緩和に取り組んでいるわけでございまして、この規制緩和を内外からの要請にこたえて積極的に進めることが直接円高に直ちに効果があるという問題ではないと思います。しかし、こういった急激な円高に対しまして日本政府としての姿勢を示す重要な指標であるというふうに認識いたしております。
  86. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 いつも円高の場合、大蔵大臣のコメントといたしましては、経済のファンダメンタルズを反映していない思惑的な投機的な動きであって全く遺憾であるという、これはもう決まり文句なんですが、もちろん通貨当局の中心におられる大蔵大臣としては非常に言葉を選んで話さなければならないコメントなのでやむを得ないといたしましても、果たして今の日本の円高がファンダメンタルズを反映していない本当に投機だけの円高なのか。そして、これは近い将来必ず日本のファンダメンタルズを反映して円安に振れるのかといいますと、これもまた非常に難しい問題があるわけであります。  このファンダメンタルズという言葉をよく通貨当局の方々が使われますが、果たして国民が本当に真から理解しているかどうかわかりませんが、この字引によりますと、「国際経済を安定させるために必要となる条件で、各国の経済成長率、物価上昇率、国際収支、貿易収支等経常収支などのマクロ的経済指標をいう。」ということになっております。  この中に国際収支が入っておりますが、五年ぐらいずっと我が国の円が円高基調にあるということは、私はやはり基本的には十四兆円の経常収支の黒字にあるというふうに思います。したがって、メキシコの通貨不安から始まったと言われるこの円高、あるいはドル安、あるいはマルク高、円もマルクも高くなる基調があった。  そうすると、今、日本政府が取り組んでいる規制緩和ということは、この十四兆円の大幅な黒字を何とかしてまともな黒字幅までに持っていこうと、そのためには、日本という国は規制でがんじがらめにされていて、これを原則自由というふうに持っていかないといつまでたってもこの十四兆というのは減らない、そういう切実なる思いがあって細川内閣からずっと始まっているわけでありますが、この規制緩和というのがどうも遅々として進んでいない。  三月十日に中間報告が出ていますが、もうマスコミからは総スカンを食っている。そして、外国人にも集まってもらっていろんな釈明をしていますが、どうもすっきりしない。月末の二十四日には五カ年計画の発表もあるやに聞いておりますが、これも果たしてはっとするような目の覚めるような規制緩和が盛られるかどうかはわからない。この遅々として歯がゆい規制緩和は、基本的な原因は一体何が規制緩和のネックになっているのか、官房長官の御意見をお伺いしたいと思います。
  87. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 御承知のように、この十日の日に今回の規制緩和における各省庁の大臣の指揮のもとに自主的な公表が行われたわけであります。今回の場合は、特に十三日の日に、殊に外国商社あるいは大使館やその関連書記官を含めて、この際積極的に規制緩和をした内容を知ってもらおうということで外務省における説明会等もいたしたりしまして、最大限の努力をしながら今日まできているところでございます。  全体で千七百項目ございます。しかし、このうち明らかに誤解に基づくものと思われるものが二百十項目ほどございますので、それは別にして内容を見てみますと、措置済み及び措置予定のものが七百四十項目ぐらい、あるいは現在検討中のものも含めて考えてみますと、私は三月の末までの五カ年計画においては相当内容のある成果を持ち得るのではないか、こういうぐあいに実は考えている次第でございます。  しかし、それにいたしましても、十三日の説明会の後も諸外国からは必ずしも高い評価というものではなくて、かなり厳しい評価も相次いでいるということもございますが、この際我々といたしましては、さらに内外からいただいている要望、あるいは検討委員会で特に強く指摘されているもの、また我々が見てやっぱりこれはこの際思い切って内外の要望にこたえる決意が必要だと思うようなものなどについて、総務庁が中心でございますが、私ども官邸もこれに協力をして、全体的に各大臣の協力を得つつ月末までにはしっかりしたものにまとめ上げていかなきゃだめだ、こういうふうに考えているような次第でございます。  お話しのように、円高が大変厳しい実態になっておりまして、そういう上からも十分に今回の規制緩和策が一つのいい意味での影響が及ぶような内容のものにしていきたい、こういうぐあいに考えている次第であります。
  88. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 十三日に総務庁と外務省は各国の在京大使館員らを招きいろいろ御説明したと。私はとてもいいことをやってくれたと思いますが、ただ、ますます彼らをして混乱させたのは、極めて日本的など言おうか霞が関的など言おうか、あいまいな玉虫色の表現、中長期的にとか順次にとか段階的にとか、ちょっと英語に訳せない表現。もっとも、村山内閣そのものが人にやさしい政治という、これもまことに情緒的な訳しにくい言葉でありまして、そこで始まった内閣だからやむを得ないのかもわかりませんが、とにかく非常にあいまいな官僚的な表現を使っている。通訳した方は非常に困ったんじゃないかと同情申し上げるんです。  もう少し世界に通用するような日本語ではっきりと、大体二年の間にとか、中長期的にとかという言葉を使わないで、あるいは順次にとか段階的にとか、いつも何か逃げている、常に責任をとらなくても済むような、そういう引いている言葉、半身の言葉じゃなくて、もっと正々堂々とはっきりした政府の考え方を打ち出すという基本的な態度がないと、私は特に外国人を相手のそういった催し物というのはマイナス効果の方がプラス効果よりも大きいと思いますが、官房長官、どのように思われますか。
  89. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 今回の場合は、御案内のように、まず実施できないというものに関してはこういう理由で実施できないということ各項目について明記させる。それから、お話しのように五カ年計画でありますが、その中で二年で実施できるものは二年というぐあいに明記する。  大体のものはそういうことで整理をしているのですが、中にはやはり段階的に中期的な解決を図っていくというようなものもまた幾つか見受けられるということは確かにそうでございまして、その辺のところは我々としても、なお月末までにまとめる上で最大限具体的な表現にするような努力をしていきたい。しかしその場合でも、やはり一定のものに関してはこの五カ年計画の中で中期的に段階的に解決していこうという部分もやっぱりある程度出るだろう、こういうぐあいに思います。  しかし、総体的に見て私は、今日までの我が国のこの種の政策の中では本当にきちっとしたものになるのではないか、こういうぐあいに考えています。
  90. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 三月末の多分来週二十四日か五日には発表されると思いますが、そのときには中長期的とか段階的にとか順次にとか、そういう言葉が最小限万やむを得ざる場合を除いては取れているということを期待いたしておきます。  総務庁長官、この規制緩和の実施状況について、どのような行政監察を行いまた今後行うつもりなのか、御意見をお伺いいたします。
  91. 山口鶴男

