○国務大臣(
橋本龍太郎君) 市川
委員にお褒めをいただきますときには、往々にして
委員御自身の御議論に私の申しましたことを大変さや寄せされましてお褒めをいただくケースがあります。今回の部分につきましても、私はどうも問題意識としての根幹には多少違いがあるような感じがいたします。
私は、もともと経常収支の黒字というものが悪だと決めつけるつもりはありません。むしろ、現在の世界
経済の中で、例えばG7各国の中においてニューマネーの供給能力を持つそうした国がほかにあるかといえば、残念ながらニューマネーの供給能力を持つ国は
日本以外にないわけであります。
ところが、今世界
経済全体を見ますときに、それこそ東欧における劇的な社会主義から民主主義、あるいは計画
経済から市場
経済への転換が起こりまして以来、あるいはソ連邦の消滅、ロシアを初めとしたCIS
諸国の誕生、ラテン
アメリカにおける民主化の促進、
中国の市場
経済の進展、それぞれ歓迎すべきことではありますけれ
ども、実はこれは新たな資金需要が地球上の各地に生まれたということでもあるわけであります。そして、その新たな資金需要に対して十分な資金供給をどう行っていくかというのは、現在先進
諸国の中における大きな論議のテーマであるはずだと私は思います。
そうした中におきまして、ニューマネーの供給能力に
限界がある現在のG7に、
日本の経常収支を国際的な資金需要にいかに効果的に利用するかは、むしろ
日本独自の問題ではなく、例えばG7等においてもあるいはIMF等においても十分
考えられてしかるべきものだということを私は年来主張し続けてまいりました。そして、その限りにおいて私は経常収支の黒字が悪だとは
考えておりません。しかし、今日その経常収支の黒字がある
意味ではたまり過ぎている。言いかえれば、それだけの
投資が思い切って
国内で行われていないことが非常に大きな問題を持っていると思っております。
それだけに、先ほ
ども答弁の中で申し上げましたように、私は、公共
投資基本計画の思い切った前倒しをすることによって、ただ単に阪神・淡路大震災の復興という限定された補正予算ではなく、この際、災害に強い都市づくりといったテーマを柱にした思い切った新たな補正予算を
考える必要が生まれたのではなかろうかということをここでも御答弁を申し上げました。そして、今
委員が引用されましたような、その新聞等に引用されました私の
考え方の基礎にはそうしたものがあるわけであります。
また、これは
牛嶋委員の御論議の中にもございましたけれ
ども、こうした
法律を我々が
国会に御審議をいただかなければならない中において、まさに大
企業と下請の
関係というものには我々は十分な留意を払わなければなりません。しかし従来から、例えばデザイン・インといった手法で、メーカーである自動車
産業とその下講の間に設計段階からの非常に緊密な連携がとられることにより、そうした問題に対しては少しでもこれを解決しておこうという
努力をしてきたことは
委員各位も御
承知のとおりであります。そして、今後もそうしたことは我々は続けなければなりませんし、先ほど
中小企業庁長官が御答弁いたしましたように、この
法律一つですべてに対処しようとするのではないこともぜひ御理解をいただきたいと思います。