○橋本敦君 大変困難な中で
選挙の
執行を適正にやるために、今回は初めての重大な
ケースなので自治省としても特段の指導と援助を強めていただきたいと思います。
統一地方選挙を目前にしてもう各地で
選挙活動も始まっておりますが、この機会に私は
選挙の公明、公正を
確保するという観点からどうしてもただしておきたい問題があるので伺うんですが、
一つはいわゆる企業ぐるみ
選挙と言われているものであります。
一つの例として、私は中部電力の
選挙の例を取り上げたいんですが、中部電力岐阜支店の営業開発担当課長のNさんという方が県議選に今度立候補される、それをめぐって大変な企業ぐるみ
選挙があるというので、この問題で一一〇番を設置して
意見を聴取しましたところ、大変多くの苦情が寄せられたんですが、その中でいろんな実態がわかってきました。
そういうことの中で、
一つは、中部電力の支店長が各職場の係長クラス百二、三十名を三回に分けて会社の梅林荘という施設に集めまして、そこで懇親会という名目でいろいろ話をしているんですが、議事録を見ますと極めて露骨なんですね。
その支店長が、最近の最大のニュースは
阪神大震災だということから話を始めて、最大のこと、それは今度の
統一地方選挙であります、その
選挙は組合がやっているんですけれ
ども、組合もそうですが会社にとっても物すごく重要なことなのですと。こういうことで中部電力
関係の
議員がこれまで出ておった、そのためにどれだけこの岐阜で中部電力が
仕事がやりやすかったか、そのことを痛感しております、ということですね。
したがって、今度の県議選でもどうしても当選をさせなくちゃならないということを訴えて、次のように言っているんですね。
私も今度の
選挙に危機感を持って燃えています、そういう
意味で皆さんお一人お一人が頼りだ、部下はそれぞれ上司の顔を見て
仕事をする、そういうわけですから、ぜひそういうことも酌み取って皆さんは部下にそういうことを十分言い聞かせて、四月に笑えるようにしてほしい、こういうことですね。この集会の招集文書は総務部総務課で各支部あてに出されておりまして、会社の公式の要請によるものであるということが明白なんですね。
こういうことでやりまして、その上今度は各職場で、これは変電技術課の勤務表というのが手に入っているんですが、
職員十八人全員の勤務日程表があって、そしてその中で何月何日にだれがそのNさんのところの
選挙の支援に行くかということを具体的に書き出して、そういうスケジュールまでつくって、まさに特別にそういう割り当てをするということまでやっているわけですね。こういうことをやりますと、私はまさに
選挙の自由の公正を害する、そういうことはもう疑いないと思うんですね。現にそこの職場で働いている
人たちは、そういう勤務に繰り入れられることを拒否できないでしょう、事実上。そしてまた、そういうことをやらされるということについて自由な意思を表明し得ないことも力
関係からいって明らかですね。
だから、こういった問題についてはまさに
選挙の公正を害するものとして、これは私は厳しく批判されなくちゃならぬと思うんです。しかも、電力会社というのは公益事業ですから、御存じのように一九七四年、いわゆる電力会社の企業献金をやめようといった自粛が国民世論の中で行われて、公益事業としてふさわしいやり方ということが考えられなきゃならぬということが
指摘されてきたわけでしょう。そういうところでこういう企業ぐるみ
選挙が会社の強力な
体制のもとで進められるという問題については、
選挙の公正を害するという
意味で私は無関心でおられないと思うんですね。こういった企業ぐるみ
選挙について自治省としてはどうお考えですか。