    国務大臣(山口鶴男君) 監察の問題につきましては、具体的に監察を実施しております政府委員の方から答弁をさせていただきたいと思います。  その前に一つだけ申し上げたいんですが、去る十三日、総務庁と外務省とで、御指摘ございましたようにEUあるいはアメリカ、中国、韓国等の在外公館あるいは在日米国商工会議所等々内外の皆さん方にお集まりをいただいて説明いたしました。これはやはり透明性を確保してこういった問題は決めていきたい、こういった総理の強い熱意もございますし、私どものそういった気持ちもございましてこんなことをいたしました。  いろいろ御指摘ございましたが、その際出ましたのは、例えば外国弁護士関係の進展がないのは残念ではないかというような指摘がございましたし、またアメリカからは大型自動二輪車免許の必要性に対する疑問が提示をされたり、いろんな意味での御質問等はありましたが、総体的にはこれは注文というよりは中身について御質疑があったということでございまして、私はそういう意味では透明性確保で十三日の説明会は一つの成果を上げたのではないかと思っている次第でございます。  年度末に決めます五カ年計画では、委員指摘のように、できる限り時期を明確化する、具体的内容を織り込むということに精いっぱい努めるつもりでございます。
  92. 大橋豊彦

    説明員(大橋豊彦君) 先生御存じのように、監察におきましては中期テーマということで、三年間どういうテーマをやるかということを決めまして計画的にやっておりますが、その計画におきまして最も重要視しておりますのが規制緩和を中心とした問題でございます。  そういうことで、間もなく平成七年度からの三カ年の中期計画ができ上がりますが、そこの中でも当然のことながら内外価格差問題あるいはそれに関連する規制緩和の問題について重点的に取り上げたいと思っておりますが、現在やっておりますのが、この一月から中小卸売業、小売業に関する行政監察、これは流適合理化を中心として現在私どもの出先機関十九カ所におきまして実地調査をいたしております。  具体的な調査の項目といたしましては三つございますが、一つは流適合理化対策の実施体制ということで、中小卸売業なりあるいは中小小売業で協同組合等の組織化を通じた合理化というのがどういうふうにされているのかどうか、その実態はどうなっているかというのがこの調査項目の第一でございます。  第二の項目は、先生御案内のように、通産省を中心としまして流適合理化に関連する対策というのがさまざま行われておりますが、その流適合理化対策の実施状況、つまり効果を上げているのか、効率的に行われているのかどうかという観点から第二の項目で調査しております。  さらには、先生御案内のような流通業界の合理化問題を考える場合に不可欠の商慣行、例えばリベートだとかあるいは返品制度等の商慣行の改善に関する指針というのを通産省等で示しておりますので、もちろんこの商慣行というのは本来民間事業者自体が自主的に改善するべき分野でございますが、一応各省におきましては指針というものを示しておりますので、その指針が浸透しているのかどうか、あるいは周知徹底しているのかどうかという観点から、今現地におきまして調査をしているところでございます。  この三月で現地から私ども本庁の方にレポートが参りますので、そのレポートに基づいてできるだけ早くまとめて公にしたいというふうに思っている次第でございます。
  93. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 城山三郎さんという作家が、「もう、きみには頼まない  石坂泰三の世界」を毎日新聞に連載しておりましたが、この間本になりました。   高度成長が加熱気味になったとき、山際正道日銀総裁は、経営者たちを集めて、設備投資の一割削減を求める講演をした。  これが、石坂の癇にさわった。石坂は早速、記者会見で反撃した。  「自由経済の下では、設備投資をどうするかは、われわれ経営者が考えればいいことで、政府が決める問題ではない。ましてや、日銀総裁の仕事なんかじゃない。日銀総裁は金融政策に取り組み、公定歩合をどうするかだけ考えればいい。むしろ、コンピュータ君を総裁にすればいいんだ」  コンピュータに劣るといわんばかり。痛烈であり、しかも正論でもあった。コンピュータが総裁であれば、ナマの人間のように政府権力におもねることがない。経済の実勢にそのまま即応じ、適切な金利政策を果敢に打ち出せるからである。というふうなことを城山さんは書いておられます。  日本の経済は、だれでも知っているように市場経済。これで民間が常に主導権を握って、当然先進諸国の中の一国として、しかもアメリカに次ぐ世界第二のエコノミック・スーパーパワー、経済大国としての日本が今実際に民間主導の経営を行っているわけですが、やはり規制の底には、お隣の中国が社会主義市場経済という我々が学校のときの教科書では全く習っていない言葉を使い始めたわけですが、日本の場合はやはり今まで資本主義計画経済であったと、かなりの部分。その名残が規制ということでいまだに残っている。やはりもう一度日本の経済は市場経済である、日本がつき合っているG7のほかの六つの国々も市場経済である。したがって、もし日本が仮にも市場経済にあってはならない行政の介入があったり、あるいは規制が自由を束縛したりということがあったら、これは日本は世界からつまみ出されるという運命にあると思います。規制緩和は待ったなしでしなければならない。  規制緩和をするときにいろんな議論が出てまいります。安全はどうするんだ、規制があるからこそ安全がある。平等はどうするんだ、あるいは経済効率はどうするんだ。この規制のある日本商慣行、今も長官がおっしゃられたように、確かに民間の商慣行、談合的な系列的な商慣行もある。しかし、やはりそれをかなぐり捨てて先進国型の市場経済を日本も真から採用していかなければ世界の中の日本ではなくなるというのが私の持論でありますが、官房長官、いかがお考えですか。
  94. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 我が国の経済が戦後いわば追いつき追い越せということを目指して官主導のもとによく言われる護衛船団のような形で進めてきた過程にありましては、さまざまな規制というようなものが大変重要であった。官の強力なコントロールというようなものが必要とされてきたというふうに思うのであります。  やはり委員指摘のように、今日の状況になって、しかもグローバルな経済の国際化という中で我が国としての国際的な経済のあり方というものを考えますと、もう従前とは違って、できるだけさまざまな規制的なものというのは取り払って、厳しくてもやっぱりそういうものにしっかり対応できるようなみずからの体質、構造というものを持っていくということこそがむしろ我が国経済の世界におけるこれからの健康なあり方であろう、こういうぐあいにも思うところであります。  ただ、もちろんさまざまな規制におきましても、社会的な意味の規制で当然必要なもの、あるいは今までなくてもむしろこれから新しい社会状況の中で必要となるものもあるわけでありますから、ここはやはり、もちろん全体で国会の御審議も十分にいただきながら必要なものはそれなりに対応していかなくちゃいけないというふうに思いますが、少なくともそういうことの名をかりて必要でないものまで規制を進めていく、あるいは温存していくというようなことはこの際しっかり我々としても解決をしていかなければだめなことであろう、こういうふうに考えておるような次第であります。
  95. 寺澤芳男

