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有働正治君 私は、日本共産党を代表して、
地方税法及び
地方交付税法等の一部を改正する
法律案に関しての反対討論を行います。
まず、
地方交付税法等の一部改正案についての反対理由です。
第一は、
地方財政の財源不足にかかわる国の
責任を放棄している点であります。
交付税法は、
地方財政に財源不足が生じる場合には、国の
一般会計から繰り入れるという特例
措置で補てんする旨を明記しています。ところが、来年度
地方財政は約七兆円という過去最高の財源不足を生じる
事態にもかかわらず、国が特例
措置として繰り入れる額は一千八百十億円、不足額のわずか二・六%にすぎません。これではとても国が特例
措置をしたなどと言えるものではなく、財源不足のほとんどが
地方の借金によるものという性格が変わるものではありません。
第二は、借り入れはしないという
政府の方針に反していることです。
法案は、財源不足の穴埋めのために交付税特別会計の借入金を約三兆四千億円増額することとしていますが、本来、財源不足を補てんするための交付税特別会計の借入金は行わないというのが
政府の方針のはずであります。ところが、年度当初としては二年連続、補正を含めれば三年連続して借り入れによる補てんが行われており、今や借り入れをしないという原則は事実上無視され、借り入れが恒常化さえしているのが実態です。特に今回の借り入れによって年度末の借入金残高は十兆七千七百億円余と見込まれ、財政体質の悪化を招くとの理由から借り入れを
廃止した当時の
地方負担分五兆六千九百億円余を大きく上回る
事態となっています。この点からもこうした多額の借り入れを行う
責任が問われなければなりません。
第三は、交付税特別会計に繰り入れる金額の八割以上を先送りしている問題です。
九五年度に国の
一般会計から交付税特別会計に繰り入れられる予定額は一兆一千三百九十二億円でした。ところが、実際に繰り入れられる額は一千八百十億円と全体の一六%弱にすぎません。ほとんどが二十一世紀に先送りされ、その額は今回の九千五百八十二億円を含めて実に五兆円を超える巨額なものとなります。こうした財源はもともと交付税として
地方に配分されるべき
地方の財源であり、財源不足が生じる
事態ではなおさらきちんと配分しなければなりません。一方で新たな借り入れをしながら、
地方への繰入予定額のほとんどを先送りすることは全く筋が通りません。このことを強く強調するものです。
次に、
地方税法の一部を改正する
法律案に対する反対理由です。
第一に、リゾート開発を初め関西文化学術研究都市開発、多極分散型国土形成促進法に基づく振興拠点
地域整備に係る特例など、大企業優遇の民活路線、大型プロジェクト推進のための特例制度を温存・延長し、新たな拡大さえしていることです。
八年前、リゾート法に反対したのは我が党だけでした。しかし、今やリゾート計画のうち六割が一部中止や規模の縮小に追い込まれるなど、それは自然と環境を破壊し、莫大な借金を自治体に押しつけただけです。また、事業費十兆円という
東京都の臨界副都心開発計画を初め、一兆円規模と言われる大阪府のりんくうタウン、京都の学術文化研究都市構想など、国が自治体と一体となって大企業本位の開発を進めたことも
地方財政破綻の大きな原因ともなっています。こうした点を省みず、引き続きその推進のための特例
措置を設けることに同意するわけにはいきません。
第二は、自動車税、自動車取得税の特例
措置の
廃止、懸賞金つき預貯金への一律課税など、住民への新たな税負担や環境保全対策での後退を含む内容となっていることです。
電気自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車などに対する特例
措置の
廃止は、これらの車が公害対策、石油代替エネルギー促進の面から見れば、本来国がもっと力を入れて普及促進すべき性格のものです。環境庁も特に低公害車の普及促進に努めると強調しており、今回の
措置はこの方針にも逆行するものです。
第三は、個人の土地についての長期譲渡所得に係る住民税の税率が
緩和されている問題です。
法案では、特別控除後の譲渡益が四千万円以下の部分についての税率が
緩和されており、それにより住民にとって一定の負担軽減となる一方、今回の税率
緩和を皮切りに土地流動化の名のもとに土地税制の大幅
緩和への突破口となることが懸念されるなど問題を含んだものです。
なお、今回
地方税法の改正項目は多岐にわたり、大幅引き上げの不当な基本政策を維持しつつも、住民の怒りを反映した固定資産税の住民負担の一定の軽減や心身障害者雇用事業所の課税標準の特例の延長な
ども含まれています。しかし、大企業優遇の
措置、国民への新たな負担増など法案には原則的に譲れない内容が多々含まれており、全体としては反対であることを表明して、討論を終わります。