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国務大臣(
武村正義君) ただいま議題となりました二つの
法律案につきまして、提案の理由及び内容を御
説明申し上げます。
まず、
平成七年度における
財政運営のための
国債整理基金に充てるべき
資金の繰入れの
特例等に関する
法律案について御
説明を申し上げます。
平成七年度予算の編成に当たりましては、一段と深刻さを増した
財政事情のもとで、
財政体質の歯どめなき悪化につながりかねない特例公債の発行を回避するため、従来にも増して徹底した歳出の洗い直しに取り組む一方、限られた財源の中で
資金の重点的・効率的な配分に努め、質的な充実に配慮したところであります。
この
法律案は、こうした努力に加え、
平成七年度の
財政運営を適切に行うため、各種制度の運営に支障が生じない範囲の特例的な措置として、
平成七年度において、国債費定率繰り入れの停止等の会計間の繰り入れに関する措置等を講ずるものであります。
以下、その内容について御
説明を申し上げます。
第一に、毎年度国債の元金の償還に充てるため
国債整理基金特別会計に繰り入れるべき金額は、
国債整理基金特別会計法第二条第二項に規定する前年度首国債総額の百分の一・六に相当する金額及び同法第二条ノ二第一項に規定する割引国債に係る発行価格差減額の年割額に相当する金額とされておりますが、
平成七年度におきましては、これらの規定は適用しないこととしております。
第二に、
平成七年度において、定率繰り入れ等の停止に伴い
国債整理基金の運営に支障が生じないようにするため、
日本道路公団、
日本開発銀行等に対するNTT株式の売り払い収入に係る無利子貸し付けについて、繰り上げ償還を行うことができることとするとともに、別途、貸付先に対して相当額の貸し付けを行うこととしております。
第三に、
平成五年度の決算上の不足に係る
国債整理基金から決算調整
資金への繰入相当額につきましては、決算調整
資金に関する法律の規定により、
平成七年度までに一般会計から決算調整
資金を通じて
国債整理基金に繰り戻すこととされておりますが、この繰り戻しを
平成八年度まで延期することとしております。
第四に、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金のうち一般会計に帰属したもの並びに
日本国有鉄道及び
日本国有鉄道清算事業団の債務のうち一般会計において承継したもののうち、
平成七年度において償還すべき金額については、それぞれその
資金運用部に対する償還を延期することができることとし、当該延期に係る金額については、五年以内の据置期間を含め、十年以内に償還しなければならないこととしております。
第五に、
平成七年度における一般会計から厚生年金特別会計年金勘定への繰り入れのうち経過的国庫負担については、その二分の一に相当する金額を下らない範囲内において予算で定める金額を繰り入れるものとするとともに、後日、将来にわたる厚生年金保険事業の
財政の安定が損なわれることのないよう、繰入調整分及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れることとしております。
第六に、
平成七年度における一般会計から国民年金特別会計国民年金勘定への繰り入れについては、国民年金特別会計への国庫負担金の繰入れの平準化を図るための一般会計からする繰入れの特例に関する法律の規定により繰入金額の算定において加算するものとされている金額はこれを加算しないものとするとともに、後日、将来にわたる国民年金事業の
財政の安定が損なわれることのないよう、加算しなかった金額に相当する額及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れることとしております。
第七に、
平成七年度における一般会計から労働保険特別会計雇用勘定への繰り入れについては、雇用保険法に定める額から三百億円を控除して繰り入れるものとするとともに、後日、雇用保険事業の適正な運営が確保されるよう、各年度の当該勘定の収支の
状況等を勘案して、繰入調整分及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れるものとしております。
第八に、
平成七年度において、外国
為替資金特別会計から、外国
為替資金特別会計法第十三条の規定による一般会計への繰り入れをするほか、三千五百億円を限り、一般会計に繰り入れることができることとしております。
第九に、
平成七年度において、自動車損害賠償責任再保険特別会計の保険勘定及び保障勘定から三千百億円を限り、一般会計に繰り入れることができることとするとともに、後日、繰入金相当額及びその運用収入相当額の合算額に達するまでの金額を一般会計から繰り入れるものとしております。
次に、
租税特別措置法の一部を改正する
法律案につきまして御
説明申し上げます。
政府は、最近の社会
経済情勢の変化及び現下の厳しい
財政状況に顧み、課税の適正・公平を確保する観点から
租税特別措置の大幅な整理合理化を行うとともに、早急に実施すべき措置を講ずることとし、本
法律案を
提出した次第であります。
以下、その内容について御
説明申し上げます。
第一に、課税の適正・公平を確保する観点から、企業
関係の
租税特別措置等について、廃止を含む整理合理化を行うこととしております。
第二に、企業の事業革新の円滑化に資するため、一定の事業者に対し、増加試験研究費の税額控除の
特例等の措置を講じ、また、
中小企業の創造的事業活動の促進に資するため、一定の
中小企業者に対し、機械等の設備投資に対する特別償却または税額控除等の措置を講ずる等、社会
経済情勢に
対応して所要の措置を講ずることとしております。
第三に、個人の土地等の譲渡に係る長期譲渡所得課税について、特別控除後の譲渡益が四千万円以下の部分については、現行三〇%の税率を二五%とする等、土地・住宅税制の見直しを行うこととしております。
その他、民間国外債の利子及び発行差金の非課税、住宅用家屋の所有権の保存登記等に対する登録免許税の
特例等適用期限の到来する特別措置について、実情に応じその適用期限を延長する等の措置を講ずることとしております。
以上が二つの
法律案の提案の理由及びその内容でございます。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。