    ○寺澤芳男君 時間がもうなくなりそうなので最後に。  今、民間のいろんな意味での国際化というのが非常な速度で進んでおります。特にどこの会社でも国際的な物の考え方ができるような人の養成、特に言葉も含めましてこれが非常に盛んであります。  我が国の国家公務員あるいは公務員がやはり本当の意味での世界を知るために、そしてやはり民間の国際化に続いて行政の本当の意味でのグローバルな見方とか、そういうことのためのいわゆる海外研修というものを前回の内閣委員会でもお訴えさせていただいたんですが、具体的に例えば国際機関に派遣するとかいろんな方法があろうかと思いますが、国家公務員の海外研修について現状はどうなっているのか、それが今後どういう傾向にあるのか、そしてもしそれを阻害しているものがあるとすれば予算の面を含めてどういう点が阻害しているのか、担当の方の御答弁をお願いしたいと思います。
  96. 弥富啓之助

    政府委員弥富啓之助君) お答えを申し上げます。  まず今、委員指摘の国際機関及び外国政府等への派遣につきましては、御存じのとおり、国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律、これは派遣法と言っておりますが、によりまして国際協力の一環として職員をこれらの機関に派遣しているところでございまして、これに基づきまして平成五年度中に外国政府及び国際機関に派遣された者は二百名を超えております。それから派遣中の職員数になりますと四百六十名ということで、それぞれその国際機関とか外国政府その他学校あるいは研究所等で勤務をしております。  この派遣職員の数は、制度発足以来今は大体三倍ぐらいにふえておりまして、この制度は我が国の国際協力に貢献してきているほか、幅広い視野を持つ行政官の育成にも大いに役立っているところと考えております。  次に派遣研修でございますが、これには二つの制度がございまして、まず一つは長期の在外研究制度でございます。  これは若手の行政官を諸外国の大学に二年間派遣をいたしまして、これは二年間向こうにいるわけでございますので、その間単に語学力の向上や専門知識の習得だけではございませんで、海外に友人を得て異文化社会における物の考え方、こういうものを感じ取る上で本制度は極めて有意義と思っております。本年度は五十五名を派遣する予定でございますし、来年度はちょっとふえまして六十名程度を派遣する予定でございます。  また他方、短期の方でございますが、これは中堅の行政官を原則として六カ月間、諸外国の行政機関や国際機関等に派遣をいたしまして、外国の諸制度についての調査研究等に従事させるものでございます。六カ月という限られた期間でございますが、その国の最新情報を入手する、あるいは各自のテーマについて実践的な調査研究を行うということで毎年三十五名程度の職員が各国に派遣をされまして、制度発足がこれは四十九年でございますが、大体六百八十二名ということで、派遣先の国は二十カ国ということでございます。来年度はさらに新たに一年間の研修コースというのも設定する予定でございます。  なお、先般の閣議決定でもございましたが、いろいろ視野の広い人材を育成する観点から国際機関等への交流を促進することがうたわれているということでございまして、人事院といたしましても在外研究制度について今後ともその人数の増員はもちろんでございますが、派遣先の国の多様化あるいは期間の弾力化などに取り組んでいく所存でございます。
  97. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 朝鮮半島が重要な情勢にあることは言うまでもないと思います。その中で今度設立される朝鮮半島エネルギー開発機構、通称KEDOの設立の問題は朝鮮半島のみならず、ひいては日本にとっても重要な問題であると私は考えます。ところが政府は、これへの日本の加入に当たって国会での承認は必要でないという態度でもうサインをしてしまいました。こういう問題は当然国会審議されるべきであると私は考えます。  そこで外務省にまず伺います。  KEDOは国際機関ですね。これはもう間違いない、だれも否定することができないことだと思います。一九六七年六月にこの本国会で高島条約局参事官は質問に答えて、「国際機関に加入いたします場合に、その機関を設立する条約につきましてまず国会の御承認を得て、それから後に加入するということを原則としてまいっております。」、こういうふうに答弁をしております。国際機関への加入というのは、国会承認が原則だということだと答弁している。KEDOという国際機関についても当然これは国会でまず検討されなければならない事項であったことは言うまでもないことだと思いますが、外務省、いかがですか。
  98. 竹内行夫

