○小島慶三君 きょうは
大臣、
政府委員の皆さん、長時間御苦労さまでございます。
初めにちょっとおわび申し上げなきゃいけないんですけれ
ども、午後、議院運営
委員会それから
国会改革
委員会とありまして席を外させていただきまして同僚の先生方の皆さんの話を承っておりませんので、もし重複している
質問がございましたら、それは重複しているとおっしゃっていただけば結構でございます。後で速記録を拝見をいたします。
それから、これはちょっと私事を申し上げて大変恐縮なんですけれ
ども、私これまでかなり
エネルギー関係に携わることが多うございまして、戦後の石炭の傾斜生産それから電力の再編成、それから御家人崩れになりましてからは石油の自主開発といったようなことで、かなり
エネルギーには関係を持ってまいりました。その点で、きょう出されましたこの
電気事業の
法律やなんかを見ておりますと、やはりほうぼうたる月日がたったなと、そういう非常に感慨深いものがございます。
それともう
一つ、これは橋本
大臣のお父さんとの関係で、私、最初独禁法の原案をつくらされて司令部に大分しかられて、それから
通産省から所管が安本に移って、橋本
大臣のお父さんがこれを仕上げられた、大変いろんな因縁がありまして、その
大臣にいろいろ御
質問申し上げるのも、これもいろんな宿世の緑かなというふうに思っております。
それで、本題に入りまして、今回の
電気事業法の改正というのは、これは恐らく半世紀にわたる今までの行政、
電気事業の運営に係る行政といったようなものを相当程度手直しをされるということであろうと思うのであります、
私
どものやりました公益事業令、これはポツダム勅令ですけれ
ども、公益事業令に基づく
電気事業法、ガス事業法、これは私
どもがつくり出したわけでありますが、恐らくこれは戦後の司令部の改革の中でもどちらかといえばヒットではなかったのかなというふうに私
どもは理解しております。
それで、私
どもが受け継ぎましたときの
電気事業というのは、これは戦争中の国家管理の
影響を受けまして料金の引き上げが認められなかったものですから、設備の改善も補修もできない、したがって量的な安定も質的な保証もない。しょっちゅう停電はしますしサイクルはめちゃくちゃになりますしということで、これがどういうところからきたかというと、結局戦時中に料金をずっと抑えられてきた、これは国鉄なんかでも同じだと思うんですけれ
ども、そこからきているわけであります。
それで、戦後の公益事業
委員会ができましたときに、私は松永安左ヱ門の下にいたわけでありますが、これが命がけで電気料金を三倍にしたわけです。そのおかげで、当時気違いざただと言われた七千七百億の電源開発計画を立派に達成したわけであります。そういう点で見ますと、やはり
電気事業、ほかの業界でもそうでありますけれ
ども、料金をどう設定するかということが死活問題になっているわけであります。
戦後の公益事業令におきましては、そういう点で、先ほど安定か効率がという御
質問が
牛嶋先生からありましたけれ
ども、その点は両方
考えて、
一つは
供給区域の独占といったようなことを
電気事業には認めたわけです。つまり、これはある
意味の競争の制限であります。そしてそのかわりに
供給義務というのを課しております。
供給を断ることはできないということで、未点灯部落なんかも随分解消されました。
供給の義務というものがございます。
それで、あと
供給の義務を果たすための一定の資本設備、装置とか設備とか、こういったものをきちっとやはり持っていなければいけない、それを保全しなければいけないということで、競争によって会社がつぶれるなんということは恐らく想定をしていなかったわけでありまして、その
意味におきましては、
電気事業の国民
経済に対する安定という角度から見た場合に、やはりこれは市場原理そのままを採用するわけにはいかないということが根本的にはあったと思うのであります。
しからば、その料金というものを
電気事業者が勝手に恣意的につくっていいかということになれば、それはできない。したがって、経理規程もきちっとつくって、極端に言えば鉛筆、紙に至るまできちっと経理を整理をして、その上にそれを集約して総括原価というものをつくり出す。そして、その総括原価にフェアリターンという資本維持のための、
牛嶋先生もおっしゃいましたけれ
ども、いわば利潤留保というものがあって、そしてそれを料金に開くと、こういうことで料金制度というものがつくられてきた。それがやはり戦後の
電気事業の安定と発展というものにかなり役に立ったと
思いますし、また
需要家との関係でも、民生用あるいは
産業用それぞれのシェアに応じてこれがある程度適正に行われてきたのではないか、私はそういうふうに思っております。
やっぱり電力の
復興というのは、戦後の
復興の場合の
一つの柱であったというふうに思っております。ソ連なんかの国づくりも最初は電力からということであったように聞いております。そういった点で、市場
経済に完全に任せておけない
電気事業の性格というものは、これは今の場合でも私は残っているというふうに思っているわけでございます。
しかし、世が世でございますから、もちろん市場
経済のメリットを取り入れる、効率を取り入れるということも必要でございましょうし、それからまた
需要家の声を聞いて、そして適正なしかも公平な料金制度のあり方というものを確かめていく、これももう大変重要なことでありましょう。ですから、
規制緩和というのを私は否定するわけではございませんし、それが目下の政策の最重点であるということもよく承知をしております、私自身、
規制緩和の
委員会に属してもおりますし。
そういった点で、これはどんな業界でも
考えなければいけないんですけれ
ども、やはり電気とかガスとか
国民生活に密着したこういうものにつきましては、それじゃ完全に市場の動きに任せていいかというと、これはそうはいかないんだと思うんです。今度の
法律でもその点は随分御苦労なさったと思っております。
ですから、一方では新規の参入者というものは出てくる。恐らくこれは、先ほど御
説明がありましたけれ
ども、インセンティブになるでありましょう、こういった
意味の効率は出てくるでありましょう。ただ、一方ではやはり適切な料金制度によって資本の維持がなされなければならない、これはもう大変重要なことだと思うのでございます。
そういう点で、これからの料金の設定、殊にヤードスティック方式ですか、それと何か標準的指標というものを取り入れるということで客観性を持たせるということは確かに私
ども理解できますけれ
ども、えてして電気料金というのは政治問題になりやすい。これはもう大変私
どもも苦労をいたしましたけれ
ども、料金の改定というのは非常に難しいということで、したがって料金の改定が難しいからある程度サバを読んで原価を出してくるというようなことがあったのかもしれません。その点で、どうやって一般のニーズにこたえた料金の水準というものを
確保するか、これが私は今度の
電気事業法の改正の最大の
問題点ではないかと思っておるわけです。
それで、
一つ伺いたいのは、特定
供給といいますか、そういったものがどんどん出てきて、これが新規参入をするということになって、その
電気事業との取引といいますか、そういうことでかなりそちらの方が有利に設定されて、そのツケがほかの一般の業務用、民生用に乗るというふうなことを私は心配するわけでありますが、その辺は大丈夫なのか。競争が激しくなればなるほどそういう点が出てくるのではないかということが
一つございます。
それからもう
一つ、今度の
電気事業法案を拝見していますと託送という制度が認められております。これはいわば俗な言葉で言えば産直だと思うんですね。そういった形で全体のコストパスケットの中でそういったものが優先的に取り扱われるということになると、これもやっぱり民生用に
影響を生ずるのか生じないのか、生ずるほどは託送は行われないのか、その辺を伺いたいというふうに思っております。