○西川潔君 実は
被災者の御家族の方からお便りをいただいたんですけれ
ども、
土地区画整理事業につきましてちょっと読ませていただきたいと思います。
私の両親は、
神戸市東灘区森南町に住んでおりました。今回の
地震でご多聞に漏れず
家屋が
全壊致しました。幸いにも、両親共に無事脱出できました。父は八十六歳、母は七十九歳です。
震災以降、小生は、家内と毎週
被災地に通い、壊れた
家屋の中から、いくらも持ち出せませんが、利用できそうなものを危険を冒しつつ取り出し、先日
家屋の解体まで行いました。
ところが、二月二十六日に現地に居りましたら、近隣の方から、市の
土地区画整理事業につき
説明を受けた方がよいとの話を聞き、早速、森公園のテントに出向きました。
そこでは、「十七メートル幅の道路をつけてあげる。そのためには、各戸から一〇%の
土地を無償提供せよ。」と市の
職員は
説明しました。一瞬、私は耳を疑いました。私の父は、もと鉄鋼会社に勤めた真面目なサラリーマンでありまして、私を含む三人の子
どもに対して高額な教育費を出費しながら育て、戦争の困難な体験もし、給料の中からかなりをさいて、ようやく、森南町の地に
土地を購入し家を建てました。定年退職後は、静かに、父は病身がちな母を庇いながら、夫婦で老後を過ごしておりました。この
地震で、
家屋全部と、ほとんどの家財を失い、父の
財産として残った物は、唯
一つ土地しかありません。父の唯一の残ったなけなしの
財産である
土地を一〇%も無償で
神戸市の
土地区画整理事業として取り上げるとは、信じられません。現在、父親は年金生活者で、細々と質素に暮らしております。一〇%の
土地は、時価では、父親の一年間の年金収入の何倍もの金額価値に相当いたします。それにも関わらず、
神戸市はそのような理不尽な計画を強行しようとしています。
たまたま、その
現場に行き合わせた私が、近隣の人から聞いて、
神戸市の計画を知り、市
職員の不十分な
説明を聞いたのです。避難されている方には、このような計画を全く
説明も受けずに居られる
方々も数多く居られることと思います。それにもかかわらず、強引に計画を強行しようとしています。更に、
財産として
土地しか残らなかった、老人夫婦から更にその
財産の一部まで、無償で没収しようとしているのです。というお手紙をいただいたわけです。
今回の
震災を教訓といたしまして、
震災に強い町づくりのために
土地区画整理事業が必要なことであるということはもちろん私も理解をいたしますが、しかし
被災された
方々にとっては
震災によりまして家族を亡くされ、そして家をなくされ、
財産をなくされということでございます。残ったのは
土地だけという
方々もたくさんおられるわけですけれ
ども、それぞれ皆さん方が自分の
土地から一〇%の無償の拠出をお願いしますと十分な
説明もなく言われたということでございます。
これでしたら二重三重の苦しみと思うわけですけれ
ども、このことに対して
大臣に言いただければと思います。