    説明員(竹内行夫君) KEDOの設立協定に関するお尋ねでございますが、ただいま委員がお触れになりました高島条約局参事官のその当時の答弁の前後のコンテクストについては私は存じませんけれども、その後昭和四十九年にいわゆる国会承認条約と行政取り決めの区別につきますいわゆる大平三原則というのが大平外務大臣の答弁で明らかにされております。  それに照らしてこのKEDOの設立協定について申し上げさせていただきますと、このKEDOにつきましては、国際社会のできる限り幅広い参加を得ることが極めて重要であるという認識が日本のみならず米国、韓国、三カ国の間に認識の一致がございました。そして各国の早期参加が容易となるよう配慮がされまして、加盟国が負うことのあるべき法的義務はできる限り軽減されたものとされたわけでございます。各加盟国よりの財政支出につきましても任意拠出とされておりまして、拠出の法的義務を負うものではないため、財政事項に当たる規定もございません。  このようなKEDOの設立協定につきましては、先ほど申しました大平三原則に体現されております従来の憲法解釈及び慣行に照らしまして、いわゆる行政取り決めに当たると判断された次第でございます。
  99. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 大平三原則というのは、一つは条約あるいは協定を結ぶことによって日本で新たな立法措置が必要かどうか、これは第一の問題。二番目の問題は財政支出が伴うかどうか、これが第二番目の検討事項。その財政のことについてはあなたは触れましたけれども、第三番目に政治的に重要な一定の国際約束、こういうものを伴う場合という第三の基準が大平三原則の第三番目の基準であります。  今度の協定を読みますと、実にたくさんの国際約束がある。私はこの国際約束の中身に入る前に論としてもう一度お聞きいたしますけれども、この第三の原則、このKEDOというものに日本が入るということは、第三の原則が示す政治的に重要な一定の国際約束というこの問題に係る問題じゃないんですか。国際機関に入るということ、高島条約局参事官のあの見解というのは、大平三原則のときにはもうなくなって外してしまったと、そんなふうに外務省は考えているんですか。
  100. 谷内正太郎

    政府委員谷内正太郎君) ただいま御質問の大平三原則の三番目の政治的に重要という意味でございますけれども、当時の大平外務大臣が述べられましたように、「法律事項または財政事項を含まなくとも、わが国と相手国との間あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において政治的に重要な国際約束であって、それゆえに、発効のために批准が要件とされているものも国会承認条約として取り扱われるべきものであります。」というふうに言っておりまして、確かにこのKEDO協定は政治的に重要な意味を持っておりますけれども、「わが国と相手国との間あるいは国家間一般の基本的な関係を法的に規定するという意味において政治的に重要」かと言いますと、必ずしもそうではないのではないかというふうに思っておるわけです。  他方、先生の御指摘のこの第三カテゴリー、これが国会承認の対象になる、国際約束になるということは、依然として外務省も当然のことながら尊重しなければいけないというふうに思っております。
  101. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 わかりました。国際約束、高島条約局参事官が前に答えたあの原則というのはそれなりに大事だと。大平三原則の中にも生かされて、それを否定しているものじゃないということでありました。  そうしますと、このKEDOというのはまだ何も約束してないんだというような、そんな簡単なことでこれを見られると大変なことですね。  第一に、このKEDOというのは協定の前文に書かれておりますけれども、「北朝鮮の核問題の全般的解決」を目的とするものだと。これは国際的にそういうふうに約束したものですよ。それで中身を見れば、これは新聞に広く報道されておりますけれども、北朝鮮の原子炉、あれを韓国型の原子炉二基に変えさせるということで、こういうことをやっていくんだということがちゃんと第二条に規定されております。これを北朝鮮は受け入れないということも言っています。これを受け入れさせるというんですから、これは大変大事なことですね。  それで、そのほかに十数項目にわたって、こういうことをする、こういうことをするという国際約束がある。まだ北朝鮮とは結んでいないという話じゃないんですよ。これはもう三国で米日韓でこういうふうにやろうと、それでどうですか皆さんと言って呼びかけている文章でしょう。国際的な約束を三国でやって、これでいきますよと言って国際的に呼びかけている文章です。北朝鮮とこれから交渉が始まるんだから、北朝鮮とまだ約束ができていないこと、これは当たり前じゃないですか。  それで、その中には今言われた資金の問題がある。一千億円だとも言われている。ここはまだ決まっていないと政府はおっしゃるだろうけれども、そういうふうに言われている。それだけじゃない。非常に重要なのは、一連のことが述べられた後に、韓国型のものであれ何であれ、そういった条件が北側に認められなくてこれらの条件が満たされない場合には、機構すなわちKEDOは適切な措置をとることができる、こういうことまで三国で約束している。  この適切な措置というのは一体何かといえば、これはアメリカ側のいろんな報道に出ています。アメリカ側はそういう場合には北への制裁を国連に提訴する、こういう考えをアメリカが持っているということはよく報道されていることですね。だから、KEDOが国連に訴える、制裁措置をとれということも場合によってはやる、そういうこともこれは約束しているんです。  しかも、今度のKEDOの協定というのは、どこかが決めてそれに日本が入ると、ワン・オブ・ゼムとして、あるいは末席を汚すということじゃない。原加盟国というのがきちっと明記されていて、これは第五条に「機構の原加盟国は、日本国、大韓民国及びアメリカ合衆国」である、三国が原加盟国だとちゃんとうたわれているんです。  原加盟国の意味はどういう意味がといえば、これは河野外務大臣が国会で答弁されたことですが、この問題は日米韓三国が主導的な役割を果たしていくんだと、こういうものだというふうに外務大臣自身が答えられた。それを今あなたは、ここに言われていることはまだ何の約束事じゃないんだと、北朝鮮と交渉して決まったときに約束になるんだと、だから政府が勝手にやれるんだ。冗談じゃないですよ。こんな大きな問題をそんな答弁でもってすり抜けようと、それで国会審議しなくてもいい、もってのほかだと思うんですね。官房長官、いかがですか。
  102. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 今も政府委員から御説明があったところでございますが、KEDOの設立に関する協定は、加盟国に対して何らかの資金負担に関して義務づけているというものではないわけでありまして、各加盟国はみずからの判断で任意の拠出をしよう、こういう取り決めになっているわけであります。  我が国としては、軽水炉プロジェクトの全体像のもとで、これは日米の首脳会談でも言った言葉でありますが、意味のある財政的役割を果たすという用意はございますが、この軽水炉プロジェクトに対する財政貢献の具体的な内容については、これからこのプロジェクトの全体像を見きわめた上で検討してまいりたい、こういうふうに考えているところであります。  いずれにせよ、具体的な資金の拠出に当たりましては、この拠出の具体的な態様に応じて適切な国内手続をとっていくということになろうと思います。
  103. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 今、官房長官、お金のことだけ、財政支出のことだけおっしゃられたんですけれども、この協定は財政支出のことだけじゃない。さっきごく簡単にですが言いました、そういう一連のものがあるわけですね。それは日本は何の責任も負わないということではあり得ないと思うんですよ。韓国型にしろそれから適切な措置をとるにしろ、それからあと十数項目ありますよ、こういうことをやるんだと。そこのところは私たちは日本は関係ないんだと。それなら何で、原加盟国としてこれで主導的な役割を果たすんだとまで外務大臣がおっしゃられる。それはお金の問題だけだと、これは世間に通じる話じゃないと思うんですね。どうですか。
  104. 竹内行夫

