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国務大臣(
武村正義君) それがなかなかないのでありまして、国際的なそういう物差しもないんですが、私
どもがこれですと言ったら
国民の皆さんがすっと納得してくださるようなものがないという意味でございます。
今、七年度末の公債残高のGNPに対する比率は四三ぐらいになると推計をしておりますが、G7の会合でも絶えず各国の財政体質というか赤字体質の比較の論議が出まして、冒頭にIMFの専務理事が来まして各国のレビューしたものを、概括的に
日本はこうだとやるものですから、それ黙って聞いているんですが、私はまだ三回ぐらいですが、財政赤字というのは大体
アメリカの問題だと我々は思っておりました。あるいはヨーロッパにもそういう国が多かったんですが、ヨーロッパはかなり努力していますし、
アメリカはまだ成果が明確に上がっておりませんが、
日本の
経済全体の
説明の中で
日本財政の赤字体質というのはぐんぐん浮上してきているという大変肩身の狭い状況になってきております。
志苫議員からも大変鋭く大事なところに目を向けてお話をいただいておりまして、各議員からもそういう声を今議会でも随分伺いました。
結局、私も初めてこうして手真編成を預かって、率直に感想を申し上げると、財政需要とそれから
歳入の能力とのギャップ、すさまじく大きいギャップ。これは、財政需要というのは
国民の皆さんの
日本財政に対する御期待、これもやってほしい、あれもやってほしいと。そのことは、直接的に国
会議員の先生方はそれを受けとめて真剣に議論をいただくし、
大蔵省へも各省へも持ち込んでいただく。そういう需要の大きさと
大蔵省が掌握している税を
中心にした財政能力の限界というか、そのことをまざまざと痛感をした次第であります。
片方は、やっぱり将来のことを考えて、赤字国償だけはもう二度と出すまいという思いが我々財政当局には強いわけでありますが、それはああいう経験をしたからでございまして、その一点を守って新年度の
予算も編成してみますと、結局入りと出のギャップが数兆円という大きさになってくるものですから、それがこういう特例措置という形になっているというのが現実でございます。
これは私
どもの責任でございますが、しかし率直に語れば、
国民の皆さん全体の財政に対する需要をどういうふうに整理をして、申しわけありませんがこれもやめさせてもらいます、これも半分にします、こういうことができなければどんどん財政は悪化をしていくのではないか。
事務当局も、原稿を幾ら見ても基準は書いてないんですが、おっしゃる物差しが出てこない。これは時々のあれによって違うとかいろいろ書いていますが、事務当局も恐らく頭の中では何かもう歯どめをかけなきゃいけないということはみんな知っていると思うんです。しかし、政治の状況とか
国民の長年の
日本財政に対するかかわりから見たら、
大蔵省がそんなことをぼんと打ち出したって、とてもじゃないが簡単に御了解いただけないだろうという思いがあって事務当局がそういうものを言うのを抑えているような感じもします。
そうかといって、私
どもも今ここで大臣だけの判断でそんなことが言える問題ではありません。大変大きな問題であります。根の深い問題でありますだけに、こういう議論の中からそれなりのやっぱり真剣な物差しというか歯どめの目標というものを打ち出していくそろそろ時期に来ているというふうに痛感をいたしている次第でございます。