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清水達雄君 私がさっき申し上げたように、二〇%プラス六%に一律しちゃえというのは、これは
課税の公平という面から問題があるとするならば、
資産の
譲渡課税の本則にもう私は戻していいんじゃないかと。
結局、
土地に対する需要というのは従来と変わって今後はそんなに多量なものは出てこないと私は思います。今までは確かに日本
経済が高度成
長期を経でずっと膨らんできておりますし、住宅も非常に悪かったから
住宅建設もどんどん進めなきゃならないという状況になってきました。しかしもうこれからは、これは
一つでは困ることかもしれませんが、円高問題とも絡んで、
企業は国内と海外とうまくバランスをとってやっていかないととても為替レートの変動には対応できないというふうな状況になってきているから、むしろ国内への設備投資というのをどうしてふやしたらいいかというふうな事態になってきている。
それから住宅についても、一応はみんな住んでいて、値段が高いときはもう買うまい、安くなったら買おう、あるいは金利が安くなったら買おうというふうな世の中になってきていますから、もうこれからはそんなに大きな
土地需要というのはないんです。地価は、
平成七年の地価公示も発表されましたけれども、地価の下落率はやや小幅にはなりましたがまだ続いておりますし、これからもまだ私は地価は下落していくと思います。
そういう状況に合わせて、今までいろいろ御苦労なさった政策的配慮といいますか、そういうものを捨てて
資産譲渡の本則
税率にだんだん戻していくということの方がいいんじゃないかという
感じが非常にします。
そうすると、これはいわば二分の一
総合課税の問題であるわけでございます。
勤労所得との
議論がさっき主税局長からありましたけれども、
土地を買うためにはどうして買うかというと、まず
自分が働いて
所得を得たら
所得税を払って、
自分で生活を支える消費をして、余ったらばそれをためておいて
資産を買うということになる。
資産を買ったら、
土地を買ったらどうするかというと、もしそれを貸して地代が入ったら地代についても
所得税が毎年かかる。一方、
固定資産税等を初めとする保有税も毎年かかるということであるわけです。
じゃ、今度はそれを売るときにどうなるかというと、長年かかってそうやってきた
譲渡益というものが一挙に出ちゃうわけですね。そうすると、年々発生する
所得と違って、何年間もの
譲渡益が一遍に出ちゃって、
総合課税みたいなことをやると累進
税率ですから非常に高い税金を取られちゃうというようなことにももちろんなってくるわけですが、そういうことを考えて益に対して二分の一の
課税をするということだったんだろうと思うんです、二分の一
総合課税というのは。
これは
我が国の歴史では非常に古くて、昭和二十一年に
譲渡益課税が発足して以来、昭和四十四年までは一応
原則として二分の一
総合課税原則だった。これは二十四年間あります。それから昭和五十七年度の
税制改正で、山中
税制調査会長が
長期安定的な
土地税制をつくると言って、いわば二分の一
総合課税にのっとったようなことをやってから
平成三年まで十年間、四千万円以下は二〇%ですけれども、四千万円以上の益については二分の一
総合課税ということをやってきたわけです。
我が国の
土地税制の歴史の中でこの期間が一番長いんです。
その間に非常に宅地需要が強かったから、
土地を
供給するためには税金を安くしようとやってみて、毎年少しずつ税金を上げていくというようなことを三年間やったこともあるとか、
土地成金がふえてきたから一番高いところでは四分の三
総合課税なんということをやったこともあるとか、いろんな変遷を経たけれども、もう安定期に入っているから、わかりやすく二分の一
総合課税の
原則にのっとった
課税に変えていくべきじゃないか。
平成三年度の
税制改革の
背景になった状況というのは、今やまさに全くその反対の状況になっちゃっているわけです、
土地の問題、
資産の問題については。これは後からまた地価税に関連して申し上げますけれども。
したがって、そういう方向に持っていこうということを検討するお考えはないでしょうか。