    説明員(竹内行夫君) 北朝鮮の核開発の問題につきましては、これも総理も外務大臣もたびたび申されておりますとおり、この北東アジア、アジア全体の安全にとって極めて重要な問題であり、我が国の安全保障に直結する問題でございます。のみならず、核兵器の不拡散問題というグローバルな問題とかかわる問題でございまして、我々日本としてはこの問題に真剣に取り組むべき立場にあるというのが今まで政府がお示ししている考え方でございます。  したがいまして、この問題を解決するに当たりましてこのKEDOというものを設立いたしまして、米朝間で昨年の秋にできました枠組み合意というものを国際機関としてのKEDOが実施をしていく、その中にあって日本としては主導的と申しますか、力強い役割を果たしていくということは、これも政府がもともと申し上げているところでございます。  それから、先ほど先生の方から四条の規定の関係で、北朝鮮がこのKEDO、機構との間の合意の内容を遵守しなかった場合に、適切な措置をとるということを……
  105. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 いいです、わかりました。  官房長官、憲法七十三条では、こういう国際的な取り決め条約は事前でだめだった場合、国会では承認できなかったという場合、事後にこれをやらなきゃならぬと書いてあります。もうあなた方はサインしちゃったんだから事後にこれを国会にかける、そして承認を受けるということをやられますか。ぜひやらなければならぬ、いかがですか。
  106. 五十嵐広三

    国務大臣五十嵐広三君) 先ほども申し上げましたけれども、具体的な資金の拠出をいよいよこの本番になってやると、こういうようなときにはその具体的な態様に応じて国内手続をとるということになろうというふうに思います。  資金拠出の規模も態様も明らかでない今の時点で明確な答えはなかなかできないものであろうというふうに思いますが、仮に多年度にわたる財政支出など、既に予算または法律で認められている以上に財政支出義務を負うと、こういう国際約束を締結することになる場合には改めて国会の承認を求めることになろうと思います。
  107. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 またその金のことだけに問題を持っていかれて、その場合にはということですが、KEDO全体の持っている性格というものについては無視をされている。これほど重要な問題を国会の事後承認にもかけないというのでは、これはひどいと私は言わざるを得ない。検討することを私は官房長官に求めます。  もう非常に残された時間、別の問題ですけれども、防衛庁長官にもお越しいただいておりますので、かいつまんで御質問させていただきたいと思います。  午前中にも問題が出されたんですが、最近アメリカは一連の軍事戦略上の文書を発表いたしまして、東アジア戦略、日米安保関係報告書等々五通の報告書になっております。それらは皆、日本の防衛あるいは極東の安全という範囲を超えて、もう一々引用はいたしませんが、アジア・太平洋地域の安全あるいは世界的な規模の安全とかいう範囲にまでこの日米の関係を広げている、これは非常に特徴的だと思います。  つい昨年ですか、アメリカのナイ国防次官補が来て、たしか村田防衛局長もお会いになったということがいろんなところへ出ておりますが、このナイ国防次官補は、日米安保は冷戦後の安全保障のグローバリゼーション、地球化と相互依存関係の高まりに対して新しい位置づけをするように迫られているということをナイは会談でも言ったというようなことも報道されております。一言で言いまして、日米安保の再定義ということが今問題になっているというふうに報道もされ、またアメリカのその動向から見ればそういうことが起こり得るというふうに考えます。  そこで、まとめて質問しますが、そういう安保の改定というようなことが今構想されているのか、防衛庁長官に伺いたいと思います。  それから、これはもうあと事実関係のことだけですからまとめて質問させていただきます。もし安保の改定ということが構想されていないとするならば、アメリカ側は、これでは安保の空洞化が起こる、アメリカが考えているこういう戦略からいって。安保の改定が行われなければそこには安保の空洞化が起こる、したがって、ということでこの空洞化という文脈の中で、空洞化を埋めるために、一つは七八年のガイドラインの改定、安保は改定しないがガイドラインを改定するという問題が当然起こってくる。こういうことが検討されているのかどうか。  最後に、例の物品役務融通協定、これは安保の空洞化を国内問題として埋めていく手段であるというふうに言われておりますが、この通称ACSA、これをやるのかどうか。こういういろんな出版物を読んでおりますと、昨年の八月十四日、十四日と日にちまで明確に出ているんですが、在日米軍司令官が防衛庁を訪問し、事務次官に日米事務方がつくった双方のACSA案を手渡したということが報道されております。これは事実かどうか。そして、来年一月にはもうACSAを国会にかけるということも防衛関係の専門家が雑誌などで言っております。  以上、事実かどうか。一つは構想をお持ちか、あとは事実かどうかということについて質問をいたします。
  108. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 午前中からの論議でもお話をしてまいったわけでございますが、冷戦終結後におきましても世界の情勢はアジアも含めまして不安定また不透明、不確実な状況が現出をいたしておるわけでございます。そういう中におきまして、我が国の平和を守る、こういう観点からも日米安保条約、日米安保体制といいますのは大きな平和を守る礎になっておる、かなめになっておる、こういう認識を持っておるわけでございます。  したがいまして、アメリカ側におきましてのいろいろな報告書があるわけでございますが、そういう不安定、不確実な状況にどう対処していくか、こういう面において日米安保体制の意義づけを行おう、こういうことだと思うのでありますが、その中におきまして安保条約の具体的な改定というものがあるかという御質問でありますが、これに対してはございませんと明確に申し上げておきたいと思うわけでございます。  ACSAの点におきましては、防衛局長の方から御説明させます。
  109. 村田直昭

