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国務大臣(
玉沢徳一郎君) 私は、世界各国における市民防衛の
基本的な物の考え方はどこかと申しますと、やはり核戦争に生き残る、できるだけ犠牲を少なくする。そのためには、核戦争が起きた場合におきまして、できるだけ適切に国民の避難誘導をいたしまして最小限の
被害で食いとめる。こういう考え方のもとに、例えばアメリカにしましてもスイスにしましてもスウェーデンにしましても、私も
衆議院の安全保障
委員会において各国を回ってきた経験でそのように感じておるところでございます。
そこで、アメリカのFEMAでございますけれども、これも核戦争を想定したところからスタートしておるわけでありますが、その後、
災害対策に重点を置いて
活動しておる、こういうように伺っておるわけであります。しかし私はここで、日本のシステムについても決して劣っていないということを申し上げたいと思うわけでございます。
それは、我が国には世界でも例を見ない自衛消防というのがあるわけです。この消防団の
組織というのは大都市では
活動は余り顕著ではありませんけれども、中小都市以下市町村では地域ごとに各分団がございまして、そしてその分団の
活動には地域の人たちが後援会となって日ごろから防災
活動を行う。消火
活動ばかりでなく、水害等があった場合におきましても消防団が警察あるいは自治体との連携のもとに避難誘導、適切な行動をとっておる。こういうのを見れば、地域に非常に密着した防災
組織というものがずっと根をおろしておる。これは世界に例のない防災
組織だと私は日ごろから考え、私も地域に帰りますと、消防団の
皆さんとたまには酒を一杯飲みながら友好増進をしているというところでございます。
これがつまり
自衛隊等とも連携をすれば、
自衛隊がある地方都市に行ったとしましても土地カンが全然わからないわけですから、何町の何番地で何が起きていると言ったって地図を一々見ながら行かなければならぬようなことではとても
対応がおくれるわけです。各消防団がその場所におりまして、そして
自衛隊とともどもに案内役をしていただきながら適切な誘導をしていただきましてそこで
活動する、こういうものが私は最も大切じゃないかな、こう思っておるところでございます。
また、日本の
災害対策
基本法等におきましても、まず第一に
自分たちの町は
自分たちで守るというところの思想から始まっておる。したがって、市町村で起きた
災害に対しては市町村が
対応する。しかし、それがみずからの力でできない場合には広域の消防あるいは防災
組織というものが連携する。なおかつ県にもそれが報告が行きまして、県で
対応できるものは県で
対応する。しかして、県で
対応できない場合に国に
要請をするということになっておるわけであります。
FEMAの
組織も、我が国では外国のものがすべていいように
報道されますけれども、やはりアメリカの場合におきましては地方
政府、市
政府だと思いますが、これが
災害をまず受けて、そして州に報告をし、州からFEMAの
本部に報告が行って、ホワイトハウスの大統領府に
連絡が行って、そこでこれは連邦
政府が介入すべきかどうかという
判断をすると。検討しても、これは州でできるものではないかといった場合におきましては、連邦の救済
活動はストップするということもあり得るというふうに書いてあるわけでございます。
そういうようなケースを見てまいりますならば、我が国の
災害対策
基本法の点におきましてもまさにFEMAと同じような
体制のもとに行われておるわけでございますから、これを連携を強化するということでもってやれば、一々FEMAに行って勉強しなければ日本の防災
体制はできない、こういう貧困なものではないと私は考えるわけです。
ロサンゼルスのノースリッジにおきましても、発生したのは四時半でございますが、連邦
政府軍がロサンゼルスに入りましたのはその夜の六時過ぎです。ただし州の
部隊ですか、これは早いわけです。しかし、連邦軍そのものが救済に入ったのはその日の夕方でございますから、これは国土が大きいということもあるかもしれませんけれども、そういうものと比べて我が
自衛隊が初動におくれているとは言っておりますけれども、発生と同時に行動しているということからいいますならば、決しておくれたことだけが批判されるべきものではない、私はそういうふうに考えているところであります。