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国務大臣(
橋本龍太郎君) 私は
委員の御
見解に反論をいたすつもりはありませんけれども、
APECの
蔵相会議並びにその時点で行われました
日米蔵相会談における
各国の受けとめという点につきましては、私は多少
委員とは判断を異にいたしております。
これは、実は
日本の
国内における報道でも同様の
問題点があったわけでありますけれども、私は今回の
緊急円高・
経済対策の中における重要な
シグナルについて必ずしも
市場は的確に受けとめておらなかったんではなかろうかという思いを、その後四極の
通商代表会議等におきましても痛感をいたしました。
それは何かといいますと、今回の
補正予算に臨みます
姿勢として、例えば既往の
予算の組み替えでありますとかあるいは増税によるのではなく、
赤字国債を発行するという、言いかえれば
日本が
国家意思を持って
経常収支の
黒字の
意味のある縮小に
政府として踏み切る決意をした、この点の
シグナルが必ずしも的確に伝わらなかったのではなかろうか。あるいは、的確に伝わりました結果、その実体を見せてほしいという、これはまさに
アメリカの
ルービン財務長官が
武村大蔵大臣に対して使われた形容詞のようでありますが、その
数字を見せていただこうという表現が非常に的確に示しますように、
円高対策から
補正予算の
編成までの時間差というものが、ややもすると懐疑的とかあるいは非常に批判的という受けとめを
市場にされた
一つの
原因ではなかろうかと思います。
ただ、私
自身四極
通商代表会議に参りましてそれぞれの方々との個別の
会談をいたしました際に、全く
相手側がびっくりされましたのは、
一つは公定歩合一%という史上かつてない低
金利を設定していること、そこまで
金利を引き下げているということ、さらに
赤字国債の発行というものを前提にした
補正予算の
編成に取り組んでいること、この二点でありました。
これは、あるいはむしろ
我が国の
広報能力に問題があったのかもしれませんけれども、残念ながら十分に
相手側にメッセージとしては伝わっておりませんでした。そして、この二点を説明しましたときには、むしろそこまで思い切ったのかという反応が返ってまいりました。
ですから、この点は私は
委員の
評価と多少
見解を異にいたします。その上で、私は
委員が今御
指摘になりましたような、さまざまな
プロセスを経て中長期的な
施策を必要とする、そのお
考えは全く我々と異なるものではないと受けとめております。
そして、我々
自身が今、
内需拡大のための
社会資本の計画的な整備、また
我が国の
市場というものに対する世間の目を改めていくためにも、対
日アクセスの改善、また
内外価格差の是正のための
規制緩和というものを積極的に今後も継続をしていく努力、そして
新規事業の
育成支援、
既存産業の
事業革新の
支援等によります
経済フロンティアの
拡大、これには例えば
純粋持ち株会社の制限の
緩和といったものも含めて
考えたいと私は思いますけれども、こうしたものをあわせまして総合的に進めていく必要があると
考えております。
そして、こうした
考え方というものは、私は
内外に開かれた
日本、国際的にも調和のとれた
経済社会の構築に向かおうとしている姿を示すものであり、またその
方向に進んでいくことに資するものであると
考えております。
その
意味では、先ほど
委員から御
指摘がありましたこの
法律案の位置づけはと言われますならば、我々は、昨年以来の
為替の
状況の中で既に
円高の
影響を受けておりました
中小企業というものを、例えば今回御
審議をいただきました、そして
成立をさせていただきました
創造法等の
役割として今後の対応を
考えておりました。ところが、三月に入りましてから非常に急激に
為替が変動いたしました結果の、私は
びほう策という
言葉は使いたくありません、この非常に急速に動きました
為替の
状況に対応する対症療法的な
役割を持つものと、私はそう思っております。
むしろこうした
法制度を
恒久立法にしなければならないような状態は何としても避けなければなりませんし、この
法律を含めました
施策がそうした効果を発揮することを心から願っている次第であります。