    政府委員村田直昭君) 先生お尋ねのACSAにつきましては、これは第十八回だと思いましたけれども、日米事務レベル協議の際に米側から提案があり、検討を始めようと、先入観を持たずに検討しようということで今まで検討をしてきたわけでございますが、この検討に当たりましては統合幕僚会議事務局と在日米軍司令部の間で事務的な検討を進めてきておる。もちろん私どももそれについて常時相談を受けながら検討を進めてきておりまして、その両方の関係会議の結果が煮詰まってきておるということで私ども報告を受けておりますし、今これを防衛庁内でさらにいろんな角度から検討をしている段階でございます。  したがいまして、在日米軍司令官が来た際に、次官に対して、そういうような状況でありますからこれをさらに検討していきましょうというようなお話はあったかと思いますが、その案自体は統合幕僚会議等を通じて我々の方に入ってきておりますし、それを今、防衛庁として検討しておるという状況でございます。
  110. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 ガイドラインについて。
  111. 村田直昭

    政府委員村田直昭君) それからガイドラインにつきまして、何か安保の空洞化を埋めるためにガイドラインの見直しをするというようなことは、公に我々としてはそれを聞いておるということはないわけでございます。  もちろん日米間の研究の中でいろいろなステップのものがございます。共同作戦の研究等の事項についても、また今新たな研究ということで進めておるものもございます。そういうものを逐次進めておるわけでございますけれども、この安保の空洞化というようなことを念頭に置いてこれの見直しをしようという話は具体的にはございません。
  112. 聴濤弘

    ○聴濤弘君 終わります。
  113. 田英夫

    ○田英夫君 ただいまも同僚委員からお話のありましたとおり、アメリカがこのところ、クリントン政権としてでありますが、相次いで国防についての基本的な方針を打ち出しておりますが、その中で特に注目されますのは、まず二月に発表されました東アジア戦略報告、日本にとっては極めて関係が深いわけです。  そこで、その内容でこれもまた大変重要なことは、アメリカは世界のどこかで大きな地域紛争があってそれに対応しているとしても、アジアで、これははっきり名前を挙げているわけですが、北朝鮮に対して十分に対応できるような基本的な対応をすると、このことであります。それからもう一つは、冷戦になったと言われているにもかかわらず、アジア・太平洋のアメリカ軍は従来どおり十万を駐留させる。特に日本にとって極めて密接な問題は、日米安保条約というのは、今、聴濤さんもそういう意味で取り上げられましたが、世界の同盟国との安全保障体制の最も基本的ないわば模範のようなものだというような意味のことを挙げております。四番目に、いわゆるTMD、戦域ミサイル構想を日本と積極的に推進したいと、こういう内容を挙げております。順次そういう内容についてお尋ねをしたいと思います。  また、三月に入りましてからは一九九五年版国防報告という、これは世界戦略と答えるものを発表しておりますけれども、その中で特に注目すべきことは、地域紛争を三つに分類してアメリカの対応を述べている。一つは、アメリカ及び同盟国の致命的な国益の危機という場合。二番目は、致命的ではないが重要な国益の危機。三番員が、人道上アメリカとして関心を持たざるを得ない地域紛争。こういうふうに分けている中で、これまた北朝鮮の核開発は一に当たる、つまりアメリカ及び同盟国の致命的な国益の危機という分類に入ると、こういうことを述べているわけでありまして、この点はもちろん日本にとっても極めて重要な問題であります。  まず最初に防衛庁長官に伺いたいのは、東アジア戦略報告、二月発表されたもの、さっき申し上げたような内容を含んでおりますけれども、全体としてこれを防衛庁としてはどう受けとめておられるか、まず伺いたいと思います。
  114. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) 御指摘の報告書は、冷戦後の情勢変化にもかかわらず、この地域の安全保障に米国が引き続き関与し、米軍の前方展開兵力を維持していくとのコミットメントを再確認するとの観点から作成されたものであり、特にこの地域における米軍のこれ以上の削減は現在計画されておらず、現状の約十万人の兵力は維持されることを明記しております。  この中で、日米安保関係につきましては、米国のアジア・太平洋地域における安全保障政策のかなめと位置づけ、日米の同盟関係が日米両国のみならずアジア・太平洋地域の平和と安定を確保する上で重要な要素となっている旨記述しております。  防衛庁といたしましても、米国がアジア・太平洋地域の平和と安定に引き続き関与し、米軍のプレゼンスを維持するとの方針を明確にしていることを高く評価しております。米国が係る政策をとる上で重要なきずなとなっている日米安保体制の信頼性の維持向上のため、引き続き努力を行ってまいりたいと考えているところであります。
  115. 田英夫

    ○田英夫君 そこで、先ほど申しました内容の中で次に取り上げたいのは、TMD、戦域核ミサイル構想の問題でありますけれども、これは国防報告の中でも取り上げておりますし、東アジア戦略報告の中でも取り上げている。  つまり、相手は北朝鮮であるということははっきりしているわけで、特に国防報告の中では、北朝鮮のテポドン一号、二号ミサイルの脅威ということを考えると日本もTMDに対して積極的に協力をするというような意味のことを述べておりまして、米軍及び自衛隊の能力強化の必要を認めているという言い方になっておりますが、日本政府もそれを認めていると、こういうふうにありますけれども、防衛庁としてはアメリカの提案のTMD構想というものに対して基本的にどういうふうにお考えになっているか、伺いたいと思います。
  116. 小池寛治

    政府委員(小池寛治君) TMDの前に、国防報告における地域紛争の分類について先生の御指摘がありましたので、ちょっと御説明したいと思います。  先生御指摘のとおり、今年度の国防報告におきましては、米国が軍事力を行使し得る場合として三つの分類を挙げております。  すなわち、第一に米国の死活的な利益にかかわる場合、第二に死活的ではないが重要な利益にかかわる場合、第三に純粋に人道上の懸念がある場合という三つを挙げまして分類しまして、それぞれについて解説を加えているというところは先生御指摘のとおりでございます。  その際、米国の死活的な利益への脅威に対し、すなわち第一の分類ですが、その脅威を抑制もしくは終わらせるために軍事力の行使を覚悟しておく必要があるが、他方、直ちに全面的な軍事的対応をとらなければならないわけではないとしております。  それで、朝鮮半島を例に挙げてさらに次のような説明を加えております。訳をちょっと引用いたしますと、  朝鮮半島においては、北朝鮮の核兵器計画の追求が、前方展開された百万人の地上兵力と相俟って、米国の死活的利益を脅かすという危険な状況を作り出した。米国は、この問題を解決するために、積極的な外交努力を続けた。同時に、政府は北朝鮮に対する国際的な経済制裁を求める心構えをするとともに、韓国における米韓連合軍の防衛力を増強した。国際社会の断固たる態度に直面し、北朝鮮は幸いにもその危険な核計画を停止し、最終的に取止めることを約束した。 以上がこの報告書からの引用でございます。  先生よく御承知のとおり、我が国としては北朝鮮の核兵器開発疑惑については、我が国の安全の確保という点から見ても外交的手段によって平和裏に解決することが望ましい、そのためには米朝合意の誠実な履行を北朝鮮に対して促していくことが最も重要であるということは政府が従来から述べているところでございます。
  117. 村田直昭

    政府委員村田直昭君) TMDにつきましては、一九九四年三月十一日の東京での日米安全保障協議委員会、ツー・プラス・ツーの行われました際の共同記者発表が行われておりまして、その第六項におきまして、  日米双方は、大量破壊兵器及びミサイルの拡散が我々の共通の安全保障に対する重大な挑戦となること及びこのような脅威に対抗することが重要であることを強調した。日米両国は、両国間の安全保障協議において戦域ミサイル防衛について引き続き協議する。 という発表をしております。  そして、TMDにつきましては、我が国としましては、これの重要性というようなことについて政策上の位置づけというものをきっちりと決めた上で、その上で弾道ミサイルの脅威でありますとかTMDの具体的内容、あるいはその技術的可能性、費用対効果等、多岐にわたる問題について検討をする必要があるということから、平成七年度の予算におきまして、TMDを含む我が国の防空システムのあり方に関する総合的な調査研究を行うために、外国旅費を含む調査研究費二千万円を現在の予算に計上しておるところでございます。  そして、この予算がお認めいただければ、これに従ってさらに委託研究等を行って、その有効性でありますとか経費効率でありますとか、そういうような点についてさらに検討を続けていく必要があると考えております。
  118. 田英夫

    ○田英夫君 今お話しのように、七年度予算に既に二千万円という調査研究費を計上しておられるということで、政府はアメリカの言うとおり積極的にアメリカと共同研究を進めていこうという姿勢をとっておられると思わざるを得ないわけであります。  TMDの前のレーガン政権から始まったSDI構想というものについては、アメリカの中でも学者などの技術的な点からの批判が高まり、一方で日本は、この問題は宇宙の平和利用、それから憲法で禁じている集団的自衛権の問題と絡んで、日本政府としてはこれにかかわるべきでないという姿勢をとってこられたと思います。  そういうことからすると、TMDの場合はSDIとはそこが違うのかどうか。積極的に進めようとしておられますけれども、どう違うのか、その辺を説明していただきたい。
  119. 村田直昭

    政府委員村田直昭君) 今、先生がお述べになりましたSDI、戦略防衛構想でございますが、これにつきましては、当時、中曽根内閣のときに、その参加についての問題としてたしか検討が行われ、今、先生が申されましたように、我が国としてはこれに民間企業が参加をするという形で、民間企業が参加をした協議があると承知しております。  ただし、その際に、それが宇宙の平和利用でありますとか集団的自衛権の行使に連なるのかということについては検討をされましたが、政府としてはその際に民間企業の参加の枠組みだけをつくったということでございます。  なお、今お尋ねの戦域ミサイル防衛につきまして、先ほど私が我が国防衛政策上の位置づけということで専守防衛の観点から政策判断を行うと言いましたのは、やはりこの中に宇宙の平和利用というような政策との整合性というようなものがこの兵器の実体を解明することによって明らかになるということで、したがって我々としてはこの兵器の持ついろいろな特性、能力というようなものについて研究をし、そして宇宙の平和利用との関係の整合性を明らかにしていきたいと考えて、今、研究費を、調査費を要求しているわけでございます。  なお、今お尋ねの後段の集団的自衛権の行使に触れるのではないかということにつきましては、このTMDが、専ら我が国に対する弾道ミサイルの攻撃というような事態に対し我が国の防衛のためにこれを防御するための兵器というものを開発するという観点において、そういうものであるならば集団的自衛権の行使に当たるというようなことはないというふうに考えておるところでございます。
  120. 田英夫

    ○田英夫君 実はこの問題は大変大きな問題でありますし、憲法に触れるかどうかということを含めましてとてもこの短い時間の中で議論をすることはできないと思います。  御承知かと思いますけれども、核軍縮を求める二十二人委員会というのがありまして、超党派の国会議員、自民党の方も入っておられますし社会党その他超党派ですが、学者、文化人あるいは広島、長崎の市長というような二十数人の人たちで構成をされているものでありますが、その核軍縮を求める二十二人委員会が昨年の十一月にこのTMDについて反対であるという見解をまとめまして、村山総理にその文書を私自身が代表してお渡しいたしました。  そのときに内容を簡単に説明したのに対して、総理は、確かに相手は北朝鮮だと、朝鮮半島と言われましたけれども、朝鮮半島については確かに日本はアメリカとは違うからなと、こういう発言をしておられます。私も全く同感なのであります。北朝鮮を仮想敵国として、その脅威、ミサイルの脅威、核の脅威ということの上に立って考えられたのがこのTMD構想であると言わざるを得ないわけです。  もう時間がなくなってしまいましたから、小池さんの大先輩に当たる外務省の方の言葉を引用して終わりたいと思いますが、それは中江要介元駐中国大使、アジア局長もやられたしアジアの問題、国際問題の権威と私は思っています。  北朝鮮の核の問題に触れた講演の中で、北は敵か、北朝鮮は敵かということを立てておられて、果たして北朝鮮は敵だろうかということが一つ。それから、核兵器というのは脅威かと。これは脅威に違いないんですけれども、中江さんの議論は非常におもしろいのでありまして、アメリカが世界最大の核を持っている、ではアメリカの核は日本にとって脅威が、もちろんそう思う人はいないだろうと。それから日中国交正常化、ちょうどそのころ中江さんはアジア局におられたと思いますが、あのときに中国は既に核を持っていた、しかしだれも中国の核が日本にとって脅威だから平和条約など結ぶべきでないと言った人はいないと。  こういう論を立てておられて、核というのは持っている国と日本との関係というところで問題が生ずるのではないか、となれば、北朝鮮を初めから敵としてしまう外交政策の方に問題があるのではないか、こういう議論を立てておられるわけです。なるほどと思えるところがある。  時間がありませんから、日朝国交正常化交渉あるいはKEDOというような問題について触れる時間がありませんけれども、今、日本政府、外務省、防衛庁を含めて、あるいはマスコミなどの論調なども含めて大変気になりますのは、北朝鮮というのは初めから敵だ、そして核の脅威というのはもう既に常識的にあるんだ、こういう基礎の上に立って議論がなされ、それに対する対応が考えられているとすれば、中江さんではありませんけれども、いささかおかしいんじゃないだろうか。そして、そういうためにTMDに巨額の費用を投ずるというようなことはいささか問題じゃないか。  そういう中でアメリカが、先ほどもお話がありましたが、米朝合意という形で北朝鮮の核の脅威をある程度、今現在、停止状態に置いているというところはアメリカのクリントン政権の姿勢としては極めて私は注目すべきことだ、日本、韓国の方がはるかにおくれているのではないかなと思います。  時間が来てしまいましたから、残念ながら一方的に私の意見を申し上げて終わらざるを得ませんけれども、どうぞひとつそういう考えもあるということを防衛庁長官もお考えいただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。
  121. 玉沢徳一郎

    国務大臣玉沢徳一郎君) TMDは何か北朝鮮の弾道ミサイルを対象にして研究しているかのような話がございましたが、私が見るには、湾岸戦争においてスカッドとかいろいろなものが使われましたね。そういう場合に、やっぱり一部限定的な対処しかできない。そういうことから言いますならば、専守防衛という観点からもこれは関心を持つことでありますが、アメリカ等で研究しているものは、湾岸戦争の教訓からやはり弾道ミサイルに十分防御する手段がないか、こういう観点から研究をされているものと、こういうふうに私は思うわけでございます。  それから、北朝鮮を敵視しているんじゃないかという話でございますが、敵視する必要はないわけでございまして、問題は核兵器を所有して弾道ミサイルを開発するという意図が那辺にあるかということをまず見る必要があるんではないか。  共産主義国家の場合におきましては、またソ連におきましても中国におきましても、なかなか国際社会の中に登場をしなかった。そういうところがかえってその国の各国との交流というものを封鎖し閉鎖的になりまして、そして自国の経済というものが非常に苦しい状況に陥って、ソ連の場合におきましては崩壊してしまった。こういうようなことから見てまいりますならば、我々も何も北朝鮮を敵視する必要はありませんが、やはり国際社会の中で交流できるような国になってもらいたい、こういうことを考えるのは当然だと私は思うわけでございまして、今回の場合におきまして、米朝合意ということで外交的な努力によりまして問題を解決するということができたことは私は一歩前進だと思います。  したがいまして、その約束を履行していくということがやはりそれぞれの国に求められておるわけでございまして、そういう観点で言いますならば、委員に申し上げたいと思いますけれども、北朝鮮側におかれましても約束されたことを実行する、こういうことをむしろ我々の方から求めていくというくらいのことが大事ではないかなと、こう思うわけでございます。やはり北朝鮮を敵視するということではなくして、合意事項をお互いに守って、そして問題の解決と平和を確立するための努力をしていくということが大事ではないか、このように私の感想を述べさせていただきたいと思います。
  122. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 他に御発言もなければ、これをもって平成七年度総予算中、皇室費国会所管会計検査院所管内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、日本学術会議国際平和協力本部宮内庁北方対策本部を除く総務庁防衛本庁防衛施設庁についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 岡野裕

    委員長岡野裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時散会      ―――――・―――――